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審決分類 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06T
審判 査定不服 4項4号特許請求の範囲における明りょうでない記載の釈明 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06T
審判 査定不服 4項1号請求項の削除 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06T
審判 査定不服 4項3号特許請求の範囲における誤記の訂正 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06T
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06T
管理番号 1193081
審判番号 不服2006-21884  
総通号数 112 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-04-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-09-28 
確定日 2009-02-19 
事件の表示 平成10年特許願第147469号「データ処理装置、データ処理方法、及び記憶媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成11年12月10日出願公開、特開平11-339056〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成10年5月28日の出願であって、平成18年8月24日に拒絶査定がされ、これに対して平成18年9月28日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同年10月27日付けで手続補正がなされたものである。
審判合議体は平成20年7月8日付けで特許法第36条に基づく拒絶理由通知し、これに対して平成20年9月12日付けで手続補正書が提出されたが、補正内容に新規事項が含まれるため、審判合議体は平成20年9月26日付けで特許法第17の2第3項に基づいて最後の拒絶理由を通知した。
これに対して平成20年11月27日付けで手続補正書が提出されている。

第2 平成20年11月27日付けの手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成20年11月27日付けの補正を却下する。

[理由]

1.当該補正後の特許請求の範囲

当該補正による特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりのものである。
(以下、補正請求項1とする。)

【補正請求項1】
編集処理の実行可否を示す制御情報を付与されたデータを取得する取得手段と、
上記取得手段により取得されたデータは、編集領域に複数表示可能であり、上記編集領域に表示されたデータのうち、選択状態にある1つのデータから制御情報を抽出する抽出手段と、
上記抽出手段によって抽出された制御情報に基づく状態で、上記選択状態にあるデータに対する上記編集領域での編集処理の実行を指示するための項目を表示するよう制御する表示制御手段とを備え、
上記表示制御手段は、上記取得手段により取得されたデータの上記制御情報がすべての編集機能を制限しないときは上記編集領域とともに上記データを表示し、あるいは上記取得手段により取得されたデータの上記制御情報がすべての編集機能を制限するときは上記データの編集領域なしで上記データを表示するように選択的に制御し、上記データを含む文書を表示することを特徴とするデータ処理装置。
(下線部は補正箇所)

2. 当該補正前の特許請求の範囲

これに対し、当該補正前の特許請求の範囲の記載は、特許請求の範囲を平成20年9月12日付けで補正したものであって、その請求項1から6は以下の通りである。

【請求項1】 編集処理の実行可否を示す制御情報を付与されたデータを取得する取得手段と、
上記取得手段により取得されたデータは、編集領域に複数表示可能であり、前記編集領域に表示されたデータのうち、選択状態にある1つのデータから制御情報を抽出する抽出手段と、
上記抽出手段によって抽出された制御情報に基づく状態で、上記選択状態にあるデータに対する編集処理の実行を指示するための項目を表示するよう制御するとともに、上記制御情報に応じて、上記編集領域とともに前記データを表示するか、あるいは上記データの編集領域なしで前記データを表示するかを選択的に制御し、前記編集領域で編集処理が実行されたデータを含む文書を表示する表示制御手段とを備えたことを特徴とするデータ処理装置。
【請求項2】 上記編集処理は色変換、イメージフィルタ、透明度設定、ぼかし、上下左右反転、重なりの上下、回転、マスク、フォトフレームへの挿入、混植のうち少なくとも1つであることを特徴とする請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項3】 上記制御情報は外部装置により上記データに付与され、
上記取得手段は、上記データを上記外部装置からネットワークを介して取得することを特徴とする請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項4】 編集処理の実行可否を示す制御情報を付与されたデータを取得する取得工程と、
上記取得工程において取得されたデータは、編集領域に複数表示可能であり、前記編集領域に表示されたデータのうち、選択状態にある1つのデータから制御情報を抽出する抽出工程と、
上記抽出工程によって抽出された制御情報に基づく状態で、上記選択状態にあるデータに対する編集処理の実行を指示するための項目を表示するよう制御するとともに、上記制御情報に応じて、上記編集領域とともに前記データを表示するか、あるいは上記データの編集領域なしで前記データを表示するかを選択的に制御し、前記編集領域で編集処理が実行されたデータを含む文書を表示する表示制御工程とを備えたことを特徴とするデータ処理方法。
【請求項5】 編集処理の実行可否を示す制御情報を付与されたデータを取得する取得工程と、
上記取得工程において取得されたデータは、編集領域に複数表示可能であり、前記編集領域に表示されたデータのうち、選択状態にある1つのデータから制御情報を抽出する抽出工程と、
上記抽出工程によって抽出された制御情報に基づく状態で、上記選択状態にあるデータに対する編集処理の実行を指示するための項目を表示するよう制御するとともに、上記制御情報に応じて、上記編集領域とともに前記データを表示するか、あるいは上記データの編集領域なしで前記データを表示するかを選択的に制御し、前記編集領域で編集処理が実行されたデータを含む文書を表示する表示制御工程とをコンピュータに実行させるためのプログラムを記憶したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
(下線は本審決において付与)

3. 当該補正の適否

当該審判請求時補正請求項1と補正前の全ての請求項を対比する。
補正前の請求項1、4、5に係る発明は、その下線部の記載から明らかなように、何れも、
(1)編集領域に表示されたデータのうち、抽出手段(工程)により選択状態にある1つのデータから制御情報を抽出する 。
(2)制御情報に応じて、編集領域とともにデータを表示するか、あるいは編集領域なしでデータを表示するかを選択的に制御する。
ものである。
これに対し、補正請求項1は、補正前の請求項1から、制御情報を抽出手段(工程)により選択状態にある1つのデータから制御情報を抽出するという限定を省くものである。 請求項内の限定要件すなわち構成要件の削除は、特許請求の範囲の拡大であって、発明の変更に他ならない。
そうすると、最後の拒絶理由通知に対する補正は、特許法第17条の2第1項第3号に該当し、その場合は同条第4項に規定する以下の事項を目的とするものに限られるところ、当該補正は、その何れにも該当しないことは明らかである。
一)第36条第5項に規定する請求項の削除
二)特許請求の範囲の減縮(第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであつて、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)
三 )誤記の訂正
四 )明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)

したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について

1.本願発明の認定

平成20年11月27日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成20年9月12日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1から請求項6までに記載した事項により特定されるものである。
そのうち、請求項1に係る発明は、下記のとおりである。

【請求項1】 編集処理の実行可否を示す制御情報を付与されたデータを取得する取得手段と、
上記取得手段により取得されたデータは、編集領域に複数表示可能であり、前記編集領域に表示されたデータのうち、選択状態にある1つのデータから制御情報を抽出する抽出手段と、
上記抽出手段によって抽出された制御情報に基づく状態で、上記選択状態にあるデータに対する編集処理の実行を指示するための項目を表示するよう制御するとともに、上記制御情報に応じて、上記編集領域とともに前記データを表示するか、あるいは上記データの編集領域なしで前記データを表示するかを選択的に制御し、前記編集領域で編集処理が実行されたデータを含む文書を表示する表示制御手段とを備えたことを特徴とするデータ処理装置。
(再掲)

2.平成20年9月26日付け拒絶理由

審判合議体が平成20年9月26日付け拒絶理由通知は以下のとおりである。

「 <<< 最後理由 >>>
平成20年9月12日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の記載は、下記の点で、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものではないから、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものである。
したがって、本件出願は特許法第49条第1号の規定に基づき拒絶査定をすべきものである。


当該手続補正書による請求項1、4、5の補正は次の通りである。

【請求項1】 編集処理の実行可否を示す制御情報を付与されたデータを取得する取得手段と、
上記取得手段により取得されたデータは、編集領域に複数表示可能であり、前記編集領域に表示されたデータのうち、選択状態にある1つのデータから制御情報を抽出する抽出手段と、
上記抽出手段によって抽出された制御情報に基づく状態で、上記選択状態にあるデータに対する編集処理の実行を指示するための項目を表示するよう制御するとともに、上記制御情報に応じて、上記編集領域とともに前記データを表示するか、あるいは上記データの編集領域なしで前記データを表示するかを選択的に制御し、前記編集領域で編集処理が実行されたデータを含む文書を表示する表示制御手段とを備えたことを特徴とするデータ処理装置。

【請求項4】 編集処理の実行可否を示す制御情報を付与されたデータを取得する取得工程と、
上記取得工程において取得されたデータは、編集領域に複数表示可能であり、前記編集領域に表示されたデータのうち、選択状態にある1つのデータから制御情報を抽出する抽出工程と、
上記抽出工程によって抽出された制御情報に基づく状態で、上記選択状態にあるデータに対する編集処理の実行を指示するための項目を表示するよう制御するとともに、上記制御情報に応じて、上記編集領域とともに前記データを表示するか、あるいは上記データの編集領域なしで前記データを表示するかを選択的に制御し、前記編集領域で編集処理が実行されたデータを含む文書を表示する表示制御工程とを備えたことを特徴とするデータ処理方法。

【請求項5】 編集処理の実行可否を示す制御情報を付与されたデータを取得する取得工程と、
上記取得工程において取得されたデータは、編集領域に複数表示可能であり、前記編集領域に表示されたデータのうち、選択状態にある1つのデータから制御情報を抽出する抽出工程と、
上記抽出工程によって抽出された制御情報に基づく状態で、上記選択状態にあるデータに対する編集処理の実行を指示するための項目を表示するよう制御するとともに、上記制御情報に応じて、上記編集領域とともに前記データを表示するか、あるいは上記データの編集領域なしで前記データを表示するかを選択的に制御し、前記編集領域で編集処理が実行されたデータを含む文書を表示する表示制御工程とをコンピュータに実行させるためのプログラムを記憶したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。

この記載により、これら請求項に係る発明は、何れも、
(1)編集領域に表示されたデータのうち、選択状態にある1つのデータから制御情報を抽出する 。
(2)制御情報に応じて、編集領域とともにデータを表示するか、あるいは編集領域なしでデータを表示するかを選択的に制御する。
ものであると判断される。

そして、手続補正書と同日付で提出された意見書では、この補正の根拠を出願当初の明細書の段落0096、0116、0119、0121における開示としている。

しかしながら、そのような構成は、出願当初の明細書または図面に記載されていない。
出願当初の明細書の段落0119?0124には、上記(1)に相当する内容は記載されているものの、段落0123、0124には、制御情報にに応じて警告画面を表示すること、および「図形データ1402の移動前の画面1401に戻る」ことが記載されているのみで、(1)により得られた制御情報に応じて「編集領域とともにデータを表示するか、あるいは編集領域なしでデータを表示するかを選択的に制御する」ことは記載されていない。

また、「編集領域なしでデータを表示する」状態自体は図11(c)に記載がされているが、図11(c)は、段落0095、0096に記載されているように、第3段階の画像データが扱われている場合の表示状態が示されているだけで、上記(1)により得られた制御情報に応じて、そのような表示状態になったことを示してはいない。

したがって、当該補正は、願書に最初に貼付した明細書又は図面に記載された範囲内の事項ではない。 」

3.判断

平成20年11月27日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、特許請求の範囲の請求項1、4、5に記載されたは本願発明は、依然として、願書に最初に貼付した明細書又は図面に記載された範囲内の事項ではない。
したがって、平成20年9月12日付けでした手続補正は、願書の最初に添付した明細書または図面に記載した事項の範囲内においてしたものとはいえないから、本件出願は平成20年9月26日付け拒絶理由により、特許法第49条第1号の規定に基づき拒絶査定すべきものである。

第4. むすび

以上のとおりであるから、原査定を取り消す、本願は特許すべきであるとの審決を求めるとした審判請求は、これを認めることができない。、
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-12-11 
結審通知日 2008-12-16 
審決日 2009-01-05 
出願番号 特願平10-147469
審決分類 P 1 8・ 561- WZ (G06T)
P 1 8・ 572- WZ (G06T)
P 1 8・ 574- WZ (G06T)
P 1 8・ 573- WZ (G06T)
P 1 8・ 571- WZ (G06T)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 月野 洋一郎相澤 祐介  
特許庁審判長 板橋 通孝
特許庁審判官 廣川 浩
加藤 恵一
発明の名称 データ処理装置、データ処理方法、及び記憶媒体  
代理人 國分 孝悦  

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