• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1194149
審判番号 不服2006-5211  
総通号数 113 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-05-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-03-20 
確定日 2009-03-09 
事件の表示 特願2001-230754「画像遊技装置」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 3月19日出願公開、特開2002- 78968〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯・本願発明の認定
本願は平成7年6月23日に出願された特願平7-157265号の一部を特許法44条1項の規定により新たな特許出願としたものであって、平成18年2月2日付けで拒絶の査定がされたため、これを不服として同年3月20日付けで本件審判請求がされるとともに、同年4月19日付けで明細書についての手続補正がされたものである。
当審においてこれを審理した結果、平成18年4月19日付けの手続補正を却下するとともに、新たな拒絶の理由を通知したところ、請求人は平成20年12月15日付けで意見書及び手続補正書を提出した。
したがって、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成20年12月15日付けで補正された明細書の特許請求の範囲【請求項1】に記載された次のとおりのものと認める。
「スロットマシンゲームであるメインゲームを行わせるメインゲーム制御手段と、
前記メインゲーム制御手段によって行われたゲームの結果を判定するメインゲーム判定手段と、
前記メインゲーム判定手段によって利益が付与されたことを条件に、前記スロットマシンゲームとは異なる画像表示画面で行われるサブゲームへの移行を遊技者の外部操作により選択させるサブゲーム移行選択手段と、
複数種類設けられたサブゲームの中からいずれか一つのサブゲームを遊技者の外部操作により選択させるためのサブゲーム種類選択スイッチと、
前記サブゲーム移行手段によってサブゲームへの移行が選択されたこと及び前記サブゲーム種類選択スイッチの操作によっていずれか一つの種類のサブゲームが選択されたことを条件に、いずれか一つの種類の前記サブゲームを行わせるサブゲーム制御手段と、
前記サブゲーム制御手段によって行われたサブゲーム結果にもとづいて、前記メインゲーム判定手段によって先に付与された利益を増加又は減少させる利益増減手段と
を備え、
前記サブゲームには、遊技者に対して先に付与された利益を増加させる増加率を複数有するサブゲームを含み、
前記利益増減手段は、前記サブゲーム種類選択スイッチの操作によって、複数の増加率を有するサブゲームが選択された場合に、複数のサブゲーム結果に対して利益を増加する異なる増加率を割り当て、サブゲーム結果に対して割り当てられた増加率を用いて先に付与された利益の増減をサブゲーム結果に基づいて行うようにし、
前記各サブゲームは、遊技者の操作に基づいてサブゲーム結果を導出するものであり、
前記サブゲーム制御手段は、前記サブゲームを行わせるために必要な操作を前記各サブゲーム毎に異ならせている、ことを特徴とする画像遊技装置。」

第2 当審の判断
1.引用刊行物の記載事項
当審における拒絶の理由に引用した特開平5-237216号公報(以下「引用例1」という。)には、以下のア?オの記載が図示とともにある。
ア.「複数種類の絵柄を行列状に配列して表示する配列表示手段と、前記配列表示手段が配列表示した状態を変更する配列変更手段と、前記配列変更手段が変更した配列状態が所定の絵柄の組合せであるか否かを検出する配列検出手段と、前記配列検出手段が所定の絵柄の組合せであることを検出したときに前記配列表示手段が配列表示した状態を再度変更する配列再変更手段と、前記配列検出手段が所定の絵柄の組合せであることを検出したときにプレイヤーが操作してゲームの終了または前記配列再変更手段の起動を選択指示する選択指示手段と、前記配列検出手段が所定の絵柄の組合せであることを検出したときに、前記配列再変更手段と連動して賭け率を変更する賭け率変更手段を具備することを特徴とするスロットゲームマシン。」(【請求項1】)
イ.「リール11a?cの回転を停止させると、CPU回路1はリール11a?cが停止したときの絵柄の縦、横、および斜めの列が予め決められた絵柄の組合せ(入賞の組合せ)であるか否かの判定を行う(ステップS3)。入賞が無い場合にはゲームを終了(GAME OVER)して、直ちにステップS2に戻る。入賞が有る場合には(ステップS5)、プレイヤーがダブルアップと払い出しとを選択できるように、その旨をディスプレー回路5を介してプレイヤーに知らせる。」(段落【0024】)
ウ.「プレイヤーがダブルアップボタン13(図2参照)を押してダブルアップを選択すると(ステップS6)、CPU回路1は出力回路6およびモータードライバー7を介してリール11aのみ回転駆動を始める。その後、一定時間後にCPU回路1はリール11aの回転を停止させる(ステップS8)。・・・リール11aの回転を停止させると、CPU回路1はリール11aが入賞であるか否か、即ち絵柄が出たかゴースト(空白)が出たかの判定を行う(ステップS8)。入賞が無い場合にはダブルアップ負けとしてゲームを終了(GAMEOVER)し、ステップS2に戻る。入賞が有る場合には(ステップS10)、プレイヤーがダブルアップと払い出しとを選択できるように、その旨をディスプレー回路5を介してプレイヤーに再度知らせる。」(段落【0025】?【0026】)
エ.「このようにして、ダブルアップ勝ちが続く限りは、プレイヤーは繰り返してダブルアップを選択でき、ダブルアップを選択しなかった場合の2倍の枚数のコインを得ることができる。逆に、ダブルアップで負けた場合には、それまでに獲得した所定枚数のコインの支払いを受けることができない。」(段落【0028】)
オ.「上述した実施例においては、複数列のリールを回転および停止させるメカ式のスロットゲームマシンとして説明したが、メカ式に限定されることはなく、陰極線管に絵柄を表示するようにしたスロットゲームマシンにも本発明を適用することが可能である。」(段落【0030】)

2.引用例1記載の発明の認定
引用例1の記載オによれば、記載アの「複数種類の絵柄」は陰極線管に表示してもよい。
したがって、引用例1には次のような発明が記載されていると認めることができる。
「複数種類の絵柄を行列状に配列して陰極線管に表示する配列表示手段と、前記配列表示手段が配列表示した状態を変更する配列変更手段と、前記配列変更手段が変更した配列状態が所定の絵柄の組合せであるか否かを検出する配列検出手段と、前記配列検出手段が所定の絵柄の組合せであることを検出したときに前記配列表示手段が配列表示した状態を再度変更する配列再変更手段と、前記配列検出手段が所定の絵柄の組合せであることを検出したときにプレイヤーが操作してゲームの終了または前記配列再変更手段の起動を選択指示する選択指示手段と、前記配列検出手段が所定の絵柄の組合せであることを検出したときに、前記配列再変更手段と連動して賭け率を変更する賭け率変更手段を具備することを特徴とするスロットゲームマシン。」

3.本願発明と引用発明1の一致点及び相違点の認定
引用発明1において「プレイヤーが操作してゲームの終了または前記配列再変更手段の起動を選択指示する」前までのゲームは本願発明の「スロットマシンゲームであるメインゲーム」に相当し、引用発明1は本願発明でいうところの「メインゲーム制御手段」を備える。
引用発明1の「配列変更手段が変更した配列状態が所定の絵柄の組合せであるか否かを検出する配列検出手段」及び「配列検出手段が所定の絵柄の組合せであることを検出したときにプレイヤーが操作してゲームの終了または前記配列再変更手段の起動を選択指示する選択指示手段」(実施例では、記載ウの「ダブルアップボタン13」)は、本願発明の「前記メインゲーム制御手段によって行われたゲームの結果を判定するメインゲーム判定手段」及び「前記メインゲーム判定手段によって利益が付与されたことを条件に、サブゲームへの移行を遊技者の外部操作により選択させるサブゲーム移行選択手段」に相当し、引用発明1の「配列表示手段が配列表示した状態を再度変更」が本願発明の「サブゲーム」に相当し、引用発明1は本願発明でいうところの「前記サブゲーム移行手段によってサブゲームへの移行が選択されたことを条件に、サブゲームを行わせるサブゲーム制御手段」を備える。
ところで、本願発明の「前記スロットマシンゲームとは異なる画像表示画面で行われるサブゲーム」における「前記スロットマシンゲームとは異なる」が直後の「画像表示画面」を修飾するのか、それとも「サブゲーム」を修飾するのかは、この記載のみからは明らかでない。そこで発明の詳細な説明を参酌するに、「前記画像表示画面11には、メインゲーム、例えばスロットマシンゲームにおいては、図2に示すように、左側の表示部20、中央の表示部21、右側の表示部22の横並びに並んだ3列の表示部20?22が表示されている。」(段落【0039】)、「前記画像表示画面11には、図2に示すように、各表示部20?22の前面を通過する5本の賞ライン30?34が表示されている。前記5本の賞ライン30?34は、図2に示すように、各表示部20?22の上段、中段、下段の位置を各々通過し、互いに平行に位置する3本の賞ライン30?32と、中央の表示部の中段位置で、×点状に交わった左下がり斜め賞ライン33及び右下がり斜め賞ライン34の2本の賞ラインとから構成されている。」(段落【0040】)、「右側の表示部22は、サブゲームにおいて画面が切り替わる。・・・中央の表示部21は、サブゲームにおいては画面が切り替わる。」(段落【0042】)、「サブゲームに関する第3実施例についての画像表示画面11には、図23に示すように、その中央に円弧を等分した12個の図柄表示部170・・が設けられている。」(段落【0087】)、「サブゲームに関する第4実施例における画像表示画面11には、図25に示すように、画面の上部に、複数種類の標的画像190・・が順次移動表示される標的移動表示部191と、画面の下部に、左右方向に移動可能であって標的画像190・・に対して弾を発射する外部操作手段としてのレーザー砲192とが表示されている。」(段落【0095】)及び「第5実施例における画像表示画面11に、図27に示すように、「◎」「★」「◆」「○」の4種類の標的画像190・・が、各々階層を異にして左右方向に交互に移動表示されている。」(段落【0103】)との各記載があり、スロットマシンゲームの表示画面とサブゲームの表示画面は、どちらも「画像表示画面11」であるから、「前記スロットマシンゲームとは異なる」は「サブゲーム」を修飾するものと解さねばならず、スロットマシンゲームとサブゲームが異なることは当然であり、本願発明と引用発明1の一致点である。
引用発明1の「賭け率を変更」とは、引用例1の記載エによれば、メインゲームの配当を倍増することであり、倍増されるかどうかは、「配列表示した状態を再度変更」した結果、すなわち、サブゲーム結果により定まるから、「サブゲーム制御手段によって行われたサブゲーム結果にもとづいて、前記メインゲーム判定手段によって先に付与された利益を増加又は減少させる利益増減手段」は引用発明1にも備わっている。
さらに、引用発明1の「配列表示手段」は「複数種類の絵柄を行列状に配列して陰極線管に表示する」ものであるから、「画像表示画面」と称することができ、そうである以上引用発明1の「スロットゲームマシン」を「画像遊技装置」と称することには何の問題もない。
したがって、本願発明と引用発明1の一致点及び相違点は以下のとおりである。
〈一致点〉
「スロットマシンゲームであるメインゲームを行わせるメインゲーム制御手段と、
前記メインゲーム制御手段によって行われたゲームの結果を判定するメインゲーム判定手段と、
前記メインゲーム判定手段によって利益が付与されたことを条件に、スロットマシンゲームとは異なる画像表示画面で行われるサブゲームへの移行を遊技者の外部操作により選択させるサブゲーム移行選択手段と、
前記サブゲーム移行手段によってサブゲームへの移行が選択されたことを条件に、前記サブゲームを行わせるサブゲーム制御手段と、
前記サブゲーム制御手段によって行われたサブゲーム結果にもとづいて、前記メインゲーム判定手段によって先に付与された利益を増加又は減少させる利益増減手段と
を備える画像遊技装置。」
〈相違点1〉サブゲームに関連して、本願発明が「複数種類設けられたサブゲームの中からいずれか一つのサブゲームを遊技者の外部操作により選択させるためのサブゲーム種類選択スイッチ」を備えるのに対し、引用発明1は同手段を備えない点。
〈相違点2〉同じくサブゲームに関連して、本願発明の「サブゲーム制御手段」が「前記サブゲーム種類選択スイッチの操作によっていずれか一つの種類のサブゲームが選択されたことを条件に、いずれか一つの種類の前記サブゲームを行わせる」のに対し、引用発明1ではサブゲーム選択の余地がそもそもない点。
〈相違点3〉同じくサブゲームに関連して、本願発明が「遊技者に対して先に付与された利益を増加させる増加率を複数有するサブゲームを含み」、「前記利益増減手段は、前記サブゲーム種類選択スイッチの操作によって、複数の増加率を有するサブゲームが選択された場合に、複数のサブゲーム結果に対して利益を増加する異なる増加率を割り当て、サブゲーム結果に対して割り当てられた増加率を用いて先に付与された利益の増減をサブゲーム結果に基づいて行うようにし」たのに対し、引用発明1ではサブゲーム選択の余地がそもそもなく、唯一のサブゲームも「複数のサブゲーム結果に対して利益を増加する異なる増加率を割り当て」るゲームではない点。
〈相違点4〉同じくサブゲームに関連して、本願発明が「各サブゲームは、遊技者の操作に基づいてサブゲーム結果を導出するものであり」及び「サブゲーム制御手段は、前記サブゲームを行わせるために必要な操作を前記各サブゲーム毎に異ならせている」としているのに対し、引用発明1ではサブゲーム選択の余地がそもそもない点。

4.相違点の判断及び本願発明の進歩性の判断
(1)相違点1,2について
当審における拒絶の理由に引用した特開昭62-236579号公報(以下「引用例2」という。)は発明の名称を「回胴式遊戯機」とする公開公報であり、「通常ゲームで入賞したばあい、さらに別のゲームをやらせて、入賞配当を倍増させたり、「当り」をとると配当メダルを払い出したり、さらには通常ゲームで入賞しないばあいも低配当の得点を積み立てるチャンスを与えれば、さらに面白いゲームができるであろうことを見出した。」(3頁左上欄11?17行)及び「倍増ゲーム用の停止ボタン(29)を押したときは(112)、倍増ゲームに移行し、・・・遊戯者が、停止ボタン(29)を押したときは(112)、その停止信号がCPUに取りこまれる。それによってCPUは点滅制御を停止し、停止操作された時点に点灯していた、いずれか一方のランプ(51)または(52)のみを点灯させ、他方のランプ(51)または(52)を消灯させる。このとき奇数字が表示されているランプ(51)、が点灯していたとすれば、ターゲット(28)位置に停止しているディスク(4)上の数字が「1」または「3」であれば「当り」あり、そうでなければ「外れ」となる。また偶数字が表示されているランプ(52)が点灯していたとすれば、ターゲット(28)位置に停止しているディスク(4)上の数字が「2」または「4」であれば「当り」であり、そうでなければ「外れ」となる。」(7頁右上欄末行?左下欄18行)との各記載があり、引用例2記載の「倍増ゲーム」は引用発明1の「配列表示手段が配列表示した状態を再度変更」同様、本願発明の「サブゲーム」に相当する。
同じく引用した実願平3-41304号(実開平5-88590号)のCD-ROM(以下「引用例3」という。)には、「図2に於いて、まず、1はメインゲームの場合図示しない複数個の疑似リールを表示し、一方、サブゲームの場合ダブルアップ回路3の出力に基づいて次に出てくるカードの数字が大きいかまたは小さいかを当てるダブルアップゲームを表示する表示装置4が設けられ、かつ、中央処理装置5を内蔵するゲーム機本体である。」(段落【0013】)との記載があり、「複数個の疑似リール」とあることから、「メインゲーム」は「スロットマシンゲーム」であると認識することができ、「サブゲーム」又は「ダブルアップゲーム」は、「メインゲーム判定手段によって先に付与された利益を増加又は減少させる」ゲームであり、本願発明の「サブゲーム」に相当する。
このように、本願発明のサブゲームに相当するゲームは、引用例1?3の何れにも記載されており、それらは異なるゲームである。要するに、本願発明の「サブゲーム」に相当するゲームとしては、複数種類が知られている。
さらに、当審における拒絶の理由に引用した特開平1-124481号公報(以下「引用例4」という。)には、「遊技球の遊技結果に基づいて遊技者が選択できるゲームの種類として複数種用意することが、ゲームの興趣を高める意味から大切である」(2頁左上欄1?4行)との記載があり、ここでいう「遊技者が選択できるゲーム」は「メインゲーム判定手段によって先に付与された利益を増加又は減少させる」ゲームではないけれども、「メインゲーム判定手段によって先に付与された利益を増加又は減少させる」ゲームを複数用意することも、ゲームの興趣を高める点で有用なことは明らかである。
そうであれば、引用発明1を出発点として、サブゲームを複数種類設け、遊技者が外部操作により1つのサブゲームを選択すること、及びそのために「サブゲーム種類選択スイッチ」を備えること、すなわち、相違点1,2に係る本願発明の構成を採用することは当業者にとって想到容易である。

(2)相違点3について
引用例1の記載エにあるとおり、引用発明1においては、ダブルアップ勝ちが続く限り繰り返してダブルアップを選択できることが予定されており、最終的な増加率はダブルアップ選択回数により異なる。
他方、ゲーム結果と利益を対応づけたゲームは周知である。例えば、本件出願より相当以前に頒布された特開平1-126991号公報には「買い物を済ませた顧客がゲーム式の景品配当を当て」(2頁左下欄2?3行)及び「11は前記支払い金額読取り部5へ連係する景品配当率の表示部で、ルーレット式によるものを示し、回転体12の表面を複数に区分して、その区分した部分に異なる景品配当率の数字13を例えば2%、3%、5%。10%等と順次表わし、後記景品配当率の判定操作部の操作により回転体12を回転始動し、これの回転停止によって規定指標14位置に対応する数字13が当り景品配当率となる。」(3頁左上欄17行?右上欄5行)との各記載があり、景品配当率はゲーム結果と利益を対応づけたゲームにより決定されている。また、同じく本件出願より相当以前に頒布された特公平1-57592号公報には、「第1競争ゲームの予想登録は1着と2着の組合わせを当てる、いわゆる連勝複式であり、第2競争ゲームは第1競争ゲームで獲得したメダルを賭ける変形連勝式、すなわち7頭のうちの1頭をあらかじめ選択し、その馬がたとえば4着以内に入着したとき、その馬の着順に対応する配当率で第1競争ゲームの獲得メダルを払戻す方式である。」(5欄17?23行)との記載があり、第2競争ゲームはゲーム結果と利益を対応づけたゲームであるばかりか、「第1競争ゲームで獲得したメダルを賭ける」ゲームであるから、「第1競争ゲーム」が「メインゲーム」であり、第2競争ゲームは「サブゲーム」に位置づけられる。
引用発明1においても最終的な増加率は複数とおりあるのだから、上記周知技術を採用して、1つ以上のサブゲームに1回のゲームでの増加率として複数の増加率を用意し、ゲーム結果に増加率を割り当てておき、ゲーム結果に対して割り当てられた増加率を用いて先に付与された利益の増減を行うこと、すなわち、相違点3に係る本願発明の構成を採用することは当業者にとって想到容易である。

(3)相違点4について
相違点1の容易性は既に述べたとおりである。サブゲームの選択が「遊技者の操作」に含まれるのであれば、当然「各サブゲームは、遊技者の操作に基づいてサブゲーム結果を導出する」こととなる。「遊技者の操作」がサブゲームの選択以外を意味するとしても、遊技者の操作が必要となるサブゲームはいくらでもあるから、「各サブゲームは、遊技者の操作に基づいてサブゲーム結果を導出する」ことはせいぜい設計事項程度である。
引用例2には前示のとおり「倍増ゲーム用の停止ボタン(29)」との記載があるほか、「第1特別ゲームは、ディスク(4)の回転にともない、ターゲット(28)に近づいたり離れたりする移動マーク(M)を、うまくターゲット(28)位置で停止させると「当り」となるもので、ディスク(4)の停止は遊戯者のディスクスイッチ(14)の押し操作で行なわれる。」(7頁右下欄18行?8頁左上欄3行)との記載があり、「第1特別ゲーム」が「メインゲーム判定手段によって先に付与された利益を増加又は減少させる利益増減手段」に該当するとはいえないかもしれないが、メインゲーム以外の「倍増ゲーム」と「第1特別ゲーム」を行わせるために必要な操作は異なっている。
このように、異なるゲームであれば、ゲームを行わせるために必要な操作が異なることは普通であり、そのことは例えば本件出願前に頒布された特開平6-285257号公報に「ゲーム選択時には、ゲーム選択用のスイッチ13?16が、ゲーム選択後は各ゲームの操作用のスイッチ17a?17c,18a?18e,19a?19e,20a?20hが、それぞれ表示操作板8の所定の位置に生成される。」(【要約】の【構成】欄)との記載があることによっても裏付けられる。
したがって、相違点1に係る本願発明の構成を採用することを前提とした上で、相違点4にに係る本願発明の構成を採用することは設計事項程度であり、引用発明1を出発点とした場合当業者にとって想到容易である。

(4)本願発明の進歩性の判断
相違点1?4に係る本願発明の構成を採用することは当業者にとって想到容易であり、これら構成を採用したことによる格別の作用効果を認めることもできない。
したがって、本願発明は引用発明1、引用例2?4記載の技術及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

第3 むすび
本願発明が特許を受けることができないから、本願のその余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶を免れない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-01-06 
結審通知日 2009-01-08 
審決日 2009-01-20 
出願番号 特願2001-230754(P2001-230754)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 西村 仁志  
特許庁審判長 津田 俊明
特許庁審判官 有家 秀郎
川島 陵司
発明の名称 画像遊技装置  
代理人 竹山 宏明  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ