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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G02F 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G02F |
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管理番号 | 1194882 |
審判番号 | 不服2007-29488 |
総通号数 | 113 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2009-05-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2007-10-31 |
確定日 | 2009-03-26 |
事件の表示 | 特願2005-281400「液晶装置及び電子機器」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 4月12日出願公開、特開2007- 93849〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成17年9月28日の出願であって、平成19年4月9日及び同年7月17日に手続補正がなされ、同年9月27日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年10月31日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同年11月29日に手続補正がなされたものである。 第2 平成19年11月29日付け手続補正についての補正却下の決定 〔補正却下の決定の結論〕 平成19年11月29日付け手続補正を却下する。 〔理由〕 1.本件補正の内容・目的 平成19年11月29日付け手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲についてするもので、本件補正前の請求項1に、 「液晶パネルと、前記液晶パネルの環境光が入射する側に設けられてなる偏光板と、前記環境光を受光する受光素子と、を具備し、電子機器の表示部として利用される液晶装置において、 前記受光素子は、前記環境光が入射する受光面を備えており、 前記受光面の少なくとも一部が平面視で前記偏光板と重ならない位置であって、前記電子機器の筺体に形成された前記環境光を透過する貫通孔と重なる位置に配置されてなることを特徴とする液晶装置。」 とあったものを、 「液晶パネルと、前記液晶パネルの環境光が入射する側に設けられてなる偏光板と、前記環境光を受光する受光素子と、を具備し、電子機器の表示部として利用される液晶装置において、 前記受光素子は、前記環境光が入射する受光面を備えており、 前記受光面が平面視で前記偏光板と重ならない位置であって、前記電子機器の筺体に形成された前記環境光を透過する貫通孔と重なる位置に配置されてなることを特徴とする液晶装置。」 と補正する内容を含むものである。 上記補正内容は、発明を特定するために必要な事項として本件補正前の請求項1に記載されていた、平面視で前記偏光板と重ならない位置であって、前記電子機器の筺体に形成された前記環境光を透過する貫通孔と重なる位置に配置されてなる「前記受光面の少なくとも一部」を「前記受光面」に減縮するものであるから、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。 2.刊行物の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された本願の出願前に頒布された刊行物である特開2000-122574号公報(以下「引用例」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は審決で付した。)。 (1)「【0005】 【発明の実施の形態】図1はこの発明の一実施形態を適用した反射兼透過型の液晶表示装置の要部を示したものである。この液晶表示装置は、データラインと各画素電極との間に薄膜トランジスタ等のスイッチング素子を有するアクティブマトリクス型の液晶表示パネル1を備えている。液晶表示パネル1は、詳細には図示していないが、一対のガラス基板2、3がほぼ枠状のシール材4を介して貼り合わされ、シール材4の内側における両ガラス基板2、3間に液晶が封入され、各ガラス基板2、3の表面に偏光板5、6が貼り付けられたものからなっている。 【0006】液晶表示パネル1の裏面側には反射機能を備えたバックライト11が配置されている。…(略)…。」 (2)「【0015】まず、図4はこの液晶表示装置の一部の概略構成を示したものである。液晶表示パネル1の一対のガラス基板2、3のうち裏面側のガラス基板3の所定の辺部は表面側のガラス基板2から突出されている。そして、この裏面側のガラス基板3の突出部の上面には外光照度検出センサ41が設けられている。…(略)…。」 (3)「【0028】…(略)…このとき、トップゲート電極(TG)側から半導体層73に光が照射されると、…(略)…ドレイン電流が流れる。このドレイン電流は半導体層73への入射光量に応じて変化する。そして、このドレイン電流により、図5に示すキャパシタ57、58に電荷が蓄積されることになる。」 (4)「【0031】次に、照度検出センサ41、42の形成方法の一例について、アクティブマトリクス型の液晶表示装置におけるスイッチング素子としてのMIS型薄膜トランジスタの形成方法と併せ、図11を参照して説明する。裏面側のガラス基板3の上面の薄膜トランジスタ等形成領域にアルミニウム等からなるゲート電極91を形成するとともに、同上面の照度検出センサ形成領域にアルミニウム等からなるボトムゲート電極71を形成する。次に、上面全体には窒化シリコンからなるボトムゲート絶縁膜72を形成する。次に、ボトムゲート絶縁膜72の上面の薄膜トランジスタ等形成領域にアモルファスシリコンやポリシリコンからなる半導体層92を形成するとともに、同上面の照度検出センサ形成領域にアモルファスシリコンやポリシリコンからなる半導体層73を形成する。次に、半導体層92、73の上面中央部に窒化シリコンからなるブロッキング層93、74を形成する。次に、ブロッキング層93、74の上面両側及びその両側における半導体層92、73の上面にn^(+)シリコン層94、95、75、76を形成する。次に、n^(+)シリコン層94、95、75、76の上面にアルミニウム等からなるソース電極96、ドレイン電極97、ソース電極77、ドレイン電極78を形成する。次に、上面全体には窒化シリコンからなるトップゲート絶縁膜79を形成する。次に、トップゲート絶縁膜79の上面の薄膜トランジスタ等形成領域にITO等の透明電極からなる画素電極98を形成するとともに、同上面の照度検出センサ形成領域にITO等の透明電極からなるトップゲート電極80を形成する。この場合、画素電極98は、トップゲート絶縁膜79に形成されたコンタクトホール99を介してソース電極96に接続される。次に、画素電極98の所定の部分を除く上面全体に窒化シリコンからなるオーバーコート膜81を形成する。 【0032】かくして、薄膜トランジスタ等形成領域にMIS型薄膜トランジスタ及び画素電極98が形成され、照度検出センサ形成領域にMIS型薄膜トランジスタからなる照度検出センサが形成される。このように、照度検出センサ41、42をスイッチング素子としてのMIS型薄膜トランジスタ及び画素電極98の形成と同時に形成することができるので、製造工程数が増加しないようにすることができる。しかも、照度検出センサ41、42を液晶表示パネル1の裏面側のガラス基板3上に一体的に形成しているので、照度検出センサ41、42を備えても、部品点数が増加しないようにすることができる。」 (5)上記(1)ないし(4)からみて、引用例には、 「一対のガラス基板2、3がほぼ枠状のシール材4を介して貼り合わされ、シール材4の内側における両ガラス基板2、3間に液晶が封入され、各ガラス基板2、3の表面に偏光板5、6が貼り付けられた液晶表示パネル1と、液晶表示パネル1の裏面側に配置された反射機能を備えたバックライト11とを備え、前記一対のガラス基板2、3のうち裏面側のガラス基板3の所定の辺部は表面側のガラス基板2から突出され、この裏面側のガラス基板3の突出部の上面には外光照度検出センサ41が設けられている液晶表示装置において、 前記外光照度検出センサ41は、前記裏面側のガラス基板3の上面の照度検出センサ形成領域に、ボトムゲート電極71、半導体層73、透明電極からなるトップゲート電極80、オーバーコート膜81等が順次積層形成されたものであって、そのトップゲート電極側から半導体層73に光が照射されると入射光量に応じて変化するドレイン電流が流れるものである、 液晶表示装置。」の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 3.対比 本願補正発明と引用発明とを対比する。 (1)引用発明の「一対のガラス基板2、3がほぼ枠状のシール材4を介して貼り合わされ、シール材4の内側における両ガラス基板2、3間に液晶が封入され」たもの、「ガラス基板2の表面に貼り付けられた偏光板5」、「外光照度検出センサ41」、「外光」及び「液晶表示装置」は、それぞれ、本願補正発明の「液晶パネル」、「前記液晶パネルの環境光が入射する側に設けられてなる偏光板」、「前記環境光を受光する受光素子」、「環境光」及び「表示部として利用される液晶装置」に相当する。 (2)引用発明の外光照度検出センサ41は、裏面側のガラス基板3の上面の照度検出センサ形成領域に、ボトムゲート電極71、半導体層73、透明電極からなるトップゲート電極80、オーバーコート膜81等が順次積層形成されたものであって、そのトップゲート電極側から半導体層73に光が照射されると入射光量に応じて変化するドレイン電流が流れるものであるから、引用発明の外光照度検出センサ41において、光が照射されるトップゲート電極側の表面であるオーバーコート膜81の面が、外光が入射する受光面である。よって、引用発明の外光照度検出センサ41は、本願補正発明の「受光素子」と、「前記環境光が入射する受光面を備えており」との点で一致する。 (3)上記(1)に照らせば、引用発明において「前記液晶パネルの環境光が入射する側に設けられてなる偏光板」は「ガラス基板2の表面に貼り付けられた偏光板5」であり、かつ、引用発明において、外光照度検出センサ41は、表面側のガラス基板2から突出する裏面側のガラス基板3の突出部の上面に設けられているのであるから、引用発明の「受光素子(外光照度検出センサ41)」は、平面視で、「液晶パネル」の環境光(外光)が入射する側に設けられてなる偏光板(偏光板5)と重ならない位置に配置されていることが明らかである。してみると、引用発明の「受光素子(外光照度検出センサ41)」が備えている「環境光が入射する受光面」(上記(2)参照。)も、平面視で前記偏光板と重ならない位置に配置されているといえる。 (4)上記(1)ないし(3)から、本願補正発明と引用発明とは、 「液晶パネルと、前記液晶パネルの環境光が入射する側に設けられてなる偏光板と、前記環境光を受光する受光素子と、を具備し、表示部として利用される液晶装置において、 前記受光素子は、前記環境光が入射する受光面を備えており、 前記受光面が平面視で前記偏光板と重ならない位置に配置されてなる液晶装置。」の点で一致し、次の点で相違する。 相違点: 本願補正発明においては、前記表示部が「電子機器の表示部」であって、前記受光面が「前記電子機器の筺体に形成された環境光を透過する貫通孔と重なる位置に配置され」るのに対して、引用発明においては、前記表示部がそのような電子機器の表示部であるかどうか不明である点。 4.判断 (1)上記相違点について検討する。 「表示部として利用される液晶装置を備えた電子機器において、その筺体に、環境光を透過する貫通孔を形成し、該貫通孔と重なる位置に環境光が入射する受光面を配置した受光素子を設けた電子機器」は本願出願前に周知であるから(例.特開平4-316950号公報(図1のcds1及び本体ケース102参照。)、特開平5-265401号公報(図2の表カバー7及び光センサー部4参照。)、特開2003-78838号公報(図9及び図10の筐体104、光センサ(受光素子)102及び受光面110や、図1、図3、図4、図6及び図8などの筐体4、開口部8(8’)、光センサ2及び受光面10参照。)、特開2003-107422号公報(段落0029?0030及び図2の筐体44、開口部分44a、周囲光検出部41の受光素子42参照。))、引用発明の液晶表示装置を、この周知の電子機器の表示部として利用し、引用発明の「受光素子(外光照度検出センサ41)」の「受光面」を、前記電子機器の筺体に形成された環境光を透過する貫通孔と重なる位置に配置し、上記相違点に係る本願補正発明の構成となすことは、上記周知技術に基づいて当業者が容易に想到することができたことである。 そして、本願補正発明の奏する効果は、引用発明の効果及び上記周知技術の効果から当業者が予測できた程度のものである。 したがって、本願補正発明は、引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 よって、本願補正発明は、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 5.むすび 以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1.本願発明 本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成19年7月17日付けの手続補正書によって補正された特許請求の範囲、明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項によって特定されるものであるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記「第2〔理由〕1」で、本件補正前の請求項1として記載したとおりのものである。 2.引用例 原査定の拒絶の理由に引用された引用例及びその記載事項は、前記「第2〔理由〕2」に記載したとおりである。 3.対比・判断 本願発明は、前記第2で検討した本願補正発明から、平面視で前記偏光板と重ならない位置であって、前記電子機器の筺体に形成された前記環境光を透過する貫通孔と重なる位置に配置されてなるものについて、「前記受光面」を「前記受光面の少なくとも一部」に拡張したものに相当する。 そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに減縮したものに相当する本願補正発明が、前記「第2〔理由〕4」に記載したとおり、引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 4.むすび 以上のとおり、本願発明は、引用例に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2009-01-21 |
結審通知日 | 2009-01-27 |
審決日 | 2009-02-09 |
出願番号 | 特願2005-281400(P2005-281400) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G02F)
P 1 8・ 575- Z (G02F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 福田 知喜 |
特許庁審判長 |
小牧 修 |
特許庁審判官 |
服部 秀男 岩本 勉 |
発明の名称 | 液晶装置及び電子機器 |
代理人 | 須澤 修 |
代理人 | 宮坂 一彦 |
代理人 | 上柳 雅誉 |