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審決分類 審判 全部無効 特許請求の範囲の実質的変更  G01G
管理番号 1195240
審判番号 無効2008-800059  
総通号数 113 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-05-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 2008-04-01 
確定日 2009-04-09 
事件の表示 上記当事者間の特許第2681104号発明「計量装置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第2681104号に係る手続の経緯の概要は以下のとおりである。

昭和61年11月15日 特許出願(特願昭61-272685号)
平成 7年 3月14日 拒絶査定の謄本の送達
平成 7年 4月13日 拒絶査定不服審判の請求
(平成7年審判第7456号)
平成 9年 5月16日 原査定を取消す旨の審決の謄本の送達
平成 9年 8月 8日 登録(特許第2681104号)
平成19年 2月13日 訂正審判の請求
(訂正2007-390016)
平成19年 3月19日 訂正を認める旨の審決の謄本の送達
平成20年 4月 1日 本件特許無効審判の請求
(無効2008-800059)
平成20年 6月20日 答弁書の提出(被請求人)
平成20年 7月31日 上申書の提出(請求人)

以下、訂正審判(訂正2007-390016)の審決により認容された訂正を「本件訂正」と、訂正前の願書に添付した明細書及び図面を「本件明細書等」と、訂正後のそれを「訂正明細書等」と、訂正前の特許発明を「本件特許発明」と、訂正後のそれを「訂正特許発明」とそれぞれ呼ぶこととする。

2.訂正の内容
本件訂正の内容は下記訂正事項A?Cのとおりである。(下線は訂正箇所を示すために当審で付した。)
訂正事項A
・特許請求の範囲の請求項1について、
「前記ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化を任意に設定する入力手段」を、「前記ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化を前記モータの動特性データとしてテーブルに任意に設定する入力手段」に訂正する。
訂正事項B
・特許請求の範囲の請求項1について、
「前記入力手段はコントロールパネルに含まれており、」との構成を追加訂正する。
訂正事項C
・明細書の発明の詳細な説明(特許掲載公報2頁3欄27?35行)について、
「本発明の計量装置は、被計量物品を貯蔵し排出するホッパと、該ホッパの排出口に設けられたゲートと、該ゲートを開閉駆動するモータとを備えた計量装置であって、前記ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化を任意に設定する入力手段と、設定されたゲートの動作変化に基づいて前記モータを制御する制御手段とを設け、被計量物の種類や供給量に応じて前記ゲートの動作を任意に制御できるようにしたことを特徴とするものである。」とあるのを、
「本発明の計量装置は、被計量物品を貯蔵し排出するホッパと、該ホッパの排出口に設けられたゲートと、該ゲートを開閉駆動するモータとを備えた計量装置であって、前記ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化を前記モータの動特性データとしてテーブルに任意に設定する入力手段と、設定されたゲートの動作変化に基づいて前記モータを制御する制御手段とを設け、前記入力手段はコントロールパネルに含まれており、被計量物の種類や供給量に応じて前記ゲートの動作を任意に制御できるようにしたことを特徴とするものである。」と訂正する。

3.請求人の主張の概要
請求人は、訂正事項Aは下記[理由]の点で訂正要件(平成6年改正前の特許法第126条2項)に違反しているから、本件特許は平成6年改正後の特許法第123条1項8号により無効とすべきものである旨主張している。
[理由]
特許請求の範囲に記載された「刻々の」の技術内容は「所定の期間毎の」を意味するものと解されるところ、本件訂正により該「所定の期間」の意味する技術内容が、本件明細書等の第1表に示されたテーブルの1つまたは複数の行からなる期間である「期間t1、t2、・・・t6」(以下、「期間t」という。)から、同第1表のi=1、2、・・・16に対応する期間であるテーブルの「各行」(以下、「区間i」という。)に変わったから、「刻々の」の用語の意義を変更するものであり、実質上特許請求の範囲を変更するものというべきである。

4.被請求人の反論の概要
被請求人は、請求人の主張する前記理由に対しおよそ以下のとおり反論している。
[反論]
本件特許発明(及び訂正特許発明)においては、区間i毎にゲートの動作変化を規定する各パラメータ(Ti、Pi、Fi)が設定されるものであるから、該「所定の期間」が「区間i」を意味するものであることは本件訂正の前後を通して変わらないものであり、したがって、実質上特許請求の範囲を変更するものではない。

5.当審の判断
(1)訂正事項Aは実質上特許請求の範囲を変更し、又は拡張するものであるか、について
特許請求の範囲に記載された「刻々」の意味する技術内容が、「前記ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化を前記モータの動特性データとしてテーブルに任意に設定する入力手段」と訂正したことにより本件訂正の前後で変更されたか、について検討する。
「刻々」とは、広辞苑(第五版)等によれば一般用語として「一刻毎、刻一刻」を意味するところ、本件特許発明及び訂正特許発明についてみれば「所定の期間毎」を意味するものであることは当事者間に争いはなく、また、当審もそのように認定する。
そこで、進んで、この点を本件明細書等に記載された実施例に則して検討するに、本件明細書等には、ホッパゲートの動作特性図である第2図、第3図に対応したテーブルが第1表として記載されており、この点については訂正明細書等においても何ら変更はない。
この第1表によれば、かかるテーブルにはパルス周期(Ti)、パルス数(Pi)及び回転方向(Fi)が区間i毎に設定されており、一つまたは複数の区間iが期間tに対応(すなわち、期間t1に区間i1が対応し、期間t2に区間i2?i5が対応し、同様に期間t3に区間i6が、期間t4に区間i7?i10が、期間t5に区間i11が、期間t6に区間i12?i16が対応)していることが把握できる。
そして、例えば期間t2及びこれに対応した区間i2?i5に着目すると、区間i2のパルス周期(Ti)を1.2msec、パルス数(Pi)を5とし、以下同様に、区間i3のTiを2.0msec、Piを3に、区間i4のTiを4.0msec、Piを2に、区間i5のTiを10.0msec、Piを1にそれぞれ設定することにより、すなわち、モータのパルス周期(Ti)やパルス数(Pi)といった動特性データを区間i毎にテーブルに設定することにより、期間t2を第2図及び第3図に示されたような「漸次減速」の期間としてホッパゲートの動作が実現されるのである。
このことから、ホッパゲートの「刻々」の動作変化を任意に設定できるのは、区間iを単位とした「所定の期間毎」であることは明らかであり、この点について本件訂正前後を通じて何ら変わるところはない。
してみると、本件訂正により「刻々」すなわち「所定の期間」の意味が、本件明細書等の第1表に示されたテーブルの1つまたは複数の行からなる期間である「期間t1、t2、・・・t6」(以下、「期間t」という。)を意味するものから、同第1表のi=1、2、・・・16に対応する期間であるテーブルの「各行」である「区間i」を意味するものに変わったということはできず、したがって、本件訂正は実質上特許請求の範囲を変更するものではない。

次に、請求人は、本件訂正前の本件特許発明における「所定の期間」は「期間t」を意味していたことを前提としているので、この点について検討する。
本件特許発明において「所定の期間」が「期間t」を意味していたことの根拠として、請求人は本件拒絶査定不服審判(平成7年審判第7456号)の審理において該審判の請求人(本件特許無効審判の被請求人)より提出された平成8年12月24日付け意見書を挙げている。
そして該意見書の記載によれば、ホッパゲートの「動作変化」とは、ホッパゲートの「開閉速度、加速度、開度」のことを意味し、これは「開閉速度及び加速度及び開度」であると解されるべきところ、「開閉速度」や「開度」は区間i毎に設定できるにしても、「加速度」は区間i毎には設定できないから、「刻々」を意味する「所定の期間」は期間tと解さざるを得ない旨請求人は主張している。
そこで検討するに、前記したように、本件明細書等及び訂正明細書等に記載の実施例によればパルス周期(Ti)、パルス数(Pi)及び回転方向(Fi)といったモータの動特性データは区間i毎に設定し得るようになっている。
そして、区間iにおけるパルス周期(Ti)が短く、パルス数(Pi)が多いほどホッパゲートの「開閉速度」は大きくなるものであり、それに従って「開度」も非直線的に変化することとなる。
ところで、ホッパゲートの「開度」、「開閉速度」及び「加速度」の相互の関係についてみると、「開度」の時間変化が「開閉速度」であり、「開閉速度」の時間変化が「加速度」にあたる。
してみると、区間i毎に設定できるのはパルス周期(Ti)、パルス数(Pi)及び回転方向(Fi)に直接関連する「開閉速度」と「開度」であり、「開閉速度」と「開度」とを区間i毎に設定し得るようにした結果、「開閉速度」の時間変化である「加速度」については区間iを複数含む期間tにおいて設定できたことになるといえる。
したがって、ホッパゲートの「動作変化」の内容としては、具体的には「開閉速度」、「開度」及び「加速度」が挙げられるところ、動作変化の内容の一つである「加速度」のみが区間i毎に設定できないことをもって、ホッパゲートの「動作変化」を「開閉速度及び加速度及び開度」であると限定解釈することは妥当でなく、よって、「刻々」を意味する「所定の期間」を「期間t」に限定解釈することは妥当でない。

以上のとおりであるから、訂正事項Aは実質上特許請求の範囲を変更するものではなく、また、拡張するものでもない。

(2)訂正事項Aについて他の訂正要件違反があるか、についての検討
(i)本件明細書等に記載した事項の範囲においてしたものであるか、について
本件訂正の対象となる本件明細書等には、以下の記載事項ア?カがある。(下線は当審で付した。)
ア 特許掲載公報2頁3欄37行?43行
「本発明の計量装置は、ホッパゲートを開閉駆動するモータの動特性データを、被計量物品の種類や供給量に応じて予めテーブルに、パルス周期、パルス数、回転方向等に関して設定しておき、該テーブルの情報に応じてホッパゲートを開閉制御するので、ゲート開度を被計量物の供給量に応じて任意に調整でき、計量スピードも任意に変えることができる。」
イ 特許掲載公報2頁4欄14行?23行
「…ステップモータを例えば、第2図のように、
t1期間は等速
t2期間は漸次減速
t2期間は停止
t4期間は逆方向に漸次増速
t5期間は逆方向に等速
t6期間は逆方向に漸次減速
となるように動作させる場合、第2図に対応させた第3図から第1表のテーブルを作ることができる。」
ウ ホッパーゲートの動作特性図である第2図及び第3図、並びに第3図に対応して作成された、モータの動特性値を表す第1表のテーブル。
エ 特許掲載公報3頁6欄15行?16行
「ステップモータは、ドライバ用のテーブルを作ることによって任意に制御できる」
オ 特許掲載公報4頁7欄31行?32行
「ゲート開閉の動作特性を入力装置で簡単に変えることができる」
カ 特許掲載公報2頁4欄1行?2行
「入力装置や表示装置を含むコントロールパネル3」及び第1図中の「コントロールパネル(入力装置、表示装置を含む)」との説明

以上の記載ア?オから、「ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化をモータにより制御するためにモータの動特性データを表したテーブルを用い、モータの動特性データは入力装置により任意に設定することができる。」との技術事項が読み取れる。
してみると、本件訂正事項Aである「前記ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化を前記モータの動特性データとしてテーブルに任意に設定する入力手段」は上記技術事項を簡潔に表現したものであり、本件訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであるといえる。

(ii)特許請求の範囲の減縮を目的としたものであるか、について
本件訂正は、上記(i)で説示した本件明細書等に記載の技術事項を根拠に、「前記ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化を任意に設定する入力手段」とあるのを、「前記ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化を前記モータの動特性データとしてテーブルに任意に設定する入力手段」に訂正するものである。
そして、本件特許発明(及び訂正特許発明)における「モータ」はそもそもゲートの開閉を制御するために設けられているのであるから、該モータの回転角(すなわちパルス数)とゲートの位置(すなわち開度)との間には相応の対応関係が存在するのであり、事実、本件明細書等に記載の、ホッパーゲートの動作特性図である第2図及び第3図、並びに第3図に対応して作成されたモータの動特性値を表す第1表のテーブルを見ると、モータの動特性データの一つであるパルス数(モータの回転角に相当する)の増加又は減少に応じてホッパーゲートの開度も連続的に増加又は減少していることが認められる。
してみると、本件訂正は、かかるゲートの位置(開度)とモータの回転角(パルス数)との間に存在する相応の対応関係を踏まえ、「前記ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化を任意に設定する入力手段」に関して、その「任意に設定する」ための手段として「モータの動特性データとしてテーブルに任意に設定する」と具体的に規定したものと認められるから、特許請求の範囲の減縮を目的としたものであるといえる。

(iii)小括
よって、訂正事項Aは適法になされたものである。

(3)訂正事項B、Cについての検討
訂正事項Bについて検討するに、この訂正は「前記入力手段」について前記5.(2)(i)で摘記した記載事項カの記載を根拠に、「コントロールパネルに含まれており」との限定を付したものであって、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであることは明らかであり、また、特許請求の範囲の減縮を目的としたものといえる。
さらに、この訂正は実質上特許請求の範囲を変更するものでも、拡張するものでもない。

次に、訂正事項Cについて検討するに、この訂正は本件明細書等の発明の詳細な説明中の「問題点を解決するための手段」の記載事項を訂正後の特許請求の範囲の請求項1の記載に整合させるためのものであって、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであることは明らかであり、また、この訂正は明りょうでない記載の釈明を目的とするものといえる。
さらに、この訂正は実質上特許請求の範囲を変更するものでも、拡張するものでもない。
よって、訂正事項B、Cは適法になされたものである。

そして、訂正事項A、Bに係る訂正後の特許請求の範囲の請求項1に記載されている事項により特定される発明については、特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しない。

6.むすび
以上のとおり、請求人が主張する理由によっては本件訂正が平成6年改正前の特許法第126条1項ただし書及び同条2項の規定に違反してされたものとすることはできず、したがって、本件特許は平成6年改正後の特許法第123条1項8号により無効とすべきものとすることはできない。
また、本件審判に関する費用については、特許法第169条第2項で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-07-22 
結審通知日 2008-07-24 
審決日 2008-08-07 
出願番号 特願昭61-272685
審決分類 P 1 113・ 855- Y (G01G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 榮永 雅夫  
特許庁審判長 飯野 茂
特許庁審判官 下中 義之
山下 雅人
登録日 1997-08-08 
登録番号 特許第2681104号(P2681104)
発明の名称 計量装置  
代理人 藤岡 宏樹  
代理人 角田 嘉宏  
代理人 伊原 友己  
代理人 岩坪 哲  
代理人 加古 尊温  
代理人 吉村 雅人  
代理人 速見 禎祥  
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