• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部無効 2項進歩性  A63F
審判 一部無効 出願日、優先日、請求日  A63F
審判 一部無効 1項3号刊行物記載  A63F
管理番号 1195707
審判番号 無効2008-800018  
総通号数 114 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-06-26 
種別 無効の審決 
審判請求日 2008-02-04 
確定日 2009-03-18 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第2941981号発明「遊技場の管理設備装置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 特許第2941981号の請求項1に記載された発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許は、平成2年10月22日に出願された特願平2-285396号の分割出願として同年11月19日に出願された特願平2-314546号のさらに分割出願として、平成3年3月11日に出願されたものの特許であり、主立った経緯は次のとおりである。なお、当事者が提出した書類の日付は、書面に記載された日付ではなく、特許庁が受け付けた日付を意味する。
・平成11年2月3日付け 拒絶理由通知
・同年4月12日 出願人(被請求人)により、明細書の手続補正
・同年5月28日付け 当庁審査官により特許査定
・同年6月18日 特許第2941981号として設定登録(請求項1?3)
・平成20年2月4日 本件審判請求(請求項1,2に対して)
・同年4月22日 被請求人より答弁書及び訂正請求書提出(訂正請求は後にみなし取り下げ)
・同年5月30日 請求人より弁駁書提出
・同年8月13日 被請求人より答弁書提出
・同年10月31日 口頭審理を実施し、無効理由を通知
・同年12月1日 被請求人より答弁書及び訂正請求書提出
・平成21年1月5日 請求人より手続補正書提出
・同月15日 補正許否の決定

第2 当事者の主張及び当審で通知した無効理由
1.請求人の主張する無効理由(無効理由1)
平成20年12月1日付け訂正前の請求項1,2の特許及び同訂正後の請求項1の特許は、特許法29条2項の規定に違反してされた特許であるから、同法123条1項2号に該当し無効とされるべきである。

2.当審で通知した無効理由(無効理由2)
本件出願日は、明細書の補正がされた平成11年4月12日であり、請求項1,2(訂正前)の特許は、特許法29条1項3号の規定に違反してされた特許であるから、同法123条1項2号の規定に該当し無効とされるべきである。

3.被請求人の主張
訂正により請求項2を削除したから無効理由2は成立せず、無効理由1によっても本件特許を無効とすることはできない。

4.請求人が提出した証拠
請求人が提出した証拠は以下のとおりである。
甲第1号証:特開昭51-84330号公報
甲第2号証:特開昭50-129274号公報
甲第3号証:特開昭51-29974号公報
甲第4号証:特公昭55-29469号公報
甲第5号証:実願昭52-143832号(実開昭54-68982号)のマイクロフィルム
甲第6号証:特開平1-303179号公報
甲第7号証:特開昭59-198046号公報
甲第8号証:特開昭60-253472号公報
甲第9号証:特開昭63-283670号公報
甲第10号証:特開昭58-92380号公報
甲第11号証:特開昭58-92381号公報
甲第12号証:本件において、平成11年4月12日付けで被請求人が提出した意見書
甲第13号証:特開昭63-122487号公報
甲第14号証:特開昭64-64681号公報

第3 訂正の許否の判断
1.訂正事項
平成20年12月1日付けの訂正請求は以下の訂正事項からなっている。
[訂正事項a]
請求項1を次のように訂正する。
「遊技場の遊技機設置島にカード処理機と一対一で対応した状態で設置され、当該カード処理機よりカード残高から減算する額に応じた貸出し指令信号が入力される遊技機と、遊技場の情報管理を行なうための遊技場用管理装置とを備えた遊技場の管理設備装置であって、
前記遊技機の遊技状態が景品遊技媒体を払出して遊技者に所定の有価価値を付与するように定められた所定遊技状態になったことを検出する所定遊技状態検出手段と、
前記遊技機設置島から補給された遊技媒体を前記貸出し指令信号の入力に基づいて貸遊技媒体として払出す払出装置を含み、前記遊技機設置島から補給された遊技媒体を前記所定遊技状態検出手段の検出出力に基づいて前記払出装置から前記景品遊技媒体として払出すことにより所定の有価価値を遊技者に付与する価値付与手段と、
該価値付与手段による付与価値が所定数の景品遊技媒体に相当する価値に達する毎にその旨の価値付与情報を前記遊技機から出力して前記遊技場用管理装置へ伝送する情報伝送手段と、を含み、
該情報伝送手段が前記価値付与情報を出力するように定められている前記所定数の景品遊技媒体は、前記遊技機設置島に設置された遊技機に対し玉補給を行なう補給装置が所定数の玉補給を行なう毎にその旨の補給情報を出力するその所定数の玉補給数に一致しており、
前記遊技場用管理装置は、前記情報伝送手段により伝送されてきた前記価値付与情報に基づいて前記遊技場にとって不利益となる不利益情報を集計する集計手段を含むことを特徴とする、遊技場の管理設備装置。」
[訂正事項b]
請求項2及び請求項3を削除する。
[訂正事項c]
明細書の段落【0011】を次のように訂正する。
「【課題を解決するための手段】請求項1に記載の本発明は、遊技場の遊技機設置島にカード処理機と一対一で対応した状態で設置され、当該カード処理機よりカード残高から減算する額に応じた貸出し指令信号が入力される遊技機と、遊技場の情報管理を行なうための遊技場用管理装置とを備えた遊技場の管理設備装置であって、
前記遊技機の遊技状態が景品遊技媒体を払出して遊技者に所定の有価価値を付与するように定められた所定遊技状態になったことを検出する所定遊技状態検出手段と、
前記遊技機設置島から補給された遊技媒体を前記貸出し指令信号の入力に基づいて貸遊技媒体として払出す払出装置を含み、前記遊技機設置島から補給された遊技媒体を前記所定遊技状態検出手段の検出出力に基づいて前記払出装置から前記景品遊技媒体として払出すことにより所定の有価価値を遊技者に付与する価値付与手段と、
該価値付与手段による付与価値が所定数の景品遊技媒体に相当する価値に達する毎にその旨の価値付与情報を前記遊技機から出力して前記遊技場用管理装置へ伝送する情報伝送手段と、を含み、
該情報伝送手段が前記価値付与情報を出力するように定められている前記所定数の景品遊技媒体は、前記遊技機設置島に設置された遊技機に対し玉補給を行なう補給装置が所定数の玉補給を行なう毎にその旨の補給情報を出力するその所定数の玉補給数に一致しており、
前記遊技場用管理装置は、前記情報伝送手段により伝送されてきた前記価値付与情報に基づいて前記遊技場にとって不利益となる不利益情報を集計する集計手段を含むことを特徴とする。」
[訂正事項d]
明細書の段落【0012】を次のように訂正する。
「【作用】請求項1に記載の本発明によれば、遊技機設置島から補給された遊技媒体が前記貸出し指令信号の入力に基づいて貸遊技媒体として払出装置から払出される。遊技状態が景品遊技媒体を払出して遊技者に所定の有価価値を付与するように定められた所定遊技状態になれば、価値付与手段の働きにより、遊技機設置島から補給された遊技媒体を前記貸出し指令信号の入力に基づいて貸遊技媒体として払出すことにより、所定の有価価値が遊技者に付与される。その価値付与手段による付与価値が所定数の景品遊技媒体に相当する価値に達する毎にその旨の価値付与情報が遊技機から出力されて遊技場用管理装置へ伝送され、その伝送されてきた価値付与情報に基づいて遊技場用管理装置が不利益情報を集計する。」
[訂正事項e]
明細書の段落【0013】を次のように訂正する。
「つまり、遊技媒体を景品遊技媒体として払出すことにより遊技者に付与された有価価値が所定数の景品遊技媒体に相当する価値に達する毎にその旨の価値付与情報が遊技場用管理装置へ伝送されるために、遊技場用管理装置は正確な不利益情報を集計可能となる。しかも、情報伝送手段が前記価値付与情報を伝送するように定められている前記所定数の景品遊技媒体は、遊技機設置島に設置された遊技機に対し玉補給を行なう補給装置が所定数の玉補給を行なう毎にその旨の補給情報を出力するその所定数の玉補給数に一致している。」
[訂正事項f]
明細書の段落【0091】を次のように訂正する。
「前記入賞玉検出器764により、遊技機の遊技状態が景品遊技媒体を払出したり得点を付与したりして遊技者に所定の有価価値を付与するように定められた所定遊技状態になったことを検出する所定遊技状態検出手段が構成されている。前記玉払出装置134または持玉数を特定できる情報が記録された記録媒体やコインを払出す旨の前述した記載と、S103,S76,S77,S59により、前記所定遊技状態検出手段の検出出力に基づいて所定の有価価値を遊技者に付与する価値付与手段が構成されている。前記S104?S108により、前記価値付与手段による付与価値が所定量に達する毎にその旨の価値付与情報(景品玉パルス)を前記遊技機から出力して前記遊技場用管理装置へ伝送する情報伝送手段が構成されている。この情報伝送手段が前記価値付与情報(景品玉パルス)を伝送するように定められている前記所定量の付与価値は、遊技機設置島に設置された遊技機に対し玉補給を行なう補給装置が所定数の玉補給を行なう毎にその旨の補給情報を出力するその所定数の補給玉数(実施例では10個の補給玉数)に相当する価値に一致している。コネクタ30により、遊技機が設置される遊技機設置島側に設けられた島側コネクタ(31)が接続可能なコネクタ接続部が構成されている。前記島側コネクタは、遊技機に対し玉補給を行なう補給装置側に接続することにより該補給装置が出力した補給情報を受入れて遊技場用管理装置へ伝送する状態と、前記コネクタ接続部に接続して該コネクタ接続部からの出力情報を受入れて遊技場用管理装置へ伝送する状態とに差し替え可能である。そして、前記価値付与情報が前記コネクタ接続部から出力可能に構成されている。前記S103により、前記価値付与手段に含まれ、前記所定の有価価値が遊技者に付与される毎にその付与価値を累積的に加算記憶する付与価値累積記憶手段が構成されている。そして、前記価値付与手段は、遊技終了時(S76により終了操作の検出がなされたとき)に前記付与価値累積記憶手段に記憶されている累積付与価値に相当する景品遊技媒体または前記累積付与価値を特定可能な記録媒体(景品玉またはコインあるいは記録媒体)を排出する(S59)。そして、前記情報伝送手段は、前記付与価値累積記憶手段への付与価値の加算記憶時に価値付与情報を伝送する(S103により持玉数カウンタへのNの加算時にS104またはS108により景品玉パルスを伝送する)。
【発明の効果】請求項1に記載の本発明によれば、伝送されてきた価値付与情報により遊技場用管理装置が、遊技者に付与された有価価値すなわち遊技場にとって不利益となる有価価値の大きさを特定可能となり正確な不利益情報を集計可能となるために、遊技場は正確な不利益情報を入手可能となり、遊技場は遊技場にとって不利益となる不利益情報を正確に知ることができる。しかも、価値付与情報が伝送されるように定められている所定数の景品遊技媒体は、遊技機設置島に設置された遊技機に対し玉補給を行なう補給装置が所定数の玉補給を行なう毎にその旨の補給情報を出力するその所定数の玉補給数に相当する価値に一致しているために、その出力された価値付与情報を受けて不利益情報を収集する遊技場用管理装置が、補給装置から出力されてくる補給情報を受けて不利益情報を集計する従来から一般的な既存のもので事足りることとなり、遊技場の既存の設備を大幅に改造する必要がなくなる。」

2.訂正要件の検討
訂正事項aのうち、遊技機が「遊技機設置島にカード処理機と一対一で対応した状態で設置」され、「カード処理機よりカード残高から減算する額に応じた貸出し指令信号が入力される」こと、「景品遊技媒体を払出して遊技者に所定の有価価値を付与する」こと、「前記遊技機設置島から補給された遊技媒体を前記貸出し指令信号の入力に基づいて貸遊技媒体として払出す払出装置を含」むこと及び「所定遊技状態検出手段の検出出力に基づいて前記払出装置から前記景品遊技媒体として払出す」ことは、すべて特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認める。
「前記価値付与手段が前記価値付与情報を出力」を「該情報伝送手段が前記価値付与情報を出力」と訂正することは誤記の訂正を目的とするものと認める。
「所定量」を「所定数の景品遊技媒体に相当する価値」に訂正することは、「景品遊技媒体を払出して遊技者に所定の有価価値を付与」と訂正したことに基づき、これとの整合を図るものであるから、これも特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認める。
ただし、「所定数の玉補給数に相当する価値」を「所定数の玉補給数」と訂正した上で、「前記所定数の景品遊技媒体は・・・その所定数の玉補給数に一致」と訂正することは、主語述語の関係を日本語として不適切にするものであるから、直ちに認めることはできないものの、「付与価値」を景品遊技媒体数で評価することは、訂正後の請求項1全体から読み取ることができ、「前記所定数の景品遊技媒体」が「前記所定数の景品遊技媒体数」又は「前記所定数」の趣旨であると理解した上で、「付与価値」を景品遊技媒体数で評価する旨訂正(それは、特許請求の範囲の減縮に当たる。)したことに付随する訂正事項として認める。
訂正事項bは特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認める。
訂正事項c?fは、訂正事項a,bにより特許請求の範囲が訂正されてことに付随する訂正事項であり、その目的は訂正事項a,bと同じである。
また、逐一摘記しないが、訂正事項a?fが、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてされたことも認める(平成20年12月1日付け訂正請求書において、被請求人が説明したとおりである。)。
本件訂正が特許請求の範囲を拡張又は変更するものでないことは明らかである。

3.訂正の許否の判断の結論
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律116号)附則6条1項の規定によりなお従前の例によるものとされた同法による改正前の特許法134条2項ただし書に適合し、同法134条の2第5項において準用する同法126条2項の規定に適合するので、本件当該訂正を認める。

第4 本件審判請求についての判断
1.補正許否の決定について
当審では、平成21年1月5日付け手続補正書により審判請求理由の補正を許可したが、その際被請求人に答弁機会を与えなかった。その理由は次のとおりである。
第1に、後記のとおり、請求項1の特許は無効理由2によって無効とされ、その理由は手続補正とは関係がない。なお、手続補正書18?19頁には、無効理由2についての言及があるが、これは請求人が主張する新たな無効理由として主張したものではなく、当審で通知した無効理由2についての単なる意見であることは、「E.結論」の後に記載されていることから明らかである。
第2に、手続補正書において、請求人は甲第13号証(以下、「甲13」と略記する。他の甲号証も同様に略記する。)及び甲14を証拠として追加し、甲13記載の発明を引用発明1、甲14記載の発明を引用発明2と称して、無効理由を展開しているが、「引用発明1の上記記載は、本件特許における、主に(1-1)及び(1-3)の構成と実質的に同一であると認められる。」(手続補正書8頁21?22行)及び「引用発明2の上記記載は、本件特許における、主に(1-1)及び(1-3)の構成にほぼ対応するものと認められる。」(同書9頁22?23行)と述べていること、(1-1)及び(1-3)の構成が、遊技機とカード処理機が一対一で対応し、遊技媒体を貸出し指令信号の入力に基づいて貸遊技媒体として払出す払出装置が価値付与手段に含まれるとの構成、すなわち、遊技機の払出装置が貸遊技媒体として払出す際にも使用されるという、本件訂正により追加された構成が公知であることを立証するために甲13及び甲14を証拠として追加したことは明らかである。ところで、本件明細書には【従来技術】として、「カード式パチンコ遊技機において、前記記録媒体の有価価値を使用して遊技開始時等に必要となる打玉をパチンコ遊技機の景品玉払出し径路を通して、景品玉等が払出される玉受皿等に払出すように制御することが考えられる。」(段落【0007】)及び「従来の遊技機においては、遊技者所有の所定の価値物体を使用して打玉やコイン等の遊技媒体が確保されるのであるが、この確保された遊技媒体をも前記不利益情報として検出して出力していたために、利益情報でもなく不利益情報でもない前記確保された遊技媒体が、不利益情報として出力されることになり、遊技場が正確な不利益情報を入手できないという欠点を有していた。」(段落【0009】)との各記載があるとおり、本件訂正により追加された構成が既に従来技術として存することは、被請求人も認識していたと認められる。そればかりか、本件訂正により追加された構成は、甲13,14のほか、後記周知例にも記載されているから、平成2年10月22日当時において既に周知であったというべきである。そうである以上、本件訂正により追加された構成が公知又は周知であることを、証拠の追加により立証しても、それに対する防御の機会を被請求人に与える必要はない。

2.本件発明の認定
訂正が認められるから、本件の請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)は、平成20年12月1日付け訂正請求書に添付された訂正明細書の【請求項1】に記載されたとおりのものである。同項は、「第3 1」において、訂正事項aとして摘記したので、ここでは再掲しない。なお、訂正要件の検討で述べたとおり、「前記所定数の景品遊技媒体は、前記遊技機設置島に設置された遊技機に対し玉補給を行なう補給装置が所定数の玉補給を行なう毎にその旨の補給情報を出力するその所定数の玉補給数に一致」は日本語として不適切であるから、「前記所定数の景品遊技媒体は」とあるのは、「前記所定数は」又は「前記所定数の景品遊技媒体数は」の趣旨に解する。

3.本件出願日の認定
「該情報伝送手段が前記価値付与情報を出力するように定められている前記所定数の景品遊技媒体は、前記遊技機設置島に設置された遊技機に対し玉補給を行なう補給装置が所定数の玉補給を行なう毎にその旨の補給情報を出力するその所定数の玉補給数に一致しており、」について検討するに、「情報伝送手段が前記価値付与情報を出力するように定められている前記所定数」と「補給装置が所定数の玉補給を行なう毎にその旨の補給情報を出力するその所定数」が一致するというからには、補給装置は「所定数の玉補給を行なう毎にその旨の補給情報を出力する」機能を有さなければならない。そうでなければ、一致するかどうかが定まらないからである。
本件出願の願書に最初に添付した明細書(以下、添付図面を含めて「当初明細書」という。)の特許請求の範囲は単一の【請求項1】からなっており、「遊技場に設置された遊技機と、遊技場の情報管理を行なうための遊技場用管理装置とを備えた遊技場の管理設備装置であって、前記遊技機の遊技状態が遊技者に所定の有価価値を付与するように定められた所定遊技状態になったことを検出する所定遊技状態検出手段と、該所定遊技状態検出手段の検出出力に基づいて所定の有価価値を遊技者に付与する価値付与手段と、該価値付与手段によって遊技者に付与された有価価値の大きさが特定可能な情報を、前記遊技場用管理装置に入力する情報入力手段と、を含み、前記遊技場用管理装置は、前記情報入力手段により入力された情報に基づいて前記遊技場にとって不利益となる不利益情報を集計する集計手段を含むことを特徴とする、遊技場の管理設備装置。」と記載されており、ここには「補給装置」に関する記載は皆無である。
当初明細書には1つの実施例として、「台別不利益球数記憶部304には、後述する補給玉検出器(補給球カウンタ)172の検出信号が入力される。なお、・・・補給玉検出器(補給球カウンタ)172はたとえばパチンコ玉10個の通過につき1回検出信号を出力するように構成されている。」(段落【0018】)及び「台別不利益球数記憶部304には、カード処理機5からの台別売上情報が台別売上記憶部342を介して入力されるとともに、弾球遊技機に設けられている持玉数カウンタ312からの台別持玉数情報が台別持玉数記憶部343を介して入力される。台別利益球数記憶部303からの台別不利益球数情報と台別不利益球数記憶部304からの台別不利益球数情報とが差数演算部300に入力され、差数が演算され、その差数情報が台別差数記憶部306に入力されて記憶される。」(段落【0019】)との記載があり、「補給装置が所定数の玉補給を行なう毎にその旨の補給情報を出力」には該当するものの、「価値付与手段による付与価値が所定数の景品遊技媒体に相当する価値に達する毎にその旨の価値付与情報を前記遊技機から出力」ではなく、「カード処理機5からの台別売上情報」を別途入力し、台別不利益球数情報との差を演算するものであるから、訂正発明とは別であり、記載根拠にならない。補給数をA,景品遊技媒体数をB及び貸遊技媒体数をCとすれば、A=B+Cの関係があるところ、A及びCを同じ所定数ごとに入力し、A-CによりBを求めるのがこの実施例である。
当初明細書には、別の実施例として、「図中157は、遊技機制御用回路基板で、・・・景品玉数を所定値(たとえば補給玉検出器172から出力されるパルス1パルスに対応する玉数)で分周した信号(以下、景品玉パルスという)を出力するための不利益情報出力回路を含んでいる。」(段落【0065】)及び「パチンコ玉の入賞に伴なって付与される景品玉数に相当する景品玉パルスを導出するための景品玉導出用コネクタ882が、パチンコ遊技機100に設けられている。そして、このパチンコ遊技機100を島に設置したときに、補給玉検出信号導出用コネクタ884に接続されているコネクタ883を、景品玉導出用コネクタ882側に接続しなおす。このようにすると、後で詳述するようにパチンコ遊技機100からの景品玉パルス信号がホール用管理コンピュータ70に送信されて後述するデータ処理に用いられる。」(段落【0069】)との記載があり、この実施例は、請求項1に該当するものである。しかしながら、それは、景品玉導出用コネクタ882が設けられたパチンコ遊技機100を島に設置したときに、補給玉検出信号導出用コネクタ884に接続されているコネクタ883を、景品玉導出用コネクタ882側に接続しなおすことを前提としたものであって、同前提なしに、「価値付与手段による付与価値が所定数の景品遊技媒体に相当する価値に達する毎にその旨の価値付与情報を前記遊技機から出力」及び「補給装置が所定数の玉補給を行なう毎にその旨の補給情報を出力する」との構成を採用することが記載されているのではない。
ところで、本件訂正前の請求項2は「前記遊技機は、当該遊技機が設置される遊技機設置島側に設けられた島側コネクタが接続可能なコネクタ接続部を含み、前記島側コネクタは、遊技機に対し玉補給を行なう補給装置側に接続することにより該補給装置が出力した補給情報を受入れて前記遊技場用管理装置へ伝送する状態と、前記コネクタ接続部に接続して該コネクタ接続部からの出力情報を受入れて前記遊技場用管理装置へ伝送する状態とに差し替え可能であり、前記価値付与情報が前記コネクタ接続部から出力可能に構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の遊技場の管理設備装置。」とされており、これはまさに上記前提を有する旨限定することを意味する。
そして、訂正後の請求項1が上記前提を欠くことは明らかである。本件訂正により請求項2が削除されたが、そうだからといって、訂正後の請求項1が上記前提を有することにならないのは当然である。なお、当審の無効理由では「請求項1を引用する請求項2には「島側コネクタは、遊技機に対し玉補給を行なう補給装置側に接続することにより該補給装置が出力した補給情報を受入れて前記遊技場用管理装置へ伝送する状態と、前記コネクタ接続部に接続して該コネクタ接続部からの出力情報を受入れて前記遊技場用管理装置へ伝送する状態とに差し替え可能」との限定があるから、請求項1の発明は「前記価値付与手段が前記価値付与情報を出力する」とともに「遊技機設置島に設置された遊技機に対し玉補給を行なう補給装置が所定数の玉補給を行なう毎にその旨の補給情報を出力する」「遊技場の管理設備装置」を含んでいる」と述べたところ、これは、請求項2の限定事項によれば「補給装置が所定数の玉補給を行なう毎にその旨の補給情報を出力する」(請求項1)とあるものの、現実に補給情報を出力するわけではない(接続されていないから、出力先がない)ことが認識できるものの、その限定事項がなければ、補給装置が現実に補給情報を出力するものを含むと解さざるを得ず、補給装置が現実に補給情報を出力し、かつ、「前記価値付与手段が前記価値付与情報を出力する」ような遊技場の管理設備装置は当初明細書に記載されていないという趣旨である。
当初明細書全体を精査しても、「価値付与手段による付与価値が所定数の景品遊技媒体に相当する価値に達する毎にその旨の価値付与情報を前記遊技機から出力」及び「補給装置が所定数の玉補給を行なう毎にその旨の補給情報を出力する」との本件発明の構成は、上記前提と不可分の構成として記載されているだけである。
「価値付与手段による付与価値が所定数の景品遊技媒体に相当する価値に達する毎にその旨の価値付与情報を前記遊技機から出力」及び「補給装置が所定数の玉補給を行なう毎にその旨の補給情報を出力する」との本件発明の構成は、平成11年4月12日付けの手続補正により、【請求項1】に「価値付与手段による付与価値が所定量に達する毎にその旨の価値付与情報を
前記遊技機から出力」及び「補給装置が所定数の玉補給を行なう毎にその旨の補給情報を出力」との構成が追加され、それが本件訂正により訂正されたものである。
以上述べたことから、平成11年4月12日付けの手続補正は、明細書の要旨を変更するものであり、それは本件訂正によって治癒されていないというべきであるから、本件出願日は、平成5年法律26号による改正前特許法40条の規定により、補正がされた平成11年4月12日である。
被請求人は、訂正前請求項2の存在が無効理由の原因であるというが、勘違いも甚だしい。
なお、無効理由1は出願日の認定を経た上での無効理由ではないから、その判断に際しては、平成2年10月22日以降に頒布された刊行物や公知又は周知となった技術は、判断の基礎としない。

4.無効理由2について
(1)引用刊行物の記載事項
無効理由2に引用した特開平4-212394号公報(本件出願の公開公報であり、以下「引用例」という。)には、以下のア?コの記載が図示とともにある。
ア.「遊技場に設置された遊技機と、遊技場の情報管理を行なうための遊技場用管理装置とを備えた遊技場の管理設備装置であって、前記遊技機の遊技状態が遊技者に所定の有価価値を付与するように定められた所定遊技状態になったことを検出する所定遊技状態検出手段と、該所定遊技状態検出手段の検出出力に基づいて所定の有価価値を遊技者に付与する価値付与手段と、該価値付与手段によって遊技者に付与された有価価値の大きさが特定可能な情報を、前記遊技場用管理装置に入力する情報入力手段と、を含み、前記遊技場用管理装置は、前記情報入力手段により入力された情報に基づいて前記遊技場にとって不利益となる不利益情報を集計する集計手段を含むことを特徴とする、遊技場の管理設備装置。」(【請求項1】)
イ.「補給玉検出器(補給球カウンタ)172はたとえばパチンコ玉10個の通過につき1回検出信号を出力するように構成されている。」(段落【0018】)
ウ.「パチンコ遊技機100の左右方向一側部(図面上では左側)にはカード処理機5がパチンコ遊技機1に対し分離可能な状態で設けられている。」(段落【0021】)
エ.「島に設けられている補給樋173からパチンコ玉が補給玉検出器(補給球カウンタ)172を介して玉タンク146に供給される。その玉タンク146に供給された補給玉の数が補給玉検出器(補給球カウンタ)172により検出されて、その検出信号が補給球検出信号導出用コネクタ884,コネクタ883を介してホール用管理コンピュータ70へ送信される。」(段落【0027】)
オ.「パチンコ遊技機に補給された補給球は、その一部が景品球(不利益球)として玉受皿122上に払出される一方、その他の補給球は景品球あるいは貸球として打球待機樋102上に放出されるのである。」(段落【0061】)
カ.「図18ないし図20で示す第2の実施例は、本発明の実施例である。図18は、パチンコ遊技機の一部内部構造を示す全体背面図である。パチンコ遊技機は、遊技機の一例である。遊技機の他の例としては、アレンジボール等の弾球遊技機やスロットマシン等がある。図5に示す第1の実施例と構造はほぼ同じなので、図5との相違点および第2の実施例の内容を理解するのに必要な部分について説明する。」(段落【0064】)
キ.「景品玉数を所定値(たとえば補給玉検出器172から出力されるパルス1パルスに対応する玉数)で分周した信号(以下、景品玉パルスという)を出力するための不利益情報出力回路を含んでいる。」(段落【0065】)
ク.「パチンコ玉の入賞に伴なって付与される景品玉数に相当する景品玉パルスを導出するための景品玉導出用コネクタ882が、パチンコ遊技機100に設けられている。そして、このパチンコ遊技機100を島に設置したときに、補給玉検出信号導出用コネクタ884に接続されているコネクタ883を、景品玉導出用コネクタ882側に接続しなおす。このようにすると、後で詳述するようにパチンコ遊技機100からの景品玉パルス信号がホール用管理コンピュータ70に送信されて後述するデータ処理に用いられる。」(段落【0069】)
ケ.「カード処理器5に設けられたカード挿入排出口202(図18には図示せず)にカードを挿入し、そのカードに記憶されたカード残額の範囲内で遊技に使用せんとする金額を選別操作ボタン206A?206C(図18には図示せず)を操作して指定する。・・・これにより玉払出装置134が作動し、所定数のパチンコ玉が打球供給樋136を通って、打球待機樋102に供給される。」(段落【0070】?【0071】)
コ.「遊技領域に打込まれたパチンコ玉が可変入賞球装置999(図18には図示せず)に入賞する等所定遊技状態になったとき、所定の有価価値の一例の得点が遊技者に付与される。所定の有価価値の他の例としては、景品玉を直接付与する等がある。」(段落【0072】)

(2)引用例記載の発明の認定
記載アの「所定の有価価値」は、記載ケにあるように「景品玉を直接付与」であってもよい。
記載ウにあるとおり、左右方向一側部にカード処理機をパチンコ遊技機に対し分離可能な状態で設けてもよく、その際、記載クのとおり、指定された金額に従い、所定数のパチンコ玉が打球待機樋に供給されるように構成してもよい。また、パチンコ遊技機が遊技場の遊技機設置島に設置されていることはいうまでもない。
記載クには「ホール用管理コンピュータ70に送信」とあり、この「ホール用管理コンピュータ70」が記載アの「遊技場用管理装置」に該当することは明らかである。
さらに、記載ウの「補給玉検出器(補給球カウンタ)172」及び記載エ,クの「補給玉検出信号導出用コネクタ884」が、パチンコ遊技機の構成でないことは、【図18】から明らかである。
したがって、引用例には次のような発明が記載されていると認めることができる。
「遊技場の遊技機設置島に設置された遊技機と、遊技機の左右方向一側部に遊技機に対し分離可能な状態で設けられたカード処理機と、補給玉検出器と、遊技場の情報管理を行なうための遊技場用管理装置とを備えた遊技場の管理設備装置であって、
遊技機に補給された補給球は、景品球又は貸球として供給されるように構成され、
前記補給玉検出器はパチンコ玉10個の通過につき1回検出信号を出力するように構成され、それを出力するための補給玉検出信号導出用コネクタを含み、
前記遊技機の遊技状態が遊技者に所定の有価価値を付与するように定められた所定遊技状態になったことを検出する所定遊技状態検出手段と、該所定遊技状態検出手段の検出出力に基づいて所定の有価価値を景品球として払い出す価値付与手段と、景品玉数を補給玉検出器から出力されるパルス1パルスに対応する玉数で分周した信号を出力するための手段として景品玉導出用コネクタを含み、
補給玉検出信号を遊技場用管理装置に伝送するために補給玉検出信号導出用コネクタに接続されている別のコネクタを景品玉導出用コネクタ側に接続しなおし、
前記遊技場用管理装置は、前記別のコネクタから伝送された情報に基づいて前記遊技場にとって不利益となる不利益情報を集計する集計手段を含む、遊技場の管理設備装置。」

(3)本件発明と引用発明の対比
引用発明の「カード処理機」は「遊技機の左右方向一側部に遊技機に対し分離可能な状態で設けられ」ているから、遊技機とカード処理機は「一対一で対応した状態で設置され」ている。
引用発明では、遊技機に補給された補給球が貸球(本件発明の「貸遊技媒体」に相当)として供給されることは、本件発明の「前記遊技機設置島から補給された遊技媒体を前記貸出し指令信号の入力に基づいて貸遊技媒体として払出す」と異ならず、そうである以上、引用発明において、カード処理機から遊技機に対して「当該カード処理機よりカード残高から減算する額に応じた貸出し指令信号が入力される」ことは明らかである。
さらに、引用発明の「価値付与手段」は「所定の有価価値を景品球として払い出す」手段であるから、「払出装置」を含み、この「払出装置」により「前記遊技機設置島から補給された遊技媒体を前記貸出し指令信号の入力に基づいて貸遊技媒体として払出す」ことも明らかである。結局、本件発明と引用発明の「所定遊技状態検出手段」及び「価値付与手段」には何の相違もない。
引用発明の「景品玉数を補給玉検出器から出力されるパルス1パルスに対応する玉数で分周した信号を出力する」から、本件発明の「該価値付与手段による付与価値が所定数の景品遊技媒体に相当する価値に達する毎にその旨の価値付与情報を前記遊技機から出力して前記遊技場用管理装置へ伝送する情報伝送手段」は引用発明に備わっており、「補給玉検出器から出力されるパルス1パルスに対応する玉数で分周」していることから、「該情報伝送手段が前記価値付与情報を出力するように定められている前記所定数の景品遊技媒体は、前記遊技機設置島に設置された遊技機に対し玉補給を行なう補給装置が所定数の玉補給を行なう毎にその旨の補給情報を出力するその所定数の玉補給数に一致しており」との構成も、本件発明と引用発明の一致点である。
引用発明は「補給玉検出信号を遊技場用管理装置に伝送するために補給玉検出信号導出用コネクタに接続されている別のコネクタを景品玉導出用コネクタ側に接続しなおし」ているから、「別のコネクタから伝送された情報」は「価値付与情報」であり、本件発明と引用発明の「遊技場用管理装置」にも何の相違もない。
したがって、本件発明と引用発明は、
「遊技場の遊技機設置島にカード処理機と一対一で対応した状態で設置され、当該カード処理機よりカード残高から減算する額に応じた貸出し指令信号が入力される遊技機と、遊技場の情報管理を行なうための遊技場用管理装置とを備えた遊技場の管理設備装置であって、
前記遊技機の遊技状態が景品遊技媒体を払出して遊技者に所定の有価価値を付与するように定められた所定遊技状態になったことを検出する所定遊技状態検出手段と、
前記遊技機設置島から補給された遊技媒体を前記貸出し指令信号の入力に基づいて貸遊技媒体として払出す払出装置を含み、前記遊技機設置島から補給された遊技媒体を前記所定遊技状態検出手段の検出出力に基づいて前記払出装置から前記景品遊技媒体として払出すことにより所定の有価価値を遊技者に付与する価値付与手段と、
該価値付与手段による付与価値が所定数の景品遊技媒体に相当する価値に達する毎にその旨の価値付与情報を前記遊技機から出力して前記遊技場用管理装置へ伝送する情報伝送手段と、を含み、
該情報伝送手段が前記価値付与情報を出力するように定められている前記所定数の景品遊技媒体は、前記遊技機設置島に設置された遊技機に対し玉補給を行なう補給装置が所定数の玉補給を行なう毎にその旨の補給情報を出力するその所定数の玉補給数に一致しており、
前記遊技場用管理装置は、前記情報伝送手段により伝送されてきた前記価値付与情報に基づいて前記遊技場にとって不利益となる不利益情報を集計する集計手段を含む、遊技場の管理設備装置。」点で一致し、両者に相違点は存在しない。
すなわち、本件発明は引用発明そのものであるから、請求項1の特許は特許法29条1項3号の規定に違反してされた特許である。

(5)無効理由1について
甲1には、以下のア?カの記載が図示とともにある。
ア.「パチンコ遊技は、遊技客が購入したパチンコ球を1個宛順次的にパチンコ遊技機の盤面内に打込み、盤面に沿って落下させるとき、その盤面に設けられた孔に或る確率で落ち込むことに成功する。この落込みに成功したセーフ球の作用で予め定める複数個のパチンコ球が遊技客にサービス球として払出される。また、盤面面内に打込まれた打込球はすべてパチンコ機から排出される。」(1頁右下欄12?19行)
イ.「或る先行技術では、パチンコ機から排出される打込球と、セーフ球に対して払出されるサービス球を補うための補給球とをそれぞれ電気的に処理して管理システムの一環としていた。すなわち、前記打込球を検出してプラス(+)のパルスとして、および前記補給球を検出してマイナス(-)のパルスとしてそれぞれ演算装置に与えられて演算されていた。通常、打込球はパチンコ機の下方で、補給球はパチンコ機の上方で検出される。このため、パチンコ機の上下2ヶ所でパチンコ球検出装置が設けられなければならず、構成上好ましいことではない。
前記打込球はセーフ球とアウト球とから成り、それぞれ別の通路を通って共通通路にはいる。また、前記セーフ球に応答して払い出されるサービス球の個数は予め設定されている。(15個が標準であり、10個その他の場合もある。)この発明では、これらの点に着目し、前記共通通路にはいった打込球を従来通り検出するとともに、共通通路にはいるときにセーフ球を検出してそのセーフ球の個数から払い出されたサービス球の個数を同定しようとするものである。」(2頁左上欄6行?右上欄7行)
ウ.「従来の管理システムにおいて、その演算装置は能率上の面からパチンコ球の10個を1単位として計数するのが通常である。すなわち、10個のパチンコ球に対して1個のパルスが発生するように、パチンコ球の検出装置が設定されていて、前記パルスによって計数される。このように、打込球の場合はその検出装置において10個の打込球を検出したときに1個のパルスを発生するようにされている。しかしながら、サービス球の個数の同定を目的として、セーフ球を検出する場合、セーフ球の個数を、直接、計数してもこれをそのまま従来の演算装置に導入することはできない。すなわち、1個のセーフ球に対して例えば15個のサービス球が払い出される場合は、前記演算装置にはセーフ球1個に対して15/10個に相当するパルスが与えられなければならない。換言すれば、セーフ球2個の検出に対して、3個のパルスを発生するようなセーフ球のためのパルス発生装置を必要とする。
なお、セーフ球1個に対して払い出されるサービス球の個数は15個に限らない。従って、m個のパチンコ球に応答してn個のパルスを発生するパルス発生装置の必要性が生じる。(m,nは任意の自然数)」(2頁右上欄8行?左下欄11行)
エ.「以上のように計数機構を有するパチンコ機Pにおいて、アウト球はアウト球落下樋57を介して球受皿52にはいる。注目すべき特徴は、セーフ球はセーフ球落下樋58から、直接、球受皿52にはいらず、この発明によるパルス発生装置1を介して、球受皿52にはいることである。これにより、セーフ球はアウト球とともに打込球として前記積算計数器56で検出されるとともに、セーフ球単独でパルス発生装置1で検出される。なお、このパルス発生装置1からは前述のように2個のセーフ球の検出に応答して、3個のパルスsが発生して、後述する管理システムに導入される。」(5頁右上欄4?15行)
オ.「上述のようなパルス発生装置1等を備えるパチンコ機Pのパチンコ球の流れを集中的に管理するためにパチンコ機管理システムが用いられる。第6図はそのような管理システムの概略図である。パチンコ遊技場には、通常、複数個のパチンコ機Pが並んで設置される。複数個のパチンコ機Pに対して共通する1個のパチンコ球メインホッパMHが設けられ、そこに収納されるパチンコ球はホッパMHから分配通路PTを介して各機Pの個別的なホッパIHに補給球として補給が行なわれる。遊技客は各機Pでパチンコ遊技を行なう。この遊技は遊技客が購入するパチンコ球を1個宛順次的にパチンコ機Pの盤上に打込み、盤上に沿い落下させるとき、台の盤上に設けられる孔に或る確率で落ち込むことに成功する。このセーフ球の作用で予め定める複数個(この実施例では15個)のパチンコ球が前記ホッパIHから遊技者に賞品球として払出される。遊技客の打ち込んだパチンコ球は孔への落下の成功または失敗に拘らず、最終的にパチンコ機Pの下方に達し、打込球として排出される。打込球は集められ、バケットコンベアBCにもたらされ、こゝで上昇されて再びメインホッパMHに戻される。前記各機Pから排出される打込球の経路上に、第5図に示す前記積算計数器56が設けられ、パチンコ機Pから排出される打込球10個に応答して1個のパルスtを出す。」(5頁右下欄19行?6頁右上欄4行)
カ.「各パチンコ機Pにおける前記パルス発生装置1で得られるセーフ球に応答するパルスsと前記積算計数器56で得られる打込球tとは、集中管理装置CPUにおいて各パチンコ機Pごとに個別的に計数され、さらにこれらセーフ球に応答するパルスs数と打込球t数との差を求める。注目すべきは、各パチンコ機PにおけるホッパIHの補給球を検出しないで、各パチンコ機Pにおける補給球に相関するセーフ球(セーフ球1個に対して補給球15個)を検出してそのセーフ球に応答するパルス数sを利用している点である。すなわち、セーフ球に応答するパルスs数はセーフ球2個に対して3個であり、打込球パルスt数は打込球10個に対して1個であり、それによって前記セーフ球に応答するパルスs数と打込球パルスt数によって補給球数と打込球数との差が求められる。前記求められた補給球数と打込球数との差のようなデータは各パチンコ機Pで達成される利益状態と相関し、遊技場経営資料および各々のパチンコ機の個別的な確率特性資料として有利に利用できる。」(6頁右上欄5行?左下欄5行)

(2)甲1記載の発明の認定
甲1の記載エには「パルス発生装置1からは前述のように2個のセーフ球の検出に応答して、3個のパルスsが発生して、後述する管理システムに導入」とあり、「パルス発生装置1」が「管理システム」の一部でないかの記述があるが、管理システムの概略図である第6図には、パチンコ機PやメインホッパMHも図示されており、「管理システム」はこれらを含むと解すべきであるから、上記記載は「・・・集中管理装置に導入」の趣旨に解すべきである。
甲1の全記載及び図示によれば、甲1には次の発明が記載されていると認められる。
「パチンコ遊技場に並んで設置された複数個のパチンコ機、複数個のパチンコ機に対して共通するパチンコ球メインホッパ及び集中管理装置を備えたパチンコ機管理システムであって、
前記メインホッパから分配通路を介して、各パチンコ機の個別的なホッパに補給球として補給が行なわれ、
前記パチンコ機は、盤上に設けられる孔に落ち込んだセーフ球の作用で予め定める複数個のパチンコ球がホッパから遊技者に賞品球として払出されるように構成されるとともに、パルス発生装置及び積算計数器を有し、該パルス発生装置は、セーフ球を検出して、m個のセーフ球に応答してn個のパルスを発生するパルス発生装置により、セーフ球に応答するパルス数sを発生し、前記積算計数器は、セーフ球をアウト球とともに打込球として、10個の球の計数毎に1個のパルスtを発生し、パルス数s及びパルスtを集中管理装置に導入し、
パルス数sと打込球数tとの差を各パチンコ機ごとに個別的に記憶部に記憶し、個別的な演算出力を再度加算してパチンコ店全体の補給球数と打込球数との差を集計し、パチンコ球1個あたりの単価に基いて店全体の収益合計等も集計する演算装置を含む集中管理装置を備えたパチンコ機管理システム。」(以下「甲1発明」という。)

(3)本件発明と甲1発明の一致点及び相違点の認定
甲1発明においては、パチンコ遊技場(本件発明の「遊技場」に相当)に複数個のパチンコ機(本件発明の「遊技機」に相当)が並んで設置されるのであるが、並んで設置されたものは通常「遊技機設置島」と称される。甲1発明の「集中管理装置」は本件発明の「遊技場用管理装置」に相当し、「パチンコ機管理システム」を「遊技場の管理設備装置」と称することには何の問題もない。
甲1発明の「賞品球」は本件発明の「景品遊技媒体」に相当し、賞品球として払出すことは「遊技者に所定の有価価値を付与する」といえる。そして、甲1発明では「セーフ球の作用で予め定める複数個のパチンコ球がホッパから遊技者に賞品球として払出される」のだから、セーフ球の検出手段(本件発明の「所定遊技状態になったことを検出する所定遊技状態検出手段」)は甲1発明にも備わっている。また、甲1発明の遊技機が「払出装置」及び「前記遊技機設置島から補給された遊技媒体を前記所定遊技状態検出手段の検出出力に基づいて前記払出装置から前記景品遊技媒体として払出すことにより所定の有価価値を遊技者に付与する価値付与手段」を含むことも明らかである。
甲1発明では「m個のセーフ球に応答してn個のパルスを発生するパルス発生装置により、セーフ球に応答するパルス数sを発生」し、これを「集中管理装置」に導入するのであるが、パルスtが10個の球の計数毎に1個であること、集中管理装置にてパルス数sと打込球数tとの差を求めることからみて、パルス数sが賞品球10個につき1パルスとなっていることは明らかであり、「所定数の景品遊技媒体に相当する価値に達する毎」とまではいえないものの、「該価値付与手段による付与価値が所定数の景品遊技媒体に相当する価値を単位とした価値付与情報を前記遊技機から出力して前記遊技場用管理装置へ伝送する情報伝送手段」は甲1発明にも備わっており、それは本件発明との一致点である。
そして、甲1発明の「集中管理装置」が「前記情報伝送手段により伝送されてきた前記価値付与情報に基づいて前記遊技場にとって不利益となる不利益情報を集計する集計手段を含む」ことは明らかである。
したがって、本件発明と甲1発明の一致点及び相違点は次のとおりである。
〈一致点〉
「遊技場の遊技機設置島に設置される遊技機と、遊技場の情報管理を行なうための遊技場用管理装置とを備えた遊技場の管理設備装置であって、
前記遊技機の遊技状態が景品遊技媒体を払出して遊技者に所定の有価価値を付与するように定められた所定遊技状態になったことを検出する所定遊技状態検出手段と、
払出装置を含み、前記遊技機設置島から補給された遊技媒体を前記所定遊技状態検出手段の検出出力に基づいて前記払出装置から前記景品遊技媒体として払出すことにより所定の有価価値を遊技者に付与する価値付与手段と、
該価値付与手段による付与価値が所定数の景品遊技媒体に相当する価値を単位として価値付与情報を前記遊技機から出力して前記遊技場用管理装置へ伝送する情報伝送手段と、を含み、
前記遊技場用管理装置は、前記情報伝送手段により伝送されてきた前記価値付与情報に基づいて前記遊技場にとって不利益となる不利益情報を集計する集計手段を含む、遊技場の管理設備装置。」
〈相違点1〉
本件発明の遊技機が「カード処理機と一対一で対応した状態で設置され」、「払出装置」が「前記遊技機設置島から補給された遊技媒体を前記貸出し指令信号の入力に基づいて貸遊技媒体として払出す」のに対し、甲1発明の遊技機は「カード処理機と一対一で対応した状態で設置され」ておらず、当然「払出装置」は「前記遊技機設置島から補給された遊技媒体を前記貸出し指令信号の入力に基づいて貸遊技媒体として払出」さない点。
〈相違点2〉
「該価値付与手段による付与価値が所定数の景品遊技媒体に相当する価値を単位として価値付与情報を前記遊技機から出力」するに当たり、本件発明が「該情報伝送手段が前記価値付与情報を出力するように定められている前記所定数の景品遊技媒体は、前記遊技機設置島に設置された遊技機に対し玉補給を行なう補給装置が所定数の玉補給を行なう毎にその旨の補給情報を出力するその所定数の玉補給数に一致」するのに対し、甲1発明の補給装置(「メインホッパ」及び「分配通路」がこれに相当)は「所定数の玉補給を行なう毎にその旨の補給情報を出力する」ものではない点。
〈相違点3〉
同じく「該価値付与手段による付与価値が所定数の景品遊技媒体に相当する価値を単位として価値付与情報を前記遊技機から出力」するに当たり、本件発明が「該価値付与手段による付与価値が所定数の景品遊技媒体に相当する価値に達する毎にその旨の価値付与情報を前記遊技機から出力」するのに対し、甲1発明は、m個のセーフ球に応答してn個のパルスを発生し出力する点。

(4)相違点の判断及び本件発明の進歩性の判断
〈相違点1について〉
甲13には、「本発明では、球貸出排出と賞球排出とを1つの球排出装置5で処理する。」(4頁右下欄18?19行)及び「一方の遊技者がカード挿排口3aにカード22を挿入すると、金額表示器8に当該カード22の残高が表示され、この金額の範囲内で金額選択操作部9を操作すると、パチンコ機1a、lbの上方に設置してある球排出装置5及び流路切換装置33が作動して、選択した金額に対応する数の球が一方のパチンコ機1aの受皿32に直接排出される。」(5頁左下欄11?18行)との各記載がある。
甲14には、「パチンコ機Pの盤面10背後には第2図に示すように、上方にパチンコ球の配流口30を受けて持ち球皿13に至る送球管32の中間にはパルス発信器33aと、信号によって発停する発停器34を備え、制御器50からの指令によりて所定個数のパチンコ球を送球する送球ポンプ35が設けられている。」(3頁左上欄8?14行)、「持ち球皿13の下部に設けられている操作盤20の盤上には登録持ち球を表示する表示部22と、遊技者が各種操作を指示する複数個の操作ボタン23と、カードCを挿入するカード挿入口21とが備えられており、内部にはカード挿入口21から挿入されたカードCから各種情報を読取り、制御器50からの情報を書き込む読取書き込み部24と操作ボタンに対応するスイッチ部とが設けられている。各パルス発信器33a,33bや各センサ15および操作盤20からの情報を受け表示部22への表示や各種の操作指令を発する制御器50は前記操作盤20の後方に備えられており、入出力部52、記憶部53および情報を処理し指令を発する制御部51とから成っている。」(3頁右上欄8行?左下欄2行)、「持ち球皿13内に実球が乏しくなつたらスイッチ部25の操作ボタン23,23a…のうち適切な一つを押して実球の供給を受ける。・・・このとき供給されるパチンコ球は供給タンク31から出て供給ポンプ35を通過する際に計数され」(3頁右下欄1?8行)及び「前記供給ポンプ35によるパチンコ球の供給は上記のような遊技者の請求に基づく場合以外にセーフ玉による賞球の払出し用として使用することが可能である。」(3頁右下欄12?15行)との各記載がある。
甲13,14以外にも、平成1年11月10日に頒布された特開平1-280489号公報(以下「周知例」という。)に、「カード情報が付されたカードが投入されると、カード取扱部はこのカードのカード情報を基に遊戯情報を得る。この遊戯情報は制御部によりパチンコ機本体に送られ、これにより、パチンコ機本体はパチンコ玉の貸出を始めとする各動作を実行するとともに遊戯状態に応じた遊戯状態情報を送出する。」(2頁左下欄9?15行)との記載がある。
これら甲13,14及び周知例の上記記載によれば、遊技機をカード処理機と一対一で対応させて設置し、球貸出と賞球の払い出しを同一の排出装置で行うことは周知技術というべきである。甲13記載のものは、その排出装置が遊技機外にあり、そのため「遊技媒体を前記貸出し指令信号の入力に基づいて貸遊技媒体として払出す」遊技機には該当しないが、甲14や周知例では、遊技機の排出装置が球貸出にも用いられており、これらの遊技機は「遊技媒体を前記貸出し指令信号の入力に基づいて貸遊技媒体として払出す」ものと認める。
また、訂正明細書には、【発明が解決しようとする課題】として、「パチンコ遊技機の中には、たとえばカード等の記録媒体が有する有価価値を使用して遊技が可能となる、いわゆるカード式のパチンコ遊技機がある。」(段落【0006】)、「カード式パチンコ遊技機において、前記記録媒体の有価価値を使用して遊技開始時等に必要となる打玉をパチンコ遊技機の景品玉払出し径路を通して、景品玉等が払出される玉受皿等に払出すように制御することが考えられる。」(段落【0007】)及び「ところが、このように構成した場合、前記払出された打玉、すなわち遊技者が購入した購入玉も景品玉として検出されて、不利益情報として出力されることになり、遊技場にとって利益玉でもなく不利益玉でもない前記購入玉が不利益情報として検出される欠点が生じる。」(段落【0008】)との各記載があり、これら記載によれば、本件発明は、相違点1に係る本件発明の構成が、遊技機及びカード処理機としての従来技術であり、その従来技術を採用した上での課題があることを見いだし、同課題を解決すべく本件発明がされたと解され、そうである以上、相違点1に係る本件発明の構成が周知技術であることは、被請求人も認識していると解さざるを得ない。
そして、相違点1に係る本件発明の構成は、単に上記周知技術を採用した程度のことであり、当業者にとって想到容易というよりない。

〈相違点2について〉
甲1の記載イには、先行技術として補給球をパチンコ機の上方で検出することが記載されているが、その検出がパチンコ機内部で行われるのか、補給装置(メインホッパから分配された分配通路以降の部分)で行われるのか、甲1からは明らかでない。
そこで、その他の証拠を検討するに、甲5には「4は球供給管で、これの途中には球供給機5と追加球の一定数の通過毎にパルスを発生する計数機6とが設けられている。」(3頁10?12行)との記載があり、同記載と添付図面によれば、計数機6は遊技機ではなく、補給装置に設けられているものと認める。そうすると、「遊技機設置島に設置された遊技機に対し玉補給を行なう補給装置が所定数の玉補給を行なう毎にその旨の補給情報を出力する」ことは、甲1発明がされた当時においても公知であり、甲1記載イの上記記載につき、補給球の検出及び計数を補給装置で行うと理解することが自然である。
訂正明細書にも【従来の技術】として、「パチンコ遊技機の場合には、パチンコ遊技機の設置島に配置された補給樋からパチンコ遊技機に設けられた景品玉貯留用の玉タンクに供給されるパチンコ玉の個数を検出することにより、遊技者に払出された景品玉の個数を検出し、その検出データを不利益球数等の不利益情報として出力していた。」(段落【0005】)と記載されていることを考慮すると、「遊技機設置島に設置された遊技機に対し玉補給を行なう補給装置が所定数の玉補給を行なう毎にその旨の補給情報を出力する」ことは本件出願当時の周知技術と認めることができる。
甲1発明にあっては、「各パチンコ機PにおけるホッパIHの補給球を検出しない」(記載カ)とあるとおり、「遊技機設置島に設置された遊技機に対し玉補給を行なう補給装置が所定数の玉補給を行なう毎にその旨の補給情報を出力する」必要はないのであるが、それは遊技機が「セーフ球に応答するパルス数sを発生」し出力する手段を有するからである。
他方、すべての遊技機が「セーフ球に応答するパルス数sを発生」し出力する手段を有するとは限らず、遊技機を入れ替えても、補給装置を入れ替えるとは限らない。
そうすると、「遊技機設置島に設置された遊技機に対し玉補給を行なう補給装置が所定数の玉補給を行なう毎にその旨の補給情報を出力」せず、かつ、「セーフ球に応答するパルス数sを発生」し出力する手段(又はこれと同等の遊技機の手段)を有さない遊技機を設置した場合には、補給情報もセーフ球に応答するパルス数sも出力されないことになり、パチンコ機の管理をできなくなる。
ところで、新技術が開発された場合、その新技術を用いる限度では不要であるが、新技術を用いない場合との互換性を保つことは普通に行われている。例をあげれば、TV受信器においてカラー受信器でモノクロ放送を受信することや、ビデオ技術においてS-VHS録画ができるレコーダで、従来のVHS記録の録画再生を実行できることなどである。
そうであれば、甲1発明では不必要であるものの、「セーフ球に応答するパルス数sを発生」し出力する手段を有さない遊技機を設置した場合にもパチンコ機の管理をできるように、「補給装置」に「所定数の玉補給を行なう毎にその旨の補給情報を出力」機能を持たせることは当業者にとって想到容易であり、その際、価値付与情報の所定数と補給情報の所定数を一致させることは、当然なすべき事項にすぎない。
以上のとおりであるから、相違点2に係る本件発明の構成を採用することは当業者にとって想到容易である。

〈相違点3について〉
甲1発明は、セーフ球1個に対して払い出されるサービス球の個数が1種類(実施例では15個)であることを前提としている。
なるほど、甲1発明がされた当時の遊技機は、セーフ球1個に対して払い出されるサービス球の個数が1種類のものが普通であるかもしれないが、本件出願当時には、1個のセーフ球に対するサービス球の個数が異なる遊技機も周知である(例えば、1989年に被請求人が販売した「フィーバーレクサスVII」及び「フィーバーアバンテVII」では、7個のサービス球と13個のサービス球がある。)。
そして、1個のセーフ球に対するサービス球の個数が異なるのであれば、「m個のパチンコ球に応答してn個のパルスを発生」しても、それは「サービス球の個数の同定」(甲1の記載ウ)には結びつかない。
他方、甲6に「遊技者に与えられる利益に相当する数を累積的に加算するために必要となる加算数(たとえば入賞玉1個につき遊技者に払出される景品玉数)を加算数設定器188により設定できるよう構成」(5頁左下欄7?11行)と記載があるほか、被請求人出願に係る公開公報であり本件出願前に頒布された特開平1-198583号公報に、「入賞球検出スイッチ284の出力があれば1個の入賞球に付払出される球数を加えてそれまでの賞品球数に累積的に加算(すなわち結果的には入賞球数に1個の入賞球につき払出される球数を乗算して賞品球数を算出)」(12頁左上欄末行?右上欄4行)と記載されているように、賞品球数(景品遊技媒体に相当する価値)を入賞があるごとに累積することは周知技術であり、この周知技術を採用すれば、1個のセーフ球に対するサービス球の個数が異なる場合であっても、「サービス球の個数の同定」をすることができる。
そうであれば、1個のセーフ球に対するサービス球の個数が異なる場合であっても、「サービス球の個数の同定」をすることができるように、上記周知技術を採用し、累積された賞品球数に基づき、価値付与情報を遊技機から出力することは当業者にとって想到容易であり、その際、賞品球10個につき1パルスとするために、累積された賞品球数が10に達する毎に1パルス出力すること、すなわち、相違点3に係る本件発明の構成を採用することは当業者にとって想到容易である。

〈本件発明の進歩性の判断〉
相違点1?3に係る本件発明の構成を採用することは当業者にとって想到容易であり、これら構成を採用したことによる格別の作用効果を認めることもできない。
したがって、本件発明は甲1発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1の特許は特許法29条2項の規定に反してされた特許である。

第5 むすび
以上のとおり、請求項1の特許は特許法29条1項3号及び2項の規定に反してされた特許であるから、同法123条1項2号の規定に該当し、無効とされるべきである。
審判に関する費用については,特許法169条2項の規定において準用する民事訴訟法61条の規定により,被請求人が負担すべきものとする。
よって,結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
遊技場の管理設備装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】遊技場の遊技機設置島にカード処理機と一対一で対応した状態で設置され、当該カード処理機よりカード残高から減算する額に応じた貸出し指令情報が入力される遊技機と、遊技場の情報管理を行なうための遊技場用管理装置とを備えた遊技場の管理設備装置であって、
前記遊技機の遊技状態が景品遊技媒体を払出して遊技者に所定の有価価値を付与するように定められた所定遊技状態になったことを検出する所定遊技状態検出手段と、
前記遊技機設置島から補給された遊技媒体を前記貸出し指令情報の入力に基づいて貸遊技媒体として払出す払出装置を含み、前記遊技機設置島から補給された遊技媒体を前記所定遊技状態検出手段の検出出力に基づいて前記払出装置から前記景品遊技媒体として払出すことにより所定の有価価値を遊技者に付与する価値付与手段と、
該価値付与手段による付与価値が所定数の景品遊技媒体に相当する価値に達する毎にその旨の価値付与情報を前記遊技機から出力して前記遊技場用管理装置へ伝送する情報伝送手段と、を含み、
該情報伝送手段が前記価値付与情報を出力するように定められている前記所定数の景品遊技媒体は、前記遊技機設置島に設置された遊技機に対し玉補給を行なう補給装置が所定数の玉補給を行なう毎にその旨の補給情報を出力するその所定数の玉補給数に一致しており、
前記遊技場用管理装置は、前記情報伝送手段により伝送されてきた前記価値付与情報に基づいて前記遊技場にとって不利益となる不利益情報を集計する集計手段を含むことを特徴とする、遊技場の管理設備装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、たとえばパチンコ遊技場等で代表される遊技場の管理設備装置に関するものであり、詳しくは、遊技場に設置された遊技機と、遊技場の情報管理を行なうための遊技場用管理装置とを備えた遊技場の管理設備装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
遊技場にとって利益となる利益玉等の利益情報が多くなりすぎ、かつ、不利益玉等の不利益情報が少なくなりすぎた場合には、遊技場の利益は向上するか、遊技者へのサービスが低下する不都合が生じる。
【0003】
一方、逆に利益情報が少なすぎて、不利益情報が多すぎた場合には、遊技者へのサービスは向上するが遊技場の利益が低下して赤字経営となる不都合が生じる。
【0004】
ゆえに、遊技場において前記利益情報と前記不利益情報とを正確に算出して、前記両不都合が極力生じないように、その算出データを遊技場経営に利用したいという要望があった。
【0005】
この要望に応えるものとして、たとえばパチンコ遊技機の場合には、パチンコ遊技機の設置島に配置された補給樋からパチンコ遊技機に設けられた景品玉貯留用の玉タンクに供給されるパチンコ玉の個数を検出することにより、遊技者に払出された景品玉の個数を検出し、その検出データを不利益球数等の不利益情報として出力していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
一方、たとえばパチンコ遊技機の中には、たとえばカード等の記録媒体が有する有価価値を使用して遊技が可能となる、いわゆるカード式のパチンコ遊技機がある。
【0007】
そのカード式パチンコ遊技機において、前記記録媒体の有価価値を使用して遊技開始時等に必要となる打玉をパチンコ遊技機の景品玉払出し径路を通して、景品玉等が払出される玉受皿等に払出すように制御することが考えられる。
【0008】
ところが、このように構成した場合、前記払出された打玉、すなわち遊技者が購入した購入玉も景品玉として検出されて、不利益情報として出力されることになり、遊技場にとって利益玉でもなく不利益玉でもない前記購入玉が不利益情報として検出される欠点が生じる。
【0009】
すなわち、従来の遊技機においては、遊技者所有の所定の価値物体を使用して打玉やコイン等の遊技媒体が確保されるのであるが、この確保された遊技媒体をも前記不利益情報として検出して出力していたために、利益情報でもなく不利益情報でもない前記確保された遊技媒体が、不利益情報として出力されることになり、遊技場が正確な不利益情報を入手できないという欠点を有していた。また、遊技中に入賞等が発生した場合にはその入賞に伴う付与価値を得点等の形で累積記憶し、遊技終了時にその累積記憶された累積付与価値をカード等の記録媒体に記録させて遊技者に排出するいわゆる完全カード式の遊技機の場合には、そもそも景品玉等の景品遊技媒体が払出されないために、遊技機設置島に配置された補給樋(補給装置)から遊技機の玉タンク等に遊技媒体が補給されることがなく、前述した従来の補給装置からの玉補給検出信号に基づいた不利益情報の収集は不可能となる。
【0010】
この発明はこのような従来の問題点を解決するためになされたものである。この発明の目的は、遊技場にとって不利益となる不利益情報を正確に知ることができる遊技場の管理設備装置を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の本発明は、遊技場の遊技機設置島にカード処理機と一対一で対応した状態で設置され、当該カード処理機よりカード残高から減算する額に応じた貸出し指令情報が入力される遊技機と、遊技場の情報管理を行なうための遊技場用管理装置とを備えた遊技場の管理設備装置であって、
前記遊技機の遊技状態が景品遊技媒体を払出して遊技者に所定の有価価値を付与するように定められた所定遊技状態になったことを検出する所定遊技状態検出手段と、
前記遊技機設置島から補給された遊技媒体を前記貸出し指令情報の入力に基づいて貸遊技媒体として払出す払出装置を含み、前記遊技機設置島から補給された遊技媒体を前記所定遊技状態検出手段の検出出力に基づいて前記払出装置から前記景品遊技媒体として払出すことにより所定の有価価値を遊技者に付与する価値付与手段と、
該価値付与手段による付与価値が所定数の景品遊技媒体に相当する価値に達する毎にその旨の価値付与情報を前記遊技機から出力して前記遊技場用管理装置へ伝送する情報伝送手段と、を含み、
該情報伝送手段が前記価値付与情報を出力するように定められている前記所定数の景品遊技媒体は、前記遊技機設置島に設置された遊技機に対し玉補給を行なう補給装置が所定数の玉補給を行なう毎にその旨の補給情報を出力するその所定数の玉補給数に一致しており、
前記遊技場用管理装置は、前記情報伝送手段により伝送されてきた前記価値付与情報に基づいて前記遊技場にとって不利益となる不利益情報を集計する集計手段を含むことを特徴とする。
【0012】
【作用】
請求項1に記載の本発明によれば、遊技機設置島から補給された遊技媒体が貸出し指令情報の入力に基づいて貸遊技媒体として払出装置から払出される。遊技状態が景品遊技媒体を払出して遊技者に所定の有価価値を付与するように定められた所定遊技状態になれば、価値付与手段の働きにより、遊技機設置島から補給された遊技媒体を払出装置から景品遊技媒体として払出すことにより、所定の有価価値が遊技者に付与される。その価値付与手段による付与価値が所定数の景品遊技媒体に相当する価値に達する毎にその旨の価値付与情報が遊技機から出力されて遊技場用管理装置へ伝送され、その伝送されてきた価値付与情報に基づいて遊技場用管理装置が不利益情報を集計する。
【0013】
つまり、遊技媒体を景品遊技媒体として払出すことにより遊技者に付与された有価価値が所定数の景品遊技媒体に相当する価値に達する毎にその旨の価値付与情報が遊技場用管理装置へ伝送されるために、遊技場用管理装置は正確な不利益情報を集計可能となる。しかも、情報伝送手段が前記価値付与情報を伝送するように定められている前記所定数の景品遊技媒体は、遊技機設置島に設置された遊技機に対し玉補給を行なう補給装置が所定数の玉補給を行なう毎にその旨の補給情報を出力するその所定数の玉補給数に一致している。
【0014】
【実施例】
次に、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
第1の実施例
図1は、本発明に係る弾球遊技機が用いられている遊技用集中管理設備装置の全体概略ブロック図である。図中、73は記録媒体の一例の磁気カードを販売するカード販売会社であり、CPU,RAM,ROM等を含む総合集中管理コンピュータ74を設置してある。一方、所定の地区(たとえばA地区,B地区,C地区)毎に地区内集中管理センター71が設置されており、この地区内集中管理センター71には、CPU,RAM,ROM等を含む集中ホール管理用コンピュータ72が設置されている。前記集中ホール管理用コンピュータ72は、主として、その属する地区(たとえばA地区)内の遊技場1を統括的に管理する機能を有する。一方前記遊技場1には、CPU,RAM,ROM等を含みその遊技場内の情報を管理するためのホール用管理コンピュータ70が設置されているとともに、記録媒体処理装置の一例のカード処理機5やカード販売機(券売機)7さらにはカード販売会社73が管理するターミナルボックス99等が設置されている。図中75はカードを販売するための小売店であり、カード販売機7が設置されている。前記総合集中管理用コンピュータ74,集中ホール管理用コンピュータ72ならびにターミナルボックス99は、図示実線の矢印で示すように、それぞれ通信回線で接続されており情報の送信が可能な状態となっている。このような構成において、まずカード販売会社73が各小売店75ならびに各遊技場1にカードを販売する(図示二点鎖線で示した矢印参照)。その引換として各小売店75や遊技場1からは代金がカード販売会社73に支払われる(図示破線で示した矢印参照)。そして、遊技者等の利用者が、小売店75のカード販売機7や、遊技場内に設置されているカード販売機7を利用して代金を支払ってカードを購入し、そのカードをカード処理機5に挿入する。そしてその挿入されたカードが適正なカードである場合にはカードによって特定される有価価値を使用してパチンコ遊技機100等の弾球遊技機で遊技が可能となる。そして、前記カード処理機5の操作によって特定された使用せんとする有価価値の大きさだけカードの使用可能金額(カード残高)が減算されて更新されたのであり、そのカード使用量に伴う代金が前記カード販売会社73から各遊技場1に支払われる。このカード使用代金と前記カード販売代金とを相殺した後の代金を遊技場とカード販売会社との間で決済してもよい。
【0015】
図2は、遊技場1の全体概略平面図である。遊技場に設置された各遊技機設置島2には、パチンコ遊技機100やアレンジボール式パチンコ遊技機11等の弾球遊技機,スロットマシン等のコイン遊技機などの遊技機が複数台設置されている。さらに、カード処理機5やコイン遊技機のためのカード処理機6も配設されている。また、所定の遊技機設置島2の一方端には、カード販売機7が設置されている。それらカード販売機7,カード処理機5,6ならびに遊技機が、ホール用管理コンピュータ70やターミナルボックス99に配線により接続されており、互いに情報の送信ができるように構成されている。一方、前述したように、このターミナルボックス99は前記集中ホール管理用コンピュータ72や総合集中管理コンピュータ74に通信回線を介して接続されている。なお、この遊技場1内に、カードの使用金額を精算できるカード精算機を設置してもよい。また、図中、8は、持玉数記憶中継器であり、各島に設置された各パチンコ遊技機100の持玉数を記憶してホール用管理コンピュータ70に送信するためのものである。また、9は景品玉計数器やコイン計数器を示し、弾球遊技機3で獲得した景品玉の数やコイン遊技機で獲得したコインの数を計数するためのものである。そして、その計数値は前記ホール用管理コンピュータ70に送信され、営業情報として利用される。
【0016】
図3は、ホール用管理コンピュータ70の構成を示す構成図である。ホール用管理コンピュータ70には、電源スイッチ12や各種ファンクションキー,テンキー11,表示器13等が設けられている。電源スイッチ12をONに切替操作することにより、ホール用管理コンピュータ70の電源が投入される。ファンクションキーは、台番号を指定する台番号キー14,遊技場にとって利益となる利益球数を表示器13に表示するための利益球数キー15,遊技場にとって不利益となる不利益球数を表示するための不利益球数キー16,差数を表示するための差数キー17,売上情報を表示するための売上キー18,島を指定するための島指定キー19,全台を指定するための全台キー20,出玉率を表示するための出玉率キー21,持玉数を表示するための持玉数キー22等を含む。
【0017】
このホール用管理コンピュータ70の操作は次のようにして行なわれる。まず台番号キー14を押圧して所望の台番号をテンキー11により操作することにより所望の台番号を入力することができる。そして、入力した台番号の弾球遊技機の利益球数を表示器13により表示させたい場合には利益球数キー15を押圧操作する。入力した台番号に相当する弾球遊技機の不利益球数を表示器13により表示させたい場合には不利益球数キー16を押圧操作する。入力した台番号に相当する弾球遊技機の差数を表示させたい場合には差数キー17を押圧操作する。入力した台番号の売上情報を表示させたい場合には売上キー18を押圧操作する。入力した台番号に相当する弾球遊技機の出玉率を表示させたい場合には出玉率キー21を押圧操作する。入力した台番号に相当する弾球遊技機の持玉数を表示させたい場合には持玉数キー22を押圧操作する。また、島指定キー19を押圧操作して所望の島番号をテンキー11により入力することができる。所望の島番号を入力した後利益球数キー15を押圧操作すれば、その指定した島番号に相当する島に設置されている弾球遊技機すべての利益球数の合計が表示器13により表示される。このように、不利益球数キー16を押圧操作すれば指定された島全体の不利益球数の合計が表示され、差数キー17を押圧操作すれば指定された島の差数の合計が表示され、売上キー18を押圧操作すれば指定された島の売上の合計が表示され、出玉率キー21を押圧操作すれば指定された島の出玉率の合計が表示され、持玉数キー22を押圧操作すれば指定された島の持玉数の合計が表示される。次に、遊技場に設置されているすべての弾球遊技機の合計に関する情報を表示させたい場合には、まず全台キー20を押圧操作した後に、前述と同様に利益球数キー15や不利益球数キー16等を押圧操作して遊技場全体の利益球数合計や不利益球数合計を表示器13により表示させることができる。なお、表示器13に表示されている一番左側の数字は弾球遊技機の台番号を示し、その右側の数字は利益球数を示し、その右側の数字は不利益球数を示し、その右側の数字は差数を示し、その右側の数字は売上データを示している。
【0018】
次に、ホール用管理コンピュータ70の制御回路の概略を説明する。ホール用管理コンピュータ70は、台別利益球数記憶部303と台別不利益球数記憶部304とを有する。台別利益球数記憶部303には後述する打込玉検出器(打込球カウンタ)164の検出信号が入力される。台別不利益球数記憶部304には、後述する補給玉検出器(補給球カウンタ)172の検出信号が入力される。なお、打込玉検出器(打込球カウンタ)164および補給玉検出器(補給球カウンタ)172はたとえばパチンコ玉10個の通過につき1回検出信号を出力するように構成されている。
【0019】
さらに、台別不利益球数記憶部304には、カード処理機5からの台別売上情報が台別売上記憶部342を介して入力されるとともに、弾球遊技機に設けられている持玉数カウンタ312からの台別持玉数情報が台別持玉数記憶部343を介して入力される。台別利益球数記憶部303からの台別不利益球数情報と台別不利益球数記憶部304からの台別不利益球数情報とが差数演算部300に入力され、差数が演算され、その差数情報が台別差数記憶部306に入力されて記憶される。一方、台別利益球数記憶部303からの台別利益球数情報と台別不利益球数記憶部304からの台別不利益球数情報と台別売上記憶部342からの台別売上情報とが出玉率演算部310に入力されて出玉率が演算される。この出玉率の演算は、出玉率が100%を越える場合には、

の式により計算され、出玉率が100%未満の場合には、

の式で計算される。一方、前記差数演算部300によって計算された差数情報は打止め指令部309にも入力され、その差数が4000等の所定値に達した場合には当該弾球遊技機の打止め制御を行なう。なお、自動的に打止め制御を行なうのに代えて、打止めを行なうべき台番号を表示器13により表示し遊技場の係員がそれを見て表示されている台番号の弾球遊技機を打止めするようにしてもよい。また、各弾球遊技機に、入賞球に基づいて払出される景品球のみを検出してその検出パルス信号をたとえば10パルス毎に分周して1単位の信号としてホール用管理コンピュータ70に送るパルス分周器を設け、そのパルス分周器からの信号に基づいてホール管理コンピュータ70により不利益球情報を求めてもよい。ホール用管理コンピュータ70には、セキュリティチェック機能部307が設けられているとともに停電時や故障時対策用のバックアップ電源311が設けられている。
【0020】
図4は、弾球遊技機の一例のパチンコ遊技機100を示す正面図である。
【0021】
パチンコ遊技機100の左右方向一側部(図面上では左側)にはカード処理機5がパチンコ遊技機1に対し分離可能な状態で設けられている。図中210は作動表示ランプであり、カード処理機5が作動中である旨を点灯表示するためのものである。カード処理機5にはカードリーダライタ203が設けられており、カード挿入・排出口202から挿入されたカードに記録されている記録情報がこのカードリーダライタ203により読取られる。その読取られたカード情報に含まれているカード残額がカード残高表示器204により表示される。このカード残高表示器204は、パチンコ遊技機100側に設けてもよく、また、幕板等の他の場所に設けてもよい。遊技者は、選別操作ボタン206A,206B,206Cを操作してカード残高表示器204で表示されているカード残額の範囲内で遊技に使用せんとする金額を選択指定する。この選別操作ボタン206A,206B,206Cは、パチンコ遊技機100側に設けられてもよい。遊技者により遊技に使用せんとする金額が選択指定されれば、その選択金額に対応する持玉数がパチンコ遊技機100側に設けられている持玉数表示器142により表示された後に、所定個数(図面によれば21個)のパチンコ玉が打球待機樋102上に払い出される。所定個数のパチンコ玉が払い出されればその払い出されたパチンコ玉の個数が減算された後の持玉数が持玉数表示器142により表示される。なお図中106は待機樋玉量検出器であり、マイクロスイッチ等により構成され図示するように所定個数(たとえば21個)のパチンコ玉が払い出された状態でスイッチがONに切り替わってパチンコ玉の打球待機樋102への払出しが停止制御される。この打球待機樋102へのパチンコの払出しは、島に設けられている補給樋173から補給玉検出器172を介して玉タンク146に供給されたパチンコ玉が、玉払出し装置134,打球供給樋136を介して供給される。
【0022】
打球待機樋102内にパチンコ玉が払い出されれば、遊技が可能となり、遊技者が操作ハンドル112を操作することにより、打玉モータを含む打球装置111(第4図参照)が作動して打球杆110が間欠揺動されて打球待機樋102から発射レール108上の打球発射位置に1つずつ供給されてきたパチンコ玉が弾発発射される。弾発発射されたパチンコ玉はパチンコ遊技機100の遊技領域に打ち込まれる。この遊技領域にはドラム154等からなる可変表示装置や可変入賞球装置999等の遊技装置が設けられている。なお図中166はアウト口であり、遊技領域に打ち込まれたパチンコ玉がいずれの入場口や入賞球装置にも入賞しなかった場合にアウト玉として回収されるためのものである。図中114は玉抜ソレノイドであり、この玉抜ソレノイド114か励磁されることにより玉抜弁116が退避して打球待機樋102上のパチンコ玉が抜玉通路140を通って集球樋170上に排出される。この集球樋170上に排出されるパチンコ玉は、取込玉検出器A(130A)により検出され、その検出出力が後述する制御に用いられる。
【0023】
遊技者がスイッチ内蔵の終了操作ボタン118を押圧操作することにより玉払出装置134が作動し、持玉数表示器142で表示されている持玉数に相当するパチンコ玉が、玉タンク146,玉払出装置134,精算時玉供給樋138を介して玉受皿122上に払い出される。この玉受皿122には、玉受皿玉抜レバー124が設けられており、この玉受皿玉抜レバー124を操作することにより玉受皿122上に溜まっているパチンコ玉を玉箱等に抜き取ることが可能となる。なお、差数が4000等に達して打ち止めになった場合に、その4000個のパチンコ玉すべてを玉受皿122上に払い出すとすればかなりの長い払出時間(約6分程度)を要してしまい、その間遊技者が待っている必要があるばかりでなくその間弾球遊技機が稼動しない状態となる不都合が生ずるために、持玉数表示器142で表示される持玉数に上限Mを設定し、その上限Mを越えた場合には越えた持玉数に相当するパチンコ玉を越えた時点で玉受皿122上に払い出すようにしている。この場合に、前記持玉数の上限値を遊技機またはホール用管理コンピュータの操作により変更設定できるようにしてもよい。なお、図中109はファール玉誘導樋であり、弾発発射された打玉の打球力が弱く遊技領域にまで到達しなかった玉をファール玉として景品玉貯留皿122内に戻すためのものである。また図中103は打球供給装置であり、打球供給樋102内に待機している打玉を打球発射レール108上の打球発射位置に1つずつ供給するためのものである。また、601は、景品玉貯留皿122がパチンコ玉で満タンになったことを検出する満タン検出器であり、その検出出力が後述する制御に用いられる。998は打止表示器であり、打止になったことが点灯または点滅表示される。
【0024】
景品玉貯留皿122の図示左側には投入玉受入部の一例の遊技球投入皿126が設けられている。この遊技球投入皿126に遊技者がパチンコ玉を投入すれば、その投入されたパチンコ玉が取込玉検出器B(130B)により1つずつ検出された後島に設けられている集球樋170上に放出されて機外に排出される。この取込玉検出器B(130B)の出力は後述するように制御に用いられる。なお、景品玉貯留皿122と遊技球投入皿126との間の135に通路を形成し、その通路を手動操作等で開閉できるシャッタを設けて、シャッタを開くことにより景品玉貯留皿122内に貯留されている景品玉を遊技球投入皿126側に落入させて取込玉検出器130により検出されるようにしてもよい。
【0025】
なお、前記カード処理器5は、貨幣の投入によっても遊技を可能にするカード,貨幣併用型のものであってもよい。さらに、2台の遊技機の間に1台のカード処理器5を設置し、カード処理器5のカード挿入・排出口202や操作ボタン等を右台用と左台用との2種類に構成してもよい。また、取込玉受皿126内に投入したパチンコ玉を一旦取込玉受皿126内で貯留し取込操作ボタン等の遊技者の操作に基づいて投入玉を取込むようにしてもよい。
【0026】
図5は、カード処理機が設けられた状態のパチンコ遊技機の内部構造を示す背面図である。
【0027】
パチンコ遊技機100の機構板144には、玉タンク146,タンクレール148,玉払出装置134等が設けられている。島に設けられている補給樋173からパチンコ玉が補給玉検出器(補給球カウンタ)172を介して玉タンク146に供給される。その玉タンク146に供給された補給玉の数が補給玉検出器(補給球カウンタ)172により検出されて、その検出信号が補給球検出信号導出用コネクタ884,コネクタ883を介してホール用管理コンピュータ70へ送信される。玉タンク146内のパチンコ玉はタンクレール148を通って玉払出装置134の働きにより打球供給樋136から打球待機樋102上に払い出されたり精算時玉供給樋138を通って玉受皿122上に払い出されたりする。なお図中150は玉払出モータであり、この玉払出モータ150により玉払出装置134が駆動する。遊技領域に打ち込まれた打込玉は入賞口に入賞して入賞玉となって入賞玉集合樋152により集合され、入賞玉検出器764により検出された後打込玉タンク171に落下する。前記入賞玉検出器764の出力に基づいて、入賞玉1個につき所定個数(たとえば15個)の景品玉が持玉として持玉数表示器142に加算表示される。一方、アウト口166から回収されたアウト玉も打込玉タンク171内に落下し、入賞玉とアウト玉からなる打込玉が打込玉検出器(打込球カウンタ)164に検出された後に島に設けられている集球樋170上に落下する。この打込玉検出器(打込球カウンタ)164の検出出力が後述するように制御に用いられる。なお、図中156は遊技制御基板、154はドラム、160は始動入賞口、162はその始動入賞口に入賞した始動入賞玉を検出する始動入賞玉検出器、158は可変入賞球装置999を開閉駆動するためのアタッカーソレノイドである。なお前記始動入賞玉検出器162の検出出力に基づいて始動入賞玉1個につき所定個数(たとえば7個)の景品玉に相当する持玉が持玉数表示器142に加算表示される。さらに図中176は玉払出装置制御回路基板、106は待機玉量検出器である。パチンコ遊技機にはパチンコ遊技機側コネクタ174が設けられており、このパチンコ遊技機側コネクタ174と前記玉払出装置制御回路基板176とが電気的に接続されている。カード処理機5側には、カード処理機側コネクタ175a,175bが設けられており、カード処理機5をパチンコ遊技機100の横に設置してカード処理機側コネクタ175aとパチンコ遊技機側コネクタ174とを電気的に接続する。このカード処理機側コネクタ175aにはカード処理機制御回路基板177が電気的に接続されている。さらに、このカード処理機制御回路基板177はカード処理機側コネクタ175bにも接続されており、カード処理機側コネクタ175bがホール用管理コンピュータ70に接続される。なお、ホール用管理コンピュータ70とカード処理機5との間で光通信により情報のやり取りを行なってもよい。さらに、カード処理機5とパチンコ遊技機100との間で光通信により情報のやり取りを行なってもよく、この場合には、パチンコ遊技機100の横にカード処理機5を設置するだけで何ら電気的な接続作業を行なうことなく両者間での情報のやり取りが可能となる。
【0028】
図6および図7は、パチンコ遊技機100に用いられている玉払出し装置を示し、図6はその横断面図、図7はその縦断面図である。
【0029】
玉払出装置134は、駆動源としての正逆転ステッピングモータ168が設けられており、この正逆転ステッピングモータ168によりスターホイル170が正逆転する。このスターホイル170には、突起部174とパチンコ玉が嵌合保持される嵌合凹部172とが形成されており、タンクレール148から流下してきたパチンコ玉が嵌合凹部172に嵌合する。嵌合凹部172に嵌合されたパチンコ玉は、正逆転ステッピングモータ168が正転してスターホイル170が図示反時計回り方向に回転することにより打球供給樋136内に放出されて打球待機樋102上に払い出される。一方、正逆転ステッピングモータ168が逆転してスターホイル170が図示時計回り方向に回転することによりパチンコ玉が精算時玉供給樋138内に放出されて玉受皿122上に放出される。なお、図中176a,176bは払出玉検出器A,Bである。
【0030】
図8は、カード処理機5に用いられているカードリーダライタ203の構成を説明するための縦断面図である。カードリーダライタ203に設けられているカード挿入・排出口202内にカード420が挿入されれば、カード挿入検出器410により挿入カードが検出される。カードリーダライタ203には、モータ422とそのモータ422により回転するローラ426aが設けられており、ローラ426aの回転によって搬送ベルト424が動かされる。前記挿入されたカード420は、この搬送ベルト424によりカード取込方向(図示左方向)に搬送され、カードデータ読取器412によりこのカードに記録されているカード情報が読取られ、カードデータ消去器414によりカード情報の消去が可能となる。さらに、カードデータ書込器416により新たなカードデータを書込むことができる。カード420がさらにカード取込方向に搬送されればカード保持検出器418により検出され、その検出位置(カード保持位置)で停止する。なお、カード420に記録されている有価価値が0となった0カードはさらに図示左方向に搬送されてカード回収コンベア上に排出される。カード搬送モータ422は逆回転も可能なモータであり、カード搬送モータ422が逆回転することによりカード420がカード排出方向(図示右方向)に搬送されてカード挿入・排出口202から遊技者側に排出される。なお、本発明の記録媒体は、磁気カード420に限らず、ICカード,光カード(光ディスクメモリを利用したもの),バーコードを利用したもの,熱転写によりデータを記録したもの等、種々のものが考えられる。
【0031】
図9は、カード処理器に用いられる制御回路を示すブロック図である。
【0032】
カード処理機制御用マイクロコンピュータ250は以下に述べる各種機器の動作を制御する機能を有する。このため、カード処理機制御用マイクロコンピュータ250は、たとえば数チップのLSIで構成されており、その中には制御動作を所定の手順で実行することのできるCPU251と、CPU251の動作プログラムデータを格納するROM252と、必要なデータの書込および読出ができるRAM253とを含む。
【0033】
さらに、カード処理機制御用マイクロコンピュータ250は、入力信号を受けてCPU251に入力データを与えるとともにCPU251からの出力データを受けて外部に出力する入出力回路254と、図示しないがパワオーンリセット回路,クロック発生回路,パルス分周回路(割込パルス発生回路),アドレスデコード回路等を含む。
【0034】
CPU251はパルス分周回路から定期的に与えられる割込パルスに応じて、割込制御ルーチンの動作を実行することが可能となる。また、アドレスデコード回路はCPU251からのアドレスデータをデコードし、ROM252,RAM253,入出力回路254にそれぞれチップセレクト信号を与える。
【0035】
なお、この実施例ではROM252は、その内容の書き替えすなわち必要が生じた場合にはその中に格納されたCPU251のためのプログラムデータを変更することができるプログラマブルROMが用いられる。そして、CPU251は、このROM252内に格納されたプログラムデータに従って、以下に述べる各制御信号の入力に応答して、種々の機器に対し制御信号を与える。
【0036】
カード処理機制御用マイクロコンピュータ250には、入力信号として次のような信号が与えられる。
【0037】
まず、カードがカード挿入・排出口202内に挿入されればカード挿入検出器410からカード挿入検出信号が検出回路255を介して入力される。カードがカード保持位置まで搬送されてくればカード保持検出器418がそのカードを検出しその検出信号が検出回路255を介して入力される。挿入されたカードに書込まれているカードデータがカードデータ読取器412により読取られ、その読取りデータがデータ読取回路256を介して入力される。遊技者が選別操作ボタン206A,206B,206Cを選択操作すれば、それぞれに対応する選別操作検出器206A′,206B′,206C′がその選別操作を検出し、その検出信号が検出回路260を介して入力される。返却操作ボタン208が操作されたことにより返却操作検出器208′から返却操作検出信号が検出回路260を介して与えられる。遊技機制御用マイクロコンピュータ263から、遊技が終了した旨の信号等が入力される。
【0038】
一方、カード処理機制御用マイクロコンピュータ250からは以下の各種機器に対し制御信号が出力される。
【0039】
データ書込回路257を介してカードデータ書込器416にカード書込用制御信号が与えられる。データ消去回路258を介してカードデータ消去器414にカードデータ消去用制御信号が与えられる。モータ駆動回路259を介してカード搬送モータ422にカード搬送用制御信号が与えられる。7セグLED駆動回路261を介してカード残高表示器204にカード残高表示用制御信号が与えられる。ランプ駆動回路262を介して作動表示ランプ210に作動表示ランプ制御信号が与えられる。遊技機制御用マイクロコンピュータ263に残高更新データや遊技者が選択して使用せんとする使用持玉数情報等が与えられる。カードの残高更新データや前記使用持玉数情報等がホール用管理コンピュータ70に与えられる。さらに、ターミナルボックス99を介して集中ホール管理コンピュータ72や総合集中管理コンピュータ74等の共通カード集中管理用コンピュータにカード処理機の売上データや前記使用持玉数情報等が与えられる。
【0040】
図10は、パチンコ遊技機の制御回路を示すブロック図である。この図10に示した制御回路において、図9に示したものと共通する部分は同一の参照符号を付し、その共通する部分についてはここでは説明の繰返しを省略する。
【0041】
遊技機制御用マイクロコンピュータ263には、以下の信号が入力される。
【0042】
まず、終了操作ボタン118が操作されたことに基づいて終了操作検出器118′から終了操作検出信号が検出回路275を介して与えられる。待機樋玉量検出器106から待機樋玉量検出信号が検出回路271を介して与えられる。取込玉検出器A(130A)から取込玉検出信号が検出回路272Aを介して与えられる。取込玉検出器B(130B)から取込玉検出信号が検出回路273Bを介して与えられる。入賞玉検出器764から入賞玉検出信号が検出回路273を介して与えられる。払出玉検出器176a,176bからそれぞれ払出玉検出信号が検出回路274を介して与えられる。満タン検出器601からの満タン検出信号が検出回路609を介して与えられる。カード処理機制御用マイクロコンピュータ250からは残高更新データや遊技者が選択し遊技に使用せんとする使用持玉数情報等が入力される。ホール用管理コンピュータ70から打止め指令信号や開放指令信号が入力される。
【0043】
遊技機制御用マイクロコンピュータ263は以下の機器に対し制御信号を与える。
【0044】
ソレノイド駆動回路275を介して取込ソレノイド126に取込ソレノイド制御用信号を与える。モータ駆動回路276を介して払出モータ168に払出モータ制御用信号を与える。7セグLED駆動回路277を介し、持玉数表示器142に持玉数表示用制御信号を与える。カード処理機制御用マイクロコンピュータ250に対し遊技が終了した旨の信号を与える。ホール用管理コンピュータ70に対し持玉数情報を与える。なお、ホール用管理コンピュータ70には、遊技機に対応して設けられる打込玉検出器(打込球カウンタ)164,補給玉検出器(補給球カウンタ)172から打込玉検出信号,補給玉検出信号が与えられる。
【0045】
図11?図13は、図9に示したカード処理機の制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【0046】
まず、ステップS(以下、Sという)1により、カード処理機が使用可能な状態であるか否かの判断がなされ、使用可能でない場合には作動表示ランプ210(図4参照)が消灯される。一方、使用可能な状態である場合にはS3に進み、作動表示ランプが点灯されて現在使用可能である旨の表示が行なわれる。次にS4に進み、カード挿入検出器410がONになったか否かの判断が行なわれ、ONになるまでS3の処理が続行される。そしてカードがカード挿入・排出口202に挿入されてカード挿入検出器410がONになればS5に進み、搬送モータ422(図8参照)を正転させて挿入カードをカード取込方向に搬送する。そして、取込方向に搬送されているカードがカードデータ読取器412により読取られ(S6参照)S7により、カードデータ読取器412(図8参照)がONになったか否かの判断がなされ、いまだにONになっていない場合にはS6の処理が続行される。そして、カードがカード保持位置にまで搬送されてきた状態でカード保持検出器がONになりS8に進み、搬送モータが停止されてカードの搬送が停止される。次にS9に進み、挿入されたカードが適正なカードであるか否かの判断が行なわれる。挿入されたカードが偽造カード等の不適正なカードであった場合にはS10に進み、搬送モータを逆転させてカードを排出方向に搬送し、カード挿入・排出口202からカードが一部突出した状態にまで搬送することによりカード挿入検出器がONからOFFに切り替わり、その段階でS12に進み、搬送モータを停止させて再びS1に戻る。
【0047】
一方、挿入カードが適正なカードであった場合にはS13に進み、S6のステップで読取ったカード情報に含まれているカード残高があるか否かの判断が行なわれる。カード残高が無かった場合にはS29に進み、搬送モータを逆転させてカードをカード排出方向に搬送し、S30によりカードの情報を消去し、S31によりカード挿入検出器がONになったか否かの判断が行なわれ、ONになるまでS30の処理を続行する。そして、カード挿入検出器がONになるまでカードがカード排出方向に搬送された段階でS32に進み、搬送モータを停止してカードの搬送を停止し、次にS33により搬送モータを正転させてカードを再びカード取込方向に搬送する。そして、S34により、カード保持検出器がONからOFFになったか否かの判断が行なわれ、OFFになるまで待機する。そして、カードがカード回収コンベア上に放出された段階でカード保持検出器がONからOFFに切り替わり、S35に進み搬送モータを停止させてS1に戻る。挿入されたカードにカード残高があった場合にはS14に進み、カード残高の表示をカード残高表示器204(図4参照)により表示させる。次にS15に進み、選別操作検出器CがONになったか否かの判断がなされ、ONになっていない場合にはS17に進み、選別操作検出器BがONになったか否かの判断がなされ、ONになっていない場合にはS21に進み、選別操作検出器AがONになったか否かの判断がなされ、ONになっていない場合にはS23に進み、返却操作検出器がONになったか否かの判断がなされる。遊技者が選別操作ボタン206Cを操作すればS16に進み、挿入カードの残高が「1000」以上であるか否かの判断がなされ、「1000」未満である場合にはS17内に進むが「1000」以上である場合にはS18に進む。S18では、カード残高から「1000」を減算し対応するデータたとえば使用持玉数情報を遊技機制御用マイクロコンピュータ,ホール用管理コンピュータ,ターミナルボックスに出力する処理がなされる。なお、18,S20,S22において出力するデータは、選別操作ボタン206A,206B,206Cが有効に操作された旨のデータ、カード残高から「1000」,「500」,「100」が減算された旨のデータ、あるいは持玉数データに対し「1000」,「500」,[100]に対応する玉数(たとえば「250」,「125」,「25」)を加算指令する旨のデータのいずれであってもよく、また出力先に応じて出力するデータの種類を変えるようにしてもよい。また、カード残高から減算された減算額に対応する玉数への変換処理(たとえば「1000」円を「250」個に変換する処理)は、カード処理機側で行なうようにしてもよいし、遊技機側で行なうようにしてもよい。次に遊技者が選別操作ボタンB(206B)を押圧操作すればS19に進み、挿入カードの残高が「500」以上であるか否かの判断がなされ、「500」未満である場合にS21に進むが「500」以上である場合にはS20に進む。S20では、カード残額から「500」を減算し、対応するデータ(たとえば使用持玉数情報)を遊技機制御用マイクロコンピュータ,ホール用管理コンピュータ,ターミナルボックスに出力する処理が行なわれる。次に遊技者が選別操作ボタン206Aを押圧操作すればS22に進み、カード残高から「100」を減算し、対応するデータ(たとえば使用持玉数情報)を遊技機制御用マイクロコンピュータ,ホール用管理コンピュータ,ターミナルボックスに出力する処理がなされてS13に戻る。一方、遊技者が返却ボタン208(図4参照)を押圧操作すればS25に進み、搬送モータを逆転させて挿入カードをカード排出方向に搬送する処理がなされる。そしてS26に進み、カードの情報の消去,カードの情報の書込、書込内容を読取確認する処理が行なわれ、S27により読取確認の結果OKであったか否かの判断がなされ、OKでない場合にはS28によるエラー処理が行なわれ、OKである場合にはS11に進む。一方、返却操作ボタンが押圧操作されていない場合にはS24に進み、遊技が終了しているか否か(遊技終了操作が行なわれたか否か、あるいは打止が成立したか否か)の判断がなされ、いまだに遊技が終了していない場合にはS15に戻るが遊技が終了している場合には前記S25に進む。
【0048】
図14?図16は、図10に示したパチンコ遊技機の制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【0049】
まずS40により、カード処理機制御用マイクロコンピュータから使用持玉数情報を含む残高更新データの入力があったか否かの判断がなされ、ない場合にはS42に進むが、あった場合にはS41に進み、入力内容に対応する値(使用持玉数)を持玉数カウンタに加算する処理がなされた後にS42に進む。S42では、入賞玉があったか否かの判断がなされ、無い場合にはS44に進むが、あった場合にはS43に進み、持玉数カウンタにnを加算する処理がなされてS44に進む。このnは、パチンコ玉1個の入賞につき払い出される所定個数(たとえば15個)の景品玉に相当する持玉数である。このように、本実施例ではパチンコ玉の入賞があった場合には打球待機樋102上のパチンコ玉の個数にかかわらず持玉数カウンタの方にnを加算するものを示したが、それに代えて、パチンコ玉の入賞があった場合にはまず打球待機樋102上にパチンコ玉を払い出し、打球待機樋102上のパチンコ玉が所定個数(たとえば21個)になった後さらに加算すべき持玉数が残っている場合にはその残っている持玉数を持玉数カウンタに加算するようにしてもよい。
【0050】
次に、S44により取込玉が検出されたか否かの判断がなされ、取込玉が検出されない場合にはS46に進むが、遊技者が遊技球投入皿126(図4参照)にパチンコ玉を投入しそれが取込まれればあるいは後述するS72の処理がなされて待機樋上の打玉が取込まれればその取込まれた玉が取込玉検出器A(130A)あるいは取込玉検出器B(130B)により検出されてS45に進み、持玉数カウンタに「1」を加算するとともに、取込玉検出信号をホール用管理コンピュータに出力する処理がなされる。このS45により、パチンコ玉が1個取込まれる毎に持玉数カウンタが「1」ずつ加算されるのである。次に、S46により払出玉が検出されたか否かの判断がなされ、検出されなければS50に進むが、払出モータ150が作動することにより払出玉検出器176a,176bが払出玉を検出すればS47に進み、持玉数カウンタに「1」を加算する処理がなされてS46に進む。
【0051】
次に、S46により払出玉が検出されたか否かの判断がなされ、払出玉が検出されない場合にはS48に進むが、払出モータが作動することにより払出玉検出器176a,176bが払出玉を検出すればS47に進み、持玉数カウンタから「1」を減算する処理がなされてS48に進む。
【0052】
S48では、払出数カウンタが「0」であるか否かの判断が行なわれる。この払出数カウンタでは、打球待機樋102上のパチンコ玉が残り少なくなり待機樋玉量検出器106がOFFに切替わったことを条件として後述するS64により「25」にセットされるものであり、打球待機樋102上への払出が完了した段階で「0」となる。この払出カウンタが「0」ということは、打球待機樋102上へのパチンコ玉の払出が完了したことあるいは払出モータが逆転して景品玉貯留皿122にパチンコ玉が払出されることを意味する。そして払出玉数カウンタが「0」のときにはS50へ進むが、打球待機樋102上へのパチンコ玉の払出工程の段階に入っている場合にはS48によりNOの判断がなされS49に進み、払出数カウンタから「1」を減算した後にS50に進む。つまり、打球待機樋102へのパチンコ玉の払出工程の段階では、玉払出装置134によりパチンコ玉が1つ払出される毎に前記S46によりYESの判断がなされてS49により払出数カウンタがたとえば「25」の値から「1」ずつ減算されるのである。そして、パチンコ玉をたとえば25個払出した段階でS48によりYESの判断がなされるとともに後述するように払出モータが停止してそれ以上のパチンコ玉の払出が行なわれなくなる。
【0053】
S50では、持玉数カウンタの値をホール用管理コンピュータに出力し、持玉数カウンタの値を持玉数表示器142により表示させる処理が行なわれる。この持玉数表示器142により表示される持玉数は、遊技開始時にはS41のように遊技者が選択した金額に相当する持玉数が持玉数カウンタに加算されているために遊技者が選択した金額に相当する持玉数が表示されることになるが、それに代えて、打球待機樋102上に所定個数のパチンコ玉を払い出した後の残りの持玉数を持玉数表示器142により表示させてもよい。このS50と持玉数表示器142とにより、記録媒体により特定される有価価値を使用する旨の遊技者の操作により定められた使用せんとする有価価値に関連する使用有価価値を表示する使用有価価値表示手段が構成されている。さらに、この使用有価価値表示手段は、持玉数カウンタの現在値と打球待機樋102上のパチンコ玉との和に相当する持玉数を表示するものであってもよい。
【0054】
次にS51に進み、持玉数カウンタが「0」であるか否かの判断がなされ、持玉数カウンタが「0」でない場合にはS52に進み、遊技終了フラグが「0」であるか否かの判断がなされる。この遊技終了フラグは現在の遊技機の状態を示すものであり、「0」のときには遊技機が打止め状態でなくかつ終了操作ボタン118が押圧操作される前の状態である。また遊技終了フラグが「1」のときには終了操作ボタン118が押圧操作された後の状態である。さらに遊技終了フラグが「2」のときには、打止めが成立した場合である。そして、遊技終了フラグが「0」すなわち遊技機が打止め状態でなくかつ終了操作ボタン118が押圧操作される前の状態のときにはS53に進み、払出数カウンタが「0」であるか否かの判断が行なわれる。そして、打球待機樋102へのパチンコ玉の払出工程の段階でS53によりNOの判断がなされてS58により、払出モータが正転され玉払出装置134(図6,図7参照)によりパチンコ玉が打球待機樋102上に払出される。一方、玉払出装置134により所定数(たとえば25個)のパチンコ玉が打球待機樋102上に払出されれば前述したように払出数カウンタが「0」となるためにS53によりYESの判断がなされてS38に進み、持玉数カウンタのカウント値がMよりも大きいか否かの判断がなされる。このMは持玉数表示器142で表示される持玉数の上限であり、1000等の数である。そして、持玉数カウンタがMよりも大きくなければS57に進み払出モータの停止制御が行なわれてパチンコ玉の払出が停止される。一方、持玉数カウンタがMよらも大きければ、S39により満タン検出があったか否かの判断を行ないない場合にS59により払出モータを逆転させてパチンコ玉を景品玉貯留皿122内に払出す。一方、景品玉貯留皿122がパチンコ玉で満タンになっていればS39によりYESの判断がなされてS57に進み、払出モータが停止制御される。一方、持玉数カウンタが「0」の場合にはS54に進み、玉抜ソレノイドがONになっているか否かの判断がなされる。この玉抜ソレノイド114は、遊技者が終了操作ボタン118を押圧操作した場合と打止が成立した場合とからなる遊技終了条件が成立した場合に自動的にONになり(S72参照)、打球待機樋102内に待機しているパチンコ玉を自動的に取込むためのものである。そして、遊技者が遊技終了ボタン118を押圧操作して打球待機樋102内のパチンコ玉がすべて取込まれて再び玉抜ソレノイドがOFFに切替わった状態では、S54によりNOの判断がなされてS55によりYESの判断がなされることになる。そしてS56により、遊技終了フラグを「0」にしてS57に進む。このように、S56により遊技終了フラグを「0」にすることにより、次の遊技者がその遊技機で遊技を再び開始できるようになる。一方、現在まだ打球待機樋102内のパチンコ玉を抜取っている最中の場合にはS54によりYESの判断がなされてS57に進み、また、遊技終了フラグは「1」でない場合にはS56の処理を行なうことなくS57に進む。
【0055】
次に、持玉数カウンタにいくらかの持玉数が記憶されている状態で遊技者が終了操作ボタン118を押圧操作した場合または打止が成立した場合には、S52によりNOの判断がなされて、景品玉貯留皿122が満タン状態でないことを条件としてS59により払出モータの逆転制御が行なわれ、玉払出装置134(図6,図7)による景品玉の景品玉貯留皿122内への払出が行なわれる。このS59による払出モータの逆転制御に伴なって景品玉が1つ払出される毎にS46によりYESの判断がなされてS47による持玉数カウンタの「1」の減算処理が行なわれるのであり、持玉数カウンタのカウント値に相当する景品玉をすべて払出した段階で持玉数カウンタが「0」となるためにS51によりれYESの判断がなされS59の景品玉払出制御が停止される。次にS60に進み、遊技終了フラグが「0」であるか否かの判断がなされ、遊技機が打止状態でなくかつ終了操作ボタン118が押圧操作される前の状態では、S61に進み、待機樋玉量検出器106がONになっているか否かのすなわち打球待機樋に待機しているパチンコ玉が遊技を続行するのに不都合な所定量(たとえば0?3個程度)まで少なくなっているか否かの判断がなされ、まだ十分待機樋に玉が存在する場合にはS73に進むが、前記所定量まで少なくなっている場合にはS62に進み、払出数カウンタが「0」であるか否かの判断がなされる。そして、払出数カウンタが「0」の場合にはS63に進み、持玉数カウンタが「25」以上であるか否かの判断がなされ、持玉数カウンタが「25」以上である場合にはS64に進み、払出数カウンタを「25」にセットした後にS73に進む。一方、持玉数カウンタが「25」未満である場合には、持玉数カウンタに記憶されている持玉数からパチンコ玉を25個打球待機樋102上に引落とすことができないために、S65に進み、持玉数カウンタの現在値を払出数カウンタにセットする。このプログラムの次回の実行に際しては、S64またはS65により払出数カウンタに「0」以上の値がセットされているために、S62によりNOの判断がなされて、S64またはS65の処理が行なわれることがない。
【0056】
一方、遊技機が、終了操作ボタン118が押圧操作された後の状態または打止が成立した状態の場合には打球待機樋102内のパチンコ玉を景品玉貯留皿122内に放出する必要があるが、その場合にS66に進み、待機樋玉量検出器により待機玉が検出されているか否かの判断がなされ、打球待機樋102上に多くのパチンコ玉が存在して待機樋玉量検出器が待機玉を検出している場合にはS72に進み、玉抜ソレノイドをONにして打球待機樋102内のパチンコ玉を集球樋170上に抜取る制御が行なわれる。その結果、打球待機樋102内のパチンコ玉が抜取られてだんたん少なくなり、ついには待機樋玉量検出器により待機玉が検出されない状態となる。その状態でS67に進み、玉抜タイマが終了しているか否かの判断がなされ、玉抜タイマが未だにセットされていない状態ではS67によりYESの判断がなされてS68により、玉抜タイマがセットされてS72に進む。この玉抜タイマは、待機樋玉量検出器106による待機玉の検出が行なわれなくなった段階でなお打球待機樋102に残っているパチンコ玉をすべて抜取るのに必要となる十分な時間を計時するためのものである。そして、玉抜タイマがセットされた後における次回のプログラムの実行に際しては、S67によりNOの判断がなされてS69に進み、玉抜タイマを減算(「1」減算する)し、その状態でも玉抜タイマが終了していない場合にはS72に進むが、その状態で玉抜タイマが終了する場合にはS71に進み、玉抜ソレノイドをOFFに制御し玉抜制御を終了させた後にS73に進む。S60,S66?S72,S44,S45,S50および持玉数表示器142により、遊技を終了させるための所定の終了条件の成立に基づいて前記打玉確保手段に確保されている確保玉に相当する有価価値を加算更新して表示する確保玉加算表示手段が構成されている。一方、遊技者がパチンコ玉を遊技球投入皿126に投入すれば、その投入玉が取込玉検出器130Bにより検出されてS44によりYESの判断がなされてS45により取込玉1個につき持玉数カウンタに「1」が加算処理され、その加算処理された持玉数に基づいて遊技が可能となる。その結果、遊技者は、持玉数表示器に表示されている持玉数が「0」であったとしても、パチンコ玉を遊技球投入皿126内に投入してパチンコ玉を取込むことによりその投入したパチンコ玉に基づいて遊技を行なうことができる。
【0057】
次に、S73では、ホール用管理コンピュータから打止め入力があったか否かの判断がなされ、打止め入力があった場合にはS74により遊技終了フラグを「2」にしてS40に戻る。一方、打止め入力がなかった場合にはS75に進み、遊技終了フラグが「2」であるか否かの判断がなされ、「2」すなわち既に遊技機が打止めとなっている場合にはS78に進み、ホール用管理コンピュータから開放入力があったか否かの判断がなされ、ない場合にはS40に進むが、あった場合にはS79に進み、遊技終了フラグを「0」にした後にS40に戻る。つまり、ホール用管理コンピュータから開放入力があると、遊技終了フラグを「0」にして次の遊技客が遊技をできるようにするのである。さらに、遊技終了フラグが「2」でなかった場合にはS76に進み、終了操作が検出されたか否かの判断がなされ、終了操作ボタン118が押圧操作されていなければそのままS40に戻り、終了操作ボタンが押圧操作された場合にはS77に進み、遊技終了フラグを「1」にした後にS40に戻る。この際、終了操作ボタン118が押圧操作されたことに基づいて挿入されたカードを遊技者に排出する制御を行なう。
【0058】
以上説明した実施例では、打球待機樋102上のパチンコ玉がなくなった場合または少なくなった場合等の遊技を継続するのに不都合な所定量になった場合には所定個数のパチンコ玉を再度打球待機樋102上に放出するものを示したが、それに代えて、パチンコ玉が1個弾発発射される毎に1個のパチンコ玉を打球待機樋に放出するようにしてもよい。また、持玉数の演算記憶機能を弾球遊技機側の持玉数カウンタに持たせたが、それに代えて、カード処理機側に持玉数の演算記憶機能を持たせてもよい。さらに、本実施例では、遊技球投入皿126内に投入されたパチンコ玉が取込玉検出器130により検出されて一旦持玉数カウンタに加算され、その持玉数カウンタに加算された持玉数を使用して遊技を行なうことが可能なものを示したが、これに代えて、投入されたパチンコ玉を遊技球投入皿126に一旦貯留し、その貯留されているパチンコ玉を1つずつ打球発射レール108上の打球発射位置に供給して打球杆110により1つずつ遊技領域へ弾発発射して遊技ができるようにしてもよい。その場合に、打玉選択ボタン等を遊技機に設け、遊技球投入皿126内に投入したパチンコ玉を利用して弾発遊技を行なう状態と持玉数カウンタに記憶されている持玉数を使用して遊技を行なう状態とを遊技者が選択操作できるようにしてもよい。なお、打止が成立した場合にそのまま景品玉を景品玉貯留皿122上に払出す代わりに、景品玉を払出す旨の遊技者の操作があって初めて景品玉を払出すようにしてもよい。
【0059】
また、本実施例では、遊技終了時に打球待機樋の残留玉の取込と持玉数分の玉の払出とを同時に行なうようにしたが、打球待機樋の残留玉の取込の終了した後に持玉数分の玉の払出を行なうようにしてもよい。その場合には、S74およびS77の後に「玉抜フラグセット」のステップを挿入して、S52でNOの判断がなされてS39に進途中に「玉抜フラグがセットか」の判断ステップを挿入し、セットされている場合にはS57に進み、セットされていない場合にはS39に進むようにし、さらにS71の後に「玉抜フラグクリア」のステップを挿入すればよい。このようにすれば、遊技者は遊技終了持の持玉数をより正確に把握することができる。
【0060】
図17は、図3に示したホール用管理コンピュータの動作を説明するためのフローチャートである。
【0061】
まずS78′によりI=1が定義され、S79′により、N=(遊技場における遊技機総設置数)の定義が行なわれる。次にS80により、I番台のカード処理機から残高更新入力があったか否かの判断が行なわれる。この時点ではI=1になっているために1番台のカード処理機からの残高更新入力があったか否かの判断が行なわれることになる。更新入力がない場合にはS83に進み、I番台(1番台)の補給球カウンタからの入力があったか否かの判断が行なわれ、ない場合にはS85に進み、I番台の遊技機制御用マイクロコンピュータから取込玉検出の入力があったか否か判断が行なわれ、ない場合にはS87に進み、I番台(1番台)の打込球カウンタからの入力があったか否かの判断が行なわれ、ない場合にはS89に進む。一方、I番台(1番台)のカード処理機から残高更新入力があった場合にはS81に進み、I番台(1番台)に対応する台別売上記憶部312の記憶内容に入力内容に応じた値を加算更新する処理が行なわれる。つまりこのS81により、I番台(1番台)の売上データが累積演算されるのである。次にS82に進み、I番台(1番台)に対応する台別不利益球数記憶部304の記憶内容から入力内容に応じた値(残高更新額に対応する球数)を減算更新する処理が行なわれる。次に、I番台(1番台)の補給球カウンタ(補給玉検出器)から入力があった場合にはS84に進み、I番台(1番台)に対応する台別不利益球数記憶部304の記憶内容に入力内容に応じた値(1回の入力信号に対応する球数)を加算更新する処理が行なわれる。つまり、パチンコ遊技機に補給された補給球は、その一部が景品球(不利益球)として玉受皿122上に払出される一方、その他の補給球は景品球あるいは貸球として打球待機樋102上に放出されるのである。ところが、不利益球数情報とは前記景品球として払出される玉のみを指しているのである。そのために、不利益球数情報を求める際には、補給球カウンタからの補給球データを加算更新するだけでなくS82によりカード処理機からの残高更新入力情報に基づき払出される貸球としての前記使用持玉数情報を減算更新するのである。
【0062】
次に、I番台(1番台)の遊技機制御用マイクロコンピュータから取込玉検出信号が送られてくれば(S45参照)、S85によりYESの判断がなされ、S86に進み、I番台(1番台)に対応する台別不利益球数記憶部の記憶内容から入力内容に応じた値を減算更新する処理がなされ、これにより取込玉に基づく不利益球数の減算更新が行なわれる。
【0063】
次に、I番台(1番台)の打込球カウンタからデータが入力されれば、S88により、I番台(1番台)に対応する台別利益球数記憶部303の記憶内容に入力に応じた値(1回の入力信号に対応する球数)を加算更新する処理が行なわれる。次にS89に進み、I番台(1番台)に対応する台別持玉数記憶部の記憶内容を現在の持玉数データに更新する処理が行なわれる。そして更新された後の台別の持玉数が台別持ち玉数記憶部313に記憶保持されるのであり、この台別持ち玉数記憶部に記憶された持玉数データは停電や故障が発生したとしてもバックアップ電源311(図3参照)により記憶保持される。なお、ホール用管理コンピュータ70に持玉数の更新記憶機能を持たせる代わりに、持玉数記憶中継器8に台別の持玉数の更新記憶機能を持たせてもよい。また、各遊技機ごとにバックアップ電源を設けることによって停電や故障時に対応できるようにしてもよい。
【0064】
次にS90に進み、I番台(1番台)の差数を演算する処理が行なわれる。この差数は、利益球数-(不利益球数+持玉数)で算出される。次にS91に進み、差数が打止め設定値に達した否かの判断が行なわれ、達していない場合にはS93に進むが、達している場合にはS92に進み、I番台(1番台)の遊技機制御用マイクロコンピュータに打止信号を出力して自動的に打止制御を行なう。次にS93では、I=Nであるか否かの判断が行なわれる。この段階ではI=1であるためにS93ではNOの判断がなされてS94に進み、I=I+1すなわちIを「1」加算された新たな値に更新する処理が行なわれてS80に戻る。その結果、I=2になるために、次回のS80ないしS92の処理の際には、2番台についての処理が行なわれることになる。このS80ないしS92の処理をN回すなわち遊技場に設置されている遊技機の総設置数だけ行なえば、S93によりYESの判断がなされてS95に進み、再度I=1にして再度1番台からS80ないしS92の処理を繰返して行なうことになる。なお、本実施例では不利益球数として補給球を検出し、利益球数として打込球を検出するようにしたが、不利益球数として補給球の代わりに入賞球や払出球を検出するようにしてもよいし、利益球数として打込球の代わりに発射球とファール球を検出し発射球数からファール球数を減算した球数を利益球数としたり、入賞球とアウト球を検出し入賞球数にアウト球数を加算した球数を利益球数としてもよい。また、台毎に求められた売上情報,差数,利益球数,不利益球数等を1日毎,1か月毎,1年毎に累積して集計してもよく、その集計はパチンコ遊技機1台単位,島単位,遊技場単位で行なってもよい。なお、図13に示したプログラムにおいて、各パチンコ遊技機毎に並列に同時処理を行なうようにしてもよい。また、実不利益球数の演算すなわち補給球数からカード残高更新に対応する球数が取込玉検出器による取込玉の検出に対応する球数を減算し、さらにその結果に現在の持玉数を加算した結果の球数を求める演算をカード処理器5や持玉数記憶中継器8で行なうようにしてもよい。また、遊技終了時にパチンコ玉以外の価値物体(持玉数を特定できる情報が記録された記録媒体や、持玉数に相当するコイン等)を払出すようにしてもよい。この場合には、持玉数を、直接記録媒体に記録してもよく、また、記録媒体を手掛かりに呼出し可能な状態にホール用管理コンピュータに記憶してもよい。
第2の実施例
図18ないし図20で示す第2の実施例は、本発明の実施例である。図18は、パチンコ遊技機の一部内部構造を示す全体背面図である。パチンコ遊技機は、遊技機の一例である。遊技機の他の例としては、アレンジボール等の弾球遊技機やスロットマシン等がある。図5に示す第1の実施例と構造はほぼ同じなので、図5との相違点および第2の実施例の内容を理解するのに必要な部分について説明する。
【0065】
図中157は、遊技機制御用回路基板で、図10に示すCPU251、ROM252、RAM253、入出力回路254や各検出回路、駆動回路を含んでおり、さらに、景品玉数を所定値(たとえば補給玉検出器172から出力されるパルス1パルスに対応する玉数)で分周した信号(以下、景品玉パルスという)を出力するための不利益情報出力回路を含んでいる。
【0066】
また、不利益情報出力回路にはリレースイッチが内臓されており、このリレースイッチがオンオフすることによって景品玉パルスが中継端子基板161を介してホール用管理コンピュータ70に出力されることとなる。なお、このリレースイッチを中継端子基板161に設けるようにしてもよい。また、補給玉検出器172から出力される検出パルスと同様のパルスを出力できるものであれば、パルス発生の方法は本実施例以外の方法であってもよい。
【0067】
また、分周機能のあるアダプタ装置を図3に示すホール用管理コンピュータ70に取付け、このアダプタ装置で景品玉数を所定値で分周してもよいし、このアダプタ装置を島単位または複数台単位で設け、そこで景品玉数を所定値て分周してもよい。
【0068】
また、遊技場用管理装置を、島に設けられ遊技機のデータを集計する中継装置と、中継装置で集計されるデータを時分割的に吸上げるメイン装置とで構成し、このアダプタ装置を中継装置に取付けたり、遊技機と中継装置との間に設けてもよい。
【0069】
パチンコ玉の入賞に伴なって付与される景品玉数に相当する景品玉パルスを導出するための景品玉導出用コネクタ882が、パチンコ遊技機100に設けられている。そして、このパチンコ遊技機100を島に設置したときに、補給玉検出信号導出用コネクタ884に接続されているコネクタ883を、景品玉導出用コネクタ882側に接続しなおす。このようにすると、後で詳述するようにパチンコ遊技機100からの景品玉パルス信号がホール用管理コンピュータ70に送信されて後述するデータ処理に用いられる。
【0070】
カード処理器5に設けられたカード挿入排出口202(図18には図示せず)にカードを挿入し、そのカードに記憶されたカード残額の範囲内で遊技に使用せんとする金額を選別操作ボタン206A?206C(図18には図示せず)を操作して指定する。
【0071】
これにより玉払出装置134が作動し、所定数のパチンコ玉が打球供給樋136を通って、打球待機樋102に供給される。
【0072】
この状態で遊技者が打球装置111を操作すると、打球待機樋102に貯留されたパチンコ玉を1個ずつ遊技領域(図18には図示せず)に打込まれる。遊技領域に打込まれたパチンコ玉が可変入賞球装置999(図18には図示せず)に入賞する等所定遊技状態になったとき、所定の有価価値の一例の得点が遊技者に付与される。所定の有価価値の他の例としては、景品玉を直接付与する等がある。また、所定遊技状態の他の例としては、ドラム等の可変表示装置(図18に図示せず)の停止時の表示結果が所定の識別情報になった等がある。
【0073】
可変入賞球装置等に入賞したパチンコ玉は入賞玉検出器764で検出される。この入賞玉検出器764により、遊技状態が遊技者に所定の有価価値を付与するように定められた所定遊技状態になったことを検出する所定遊技状態検出手段が構成されている。入賞玉検出器764として、マイクロスイッチ、近接スイッチ、光学的検出スイッチ(フォトセンサ利用)等を用いることができる。
【0074】
入賞玉検出器764がパチンコ玉を検出すると、持玉数表示器142(図18には図示せず)に表示された得点に景品玉の個数に相当する得点が加算されて表示される。
【0075】
この第2の実施例においては、遊技終了時、持玉数表示器142に表示された得点に対応するパチンコ玉を遊技者に払出すようにしているが、持玉数表示器142に表示された得点を特定可能な情報をカードに記録してこのカードを遊技者に払出すようにしてもよい。
【0076】
図19は、図14?図16に示した遊技機制御用のプログラムの他の例を示すフローチャートである。主として図14?図16に示した遊技機制御用プログラムとの相違点を説明する。
【0077】
まずS102により入賞玉を検出したか否かの判断がなされ、検出していなければS109に進むが、検出すればS103に進み、持玉数カウンタにNを加算する処理がなされる。このNはパチンコ玉1個の入賞につき払出される景品玉の個数に相当する値でありたとえば「15」である。
【0078】
S103により、所定遊技状態検出手段の検出出力に基づいて所定の有価価値遊技者に付与する価値付与手段が構成されている。
【0079】
次にS104に進み、N/Lの整数部に相当する数の景品玉パルスを出力する処理がなされる。このLはたとえば「10」等の数であり、補給球カウンタ301からパルス信号が1つ導出される毎に補給されている補給球の数に相当する値に定められている。したがって、景品玉カウンタにたとえば「15」が加算された場合には、L=10とするとS104により1パルス分だけ景品玉パルスが弾球遊技機から出力されることになる。
【0080】
弾球遊技機には前述したように景品玉パルスを導出するための景品玉パルス導出用コネクタ882が別途設けられており、図18に示したコネクタ883をその景品玉パルス導出用コネクタ882に接続すれば、前記景品玉パルスはホール用管理コンピュータ70に送信される。
【0081】
一方、S105によりN/Lの小数部の数が小数カウンタに加算される処理がなされる。たとえば、N=15でL=10の場合には15/10=1.5となり、0.5だけ小数カウンタに加算されることになる。
【0082】
次にS106に進み、小数カウンタが1以上になったか否かの判断がなされ、未だに1以上になっていない場合にはS109に進が、1以上になった場合にはS107に進み、小数カウンタから1を減算し、S108により景品玉パルス1パルスホール用管理コンピュータに入力する処理がなされる。
【0083】
S104、S108および景品玉導出用コネクタ882により、価値付与手段によって遊技者に付与された有価価値の大きさが特定可能な情報を、遊技場用管理装置に入力する情報入力手段が構成されている。情報入力手段の他の例としては、補給玉検出器172(図18参照)と処理機制御回路基板177(図18参照)等組合わせたものがある。すなわち、補給玉検出器172で検出したパチンコ玉の個数から遊技者がカードを用いて購入したパチンコ玉の個数(この個数は処理機制御回路基板177から出力される)を減算した値をホール用管理コンピュータへ入力するのである。
【0084】
情報入力手段のさらに他の例としては、精算時玉供給樋138に設けられたパチンコ玉検出器(図示せず)(たとえばフォトセンサ)がある。つまり、終了操作ボタン(図18には図示せず)を押すことにより、持玉数表示器(図18には図示せず)に表示された得点に対応するパチンコ玉が、精算時玉供給樋138を介して遊技者に供給されるが、精算時玉供給樋138を通るパチンコ玉の個数をこのパチンコ玉検出手段で検出し、ホール用管理コンピュータへ入力するのである。
【0085】
また、パチンコ玉が入賞すること等によって得た得点を持玉数表示器とは別に得点表示器に表示し、その得点表示器で表示されている得点を遊技場にとって不利益となる不利益情報としてもよい。しかし、たとえばこのように構成したものにおいて、打球待機樋102内にパチンコ玉がなくなった場合、得点表示器で表示された得点から所定の得点を減算し、この所定の得点に対応するパチンコ玉を打球待機樋102に供給する場合においては、得点表示器で表示された得点と遊技場の不利益とは一致しない。たとえば、得点表示器に100点表示されている場合にパチンコ玉を10個借りたい場合、得点表示器には90点が表示され、90点が不利益情報としてコンピュータに送られる。しかしこの場合、遊技場の不利益は100点である。
【0086】
したがってこのような場合は、得点表示器に表示された得点をコンピュータに入力かる代わりに、この発明の第2の実施例を用いて得たデータを入力すれば、遊技場にとって不利益となる得点を正確に知ることができる。
【0087】
次に、S109ないしS114までの処理は、図14?図16に示したS44ないしS49の処理と同様であり、S115では、持玉数カウンタの値を持玉数表示器で表示する処理のみがなされ、図14?図16に示したS50のように、持玉数カウンタの値をホール用管理コンピュータに出力する処理は行なわれない。このS115の処理がなされた後は、図14?図16に示したS51以降と全く同様の処理が行なわれる。
【0088】
図20は、図17に示したホール管理制御用のプログラムの他の例を示すフローチャートである。図17に示したプログラムとの相違点を説明する。S123の処理が行なわれた後またはS122によりNOの判断がなされた場合には、S124に進み、I番台の景品玉パルスの入力があったか否かの判断がなされ、ない場合にはS126に進むが、あった場合にはS125に進む。S125では、入力パルス数に応じた値をI番台に対応する台別不利益球数記憶部の記憶内容に加算更新する処理がなされる。S124、S125により、情報入力手段により入力された情報に基づいて遊技場にとって不利益となる不利益情報を集計する集計手段が構成されている。次にS126に進み、I番台の打込球カウンタから入力があったか否かの判断がなされ、ない場合にはS128に進むが、あった場合にはS127に進み、I番台に対応する台別利益球数記憶部の記憶内容に入力内容に応じた値を加算更新する処理がなされる。次にS128に進み、I番台の差数を演算する処理がなされる。具体的には、差数=利益球数-不利益球数の式により差数を演算する。ここで、「利益球数」とはS127により加算更新されて記憶されている台別利益球数記憶部の記憶内容の値であり、「不利益球数」とは、S125により加算更新された台別不利益球数記憶部の記憶内容の値である。次にS129以後の処理は図17のS91以降に示した処理と同様である。
【0089】
以上説明したように、図14?図16および図17に示したプログラムでは、実際の不利益球数すなわちパチンコ玉の入賞のみによって持玉数カウンタに加算された値をホール用管理コンピュータ側で不利益球数に持玉数を加算することにより求めているのであるが(S90参照)、図19および図20に示した第2実施例では、実際の不利益球数を遊技機制御用マイクロコンピュータ側において入賞玉を検出した場合にのみ持玉カウンタにNを加算することにより求めているのである(S103参照)。その結果、ホール管理用コンピュータの方ではわざわざ実際の不利益球数を算出する必要がなく、コネクタ883から送られてくるパルス信号を従来どおり台別不利益球数記憶部の記憶内容に加算更新するのみで事足りるのであり、ホール管理用コンピュータの方のプログラムを何ら変更する必要がないのである。
第3の実施例
図21は、本発明の第3の実施例を示すパチンコ遊技機の全体正面図である。この第3実施例において前述した第1実施例と共通する部分は同じ参照番号を付しており、ここでは説明の繰返しを省略し第1実施例と相違する部分のみについて説明する。この第3実施例では、島に設置されている補給樋173から補給装置500,球供給樋507を介して直接玉受皿122内に景品球を所定個数払出すように構成されている。補給装置500はパチンコ玉の供給された数が検出可能な検出器が内蔵されている。この検出器によって検出されたパチンコ玉の数が持玉数表示器142の持玉数に対応する数になれば補給装置500が停止されて景品玉の払出が停止される。また、入賞玉が入賞玉集合樋504により集合されて入賞玉検出器503により検出された後打球集合樋502上に落下するとともに、アウト玉も打球集合樋502上に落下し、アウト玉と入賞玉との両方が打球集合樋502により集合される。そして、打球待機樋102の打玉が減少すれば、球供給樋505によって所定量の打玉が打球待機樋102に再び供給されるとともに、供給された玉数が持玉数表示器142で表示される持玉数から減算される。なお、球供給樋505にもパチンコ玉の供給された数が検出可能な検出器が内蔵されている。つまり、打球待機樋102上のパチンコ玉を弾発発射すれば再度弾発された玉が打球待機樋102上に戻ってくるのであり、この第2実施例のパチンコ玉遊技機100はいわゆる封入玉方式を採用しているのである。なお、図中506は待機樋玉量検出器であり、501はファール玉を打球待機樋に戻すファール口である。なお、封入玉方式に代えて、島の補給樋173から直接パチンコ遊技機を打球待機樋102上に供給してもよい。本第1実施例、第2実施例および第3実施例では、挿入したカードに記録されている有価価値の範囲内で遊技者が使用せんとする金額を選別操作ボタン206A,206B,206Cにより選択するものを示したが、それに代えて、カードを挿入するだけで自動的に一律の金額が減算されてその減算金額の範囲内で打球待機樋上に玉が放出されて遊技が可能になるようにしてもよい。また、選別操作ボタン206A?206Cの選択操作が行なわれた後所定の遊技開始ボタンが操作されて初めて打球待機樋上に玉が放出されるようにしてもよい。つまり、本発明でいう「記録媒体により特定される有価価値を遊技者が使用する旨の操作」とは、使用金額の選択操作のみに限定されず、カードの挿入操作のみあるいは前記選択操作とその選択操作以外の他の操作を含む広い概念である。また、通常のパチンコ遊技機のように上皿を設け、その上皿にパチンコ玉を投入して遊技ができるようにしてもよい。そのようなパチンコ遊技機の場合には、選択操作ボタン206A,206B,206Cによって選択指定された金額に相当するパチンコ玉をすべて上皿に排出して持玉表示器での持玉表示を行なわないようにしてもよい。
【0090】
さらに、前述した実施例では、カード処理機5を遊技機の横側部に配設したものを示したが、カード処理機5は幕板部分や島の下方部さらには分離可能な状態で遊技機に一体的に組み込んで配設してもよく、配設箇所は実施例に限定されない。また打球待機樋102には所定個数のパチンコ玉が供給されるものを示したが、所定量の重さのパチンコ玉や所定量の容積となるパチンコ玉を供給してもよい。つまり、本発明でいう「所定量」とは「所定個数」を含む広い概念である。
【0091】
前記入賞玉検出器764により、遊技機の遊技状態が景品遊技媒体を払出したり得点を付与したりして遊技者に所定の有価価値を付与するように定められた所定遊技状態になったことを検出する所定遊技状態検出手段が構成されている。前記玉払出装置134または持玉数を特定できる情報が記録された記録媒体やコインを払出す旨の前述した記載と、S103,S76,S77,S59により、前記所定遊技状態検出手段の検出出力に基づいて所定の有価価値を遊技者に付与する価値付与手段が構成されている。前記S104?S108により、前記価値付与手段による付与価値が所定量に達する毎にその旨の価値付与情報(景品玉パルス)を前記遊技機から出力して前記遊技場用管理装置へ伝送する情報伝送手段が構成されている。この情報伝送手段が前記価値付与情報(景品玉パルス)を伝送するように定められている前記所定量の付与価値は、遊技機設置島に設置された遊技機に対し玉補給を行なう補給装置が所定数の玉補給を行なう毎にその旨の補給情報を出力するその所定数の補給玉数(実施例では10個の補給玉数)に相当する価値に一致している。コネクタ30により、遊技機が設置される遊技機設置島側に設けられた島側コネクタ(31)が接続可能なコネクタ接続部が構成されている。前記島側コネクタは、遊技機に対し玉補給を行なう補給装置側に接続することにより該補給装置が出力した補給情報を受入れて遊技場用管理装置へ伝送する状態と、前記コネクタ接続部に接続して該コネクタ接続部からの出力情報を受入れて遊技場用管理装置へ伝送する状態とに差し替え可能である。そして、前記価値付与情報が前記コネクタ接続部から出力可能に構成されている。前記S103により、前記価値付与手段に含まれ、前記所定の有価価値が遊技者に付与される毎にその付与価値を累積的に加算記憶する付与価値累積記憶手段が構成されている。そして、前記価値付与手段は、遊技終了時(S76により終了操作の検出がなされたとき)に前記付与価値累積記憶手段に記憶されている累積付与価値に相当する景品遊技媒体または前記累積付与価値を特定可能な記録媒体(景品玉またはコインあるいは記録媒体)を排出する(S59)。そして、前記情報伝送手段は、前記付与価値累積記憶手段への付与価値の加算記憶時に価値付与情報を伝送する(S103により持玉数カウンタへのNの加算時にS104またはS108により景品玉パルスを伝送する)。
【発明の効果】
請求項1に記載の本発明によれば、伝送されてきた価値付与情報により遊技場用管理装置が、遊技者に付与された有価価値すなわち遊技場にとって不利益となる有価価値の大きさを特定可能となり正確な不利益情報を集計可能となるために、遊技場は正確な不利益情報を入手可能となり、遊技場は遊技場にとって不利益となる不利益情報を正確に知ることができる。しかも、価値付与情報が伝送されるように定められている前記所定数の景品遊技媒体は、遊技機設置島に設置された遊技機に対し玉補給を行なう補給装置が所定数の玉補給を行なう毎にその旨の補給情報を出力するその所定数の玉補給数に一致しているために、その出力された価値付与情報を受けて不利益情報を収集する遊技場用管理装置が、補給装置から出力されてくる補給情報を受けて不利益情報を集計する従来から一般的な既存のもので事足りることとなり、遊技場の既存の設備を大幅に改造する必要がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明に係る弾球遊技機が用いられる遊技用管理設備装置を示す全体概略構成図である。
【図2】
本発明に係る弾球遊技機が使用される遊技場を示す全体概略構成図である。
【図3】
遊技場に設置されているホール用管理コンピュータの概略構成図である。
【図4】
本発明に係る弾球遊技機の一例のパチンコ遊技機を示す全体正面図である。
【図5】
カード処理機が設置された状態のパチンコ遊技機の内部構造を示す全体背面図である。
【図6】
パチンコ遊技機に用いられる玉払出装置の横断面図である。
【図7】
パチンコ遊技機に用いられる玉払出装置の縦断面図である。
【図8】
カード処理機に用いられるカードリーダライタの構成を示す縦断面図である。
【図9】
カード処理機の制御回路を示すブロック図である。
【図10】
パチンコ遊技機の制御回路を示すブロック図である。
【図11】
図9に示した制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【図12】
図9に示した制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【図13】
図9に示した制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【図14】
図10に示した制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【図15】
図10に示した制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【図16】
図10に示した制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【図17】
図3に示したホール用管理コンピュータの動作を説明するためのフローチャートである。
【図18】
第2の実施例におけるパチンコ遊技機の一部内部構成を示す全体背面図である。
【図19】
図14?図16に示したフローチャートの第2実施例を示すフローチャートである。
【図20】
図17に示したフローチャートたの第2実施例を示すフローチャートである。
【図21】
本発明の第3の実施例を示すパチンコ遊技機の全体正面図である。
【符号の説明】
70 ホール用管理コンピュータ
100 パチンコ遊技機
764 入賞玉検出器
882 景品玉導出用コネクタ
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2009-01-15 
結審通知日 2009-01-19 
審決日 2009-02-03 
出願番号 特願平3-45182
審決分類 P 1 123・ 03- ZA (A63F)
P 1 123・ 113- ZA (A63F)
P 1 123・ 121- ZA (A63F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 瀬津 太朗  
特許庁審判長 津田 俊明
特許庁審判官 ▲吉▼川 康史
森 雅之
登録日 1999-06-18 
登録番号 特許第2941981号(P2941981)
発明の名称 遊技場の管理設備装置  
代理人 塚本 豊  
代理人 塚本 豊  
代理人 中田 雅彦  
代理人 深見 久郎  
代理人 森田 俊雄  
代理人 森田 俊雄  
代理人 中田 雅彦  
代理人 深見 久郎  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ