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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G02B
管理番号 1195904
審判番号 不服2007-19496  
総通号数 114 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-06-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-07-12 
確定日 2009-04-13 
事件の表示 特願2001-332505「反射防止フィルムを用いた低反射偏光板と表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 5月14日出願公開、特開2003-139904〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯及び本願発明の認定
本願は平成13年10月30日の出願であって、平成19年3月7日付けで拒絶理由が通知され、同年5月11日付けで意見書及び手続補正書が提出されたが、同年6月6日付けで拒絶査定がなされたため、これを不服として同年7月12日付けで本件審判請求がされるとともに、同年7月23日付けで手続補正書が提出されたものである。
そして、当審においてこれを審理した結果、平成20年11月21日付けで拒絶理由を通知したところ、平成21年1月21日付けで意見書が提出されるとともに、同日付けで明細書について手続補正がされたものである。

したがって、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成21年1月21日付けで補正された明細書の特許請求の範囲の【請求項1】に記載された事項によって特定される次のとおりのものと認める。

「吸収二色性偏光子の両側に保護層を有する偏光板であって、前記保護層のうちの少なくとも一方が、
透光性フィルムの片面に直接あるいは他の層を介してハードコート層を設け、さらにこのハードコート層の表面にコーティングにより低屈折率層が積層された反射防止フィルムであり、
前記反射防止フィルムは、初期帯電圧の値が、-3kV以上+18kV以下である表面を有しており、前記初期帯電圧の値は、JIS L 0803に記載の毛の摩擦布を用い、20℃、60%RHの環境下でJIS L 1094(1997)に記載の摩擦帯電減衰測定法に準じて測定されたものであり、
前記反射防止フィルムは、埃拭き取り性を有することを特徴とする偏光板。」


第2 当審の判断
1 引用刊行物の記載事項
当審で通知した拒絶理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開平7-287102号公報(以下、「引用例1」という。)には、以下のアないしコの記載が図示とともにある。

ア 「【請求項1】 (1)透明基材フィルムの表裏面の少なくとも一面に表面層である低屈折率層が、他の層を介して形成されており、
(2)該他の層の少なくとも一層がバインダー樹脂を主体とするハードコート層であって、該ハードコート層は低屈折率層と直接接しており、
(3)該ハードコート層の屈折率が、該ハードコート層の前記低屈折率層側とは反対側の面に接する層の屈折率よりも高いことを特徴とする反射防止フィルム。」

イ 「【請求項3】 前記ハードコート層は、バインダー樹脂と、該バインダー樹脂の屈折率よりも高い屈折率1.5以上の高屈折率微粒子とを含むことを特徴とする請求項1又は2記載の反射防止フィルム。
【請求項4】 前記高屈折率微粒子は、ZnO、TiO_(2) 、Sb_(2) O_(5) 、SnO_(2) 、ITO、CeO_(2) から選ばれた1種以上の微粒子である請求項3記載の反射防止フィルム。」

ウ 「【請求項8】 前記他の層が、接着剤層、プライマー層又はハードコート層である請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の反射防止フィルム。
【請求項9】 (1)透明基材フィルムの表裏面の少なくとも一面に、直接又は他の層を介して、バインダー樹脂と該バインダー樹脂の屈折率よりも高い屈折率を有する高屈折率微粒子とを含む樹脂組成物であって、且つ該樹脂組成物の屈折率が最終製品としての反射防止フィルムの層構成における該樹脂組成物を使用する層の下側に直接接する層の屈折率よりも高い屈折率である樹脂組成物を塗工して塗膜を形成し、
(2)該塗膜を硬化させて高屈折率ハードコート層とし、
(3)次いで、該高屈折率ハードコート層上に、該高屈折率ハードコート層の屈折率よりも低い屈折率の低屈折率層を設けることを特徴とする反射防止フィルムの製造方法。」

エ 「【請求項15】 前記低屈折率層を設ける方法は、塗布により設けるものである請求項9、10又は11記載の反射防止フィルムの製造方法。
【請求項16】 前記他の層が、接着剤層、プライマー層又はハードコート層である請求項9、10、12、13、14又は15記載の反射防止フィルムの製造方法。
【請求項17】 請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載の反射防止フィルムが、偏光素子にラミネートされていることを特徴とする偏光板。」

オ 「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ワープロ、コンピュータ、テレビ等の各種ディスプレイ、液晶表示装置に用いる偏光板の表面、透明プラスチック類サングラスレンズ、度付メガネレンズ、カメラ用ファインダーレンズなどの光学レンズ、各種計器のカバー、自動車、電車等の窓ガラス等の表面の反射防止に優れた反射防止フィルム及びその製造方法に関する。」

カ 「【0009】一方、従来、液晶表示装置には、液晶素子に光のシャッターの役目をするフィルム状の偏光素子が設けられているが、この偏光素子自体の保護のために、ガラス、透明プラスチック板又は透明プラスチックフィルム等の透明保護基板が偏光素子に貼合されて偏光板が形成されている。この偏光板においても、偏光素子に貼合される透明保護基板自体も傷が付くことがあるので、前記従来の反射防止フィルムと同様にこのようなハード性能を持たせた透明保護基板が公開されている。このような技術として、例えば、特開平1-105738号公報に記載されるものがある。この公報には、偏光素子に貼合されて偏光板を形成するための光制御用トリアセチルアセテートフィルムが開示されている。このフィルムは、未ケン化のトリアセチルアセテートフィルムの一方の面に、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂からなる硬化塗膜を設けることによりハード性能に優れたトリアセチルアセテートフィルムとしている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従来の透明プラスチックフィルム及び透明プラスチック板等の透明保護基板のハード性能を改善するために形成された塗膜は通常数μmと厚いため外部から入射した光がこの塗膜と他の層との界面において反射されるため、反射防止効果を低下させる原因となっていた。
【0011】そこで本発明の目的は、反射防止性と同時にハード性能を付与し、且つ内部の各層間の界面における光の反射を低減することができる反射防止フィルム及びその製造方法を提供することを目的とする。」

キ 「【0031】ハードコート層の屈折率を高くするためには、高屈折率を持つバインダー樹脂を使用するか、ハードコート層に用いられるバインダー樹脂の屈折率よりも高い屈折率を有する高屈折率微粒子をバインダー樹脂に添加することによって行なうか、あるいは、これらを併用することによって行なう。」

ク 「【0034】前記高屈折率微粒子には、例えば、ZnO(屈折率1.90)、TiO_(2) (屈折率2.3?2.7)、CeO_(2) (屈折率1.95)、Sb_(2) O_(5) (屈折率1.71)、SnO_(2) 、ITO(屈折率1.95)、Y_(2) O_(3) (屈折率1.87)、La_(2) O_(3) (屈折率1.95)、ZrO_(2) (屈折率2.05)、Al_(2) O_(3) (屈折率1.63)等が挙げられる。これらの高屈折率微粒子のうち、ZnO、TiO_(2) 、CeO_(2) 等を用いることにより、本発明の反射防止フィルムにUV遮蔽効果がさらに付与されるので好ましい。また、アンチモンがドープされたSnO_(2)或いはITOを用いることにより、電子伝導性が向上し、帯電防止効果によるホコリの付着防止、或いは本発明の反射防止フィルムをCRTに用いた場合の電磁波シールド効果が得られるので好ましい。高屈折率微粒子の粒径は、ハードコート層を透明とするためには400nm以下であることが好ましい。」

ケ 「【0047】他の層:本発明の反射防止フィルムには、上記に説明した各層の他に、各種機能性を付与するための層をさらに設けることができる。例えば、透明基材フィルムとハードコート層との接着性を向上させる等の理由で、透明基材フィルム上にプライマー層や或いは接着剤層を設けたり、また、ハード性能向上のためにハードコート層を複数層設けてもよい。上記のように透明基材フィルムとハードコート層の中間に設けられるその他の層の屈折率は、透明基材フィルムの屈折率とハードコート層の屈折率との中間の値とすることが好ましい。」

コ 「【0059】偏光板及び液晶表示装置:偏光素子に本発明の反射防止フィルムをラミネートすることによって、反射防止性の改善された偏光板とすることができる。この偏光素子には、よう素又は染料により染色し、延伸してなるポリビニルアルコールフィルム、ポリビニルホルマールフィルム、ポリビニルアセタールフィルム、エチレン-酢酸ビニル共重合体系ケン化フィルム等を用いることができる。このラミネート処理にあたって接着性を増すため及び静電防止のために、前記反射防止フィルムの基材フィルムが例えば、トリアセチルセルロースフィルムである場合には、トリアセチルセルロースフィルムにケン化処理を行う。このケン化処理はトリアセチルセルロースフィルムにハードコートを施す前または後のどちらでもよい。
【0060】図14に本発明の反射防止フィルムが使用された偏光板の一例を示す。図中、15は本発明の反射防止フィルムであり、前記で説明したように透明基材フィルムとしてのTACフィルム(トリアセチルセルロースフィルムの略)17、高屈折率ハードコート層12、低屈折率層13から形成されている。該反射防止フィルム15が偏光素子16上にラミネートされており、一方、偏光素子16の他面にはTACフィルム17がラミネートされている。この偏光板の各層間には必要に応じて接着剤層が設けられる。特に、高屈折率ハードコート層12と透明基材フィルムとしてのTACフィルム17との間に、接着剤層を設けることが望ましい。この図14に示した偏光板の層構成は、TACフィルム/偏光素子/反射防止フィルムと簡略に表示することができる。また本発明の反射防止フィルムが使用された偏光板の別の例には、偏光素子16の両面に本発明の反射防止フィルム15がラミネートされたものでもよい。」

2 引用例1記載の発明の認定
引用例1の上記記載事項アないしコから、引用例1には次のような発明が記載されていると認めることができる。

「よう素または染料により染色し延伸してなるフィルムからなる偏光素子の両側に、前記偏光素子の透明保護フィルムとしてトリアセチルセルロースフィルムが形成され、
前記トリアセチルセルロースフィルムのうちの少なくとも一方のトリアセチルセルロースフィルムの片面に直接または他の層を介して高屈折率ハードコート層が形成され、前記高屈折率ハードコート層と直接接するように低屈折率層が塗布により設けられた反射防止フィルムが形成された偏光板であって、
前記高屈折ハードコート層はアンチモンがドープされたSnO_(2)或いはITO等の高屈折率微粒子をバインダー樹脂に添加したものからなり、これにより、前記高屈折ハードコート層の電子伝導性が向上し、帯電防止効果によるホコリの付着防止効果が得られる、偏光板。」(以下、「引用発明1」という。)

3 本願発明と引用発明1の一致点及び相違点の認定
(1)引用発明1の「よう素または染料により染色し延伸してなるフィルムからなる偏光素子」、「偏光板」は、それぞれ、本願発明の「吸収二色性偏光子」、「偏光板」に相当する。

(2)引用発明1の「透明保護フィルムとして」の「トリアセチルセルロースフィルム」は、本願発明の「透光性フィルム」に相当する。
そして、引用発明1の「前記トリアセチルセルロースフィルムのうちの少なくとも一方のトリアセチルセルロースフィルムの片面に直接または他の層を介して高屈折率ハードコート層が形成され」ることは、本願発明の「透光性フィルムの片面に直接あるいは他の層を介してハードコート層を設け」ることに相当し、引用発明1の「前記高屈折率ハードコート層と直接接するように低屈折率層が塗布により設けられ」ることは、本願発明の「さらにこのハードコート層の表面にコーティングにより低屈折率層が積層された」ことに相当する。
したがって、引用発明1の「透明保護フィルムとしてトリアセチルセルロースフィルムが形成され、」「前記トリアセチルセルロースフィルムのうちの少なくとも一方のトリアセチルセルロースフィルムの片面に直接または他の層を介して高屈折率ハードコート層が形成され、前記高屈折率ハードコート層と直接接するように低屈折率層が塗布により設けられた反射防止フィルムが形成された」ことは、本願発明の「前記保護層のうちの少なくとも一方が、透光性フィルムの片面に直接あるいは他の層を介してハードコート層を設け、さらにこのハードコート層の表面にコーティングにより低屈折率層が積層された反射防止フィルムであ」ることに相当する。
また、引用発明1の「偏光素子」の一方の側に形成された、「反射防止フィルムが形成された」「透明保護フィルムとしてトリアセチルセルロースフィルム」及び「偏光素子」の他方の側に形成された「透明保護フィルムとしてトリアセチルセルロースフィルム」は、本願発明の「吸収二色性偏光子の両側」の「保護層」に相当する。

(3)したがって、本願発明と引用発明1とは、

「吸収二色性偏光子の両側に保護層を有する偏光板であって、前記保護層のうちの少なくとも一方が、
透光性フィルムの片面に直接あるいは他の層を介してハードコート層を設け、さらにこのハードコート層の表面にコーティングにより低屈折率層が積層された反射防止フィルムであることを特徴とする偏光板。」

である点で一致し、以下の点で相違する。

〈相違点〉
本願発明の「反射防止フィルム」は、「初期帯電圧の値が、-3kV以上+18kV以下である表面を有しており、前記初期帯電圧の値は、JIS L 0803に記載の毛の摩擦布を用い、20℃、60%RHの環境下でJIS L 1094(1997)に記載の摩擦帯電減衰測定法に準じて測定されたものであり」、「埃拭き取り性を有する」ものであるのに対し、引用発明1の「反射防止フィルム」は、「反射防止フィルム」の「高屈折ハードコート層」が「アンチモンがドープされたSnO_(2)或いはITO等の高屈折率微粒子をバインダー樹脂に添加したものからなり、これにより、前記高屈折ハードコート層の電子伝導性が向上し、帯電防止効果によるホコリの付着防止効果が得られる」ものである点。

4 相違点についての判断
(1)表面にハードコート層を有する偏光子の分野では、ハードコート層の導電性を高めて、偏光子の表面の制電性の向上及び帯電防止を図ることにより、ゴミや埃の付着を防ぐことは、本願出願時において当業者に周知の技術的事項である(例えば、引用例1の上記記載事項ク、特開平11-211901号公報(請求項1?7、段落【0001】?【0002】、【0008】、【0034】?【0037】、【0063】?【0092】等)、特開2000-110070号公報(請求項1?9、段落【0001】?【0002】、【0017】、【0037】?【0039】、【0046】?【0047】、【0053】?【0054】、【0060】等)、特開平8-234001号公報(請求項1?4、段落【0002】、【0006】、【0016】?【0025】、【0027】等)を参照。)。
したがって、引用発明1の「反射防止フィルム」の「高屈折ハードコート層」の電子伝導性、すなわち導電性をできる限り向上させて、偏光子の表面の制電性の向上及び帯電防止の効果によるホコリの付着防止効果をできる限り高めようとすることは、当業者にとって想到容易である。
そして、物の表面の導電性を高めて物の表面の制電性及び帯電防止効果を向上させると、前記物にゴミや塵の付着が防止できるだけでなく、付着したゴミや塵が拭き取りにより容易に除去できるようになること、及び、物の表面の摩擦帯電圧の絶対値が小さくなることは、本願出願時における当業者の技術常識である(例えば、特開平10-250013号公報(段落【0005】、【0047】等)、特開昭64-1527号公報(2頁左下欄16?19行、3頁左上欄14?17行、3頁右上欄4?5行、11頁左上欄1行?右上欄17行、12頁左上欄1行?右上欄20行等)、特開平1-132845号公報(9頁右上欄9行?10頁左上欄1行等)を参照。)。
かかる技術常識に照らすと、引用発明1の「反射防止フィルム」の「高屈折ハードコート層」の電子伝導性、すなわち導電性をできる限り向上させて、偏光子の表面の制電性の向上及び帯電防止の効果によるホコリの付着防止効果をできる限り高めようとすると、「反射防止フィルム」は付着したゴミや塵が拭き取りにより容易に除去できる性質を有することになることは明らかである。
また、上述したとおり、物の表面の導電性を高めて物の表面の制電性及び帯電防止効果を向上させると、物の表面の摩擦帯電圧の絶対値が小さくなることは本願出願時における当業者の技術常識であるから、物の表面の導電性を高めて物の表面の制電性及び帯電防止効果を向上させると、JIS L 1094(1997)に記載の摩擦帯電減衰測定法により測定される初期帯電圧の絶対値も小さくなることも明らかである。したがって、引用発明1の「反射防止フィルム」の「高屈折ハードコート層」の電子伝導性、すなわち導電性を高め、付着したゴミや塵が拭き取りにより容易に除去できる指標として、「JIS L 1094(1997)に記載の摩擦帯電減衰測定法に準じて測定された」表面の「初期帯電圧」を選択し、この「初期帯電圧」の値を「-3kV以上+18kV以下」の範囲に設定することは、当業者が適宜設定し得る設計的事項である。
したがって、上記相違点に係る本願発明の発明特定事項を採用することは、当業者にとって想到容易である。

(2)また、上記第2の4(1)で周知技術として挙げた特開平11-211901号公報(特に、【0065】?【0068】、【0071】?【0072】、実施例1?13,21?26を参照。)及び特開2000-110070号公報(特に、【0053】?【0054】を参照。)から、表面にハードコート層を有する偏光子の分野では、ハードコート層の導電性を10^(8)Ω/□程度まで高めて、偏光子の表面の制電性の向上及び帯電防止を図ることにより、ゴミや埃の付着を防ぐことは、本願出願時において当業者に周知の技術的事項である。
したがって、上記周知技術に基づいて、引用発明1の「反射防止フィルム」の「高屈折ハードコート層」の電子伝導性、すなわち導電性を10^(8)Ω/□程度まで向上させて、偏光子の表面の制電性の向上及び帯電防止の効果によるホコリの付着防止効果をできる限り高めようとすることは、当業者にとって想到容易である。
そして、請求人は、平成21年1月21日付けの意見書において、本願の実施例1?4の反射防止膜の表面抵抗率は10^(9)Ω/□以上であることを述べているから、引用発明1に上記周知技術を適用して得られる反射防止フィルムの表面抵抗率は本願の実施例1?4の反射防止膜の表面抵抗率よりも小さいものであるところ、上記第2の4(1)で述べたとおり、物の表面の導電性を高めて物の表面の制電性及び帯電防止効果を向上させると、前記物にゴミや塵の付着が防止できるだけでなく、付着したゴミや塵が拭き取りにより容易に除去できるようになること、及び、物の表面の摩擦帯電圧の絶対値が小さくなることは、本願出願時における当業者の技術常識であるから(例えば、特開平10-250013号公報(段落【0005】、【0047】等)、特開昭64-1527号公報(2頁左下欄16?19行、3頁左上欄14?17行、3頁右上欄4?5行、11頁左上欄1行?右上欄17行、12頁左上欄1行?右上欄20行等)、特開平1-132845号公報(9頁右上欄9行?10頁左上欄1行等)を参照。)、引用発明1に上記周知技術を適用して得られる反射防止フィルムは、本願の実施例1?4の反射防止膜よりも埃拭き取り性が高く、表面の摩擦帯電圧の絶対値が小さいものである。
すると、引用発明1に上記周知技術を適用して得られる反射防止フィルムは、「初期帯電圧の値が、-3kV以上+18kV以下である表面を有しており、前記初期帯電圧の値は、JIS L 0803に記載の毛の摩擦布を用い、20℃、60%RHの環境下でJIS L 1094(1997)に記載の摩擦帯電減衰測定法に準じて測定されたものであり」、「埃拭き取り性を有する」ことは明らかである。
したがって、上記相違点に係る本願発明の発明特定事項を採用することは、当業者にとって想到容易である。

5 本願発明の進歩性の判断
以上のとおり、引用例1に記載された発明に上記相違点に係る本願発明の発明特定事項を採用することは、当業者にとって想到容易である。
また、本願発明の効果も、引用例1に記載された発明、周知技術及び技術常識から当業者が予測し得る程度のものに過ぎない。
したがって、本願発明は引用例1に記載された発明、周知技術及び技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

6 むすび
以上のとおり、本願発明は引用例1に記載された発明、周知技術及び技術常識に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
そして、本願発明が特許を受けることができない以上、本願のその余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-02-13 
結審通知日 2009-02-17 
審決日 2009-03-02 
出願番号 特願2001-332505(P2001-332505)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G02B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 堀井 康司  
特許庁審判長 村田 尚英
特許庁審判官 小松 徹三
日夏 貴史
発明の名称 反射防止フィルムを用いた低反射偏光板と表示装置  
代理人 特許業務法人池内・佐藤アンドパートナーズ  
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