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審決分類 |
審判 査定不服 4項1号請求項の削除 特許、登録しない。 G09F 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G09F 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G09F 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 G09F 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09F |
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管理番号 | 1195930 |
審判番号 | 不服2008-4852 |
総通号数 | 114 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2009-06-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2008-02-28 |
確定日 | 2009-04-16 |
事件の表示 | 特願2003- 39869「複合型表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 9月 9日出願公開、特開2004-251981〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は平成15年2月18日の出願であって、平成19年10月12日付けで拒絶理由が通知され、同年11月30日付けで意見書及び手続補正書が提出されたが、平成20年1月25日付けで拒絶査定がなされたため、これを不服として同年2月28日付けで本件審判請求がされるとともに、同年3月25日付けで手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。 第2 補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成20年3月25日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1 本件補正の内容 本件補正は、平成19年11月30日付けの手続補正により補正された明細書の特許請求の範囲についての 「【請求項1】 複数の表示パネルが互いに接合され、前記各表示パネルの出力画像が複合されて一の画像表示がなされる複合型の表示装置であって、 互いに隣接する2つの表示パネルは階段状に重なるように配置され、 前記2つの表示パネルのうちの一方の表示パネルの表示部の外側に配された透明な基材部が他方の表示パネルの表示部に重ねられ、 前記2つの表示パネルのうちの他方の表示パネルの表示部の外側に配された駆動部が前記一方の表示パネルの表示部と平面視で重なるように配置されていることを特徴とする、複合型表示装置。 【請求項2】 前記透明な基材部の重なり方向が、表示パネルの並び方向に対して互い違いとなるように接合された連続する三以上の表示パネルを含むことを特徴とする、請求項1記載の複合型表示装置。 【請求項3】 前記各表示パネルが、前記表示部の端辺に駆動部を有する反射型又は自発光型の表示パネルとして構成され、 互いに隣接する一方の表示パネルの表示部が他方の表示パネルの駆動部に重ねて配置されるとともに、前記一方の表示パネルの表示部の外側に配された透明な基材部が前記他方の表示パネルの表示部に重ねて配置されたことを特徴とする、請求項1記載の複合型表示装置。 【請求項4】 複数の表示パネルが互いに接合され、前記各表示パネルの出力画像が複合されて一の画像表示がなされる複合型の表示装置であって、 互いに接合された複数の表示パネルからなるパネルユニットを複数備え、 前記各パネルユニットにおいて、互いに隣接する一方の表示パネルの表示部の外側に配された透明な基材部は他方の表示パネルの表示部に重ねられ、前記各表示パネルの表示部が平面視で隙間なく一方向に隣接配置されて一つの表示面が構成され、 互いに隣接する2つのパネルユニットは階段状に重なるように配置され、 前記2つのパネルユニットのうちの一方のパネルユニットの表示面の外側に配された透明な基材部は他方のパネルユニットの表示面に重ねられ、 前記2つのパネルユニットのうちの他方のパネルユニットの表示部の外側に配された駆動部が前記一方のパネルユニットの表示面と平面視で重なるように配置されていることを特徴とする、複合型表示装置。 【請求項5】 前記表示パネルは、ボトムエミッション型の有機ELパネルであり、前記表示パネルの表示側とは反対側の面に駆動部が形成され、前記表示パネルの表示側の面に他の表示パネルの表示側とは反対側の面が積層され、前記表示パネルの駆動部と前記他の表示パネルの表示部とが平面視で重なるように配置されていることを特徴とする、請求項1?4のいずれかの項に記載の複合型表示装置。 【請求項6】 前記各表示パネルの表示部において、隣接する他の表示パネルの基材部と平面的に重なる領域とそれ以外の領域との輝度差を補償するための補償駆動がなされることを特徴とする、請求項1?5のいずれかの項に記載の複合型表示装置。」 の記載を、 「【請求項1】 複数の表示パネルが互いに接合され、前記各表示パネルの出力画像が複合されて一の画像表示がなされる複合型の表示装置であって、 前記各表示パネルは、前記表示部の端辺に駆動部を有する反射型又は自発光型の表示パネルとして構成され、 互いに隣接する2つの表示パネルは階段状に重なるように配置され、 前記2つの表示パネルのうちの一方の表示パネルの表示部の外側に配された透明な基材部が他方の表示パネルの表示部に重ねられ、 前記2つの表示パネルのうちの他方の表示パネルの表示部の外側に配された駆動部が前記一方の表示パネルの表示部と平面視で重なるように配置され前記一方の表示パネルと接触していることを特徴とする、複合型表示装置。 【請求項2】 前記透明な基材部の重なり方向が、表示パネルの並び方向に対して互い違いとなるように接合された連続する三以上の表示パネルを含むことを特徴とする、請求項1記載の複合型表示装置。 【請求項3】 複数の表示パネルが互いに接合され、前記各表示パネルの出力画像が複合されて一の画像表示がなされる複合型の表示装置であって、 前記各表示パネルは、前記表示部の端辺に駆動部を有する反射型又は自発光型の表示パネルとして構成され、 互いに接合された複数の表示パネルからなるパネルユニットを複数備え、 前記各パネルユニットにおいて、互いに隣接する一方の表示パネルの表示部の外側に配された透明な基材部は他方の表示パネルの表示部に重ねられ、前記各表示パネルの表示部が平面視で隙間なく一方向に隣接配置されて一つの表示面が構成され、 互いに隣接する2つのパネルユニットは階段状に重なるように配置され、 前記2つのパネルユニットのうちの一方のパネルユニットの表示面の外側に配された透明な基材部は他方のパネルユニットの表示面に重ねられ、 前記2つのパネルユニットのうちの他方のパネルユニットの表示部の外側に配された駆動部が前記一方のパネルユニットの表示面と平面視で重なるように配置され前記一方のパネルユニットと接触していることを特徴とする、複合型表示装置。 【請求項4】 前記表示パネルは、ボトムエミッション型の有機ELパネルであり、前記表示パネルの表示側とは反対側の面に駆動部が形成され、前記表示パネルの表示側の面に他の表示パネルの表示側とは反対側の面が積層され、前記表示パネルの駆動部と前記他の表示パネルの表示部とが平面視で重なるように配置されていることを特徴とする、請求項1?3のいずれかの項に記載の複合型表示装置。 【請求項5】 前記各表示パネルの表示部において、隣接する他の表示パネルの基材部と平面的に重なる領域とそれ以外の領域との輝度差を補償するための補償駆動がなされることを特徴とする、請求項1?4のいずれかの項に記載の複合型表示装置。」 と補正することを含むものである。 2 本件補正の適否の検討 (1)目的要件についての検討 本件補正は、(ア)本件補正前の請求項3を削除するとともに、(イ)本件補正前の請求項1,4の「表示部の外側に配された駆動部」を本件補正後の請求項1,3の「表示部の端辺に駆動部を有する」「表示パネル」として、「表示パネル」に配される「駆動部」の配置場所を「表示部の端辺」と限定し、(ウ)本件補正前の請求項1,4の「表示パネル」を本件補正後の請求項1,3の「反射型又は自発光型の表示パネル」として、「表示パネル」の種類を限定し、(エ)本件補正前の請求項1,4の「他方の表示パネル」の「駆動部」を本件補正後の請求項1,3の「他方の表示パネル」の「駆動部」が「前記一方の表示パネルに接触し」ているとして、「他方の表示パネル」の「駆動部」の配置態様を「前記一方の表示パネルと接触」するものと限定し、(オ)本件補正前の請求項3の削除に伴って、本件補正前の請求項5の「請求項1?4のいずれかの項」及び本件補正前の請求項6の「請求項1?5のいずれかの項」を本件補正後の請求項4の「請求項1?3のいずれかの項」及び本件補正後の請求項5の「請求項1?4のいずれかの項」とすることを目的とする補正である。 すると、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項(以下、単に「特許法第17条の2第4項」という。)第1号に掲げる「請求項の削除」及び同条項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。 したがって、本件補正は、同法第17条の2第4項の規定に適合する。 (2)独立特許要件についての検討 上記第2の2(1)で検討したとおり、本件補正のうち本件補正前の請求項1を本件補正後の請求項1とする補正は、特許法第17条の2第4項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正を含む補正である。 そこで、本件補正が、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項(以下、単に「特許法第17条の2第5項」という。)において準用する同法第126条第5項に規定する要件を満たすか否か、すなわち、本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるか否かを検討する。 ア 本願補正発明の認定 本願補正発明には「前記表示部」が記載されているが、「前記表示部」という記載によりも前に「表示部」という記載が存在しないので、「前記表示部」が何を指しているのか不明である。 しかし、本願補正発明には「一方の表示パネルの表示部」及び「他方の表示パネルの表示部」と記載されていることから、本願補正発明の「前記表示部」は「表示部」の誤記であることは明らかである。 そこで、本願補正発明の「前記表示部」は「表示部」の誤記と認めて審理を行う。 すると、本件補正により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1の記載から、本願補正発明は、次のとおりのものと認める。 「複数の表示パネルが互いに接合され、前記各表示パネルの出力画像が複合されて一の画像表示がなされる複合型の表示装置であって、 前記各表示パネルは、表示部の端辺に駆動部を有する反射型又は自発光型の表示パネルとして構成され、 互いに隣接する2つの表示パネルは階段状に重なるように配置され、 前記2つの表示パネルのうちの一方の表示パネルの表示部の外側に配された透明な基材部が他方の表示パネルの表示部に重ねられ、 前記2つの表示パネルのうちの他方の表示パネルの表示部の外側に配された駆動部が前記一方の表示パネルの表示部と平面視で重なるように配置され前記一方の表示パネルと接触していることを特徴とする、複合型表示装置。」 イ 引用刊行物の記載事項 本願出願前に頒布された刊行物である特開平9-130701号公報(以下、「引用例1」という。)には、以下の(ア)ないし(キ)の記載が図面とともにある。 (ア)「【特許請求の範囲】 【請求項1】 略四角形状に形成され周囲の連続する2片に駆動部が配置された平面型の画像表示デバイスを複数個備え、前記複数の画像表示デバイスは、前記駆動部を覆って階段状に順次重ね合わされるように並設されることを特徴とする画像表示装置。 【請求項2】 前記複数の画像表示デバイスは、中央部に位置する前記画像表示デバイスが奥側となり、周辺部に位置する前記画像表示デバイスが手前側となるように、階段状に順次重ね合わされることを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。 【請求項3】 略四角形状に形成され周囲の1片に駆動部が配置された平面型の画像表示デバイスを複数個備え、前記複数の画像表示デバイスは、前記駆動部を覆って階段状に順次重ね合わされるように並設されることを特徴とする画像表示装置。 【請求項4】 前記複数の画像表示デバイスは、一方の端部に位置する前記画像表示デバイスが奥側となり、他方の端部に位置する前記画像表示デバイスが手前側となるように、階段状に順次重ね合わされることを特徴とする請求項3記載の画像表示装置。」 (イ)「【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、例えば液晶ディスプレイ・デバイスやプラズマ・ディスプレイ・デバイス等の平面型ディスプレイ・デバイスを複数個用いて大画面表示を可能とした画像表示装置に関する。」 (ウ)「【0006】 【発明が解決しようとする課題】以上のように、液晶ディスプレイ・デバイスやプラズマ・ディスプレイ・デバイス等に代表される平面型ディスプレイ・デバイスを用いた画像表示システムでは、大画面表示には不向きであるという問題を有している。また、CRTディスプレイを用いたビデオ・ウォールのような画像表示システムは、大規模化し難くしかも高解像度の画像を得ることが困難であるという不都合がある。 【0007】そこで、この発明は上記事情を考慮してなされたもので、平面型ディスプレイ・デバイスを用い簡易な構成で高精細な大画面表示を可能とし得る極めて良好な画像表示装置を提供することを目的とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】この発明に係る画像表示装置は、略四角形状に形成され周囲の連続する2片に駆動部が配置された平面型の画像表示デバイスを複数個備え、この複数の画像表示デバイスを、駆動部を覆って階段状に順次重ね合わされるように並設したものである。 【0009】また、この発明に係る画像表示装置は、略四角形状に形成され周囲の1片に駆動部が配置された平面型の画像表示デバイスを複数個備え、この複数の画像表示デバイスを、駆動部を覆って階段状に順次重ね合わされるように並設したものである。 【0010】上記のような構成によれば、複数の画像表示デバイスを、駆動部を覆って階段状に順次重ね合わされるように並設したので、平面型ディスプレイ・デバイスを用い簡易な構成で高精細な大画面表示を可能とすることができる。特に、高精度で複雑な表示デバイスや、高速で動作し消費電力も大きく複雑な信号処理回路等を使うことなく、迫力があって効果の大きな大画面画像を手軽に得ることができる。 【0011】また、従来の液晶デバイスを組み合わせる際に問題となっていた、画像の継ぎ目の表示できない部分(通常、黒い線となってしまう部分)を細くすることができ、大画面で観賞する際に、実用上、障害とならない程度に軽減できる効果もある。さらに、従来、不可能であった、超大画面の画像も得ることができ、大人数で一度に同じ画像を観賞する場合に有効となる。(以下省略)」 (エ)「【0013】 【発明の実施の形態】以下、この発明の第1の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1において、符号11?14は、それぞれ平面型の画像表示デバイスであり、例えば液晶表示デバイスやプラズマ表示デバイス等が想定されている。これら4枚の画像表示デバイス11?14は、それぞれ、画像が表示される略長方形状に形成された画像表示領域11a?14aを有している。そして、各画像表示デバイス11?14は、その画像表示領域11a?14aの周囲の連続する2片に、駆動部11b?14b(図中斜線で示す)が配置されている。」 (オ)「【0028】図6(a),(b)は、水平方向に8枚、垂直方向に8枚の、合計64枚の画像表示デバイスを並べることにより、大画面表示を行なった例を示している。この場合、図1に示したように配列された4つの画像表示デバイス11?14を中心部に設置し、それらの駆動部11b?14bを覆うように、新たな画像表示デバイス28,28,……を重ね合わせ、さらに、その新たな画像表示デバイス28,28,……の駆動部を覆うように、他の新たな画像表示デバイス28,28,……を重ね合わせるという構成を繰り返すことで、大画面を構成している。 【0029】図6(a)は、同図(b)をA-A線で切り、矢印で示す方向に見た状態を示している。すなわち、中心となる画像デバイス13,14が最も奥に配置され、周辺部に近付くにつれて手前側に浮き出すように複数の画像表示デバイス28,28,……が順次重ね合わされて配置されている。このような構成によれば、全体的に凹面鏡のような形状の画像表示装置が構築され、奥行き感のある画像表示ができるので、立体感のある迫力ある画像を再現することができる。また、正面から観賞すると、画像表示デバイス28,28,……同士の継ぎ目がほとんど気にならず、自然な画像表示が行なえるようになる。」 (カ)「【0035】次に、図9は、この発明の第2の実施の形態を示している。図9において、符号38?41は、それぞれ平面型の画像表示デバイスであり、例えば液晶表示デバイスやプラズマ表示デバイス等が想定されている。これら4枚の画像表示デバイス38?41は、それぞれ、画像が表示される略長方形状に形成された画像表示領域38a?41aを有している。そして、各画像表示デバイス38?41には、その画像表示領域38a?41aの周囲の短い方の1片に、駆動部38b?41b(図中斜線で示す)が配置されている。」 (キ)「【0037】図10(a),(b)は、上記の画像表示デバイス38?41を、水平方向に8枚、垂直方向に8枚の、合計64枚並べることにより、大画面表示を行なった例を示している。この場合、図9に示したように配列された4つの画像表示デバイス38?41を中心部に設置し、それらの駆動部38b?41bを覆うように、新たな画像表示デバイス42,42,……を重ね合わせ、さらに、その新たな画像表示デバイス42,42,……の駆動部を覆うように、他の新たな画像表示デバイス42,42,……を重ね合わせるという構成を繰り返すことで、大画面を構成している。 【0038】図10(a)は、同図(b)をB-B線で切り、矢印で示す方向に見た状態を示している。すなわち、中心となる画像デバイス40,41が最も奥に配置され、周辺部に近付くにつれて手前側に浮き出すように複数の画像表示デバイス42,42,……が順次重ね合わされて配置されている。このような構成によれば、凹面鏡状ではないが、全体的にシリンドリカル状あるいは蒲鉾状の画像表示装置が構築され、やはり奥行き感のある画像表示ができるので、立体感のある迫力ある画像を再現することができる。また、正面から観賞すると、画像表示デバイス42,42,……同士の継ぎ目がほとんど気にならず、自然な画像表示が行なえるようになる。 【0039】なお、図11は、各画像表示デバイス38?41,42,42,……の他の並べ方を示すもので、図10(b)をB-B線で切り、矢印で示す方向に見た状態を示している。すなわち、図中右側の画像表示デバイス42を一番奥に配置し、その駆動部42bを覆うように他の画像表示デバイス42を重ね合わせて配置するという階段状の構成を繰り返すことで、平面的な大画面を構築している。」 ウ 引用例1記載の発明の認定 (ア)引用例1の上記記載事項(オ)び(キ)の「画像表示デバイス・・・同士の継ぎ目がほとんど気にならず、自然な画像表示が行なえるようになる。」との記載及び図6,10,11から、引用例1には、複数の画像表示デバイスのうちの一つの画像表示デバイスの画像表示領域が前記一つの画像表示デバイスに隣接する他の画像表示デバイスの駆動部を覆うように、前記複数の画像表示デバイスが階段状に順次重ね合わされて並設されたことが記載されていると認めることができる。 (イ)したがって、引用例1の上記記載事項(ア)ないし(キ)から、引用例1には次のような発明が記載されていると認めることができる。 「画像表示領域の周囲の1片または連続する2片に駆動部が配置された平面型の画像表示デバイスを複数個備え、前記複数の画像表示デバイスのうちの一つの画像表示デバイスの前記画像表示領域が前記一つの画像表示デバイスに隣接する他の画像表示デバイスの前記駆動部を覆うように、前記複数の画像表示デバイスが階段状に順次重ね合わされて並設されており、前記複数の画像表示デバイス同士の継ぎ目がほとんど気にならず、自然な画像表示が行える画像表示装置。」(以下、「引用発明1」という。) エ 本願補正発明と引用発明1の一致点及び相違点の認定 (ア)引用発明1の「画像表示デバイス」は、本願補正発明の「表示パネル」に相当する。 したがって、引用発明1の「複数の画像表示デバイスが階段状に順次重ね合わされて並設されており、前記複数の画像表示デバイス同士の継ぎ目がほとんど気にならず、自然な画像表示が行える画像表示装置」と本願補正発明の「複数の表示パネルが互いに接合され、前記各表示パネルの出力画像が複合されて一の画像表示がなされる複合型の表示装置」とは、「複数の表示パネルの各表示パネルの出力画像が複合されて一の画像表示がなされる複合型の表示装置」である点で一致する。 (イ)引用発明1の「画像表示デバイス」、「画像表示領域」、「駆動部」は、それぞれ、本願補正発明の「表示パネル」、「表示部」、「駆動部」に相当する。 そして、引用発明1の「画像表示領域の周囲の1片または連続する2片」は、本願補正発明の「表示部の端辺」に相当する。 したがって、引用発明1の「画像表示領域の周囲の1片または連続する2片に駆動部が配置された平面型の画像表示デバイス」と本願補正発明の「各表示パネルは、表示部の端辺に駆動部を有する反射型又は自発光型の表示パネルとして構成され」ることとは、「各表示パネルは、表示部の端辺に駆動部を有する表示パネルとして構成され」る点で一致する。 (ウ)引用発明1の「画像表示デバイス」は、本願補正発明の「表示パネル」に相当する。 したがって、引用発明1の「前記複数の画像表示デバイスのうちの一つの画像表示デバイスの前記画像表示領域が前記一つの画像表示デバイスに隣接する他の画像表示デバイスの前記駆動部を覆うように、前記複数の画像表示デバイスが階段状に順次重ね合わされて並設され」ることは、本願補正発明の「互いに隣接する2つの表示パネルは階段状に重なるように配置され」ることに相当する。 (エ)引用発明1の「画像表示領域」、「駆動部」、「一つの画像表示デバイス」、「前記一つの画像表示デバイスに隣接する他の画像表示デバイス」は、それぞれ、本願補正発明の「表示部」、「駆動部」、「一方の表示パネル」、「一方の表示パネル」に「隣接する」「他方の表示パネル」に相当する。 そして、引用発明1の「画像表示デバイス」の「画像表示領域の周囲の1片または連続する2片」は、本願補正発明の「表示パネルの表示部の外側」に相当する。 したがって、引用発明1の「画像表示領域の周囲の1片または連続する2片に駆動部が配置された」「複数の画像表示デバイスのうちの一つの画像表示デバイスの前記画像表示領域が前記一つの画像表示デバイスに隣接する他の画像表示デバイスの前記駆動部を覆う」ことと本願補正発明の「前記2つの表示パネルのうちの他方の表示パネルの表示部の外側に配された駆動部が前記一方の表示パネルの表示部と平面視で重なるように配置され前記一方の表示パネルと接触していること」とは、「前記2つの表示パネルのうちの他方の表示パネルの表示部の外側に配された駆動部が前記一方の表示パネルの表示部と平面視で重なるように配置され」る点で一致する。 (オ)すると、本願補正発明と引用発明1とは、 「複数の表示パネルの各表示パネルの出力画像が複合されて一の画像表示がなされる複合型の表示装置であって、 前記各表示パネルは、表示部の端辺に駆動部を有する表示パネルとして構成され、 互いに隣接する2つの表示パネルは階段状に重なるように配置され、 前記2つの表示パネルのうちの他方の表示パネルの表示部の外側に配された駆動部が前記一方の表示パネルの表示部と平面視で重なるように配置されていることを特徴とする、複合型表示装置。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 〈相違点1〉 本願補正発明の「複数の表示パネル」は「互いに接合され」、本願補正発明の「2つの表示パネルのうちの他方の表示パネルの表示部の外側に配された駆動部」は「前記一方の表示パネルと接触している」のに対し、引用発明1の「複数の画像表示デバイス」は「前記複数の画像表示デバイスのうちの一つの画像表示デバイスの前記画像表示領域が前記一つの画像表示デバイスに隣接する他の画像表示デバイスの前記駆動部を覆うように、」「階段状に順次重ね合わされて並設され」ている点。 〈相違点2〉 本願補正発明の「表示パネル」は「反射型又は自発光型の表示パネル」であるのに対し、引用発明1の「平面型の画像表示デバイス」にはこのような限定がない点。 〈相違点3〉 本願補正発明の「一方の表示パネルの表示部の外側」に「透明な基材部」が配され、前記「一方の表示パネル」の「透明な基材部」が「他方の表示パネルの表示部に重ねられ」ているのに対し、引用発明1の「平面型の画像表示デバイス」の表示部の外側に前記「透明な基材部」が配されるとの限定がない点。 オ 相違点についての判断 (ア)相違点1について 引用例1の上記記載事項(オ)及び(キ)の「画像表示デバイス・・・同士の継ぎ目がほとんど気にならず、自然な画像表示が行なえるようになる。」との記載及び図6,10,11から、引用発明1の「画像表示装置」では、「一つの画像表示デバイスの前記画像表示領域」と「前記一つの画像表示デバイスに隣接する他の画像表示デバイスの前記駆動部」とが接触し、前記「一つの画像表示デバイス」と「前記一つの画像表示デバイスに隣接する他の画像表示デバイス」とが互いに接合されていると認めることができる。 また、仮に上記のように認めることができないとしても、平面型画像表示装置の分野では、画像表示装置の薄型化を図ることは本願出願時において当業者に周知の課題であるから、引用発明1の複数の「平面型の画像表示デバイス」が並設された「画像表示装置」の薄型化を図るために、「一つの画像表示デバイスの前記画像表示領域」と「前記一つの画像表示デバイスに隣接する他の画像表示デバイスの前記駆動部」とが接触するようにし、それに伴って、前記「一つの画像表示デバイス」と「前記一つの画像表示デバイスに隣接する他の画像表示デバイス」とが互いに接合するようにすることは、当業者にとって容易に想到し得る。 したがって、上記相違点1は実質的に相違点ではない、または、仮に、上記相違点1が実質的に相違点であるとしても、上記相違点1に係る本願補正発明の発明特定事項を採用することは、当業者にとって想到容易である。 (イ)相違点2について 引用発明1の「画像表示装置」は複数の「平面型の画像表示デバイス」が並設されたものである。 そして、反射型又は自発光型の平面型表示デバイスは、本願出願時において当業者に周知の技術的事項である(自発光型の平面型表示デバイスの一例として、特開2001-43971号公報に記載された有機ELパネルを、反射型の平面型表示デバイスの一例として、特開平7-20443号公報に記載された反射型液晶パネルをそれぞれ参照のこと。)。 すると、引用発明1の「平面型の画像表示デバイス」として、上記周知技術の反射型又は自発光型の平面型表示デバイスを採用することは、当業者にとって容易に想到し得る。 したがって、上記相違点2に係る本願補正発明の発明特定事項を採用することは、当業者にとって想到容易である。 (ウ)相違点3について 本願補正発明の「透明な基材部」について、本願の明細書の発明の詳細な説明の段落【0019】には、「表示部及び駆動部以外の領域を基材部といい、各表示パネル10,20,30には駆動部10C?30Cの形成されない端辺に基材部10A,20A,30Aが配置されている。この基材部は表示パネルを製造する際のマージンとして設けられたもので、回路素子や配線等の形成されない基材のみからなる透光性の領域である。」と記載されている。 そして、平面型表示デバイスの分野では、平面型表示デバイスを構成する基板上の辺に沿って駆動部を形成することは、本願出願時において当業者に周知の技術的事項であり(一例として、特開2001-43971号公報を参照。)、また、非表示領域である駆動部または駆動部と接続され非表示領域である配線電極が形成された辺と対向する辺に画素部及び前記駆動部または前記配線電極が形成されない透明のマージン領域を形成することは、本願出願時において当業者に周知の技術的事項である(例えば、特開2001-43971号公報(図1(B)などを見ると、ドライバ領域18が形成されたガラス基板1の辺と対向する辺には画素及びドライバが形成されていないから、この領域が透明であることは明らかである。)、特開平1-312587号公報(透明な防湿しろ11a、第1?4図)を参照。)。 そして、上記透明のマージン領域は光を透過する領域であるから、引用発明1の一つの画像表示デバイスの透明のマージン領域が他の画像表示デバイスの画像表示領域と重なっても、「前記複数の画像表示デバイス同士の継ぎ目がほとんど気にならず、自然な画像表示が行える」ことは明らかであるし、また、平面型の表示デバイスの分野では、一つの表示デバイスの表示領域の周辺領域に形成された透明領域を他の表示デバイスの表示領域と重ねるようにして、二つの表示デバイスの表示領域間に非表示領域が存在しないようにすることも、本願出願時において当業者に周知の技術的事項である(例えば、特開昭59-71083号公報(第1?4図)、特開平1-312587号公報(透明な防湿しろ11a、第1?4図)を参照。)。 すると、引用発明1の複数の「平面型の画像表示デバイス」を「前記複数の画像表示デバイスのうちの一つの画像表示デバイスの前記画像表示領域が前記一つの画像表示デバイスに隣接する他の画像表示デバイスの前記駆動部を覆うように、」「階段状に順次重ね合わされて並設」する際、引用発明1の複数の「平面型の画像表示デバイスのうちの一つの画像表示デバイス」の前記「駆動部」が形成された辺と対向する辺に上記周知の透明のマージン領域を形成するとともに、前記「一つの画像表示デバイス」の前記透明のマージン領域を前記「他の画像表示デバイス」の画像表示領域と重ねるように配置することは、当業者にとって容易に想到し得る。 したがって、上記相違点3に係る本願補正発明の発明特定事項を採用することは、当業者にとって想到容易である。 カ 本願補正発明の独立特許要件の判断 以上のとおり、引用発明1に上記相違点1ないし3に係る本願補正発明の発明特定事項を採用することは、当業者にとって想到容易である。 また、本願補正発明の効果も、引用例1に記載された発明及び周知技術から当業者が予測し得る程度のものに過ぎない。 したがって、本願補正発明は引用例1に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。 3 むすび 以上検討したとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 なお、引用例1は審査段階において挙げられていない引用例であり、上記補正の却下の理由は原査定の理由とは実質的に異なる理由であるが、特許法第159条第2項において、同法第50条は、「第50条ただし書中『第17条の2第1項第3号に掲げる場合』とあるのは、『第17条の2第1項第3号又は第4号に掲げる場合』」と読み替えて準用され、同法第50条は、「審査官は、拒絶をすべき旨の査定をしようとするときは、特許出願人に対し、拒絶の理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えなければならない。ただし、第17条の2第1項第3号に掲げる場合において、第53条第1項の規定による却下の決定をするときは、この限りでない。」とされ、補正の却下について意見書を提出する機会は与えなくていいとされているから、本件補正の却下に当たり、上記補正の却下の理由を事前に通知する必要はない(知財高裁平成19年(行ケ)第10056号参照。)。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本件審判請求についての判断 1 本願発明の認定 本件補正が却下されたから、平成19年11月30日付けの手続補正により補正された明細書及び図面に基づいて審理すると、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成19年11月30日付けの手続補正により補正された明細書の特許請求の範囲の【請求項1】に記載された事項によって特定される次のとおりのものと認める。 「複数の表示パネルが互いに接合され、前記各表示パネルの出力画像が複合されて一の画像表示がなされる複合型の表示装置であって、 互いに隣接する2つの表示パネルは階段状に重なるように配置され、 前記2つの表示パネルのうちの一方の表示パネルの表示部の外側に配された透明な基材部が他方の表示パネルの表示部に重ねられ、 前記2つの表示パネルのうちの他方の表示パネルの表示部の外側に配された駆動部が前記一方の表示パネルの表示部と平面視で重なるように配置されていることを特徴とする、複合型表示装置。」 2 引用刊行物の記載事項 原査定の拒絶理由に引用され、本願出願日前に頒布された刊行物である特開昭59-71083号公報(以下、「引用例2」という。)には、以下のアないしカの記載が図示とともにある。 ア 「2. 特許請求の範囲 上基材と下基材との間に液晶を介して封止部材にて封止した液晶表示体に於いて、少なくとも前記上基材,下基材及び封止部材を透明物質で作成し、液晶表示体の表示可能エリアに別の液晶表示体の封止部材を含む非表示エリアを重ねあわせて構成したことを特徴とする液晶表示装置。」(公報第1頁左欄第3?9行) イ 「3. 発明の詳細な説明 本発明は、複数個の液晶表示体を重ね合わせしかも重ね部分が表示可能な液晶表示装置に関する。 近年、表示素子、特に低消費電力の液晶表示体が電卓,時計の表示素子として用いられることにより、著しい発展をとげ、更に各種の用途に応用される様になつた。その一つとして、大型化を図り、CRTの置き換えとして開発が進められているが、基板であるガラスサイズ、電極の引きまわし、大型化による液晶物質の均一化等に問題があり、一枚の液晶表示体で数インチ以上のCRTに置き換えられる表示体の作成は非常に困難であつた。そこで考えられたのが第5図に示すごとく、複数枚の液晶表示体による表示装置であるが、上ガラス1と下ガラス3との間に液晶物質2を介して不透明な封止部材4により封止され、しかも、電極引き出し部材5及び保持部材6等により、必ず非表示エリア7があり、CRTとして用いた場合には、非表示エリアが、非表示ライン又は黒ラインとして残り、非常に見づらく、表示画面が表示体ごとに切れてしまうという欠点を有していた。 本発明は、上記の欠点を除去したものであり、その目的は、複数個の液晶表示体により構成された表示装置において、表示画面上の非表示エリア(例えば、黒ライン等)をなくした液晶表示装置を提供することにある。」(公報第1頁左欄第11?右欄第19行) ウ 「本発明の特徴は、少なくとも一方の液晶表示体の液晶封止部を透明物質で作り、この封止部を含めた非表示エリアを別の液晶表示体の表示可能エリアに重ね合わせ表示画面上に非表示エリア(非表示ライン)をなくした液晶表示装置である。」(公報第2頁左上欄第3?7行) エ 「第1図は、本発明の実施例であり、(a)は断面図であり、(b)は、断面図(a)の一部拡大断面図である。 12は、フレキシブル上基板で、例えば透明なプラスチック板に透明電極(図示していないが)が装着等で形成されており、上基板12の辺部121上の駆動用ドライバーである集積回路17(IC,LSI等)に接続されている。14は下基板で、好ましくは透明なプラスチック板であり、上基板12と下基板14との間に液晶物質15を介して透明物質の封止部13によつて封止されている。 又下基板14上に蒸着等で形成された透明電極は、封止部中の透明導通部19によつて上基板12上の透明電極に接続されている。11は上偏光板であり、下偏光板16と対をなしているが、下偏光板16は半透過形の偏光板でも良い。18はバツクライトであり、ランプ及び螢光管等必要な光源を用いれば良い。このように上基板12、下基板14、下偏光板16、液晶物質15及び、透明な封止部13等により構成されたのが液晶表示体10及び20であり、非表示エリア81,82を有しているものである。又、液晶表示体10の表示可能エリア91上に別の液晶表示体20の非表示エリア82が重なつて構成されている。 以上の様な構成であるため、電気信号によつて所定のパルスが入力され、集積回路17により、表示可能エリア91,92が表示され、しかも非表示エリア82が表示可能エリア上に重なつているため、上偏光板11上から見た場合には、表示はとぎれることなく全面つながつて表示が可能であり、複数個の液晶表示体により表示装置を構成しても、表示画面上には、非表示エリアを有することは全くなくなつた。 第2図は、本発明の他の実施例であり、フレキシブル上基板12を二方に折り曲げた液晶表示体10であり、一方に折り曲げた基板121上には、一方の電極群171が蒸着又は他の方法で作られており、一方の電極群171を駆動する集積回路173が取り付けられている。又、他方に折り曲げた基板122上には、他方の電極群172が電極群171と同様な方法で作られ、他方の電極群172を駆動する集積回路174が取り付けられている。更に、折り曲げた基板121,122と下基板との空間部19に光源18を設けてある。 以上の様な構成であるため、光源,駆動ドライバーを含めた液晶表示装置がブロック化されているため、第3図に示すごとく液晶表示体10,20,30,40を複数個重ね、任意の大きさの画面をしまも簡単に組み立てることができる効果を有するとともに、上基板12の折り曲げない2辺を第1図の如く重ねることにより、表示画面上の非表示エリアをなくすこと同様に可能である。」(公報第2頁左上欄第9行?左下欄第19行) オ 第1?3図から、液晶表示体10の駆動用ドライバーである集積回路17は液晶表示体20の表示可能エリア92と平面視で重なっていることを読み取ることができる。 カ 第1図から、液晶表示体10の駆動用ドライバーである集積回路17は、前記液晶表示体10の表示可能エリア91の外側に配置されていることを読み取ることができる。 3 引用例2記載の発明の認定 引用例2の上記記載事項アないしカから、引用例1には次のような発明が記載されていると認めることができる。 「上基材と下基材との間に液晶を介して封止部材にて封止するとともに、前記上基材の辺部上でかつ表示可能エリアの外側に配置された駆動用ドライバーである集積回路が形成された液晶表示体において、少なくとも前記上基材、前記下基材及び前記封止部材を透明物質で作成し、一方の前記液晶表示体の前記表示可能エリアに別の前記液晶表示体の前記封止部材を含む非表示エリアを重ねあわせて構成し、前記一方の液晶表示体の駆動用ドライバーである集積回路は前記別の液晶表示体の表示可能エリアと平面視で重なっている、全面つながって表示が可能な液晶表示装置。」(以下、「引用発明2」という。) 4 本願発明と引用発明2の一致点及び相違点の認定 (1)引用発明2の「液晶表示体」は、本願発明の「表示パネル」に相当する。 したがって、引用発明2の「一方の前記液晶表示体の前記表示可能エリアに別の前記液晶表示体の前記封止部材を含む非表示エリアを重ねあわせて構成」された「全面つながって表示が可能な液晶表示装置」と本願発明の「複数の表示パネルが互いに接合され、前記各表示パネルの出力画像が複合されて一の画像表示がなされる複合型の表示装置」とは、「複数の表示パネルの各表示パネルの出力画像が複合されて一の画像表示がなされる複合型の表示装置」である点で一致する。 (2)引用発明2の「一方の前記液晶表示体」及び「別の前記液晶表示体」は、本願発明の「互いに隣接する2つの表示パネル」に相当する。 したがって、引用発明2の「一方の前記液晶表示体の前記表示可能エリアに別の前記液晶表示体の前記封止部材を含む非表示エリアを重ねあわせて構成」したことは、本願発明の「互いに隣接する2つの表示パネルは階段状に重なるように配置され」ることに相当する。 (3)引用発明2の「一方の前記液晶表示体」、「別の前記液晶表示体」は、それぞれ、本願発明の「他方の表示パネル」、「一方の表示パネル」に相当する。 そして、本願発明の「透明な基材部」について、本願の明細書の発明の詳細な説明の段落【0019】には、「表示部及び駆動部以外の領域を基材部といい、各表示パネル10,20,30には駆動部10C?30Cの形成されない端辺に基材部10A,20A,30Aが配置されている。この基材部は表示パネルを製造する際のマージンとして設けられたもので、回路素子や配線等の形成されない基材のみからなる透光性の領域である。」と記載されている。すると、引用発明2の「透明物質で作成」された「上基材」と「透明物質で作成」された「下基材との間に液晶を介して」「透明物質で作成」された「封止部材にて封止」した「別の前記液晶表示体の前記封止部材を含む非表示エリア」は、本願発明の「一方の表示パネルの表示部の外側に配された透明な基材部」に相当する。 したがって、引用発明2の「上基材と下基材との間に液晶を介して封止部材にて封止」した「液晶表示体において、少なくとも前記上基材、前記下基材及び前記封止部材を透明物質で作成し、一方の前記液晶表示体の前記表示可能エリアに別の前記液晶表示体の前記封止部材を含む非表示エリアを重ねあわせて構成」することは、本願発明の「前記2つの表示パネルのうちの一方の表示パネルの表示部の外側に配された透明な基材部が他方の表示パネルの表示部に重ねられ」ることに相当する。 (4)引用発明2の「一方の前記液晶表示体」、「別の前記液晶表示体」は、それぞれ、本願発明の「他方の表示パネル」、「一方の表示パネル」に相当する。 そして、引用発明2の「一方の液晶表示体」の「表示可能エリア」、「別の液晶表示体の表示可能エリア」は、それぞれ、本願発明の「他方の表示パネルの表示部」、「一方の表示パネルの表示部」に相当する。 さらに、引用発明2の「上基材の辺部上でかつ表示可能エリアの外側に配置された」「前記一方の液晶表示体の駆動用ドライバーである集積回路」は、本願発明の「他方の表示パネルの表示部の外側に配された駆動部」に相当する。 したがって、引用発明2の「上基材の辺部上でかつ表示可能エリアの外側に配置された」「前記一方の液晶表示体の駆動用ドライバーである集積回路は前記別の液晶表示体の表示可能エリアと平面視で重なっている」ことは、本願発明の「前記2つの表示パネルのうちの他方の表示パネルの表示部の外側に配された駆動部が前記一方の表示パネルの表示部と平面視で重なるように配置されている」ことに相当する。 (5)すると、本願発明と引用発明2とは、 「複数の表示パネルの各表示パネルの出力画像が複合されて一の画像表示がなされる複合型の表示装置であって、 互いに隣接する2つの表示パネルは階段状に重なるように配置され、 前記2つの表示パネルのうちの一方の表示パネルの表示部の外側に配された透明な基材部が他方の表示パネルの表示部に重ねられ、 前記2つの表示パネルのうちの他方の表示パネルの表示部の外側に配された駆動部が前記一方の表示パネルの表示部と平面視で重なるように配置されていることを特徴とする、複合型表示装置。」 である点で一致し、以下の点で一応相違する。 〈相違点1’〉 本願発明の「複数の表示パネル」は「互いに接合され」ているのに対し、引用発明2の「液晶表示体」は「一方の前記液晶表示体の前記表示可能エリアに別の前記液晶表示体の前記封止部材を含む非表示エリアを重ねあわせて構成」されている点。 5 相違点についての判断 (1)引用例2の上記記載事項アの「液晶表示体の表示可能エリアに別の液晶表示体の封止部材を含む非表示エリアを重ねあわせて構成した」との記載、上記記載事項ウの「少なくとも一方の液晶表示体の液晶封止部を透明物質で作り、この封止部を含めた非表示エリアを別の液晶表示体の表示可能エリアに重ね合わせ」たとの記載、上記記載事項エの「液晶表示体10の表示可能エリア91上に別の液晶表示体20の非表示エリア82が重なつて構成されている。」との記載及び第1図から、引用発明2の「液晶表示装置」では、「一方の前記液晶表示体」と「他方の前記液晶表示体」とが互いに接合されていると認めることができる。 したがって、上記相違点1’は実質的に相違点ではない。 (2)また、仮に上記第3の5(1)のように認めることができず、上記相違点1’が実質的に相違点であるとしても、平面型画像表示装置の分野では、画像表示装置の薄型化を図ることは本願出願時において当業者に周知の課題であるから、引用発明2の「一方の前記液晶表示体」と「他方の前記液晶表示体」を「重ねあわせて構成し」た「液晶表示装置」の薄型化を図るために、「一方の前記液晶表示体」と「他方の前記液晶表示体」とが互いに接合するようにすることは、当業者にとって容易に想到し得る。 したがって、仮に、上記相違点1’が実質的に相違点であるとしても、上記相違点1’に係る本願発明の発明特定事項を採用することは、当業者にとって想到容易である。 そして、本願発明の効果は、引用例2に記載された発明から当業者が予測し得る程度のものに過ぎない。 6 むすび 以上のとおりであるから、本願発明は引用例2に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に掲げる発明に該当するから、特許を受けることができない、または、本願発明は、引用例2に記載された発明から当業者が容易に想到し得る発明であるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 そして、本願発明が特許を受けることができない以上、本願のその余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2009-02-12 |
結審通知日 | 2009-02-17 |
審決日 | 2009-03-02 |
出願番号 | 特願2003-39869(P2003-39869) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(G09F)
P 1 8・ 571- Z (G09F) P 1 8・ 121- Z (G09F) P 1 8・ 113- Z (G09F) P 1 8・ 572- Z (G09F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 渡邊 吉喜 |
特許庁審判長 |
末政 清滋 |
特許庁審判官 |
日夏 貴史 村田 尚英 |
発明の名称 | 複合型表示装置 |
代理人 | 志賀 正武 |
代理人 | 西 和哉 |
代理人 | 大浪 一徳 |