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審決分類 審判 全部無効 特123条1項6号非発明者無承継の特許  C09K
管理番号 1196492
審判番号 無効2007-800286  
総通号数 114 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-06-26 
種別 無効の審決 
審判請求日 2007-12-28 
確定日 2009-04-13 
事件の表示 上記当事者間の特許第3467729号発明「発熱剤及び発熱剤を使用する方法」の特許無効審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。 
理由 第1 本件特許・本件審判の手続の経緯
1 本件特許
平成12年 2月17日 特許出願(特許願2000-39298号)
発明の名称:「発熱剤及び発熱剤を使用する方法」
平成15年 9月 5日 特許権の設定登録(特許第3467729号)
請求項の数:1
(設定登録時の明細書を以下,「本件明細書」という。)

2 本件審判の手続の経緯
平成19年12月28日 審判請求書提出
請求人:株式会社エネルダイン
半田春見
請求の趣旨:「特許第3467729号の特許を無効とする、審判
費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。」
平成20年 3月19日 答弁書提出
平成20年 4月18日 証人尋問申出書(証人:守屋氏)提出(請求人ら)
証人尋問申出書(証人:中島氏)提出(請求人ら)
証人尋問申出書(証人:皆川氏)提出(請求人ら)
平成20年 5月14日 口頭審理陳述要領書提出(請求人ら)
平成20年 5月27日 口頭審理陳述要領書提出(被請求人)
平成20年 5月27日 第1回口頭審理
平成20年 6月24日 上申書提出(被請求人)
平成20年 7月15日 上申書提出(請求人ら)
平成20年 8月 4日 証人尋問申出書(証人:岡部氏)・尋問事項書提出
(被請求人)
証人尋問申出書(証人:尾形氏)・尋問事項書提出
(被請求人)
証人尋問申出書(証人:竹沢氏)・尋問事項書提出
(被請求人)
平成20年 8月25日 文書提出命令の申立書(所持者:岡部氏)提出
(被請求人)
文書提出命令の申立書(所持者:尾形氏)提出
(被請求人)
平成20年 9月 2日 文書提出命令の申出書副本送付
平成20年10月30日 手続補正書(注:平成20年8月4日付け
各証人尋問申出書に対して)提出(被請求人)
平成20年11月26日 手続補正書(注:平成20年8月4日付け
各証人尋問申出書に対して)提出(被請求人)
平成20年12月 2日 本人尋問申出書(半田氏)・尋問事項書提出
(請求人ら。第2回口頭審理において撤回)
平成20年12月 4日 上申書提出(請求人ら)
平成20年12月11日 上申書(2)提出(被請求人)
平成20年12月18日 第2回口頭審理及び証拠調
平成21年 1月 8日 上申書提出(請求人ら)
平成21年 1月 8日 上申書(3)提出(被請求人)
平成21年 2月 6日 書面審理通知
平成21年 2月 6日 文書提出命令の申立(所持者:岡部氏)
及び同(所持者:尾形氏)の却下の決定
平成21年 2月17日 結審通知

第2 本件発明及び本件特許に係る出願の願書の記載
1 本件特許(特許第3467729号)に係る発明は,本件明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものである。
「発熱剤の重量当たり、100メッシュ(-150μm90%以上)乃至200メッシュ(-75μm95%以上)の粉体生石灰が15乃至30%,及び-330メッシュ(-45μm)が40乃至60%,+330メッシュ(+45μm)が15乃至30%,+235メッシュ(+63μm)が15%>,+200メッシュ(+75μm)が10%>の粒度分布を有する粉体アルミニウム70乃至85%から成る発熱剤。」
(以下,この発明を「本件発明」という。)

2 本件特許に係る出願の願書の記載
本件特許に係る出願(以下,「本件出願」という。)の願書の記載は,乙第1号証によれば,以下のとおりのものである。
「【書類名】特許願

【発明者】
【住所又は居所】… 株式会社協同内
【氏名】中島 京子
【特許出願人】

【氏名又は名称】株式会社協同
【代理人】

【弁理士】
【氏名又は名称】竹沢 荘一 」

第3 特許を無効とすべき理由の要点
請求人らが提出した審判請求書,口頭審理陳述要領書,平成20年7月15日,同年12月4日及び平成21年1月8日付け上申書,その他によれば,請求人らが主張する本件特許を無効とすべき理由の要点は,以下のとおりであると認められる。
特許第3467729号に係る発明の真の発明者は,半田春見のみである。本件特許は,本件発明について半田春見から特許を受ける権利を承継しないものの特許出願に対してなされたものであるので,特許法第123条第1項第6号に該当し,無効とすべきである(以下,「本件無効理由」という。)。

第4 被請求人の反論の要点
被請求人が提出した答弁書,口頭審理陳述要領書,上申書(1)?(3),その他によれば,被請求人の反論は,以下のとおりであると認められる。
仮に,請求人らが主張するように,半田春見が本件発明の発明者の一人であったとしても,本件発明は半田春見の職務発明であって,当該特許出願は株式会社協同が半田春見から特許を受ける権利を承継してなされたものであるから,本件特許は,特許法第123条第1項第6号に該当するものではない。真の発明者に半田春見が含まれるか否かの認定を本件審判において行う必要はない(答弁書3頁1?4行)。

第5 証拠方法
1 書証
両当事者から提出された書証は,以下のとおりである(詳細は別添参照)。
(1) 請求人らから
ア 審判請求書に添付されたもの
甲第1号証の1?甲第33号証
イ 平成20年7月15日付け上申書に添付されたもの
甲第34号証,甲第35号証
ウ 平成21年1月8日付け上申書に添付されたもの
甲第27号証の1の差し替え?甲第39号証

(2) 被請求人から
ア 答弁書に添付されたもの
乙第1号証?乙第5号証
イ 平成20年5月27日付け口頭審理陳述要領書に添付されたもの
乙第6号証
ウ 平成20年6月24日付け上申書に添付されたもの
乙第6号証の2?乙第26号証の3
エ 平成21年1月8日付け上申書に添付されたもの
乙第27号証?乙第29号証の6

2 証言
被請求人が申請した平成20年12月18日の証人尋問における証言
竹沢荘一の証言(その1)
岡部大陸の証言
尾形義秀の証言
竹沢荘一の証言(その2)

上記1における書証を,以下,書証番号により,それぞれ「甲1」,「乙29の6」などという。なお,枝番の書証,例えば乙29の1?6を,まとめて「乙29」などということがある。また,ファクシミリ文書はFAX文書と略記する。
上記2の証言は,以下,それぞれ順に「竹沢証言1」,「岡部証言」,「尾形証言」,「竹沢証言2」という。

第6 当審の判断
1 請求人適格について
本件特許無効審判は,「第3」のとおり,本件特許が特許法第123条第1項第6号に該当することをその無効理由とするものであるところ,特許無効審判が同号に該当することを理由とするものは,利害関係人に限り請求することができる(同条第2項ただし書)。
そこで検討するに,本件特許無効審判を請求した,株式会社エネルダイン及び半田春見(以下,「半田氏」という。)は,平成19年4月17日付けの株式会社 協同(以下,「(株)協同」という。)を通知人とする「警告書」(甲31,甲32及び甲38の1)の名宛人の一部(同書3頁)であることが認められる。この警告書は,同日に京橋郵便局に差し出されており,遅くとも平成19年5月初旬までには,株式会社エネルダイン及び半田氏に郵送されたと認められる(甲38の1)。
そして,その警告書には,「通知人の発熱剤(商品名「モーリアンヒートパック」)」に関し,「今後は損害賠償請求を含め法的措置をとる」等の警告がされていることが認められるところ,その「損害賠償請求」とは,(株)協同が所有する発熱剤(「モーリアンヒートパック」)の特許の侵害の行為に基づくものであることが認められる。
すなわち,(株)協同の所有する発熱剤(「モーリアンヒートパック」)の特許とは,次の(*)のとおり,アルミニウム粉末と生石灰粉末を主原料とする発熱剤であり,本件特許は,上記「第2 1」に記載したとおり,アルミニウム粉末と生石灰粉末を主原料とする発熱剤についてのものであるから,上記特許は本件特許であるか,少なくとも上記特許に本件特許が包含されるものと認められる。
したがって,株式会社エネルダイン及び半田氏は,共に本件特許を無効とすることについて,利害関係人であると認められ,本件特許が特許法第123条第1項第6号に該当することを理由とする本件特許無効審判を請求することができる。

(*) 甲33には,「(株)エネルダインが製造する加熱剤(…)は、(株)協同の製造する発熱剤(モーリアンヒートパック)の特許を侵害」(記の第2?3行)すること,「アルミニウム粉末と生石灰粉末を主原料とする発熱剤の特許は、(株)協同の取得した特許で総て押さえている。」(「□中島社長の特許侵害通告の主な内容及び主旨主張」の項3行)等の記載があり,(株)協同の所有する発熱剤(「モーリアンヒートパック」)とは,アルミニウム粉末と生石灰粉末を主原料とする発熱剤であると認められる。
また,(株)協同の「モーリアンヒートパック」について,新聞記事である甲28に「アルミニウムの粉と生石灰が水と反応する化学反応で発熱する。」(3段2段落)と記載され,別の新聞記事である甲29に「石灰を、アルミを発熱させるための「触媒」として使う。石灰が水に溶けて高温のアルカリ性水溶液ができる。このアルカリにアルミが反応して安定的に熱を出し続ける」(2段4段落?3段)と記載されている。
そうすると,(株)協同の所有する発熱剤(「モーリアンヒートパック」)は,アルミニウム粉末と生石灰粉末を主原料とする発熱剤であると認められる。

2 本件無効理由について
本件無効理由は,「第3」のとおり,本件発明の真の発明者は,半田氏のみであるにもかかわらず,本件特許は,本件発明について半田氏から特許を受ける権利を承継しないものの特許出願に対してなされたものであるので,特許法第123条第1項第6号に該当し,無効とすべきであるというものである。
これに対して,被請求人は「第4」のとおり,仮に請求人らが主張するように半田氏が本件発明の発明者の一人であったとしても,本件発明は半田氏の職務発明であって,(株)協同は半田氏からその特許を受ける権利を承継したのであるから,本件特許は,特許法第123条第1項第6号に該当するものではない,と反論する。

そこで,以下,
2-1 半田氏は本件発明の発明者(又はそのひとり)であるか
について検討し,半田氏が本件発明の発明者(又はそのひとり)である場合に,
2-2 本件発明が半田氏の職務発明であるか
について検討し,さらに,
2-3 半田氏の本件発明についての特許を受ける権利は半田氏から(株)協同に承継されたものであるか
について,検討することとする。

なお,請求人らは,本件発明の発明者は半田氏「のみ」であることを主張し,被請求人は,真の発明者に半田春見が含まれるか否かの認定は本件審判においては行う必要はないと主張する。
しかし,本件無効審判請求は半田氏が有するとされる本件発明の特許を受ける権利が(株)協同に承継されていないことを無効理由とするものであるから,その前提となる本件発明の特許を受ける権利の少なくとも一部を半田氏が有するか否かを判断する必要がある。そして,その判断をすれば足りるから,本件発明の発明者は半田氏「のみ」であることまでを判断する必要はない。

2-1 半田氏は本件発明の発明者(又はそのひとり)であるかについて
上記「第2 2」に示したとおり,本件出願時の願書(乙1)には,発明者の欄には「中島 京子」(以下,「中島氏」という。)のみが表示され,半田氏の表示はない。
しかしながら,以下のとおり,半田氏は本件発明の発明者であるか,少なくとも本件発明の発明者のひとりであると認められる。

(1) 本件発明について
ア 本件発明は,「第2 1」に示したとおりの,アルミニウム粉末と生石灰粉末を原料とする発熱剤の発明であり,本件明細書の段落【0001】の【発明の属する技術分野】の項の記載によれば,「本発明は、発熱剤及び発熱剤を使用する方法に関する。より詳細に述べれば、本発明は、粉体アルミニウムと粉体生石灰とを特定の比率で配合して成る発熱剤及び該発熱剤を水と接触させて使用する方法に関する。本発明の発熱剤は、約100℃の温度を少なくとも20分間必要とする装置、たとえば,非常食或いは携帯食品の加熱調理容器の加熱装置等に使用される。」というものである。
そして,本件発明の発熱剤は,「粉体アルミニウム」として,特許請求の範囲に記載の特定の粒度分布を有するもの,及び「粉体生石灰」として,特定の粒径のもの,それぞれが使用されるものであることが認められる。

イ 本件発明に係る発熱剤は,本件明細書の記載によれば,
「生石灰と水を先ず反応させ,その反応によって生じた水酸化カルシウムとアルミニウム粉末とを反応させるという2段階反応」(段落【0018】),
CaO+H_(2)O=Ca(OH)_(2)+15.2Kcal
2Al+3Ca(OH)_(2)=3CaO・Al_(2)O_(3)+3H_(2)↑
という,「生石灰1グラムとアルミニウム粉末1グラムを使用することによって、約3886calの熱量」(段落【0018】)を発生する2つの反応の反応熱を利用するものである。以下,この粉体アルミニウムと粉体生石灰と水の反応による発熱を利用する発熱剤を,「石灰-アルミ発熱剤」ということとする。
そして,本件発明の発熱剤は,本件明細書の記載によれば,「石灰-アルミ発熱剤」において,従来,「約300ccの添加水を必要としたり、最高温度にまで到達する時間が15乃至60分間を要したり、或いは維持時間が15分間以下である」(段落【0045】)という課題を解決し,「比較的少量の発熱剤と添加水、たとえば、発熱剤35gに対して70ccの添加水で、30秒といい反応速度で約100℃という最高温度に到達し、その温度を20分間以上維持することができる」(段落【0045】)ものであり,「発熱剤を大量に使用せずに、発熱剤を速やかに90℃以上に昇温させ、その温度を少なくとも20分間維持させること」(段落【0011】)ができるものである。
本件発明において,具体的に実施例,試験例及び比較例で使用した粉体アルミニウム粉末及び粉体生石灰は以下のとおりである。
「粉体アルミニウムは、山石金属株式会社製の製品名アトマイズアルミVA-200である。これは、アルミニウム含量、即ち、純度99.7%以上、見掛密度が0.8乃至1.1g/cm^(3)の範囲で、-330メッシュ(-45μm)が40乃至60,+330メッシュ(+45μm)が15乃至30,+235メッシュ(+63μm)が15>、+200メッシュ(+75μm)が10>の粒度分布を有している。」(段落【0033】)
「粉体生石灰は、有恒鉱業株式会社製の粉末生石灰である。これは、粉末200メッシュ(-75μm95%以上)のJIS特号品である。」(段落【0034】)
また,本件明細書には「食品衛生法は、食品用容器が砒素、鉛、カドミウムで汚染されてはならないこと等を規定している。そこで、実施例1乃至3で発生した水蒸気を冷却捕集して各種の試験を行って、得た結果を表2に示す。」(段落【0040】)としてそれらの試験結果が示されている。

(2) 本件発明の発明者についての証拠
ア 証言
(ア) 尾形証言において本件発明の発明者に関する以下の証言が認められる(証言順)。
a 「それは私ステートメントに述べたように,半田が当然発明したと認識はありましたよ。」
b (乙23の1?3,乙26の1を作成された記憶は,との問いに)「私が作成しました。」
c 「(注:半田氏が)汚い,何か変なノートみたいなもの,覚書みたいなもの持ってきましたよね。乱雑な。」
d 「大学ノートに汚く書いたものは見ましたよ。…いわゆる彼が実験ノートといっているものは見ました。…汚いいわゆる実験ノートの下書きですかね。それは見ました。持ってきたです。」
e (中島氏をいつごろから知っているか,との問いに)「平成11年の,いつごろでしたっけね。もう覚えてないんですがね,最初の出会いというのが。三栄に来られた,ですから平成12年。出願が終わってからですね。…後ですね,本件の。」
f 「その間(注:本件明細書作成まで)にいろいろと彼(注:半田氏が)が自宅に,や三栄に細かなデータ,私が質問する,ファクスで,電話でいってきましたから」
g 「それはそう(注:半田氏が本件出願の発明者であると)思って対応してきました。」
h 「拒絶理由がかかって初めて一見,見たたときに発明者がそう(注:中島氏のみに)なっていたので,変だなとは思いました」
i 「発明者の概念というのは非常に広いですから…絶対に彼女(注:中島氏)は発明者じゃないというところまでは,私は,そこまでは思ってなかった。あるいは中島京子が指導して,で,試験管振りだけを半田にやらせたとか,そういう場合もあり得るわけですから,企業にあっては。ですから,100%,ただ一人の発明者が半田であるとは思ってなかったです。そこまでは思わなかったですね。」
j 「実験は,彼はずっとやってましたから,(注:本件出願後)引き続いて。たしか,会社を替わった後もやってました」
k 乙26の1の先願が開発工業と武藤技研の出願(注:甲11)で,その後願が本件出願だということをはっきりおっしゃいましたよね,との問いに「そうですね,ええ」
l 「本件発明者は半田春見であると,主たる発明者は。ほかにいるかどうかそれはわかりませんから。」
m 「平成11年の10月中ごろ来たんです。で,自分が平成9年ごろから発明している研究開発をずっとやってきたと。で,これ(注:甲11に記載されたもの)を超える出願をしたいといってきたんですね。これを超えるとはどういうことかということを確認しましたところ,…それを見たところ,出願したのを見て,稚拙であるからこんなものじゃ技術にならないからもう少しきちっとこうしなさいということをアドバイス。」
n (本件出願当時はその1件だけでしか依頼されてなかったか,との質問に対して)「複数重複してということはないですね。」
o 発熱剤をセットにした発明は,本件出願時はまだ受けてはいないのか,との問いに「その後ですね,それは。本件出願の後です,そのリバイスにしたのは。」
p 乙26の1の「2.更なる開発」について「何件かあると思います。8件ぐらいあったんじゃないですかね,まだ。」
q 「更なる開発」について12年3月当時は発明者は半田氏一人かとの問いに,「発明者ですか。発明者というか,私と技術的な話をするのは専ら半田ひとりです。」

尾形証言によると,半田氏は,平成11年10月ころ尾形氏に会い,尾形氏に自分の発明した先願(甲11:特開平11-146835号公報)のもの(以下,「甲11発明」という。)よりも優れたものを作りたいとの意向を話し,その後本件出願までに尾形氏にデータなどを送付し,また尾形氏により実験ノートの作成法の指導がされたこと,本件出願後も実験を続け,発熱剤に関するいくつかの発明をしたことが認められる。
また,本件発明について尾形氏は,中島氏とは本件出願前には会っていないこと,技術的な話をするのは専ら半田氏ひとりであったこと,本件発明の発明者が半田氏であると認識していたこと,出願時には発明者の記載は知らなかったが,拒絶理由を受けた段階で本件出願の願書を見て,発明者が中島氏となっていることがおかしいと思ったことが認められる。
なお,尾形証言において,中島氏は本件発明の発明者ではないとまではいえないとされるが,中島氏のみ,又はその他の者のみによってされたと認めるに足る証言はない。

(イ) その他の証人の証言
竹沢証言1には,乙2の書面に押印したことについて,以下の証言がある。
「これは,あくまでも発明者は半田であると。それを確認の文書と理解して判を押したものです。」

イ 先願の公開公報(甲11)
甲11は,本件特許出願(平成12年2月17日)の2年余前の,平成9年11月18日にされた出願の公開公報であって,甲11発明の発明者2名のうちのひとりに半田氏が表示されていることが認められる。なお,甲11に係る出願人の一部である「開発工業 有限会社」は,半田氏が平成3年に設立した会社(甲3)であって,半田氏が甲11の出願当時に属していた会社であると認められる(甲7)ところ,同社は,この出願前に,アルミニウム粉末を購入していることが認められる(甲10)。
甲11発明は,「石灰-アルミ発熱剤」自体についてのものであり,生石灰にアルミニウムを併用することにより,従来の生石灰に注水する発熱剤よりも高発熱量が得られる発熱剤として発明されたものとされている。そして,甲11発明の実施例には,その発熱剤の80℃以上の持続時間は6?7分程度である(【表1】)ことが示されている。
甲11発明は,本件発明と同じ石灰粉末にアルミニウム粉末を併用する「石灰-アルミ発熱剤」自体の発明であり,そして,その高温持続時間からみて,本件明細書において「維持時間が15分間以下である」(段落【0045】)として認識している従来技術であることが認められることから,本件発明と非常に密接な関連がある先行技術であるといえる。
以上のとおり,甲11によれば,甲11発明の発明者に半田氏が含まれること,中島氏は関与していないこと,その技術は本件発明と非常に密接な関連がある先行技術であることが認められる。このことは,半田氏が尾形氏に甲11発明よりも優れたものを作りたいとの意向を話し,甲11発明を改良して本件発明に至ったとする尾形証言と整合する。

ウ 本件発明の発熱剤原料粉末
甲11に係る出願人の一部である「開発工業 有限会社」は,上記のとおり半田氏が甲11発明の出願当時に属していた会社であると認められるところ,同社は,甲11発明の出願後で本件出願前の平成10年ころには,本件明細書において具体例で使用した(段落【0033】)とされる「山石金属株式会社製の製品名アトマイズアルミVA-200」という特定の会社のアルミニウム粉末を購入しており,半田氏が同社における購入の窓口であったことが認められる(甲15?18)。
また,同社は平成12年1月に本件明細書において具体例で使用した(段落【0034】)とされる「有恒鉱業株式会社製の粉末生石灰」という特定の会社の生石灰粉末について「試験成績表」を得ていた(甲23),ことも認められる。
このことから,半田氏は,本件出願前に,本件明細書において具体例で使用した本件発明の特定粒度分布を有するアルミニウム粉末を取り扱っていたこと,本件明細書において具体例で使用した本件発明の特定粒度の生石灰粉末に接していたと認められる。

エ 「発熱剤 実験ノート」(甲24)
甲24は,「発熱剤 実験ノート」と題する実験ノート(以下「甲24実験ノート」という。)であり,その表紙の下部の「Name」欄に「半田春見」,「Department」欄に「(株)協同」,「Date of use」欄に「99.11.01.?00.01.14.」と,半田氏が記載したと認められる(甲21の3等の筆跡の一致から)記載があるものである。
甲24実験ノートは,「1.実験目的」における目的1,2の記載及び「2.実験原理」における記載等からみれば,「石灰-アルミ発熱剤」の実験について記載するもので,その粉体原料,実験結果及び実験時期の記載からすれば,本件発明に至る実験を記載したものであるといえる。
ところで,このノートの販売は2005年(平成17年)以降であると認められる(乙27)から,実験当時とされる平成11年11月?平成12年1月より5年以上後に作成されたものであることは明らかであり,しかも,その内容には,例えば11頁上部の訂正印に付された日付が上記作成日(平成17年以降)より前である「99.11.05」であるなど不自然な点も認められる。
そうすると,甲24実験ノートの記載内容が,直ちにその詳細まで事実であるとは認められない。
しかしながら,甲24実験ノートは審判請求時(平成19年12月28日)に半田氏を含む請求人らから,本件出願前の数ヶ月前に半田氏が本件発明の実験を行っていたことを裏付ける証拠として提出されたもの(審判請求書10頁(8))であり,ほぼ1年後の平成20年12月11日付けの被請求人の上申書(2)「(1)実験ノートについて」において問題にされるまでに,被請求人においても,詳細はともかく,ある程度の検討がされた証拠であると認められるものであるが,被請求人が問題とするまでは,この証拠の記載内容の概略は,両当事者から何らの違和感もなく受け入れられていた(例えば,被請求人は,第1回口頭審理時には,頁の欠落についてはともかく,その成立については,何らの異議をはさまずに認めていた。上申書(2)3頁第3段落、第1回口頭審理調書)。
そうすると,その記載内容の詳細はともかく,甲24実験ノートから,少なくとも,本件出願前に半田氏が(株)協同の技術室において,勤務時間に「石灰-アルミ発熱剤」の実験をした,という程度の事実は認めることができるというべきである。
本件出願前半田氏が実験をし,データをとり,メモを作成した点は,本件出願前に半田氏が「石灰-アルミ発熱剤」の実験をした,データを送ってきた,実験ノートを見たとの尾形証言とも整合する。

オ 「発熱剤蒸気冷却水の分析」試験報告書(乙16の2)
財団法人化学物質評価研究機構から2000年(平成12年)1月25日付けで株式会社協同の半田氏あてに送付された請求書の送り状と株式会社協同あての請求書(乙16の1)及び平成12年2月8日付けで同機構から株式会社協同の半田氏あてに送信されたFAX送付状と試験報告書(乙16の2)によれば,半田氏は,財団法人化学物質評価研究機構の「発熱剤蒸気冷却水の分析」という試験報告書関連の交信の(株)協同における窓口であったことが認められる。
この試験報告書(乙16の2)の「4.試験項目及び試験方法」及び「6.試験結果」の記載は,本件明細書段落【0040】における記載と一致している。
そうすると,この試験報告書は,その作成時期(平成12年2月8日)が本件出願の9日前であること及びその内容が本件明細書における記載と一致していることからみて,本件発明の発熱剤の「蒸気冷却水の分析」試験報告書と認められる。
したがって,本件発明の発熱剤についての試験報告書について,半田氏は(株)協同における窓口であったことが認められる。さらに,本件明細書原稿作成者である尾形氏とこの時期に(株)協同において接触していたのは半田氏のみ(尾形証言)であるから,この試験報告書を尾形氏に送付したのも,半田氏であることも認められる。

カ 尾形氏からのFAX文書(乙23)
乙23によれば,尾形氏は,本件出願の4日前の平成12年2月13日に「発熱性組成物、それを使用する方法、その特定の性質を専ら利用する物(加温調理容器用加温装置)(仮称)」(乙23の1)又は「加熱調理容器用発熱剤(仮称)」(乙23の3)の件について,(株)協同(乙23の1),半田氏(乙23の2),(株)協同の半田氏(乙23の3)にあてて,翌14日の打合せについて連絡していることが認められる。
乙23の1には宅急便,及びFAX情報を受領した旨記載され,乙23の3には,本件明細書の発熱剤の反応式等の技術的な事項が記載されている。
これらのFAX文書が送付された当時,尾形氏が取り扱っていた半田氏の発明は本件発明の発熱剤のみであった(尾形証言)こと,さらに,乙23の3記載の反応式その他の技術内容と本件発明との共通することからも,これらのFAX文書は,本件発明についてのものであると認められる。
これら尾形氏からのFAX文書(乙23)のあて先が,(株)協同,半田氏,又は(株)協同の半田氏であることは,本件発明について尾形氏との連絡の(株)協同における窓口は半田氏であったと認められる。このことは,本件発明について,技術的な話をするのは専ら半田氏ひとりであったとの尾形証言と整合する。

キ 本件出願後の「石灰-アルミ発熱剤」自体の出願(甲25,甲27の2?5,8)
本件出願後の半田氏を発明者として含む出願は,「石灰-アルミ発熱剤」自体の発明についてのものに限っても,少なくとも,6件あることが認められる(甲25,甲27の2?5,8。発明者の欄には,半田氏のみ(甲27の2?5)と,半田氏と他の1名(甲25及び甲27の8)との表示がある。)。
これらの出願の出願日は,平成16年11月26日(甲27の2)?平成19年5月9日(甲25)である。
そうすると,半田氏は,本件出願後4年余の後も,本件発明と同じ「石灰-アルミ発熱剤」自体の開発をし,発明をしていたといえる。このことは,本件出願後も実験を続け,発熱剤に関するいくつかの発明をしたとの尾形証言と整合する。

ク 警告書(甲31,甲32及び甲38の1)
(株)協同が通知人である警告書(甲31,甲32及び甲38の1)には,「半田春見殿は、平成18年5月31日まで通知人の社員として勤務し、その間、通知人の発熱材(商品名「モーリアンヒートパック」)の開発販売にかかわっておりました」(1頁2段落1?4行)と記載され,また,「在職中に業務上知り得た知識等をもとに通知人の発熱剤と同種の発熱剤を開発し(た)」(1頁2段落5?6行)ことが記載されている。ここで,通知人の発熱剤とは,「1 請求人適格」の項において示したとおり,「アルミニウム粉末と生石灰粉末を主原料とする発熱剤」であり,これは「石灰-アルミ発熱剤」であるといえる。
警告書におけるこれらの記載によれば,半田氏は,(株)協同において社員として「石灰-アルミ発熱剤」の開発をしたこと,さらに本件出願後もその開発を続けたことが認められる。このことは,尾形証言と整合する。

(3) 2-1のまとめ
本件出願時の願書には,発明者の欄には「中島 京子」のみが記載され,半田氏については記載されていない。しかし,全証拠をみても,本件発明が中島氏のみ,さらに,(株)協同に所属するその他の者とのみによってされたと認めるに足るものはない。そして,上記ア?クを含め全証拠によれば,半田氏は,本件出願前に「石灰-アルミ発熱剤」の実験をしたこと,本件出願前後に本件発明と同じ「石灰-アルミ発熱剤」自体の開発・発明をしていたこと,それらの原料に接していたこと,本件発明の明細書原稿作成者や事務所との手続の応対の(株)協同における窓口であったこと,尾形氏などから本件発明の発明者と認識されていたことなどが認められ,これらによれば,半田氏が本件発明の発明者であるか,少なくとも本件発明の発明者のひとりであると認めるのが相当である。

2-2 本件発明が半田氏の職務発明であるかについて
被請求人は,本件発明が半田氏の職務発明であることを主張する。
職務発明とは,「従業者,法人の役員,国家公務員又は地方公務員(以下「従業者等」という。)がその性質上当該使用者等(使用者,法人,国又は地方公共団体)の業務範囲に属し,かつ,その発明をするに至つた行為がその使用者等における従業者等の現在又は過去の職務に属する発明」(平成16年法律第79号による改正前の特許法(以下「旧特許法」という。)第35条第1項)である。
したがって,本件発明が半田氏の職務発明であるというためには,
(1) 半田氏が(株)協同の「従業者」であったこと
(2) 本件発明が,「その性質上当該使用者等の業務範囲」に属するものであること
(3) 本件発明をするに至った行為が「その使用者等における従業者等の現在又は過去の職務」に属するものであること
いずれもが必要である。
以下,これらを,この順に検討する。

(1) 半田春見氏が(株)協同の従業者であったことについて
ア 半田氏が(株)協同の従業員であったことについて,次の証拠には以下の事項が認められる。
a 「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得確認および標準報酬決定通知書」(乙10の1)
「被保険者の氏名」の欄に「半田春見」との記載
「資格取得の年月日」の欄に平成11年3月1日との記載
左下の「事業主」の項に「株式会社 協同」との記載
右下に「確認 11.3.-4 所沢社会保険 ○○」(○は不明)との押印
b 「健康保険被保険者証」(乙10の2)
「平成11年3月4日交付」との印字
「被保険者」の欄の「氏名」の項に「半田春見」との印字
「資格取得の年月日」の項に「平成11年3月1日」との印字
「事業所」の欄の「名称」の項に「株式会社 協同」との印字
c 「介護保険 該当予定者一覧表(健康保険)」(乙13)
右上に(12.3.29)との印字
その下に「所沢 社会保険事務所」との印字
その下の行中央部に「事業所名称 株式会社 協同」との印字
その下の「被保険者氏名」の下に「中島 京子」及び「半田 春見」との印字
その下の「事業所合計」の欄に「介護被保険者数 2人」,「育児該当者数 …0人」,「適用除外者数…0人」,「二以上勤務者数…0人」との印字
d 「健康保険・厚生年金保険 被保険者標準報酬決定通知書」(乙11)
三段目の欄に,「半田春見」との印字
「報酬月額」の欄の「算定基礎月の報酬支払基礎日数」の項の5月に「26」日,6月が「30」日,7月が「31」日との印字
左下の「事業所名称」の項に「(株)協同」との記載
右下に「確認日 12.8.25 所沢社会保険事務所長」との押印
5名分の記入欄のうち4名分に記入がある。
e 「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格喪失確認通知書」(乙12)
一行目に「半田春見」との記載
「資格喪失年月日」の項に平成14年1月26日との記載
左下の「事業所名称」の項に「株式会社 協同」との押印
右下に「確認 14.2.-6 ○○会保険○○務所長」(○は不明)との押印
f 「警告書」(甲31,甲32及び甲38の1)
1頁2段落1?4行に「半田春見殿は、平成18年5月31日まで通知人の社員として勤務し、その間、通知人の発熱材(商品名「モーリアンヒートパック」)の開発販売にかかわっておりました」との記載

イ これらによれば,少なくとも本件出願(平成12年2月17日)前後の平成11年3月1日(乙10の1)から平成14年1月26日(乙12)の間,半田氏は(株)社協同の従業者であったことが認められる。

(2) 本件発明が,「その性質上当該使用者等の業務範囲」に属するものであることについて
ア (株)協同の平成11年から出願当時の業務範囲について,次の証拠には以下の事項が認められる。
a 平成13年1月17日付けの「登記簿の謄本」の商号・資本欄1丁,目的欄3丁の抜粋(乙7)
目的欄3丁,「商号」の欄に「株式会社 協同」との記載
「目的」欄に「3.食品加熱用熱源材料の製作及び販売」との記載
目的欄3丁,「平成11年5月11日変更 平成11年5月14日登記」との記載
b (株)協同からの納品書(乙9)
b1 納品書(乙9の2)
「平成10年12月10日」,「品名」欄に「ヒートパック共同開発費」及び「ヒートパック用発熱剤」との記載
b2 納品書(乙9の3)
「平成11年1月7日」,「品名」欄に「ヒートパック(箱、水、発熱剤、トレー、スプーン)」,「数量」の欄に「(20set)」との記載
b3 納品書(乙9の5)
「平成11年1月31日」,「品名」欄に「ヒートパック 試作 鉄100g5ケ 200g5ケ アルミ100g5ケ 50g5ケ アルミ50角10ケ 棒状20ケ」との記載
b4 納品書(乙9の8)
「平成11年2月15日」,「品名」欄に「発熱剤 試作 Al50g」との記載
b5 納品書(乙9の9)
「平成11年2月19日」,「品名」欄に「発熱剤 試作 Al100g」との記載

イ 以上によれば,少なくとも平成11年5月11日?平成13年1月17日までの間,(株)協同の目的には,「食品加熱用熱源材料の製作及び販売」が含まれる(乙7)ことが認められる。
また,(株)協同からの納品書に「ヒートパック共同開発費」(乙9の2),「ヒートパック 試作」(乙9の5),「発熱剤試作」(乙9の8,9)と「開発」又は「試作」との記載があり,これらの記載における「ヒートパック」とは,乙9の3などの記載からみて,少なくとも発熱剤を含む商品名であることが認められる。したがって,(株)協同は,発熱剤の開発も,少なくとも平成10年から11年ころに行っていたことが認められる。
そうすると,平成11年から出願当時の(株)協同の業務範囲には,発熱剤の開発,製作及び販売を含むと認めるのが相当である。
よって,本件発明は,「その性質上当該使用者等の業務範囲」に属するものと認められる。

(3) 本件発明をするに至った行為が「その使用者等における従業者等の現在又は過去の職務」に属するものであることについて
ア 半田氏の本件発明をするに至った行為と半田氏の(株)協同における職務との関連について,以下の事実が認められる。
a 「2-1(2)」の「ア」,同「オ」,同「カ」で示したとおり,本件発明について,半田氏が,少なくとも技術的事項についての応対の(株)協同における窓口であったこと(なお,(株)協同の他の者が応対の窓口であったとする証拠は,提出されていない。)
また,本件発明に関する打合せ(乙23の2において2月14日(月)の9:30?11:00 14:00?16:00)等も勤務時間中に行われていること
b 「2-1(2)」の「エ」で示したとおり,本件出願前に半田氏が(株)協同の技術室において,勤務時間に「石灰-アルミ発熱剤」の実験をしたこと
c 「2-1(2)」の「ク」において示したとおりの,半田氏は,(株)協同において社員として「石灰-アルミ発熱剤」の開発をしたこと

イ 「2-1」のとおり,半田氏は本件発明の発明者であるか,少なくとも本件発明の発明者のひとりであると認められ,そして,その発明をするに際して(株)協同の技術室において勤務時間に実験を行っていることが認められ,また,本件発明についての打合せ等も勤務時間に行われていることが認められる。
このように,(株)協同の従業者としての勤務時間中に,(株)協同の施設を利用して発熱剤の開発のための実験を行って本件発明を発明したのであるから,本件発明をするに至った行為が「その使用者等における従業者等の現在又は過去の職務」に属するものであるといえる。
そうすると,半田氏の本件発明を完成させるに至った行為は,(株)協同の従業者である半田氏の(株)協同における職務に属するといえる。そして,これに反する証拠は提出されていない。

(4) 2-2のまとめ
以上によれば,半田氏は,少なくとも本件出願日(平成12年2月17日)を挟む前の平成11年3月1日から平成14年1月26日の間(株)協同の「従業者」であり,本件発明は「その性質上当該使用者等の業務範囲」に属するものであり,かつ,半田氏の本件発明をするに至った行為は「その使用者等における従業者等の現在又は過去の職務」に属するものであるといえるのであるから,本件発明は,少なくとも半田氏に関し,職務発明に該当する。

2-3 半田氏の本件発明についての特許を受ける権利は半田氏から(株)協同に承継されたものであるかについて
(1) 本件出願は,特許出願人の氏名又は名称の欄の表示を「株式会社協同」として,平成12年2月17日に「竹沢荘一」等を代理人として出願され(乙1),拒絶理由が通知された(乙5)後,平成15年9月5日に特許権が設定登録されたものである(甲1の1)。
そして,半田氏は本件発明の発明者であるか,少なくとも本件発明の発明者のひとりであることは,上記「2-1」で示したとおりであるところ,全証拠をみても,出願人である(株)協同が,半田氏の特許を受ける権利を半田氏から承継したこと示す譲渡書(又は類する書類)の存在は認められない。
また,上記の「2-2」で示したとおり,本件発明は,少なくとも半田氏に関し,職務発明に該当するものであるが,全証拠をみても,(株)協同における職務発明の権利承継等に関して明示の契約,勤務規則等の存在は認められない。
ところで,職務発明の特許を受ける権利の承継について,職務発明の権利承継等に関して明示の契約,勤務規則等が存在しない場合であっても,例えば,一定の期間継続して,職務発明について,特許を受ける権利が使用者等に帰属するものとして,使用者等を出願人として特許出願をする取扱いが繰り返され,従業者等においても,異を唱えることなくこのような取扱いを前提とした行動をしているような場合には,旧特許法第35条第3項にいう「契約」に該当するものとして,従業者等との間での黙示の合意の成立を認め得るものと解される(平成14年9月19日判決言渡・東京地裁民46・平成13年(ワ)第17772号中間判決)。
この観点から,株式会社協同において,半田氏との間において,職務発明の特許を受ける権利の承継について,黙示の合意の成立を認め得るかについて検討することとする。

(2) (株)協同における本件出願当時の職務発明についての特許を受ける権利の取扱いについて
ア 本件出願
本件出願について,半田氏の職務発明について,(株)協同を出願人として特許出願がされていることが認められる。

イ (株)協同を出願人(又はその一部)とする本件出願近辺の時期の出願について
本件出願近辺(平成12年2月の前後半年間)の時期には,(株)協同を出願人(又はその一部)とする以下の3つの出願(以下,順に「出願A」,「出願B」,「出願C」という。)があり,かつ,それらのみであることが認められる。
A 特願2000-116982号(出願日:平成12年4月18日 乙3の1,乙6)
B 特願2000-118957号(出願日:平成12年4月20日 乙3の2,乙6の2)
C 特願2000-130616号(出願日:平成12年4月28日 乙3の3,乙6の3)

これら出願A?Cの出願日はいずれも本件出願日(平成12年2月17日)の2月余り後であり,「発明者」欄にはいずれも「中島 京子」のみが表示されており,「出願人」の欄は,少なくとも「株式会社協同」の表示が含まれていることが認められる。また,「代理人」の欄は,いずれも,「竹沢 荘一(外2名)」と表示されている。
これらの出願A?Cについて検討する。

(ア) 出願A(乙3の1,乙6。平成12年4月18日出願)について
出願Aは,その公開公報(乙6)によれば,発明の名称「調理済み再加熱還元食品」とする出願であって,その発明は,「石灰-アルミ発熱剤」と食品等との組合わせに関するものであるといえる。「代理人」の欄は,「竹沢 荘一(外2名)」と表示されていること,竹沢証言1,岡部証言,尾形証言から化学系の明細書原案の作成は尾形氏が担当していたことから,この出願Aの明細書原案の作成を尾形氏がした蓋然性が高いと認められる。
本件出願後で,出願Aの出願前である平成12年3月3日に尾形氏から(株)協同の半田氏あてに送信されたFAX文書(乙26の1)があり,そこには,「2.更なる開発について」との見出し後に「(1)本件加熱剤と水を容器に組み込んで一体化した加熱調理容器まで発展させる。使用前は,加熱剤と水の間にバリヤーを設け,使用直前にバリヤーを解除して加熱剤と水を反応させるシステム」という記載がある。そのFAX文書(乙26の1)のあて先は,(株)協同の半田氏となっている。
そうすると,出願Aは,出願時期及び技術内容からみて尾形氏が上記FAX文書に示した,「石灰-アルミ発熱剤」の「2.更なる開発」による発明のひとつについてのものである蓋然性が高い。そして,その「2.更なる開発」の尾形氏との技術的な応対の(株)協同における窓口は,半田氏であったこと(尾形証言)から,出願Aについても,明細書原案の作成者である蓋然性が高い尾形氏と技術的な応対の協同における窓口は,半田氏であったと認められる。
そして,出願Aについても,本件出願と同様,本件発明が中島氏のみ,さらに(株)協同のその他の者のみによってされたと認めるに足る証拠の提出はない。
そうすると,出願Aの技術的内容が少なくとも半田氏が発明者の一部である本件発明の「石灰-アルミ発熱剤」に関するものであること,半田氏が出願Aの明細書原稿作成者である蓋然性が高い尾形氏との応対の(株)協同における窓口であることから,本件出願と同様,出願Aに係る発明の発明者も,中島氏のみではなく,少なくとも半田氏を含むと解する方が自然であり,かつ,少なくとも半田氏に関し,職務発明に該当すると解するのが自然である。
しかるに,出願Aも,「発明者」の欄は「中島 京子」のみ表示がされ,その「出願人」の欄は「株式会社協同」のみが表示がされている。
すなわち,出願Aの発明者及び出願人の取扱いは,本件出願の取扱いと同じである。

(イ) 出願B(乙3の2,乙6の2,乙18。乙4,18。平成12年4月20日出願)
出願Bは,その公開公報(乙6の2)の記載によれば,発明の名称を「化粧水およびそれを製造する方法」とする出願であって,上記のとおり「代理人」は「竹沢 荘一(外2名)」と表示されている。
ところで,出願Bと同じ「化粧水およびそれを製造する方法」を発明の名称とする出願(特願平11-114293。以下,「出願B’」という。)が平成11年4月22日に出願されたことが認められ(乙19),その出願書類の「受領書」の控え(乙19)に添付した出願書類によれば,「整理番号」の欄に「B0317KS0」,「発明者」の欄に「半田 春見」,「特許出願人」の欄に「株式会社サン企画」,「代理人」の欄に「竹沢 荘一」とそれぞれ記載されていることが認められる。
そして,出願B(乙6の2)と出願B’(乙19)とを対比すると,発明の名称,竹沢荘一氏を含む代理人により出願手続がされたことが同じであるほか,さらに,その明細書の記載内容も,例えば,出願Bと明細書の段落【0005】,【0007】 又は【0008】のそれぞれの記載は,出願B’と文言及び句読点の位置もまったく同じである等非常に類似していることが認められる。
すると,出願Bの出願書類は,発明者が半田氏のみである出願B’の文書データを基にして竹沢荘一氏の属する三栄国際特許事務所で作成されたものであると推認される。
また,FAX文書(乙4,18)において,乙4のヘッダーには,「2000年4月19日15時12分 三栄国際特許事務所 …P.1/14」と表示され,乙18のFAX文書のヘッダーの表示は,乙4のヘッダーの表示に続くもの(2/14?14/14)であることから,乙4,18は一連のFAX文書であると認められる。その送信時期(平成12年4月19日)は,出願Bの出願日(同20日)の前日であり,乙4のFAX文書のあて先は「株式会社 協同 半田春海様」と記載されている。乙18は「化粧水およびそれを製造する方法」とする明細書であって,その記載内容は,出願B(乙6の2)とほぼ同じであることが認められる。
そうすると,その内容及び送信時期から,乙18は,出願Bの明細書原稿であると認められ,乙4は,出願Bの願書部分であると認められる(なお,乙4の整理番号は,出願Bの「C0414KD0」(乙3の2)ではなく,出願B’の「B0317KS0」であることから,乙4は,三栄国際特許事務所が有する出願B’の願書書類を出願Bの願書のチェック原稿に利用したものと推認される。)。
そして,(株)協同において,この乙4,18のFAX文書により,願書や明細書がチェックされ,必要な修正がされ,翌20日に出願B(乙6の2)がされたと認められる。
このFAX文書(乙4,18)から出願B(乙6の2)への修正内容には,願書についていえば,発明者の住所又は居所及び氏名,特許出願人の住所又は居所及び氏名又は名称等の修正が含まれる。
乙4において,発明者の欄に「半田春見 海」と,出願人の欄に「(株)協同」とそれぞれ印字されているのを,発明者の欄において住所と共に名前を線で消し,「中島」と記入していることが認められ,この修正内容は上記修正内容と一致する。
そして,出願Bについても,本件出願と同様,本件発明が中島氏のみ,さらに(株)協同のその他の者のみによってされたと認めるに足る証拠の提出はない。
このように,出願Bの技術的内容が半田氏のみが発明者である出願B’に酷似すること,出願Bについて半田氏が三栄国際特許事務所との応対について(株)協同における窓口であることから,本件出願と同様,出願Bに係る発明の発明者も,中島氏のみではなく,少なくとも半田氏を含むと解する方が自然である。
しかるに,出願Bも,「発明者」の欄は「中島 京子」のみ表示がされ,その「出願人」の欄は「株式会社協同」その他の2社と表示されている。
この,出願Bの発明者及び出願人の取扱いは,(株)協同に関しては,本件出願の取扱いと同じであるといえる。
しかも,その願書の表示は,出願Bのチェック原稿の願書の発明者の欄に半田氏,出願人の欄に(株)協同と印字されていたところ,敢えて発明者の記載を中島氏に修正し,さらに出願人の(株)協同を印字をそのままとし,さらに他の2社を加えるという修正が施されたものであることが認められる。

(ウ) 出願C(乙3の3,乙6の3。平成12年4月28日出願)
出願Cはその公開公報(乙6の3)の記載によれば,発明の名称を「ミネラルウオーターおよびそれを製造する方法」とするものであり,「代理人」は「竹沢 荘一(外2名)」と表示されていること,竹沢証言1,岡部証言,尾形証言から化学系の明細書原案の作成を尾形氏が担当していたことから,この出願Cの明細書原案の作成を尾形氏がした蓋然性が高いと認められる。
本件出願後,出願Cの出願前である平成12年4月23日に尾形氏から(株)協同の半田氏あてに送信されたFAX文書(乙22)の2頁以降の「明細書」は,その名称や特許請求の範囲の記載を含め,出願Cの明細書の記載に酷似しており,FAX文書(乙22)の送信日(平成12年4月23日)は出願Cの出願日(28日)の5日前と近いことから,FAX文書(乙22)は,出願Cの明細書の原稿チェックをするために尾形氏から半田氏に送付されたものと認められる。
すると,出願Cについても,明細書原案の作成者である蓋然性が高い尾形氏との技術的な応対についての(株)協同における窓口は,半田氏であったと認められる。
そして,出願Cについても,本件出願と同様,本件発明が中島氏のみ,さらに(株)協同のその他の者のみによってされたと認めるに足る証拠の提出はない。
そうすると,本件出願と同様,出願Cに係る発明の発明者も,中島氏のみではなく,少なくとも半田氏を含むと解する方が自然である。
しかるに,出願Cも,「発明者」の欄は「中島 京子」のみ表示がされ,その「出願人」の欄は「株式会社協同」その他の2社と表示されている。
この,出願Cの発明者及び出願人の取扱いは,(株)協同に関しては,本件出願の取扱いと同じであるといえる。

(エ) 以上のとおり,本件出願近辺の時期の(株)協同を出願人(又はその一部)とする出願3件すべてについて,これらに係る発明の発明者に半田氏が少なくとも含まれ,かつ,発明者が中島氏のみであると認めることができないにもかかわらず,本件出願と同様,「発明者」の欄に「中島 京子」のみ表示し,「出願人」の欄に「株式会社協同」又はそれを含む表示をして出願がされている。
そうすると,(株)協同においては,本件出願時及びそれから平成12年4月28日(出願C)の間は少なくとも継続して,それらが(株)協同の従業者の職務発明(職務発明でないとすれば,その発明も),その発明の特許を受ける権利を使用者等に帰属するものとする取扱いがされていたことが認められる。

(オ) 請求人らは,出願A?Cの発明者は中島氏とされており,中島氏は(株)協同の代表者であるから,中島氏に特許を受ける権利があったとすれば,それを(株)協同に移転することに何ら抵抗はない。他方,本件出願は半田氏が特許発明の特許を受ける権利は半田氏であって,(株)協同の従業者であるから,出願A?Cと同一に論じられない旨主張する(平成20年7月15日付け上申書14頁第2段落)。
しかし,上記のとおり出願A?Cの発明者は中島氏のみであるとは認められないから,請求人らの主張は前提を誤るものであり,採用することはできない。

ウ (株)協同を出願人(又はその一部)とする出願Cの後の出願について
(株)協同を出願人(又はその一部)とする出願をみるに,出願Cの出願日の2年余り後に,以下の出願(以下,「出願D」,「出願E」という。)があることが認められる。
D 特願2002-151218号(出願日:平成14年5月24日 甲35の2)
E 特願2002-173902号(出願日:平成14年6月14日 甲35の3)

これらの出願D,Eの出願日はいずれも本件出願日(平成12年2月17日)の2年余り後であり,「発明者」欄にはいずれも「中島 京子」のみが表示されており,「出願人」の欄には,「株式会社協同」のみが表示されていることが認められる。また,「代理人」の欄には,いずれも「竹沢 荘一」を含む表示がされている。
これらの出願D,Eについて検討する。
なお,これらの出願D,Eに続いて,平成16年6月29日(甲35の7)までの間に,さらに,「発明者」欄に「中島 京子」を含み,半田氏を含まない表示とされ,それらの「出願人」の欄には,「株式会社協同」のみ,又はその他の1社と表示されている出願が4件認められる(甲35の4?7)。

(ア) 出願D(甲35の2。平成14年5月24日出願)
出願Dは,その公開公報(甲35の2)によれば,「石灰-アルミ発熱剤」自体の発明についてのものである。
尾形証言や警告書にあるとおり,半田氏は,本件出願後も「石灰-アルミ発熱剤」について開発を続け,「2-1(2)」の「キ」のとおり,本件出願後4年余の後にも,本件発明と同じ「石灰-アルミ発熱剤」自体の発明をし,出願をしていたことが認められる。
出願Dは,「石灰-アルミ発熱剤」自体の発明に係るものであって,本件出願と半田氏を発明者として含む上記出願群(最先は,平成16年11月26日(甲27の2))の間にされた出願であるから,出願Dの発明者は,本件発明と同様,半田氏であるか半田氏を含むものであって,かつ,半田氏に関して,職務発明である蓋然性が高い。
そして,出願Dについても,本件出願と同様,本件発明が中島氏のみ,さらに(株)協同のその他の者のみによってされたと認めるに足る証拠の提出はない。
そうすると,出願Dの技術的内容からみて,本件出願と同様,出願Dに係る発明の発明者も,中島氏のみではなく,少なくとも半田氏を含むと解する方が自然であり,かつ,少なくとも半田氏に関し,職務発明に該当すると解するのが自然である。
しかるに,出願Dも,「発明者」の欄は「中島 京子」のみ表示がされ,その「出願人」の欄は「株式会社協同」のみが表示がされている。
すなわち,出願Dの発明者及び出願人の取扱いは,本件出願の取扱いと同じである。

(イ) 出願E(甲35の3。平成14年6月14日出願)
出願Eは,その公開公報(甲35の3)によれば,「石灰-アルミ発熱剤」を使用するものであり,その技術内容からみて尾形氏が上記FAX文書(乙26の1)に示した,「石灰-アルミ発熱剤」の「2.更なる開発」による発明のひとつについてのものである蓋然性が高いから,その発明者には少なくとも半田氏が含まれると解する方が自然であり,かつ,半田氏に関して,職務発明に該当すると解するのが自然である。
そして,出願Eについても,本件出願と同様,本件発明が中島氏のみ,さらに(株)協同のその他の者のみによってされたと認めるに足る証拠の提出はない。
しかるに,出願Eも,「発明者」の欄は「中島 京子」のみ表示がされ,その「出願人」の欄は「株式会社協同」のみが表示がされている。
すなわち,出願Eの発明者及び出願人の取扱いは,本件出願の取扱いと同じである。

(ウ) 以上のとおり,本件出願(平成12年2月17日)の2年余の後(平成14年6月14日)においても,(株)協同を出願人とする出願について,これらに係る発明の発明者に半田氏が少なくとも含まれ,かつ,発明者が中島氏のみであると認めることができないにもかかわらず,本件出願と同様,「発明者」の欄に「中島 京子」のみ表示し,「出願人」の欄に「株式会社協同」のみ表示をして出願がされている。
そうすると,(株)協同においては,本件出願時から2年余の後の平成14年6月14日(出願E)の間は少なくとも継続して,それらが(株)協同の従業者の職務発明(職務発明でないとすれば,その発明も),その発明の特許を受ける権利を使用者等に帰属するものとする取扱いがされていたことが認められる。

エ (株)協同を出願人(又はその一部)とする,その後の出願について
(株)協同を出願人(又はその一部)とする出願とした,上記出願後の平成16年11月26日(優先日は平成16年10月14日)以降に甲27の1?8の出願がある。
これらの出願においては,発明者及び出願人に,半田氏が含まれていることが認められる。
これらの出願の代理人には,いずれにも,「竹沢 荘一」の表示が含まれている。
そして,竹沢証言1によれば,竹沢氏が所属する三栄国際特許事務所で扱っていた半田氏を発明者に含む出願について,本件出願以後のいつからか,何らかの事情で,半田氏の申出により,特許を受ける権利の一部(1/10)を持ち分とすることとし,半田氏が応分の料金負担をしていたことが認められる。
そうすると,これら(株)協同と半田氏を出願人に含む出願(甲27の1?8)は,それまでの取扱いが上記申出により変更された後の出願であると認められるから,本件出願日である平成12年当時の状況を示すものとはいえない。
むしろ,半田氏を発明者に含む発明の出願について,出願人に半田氏を含めるという取扱い変更があったということは,裏返せば,その取扱い変更より前には,半田氏を発明者に含む発明の出願について,出願人に半田氏を含めずに,(株)協同として出願するという取扱いがされていたことを示すといえる。

オ まとめ
そうすると,本件出願後,遅くとも上記取扱い変更より前においては,従業者の(職務)発明は中島氏を発明者とし,出願人を(株)協同として特許出願をする取扱いが,継続し,繰り返しなされていたことが認められ,出願A前に本件出願後に取扱い変更をしたと認めるに足る証拠はないから,本件出願当時も含め,従業者の(職務)発明を中島氏を発明者とし,出願人を(株)協同として特許出願をする取扱い,すなわち,従業者の(職務)発明について,特許を受ける権利が使用者等に帰属するものとして,使用者等を出願人として特許出願をする取扱いがあったと認めることが相当である。

なお,請求人らは,本件出願は(株)協同における最初の半田氏の職務発明の出願であり過去に1件もないのであるから,職務発明を出願人を(株)協同として特許出願をする取扱いが慣例であったといえない旨主張する(平成20年7月15日付け上申書14頁第1段落,平成21年1月8日付け上申書5頁2段落)。
しかしながら,本件発明が(株)協同における最初の半田氏の職務発明の出願であったとしても,上記のとおり,その後の取扱い等からみれば,本件出願においてもその後の取扱いと同じ取扱いがあった認めることが相当である。

(3) 従業者のこの取扱いへの対応について
ア 本件出願について
(ア) 本件出願の出願手続に引き続きその後の手続についても,竹沢荘一氏が所属する三栄国際特許事務所と応対の(株)協同における窓口は,半田氏であったことが認められる(乙5)。
そして,他の三栄国際特許事務所に依頼した出願については,出願後に出願書類(願書含む)を出願人の控えとして請求書と共に出願人に送付されていることが認められる(乙19,竹沢証言1)から,本件出願についても出願後に出願書類(願書含む)が(株)協同に送付されたと認められる。その送付の際,三栄国際特許事務所との応対の(株)協同における窓口である半田氏は,特段の事情がなければ,この出願後に送付された本件出願の願書を含め出願書類を確認し,その願書の表示において,出願人が(株)協同のみとなっていることを認識したと認められる。
さらに,出願から3年余り後の平成15年6月12日に拒絶理由通知書及び引用文献を当該特許事務所から送付された(乙5)ときにも,本件書類に接する機会があったと認められ,その際にも,三栄国際特許事務所との応対の(株)協同における窓口である半田氏は,特段の事情がなければ,出願人が(株)協同のみとなっていることを認識したと認められる。
そして,これらの時点で表示された出願人が(株)協同となっており,出願人に半田氏が含まれていないことを認識しえなかったような特段の事情は認められない。
しかるに,これらの時点で,出願人が(株)協同となっており,出願人に半田氏が含まれていないことが不服で,出願人(又はその一部)となる意思があったのであれば,自らを出願人(の一部)とするよう申出ができたと認められるところ,本件出願について,このような申出があったことを認めるに足る証拠はない。
そして,上記「(2)エ」のとおり,三栄国際特許事務所で扱っていた半田氏を発明者に含む出願について,本件出願以後のいつからか,何らかの事情で,半田氏の申出により,特許を受ける権利の一部(1/10)を持ち分とすることとし,半田氏が応分の料金負担もしていたことが認められる。
本件出願当時に申出ができなかった何らかの事情が仮にあったとしても,その後,特に上記の取扱い変更後には,本件特許権の一部を持分とする旨の申出ができたはずであるところ,その取扱い変更後数年以上たち,本件特許について問題が発生するまでは,(株)協同に対して,特許登録後は特許権の帰属について何らかの申出があったことは認められず,上記状態を数年間にもわたり黙認していたことが認められる。

(イ) 請求人らの主張
請求人らは,半田氏は本件出願後に,中島氏から出願書類を見せられて,自分が出願人に含まれていないことを知ったが,その時点では,自分は(株)協同の社員であることから特許を受ける権利を会社に譲渡した覚えはないと主張することができなかった旨主張する(審判請求書12頁(3))。
しかしながら,その時点でそのような主張することができなかったことを裏付ける証拠の提出はなく,根拠のない主張であって,採用することはできない。

イ 本件出願後の出願A?Eについて
半田氏が少なくとも発明者に含まれると推認されるにもかかわらず,出願人に半田氏が含まれていない,本件出願後の出願A?Eが存在すると認められることは「(3)」のとおりであるところ,これらはいずれも代理人の竹沢荘一氏が所属する三栄国際特許事務所によって出願手続されたものである。
そうすると,本件出願と同様,少なくとも出願後に出願書類(願書含む)が(株)協同に送付されたと認められ,少なくともその出願の一部においては半田氏が三栄国際特許事務所との応対の(株)協同における窓口になっており,また半田氏はそれらの発明者の少なくともひとりであるから,特段の事情がなければ,半田氏がそれらの出願書類を見ないとは考えられないところ,そのような特段の事情は認められない。
これらの出願についても,本件出願と同様,出願人が(株)協同となっており,出願人に半田氏が含まれていないことが不服で,出願人(又はその一部)となる意思があったのであれば,自らを出願人(の一部)とするよう申出ができたと認められるところ,このような申出があったと認めるに足る証拠はない。
むしろ,出願Bに見られるように,出願前に発明者・出願人等の確認書類が送付されたものについて,半田氏は,これを見たと認められるにもかかわらず,出願人に自身を入れるという申出をしなかったことはもとより,発明者欄の「半田春見」の印字を敢えて中島氏に修正することを認めていることから,異を唱えるどころか,このような取扱いを前提として行動していたことも認められる。
そして,出願A?Eについても,取扱い変更した後も,半田氏の申出により,本件出願の特許を受ける権利(又は特許登録後は特許権)の一部を持ち分とする旨の申出がなされていると認めるに足る証拠はない。
そうすると,出願A?Eについても,半田氏は,(株)協同における上記取扱いに異を唱えたということはできず,上記状態を数年間にもわたり黙認していることが認められる。

ウ 上記のとおり,本件出願も含め,従業者の(職務)発明を中島氏を発明者とし,出願人を(株)協同として特許出願をする取扱い扱いについて黙認し,異を唱えていなかったと認めざるをえない。

(4) 2-3のまとめ
以上,(株)協同において,本件出願時及びその後少なくとも2年余の後の期間において継続して,少なくとも半田氏の職務発明について,特許を受ける権利が使用者等に帰属するものとして,半田氏を出願人(又はその一部)とせずに,(株)協同を出願人として特許出願をする取扱いが繰り返され,半田氏においても,異を唱えることなく,さらに、このような取扱いを前提とした行動をしていることも認められ,これらの事情を総合すれば,半田氏の本件特許を受ける権利の承継について,旧特許法第35条にいう「契約」に該当するものとして,使用者等である(株)協同と,従業者等である半田氏との間において,黙示の合意の成立を認め得るものといえる。

なお,請求人らは,平成3年11月28日判決言渡・東京高裁民六・平成2年(行ケ)第97号判決を示し,この判決が説示する理由は,その細部において,本件事案とは異なるが,要部においては同じであるから,本件特許に係る特許出願も冒認であるとされるべきである旨主張する(審判請求書13頁(3))。
しかし,上記判決に係る事案は,本件のような職務発明の承継に関する事案とは異なるから,判決が説示する理由を本件に直ちに適用することができるものではない。

2-4 むすび
以上2-1?2-3によれば,半田氏は本件発明の発明者であったか,少なくとも本件発明の発明者であり,その発明は半田氏の職務発明に該当すると認められるところ,その特許を受ける権利の承継について,旧特許法第35条にいう「契約」に該当するものとして,使用者等である(株)協同と,従業者等である半田氏との間での黙示の合意の成立を認め得るものであるから,本件発明に係る特許出願人である(株)協同は,本件発明の半田氏の特許を受ける権利を承継するものであるといえる。

第7 むすび
以上のとおり,本件発明に係る特許出願の出願人である(株)協同は,半田氏の本件発明についての特許を受ける権利を承継するものであるから,本件特許は,発明者でない者であってその発明について特許を受ける権利を承継していないものの特許出願に対してされたものではなく,特許法第123条第1項第6号に該当するものではない。
審判に関する費用については,特許法第169条第2項において準用する民事訴訟法第61条の規定により,請求人らの負担とすべきものとする。
よって,結論のとおり審決する。
 
別掲 別添
<書証一覧>
1 請求人らから提出された書証
(1) 審判請求書に添付されたもの
甲第1号証の1:特許第3467729号公報の写し
甲第1号証の2:特許第3467729号の特許原簿の写し
甲第2号証:株式会社エネルダインの履歴事項全部証明書の写し
甲第3号証:開発工業有限会社定款の写し
甲第4号証の1:日本電信電話株式会社の開発工業有限会社あて(以下あて先の敬称を略す。)の電話料金口座振替のお知らせ及び電話料金支払領収証(平成11年1月28日付け)の写し
甲第4号証の2:日本電信電話株式会社の開発工業有限会社あての電話料金口座振替のお知らせ及び電話料金支払領収証(平成11年1月28日付け)の写し
甲第5号証の1:株式会社協同から開発工業有限会社あての納品書(平成10年12月10日付け)の写し
甲第5号証の2:株式会社協同から開発工業有限会社あての請求書(平成10年12月10日付け)の写し
甲第5号証の3:株式会社協同から開発工業(有)様あての納品書(平成11年2月20日付け)の写し
甲第6号証:日本電信電話株式会社の開発工業有限会社あての電話料金口座振替のお知らせ(平成11年2月12日付け)の写し
甲第7号証の1:開発工業有限会社 半田春見から神奈川税務署あての廃業届(平成11年12月20日付け)の写し
甲第7号証の2:開発工業有限会社 半田春見から横浜市港北区役所,法人市民税係あての廃業届(平成11年12月20日付け)の写し
甲第8号証:半田春見の平成12年分の所得税の確定申告書の控えの写し
甲第9号証:株式会社協同の半田春見についての平成18年分報酬,料金,契約金及び賞金の支払調書の写し
甲第10号証の1:有限会社武藤技研の開発工業有限会社あての納品書(平成9年11月10日付け)の写し
甲第10号証の2:有限会社武藤技研の開発工業有限会社あての請求書(平成9年11月10日付け)の写し
甲第10号証の3:有限会社武藤技研の開発工業有限会社あての領収証(平成9年12月16日付け)の写し
甲第11号証:特開平11-146835号公報の写し
甲第12号証:秩父石灰工業株式会社の開発工業(有)あての試験成績表(平成9年12月3日付け)の写し
甲第13号証の1:試験依頼・報告書(依頼年月日平成9年12月13日)が表示されたFAX文書(ヘッダー1997年12月19日 10時36分 秩父石灰工業株式会社 No.5658 2/3)の上半分の写し
甲第13号証の2:同下半分の写し
甲第13号証の3:同FAX文書(ヘッダー1997年12月19日 10時37分 秩父石灰工業株式会社 No.5658)の写し
甲第14号証:秩父石灰工業株式会社:生石灰(フッターhttp://www.titi-lime.co.jp/Product/Normal/QuickLime.html 2007/06/22)の写し
甲第15号証の1:山石金属株式会社の開発工業有限会社 半田あての納品書(売上日1997/12/15)の写し
甲第15号証の2:山石金属株式会社の開発工業有限会社半田あての請求書(1997年12月31日締切)の写し
甲第15号証の3:カイハツコウギヨウ(ユのヤマイシキンゾク(カあての電信振込ご利用控え(10--1-28)の写し
甲第16号証:山石金属株式会社の表題「YAMAISHI METAL POWDER」副題「-金属粉のごあんない-」のパンフレットの写し
甲第17号証の1:山石金属株式会社の開発工業有限会社 半田あての納品書(売上日1998/02/06)の写し
甲第17号証の2:山石金属株式会社の開発工業有限会社 半田あての請求書(1998年02月28日締切)の写し
甲第17号証の3:カイハツコウギヨウ(ユのヤマイシキンゾク(カあての電信振込ご利用控え(10--3-31)の写し
甲第18号証の1:山石金属株式会社の開発工業有限会社 半田あての納品書(売上日1998/04/14)の写し
甲第18号証の2:山石金属株式会社の開発工業有限会社 半田あての納品書(売上日1998/04/16)の写し
甲第18号証の3:山石金属株式会社の開発工業有限会社 半田あての請求書(1998年04月30日締切)の写し
甲第18号証の4:10-05-22?10-06-23が記載した頁の写し
甲第19号証の1:秩父石灰工業株式会社の開発工業(有)半田あての品名を「生石灰QA POWサンプル」とする宅配便伝票(平成10年4月20日付け)の写し
甲第19号証の2:秩父石灰工業(株)技術の開発工業(有)半田あての品名を「生石灰QA POW」とする宅配便伝票(平成10年4月14日付け)の写し
甲第20号証の1:開発工業(有)が依頼主の品名を「ヒートパック」とする宅配便伝票(受付日9年12月18日)の写し
甲第20号証の2:開発工業(有)が依頼主の品名を「ヒートパック」とする宅配便伝票(受付日9年12月21日)の写し
甲第20号証の3:開発工業(有)が依頼主の品名を「ヒートパック」とする宅配便伝票(受付日9年12月21日)の写し
甲第21号証の1:開発工業(有)が依頼主の品名を「発熱体セット」とする宅配便伝票(受付日10年1月9日)の写し
甲第21号証の2:開発工業(有)が依頼主の品名を「発熱剤セット」とする宅配便伝票(受付日10年1月12日)の写し
甲第21号証の3:半田が依頼主の品名を「発熱剤サンプル」とする宅配便伝票(受付日10年2月22日)の写し
甲第21号証の4:半田が依頼主の品名を「ヒートパット」とする宅配便伝票(受付日10年2月27日)の写し
甲第21号証の5:開発工業(有)半田が依頼主の品名を「ヒートパック」とする宅配便伝票(受付日10年3月4日)の写し
甲第21号証の6:半田が依頼主の品名を「Heat Pac」とする宅配便伝票(受付日10年3月20日)の写し
甲第21号証の7:開発工業(有)半田が依頼主の品名を「発熱機」とする宅配便伝票(受付日10年4月21日)の写し
甲第21号証の8:開発工業(有)半田が依頼主の品名を「ヒートパック,他」とする宅配便伝票(受付日10年6月13日)の写し
甲第21号証の9:開発工業(有)半田が依頼主の品名を「ヒートパック」とする宅配便伝票(受付日10年6月13日)の写し
甲第21号証の10:開発工業(有)半田が依頼主の品名を「ヒートパック」とする宅配便伝票(受付日10年6月16日)の写し
甲第21号証の11:開発工業(有)半田が依頼主の品名を「ヒートパック」とする宅配便伝票(受付日10年7月21日)の写し
甲第21号証の12:開発工業(有)半田が依頼主の品名を「ヒートパック」とする宅配便伝票(受付日10年8月11日)の写し
甲第21号証の13:半田春見が依頼主の品名を「ヒートパック」とする宅配便伝票(受付日10年8月18日)の写し
甲第21号証の14:開発工業(有)半田が依頼主の品名を「ヒートパック」とする宅配便伝票(受付日10年9月8日)の写し
甲第21号証の15:開発工業(有)半田が依頼主の品名を「ヒートパック」とする宅配便伝票(受付日10年11月1日)の写し
甲第21号証の16:開発工業(有)半田が依頼主の品名を「ヒートパック」とする宅配便伝票(受付日10年11月1日)の写し
甲第21号証の17:半田春見が依頼主の品名を「発熱剤」とする宅配便伝票(受付日10年12月1日)の写し
甲第22号証の1:半田春見が依頼主の品名を「ヒートパック」及び「発熱剤」とする国際エクスプレスメール便伝票(1998年05月15日)の写し
甲第22号証の2:半田春見が依頼主の品名を「Heat Pac」とする国際エクスプレスメール便伝票(1998年06月23日)の写し
甲第22号証の3:半田春見が依頼主の品名を「Heat Pac」とする国際エクスプレスメール便伝票(1998年06月23日)の写し
甲第23号証の1:有恒鉱業株式会社の開発工業有限会社あての試験成績表(平成12年1月26日付け)の写し
甲第23号証の2:有垣鉱業(株)の取扱商品一覧1/3ページ及び2/3ページの写し
甲第24号証:Nameを半田春見 Departmentを(株)協同とする「発熱剤 実験ノート」(Date of use 99.11.01.?00.01.14.)の写し
甲第25号証:特許第4008490号公報及び特許査定書の写し
甲第26号証:株式会社協同の履歴事項全部証明書(平成19年6月27付け)の写し
甲第27号証の1:特開2006-137494号公報の第1頁の写し
甲第27号証の2:特開2006-152090号公報の第1頁の写し
甲第27号証の3:特開2006-225437号公報の第1頁の写し
甲第27号証の4:特開2006-241418号公報の第1頁の写し
甲第27号証の5:特開2006-273943号公報の第1頁の写し
甲第27号証の6:特開2006-346329号公報の第1頁の写し
甲第27号証の7:特開2007-68788号公報の第1頁の写し
甲第27号証の8:特開2007-131689号公報の第1頁の写し
甲第28号証:日本経済新聞記事(2005年(平成17年)11月30日付け)の写し
甲第29号証:朝日新聞記事(2006年(平成18年)11月10日付け)の写し
甲第30号証の1:エネルダインの納品書(平成19年3月8日付け)の写し
甲第30号証の2:エネルダインの納品書(平成19年3月8日付け)の写し
甲第30号証の3:エネルダインの納品書(平成19年3月29日付け)の写し
甲第30号証の4:エネルダインの納品書(平成19年4月20日付け)の写し
甲第30号証の5:エネルダインの納品書(平成19年4月27日付け)の写し
甲第30号証の6:エネルダインの納品書(平成19年5月28日付け)の写し
甲第30号証の7:エネルダインの納品書(平成19年6月13日付け)の写し
甲第31号証:通知人 株式会社協同の半田春見,田村嘉男,株式会社エネルダインあての警告書(平成19年4月17日付け)の写し
甲第32号証:株式会社協同の半田春見,田村嘉男,株式会社エネルダインに対する警告書写しの送付書(平成19年4月23日付け)及び警告書が表示されたFAX文書(ヘッダー2007年4月25日 10時03分 オージー9F No.1491 p1?p4)の写し
甲第33号証:株式会社エネルダイン代表取締役 田村嘉男記入の伝聞内容とりまとめ書面(平成19年8月22日作成)の写し

(2)平成20年7月15日付け上申書に添付されたもの
甲第34号証:三栄国際特許事務所非常勤技術専門職 尾形義秀の陳述書(平成20年7月14日付け)の写し
甲第35号証:藤沢国際特許事務所作成の出願リスト(平成20年7月10日付け)の写し

(3)平成21年1月8日付け上申書に添付されたもの
甲第27号証の1の差し替え:特開2006-137494号公報の全頁の写し
甲第27号証の2の差し替え:特開2006-152090号公報の全頁の写し
甲第27号証の3の差し替え:特開2006-225437号公報の全頁の写し
甲第27号証の4の差し替え:特開2006-241418号公報の全頁の写し
甲第27号証の5の差し替え:特開2006-273943号公報の全頁の写し
甲第27号証の6の差し替え:特開2006-346329号公報の全頁の写し
甲第27号証の7の差し替え:特開2007-68788号公報の全頁の写し
甲第27号証の8の差し替え:特開2007-131689号公報の全頁の写し
甲第35号証の1:特開2000-107038号公報の写し
甲第35号証の2:特開2003-342558号公報の写し
甲第35号証の3:特開2004-16395号公報の写し
甲第35号証の4:特開2004-182278号公報の写し
甲第35号証の5:特開2004-189321号公報の写し
甲第35号証の6:特開2004-313065号公報の写し
甲第35号証の7:特開2006-6270号公報の写し
甲第35号証の8:特開2006-304661号公報の写し
甲第35号証の9:特開2008-119105号公報の写し
甲第35号証の10:特開2008-23363号公報の写し
甲第36号証:武蔵野銀行 ハンダハルミ名義通帳表紙,おなまえ記載頁及び10-05-22?10-06-23記載した頁の写し
甲第37号証の1:有恒鉱業(株)取扱商品一覧(2008年12月19日 神戸捺印入り)写し
甲第37号証の2:有恒鉱業株式会社 神戸益雄 の名刺が表示された(株)エネルダイン田村あてのFAX文書(ヘッダー2009年1月8日)の写し
甲第38号証の1:株式会社エネルダインの銀座東法律事務所の弁護士7名あての回答要請文書(平成19年5月9日付け)並びに株式会社協同の半田春見,田村嘉男,株式会社エネルダインに対する警告書写しの送付書(平成19年4月23日付け)及び警告書が表示されたFAX文書(ヘッダー2007年4月25日 10時03分 オージー9F No.1491 p1?p4)の写し
甲第38号証の2:受取人銀座東法律事務所弁護士の郵便物配達証明書(19.5.10付け)の写し
甲第39号証:平成21年1月8日付け山石金属株式会社の株式会社エネルダインあての書面が表示されたFAX文書(ヘッダー009 01/08 THU 16:09 …山石金属)の写し

2 被請求人から提出された書証
(1) 答弁書に添付されたもの
乙第1号証:特許願2000-039298の第1頁の写し
乙第2号証:三栄国際特許事務所 弁理士竹沢荘一の株式会社協同 社長中島京子あて書面(平成19年5月21日付け)の写し
乙第3号証の1:特許願2000-116982の第1頁の写し
乙第3号証の2:特許願2000-118957の第1頁の写し
乙第3号証の3:特許願2000-130616の第1頁の写し
乙第4号証:株式会社 協同 半田春海あてFAX文書(ヘッダー2000年4月19日15時12分 三栄国際特許事務所 …P.1/14)の写し
乙第5号証:三栄国際特許事務所 担当 尾形 の株式会社協同 半田あて書類送付御案内(平成15年6月12日付け)の写し

(2) 平成20年5月27日付け口頭審理陳述要領書に添付されたもの
乙第6号証:特開2001-299248号公報(特許願2000-116982)の写し

(3) 平成20年6月24日付け上申書に添付されたもの
乙第6号証の2:特開2001-302430号公報(特許願2000-118957)の写し
乙第6号証の3:特開2001-299295号公報(特許願2000-130616)の写し
乙第7号証:株式会社協同の登記簿謄本抜粋(商号・資本欄1丁,目的欄3丁。平成13年1月17日付け)の写し
乙第8号証:「協美印刷(株)殿」の表題のある書面,左上に「11年」との記載がある書面の写し
乙第9号証の1:株式会社協同の納品書(控)(10年12月10日付け)の写し
乙第9号証の2:株式会社協同の納品書(控)(10年12月10日付け)の写し
乙第9号証の3:株式会社協同の納品書(控)(11年1月7日付け)の写し
乙第9号証の4:株式会社協同の納品書(控)(11年1月7日付け)の写し
乙第9号証の5:株式会社協同の納品書(控)(11年1月31日付け)の写し
乙第9号証の6:株式会社協同の納品書(控)(11年2月5日付け)の写し
乙第9号証の7:株式会社協同の納品書(控)(11年2月10日付け)の写し
乙第9号証の8:株式会社協同の納品書(控)(11年2月15日付け)の写し
乙第9号証の9:株式会社協同の納品書(控)(11年2月19日付け)の写し
乙第9号証の10:株式会社協同の納品書(控)(11年2月26日付け)の写し
乙第10号証の1:被保険者を半田春見,事業主氏名を株式会社協同とする健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得確認および標準報酬決定通知書(確認印11.3.-4)の写し
乙第10号証の2:被保険者を半田春見,事業所名称を株式会社協同とする健康保険被保険者証(平成11年3月4日交付)の写し
乙第11号証:事業所名称を(株)協同とする健康保険 厚生年金保険 被保険者標準報酬決定通知書副本(確認印12.8.25)の写し
乙第12号証:事業所名称を株式会社協同とする健康保険 厚生年金保険 被保険者資格喪失確認通知書(確認印14.2.-6)の写し
乙第13号証:事業所名称を株式会社協同とする介護保険 該当予定者一覧表(健康保険)(12・3・29)の写し
乙第14号証:氏名を半田春見とする文書(平成11年9月?平成12年5月)の写し
乙第15号証の1:「財団法人化学物質評価研究機構殿」の表題のある書面の写し
乙第15号証の2:「ユニセル(株)殿」の表題のある書面の写し
乙第15号証の3:「(有)八木技研殿」の表題のある書面の写し
乙第16号証の1:財団法人化学物質評価研究機構の株式会社協同 半田春見あての請求書の送り状(平成12年1月25日付け)及び請求書(平成12年1月25日付け)の写し
乙第16号証の2:財団法人化学物質評価研究機構の株式会社協同 半田春見あてのFAX送付状(ヘッダー00-2-8;13:32 化学物質評価研究機構 東京事業所)の写し及び財団法人化学物質評価研究機構の依頼者を株式会社協同とする試験報告書(平成12年2月8日付け)の写し
乙第17号証:(財)日本食品分析センターの(株)協同の半田あてFAX送信状(平成12年2月18日付け)及び試験提案書FAX文書(ヘッダー00-2-18;10:09AM;財団法人日本食品分析センター…1/2)の写し
乙第18号証:FAX文書(ヘッダー2000年4月19日15時13分 三栄国際特許事務所 NO.0950 P.2/14?14/14)の写し
乙第19号証:特許庁長官の竹沢壮一あて,特願平11-114293の特許願受領書(平成11年4月22日付け)の右上に「貴殿の控としてお受取り下さい」「三栄国際特許」と押印された文書及び出願書類プルーフ管理情報,出願書類プルーフの写し
乙第20号証:炊飯袋と題する書面の写し
乙第21号証:株式会社協同 半田春見の三栄国際特許事務所 外国部 尾形義秀あて依頼書(平成12年3月15日付け)の写し
乙第22号証:尾形義秀の株式会社協同 半田あてFAX文書(平成12年4月23日付け。ヘッダー2000.4.23 19:26?19:28)の写し
乙第23号証の1:尾形義秀の株式会社協同あてのFAX文書(平成12年2月13日付け。ヘッダー2000.2.13 10:23)の写し
乙第23号証の2:株式会社協同 半田春見の尾形義秀あてFAX文書(平成12年2月13日付け。ヘッダー’00-02-13 10:39 KKキョウドウ…)に加筆した,尾形義秀の半田あてのFAX文書(ヘッダー2000.2.13 10:39)の写し
乙第23号証の3:尾形義秀の株式会社協同の半田あてに送信されたFAX文書(平成12年2月13日付け。ヘッダー2000.2.13 16:38)の写し
乙第24号証の1:株式会社協同 半田春見の三栄国際特許事務所の岡部あての書面(平成12年2月15日付け)の写し
乙第24号証の2:株式会社協同 半田春見の尾形義秀あての書面(平成12年2月15日付け)の写し
乙第25号証の1:三栄国際特許事務所の株式会社協同 半田春見あての書類送付御案内(平成12年2月28日付け)の写し
乙第25号証の2:三栄国際特許事務所の株式会社協同 半田あての書類送付御案内(平成12年10月30日付け)の写し
乙第26号証の1:三栄の尾形の株式会社協同 半田あてに送信されたFAX文書(ヘッダー00-3-3;8:49)の写し
乙第26号証の2:三栄国際特許事務所 三原の半田春見あての書類送付御案内(平成12年3月15日付け)の写し及び委任状Sampleの写し
乙第26号証の3:特願平9-356033号に関する手続の弁理士竹沢荘一外2名へ委任する委任状

(注:乙第24号証の1,2については,真正に作成されたものと認めることはできない。)

(4) 平成21年1月8日付け上申書に添付されたもの
乙第27号証:コクヨS&T株式会社のクレオ国際特許事務所あての書面(平成20年12月29日付け)の原本
乙第28号証:三栄国際特許事務所のクレオ国際特許事務所あての回答書(平成20年12月19日付け)の写し
乙第29号証の1:実開平7-8005公報の第1,3頁の写し
乙第29号証の2:実開平7-8006公報の第1,3頁の写し
乙第29号証の3:特開平9-155321号公報の第1頁の写し
乙第29号証の4:特開平10-298542号公報の第1頁の写し
乙第29号証の5:特開2000-37975号公報の第1,6頁の写し
乙第29号証の6:特開平2000-107038号公報の第1,5頁の写し

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(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、この審決に係る相手方当事者を被告として、提起することができます。
 
審理終結日 2009-02-17 
結審通知日 2009-02-19 
審決日 2009-03-03 
出願番号 特願2000-39298(P2000-39298)
審決分類 P 1 113・ 152- Y (C09K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山本 英一  
特許庁審判長 柳 和子
特許庁審判官 橋本 栄和
原 健司
登録日 2003-09-05 
登録番号 特許第3467729号(P3467729)
発明の名称 発熱剤及び発熱剤を使用する方法  
代理人 横山 正治  
代理人 藤沢 昭太郎  
代理人 藤沢 則昭  
代理人 藤沢 昭太郎  
代理人 藤沢 則昭  
代理人 西脇 民雄  
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