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審決分類 |
審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B29C 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B29C 審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B29C 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B29C |
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管理番号 | 1196682 |
審判番号 | 不服2006-19384 |
総通号数 | 114 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2009-06-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2006-09-01 |
確定日 | 2009-04-27 |
事件の表示 | 特願2001-383850「成型品取出機におけるチャック位置設定処理方法」拒絶査定不服審判事件〔平成15年7月2日出願公開、特開2003-181845〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許出願 平成13年12月18日 手続補正書 平成16年9月13日 拒絶理由通知 平成18年2月28日付け 意見書及び手続補正書 平成18年4月7日 拒絶査定 平成18年8月18日付け 審判請求 平成18年9月1日 (同年9月12日付けで手続補正書(方式)) 手続補正書 平成18年9月12日 前置報告書 平成18年11月13日付け 審尋 平成20年6月18日付け 回答書 平成20年7月30日 補正の却下の決定 平成20年10月28日付け (平成18年9月12日にした手続補正について) 拒絶理由通知(最後) 平成20年10月28日付け 意見書及び手続補正書 平成21年1月15日 第2 平成21年1月15日に提出した手続補正書による明細書の補正に対する補正の却下の決定 [結論] 平成21年1月15日に提出した手続補正書による明細書の補正を却下する。 [理由] 1.補正の内容 平成21年1月15日に提出した手続補正書による明細書の補正(以下,「当審補正」という。)は,特許法第17条の2第1項第2号に掲げる,いわゆる最後の拒絶理由通知に対する応答としてされた明細書の補正であって,その内容は, 平成18年4月7日に提出した手続補正書による明細書の補正(以下,「審査時補正」という。)の後の明細書の特許請求の範囲の請求項1についての,以下の補正事項Aを含むものである。 補正事項A: 「サーボモータによりチャックを移動制御して成形機の金型から成型品を取り出す成型品取出機において、チャックの各移動位置を設定する際に、予め測定して入力された成型品取出機及び成形機における各部材間の間隔データと入力されたチャックの位置データを比較し、間隔データの値に対して入力された位置データによるチャックの移動距離が所要の範囲内になった際に、位置データの設定を禁止してアラーム処理するチャック位置設定処理方法。」を, 「サーボモータによりチャックを移動制御して成形機の金型から成型品を取り出す成型品取出機において、チャックの各移動位置を設定する際に、成型品取出機及び成形機におけるチャックの移動位置にそれぞれ対応する各部材間の実測寸法並びに成型品の実測寸法を測定して記憶する、上記各種実測寸法とチャックの移動可能距離に関する条件式を記憶する、記憶された条件式に基づいて実測寸法と入力されたチャックの位置データによる移動距離とを比較する、入力された位置データに基づくチャックの移動距離と実測寸法が上記条件式を満たさない場合には、位置データの設定を禁止してアラーム処理するチャック位置設定処理方法。」と補正する。 2.新規事項の追加の有無の検討 2-1.補正後の発明特定事項 補正事項Aによって, (1)「成型品取出機及び成形機におけるチャックの移動位置にそれぞれ対応する各部材間の実測寸法並びに成型品の実測寸法を測定して記憶する」こと(以下,「実測寸法測定記憶事項」という。), (2)「上記各種実測寸法とチャックの移動可能距離に関する条件式を記憶する」こと(以下,「条件式記憶事項」という。), (3)「記憶された条件式に基づいて実測寸法と入力されたチャックの位置データによる移動距離とを比較する」こと(以下,「移動距離比較事項」という。),及び (4)「入力された位置データに基づくチャックの移動距離と実測寸法が上記条件式を満たさない場合には」(以下,「条件式判定事項」という。)を, 発明を特定するために必要な事項(以下,「発明特定事項」という。)に,併せて備えるものとなった。 2-2.「実測寸法測定記憶事項」について 「実測寸法測定記憶事項」は,「成型品取出機及び成形機におけるチャックの移動位置にそれぞれ対応する各部材間の実測寸法」と「成型品の実測寸法」とを,ともに「測定して記憶する」ことから成るものである。 しかしながら,「成型品取出機及び成形機におけるチャックの移動位置にそれぞれ対応する各部材間の実測寸法」は,本願の願書に最初に添付した明細書又は図面(以下,「当初明細書等」という。)に記載された事項ではない。 すなわち,第1に,当初明細書等には,「各部材間の実測寸法」という字句は存在しない。また,「各部材間の実測寸法」とは,字義上,“部材と部材との間”の実測寸法であるが,当初明細書等には,段落0014及び図3に,寸法を測定する対象AないしNが記載されていると認められるところ,“部材と部材との間”を窺わせるものは,「A」の「固定側取付盤5の上面と本体フレーム3における基台部下面間の寸法」のみであって,その他は,“部材と部材との間”を窺わせるものではないし,当業者であっても,該「A」に関する記載から,「各部材間の実測寸法」という概念を,直ちに導くことができるとは認められない。さらに,当初明細書に,AないしNの実測した寸法の値から,“部材と部材との間”の寸法を導く操作について,具体的な記載も見い出せない。 第2に,「成型品取出機及び成形機におけるチャックの移動位置にそれぞれ対応する(各)部材」という字句は存在せず,また,該「部材」の概念が,当業者に自明の事項であるとも認められない。 この点,請求人は,平成21年1月15日付けの意見書(以下,単に「意見書」という。)において,「本願は、成型品取出機においてチャックの移動位置を設定する場合に、チャックが成型品取出機及び成形機を構成する各部材に干渉(衝突)しないようにすることを技術課題とするもので、予め測定しおく必要がある部材としては、チャックの移動位置間に対応する部材であり、この点を明確にするため、「チャックの移動位置にそれぞれ対応する各部材間」に訂正します。該補正は、特許法第17条の2第5項第4号に該当すると思料します。」と述べている。しかしながら,「チャックの移動位置間に対応する部材」自体,その意味が明確とはいえず,また,「チャックの移動位置にそれぞれ対応する各部材間」との関係も不明であるので,「実測寸法測定記憶事項」に係る補正が,当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであるということはできない。 以上のとおりであるから,「実測寸法測定記憶事項」は,当初明細書等に記載された事項ではない。 2-3.「移動距離比較事項」について まず,「入力されたチャックの位置データによる移動距離」は,当初明細書等に記載された事項ではない。 すなわち,当初明細書等には,「入力されたチャックの位置データによる移動距離」という字句は存在せず,また,かかる「移動距離」の概念が,当業者に自明の事項であるとも認められない。さらに,当初明細書等の段落0025には,「チャック17の初期位置(Y0、Z0)からの移動距離に基づいてそれぞれの移動位置データを設定入力するものとする。」との記載もあり,「チャックの位置データ」と「移動距離」の因果関係も明確でない。 したがって,「入力されたチャックの位置データによる移動距離」を要素とする「移動距離比較事項」は,当初明細書等に記載された事項ではない。 2-4.「条件式判定事項」について 「2-3.「移動距離比較事項」について」で述べたように,「入力されたチャックの位置データによる移動距離」は,当初明細書等に記載された事項ではないから,「入力されたチャックの位置データによる移動距離」を要素とする「条件式判定事項」は,当初明細書等に記載された事項ではない。 2-5.新規事項の追加の有無の検討のまとめ 以上のとおり,「実測寸法測定記憶事項」,「移動距離比較事項」及び「条件式判定事項」は,当初明細書等に記載された事項ではないから,これらの事項を発明特定事項に備えるものとする補正事項Aは,当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではない。 したがって,補正事項Aを含む当審補正は,当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではないから,特許法第17条の2第3項の規定に違反するものである。 3.補正の目的についての検討 3-1.補正事項Aの詳細 補正事項Aによる,請求項1の補正箇所について,補正前後の記載内容をみると, 「位置データの設定を禁止してアラーム処理する」との記載に先行する記載箇所において, 「予め測定して入力された成型品取出機及び成形機における各部材間の間隔データと入力されたチャックの位置データを比較し、 間隔データの値に対して入力された位置データによるチャックの移動距離が所要の範囲内になった際に、」とあるを, 「成型品取出機及び成形機におけるチャックの移動位置にそれぞれ対応する各部材間の実測寸法並びに成型品の実測寸法を測定して記憶する、 上記各種実測寸法とチャックの移動可能距離に関する条件式を記憶する、 記憶された条件式に基づいて実測寸法と入力されたチャックの位置データによる移動距離とを比較する、 入力された位置データに基づくチャックの移動距離と実測寸法が上記条件式を満たさない場合には、」と補正するものであり,要するところ, 「チャック位置設定処理方法」という方法に関する発明において,「2-1.補正後の発明特定事項」で述べた,「実測寸法測定記憶事項」,「条件式記憶事項」,「移動距離比較事項」及び「条件式判定事項」を発明特定事項に備えるものとするものである。 3-2.「実測寸法測定記憶事項」についての検討 「実測寸法測定記憶事項」について,補正前の請求項1に係る発明(以下,「補正前発明1」という。)における由来の有無を検討するに,補正前の請求項1には,成形品取出機であれ,部材であれ,成型品であれ,何らかの「実測寸法」を「記憶」することについては記載がないから,「実測寸法測定記憶事項」を発明特定事項に追加することは,補正前の請求項1に記載したいずれかの発明特定事項を限定するものではない。 なお,この点,請求人は,「実測寸法測定記憶事項」に係る補正事項に関して,特許法第17条の2第4項第2号ないし第4号に該当する旨を述べている(意見書第1ないし2ページ。なお,請求人は,「特許法第17条の2第5項第2号ないし第4号に該当する」と述べているが,平成18年法律第55号改正附則により,なお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項が適用されるものである。以下,同じ。)。 しかしながら,当審補正は,「1.補正の内容」で述べたとおり,審査時補正により補正された明細書に対するものであって,先に,平成20年10月28日付けでされた補正の却下の決定によって却下された平成18年9月12日付け手続補正書により補正された明細書を対象とする補正ではない。そして,審査時補正により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1には,何らかの「実測寸法」を「記憶」することについては記載がないのであるから,「実測寸法測定記憶事項」を発明特定事項に追加することは,特許法第17条の2第4項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮(第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであつて、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)」を目的とするものであると認めることはできない。 また,補正前の請求項1に記載された「各部材間の間隔データ」を,「各部材間の実測寸法並びに成型品の実測寸法」に補正することによって,誤記が訂正されたとも,明りょうでない記載が釈明されたともいうことはできない。 3-3.「条件式記憶事項」についての検討 「条件式記憶事項」について,補正前発明1における由来の有無を検討するに,補正前の請求項1には,実測寸法に関するものであれ,チャックの移動距離に関するものであれ,何らかの「条件式」を「記憶」することについては記載がないから,「条件式記憶事項」を発明特定事項に追加することは,補正前の請求項1に記載したいずれかの発明特定事項を限定するものではない。 なお,この点,請求人は,「条件式記憶事項」に係る補正事項に関して,特許法第17条の2第5項第2号に該当する旨を述べている(意見書第2ページ)が,「3-2.「実測寸法測定記憶事項」についての検討」において述べた理由と同様の理由により,この補正事項が,特許法第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであると認めることはできない。 また,「条件式記憶事項」に係る補正事項によって,誤記が訂正されたとも,明りょうでない記載が釈明されたともいうことはできない。 3-4.補正の目的についての検討のまとめ 以上のとおりであるから,「移動距離比較事項」及び「条件式判定事項」を発明特定事項に備えるものとすることについて,更に検討するまでもなく,当審補正は,特許法第17条の2第4項第2号ないし第4号に掲げるいずれかの事項をも目的とするものではない。 4.むすび 当審補正は,特許法第17条の2第3項及び第4項の規定に違反するものであるから,第159条第1項において読み替えて準用する第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって,結論のとおり決定する。 第3 審判請求に対する判断 1.本願発明 第2で述べたとおり,当審補正は却下されたので,本願明細書は,審査時補正により補正された明細書であり,請求項1に係る発明は,以下のとおりの事項を発明特定事項に備えるものである。 「サーボモータによりチャックを移動制御して成形機の金型から成型品を取り出す成型品取出機において、チャックの各移動位置を設定する際に、予め測定して入力された成型品取出機及び成形機における各部材間の間隔データと入力されたチャックの位置データを比較し、間隔データの値に対して入力された位置データによるチャックの移動距離が所要の範囲内になった際に、位置データの設定を禁止してアラーム処理するチャック位置設定処理方法。」 2.当審が通知した拒絶理由の概要 当審が先に通知した拒絶理由は,以下の拒絶理由1及び拒絶理由2を含むものであるので,以下,順次その妥当性について検討する。 拒絶理由1(新規事項の追加): 審査時補正は,以下AないしCの点で,願書に最初に添付した明細書又は図面(以下,「当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてしたものではない。 A: 請求項1,段落【0006】,【0016】,【0018】,【0023】,【0033】,【0035】及び【0044】に記載された「間隔データ」は,当初明細書等に記載されたものではなく,また当業者に自明の事項であるとも認められない。 なお,この点,当初明細書等に記載された「実測寸法」を「間隔データ」又は「各部材間の間隔データ」に補正したものであるとも解されるが,「実測寸法」と「(各部材間の)間隔データ」とが同一の意味内容のものであるとは認められない。 B: 請求項1に記載された「各部材間の間隔データと入力されたチャックの位置データを比較」するという事項は,当初明細書等に記載されたものではなく,また当業者に自明の事項であるとも認められない。 なお,この点,当初明細書の請求項1には,「実測寸法と入力されたチャックの位置データとを比較」することが,請求項4には,「チャックの移動距離と実測寸法とを比較」することが,それぞれ記載されているが,「各部材間の間隔データと入力されたチャックの位置データを比較」するという事項が,これらのいずれかと同一の意味内容のものであるとは認められない。 C: 請求項1に記載された「間隔データの値に対して入力された位置データによるチャックの移動距離が所要の範囲内」という事項は,当初明細書等に記載されたものではなく,また当業者に自明の事項であるとも認められない。 なお,この点,当初明細書等の特許請求の範囲の請求項4に,「チャック移動距離が実測寸法と所定の関係のときに」との記載があるが,当該記載自体意味不明であり,ましてや,この記載が,「間隔データの値に対して入力された位置データによるチャックの移動距離が所要の範囲内」と同一の意味内容を表すものであるとは認められない。 拒絶理由2(特許請求の範囲の記載不備): 特許請求の範囲の請求項1並びに請求項1を引用する請求項2及び3の記載については,以下D及びEの点で,不備があるため,本願発明1ないし3は明確でない。 D: 請求項1に記載される「各部材間の間隔データ」の意味内容が不明である。 すなわち,「各部材間の間隔データ」という事項に接したとき,通常の日本語の理解としては,2つの部材の間の直線距離を意味すると理解できるが,本願発明1ないし3においては,成型品取出機又は成形機を構成する極めて多くの部材のどの部材とどの部材との間の直線距離,すなわち間隔を特定しているのかが,明細書及び図面を精査しても不明である。 なお,本願明細書の段落【0014】及び【図3】には,AないしNの「寸法」が記載されているが,これらの寸法と「間隔データ」との関係も不明であり,いずれにしても「各部材間の間隔データ」は,不明である。 E: 請求項1に記載される「所要の範囲内」の意味内容が不明である。 すなわち,本願明細書には,「所要の範囲」の定義に相当する記載はみられず,また,これが当業者に自明のことであるとも認められない。 この点,請求人は,平成18年4月7日付け意見書において,「「所要の範囲」とは,当初明細書中に記載された「安全寸法」を意味します。」と述べているが,本願明細書中には,「所要の範囲」と段落【0028】に記載された「安全寸法α」が同義である旨の記載は見当たらず,また,それが当業者に自明のことと認めることもできない。 3.拒絶理由1についての検討 請求人は,意見書において,「(1).拒絶理由1のA、B、Cに付いて 上記2.(2)、ア、ウ、エに記載した理由から、本意見書と同時に提出する手続補正書により訂正した特許請求の範囲、請求項1に記載された発明事項により拒絶理由1のA、B、Cは、それぞれ解消するものと思料します。」(意見書第2ページ)と述べて,当審補正により,拒絶理由1が解消した旨を主張している。 ここで,請求人がいう「上記2.(2)、ア、ウ、エに記載した理由」とは,要するところ,拒絶理由1において,いわゆる新規事項の追加であると指摘された対象である請求項1等に記載された「間隔データ」を,「実測寸法」に補正したことを意味するものである。 しかしながら,第2で述べたとおり,当審補正は却下されたので,本願明細書には,「間隔データ」なる記載が残ったままである。そして,請求人は,「間隔データ」がいわゆる新規事項の追加に当たらないことの根拠を格別主張していないから,もはや,請求人の主張が成り立つ余地はない。 したがって,拒絶理由1は,なおも妥当であるから,本願は,願書に添付した明細書又は図面についてした補正が特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていないものである。 3.拒絶理由2についての検討 請求人は,意見書において,「(2).拒絶理由2のD、Eに付いて ア.上記2.(2)、アに記載した理由から、本意見書と同時に提出する手続補正書により訂正した特許請求の範囲、請求項1に記載された発明事項により拒絶理由2のDは、解消するものと思料します。 イ.上記2.(2)、エに記載した理由から、本意見書と同時に提出する手続補正書により訂正した特許請求の範囲、請求項1に記載された発明事項により拒絶理由2のEは、解消するものと思料します。」(意見書第2ないし3ページ)と述べて,当審補正により,拒絶理由2が解消した旨を主張している。 ここで,請求人がいう「上記2.(2)、アに記載した理由」とは,要するところ,拒絶理由2において,意味内容が不明であると指摘された対象である請求項1に記載された「各部材間の間隔データ」を,「チャックの移動位置にそれぞれ対応する各部材間の実測寸法並びに成型品の実測寸法」に補正したことで意味内容が明確となった旨の主張であり,「上記2.(2)、エに記載した理由」とは,要するところ,拒絶理由2において,意味内容が不明であると指摘された対象である請求項1に記載された「所要の範囲内」を,「上記条件式を満たさない」に補正して「所要の範囲内」の技術的意味を具体的に限定して明確にした旨の主張と認められる。 しかしながら,第2で述べたとおり,当審補正は却下されたので,本願明細書には,「各部材間の間隔データ」及び「所要の範囲内」なる記載が残ったままである。そして,請求人は,上記した以外に,「各部材間の間隔データ」及び「所要の範囲内」なる記載の意味内容が明確である旨の根拠を主張していないから,もはや,請求人の主張が成り立つ余地はない。 したがって,拒絶理由2は,なおも妥当であるから,本願は,特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないものである。 4.むすび 以上のとおりであるから,先に通知した拒絶理由3について更に検討するまでもなく,本願は,拒絶理由1及び2により,拒絶を免れない。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2009-03-04 |
結審通知日 | 2009-03-05 |
審決日 | 2009-03-17 |
出願番号 | 特願2001-383850(P2001-383850) |
審決分類 |
P
1
8・
55-
WZ
(B29C)
P 1 8・ 537- WZ (B29C) P 1 8・ 561- WZ (B29C) P 1 8・ 57- WZ (B29C) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 大島 祥吾 |
特許庁審判長 |
一色 由美子 |
特許庁審判官 |
野村 康秀 亀ヶ谷 明久 |
発明の名称 | 成型品取出機におけるチャック位置設定処理方法 |
代理人 | 伊藤 研一 |