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審決分類 審判 査定不服 4項1号請求項の削除 特許、登録しない。 G09F
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G09F
審判 査定不服 4項3号特許請求の範囲における誤記の訂正 特許、登録しない。 G09F
審判 査定不服 特29条の2 特許、登録しない。 G09F
審判 査定不服 4項4号特許請求の範囲における明りょうでない記載の釈明 特許、登録しない。 G09F
管理番号 1197768
審判番号 不服2007-31076  
総通号数 115 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-07-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-11-16 
確定日 2009-05-18 
事件の表示 特願2004- 97259「非マトリックスの遮蔽構造を備えたフラットパネルディスプレイ」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 2月 3日出願公開、特開2005- 31631〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は平成16年3月30日(パリ条約による優先権主張 2003年7月7日、米国)の出願であって、平成19年3月20日付けで拒絶理由が通知され、同年7月25日付けで意見書及び手続補正書が提出されたが、同年8月14日付けで拒絶の査定がされたため、これを不服として同年11月16日付けで本件審判請求がされるとともに、同年12月13日付けで手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。


第2 補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成19年12月13日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 本件補正の内容
本件補正は、平成19年7月25日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲についての

「【請求項1】
互いに交叉して複数の画素領域を定義し、第1基板に位置する複数のスキャンライン及び複数のシグナルラインと、
前記画素領域に実質的に対応する複数のメインスペーサと複数のギャップとを有し、各ギャップは実質的に前記スキャンラインまたは前記シグナルラインのうちの1つに対応し、各メインスペーサは少なくとも1つの前記ギャップに接続され、各ギャップは二つの隣接したメインスペーサに接続されてなり、前記第1基板に対向する第2基板に位置するメインの遮蔽構造と、
前記ギャップに対応し、前記第1基板に位置する複数の補助遮蔽構造とを含むことを特徴とするフラットパネルディスプレイ。
【請求項2】
前記画素領域に配置される画素電極を更に含むものである請求項1に記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項3】
複数のストライプ状遮蔽層が前記シグナルラインと前記画素電極の間に配置され、前記画素電極と前記メインの遮蔽構造を覆うようになっている請求項2に記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項4】
前記シグナルラインに実質的に対応する第1部の前記ギャップに対応し、前記シグナルラインと前記メインの遮蔽構造に部分的に重なり、前記ストライプ状遮蔽層に接続する複数の第1補助遮蔽層を含む第1部の前記補助遮蔽構造と、
前記スキャンラインに実質的に対応する第2部の前記ギャップに対応し、前記画素電極と前記メインの遮蔽構造に部分的に重なり、前記スキャンラインに接続する複数の第2補助遮蔽層を含む第2部の前記補助遮蔽構造とを備える請求項3に記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項5】
前記スキャンラインに隣接し、前記第2部の前記ギャップに対応する複数のコンデンサを更に含む請求項4に記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項6】
前記シグナルラインに実質的に対応する第1部の前記ギャップに対応し、前記ストライプ状遮蔽層と前記メインの遮蔽構造に部分的に重なり、前記シグナルラインに接続する複数の第3補助遮蔽層を含む第1部の前記補助遮蔽構造と、
前記スキャンラインに実質的に対応する第2部の前記ギャップに対応し、前記画素電極と前記メインの遮蔽構造に部分的に重なり、前記スキャンラインに接続する複数の第2補助遮蔽層を含む第2部の前記補助遮蔽構造とを備える請求項3に記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項7】
前記スキャンラインに隣接し、前記第2部の前記ギャップに対応する複数のコンデンサを更に含む請求項6に記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項8】
前記シグナルラインに実質的に対応する第1部の前記ギャップに対応し、相互に重なる複数の第1と第3補助遮蔽層を含み、第1補助遮蔽層は、前記シグナルラインと前記メインの遮蔽構造に部分的に重なり、前記ストライプ状遮蔽層に接続し、第3補助遮蔽層は、前記ストライプ状遮蔽層と前記メインの遮蔽構造に部分的に重なり、前記シグナルラインに接続する第1部の前記補助遮蔽構造と、
前記スキャンラインに実質的に対応する第2部の前記ギャップに対応し、前記画素電極と前記メインの遮蔽構造に部分的に重なる複数の第2補助遮蔽層を含み、前記スキャンラインに接続する第2部の前記補助遮蔽構造とを備える請求項3に記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項9】
前記スキャンラインに隣接し、前記第2部の前記ギャップに対応する複数のコンデンサを更に含む請求項8に記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項10】
前記補助遮蔽構造は、前記シグナルラインに実質的に対応する前記ギャップに対応し、前記シグナルラインと前記メインの遮蔽構造に部分的に重なる複数の第1補助遮蔽層を含み、前記ストライプ状遮蔽層に接続するものである請求項3に記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項11】
前記補助遮蔽構造は、前記シグナルラインに実質的に対応する前記ギャップに対応し、前記ストライプ状遮蔽層と前記メインの遮蔽構造に部分的に重なる複数の第3補助遮蔽層を含み、前記シグナルラインに接続するものである請求項3に記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項12】
前記補助遮蔽構造は、前記シグナルラインに実質的に対応する前記ギャップに対応し、相互に重なる複数の第1と第3補助遮蔽層を含み、第1補助遮蔽層は、前記シグナルラインと前記メインの遮蔽構造に部分的に重なり、前記ストライプ状遮蔽層に接続し、
第3補助遮蔽層は、前記ストライプ状遮蔽層と前記メインの遮蔽構造に部分的に重なり、前記シグナルラインに接続するものである請求項3に記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項13】
前記ギャップは前記スキャンラインに実質的に対応し、
前記メインの遮蔽構造は、複数の魚の骨形スペーサによって物理的に互いに分離された、複数の魚の骨形遮蔽層を含み、且つ、前記シグナルラインと並列し、各魚の骨形スペーサは前記メインスペーサと前記ギャップより構成されるものである請求項1に記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項14】
前記ギャップは前記スキャンラインに実質的に対応し、
前記メインの遮蔽構造は、複数の魚の骨形スペーサによって物理的に互いに分離された複数の魚の骨形遮蔽要素を含み、且つ、前記スキャンラインと並列し、各魚の骨形スペーサは前記メインスペーサと前記ギャップより構成される請求項1に記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項15】
複数のコモン電極と、
前記コモン電極の間に配置される画素電極と、および
前記コモン電極に接続され、不透明材料より構成されるコモン電極ラインとを更に含み、
前記ギャップの下に位置する前記コモン電極ラインは前記補助遮蔽構造である請求項1に記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項16】
互いに交叉して複数の画素領域を定義する複数のスキャンラインと複数のシグナルライン、前記画素領域に配置される複数の画素電極、前記シグナルラインと前記画素電極の間に配置され、前記画素電極に重なる複数のストライプ状遮蔽層、および複数の補助遮蔽構造を含む第1基板と、
前記画素領域と複数のギャップに実質的に対応する複数のメインスペーサを有し、各ギャップが前記スキャンラインまたは前記シグナルラインのうちの1つに実質的に対応し、各メインスペーサが少なくとも1つの前記ギャップに接続され、各ギャップは二つの隣接したメインスペーサに接続されてなるメインの遮蔽構造、および前記メインの遮蔽構造に配置されるカラーフィルターを含む第2基板と、
前記第1と前記第2基板の間で密閉される液晶とからなり、
前記補助遮蔽構造が前記ギャップに対応することを特徴とするフラットパネルディスプレイ。
【請求項17】
第1方向に相互に並列する第1と第2スキャンライン、
第2方向に相互に並列し、前記第1及び第2スキャンラインとともに、画素領域を定義し、且つ、前記第1と第2スキャンラインとともに第1基板に位置する第1及び第2シグナルライン、
前記画素領域に実質的に対応するメインスペーサと前記メインスペーサに隣接するメインスペーサに接続されるギャップを有し、前記第1基板に対向する第2基板に位置するメインの遮蔽構造、および、前記メインの遮蔽構造を部分的に覆うために前記ギャップの下に配置される補助遮蔽構造を含み、前記複数のスキャンラインと前記複数のシグナルラインが第1基板に配置されることを特徴とするフラットパネルディスプレイ。
【請求項18】
前記ギャップは前記第1スキャンラインの上に配置され、第1画素電極は前記メインスペーサの下に配置され、第2画素電極は前記隣接するメインスペーサの下に配置され、前記第1と前記第2画素電極は前記第1シグナルラインによってコントロールされる請求項17に記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項19】
前記第1スキャンラインに隣接し、前記ギャップに対応しているコンデンサを含む請求項18に記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項20】
補助遮蔽構造が前記第1スキャンラインに隣接する請求項18に記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項21】
前記ギャップは前記第1シグナルラインの上に配置され、第1画素電極は前記メインスペーサの下に配置され、第2画素電極は前記隣接するメインスペーサの下に配置され、前記第1及び第2画素電極は前記第1スキャンラインによってコントロールされる請求項17に記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項22】
前記第1シグナルラインの両側にある第1と前記第2ストライプ状遮蔽層、および
前記補助遮蔽構造を構成し、前記第1シグナルラインと前記メイン遮蔽構造に部分的に重なり、前記第1及び第2ストライプ状遮蔽層にそれぞれ接続する第1及び第2補助遮蔽層を更に含む請求項21に記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項23】
前記第1シグナルラインの両側にある第1及び第2ストライプ状遮蔽層、および
前記補助遮蔽構造を構成し、前記第1及び第2ストライプ状遮蔽層と前記メイン遮蔽構造に部分的に重なり、前記第1シグナルラインに接続する第1及び第2補助遮蔽層を更に含む請求項21に記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項24】
前記第1シグナルラインの両側にある第1と前記第2ストライプ状遮蔽層、および
前記補助遮蔽構造を構成する第1と第2、第3と第4補助遮蔽層を含み、
前記第1と第2補助遮蔽層は前記メイン遮蔽構造に重なり、前記第1と前記第2ストライプ状遮蔽層にそれぞれ接続し、前記第3と前記第4補助遮蔽層は前記メイン遮蔽構造に重なり、前記第1シグナルラインに接続し、前記第1と第2補助遮蔽層は前記第3と第4補助遮蔽層に重なる請求項21に記載のフラットパネルディスプレイ。」

の記載を、

「【請求項1】
互いに交叉して複数の画素領域を定義し、第1基板に位置する複数のスキャンライン及び複数のシグナルラインと、
前記画素領域に実質的に対応する複数のメインスペーサと複数のギャップとを有し、各ギャップは実質的に前記スキャンラインまたは前記シグナルラインのうちの1つに対応し、各メインスペーサは少なくとも1つの前記ギャップに接続され、各ギャップは二つの隣接したメインスペーサに接続されてなり、前記第1基板に対向する第2基板に位置するメインの遮蔽構造と、
前記ギャップに対応し、前記第1基板に位置する複数の補助遮蔽構造とを含むことを特徴とするフラットパネルディスプレイ。
【請求項2】
前記画素領域に配置される画素電極を更に含むものである請求項1に記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項3】
複数のストライプ状遮蔽層が前記シグナルラインと前記画素電極の間に配置され、前記画素電極と前記メインの遮蔽構造を覆うようになっている請求項2に記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項4】
前記シグナルラインに実質的に対応する第1部の前記ギャップに対応し、前記シグナルラインと前記メインの遮蔽構造に部分的に重なり、前記ストライプ状遮蔽層に接続する複数の第1補助遮蔽層を含む第1部の前記補助遮蔽構造と、
前記スキャンラインに実質的に対応する第2部の前記ギャップに対応し、前記画素電極と前記メインの遮蔽構造に部分的に重なり、前記スキャンラインに接続する複数の第2補助遮蔽層を含む第2部の前記補助遮蔽構造とを備える請求項3に記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項5】
前記スキャンラインに隣接し、前記第2部の前記ギャップに対応する複数のコンデンサを更に含む請求項4に記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項6】
前記シグナルラインに実質的に対応する第1部の前記ギャップに対応し、前記ストライプ状遮蔽層と前記メインの遮蔽構造に部分的に重なり、前記シグナルラインに接続する複数の第3補助遮蔽層を含む第1部の前記補助遮蔽構造と、
前記スキャンラインに実質的に対応する第2部の前記ギャップに対応し、前記画素電極と前記メインの遮蔽構造に部分的に重なり、前記スキャンラインに接続する複数の第2補助遮蔽層を含む第2部の前記補助遮蔽構造とを備える請求項3に記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項7】
前記スキャンラインに隣接し、前記第2部の前記ギャップに対応する複数のコンデンサを更に含む請求項6に記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項8】
前記シグナルラインに実質的に対応する第1部の前記ギャップに対応し、相互に重なる複数の第1と第3補助遮蔽層を含み、第1補助遮蔽層は、前記シグナルラインと前記メインの遮蔽構造に部分的に重なり、前記ストライプ状遮蔽層に接続し、第3補助遮蔽層は、前記ストライプ状遮蔽層と前記メインの遮蔽構造に部分的に重なり、前記シグナルラインに接続する第1部の前記補助遮蔽構造と、
前記スキャンラインに実質的に対応する第2部の前記ギャップに対応し、前記画素電極と前記メインの遮蔽構造に部分的に重なる複数の第2補助遮蔽層を含み、前記スキャンラインに接続する第2部の前記補助遮蔽構造とを備える請求項3に記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項9】
前記スキャンラインに隣接し、前記第2部の前記ギャップに対応する複数のコンデンサを更に含む請求項8に記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項10】
前記補助遮蔽構造は、前記シグナルラインに実質的に対応する前記ギャップに対応し、前記シグナルラインと前記メインの遮蔽構造に部分的に重なる複数の第1補助遮蔽層を含み、前記ストライプ状遮蔽層に接続するものである請求項3に記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項11】
前記補助遮蔽構造は、前記シグナルラインに実質的に対応する前記ギャップに対応し、前記ストライプ状遮蔽層と前記メインの遮蔽構造に部分的に重なる複数の第3補助遮蔽層を含み、前記シグナルラインに接続するものである請求項3に記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項12】
前記補助遮蔽構造は、前記シグナルラインに実質的に対応する前記ギャップに対応し、相互に重なる複数の第1と第3補助遮蔽層を含み、第1補助遮蔽層は、前記シグナルラインと前記メインの遮蔽構造に部分的に重なり、前記ストライプ状遮蔽層に接続し、
第3補助遮蔽層は、前記ストライプ状遮蔽層と前記メインの遮蔽構造に部分的に重なり、前記シグナルラインに接続するものである請求項3に記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項13】
前記ギャップは前記スキャンラインに実質的に対応し、
前記メインの遮蔽構造は、複数の魚の骨形スペーサによって物理的に互いに分離された、複数の魚の骨形遮蔽層を含み、且つ、前記シグナルラインと並列し、各魚の骨形スペーサは前記メインスペーサと前記ギャップより構成されるものである請求項1に記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項14】
前記ギャップは前記スキャンラインに実質的に対応し、
前記メインの遮蔽構造は、複数の魚の骨形スペーサによって物理的に互いに分離された複数の魚の骨形遮蔽要素を含み、且つ、前記スキャンラインと並列し、各魚の骨形スペーサは前記メインスペーサと前記ギャップより構成される請求項1に記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項15】
複数のコモン電極と、
前記コモン電極の間に配置される画素電極と、および
前記コモン電極に接続され、不透明材料より構成されるコモン電極ラインとを更に含み、
前記ギャップの下に位置する前記コモン電極ラインは前記補助遮蔽構造である請求項1に記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項16】
互いに交叉して複数の画素領域を定義する複数のスキャンラインと複数のシグナルライン、前記画素領域に配置される複数の画素電極、前記シグナルラインと前記画素電極の間に配置され、前記画素電極に重なる複数のストライプ状遮蔽層、および複数の補助遮蔽構造を含む第1基板と、
前記画素領域と複数のギャップに実質的に対応する複数のメインスペーサを有し、各ギャップが前記スキャンラインまたは前記シグナルラインのうちの1つに実質的に対応し、各メインスペーサが少なくとも1つの前記ギャップに接続され、各ギャップは二つの隣接したメインスペーサに接続されてなるメインの遮蔽構造、および前記メインの遮蔽構造に配置されるカラーフィルターを含む第2基板と、
前記第1と前記第2基板の間で密閉される液晶とからなり、
前記補助遮蔽構造が前記ギャップに対応することを特徴とするフラットパネルディスプレイ。
【請求項17】
第1方向に相互に並列する第1と第2スキャンライン、
第2方向に相互に並列し、前記第1及び第2スキャンラインとともに、画素領域を定義し、且つ、前記第1と第2スキャンラインとともに第1基板に位置する第1及び第2シグナルライン、
前記画素領域に実質的に対応するメインスペーサと前記メインスペーサに隣接するメインスペーサに接続されるギャップを有し、前記第1基板に対向する第2基板に位置するメインの遮蔽構造、および、前記メインの遮蔽構造を部分的に覆うために前記ギャップの下に配置される補助遮蔽構造を含み、前記複数のスキャンラインと前記複数のシグナルラインが第1基板に配置され、
前記ギャップは前記第1シグナルラインの上に配置され、第1画素電極は前記メインスペーサの下に配置され、第2画素電極は前記隣接するメインスペーサの下に配置され、前記第1及び第2画素電極は前記第1スキャンラインによってコントロールされるものであり、
第1シグナルラインの両側にある第1と前記第2ストライプ状遮蔽層、および前記補助遮蔽構造を構成し、前記第1シグナルラインと前記メイン遮蔽構造に部分的に重なり、前記第1及び第2ストライプ状遮蔽層にそれぞれ接続する第1及び第2補助遮蔽層を含むフラットパネルディスプレイ。
【請求項18】
第1方向に相互に並列する第1と第2スキャンライン、
第2方向に相互に並列し、前記第1及び第2スキャンラインとともに、画素領域を定義し、且つ、前記第1と第2スキャンラインとともに第1基板に位置する第1及び第2シグナルライン、
前記画素領域に実質的に対応するメインスペーサと前記メインスペーサに隣接するメインスペーサに接続されるギャップを有し、前記第1基板に対向する第2基板に位置するメインの遮蔽構造、および、前記メインの遮蔽構造を部分的に覆うために前記ギャップの下に配置される補助遮蔽構造を含み、前記複数のスキャンラインと前記複数のシグナルラインが第1基板に配置され、
前記ギャップは前記第1シグナルラインの上に配置され、第1画素電極は前記メインスペーサの下に配置され、第2画素電極は前記隣接するメインスペーサの下に配置され、前記第1及び第2画素電極は前記第1スキャンラインによってコントロールされるものであり、
前記第1シグナルラインの両側にある第1及び第2ストライプ状遮蔽層、および前記補助遮蔽構造を構成し、前記第1及び第2ストライプ状遮蔽層と前記メイン遮蔽構造に部分的に重なり、前記第1シグナルラインに接続する第1及び第2補助遮蔽層を含むフラットパネルディスプレイ。
【請求項19】
第1方向に相互に並列する第1と第2スキャンライン、
第2方向に相互に並列し、前記第1及び第2スキャンラインとともに、画素領域を定義し、且つ、前記第1と第2スキャンラインとともに第1基板に位置する第1及び第2シグナルライン、
前記画素領域に実質的に対応するメインスペーサと前記メインスペーサに隣接するメインスペーサに接続されるギャップを有し、前記第1基板に対向する第2基板に位置するメインの遮蔽構造、および、前記メインの遮蔽構造を部分的に覆うために前記ギャップの下に配置される補助遮蔽構造を含み、前記複数のスキャンラインと前記複数のシグナルラインが第1基板に配置され、
前記ギャップは前記第1シグナルラインの上に配置され、第1画素電極は前記メインスペーサの下に配置され、第2画素電極は前記隣接するメインスペーサの下に配置され、前記第1及び第2画素電極は前記第1スキャンラインによってコントロールされるものであり、
前記第1シグナルラインの両側にある第1と前記第2ストライプ状遮蔽層、および前記補助遮蔽構造を構成する第1と第2、第3と第4補助遮蔽層を含み、
前記第1と第2補助遮蔽層は前記メイン遮蔽構造に重なり、前記第1と前記第2ストライプ状遮蔽層にそれぞれ接続し、前記第3と前記第4補助遮蔽層は前記メイン遮蔽構造に重なり、前記第1シグナルラインに接続し、前記第1と第2補助遮蔽層は前記第3と第4補助遮蔽層に重なるフラットパネルディスプレイ。
【請求項20】
前記ギャップは前記第1スキャンラインの上に配置され、第1画素電極は前記メインスペーサの下に配置され、第2画素電極は前記隣接するメインスペーサの下に配置され、前記第1と前記第2画素電極は前記第1シグナルラインによってコントロールされる請求項17?19のいずれかに記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項21】
前記第1スキャンラインに隣接し、前記ギャップに対応しているコンデンサを含む請求項20に記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項22】
補助遮蔽構造が前記第1スキャンラインに隣接する請求項20に記載のフラットパネルディスプレイ。」

と補正するものである。

2 本件補正の適否の検討
(1)特許法17条の2第4項1号(以下、単に「1号」という。)は、請求項の削除を行う補正は新たな審査を必要としないことから、これを認めることとし、また、同条項2号(以下、単に「2号」という。)は、特許請求の範囲の減縮を行う補正のうち、「請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるもの」(同号かっこ書き)についてのみ、これを認めることとしているものである。
そして、上記かっこ書きの文言からすれば、2号の規定は、補正が認められる特許請求の範囲の減縮といえるためには、補正後の請求項が補正前の請求項に記載された発明を特定するために必要な事項を限定する関係にあること、及び、補正前の請求項と補正後の請求項との間において、発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であることを必要とするとしたものであり、ここで、上記の「限定する」ものであるかどうか、「同一である」かどうかは、いずれも特許請求の範囲に記載された当該請求項について、その補正の前後を比較して判断すべきものであり、補正前の請求項と補正後の請求項とが対応したものとなっていることを当然の前提としているものと解するのが相当である。また、一般に、特許請求の範囲の補正の態様としては、その量的な面(請求項の数)と内容的な面(技術的内容)とが考えられるが、1号は、そのうち量的な面(請求項の数)に着目して「請求項の削除」の場合のみを規定したものであり、2号の特許請求の範囲の減縮は、特許請求の範囲の内容的な面に着目して、その拡張等以外の「減縮」について定めたものということができる。このような1号と2号の関係や、2号かっこ書きにおいて、その補正前の「当該請求項」に記載された発明とその補正後の「当該請求項」に記載される発明とが対応する関係に立つことが前提とされていることからすると、2号の規定は、請求項の発明特定事項を限定して、これを減縮補正することによって、当該請求項がそのままその補正後の請求項として維持されるという態様による補正を定めたものとみるのが相当であって、当該一つの請求項を削除して新たな請求項をたてるとか、当該一つの請求項に係る発明を複数の請求項に分割して新たな請求項を追加するというような態様による補正を予定しているものではないというべきである。
したがって、一つの請求項に記載された発明を複数の請求項に分割して、新たな請求項を追加する態様による補正は、たとえそれが全体として一つの請求項に記載された発明特定事項を限定する趣旨でされたものであるとしても、2号の定める「特許請求の範囲の減縮」には当たらないというべきであり、2号の定める「特許請求の範囲の減縮」は、補正前後の請求項に係る発明が一対一の対応関係にあることを必要とすると解するのが相当である。
もっとも、多数項引用形式で記載された一つの請求項を、引用請求項を減少させて独立形式の請求項とする場合や、構成要件が択一的なものとして記載された一つの請求項について、その択一的な構成要件をそれぞれ限定して複数の請求項とする場合のように、補正前の請求項が実質的に複数の請求項を含むものであるときに、これを補正に際し独立の請求項とすることにより、請求項の数が増加することになるとしても、それは、実質的に新たな請求項を追加するものとはいえず、実質的には一対一の対応関係にあるということができるから、このような補正まで否定されるものではない(東京高裁平成15年(行ケ)第230号、知財高裁平成17年(行ケ)第10192号、知財高裁平成17年(行ケ)第10156号参照)。

(2)以上を踏まえて、本件補正が、平成18年法律第55号改正附則3条1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法17条の2第4項に規定する要件を満たすものであるか否かを検討する。

ア(ア)まず、本件補正後の請求項17に係る本件補正の目的を検討する。
本件補正後の請求項17は、本件補正前の請求項17の内容をそのまま含み、これに本件補正前の請求項21及び22の内容をそのまま含んだ内容となっている。
すると、本件補正の目的は、(a)本件補正前の請求項17を対象として、そこに含まれる内容を本件補正前の請求項21及び22の内容に限定して本件補正後の請求項17とし、本件補正前の請求項21及び22を削除したもの、(b)本件補正前の請求項17を引用した本件補正前の請求項21を対象にして本件補正前の請求項22の内容に限定して本件補正後の請求項17とし、本件補正前の請求項17及び22を削除したもの、あるいは、(c)本件補正前の請求項17と21が引用されることになる本件補正前の請求項22を維持して本件補正後の請求項17とし、本件補正前の請求項17及び21を削除したものの、のいずれかであると理解することが一応可能である。
そして、仮に、本件補正後の請求項17に係る本件補正の目的を(a)または(b)と解すると、本件補正は本件補正前の請求項17または21を本件補正前の請求項22の内容に限定することを含む補正となるが、本件補正前の請求項17または21には本件補正前の請求項22の「第1ストライプ状遮蔽層」及び「第2ストライプ状遮蔽層」が記載されていないから、本件補正後の請求項17に係る本件補正の目的は「請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するもの」(特許法17条の2第4項2号かっこ書き)でなく、特許法17条の2第4項2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」に該当しない。また、本件補正後の請求項17に係る本件補正の目的を(a)または(b)と解すると、本件補正の目的は同条項1号に掲げる「請求項の削除」、3号掲げる「誤記の訂正」、4号掲げる「明りようでない記載の釈明」のいずれにも該当しないことは明らかである。すると、本件補正後の請求項17に係る本件補正の目的を(a)または(b)と解すると、本件補正は同条項の規定に違反すると判断せざるを得ない。
したがって、本件補正後の請求項17に係る本件補正の目的は(c)であり、同条項1号に掲げる「請求項の削除」に該当すると解するのが相当である。

(イ)同様に、(a)本件補正後の請求項18に係る本件補正の目的は、本件補正前の請求項17と21が引用されることになる本件補正前の請求項23を維持して本件補正後の請求項18とし、本件補正前の請求項17及び21を削除したものであり、同条項1号に掲げる「請求項の削除」に該当し、(b)本件補正後の請求項19に係る本件補正の目的は、本件補正前の請求項17と21が引用されることになる本件補正前の請求項24を維持して本件補正後の請求項19とし、本件補正前の請求項17及び21を削除したものであり、同条項1号に掲げる「請求項の削除」に該当すると解するのが相当である。

イ 次に、本件補正後の請求項20に係る本件補正の目的を検討する。
(ア)a 本件補正後の請求項20は、本件補正前の請求項18の内容をそのまま含み、これに本件補正前の請求項22ないし24の内容をそのまま含んだ内容となっている。
そして、上記第2の2(2)アで検討したとおり、本件補正の目的には本件補正前の請求項17及び21を削除することが含まれるから、本件補正後の請求項20に係る本件補正の目的は、(a)本件補正前の請求項22ないし24を対象にして、そこに含まれる内容を本件補正前の請求項18の内容に限定して本件補正後の請求項20としたもの、(b)本件補正前の請求項18を対象として、そこに含まれる内容を本件補正前の請求項22ないし24の内容に限定して本件補正後の請求項20としたもの、のいずれかであると理解することが一応可能である。

b そして、上記審判請求書の請求の理由の欄において、請求人は、「請求項18?20は、上記補正後の請求項17?19に従属させるものとした。」と主張していることから、本件補正後の請求項20に係る本件補正の目的は上記第2の2(2)イ(ア)aの(a)であると解するのが相当である。
しかし、本件補正前の請求項18は、本件補正前の請求項17を引用するだけであって、本件補正前の請求項22ないし24を引用していない。また、上記第2の2(2)アで検討したとおり、本件補正の目的には、本件補正前の請求項22ないし24を維持して、本件補正前の請求項17及び21を削除することが含まれるから、本件補正前の請求項22ないし24は既に本件補正後の請求項17ないし19として補正されている。すると、本件補正後の請求項20に係る本件補正の目的は上記第2の2(2)イ(ア)aの(a)であると解すると、本件補正後の請求項20に係る本件補正の目的は、本件補正前の請求項22ないし24に記載された発明を複数の請求項に分割して新たな請求項を追加することであり、本件補正前後の請求項が一対一の対応関係にないことになる。
さらに、本件補正後の請求項20は、本件補正前の多数項引用形式の請求項を補正によって独立形式とした場合でないことはいうまでもないし、本件補正前の請求項に択一的に記載された発明特定事項を限定して複数の請求項としたものでないことも明らかである。
したがって、本件補正後の請求項20に係る本件補正の目的は上記第2の2(2)イ(ア)aの(a)であると解すると、本件補正後の請求項20に係る本件補正の目的は、特許法17条の2第4項2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」に該当しない。

c また、仮に、本件補正後の請求項20に係る本件補正の目的は上記第2の2(2)イ(ア)aの(b)であると解すると、本件補正は本件補正前の請求項18を本件補正前の請求項22ないし24の内容に限定することを含む補正となるが、本件補正前の請求項18には本件補正前の請求項22ないし24の「第1ストライプ状遮蔽層」及び「第2ストライプ状遮蔽層」が記載されていないから、本件補正後の請求項20に係る本件補正の目的は、「請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するもの」(特許法17条の2第4項2号かっこ書き)に該当しない。
したがって、本件補正後の請求項20に係る本件補正の目的は上記第2の2(2)イ(ア)aの(b)であると解しても、本件補正後の請求項20に係る本件補正の目的は、特許法17条の2第4項2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」に該当しない。

(イ)さらに、本件補正後の請求項20に係る本件補正の目的は上記第2の2(2)イ(ア)aの(a)ないし(b)のいずれであると解しても、本件補正後の請求項20に係る本件補正の目的は、同条項1号に掲げる「請求項の削除」、同条項3号に掲げる「誤記の訂正」、同条項4号に掲げる「明りようでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)」のいずれにも該当しないことは明らかである。

(ウ)したがって、本件補正は、同条項の規定に違反する。

ウ さらに、本件補正後の請求項21に係る本件補正の目的を検討する。
(ア)a 本件補正後の請求項21は、本件補正前の請求項19の内容をそのまま含み、これに本件補正前の請求項22ないし24の内容をそのまま含んだ内容となっている。
そして、上記第2の2(2)アで検討したとおり、本件補正の目的には、本件補正前の請求項17及び21を削除することが含まれるから、本件補正後の請求項21に係る本件補正の目的は、(a)本件補正前の請求項22ないし24を対象にして、そこに含まれる内容を本件補正前の請求項19の内容に限定して本件補正後の請求項21としたもの、(b)本件補正前の請求項19を対象として、そこに含まれる内容を本件補正前の請求項22ないし24の内容に限定して本件補正後の請求項21としたもの、(c)本件補正前の請求項18を対象として、そこに含まれる内容を本件補正前の請求項19及び22ないし24の内容に限定して本件補正後の請求項21としたもの、のいずれかであると理解することが一応可能である。

b そして、上記審判請求書の請求の理由の欄において、請求人は、「請求項18?20は、上記補正後の請求項17?19に従属させるものとした。」と主張していることから、本件補正後の請求項21に係る本件補正の目的は上記第2の2(2)ウ(ア)aの(a)であると解するのが相当である。
しかし、本件補正前の請求項22ないし24には本件補正前の請求項19の「コンデンサ」が記載されていないから、本件補正後の請求項21に係る本件補正の目的は、「請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するもの」(特許法17条の2第4項2号括弧書き)に該当しない。
また、本件補正前の請求項19は、本件補正前の請求項17を引用する本件補正前の請求項18を引用するだけであって、本件補正前の請求項22ないし24を引用していない。また、上記第2の2(2)アで検討したとおり、本件補正の目的には、本件補正前の請求項22ないし24を維持して、本件補正前の請求項17及び21を削除することが含まれるから、本件補正前の請求項22ないし24は既に本件補正後の請求項17ないし19として補正されている。すると、本件補正後の請求項21に係る本件補正の目的は上記第2の2(2)ウ(ア)aの(a)であると解すると、本件補正後の請求項21に係る本件補正の目的は、本件補正前の請求項22ないし24に記載された発明を複数の請求項に分割して新たな請求項を追加することであり、本件補正前後の請求項が一対一の対応関係にないことになる。
さらに、本件補正後の請求項21は、本件補正前の多数項引用形式の請求項を補正によって独立形式とした場合でないことはいうまでもないし、本件補正前の請求項に択一的に記載された発明特定事項を限定して複数の請求項としたものでないことも明らかである。
したがって、本件補正後の請求項21に係る本件補正の目的は上記第2の2(2)ウ(ア)aの(a)であると解すると、本件補正後の請求項21に係る本件補正の目的は、特許法17条の2第4項2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」に該当しない。

c また、仮に、本件補正後の請求項21に係る本件補正の目的が上記第2の2(2)ウ(ア)の(b)または(c)であると解すると、本件補正は本件補正前の請求項18または19を本件補正前の請求項22ないし24の内容に限定することを含む補正となるが、本件補正前の請求項18及び19には本件補正前の請求項22ないし24の「第1ストライプ状遮蔽層」及び「第2ストライプ状遮蔽層」が記載されていないから、本件補正後の請求項21に係る本件補正は「請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するもの」(特許法17条の2第4項2号かっこ書き)に該当しない。
したがって、本件補正後の請求項21に係る本件補正の目的は上記第2の2(2)ウ(ア)aの(b)または(c)であると解しても、本件補正後の請求項21に係る本件補正の目的は、特許法17条の2第4項2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」に該当しない。

(イ)さらに、本件補正後の請求項21に係る本件補正の目的は上記第2の2(2)ウ(ア)aの(a)ないし(c)のいずれであると解しても、本件補正後の請求項21に係る本件補正の目的は、同条項1号に掲げる「請求項の削除」、同条項3号に掲げる「誤記の訂正」、同条項4号に掲げる「明りようでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)」のいずれにも該当しないことは明らかである。

(ウ)したがって、本件補正は、同条項の規定に違反する。

3 むすび
以上のとおりであるから、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則3条1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法17条の2第4項の規定に違反するので、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記[補正の却下の決定の結論]のとおり、決定する。


第3 本件審判請求についての判断
1 本願発明の認定
本件補正が却下されたから、平成19年7月25日付けの手続補正により補正された明細書、特許請求の範囲及び図面に基づいて審理すると、本願の請求項17に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成19年7月25日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の【請求項17】に記載された事項によって特定される次のとおりのものと認める。

「第1方向に相互に並列する第1と第2スキャンライン、
第2方向に相互に並列し、前記第1及び第2スキャンラインとともに、画素領域を定義し、且つ、前記第1と第2スキャンラインとともに第1基板に位置する第1及び第2シグナルライン、
前記画素領域に実質的に対応するメインスペーサと前記メインスペーサに隣接するメインスペーサに接続されるギャップを有し、前記第1基板に対向する第2基板に位置するメインの遮蔽構造、および、前記メインの遮蔽構造を部分的に覆うために前記ギャップの下に配置される補助遮蔽構造を含み、前記複数のスキャンラインと前記複数のシグナルラインが第1基板に配置されることを特徴とするフラットパネルディスプレイ。」

2 先願明細書に記載された発明の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前の他の出願であって、その出願後に出願公開された特願2003-111529号(特開2004-46091号参照)の願書に最初に添付した明細書又は図面(以下、「先願明細書1」という。)には、以下の(ア)ないし(シ)の記載が図面とともにある。

(ア)「【請求項1】
一対の第1及び第2基板間に挟持された電気光学物質と、
前記第1基板上に、画素電極と、該画素電極をスイッチング制御する薄膜トランジスタと、該薄膜トランジスタに画像信号を供給するデータ線と、前記薄膜トランジスタに走査信号を供給すると共に前記データ線と交差する走査線とを備えており、
前記第2基板上に、前記薄膜トランジスタを構成する半導体層の少なくともチャネル領域を上側から覆う第1遮光膜を備えており、
前記第1遮光膜は、平面的に見て前記データ線及び前記走査線が相交差する交差領域において、前記画素電極に対応する各画素の開口領域に隅切りを規定するように張り出した張り出し部を有し、
前記チャネル領域は、前記交差領域内に配置されていることを特徴とする電気光学装置。」

(イ)「【請求項5】
前記第1遮光膜は、前記交差領域を含む前記走査線又は前記データ線に沿って延びるストライプ状の領域に形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電気光学装置。」

(ウ)「【請求項11】
前記第1基板上に、少なくとも前記チャネル領域を下側から覆う下側遮光膜を更に備えたことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項12】
前記下側遮光膜は、前記交差領域において、前記隅切りを規定するように張り出した張り出し部を有することを特徴とする請求項11に記載の電気光学装置。」

(エ)「【0009】
本発明は上述の問題点に鑑みなされたものであり、耐光性に優れており、明るく高品位の画像表示が可能な電気光学装置及びそのような電気光学装置を具備してなる電子機器を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の電気光学装置は上記課題を解決するために、一対の第1及び第2基板間に挟持された電気光学物質と、前記第1基板上に、画素電極と、該画素電極をスイッチング制御する薄膜トランジスタと、該薄膜トランジスタに画像信号を供給するデータ線と、前記薄膜トランジスタに走査信号を供給すると共に前記データ線と交差する走査線と、を備えており、前記第2基板上に、前記薄膜トランジスタを構成する半導体層の少なくともチャネル領域を上側から覆う第1遮光膜を備えており、前記第1遮光膜は、平面的に見て前記データ線及び前記走査線が相交差する交差領域において、前記画素電極に対応する各画素の開口領域に隅切りを規定するように張り出した張り出し部を有し、前記チャネル領域は、前記交差領域内に配置されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の電気光学装置によれば、その動作時には、例えば薄膜トランジスタのソースに、データ線を介して画像信号が供給され、薄膜トランジスタのゲートに、走査線を介して走査信号が供給される。すると、例えば薄膜トランジスタのドレインに接続された画素電極を、薄膜トランジスタによりスイッチング制御することによって、アクティブマトリクス駆動方式による駆動を行なえる。尚、第2基板上には、例えば画素電極に対向配置された対向電極が設けられて、これと画素電極との間で電圧印加が行われる。或いは横電界駆動方式の場合には、このような対向電極は不要であり、相隣接する画素電極間で電圧印加が行われる。
【0012】
そして、薄膜トランジスタを構成する半導体層の少なくともチャネル領域及びその隣接領域は、第2基板上に形成された第1遮光膜によって、その上側から覆われているので、基板面に対して上方からの入射光が、薄膜トランジスタのチャネル領域及びその隣接領域に入射するのを、基本的に阻止できる。
【0013】
ここで特に、第1遮光膜は、データ線及び走査線が相交差する交差領域において、各画素の開口領域に隅切りを規定するように張り出した張り出し部を有する。例えば、四角形の開口領域を基準に考えれば、一から四つの隅切りがなされて、五角形から八角形の開口領域が、規定される。そして、チャネル領域は、このような隅切りを有する交差領域内に配置されている。従って、このような張り出し部が存在しない場合と比べて、基板面に対して上方から垂直に或いは斜めに進行する強力な入射光及びこれに基づく内面反射光及び多重反射光などが、薄膜トランジスタのチャネル領域及びその隣接領域に入射するのを、張り出し部を有する第1遮光膜によって有効に阻止できる。
【0014】
これらの結果、各画素の開口率を高めつつ、薄膜トランジスタにおける光リーク電流の発生やばらつきに起因した表示ムラ或いはフリッカなどを、効率的に低減でき、最終的に明るく高品位の画像を表示できる。」

(オ)「【0021】
或いは本発明の電気光学装置の他の態様では、前記第1遮光膜は、前記交差領域を含む前記走査線又は前記データ線に沿って延びるストライプ状の領域に形成されている。
【0022】
この態様によれば、交差領域を含むストライプ状の領域に形成されていると共に張り出し部を有する第1遮光膜によって、チャネル領域及びその隣接領域に対する遮光性能を局所的に高められる。しかも、走査線又はデータ線に沿ったストライプ状の領域全般についての遮光も行うことができ、第1遮光膜により、各画素の格子状の非開口領域のうち走査線
又はデータ線に沿った領域を規定することも可能である。」

(カ)「【0034】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記第1基板上に、前記チャネル領域及びその隣接領域を下側から覆う下側遮光膜を更に備える。
【0035】
この態様によれば、薄膜トランジスタを構成する半導体層のチャネル領域及びその隣接領域は、下側遮光膜によって、その下側から覆われているので、基板面に対して下方からの戻り光及びそれに起因する内面反射光或いは多重反射光が、薄膜トランジスタのチャネル領域及びその隣接領域に入射するのを基本的に阻止できる。ここに「戻り光」とは例えば、基板の裏面反射や、当該電気光学装置をライトバルブとして複数用いた複板式プロジェクタにおける他のライトバルブから出射され合成光学系を突き抜けてくる光などの、入射光と反対方向に戻ってくる、表示に寄与しない光をいう。
【0036】
加えて、このような下側遮光膜によって、第1基板上にて各画素の非開口領域の全部又は一部を規定することが可能となる。
【0037】
この態様では、前記下側遮光膜は、前記交差領域において、前記隅切りを規定するように張り出した張り出し部を有してよい。
【0038】
このように構成すれば、当該下側遮光膜に張り出し部が存在しない場合と比べて、基板面に対して下方から垂直に或いは斜めに進行する戻り光及びこれに基づく内面反射光及び多重反射光などが、薄膜トランジスタのチャネル領域及びその隣接領域に入射するのを、張り出し部を有する下側遮光膜によって有効に阻止できる。」

(キ)「【0049】
本発明の電子機器は、上述した本発明の電気光学装置を具備してなるので、明るく高品位の画像表示が可能な、投射型表示装置、液晶テレビ、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルなどの各種電子機器を実現できる。」

(ク)「【0054】
図2において、電気光学装置のTFTアレイ基板上には、マトリクス状に複数の透明な画素電極9a(点線部9a’により輪郭が示されている)が設けられており、画素電極9aの縦横の境界に各々沿ってデータ線6a及び走査線3aが設けられている。
【0055】
また、半導体層1aのうち図中右上がりの細かい斜線領域で示したチャネル領域1a’に対向するように走査線3aが配置されており、走査線3aはゲート電極として機能する。特に本実施形態では、走査線3aは、当該ゲート電極となる部分において幅広に形成されている。このように、走査線3aとデータ線6aとの交差する個所には夫々、チャネル領域1a’に走査線3aがゲート電極として対向配置された画素スイッチング用のTFT30が設けられている。
【0056】
図2及び図3に示すように、容量線300は、走査線3a上に形成されている。容量線300は、平面的に見て走査線3aに沿ってストライプ状に伸びる本線部と、走査線3a及びデータ線6aの交点における該本線部からデータ線6aに沿って図2中上下に突出した突出部とを含んでなる。尚、走査線3aは突出部を含まず直線的に形成しても良い。
【0057】
容量線300は、例えば金属又は合金を含む導電性の遮光膜からなり上側遮光膜の一例を構成すると共に固定電位側容量電極としても機能する。容量線300は、例えばTi(チタン)、Cr(クロム)、W(タングステン)、Ta(タンタル)、Mo(モリブデン)等の高融点金属のうちの少なくとも一つを含む、金属単体、合金、金属シリサイド、ポリシリサイド、これらを積層したもの等からなる。容量線300は、Al(アルミニウム)、Ag(銀)、Au(金)、Cu(銅)等の他の金属を含んでもよい。或いは、容量線300は、例えば導電性のポリシリコン膜等からなる第1膜と高融点金属を含む金属シリサイド膜等からなる第2膜とが積層された多層構造を持ってもよい。
【0058】
他方、容量線300に対して、誘電体膜75を介して対向配置される中継層71は、蓄積容量70の画素電位側容量電極としての機能を持ち、更に、画素電極9aとTFT30の高濃度ドレイン領域1eとを中継接続する中間導電層としての機能を持つ。
【0059】
このように本実施形態では、蓄積容量70は、TFT30の高濃度ドレイン領域1e及び画素電極9aに接続された画素電位側容量電極としての中継層71と、固定電位側容量電極としての容量線300の一部とが、誘電体膜75を介して対向配置されることにより構築されている。
【0060】
そして、図2中縦方向に夫々伸びるデータ線6aと図2中横方向に夫々伸びる容量線300とが相交差して形成されることにより、TFTアレイ基板10上におけるTFT30の上側に、平面的に見て格子状の上側遮光膜が構成されており、各画素の開口領域を概ね規定している。
【0061】
他方、TFTアレイ基板10上におけるTFT30の下側には、下側遮光膜11aが格子状に設けられている。下側遮光膜11aについても、容量線300と同様に各種金属膜等から形成される。」

(ケ)「【0067】
図2及び図3において、電気光学装置は、透明なTFTアレイ基板10と、これに対向配置される透明な対向基板20とを備えている。TFTアレイ基板10は、例えば石英基板、ガラス基板、シリコン基板からなり、対向基板20は、例えばガラス基板や石英基板からなる。
【0068】
図3に示すように、TFTアレイ基板10には、画素電極9aが設けられており、その上
側には、ラビング処理等の所定の配向処理が施された配向膜16が設けられている。画素電極9aは例えば、ITO(Indium Tin Oxide)膜などの透明導電性膜からなる。また配向膜16は例えば、ポリイミド膜などの有機膜からなる。
【0069】
他方、対向基板20には、その全面に渡って対向電極21が設けられており、その下側には、ラビング処理等の所定の配向処理が施された配向膜22が設けられている。対向電極21は例えば、ITO膜などの透明導電性膜からなる。また配向膜22は、ポリイミド膜などの有機膜からなる。
【0070】
このように構成された、画素電極9aと対向電極21とが対面するように配置されたTFTアレイ基板10と対向基板20との間には、後述のシール材により囲まれた空間に電気光学物質の一例である液晶が封入され、液晶層50が形成される。液晶層50は、画素電極9aからの電界が印加されていない状態で配向膜16及び22により所定の配向状態をとる。液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなる。シール材は、TFTアレイ基板10及び対向基板20をそれらの周辺で貼り合わせるための、例えば光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂からなる接着剤であり、両基板間の距離を所定値とするためのグラスファイバー或いはガラスビーズ等のギャップ材が混入されている。」

(コ)「【0076】
本実施形態では特に、対向基板20には、各画素の開口領域以外の領域に、第1遮光膜の一例たる遮光膜23が、島状に形成される。
【0077】
図4に示すように、遮光膜23は、格子状の遮光領域或いは非開口領域のうち、平面的に見てデータ線6a及び走査線3aが相交差する交差領域において、容量線300における張り出し部401或いは下側遮光膜11aにおける張り出し部403(図2参照)とほぼ同様に、画素電極9aに対応する各画素の開口領域に隅切りを規定するように張り出した
張り出し部423を有する。そして、チャネル領域1’は、この交差領域内に配置されている。
【0078】
このような構成を採ることで、上述の如く上側遮光膜を構成する容量線300及びデータ線6aと共に当該遮光膜23により、対向基板20側からの入射光がチャネル領域1a’及びその隣接領域に侵入するのを、確実に阻止できる。
【0079】
遮光膜23の材料については、容量線300と同様に、例えばTi、Cr、W、Ta、Mo等の高融点金属のうちの少なくとも一つを含む、金属単体、合金、金属シリサイド、ポリシリサイド、これらを積層したもの等からなる。Al、Ag、Au、Cu等の他の金属を含んでもよい。例えば光吸収性のポリシリコン膜等と、光反射性の金属膜等とが積層された多層構造を持ってもよい。この場合、下側(内側)に光吸収性のポリシリコン膜等を配置した方が、内面反射光を低減する観点からは有利であり、同時に、上側(外側)に光反射性の金属膜等を配置した方が、電気光学装置の温度上昇を防ぐ観点からは有利である。或いは、このような遮光膜23は、有色樹脂から形成されてもよい。
【0080】
尚、遮光膜23の平面パターンに係る各種変形形態については、図5から図11を参照して後述する。
【0081】
以上図1から図4を参照して説明したように本実施形態によれば、チャネル領域1a’及びその隣接領域(即ち、図2及び図3に示した低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1c)は、上側から第1遮光膜の一例たる対向基板20上に形成された遮光膜23、並びにTFTアレイ基板10上に形成された上側遮光膜たる容量線300及びデータ線6aにより覆われている。従って、TFTアレイ基板10に垂直な方向からの入射光に対する遮光は、遮光膜23並びに上側遮光膜たる容量線300及びデータ線6aにより高めることができる。他方、チャネル領域1a’及びその隣接領域は、下側から下側遮光膜11aにより覆われている。従って、TFTアレイ基板10の裏面反射光や、複数の電気光学装置をライトバルブとして用いた複板式のプロジェクタにおける他の電気光学装置から出射され合成光学系を突き抜けてくる光等の、戻り光に対する遮光は、下側遮光膜11aにより高めることができる。
【0082】
ここで、入射光は、TFTアレイ基板10に対して斜め方向から入射する斜め光を含んでいる。例えば、入射角が垂直から10度?15度位までずれる成分を10%程度含んでいる。更に、このような斜め光が、TFTアレイ基板10上に形成された下側遮光膜11aの上面で反射されて、当該電気光学装置内に、斜めの内面反射光が生成される。更にまた、このような斜めの内面反射光が当該電気光学装置内の他の界面で反射されて斜めの多重反射光が生成される。特に入射光は、戻り光に比べて遥かに強力であり、このような入射光に基づく斜めの内面反射光や多重反射光も強力である。加えて、戻り光についても、斜め方向から入射する光を含んでおり、これに基づく内面反射光や多重反射光も発生する。
【0083】
しかるに、本実施形態では特に、遮光膜23は、交差領域において、各画素の開口領域に隅切りを規定する張り出し部423を有する(図4参照)。更に、容量線300は、張り出し部401を有し、下側遮光膜11aは、張り出し部411を有する(図2参照)。そして、チャネル領域1a’は、交差領域内の中央に配置されており、隅切りが存在する分だけ入射光が通過する或いは戻り光が入射する各画素の開口領域から離間している。このため、チャネル領域1a’及びその隣接領域に対する遮光性能は、張り出し部423、401及び411の存在によって、飛躍的に高められている。即ち、張り出し部423、401及び411が存在しない場合と比べて、斜めに進行する強力な入射光や戻り光、更にこれらに基づく内面反射光及び多重反射光などが、チャネル領域1a’及びその隣接領域に入射するのを有効に阻止できる。
【0084】
これらの結果、TFT30における光リーク電流の発生やばらつきに起因した表示ムラ或いはフリッカなどを、効率的に低減できる。」

(サ)「【0092】
(変形形態)
先ず、上述した実施形態で採用可能な対向基板20上の遮光膜23の平面パターンの各種変形形態について、図5から図13を参照して説明する。図5から図11は夫々、実施形態において採用可能な、対向基板20側の遮光膜23の平面パターンに係る変形形態を示す部分平面図である。また、図12は、図4の実施形態及び図5から図7の変形形態に係る入射光等の経路と各種遮光膜との関係を図式的に示したものであり、図13は、図8から図11の変形形態に係る入射光等の経路と各種遮光膜との関係を図式的に示したものである。尚、図5から図13においては、図1から図4に示したものと同様の構成要素には同様の参照符号を付し、その説明は省略する。
【0093】
図4に示した上述の実施形態及び図5から図7の変形形態では、対向基板20上の遮光膜23及び23b?23dは、TFTアレイ基板10上に構築される格子状の上側遮光膜(即ち、格子状の遮光領域を規定する容量線300及びデータ線6a)よりも少なくとも部分的に一回り大きく形成されており、少なくとも部分的に各画素の非開口領域を規定するように構成されている。そして、これらいずれの変形形態においても、張り出し部401に対向する領域に張り出し部423として遮光膜が設けられている。
【0094】
即ち図4の実施形態では、遮光膜23は、上側遮光膜が存在する遮光領域のうち交差領域にのみ、島状に対向基板20上に設けられている。このような遮光膜23を用いれば、画素スイッチング用TFT30に対して、交差領域付近における遮光性能を格段に高められる。また、交差領域における各画素の非開口領域を規定できる。
【0095】
図5の変形形態では、遮光膜23bは、上側遮光膜が存在する遮光領域のうち交差領域及び走査線3aに沿った帯状領域にのみ、概ね横ストライプ状に対向基板20上に設けられている。このような遮光膜23bを用いれば、画素スイッチング用TFT30に対して、交差領域付近及び走査線3aに沿った領域における遮光性能を格段に高められる。また、交差領域及び走査線3aに沿った帯状領域における各画素の非開口領域を規定できる。
【0096】
図6の変形形態では、遮光膜23cは、上側遮光膜が存在する遮光領域のうち交差領域及びデータ線6aに沿った領域にのみ、概ね縦ストライプ状に対向基板20上に設けられている。このような遮光膜23cを用いれば、画素スイッチング用TFT30に対して、交差領域付近及びデータ線6aに沿った領域における遮光性能を格段に高められる。また、交差領域及びデータ線6aに沿った領域における各画素の非開口領域を規定できる。」

(シ)「【0116】
以上説明した実施形態における電気光学装置は、プロジェクタに適用されるため、3枚の電気光学装置がRGB用のライトバルブとして各々用いられ、各ライトバルブには各々RGB色分解用のダイクロイックミラーを介して分解された各色の光が投射光として各々入射されることになる。従って、各実施形態では、対向基板20に、カラーフィルタは設けられていない。しかしながら、画素電極9aに対向する所定領域にRGBのカラーフィルタをその保護膜と共に、対向基板20上に形成してもよい。このようにすれば、プロジェクタ以外の直視型や反射型のカラー電気光学装置について、各実施形態における電気光学装置を適用できる。(以下略)」

3 先願明細書1に記載された発明の認定
(1)先願明細書1の図2及び図3から、先願明細書1の下側遮光膜は、前記チャネル領域を含む前記交差領域及び前記走査線及び前記データ線を下側から覆っていると認められる。

(2)したがって、先願明細書1の上記記載事項(ア)ないし(シ)及び図面から、先願明細書1には次のような発明が記載されていると認めることができる。

「一対の第1及び第2基板間に挟持された液晶層と、
前記第1基板上に、マトリクス状に設けられた複数の画素電極と、該画素電極をスイッチング制御する薄膜トランジスタと、該薄膜トランジスタに画像信号を供給するデータ線と、前記薄膜トランジスタに走査信号を供給すると共に前記データ線と交差する走査線とを備えており、
前記走査線及び前記データ線は、前記画素電極の縦横の境界に沿って設けられており、
前記第2基板上に、前記薄膜トランジスタを構成する半導体層の少なくともチャネル領域を上側から覆う第1遮光膜を備えており、
前記第1遮光膜は、平面的に見て前記データ線及び前記走査線が相交差する交差領域において、前記画素電極に対応する各画素の開口領域に隅切りを規定するように張り出した張り出し部を有し、
前記第1遮光膜は、各画素の開口領域以外の領域であって、前記交差領域を含む前記走査線に沿って延びるストライプ状の領域に形成され、
前記チャネル領域は、前記交差領域内に配置され、
前記第1基板上に、前記チャネル領域を含む前記交差領域及び前記走査線及び前記データ線を下側から覆う下側遮光膜を更に備え、
前記下側遮光膜は、前記交差領域において、前記隅切りを規定するように張り出した張り出し部を有する、液晶表示装置。」(以下、「先願発明1」という。)

4 対比
(1)先願発明1の「マトリクス状に設けられた複数の画素電極」「の縦横の境界に沿って設けられ」た「走査線」は、本願発明の「第1方向に相互に並列する第1と第2スキャンライン」に相当する。
また、先願発明1の「マトリクス状に設けられた複数の画素電極」「の縦横の境界に沿って設けられ」た「データ線」は、本願発明の「第2方向に相互に並列」「する第1及び第2シグナルライン」に相当する。
そして、先願発明1の「第1基板上に」、「データ線」と「信号線」「とを備え」たことは、本願発明の「第1及び第2シグナルライン」が「前記第1と第2スキャンラインとともに第1基板に位置する」ことに相当し、先願発明1の「第1基板上に」、「データ線」と「信号線」「とを備え」たことは、本願発明の「前記複数のスキャンラインと前記複数のシグナルラインが第1基板に配置される」ことに相当する。
さらに、先願発明1の「前記走査線及び前記データ線は、前記画素電極の縦横の境界に沿って設けられて」いることは、本願発明の「第1及び第2シグナルライン」が「前記第1と第2スキャンラインとともに」「画素領域を定義」することに相当する。

(2)先願発明1の「各画素の開口領域以外の領域であって、前記交差領域を含む前記走査線に沿って延びるストライプ状の領域に形成され」る「第1遮光膜」の各画素に対応する開口領域は、本願発明の「前記画素領域に実質的に対応するメインスペーサ」に相当する。
また、先願発明1の「各画素の開口領域以外の領域であって、前記交差領域を含む前記走査線に沿って延びるストライプ状の領域に形成され」る「第1遮光膜」の「データ線」上でかつ「張り出し部」の間に位置する開口領域は、先願発明1の「各画素の開口領域以外の領域であって、前記交差領域を含む前記走査線に沿って延びるストライプ状の領域に形成され」る「第1遮光膜」の各画素に対応する開口領域に隣接して「第1遮光膜」の各画素に対応する開口領域を接続するものであるから、先願発明1の「各画素の開口領域以外の領域であって、前記交差領域を含む前記走査線に沿って延びるストライプ状の領域に形成され」る「第1遮光膜」の「データ線」上でかつ「張り出し部」の間に位置する開口領域は、本願発明の「前記メインスペーサに隣接するメインスペーサに接続されるギャップ」に相当する。
したがって、先願発明1の「前記第2基板上に、前記薄膜トランジスタを構成する半導体層の少なくともチャネル領域を上側から覆う第1遮光膜を備えており」、「前記第1遮光膜は、平面的に見て前記データ線及び前記走査線が相交差する交差領域において、前記画素電極に対応する各画素の開口領域に隅切りを規定するように張り出した張り出し部を有し」、「前記第1遮光膜は、各画素の開口領域以外の領域であって、前記交差領域を含む前記走査線に沿って延びるストライプ状の領域に形成され」いることは、本願発明の「前記画素領域に実質的に対応するメインスペーサと前記メインスペーサに隣接するメインスペーサに接続されるギャップを有し、前記第1基板に対向する第2基板に位置するメインの遮蔽構造」に相当する。

(3)先願発明1の「各画素の開口領域以外の領域であって、前記交差領域を含む前記走査線に沿って延びるストライプ状の領域に形成され」る「第1遮光膜」の「データ線」上でかつ「張り出し部」の間に位置する開口領域は、先願発明1の「前記チャネル領域を含む前記交差領域及び前記走査線及び前記データ線を下側から覆う下側遮光膜」によって、下側から覆われている。
したがって、先願発明1の「各画素の開口領域以外の領域であって、前記交差領域を含む前記走査線に沿って延びるストライプ状の領域に形成され」る「第1遮光膜」の「データ線」上でかつ「張り出し部」の間に位置する開口領域を下側から覆う前記「下側遮光膜」は、本願発明の「前記メインの遮蔽構造を部分的に覆うために前記ギャップの下に配置される補助遮蔽構造」に相当する。

(4)以上のとおり、先願発明1は本願発明を特定する事項をすべて備えている。
したがって、本願発明は、先願明細書1に記載された発明と同一である。

5 本願発明と先願発明1の発明者及び出願人の関係
本願発明の発明者が先願明細書1に記載された発明の発明者と同一であるとも、また、本願の出願時に、その出願人が上記他の出願の出願人と同一であるとも認められない。

6 むすび
したがって、本願発明は、特許法29条の2の規定により特許を受けることができない。
そして、本願発明が特許を受けることができない以上、本願のその余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-12-12 
結審通知日 2008-12-15 
審決日 2009-01-05 
出願番号 特願2004-97259(P2004-97259)
審決分類 P 1 8・ 574- Z (G09F)
P 1 8・ 572- Z (G09F)
P 1 8・ 573- Z (G09F)
P 1 8・ 16- Z (G09F)
P 1 8・ 571- Z (G09F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 渡邊 吉喜  
特許庁審判長 末政 清滋
特許庁審判官 日夏 貴史
村田 尚英
発明の名称 非マトリックスの遮蔽構造を備えたフラットパネルディスプレイ  
代理人 田中 大輔  

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