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審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 D05B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 D05B
管理番号 1197906
審判番号 不服2007-11015  
総通号数 115 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-07-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-04-17 
確定日 2009-05-20 
事件の表示 平成 9年特許願第252640号「刺繍データ作成装置」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 3月23日出願公開、特開平11- 76657〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成9年9月3日の出願であって、平成19年3月9日付けで拒絶査定がされ、これに対し、平成19年4月17日に拒絶査定不服審判の請求がされるとともに、同年5月16日に明細書を対象とする手続補正がなされたものである。

第2 平成19年5月16日にされた手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成19年5月16日にされた明細書を対象とする手続補正(以下、「本件補正」という)を却下する。
[理由]
1.本件補正
本件補正は、補正前の請求項1
「【請求項1】画像情報に基づいて刺繍データを作成する刺繍データ作成装置において、
前記画像情報に関連する画像を表示するための手段と、
前記表示するための手段におけるバックグランド領域を設定するための手段と、
前記バックグランド領域に色をつけて表示するための手段と、
前記バックグランド領域を設定するための手段に対して設定する領域とバックグランドの色を指定するための手段と、を備え、
該指定するための手段は、予め決められた複数の色の表示情報、色を生成するための手段、色情報を入力するための手段、の中の少なくとも1を有し、これらに基づいて色を指定する、
ことを特徴とする刺繍データ作成装置。」
を、
「【請求項1】画像情報に基づいて刺繍データを作成する刺繍データ作成装置において、
前記画像情報に関連する画像を表示するための手段と、
前記表示するための手段におけるバックグランド領域を設定するための手段と、
前記バックグランド領域にバックグランド色指定装置で指定された色をつけて表示するための手段と、
前記表示するための手段に画像が表示されていない時、前記表示するための手段の全表示領域をバックグランド領域として設定するための手段と、
前記表示するための手段に画像が表示される時、表示するための手段において、画像の輪郭線とブロックに糸色及び縫い目などの色情報を設定する手段と、
前記表示するための手段に画像が表示される時、該画像部分について前記バックグランド領域の設定を解除する、
ことを特徴とする刺繍データ作成装置。」
とする補正を含むものである。

2.補正却下すべき理由
上記補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「バックグランド領域を設定するための手段に対して設定する領域とバックグランドの色を指定するための手段と、を備え、該指定するための手段は、予め決められた複数の色の表示情報、色を生成するための手段、色情報を入力するための手段、の中の少なくとも1を有し、これらに基づいて色を指定する」を削除する補正を含んでいる。
補正前の請求項1に記載されていた発明を特定するために必要な事項を削除する補正は特許請求の範囲の拡張であり、平成18年法律第55号改正付則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下、「平成18年改正前特許法」という)第17条の2第4項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当しない。
また、この補正は、請求項の削除、誤記の訂正、明りようでない記載の釈明のいずれに該当するとも認められない。
したがって、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願補正発明
参考のため、本件補正後の前記特許請求の範囲の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法17条の2第5項において準用する同法126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものであるか)について以下に検討する。
本願補正発明は、本件補正後の明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項(上記「1.本件補正」の補正後の請求項1参照)により特定されるとおりのものと認める。

4.引用発明
(1)引用例1
原査定の拒絶の理由に引用された特許2554903号公報(以下、「引用例1」という)には、以下の記載がある。
(ア)「前記第2手段は縫製用の布地の色を検知するカラーセンサと、該カラーセンサの出力情報から布地の色を識別する布地識別手段とを備え、前記表示色制御手段は前記カラー表示手段に対して前記第2の手段の布地識別手段からの色情報に基づき模様以外の領域の表示を識別された布の色で表示するものであることを特徴とする特許請求の範囲第1項又は第2項に記載のミシンのカラー表示装置。」(特許請求の範囲の請求項3)
(イ)「本発明では、それらを解決するために布地の色と上糸の色を別々に識別し、カラー表示装置の選択された模様を絵図表示する部分を上糸の色と同一の色で表示し、他の表示部を布地の色と同一の色で表示することにより、試し縫い等をせず簡単に最適な上糸の色が選択、確認出来る表示制御手段とした。」(第2頁左欄第17?22行)
(ウ)「表示色制御手段11は、前記模様表示情報記憶手段15からの模様表示情報と前記上糸色識別手段10からの上糸色情報に基づき、選択された模様の絵図を表示する色を上糸の色と同一になる様に制御する。更に、前記布地色識別手段5からの布地色情報に基づき、前記絵図を表示する以外の表示部の色を布地の色と同一になる様に制御する。
カラー表示器13は、カラー用グラフィック表示器であり、例えば、LCD、蛍光表示管等である。」(第2頁右欄第7?15行)
(エ)「(g)模様選択手段14から模様としてアルファベットの‘A’を選択したとすると、模様‘A’が選択された情報を出力する。
(h)模様表示情報記憶手段15は、前記模様選択手段14からの模様‘A’の選択情報に基づき対応する表示器のドット単位の絵図表示情報を内部メモリより読取り出力する。
(i)表示色制御手段11は、前記模様表示情報記憶手段15からの模様‘A’の絵図表示情報に対応する表示器のドットの色を前記上糸色識別手段10からの赤色情報に従い赤色になる様に制御する。
更に、模様‘A’の絵図表示情報に対応しない表示器のドットの色を前記布地色識別手段5からの白色情報に従い白色になる様に制御する。」(第2頁右欄末行から第3頁左欄第13行)
以上の記載及び第1?3図によれば、引用例1には、次の発明(以下「引用発明1」という)が開示されていると認めることができる。

「表示色制御手段11が、模様選択手段14で選択した模様に対応する絵図の模様表示情報と上糸識別手段10からの上糸色情報に基づいて上糸の色と一致する色の絵図をカラー表示器13に表示させ、カラーセンサの出力情報から布地の色を識別する布地色識別手段5を有し、当該布地色識別手段5からの布地色情報に基づいて、絵図を表示する以外の表示部の色を布地の色と一致させるカラー表示手段を備えたミシン。」

(2)引用例2
同じく、原査定の拒絶の理由に引用された特開平9-122367号公報(以下、「引用例2」という)には,以下の記載がある。
(ア)「【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、被縫製体に対して所定の図柄の刺繍を形成するミシンのための、刺繍の形成に必要な刺繍縫製データを作成するための刺繍データ処理装置に係り、特に輪郭画を原画として用いて図柄の刺繍データを処理する装置に関する。」
(イ)「【0023】作成装置本体1の上面部には、読み取った図柄や刺繍領域等を画面7aに表示するための液晶ディスプレイ(LCD)7が設けられている。この液晶ディスプレイ7は、表示制御装置(LCDC)8により制御されるようになっており、この表示制御装置8には表示記憶装置(VRAM)9が接続され、モノクロのビットマップグラフィックス表示が可能なように構成されている。また、前記フラッシュメモリ装置5には、記憶媒体としてのフラッシュメモリ10が着脱可能に装着されるようになっている。そして、作成装置本体1には、操作者が縫製様式など各種の選択や設定の指示を行うための操作キー11、および、図柄原画を読み込むためのイメージスキャナ12が、前記入出力インターフェイス6を介してCPU2に接続されている。」
(ウ)「【0039】ここで、例のような花の図形に対して刺繍縫い設定を行う場合、まずもっとも上部にあるループ領域(図8のループL1)がCPU2によって設定対象領域として自動的に設定され(ステップ51)、そのことを示すためにループL1が点滅表示される(ステップ52)。ループL1の領域に対して、「赤色の内部縫いで縁縫いなし」に設定するため、使用者は内縫い指定キー11bを押下する。内縫い指定キー11bは、押下毎に設定対象となっている領域の内縫い設定を、内縫いなし→黒内縫い→赤内縫い→緑内縫い→黄内縫い→内縫いなし、のように順次切り替えるようになっており、この場合内縫い指定キー11bを2回押下することで、ループL1の領域に赤色の内縫いが設定される(ステップ55:Yesおよびステップ56)。
【0040】また、縁縫い指定キー11cは、押下毎に設定対象となっている領域の縁縫い設定を、縁縫いなし→黒縁縫い→赤縁縫い→緑縁縫い→黄縁縫い→縁縫いなし、のように順次切り替えるようになっており、」
(エ)「【0049】なお、上述実施の形態中のステップ1では、刺繍図柄の原画をモノクロ読み取りのイメージスキャナ12を用いて読み取ることにより対応する画像データを取得しているが、これはカラースキャナーを用いて特定色を処理するように構成してもよく、その場合、液晶ディスプレイ7にもカラー表示が可能なものを用いる事も考えられる。」
(オ)「【0050】さらにステップ5の刺繍領域設定についても、ここに示した縫い設定だけでなく、内部縫いにおいてはタタミ縫いやサテン縫い等、また線縫いにおいては走り縫い等の縫製方法や、糸密度、糸方向、糸ピッチ等の縫製属性についての設定項目を設けることも考えられる。この場合、実施の形態中のステップ5に相当する刺繍縫い設定においては、例えば、図15に示すような画面を液晶ディスプレイに表示し、作業者が各々の縫製属性項目を自由に変更入力してから「SET」ボタンを押下することによって、設定対象となっている刺繍領域にその縫い設定が指定されるように構成すればよい。」

5.対比
そこで、本願補正発明と引用発明1とを比較すると、引用発明1の「模様選択手段14で選択した模様に対応する絵図の模様表示情報と上糸識別手段10からの上糸色情報」は、本願補正発明の「画像情報」に相当し、同様に、「カラー表示器13」は絵図を表示するとともに絵図を表示する以外の表示部の色を布地の色と一致させて表示するので、「画像情報に関連する画像を表示するための手段」及び「バックグランド領域にバックグランド色指定装置で指定された色をつけて表示するための手段」に、「表示色制御手段11」は絵図を表示する以外の表示部の色を布地の色と同一になるように制御するので、「バックグランド領域を設定するための手段」及び「バックグランド色指定装置」にそれぞれ相当する。
また、引用発明1では、「カラー表示器13」の表示に対応する絵図の模様情報、上糸の色情報に基づいて刺繍が行われるので、画像情報に基づいて刺繍データが作成されるものということができ、本願補正発明と引用発明1は画像情報に基づいて刺繍データ作成する機能を有する装置である限りにおいて一致する。
そこで、本願補正発明と引用発明1を対比すると、両者は、
「画像情報に基づいて刺繍データを作成する機能を有する装置において、前記画像情報に関連する画像を表示するための手段と、前記表示するための手段におけるバックグランド領域を設定するための手段と、前記バックグランド領域にバックグランド色指定装置で指定された色をつけて表示するための手段とを備えた装置。」
である点で一致し、以下の点で相違している。
[相違点1]
本願補正発明は、表示するための手段に画像が表示されていない時、前記表示するための手段の全表示領域をバックグランド領域として設定し、表示するための手段に画像が表示される時、該画像部分について前記バックグランド領域の設定を解除するための手段を有するのに対して、引用発明1では表示色制御手段11が、表示するための手段に絵図を表示するとともに、絵図を表示する以外の表示部の色を布地の色と一致させる点。

[相違点2]
本願補正発明は、表示するための手段に画像が表示される時、表示するための手段において、画像の輪郭線とブロックに糸色及び縫い目などの色情報を設定する手段を有するのに対して、引用発明1ではこのような構成のない点。

[相違点3]
本願補正発明は、表示手段を備えた刺繍データ作成装置であるのに対して、引用発明1は表示手段を備えたミシンである点。

6.判断
[相違点1]について
絵図と布地色のバックグランドを表示する場合は、双方が表示されて、バランス等を把握することができるのであって、双方を表示する前に何を表示しておくかは当業者が適宜設定し得る程度の事項にすぎず、絵図が表示されていない時、表示するための手段の全表示領域に指定されたバックグランドの色を表示しておくことは当業者が容易になしえたものと認める。また、絵図が表示される時、バックグランドの表示が重複しないように、その部分のバックグランドの表示を解除することは当業者が適宜なす事項にすぎない。

[相違点2]について
表示するための手段に刺繍図柄が表示されるとき、表示するための手段において、刺繍図柄の内部の面縫と周囲の線縫いの糸色及び縫い目の設定を行う手段を設ける点は引用例2に示されているから(上記4.(2)(ウ)(オ)参照。ちなみに、縫い目を表示することは例えば、特開平5-146574号の段落【0019】、特開平9-137360号公報の段落【0036】、特開平8-57173号の段落【0029】に記載されており、周知である)、引用発明1において表示された絵図を刺繍するための内部の面縫と周囲の線縫いの糸色及び縫い目の設定を行う手段を設けることは、引用発明1に上記引用例2に示された事項を適用することにより当業者が容易になしえたものと認める。

[相違点3]について
ミシンとは別の「表示手段を備えた刺繍データ作成装置」で刺繍データを作成することは引用例2に示されているから(上記4.(2)(ア)(イ)参照)、ミシンに供給する刺繍データを刺繍データ作成装置で作成することは当業者が容易になしえたものと認める。

そして、本願補正発明の作用効果も、引用発明1、引用例2に示された事項、並びに周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。

したがって、本願補正発明は、引用発明1、引用例2に示された事項、並びに周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

第3 本願発明について
平成19年5月16日にされた明細書を対象とする手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)は、平成18年9月20日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「【請求項1】画像情報に基づいて刺繍データを作成する刺繍データ作成装置において、
前記画像情報に関連する画像を表示するための手段と、
前記表示するための手段におけるバックグランド領域を設定するための手段と、
前記バックグランド領域に色をつけて表示するための手段と、
前記バックグランド領域を設定するための手段に対して設定する領域とバックグランドの色を指定するための手段と、を備え、
該指定するための手段は、予め決められた複数の色の表示情報、色を生成するための手段、色情報を入力するための手段、の中の少なくとも1を有し、これらに基づいて色を指定する、
ことを特徴とする刺繍データ作成装置。」

第4 引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された引用例、その記載事項、及び引用発明は、上記「第2」の4.に記載したとおりである。

第5 対比・判断
そこで、本願発明と引用発明1とを比較すると、引用発明1の「模様選択手段14で選択した模様に対応する絵図の模様表示情報と上糸識別手段10からの上糸色情報」は、本願発明の「画像情報」に相当し、同様に、「カラー表示器13」は絵図を表示するとともに絵図を表示する以外の表示部の色を布地の色と一致させて表示するので、「画像情報に関連する画像を表示するための手段」及び「バックグランド領域に色をつけて表示するための手段」に、「表示色制御手段11」は絵図を表示する以外の表示部の色を布地の色と同一になるように制御するので、「バックグランド領域を設定するための手段」及び「バックグランド領域を設定するための手段に対して設定する領域とバックグランドの色を指定するための手段」にそれぞれ相当する。また、引用発明1の「カラーセンサ」及び「布地色識別手段5」は、表示色制御手段11に布地色情報を入力しているから、「本願発明」の「色情報を入力するための手段」に相当する。
さらに、引用発明1では、「カラー表示器13」の表示に対応した絵図の模様情報、上糸の色情報に基づいて刺繍が行われるので、画像情報に基づいて刺繍データが作成されるものということができ、本願発明と引用発明1は画像情報に基づいて刺繍データを作成する機能を有する装置である限りにおいて一致する。
そこで、本願発明と引用発明1を対比すると、両者は、
「画像情報に基づいて刺繍データを作成する機能を有する装置において、前記画像情報に関連する画像を表示するための手段と、前記表示するための手段におけるバックグランド領域を設定するための手段と、前記バックグランド領域に色をつけて表示するための手段と、前記バックグランド領域を設定するための手段に対して設定する領域とバックグランドの色を指定するための手段と、を備え、該指定するための手段は色情報を入力するための手段を有し、これに基づいて色を指定する装置。」
である点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点]
本願発明は、表示手段を備えた刺繍データ作成装置であるのに対して、引用発明1は表示手段を備えたミシンである点。

そこで、相違点について検討すると、ミシンとは別の「表示手段を備えた刺繍データ作成装置」で刺繍データを作成することは引用例2に示されているから(上記「第2」の4.(2)(ア)(イ)参照)、ミシンに供給する刺繍データを刺繍データ作成装置で作成することは当業者が容易になしえたものと認める。

なお、本願請求項1には、色を指定する手段が有する情報又は手段として、「予め決められた複数の色の表示情報」と「色を生成するための手段」をも択一的に挙げているが、色を指定する手段が予め決められた複数の色の表示情報や、色を生成するための手段を有することは、例えば特開平7-308468号公報や特開平9-170158号公報に示されており、周知である。
また、本願明細書の段落【0004】、【0008】、【0022】などを参酌すると、本願発明の実施の形態においては、バックグランド領域を設定するための手段に対して設定する領域とバックグランドの色を指定する際には、使用者による設定操作を行うようになっている。一方、引用発明1は、使用者の指定操作を必要とせず、刺繍模様の絵図の表示によって自動的にバックグランド領域とバックグランドの色を指定するようになっている(上記「第2」の4.(1)(エ)参照)ので、上記本願発明の実施形態と引用発明1とは、この点で相違している。しかし、刺繍データ作成装置等の表示において、バックグランドの設定を使用者の指定操作に基づいて行うことは周知技術(例えば特開平7-8649号公報の段落【0012】、特開平4-147296号公報第2図参照)であって、引用発明において、「バックグランドの色を指定するための手段」とともに「設定する領域を指定するための手段」を設けて、これによって、刺繍模様に対するバックグランドの設定がなされるようにすることは当業者が容易になしえたことにすぎない。

そして、本願発明の作用効果も、引用発明1、引用例2に示された事項、並びに周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明1、引用例2に示された事項、並びに周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、他の請求項を検討するまでもなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-03-09 
結審通知日 2009-03-17 
審決日 2009-03-30 
出願番号 特願平9-252640
審決分類 P 1 8・ 572- Z (D05B)
P 1 8・ 121- Z (D05B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 西山 真二  
特許庁審判長 栗林 敏彦
特許庁審判官 村山 禎恒
熊倉 強
発明の名称 刺繍データ作成装置  

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