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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G01D
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01D
管理番号 1200886
審判番号 不服2007-18645  
総通号数 117 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-09-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-07-04 
確定日 2009-07-16 
事件の表示 特願2004-343816「磁気エンコーダ付き軸受および車輪用軸受」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 4月14日出願公開、特開2005- 99041〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第一 手続の経緯
本願は、平成14年7月2日付けで出願した特願2002-192908号(優先権主張 平成13年9月25日)(以下、「原出願」という。)の一部を特許法第44条第1項の規定により新たな特許出願(特願2003-2672号)とし、さらにその一部を特許法第44条第1項の規定により平成16年11月29日に新たな特許出願としたものであって、明細書又は図面について平成19年5月2日付けで補正がなされ(以下、「補正1」という。)、同年5月25日付け(送達:同年6月5日)で拒絶査定がなされ、これに対して、同年7月4日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同年8月2日付けで手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。

第二 本件補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。
[理由]
1.補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1を、補正前の
「内輪と外輪の対向する軌道面間に転動体を介在させた転がり軸受において、前記内輪と外輪のうちの回転側輪に、この回転側輪と同心の環状の磁気エンコーダを取付け、この磁気エンコーダは、前記内輪と外輪間の空間における固定側輪の端面よりも内側に配置し、前記磁気エンコーダは、磁性粉と非磁性金属粉との混合粉を焼結させた焼結体からなり円周方向に交互に磁極が形成された多極磁石で構成され、上記磁性粉がSmFeN粉であり、上記焼結体が、上記混合粉を金型内で加圧成形することにより圧粉体を得てこの圧粉体を加熱焼結したものであり、上記混合粉中の配合において、非磁性金属粉の体積含有率が、1vol %以上で90vol %以下であることを特徴とする磁気エンコーダ付き軸受。」から、
補正後の
「内輪と外輪の対向する軌道面間に転動体を介在させた転がり軸受において、前記内輪と外輪のうちの回転側輪に、この回転側輪と同心の環状の磁気エンコーダを取付け、この磁気エンコーダは、前記内輪と外輪間の空間における固定側輪の端面よりも内側に配置し、前記磁気エンコーダは、磁性粉と非磁性金属粉との粉体同士のドライブレンドによる混合粉を焼結させた焼結体からなり円周方向に交互に磁極が形成された多極磁石を有し、この多極磁石を芯金で支持したものであり、上記磁性粉がSmFeN粉であり、上記非磁性金属粉がスズ粉であり、上記焼結体が、上記混合粉を金型内で加圧成形することにより圧粉体を得てこの圧粉体を加熱焼結したものであり、上記混合粉中の配合において、非磁性金属粉の体積含有率が、1vol %以上で90vol %以下であることを特徴とする磁気エンコーダ付き軸受。」
に補正する補正事項を含むものである(下線は補正箇所を明示するために当審が付した。)。
この補正は、「混合粉」について、「粉体同士のドライブレンドによる」との限定を、「多極磁石」について、「芯金で支持した」との限定をそれぞれ付加し、「非磁性金属粉」を、「スズ粉」に限定したものであって、特許法第17条の2第4項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて以下に検討する。

2.引用例記載の事項・引用発明
原査定の拒絶の理由に引用され、原出願の優先日前に頒布された刊行物である特開平9-274051号公報(以下、「引用例1」という。)には、次の事項(a)乃至(c)が図1乃至図5とともに記載されている。
(a)「【0001】
【産業上の利用分野】この発明に係る密封装置及びトーンホイールを備えた転がり軸受ユニットは、自動車の車輪、一般機械の回転軸等、各種回転部材を回転自在に支持すると共に、センサと組み合わせる事により、この回転部材の回転速度を検出する為の回転速度検出装置を構成する。」
(b)「【0008】
【発明の実施の形態】図1?3は、本発明の実施の形態の第1例を示している。外輪相当部材であるハブ1は、内周面に複列の外輪軌道2、2を有する。又、このハブ1の外周面外寄り(外とは、自動車への組み付け状態で幅方向外側となる部分を言い、図1?2で左)部分には、車輪を支持する為のフランジ3を設けている。図示しない車輪は、このフランジ3に固設したスタッド4により、このフランジ3に結合固定される。従って上記ハブ1は、自動車の走行に伴って、上記車輪と共に回転する。
【0009】上記ハブ1の内側には、1対の内輪5、5を、このハブ1と同心に配置している。これら両内輪5、5の外周面には、それぞれ上記外輪軌道2、2と対向する内輪軌道6、6を形成している。自動車への組み付け状態でこれら両内輪5、5は、懸架装置に支持された車軸7の先端部に外嵌される。そして、この車軸7の中間部に形成した段部8と、この車軸7の先端(図1の左端)に螺合したナット9との間で挟持されて、この車軸7に対し固定される。従って上記各内輪5、5は、自動車の走行時にも回転する事はない。尚、上記ハブ1の外端開口部は、ナット9の螺合緊締作業の後、蓋体10を嵌着する事により塞ぐ。
【0010】又、上記ハブ1内周面の外輪軌道2、2と上記各内輪5、5外周面の内輪軌道6、6との間には、転動体である玉11、11を、各列毎に複数ずつ設けている。これら各玉11、11は、保持器12、12により、円周方向に互いに間隔をあけた状態で、転動自在に保持されている。従って上記ハブ1は、上記車軸7の周囲に回転自在に支持されている。尚、重量の嵩む自動車用の転がり軸受ユニットの場合には、転動体として、玉11、11に代えてテーパころを使用する場合もある。
【0011】更に、上記ハブ1の内端部(内とは、自動車への組み付け状態で幅方向中央側となる部分を言い、図1で右)内周面と、上記1対の内輪5、5のうちで内側の内輪5の内端部周面との間には、密封装置13を設けて、これらハブ1の内周面と内輪5、5の外周面との間に存在する空間14の内端部開口を塞いでいる。更に、この密封装置13の内側面に、円環状のトーンホイール15を添設している。そして、このトーンホイール15の内側面に、上記車軸7の基部に支持したセンサ16を対向させる事により、回転速度検出装置を構成している。
【0012】上記密封装置13は、それぞれが軟鋼板等の金属板をプレス加工する事により、断面L字形で全体を円環状に造られた、外径側芯金17、内径側芯金18と、ゴム、エラストマー等の弾性材により造られて上記外径側芯金17に全周に亙って添設された、シールリップ20a、20b、20cとから構成される。
【0013】このうちの外径側芯金17は、断面略L字形で全体を円環状に形成されており、外径側嵌合筒部21と、この外径側嵌合筒部21の内端縁から直径方向内方に折れ曲がった外径側円輪部22とを有する。又、上記外径側嵌合筒部21は、先半側(図1?2の左半側)の円筒部26と、基半側(図1?2の右半側)のテーパ筒部27とから構成される。このテーパ筒部27の直径は、上記外径側円輪部22に近づく程小さくなる。この様な外径側芯金17は、上記外径側嵌合筒部21を上記ハブ1の内端部に内嵌する事により、このハブ1に固定されている。尚、上記ハブ1に内嵌する作業を容易に行なえる様にすべく、このハブ1の内端開口周縁部には、面取り部23aを形成している。
【0014】又、上記内径側芯金18は、断面L字形で全体を円環状に形成されており、内径側嵌合筒部24と、この内径側嵌合筒部24の外端縁から直径方向外方に折れ曲がった内径側円輪部25とを有する。そして、上記内径側嵌合筒部24を前記内側の内輪5の内端部外周面に外嵌する事により、この内輪5に固定している。尚、上記内輪5に外嵌する作業を容易に行なえる様にすべく、この内輪5の内端部外周縁には、面取り部23bを形成している。」
(c)「【0016】更に、上記外径側芯金17を構成する外径側円輪部22の内側面には、円輪状のトーンホイール15を添着している。このトーンホイール15は、ゴム中にフェライト等の強磁性材の粉末を分散させて着磁した、所謂ゴム磁石で、少なくとも内側面にはS極とN極とを、図3に示す様に円周方向に亙って交互に、且つ等間隔で配置している。この様なトーンホイール15は、上記外径側円輪部22の内側面に、焼き付け、接着、自身の磁気吸着力等により添着固定している。」

そして、特に図2、図4、図5から、トーンホイール15は、内輪5とハブ1間の空間における回転する事のない内輪5の端面よりも内側に配置されていることが見て取れる。
したがって、上記記載事項(a)乃至(c)、及び図1乃至図5に基づけば、引用例1には、
「内輪5とハブ1の対向する内輪軌道6、6と外輪軌道2、2との間に玉11を介在させた転がり軸受において、前記内輪5とハブ1のうちの回転する側のハブ1に、この回転する側のハブ1と同心の円環状のトーンホイール15及び外径側芯金17を取付け、このトーンホイール15及び外径側芯金17は、前記内輪5とハブ1間の空間における回転する事のない側の内輪5の端面よりも内側に配置し、前記トーンホイール15及び外径側芯金17は、ゴム中に強磁性材の粉末を分散させたゴム磁石であり、円周方向に交互に磁極が形成された磁石を有し、この磁石を外径側芯金17で支持したものである、トーンホイール15及び外径側芯金17付き軸受。」の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されている。

また、原査定の拒絶の理由に引用され、原出願の優先日前に頒布された刊行物である特開昭63-115008号公報(以下、「引用例2」という。)には、次の事項(a)及び(b)が図面とともに記載されている。
(a)「【特許請求の範囲】
(1)外周壁面に磁化マークを設けた磁気信号発生体と、前記磁化マークを検出する磁気検出素子とからなる磁気エンコーダにおいて、前記磁気信号発生体は、軟質金属粉末と磁性粉末とを混合して焼結した焼結合金磁性体からなることを特徴とする磁気エンコーダ。
(2)前記軟質金属粉末は、アルミニウム、亜鉛、錫若しくはそれ等の合金粉末であることを特徴とする特許請求の範囲第(1)項記載の磁気エンコーダ。
(3)前記磁気検出素子には、磁気抵抗素子が用いられることを特徴とする特許請求の範囲第(1)項記載の磁気エンコーダ。」(公報第1頁左下欄第4行乃至第17行)
(b)「(作 用)
アルミニウム粉と磁石粉とを混合圧縮成型した焼結金属で磁気信号発生体を形成すれば、磁石粉のバインダーが軟質なアルミニウムであるため、ベースに回転自在に取り付けた後の磁気信号発生体の旋盤加工が容易になって、製造原価が安くなると共に、磁気信号発生体の表面の仕上げ寸法精度が高くなる。」(公報第2頁右上欄第16行乃至左下欄第3行)

したがって、上記記載事項(a)及び(b)、及び図面に基づけば、引用例2には、円周方向に交互に磁極が形成された多極磁石を有する磁気エンコーダとして、磁性粉と非磁性金属粉との粉体同士の混合粉を圧縮成型して焼結させた焼結体からなるものの発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されている。

3.対比
本願補正発明と引用発明1とを対比する。
引用発明1における「ハブ1」、「内輪軌道6、6と外輪軌道2、2との間」、「玉11」、「回転する側のハブ1」、「円環状」、「トーンホイール15及び外径側芯金17」、「回転する事のない側の内輪5」、「外径側芯金」は、本願補正発明の「外輪」、「軌道面間」、「転動体」、「回転側輪」、「環状」、「磁気エンコーダ」、「固定側輪」、「芯金」に、それぞれ相当し、また、引用発明1における「円周方向に交互に磁極が形成された磁石」は、本願補正発明の「円周方向に交互に磁極が形成された多極磁石」に相当する。

そうすると、両者は、
(一致点)
「内輪と外輪の対向する軌道面間に転動体を介在させた転がり軸受において、前記内輪と外輪のうちの回転側輪に、この回転側輪と同心の環状の磁気エンコーダを取付け、この磁気エンコーダは、前記内輪と外輪間の空間における固定側輪の端面よりも内側に配置し、前記磁気エンコーダは、円周方向に交互に磁極が形成された多極磁石を有し、この多極磁石を芯金で支持したものである、磁気エンコーダ付き軸受。」で一致し、以下の点で相違する。

(相違点)
磁気エンコーダが、本願補正発明は、「磁性粉と非磁性金属粉との粉体同士のドライブレンドによる混合粉を焼結させた焼結体からなり」、「上記磁性粉がSmFeN粉であり、上記非磁性金属粉がスズ粉であり、上記焼結体が、上記混合粉を金型内で加圧成形することにより圧粉体を得てこの圧粉体を加熱焼結したものであり、上記混合粉中の配合において、非磁性金属粉の体積含有率が、1vol %以上で90vol %以下である」のに対し、引用発明1は、「ゴム中に強磁性材の粉末を分散させたゴム磁石」である点。

4.判断
円周方向に交互に磁極が形成された多極磁石を有する磁気エンコーダについて、磁性粉と非磁性金属粉との粉体同士の混合粉を圧縮成型して焼結(本願補正発明の「混合粉を金型内で加圧成形することにより圧粉体を得てこの圧粉体を加熱焼結」に相当)させた焼結体からなるもの(引用発明2)が公知であるところ、磁気エンコーダの磁石を生成する磁性粉として、SmFeN粉を用いることは周知であり(例えば、原審で引用され、原出願の優先日前に頒布された刊行物である特開平6-25715号公報や、特開平9-236448号公報を参照)(以下、「周知事項1-1」という。)、磁気エンコーダの磁石を生成する非磁性金属粉としてスズ粉を用いることも周知であり(例えば、引用例2参照)(以下、「周知事項1-2」という。)、さらに、SmFeN粉とスズ粉との粉体同士の混合粉を焼結させた焼結体からなる磁石も周知である(例えば、当審において新たに引用する、原出願の優先日前に頒布された刊行物である特開平4-354104号公報、特開平4-360501号公報、特開平4-338604号公報参照)(以下、「周知事項1-3」という。)。
そして、磁気エンコーダ付き軸受けである引用発明1において、ゴム中に強磁性材の粉末を分散させたゴム磁石に代えて、磁性粉を有する点で磁気エンコーダの構成として同様の機能を奏する、引用発明2の磁性粉と非磁性金属粉との粉体同士の混合粉を圧縮成型して焼結させた焼結体を採用することは当業者にとって格別困難なことではなく、すでに各種存在する磁性粉と非磁性金属粉の種類を具体的に選択する際に、前記周知事項1-1乃至1-3を参照して、磁性粉をSmFeN粉、非磁性金属粉をスズ粉とすることは、当業者であれば適宜選択しうる程度の事項である。
また、粉末同士を混合して混合粉を生成する手法として「ドライブレンド」は周知であり(例えば、当審において新たに引用する、原出願の優先日前に頒布された刊行物である特開平11-354138号公報や、特開平11-302539号公報、前記特開平9-236448号公報(【0013】)を参照)(以下、「周知事項2」という。)、磁性粉と非磁性金属粉との粉体同士の混合粉をドライブレンドによって生成することは、当業者が適宜なし得る程度の事項である。
さらに、非磁性金属粉の体積含有率を、磁気エンコーダとしての所望の機能を果たす程度の磁石の硬度及び磁力を確保するように設定することは、磁気エンコーダの製造のための混合粉の配合工程を具体的に設計する上で当然のことであり、磁性粉と非磁性金属粉との粉体同士の混合粉による焼結体を生成する際に、非磁性金属粉の体積含有率を1vol %以上で90vol %以下とすることは、磁気エンコーダとしての所望の機能を果たす程度の磁石の硬度及び磁力を確保するように設定する上で当然に必要な数値としたに過ぎず、当業者が適宜設定し得る程度の事項である。このことは、磁石の硬度及び磁力の確保を考慮して非磁性金属粉の体積含有率を20%以上で90%以下とした、原審で引用され、原出願の優先日前に頒布された刊行物である特開昭63-300910号公報からもいえる。

そして、本願補正発明の作用効果も、引用発明1及び引用発明2、並びに周知事項1及び2から当業者が予測可能なものであって、格別なものではない。

よって、上記相違点に係る本願補正発明の発明特定事項は、引用発明1及び引用発明2、並びに周知事項1及び2に基づいて当業者が容易に想到し得る事項である。

したがって、本願補正発明は、引用発明1及び引用発明2、並びに周知事項1及び2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。

5.まとめ
以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第三 本願発明について
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1乃至8に係る発明は、前記補正1によって補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1乃至8に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明は次のとおりである。
「内輪と外輪の対向する軌道面間に転動体を介在させた転がり軸受において、前記内輪と外輪のうちの回転側輪に、この回転側輪と同心の環状の磁気エンコーダを取付け、この磁気エンコーダは、前記内輪と外輪間の空間における固定側輪の端面よりも内側に配置し、前記磁気エンコーダは、磁性粉と非磁性金属粉との混合粉を焼結させた焼結体からなり円周方向に交互に磁極が形成された多極磁石で構成され、上記磁性粉がSmFeN粉であり、上記焼結体が、上記混合粉を金型内で加圧成形することにより圧粉体を得てこの圧粉体を加熱焼結したものであり、上記混合粉中の配合において、非磁性金属粉の体積含有率が、1vol %以上で90vol %以下であることを特徴とする磁気エンコーダ付き軸受。」(以下、「本願発明」という。)

1.引用例記載の事項・引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された引用発明・事項は、前記「第二2.引用例記載の事項・引用発明」に記載したとおりである。

2.対比・判断
本願発明は、前記「第二1.補正の内容」で検討した本願補正発明から、「混合粉」について、「粉体同士のドライブレンドによる」との発明特定事項を省き、「多極磁石」について、「芯金で支持した」との発明特定事項を省き、また、「スズ」を、「非磁性金属粉」に上位概念化したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに他の発明特定事項を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「第二4.判断」に記載したとおり引用発明1及び引用発明2、並びに周知事項1及び2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、「前記第二4.判断」で示したものと同様の理由により、引用発明1及び引用発明2、並びに周知事項1及び2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

3.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明1及び引用発明2、並びに周知事項1及び2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-05-12 
結審通知日 2009-05-19 
審決日 2009-06-01 
出願番号 特願2004-343816(P2004-343816)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G01D)
P 1 8・ 121- Z (G01D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 井上 昌宏  
特許庁審判長 飯野 茂
特許庁審判官 下中 義之
南 宏輔
発明の名称 磁気エンコーダ付き軸受および車輪用軸受  
代理人 野田 雅士  

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