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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F16F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 F16F
管理番号 1201213
審判番号 不服2008-19579  
総通号数 117 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-09-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-07-31 
確定日 2009-07-23 
事件の表示 特願2002-252760「バランスシャフト」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 3月25日出願公開、特開2004- 92724〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成14年8月30日の出願であって、平成20年6月26日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成20年7月31日に審判請求がなされるとともに、平成20年7月31日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成20年7月31日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成20年7月31日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
(1)本件補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲は、
「【請求項1】軸受により回転可能に支持されるジャーナルを備え、前記軸受と前記ジャーナルとの間に潤滑油を供給する潤滑通路が前記ジャーナル内に形成されているバランスシャフトにおいて、
前記潤滑通路の開口部を通過するジャーナルの径方向断面においての同ジャーナルの外周面について、アンバランスマスが設けられているアンバランスマス側の面を第1外周面とし、アンバランスマスが設けられていない反アンバランスマス側の面を第2外周面として、
前記径方向断面においての潤滑通路の開口位置は、前記ジャーナルの回転中に前記ジャーナルと前記軸受との間の圧力が最も高くなる部分よりも回転方向前側であって、前記第2外周面における前記第1外周面と前記第2外周面との境界付近及び前記第1外周面と前記第2外周面との境界のいずれかに設定されている
ことを特徴とするバランスシャフト。
【請求項2】軸受により回転可能に支持されるジャーナルを備え、前記軸受と前記ジャーナルとの間に潤滑油を供給する潤滑通路が前記ジャーナル内に形成されているバランスシャフトにおいて、
前記潤滑通路の開口部を通過するジャーナルの径方向断面においての同ジャーナルの外周面について、アンバランスマスが設けられているアンバランスマス側の面を第1外周面とし、アンバランスマスが設けられていない反アンバランスマス側の面を第2外周面として、
前記径方向断面においての潤滑通路の開口位置は、前記第1外周面のうち前記ジャーナルの回転中に前記ジャーナルと前記軸受との間の圧力が最も高くなる部分よりも回転方向前側に設定されている、すなわち前記圧力が最も高くなる部分を高圧部とし、この高圧部の回転方向前側に位置して前記ジャーナルと前記軸受との間の圧力が前記潤滑通路の圧力よりも大きくなる領域を第1領域とし、この第1領域の回転方向前側に位置して前記ジャーナルと前記軸受との圧力が前記潤滑通路の圧力よりも小さくなる領域を第2領域として、この第2領域に設定されている
ことを特徴とするバランスシャフト。
【請求項3】軸受により回転可能に支持されるジャーナルを備え、前記軸受と前記ジャーナルとの間に潤滑油を供給する潤滑通路が前記ジャーナル内に形成されているバランスシャフトにおいて、
前記ジャーナルの回転中に前記ジャーナルと前記軸受との間の圧力である軸受間圧力が最も高くなる部分を高圧部とし、この高圧部の回転方向前側に位置して前記軸受間圧力が前記潤滑通路の圧力である通路圧力よりも大きくなる領域を第1領域とし、この第1領域の回転方向前側に位置して前記軸受間圧力が前記通路圧力よりも小さくなる領域を第2領域として、
前記ジャーナルの外周面においての前記潤滑通路の開口位置が前記第2領域においての前記第1領域と前記第2領域との境界付近に設定される
ことを特徴とするバランスシャフト。
【請求項4】請求項1?3のいずれか一項に記載のバランスシャフトにおいて、
前記潤滑通路の開口位置は、前記ジャーナルの外周面における軸線方向中央に設定されている
ことを特徴とするバランスシャフト。
【請求項5】請求項1?4のいずれか一項に記載のバランスシャフトにおいて、
前記潤滑通路が前記ジャーナルの外周面の一箇所のみにて開口している
ことを特徴とするバランスシャフト。
【請求項6】請求項1?5のいずれか一項に記載のバランスシャフトにおいて、
前記ジャーナルのアンバランスマス側と反対側に位置する反アンバランスマス側の軸線方向長さが前記アンバランスマス側の軸線方向長さよりも短く設定され、且つ前記潤滑通路の開口位置が前記ジャーナルの外周面における前記アンバランスマス側に設定されている
ことを特徴とするバランスシャフト。
【請求項7】請求項6に記載のバランスシャフトにおいて、
前記ジャーナルの外周面における前記アンバランスマス側から前記反アンバランスマス側へと繋がる部分の両縁間の軸線方向長さが前記反アンバランス側に向かうにつれて徐々に短く設定される
ことを特徴とするバランスシャフト。
【請求項8】請求項7に記載のバランスシャフトにおいて、
前記潤滑通路の開口位置が前記アンバランスマス側における前記反アンバランスマス側よりに設定され、且つ前記ジャーナルの外周面における前記潤滑通路の開口周りに必要なランド幅を確保すべく前記アンバランスマス側から前記反アンバランスマス側へと繋がる部分の軸線方向両縁が形成される
ことを特徴とするバランスシャフト。
【請求項9】請求項1?5のいずれか一項に記載のバランスシャフトにおいて、
前記ジャーナルのアンバランスマス側と反対側に位置する反アンバランスマス側の軸線方向長さが前記アンバランスマス側の軸線方向長さよりも短く設定され、且つ前記潤滑通路の開口位置が前記ジャーナルの外周面の前記反アンバランスマス側における前記アンバランスマス側よりに設定され、且つ前記反アンバランスマス側における前記アンバランスマス側に繋がる部分の両縁間の軸線方向長さが前記アンバランス側から離れるにつれて徐々に短く設定される
ことを特徴とするバランスシャフト。
【請求項10】請求項9に記載のバランスシャフトにおいて、
前記ジャーナルの外周面における前記潤滑通路の開口周りに必要なランド幅を確保すべく前記反アンバランスマス側における前記アンバランスマス側に繋がる部分の軸線方向両縁が形成される
ことを特徴とするバランスシャフト。
【請求項11】請求項8または10に記載のバランスシャフトにおいて、
前記ランド幅が前記ジャーナルと前記軸受との間からの潤滑油のリーク量を許容値未満に維持する値に設定される
ことを特徴とするバランスシャフト。
【請求項12】請求項1?11のいずれか一項に記載のバランスシャフトにおいて、
前記ジャーナルの外周面に前記潤滑通路の開口から回転方向後側に延びる案内溝が形成される
ことを特徴とするバランスシャフト。」に補正された。
上記補正は、請求項1についてみると、本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「前記径方向断面においての潤滑通路の開口位置は、前記ジャーナルの回転中に前記ジャーナルと前記軸受との間の圧力が最も高くなる部分よりも回転方向前側であって、前記第2外周面における前記第1外周面と前記第2外周面との境界付近及び前記第1外周面と前記第2外周面との境界及び前記第1外周面のいずれかに設定されている」という事項を「前記径方向断面においての潤滑通路の開口位置は、前記ジャーナルの回転中に前記ジャーナルと前記軸受との間の圧力が最も高くなる部分よりも回転方向前側であって、前記第2外周面における前記第1外周面と前記第2外周面との境界付近及び前記第1外周面と前記第2外周面との境界のいずれかに設定されている」という事項に減縮するものであって、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明1」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。
(2)引用例
(2-1)引用例1
実願昭55-179737号(実開昭57-102743号)のマイクロフィルム(以下、「引用例1」という。)には、下記の事項が図面とともに記載されている。
(あ)「この種のバランサ軸は、クランク軸に平行してエンジンのシリンダブロックに軸受けされると共に、ベルト等を介してクランク軸により駆動されており、ここで、バランサ軸の形状の従来例につき、第1図ないし第4図を参照して説明する。
図示バランサ軸は、第1図左半部の直軸部1と、同図右半部の偏心軸部2とが一体に成形された軸であって、以下の説明では、第1図の左方(右方)を前方(後方)と呼ぶ。
しかして、直軸部1の前端と、偏心軸部2の中央の夫々には、前方のジャナル部3と後方のジャーナル部4とが形成されて、両ジャーナル部3、4は、シリンダブロックに成形された前後2箇所の軸受部5、6に軸受けされており、かつ軸線中心軸上に穿設された油通路7は、バランサ軸の前端に開口すると共に、ジャーナル部3の1直径上の周面と、ジャーナル部4の1半径上の周面とに開口し、これにより、各ジャーナル部3、4の周面が潤滑されている。
ところで、このバランサ軸が回動している間は、偏心軸部4に遠心応力が発生しているとから、例えば軸受部6の軸受面とジャーナル部4の摺接周面との間のジャーナルクリアランスが60μ付近に採られた場合では、偏心側のジャーナル周面と軸受面との間の油膜厚は、10?30μ程度に薄く、一方、偏心方向と反対側の周面と軸受面との間の油膜厚は、50?100μに厚くなっていて、これに付随し、第3図の油圧特性線P(油圧0の基線A-Aからかの放射長で圧力値が示されているグラフ)に示すように、偏心側の油膜には、かなり高い(例えば、800kg/cm^(2))内圧が発生している。」(明細書第1頁第17行?第3頁第8行。なお、「第1図」等の「第」は原文では略字体である。)
以上の記載事項及び図面からみて、引用例1には、次の発明(以下、「引用例1発明」という。)が記載されているものと認められる。
「軸受部6により回転可能に支持される後方のジャーナル部4を備え、軸受部6とジャーナル部4との間に潤滑油を供給する油通路7が前記ジャーナル部4内に形成されているバランサ軸において、
バランサ軸は直軸部1と偏心軸部2とが一体に成形された軸であって、油通路7はジャーナル部4の1半径上の周面であって、偏心軸部2が設けられていない側の周面に開口しているバランサ軸。」
(3)対比
本願補正発明1と引用例1発明とを比較すると、後者の「軸受部6」は前者の「軸受」に相当し、同様に、「後方のジャーナル部6」は「ジャーナル」に、「油通路7」は「潤滑通路」に、「バランサ軸」は「バランスシャフト」にそれぞれ相当する。
したがって、本願補正発明1の用語に倣って整理すると、両者は、
「軸受により回転可能に支持されるジャーナルを備え、前記軸受と前記ジャーナルとの間に潤滑油を供給する潤滑通路が前記ジャーナル内に形成されているバランスシャフト。」である点で一致し、以下の点で相違している。
[相違点1]
本願補正発明1は、「潤滑通路の開口部」に関して、
「前記潤滑通路の開口部を通過するジャーナルの径方向断面においての同ジャーナルの外周面について、アンバランスマスが設けられているアンバランスマス側の面を第1外周面とし、アンバランスマスが設けられていない反アンバランスマス側の面を第2外周面として、
前記径方向断面においての潤滑通路の開口位置は、前記ジャーナルの回転中に前記ジャーナルと前記軸受との間の圧力が最も高くなる部分よりも回転方向前側であって、前記第2外周面における前記第1外周面と前記第2外周面との境界付近及び前記第1外周面と前記第2外周面との境界のいずれかに設定されている」という事項を具備しているのに対して、
引用例1発明は、「油通路7」の開口部に関して、
「バランサ軸は直軸部1と偏心軸部2とが一体に成形された軸であって、油通路7はジャーナル部4の1半径上の周面であって、偏心軸部2が設けられていない側の周面に開口している」という事項を具備している点。
(4)判断
[相違点1]について
引用例1の第1?3図には、
「前記潤滑通路の開口部を通過するジャーナルの径方向断面においての同ジャーナルの外周面について、アンバランスマスが設けられているアンバランスマス側の面を第1外周面とし、アンバランスマスが設けられていない反アンバランスマス側の面を第2外周面として、
前記径方向断面においての潤滑通路の開口位置」は、「前記第2外周面」に「設定されている」という事項が示されており、したがって、引用例1発明はこのような事項を実質的に具備しているということができる。
次に、引用例1発明の油通路7は軸受部6とジャーナル部4との間に潤滑油を供給するものであるから、油通路7の開口部から吐出する潤滑油が、引用例1の第3図に示されている、ジャーナル部4の回転中にジャーナル部4と軸受部6との間の圧力が最も高くなる部分に適切に供給されるように油通路7の開口部を配置すべきことは当業者に明らかである。その位置は、本願の明細書の段落【0051】にも「なお、上記実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。・開口部10aの形成位置をジャーナル6bの外周面の周方向に適宜変更してもよい。この場合、潤滑通路10の開口部10aから吐出される潤滑油の吐出圧力に応じて、開口部10aの形成位置を変更することが好ましい。」と記載されているように、油通路7の開口部における吐出圧、開口部の形状、ジャーナル部4の径寸法、ランド幅、ジャーナル部4の回転数等に応じて、引用例1の第3図に図示された状態においてもジャーナル部4と軸受部6との間の圧力が最も高くなる部分に適切に供給されるように適宜設定されるべきことは明らかである。そして、とくに「前記第1外周面と前記第2外周面との境界付近」と限定したことに、上記に列挙した油通路7の開口部における吐出圧等によらない普遍的な格別の技術的意義があるとは認められないことを勘案すると、例えば「前記ジャーナルの回転中に前記ジャーナルと前記軸受との間の圧力が最も高くなる部分よりも回転方向前側であって、前記第2外周面における前記第1外周面と前記第2外周面との境界付近」に設定することは、上記のような適宜の設計として当業者が容易に想到し得たものと認められる。
そして、本願補正発明1の作用効果は、引用例1に記載された発明に基づいて当業者が予測し得た程度のものである。

なお、請求人は平成21年4月6日付け回答書において、本願の請求項1の「圧力が最も高くなる」という事項に関して「当該バランスシャフトの重心が最も下方に位置するときに」という事項を付加し、また、同じく「前記第2外周面における前記第1外周面と前記第2外周面との境界付近」という事項を「前記第1外周面と前記第2外周面との境界よりも所定量だけ回転方向前方側、且つ前記軸受間圧力が前記吐出圧力よりも小さくなる前記第2外周面上の部位」という事項に減縮する等の補正をする準備がある旨を説明しているが、その補正は概ね本願補正発明1の記載事項を明確にするための補正であって、それによって上述の相違点の認定及びその判断に格別の変更をきたすものではない。

したがって、本願補正発明1は、引用例1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
(5)むすび
本願補正発明1について以上のとおりであるから、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定違反するものであり、本件補正における他の補正事項を検討するまでもなく、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明
平成20年7月31日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?12に係る発明(以下、「本願発明1」?「本願発明12」という。)は、平成19年10月1日付け手続補正により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?12に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「【請求項1】軸受により回転可能に支持されるジャーナルを備え、前記軸受と前記ジャーナルとの間に潤滑油を供給する潤滑通路が前記ジャーナル内に形成されているバランスシャフトにおいて、
前記潤滑通路の開口部を通過するジャーナルの径方向断面においての同ジャーナルの外周面について、アンバランスマスが設けられているアンバランスマス側の面を第1外周面とし、アンバランスマスが設けられていない反アンバランスマス側の面を第2外周面として、
前記径方向断面においての潤滑通路の開口位置は、前記ジャーナルの回転中に前記ジャーナルと前記軸受との間の圧力が最も高くなる部分よりも回転方向前側であって、前記第2外周面における前記第1外周面と前記第2外周面との境界付近及び前記第1外周面と前記第2外周面との境界及び前記第1外周面のいずれかに設定されている
ことを特徴とするバランスシャフト。
【請求項2】請求項1に記載のバランスシャフトにおいて、
前記圧力が最も高くなる部分を高圧部とし、この高圧部の回転方向前側に位置して前記ジャーナルと前記軸受との間の圧力が前記潤滑通路の圧力よりも大きくなる領域を第1領域とし、この第1領域の回転方向前側に位置して前記ジャーナルと前記軸受との圧力が前記潤滑通路の圧力よりも小さくなる領域を第2領域として、
前記第1外周面においての前記潤滑通路の開口位置は、前記第2領域に設定されるものである
ことを特徴とするバランスシャフト。
【請求項3】軸受により回転可能に支持されるジャーナルを備え、前記軸受と前記ジャーナルとの間に潤滑油を供給する潤滑通路が前記ジャーナル内に形成されているバランスシャフトにおいて、
前記ジャーナルの回転中に前記ジャーナルと前記軸受との間の圧力である軸受間圧力が最も高くなる部分を高圧部とし、この高圧部の回転方向前側に位置して前記軸受間圧力が前記潤滑通路の圧力である通路圧力よりも大きくなる領域を第1領域とし、この第1領域の回転方向前側に位置して前記軸受間圧力が前記通路圧力よりも小さくなる領域を第2領域として、
前記ジャーナルの外周面においての前記潤滑通路の開口位置が前記第2領域においての前記第1領域と前記第2領域との境界付近に設定される
ことを特徴とするバランスシャフト。
【請求項4】請求項1?3のいずれか一項に記載のバランスシャフトにおいて、
前記潤滑通路の開口位置は、前記ジャーナルの外周面における軸線方向中央に設定されている
ことを特徴とするバランスシャフト。
【請求項5】請求項1?4のいずれか一項に記載のバランスシャフトにおいて、
前記潤滑通路が前記ジャーナルの外周面の一箇所のみにて開口している
ことを特徴とするバランスシャフト。
【請求項6】請求項1?5のいずれか一項に記載のバランスシャフトにおいて、
前記ジャーナルのアンバランスマス側と反対側に位置する反アンバランスマス側の軸線方向長さが前記アンバランスマス側の軸線方向長さよりも短く設定され、且つ前記潤滑通路の開口位置が前記ジャーナルの外周面における前記アンバランスマス側に設定されている
ことを特徴とするバランスシャフト。
【請求項7】請求項6に記載のバランスシャフトにおいて、
前記ジャーナルの外周面における前記アンバランスマス側から前記反アンバランスマス側へと繋がる部分の両縁間の軸線方向長さが前記反アンバランス側に向かうにつれて徐々に短く設定される
ことを特徴とするバランスシャフト。
【請求項8】請求項7に記載のバランスシャフトにおいて、
前記潤滑通路の開口位置が前記アンバランスマス側における前記反アンバランスマス側よりに設定され、且つ前記ジャーナルの外周面における前記潤滑通路の開口周りに必要なランド幅を確保すべく前記アンバランスマス側から前記反アンバランスマス側へと繋がる部分の軸線方向両縁が形成される
ことを特徴とするバランスシャフト。
【請求項9】請求項1?5のいずれか一項に記載のバランスシャフトにおいて、
前記ジャーナルのアンバランスマス側と反対側に位置する反アンバランスマス側の軸線方向長さが前記アンバランスマス側の軸線方向長さよりも短く設定され、且つ前記潤滑通路の開口位置が前記ジャーナルの外周面の前記反アンバランスマス側における前記アンバランスマス側よりに設定され、且つ前記反アンバランスマス側における前記アンバランスマス側に繋がる部分の両縁間の軸線方向長さが前記アンバランス側から離れるにつれて徐々に短く設定される
ことを特徴とするバランスシャフト。
【請求項10】請求項9に記載のバランスシャフトにおいて、
前記ジャーナルの外周面における前記潤滑通路の開口周りに必要なランド幅を確保すべく前記反アンバランスマス側における前記アンバランスマス側に繋がる部分の軸線方向両縁が形成される
ことを特徴とするバランスシャフト。
【請求項11】請求項8または10に記載のバランスシャフトにおいて、
前記ランド幅が前記ジャーナルと前記軸受との間からの潤滑油のリーク量を許容値未満に維持する値に設定される
ことを特徴とするバランスシャフト。
【請求項12】請求項1?11のいずれか一項に記載のバランスシャフトにおいて、
前記ジャーナルの外周面に前記潤滑通路の開口から回転方向後側に延びる案内溝が形成される
ことを特徴とするバランスシャフト。」

3-1.本願発明1について
(1)本願発明1
上記のとおりである。
(2)引用例
引用例1、及びその記載事項は上記2.に記載したとおりである。
(3)対比・判断
本願発明1と引用例1発明とを比較すると、本願発明1は実質的に、上記2.で検討した本願補正発明1の「前記径方向断面においての潤滑通路の開口位置は、前記ジャーナルの回転中に前記ジャーナルと前記軸受との間の圧力が最も高くなる部分よりも回転方向前側であって、前記第2外周面における前記第1外周面と前記第2外周面との境界付近及び前記第1外周面と前記第2外周面との境界のいずれかに設定されている」という事項を「前記径方向断面においての潤滑通路の開口位置は、前記ジャーナルの回転中に前記ジャーナルと前記軸受との間の圧力が最も高くなる部分よりも回転方向前側であって、前記第2外周面における前記第1外周面と前記第2外周面との境界付近及び前記第1外周面と前記第2外周面との境界及び前記第1外周面のいずれかに設定されている」という事項に拡張するものに相当する。
そうすると、本願発明1の構成要件をすべて含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明1が、上記2.に記載したとおり、引用例1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明1も、同様の理由により、引用例1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(4)むすび
以上のとおり、本願発明1は引用例1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に基づいて特許を受けることができない。
そして、本願発明1が特許を受けることができないものである以上、本願発明2?12について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-05-20 
結審通知日 2009-05-26 
審決日 2009-06-08 
出願番号 特願2002-252760(P2002-252760)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (F16F)
P 1 8・ 121- Z (F16F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 戸田 耕太郎間中 耕治  
特許庁審判長 山岸 利治
特許庁審判官 藤村 聖子
川上 益喜
発明の名称 バランスシャフト  
代理人 恩田 博宣  
代理人 恩田 誠  
代理人 恩田 誠  
代理人 恩田 博宣  

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