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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1202397
審判番号 不服2008-1797  
総通号数 118 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-10-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-01-23 
確定日 2009-08-13 
事件の表示 特願2006- 33006「照明装置付きの遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 7月13日出願公開、特開2006-181372〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
1.手続の経緯

本願は平成11年1月28日(以下、「本願出願日」という。)に出願された特願平11-19680号の一部を特許法44条1項の規定により新たな特許出願としたものであって、平成19年12月17日付けで拒絶の査定がされたため、これを不服として平成20年1月23日付けで本件審判請求がされたものである。
当審においてこれを審理した結果、平成21年3月23日付けで拒絶理由を通知したところ、平成21年5月29日付けで意見書と手続補正書が提出された。


2.本願発明の認定

本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成21年5月29日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の【請求項1】に記載された、次のとおりのものと認める。

「周面に複数のシンボルが付与されたリールが複数個並設されたリール装置と、各リールのシンボルが視認できるようにリール表示窓が設けられたパネルと、前記リール装置の前方であって前記パネルの背面側に配備され機体の前面側に向かう面状の照明光を発光する照明装置とを具備する遊技機であって、
前記照明装置は、透光性部材により構成され背面には反射手段としての拡散パターンがドット印刷された平板状の導光体と、前記導光体の背面側に設けられる反射シートと、前記導光体の前面側に導光板の前面に密着させて配置される拡散シートと、前記導光体の上下の端縁に沿ってそれぞれ配備される一対の冷陰極ランプとを具備し、
前記導光体の背面の拡散パターンは、各リールの所定位置に対向する矩形の部分を除く領域に形成され、拡散パターンが形成されていない導光体の前記矩形の部分は板厚方向に透明な矩形領域を構成しており、
前記反射シートおよび拡散シートの前記導光体の矩形領域に対応する部分は矩形状の切り欠き穴がそれぞれ形成され、これらの切り欠き穴、導光体の前記矩形領域に対応する透明の板厚部分、およびパネルのリール表示窓を介して、前記各リールの所定位置のシンボルを機体外部の前面側から視認できるように構成されている照明装置付きの遊技機。」


3.引用刊行物に記載される事項の認定

本願出願日より前に頒布された刊行物であり、当審の拒絶の理由に引用した特開平7-124290号公報(以下、「引用例1」という。)には、次の記載がされている。

ア.「図1?9は、本発明の一実施例を示すものであり、図1はセンターパネルの要部断面図、図2はスロットマシンの概略正面図、図3?9は液晶パネルの各種表示状態を示す説明図をそれぞれ示す。図2中、10はスロットマシンを示し、このスロットマシン10は、前扉の表面にフロントパネル20を設けている。そして、このフロントパネル20の高さの途中には、センターパネル21を設けている。上記センターパネル21のほぼ中央には、図2に示すように、3個の表示窓22?24を横並びに形成している。各表示窓22?24の内部には、各回転リール30?32の表面をそれぞれ臨ませている。そして、各表示窓22?24には、回転リール30?32を回転させることにより、上下方向に3個のシンボルマークを所定間隔で高速で移動表示させることができる。」(段落【0015】-【0016】)
イ.「前記センターパネル21の裏側には、図1に示すように、液晶表示装置を構成する液晶パネル40が、センターパネル21の裏面のほぼ全体にわたって配置されている。・・・・・前記液晶パネル40の裏側には、図1に示すように、液晶パネル40をその裏側から照明するためのバックライトユニット50が配置されている。」(段落【0018】-【0019】)
ウ.「上記バックライトユニット50は、図1に示すように、各表示窓22?24の位置を除き、液晶パネル40の裏面のほぼ全体にわたって配置された面発光板51と、この乱反射板51の端面に配置された蛍光灯52とから構成されている。なお、面発光板51を、各表示窓22?24の位置を除いて配置したことから、液晶パネル40の透光状態では、スロットマシン10の内部に配置された各回転リール30?32のシンボルマークを、センターパネル21を透してスロットマシン10の前面より見ることができる。」(段落【0020】)
エ.「つぎに、スロットマシン10の前面の図2に示すメダル投入口11からのメダルの投入、或いはクレジットメダル投入スイッチ16のスイッチ操作により、1枚のメダルを投入すると、図4に示すように、各表示窓22?24の箇所の液晶が透光状態となる。このため、センターパネル21の前面より、内部の各回転リール30?32のシンボルマークを見ることができる。」(段落【0023】)
オ.【図1】の図示を【図2】と併せて見れば、「面発光板51」の上下の端面に、それぞれ「蛍光灯52」が配置されており、「バックライトユニット50」は「各回転リール30?32」より前方に配置されている。


4.引用例1に記載される発明の認定

記載事項ア.にあるとおり、引用例1は「スロットマシン10」に関する。この「スロットマシン10」は「センターパネル21」を備え、該「センターパネル21」のほぼ中央には「3個の表示窓22?24」が形成されている。「各表示窓22?24」の内部には、「各回転リール30?32」の表面が臨んでおり、上下方向に3個の「シンボルマーク」が移動表示される。
記載事項イ.によると、「センターパネル21」の裏面には「液晶パネル40」が配置され、「液晶パネル40」の裏側には「バックライトユニット50」が配置されている。
記載事項ウ.によると、「バックライトユニット50」は「面発光板51」を備えており、「面発光板51」は「乱反射板51」として機能し、その端面には「蛍光灯52」が配置されている。「乱反射板51」として機能する「面発光板51」は、「各表示窓22?24」の位置には設けられていない。そのため、記載事項エ.にあるように、各表示窓22?24の箇所の液晶が透光状態となると、センターパネル21を透して、スロットマシン10の前面から、各回転リール30?32のシンボルマークを見ることができる。
記載事項オ.によると、「蛍光灯52」は「面発光板51」の上下の端面にそれぞれ配置されている。

以上をまとめると、引用例1には、

「表面に上下方向各3個のシンボルマークが視認可能に移動表示される各回転リール30?32と、ほぼ中央に3個の表示窓22?24が形成されたセンターパネル21と、センターパネル21の裏面の液晶パネル40の裏側で、各回転リール30?32より前方に配置された、バックライトユニット50とを備え、
バックライトユニット50は、乱反射板として機能する面発光板51と、面発光板51の上下の端面にそれぞれ配置された蛍光灯52とを備え、乱反射板として機能する面発光板51は各表示窓22?24の位置には設けられておらず、
各表示窓22?24の箇所の液晶が透光状態となると、センターパネル21を透して、各回転リール30?32のシンボルマークを、スロットマシン10の前面から見ることができる、
スロットマシン10。」

なる発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されている。


5.本願発明と引用発明1の一致点及び相違点の認定

引用発明1における「スロットマシン10」は、本願発明における「遊技機」に相当する。
引用発明1の「各回転リール30?32」は、それぞれが本願発明における「リール」に相当し、全体としては、本願発明における「リールが複数個並設されたリール装置」に相当する。また、引用発明1における「各回転リール30?32」の「シンボルマーク」は、本願発明における「シンボル」に相当し、引用発明1において「表面に上下方向各3個のシンボルマークが視認可能に移動表示される」からには、各回転リール30?32の周面には複数のシンボルマークが付与されている。すなわち、「周面に複数のシンボルが付与されたリールが複数個並説されたリール装置」を備えることは、引用発明1と本願発明との一致点である。
引用発明1における「センターパネル21」は、本願発明における「パネル」に相当し、引用発明1において「センターパネル21」に形成された「表示窓22?24」は、本願発明において「パネル」に設けられた「リール表示窓」に相当する。また、引用発明1において「表示窓22?24」部分の「センターパネル21」は、そこを透して各回転リール上のシンボルマークを見ることができるのであるから、本願発明が「パネル」について、「各リールのシンボルが視認できるようにリール表示窓が設けられた」としている点も、引用発明1と本願発明との一致点である。
引用発明1において、「センターパネル21の裏側の液晶パネル40の裏側」は、本願発明にいう「パネルの背面側」に相当し、引用発明1における「各回転リール30?32より前方」は本願発明における「リール装置の前方」に相当する。そして、そこに配置された引用発明1の「バックライトユニット50」は、本願発明における「照明装置」に相当する。また、引用発明1の「バックライトユニット50」は、「面発光板51」の記載及び前述の配置からして、面状の照明光をスロットマシン10の前面側に発することが明らかである。すなわち、「前記リール装置の前方であって前記パネルの背面側に配備され機体の前面側に向かう面状の照明光を発光する照明装置」を備えることは、引用発明1と本願発明との一致点である。
引用発明1における「面発光板51」は、「乱反射板51」とも記載されていることから、光の拡散機能を付与されていることが明らかであり、また、上下端の「蛍光灯52」の光を前方に面的に照射する以上は、上下端で与えられた光を導光する機能を付与されていることも明らかである。そのため、引用発明1における「面発光板51」と、本願発明における「透光性部材により構成され背面には反射手段としての拡散パターンがドット印刷された平板状の導光体と、前記導光体の背面側に設けられる反射シートと、前記導光体の前面側に導光板の前面に密着させて配置される拡散シート」からなる複合部材とは、少なくとも「導光機能と拡散機能とを含む板状部材」という限度において一致する。
引用発明1における「蛍光灯52」と、本願発明における「冷陰極ランプ」とは、「ランプ」である点で一致する。また、引用発明1における「蛍光灯52」は「上下」で一対であるとともに、「面発光板51」を面的に発光させるからには、本願発明と同様「端縁に沿って」配備されていることが明らかである。そのため、引用発明1と本願発明とは、「上下の端縁に沿ってそれぞれ配備される一対のランプ」を備える点でも一致する。
引用発明1における「各表示窓22?24の位置」は、本願発明における「各リールの所定位置に対向する部分」に相当し、その箇所において「面発光板51」がリールシンボルの視認を妨げないことも、引用発明1と本願発明との一致点である。

以上をまとめると、引用発明1と本願発明とは、

「周面に複数のシンボルが付与されたリールが複数個並設されたリール装置と、各リールのシンボルが視認できるようにリール表示窓が設けられたパネルと、前記リール装置の前方であって前記パネルの背面側に配備され機体の前面側に向かう面状の照明光を発光する照明装置とを具備する遊技機であって、
前記照明装置は、導光機能と拡散機能とを含む板状部材と、該板状部材の上下の端縁に沿ってそれぞれ配備される一対のランプとを具備し、
該板状部材は、各リールの所定位置に対向する部分において、各リールの所定位置のシンボルの視認を妨げないように構成されている、照明装置付きの遊技機。」

である点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点1>
本願発明が、「透光性部材により構成され背面には反射手段としての拡散パターンがドット印刷された平板状の導光体と、前記導光体の背面側に設けられる反射シートと、前記導光体の前面側に導光板の前面に密着させて配置される拡散シート」を有するのに対して、引用発明1ではそうなっていない点。

<相違点2>
本願発明が「ランプ」として「冷陰極ランプ」を用いるのに対して、引用発明1ではそうなっていない点。

<相違点3>
面状の照明光を発光する部材がリールシンボルの視認を妨げないための構成として、本願発明は「導光体の背面の拡散パターン」を「各リールの所定位置に対向する矩形の部分を除く領域に形成」し、「拡散パターンが形成されていない導光体の前記矩形の部分は板厚方向に透明な矩形領域」とするとともに、「前記反射シートおよび拡散シートの前記導光体の矩形領域に対応する部分」にも「矩形状の切り欠き穴」をそれぞれ形成することで、「これらの切り欠き穴、導光体の前記矩形領域に対応する透明の板厚部分、およびパネルのリール表示窓を介して、前記各リールの所定位置のシンボルを機体外部の前面側から視認できるように」しているのに対して、引用発明1ではそうなっていない点。

<相違点4>
本願発明においては、各リールの所定位置のシンボルの視認を、場合によって許したり妨げたりする部材の有無について特定がないことから、そのような部材の有無は問わず、シンボルを視認させることができれば、視認させない場合があってもよいという趣旨(以下、「解釈1」という。)、あるいは、そのような部材は存在せず、シンボルは常に視認できるという趣旨(以下、「解釈2」という。)の、いずれとも解し得る。
これに対して、引用発明1では、「各表示窓22?24の箇所」の液晶を透光状態とすればシンボルマークが視認可能となる一方、非透光状態とすれば視認させない状態も実現できる。そのため、解釈1であればこの点は相違点とならないが、解釈2であれば、本願発明ではシンボルの視認が常にできるのに対して、引用発明1ではそうではないことが、相違点となる。


6.相違点の判断及び本願発明の進歩性

(1)相違点1について
当審の拒絶の理由に引用した特開平6-67027号公報(以下、「引用例2」という。)には、以下の記載がある。
い.「【従来の技術】図7及び図8に、従来の面照明装置を説明するための図を示す。
」(段落【0003】)
ろ.「一方、図8(A)に示す面照明装置11B は、いわゆるエッジライト型と称されるもので、側部両端に光源(蛍光管)16a,16bが配置された導光板17の一方面上に拡散板18が設けられ、他方面上に反射板19が設けられる。そして、蛍光管16a,16bの外周にリフレクタ20a,20bが設けられたものである。
導光板17の反射板19に対向する面には、図8(B)に示すように、拡散反射特性を有する印刷点19aが所定パターンで網点状に形成された印刷膜が形成されている。所定パターンの印刷点19aは、導光板17内部を伝播する光を外部へ出射させる機能を果たすものであり、蛍光管16a,16bより離れる程単位面積における印刷点19aの面積が増大するように形成される。
このような面照明装置11B は、蛍光管16a,16bからの光が、リフレクタ20a,20bによって、導光板17の側面に略集光されて入射し、導光板17内を全反射によって伝播する。このとき、導光板17の他方面で印刷点19aに当たる光が拡散反射されて導光板17の外部に出射する。
すなわち、導光板17の印刷面における単位面積当たりの印刷点19aの面積を、蛍光管16a,16bからの距離に応じて適宜設定することにより、拡散板18の出射面上で輝度を均一にすることができるものである。」(段落【0007】-【0010】)

これらの記載事項から、引用例2には、
「側部両端に光源(蛍光管)16a、16bを配置した導光板17の一方面上に拡散板18を設け、該導光板の他方面側に拡散反射特性を有する印刷点19aを所定パターンで設け、導光板17の印刷点19aを有する側には反射板19を設けて、
光源16a、16bからの光を、導光板17内を全反射によって伝播させつつ、印刷点19aに当たる光が拡散反射されて導光板17の外部に出射し、拡散板18から輝度を均一とした光が出射されるようにした、
いわゆるエッジライト型と称される従来の面照明装置11B」
なる技術(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認めることができる。

ここで、引用発明1の「面発光板51」は、その構成の細部がどうなっているか明らかではないが、端部の光源からの光を前方に面的な光として放出するための具体構成として、先に示した引用発明2のものが「いわゆるエッジライト型と称される従来の」技術として知られている以上、そのように知られた従来技術たる引用発明2の構造を採用することは想到容易と言わざるを得ない。
その際、「導光板17」である以上、透光性部材であることは当然であるが、拡散・乱反射の機能が「印刷点19a」の「パターン」及び「拡散板18」に担われていることを勘案すれば、透光性がきわめて高い透光性部材を用いることは当然である。また、「拡散板18」及び「反射板19」をシートで形成することは、それぞれの担う機能の単純さからしても設計事項と言わざるを得ず、シートとした拡散板を導光板に密着させて配置させることも、設計事項と言わざるを得ない。
すなわち、引用発明1を出発点として、引用発明2の「いわゆるエッジライト型」として知られる従来の面発光装置の構造を知る者であれば、当該従来技術の構造を採用して、相違点1に係る本願発明の構成を得ることは容易である。

(2)相違点2について
引用例2にも「光源(蛍光管)16a、16b」と記載される如く、面発光装置の一次光源として蛍光管は例示に過ぎず、適宜の公知の光源が使用可能であることは明らかであるから、引用発明1において引用発明2の従来の面発光装置の構造を採用するに際して、公知の光源の一つである「冷陰極ランプ」を用いることは、適宜設計的になし得た事項である。なお、「冷陰極ランプ」が公知の光源の一つであることについては、証拠を示すまでもない。

(3)相違点3について
引用発明1においても、「面発光板51」がリールシンボルの視認を妨げないようにされているところ、相違点1について検討した如く、面発光装置の具体構造として引用例2にも示される従来技術の構造を採用する場合には、「導光板17」自体は透光性を有するとともに、光を前方に出射する機能は「印刷点19a」、「拡散板18」、「反射板19」によって担われており、これら「印刷点19a」、「拡散板18」、「反射板19」がリールを視認するための透光を妨げることが明らかである。
そして、照明用の光を内部伝播する板状の透光性部材において、拡散反射部等の加工部を設けなければ、その透光性のゆえに背後の物体が前方から視認できることは、たとえば当審が拒絶の理由で示した特開平10-334717号公報の【図3】にも示される如く、明らかである。
そうであれば、引用発明1を出発点として、先に検討したとおり相違点1に係る本願発明の構成を採用する場合、各表示窓22?24の位置において、「導光板17」他の部材を全て除去するよりは、単にシート状とした「拡散板18」及び「反射板19」を矩形状に切り取り、当該箇所についてのみ「導光板17」に対する「印刷点19a」の形成を省略することで板厚方向に透明な矩形領域を形成して、視認性を確保することは、加工の手間という一般的な事項に配慮する当業者であれば、想到容易と言わざるを得ない。
すなわち、シート状とした「拡散板18」及び「反射板19a」を矩形状に切り取るとともに、当該箇所において「導光板17」に対する「印刷点19a」の形成を省き、これらの切り欠き穴と導光板17の該矩形領域、及びセンターパネル21の各表示窓22?24を介して、リールのシンボルマークをスロットマシン10の前面から視認できるようにして、相違点3に係る本願発明の構成を得ることは、想到容易である。

(4)相違点4について
相違点4は、先に認定したように、解釈1であれば実際上は相違点とならず、解釈2であれば相違点として想到容易性の検討を要する。そこで、まずどちらの趣旨と解することが妥当であるのかを検討することとする。
本願の発明の詳細な説明を参酌すると、段落【0027】には「中央パネル1などの遊技装飾パネルはガラス又はアクリル樹脂を素材とし、リール表示窓1aを除き、背面側の印刷面1’に遊技内容に関する情報などの装飾印刷が施されている。・・・・これらの装飾は後方光源による照明光を透過させる程度の程度の厚さで印刷されている。図7に示すように、中央パネル1の印刷面1’側に拡散シート18を介して導光体11の前面11eを対向させて、照明装置10の面状発光により印刷面1’を照明する。」との記載がある。また、段落【0036】には、「なお、本発明による遊技機は、パネルの背面側に被照明対象が配置され、パネルの一部に形成された表示窓部をとおして被照明対象を見る構成を有するものに適用できる」との記載がある。
ここで、段落【0027】に記載される「照明光を透過させる程度」の「装飾印刷」という記載を重視すれば、引用発明1における「液晶パネル40」が透過型の可変表示を実現するのに対して、「装飾印刷」は透過型表示であっても固定的であるから、場所による透過の度合いも固定的であり、「リール窓部」については、シンボルが常に視認できることとなる。すなわち、解釈2が妥当と考えられる。一方で、段落【0036】にいう「パネルの背面側に被照明対象(当審注、ここではリールのこと)が配置され、パネルの一部に形成された表示窓をとおして被照明対象を見る構成」には、表示窓部分の「液晶パネル40」を透光状態としてリールを見る引用発明1も該当するから、この記載と特許請求の範囲における特定の不存在とを勘案すれば、解釈1が妥当と考えられる。
このように、発明の詳細な説明を参酌しても、本願発明が状態によってシンボルの視認が妨げられる場合を含むのか(すなわち解釈1)、含まないのか(すなわち解釈2)は、一義的に確定できないから、以下では両方の解釈の場合について、進歩性の評価に必要な検討を行う。
解釈1の場合、引用発明1が、表示窓部の液晶を非透光状態とすればシンボルの視認を妨げ得ることは、本願発明が包含する一態様となるから、相違点4は一応の相違点として挙げたが、実際上の相違点ではない。そのため、想到容易性の検討も不要となる。
次に、解釈2の場合について検討する。引用発明1の「液晶パネル40」は、液晶の状態によって表示内容を変更し得る透過型表示部材であるが、液晶は透光状態とした場合であっても光透過率がさほど高いものではないから、透光状態でリール上のシンボルが視認できるとしても、ゲーム中に回転するリール上の移動シンボルを視認可能とするだけの視認性を確保するには、相当の設計上の工夫を要することが、液晶について通常の知識を有する者が見れば明らかである。また、液晶パネルを用いれば可変型の透過表示を実現できるとはいえ、リールの前面にさらに液晶を設けることはコスト的には負担が大きいことも、遊技機分野における通常の知識を有する者が見れば、明白である。そうであれば、回転中のリールシンボルの十分な視認性とコストとを勘案し、パネルの装飾表示はフィルム貼り付けや印刷等、従来からありふれた固定的なものとすることを選択するとともに、装飾表示を照明する面状光源については相違点1乃至3で検討した構成を維持して、各表示窓22?24の部分のリールを常に視認できるようにすることは、引用発明1が用いる液晶、及び引用発明1が属する遊技機の両分野について通常の知識を有する者であれば、想到容易である。
すなわち、相違点4は実際上の相違点ではないか、相違点としても、当該相違点に係る本願発明の構成を得ることは想到容易なものである。

(5)本願発明の進歩性
以上のとおり、相違点1-4に係る本願発明の構成は、いずれも、引用発明1を出発点として当業者が容易に想到できたか、あるいは実際上の相違点ではないものであり、また、そのようにして本願発明の構成を採用したことによる効果も、格別のものとは認められない。

したがって、本願発明は引用発明1、引用発明2、及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


7.むすび

本願発明が特許を受けることができない以上、本願のその余の請求項に係る発明について検討することを要さず、本願は拒絶を免れない。

よって、結論のとおり審決する。

 
審理終結日 2009-06-12 
結審通知日 2009-06-16 
審決日 2009-06-29 
出願番号 特願2006-33006(P2006-33006)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 酒井 保  
特許庁審判長 伊藤 陽
特許庁審判官 有家 秀郎
森 雅之
発明の名称 照明装置付きの遊技機  
代理人 鈴木 由充  
代理人 新田 研太  
代理人 小石川 由紀乃  
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