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審決分類 審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない。 C07C
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 C07C
管理番号 1204224
審判番号 不服2008-1605  
総通号数 119 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-11-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-01-21 
確定日 2009-09-17 
事件の表示 平成7年特許願第61506号「脂肪族イミンの製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成7年10月9日出願公開、特開平7-258187〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成7年2月27日(パリ条約による優先権主張1994年3月3日、ドイツ)の出願であって、 以降の手続の経緯は以下のとおりのものである。

平成16年10月15日付け 拒絶理由通知書
平成17年4月25日 意見書・手続補正書
平成18年11月17日付け 拒絶理由通知書
平成19年5月28日 意見書
平成19年10月17日付け 拒絶査定
平成20年1月21日 審判請求書
平成20年2月20日 手続補正書・手続補正書(審判請求書)
平成20年3月21日付け 前置報告書
平成20年4月24日付け 審尋
平成20年10月29日 回答書

第2 平成20年2月20日付けの手続補正についての補正の却下の決定

〔補正の却下の決定の結論〕
平成20年2月20日付けの手続補正を却下する。

〔理由〕
1 本件補正
平成20年2月20日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、本件補正前の特許請求の範囲(平成17年4月25日付けの手続補正により補正されたもの)の
「【請求項1】 一般式(I)
【化1】

式中、R^(1)はベンジル、フェニルエチルまたはフェニルプロピルであり、これらの各々はフッ素、塩素、臭素、メチル、エチル、n-もしくはi-プロピル、n-、i-、s-もしくはt-ブチル、メトキシまたはエトキシにより随時置換されていてもよく、そして
R^(2)はメチル、エチル、n-プロピルまたは n-ブチルであり、これらの各々はフッ素、塩素、メトキシまたはエトキシにより随時置換されていてもよい、
の脂肪族イミンの製造方法であって、一般式(II)
R^(1)-NH_(2) (II)
式中、R^(1)は上記定義のとおりである、
のアミンを一般式(III)
【化2】

式中、R^(2)は上記定義のとおりである、
のアルデヒドと芳香族炭化水素からなる群より選ばれる有機溶媒の存在下、-30℃乃至15℃の温度において、該アミン対該アルデヒドのモル比が1:(0.95?1.05)で反応させ、蒸留によるさらなる精製をすることなく目的の脂肪族イミンを単離することを特徴とする製造方法。
【請求項2】 反応が5℃乃至15℃で実施される請求項1記載の方法。
【請求項3】 R^(2)がメチルまたはエチルである請求項1記載の方法。」

「【請求項1】 一般式(I)
【化1】

式中、R^(1)はベンジル、フェニルエチルまたはフェニルプロピルであり、これらの各々はフッ素、塩素、臭素、メチル、エチル、n-もしくは i-プロピル、 n-、 i-、 s- もしくはt-ブチル、メトキシまたはエトキシにより随時置換されていてもよく、そして
R^(2)はメチル、エチル、n-プロピルまたは n-ブチルであり、これらの各々はフッ素、塩素、メトキシまたはエトキシにより随時置換されていてもよい、
の脂肪族イミンの製造方法であって、一般式(II)
R^(1)-NH_(2) (II)
式中、R^(1)は上記定義のとおりである、
のアミンを一般式(III)
【化2】

式中、R^(2)は上記定義のとおりである、
のアルデヒドと芳香族炭化水素からなる群より選ばれる有機溶媒の存在下、-30℃乃至15℃の温度において、該アミン対該アルデヒドのモル比が1:(0.95?1.05)で反応させることを特徴とする上記の製造方法。
【請求項2】 反応が5℃乃至15℃で実施される請求項1記載の方法。
【請求項3】 R^(2)がメチルまたはエチルである請求項1記載の方法。」
とするものである。

2 補正の適否
(1)補正の目的の適否
上記補正により、補正前の【請求項1】に記載した発明を特定するために必要な事項(発明特定事項)である「蒸留によるさらなる精製をすることなく目的の脂肪族イミンを単離する」ことが削除されたが、これを削除することは、補正前には目的の脂肪族イミンを必ず単離していたのに対し、補正後には目的の脂肪族イミンを単離しない場合も包含することになり、すなわち、特許請求の範囲を拡張することとなるから、補正前の【請求項1】についての補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものとはいえない。
また、この補正は、請求項の削除、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明のいずれを目的とするものともいえない。
よって、この補正は、平成6年法律第116号改正附則第6条によりなお従前の例によるとされる同法による改正前(以下、「平成6年改正前」という。)の特許法第17条の2第3項の規定に違反するものである。

(2)請求人の主張について
請求人は、平成20年2月20日に提出した手続補正書(審判請求書)において、以下のように主張している。
「本書と同日付の平成20年2月20日付けで提出した手続補正書で以って、請求項1の記載から、上記で原審の審査官殿が、
「平成17年4月25日付けでした手続き補正は、「蒸留によるさらなる生成(当審注:精製の誤りと認められる)をすることなく目的の脂肪族イミンを単離する」という構成を付加するものである」
と説示されていることに鑑み、当該付加するものであるとご認定の構成を削除した。したがって、手続補正は、平成17年4月25日で補正する前の発明を減縮するものである。」
しかしながら、上述したように、本件補正前の特許請求の範囲は、平成17年4月25日付けの手続補正により補正されたものであり、請求人が主張する、「平成17年4月25日で補正する前の発明」、すなわち、願書に最初に添付した明細書の特許請求の範囲ではないから、請求人の主張は採用できないものである。

3 補正の却下の決定のむすび
以上のとおり、この補正は、平成6年改正前の特許法第17条の2第3項の規定に違反するので、その余のことを検討するまでもなく、この補正を含む本件補正は、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたから、この出願の発明は、平成17年4月25日付けの手続補正により補正された明細書(以下、「本願明細書」という。)の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?3に記載されたとおりのものであるところ、請求項1?3に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」、…「本願発明3」といい、併せて「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
【請求項1】「一般式(I)
【化1】

式中、R^(1)はベンジル、フェニルエチルまたはフェニルプロピルであり、これらの各々はフッ素、塩素、臭素、メチル、エチル、n-もしくはi-プロピル、n-、i-、s-もしくはt-ブチル、メトキシまたはエトキシにより随時置換されていてもよく、そして
R^(2)はメチル、エチル、n-プロピルまたは n-ブチルであり、これらの各々はフッ素、塩素、メトキシまたはエトキシにより随時置換されていてもよい、
の脂肪族イミンの製造方法であって、一般式(II)
R^(1)-NH_(2) (II)
式中、R^(1)は上記定義のとおりである、
のアミンを一般式(III)
【化2】

式中、R^(2)は上記定義のとおりである、
のアルデヒドと芳香族炭化水素からなる群より選ばれる有機溶媒の存在下、-30℃乃至15℃の温度において、該アミン対該アルデヒドのモル比が1:(0.95?1.05)で反応させ、蒸留によるさらなる精製をすることなく目的の脂肪族イミンを単離することを特徴とする製造方法。」
【請求項2】「反応が5℃乃至15℃で実施される請求項1記載の方法。」
【請求項3】「R^(2)がメチルまたはエチルである請求項1記載の方法。」

2 原査定の拒絶の理由
本願発明についての原査定の拒絶の理由の概要は、以下のとおりである。
「平成17年4月25日付けでした手続補正は、下記の点で願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第2項において準用する同法第17条第2項に規定する要件を満たしていない。

1.上記手続補正により、請求項1に「・・・、蒸留によるさらなる精製をすることなく目的の脂肪族イミンを単離する」という構成が付加されたが、本願の出願当初明細書には、蒸留により生成物であるイミンが単離できることは記載されているが、蒸留することなくイミンを単離する方法については記載も示唆もないし、当業者にとって自明の事項とも認められない。」

3 当審の判断
(1)平成17年4月25日付けの手続補正
平成17年4月25日付けの手続補正(以下、「本願補正」という。)は、本願補正前の特許請求の範囲(出願当初のもの)の
「【請求項1】 一般式(I)
【化1】

式中、R^(1)は各々随時置換されていてもよいアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリールアルキルまたはヘテロアリールアルキルであり、そして
R^(2)は随時置換されていてもよいアルキルである、
の脂肪族イミンを製造する際に、一般式(II)
R^(1)-NH_(2) (II)
式中、R^(1)は上記のものである、
のアミンを実質的に水に混和しない有機溶媒の存在下にて-30乃至50℃間の温度で一般式(III)
【化2】

式中、R^(2)は上記のものである、
のアルデヒドと反応させることを特徴とする、一般式(I)の脂肪族イミンの製造方法。」

「【請求項1】 一般式(I)
【化1】

式中、R^(1)はベンジル、フェニルエチルまたはフェニルプロピルであり、これらの各々はフッ素、塩素、臭素、メチル、エチル、n-もしくはi-プロピル、n-、i-、s-もしくはt-ブチル、メトキシまたはエトキシにより随時置換されていてもよく、そして
R^(2)はメチル、エチル、n-プロピルまたは n-ブチルであり、これらの各々はフッ素、塩素、メトキシまたはエトキシにより随時置換されていてもよい、
の脂肪族イミンの製造方法であって、一般式(II)
R^(1)-NH_(2) (II)
式中、R^(1)は上記定義のとおりである、
のアミンを一般式(III)
【化2】

式中、R^(2)は上記定義のとおりである、
のアルデヒドと芳香族炭化水素からなる群より選ばれる有機溶媒の存在下、-30℃乃至15℃の温度において、該アミン対該アルデヒドのモル比が1:(0.95?1.05)で反応させ、蒸留によるさらなる精製をすることなく目的の脂肪族イミンを単離することを特徴とする製造方法。」
とする補正(以下、「本願補正1」という。)を含むものである。

そして、上記本願補正1は、「蒸留によるさらなる精製をすることなく目的の脂肪族イミンを単離することを特徴とする」ものとする補正内容(以下、「本願補正1a」という。)を包含するものである。

(2)新規事項の追加について
まず、平成6年改正前の特許法第17条第2項は、「前項本文の規定により明細書又は図面について補正をするときは、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしなければならない」と規定されており、ここでいう「明細書又は図面に記載した事項」とは、当業者によって、明細書又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項であり、補正が、このようにして導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるときは、当該補正は、「明細書又は図面に記載した事項の範囲内において」するものということができる(知財高裁判決・平成18年(行ケ)第10563号)。

そこで、以上の点をかんがみ、「本願補正1」について検討する。
(ア)本願の願書に最初に添付した明細書(以下、「当初明細書」という。)の記載
当初明細書には、次の記載がある。
a「【請求項1】 一般式(I)
【化1】

式中、R^(1)は各々随時置換されていてもよいアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリールアルキルまたはヘテロアリールアルキルであり、そして
R^(2)は随時置換されていてもよいアルキルである、の脂肪族イミンを製造する際に、一般式(II)
R^(1)-NH_(2) (II)
式中、R^(1)は上記のものである、
のアミンを実質的に水に混和しない有機溶媒の存在下にて-30乃至50℃間の温度で一般式(III)
【化2】

式中、R^(2)は上記のものである、
のアルデヒドと反応させることを特徴とする、一般式(I)の脂肪族イミンの製造方法。」(【特許請求の範囲】)

b「本発明による方法の好適な具体例において、式(II)の出発物質を溶媒と混合し、そして式(III)の出発物質と滴下しながら加える。反応中に生じる水は第2の相として分別する。水の分離が完了した場合、有機相を分別する。微量の水は必要に応じて常法で除去し得る。」(【0023】)

c「式(I)の生成物は蒸留により単離できるが;更なる反応に対しては溶液中で用いることも有利であり得る。」(【0024】)

d「【実施例】
製造実施例(一般的記述):
式(III)のアルデヒド1モルをトルエン500ml中の式(II)のアミン1モルに滴下しながら加えた。次に混合物を水の分離が完了するまで5?15℃で放置した。次に有機相を分別し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして濾過した。
濾液は実際的に定量的な収率で式(I)の生成物を含み、そして更なる反応に対して直接用いることができた。」(【0026】?【0027】)

(イ)本願補正1aについて
当初明細書には、「一般式(I)…の脂肪族イミンを製造する際に、一般式(II)…のアミンを実質的に水に混和しない有機溶媒の存在下にて-30乃至50℃間の温度で一般式(III)…のアルデヒドと反応させることを特徴とする、一般式(I)の脂肪族イミンの製造方法」が記載されており(摘記a)、「本発明による方法の好適な具体例において、式(II)の出発物質を溶媒と混合し、そして式(III)の出発物質と滴下しながら加える。反応中に生じる水は第2の相として分別する。水の分離が完了した場合、有機相を分別する。微量の水は必要に応じて常法で除去し得る。」(摘記b)及び「式(I)の生成物は蒸留により単離できるが;更なる反応に対しては溶液中で用いることも有利であり得る。」(摘記c)との記載もされている。そして、実施例においては、「式(III)のアルデヒド1モルをトルエン500ml中の式(II)のアミン1モルに滴下しながら加えた。次に混合物を水の分離が完了するまで5?15℃で放置した。次に有機相を分別し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして濾過した。
濾液は実際的に定量的な収率で式(I)の生成物を含み、そして更なる反応に対して直接用いることができた。」(摘記d)と記載されている。
これらの記載によれば、「式(I)の生成物は蒸留により単離できる」こと及び「更なる反応に対しては溶液中で用いることも有利であり得る」ことが記載されているといえ、「更なる反応に対しては溶液中で用いる」ということは、溶媒中の式(II)のアミンに式(III)のアルデヒドを滴下した後、有機相を分別し、硫酸ナトリウム等で水を除去して得られる、式(I)の生成物を含むものを、そのまま更なる反応に用いるということであるといえるから、当初明細書には、式(I)の生成物を蒸留により単離する製造方法及び式(II)のアミンに式(III)のアルデヒドを滴下した後、有機相を分別し、硫酸ナトリウム等で水を除去して得られる、式(I)の生成物を含むものとする製造方法が記載されているといえる。
ここで、本願補正1aの「単離」なる用語について検討すると、「単離」とは、「反応が終わったのち,反応混合物の中から目的の化合物を取り出すこと.未反応原料,副生成物,残った試剤などを除いて,目的の生成物を分離したのち,精製して目的物を得る.」(「標準化学用語辞典、社団法人 日本化学会編、平成3年3月30日発行)、または「混合物の中から一つの元素あるいは一つの化合物を,純粋な物質として分離して取り出すことをいう.」(「化学大辞典5 縮刷版」、化学大辞典編集委員会編、1989年8月15日発行)と定義されている。これらの定義をかんがみると、「単離」とは、混合物の中から目的の化合物を分離して得ることであるといえる。
しかしながら、上述のように、当初明細書には、「更なる反応に対しては溶液中で用いる」こと、すなわち、溶媒中の式(II)のアミンに式(III)のアルデヒドを滴下した後、有機相を分別し、硫酸ナトリウム等で水を除去して得られる、式(I)の生成物を含むものを、そのまま更なる反応に用いることは記載されているものの、「蒸留によるさらなる精製をすることなく目的の脂肪族イミンを単離する」、すなわち、蒸留によるさらなる精製をすることなく、目的の化合物である式(I)の脂肪族イミンを分離して得ることは記載されておらず、このようなことが、当業者によって、当初明細書のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項であるともいえない。
もっとも、蒸留によらない周知の分離精製方法は多々存在する。しかし、すべての分離精製方法が、あらゆる目的生成物の分離精製に適するものでないことは技術常識であり、本願の製造方法に適した、蒸留によらない分離精製方法について、当初明細書に具体的に記載されていない以上、周知の分離精製方法が当初明細書に記載されているに等しいとすることもできない。
したがって、この補正は、新たな技術的事項を導入するものであるから、新規事項を追加するものである。

(3)まとめ
よって、平成17年4月25日付けでした手続補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、平成6年改正前の特許法第17条の2第2項において準用する同法第17条第2項に規定する要件を満たしていない。

第4 むすび
以上のとおり、平成17年4月25日付けでした手続補正は、平成6年改正前の特許法第17条の2第2項において準用する同法第17条第2項に規定する要件を満たしていないから、その余について検討するまでもなく、本願は、拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-04-03 
結審通知日 2009-04-14 
審決日 2009-04-27 
出願番号 特願平7-61506
審決分類 P 1 8・ 55- Z (C07C)
P 1 8・ 572- Z (C07C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山田 泰之小柳 正之  
特許庁審判長 西川 和子
特許庁審判官 橋本 栄和
坂崎 恵美子
発明の名称 脂肪族イミンの製造方法  
代理人 特許業務法人小田島特許事務所  
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