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審決分類 |
審判 全部無効 利害関係、当事者適格、請求の利益 C23C |
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管理番号 | 1204371 |
審判番号 | 無効2008-800226 |
総通号数 | 119 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2009-11-27 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2008-10-28 |
確定日 | 2009-08-31 |
事件の表示 | 上記当事者間の特許第3225632号発明「透明ガスバリヤフィルムの製造方法」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求を却下する。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件特許発明 本件特許第3225632号に係る発明についての出願は、平成4年10月14日に特許出願され、平成13年8月31日にその特許の設定登録がなされたものである。 第2 本件審判請求について (2-1)審判請求人梅澤邦夫は、「特許第3225632号発明の明細書の請求項1および2に係る発明についての特許を無効とする、審判の費用は被請求人の負担とする」との趣旨の無効審判を請求し、証拠方法として後記の書証をもって以下に示す無効理由1、2により無効にされるべきであると主張している。 〔無効理由1〕「本件特許の請求項1にかかわる各特許発明は、特許請求の範囲に記載された発明が発明の詳細な説明に記載されたものでないか、または発明が明確でないので,特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満足せず、特許を受けることができないものであり、したがって、前記各発明にかかわる特許は特許法第123条第1項第4号の規定により無効とすべきものである。」 〔無効理由2〕「本件特許の請求項1および2にかかわる各特許発明は、甲第1号証、甲第2号証および甲第3号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、したがって、前記各発明に係る特許は特許法第123条第1項第2号の規定により、無効とすべきものである。」 〔証拠方法〕 甲第1号証:実願昭56-168383号(実開昭58-74338号)の願書に添付した明細書及び図面の内容を撮影したマイクロフィルム(昭和58年5月19日特許庁発行) 甲第2号証:特開昭60-50164号公報 甲第3号証:特開平4-183864号公報 (2-2)被請求人は、平成21年1月16日付け答弁書において、答弁の趣旨を、「1)本件無効審判の請求は成り立たない。2)審判費用については、請求人が負担すべきものとする。との審決を求める。」とし、審判請求人の適格性を争う旨を答弁するとともに(答弁書2頁「7.I(1)」と「7.II.」)、請求人に対する当事者尋問を申し立てている。 なお、審判請求人が主張する上記無効理由1、2については、答弁書の「7.I(2)、(3)」でそれぞれ、「本件特許発明は、特許法36条6項1号が規定する要件を充足している。」、「本件特許発明は、特許法第29条第2項が規定する進歩性を有している。」と答弁している。 (2-3) そこで、当審は、本案の審理に先立ち、被請求人が答弁書で主張する請求人適格について、審判請求人に釈明を求めるため、審判請求人に対して、期間を指定して回答書を提出するよう、平成21年5月22日付で以下のような審尋書を送達(平成21年5月26日発送)した。 『この審判事件について、下記の点に対する回答書の正本1通及びその副本2通を、この審尋の発送の日から15日以内に提出して下さい。 記 本件無効審判請求について、被請求人は、平成21年1月16日付け審判事件答弁書(以下、「答弁書」という。)において、「本件無効審判の請求は、無効審判を請求する意志がない者の氏名を借りて行われた所謂ダミー請求であると認められるから、不適法な審判請求として却下されるべきである」と主張している。 そこで、当審において、請求人適格について以下の点を審尋するので、回答されたい。 (1)本件無効審判請求が、「梅澤邦夫」氏の名前を無断で使用してなされたものか。 (2)同氏の名前の使用は許諾されたものの、実際には手続をする意志がないままでなされたものか。 (3)同氏が、これまでの手続を追認するとともに手続を継続する意志があるのか。 なお、答弁書においては上記のとおり、「本件無効審判の請求は、無効審判を請求する意志がない者の氏名を借りて行われた所謂ダミー請求であると認められるから、不適法な審判請求として却下されるべきである(特許法第135号)」の主張とともに、「本理由に関して、本件無効審判の請求人に対する当事者尋問を申し立てるものである(特許法第150条第1項)。」との主張がなされ、「証人尋問申出書」、「尋問事項書」が提出されている。そして、当該「尋問事項書」中、「5 尋問事項」は、平成21年4月28日に提出された上申書において、当該上申書に添付された「別紙」のとおり、変更された。その「尋問事項」は以下のとおりである。 「尋問事項 証人 梅澤邦夫 1.あなたの略歴は、刊行物1のとおりでよろしいですか。 2.本件無効審判請求時のあなたの職務内容を教えてください。 3.あなたは、無効審判を請求するのに利害関係が必要なくなったことを知っていましたか。 4.あなたは、所謂ダミー請求、すなわち、実際には無効審判を請求する意志がない者の指名を借りた無効審判請求が不適法であることを知っていましたか。 5.あなたは、自分の意志で本件無効審判を請求したのですか、それとも、誰かに依頼されて本件無効審判を請求したのですか。」等々。 なお、「尋問事項」中にある、「刊行物1」とは、「尋問事項書」に添付された以下の刊行物である。 梅澤邦夫著「共同研究契約実務の要諦」(2007年10月25日)、株式会社産業科学システムズ発行、表紙、奥付 なお、この審尋の尋問に対し、回答がなされないなど、事実関係が明らかにならない場合、本件無効審判請求は不適法なものであるとして却下されることになります。 』 (2-4)これに対し、審判請求人からは何らの応答及び回答書の提出はないものである。 第3 当審の判断 本件無効審判の請求について、被請求人が請求人適格を争うものであることは上記したとおりである。 そして、無効審判請求事件においては、特許法第123条第2項の規定により、何人も請求することができるものであるが、実在する者の名前を無断で使用して無効審判を請求したり、あるいは名前の使用を許諾したものの実際には手続をする意志がない者の名前で無効審判を請求するなどの氏名冒用行為は、被冒用者本人の意志に基づかない審判請求であるので、本人の審判請求行為としては成立しておらず、かつ、冒用者の行為は無権代理であって被冒用者に効果帰属する余地がないから、不適法な審判請求であるとして取り扱われ、その審判請求人が冒用者のそれまでの手続を追認して手続を継続する意志がない場合は、当該無効審判は不適法なものであってその補正ができないものとして、特許法第135条の規定により、却下されるところ、審判請求書をみても、本件無効審判請求が、審判請求人の意志に基づくものであるのかが明らかでなく、審判請求人がこれまでの手続を追認して手続を継続する意志があるのかも明らかでない。 そこで、これを明瞭とするために、当審は審判請求人に対して前記したとおりの審尋を行ったところ、審判請求人からは何らの応答もされなかったものである。また、その余の手続などからも、本件無効審判請求が、審判請求人の意志に基づくものであるとすることはできないし、審判請求人がこれまでの手続を追認して手続を継続する意志がある、とすることもできない。 したがって、審判請求人の適格性を争う被請求人の主張は理由があるものと認められる。 なお、本件無効に関わる請求理由については、本案審理を要しないものである。 第4 まとめ 以上のとおりであるから、本件審判の請求は、特許法第135条の規定により、不適法なものであってその補正ができないものとして却下すべきものである。 よって結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2009-07-02 |
結審通知日 | 2009-07-06 |
審決日 | 2009-07-22 |
出願番号 | 特願平4-276074 |
審決分類 |
P
1
113・
02-
X
(C23C)
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最終処分 | 審決却下 |
前審関与審査官 | 宮澤 尚之 |
特許庁審判長 |
大黒 浩之 |
特許庁審判官 |
木村 孔一 繁田 えい子 |
登録日 | 2001-08-31 |
登録番号 | 特許第3225632号(P3225632) |
発明の名称 | 透明ガスバリヤフィルムの製造方法 |
代理人 | 特許業務法人竹内・市澤国際特許事務所 |
代理人 | 朝日奈 宗太 |