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審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 4項3号特許請求の範囲における誤記の訂正 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1204599
審判番号 不服2008-4062  
総通号数 119 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-11-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-02-21 
確定日 2009-10-01 
事件の表示 特願2003-198272「遊技球処理装置」拒絶査定不服審判事件〔平成17年2月10日出願公開、特開2005-34250〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成15年7月17日に出願されたものであって、平成20年1月15日付けで拒絶の査定がされたため、これを不服として同年2月21日付けで本件拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同日付けで明細書についての手続補正(以下、「本件補正」という。)がされたものである。

第2 補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成20年2月21日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.本件補正の内容
本件補正により、特許請求の範囲の【請求項1】は、
「複数の遊技機を並設した遊技機島の上部から溢れ出た遊技球を貯留するための複数の下部貯留タンクが前記遊技機島内の下部に設置され、前記遊技機島の中央部に前記各遊技機から排出されたアウト遊技球を前記遊技機島上部の上部貯留タンクに揚送する揚送装置が立設され、
前記下部貯留タンクの真下に、該下部貯留タンクとは別に設けられた前記各遊技機から排出されたアウト遊技球を前記揚送装置へ最優先して略水平方向へ動力により強制的に搬送する案内通路が配されている遊技球処理装置であって、
前記各遊技機から排出されたアウト遊技球を前記案内通路に導く流路管を備え、該流路管の一端側を前記各遊技機から排出されたアウト遊技球を回収するアウト遊技球回収器に連結し、前記流路管の他端側を、前記下部貯留タンク内を上下方向に貫通して前記案内通路の両側壁に設けられたホルダーに連結し、各流路管を流れるアウト遊技球を直接前記案内通路に導入することを特徴とする遊技球処理装置。」
と補正された(下線部が補正された事項)。

そして、本件補正前の特許請求の範囲の【請求項1】は、平成19年9月27日付け手続補正書に記載された以下のとおりのものである。
「複数の遊技機を並設した遊技機島の上部から溢れ出た遊技球を貯留するための複数の下部貯留タンクを前記遊技機島内の下部に設置され、前記遊技機島の中央部に前記各遊技機から排出されたアウト遊技球を前記遊技機島上部の上部貯留タンクに揚送する揚送装置が立設され、
前記下部貯留タンクの真下に、該下部貯留タンクとは別に設けられた前記各遊技機から排出されたアウト球を前記揚送装置へ最優先して案内する案内通路が配されている遊技球処理装置において、
前記各遊技機から排出されたアウト球を前記案内通路に導く流路管を備え、該流路管の一端側を前記各遊技機から排出されたアウト遊技球を回収するアウト遊技球回収器に連結し、前記流路管の他端側は、前記下部貯留タンク内を上下方向に貫通して前記案内通路の両側壁に設けられたホルダーに連結し、各流路管を流れるアウト遊技球を直接前記案内通路に導入することを特徴とする遊技球処理装置。」

すなわち本件補正は、補正前の請求項1の「複数の下部貯留タンクを前記遊技機島内の下部に設置され」という記載中の「下部貯留タンクを」との記載を、同記載中の「設置され」に対応するように「下部貯留タンクが」と正し、また、補正前の請求項1の「前記流路管の他端側は、前記下部貯留タンク内を上下方向に貫通して前記案内通路の両側壁に設けられたホルダーに連結し」という記載中の「他端側は」との記載を、同記載中の「連結し」対応するように「他端側を」と正し、さらに、第2段落の2行目及び第3段落の1行目の「アウト球」との記載を、補正前及び補正後の請求項1に記載された「アウト遊技球」との記載に基づき、「アウト遊技球」と正すとともに、 補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「案内通路」について「略水平方向へ動力により強制的に搬送」との限定事項を付加したものに実質的に相当するので、平成18年法律第55号による改正前の特許法17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮及び第3号の誤記の訂正を目的とするものに該当する。そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるか検討する。

2.引用文献
原査定の拒絶の理由に引用された特開平11-137830号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに以下の記載がある。
(1-ア)
「パチンコ遊技機設置島Aは、複数のパチンコ遊技機1が背向きして列設され、その一端に揚送装置2が設けられている。またパチンコ遊技機設置島Aの内部下方にはパチンコ球を貯留するプールタンク3と各パチンコ遊技機1から排出される使用済みのアウト球を揚送装置2に導くアウト球回収樋4が配設されている。」(段落【0015】)

(1-イ)
「前記アウト球回収樋4はプールタンク3を貫通する部分が断面長方形の角パイプ状として形成されており、その内部に各パチンコ遊技機1のアウト球タンク5から排出される使用済みのパチンコ球が排出パイプ6を介して導かれるようになっている。」(段落【0016】)

(1-ウ)
「前記揚送装置2は、基台7上に垂直状に起立する装置枠8を有し、該装置枠8の上部と下部に回転ローラー9,10が設けられ、両回転ローラー9,10間に無端状の揚送ベルト11が張架されている。また、装置枠8には揚送ベルト11の上昇側に対向して樋状のガイドレール12が装着されており、該揚送ベルト11とガイドレール12の内側面との間にパチンコ球を適圧挟持しながら上方へ揚送する揚送通路13が設けられている。」(段落【0017】)

(1-エ)
「装置枠8の下部には図2及び図3に示すように下部の回転ローラー9の外周のほぼ半分を囲うように円弧状のガイド枠15が設けられており、該ガイド枠15によって揚送通路13に連通する流入通路16が形成されている。また、流入通路16と連通状に下り傾斜状の球誘導通路17が設けられており、アウト球回収樋4の流下端がプールタンク3の内部を貫通するようにして球誘導通路17に連通されている。」(段落【0018】)

(1-オ)
「装置枠8の上端には島タンク18が設けられており、該島タンク18に揚送されたパチンコ球は補給樋19を介して再び各パチンコ遊技機1に補給されるようになっている。また、島タンク18には還流パイプ20が接続されており、該島タンク18からオーバーフローするパチンコ球が還流パイプ20を介してプールタンク3に還流されるようになっている。また、前記プールタンク3には、シャッター機構21が設けられており、各パチンコ遊技機1の出球が多くなって補給が間に合わなくなるとシャッター機構21を開いてプールタンク3にプールされているパチンコ球を球誘導通路17を介して揚送通路13に送り込むようになっている。」(段落【0020】)

引用文献1の上記(1-ア)の記載には「使用済みのアウト球」の用語が、同じく(1-イ)の記載には「使用済みのパチンコ球」の用語が混用されているが、これらが異なる意味であると認めることはできず、以下では「使用済みのアウト球」との用語に統一する。
以上の記載事項及び図面の記載を総合勘案すると、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

「複数のパチンコ遊技機1が列設され、一端に揚送装置2が設けられ、内部下方にはパチンコ球を貯留するプールタンク3と各パチンコ遊技機1から排出される使用済みのアウト球を揚送装置2に導くアウト球回収樋4が配設されるパチンコ遊技機設置島Aにおいて、
揚送装置2は、基台7上に垂直状に起立する装置枠8を有し、装置枠8の上端には島タンク18が設けられ、該島タンク18に揚送されたパチンコ球は補給樋19を介して再び各パチンコ遊技機1に補給されるようになっており、島タンク18には還流パイプ20が接続されて、該島タンク18からオーバーフローするパチンコ球が還流パイプ20を介してプールタンク3に還流され、
前記アウト球回収樋4はプールタンク3を貫通する部分が断面長方形の角パイプ状として形成されており、その内部に各パチンコ遊技機1のアウト球タンク5から排出される使用済みのアウト球が排出パイプ6を介して導かれるようになっているパチンコ遊技機設置島A。」

同じく原査定の拒絶の理由に引用された特開2002-355434号公報(以下、「引用文献2」という。)には、図面とともに以下の記載がある。
(2-ア)
「各パチンコ機103から排出された遊技済みパチンコ玉は、後述する傾斜搬送路123a,123bを介してパチンコ玉研磨装置105に搬送されるようになっている。搬送されたパチンコ玉は、パチンコ玉研磨装置105により揚送され、補給樋107,107によって各パチンコ機103に補給されるようになっている。他方、揚送されたパチンコ玉が補給量を上回った場合の余剰パチンコ玉は、上部タンク109に送られるようになっている。さらに、この上部タンク109がオーバーフローした場合は、そのオーバーフローしたパチンコ玉をフロー玉通路111,111内で落下させ、分配樋113a,113bによって、パチンコ島101内に設けられた貯留タンク115a,115bに分配して各々貯留させるようになっている。」(段落【0002】)

(2-イ)
「この貯留タンク115aは、パチンコ玉研磨装置105に向かって下り傾斜の底板121aと、この底板121aの下面に設けられた遊技済みパチンコ玉を搬送するための傾斜搬送路123aと、を備えている。傾斜搬送路123aは、傾斜搬送路123b及び投入樋127を介してパチンコ玉研磨装置105に連結されている。」(段落【0003】)

当審において新たに発見した特開平10-24164号公報(以下、「引用文献3」という。)には、図面とともに以下の記載がある。
(3-ア)
「遊技機島10は、遊技機としてのパチンコ機11の各種関連設備がそれぞれ内設された上段ユニット(島上段)10Aと下段ユニット(島下段)10Cの間に、複数のパチンコ機11が背中合わせに2列に並ぶ中段ユニット(島中段)10Bを配置して成る。」(段落【0027】)

(3-イ)
「下段ユニット10C内には、島中央に立設された揚送装置60の下端部に配された貯留タンク30を間にして、島両側にてそれぞれ一対ずつ延びる回収樋40,40が配設されている。各回収樋40内には、それぞれパチンコ球を研磨しつつ貯留タンク30まで搬送する研磨機50が配設されている。」(段落【0030】)

(3-ウ)
「研磨機50は、回収樋40の底面部41上に敷設した下部研磨ベルト51と、該下部研磨ベルト51を貯留タンク30側に向けて回転駆動させる駆動手段と、前記下部研磨ベルト51上に沿うよう配設した上部研磨ベルト55とを具備して成る。」(段落【0033】)

(3-エ)
「回収樋40の始端側下方には駆動ローラー52が軸支され、終端側下方には従動ローラー53が軸支されており、両ローラー52,53間に下部研磨ベルト51は掛け渡されている。なお、図4に示すように、両ローラー52,53間には、下部研磨ベルト51のたるみを防止する形状保持ローラー59を配設するとよい。」(段落【0034】)

(3-オ)
「下部研磨ベルト51は、弾発力を有する研磨材を無端の帯状に成形したものであり、研磨材としては、例えば6ナイロンまたは66ナイロンが適する。これら研磨材を主成分とし、他に静電気除去材、研磨増強材を混入したり、他の合成樹脂、繊維物質等を含めるように成形してもよい。駆動手段は、駆動ローラー52を回転駆動する減速機構付の電動モーター52aであり、駆動ローラー52の下側に配設されている。」(段落【0035】)

(3-カ)
「各回収樋40は下段ユニット10C内の最上部に位置する天板22真下に取付けられるので、下段ユニット10C内部に広い空きスペースを確保でき、他の遊技関連設備を容易に配設することが可能となる。各パチンコ機列のパチンコ機11から排出された球は、天板22上のアウト球タンク26に一旦貯留された後、アウト球排出孔22bに落下し、球通路部材26aを通って各回収樋40内に導入される。」(段落【0066】)

(3-キ)
「回収樋40に落下した球は、回収樋40内にコンパクトに配設された研磨機50の長手方向に並ぶ前後の各上部研磨ユニット54間から下部研磨ベルト51と上部研磨ベルト55との隙間に導入される。このとき球は、回収樋40の下流側に湾曲面を向けた整列ガイド44にぶつかり、下部研磨ベルト51の回転する搬送方向に上下一列に並んで転動するように案内される。」(段落【0068】)

(3-ク)
「そして球は、下部研磨ベルト51や上部研磨ベルト55の回転駆動に伴って、上下のベルト51,55に挟まれながら満遍なく転動し研磨され、下部研磨ベルト51の回転方向に搬送される。上部研磨ベルト55の回転速度は下部研磨ベルト51の回転速度より遅いため、球を下部研磨ベルト51の回転方向、すなわち貯留タンク30のある方向へ確実に搬送でき、かつ研磨効率を高めることができる。」(段落【0069】)

(3-ケ)
「図6は本発明の第2の実施形態を示している。本実施形態では、一対の回収樋40Aや補助回収樋を、その始端側から終端側にかけて略水平に延びるように天板22の下側に取付けたものである。」(段落【0082】)

(3-コ)
「それにより、下段ユニット10C内にて各回収樋40Aや補助回収樋が占める空間は天板22下側のほんの一部に限定され、より一層と下段ユニット10Cの内部空間を有効利用することができる。」(段落【0083】)

3.本願補正発明と引用発明の一致点及び相違点の認定
本願補正発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「パチンコ遊技機1」は、本願補正発明の「遊技機」に相当し、以下同様に、
「列設」は「並設」に、「パチンコ遊技機設置島A」は「遊技機島」に、「オーバーフロー」は「溢れ出」に、「パチンコ球」は「遊技球」に、「使用済みのアウト球」は「アウト遊技球」に、「島タンク18」は「上部貯留タンク」に、「排出パイプ6」は「流路管」に、「アウト球タンク5」は「アウト遊技球回収器」に、それぞれ相当し、
さらに、引用文献1全体の記載等からみて、以下のことがいえる。

a.引用発明の「島タンク18」は、「パチンコ遊技機設置島A」の構成要素である「揚送装置2」の「装置枠8」上端に設けられるものであり、また、該「島タンク18」からオーバーフローするパチンコ球が環流される「プールタンク3」が「パチンコ遊技機設置島A」の内部下方に配設されているのだから、引用発明の「プールタンク3」は、本願補正発明の「下部貯留タンク」に相当し、引用発明と本願補正発明とは「複数の遊技機を並設した遊技機島の上部から溢れ出た遊技球を貯留するための下部貯留タンクが前記遊技機島内の下部に設置され」という点で共通する。

b.引用文献1の上記(1-ア)、(1-ウ)及び【図1】の記載より、引用発明の「揚送装置2」は、「パチンコ遊技機設置島A」の所定の場所に立設されていることが分かり、また、「各パチンコ遊技機1から排出される使用済みのアウト球」を上記「島タンク18」に揚送することも明らかであるので、引用発明と本願補正発明とは「前記遊技機島の所定の場所に前記各遊技機から排出されたアウト遊技球を前記遊技機島上部の上部貯留タンクに揚送する揚送装置が立設され」という点で共通する。

c.引用発明の「アウト球回収樋4」は、引用文献1の上記(1-イ)の記載、及び【図1】の記載より、「プールタンク3」とは「別に設けられ」ているといえ、また、引用発明においては、該「アウト球回収樋4」に「パチンコ遊技機1のアウト球タンク5から排出される使用済みのアウト球が排出パイプ6を介して導かれ」、この「使用済みのアウト球」が「揚送装置2」に導かれるところ、引用文献1の上記(1-オ)の記載より、パチンコ遊技機1の出玉が多くなる前、つまり、補給が間に合っている状態においては、「アウト球回収樋4」に導かれた「使用済みのアウト球」のみが揚送装置4に搬送され揚送されると解するのが自然であるので、該「アウト球回収樋4」は、「使用済みのアウト球」を「揚送装置2」へ「最優先して」搬送する「案内通路」として機能することは明らかである。よって、引用発明と本願補正発明とは「該下部貯留タンクとは別に設けられた前記各遊技機から排出されたアウト遊技球を前記揚送装置へ最優先して搬送する案内通路が配されている」という点で共通する。

d.引用文献1の【図1】、【図2】の記載より、引用発明の「排出パイプ6」の一端側が「アウト球タンク5」に連結され、他端側が「アウト球回収樋4」に連結されていることが分かる。また、引用発明では、「アウト球回収樋4」の「内部」に「各パチンコ遊技機1のアウト球タンク5から排出される使用済みのアウト球が排出パイプ6を介して導かれ」るのであるから、該「排出パイプ6」を流れる「使用済みのアウト球」は「直接」「アウト球回収樋4」に導入されることも自明であるので、引用発明と本願補正発明とは「該流路管の一端側を前記各遊技機から排出されたアウト遊技球を回収するアウト遊技球回収器に連結し、前記流路管の他端側を、前記案内通路に連結し、各流路管を流れるアウト遊技球を直接前記案内通路に導入する」という点で共通する。

e.引用発明において「パチンコ遊技機1」から排出された「使用済みのアウト球」は、「排出パイプ」及び「アウト球回収樋4」を介して「揚送装置2」により「島タンク8」に揚送され、「該島タンク18に揚送されたパチンコ球は補給樋19を介して再び各パチンコ遊技機1に補給される」のであるから、引用発明の「パチンコ遊技機設置島」は、全体として「遊技球処理装置」に相当する機能を果たすことは明らかである。

したがって、本願補正発明と引用発明とは、
「複数の遊技機を並設した遊技機島の上部から溢れ出た遊技球を貯留するための下部貯留タンクが前記遊技機島内の下部に設置され、前記遊技機島の所定の場所に前記各遊技機から排出されたアウト遊技球を前記遊技機島上部の上部貯留タンクに揚送する揚送装置が立設され、
該下部貯留タンクとは別に設けられた前記各遊技機から排出されたアウト遊技球を前記揚送装置へ最優先して搬送する案内通路が配されている遊技球処理装置であって、
前記各遊技機から排出されたアウト遊技球を前記案内通路に導く流路管を備え、該流路管の一端側を前記各遊技機から排出されたアウト遊技球を回収するアウト遊技球回収器に連結し、前記流路管の他端側を、前記案内通路に連結し、各流路管を流れるアウト遊技球を直接前記案内通路に導入する遊技球処理装置。」
である点で一致し、以下の各点で相違する。

<相違点1>
「下部貯留タンク」が、本願補正発明では、「複数」設置されるのに対し、引用発明では、「複数」設置されていない点。

<相違点2>
「揚送装置」の設けられる場所が、本願補正発明では遊技機島の「中央部」であるのに対し、引用発明では遊技機島の「一端」である点。

<相違点3>
本願補正発明では、案内通路が下部貯留タンクの「真下」に配されているのに対し、引用発明では、下部貯留タンクを「貫通」して配されている点。

<相違点4>
案内通路内の「使用済みのアウト球」の搬送を、本願補正発明は「略水平方向へ動力により強制的に」行うのに対し、引用発明はそのような構成を具備していない点。

<相違点5>
「流路管」の配設及び「案内通路」との連結構造に関し、本願補正発明では、「下部貯留タンク内を上下方向に貫通し」かつ、「案内通路」の「両側壁に設けられたホルダー」に連結しているのに対し、引用発明では、そもそも「アウト球回収樋4」が「プールタンク」を貫通して配されているため、「流路管」が該タンク内を上下方向に貫通して配設されてはおらず、「案内通路」との連結構造も明らかでない点。

4.相違点の判断及び本願補正発明の独立特許要件の判断
<相違点1>及び<相違点2>について
遊技球処理装置において、下部貯留タンクを複数設ける点、及び、揚送装置を遊技機島の中央部に立設する点はいずれも、引用文献2の上記(2-ア)の記載及び【図10】の記載の他、原査定の拒絶の理由に引用された特開平10-33818号公報(段落【0010】、段落【0014】及び【図1】参照)に記載されているように従来より周知の技術(以下、「周知技術A」という。)である。そして、引用発明において、当該周知技術Aを採用することに格別の困難性を見い出すことはできないので、上記相違点1及び相違点2に係る本願補正発明の構成は、当業者が容易に想到し得るものである。

<相違点3>について
引用文献2の上記(2-ア)及び(2-イ)の記載における「貯留タンク115a」、「遊技済みパチンコ玉」及び「傾斜搬送路123a」は、本願補正発明の「下部貯留タンク」、「アウト遊技球」及び「案内通路」に、それぞれ相当し、同引用文献2の【図11】、【図12】の記載より、上記「傾斜搬送路123a」は「貯留タンク115a」の真下に配されていることが分かる。
よって、引用文献2には、下部貯留タンクの真下にアウト遊技球を搬送する案内通路を配する技術事項(以下、「引用文献2記載の技術事項」という。)が記載されていると認められる。そして、遊技機島内の下部スペースにおいて、貯留タンクや遊技球の搬送通路をどのように配置するかは、スペースの有効利用の他、遊技球の搬送の効率性や器具のメンテナンス性等を考慮し、当業者が適宜組み換え得る設計的な事項であり、引用発明において、アウト遊技球を搬送する案内通路を、下部貯留タンクを貫通して配することに換えて、上記引用文献2記載の技術事項を採用し、下部貯留タンクの真下に配する、つまり、相違点3に係る本願補正発明のように構成することは、当業者が容易に想到し得るものである。

<相違点4>について
引用文献3の上記(3-イ)の記載における「回収樋40」は、本願補正発明の「案内通路」に相当する。そして、引用文献3の上記(3-ウ)乃至(3-ケ)の記載より、「パチンコ機11」から排出され「回収樋40」に落下した球は、「駆動手段」により回転する「下部研磨ベルト51」により、略水平方向へ搬送されるといえる。よって、引用文献3には、案内通路におけるアウト遊技球を略水平方向へ動力により強制的に搬送する技術事項(以下、引用文献3記載の技術事項」という。)が記載されていると認められる。そして、引用発明における「アウト球回収樋4」内の「使用済みのアウト球」の搬送手段として、引用文献3記載の技術事項を採用することに格別の困難性を見い出すことはできないので、相違点4に係る本願補正発明の構成は、当業者が容易に想到し得るものである。

<相違点5>について
引用発明に引用文献2記載の技術事項を採用することの容易性は、上記「<相違点3>について」にて述べたとおりである。ここで引用発明における「アウト球回収樋4」を「プールタンク3」の真下に配設した場合には、該「アウト球回収樋4」に連結される「排出パイプ6」の他端を「プールタンク3」より下方まで延出させることは、当該配設に伴い必然的に生じる事項であり、一方「排出パイプ6」の一端は「プールタンク3」より上方に位置するのだから、該「排出パイプ6」を「プールタンク3」内を上下方向に貫通して配設することは、当業者が格別の創意工夫を要することなく採用できる技術的手段といえる。また、この「アウト球回収樋4」への「排出パイプ6」の連結箇所を何処にするかは、適宜選択し得る設計的な事項であり、これを「両側壁」とする点に困難性は認められない。さらに、管路部材同士の接続にホルダーを介在させる点は、技術分野を問わず従来より慣用される手段(以下、「慣用手段A」という。)に過ぎない。よって、引用発明に、引用文献2記載の技術事項及び上記慣用手段Aを採用し、相違点5に係る本願補正発明のように構成することは、当業者が容易に想到し得るものである。

以上述べたとおり、相違点1乃至5に係る本願補正発明の構成を採用することは当業者にとって想到容易であり、これらの構成を採用したことによる格別の作用効果を認めることもできない。

したがって、本願補正発明は、引用発明、引用文献2記載の技術事項、引用文献3記載の技術事項、上記周知技術A及び慣用手段Aに基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。

[補正の却下の決定のむすび]
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1.本願発明の認定
本件補正が却下されたから、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものと認める。
「複数の遊技機を並設した遊技機島の上部から溢れ出た遊技球を貯留するための複数の下部貯留タンクが前記遊技機島内の下部に設置され、前記遊技機島の中央部に前記各遊技機から排出されたアウト遊技球を前記遊技機島上部の上部貯留タンクに揚送する揚送装置が立設され、
前記下部貯留タンクの真下に、該下部貯留タンクとは別に設けられた前記各遊技機から排出されたアウト遊技球を前記揚送装置へ最優先して案内する案内通路が配されている遊技球処理装置において、
前記各遊技機から排出されたアウト遊技球を前記案内通路に導く流路管を備え、該流路管の一端側を前記各遊技機から排出されたアウト遊技球を回収するアウト遊技球回収器に連結し、前記流路管の他端側を、前記下部貯留タンク内を上下方向に貫通して前記案内通路の両側壁に設けられたホルダーに連結し、各流路管を流れるアウト遊技球を直接前記案内通路に導入することを特徴とする遊技球処理装置。」

なお、平成19年9月27日付けで補正された明細書の特許請求の範囲【請求項1】の「複数の下部貯留タンクを前記遊技機島内の下部に設置され」という記載は、正しくは「複数の下部貯留タンクが前記遊技機島内の下部に設置され」との記載の、「前記流路管の他端側は、前記下部貯留タンク内を上下方向に貫通して前記案内通路の両側壁に設けられたホルダーに連結し」という記載は、正しくは「前記流路管の他端側を、前記下部貯留タンク内を上下方向に貫通して前記案内通路の両側壁に設けられたホルダーに連結し」との記載の、また、第2段落の2行目及び第3段落の1行目の「アウト球」という記載は、正しくは「アウト遊技球」との記載の誤記であることが明らかであるので、上記の通り認定した。

2.引用文献
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1、引用文献2およびそれらの記載事項は、上記「第2[理由]2.」に記載したとおりである。

3.本願発明の進歩性の判断
本願発明は、上記「第2[理由]」で検討した本願補正発明における「案内通路」に関する発明特定事項から「略水平方向へ動力により強制的に搬送」との限定事項を省いたものに実質的に相当する。そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに上記限定事項を付加したものに実質的に相当する本願補正発明が、前記「第2[理由]4.」に述べたとおり、引用発明、引用文献2記載の技術事項、引用文献3記載の技術事項、上記周知技術A及び慣用手段Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、引用文献3記載の技術事項は、案内通路におけるアウト遊技球を「略水平方向へ動力により強制的に搬送」することに関するものであるから、本願発明は、引用発明、引用文献2記載の技術事項、上記周知技術A及び慣用手段Aに基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないので、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-08-03 
結審通知日 2009-08-04 
審決日 2009-08-19 
出願番号 特願2003-198272(P2003-198272)
審決分類 P 1 8・ 572- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 573- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小河 俊弥  
特許庁審判長 立川 功
特許庁審判官 川島 陵司
河本 明彦
発明の名称 遊技球処理装置  
代理人 柏原 健次  
復代理人 鈴木 秀昭  
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