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審決分類 審判 一部無効 特174条1項  G06F
審判 一部無効 2項進歩性  G06F
審判 一部無効 特36条4項詳細な説明の記載不備  G06F
審判 一部無効 産業上利用性  G06F
審判 一部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  G06F
審判 一部無効 1項3号刊行物記載  G06F
管理番号 1207226
審判番号 無効2009-800014  
総通号数 121 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-01-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 2009-01-23 
確定日 2009-09-30 
事件の表示 上記当事者間の特許第3254422号発明「ウェブページ閲覧方法およびこの方法を用いた装置」の特許無効審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯

本件は,平成10年6月26日に特許出願(特願平10-180815号)がされ,平成13年11月22日に特許権の設定登録がされた特許第3254422号につき,平成21年1月23日にその請求項1に係る特許に対して請求人栗岡和彦(以下,「請求人」という。)により,特許第3254422号発明の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明についての特許を無効とする,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求める本件審判の請求がされ,同年4月27日に被請求人株式会社ジェイ・キャスト(以下,「被請求人」という。)より答弁書が提出され,同年8月5日に請求人及び被請求人両者より口頭審理陳述要領書が提出され,同日に口頭審理が行われたものである。


第2 本件特許発明

本件特許第3254422号の請求項1に係る発明は,発明の詳細な説明及び図面の記載からみて,その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのもの(以下「本件特許発明」という。)と認める。

「通信ネットワークを介して,ウェブ情報をユーザ端末に提供するウェブ情報提供方法において,
ユーザ端末に接続されたアクセスポイントが該ユーザ端末に割り当てた前記アクセスポイントのIPアドレス,およびIPアドレスとアクセスポイントに対応する地域とが対応したIPアドレス対地域データベースを用いて,前記ユーザ端末に割り当てられたIPアドレスを所有するアクセスポイントが属する地域を判別する第1の判別ステップと,
前記判別された地域に基づいて,該地域に対応したウェブ情報を選択する第1の選択ステップと,
前記選択されたウェブ情報を,前記IPアドレスが割り当てられたユーザ端末に送信する送信ステップと,
を有したことを特徴とするウェブ情報提供方法。」


第3 請求人の主張

特許第3254422号発明の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明についての特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。との審決を求める。

1.無効理由1

甲第1号証には,以下の事項が記載されている。
「WWWを介して,情報をユーザに提供する情報提供方法において,
ユーザのIPアドレス,およびIPアドレスとISPに対応する地域とが対応したIPアドレス対地域データベースと用いて,ユーザが接続したISPが属する地域を判別する判別ステップと,
判別された地域に基づいて,その地域に対応した情報を選択するステップと,
その選択された情報を,ユーザに送信するステップと,
を有したことを特徴とするWWWを介して情報を提供する情報提供方法。」

本件特許の出願の一年前に頒布された刊行物である甲第2号証には,ISPはユーザがネットワークにログインしたときにユーザに動的IPを割り当てること,ISPはある範囲のIPアドレスのプールを購入し利用可能なものをログイン時に割り当てること,が公知技術として説明されているから,「ISPが,ユーザ端末に接続されるものであり,IPアドレスを所有するものであり,所有するIPアドレスをユーザ端末に割り当てるものである」ことは本件特許出願時の技術常識であること,及び「ユーザがユーザ端末をISPに接続してログインすると,ISPが,所有するIPアドレスをユーザの端末に割り当てる」ことは本件特許出願時の技術常識であることは,甲第2号証の記載によっても裏付けられている。

甲1号証記載の「WWWを介して,情報をユーザに提供する情報提供方法」は,本件特許発明の「通信ネットワークを介して,ウェブ情報をユーザ端末に提供するウェブ情報提供方法」に相当する。

本件特許発明に記載された,「アクセスポイント」が満たすべき要件は,
(i)ユーザ端末に接続されるものであること
(ii)IPアドレスを所有するものであること
(iii)所有するIPアドレスをユーザ端末に割り当てるものであること
の3つであり,「ISP」がその3つの要件を全て満たしていることは,甲第2号証によって裏付けられた技術常識から明らかである。従って,「ISP」は,本件特許発明の「アクセスポイント」に相当する。

甲第2号証によって裏付けられた技術常識を参酌すると,甲1号証記載の「ユーザのIPアドレス」,「ユーザが接続したISP」,及び「選択された情報」は,本件特許発明における「ユーザ端末に接続されたアクセスポイントが該ユーザ端末に割り当てた前記アクセスポイントのIPアドレス」,「ユーザ端末に割り当てられたIPアドレスを所有するアクセスポイント」,及び「ウェブ情報」に,それぞれ相当する。

甲第2号証によって裏付けられた技術常識を参酌すると,甲1号証記載の「その選択された情報を,ユーザに送信するステップ」は,本件特許発明の「前記選択されたウェブ情報を,前記IPアドレスが割り当てられたユーザ端末に送信する送信ステップ」に相当する。
被請求人は,アクセスポイントを「アクセスポイントとは,利用者がインターネット回線に入るための,入口(ゲートウェイ)となる設備をいうもので…」と定義し,‘設備’を各種サーバ類,通信機器などを指すものとして定義し,ISPはアクセスポイントではなく,ISPは複数のアクセスポイントを含むものであると主張しているが,技術的には,ISPは,インターネット回線に入るための入口となるルーティング装置であるから,被請求人が示した定義をもってしてもISPはアクセスポイントに対応する。

被請求人は,本件特許発明はIPアドレス対地域データベースを用いるのに対して,甲1号証の方法はIPアドレス対地域データベースではないwhoisデータベースを用いると主張するが,被請求人の上記主張は誤りである。なぜなら,甲1号証の方法で用いられるデータベースは,whoisデータベース自体ではなく,(whoisデータベースに基づいて作成された)IPアドレスを経度及び緯度にマッピングするデータベースであり,本件特許発明のIPアドレス対地域データベースに対応するからである。

被請求人は,本件特許発明では,IPアドレス対地域データベースを用いることにより,国レベルではなくて少なくとも都道府県レベルでの利用者の地域が判るようになると主張するが,被請求人の上記主張は誤りである。
本件特許発明の場合でも,沖縄にいるユーザが東京にいるアクセスポイントに接続を試みる場合には,判別される地域は沖縄ではなく,東京となってしまう。
すなわち,利用者の地域を決定することは不可能であり,本件特許発明により効率的に都道府県レベルでの利用者の地域が判るようになるという被請求人の主張は誤りである。本件特許発明でも,アクセスポイントの位置のみしか判別できない。

従って,本件特許発明と甲1号証の方法の記載とには相違点は存在せず,本件特許の請求項1に係る発明は,甲第1号証に記載された発明と同一であるから,特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであり,その特許は同法第123条第1項第2号に該当し,無効とすべきである。

2.無効理由2

本件特許発明と,甲1号証の方法とを対比すると,

(相違点1)
判別ステップで用いられるIPアドレスが,本件特許発明では「ユーザ端末に接続されたアクセスポイントが該ユーザ端末に割り当てた前記アクセスポイントのIPアドレス」であるのに対して,甲1号証の方法では「ユーザのIPアドレス」である点。

(相違点2)
判別ステップで用いられるIPアドレス対地域データベースが,本件特許発明では「IPアドレスとアクセスポイントに対応する地域とが対応した」ものであるのに対して,甲1号証の方法では「IPアドレスとISPに対応する地域とが対応した」ものである点。

(相違点3)
判別ステップで判別される地域が,本件特許発明では「前記ユーザ端末に割り当てられたIPアドレスを所有するアクセスポイントが属する地域」であるのに対して,甲1号証の方法では「ユーザが接続したISPが属する地域」である点。

(相違点4)
送信ステップで送信先が,本件特許発明では「前記IPアドレスが割り当てられたユーザ端末」であるのに対して,甲1号証の方法では「ユーザ」である点。

で両者は相違する。

しかしながら,甲1号証の方法のISPに甲第2号証に記載されているISPに関する教示を適用することにより,上記(相違点1)?(相違点4)は存在しなくなる。

従って,本件特許の請求項1に係る発明は,甲1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づいて,出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり,その特許は同法第123条第1項第2号に該当し,無効とすべきである。

3.無効理由3

本件特許の願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面には,IPアドレスを用いた判別ステップにおいて判別される地域としては,願書に最初に添付した明細書の段落0034などに「ユーザの発信地域」は記載されている(甲第4号証)ものの,「アクセスポイントが属する地域」については一切記載されていない。従って,「アクセスポイントが属する地域」という記載を追加した,平成11年11月12日付けの補正は,新規事項を追加する補正である。

この補正について,平成11年11月12日付けの意見書(甲第6号証)において出願人がした説明は,「アクセスポイントが属する地域」の意味が「ユーザの発信地域」の意味と同じである,あるいは,「ユーザの発信地域」の意味をさらに正確にしたものであるという理解に基づいている。しかし,この理解は誤っている。なぜなら,「アクセスポイントが属する地域」の意味は「ユーザの発信地域」の意味とは同じではないからである。出願人の上記説明は,上記出願人の誤った理解に基づくものであるから,失当である。

さらに,被請求人が補正の根拠であると主張する,本件の願書に添付した図面の図7は,複数のアクセスポイントがそれぞれ対応する地域に配置されていることを示しているに過ぎず,アクセスポイントが属する地域を示すものではない。図7に示される地域は,アクセスポイントの物理的位置に関するものである。それに対して,「アクセスポイントが属する地域」とは,そのアクセスポイントがサービスを提供できる地域全体を指すというのが本件特許出願時の技術常識であり,アクセスポイントがサービスを提供できる地域全体はアクセスポイントの物理的位置と必ずしも一致しない。

少なくとも以上の理由から,本件特許の請求項1に係る発明は,新規事項を追加する補正をしたものであるから,特許法第17条の2第3項の規定により特許を受けることができないものであり,その特許は同法第123条第1項第1号に該当し,無効とすべきである。

4.無効理由4

本件特許発明は,方法の発明であるが,この方法は,「事業方法」,「システムの動作方法」など多義に解釈し得るから,請求項の記載がこのうちのいずれを特定しようとしているのかが不明である。

本件特許発明が「事業方法」の場合には,特許法第2条にいう「自然法則を利用した技術的思想の創作」には当たらないというべきである。

本件特許発明が「システムの動作方法」である場合には,本件特許の請求項1に係る方法の規定では,ソフトウェアによる情報処理がハードウェア資源を用いてどのように具体的に実現されているのか明らかではない。それ故,特許法第2条にいう「自然法則を利用した技術的思想の創作」には当たらないというべきである。

従って,本件特許の請求項1に係る発明は,特許法第29条柱書きに規定する「発明」についての要件を満たしていない。それ故,本件特許の請求項1に係る発明は,特許法第29条柱書きの規定により特許を受けることができないものであり,その特許は同法第123条第1項第2号に該当し,無効とすべきである。

5.無効理由5

発明の詳細な説明に記載されているのは,「ユーザの発信地域」であって「アクセスポイントが属する地域」ではない。

被請求人は,本件の願書に添付した明細書の段落0004,0024,0028,図1,図5を参照して,「『アクセスポイントが属する地域』が明細書に記載されていることは明白である。」と主張する。しかし,この主張は誤りである。なぜなら,被請求人が主張する開示は,「アクセスポイントが属する地域」に対応するものでないからである。被請求人が主張する開示は,アクセスポイントの物理的位置に関するものに過ぎず,「アクセスポイントが属する地域」には対応しない。

従って,本件特許の請求項1に係る発明は,発明の詳細な説明に記載されたものとはいえないので,特許法第36条第6項第1号の規定により特許を受けることができないものであり,その特許は同法第123条第4項に該当し,無効とすべきである。

6.無効理由6

本件特許発明の「アクセスポイントが属する地域」をどのようにして判定するのか,「該地域(アクセスポイントが属する地域)に対応したウェブ情報」をどのようにして選択するのかについて,本件特許の発明の詳細な説明には,その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されていない。

被請求人は,「請求人は『アクセスポイントが属する地域をどのように判別するか』,『アクセスポイントが属する地域に対応したウェブ情報をどのように選択するか』が記載されていないと言うが,これこそ本件特許の核心であり,本件特許明細書に説明されているところである。」と主張する。被請求人は,その根拠として本件の願書に添付した明細書の段落0031?0036を挙げている。しかし,この主張は誤りである。なぜなら,段落0031?0036に記載されているのは,「ユーザの発信地域」についてであり,「アクセスポイントが属する地域」についてではないからである。

従って,本件特許の発明の詳細な説明には,本件特許の請求項1について,その発明の属する技術の分野における通常の知識を有するものがその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されていないので,本件特許の請求項1に係る発明は,特許法第36条第4項の規定により特許を受けることができないものであり,その特許は同法第123条第4項に該当し,無効とすべきである。

7.無効理由7

本件特許発明は,方法の発明であるが,この方法は,「事業方法」,「システムの動作方法」など多義に解釈し得るから,請求項の記載がこのうちのいずれを特定しようとしているのかが不明である。

本件特許発明が「システムの動作方法」である場合には,本件特許の請求項1に係る方法の規定では,ソフトウェアによる情報処理がハードウェア資源を用いてどのように具体的に実現されているのか明らかではない。それ故,本件特許発明は不明確であるというべきである。

従って,本件特許の請求項1に係る発明は,不明確であるので,特許法第36条第6項第2号の規定により特許を受けることができないものであり,その特許は同法第123条第4項に該当し,無効とすべきである。

(証拠方法)

甲第1号証:Stephen E. Lamm,及びDaniel A. Reed,「Real-Time Geographic Visualization of World Wide Web Traffic」,Fifth International World Wide Web Conference,May 6-10,1996,Paris,France

甲第2号証:Mike List,「CLUELESS at the Prompt: A Column for New Users」,Issue 17 of the Linux Gazette,May 1997

甲第3号証:特許第3254422号公報

甲第4号証:特開2000-20433号公報

甲第5号証:本件特許の出願についての,平成11年11月12日付け手続補正書

甲第6号証:本件特許の出願についての,平成11年11月12日付け意見書


第4 被請求人の主張

本件審判の請求は,成り立たない。審判費用は,請求人の負担とする。との審決を求める。

1.無効理由1に対して

ISP(Internet Service Provider)とはインターネット接続サービス事業者の意味であり,サービスを提供する事業者としての法的地位を示すものである。これに対してアクセスポイントとは,利用者がインターネット回線に入るための,入口(ゲートウェイ)となる設備をいうものである。本件特許が出願された1998年(平成10年)時点では,管理する主体としてのISPと,そのISPによって管理される各地の「設備としてのアクセスポイント」という二つの概念は明確に区分されていた。
甲1号証の方法はドメイン名管理者(ISP)の所在場所に着目したものであるが,本件特許はユーザの所在場所に着目したものである。甲1号証の方法によって判別する地理的な位置情報は,「ドメイン名を管理するISPが管理者情報としてwhoisに登録した地理的な位置情報」に限定されるが,本件特許発明によって判別する地理的な位置情報は,「ユーザ端末が接続するアクセスポイントの地理的な位置情報」である。甲1号証の方法はwhoisデータベースに依存するが,本件特許発明ではwhoisデータベースは不要である。甲1号証の方法が言及する「データベース」は,単にwhoisデータベースの検索結果を蓄積したものに過ぎないが,本件特許発明のデータベースは,whoisとは無関係に,ISPへのヒアリング等によって,アクセスポイントの所在地とIPアドレスとの対応関係が記載されたものである。
以上より,甲第1号証の方法は,本件特許発明における「IPアドレスとアクセスポイントに対応する地域とが対応したIPアドレス対地域データベースを用い」る構成,およびこれを用いて「ユーザ端末に割り当てられたIPアドレスを所有するアクセスポイントが属する地域を判別する」構成を備えていない。
加えて,甲1号証の方法には,本件特許発明における「前記判別された地域に基づい」た方法も,「前記選択されたウェブ情報」を送信する方法も開示されていない。

したがって,本件特許発明は甲第1号証記載の発明ではなく,特許法第29条第1項第3号に該当するものではないので,本件特許は同法第123条第1項第2号の規定に該当しないものである。

2.無効理由2に対して

甲1号証の方法は,whoisデータベースに依存するので,接続事業者が登録した情報に依存しており,アクセスポイントの存在は想定すらされていない。それに対して,本件特許発明はwhoisデータベースを全く必要とせず,アクセスポイントの存在,及び各アクセスポイントに割り振られたIPアドレスの範囲,接続事業者ごとのIPアドレスを割り当てる方に依存している。

甲1号証の方法によって判別できるのは,whoisデータベースに登録された接続事業者の所在地のみである。本件特許発明にいうIPアドレス対地域データベースは,whois情報(接続事業者情報)の蓄積を意味するものではなく,発明者の発明したアクセスポイントの保有するIPアドレス情報の解析方法や配布したIPアドレスの地域情報との対応を解析するなどして形成,取得したものである。

甲第1号証の方法は,もともと地域判別を目的としたものではなく,よくアクセスされるデータの種類を分析することを目的としたものであるが,仮に甲1号証の方法を本件特許発明の目的(ユーザの発信地域ごとに異なるWebデータを送信すること)を達成するために適用したとしても,得られる地理情報はドメイン名管理者である接続事業者の所在場所(本店所在地)でしかなく,ユーザの発信地域を判別できない。これに対して,本件特許発明は,ユーザ端末が接続したアクセスポイントが属する地域を判別できるので,その技術思想が全く異なる。

甲第2号証には,単に「動的IPアドレス」に関する説明が記載されているに過ぎず,本件特許発明の特徴的な構成である「IPアドレスとアクセスポイントに対応する地域とが対応したIPアドレス対地域データベースを用い」ることについて,記載も示唆もない。

甲1号証および甲第2号証にはいずれも,本件特許発明における「IPアドレスとアクセスポイントに対応する地域とが対応したIPアドレス対地域データベースを用い」る構成,およびこれを用いて「ユーザ端末に割り当てられたIPアドレスを所有するアクセスポイントが属する地域を判別する」構成について,記載も示唆もない。

したがって,たとえ甲1号所の方法と甲第2号証の記載事項を組み合わせることが容易にできたとしても,当業者といえども甲1号証の方法と甲第2号証の記載事項に基づいて,本件特許発明における「IPアドレスとアクセスポイントに対応する地域とが対応したIPアドレス対地域データベースを用い」る構成,およびこれを用いて「ユーザ端末に割り当てられたIPアドレスを所有するアクセスポイントが属する地域を判別する」構成を想起することは容易ではない。
よって,本件特許発明の効果である「Webページの閲覧中に地域の情報をユーザが手動で選択することなく,自動的に該地域の情報を閲覧することができるため,選択の手間を省くことができる」という効果も当然ながら得られない。

本件特許発明は,甲1号証および甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないので,特許法第29条第2項の規定に該当せず,本件特許は同法第123条第1項第2号の規定に該当しないものである。

3.無効理由3に対して

本件特許の出願当時,日本では全国に散在する多数のアクセスポイントが,少なくとも都道府県レベルでの地域に対応していたという事実,および明細書の段落【0034】,【0004】,【0028】,図面の図5,図1,図7の記載から,「IPアドレスを所持するアクセスポイントは地域と対応している」ことが明らかであり,したがって「アクセスポイントが属する地域」という明確化の補正は適法な補正であり,「新規事項の追加」には当たらない。

本件特許の明細書にした補正は特許法第17条の2第3項の規定を満たしているので,本件特許は同法第123条第1項第1号の規定に該当しないものである。

4.無効理由4に対して

本件特許発明の末尾は,「事業方法」でも「システムの動作方法」でもなく,「ウェブ情報提供方法」と明確に規定しており,本件特許発明の「ウェブ情報提供方法」が特許法第29条第1項柱書にいう「産業上利用することができる発明」であることはその明細書の記載内容から明らかであるから,本件特許発明は特許法第29条第1項でいう柱書の規定に該当しないとの請求人の主張は当たらない。

本件特許発明は同法第29条第1項柱書の発明に該当するので,本件特許は同法第123条第1項第2号の規定に該当しないものである。

5.無効理由5に対して

出願当時既に日本ではアクセスポイントが少なくとも都道府県レベルでの地域に対応していたという事実,および明細書の段落【0034】,【0004】,【0028】,図面の図5,図1,図7の記載から,図1で言えば,プロバイダが有する複数の「アクセスポイント」のうち,「アクセスポイント109a」は「東京」,「アクセスポイント109b」は「大宮」,「アクセスポイント109c」は「福岡」となるから,「アクセスポイントが属する地域」が明細書に記載されていることは明白である。

本件特許出願は特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしているので,本件特許は同法第123条第1項第4号の規定に該当しないものである。

6.無効理由6に対して

請求人は「アクセスポイントが属する地域をどのように判別するか」,「アクセスポイントが属する地域に対応したウェブ情報をどのように選択するか」が記載されていないと言うが,これこそ本件特許の核心であり,本件特許明細書の特に段落番号【0031】?【0036】に説明されているところである。

従来の「ウェブ情報提供方法(図7)」では,アクセスポイントが属する地域に対応したウェブ情報は提供できなかったが,本件特許発明に係る「IPアドレス対地域データベース」(図1のIPアドレスプールデータベース201)を構築したことによりそれを初めて可能としたのが本件特許発明である。

本件特許出願は特許法第36条第4項に規定する要件を満たしているので,本件特許は同法第123条第1項第4号の規定に該当しないものである。

7.無効理由7に対して

本件特許発明の末尾は,「ウェブ情報提供方法」と明確に規定しているところであり,その「ウェブ情報提供方法」は本件特許明細書に記載したとおりである。

本件特許出願は特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしているので,本件特許は同法第123条第1項第4号の規定に該当しないものである。


第5 当審の判断

1.無効理由1について

(1)甲第1号証

本件特許の出願前に頒布された,甲第1号証には,図面とともに,以下の事項(ア)?(キ)が記載されている。翻訳文は当審において作成した。

(ア)「To support WWW performance analysis, we expanded Avatar, a virtual reality system designed to analyze and display real-time performance data [17], and we applied it to the analysis of WWW traffic. One variant of Avatar supports real-time display of WWW server accesses by mapping them to their geographic point of origin on various projections of the Earth.」(第2ページ第20?23行)

(訳)WWWの性能分析をサポートするために,我々は,リアルタイム性能データの分析と表示を行うために設計された仮想現実システムである“アバター(Avatar)”を拡張して,WWWトラフィックの分析に適用した。アバターのある変形例は,WWWサーバアクセスを,地球の様々な投影図上におけるそれらの地理的な起点へ写像することによって,WWWサーバアクセスのリアルタイム表示をサポートする。

(イ)「All the WWW servers execute NCSA’s Hypertext Transfer Protocol daemon (httpd). In turn, each copy of this daemon maintains four logs (document accesses, agents, errors, and referers) that are written on the local disk of the associated workstation server. We focus on the document access logs, the most interesting because they record the characteristics of each request.」(第3ページ第19?22行)

(訳)全てのWWWサーバは,NCSAのハイパーテキスト転送プロトコルデーモン(httpd)を実行する。その結果,このデーモンの各コピーは,4つのログ(文書アクセス,エージェント,エラー,そしてリファラ)を保持し,これらは,関連するワークステーションサーバのローカルディスク上に書き込まれる。我々は,文書アクセスログに注目し,それらは最も興味深いのであるが,なぜなら,それらは各要求の特徴を記録するからである。

(ウ)「Each of the access log entries consists of seven fields [13], including the IP address of the requesting client, the time of the request, the name of the requested document, and the number of bytes sent in response to the request.」(第3ページ第27?29行)

(訳)アクセスログの各項目は7つのフィールドで構成され,要求クライアントのIPアドレス,要求時刻,要求された文書名,そして,要求に応答して送信されたバイト数を含む。

(エ)「The IP addresses provide additional information. By converting an IP address to a domain name, one can determine the components of the domain name and, often, the location of the requester. In the United States, common domain name extensions include education (edu), commercial (com), government (gov), and other (us). Outside the United States, countries typically use the ISO 3166 (1993) two letter country codes, or the network (net) extension. By exploiting these two letter country codes, one can identify the request’s country of origin. As we shall see, IP addresses and domain names are the starting point for finer geographic distinctions, including mapping requests to specific latitude and longitude.」(第4ページ第4?10行)

(訳)IPアドレスは追加的な情報を提供する。IPアドレスをドメイン名へ変換することにより,ドメイン名の要素を,そして時には要求者の位置を,決定することが可能となる。合衆国内において,一般的なドメイン名拡張子は,教育(edu),商用(com),政府(gov),及びその他(us)を含む。合衆国外において,国々は,典型的にはISO3166(1993)による2文字国コード,またはネットワーク(net)拡張子を用いる。これら2文字の国コードを利用することによって,要求の起点としての国を特定することができる。後に分かるように,IPアドレスとドメイン名は,要求を特定の緯度及び経度に写像することを含む,より精細な地理的識別に向けた出発点である。

(オ)「Unlike users of WWW browsers, those who deploy WWW servers have a growing interest in understanding the geographic dispersion of access patterns. As digital cash makes electronic commerce via the WWW practical, providers of products can gain a competitive advantage by mining access patterns, much as large retail organizations currently mine point-of-sale information. For example, understanding which parts of the country (or world) most frequently purchase particular items from an online catalog is a major advantage --- given the geographic location of an incoming IP address, one can tailor the WWW server response by highlighting particular product types. Likewise, data on requester demographics [19] and correlation of this data with geographic information systems would permit selected targeting of product information. Finally, commercial Internet service providers could exploit knowledge of user access patterns to add new services in selected geographic regions.」(第4ページ第27?36行)

(訳)WWWブラウザのユーザとは異なり,WWWサーバを運営する人々は,アクセスパターンの地理的な広がりを理解することに,ますます関心を高めている。ディジタルキャッシュがWWWを経由した電子商取引を実用化したように,製品の提供者は,アクセスパターンを解析することによって,大型小売店組織が現在POS情報を解析して得ているよりも大いに,競争的優位性を得ることが可能となる。例えば,その国(または世界)のどの部分が,オンラインカタログから最も頻繁に特定の商品を購入しているかを理解することは,主要な優位点であり,到来したIPアドレスの地理的位置が与えられると,特定の製品タイプをハイライトすることによって,WWWサーバの応答を適合させることができる。同様に,要求者の人口比率に関するデータと,このデータと地理的情報システムとの相関関係は,製品情報の選択されたターゲティングを可能とするであろう。最後に,商用インターネットサービスプロバイダ(ISP)は,選択された地域に新しいサービスを追加するために,ユーザのアクセスパターンの知識を利用することができる。

(カ)「To understand the temporal and geographic patterns of WWW server access, we developed a set of heuristics for mapping IP addresses to latitude and longitude. These heuristics rely on the domain names and the InterNIC whois database. The whois database contains information on domains, hosts, networks, and other Internet administrators. The information usually, though not always, includes a postal address.
To map IP addresses to geographic location, we first determine the domain name. For locations outside the United States, the suffix of the domain name typically is an abbreviation of the country name. In these cases, we map the request to the capital of the country. For all other cases, we query the whois database, retrieving the textual data associated with the IP address. We then search this data for city and country names. If a city or country name is found, we then retrieve the latitude and longitude from a local database of city and country names.

Because querying the whois database is expensive, often requiring a second or more to retrieve the desired data, we store the latitudes and longitudes of previously matched IP addresses to avoid repeated and unnecessary whois queries. If the whois query returns information that does not contain a city or country name, we record the IP address to avoid further, fruitless queries. Off-line, many of these failed queries can be identified and corrected in the database.

With our current database (35,000+ entries), about 95 percent of all requests to the NCSA WWW server can be successfully matched to latitude and longitude using only local data, 4.5 percent have undetermined latitudes and longitudes, and the remaining 0.5 percent must be found in the remote whois database. As our database continues to expand, the fraction of unresolvable requests continues to decline.

Despite our high success rate, network firewalls and national online services limit the accuracy of the latitudes and longitudes. For instance, an America Online (AOL) user might connect via modem from Irvine, California and access the NCSA What’s New page. That person’s IP address (aol.com) would yield Vienna, Virginia as its location because that is the site of the AOL headquarters. Similar problems arise with large, geographically disperse corporations that maintain a single Internet point of contact.
Fortunately, such cases can be identified by name and can often be parsed by decomposing the domain name (e.g., intgate.raleigh.ibm.com is easily identified as an IBM site at Raleigh, North Carolina).」(第4ページ第38行?第5ページ第20行)

(訳)時間的及び地理的なWWWサーバアクセスのパターンを理解するために,我々はIPアドレスを緯度及び経度へ写像するための経験則のセットを開発した。これらの経験則は,ドメイン名とInterNICのwhoisデータベースに依存している。whoisデータベースは,ドメイン,ホスト,ネットワーク,そして他のインターネット管理者に関する情報を含んでいる。この情報は,常時ではないが通常,郵便アドレスを含む。
IPアドレスを地理的位置へ写像するために,我々はまずドメイン名を決定する。合衆国外の位置について,ドメイン名の接尾語は典型的に国名の略記号である。これらの場合,我々はその要求を当該国の首都に写像する。他の全ての場合は,我々はwhoisデータベースに問い合わせ,そのIPアドレスに関連付けられたテキストデータを取得する。その後我々は,このデータから都市及び国の名を検索する。もし都市又は国の名前が見つかると,我々は都市と国の名前のローカルデータベースから,緯度及び経度を取得する。
whoisデータベースへの問い合わせは高価であり,所望のデータを取得するためにしばしば2回以上の問い合わせを要するから,我々は,繰り返しの不要なwhois問い合わせを避けるべく,以前に照合したIPアドレスの緯度及び経度を保存する。もしwhois問い合わせが都市名も国名も含まない情報を返すならば,我々は,更に効果的でない問い合わせを行わないために,そのIPアドレスを記録する。オフラインで,多数のこうした失敗問い合わせを特定し,データベース内で修正することができる。
我々の現在のデータベース(3万5千以上の項目)を用いると,NCSAWWWサーバへの全要求のおよそ95%は,ローカルデータのみを使用して緯度及び経度へ対応付けることができ,4.5%は緯度及び経度を決定することができず,残る0.5%が遠隔のwhoisデータベースから発見されなければならない。我々のデータベースが拡張し続けるにつれて,要求の未解決部分は,減少し続ける。
我々の高い成功率にも関わらず,ネットワークファイアウォールと全国的オンラインサービスが,緯度と経度の正確さを制限する。例えば,アメリカオンライン(AOL)のユーザは,カリフォルニア州アーバインからモデムを介して接続し,NCSAの“What’s New”ページにアクセスするかもしれない。その人のIPアドレス(aol.com)はその位置としてヴァージニア州ヴィエンナをもたらすであろう。なぜならそれこそAOL本社の場所だからである。単一のインターネット接続点を保有し,地理的に広がった大規模な会社について同様の問題が生じる。幸運にも,そのようなケースは名前により識別可能であって,時折,ドメイン名を分解することによって解析されうる(例えば,,intgate.raleigh.ibm.comはノースカロライナ州ラレーにあるIBMの場所として容易に特定される。)。

(キ)「Third, related to variable resolution, we would like to make finer mapping distinctions outside the United States. To date we have mapped U.S. sites to the city of origin, Canadian sites to their provincial capitals and other sites to their country capital. The whois queries often return non-U.S. cities which we cannot place on the globe due to the lack of a world-wide city databases that hold latitude and longitude information. While such databases do exist, they are often not readily available to the public. With the incorporation of new databases we plan to enhance the mapping capabilities of the globe display. We are currently in the process of adding such databases for Canada and the United Kingdom.」(第11ページ第28?34行)

(訳)第3に,変更可能な解像度に関連して,我々は,合衆国の外部について,より精細な写像識別を作成したいと考えている。今日まで,我々は,合衆国の場所を起点としての都市に,カナダの場所をその州都に,その他の場所をそれらの国の首都に,それぞれ写像してきた。whois問い合わせは時折合衆国外の都市名を返し,緯度及び経度の情報を有する全世界都市データベースが欠如しているために,我々はそれらの都市を地球上に位置付けることができない。そのようなデータベースは存在はするものの,おおかた公衆が容易に利用できるものではない。我々は,新しいデータベースを取り込むことにより,地球表示の写像能力を高めることを計画している。現在我々は,カナダと英国向けにそのようなデータベースを追加している段階である。


したがって,甲第1号証には,以下の発明(以下,「甲1発明」という。)が記載されている。

「WWWサーバに到来した要求クライアントのIPアドレスを,WWWサーバアクセスの起点としての緯度及び経度からなる地理的位置へ写像し,地理的位置が与えられると,特定の製品タイプをハイライトすることによって,WWWサーバの応答を適合させる方法において,
WWWサーバは,ハイパーテキスト転送プロトコルデーモン(httpd)を実行して,文書アクセスログを保持し,
アクセスログの項目は,要求クライアントのIPアドレスのフィールドを含んで構成され,
要求クライアントのIPアドレスから地理的位置への写像は,
まずドメイン名を決定し,
ドメイン名の接尾語が国名の略記号である場合,そのIPアドレスを当該国の首都に写像し,
他の全ての場合,whoisデータベースに問い合わせ,そのIPアドレスに関連付けられたテキストデータを取得し,
このテキストデータから都市及び国の名を検索し,
都市又は国の名前が見つかると,都市と国の名前のローカルデータベースから,緯度及び経度を取得することにより行われ,
不要なwhois問い合わせを避けるべく,以前に照合したIPアドレスの緯度及び経度を保存し,
オフラインで,失敗した問い合わせを特定し,ローカルデータベース内で修正することができ,
ローカルデータベースを用いると,WWWサーバへの全要求のおよそ95%は,ローカルデータのみを使用して,要求クライアントのIPアドレスを緯度及び経度へ対応付けることができ,
全国的オンラインサービスのユーザのIPアドレスについては,緯度及び経度の正確さが制限されるものの,時折,ドメイン名を分解することによって解析されうる,
方法。」


(2)甲第2号証

本件特許の出願前に頒布された,甲第2号証には,図面とともに,以下の事項(ク)が記載されている。

(ク)「These days most Internet Service Providers assign you a Dynamic IP when you logon to their network, due to the cost of assigning every customer a static IP. At present there are only so many IP addresses available and apparently each one costs to register. Consequently ISPs buy a pool of IP addresses within a range and assign an available one at login. For most uses, such an arrangement is no problem, assuming that most internet usage consists of interaction between the ISP's computer and the local one. For some purposes, however such as allowing telnet or ftp to your computer the dynamic scheme is less than ideal.」(第1ページ第16?21行)

(訳)今日,全ての顧客に固定IP(アドレス)を割り当てることのコストの理由から,ほとんどのISPは,あなたが彼らのネットワークへログオンする際に,動的IP(アドレス)を割り当てる。現在では利用可能なIPアドレスが数多く存在するとはいえず,明らかに,各IPアドレスの登録には費用がかかる。したがって,ISPはある範囲のIPアドレスのプールを購入し,利用可能な1つをログイン時に割り当てる。ほとんどのインターネット利用は,ISPのコンピュータとローカルコンピュータとの間のインタラクションによって構成されることを考慮すると,ほとんどの利用においてそのような調整は問題ない。しかしながら,あなたのコンピュータにTELNETやFTPを許可するような,いくつかの目的において,動的スキームは理想的ではない。


(3)対比

初めに,本件特許発明における「アクセスポイント」,「IPアドレス」,及び「アクセスポイントが該ユーザ端末に割り当てた前記アクセスポイントのIPアドレス」について検討し,次に,本件特許発明と,甲1発明とを対比する。

(3-1)本件特許発明における「アクセスポイント」について

本件特許明細書には,「Webページ閲覧システム100を利用しようとする一般のユーザ,例えば東京のユーザは,ユーザ端末101aから通信ソフトと呼ばれる通信用プログラムを用いてプロバイダの東京にあるアクセスポイント109aにダイヤルする。」(段落【0004】),及び「図1は,本発明の第1の実施形態に係るWebページ閲覧システムを示す図である。(但し,従来の技術と同じ部材には同じ番号を付している。)」(段落【0026】)と記載されていることから,本件特許発明においては,事業者であるプロバイダは通信装置である「アクセスポイント」を所有し,ユーザ端末は通信ソフトを用いて当該アクセスポイントに接続されると解するのが妥当である。

(3-2)本件特許発明における「IPアドレス」について

一般に,ウェブ情報の提供を受けるユーザ端末が使用するIPアドレスは,一度割当てを受けた後は常に同じアドレスを使用する“固定IPアドレス”と,ネットワークへ接続する度ごとに必ずしも同一でないアドレスが割当てられる“動的IPアドレス”に,分類される。
本件特許発明においては,IPアドレスが固定IPアドレスと動的IPアドレスのいずれであるか特定されていないものの,本件特許の発明の詳細な説明には,上記段落【0004】の記述に加えて,「ユーザの発信地域以外の地域の情報を閲覧したい場合には,ユーザが発信地域以外の地域のアクセスポイントに接続す(中略)ればよいことはいうまでもない。」(段落【0038】)と記載されているから,本件特許発明において,ユーザ端末に割りあてられる「IPアドレス」は,動的IPアドレスであると認められる。

(3-3)本件特許発明における「アクセスポイントが該ユーザ端末に割り当てた前記アクセスポイントのIPアドレス」について

本件について平成21年8月5日に行われた第1回口頭審理の調書によると,被請求人は,本件特許発明における「前記アクセスポイントのIPアドレス」と「前記アクセスポイントが所持するIPアドレス」とは同じ意味と解するとしており,また本件特許の発明の詳細な説明には,「アクセスポイント109aのサーバ111aは所持する複数のIPアドレスの中から一つのIPアドレスを選択してユーザ端末101aに割り当てる」(段落【0028】)と記載されていることから,本件特許発明における「アクセスポイントが該ユーザ端末に割り当てた前記アクセスポイントのIPアドレス」という文言は,「アクセスポイントが該ユーザ端末に割り当てた前記アクセスポイントが所時するIPアドレス」を意味するものと認める。

(3-4)本件特許発明と甲1発明との対比

甲1発明における「要求クライアント」は,本件特許発明における「ユーザ端末」に相当する。

甲1発明において,「WWWサーバ」はWeb(ウェブ)サーバとも呼ばれ,ユーザ端末と通信ネットワークを介して接続されること,及び「WWWサーバの応答」はユーザ端末からの要求に応じたウェブ情報の提供を意味することは,いずれも明らかである。

甲1発明における「要求クライアントのIPアドレス」は,当該要求クライアント以外の通信装置または組織から割り当てられたものであることは自明であって,「該ユーザ端末に割り当てた」「IPアドレス」である点において,本件特許発明における「ユーザ端末に接続されたアクセスポイントが該ユーザ端末に割り当てた前記アクセスポイントのIPアドレス」と一致する。

甲1発明における「ローカルデータベース」は,「IPアドレスと」地理的位置「とが対応したIPアドレス対」地理的位置「データベース」である点において,本件特許発明における「IPアドレスとアクセスポイントに対応する地域とが対応したIPアドレス対地域データベース」と一致する。

甲1発明において,ユーザ端末(要求クライアント)のIPアドレスを,ローカルデータベースを使用して緯度及び経度に写像することは,「該ユーザ端末に割り当てた」「IPアドレス,およびIPアドレスと」地理的位置「とが対応したIPアドレス対」地理的位置「データベースを用いて,前記ユーザ端末に割り当てられたIPアドレス」に関連する地理的位置「を判別する」点において,本件特許発明における「ユーザ端末に接続されたアクセスポイントが該ユーザ端末に割り当てた前記アクセスポイントのIPアドレス,およびIPアドレスとアクセスポイントに対応する地域とが対応したIPアドレス対地域データベースを用いて,前記ユーザ端末に割り当てられたIPアドレスを所有するアクセスポイントが属する地域を判別する」ことと一致する。

甲1発明において,「ローカルデータベース」の「ローカルデータのみを使用して,要求クライアントのIPアドレスを緯度と経度へ対応付け」,「地理的位置が与えられると,特定の製品タイプをハイライトすることによって,WWWサーバの応答を適合させること」は,ユーザ端末(要求クライアント)のIPアドレスについて地理的位置を判別し,前記判別された地理的位置に基づいて,該地理的位置に対応した製品タイプを特定してハイライトしたウェブ情報を,前記IPアドレスが割り当てられたユーザ端末に送信することを意味すると解されるから,「前記判別された」地理的位置「に基づいて,該」地理的位置「に対応したウェブ情報を」処理し,前記処理「されたウェブ情報を,前記IPアドレスが割り当てられたユーザ端末に送信する」点において,本件特許発明の「前記判別された地域に基づいて,該地域に対応したウェブ情報を選択する」こと,及び「前記選択されたウェブ情報を,前記IPアドレスが割り当てられたユーザ端末に送信する」こと,と一致する。

そして,甲1発明も,ウェブ情報提供方法に関するものである。


したがって,本件特許発明と甲1発明は,以下の点において一致ないし相違する。

<一致点>

「通信ネットワークを介して,ウェブ情報をユーザ端末に提供するウェブ情報提供方法において,
該ユーザ端末に割り当てたIPアドレス,およびIPアドレスと地理的位置とが対応したIPアドレス対地理的位置データベースを用いて,前記ユーザ端末に割り当てられたIPアドレスに関連する地理的位置を判別する第1の判別ステップと,
前記判別された地理的位置に基づいて,該地理的位置に対応したウェブ情報を処理する第1の処理ステップと,
前記処理されたウェブ情報を,前記IPアドレスが割り当てられたユーザ端末に送信する送信ステップと,
を有したことを特徴とするウェブ情報提供方法。」である点。

<相違点1>
ユーザ端末に対するIPアドレスの割り当てについて,本件特許発明では,「ユーザ端末に接続されたアクセスポイントが」,「前記アクセスポイントが所持するIPアドレス」を割り当てるのに対して,甲1発明では,どのような通信装置または組織が,どのようなアドレスを割り当てるのか,明記されていない点。

<相違点2>
第1の判別ステップ,第1の処理ステップ,及び送信ステップについて,本件特許発明では,IPアドレスと「アクセスポイントに対応する地域」とが対応したIPアドレス対「地域」データベースを用いて,前記ユーザ端末に割り当てられたIPアドレス「を所有するアクセスポイントに対応する地域」を判別し,前記判別された「地域」に基づいて,該「地域」に対応したウェブ情報「を選択」し,前記「選択」されたウェブ情報を,送信するのに対して,甲1発明では,IPアドレスと「緯度及び経度」とが対応したローカルデータベースを用いて,前記ユーザ端末に割り当てられたIPアドレス「を写像する緯度及び経度」を判別し,前記判別された「緯度及び経度」に基づいて,該「緯度及び経度」に対応した「特定の製品タイプをハイライトすることによって,WWWサーバの応答を適合させる」点。

(4)判断

上記相違点について検討する。

<相違点1について>
甲1発明におけるユーザ端末のIPアドレスは,プロバイダ(ISP)が所有する通信装置であるアクセスポイントから割り当てられた動的IPアドレス,あるいは,通常プロバイダ又は国別インターネットレジストリ(National Internet Registry,日本においてはJPNIC)から割り当てられる固定IPアドレスのいずれかであると解されるが,甲第1号証の記載内容からそのいずれであるか特定することはできず,一方,動的IPアドレスによる通信ネットワーク接続と,固定IPアドレスによる通信ネットワーク接続とは技術的に大きく異なることから,相違点1は実質的な相違点である。

<相違点2について>
甲第1号証には,プロバイダが所有する通信装置である「アクセスポイント」については何ら記載されておらず,また<相違点1について>において指摘したように,ユーザ端末に対するIPアドレスの割り当てをどのような通信装置又は組織が行うのか特定する記載もないから,甲第1号証には,IPアドレスと「アクセスポイントに対応する地域」とが対応したIPアドレス対「地域」データベースを用いて,前記ユーザ端末に割り当てられたIPアドレス「を所有するアクセスポイントに対応する地域」を判別し,前記判別された「地域」に基づいて,該「地域」に対応したウェブ情報「を選択」し,前記「選択」されたウェブ情報を,送信することが,実質的に記載されているとはいえず,相違点2は実質的な相違点である。

(5)無効理由1についてのまとめ

以上のとおり,本件特許発明と,甲1発明とは,<相違点1?2>において実質的に相違するものであって,両発明は同一であるとはいえないから,本件特許の請求項1に係る特許が,特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものであるということはできない。


2.無効理由2について

(1)対比
本件特許発明と甲1発明との一致点及び相違点は,上記「第5 1.(3)対比」において指摘したとおりである。

(2)判断

上記<相違点1?2>について検討する。

<相違点1について>
「ユーザ端末に接続されたアクセスポイントが」,「前記アクセスポイントが所持するIPアドレス」をユーザ端末に割り当てることは周知(例えば,田上岳夫,舟茂弘,「インターネットの仕組み-13 二つのダイヤルアップIP接続」,日経コミュニケーション,日経BP社,1997年10月6日,第255号,p.142?143を参照。)であり,甲1発明において,ユーザ端末(要求クライアント)はアクセスポイントを介してWWWサーバへアクセスし,アクセスポイントが所持するIPアドレスをユーザ端末に割り当てるようにすることは,容易である。

<相違点2について>
甲1発明も,ユーザ端末のIPアドレスに基づいて,ユーザ端末に関連する地理的位置を判別するものではあるが,甲第1号証にはアクセスポイントについて何ら記載されていないのであるから,仮に,甲1発明のユーザ端末が周知のアクセスポイントを介してWWWサーバへアクセスするものであったとしても,甲第1号証には,IPアドレスと「アクセスポイントに対応する地域」とが対応したIPアドレス対「地域」データベースを用いて,ユーザ端末に割り当てられた「IPアドレスを所有するアクセスポイントに対応する地域」を判別することは,記載も示唆もされていない。

また,甲1発明について,上記摘記箇所(カ)及び(キ)の記載内容から,IPアドレスに基づいて決定されたドメイン名が所定の文字列を含む場合には,ユーザ端末が接続された通信装置の場所をある程度の精度で絞り込み可能であることは理解できるものの,甲第1号証には,IPアドレスをユーザ端末に割り当てたアクセスポイントに対応する地域を判別する技術思想及び具体的実現手段が開示されているとはいえない。

さらに,甲1発明に,甲第2号証に記載された事項を組み合わせたとしても,IPアドレスと「アクセスポイントに対応する地域」とが対応したIPアドレス対「地域」データベースを用いて,ユーザ端末に割り当てられたIPアドレス「を所有するアクセスポイントに対応する地域」を判別し,前記判別された「地域」に基づいて,該「地域」に対応したウェブ情報「を選択」し,前記「選択」されたウェブ情報を,送信することを,当業者が容易になし得たとはいえない。


そして,本件特許発明は,IPアドレス,およびIPアドレスと「アクセスポイントに対応する地域」とが対応したIPアドレス対「地域」データベースを用いて,ユーザ端末に割り当てられたIPアドレス「を所有するアクセスポイントに対応する地域」を判別し,前記判別された「地域」に基づいて,該「地域」に対応したウェブ情報を「選択」し,前記「選択」されたウェブ情報を,送信する構成によって,「同一URLにおいてもユーザの発振地域(アクセスポイントに対応する地域)ごとに異なるウェブ情報を送信することができる。」(段落【0045】)という顕著な効果を奏するものである。

したがって,本件特許発明は,甲1発明及び甲第2号証に記載された事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(3)無効理由2についてのまとめ
以上のとおり,本件特許発明は,甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証に記載された事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものではないから,本件特許の請求項1に係る特許が,特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるということはできない。


3.無効理由3について

本件特許発明における第1の判別ステップは,「ユーザ端末に割り当てられたIPアドレスを所有するアクセスポイントが属する地域」を判別するものであり,下線部分は,平成11年11月12日付け手続補正により補正されたものである。

「アクセスポイントが属する地域」という文言は,本件特許の願書に最初に添付された明細書及び図面において記載されていたものではないことは,請求人が主張するとおりである。

上記第1回口頭審理の調書によると,被請求人は,「アクセスポイントに対応する地域」と「アクセスポイントが属する地域」とは同じ意味と解するとしている。

本件特許発明の記述によれば,前記「ユーザ端末に割り当てられたIPアドレスを所有するアクセスポイントが属する地域」の判別は,「IPアドレス,およびIPアドレスとアクセスポイントに対応する地域とが対応したIPアドレス対地域データベースを用いて」なされるものであること,及び,ユーザ端末のIPアドレスは,ユーザ端末に接続されたアクセスポイントが所時するIPアドレスを割り当てたものであること(上記「第5 1.(3)対比(3-3)」を参照。)を考慮すると,本件特許発明における前記「アクセスポイントが属する地域」は,前記IPアドレス対地域データベースに登録された「アクセスポイントに対応する地域」を意味すると解するのが妥当である。

そして,本件特許の願書に最初に添付された明細書の段落【0034】には,「IPアドレスと地域とが一対一に対応した例としてのデータベースから成る図5に示すようなIPアドレスプールデータベース201およびユーザ端末101aが送信したIPアドレスを用いてユーザの発信地域を判別する」と記載されており,IPアドレスがアクセスポイントによって所持されていることを考慮すると,前記IPアドレスプールデータベース201に登録された地域を用いて判別される「地域」は,IPアドレスを所持するアクセスポイントに対応する地域と解するのが自然である。

また,本件特許の願書に最初に添付された明細書の段落【0038】には,「ユーザの発信地域以外の地域の情報を閲覧したい場合には,ユーザが発信地域以外の地域のアクセスポイントに接続す(中略)ればよいことはいうまでもない。」と記載されているから,本件特許の願書に最初に添付された明細書には,ユーザ端末に送信するウェブ情報を選択するために,ユーザが接続するアクセスポイントに対応する地域を判別することが記載されていたことは明らかである。

したがって,「アクセスポイントが属する地域」という事項を請求項1に追加した,平成11年11月12日付け手続補正は,願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものといえる。

以上のとおり,平成11年11月12日付け手続補正は,願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであるから,本件特許の請求項1に係る特許が,特許法第17条の2第3項の規定に違反してされたものであるということはできない。


4.無効理由4について

本件特許発明の末尾に記載された「ウェブ情報提供方法」という文言は,ウェブ情報を提供する方法を意味することが明らかである。

本件特許の請求項1において,ソフトウェアによる情報処理がハードウェア資源を用いてどのように具体的に実現されているのか明記されていないことは,請求人が主張するとおりであるものの,本件特許の発明の詳細な説明には,
「【0033】これらの情報をWebサーバ119aが受け取る(ステップ419)と,Webサーバ119aは送信要求された「index1.html」ファイルのプログラムを解析し(ステップ421),「index.html」中のWebデータおよび参照されている他のデータをユーザ端末101aに送信する(ステップ423)。
【0034】このとき本実施形態において,ユーザが送信要求した「index1.html」ファイルのプログラム中に,地域によって異なるデータを自動的に選択するための地域プログラムとしての記述があると仮定する。Webサーバ119aは「index1.html」ファイルのプログラムを解析して(ステップ421),該地域によって異なるデータを自動的に選択するための記述を発見すると,同一サイト内または外部のサイトにある,IPアドレスと地域とが一対一に対応した例としてのデータベースから成る図5に示すようなIPアドレスプールデータベース201およびユーザ端末101aが送信したIPアドレスを用いてユーザの発信地域を判別する(ステップ425)。
【0035】Webサーバ119aがユーザの発信地域を判別した後,Webサーバ119aはIPアドレスプールデータベース201によって判別された発信地域に対応したWebデータを選別し(ステップ427),前記ステップ423に加えてユーザ端末101aに送信する(ステップ429)。」(段落【0033】?【0035】)
と記載されているから,本件特許発明における「第1の判別ステップ」,「第1の選択ステップ」,及び「送信ステップ」はいずれも,Webサーバすなわちコンピュータにより実現されることは明らかである。

したがって,本件特許発明は,特許法第2条にいう「自然法則を利用した技術的思想の創作」に該当するものであり,また産業上利用可能である,といえる。

以上のとおり,本件特許の請求項1に係る特許が,特許法第29条第1項柱書の規定に違反してされたものであるということはできない。


5.無効理由5について

上記「第5 3.無効理由3について」において指摘したとおり,本件特許発明における「アクセスポイントが属する地域」は,IPアドレス対地域データベースに登録された「アクセスポイントに対応する地域」を意味すると解され,本件特許の発明の詳細な説明の段落【0034】に記載された,IPアドレスプールデータベース201に登録された地域を用いて判別される「地域」は,IPアドレスを所持する「アクセスポイントに対応する地域」であると解されるから,本件特許発明における「アクセスポイントが属する地域」という事項は,発明の詳細な説明に記載されているといえる。

以上のとおり,本件特許の請求項1に係る特許が,特許法第36条第6項第1号の規定に違反してされたものであるということはできない。


6.無効理由6について

上記「第5 3.無効理由3について」において指摘したとおり,本件特許発明における「アクセスポイントが属する地域」は,IPアドレス対地域データベースに登録された「アクセスポイントに対応する地域」を意味すると解され,本件特許明細書の段落【0034】に記載された,IPアドレスプールデータベース201に登録された地域を用いて判別される「地域」は,IPアドレスを所持する「アクセスポイントに対応する地域」であると解される。

また,本件特許明細書の発明の詳細な説明(段落【0033】?【0035】)において,Webサーバ119aが,IPアドレスプールデータベース201およびユーザ端末101aが送信したIPアドレスを用いて「地域」(アクセスポイントに対応する地域)を判別し,当該地域に対応したWebデータを選別して,ユーザ端末101aに送信する点が開示されていることは,上記「第5 4.無効理由4について」において指摘したとおりである。

したがって,発明の詳細な説明は,その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が,本件特許発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に,記載されているといえる。

以上のとおり,本件特許の請求項1に係る特許が,特許法第36条第4項の規定に違反してされたものであるということはできない。


7.無効理由7について

上記「第5 4.無効理由4について」において指摘したとおり,本件特許発明の末尾に記載された「ウェブ情報提供方法」という文言は,ウェブ情報を提供する方法を意味することが明らかである。

また,本件特許発明の「ウェブ情報提供方法」を構成する「第1の判別ステップ」,「第1の選択ステップ」,及び「送信ステップ」について,各ステップにおける処理内容は明確であり,各ステップがその記載された順序で実行されることも明らかである。

さらに,上記「第5 4.」において指摘したとおり,発明の詳細な説明の記述を参酌すれば,本件特許発明の「ウェブ情報提供方法」が,Webサーバすなわちコンピュータにより実現されることも明らかである。

以上のとおり,本件特許発明は明確であるから,本件特許の請求項1に係る特許が,特許法第36条第6項第2号の規定に違反してされたものであるということはできない。


第6 むすび

以上のとおりであるから,請求人が主張する無効理由1?7によっては,本件特許の請求項1に係る特許を無効とすることはできない。

審判に関する費用については,特許法第169条2項で準用する民事訴訟法第61条の規定により,請求人が負担すべきものとする。

よって,結論のとおり審決する。
 
審決日 2009-08-19 
出願番号 特願平10-180815
審決分類 P 1 123・ 113- Y (G06F)
P 1 123・ 536- Y (G06F)
P 1 123・ 14- Y (G06F)
P 1 123・ 537- Y (G06F)
P 1 123・ 55- Y (G06F)
P 1 123・ 121- Y (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鳥居 稔  
特許庁審判長 江嶋 清仁
特許庁審判官 清水 稔
圓道 浩史
登録日 2001-11-22 
登録番号 特許第3254422号(P3254422)
発明の名称 ウェブページ閲覧方法およびこの方法を用いた装置  
代理人 大塩 竹志  
代理人 世戸 孝司  
代理人 酒井 広志  
代理人 本多 弘徳  
代理人 瀧谷 耕二  
代理人 山本 秀策  
代理人 岡 邦俊  
代理人 牧野 二郎  

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