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審決分類 審判 全部無効 特29条の2  A23L
管理番号 1208508
審判番号 無効2009-800097  
総通号数 122 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-02-26 
種別 無効の審決 
審判請求日 2009-05-15 
確定日 2009-12-07 
事件の表示 上記当事者間の特許第4015734号発明「まぶすタイプの唐揚げ粉」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第4015734号の請求項1に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 
理由 I.手続の経緯

本件特許4015734号の請求項1に係る発明についての出願は、石倉正尭、森勝弘、吉井吉平及び泉名進一を発明者とし、日本ケンタッキー・フライド・チキン株式会社及び日東製粉株式会社によって、平成10年1月8日に特願平10-13246号として出願され、平成19年9月21日に特許の設定登録がなされた。
これに対して、鐘尾宏紀より平成21年5月15日付で本件無効審判の請求がなされたものである。

II.当事者の主張

1.請求人の主張
請求人は、「特許第4015734号の請求項1に記載された発明についての特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、証拠方法として以下の甲第1号証乃至甲第9号証を提出し、その理由として、(1)本件請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、甲第1号証ないし甲第7号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、(2)本件発明は甲第8号証に記載された発明と同一の発明であるから、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないものであり、(3)本件特許の発明の詳細な説明には、当業者が本件発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないから、特許法第36条第4項に規定する要件を満たしておらず、(4)本件発明は発明の詳細な説明に記載した発明ではなく、明確ではないから、特許法第36条第6項第1号及び第2号の規定を満たしておらず、特許法第123条第1項第2号及び第4号の規定により無効とすべきである、旨主張している。

甲第1号証:特開平8-308519号公報
甲第2号証:特開平9-215478号公報
甲第3号証:特開平9-84541号公報
甲第4号証:特開平9-84542号公報
甲第5号証:赤尾剛他著「<食品工学基礎講座>3 固体・粉体処理」、株式会社光琳(昭和63年12月25日)、第69?75頁
甲第6号証:Darrel R. Suderman他「BATTER AND BREADING TECHNOLOGY」、AVI PUBLISHING COMPANY, INC.(1983年)、第90?93頁
甲第7号証:河野友美編「食品大事典」、真珠書院(昭和45年10月15日)、第451頁
甲第8号証:特願平9-370359号の願書に最初に添付した明細書
甲第9号証:特開平11-192064号公報(甲第10号証の公開公報)

2.被請求人の主張
被請求人は、請求人の主張に対して抗弁するための答弁書を提出していない。

III.当審の判断

1.本件発明
本件発明は、特許明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
「【請求項1】少なくとも小麦粉と油脂とを含み、小麦粉100 重量部に対して油脂0.1 ?1.0 重量部の配合とされ、油脂が均一に混合、分散されていることを特徴とするまぶすタイプの唐揚げ粉。」

2.無効理由2について
請求人は無効理由2として、本件発明は甲第8号証に記載された発明と同一の発明であるから、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないものである旨主張している。

3.先願明細書の記載
甲第8号証は、本件の出願日前の平成9年12月30日に出願された他の出願であってその出願後の平成11年7月21日に出願公開された特許出願であって、甲斐達男及び山本征児をその発明者とし、本件出願時の出願人は鳥越製粉株式会社である特願平9-370359号の願書に最初に添付した明細書であり、以下の事項が記載されている(括弧内の記載は、甲第8号証の公開公報である甲第9号証における【】欄を示す)。
「まぶしタイプのから揚げ粉ミックスであって、ミックスの全量に対して2?30重量%の油脂を含有されてなるから揚げ粉ミックス、あるいは2?30重量%の油脂と併用して0.5?5重量%の膨張剤が含有されてなるから揚げ粉ミックス。」(【請求項1】)
「【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。尚、本実施例は、本発明をなんら限定するものではない。また、本発明において「%」は全て「重量%」を示す。
試験例1
ここでは、鶏もも肉(1個あたり10g)の種にから揚げ粉を手作業でまぶした後に、種を50個単位で袋詰めし、-20度で7日間冷凍保存後、凍結状態のまま、50個をひとまりにしてそのまま175℃に熱したサラダ油中に投入し、4分間フライ加熱調理した場合の、個々の種肉の分離状態を観察した結果を説明する。
【0016】使用したから揚げ粉ミックスの配合およびテスト結果を表1に示す。ここで、分離度の数値は、50個の種をひとまとまりにしてフライ油中に投入してから揚げを製造た際に、種が個々に分離したものの個数を100分率で表示したものである。テストは2回繰り返し、その平均値を示した。尚、衣の食感は10点法で評価し、得点の高いものほど良好な結果を示すものとする。
【0017】
【表1】


【0018】表1に示されるように、から揚げ粉ミックスに油脂を適当量含有する場合(実施例1および2)、油脂を全く含有しない(対照例1)場合に比べて飛躍的に種の分離度が上がり、これは、膨張剤との併用により(実施例3)さらに効果が増大することがわかる。また、油脂含量が不十分だと効果が十分でなく(比較例1)、油脂含量が多すぎると(比較例2)から揚げの食感が油っぽくなり良好な製品が得られない。
【0019】試験例2
ここでは、1匹10gの無頭小エビの種に手作業でから揚げ粉ミックスをまぶした後、10分間室温に放置してミックスを十分に種に馴染ませ、175℃に熱したサラダ油中で2分30秒間加熱処理を施した。これを、-20℃の冷凍庫に7日間冷凍保管したものを、約50g単位で皿に盛り、電子レンジで600W、1分30秒間加熱して後に、から揚げの食感、香り、味を観察した結果を示す。評価は10点法で採点し、点数の高いものほど良好な結果を示すものとする。標準の評価は表中には記載していないが、フライ直後のものを用いて評価を8点として、他のものを比較評価した。使用したから揚げ粉ミックスの配合、およびテスト結果を表2に示す。
【0020】


」(第3頁【0015】?第4頁【0020】)

4.対比・判断
本件発明と甲第8号証記載の発明を対比する。
甲第8号証の表1の比較例1のから揚げ粉は、まぶすタイプのから揚げ粉であることは明らかであり、小麦粉70重量%に対し粉末油脂0.3重量%を含むものであるから、小麦粉100重量%に換算すると粉末油脂を0.4重量%含むこととなる。また、表2の比較例3のから揚げ粉もまぶすタイプのから揚げ粉であり、小麦粉60重量%に対し粉末油脂0.3%を含むので、上記と同様に換算すると小麦粉100重量%に対し粉末油脂を0.5重量%含むこととなる。してみると、甲第8号証記載の比較例1及び3に記載のから揚げ粉の小麦粉100重量部に対する粉末油脂の含有量は、0.1?1.0重量部の範囲に包含されることとなる。
また、甲第8号証には、油脂を「均一に混合、分散する」との点について明記されてはいないが、油脂の添加による効果を十分に生じさせるためには、から揚げ粉全体に均一に混合、分散させるべきことは自明のことであり、そのように解せない特段の事情も見あたらないことから、甲第8号証の油脂は、から揚げ粉に均一に混合、分散されているものと認められる。
してみると、本件発明と甲第8号証記載の発明は、「少なくとも小麦粉と油脂とを含み、小麦粉100 重量部に対して油脂0.1 ?1.0 重量部の配合とされ、油脂が均一に混合、分散されていることを特徴とするまぶすタイプの唐揚げ粉」である点で一致し、両発明間に構成上の差異はない。
よって、本件発明は、甲第8号証に記載された発明と同一の発明であり、しかも、本件発明の発明者が甲第8号証に係る発明の発明者と同一であるとも、また、本件出願時に、その出願人が甲第8号証に係る出願の出願人と同一であるとも認められないので、本件発明は、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない。

IV.むすび

以上のとおりであるから、本件発明は、甲第8号証に記載された発明と同一であるから、特許法第29条の2の規定に違反してなされたものであり、他の無効理由について検討するまでもなく、同法第123条第1項第2号に該当し、無効にすべきものである。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-09-25 
結審通知日 2009-10-05 
審決日 2009-10-26 
出願番号 特願平10-13246
審決分類 P 1 113・ 16- Z (A23L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 千葉 直紀  
特許庁審判長 鈴木 恵理子
特許庁審判官 鵜飼 健
北村 弘樹
登録日 2007-09-21 
登録番号 特許第4015734号(P4015734)
発明の名称 まぶすタイプの唐揚げ粉  
代理人 松井 茂  
代理人 松井 茂  
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