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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63B
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63B
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63B
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63B
管理番号 1208754
審判番号 不服2006-22436  
総通号数 122 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-02-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-10-05 
確定日 2009-12-18 
事件の表示 特願2001-163174「ゴルフボール」拒絶査定不服審判事件〔平成14年12月10日出願公開、特開2002-355338〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成13年5月30日に特許出願されたものであって、平成18年8月31日付け(起案日)で拒絶査定がなされ、これに対し、同年10月5日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年11月6日付けで手続補正がなされたものである。
当審においてこれを審理した結果、平成21年4月21日付け(起案日)で平成18年11月6日付け手続補正を補正却下するとともに、同日付けで拒絶の理由(最後)を通知したところ、審判請求人は、平成21年6月19日付けで意見書及び明細書についての手続補正書を提出した。

第2 平成21年6月19日付け明細書についての手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成21年6月19日付け明細書についての手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正について
(1)本件補正前後の特許請求の範囲
本件補正は、特許請求の範囲及び発明の詳細な説明についてするものであり、その補正前後の特許請求の範囲の記載は次のとおりのものである。

(本件補正前の特許請求の範囲:平成18年8月14日付け手続補正書)
「【請求項1】(a)シス1,4結合を60%以上有すると共に、1,2ビニル結合を2%以下有する希土類元素系触媒を用いて合成されたポリブタジエンであって、その25℃における5質量%トルエン溶液の粘度η(mPa・s)が600以下であり、そのムーニー粘度(ML_(1+4)(100℃))をAとし、かつその重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)をBとしたとき、10×B+5≦A≦10×B+60の関係を満足するポリブタジエン20?100質量%と、(b)上記(a)成分以外のジエン系ゴム0?80質量%とを配合する基材ゴム100質量部に対して、
(c)不飽和カルボン酸及び/又はその金属塩 10?60質量部、
(d)有機硫黄化合物 0.1?5質量部、
(e)無機充填剤 5?80質量部、
(f)有機過酸化物 0.1?5質量部
を配合したゴム組成物の加熱成形物であって、その中心JIS-C硬度と表面JIS-C硬度との差が15より大きくかつ18以下である加熱成形物を構成要素とすることを特徴とするゴルフボール。
【請求項2】上記(a)成分のポリブタジエンが、そのムーニー粘度(ML_(1+4)(100℃))をAとし、かつその25℃における5質量%トルエン溶液の粘度をη(mPa・s)としたとき、η≧20×A-600の関係を満足するものである請求項1記載のゴルフボール。
【請求項3】上記基材ゴムが、(b)上記(a)成分以外のジエン系ゴムとして、VIII族触媒で合成したムーニー粘度が55以下のポリブタジエンを配合してなるものである請求項1又は2記載のゴルフボール。
【請求項4】上記(f)成分として、2種以上の異なる有機過酸化物を混合して用いた請求項1?3のいずれか1項記載のゴルフボール。」

(本件補正後の特許請求の範囲)
「【請求項1】 (a)シス1,4結合を96%以上有すると共に、1,2ビニル結合を2%以下有する希土類元素系触媒を用いて合成されたポリブタジエンであって、その25℃における5質量%トルエン溶液の粘度η(mPa・s)が200?500であり、そのムーニー粘度(ML_(1+4)(100℃))をAとし、かつその重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)をBとしたとき、10×B+5≦A≦10×B+60の関係を満足するポリブタジエン20?100質量%と、(b)上記(a)成分以外のジエン系ゴム0?80質量%とを配合する基材ゴム100質量部に対して、
(c)不飽和カルボン酸及び/又はその金属塩 10?60質量部、
(d)有機硫黄化合物 0.1?5質量部、
(e)無機充填剤 5?80質量部、
(f)2種以上の異なる有機過酸化物 0.1?5質量部
を配合したゴム組成物の加熱成形物であって、その中心JIS-C硬度と表面JIS-C硬度との差が15より大きくかつ18以下である加熱成形物を構成要素とすることを特徴とするゴルフボール。
【請求項2】 上記基材ゴムが、(b)上記(a)成分以外のジエン系ゴムとして、VIII族触媒で合成したムーニー粘度が55以下のポリブタジエンを配合してなるものである請求項1記載のゴルフボール。」
(下線は審決において付した。以下同じ)

(2)補正目的について
ア 特許請求の範囲における本件補正の内容
上記(1)の補正は、以下に示す(ア)ないし(ウ)よりなる補正内容よりなるものである。
(ア)本件補正前の特許請求の範囲の請求項1について、その発明を特定するために必要な事項について、以下のaないしcのとおり補正して、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1とする。
a 「(a)シス1,4結合を60%以上有すると共に」という記載を「(a)シス1,4結合を96%以上有すると共に、」と限定する。
b 「その25℃における5質量%トルエン溶液の粘度η(mPa・s)が600以下であり、」という記載を「その25℃における5質量%トルエン溶液の粘度η(mPa・s)が200?500であり、」と限定する。
c 「有機過酸化物」という記載を「2種以上の異なる有機過酸化物」と限定する。
(イ)本件補正前の特許請求の範囲の請求項2及び4を削除する。
(ウ)本件補正前の特許請求の範囲の請求項3について、引用する請求項を本件補正前の特許請求の範囲の「請求項1又は2」から本件補正後の特許請求の範囲の「請求項1」とし、請求項の番号を繰り上げて本件補正後の特許請求の範囲の請求項2とする。

イ 補正内容(ア)ないし(ウ)について
(ア)補正内容(ア)は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の発明を特定するために必要な事項を限定するものであるから、平成14年法律第24号改正附則第2条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
(イ)補正内容(イ)は、平成14年法律第24号改正附則第2条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第1号に掲げる請求項の削除を目的とするものに該当する。
(ウ)上記(ア)に示したように、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1は本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項を限定したものであるから、引用する請求項を本件補正前の特許請求の範囲の請求項1から本件補正後の特許請求の範囲の請求項1とする補正内容(ウ)は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項3に係る発明を特定するために必要な事項を限定するものである。よって、補正内容(ウ)は平成14年法律第24号改正附則第2条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

ウ 補正目的についてのまとめ
したがって、補正内容(ア)ないし(ウ)よりなる本件補正のうち特許請求の範囲についてする補正は、平成14年法律第24号改正附則第2条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第1号に掲げる請求項の削除及び同項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
よって、以下では、特許請求の範囲の減縮を目的とする補正がなされた本件補正後の特許請求の範囲の請求項1及び2に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けられるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)を検討する。

2 独立特許要件について
(1)特許法第36条第6項第1号違反
ア 本件補正後の特許請求の範囲の請求項1及び2の記載について(その1)
(ア)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1には、「ゴム組成物の加熱成形物であって、その中心JIS-C硬度と表面JIS-C硬度との差が15より大きくかつ18以下」という記載がある。
しかしながら、「ゴム組成物の加熱成形物」の「中心JIS-C硬度と表面JIS-C硬度との差」が上記数値範囲となるゴルフボールが好適なものとなるという技術的意義が当業者に理解できる記載は、実施例中に具体例とした挙げたものを除いて、本願の願書に添付した明細書(以下「本願明細書」という。)中には記載されていない。
一方、前記「ゴム組成物の加熱成形物」の「中心JIS-C硬度と表面JIS-C硬度との差」の数値範囲となるゴルフボールが好適なものとなることを裏付ける具体例は、実施例1?4において、その中心JIS-C硬度と表面JIS-C硬度との差がすべて18のもののみしか記載されていないことから、この具体例のみをもって、前記「ゴム組成物の加熱成形物」の「中心JIS-C硬度と表面JIS-C硬度との差」の数値範囲が「15より大きくかつ18以下」となるゴルフボールが、いずれも前記具体例と同等の効果を奏するものとまでは、本願明細書の発明の詳細な説明の記載からは把握できるものではなく、かつ当業者にとって自明とまでいえるものとも認められない。
したがって、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1及び2は、本願明細書の発明の詳細な説明に記載したものではなく、特許法第36条第6号第1項に規定された要件(サポート要件)を満たさない。
(イ)なお、この点に関して、審判請求人は平成21年6月19日付け意見書にて、概略以下のように主張している。
a 本願明細書の発明の詳細な説明・段落【0047】には、「ゴム組成物の過熱成形物」の「中心JIS-C硬度と表面JIS-C硬度の差」の数値範囲を限定することの技術的意義について記載されている。
b 本件補正後の特許請求の範囲の請求項1及び2の記載は、審査段階の補正により、上記段落【0047】に示される数値範囲を大幅に限定し、「ゴム組成物の加熱成形物」の「中心JIS-C硬度と表面JIS-C硬度の差」が「18」である各実施例に近い範囲のものとしたものであるから、明らかに上記段落【0047】に示される技術的意義を有するものである。
c したがって、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1及び2は、いずれも、本願明細書の発明の詳細な説明に記載したものである。
(ウ)上記審判請求人の主張を踏まえて、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された「ゴム組成物の加熱成形物」の「中心JIS-C硬度と表面JIS-C硬度の差」が「15より大きくかつ18以下」であるという数値限定についてさらに検討する。
a 本願明細書の発明の詳細な説明(特に段落【0047】)の記載からは、「ゴム組成物の加熱成形物」の「中心JIS-C硬度と表面JIS-C硬度の差」が、ゴルフボールの打感や反発性と密接に関連するものであることまでは把握できる。
b しかしながら、「ゴム組成物の加熱成形物」の「中心JIS-C硬度と表面JIS-C硬度の差」の数値範囲として、「15より大きくかつ18以下」のものが打感や反発性に関して特に優れた効果を奏するものであることが当業者に理解できる記載は、実施例中に具体例とした挙げたものを除いて、本願明細書の発明の詳細な説明には記載されておらず、かつ、本願明細書に記載された具体例から当業者が自明に把握できるものであるとも認められない。
c さらに、本願の発明の詳細な説明における「ゴム組成物の加熱成形物」の「中心JIS-C硬度と表面JIS-C硬度の差」の数値範囲についての技術的意義に関する記載がある段落【0047】についてみるに、該段落は以下(a)及び(b)に示すとおり、その記載が補正されてきたものである。
(a)本願の願書に最初に添付された明細書における記載
「【0047】
本発明において、加熱成形物は、加熱成形物表面のJIS-C硬度から加熱成形物中心のJIS-C硬度を引いた硬度差が15より大きいことを要し、特に16以上、好ましくは17以上、更に好ましくは18以上であり、上限として40以下、特に35以下、好ましくは30以下、更に好ましくは25以下、最も好ましくは23以下にする必要があり、このように硬度が調整されることにより、上記材料の適正化と相俟って軟らかい打感と良好な反発性を兼ね備えたゴルフボールを確実に得ることができる。」
(b)平成18年8月14日付け手続補正後の明細書における記載
「【0047】
本発明において、加熱成形物は、加熱成形物表面のJIS-C硬度から加熱成形物中心のJIS-C硬度を引いた硬度差が15より大きいことを要し、特に16以上、好ましくは17以上であり、上限として18以下にする必要がある。このように硬度が調整されることにより、上記材料の適正化と相俟って軟らかい打感と良好な反発性を兼ね備えたゴルフボールを確実に得ることができる。」
d 上記cに示すように、段落【0047】に示された「ゴム組成物の加熱成形物」の「中心JIS-C硬度と表面JIS-C硬度の差」は、その数値範囲が補正により変更されてきたものであるから、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された「15より大きくかつ18以下」という数値範囲の上限及び下限の数値に、格別の技術的意義があるものとは認められない。
e 加えて、本願の願書に最初に添付された明細書の発明の詳細な説明の段落【0047】の記載(上記(a)参照。)からは、「ゴム組成物の加熱成形物」の「中心JIS-C硬度と表面JIS-C硬度の差」として最も好適な数値範囲は18以上23以下であるものと当業者は理解するものである。したがって、この点からみても、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された「15より大きくかつ18以下」という数値範囲の限定による技術的意義は、当業者が把握できるものではない。
(エ)まとめ
上記(ウ)に示したとおりであるから、本願の発明の詳細な説明の記載からは、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された「ゴム組成物の加熱成形物」の「中心JIS-C硬度と表面JIS-C硬度の差」を「15より大きくかつ18以下」とする数値範囲の限定による技術的意義は、当業者といえども把握できるものではなく、上記審判請求人の主張は受け入れられない。

イ 本件補正後の特許請求の範囲の請求項1及び2の記載について(その2)
(ア)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1には、「そのムーニー粘度(ML_(1+4)(100℃))をAとし、かつその重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)をBとしたとき、10×B+5≦A≦10×B+60の関係を満足するポリブタジエン」と記載されている。
一方、本願明細書の発明の詳細な説明には、上記ムーニー粘度及び重量平均分子量と数平均分子量との比により規定される数式にて示された数値範囲に入るポリブタジエンが、作業性が良くかつ打感と反発性に優れたゴルフボールの構成要素となることは記載されている(段落【0008】及び【0014】参照。)ものの、上記数式にて示された数値範囲と作業性、打感及び反発性の間の相互の因果関係又はメカニズムについては、何ら記載も示唆もない。
したがって、本願明細書の発明の詳細な説明に開示された具体例を除いて、上記数式にて示された数値範囲に入るポリブタジエンが、作業性が良くかつ打感と反発性に優れたゴルフボールの構成要素となることが、当業者において認識できることを裏付ける記載はない。
(イ)ここで、本願明細書の発明の詳細な説明には、上記数式に示された数値範囲に入るポリブタジエンの具体例として、段落【0062】に
「○4 ポリブタジエン:JSR社製 試作グレード HCBN-4
○5 ポリブタジエン:JSR社製 試作グレード HCBN-2
○6 ポリブタジエン:ファイアーストン社製 試作グレード#910
0081
○7 ポリブタジエン:ファイアーストン社製 試作グレード#910
0069」(審決注:前記「○1?○7」は、それぞれ「1?7」を○で囲んだ○数字を意味する。以下同じ)
として示された、わずか4例のみが記載されている。
しかしながら、上記段落【0062】に示された○4?○7のポリブタジエンとそれ以外のポリブタジエンである○1?○3との間には、B-A平面において、上記関係以外にも様々な境界となる直線、曲線が引けることは、当業者ならずとも自明の事項である。
したがって、上記4例のみをもとにして、上記関係を満たすならば、上記4例と同等の効果を奏するものとまでは、当業者といえども把握できないものである。
(ウ)したがって、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1及び2は、本願明細書の発明の詳細な説明に記載したものではなく、特許法第36条第6号第1項に規定された要件(サポート要件)を満たさない。

(2)特許法第36条第4項違反
ア 本件補正後の特許請求の範囲の請求項1における「そのムーニー粘度(ML_(1+4)(100℃))をAとし、かつその重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)をBとしたとき、10×B+5≦A≦10×B+60の関係を満足するポリブタジエン」との記載に対応して、本願明細書の発明の詳細な説明には、段落【0062】に
「○4 ポリブタジエン:JSR社製 試作グレード HCBN-4
○5 ポリブタジエン:JSR社製 試作グレード HCBN-2
○6 ポリブタジエン:ファイアーストン社製 試作グレード#910
0081
○7 ポリブタジエン:ファイアーストン社製 試作グレード#910
0069」
という具体例についての開示がある。

イ しかしながら、これらの具体例として記載されたポリブタジエンは、いずれも「試作グレード」とあるところからみて、当該技術分野において、本願出願前に公知のものであったとは想定できない。

ウ さらに、本願明細書の発明の詳細な説明には、前記4種の「試作グレード」であるポリブタジエンについて、具体的な重合方法(重合法の種類[例えば、「塊状重合」、「溶液重合」、「気相重合」等]、具体的モノマー原料、溶媒、重合触媒の組成及びその組成割合、前記モノマー原料と前記重合触媒との熟成条件、重合開始剤、重合停止剤、それらの仕込み量又は配合量及び生成したポリマーの具体的分離、精製、乾燥手段等を含む。)並びに具体的重合条件(具体的重合温度、重合容器内圧力及び不活性ガス[例えば、「窒素ガス」等]並びに各重合工程及び分離、精製、乾燥工程における経時時間を含む。)がいっさい開示されていないことから、本願明細書の発明の詳細な説明に基づいて、これらの「試作グレード」であるポリブタジエンを製造できたものであるとは認められない。よって、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された「そのムーニー粘度(ML_(1+4)(100℃))をAとし、かつその重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)をBとしたとき、10×B+5≦A≦10×B+60の関係を満足するポリブタジエン」を用いたゴルフボールは、本願明細書の発明の詳細な説明から当業者が実施することができたものであるとは認められない。

エ なお、上記に関して、審判請求人は平成21年6月22日付けで手続補足書とともに添付資料1を提出して、本願明細書の発明の詳細な説明に記載された「試作グレード」である各ポリブタジエンは本願出願前に当該技術分野において入手可能なものであるから、本願明細書は本件補正後の特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された発明について実施可能要件を満たすものである旨主張している。
しかしながら、前記添付資料1には、本願出願前のものであったことを証明する差出人証明書及び受取人証明書が提出されていないことから、添付資料1が本願出願前のものであったことは証明されないものである。したがって、添付資料1は、本願明細書の発明の詳細な説明に記載された「試作グレード」である各ポリブタジエンが、本願出願前に入手可能であったことを示す証拠とは認められない。
そして、添付資料1が本願出願前のものであったとしても、添付資料1は出願人が「試作グレード」であるポリブタジエンを入手可能であったという事実を示す証拠に過ぎないから、当該技術分野における出願人以外の不特定多数当業者が添付資料1に示される各ポリブタジエンを入手可能であったことを証明する証拠とはならない。
よって、上記審判請求人の主張は受け入れられない。

(3)特許法第29条第2項違反
本件補正後の特許請求の範囲の請求項1及び2は、上記アに示したように、本願明細書の発明の詳細な説明に記載されたものではなく、また、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1及び2の記載から把握される発明は、上記イに示したように、本願明細書の発明の詳細な説明から当業者が実施できたものではない。
しかしながら、特許請求の範囲の記載からソリッドゴルフボールの構成を把握することができるので、当業者が本願明細書の発明の詳細な説明から実施することができることを前提として、以下では、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1(以下「本件補正発明」という。)について、進歩性についても検討する。

ア 本件補正発明
本件補正発明は上記1(1)において、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1として記載したとおりのものと認める。

イ 引用文献
(ア)当審の拒絶理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物である特開平11-164912号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに以下の記載がある。
a 「【請求項1】(a)1,4-シス結合含量が80%以上、1,2-ビニル結合含量が2.0%以下、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が3.5以下のポリブタジエンゴム50?100重量部、(b)上記(a)成分以外のジエン系ゴム50?0重量部(ここで、(a)成分と(b)成分の合計量は100重量部である)、(c)架橋性モノマー10?50重量部、(d)無機充填材20?80重量部、および(e)有効量の有機過酸化物、を含有することを特徴とするソリッドゴルフボール用ゴム組成物。
【請求項2】(a)成分が、希土類元素系触媒を用いて重合して得られるポリブタジエンゴムであることを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項3】(a)成分が、希土類元素系触媒を用いて重合し、引き続き末端変性剤を反応させて得られる変性ポリブタジエンゴムであることを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項4】ソリッドゴルフボールのゴム質の一部または全部が、請求項1?3のいずれかに記載のゴム組成物を、架橋、成形したものであることを特徴とするソリッドゴルフボール。」(【特許請求の範囲】)
b 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ソリッドゴルフボール用ゴム組成物およびソリッドゴルフボールに関する。さらに詳しくは、打球感が良好で、飛距離が大きく、かつ耐久性に優れたソリッドゴルフボールを与えるゴム組成物および該組成物から得られるソリッドゴルフボールに関するものである。」
c 「【0007】
【発明の実施の形態】まず、本発明のソリッドゴルフボール用ゴム組成物(以下、単に「ゴム組成物」ともいう)の(a)成分について説明する。上述したように、(a)成分であるポリブタジエンゴムは、1,4-シス結合含量(シス含量)が80%以上、好ましくは90%以上、1,2-ビニル結合含量(ビニル含量)が2.0%以下、好ましくは1.5%以下、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が3.5以下、好ましくは3.0以下である。また、(a)成分のムーニー粘度は、ML_(1+4)(100℃)は、20?140、特に30?100が好ましい。
【0008】本発明のゴム組成物が、主たるゴム成分として、1,4-シス結合が大部分を占め、しかも分子量分布の狭いポリブタジエンゴムを含有することにより、本発明のゴム組成物の架橋成形体から構成されるゴム質を有するソリッドゴルフボールは、飛距離が大きく、打球感および耐久性に優れる結果となる。
【0009】上記(a)ポリブタジエンゴムは、希土類元素系触媒の存在下にブタジエンを重合して得ることができる。また、(a)ポリブタジエンゴムは、上記重合に引き続き末端変性剤を反応させて得られる変性ポリブタジエンゴムであってもよい。以下、希土類元素系触媒の存在下にブタジエンを重合して得たポリブタジエンゴムを「(a-1)未変性ポリブタジエンゴム」、上記重合に引き続き末端変性剤を反応させて得られた変性ポリブタジエンゴムを「(a-2)変性ポリブタジエンゴム」ともいう。上記(a-1)未変性ポリブタジエンゴムおよび(a-2)変性ポリブタジエンゴムは、1種単独であるいはこれらを組み合わせて用いることができるが、変性ポリブタジエンゴムの使用が保存安定性の点で好ましい。
【0010】ブタジエンの重合に用いられる希土類元素系触媒としては、公知のものを使用することができる。例えばランタン系列希土類元素化合物、有機アルミニウム化合物、アルモキサン、ハロゲン含有化合物、必要に応じルイス塩基の組合せよりなる触媒を用いることができる。ランタン系列希土類元素化合物としては、原子番号57?71の金属ハロゲン化物、カルボン酸塩、アルコラート、チオアルコラート、アミド等が用いられる。また、有機アルミニウム化合物としては、AlR^(1)R^(2)R^(3)(ここで、R^(1)、R^(2)、およびR^(3)は、同一または異なって、それぞれ水素または炭素数1?8の炭化水素残基を表す)で示されるものが用いられる。アルモキサンは、下記式(I)または下記式(II)で示される構造を有する化合物である。また、ファインケミカル,23,(9),5(1994)、J.Am.Chem.Soc.,115,4971(1993)、J.Am.Chem.Soc.,117,6465(1995)で示されるアルモキサンの会合体でもよい。

【0011】
【化1】

【0012】(式中、R^(25)は、炭素数1?20の炭素原子を含む炭化水素基、nは2以上の整数である。)
ハロゲン含有化合物としては、AlX_(n)R_(3-n)(ここで、Xはハロゲンであり、Rは、炭素数が1?20の炭化水素残基であり、例えばアルキル基、アリール基、アラルキル基であり、nは、1、1.5、2または3である)で示されるアルミニウムハライド;Me_(3)SrCl、Me_(2)SrCl_(2)、MeSrHCl_(2)、MeSrCl_(3)などのストロンチウムハライド;その他、四塩化ケイ素、四塩化スズ、四塩化チタンなどの金属ハライドが用いられる。ルイス塩基は、ランタン系列希土類元素化合物を錯化するのに用いられ。例えばアセチルアセトン、ケントアルコールなどが好適に使用される。なかでも、ランタン系列希土類元素化合物としてネオジウム化合物を用いたネオジウム系触媒の使用が、1,4-シス結合が高含量、1,2-ビニル結合が低含量のポリブタジエンゴムを優れた重合活性で得られるので好ましいこれらの希土類元素系触媒の具体例は、本願出願人による特願平9-203932号、特願平9-65607号の各明細書に記載されており、用いることができる。
【0013】また、ランタン系列希土類元素化合物(La化合物)を用いた希土類元素系触媒の存在下でブタジエンを重合させる場合、シス含量およびMw/Mnを上記範囲とするために、ブタジエン/La化合物は、通常モル比で1000?200万、特には5000?100万とすることが好ましく、また、AlR^(1)R^(2)R^(3)/La化合物は、モル比で1?1000、特には3?500とすることが好ましい。更に、ハロゲン化合物/La化合物は、モル比で0.1?30、特には0.2?15であることが好ましい。ルイス塩基/La化合物は、モル比で0?30、特には1?10とすることが好ましい。重合にあたっては、溶媒を使用しても、溶媒を使用せずにバルク重合あるいは気相重合してもい。重合温度は通常一30℃?150℃、好ましくは10?100℃である。
【0014】(a-2)変性ポリブタジエンゴムは、上記の重合に引き続き、ポリマーの活性末端に末端変性剤を反応させることにより得られる。末端変性剤は、それ自体公知であり、例えば下記(E)?(J)に記載した化合物を挙げることができる。
【0015】(E)R^(4)_(n)M′X_(4-n)、M′X_(4)、M′X_(3)、R4nM′(-R^(5)-COOR^(6))_(4-n)またはR_(4n)M′(-R^(5)-COR^(6))_(4-n)(式中、R^(4)およびR^(5)は、同一または異なり、炭素数1?20の炭素原子を含む炭化水素基、R^(6)は炭素数1?20の炭素原子を含む炭化水素基であり、側鎖にカルボニル基またはエステル基を含んでいてもよく、M′はスズ原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子またはリン原子、Xはハロゲン原子、nは0?3の整数である)に対応するハロゲン化有機金属化合物、ハロゲン化金属化合物または有機金属化合物。
【0016】(F)分子中に、Y=C=Z結合(式中、Yは炭素原子、酸素原子、チッ素原子またはイオウ原子、Zは酸素原子、チッ素原子またはイオウ原子である)を含有するヘテロクムレン化合物。
【0017】(G)分子中に
【0018】
【化2】

【0019】結合(式中、Yは、酸素原子、チッ素原子またはイオウ原子である)を含有するヘテロ3員環化合物。
【0020】(H)ハロゲン化イソシアノ化合物。
【0021】(I)R^(7)-(COOH)_(m)、R^(8)(COX)_(m)、R^(9)-(COO-R^(10))、R^(11)-OCOO-R^(12)、R^(13)-(COOCO-R^(14))_(m)、または
【0022】
【化3】

【0023】(式中、R^(7)?R^(15)は、同一または異なり、炭素数1?50の炭素原子を含む炭化水素基、Xはハロゲン原子、mは1?5の整数である)に対応するカルボン酸、酸ハロゲン化物、エステル化合物、炭酸エステル化合物または酸無水物。
【0024】(J)R^(16)_(l)M″(OCOR^(17))_(4-l)、R^(18)_(l)M″(OCO-R^(19)-COOR^(20))_(4-l)、または
【0025】
【化4】

【0026】(式中、R^(16)?R^(22)は、同一または異なり、炭素数1?20の炭素原子を含む炭化水素基、M″はスズ原子、ケイ素原子またはゲルマニウム原子、lは0?3の整数である)に対応するカルボン酸の金属塩。
【0027】以上の(E)?(J)に示される末端変性剤の具体例は、本願出願人による特願平9-203932号、特願平9-65607号の各明細書に記載されている。
【0028】上記末端変性剤による変性の反応方法は、それ自体公知の方法を用いることができる。例えば本願出願人による特願平9-65607号明細書に記載されている方法、特開平7-268132号公報に記載されている方法などを採用することができる。
【0029】次に(b)成分である上記(a)成分以外のジエン系ゴムについて説明する。(b)成分は、本発明のゴム組成物の必須の成分ではなく、本発明の目的の達成を損なわない範囲で、所望により配合される成分である。(b)成分の具体例としては、シス含量が80%未満の、あるいはMw/Mnが3.5を越える未変性または変性ポリブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、天然ゴム、合成ポリイソプレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)などを挙げることができる。これらは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0030】次に、(c)成分である架橋性モノマーについて説明する。この(c)架橋性モノマーは、ラジカル開始剤として機能する下記(e)有機過酸化物が分解して発生するラジカルにより重合すると共に、上記(a)成分および(b)成分の架橋を促進するように作用する。本発明のゴム組成物に配合される架橋性モノマーは、α,β-エチレン性不飽和カルボン酸の1価または2価の金属塩、であることが好ましく、その具体例として下記のものを挙げることができる。
(i)アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、ソルビン酸、チグリン酸、ケイヒ酸、およびアコニット酸。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
(ii)上記(i)の不飽和酸のZn、Ca、Mg、Ba、およびNaの各塩。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、上記(i)の不飽和酸と上記(ii)の金属塩とは、組み合わせて用いることができる。なお、上記α,β-エチレン性不飽和カルボン酸の金属塩は、そのままで基材ゴムなどと混合する通常の方法以外に、あらかじめ酸化亜鉛などの金属酸化物を練り混んだゴム組成物中にアクリル酸、メタクリル酸などのα,β-エチレン性不飽和カルボン酸を添加し練り混んでゴム組成物中でα,β-エチレン性不飽和カルボン酸と金属酸化物とを反応させて、α,β-エチレン性不飽和カルボン酸の金属塩としたものであってもよい。(c)架橋性モノマーは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0031】次に、(d)成分である無機充填材について説明する。この(d)無機充填材は、架橋ゴムを補強して強度を向上すると共に、配合量によりソリッドゴルフボールの重さを調整することができる。無機充填材としては、具体的に、酸化亜鉛、硫酸バリウム、シリカ、アルミナ、硫酸アルミニウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウムなどを挙げることができる。なかでも、酸化亜鉛、硫酸バリウム、シリカの使用が好ましい。これらの無機充填材は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0032】次に(e)成分である有機過酸化物について説明する。本発明のゴム組成物に配合される有機過酸化物は、(a)成分および(b)成分からなるゴム成分、ならびに(c)架橋性モノマーの、架橋反応、グラフト反応、重合反応などの開始剤として作用する。有機過酸化物の好適な具体例として、例えばジクミルパーオキサイド、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,3-ビス(t-ブチルパーオキシ-イソプロピル)ベンゼンなどが挙げられる。
【0033】本発明のゴム組成物に含有される上記成分(a)?(e)の量割合は、以下のとおりである。
(a)未変性または変性ポリブタジエンゴム50?100重量部
好ましくは50?90重量部
(b)上記(a)成分以外のジエン系ゴム50?0重量部
好ましくは50?10重量部
ここで、(a)成分と(b)成分との合計量は100重量部である。
(c)架橋性モノマー 10?50重量部
好ましくは10?40重量部
(d)無機充填材 20?80重量部
好ましくは20?70重量部
(e)有機過酸化物 好ましくは、0.1?6重量部
より好ましくは0.2?5重量部
【0034】(a)?(e)成分の含有割合が上記の範囲にあることにより、本発明のゴム組成物から、飛距離、耐久性および打球感に優れるソリッドゴルフボールが得られる。
【0035】本発明のゴム組成物には、上記(a)?(e)成分の他に、所望により、酸化亜鉛などの架橋助剤;ステアリン酸などの滑剤;酸化防止剤などを配合してもよい。」
d 「【0043】
【実施例】以下実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲は実施例に制限されるものではない。
【0044】〔変性または未変性ポリブタジエンゴムの合成例〕
合成例1(変性ポリブタジエンゴム(A)(HPB(A))の合成)
窒素素置換した内容積5Lのオートクレーブに、窒素下シクロヘキサン2.5kg、1,3-ブタジエン300gを仕込んだ。これらに、あらかじめオクタン酸ネオジム(0.18mmol)およびアセチルアセトン(0.37mmol)を含んだシクロヘキサン溶液、メチルアルモキサン(18.5mmol)のトルエン溶液、水素化ジイソブチルアルミニウム(3.9mmol)のシクロヘキサン溶液および塩化ジエチルアルミニウム(0.370mmol)のシクロヘキサン溶液を混合し、ネオジムの5倍量の1,3-ブタジエンと25℃で30分間反応熟成させた触媒を仕込み、50℃で30分間重合を行った。1,3-ブタジエンの反応転化率は、ほぼ100%であった。次いで、重合溶液の温度を50℃に保ち、ジオクチルスズビスオクチルマレート(5.40mmol)を添加した。その後、30分間放置し、2,4-ジ-t-ブチル-p-クレゾール1.5gを含むメタノール溶液を添加し、重合停止後、スチームストリッピングにより脱溶媒し、110℃のロールで乾燥し、重合体を得た。この重合体のムーニー粘度(ML_(1+4)、100℃)は45、シス-1,4-結合含量は97.8%、1,2-ビニル結合含量は1.0%、Mw/Mnは2.1であった。
【0045】上記合成例1とほぼ同様な方法で、変性ポリブタジエンゴム(B)(HPB(B))、変性ポリブタジエンゴム(C)(HPB(C))、および変性ポリブタジエンゴム(E)(HPB(E))を合成した。使用した末端変性剤を表1に示す。また合成例1において、末端変性剤を使用しないこと以外は、ほぼ同様な方法で未変性ポリブタジエンゴム(D)(PB(D))を合成した。なお、上記HPB(E)は、Mw/Mnが5.1と大きく、比較の変性ポリブタジエンゴムである。これらの変性、未変性ポリブタジエンゴムの物性を表1に示す。
【0046】
【表1】

【0047】(実施例1?8および比較例1?3)上記表1に示す
各種ポリブタジエンを用い、該ポリブタジエンを下記表2に示す配合で、ジアクリル酸亜鉛、酸化亜鉛、ジクミルパーオキサイドおよび酸化防止剤をロールで混練し、得られたゴム組成物を150℃で30分間加圧架橋成形して、直径38.5mmのコアーを得た。
【0048】
【表2】

【0049】次に、得られたコアーにアイオノマー樹脂(商品名:サーリン、デユポン社製)100重量部と二酸化チタン2重量部との混合物からなるカバー用組成物をインジェクション成形法で被覆してカバーを形成し、外径42.7mmのツーピースソリッドゴルフボールを作製した。なお、比較例1および2のゴルフボールは、ポリブタジエンゴムとして、ネオジウム系触媒を用いて重合し、且つ末端変性剤で変性して得られたものではあるが、Mw/Mn=5.1と分子量分布が広い変性ポリブタジエンゴム(E)(HPB(E))を用いて作成したものである。比較例3は、従来の標準的なツーピースソリッドゴルフボールである。
【0050】得られたツーピースソリッドゴルフボールについて、その重量、コンプレッション(PGA表示)、ボール初速、飛距離およびハンマリング耐久性を測定した。その結果を表3に示す。また、得られたゴルフボールをトッププロ10人によりウッド1番クラブで実打して、その打球感を調べた。その結果も表3に併せて示す。
【0051】上記ボール初速、飛距離およびハンマリング耐久性の測定方法ならびに打球感の評価方法は次に示す通りである。
(1)ボール初速:ツルーテンパー社製スイングロボットにウッド1番クラブを取り付け、ボールをヘッドスピード45m/秒で打撃し、その時のボール初速(m/秒)を測定した。
(2)飛距離:ツルーテンパー社製スイングロボットにウッド1番クラブを取り付け、ボールをヘッドスピード45m/秒で打撃した時のボールの落下点までの距離(ヤード)を測定した。
(3)ハンマリング耐久性:ボールを45m/秒の速度で衝突板に繰り返し衝突させ、ボールが破壊するまでの衝突回数を調べ、比較例3のボールが破壊するまでの回数を100とした指数で示した。
(4)打球感の評価方法:トッププロ10人による実打テストで評価した。打球感の評価にあたっては、従来の標準的なツーピースソリッドゴルフボールである比較例3のボールを比較の対象として打球感を評価した。
評価基準は次の通りであり、評価結果を表中に表示する際も同様の記号で表示するが、その場合は評価にあたった10人のうち8人以上が同じ評価を下したことを示している。
評価基準:
○:比較例3のボールより打球感がソフトで良い。
△:比較例3のボールと打球感が同等である。
×:比較例3のボールより打球感が硬くて悪い。
【0052】
【表3】

【0053】表3に示されるの結果から、実施例1?8のボールは、比較例1?2のボールに比べて、飛距離が大きく、かつ耐久性が優れており、しかも従来の標準的ツーピースソリッドゴルフボールである比較例3のボールに比べて、打球感が良好であった。
【0054】(実施例9?16および比較例4?6)表4に示す配合の配合材料をニーダーおよびロールで混練してゴム組成物を調製し、得られたゴム組成物を金型に充填して168℃で25分間加圧架橋成形して、外径42.7mmの一体成形の架橋成形体からなるワンピースソリッドゴルフボールを作製した。なお、比較例4および5のゴルフボールは、ポリブタジエンゴムとして、ネオジウム系触媒を用いて重合し、且つ末端変性剤で変性して得られたものではあるが、Mw/Mn=5.1と分子量分布が広い変性ポリブタジエンゴム(E)(HPB(E))を用いて作成したものである。比較例6は、従来の標準的なワンピースソリッドゴルフボールである。
【0055】
【表4】

【0056】得られたワンピースソリッドゴルフボールについて、上記実施例1と同様に、重量、コンプレッション(PGA)、ボール初速、飛距離(キャリー)、ハンマリング耐久性を測定し、打球感を評価した。その結果を表5に示す。ただし、打球感の評価にあたっては、従来の標準的ワンピースソリッドゴルフボールである比較例6のボールを比較の対象とした。
【0057】
【表5】

【0058】表5に示された結果から明らかなように、これらのワンピースソリッドゴルフボールにおいても、実施例9?16のゴルフボールは、比較例4、5のゴルフボールに比べて、飛距離が大きく、且つ耐久性が優れ、しかも従来の標準的ワンピースソリッドゴルフボールである比較例6のゴルフボールに比べて、打球感が良好であった。」
e 摘記aの「(a)・・・(中略)・・・ポリブタジエンゴム50?100重量部、(b)上記(a)成分以外のジエン系ゴム50?0重量部(ここで、(a)成分と(b)成分の合計は100重量部である。)」とは、「(a)成分・・・(中略)・・・ポリブタジエンゴム50?100重量部、(b)上記(a)成分以外のジエン系ゴム0?50重量部とを配合する基材ゴム100重量部」を意味するものと認められる。
f 摘記dの【0047】「(実施例1?8および比較例1?3)上記表1に示す
各種ポリブタジエンを用い、該ポリブタジエンを下記表2に示す配合で、ジアクリル酸亜鉛、酸化亜鉛、ジクミルパーオキサイドおよび酸化防止剤をロールで混練し、得られたゴム組成物を150℃で30分間加圧架橋成形して、直径38.5mmのコアーを得た。」と【0049】「得られたコアーにアイオノマー樹脂(商品名:サーリン、デユポン社製)100重量部と二酸化チタン2重量部との混合物からなるカバー用組成物をインジェクション成形法で被覆してカバーを形成し、外径42.7mmのツーピースソリッドゴルフボールを作製した。」及び「【0054】(実施例9?16および比較例4?6)表4に示す配合の配合材料をニーダーおよびロールで混練してゴム組成物を調製し、得られたゴム組成物を金型に充填して168℃で25分間加圧架橋成形して、外径42.7mmの一体成形の架橋成形体からなるワンピースソリッドゴルフボールを作製した。」並びに摘記(1)の「【請求項4】・・・ゴム組成物を、架橋、成形したものであることを特徴とするソリッドゴルフボール。」より、ゴム組成物の加熱成形物を構成要素とするゴルフボールが把握できる。
g 摘記dにおける各実施例に使用されるポリブタジエンであるHPB(A)?(C)及びPB(D)について、ムーニー粘度(ML_(1+4)(100℃))をAとし、かつその重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)をBとしたとき、10×B+5及び10×B+45の値は、以下の表に示すとおりである。
| A | B |10×B+5|10×B+45|
??????|???|???|??????|???????|
HPB(A)| 45 |2.1| 26 | 66 |
HPB(B)| 44 |2.7| 32 | 72 |
HPB(C)| 47 |3.3| 38 | 78 |
PB(D) | 45 |2.8| 33 | 73 |
したがって、引用文献1の各実施例に使用されるポリブタジエンであるHPB(A),HPB(B),HPB(C)及びPB(D)については、いずれも10×B+5≦A≦10×B+45の関係を満たすものであると認められる。
h 以上より、摘記a?dを含む引用文献1全体から、引用文献1には次の発明が記載されている(以下「引用発明」という。)と認められる。
「(a)シス1,4結合を96%以上有すると共に、1,2ビニル結合を2%以下有する希土類元素系触媒を用いて合成されたポリブタジエンであって、そのムーニー粘度(ML_(1+4)(100℃))をAとし、かつその重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)をBとしたとき、10×B+5≦A≦10×B+45の関係を満足するポリブタジエン50?100重量部と、(b)上記(a)成分以外のジエン系ゴム0?50重量部とを配合する基材ゴム100重量部に対して、
(c)架橋性モノマー 10?50重量部
(d)無機充填材 20?80重量部
(e)有機過酸化物 より好ましくは0.2?5重量部
を配合したゴム組成物の加熱成形物を構成要素とするゴルフボール。」

(イ)当審の拒絶理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物である特開2001-40040号公報(以下「引用文献2」という。)には、以下の記載がある。
a 「【請求項1】共架橋剤およびパーオキサイド類共に架橋成形されてソリッドゴルフボールのゴム質部分の基材ゴムとして用いられるポリブタジエンであって、下記の特性を有することを特徴とするポリブタジエン。
ポリブタジエンの特性:(1)ブタジエンモノマ-ユニットのうち、1,2-構造ユニットの含有率が4?30モル%、シス-1,4-構造ユニットの含有率が65?95モル%、及びトランス-1,4-構造ユニットの含有率が5モル%以下。
(2)トルエン溶液粘度(Tcp)と100℃におけるム-ニ-粘度(ML_(1+4))の比(Tcp/ML_(1+4))が3?6。」
b 「【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、共架橋剤およびパーオキサイド類共に架橋成形されてソリッドゴルフボールのゴム質部分の基材ゴムとして用いられるポリブタジエンであって、下記の特性を有することを特徴とするポリブタジエンに関する。
ポリブタジエンの特性:
・・・(後略)」
c 「【0014】また、ポリブタジエンのトルエン溶液粘度(Tcp)は、20?500が好ましく、30?300が特に好ましい。」
d 「【0103】[η]は、トルエン溶液で30℃の温度で測定した。ムーニー粘度(ML_(1+4))は、JISK6300に準拠して測定した。トルエン溶液粘度(Tcp)は、ポリマー2.28gをトルエン50mlに溶解した後、標準液として粘度計校正用標準液(JISZ8809)を用い、キャノンフェンスケ粘度計No.400を使用して、25℃で測定した。錫の結合量はICPで測定した。」

(ウ)当審の拒絶理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物である特開2000-245869号公報(以下「引用文献3」という。)には、以下の記載がある。
a 「【0022】また、上記A/Bを0.40?0.60の範囲に良好に調整するために、コアの硬度分布を適正化することも有効であり、具体的にはコアの表面硬度がJIS-C硬度として70以上、より好ましくは70?95、更に好ましくは75?93であることが好ましく、またコアの表面硬度がコアの中心硬度よりJIS-C硬度として10以上、より好ましくは10?50、更に好ましくは13?40高いことが好適である。コアの表面JIS-C硬度が70より低いと、ボール打撃時にカバーと一緒にたわんでしまい、実効接触面積を増やせない場合が生じる。即ち、実効接触面積を増やすためには、カバーに撓み(変形)を大きくする一方、この撓みをコア表面で受け止めてその変形量を維持することが望ましく、かかる点からコア表面のJIS-C硬度は上記範囲とすることが好ましい。また、コア表面JIS-C硬度とコア中心JIS-C硬度との差が10より小さいと、フィーリングが低下し、50より大きいとコア中心が軟らかくなりすぎて、反撥性を損ねるおそれがある。」
b 「【0034】
【表1】

*1:大日本インキ化学工業社製の熱可塑性ポリウレタンエラストマー
*2:三井・デュポンポリケミカル社製のアイオノマー樹脂
*3:米国デュポン社製のアイオノマー樹脂」

ウ 対比
本件補正発明と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明における「(c)架橋性モノマー」は本件補正発明における「(c)不飽和カルボン酸及び/又はその金属塩」に相当する。
(イ)引用発明における「無機充填材」は本件補正発明における「無機充填剤」に相当する。
(ウ)引用発明の「重量部」と本件補正発明の「質量%」及び「質量部」とは、いずれも「ゴム組成物」中に存在する成分の占める相対的な重量(質量)比率を表すものであるから、引用発明において「重量部」で表された数値は本件補正発明の「質量%」及び「質量部」で表された数値と実質的に同等であると解することができる。
そうすると、引用発明の上記(a)、(b)、(c)、(e)及び(f)成分の各質量部は、いずれも本件補正発明の「(a)ポリブタジエン20?100質量%、(b)上記(a)成分以外のジエン系ゴム0?80質量%、
前記(a)と前記(b)とを配合する基材ゴム100質量部に対して、
(c)不飽和カルボン酸及び/又はその金属塩 10?60質量部、
(e)無機充填剤 5?80質量部、
(f)有機過酸化物 0.1?5質量部
に包含される。
(エ)引用発明における「(a)ポリブタジエン」と本件補正発明における「(a)ポリブタジエン」とは「シス1,4結合を96%以上有する」点で共通する。
(オ)してみると、本件補正発明と引用発明とは、以下の点で一致する。
<一致点>
「(a)シス1,4結合を96%以上有すると共に、1,2ビニル結合を2%以下有する希土類元素系触媒を用いて合成されたポリブタジエンであって、そのムーニー粘度(ML_(1+4)(100℃))をAとし、かつその重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)をBとしたとき、10×B+5≦A≦10×B+45の関係を満足するポリブタジエン20?100質量%と、(b)上記(a)成分以外のジエン系ゴム0?80質量%とを配合する基材ゴム100質量部に対して、
(c)不飽和カルボン酸及び/又はその金属塩 10?60質量部、
(e)無機充填剤 5?80質量部、
(f)有機過酸化物 0.1?5質量部
を配合したゴム組成物の加熱成形物を構成要素とするゴルフボール」
(カ)一方で、本件補正発明と引用発明とは、以下の点で相違している。
<相違点1>
本件補正発明における「(a)」に係る「ポリブタジエン」は「その25℃における5質量%トルエン溶液の粘度η(mPa・s)が200?500」であると特定されるのに対し、引用発明における「(a)に係るポリブタジエン」は「その25℃における5質量%トルエン溶液の粘度η(mPa・s)が200?500」とまでは明記されておらず、そのような特定を有するものであるかどうか不明である点。
<相違点2>
ゴム組成物に関し、本件補正発明の「ゴム組成物」は、上記<一致点>の(a)?(c)、(e)?(f)に加えて、さらに
「基材ゴム100質量部に対して、
(d)有機硫黄化合物 0.1?5質量部
(f)2種以上の異なる有機過酸化物 0.1?5質量部
を配合したゴム組成物」と特定されるのに対し、引用発明における「ゴム組成物」には、そのような特定がされていない点。
<相違点3>
加熱成形物に関し、本件補正発明は「その中心JIS-C硬度と表面JIS-C硬度との差が15より大きくかつ18以下である加熱成形物を構成要素とする」と特定されるのに対し、引用発明はそのような特定がされていない点。

エ 判断
上記各相違点について判断する。
(ア)<相違点1>について
a 引用文献2には、ゴルフボールのゴム質部分の基材ゴムとして用いられるポリブタジエンとして、ポリマー2.28gをトルエン50mlに溶解した後、標準液として粘度計校正用標準液(JISZ8809)を用い、キャノンフェンスケ粘度計No.400を使用して、25℃で測定したトルエン溶液粘度(Tcp)が20?500が好ましいことが記載されている。
ここで、ポリマー2.28gをトルエン50mlに溶解したものは5質量%トルエン溶液であると認められること、及び、「20?500」とあるトルエン溶液粘度の単位が「cp(センチポアズ)」であって該「cp」はMKSA単位系における「mPa・s」と同じものであることは自明であることから、引用文献2には、ゴルフボールのゴム質部分の基材ゴムとして用いられるポリブタジエンとして、その25℃における5質量%トルエン溶液の粘度(Tcp)が20?500が好ましいことが記載されていると認められる。
b そして、ポリブタジエン等のポリマーのトルエン溶液粘度が当該ポリマーの分子量及びその絡まり具合を示す指標として一般的に用いられる指標(引用文献2の段落【0003】にもこれに関連した記載がある。)であって、特にポリブタジエンゴムのトルエン溶液粘度に関しては、成形等における作業性又は加工性を示す指標として用いられるものであることが、当審の拒絶理由にて示した特開平6-263920号公報、特開平9-59432号公報(特に段落【0008】参照)、特開平5-194658号公報(特に段落【0015】?【0016】参照。)、特開平11-199709号公報(特に段落【0012】参照。)等に記載されているように、本願出願前に広く知られていたものである。
c また、ゴム組成物の加熱成形物を構成要素とするソリッドゴルフボールという技術分野において、ゴム組成物を構成するゴム成分の分子量及びその絡まり具合が成形後のゴルフボールの反発性や打感等に大きく影響するものであることは、当業者にとって自明の事項である。
d してみれば、引用文献2に記載の技術事項においてトルエン溶液濃度の数値範囲を限定したことの技術的意義とは、ポリブタジエンの分子量及びその絡まり具合を適切な範囲に調節することにより、成形後のゴルフボールの反発性や打感等を考慮しつつ、ポリブタジエンゴムの成形等における作業性及び加工性を低下させないようにすることであると、当業者ならば自明に理解できるものである。
e 引用発明は、ポリブタジエンを基材ゴムとするゴム組成物の加熱成形物を構成要素とするゴルフボールであるから、その成形等において作業性や加工性を向上させるという課題を有していたことは当業者ならば当然認識していたものであり、かつ、「分子量分布の狭いポリブタジエンゴムを含有する」ことにより「飛距離が大きく、打球感および耐久性に優れる」ソリッドゴルフボールを得る(前記イ(ア)cの段落【0007】参照。)ものであることから、成形後のゴルフボールの反発性や打感等に大きく影響を与えるポリブタジエンの分子量及びその絡まり具合を適切な範囲に調節するという課題を有するものであることも、当業者ならば自明に把握できたものである。
f したがって、引用発明にて使用するポリブタジエンとして、その分子量及びそれらの絡まり具合を適切な範囲に調節し、成形後のゴルフボールの反発性や打感等を考慮しつつ成形等における作業性及び加工性を低下させないことを実現するために、引用文献2に記載の技術事項を参考にして、その5質量%トルエン溶液の粘度が好適な数値範囲に入るものを使用することは、当業者ならば容易に想到することができたものである。
g ここで、引用文献2には、好適なトルエン溶液粘度(mPa・s)が「20?500」であると示されており、本件補正発明における5質量%トルエン溶液の粘度(mPa・s)の数値範囲である「200?500」よりも広い数値範囲が示されている。しかしながら、本件補正発明の上記5質量%トルエン溶液の粘度の数値範囲については、本願の発明の詳細な説明の段落【0013】にその技術的意義に関する記載があるものの、該段落は以下(a)及び(b)に示すように補正によりその数値範囲に関する記載が変更されてきたものである。
(a)本願の願書に最初に添付された明細書における記載
「【0013】
そして、(a)成分のポリブタジエンは、その25℃における5質量%トルエン溶液の粘度η(mPa・s)が600以下、特に550以下、好ましくは500以下、更に好ましくは450以下、最も好ましくは400以下であることが必要で、ηが高すぎると作業性が悪くなる。また、ηの下限としては、50以上、好ましくは100以上、更に好ましくは150以上、最も好ましくは200以上とすることが推奨され、ηが低すぎると反発性が低下する場合がある。」
(b)本件補正後の明細書における記載
「【0013】
そして、(a)成分のポリブタジエンは、その25℃における5質量%トルエン溶液の粘度η(mPa・s)が500以下、好ましくは450以下、最も好ましくは400以下であることが必要で、ηが高すぎると作業性が悪くなる。また、ηの下限としては、200以上とすることが推奨され、ηが低すぎると反発性が低下する場合がある。」
h 上記gに示すように、段落【0013】に示された「5質量%トルエン溶液の粘度」は、その数値範囲が補正により変更されてきたものであるから、本件補正発明における「200?500」という数値範囲の下限の数値に、格別の技術的意義があるものとは認められない。
i そして、上記gの(a)および(b)に示す記載は、いずれも、「ηが低すぎると反発性が低下する場合がある。」と記載されているに過ぎないものであるから、ηに200という下限を設けることが、それ以外の下限を設けることに比べて予測できないほど格別な効果を奏するものとは、当業者といえども、上記段落【0013】の記載からは把握できないものである。
j さらに、本願の発明の詳細な説明の実施例において具体例として示されるポリブタジエンの5質量%トルエン溶液の粘度η(mPa・s)は、本願の願書に最初に添付された明細書における実施例では130?390,本件補正後の明細書に実施例では270?390のものが数例示されているに過ぎず、かつ、本件補正により実施例から削除されたトルエン溶液粘度η(mPa・s)が150のポリブタジエンを使用する本願の願書に最初に添付された明細書における実施例6は、本願の願書に最初に添付された明細書の段落【0067】の記載からみて、他の実施例と比較してその反発性が劣るものとは認められない。よって、本件補正発明における、5質量%トルエン溶液の粘度η(mPa・s)が「200?500」という数値限定については、当業者といえどもその臨界的意義を把握できるものではない。
k したがって、上記fに示したように、引用発明において、使用するポリブタジエンの5質量%トルエン溶液の粘度について好適な数値範囲を実験的に求め、それに該当するポリブタジエンを使用することは当業者が容易に想到することができたものであるから、引用発明におけるポリブタジエンの5質量%トルエン溶液の粘度を、本件補正発明と同程度とすることは、当業者ならば適宜なし得たものである。
l 上記aないしkに対して、審判請求人は平成21年6月19日付け意見書にて、概略以下(a)ないし(c)のように主張している。
(a)本件補正発明発明のポリブタジエンゴムと引用文献2に記載されたポリブタジエンゴムは分子構造が異なるものであり、かつ、引用文献2には本願発明のポリブタジエンゴムの分子構造が好ましくないものであることが明記されているものであるから、引用発明に引用文献2に記載の技術を適用することは、当業者といえども容易に想到できたものではない。
(b)引用文献2の実施例に示されたポリブタジエンゴムのトルエン溶液粘度はTcp=144であり、本件補正発明のポリブタジエンゴムのトルエン溶液粘度の数値範囲よりも小さい値であるから、引用文献2に記載の技術から本件補正発明のポリブタジエンゴムのトルエン溶液粘度の数値範囲を想到することはできない。
(c)拒絶理由では、ポリブタジエンのトルエン溶液粘度の数値限定とポリブタジエンの成形等における作業性及び加工性について、複数の文献を挙げて周知であるとしているが、これらの文献はいずれも本願発明とは異なる技術分野で使用され、かつ、含有する成分も異なるポリブタジエンに関するものであるから、これらの文献に記載の技術を、引用発明と引用文献2に記載の技術とを組み合わせる際の参考とすることは無理がある。
m 上記審判請求人の主張について以下に検討する。
(a)上記主張(a)及び(c)について
上記bに示したように、トルエン溶液粘度は、ポリブタジエンのみならず一般にポリマーの分子量及びそれらの絡まり具合を示す指標として広く用いられているものであり、かつ、ポリブタジエンの成形等における加工性及び作業性を悪化させないという課題はポリブタジエンの分子構造に依存するものではなく、ポリブタジエンを用いて加熱成形を行う技術分野全般について共通するものである。
したがって、分子構造が異なるとしても、これらのことを考慮すれば、引用発明に使用するポリブタジエンとして、引用文献2に記載の技術を参考にして、そのトルエン溶液粘度として適切なものを採用するようにすることが、当業者にとって容易になしえたものでないとはいえず、また、トルエン溶液粘度とポリブタジエンの成形等における加工性及び作業性の関係を示す各文献が、引用発明及び引用文献2に記載の技術とは異なる技術分野に属するものであるからといって、引用発明と引用文献2に記載の技術とを組み合わせることの動機付けをサポートするものとはならないとは認められない。
(b)上記主張(b)について
上記eに示したように、引用発明が成形後のゴルフボールの反発性や打感等に大きく影響を与えるポリブタジエンの分子量及びその絡まり具合を適切な範囲に調節するという課題を有していたものであることが当業者にとって自明なものである以上、引用発明において、引用文献2に記載された、適切な分子量及びその絡まり具合を有するポリブタジエンを選択するための指標として、ポリブタジエンのトルエン溶液粘度を用いる技術思想を適用した場合には、当業者ならば、成形後のゴルフボールの反発性や打感等の影響を考慮しつつ、適切なトルエン溶液粘度のポリブタジエンを選択するものと認められる。よって、引用文献2の実施例に記載されたポリブタジエンのトルエン溶液粘度の値は、当業者にとっては参考値にすぎないものであり、引用発明と引用文献2に記載の技術とを組み合わせて適切なトルエン溶液粘度の数値範囲を当業者が選択することを阻害するものとはならない。
(c)審判請求人の主張に対するまとめ
上記(a)及び(b)に示したとおりであるから、上記審判請求人の主張は受け入れられない。

(イ)<相違点2>について
ポリブタジエンを主成分とする基材ゴムよりなるゴム組成物の加熱成形物を構成要素とするゴルフボールという技術分野において、反発性、打球感(フィーリング)、耐久性等の向上のために、
基材ゴム100質量部に対して、
(c)不飽和カルボン酸及び/又はその金属塩 10?50質量部、
(d)有機硫黄化合物 0.5?5質量部、
(e)無機充填剤 20?80質量部、
(f)有機過酸化物 0.1?5質量部、
の範囲内に配合されたものを包含又は一部包含するゴム組成物より、ゴルフボールの構成要素を得る技術は、当審の拒絶理由にて示した特開平4-109970号公報、特開平2-297384号公報、特開平2-92378号公報、特開平6-319831号公報、特開平6-327794号公報、特開2000-300697号公報等に記載されているように、本願の出願前において周知のものであるから、引用発明に対し、上記質量部の比率で有機硫黄化合物及び有機過酸化物を付加することは、当業者が適宜なし得たものである。
そして、上記各文献において好適な有機過酸化物として多数例示されていることを考慮すれば、有機過酸化物としてどのようなものを何種類使用するかは、当業者が適宜選択することができた事項に過ぎない。
したがって、上記相違点2の構成は、引用発明及び周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に想到し得たことである。

(ウ)<相違点3>について
a 引用文献3には、フィーリング及び反発性改善のために、ゴム組成物の加熱成形物であって、その中心JIS-C硬度と表面JIS-C硬度との差が13?40である加熱成形物を構成要素とするゴルフボールが、同実施例1において、ゴム組成物の加熱成形物であって、その中心JIS-C硬度と表面JIS-C硬度との差が「16.8」(15より大きくかつ18以下の範囲)とした加熱成形物を構成要素とするゴルフボールが記載されている。
b 引用発明は、打球感が良好で、飛距離が大きいゴルフボールを得ることを課題とするものである。そして、飛距離の大きさと反発性とが密接に関連するものであることは自明であるから、引用発明のゴム組成物の加熱成形物よりなる構成要素に対し、適切な反発性と打球感を得られるように、引用文献3の記載を参考にして、その中心JIS-C硬度と表面JIS-C硬度との差を、例えば、上記「16.8」の近傍の範囲に好適化するように設計することにより、上記相違点3の構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。
したがって、相違点3に係る本件補正発明の特定事項は、引用発明及び引用文献3に記載の技術事項に基づいて、当業者が容易に想到し得ることである。
c これに対し、審判請求人は平成21年6月19日付け意見書にて、引用文献3(前記意見書における「引例13」。)に記載された技術は本件補正発明とは異なる分子構造・架橋構造を有するポリブタジエンを使用するものであり、かつ、ゴルフボールの打感や反発弾性等の特徴は分子構造・架橋構造に大きく左右されるものであるから、引用文献3に記載の技術から本願発明の作用効果を予測することは困難である旨主張している。
d しかしながら、引用文献3の段落【0020】には、中心JIS-C硬度と表面JIS-C硬度との差を特定の範囲内とすることにより適切な反発性及び打球感を得られるコアの材料として、公知の材料を用いることができる旨記載されており、該記載に接した当業者ならば、コアの中心JIS-C硬度と表面JIS-C硬度との差を特定の範囲内とすることが、特定の分子構造・架橋構造を有するポリブタジエンに限定されるものではないと、当然認識するものである。
したがって、引用発明のゴム組成物の加熱成形物よりなる構成要素に対し、引用文献3に記載された技術事項を適用することに、格別の困難性は認められない。
上記のとおりであるから、上記出願人の主張は受け入れられない。

(エ)まとめ
上記(ア)ないし(ウ)に示したとおりであるから、<相違点1>?<相違点3>の各構成は、引用発明,引用文献2に記載の技術,引用文献3に記載の技術及び周知技術から、当業者が容易に想到することができたものであり、かつ<相違点1>?<相違点3>を備えた本件補正発明の奏する効果も、引用発明,引用文献2に記載の技術事項,引用文献3に記載の技術事項及び周知の技術事項がそれぞれ奏する効果から、当業者が予測し得たものに過ぎない。

(4)独立特許要件についてのまとめ
以上の通り、本件補正発明は、引用発明並びに引用文献2,3に記載の技術及び周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであり、
また本件補正後の明細書の記載は、特許法第36条第4項及び第6項第1号の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
すなわち、本件補正は平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反している。

3 補正却下の決定のまとめ
以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明の認定
上記「第2」で示したとおり、平成21年6月19日付けの手続補正は却下されることとなったので、本願の特許請求の範囲の請求項1ないし4に係る発明は、平成18年8月14日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記「第2 1(1)」において本件補正前の特許請求の範囲の請求項1として記載した次のとおりのものと認める。
「(a)シス1,4結合を60%以上有すると共に、1,2ビニル結合を2%以下有する希土類元素系触媒を用いて合成されたポリブタジエンであって、その25℃における5質量%トルエン溶液の粘度η(mPa・s)が600以下であり、そのムーニー粘度(ML_(1+4)(100℃))をAとし、かつその重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)をBとしたとき、10×B+5≦A≦10×B+60の関係を満足するポリブタジエン20?100質量%と、(b)上記(a)成分以外のジエン系ゴム0?80質量%とを配合する基材ゴム100質量部に対して、
(c)不飽和カルボン酸及び/又はその金属塩 10?60質量部、
(d)有機硫黄化合物 0.1?5質量部、
(e)無機充填剤 5?80質量部、
(f)有機過酸化物 0.1?5質量部
を配合したゴム組成物の加熱成形物であって、その中心JIS-C硬度と表面JIS-C硬度との差が15より大きくかつ18以下である加熱成形物を構成要素とすることを特徴とするゴルフボール。」(以下「本願発明」という。)

2 特許法第36条第4項及び第6項第1号、同法第29条第2項違反
(1)特許法第36条第6項第1号違反
ア 本願の特許請求の範囲の請求項1には、「ゴム組成物の加熱成形物であって、その中心JIS-C硬度と表面JIS-C硬度との差が15より大きくかつ18以下」という記載がある。
したがって、上記「第2 2(1)ア」と同様の理由により、本願の特許請求の範囲の請求項1ないし4は、本願明細書の発明の詳細な説明に記載したものではなく、特許法第36条第6号第1項に規定された要件(サポート要件)を満たさない。

イ 本願の特許請求の範囲の請求項1には、「そのムーニー粘度(ML_(1+4)(100℃))をAとし、かつその重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)をBとしたとき、10×B+5≦A≦10×B+60の関係を満足するポリブタジエン」と記載されている。
したがって、上記「第2 2(1)イ」と同様の理由により、本願の特許請求の範囲の請求項1ないし4は、本願明細書の発明の詳細な説明に記載したものではなく、特許法第36条第6号第1項に規定された要件(サポート要件)を満たさない。

ウ 本願の特許請求の範囲の請求項2には、「上記(a)成分のポリブタジエンが、そのムーニー粘度(ML_(1+4)(100℃))をAとし、かつその25℃における5質量%トルエン溶液の粘度をη(mPa・s)としたとき、η≧20×A-600の関係を満足するもの」と記載されている。
一方、本願明細書の発明の詳細な説明には、上記記載における「η≧20×A-600」という数式による数値限定に入るポリブタジエンが、ポリブタジエン分子のリニアリティ(線状性)が高いので、より優れた反発性を付与するものであることが記載されている(段落【0015】参照。)ものの、「η≧20×A-600」という数式による数値限定が、特に優れた反発性を付与するものであると当業者に理解できる記載は、実施例中に具体例とした挙げたものを除いて、本願の発明の詳細な説明中にはない。
しかしながら、本願の発明の詳細な説明において、「η≧20×A-600」という数式による数値限定の範囲内となるポリブタジエンの具体例を開示したものは、段落【0062】中に示された
「○4 ポリブタジエン:JSR社製試作グレード HCBN-4
○5 ポリブタジエン:JSR社製試作グレード HCBN-2」
のわずか2例のみにすぎない。
そして、本願の発明の詳細な説明には、上記○4?○5以外にも○1?○3及び○6?○7にて示されるポリブタジエンが記載されており(特に段落【0062】参照。)、ML_(1+4)(100℃)-η平面において、上記○4?○5のポリブタジエンとそれ以外のポリブタジエンとの間に、上記数式による数値限定以外にも様々な境界となる直線、曲線が引くことができることは、当業者ならずとも自明の事項である。
したがって、本願の発明の詳細な説明に記載された上記2例から、上記数式により数値限定された範囲内のポリブタジエンが全て上記2例と同等の効果を奏するものとは、当業者といえども把握できるものではない。
よって、本願の特許請求の範囲の請求項2ないし4は、本願明細書の発明の詳細な説明に記載したものではなく、特許法第36条第6号第1項に規定された要件(サポート要件)を満たさない。

(2)特許法第36条第4項違反
本願の特許請求の範囲の請求項1には「そのムーニー粘度(ML_(1+4)(100℃))をAとし、かつその重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)をBとしたとき、10×B+5≦A≦10×B+60の関係を満足するポリブタジエン」と記載されているが、これに対応する本願明細書の発明の詳細な説明は、段落【0062】に示されている4例の「試作グレード」のみである。
よって、上記「第2 2(2)」と同様の理由により、本願の特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された「そのムーニー粘度(ML_(1+4)(100℃))をAとし、かつその重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)をBとしたとき、10×B+5≦A≦10×B+60の関係を満足するポリブタジエン」を用いたゴルフボールは、本願明細書の発明の詳細な説明から当業者が実施することができたものであるとは認められない。

(3)特許法第29条第2項違反
ア 引用文献
本願出願前に頒布された刊行物であって、当審の拒絶理由に引用された引用文献1ないし3及びその記載事項は、前記「第2 2(3)イ」に記載されたとおりである。

イ 対比・判断
本願発明は、上記「第2 2(3)ア」に示した本件補正発明に対して
(ア)「(a)シス1,4結合を96%以上有すると共に」とあったものを「(a)シス1,4結合を60%以上有すると共に」としてその数値範囲を拡大し、
(イ)「その25℃における5質量%トルエン溶液の粘度η(mPa・s)が200?500であり、」とあったものを「その25℃における5質量%トルエン溶液の粘度η(mPa・s)が600以下であり、」としてその数値範囲を拡大し、
(ウ)「2種以上の異なる有機過酸化物」とあったものを「有機過酸化物」としてその限定を省いたものに相当する。
そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに他の要件を付加したものに相当する本件補正発明が、前記「第2 2(3)」に記載したとおり、引用発明,引用文献2に記載の技術事項,引用文献3に記載の技術事項及び周知の技術事項から、当業者が容易に想到することができたものであるから、本願発明も同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものである。

3 むすび
以上のとおり、本願明細書の記載は、特許法第36条第4項及び第6項第1号の要件を満たしておらず、特許を受けることができないものである。また本願発明は、引用発明並びに引用文献2に記載の技術事項,引用文献3に記載の技術事項及び周知の技術事項から、当業者が容易に想到することができたに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願出願の特許請求の範囲の請求項2?4に係る発明の進歩性について検討するまでもなく、本願は拒絶を免れない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-10-20 
結審通知日 2009-10-21 
審決日 2009-11-05 
出願番号 特願2001-163174(P2001-163174)
審決分類 P 1 8・ 536- WZ (A63B)
P 1 8・ 575- WZ (A63B)
P 1 8・ 537- WZ (A63B)
P 1 8・ 121- WZ (A63B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小齊 信之  
特許庁審判長 長島 和子
特許庁審判官 上田 正樹
菅野 芳男
発明の名称 ゴルフボール  
代理人 小島 隆司  
代理人 石川 武史  
代理人 小林 克成  
代理人 重松 沙織  

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