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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04N |
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管理番号 | 1209166 |
審判番号 | 不服2008-15394 |
総通号数 | 122 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2010-02-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2008-06-18 |
確定日 | 2009-12-24 |
事件の表示 | 特願2004-371465「画像処理装置」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 7月 6日出願公開、特開2006-180222〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続きの経緯 本願は、平成16年12月22日に出願されたものであって、平成19年8月29日付け拒絶理由通知に対して平成19年11月2日付けで手続補正がなされたが、平成20年5月13日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成20年6月18日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに同年同月同日に手続補正がなされたものである。 第2 手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成20年6月18日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1.補正後の本願発明 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、 「【請求項1】 原稿を読み取る原稿読取部と、 前記原稿読取部で読み取って得られた読取データをカラー画像データに変換するカラー画像処理部と、 前記原稿読取部で読み取って得られた読取データを白黒画像データに変換する白黒画像処理部と、 前記カラー画像データおよび前記白黒画像データの両方を蓄積するメモリと、 前記メモリに蓄積されたカラー画像データまたは白黒画像データを外部装置へ送信する送信部と、 前記送信部より送信する相手先の外部装置とこの相手先への送信形式とを対応付けた送信形式テーブルと、 前記相手先の外部装置の指定を受け付ける送信先受付手段と、 前記送信先受付手段で受け付けた送信先への前記送信形式が前記送信形式テーブルを参照して決定されるとともに、この前記決定された送信形式に対応する前記カラー画像データまたは前記白黒画像データのいずれかを前記メモリより取り出して前記送信部へ送る送信画像取出手段とを含み、 前記カラー画像処理部および前記白黒画像処理部での処理が並行して行われることを特徴とする画像処理装置。」 と補正された。 2.補正の適否について 上記補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項について限定を付加するものであって、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下、「平成18年改正前特許法」という。)第17条の2第4項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか、すなわち平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するかどうかについて以下に検討する。 3.引用刊行物 原審が拒絶の理由に引用した特開2002-247388号公報(以下、「引用刊行物」という。)には、図面とともに次の各記載がある。 (ア) 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、LAN(Local Area Network)、インターネット網などの通信網に接続されてファクシミリ送受信と電子メール送受信を行うことができるインターネット・ファクシミリ装置に係り、特に白黒原稿データをファクシミリ送信する送信プロトコルを備えると共にカラースキャナ機能を具備したインターネット・ファクシミリ装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】近年、インターネット・ファクシミリ装置が市販されてきており、電話回線によるインターネット網、社内LANなどに接続して、ファクシミリ通信および電子メールの送受信が可能になっている。 【0003】すなわち、図13に示す概略説明図のように、インターネット・ファクシミリ装置1において、ファクシミリ通信の送受信は、電話回線2にて各電話局2a、2bを介して相手側のインターネット・ファクシミリ装置3にデータ伝送が行われ、また電子メールの送受信はLAN4を介して相手側のインターネット・ファクシミリ装置3に通信されるという通信形態が構築されており、インターネット・ファクシミリ装置1、3間でファクシミリ伝送および電子メールの送受信を行うことができる。 ・・・(中略)・・・ 【0006】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、現在のインターネット・ファクシミリ装置では、通常、スキャナ機能として電子メールでの送信を考慮してカラー画像を読み取ることができるカラースキャナを搭載しているが、コスト面の問題から、ファクシミリ機能として白黒原稿データを送信できるもの、プロッタ機能として白黒印字出力ができるものが搭載されているものがある。 【0007】ここで問題となるのが、使用者がカラースキャナによってカラー画像データを取り込んだ場合における該カラー画像データの取り扱いであって、インターネット・ファクシミリ装置においては白黒原稿データをファクシミリ送信する送信プロトコルしか具備していないため、カラー画像データをファクシミリ送信することができず、送信できない状態を使用者が故障であると認識してしまうことがある。 さらに、前記インターネット・ファクシミリ装置によりカラー画像データを受信することができても、プロッタが白黒印字しか行えないものであるため、受信状態にあっても印字出力が行われず、使用者が故障であると認識してしまうことがある。 【0008】本発明の目的は、前記従来の課題を解決し、白黒原稿データのみに対応した送信プロトコルを備えたインターネット・ファクシミリ装置において、使用者に対してカラー画像データの取り扱い上の不具合を生じさせないようにすることにある。」 (イ) 「【0013】請求項5記載の発明は、カラー画像を読取可能なスキャナ部と、白黒原稿データをファクシミリ送信する送信プロトコルを備えたファクシミリ制御部と、白黒印字出力部と、画像メモリとを備え、LANあるいはインターネット網などの通信網に接続されるインターネット・ファクシミリ装置であって、カラー画像データと白黒画像データとが混在しているデータを送信するとき、データの送信先のアドレスを判断し、アドレスが電子メール・アドレスの場合に、カラー画像データと白黒画像データとの両方を送信させ、送信先がファクシミリ・アドレスの場合に、白黒画像データのみを送信させる制御部を備えたことを特徴とし、この構成によって、全文書転送の場合に、宛先により画像データを自動的に選択して送ることによって、多くの画像データを可能な限り送ることができる。」 (ウ) 「【0021】図1は本発明の実施形態を説明するためのインターネット・ファクシミリ装置の基本構成を示すブロック図であり、11はカラーおよび白黒の原稿情報を読み取って画像データを出力するカラースキャナ、12は、原稿セット部に原稿があるか否か、あるいは原稿のジャムなどを検知する原稿センサ、13は画像データに基づいて印字出力する白黒印字型のプロッタ、14は、用紙セット部に用紙があるか否か、あるいは用紙のジャムなどを検知する用紙センサ、15は、装置の設定状態,動作状態、あるいは操作ガイダンスなどを表示すると共に、装置に対する各種モードの設定、操作に関する入力を行う操作表示部、16は画像データを蓄積するための画像メモリ、17はファクシミリ番号(ファクシミリ・アドレスデータ)、電子メール宛先(電子メール・アドレスデータ)、相手先の名前などのパラメータを蓄積するパラメータメモリ、18はパラメータメモリ17のバックアップ用のバッテリ、19は送信時などに用いられる時計回路である。 【0022】さらに、20は電子メールの通信制御を行うLAN通信制御部、21は、回線の捕捉、発信先電話番号である選択信号の送出、着信の検出などにより、所定の発呼動作および着信動作を行う網制御部、22は、画像データを変復調して伝送すると共に、所定のプロトコル(本例では白黒原稿データをファクシミリ送信する送信プロトコル)における各種手順信号を伝送するモデム、23は、網制御部21とモデム22を制御してプロトコルによりファクシミリ通信の通信制御を行う通信制御部、24は、画像データの各種処理、例えば符号化および受信した文書の復号化を行う符号化復号化処理、あるいはカラー画像データの白黒画像データへの変換処理などを実行するデータ処理部、25は各種のジョブ(例えばファクシミリ・ジョブ,電子メール・ジョブ、LANジョブなど)の管理/制御,本装置の各部の管理/制御を行い所定の動作を実行させるCPU(中央演算処理部)、26は本装置の動作に必要なプログラムが格納されているメモリであるROM、27はプログラムを動作させる上で必要なデータを格納するメモリであるRAM、28は、英字、数字、カナ文字、記号および漢字などの各文字フォントデータを記憶しているキャラクタジェネレータ、29は各部におけるデータの授受を行うためのシステムバスである。」 上記(イ)と(ウ)とを総合すると、これらには、アドレスが電子メール・アドレスの場合に、カラー画像データと白黒画像データとの両方を送信させ、送信先がファクシミリ・アドレスの場合に、白黒画像データを送信するものであって、電子メールの通信制御を行うLAN通信制御部と、ファクシミリ通信の通信制御を行う通信制御部が記載されている。 (エ) 「【0030】図5は本発明に係る図1に示すインターネット・ファクシミリ装置の第4実施形態における画像データの通信制御に係るフローチャートであって、CPU25は、カラースキャナ11などによってカラー画像データが取り込まれ、画像メモリ16にデータ蓄積されているとき(S51)、使用者によりFAX送信が設定され、FAX宛先が入力されたことを認識した場合(S52のYES)、データ処理部24において画像データ処理を行わせ、画像メモリ16に蓄積されたカラー画像データを白黒画像データに変換させ(S53)、通信制御部23によりFAX宛先へ送信するようにする(S54)。 【0031】すなわち、本実施形態では、カラー画像データを蓄積した後でも、それを白黒画像データに変換することにより、カラー画像データを無効にすることなくカラー画像データのFAX送信が可能になる。変換するタイミングとしては、データ蓄積のときに同時に変換して画像メモリ16に記憶する方法と、送信時に画像メモリ16から読み出した画像データを変換する方法などが考えられる。後者の送信時に変換する方法であると、電子メールとFAXの宛先に同時送信時に、電子メールで送るときはカラー画像データを送信し、FAXで送るときには白黒画像データを送信することが可能になる。 【0032】図6は本発明に係る図1に示すインターネット・ファクシミリ装置の第5実施形態における画像データの通信制御に係るフローチャートであって、CPU25は、例えば全文書転送(全文書転送とはメモリに蓄積されている送信,受信画像をすべて指定された宛先に送る機能であって、自機のFAX機能に支障が発生した場合に、別のFAXなどで画像を確認したい場合などに使用される)モードが設定された場合(S61)、使用者によりファクシミリ(FAX)送信が設定され、FAX宛先が入力されたことを認識した場合(S62のYES)、文書のデータをすべて検索して(S63)、白黒画像データのみを抽出し(S64のYES)、FAX送信させるようにする(S65)。また、電子メール宛先が入力されたことを認識した場合(S62のNO)、カラー画像データと白黒画像データとを含む全文書データを電子メールで転送させるようにする(S66)。 【0033】すなわち、本実施形態では、カラー画像データと白黒画像データとが混在しているデータを送信するとき、データの送信先のアドレスを判断し、アドレスが電子メール・アドレスの場合に、カラー画像データと白黒画像データとの両方を送信させ、送信先がFAX・アドレスの場合に、白黒画像データのみを送信させることができ、例えば前記全文書転送の場合に、宛先により画像データを自動的に選択して送ることによって、多くの画像データを可能な限り送ることができる。」 補足すると、上記(エ)には、カラースキャナによって取り込まれたカラー画像データをデータ蓄積する際に、白黒画像データに同時に変換して画像メモリに記憶する点(段落【0031】参照)、データの送信先のアドレスを判断し、アドレスが電子メールアドレスの場合に、カラー画像データと白黒画像データとの両方を送信させ、送信先がFAXアドレスの場合に、白黒画像データのみを送信させる点(段落【0033】)が記載されている。 上記(ア)?(エ)の記載からみて、引用刊行物には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。 「原稿を読み取るカラースキャナと、 前記カラースキャナで読み取って得られた読取データを白黒画像データに変換するデータ処理部と、 カラー画像データおよび前記白黒データの両方を同時に蓄積する画像メモリと、 前記画像メモリに蓄積されたカラー画像データ及び白黒画像データを外部装置へ送信するLAN通信制御部と、 前記画像メモリに蓄積された白黒画像データを外部のファクシミリ装置に送信する通信制御を行う通信制御部と、 データの送信先のアドレスを判断し、電子メール宛先が入力された場合に、カラー画像データと白黒画像データとの両方を送信させ、FAX宛先が入力された場合に、白黒画像データのみを送信する手段とを備え、 画像メモリに蓄積するときに、カラースキャナで読み取られたカラー画像データを白黒画像データに同時に変換するインターネットファクシミリ装置。」 4.対比・判断 本願補正発明と引用発明とを対比する。 (1)引用発明の「カラースキャナ」、「データ処理部」、「画像メモリ」は、それぞれ本願補正発明の「原稿読取部」、「白黒画像処理部」、「メモリ」に相当する。 (2)引用発明の「LAN通信制御部」および「ファクシミリ装置に送信する通信制御を行う通信制御部」は、画像メモリに蓄積されたカラー画像または白黒画像を外部装置へ送信しているから、本願補正発明の「メモリに蓄積されたカラー画像データまたは白黒画像データを外部装置へ送信する送信部」に相当する。 (3)引用発明は、「データの送信先のアドレスを判断」して電子メールあるいはファクシミリ送信するものであり、そもそも、通信相手先装置が指定され特定されなければ通信は成立しないものであるから、引用発明が、ファクシミリ通信及びメール通信に関して、本願補正発明の「相手先の外部装置の指定を受け付ける送信先受付手段」と同様の機能を有していることは明らかである。 (4)引用発明は、カラー画像データおよび前記白黒画像データの両方を同時に画像メモリに蓄積するものであり、「データの送信先のアドレスを判断」して、前記画像メモリに記憶された画像データを電子メールあるいはファクシミリで送信するものであるから、引用発明は、本願補正発明の「送信先受付手段で受け付けた送信先へ、カラー画像データまたは白黒画像データのいずれかを画像メモリより取り出して送信部へ送る送信画像取出手段」の機能を備えている。 (5)引用発明の「インターネットファクシミリ装置」は、ファクシミリ送信機能とメール送信機能とを備え、原稿をカラースキャナで読み取り、その読み取ったカラー画像データを白黒画像データに変換する機能を備え、カラー画像データと白黒画像データを共に送信できる画像処理装置であるから、本願補正発明の「画像処理装置」に相当する。 そうすると、本願補正発明と引用発明とは、 「原稿を読み取る原稿読取部と、 前記原稿読取部で読み取って得られた読取データを白黒画像データに変換する白黒画像処理部と、 カラー画像データおよび前記白黒画像データの両方を蓄積するメモリと、 前記メモリに蓄積されたカラー画像データまたは白黒画像データを外部装置へ送信する送信部と、 前記相手先の外部装置の指定を受け付ける送信先受付手段と、 前記送信先受付手段で受け付けた送信先に応じて、前記カラー画像データまたは前記白黒画像データのいずれかを前記メモリより取り出して前記送信部へ送る送信画像取出手段とを含む、画像処理装置。」 である点において一致し、次の各点で相違する。 (相違点1) 本願補正発明は、原稿読取部で読み取って得られた読取データをカラー画像データに変換するカラー画像処理部を有していて、カラー画像処理部および白黒画像処理部での処理が並行して行われるのに対して、 引用発明は、カラースキャナで読み取った読み取りデータをカラー画像データに変換するとは明記されておらず、また、カラー画像処理と白黒画像処理とを並行して行うことが明記されていない点。 (相違点2) 本願補正発明は、相手先の外部装置と相手先への送信形式とを対応付けた送信形式テーブルを有していて、前記送信先受付手段で受け付けた送信先への前記送信形式が前記送信形式テーブルを参照して決定されるとともに、この前記決定された送信形式に対応する前記カラー画像データまたは前記白黒画像データのいずれかを前記メモリより取り出して前記送信部へ送るのに対して、 引用発明は、送信先受付手段で受け付けた送信先に応じて、カラー画像データまたは白黒画像データを送信部へ送るものの、送信先への送信形式が送信形式テーブルを参照して決定されることについては明記されていない点。 上記相違点1?2について以下検討する。 (相違点1について) 本願補正発明において、「読取データをカラー画像に変換する」ことには、本願明細書及び図2?3によれば、原稿読取部からの読取データであるRGB信号をYCrCb信号に変換することも含まれる。 しかし、RGB信号をそのままRGB信号として用いるか、これを変換したYCrCb信号として用いるかは、当業者が適宜決め得る設計的事項である。 それゆえ、カラースキャナで読み取られたカラー画像データを白黒画像データに同時に変換する引用発明において、読取データであるカラー信号がどのように取り扱われているかは不明であるが、白黒画像データへの変換と平行して、例えば、RGB信号をYCrCb信号に変換して用いることは、当業者が適宜なし得たことである。 したがって、相違点1は格別のものではない。 なお、本願補正発明の実施例では、RGB信号をYCrCb信号に変換した上でJPEGエンコード手段によりJPEG形式のカラー画像データを生成しているが、本願補正発明における「カラー画像処理部」には、JPEG形式に変換(圧縮)する構成を含まないものも含まれる。 (相違点2について) 送信相手先の外部装置を特定する識別番号と送信相手先への送信形式を記述した送信形式テーブルを参照して、相手先の送信形式を決定することは、周知技術である。例えば、平成21年5月14日付けの審尋に於いて、周知例として提示した特開平10-304207号公報には、送信先の送信形式を記憶した送信先情報記憶手段(本願補正発明の送信形式テーブルに相当)を備え、相手先の外部装置及び送信形式を決定することが記載されている(段落【0010】及び図4参照。)から、引用発明に上記周知技術を適用して、本願補正発明のように「送信部より送信する相手先の外部装置とこの相手先への送信形式とを対応付けた送信形式テーブルを備え、該送信テーブルを参照して相手先の送信形式を決定すること」は、当業者が適宜なし得ることである。 そして、本願補正発明の奏する効果は、引用発明の奏する効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。 したがって、本願補正発明は、引用刊行物に記載された発明及び周知技術とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 5.本件補正についてのむすび したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項の規定において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1.本願発明 平成20年6月18日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたから、本願の各請求項に係る発明は、平成19年11月2日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1から請求項5までに記載した事項により特定されるとおりのものと認められるところ、そのうち、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりである。 「【請求項1】 原稿を読み取る原稿読取部と、 前記原稿読取部で読み取って得られた読取データをカラー画像データに変換するカラー画像処理部と、 前記原稿読取部で読み取って得られた読取データを白黒画像データに変換する白黒画像処理部と、 前記カラー画像データおよび前記白黒画像データの両方を蓄積するメモリと、 前記メモリに蓄積されたカラー画像データまたは白黒画像データの出力形態の特定を受け付ける出力形態受付手段と、 前記出力形態受付手段で受け付けた出力形態に対応するカラー画像データまたは白黒画像データのいずれかを前記メモリより取り出す処理画像データ取出手段とを含み、 前記カラー画像処理部および前記白黒画像処理部での処理が並行して行われることを特徴とする画像処理装置。」 2.引用刊行物 原査定の拒絶の理由に引用された引用刊行物及びその記載事項は、前記「第2 3.引用刊行物」に記載したとおりである。 3.対比・判断 本願発明は、前記「第2 手続補正についての補正却下の決定」で検討した本願補正発明から、 「外部装置へ送信する送信部と、前記送信部より送信する相手先の外部装置とこの相手先への送信形式とを対応付けた送信形式テーブルと、前記相手先の外部装置の指定を受け付ける送信先受付手段と、前記送信先受付手段で受け付けた送信先への前記送信形式が前記送信形式テーブルを参照して決定されるとともに、この前記決定された送信形式に対応する前記カラー画像データまたは前記白黒画像データのいずれかを前記メモリより取り出して前記送信部へ送る送信画像取出手段」 という限定事項を省いたものである。 そうすると、本願発明を特定する事項をすべて含む本願補正発明が、前記「第2 4.対比・判断」に記載したとおり、引用刊行物に記載された発明と周知技術とに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用刊行物に記載された発明と周知技術とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 4.むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないので、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2009-10-21 |
結審通知日 | 2009-10-27 |
審決日 | 2009-11-09 |
出願番号 | 特願2004-371465(P2004-371465) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(H04N)
P 1 8・ 121- Z (H04N) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 豊田 好一 |
特許庁審判長 |
吉村 博之 |
特許庁審判官 |
千葉 輝久 加藤 恵一 |
発明の名称 | 画像処理装置 |
代理人 | 速水 進治 |