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審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1209444
審判番号 不服2009-12566  
総通号数 122 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-02-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-07-10 
確定日 2009-12-28 
事件の表示 特願2008-162654「携帯情報通信装置とともに用いる外部入出力ユニット」拒絶査定不服審判事件〔平成21年 1月 8日出願公開,特開2009-5359〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続きの経緯

本願は,平成17年12月21日(優先権主張平成16年12月24日)に出願した特願2006-277062号の一部を平成20年6月23日に新たな特許出願としたものであって,平成21年4月6日付けで拒絶査定がなされ,これに対して同年7月10日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに,同日付けで手続補正がなされたものである。


第2 平成21年7月10日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]

平成21年7月10日付けの手続補正(以下,「本件補正」という。)を却下する。


[補正却下の決定の理由]

(1)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の特許請求の範囲の記載は,平成20年11月5日付け手続補正により補正された,次のとおりである。

「【請求項1】
ユーザーがマニュアル操作によってデータを入力し,該入力データを後記データ処理手段へ送信する入力手段と;
後記データ処理手段からデジタル信号を受信し,インターネットプロトコルに準拠した無線信号に変換して送信するとともに,インターネットプロトコルに準拠した無線信号を受信し,デジタル信号に変換の上,後記データ処理手段へ送信する無線通信手段と;
後記データ処理手段を動作させるプログラムと後記データ処理手段で処理可能なデータファイルとを格納する記憶手段と;
前記入力手段から受信した入力データと前記記憶手段に格納されたプログラムとに基づき,前記無線通信手段から受信したデジタル信号に必要な処理を行い,リアルタイムでデジタル表示信号を生成するか,又は,自らが処理可能なデータファイルとして前記記憶手段に一旦格納し,その後読み出した上で処理することによりデジタル表示信号を生成する表示信号生成手段と,該表示信号生成手段が生成したデジタル表示信号に対して必要な処理を行い,又は,該デジタル表示信号に基づいて必要な処理を行い,処理後のデジタル表示信号を送信する表示補助手段とを有するデータ処理手段と;
画面を構成する各々の画素が駆動されることにより画像を表示するディスプレイパネルAと,前記表示補助手段から受信したデジタル表示信号に基づき前記ディスプレイパネルAの各々の画素を駆動するディスプレイ制御手段Aとから構成されるディスプレイ手段と;
を一体的に備え,単独でウェブブラウジング装置として使用可能な携帯情報通信装置であって,
外部ディスプレイ手段を伴う周辺装置が接続され,該周辺装置に対して,前記表示補助手段から受信したデジタル表示信号に基づき,外部表示信号を送信するインターフェース手段A1を一体的に備え,
前記表示補助手段は,前記処理後のデジタル表示信号を,前記ディスプレイ制御手段Aと前記インターフェース手段Aの双方へ送信する,又は,前記ディスプレイ制御手段Aと前記インターフェース手段Aのいずれか一方へ振り分けて送信する機能を有する,
ことを特徴とする携帯情報通信装置。
【請求項2】
前記無線通信手段と前記表示信号生成手段とが相俟って,インターネットに接続したウェブサーバから画像データを取得する機能を実現し,
前記表示信号生成手段は,前記入力手段から受信した入力データと前記記憶手段に格納されたプログラムとに基づき,前記ウェブサーバから取得した画像データに必要な処理を行い,リアルタイムでデジタル表示信号を生成するか,又は,自らが処理可能な画像データファイルとして前記記憶手段に一旦格納し,その後読み出した上で処理することによりデジタル表示信号を生成する機能を有する,
ことを特徴とする,請求項1に記載の携帯情報通信装置。
【請求項3】
ユーザーがマニュアル操作によってデータを入力し,該入力データを後記データ処理手段へ送信する入力手段と;
アナログテレビ放送信号,デジタルテレビ放送信号,携帯テレビ電話信号のうちの少なくとも1つの無線信号(以下,テレビ信号と略記する)を受信し,デジタル動画信号に変換の上,前記データ処理手段へ送信する無線通信手段と;
後記データ処理手段を動作させるプログラムと後記データ処理手段で処理可能なデータファイルとを格納する記憶手段と;
前記入力手段から受信した入力データと前記記憶手段に格納されたプログラムとに基づき,前記無線通信手段から受信したデジタル動画信号に必要な処理を行い,リアルタイムでデジタル表示信号を生成するか,又は,自らが処理可能な画像データファイルとして前記記憶手段に一旦格納し,その後読み出した上で処理することによりデジタル表示信号を生成する表示信号生成手段と,該表示信号生成手段が生成したデジタル表示信号に対して必要な処理を行い,又は,該デジタル表示信号に基づいて必要な処理を行い,処理後のデジタル表示信号を送信する表示補助手段とを有するデータ処理手段と;
画面を構成する各々の画素が駆動されることにより画像を表示するディスプレイパネルAと,前記表示補助手段から受信したデジタル表示信号に基づき前記ディスプレイパネルAの各々の画素を駆動するディスプレイ制御手段Aとから構成されるディスプレイ手段と;を一体的に備え,単独でテレビ受像装置として使用可能な携帯情報通信装置であって,外部ディスプレイ手段を伴う周辺装置が接続され,該周辺装置に対して,前記表示補助手段から受信したデジタル表示信号に基づき,外部表示信号を送信するインターフェース手段A1を一体的に備え,
前記表示補助手段は,前記処理後のデジタル表示信号を,前記ディスプレイ制御手段Aと前記インターフェース手段Aの双方へ送信する,又は,前記ディスプレイ制御手段Aと前記インターフェース手段Aのいずれか一方へ振り分けて送信する機能を有する,
ことを特徴とする携帯情報通信装置。
【請求項4】
ユーザーがマニュアル操作によってデータを入力し,該入力データを後記データ処理手段へ送信する入力手段と;
被写体からの撮像光を受光してCCD,CMOSセンサー等の撮像素子によって画素ごとの電気信号(以下,撮像電気信号と略記する)に変換し,該電気信号をさらにデジタル動画信号に変換の上,後記データ処理手段へ送信する撮像手段と;
後記データ処理手段を動作させるプログラムと後記データ処理手段で処理可能なデータファイルとを格納する記憶手段と;
前記入力手段から受信した入力データと前記記憶手段に格納されたプログラムとに基づき,前記撮像手段から受信したデジタル動画信号に必要な処理を行い,リアルタイムでデジタル表示信号を生成するか,又は,自らが処理可能な画像データファイルとして前記記憶手段に一旦格納し,その後読み出した上で処理することによりデジタル表示信号を生成する表示信号生成手段と,該表示信号生成手段が生成したデジタル表示信号に対して必要な処理を行い,又は,該デジタル表示信号に基づいて必要な処理を行い,処理後のデジタル表示信号を送信する表示補助手段とを有するデータ処理手段と;
画面を構成する各々の画素が駆動されることにより画像を表示するディスプレイパネルAと,前記表示補助手段から受信したデジタル表示信号に基づき前記ディスプレイパネルAの各々の画素を駆動するディスプレイ制御手段Aとから構成されるディスプレイ手段と;を一体的に備え,単独でデジタルビデオカメラ及び/又はデジタルカメラとして使用可能な携帯情報通信装置であって,
外部ディスプレイ手段を伴う周辺装置が接続され,該周辺装置に対して,前記表示補助手段から受信したデジタル表示信号に基づき,外部表示信号を送信するインターフェース手段A1を一体的に備え,
前記表示補助手段は,前記処理後のデジタル表示信号を,前記ディスプレイ制御手段Aと前記インターフェース手段Aの双方へ送信する,又は,前記ディスプレイ制御手段Aと前記インターフェース手段Aのいずれか一方へ振り分けて送信する機能を有する,
ことを特徴とする携帯情報通信装置。
【請求項5】
ユーザーがマニュアル操作によってデータを入力し,該入力データを後記データ処理手段へ送信する入力手段と;
GPS(Global Positioning System)衛星から送信される電波信号(以下,GPS信号と略記する)を受信し,デジタルGPS信号に変換の上,後記データ処理手段へ送信する無線通信手段と;
後記データ処理手段を動作させるプログラムと後記データ処理手段で処理可能なデータファイルとを格納する記憶手段と;
前記入力手段から受信した入力データと前記記憶手段に格納されたプログラムとに基づき,前記無線通信手段から受信したデジタルGPS信号と地図情報を含む画像データとを処理することにより,自らの現在位置情報を含む地図画像(以下,自位置地図画像と略記する)のデジタル表示信号を生成する表示信号生成手段と,該表示信号生成手段が生成したデジタル表示信号に対して必要な処理を行い,又は,該デジタル表示信号に基づいて必要な処理を行い,処理後のデジタル表示信号を送信する表示補助手段とを有するデータ処理手段と;
画面を構成する各々の画素が駆動されることにより画像を表示するディスプレイパネルAと,前記表示補助手段から受信したデジタル表示信号に基づき前記ディスプレイパネルAの各々の画素を駆動するディスプレイ制御手段Aとから構成されるディスプレイ手段と;を一体的に備え,単独で自位置地図画像表示装置として使用可能な携帯情報通信装置であって,
外部ディスプレイ手段を伴う周辺装置が接続され,該周辺装置に対して,前記表示補助手段から受信したデジタル表示信号に基づき,外部表示信号を送信するインターフェース手段A1を一体的に備え,
前記表示補助手段は,前記処理後のデジタル表示信号を,前記ディスプレイ制御手段Aと前記インターフェース手段Aの双方へ送信する,又は,前記ディスプレイ制御手段Aと前記インターフェース手段Aのいずれか一方へ振り分けて送信する機能を有する,
ことを特徴とする携帯情報通信装置。
【請求項6】
前記データ処理手段は,以下の(1)?(3)の少なくともいずれか一つの機能を有し,前記インターフェース手段A1は,前記データ処理手段から受信した高解像度画像(解像度が前記ディスプレイパネルAの画面解像度より大きい画像)のデジタル表示信号に基づき,高解像度画像の外部表示信号を送信する機能を有する,
ことを特徴とする,請求項2乃至5のいずれか一項に記載の携帯情報通信装置。
(1)前記画像データ,前記テレビ信号,前記撮像電気信号,前記「地図情報を含む画像データ」又は前記画像データファイルの本来解像度が前記ディスプレイパネルAの画面解像度より大きい場合に,「前記画像データ,前記テレビ信号,前記撮像電気信号,前記『地図情報を含む画像データ』又は前記画像データファイルの本来画像」のデジタル表示信号を生成し,前記インターフェース手段A1へ送信する機能
(2)前記画像データ,前記テレビ信号,前記撮像電気信号,前記「地図情報を含む画像データ」又は前記画像データファイルの本来解像度が前記ディスプレイパネルAの画面解像度より大きい場合に,「前記画像データ,前記テレビ信号,前記撮像電気信号,前記『地図情報を含む画像データ』又は前記画像データファイルの本来画像から画素が間引かれているが,解像度は前記ディスプレイパネルAの画面解像度より大きい画像」のデジタル表示信号を生成し,前記インターフェース手段A1へ送信する機能
(3)前記画像データ,前記テレビ信号,前記撮像電気信号,前記「地図情報を含む画像データ」又は前記画像データファイルの本来解像度が前記ディスプレイパネルAの画面解像度を上回らない場合に,「前記画像データ,前記テレビ信号,前記撮像電気信号,前記『地図情報を含む画像データ』又は前記画像データファイルの本来画像に画素を補間することによって,解像度を前記ディスプレイパネルAの画面解像度より大きくした画像」のデジタル表示信号を生成し,前記インターフェース手段A1へ送信する機能
【請求項7】
外部入力手段を伴う周辺装置が接続され,該周辺装置から外部入力データを受信し,必要な変換をした上で前記データ処理手段へ送信するインターフェース手段A2を一体的に備え,
前記表示信号生成手段は,前記インターフェース手段A2経由で受信した外部入力データと前記記憶手段に格納されたプログラムとに基づき,前記無線通信手段から受信したデジタル信号,前記ウェブサーバから取得した画像データ,前記無線通信手段から受信したデジタル動画信号,前記撮像手段から受信したデジタル動画信号,又は,前記無線通信手段から受信したデジタルGPS信号と地図情報を含む画像データに必要な処理を行い,リアルタイムでデジタル表示信号を生成するか,又は,自らが処理可能なデータファイルとして前記記憶手段に一旦格納し,その後読み出した上で処理することによりデジタル表示信号を生成する機能を有する,
ことを特徴とする,請求項1乃至6のいずれか一項に記載の携帯情報通信装置。
【請求項8】
外部記憶手段を伴う周辺装置が接続され,該外部記憶手段との間でデータのやり取りを行うためのインターフェース手段A3を一体的に備え,
前記データ処理手段は,該外部記憶装置にアクセスしてデータを書き込む機能及び/又はデータを読み出す機能を有する,
ことを特徴とする,請求項7に記載の携帯情報通信装置。
【請求項9】
内蔵充電池と,
該内蔵充電池に充電するための充電用端子ACと,
を備えることを特徴とする,請求項7又は8に記載の携帯情報通信装置。
【請求項10】
請求項7に記載の携帯情報通信装置とともに使用され,
該携帯情報通信装置と「外部ディスプレイ装置及び外部入力装置」との間で,「外部入力データ及び該外部入力データに従って生成された外部表示信号」のやり取りを媒介する接続ユニットであって,
該携帯情報通信装置のインターフェース手段A1と接続され,該インターフェース手段A1から外部表示信号を受信し,必要な変換をした上で後記インターフェース手段C1へ送信するインターフェース手段B1と;
該携帯情報通信装置のインターフェース手段A2と接続され,該インターフェース手段A2に対して,後記インターフェース手段C2経由で受信した外部入力データを必要な変換をした上で送信するインターフェース手段B2と;
外部ディスプレイ装置が接続され,該外部ディスプレイ装置に対して,前記インターフェース手段B1経由で受信した外部表示信号を必要な変換をした上で送信するインターフェース手段C1と;
外部入力装置が接続され,該外部入力装置から外部入力データを受信し,必要な変換をした上で前記インターフェース手段B2へ送信するインターフェース手段C2と;
を一体的に備える,
ことを特徴とする接続ユニット。
【請求項11】
請求項7に記載の携帯情報通信装置と;
請求項10に記載の接続ユニットと,
から構成され,
「インターフェース部A1とインターフェース部B1」と「インターフェース部A2とイ
ンターフェース部B2」とが,以下の(A)又は(B)の方法で接続される,
ことを特徴とするコンピュータシステム。
(A)インターフェース部A1の端子部とインターフェース部A2の端子部とが一体的な端子部Aを形成し,インターフェース部B1の端子部とインターフェース部B2の端子部とが一体的な端子部Bを形成し,該端子部Aと該端子部Bとが,直接の接触又は有線接続で接続される
(B)「インターフェース部A1とインターフェース部B1」と「インターフェース部A2とインターフェース部B2」とが,それぞれ別個に,端子部の直接の接触,端子部の有線接続,又は,無線通信で接続される
【請求項12】
請求項8に記載の携帯情報通信装置とともに使用され,
該携帯情報通信装置と「外部ディスプレイ装置及び外部入力装置」との間で,「外部入力データ及び該外部入力データに従って生成された外部表示信号」のやり取りを媒介する接続ユニットであって,
後記インターフェース手段B3経由でデータの書き込み及び/又は読み出しが行われる外部記憶手段と;
該携帯情報通信装置のインターフェース手段A3と接続され,前記外部記憶手段との間でデータがやり取りされるインターフェース手段B3と;
を一体的に備える,
ことを特徴とする,請求項10に記載の接続ユニット。
【請求項13】
請求項9に記載の携帯情報通信装置とともに使用され,
該携帯情報通信装置と「外部ディスプレイ装置及び外部入力装置」との間で,「外部入力データ及び該外部入力データに従って生成された外部表示信号」のやり取りを媒介する接続ユニットであって,
直流電力供給手段と;
前記充電用端子ACと接続され,前記直流電力供給手段からの直流電力を前記内蔵充電池に供給する充電用端子BCと;
を一体的に備える,
ことを特徴とする,請求項10又は12に記載の接続ユニット。
【請求項14】
前記インターフェース手段B1経由で受信した外部表示信号を,前記インターフェース手段C1に接続された外部ディスプレイ装置の画面解像度及び/又は走査方式に適合した表示信号に変換するスキャンコンバート手段を備えたことを特徴とする,請求項10,12又は13に記載の接続ユニット。
【請求項15】
請求項7に記載の携帯情報通信装置とともに使用され,
該携帯情報通信装置との間で,「外部入力データ及び該外部入力データに従って生成された外部表示信号」のやり取りを行う外部入出力ユニットであって,
ユーザーがマニュアル操作によってデータを入力し,該外部入力データを後記インターフェース手段D2へ送信する外部入力手段と;
画面を構成する各々の画素が駆動されることにより画像を表示するディスプレイパネルDと,後記インターフェース手段D1経由で受信した外部表示信号に基づき前記ディスプレイパネルDの各々の画素を駆動するディスプレイ制御手段Dとから構成される外部ディスプレイ手段と;
前記携帯情報通信装置のインターフェース手段A1と接続され,該インターフェース手段A1から外部表示信号を受信し,必要な変換をした上で前記ディスプレイ制御手段Dへ送信するインターフェース手段D1と;
前記携帯情報通信装置のインターフェース手段A2と接続され,該インターフェース手段A2に対して,前記外部入力手段から受信した外部入力データを必要な変換をした上で送
信するインターフェース手段D2と;
を一体的に備える,
ことを特徴とする外部入出力ユニット。
【請求項16】
請求項7に記載の携帯情報通信装置と;
請求項15に記載の外部入出力ユニットと,
から構成され,
「インターフェース部A1とインターフェース部D1」と「インターフェース部A2とインターフェース部D2」とが,以下の(A’)又は(B’)の方法で接続される,
ことを特徴とするコンピュータシステム。
(A’)インターフェース部A1の端子部とインターフェース部A2の端子部とが一体的な端子部Aを形成し,インターフェース部D1の端子部とインターフェース部D2の端子部とが一体的な端子部Dを形成し,該端子部Aと該端子部Dとが,直接の接触又は有線接続で接続される
(B’)「インターフェース部A1とインターフェース部D1」と「インターフェース部A2とインターフェース部D1」とが,それぞれ別個に,端子部の直接の接触,端子部の有線接続,又は,無線通信で接続される
【請求項17】
請求項8に記載の携帯情報通信装置とともに使用され,
該携帯情報通信装置との間で,「外部入力データ及び該外部入力データに従って生成された外部表示信号」のやり取りを行う外部入出力ユニットであって,
後記インターフェース手段D3経由でデータの書き込み及び/又は読み出しが行われる外部記憶手段Dと;
前記携帯情報通信装置のインターフェース手段A3と接続され,前記外部記憶手段Dとの間でデータのやり取りを行うインターフェース手段D3と;
を一体的に備える,
ことを特徴とする,請求項15に記載の外部入出力ユニット。
【請求項18】
請求項9に記載の携帯情報通信装置とともに使用され,
該携帯情報通信装置との間で,「外部入力データ及び該外部入力データに従って生成された外部表示信号」のやり取りを行う外部入出力ユニットであって,
直流電力供給手段と;
前記充電用端子ACと接続され,前記直流電力供給手段からの直流電力を前記内蔵充電池に供給する充電用端子DCと;
を一体的に備える,
ことを特徴とする,請求項15又は17に記載の外部入出力ユニット。
【請求項19】
前記インターフェース手段D1と前記ディスプレイ制御手段Dとが相俟って,該インターフェース手段D1経由で受信した外部表示信号を,前記ディスプレイパネルDの画面解像度及び/又は走査方式に適応した表示信号に変換するマルチスキャン機能を実現することを特徴とする,請求項15,17又は18のいずれか一項に記載の外部入出力ユニット。
【請求項20】
前記外部ディスプレイ手段が,ユーザーが該外部ディスプレイ手段を構成するディスプレイパネルDの表面を接触することによってデータを入力することのできるタッチパネル機能を有することを特徴とする,請求項15,又は,17乃至19のいずれか一項に記載の外部入出力ユニット。
【請求項21】
前記インターフェース手段D1を構成する回路と,前記インターフェース手段D2を構成する回路とを一体的な筐体の内部に納め,さらに,前記外部記憶手段Dと前記インターフェース手段D3とを備えた場合には,該外部記憶手段Dと該インターフェース手段D3を
構成する回路も該筐体の内部に納め,
該筐体の天面には外部入力手段を構成するキーを配置し,
該筐体の側面又は底面には,インターフェース手段D1を構成する端子部又は無線受信部と,インターフェース手段D2を構成する端子部又は無線受信部とを配置し,さらに,前記インターフェース手段D3を備えた場合には該インターフェース手段D3を構成する端子部又は無線受信部も配置するとともに,
前記ディスプレイパネルDを該筐体にヒンジ等で接続したことを特徴とする,請求項15,又は,請求項17乃至20のいずれか一項に記載の外部入出力ユニット。
【請求項22】
前記インターフェース手段D1を構成する回路と,前記インターフェース手段D2を構成する回路とを一体的な筐体の内部に納め,さらに,前記外部記憶手段Dと前記インターフェース手段D3とを備えた場合には,該外部記憶手段Dと該インターフェース手段D3を構成する回路も該筐体の内部に納め,
該筐体の天面にはディスプレイパネルDを配置し,
該筐体の側面又は底面には,インターフェース手段D1を構成する端子部又は無線受信部と,インターフェース手段D2を構成する端子部又は無線受信部とを配置し,さらに,前記インターフェース手段D3を備えた場合には該インターフェース手段D3を構成する端子部又は無線受信部も配置するとともに,
該筐体の天面における前記ディスプレイパネルDの額縁部には外部入力手段を構成するキーを配置したことを特徴とする,請求項15,又は,請求項17乃至20のいずれか一項に記載の外部入出力ユニット。」

(2)本件補正後の請求項1
本件補正後の請求項1の記載は,次のとおりである。

「【請求項1】
ユーザーがマニュアル操作によって入力したデータを後記データ処理手段に送信する入力手段と,
前記入力手段から送信されたデータに基づき,デジタル表示信号を生成して送信するデータ処理手段と,
画面を構成する各々の画素が駆動されることにより画像を表示するディスプレイパネルAと,前記データ処理手段から受信したデジタル表示信号に基づき前記ディスプレイパネルAの各々の画素を駆動するディスプレイ制御手段Aとから構成されるディスプレイ手段と,
外部ディスプレイ手段を備えるか,又は,外部ディスプレイ手段を接続するかする周辺装置を接続し,該周辺装置に対して,前記データ処理手段から受信したデジタル表示信号に基づき,外部表示信号を送信するインターフェース手段A1と,
外部入力手段を備えるか,又は,外部入力手段を接続するかする周辺装置を接続し,外部入力データを受信し,必要であれば変換を行った上で,前記データ処理手段に送信するインターフェース手段A2と,
を備えるとともに,
前記データ処理手段と前記インターフェース手段A1とが相俟って,該インターフェース手段A1から外部表示信号を送信する機能を実現し,
前記データ処理手段は,前記インターフェース手段A2から受信したデータを処理する機能を有する,
ことを特徴とする携帯情報通信装置とともに用いる外部入出力ユニットであって,
ユーザーがマニュアル操作によって入力した外部入力データを後記インターフェース手段D2に送信する外部入力手段と,
画面を構成する各々の画素が駆動されることにより画像を表示するディスプレイパネルDと,後記インターフェース手段D1経由で受信した外部表示信号に基づき前記ディスプレイパネルDの各々の画素を駆動するディスプレイ制御手段Dとから構成される外部ディスプレイ手段と,
前記携帯情報通信装置のインターフェース手段A1と接続され,該インターフェース手段A1から外部表示信号を受信するインターフェース手段D1と,
前記携帯情報通信装置のインターフェース手段A2と接続され,該インターフェース手段A2に外部入力データを送信するインターフェース手段D2と,
を備えたことを特徴とする外部入出力ユニット。」

(3)本件補正の適否
本件補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第1項第4号の規定に基づきされたものと認められ,当該規定については,同条第4項本文により同項各号に掲げる事項,すなわち,
1. 第36条第5項に規定する請求項の削除
2. 特許請求の範囲の減縮(第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであつて,その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)
3. 誤記の訂正
4. 明りようでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)
を目的とするものに限られているので,以下本件補正について検討する。

(3-1)特許請求の範囲の減縮に該当するか否かの判断

(3-1-1)本件補正前の請求項15についての補正
本件補正のうち,補正後の請求項1の記載を上記「(2)本件補正後の請求項1」のとおりとする部分(以下,「補正1」という。)は,本件補正前のいずれの請求項を補正したのか不明であるので,最初に補正前の請求項15を補正したものであるとすると,補正1は,少なくとも,補正前の「前記携帯情報通信装置のインターフェース手段A1と接続され,該インターフェース手段A1から外部表示信号を受信し,必要な変換をした上で前記ディスプレイ制御手段Dへ送信するインターフェース手段D1」を「前記携帯情報通信装置のインターフェース手段A1と接続され,該インターフェース手段A1から外部表示信号を受信するインターフェース手段D1」と変更し,補正前の「前記携帯情報通信装置のインターフェース手段A2と接続され,該インターフェース手段A2に対して,前記外部入力手段から受信した外部入力データを必要な変換をした上で送信するインターフェース手段D2」を「前記携帯情報通信装置のインターフェース手段A2と接続され,該インターフェース手段A2に外部入力データを送信するインターフェース手段D2」と変更するとともに,補正前の外部入出力ユニットが,外部入力手段と,外部ディスプレイ手段と,インターフェース手段D1と,インターフェース手段D2とを備える形態が,「一体的」である点を削除するものであるから,補正1は,補正前の請求項15に係る発明を特定するために必要な事項を限定するものではない。

(3-1-2)本件補正前の請求項16?21についての補正
次に,補正1は補正前の請求項16?21のいずれか1項を補正したものであるとすると,補正前の請求項16?21の記載はいずれも,補正前の請求項15の記載を引用しているから,上記「(3-1-1)」で指摘した内容と同じ理由により,補正1は,補正前の請求項16?21のいずれか1項に係る発明を特定するために必要な事項を限定するものではない。

(3-1-3)本件補正前の請求項1?9についての補正
補正前の請求項1における「周辺装置」は,携帯情報通信装置のインターフェース手段から外部表示信号を送信される点において,補正後の請求項1における「外部入出力ユニット」と対応するものの,補正前の請求項1記載の周辺装置と接続される携帯情報通信装置が,少なくとも「後記データ処理手段からデジタル信号を受信し,インターネットプロトコルに準拠した無線信号に変換して送信するとともに,インターネットプロトコルに準拠した無線信号を受信し,デジタル信号に変換の上,後記データ処理手段へ送信する無線通信手段」を備えているのに対して,補正後の請求項1記載の携帯情報通信装置は当該無線通信手段を備えていない。
そして,当該無線通信手段の有無によって,携帯情報通信装置のインターフェース手段から,周辺装置または外部入出力ユニットへ送信される外部表示信号の内容は異なるものと解されるから,補正後の請求項1に記載された「外部入出力ユニット」は,補正前の請求項1に記載された「周辺装置」を限定したものとはいえず,補正1は,補正前の請求項1,並びにこれを引用した請求項2及び6,のいずれか1項に係る発明を特定するために必要な事項を限定するものではない。
また,補正後の請求項1に記載された携帯情報通信装置は,補正前の請求項3に記載された「無線通信手段」,補正前の請求項4に記載された「撮像手段」,補正前の請求項5に記載された「無線通信手段」を備えていないから,補正1は,補正前の請求項3?5,及びこれらを引用した請求項6?9,のいずれか1項に係る発明を特定するために必要な事項を限定するものではない。

(3-1-4)本件補正前の請求項10?14についての補正
補正前の請求項10における「接続ユニット」は,携帯情報通信装置のインターフェース手段から外部表示信号を受信するインターフェース手段を備える点において,補正後の請求項1における「外部入出力ユニット」と対応するものの,当該受信インターフェース手段について,補正前の請求項10記載のものは「インターフェース手段A1から外部表示信号を受信し,必要な変換をした上で後記インターフェース手段C1へ送信する」のに対して,補正後の請求項1記載のものは,単に「インターフェース手段A1から外部表示信号を受信する」ものであるから,補正後の請求項1に記載された「インターフェース手段D1」は,補正前の請求項10に記載された「インターフェース手段B1」を限定したものとはいえず,補正1は,補正前の請求項10,及びこれを引用した請求項11?14,のいずれか1項に係る発明を特定するために必要な事項を限定するものではない。

(3-1-5)まとめ
よって,本件補正後の請求項1に記載された内容は,本件補正前の請求項1?22のいずれを限定したものでもないから,補正1は,特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当しない。

(3-2)その他の目的に該当するか否かの判断
補正1は,請求項の削除,誤記の訂正,または明りようでない記載の釈明のいずれをも目的としたものでないことは明らかである。

(3-3)補正の適否についてのむすび
したがって,本件補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3 本願の請求項1に係る発明

平成21年7月10日付けの手続補正は,上記のとおり却下されたので,本願の請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,平成20年11月5日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される,次のとおりのものである。

「ユーザーがマニュアル操作によってデータを入力し,該入力データを後記データ処理手段へ送信する入力手段と;
後記データ処理手段からデジタル信号を受信し,インターネットプロトコルに準拠した無線信号に変換して送信するとともに,インターネットプロトコルに準拠した無線信号を受信し,デジタル信号に変換の上,後記データ処理手段へ送信する無線通信手段と;
後記データ処理手段を動作させるプログラムと後記データ処理手段で処理可能なデータファイルとを格納する記憶手段と;
前記入力手段から受信した入力データと前記記憶手段に格納されたプログラムとに基づき,前記無線通信手段から受信したデジタル信号に必要な処理を行い,リアルタイムでデジタル表示信号を生成するか,又は,自らが処理可能なデータファイルとして前記記憶手段に一旦格納し,その後読み出した上で処理することによりデジタル表示信号を生成する表示信号生成手段と,該表示信号生成手段が生成したデジタル表示信号に対して必要な処理を行い,又は,該デジタル表示信号に基づいて必要な処理を行い,処理後のデジタル表示信号を送信する表示補助手段とを有するデータ処理手段と;
画面を構成する各々の画素が駆動されることにより画像を表示するディスプレイパネルAと,前記表示補助手段から受信したデジタル表示信号に基づき前記ディスプレイパネルAの各々の画素を駆動するディスプレイ制御手段Aとから構成されるディスプレイ手段と;
を一体的に備え,単独でウェブブラウジング装置として使用可能な携帯情報通信装置であって,
外部ディスプレイ手段を伴う周辺装置が接続され,該周辺装置に対して,前記表示補助手段から受信したデジタル表示信号に基づき,外部表示信号を送信するインターフェース手段A1を一体的に備え,
前記表示補助手段は,前記処理後のデジタル表示信号を,前記ディスプレイ制御手段Aと前記インターフェース手段A1の双方へ送信する,又は,前記ディスプレイ制御手段Aと前記インターフェース手段A1のいずれか一方へ振り分けて送信する機能を有する,
ことを特徴とする携帯情報通信装置。」

なお,上記「第2 (1)本件補正前の特許請求の範囲」で引用した【請求項1】には,「前記インターフェース手段A」と記載されているが,当該記載よりも前に記載されたインターフェース手段は,「インターフェース手段A1」のみであるから,当該記載は誤記であって「前記インターフェース手段A1」を意味するものと認め,本願発明を上記のように認定した。


第4 刊行物に記載された発明

原査定の拒絶の理由に引用された,本願優先日前に頒布された特開2002-314646号公報(平成14年10月25日公開,以下「刊行物」という。)には,図面とともに以下のような記載がある。

(ア)「【請求項1】電話網を介して通話可能な電話機であって,
テレビジョン受像機と接続するためのジャック端子,
少なくともメモリダイアル情報を含む入力情報を入力するために用いられ,操作キーを含む情報入力手段,
前記入力情報を記憶する入力情報メモリ,
前記入力情報の入力を指示する画面に対応する画面データを記憶する画面データメモリ,
前記画面データメモリから前記画面データを読み出し,画像処理を施して,前記テレビジョン受像機の画面に表示するためのビデオ信号を生成する画像処理手段,および前記ビデオ信号を前記ジャック端子に出力するビデオ信号出力手段を備える,電話機。
【請求項2】前記電話網を介してデータ通信を行う通信手段,および前記通信手段によって取得され,少なくともテキストデータおよび画像データを含むコンテンツ情報と電子メールとを記憶する通信データメモリをさらに備え,
前記画像処理手段は,前記コンテンツ情報および前記電子メールを前記テレビジョン受像機の画面に出力するためのビデオ信号を生成する,請求項1記載の電話機。
【請求項3】前記ビデオ信号を前記ジャック端子に出力するモードと出力しないモードとを切り換える切換手段をさらに備える,請求項1または2記載の電話機。」(【請求項1】?【請求項3】)

(イ)「【0001】
【産業上の利用分野】この発明は電話機に関し,特にたとえば電話網を介して通話可能な携帯電話端末或いは固定電話端末に適用される,電話機に関する。」(段落【0001】)

(ウ)「【0010】また,切換手段がテレビジョン受像機に画面データを出力するモード(出力モード)と出力しないモードとを切り換えるので,出力モードが設定されたときに,選択画面,編集画面に対応する画面データを画像処理した結果であるビデオ信号がジャック端子に出力される。或いは,コンテンツ情報や電子メールを画像処理した結果であるビデオ信号がジャック端子に出力される。つまり,文章や画像をテレビジョン受像機の画面に表示することができる。また,コンテンツ情報を加工,修正或いは削除したり,電子メールを作成したりすることもできる。一方,出力しないモードが設定されているとき,すなわち出力モードが設定されていないときには,選択画面,編集画面,コンテンツ情報および電子メールは,それぞれ,電話機に設けられたLCDパネルに表示される。」(段落【0010】)

(エ)「【0016】
【実施例】図1を参照して,この実施例の電話機10は筐体12を含み,筐体12には操作キーとしてのキースイッチ14が設けられる。具体的には,キースイッチ14は,ダイアルキー14a,通話キー14b,切断キー14c,カーソルキー14d,モード切換キー14eおよび決定キー14fを含む。カーソルキー14dは,筐体12の略中央に設けられ,カーソルキー14dの上側にモード切換キー14eおよび決定キー14fが並んで設けられる。また,カーソルキー14dの下側に通話キー14bおよび切断キー14cが並んで設けられ,さらに下側にダイアルキー14aが設けられる。
【0017】また,電話機10はLCDパネル16を含み,LCDパネル16は筐体12の表面であり,キースイッチ14の上側に設けられる。このLCDパネル16の上側には通話用のスピーカ18aが設けられ,キースイッチ14の下側には通話用のマイク20が設けられる。
【0018】なお,図示は省略するが,着信メロディやダウンロードした音楽を出力するためのスピーカ18bが筐体12の裏面,たとえば,LCDパネル16の反対側に設けられる。
【0019】さらに,電話機10はアンテナ22およびAVジャック端子24を含み,アンテナ22は筐体12の上部に設けられ,AVジャック端子24は筐体12の下部側面に設けられる。したがって,図1に示すように,電話機10は,AVケーブル26を用いて家庭用のテレビジョン受像機(TV受像機)28に接続できる。
【0020】この電話機10の電気的な構成(電気回路)は,図2のように示される。具体的には,電話機10はRF処理回路30を含み,RF処理回路30にはアンテナ22が接続される。また,RF処理回路30にはベースバンド処理回路32が接続され,このベースバンド処理回路32は,音声コーデックIC34を介してスピーカ18aおよびマイク20に接続されるとともに,ASIC-CPU(以下,単に「CPU」という。)36に接続される。
【0021】CPU36には,ROM40,RAM42およびメモリ44がそれぞれ接続される。ROM40は,マスクROM或いはフラッシュEEPROMのようなROMであり,このROM40には,CPU36で実行されるプログラム(内蔵プログラム),LCDパネル16に表示する複数の画面に対応するグラフィックデータ(画面データ)およびスピーカ18bから出力する複数の音楽(着信メロディを含む。)に対応するサウンドデータ(音楽データ)が予め記憶(格納)される。
【0022】また,RAM42は,DRAM或いはSRAMのような揮発性のメモリであり,CPU36のワーキングメモリ或いはバッファメモリとして使用される。さらに,メモリ44は,フラッシュEEPROM或いはバッテリバックアップされたSRAMのようなメモリであり,メモリダイアル情報,ダウンロードしたコンテンツ情報,電子メールおよび電話機10の機能設定などの様々な情報を記憶する。
【0023】ここで,メモリダイアル情報とは,通話相手或いは通信相手の氏名,電話番号および電子メールアドレスをいう。また,コンテンツ情報とは,音楽データ,画像データ,テキストデータやアプリケーションプログラムなどをいう。
【0024】さらに,CPU36にはメロディIC46,LCDドライバIC48およびキースイッチ14が接続される。メロディIC46は,CPU36の指示の下,スピーカ18bを駆動し,着信メロディを再生したり,内蔵プログラム実行時における音楽/音声を再生したり,コンテンツ情報の表示或いは実行時における音楽/音声を再生したりする。
【0025】また,LCDドライバIC48は,CPU36の指示の下,LCDパネル16を駆動し,LCDパネル16に文字,図形,記号或いは画像などを表示する。
【0026】さらに,キースイッチ14の操作に応じた操作信号がCPU36に与えられ,この操作信号に応じてCPU36が各種処理を実行する。」(段落【0016】?【0026】)

(オ)「【0034】また,電話機10では,モード切換キー14eを操作すると,CPU36は,iモードのようなインターネット接続モードを設定する。続いて,CPU36は,ROM40からインターネット接続モードのメニュー画面(図示せず)に対応する画面データを読み出し,RAM42を用いて展開した後,LCDドライバIC48を駆動する。すると,LCDパネル16にインターネット接続モードのメニュー画面が表示される。
【0035】たとえば,メニュー画面では,メモリ44に登録してあるWWWサイトのURLアドレス(以下,「URL」という。)を選択したり,URLを直接入力したりする入力方法を選択することができる。ユーザが,キースイッチ14を用いてURLを入力し,たとえば,通話キー14bを操作すると,CPU36は入力されたURLに対応するデータ(URLデータ)をベースバンド処理回路32およびRF処理回路30を介してアンテナ22からたとえば電話事業者が運営するゲートウェイサーバ(図示せず)に送信する。
【0036】ゲートウェイサーバは,URLデータを受信し,URLデータが示すインターネットサイト(ホームページ)にインターネット(図示せず)を介してアクセスする。また,ゲートウェイサーバは,アクセスしたホームページの画面データやユーザが取得要求した音楽データや画像データなどのコンテンツデータ(コンテンツ情報)を電話機10に送信する。
【0037】このように,電話機10では,インターネット接続モードで,ゲートウェイサーバを介して所望のWWWサイトにアクセスすることができ,所望のコンテンツ情報を取得することができる。WWWサイトのコンテンツ情報は,アンテナ22で受信され,RF処理回路30およびベースバンド処理回路32を介してCPU36に与えられる。
【0038】CPU36は,WWWサイトのコンテンツ情報を受信すると,RAM42を用いて展開した後,LCDドライバIC48を駆動し,WWWサイトの画面をLCDパネル16に表示する。
【0039】また,CPU36は,たとえばファイルの拡張子などのファイルの属性情報に基づいて,コンテンツ情報の種類を判断(解釈)した後,コンテンツ情報を再生または実行する。たとえば,音楽データを再生する場合には,CPU36は,RAM42に展開された音楽データに基づき,メロディIC46を駆動して,スピーカ18bに出力する。また,画像データを再生する場合には,CPU36は,RAM42に展開された画像データに基づき,LCDドライバIC48を駆動して,LCDパネル16に出力する。
【0040】なお,ユーザのキー操作に応じてコンテンツ情報を保存することもでき,保存するコンテンツ情報はメモリ44に記憶される。」(段落【0034】?【0040】)

(カ)「【0047】さらに,電話機10はマルチメディアプロセサ(以下,単に「プロセサ」という。)50を含み,プロセサ50には定電圧電源52が電源回路54および電源制御回路56を介して接続される。
【0048】プロセサ50としては,必要な機能を備える任意の種類のプロセサを用いることができるが,この実施例では,本願出願人が先に特許出願した高速プロセサ(商品名「XaviX」)を用いる。この高速プロセサは,特開平10-307790号公報[G06F 13/36,G06F 15/78]およびこれに対応するアメリカ特許09/019,277号に詳細に開示されている。
【0049】簡単に説明すると,プロセサ50はCPU50aを含み,図示は省略するが,グラフィックプロセサ,サウンドプロセサおよびDMAプロセサ等の各種プロセサを備えている。また,プロセサ50は入出力ポートを含み,この入出力ポートがCPU36に接続され,CPU36とプロセサ50との間で制御データの授受(データ通信)が可能である。つまり,CPU50aは,CPU36とデータ通信を行うことにより,キー入力情報およびダウンロードされたコンテンツ情報を取得する。
【0050】コンテンツ情報に含まれる画像データは,グラフィックプロセサにより画像処理を施され,アナログのビデオ信号として図1に示したAVジャック端子24に出力される。また,コンテンツ情報に含まれる音声データは,サウンドプロセサにより音声処理を施され,アナログのオーディオ信号としてAVジャック端子24に出力される。したがって,電話機10とTV受像機28とをAVケーブル26を用いて接続している場合には,TV受像機28からビデオ信号やオーディオ信号を出力することができる。
【0051】定電圧電源52は,図示は省略するが,電話機10本体に装着されたバッテリであり,この定電圧電源52から出力される電源が電源回路54によって,電話機10の各回路コンポーネントに供給される。また,電源制御回路56は,CPU36の指示に従ってプロセサ50およびその周辺回路への電源供給を開始/停止(オン/オフ)するスイッチ回路である。
【0052】プロセサ50にはまた,ROM58およびRAM60が接続される。ROM58は,マスクROM或いはフラッシュEEPROMのようなROMであり,プロセサ50内のCPU50aで処理されるソフトウェアのプログラムコード,グラフィックプロセサで画像処理されるグラフィックデータおよびサウンドプロセサで音声処理されるサウンドデータ(スコアデータ)を記憶する。この実施例では,グラフィックデータは,AVジャック端子24を介してTV受像機28に表示する複数の画面に対応する複数の画面データであり,サウンドデータは,画面データのそれぞれに付随する(関連する)複数の音声データである。また,RAM60は,DRAMあるはSRAMのような揮発性のメモリであり,CPU50aのワーキングメモリ或いはバッファメモリとして用いられる。
【0053】たとえば,ユーザが電話機10をTV受像機28に接続し,キースイッチ14を操作して,TV受像機28への出力モードを選択すると,CPU36は電源制御回路56を指示して,プロセサ50およびその周辺回路への電源供給を開始(オン)する。すると,プロセサ50が起動され,CPU50aの指示に従って図3に示すような編集する情報(項目)を選択する選択画面がTV受像機28の画面28aに表示される。つまり,CPU50aは,図3に示す選択画面を出力するようにグラフィックプロセサに指示を出す。グラフィックプロセサは,この指示に従って,対応する画面データをROM58から読み出して画像処理を行う。画像処理が施された結果であるビデオ信号は,AVジャック端子24に出力される。したがって,TV受像機28の画面28aに選択画面が表示される。」(段落【0047】?【0053】)

(キ)「【0097】また,図3に示した選択画面において,“HTMLブラウザ”が選択されると,CPU50aは図14?図20に示すようなHTMLブラウザ処理を実行する。このHTMLブラウザ処理では,URLの新規登録或いは削除を実行することができ,また,URLを入力して,所望のWWWサイトにアクセスし,コンテンツ情報をダウンロードすることもできる。
【0098】ユーザがキースイッチ14を操作して,“HTMLブラウザ”を選択すると,そのキー操作に応じた操作信号がCPU36に入力される。CPU36は,CPU50aからのキー入力情報取得要求に応じて,操作信号をCPU50aに送信する。CPU50aは,操作信号を受信して,“HTMLブラウザ”が選択されたと解釈すると,HTMLブラウザ処理を開始し,図14に示すステップS141で図21(A)に示すようなHTMLブラウザ処理のためのメニュー(メインメニュー)画面を表示する。このとき,メインメニュー画面の表示に伴って,“メインメニューを選択して下さい。”などの音声ガイドを出力することもできる。
【0099】続くステップS143では,上述したようなキー入力情報取得処理を実行し,ステップS145でキー入力情報を解釈する。そして,ステップS147で“メニューリスト”が選択されたかどうかを判断する。図21(A)に示すように,メインメニュー画面には,“メニューリスト”,“URL直接入力”および“終了”の各モード(項目)を示す文字とともに,ダイアルキー14aに含まれる“1”キー,“2”キーおよび“3”キーに対応する数字が表示される。また,いずれか1つの項目を囲むように,四角枠のカーソルが表示される。
【0100】したがって,ユーザは,カーソルキー14dの“↑”キーまたは“↓”キーを操作し,カーソルを移動させ,所望の項目にカーソルを合わせた後に,決定キー14fを操作することにより,所望の項目(モード)を選択できる。或いは,“1”キー,“2”キーまたは“3”キーを操作することにより,モード(メインメニュー)を選択することもできる。CPU50aは,このようなキー操作に基づいて,“メニューリスト”,“URL直接入力”または“終了”が選択されたことを解釈する。
【0101】ステップS147で“NO”であれば,つまり“メニューリスト”でなければ,ステップS149に進む。一方,ステップS147で“YES”であれば,つまり“メニューリスト”であれば,図15に示すステップS155で図21(B)に示すようなサブメニュー画面を表示する。このとき,サブメニュー画面の表示に伴って,“サブメニューを選択して下さい。”などの音声ガイドを出力することもできる。
【0102】続いて,ステップS157でキー入力情報取得処理を実行し,ステップS159でキー入力情報を解釈する。そして,ステップS161で,サブメニュー画面において,“ブラウズ”が選択されたかどうかを判断する。図21(B)に示すように,サブメニュー画面には,“ブラウズ”,“新規登録”,“削除”および“終了”の各モード(項目)を示す文字とともに,それぞれに対応する“1”キー,“2”キー,“3”キーおよび“4”キーの数字が表示される。また,いずれか1つの項目を囲むように,四角枠のカーソルが表示される。
【0103】つまり,ユーザは,カーソルキー14dの“↑”キーまたは“↓”キーを操作して,カーソルを移動させ,所望の項目にカーソルを合わせた後に,決定キー14fを操作することにより,所望の項目(モード)を選択できる。或いは,“1”キーないし“4”キーのいずれかのキーを操作することにより,モード(サブメニュー)を選択することもできる。したがって,CPU50aは,このようなキー操作に対応する操作信号に基づいて,“ブラウズ”,“新規登録”,“削除”または“終了”が選択されたことを解釈する。
【0104】ステップS161で“NO”であれば,つまり“ブラウズ”でなければ,ステップS163に進む。一方,ステップS161で“YES”であれば,つまり“ブラウズ”であれば,図16に示すステップS171で図21(C)に示すようなブラウズメニュー選択画面を表示する。このとき,ブラウズメニュー選択画面の表示に伴って,“URLを選択して下さい。”などの音声ガイドを出力することもできる。
【0105】続いて,ステップS173でキー入力情報取得処理を実行し,ステップS175でキー入力情報を解釈する。そして,ステップS175では,ブラウズモードの終了かどうかを判断する。図21(C)に示すように,ブラウズメニュー選択画面には,URLの一覧が表示されるとともに,いずれか1つのURLを囲むように,四角枠のカーソルが表示される。したがって,ユーザがカーソルキー14dの“↑”キーまたは“↓”キーを操作し,カーソルを移動させ,所望のURLにカーソルを合わせた後に,決定キーを操作することにより,所望のURLを選択することができる。そして,通話キー14bを操作すると,選択されたURLに基づいて所定のWWWサイトへアクセスすることができる。また,“←”キーを操作すると,ブラウズモードを終了して,サブメニュー画面に戻ることができる。
【0106】なお,図21(C)においては,図示は省略するが,図21(A)および図21(B)に示したように,各項目(URL)のそれぞれに対応づけて,数字を表示しておき,ダイアルキー14aの操作によって,URLを選択できるようにすることもできる。
【0107】ただし,この場合には,URLの数が2桁を越える場合が考えられるため,ダイアルキー14aによるキー操作が完全に終了したと考えられる時間(たとえば,5秒)だけ待機してから,キー操作に応じたURLを判断(解釈)する必要がある。或いは,所定の桁数(たとえば,3桁)の数字を入力するようにしておけば,すべての桁数が入力されたときにURLが選択されたと判断することもできる。
【0108】つまり,ステップS177では,CPU50aは,“←”キーが操作されたかどうかを判断する。ステップS177で“YES”であれば,つまり“←”キーが操作されれば,ブラウズモードを終了すると判断し,図15に示したステップS155に戻る。一方,ステップS177で“NO”であれば,つまり“←”キーが操作されなければ,ブラウズモードを終了しないと判断し,ステップS179で後述するHTMLコンテンツ取得処理を実行する。
【0109】続くステップS181では,ダウンロードしたHTMLコンテンツ(コンテンツ情報)を解釈するとともに,グラフィックプロセサおよびサウンドプロセサを制御し,HTMLコンテンツに対応するビデオ信号およびオーディオ信号をAVジャック端子24に出力する。そして,ステップS183で次回のキー入力情報取得処理のタイミングを待機してから,つまり所定時間待機してから,ステップS173に戻る。
【0110】なお,HTMLコンテンツは,CompactHTML等のHTMLのサブセットまたはXML等のHTMLの類似の原語で記述されたものであってもよい。
【0111】図15に戻って,ステップS163では,図21(B)に示したサブメニュー画面において,“新規登録”が選択されたかどうかを判断する。ステップS163で“NO”であれば,つまり“新規登録”でなければ,ステップS165に進む。一方,ステップS163で“YES”であれば,つまり“新規登録”であれば,図17に示すステップS185で図22(A)に示すようなURL入力画面を表示する。このとき,URL入力画面の表示に伴って,“URLを入力して下さい。”などの音声ガイドを出力することもできる。。
【0112】続いて,ステップS187でキー入力情報取得処理を実行し,ステップS189でキー入力情報を解釈する。そして,ステップS191で,URLの入力が終了したかどうかを判断する。図22(A)に示すURL入力画面では,ユーザは,ダイアルキー14aを用いてURLを入力することができ,入力した内容を訂正する場合には,“←”キーを操作して,縦棒のカーソルを戻し,入力し直すことができる。この間,CPU50aは,ステップS187?ステップS189の処理を繰り返している。また,入力が終了すると,決定キー14fを操作することにより,入力した内容を確定することができる。
【0113】つまり,ステップS191では,CPU50aは,決定キー14fが操作されたかどうかを判断している。ステップS191で“NO”であれば,つまり決定キー14fが操作されていなければ,URLの入力が終了していないと判断し,ステップS187に戻る。このとき,キー操作に応じた英数字を含むURL入力画面が画面28aに表示される。一方,ステップS191で“YES”であれば,つまり決定キー14fが操作されれば,URLの入力が終了したと判断し,ステップS193でメモリ44への書込み処理を実行してからステップS155に戻る。
【0114】図15に戻って,ステップS165では,図21(B)に示したサブメニュー画面において,“削除”が選択されたかどうかを判断する。ステップS165で“NO”であれば,つまり“削除”でなければ,ステップS167に進む。一方,ステップS165で“YES”であれば,つまり“削除”であれば,図18に示すステップS197で図22(B)に示すような削除アイテム(URL)選択画面を表示する。このとき,削除アイテム選択画面の表示に伴って,“削除するURLを選択してください。”などの音声ガイドを出力することもできる。
【0115】続いて,ステップS197でキー入力情報取得処理を実行し,ステップS199でキー入力情報を解釈する。そして,ステップS201では,選択が完了したかどうかを判断する。図22(B)に示すように,削除アイテム選択画面には,アイテム(URL)の一覧が表示されるとともに,いずれか1つのURLを囲むように四角枠のカーソルが表示される。したがって,ユーザは,カーソルキー14dの“↑”キーおよび“↓”キーを操作し,カーソルを移動させ,所望のURLにカーソルを合わせた後に,決定キー14fを操作することにより,削除するURLを選択できる。
【0116】なお,図22(B)においては,図示は省略するが,図21(A)および図21(B)に示したように,各項目(URL)のそれぞれに対応づけて,数字を表示しておき,ダイアルキー14aの操作によって,URLを選択できるようにすることもできる。
【0117】ただし,この場合には,URLの数が2桁を越える場合が考えられるため,ダイアルキー14aによるキー操作が完全に終了したと考えられる時間(たとえば,5秒)だけ待機してから,キー操作に応じたURLを判断(解釈)する必要がある。或いは,所定の桁数(たとえば,3桁)の数字を入力するようにしておけば,すべての桁数が入力されたときにURLが選択されたと判断することもできる。
【0118】つまり,ステップS201では,CPU50aは,決定キー14f或いはダイアルキー14aが操作されたかどうかを判断する。ステップS201で“NO”であれば,つまり決定キー14f或いはダイアルキー14aが操作されなければ,URLの選択を完了していないと判断し,ステップS195に戻る。このとき,“↑”キーまたは“↓”キーが操作されていれば,キー操作に応じてカーソルを移動させた削除アイテム選択画面を画面28aに表示する。
【0119】一方,ステップS201で“YES”であれば,つまり決定キー14f或いはダイアルキー14aが操作されれば,削除するURLの選択を完了したと判断し,ステップS203で図13(C)に示した削除指示選択画面を表示する。このとき,“削除しますか?”などの音声ガイドを出力することもできる。続いて,ステップS205でキー入力情報取得処理を実行し,ステップS207でキー入力情報を解釈する。そして,ステップS209で,選択したURLを削除するかどうかを判断する。ステップS209で“NO”であれば,つまり“いいえ”であれば,選択したURLを削除しないと判断し,ステップS195に戻る。一方,ステップS209で“YES”であれば,つまり“はい”であれば,選択したURLを削除すると判断し,ステップS211でメモリ44への書込み処理を実行してからステップS155に戻る。
【0120】図15に戻って,ステップS167では,図21(B)に示したサブメニュー画面において,“終了”が選択されたかどうかを判断する。ステップS67で“NO”であれば,つまり“終了”でなければ,ステップS169で次回のキー入力情報取得処理のタイミングを待機して,つまり所定時間待機して,ステップS157に戻る。一方,ステップS169で“YES”であれば,つまり“終了”であれば,サブメニュー画面を終了すると判断し,図14に示したステップS141に戻る。
【0121】このように,メインメニューで“メニューリスト”のモードが選択された場合の編集処理等が実行される。
【0122】図14に戻って,ステップS149では,図21(A)に示したメインメニュー画面において,“URL直接入力”が選択されたかどうかを判断する。ステップS149で“NO”であれば,つまり“URL直接入力”でなければ,ステップS151に進む。一方,ステップS149で“YES”であれば,つまり“URL直接入力”であれば,図19に示すステップS213で図22(C)に示すようなURLを直接入力するためのURL入力画面を表示する。このとき,URL入力画面の表示に伴って,“URLを入力して下さい。”などの音声ガイドを出力することもできる。
【0123】続いて,ステップS215でキー入力情報取得処理を実行し,ステップS217でキー入力情報を解釈する。そして,ステップS219でURLの入力が完了したかどうかを判断する。図22(C)に示すURL入力画面では,ユーザは,ダイアルキー14aを操作して,英数字を入力することができる。また,カーソルキー14dの“←”キーを操作すると,画面28aに表示された縦棒のカーソルを戻すことができ,入力をやり直すことができる。そして,ユーザは,決定キー14fを操作して,URLの入力を終了する。
【0124】つまり,ステップS217では,CPU50aは,決定キー14fが操作されたかどうかを判断している。ステップS217で“NO”であれば,つまり決定キー14fが操作されなければ,URLの入力が完了していないと判断し,ステップ215に戻る。このとき,キー操作に応じた英数字を含むURL入力画面が画面28aに表示される。
【0125】一方,ステップS219で“YES”であれば,つまり決定キー14fが操作されれば,URLの入力が終了したと判断し,ステップS221でHTMLコンテンツ取得処理を実行し,ステップS223でHTMLコンテンツを解釈し,コンテンツ情報を再生する。そして,ステップS225で次回のキー入力情報取得処理のタイミングを待機して,つまり所定時間待機してからステップS227に進む。ステップS227では,キー入力情報取得処理を実行し,ステップS229でキー入力情報を解釈する。そして,ステップS231では,“URL直接入力”モードの終了かどうかを判断する。具体的には,CPU50aは,ダイアルキー14の“*”キーが操作されたかどうかを判断する。
【0126】ステップS231で“YES”でれば,つまり“*”キーが操作されれば,“URL直接入力”モードを終了すると判断して,ステップS141に戻る。一方,ステップS231で“NO”であれば,つまり“*”キーが操作されなければ,“URL直接入力”モードを続行すると判断して,ステップS221に戻って,HTMLコンテンツ取得処理を実行する。
【0127】このように,ステップS221?ステップS231の処理を繰り返すことにより,リンクされているWWWサイトへの移動およびHTMLコンテンツ取得処理が繰り返される。
【0128】図14に戻って,ステップS151では,図21(A)に示したメインメニュー画面において,“終了”が選択されたかどうかを判断する。ステップS151で“NO”であれば,つまり“終了”でなければ,HTMLブラウズ処理を終了しないと判断し,ステップS153で次回のキー入力情報取得処理のタイミングを待機してから,つまり所定時間待機してからステップS143に戻る。一方,ステップS151で“YES”であれば,つまり“終了”であれば,HTMLブラウズ処理を終了すると判断し,HTMLブラウズ処理を終了する。
【0129】図16に示したステップS179或いは図19に示したステップS227のHTMLコンテンツ処理が開始されると,図20に示すような処理が実行される。図20に示すように,HTMLコンテンツ取得処理は,CPU36とCPU50aとが互いに通信することにより実行される。したがって,図20では,それぞれの処理を分かり易くするために仕切りを設けてある。
【0130】具体的には,HTMLコンテンツ取得処理が開始されると,まず,ステップS241で,CPU50aは,“URL送信要求”メッセージを発行(送信)する。したがって,CPU36は,メッセージ待機状態から処理を開始し,ステップS243で,“URL送信要求”メッセージを受領(受信)し,ステップS245で“URL送信要求確認”メッセージを発行(送信)する。
【0131】したがって,CPU50aは,ステップS247で“URL送信要求確認”メッセージを受領(受信)し,これに応じて,ステップS249でURLを送信する。したがって,CPU36は,ステップS251でURLを受信し,ステップS253で“URL受信確認”メッセージを発行(送信)する。したがって,CPU50aは,ステップS255で“URL受信確認”メッセージを受領(受信)する。
【0132】CPU36は,“URL受信確認”メッセージの発行に続いて,ステップS257で無線データ通信により,URLを送信する。つまり,CPU36は,モード切換キー14eを操作した場合と同様に,ユーザが契約している電話会社等が提供しているインターネット接続サービスのゲートウェイサーバに接続し,URLを送信する。
【0133】続くステップS259では,CPU36は,無線データ通信によるHTMLコンテンツ受信処理を実行する。つまり,ホームページで提供される音楽データや画像データなどのコンテンツ情報の取得要求を出力し,これに応じて配信されるコンテンツ情報を受信する。受信したコンテンツ情報は,メモリ44に格納される。
【0134】そして,CPU36は,ステップS261でメモリ44に格納されたコンテンツ情報すなわちHTMLコンテンツをCPU50aに送信した後,メッセージ待機状態に戻る。したがって,CPU50aは,ステップS263でHTMLコンテンツを受信し,リターンする。
【0135】以上のように,図3に示した選択画面において,“メモリダイアルエディタ”または“HTMLブラウザ”が選択された場合の処理について説明したが,電子メールの作成等,電卓,メモ帳或いはスケジュールなどの他の機能を実行したり,ダウンロードしたコンテンツ情報の加工,修正或いは削除を実行したりする場合にもそれぞれに対応した画面をTV受像機28に表示することができる。ただし,この実施例では,簡単のため,それらの画面28aおよび処理についての説明は省略する。
【0136】つまり,基本的には,TV受像機28の画面28aに出力される内容は,LCDパネル16に表示される情報(内容)と同じであるが,画面28aにはLCDパネル16より多くの情報を一度に表示することができる。また,LCDパネル16がカラー表示することが出来ないLCDであったとしても,TV受像機28の画面28aにはカラー表示することができる。さらに,音楽データを加工等する場合には,加工した結果をTV受像機28に出力し,TV受像機28のスピーカから音楽を出力するようにしてもよい。
【0137】上述したように,ユーザがキースイッチ14を操作して,TV受像機28にビデオ信号およびオーディオ信号を出力するTV出力モードを選択すると,プロセサ50およびその周辺回路への電源供給が開始(オン)され,プロセサ50は起動される。一方,ユーザがキースイッチ14を操作して,TV出力モードの終了を選択すると,プロセサ50への電源供給が停止(オフ)され,プロセサ50は停止される。
【0138】このようなプロセサ50の起動および停止の処理は,CPU36およびCPU50aによって実行され,図23?図25のように示される。説明の便宜上,CPU36の処理とCPU50aの処理とを分けて説明する。
【0139】図23に示すように,CPU36は,電話機10本体の電源がオンされると,処理を開始し,ステップS271で,初期設定する。たとえば,CPU36に含まれるハードウェア資源の初期設定,周辺の回路コンポーネントの初期設定,RAM44の初期化などが行われる。
【0140】続いて,ステップS273でキー入力(操作信号)を読み取り,ステップS275でキー入力を解釈する。そして,ステップS277では,TV出力モードが開始(選択)されたかどうかを判断する。ステップS277で“NO”であれば,つまりTV出力モードの開始でなければ,ステップS279でキー入力に応じた処理を実行して,ステップS273に戻る。
【0141】なお,簡単のため,ステップS279の詳細な処理については省略してあるが,ステップS279では,発呼(発信),着呼(受信),メモリダイアル,メモリダイアルの検索,インターネット接続,URL入力,電卓,メモ帳,電子メール作成および電子メール表示など電話機10が備えている機能を実行する。
【0142】このように,CPU36は,通常,ステップS273?ステップS279のメイン処理ループを実行している。
【0143】一方,ステップS277で“YES”であれば,つまりTV出力モードが開始されると,メイン処理ループから抜けて,ステップS281でプロセサ50の電源オン制御を実行する。具体的には,CPU36は,電源制御回路56を指示して,プロセサ50およびその周辺回路への電源供給を開始(オン)する。
【0144】続いて,ステップS283でプロセサ50をリセット解除すなわち起動する。そして,ステップS285では,プロセサ50内のCPU50aからメッセージを受信したかどうかを判断する。このメッセージは,上述したキー入力情報取得処理,メモリ44への書込み処理,メモリ44からの読出し処理およびHTMLコンテンツ取得処理において,CPU50aから送信されるメッセージ等である。
【0145】ステップS285で“NO”であれば,つまりメッセージを受信しなければ,同じステップS285に戻る。これがメッセージ待機状態である。一方,ステップS285で“YES”であれば,つまりメッセージを受信すれば,図24に示すステップS287で“TV出力モード終了”メッセージかどうかを判断する。ステップS287で“YES”であれば,つまり“TV出力モード終了”メッセージであれば,ステップS289でプロセサ50の電源オフ制御を実行してから,図23に示したステップS273に戻る。つまり,CPU36は,電源制御回路56を指示して,プロセサ50への電源供給を停止(オフ)して,メイン処理ループに戻る。
【0146】一方,ステップS287で“NO”であれば,つまり“TV出力モード終了”メッセージでなければ,ステップS291で受信した他のメッセージに応じた処理を実行してからステップS285に戻る。つまり,簡単のため,ステップS291の詳細な処理についての説明は省略しているが,ステップS285,ステップS287およびステップS291の処理を実行することにより,CPU36は,上述したキー入力情報取得処理,メモリ44への書込み処理,メモリ44からの読出し処理およびHTMLコンテンツ取得処理を実行している。
【0147】図25を参照して,CPU50aは,CPU36がステップS281でプロセサ50をオンすると能動化され,CPU36がステップS283でリセット解除することにより起動され,処理を開始する。処理を開始すると,ステップS301で,初期設定をする。具体的には,プロセサ50に含まれるハードウェア資源の初期設定,RAM60の初期化などが行われる。初期化を終了すると,ステップS303で,図3に示したような選択画面を表示する。続いて,ステップS305で“キー入力情報取得要求”メッセージを発行し,ステップS307でキー入力情報を受信し,そして,ステップS309でキー入力情報を解釈する。
【0148】続いて,ステップS311では,TV出力モード終了かどうかを判断する。つまり,ユーザがキースイッチ14を操作して,TV出力モードの終了を指示したかどうかを判断する。ステップS311で“NO”であれば,つまりTV出力モード終了でなければ,ステップS313でキー入力情報に応じた処理を実行してからステップS305に戻る。つまり,CPU50aは,ステップS305?ステップS313のメイン処理ループを実行することにより,図4?図11に示したメモリダイアルエディタ処理や図14?図20に示したHTMLブラウズ処理などをTV出力モードで実行している。
【0149】一方,ステップS311で“YES”であれば,つまりTV出力モード終了であれば,メイン処理ループを抜けて,ステップS315で“TV出力モード終了”メッセージを発行してから処理を終了する。その後,CPU50aは待機状態となり,“TV出力モード終了”メッセージに応じてCPU36がプロセサ50への電源供給をオフ(停止)する。すると,プロセサ50は停止され,これに従ってCPU50aも停止(不能化)される。
【0150】この実施例によれば,AVケーブルを用いて電話機をTV受像機に接続し,編集画面等をTV受像機の画面に表示するので,電話機のLCDパネルを見て編集作業を行う場合よりも画面が見易い。また,PC等の高価な別装置を用意して接続する必要もない。したがって,簡単に編集を実行することができる。
【0151】また,TV受像機の画面表示に伴って,音声ガイドを出力するので,快適な操作を行うことができる。
【0152】さらに,電話機のLCDパネルがモノクロであっても,画面データをグラフィックプロセサで画像処理した結果であるビデオ信号を出力するので,カラーで画面表示することができる。
【0153】なお,この実施例では,電力の浪費を防止するため,電源制御回路を用いてプロセサへの電源供給をオン/オフするようにしたが,常に電源を供給するようにしてもよい。」


これらの記載から,刊行物には,次の発明(以下,「刊行物記載発明」という。)が記載されている。


「操作キーとしてのキースイッチ(14)と,LCDパネル(16)と,アンテナ(22)と,AVジャック端子(24)と,RF処理回路(30)と,ベースバンド処理回路(32)と,キースイッチの操作に応じた操作信号が与えられ,この操作信号に応じて各種処理を実行するASIC-CPU(36)と,ASIC-CPUで実行されるプログラム(内蔵プログラム),及びLCDパネルに表示する複数の画面に対応するグラフィックデータ(画面データ)が予め記憶(格納)されるROM(40)と,ASIC-CPUのワーキングメモリ或いはバッファメモリとして使用されるRAM(42)と,ダウンロードしたコンテンツ情報などの様々な情報を記憶するメモリ(44)と,ASIC-CPUの指示の下,LCDパネルを駆動し,LCDパネルに画像などを表示するLCDドライバIC(48)と,プロセサ(50)と,ビデオ信号をAVジャック端子に出力するモードと出力しないモードとを切り換える切換手段と,を備えた携帯電話端末であって,
携帯電話端末では,インターネット接続モードで,ゲートウェイサーバを介して所望のWWWサイトにアクセスし,所望のコンテンツ情報を取得することができて,すなわち,ユーザが,キースイッチを用いてURLを入力し,たとえば,通話キーを操作すると,ASIC-CPUは入力されたURLに対応するデータ(URLデータ)をベースバンド処理回路,RF処理回路,及びアンテナを介してゲートウェイサーバに送信し,ゲートウェイサーバは,受信したURLデータが示すインターネットサイト(ホームページ)にインターネットを介してアクセスするとともに,アクセスしたホームページの画面データやユーザが取得要求した画像データなどのコンテンツデータ(コンテンツ情報)を携帯電話端末に送信し,WWWサイトのコンテンツ情報は,アンテナで受信され,RF処理回路およびベースバンド処理回路を介してASIC-CPUに与えられ,ASIC-CPUは,WWWサイトのコンテンツ情報を受信すると,RAMを用いて展開した後,LCDドライバICを駆動し,WWWサイトの画面をLCDパネルに表示するものであり,
プロセサは,HTMLブラウザ処理を実行可能なCPU(50a)を含み,グラフィックプロセサ等の各種プロセサを備えており,CPUは,ASIC-CPUとデータ通信を行うことにより,キー入力情報およびダウンロードされたコンテンツ情報を取得し,すなわち,ASIC-CPUは,無線データ通信により受信した画像データなどのHTMLコンテンツ情報をメモリに格納し,そして,メモリに格納されたHTMLコンテンツをCPUに送信し,したがって,CPUは,HTMLコンテンツを受信し,コンテンツ情報に含まれる画像データは,グラフィックプロセサにより画像処理を施され,アナログのビデオ信号としてAVジャック端子に出力され,したがって,携帯電話端末と家庭用のテレビジョン受像機(TV受像機)28とをAVジャック端子に接続可能なAVケーブル(26)を用いて接続している場合には,TV受像機からビデオ信号を出力することができて,
切換手段がテレビジョン受像機に画面データを出力するモード(出力モード)と出力しないモードとを切り換えるので,出力モードが設定されたときに,画面データやコンテンツ情報を画像処理した結果であるビデオ信号がAVジャック端子に出力され,画像をTV受像機の画面に表示することができる一方,出力しないモードが設定されているときには,画面データやコンテンツ情報は,携帯電話端末に設けられたLCDパネルに表示され,基本的には,TV受像機の画面に出力される内容は,LCDパネルに表示される情報(内容)と同じである,
携帯電話端末。」


第5 対比

本願発明と刊行物記載発明とを対比する。

刊行物記載発明の「キースイッチ」は,操作キーであって,操作に応じた操作信号をASIC-CPUに与え,この操作信号に応じてASIC-CPUが各種処理を実行するものであるから,本願発明の「入力手段」に相当する。

刊行物記載発明の携帯電話端末では,インターネット接続モードにおいて,ASIC-CPUはURLデータをベースバンド処理回路,RF処理回路,及びアンテナを介してゲートウェイサーバに送信し,また,ゲートウェイサーバがインターネットを介してアクセスしたインターネットサイト(ホームページ)の画面データやコンテンツ情報は,ゲートウェイサーバからアンテナによって受信され,RF処理回路およびベースバンド処理回路を介してASIC-CPUに与えられる。ここで,前記URLデータ,画面データ,及びコンテンツ情報は,デジタル信号に該当し,また,携帯電話端末のアンテナとゲートウェイサーバとの間で送受信される信号は,インターネットプロトコルに準拠した無線信号であると解されるから,刊行物記載発明の「アンテナ,RF処理回路,及びベースバンド処理回路」は,本願発明の「無線通信手段」に相当する。

刊行物記載発明は,ASIC-CPUで実行されるプログラム(内蔵プログラム),及びグラフィックデータ(画面データ)などが格納される「ROM」,ASIC-CPUのワーキングメモリ或いはバッファメモリとして使用される「RAM」,ダウンロードしたコンテンツ情報などの様々な情報を記憶する「メモリ」を備えているから,本願発明の「記憶手段」を有するといえる。

刊行物記載発明の「ASIC-CPU」は,入力手段(キースイッチ)から与えられた操作信号に応じて各種処理を実行し,記憶手段(ROM)に格納されたプログラムを実行し,無線通信手段(アンテナ,RF処理回路,及びベースバンド処理回路)から受信したデジタル信号(画面データやコンテンツ情報)に必要な処理を行い,画像などをLCDパネルに表示するための信号をLCDドライバICへ送信するものであるが,ここでLCDドライバICとしては,入力されたビットマップデータをLCD駆動信号へ変換して出力するものが一般的である(例えば,特開2002-214972公報の段落【0088】?【0092】,特開2002-259082号公報の段落【0083】を参照。)から,ASIC-CPUからLCDドライバICへ送信される前記信号は,本願発明の「デジタル表示信号」(本願明細書の段落【0032】には「「特許請求の範囲」でいう「デジタル表示信号」には,後で詳述する「ビットマップデータ」等のデジタル画像データに直接対応した信号だけでなく,デジタル画像データの生成(描画)を命令する描画命令のデジタル信号も含む。」と記載されている。)に相当するということができて,刊行物記載発明の「ASIC-CPU」は,本願発明の「前記入力手段から受信した入力データと前記記憶手段に格納されたプログラムとに基づき,前記無線通信手段から受信したデジタル信号に必要な処理を行い,リアルタイムでデジタル表示信号を生成するか,又は,自らが処理可能なデータファイルとして前記記憶手段に一旦格納し,その後読み出した上で処理することによりデジタル表示信号を生成する表示信号生成手段と,該表示信号生成手段が生成したデジタル表示信号に対して必要な処理を行い,又は,該デジタル表示信号に基づいて必要な処理を行い,処理後のデジタル表示信号を送信する表示補助手段とを有するデータ処理手段」と,「前記入力手段から受信した入力データと前記記憶手段に格納されたプログラムとに基づき,前記無線通信手段から受信したデジタル信号に必要な処理を行い,」「デジタル表示信号を生成」し,「デジタル表示信号を送信する」「データ処理手段」である点で共通する。

刊行物記載発明の「LCDパネル」は,本願発明の「画面を構成する各々の画素が駆動されることにより画像を表示するディスプレイパネルA」に相当する。
刊行物記載発明の「LCDドライバIC」は,データ処理手段(ASIC-CPU)から受信したデジタル表示信号に基づきディスプレイパネルA(LCDパネル)の各々の画素を駆動するものと解され,また,本願発明の表示補助手段はデータ処理手段に含まれるから,刊行物記載発明の「LCDドライバIC」は,本願発明の「前記表示補助手段から受信したデジタル表示信号に基づき前記ディスプレイパネルAの各々の画素を駆動するディスプレイ制御手段A」と,データ処理手段から「受信したデジタル表示信号に基づき前記ディスプレイパネルAの各々の画素を駆動するディスプレイ制御手段A」である点で共通する。
そして,刊行物記載発明の携帯電話端末は,「ディスプレイパネルA」と,「ディスプレイ制御手段A」とから構成される「ディスプレイ手段」を備えているといえる。

刊行物記載発明では,CPUがHTMLコンテンツ情報を受信し,グラフィックプロセサが該HTMLコンテンツ情報に含まれる画像データに画像処理を施し,アナログのビデオ信号として,AVジャック端子を介してTV受像機へ出力する。
ここで,当該「TV受像機」は,本願発明の「外部ディスプレイ手段を伴う周辺装置」に相当し,また前記「ビデオ信号」は,本願発明の「外部表示信号」(本願明細書の段落【0032】には,「「特許請求の範囲」でいう「外部表示信号」とは,周辺装置における外部ディスプレイ手段がそれを受信して適切に処理することにより画像を表示することが可能であるような信号を意味する。」と記載されている。)に相当する。
よって,前記CPUを含み前記グラフィックプロセサを備える,刊行物記載発明の「プロセサ」は,本願発明の「外部ディスプレイ手段を伴う周辺装置が接続され,該周辺装置に対して,前記表示補助手段から受信したデジタル表示信号に基づき,外部表示信号を送信するインターフェース手段A1」と,「外部ディスプレイ手段を伴う周辺装置が接続され,該周辺装置に対して,」データ処理手段から「受信した」「信号に基づき,外部表示信号を送信するインターフェース手段」である点で共通するといえる。

刊行物記載発明の「携帯電話端末」は,インターネット接続モードで,ゲートウェイサーバを介して所望のWWWサイトにアクセスし,所望のコンテンツ情報を取得し,WWWサイトの画面をLCDパネルに表示するから,入力手段(キースイッチ)と,無線通信手段(アンテナ,RF処理回路,及びベースバンド処理回路)と,記憶手段(ROM,RAM,メモリ)と,データ処理手段(ASIC-CPU)と,ディスプレイ手段(LCDパネル,LCDドライバIC)と,インターフェース手段A1(プロセサ)とを「一体的に備え,単独でウェブブラウジング装置として使用可能な携帯情報通信装置」である。


したがって,本願発明と刊行物記載発明は,以下の点において一致ないし相違する。

<一致点>
「ユーザーがマニュアル操作によってデータを入力し,該入力データを後記データ処理手段へ送信する入力手段と;
後記データ処理手段からデジタル信号を受信し,インターネットプロトコルに準拠した無線信号に変換して送信するとともに,インターネットプロトコルに準拠した無線信号を受信し,デジタル信号に変換の上,後記データ処理手段へ送信する無線通信手段と;
後記データ処理手段を動作させるプログラムと後記データ処理手段で処理可能なデータファイルとを格納する記憶手段と;
前記入力手段から受信した入力データと前記記憶手段に格納されたプログラムとに基づき,前記無線通信手段から受信したデジタル信号に必要な処理を行い,デジタル表示信号を生成し,デジタル表示信号を送信するデータ処理手段と;
画面を構成する各々の画素が駆動されることにより画像を表示するディスプレイパネルAと,データ処理手段から受信したデジタル表示信号に基づき前記ディスプレイパネルAの各々の画素を駆動するディスプレイ制御手段Aとから構成されるディスプレイ手段と;
を一体的に備え,単独でウェブブラウジング装置として使用可能な携帯情報通信装置であって,
外部ディスプレイ手段を伴う周辺装置が接続され,該周辺装置に対して,データ処理手段から受信した信号に基づき,外部表示信号を送信するインターフェース手段A1を一体的に備える,
ことを特徴とする携帯情報通信装置。」である点。


<相違点1>
本願発明のデータ処理手段は,「前記入力手段から受信した入力データと前記記憶手段に格納されたプログラムとに基づき,前記無線通信手段から受信したデジタル信号に必要な処理を行い,リアルタイムでデジタル表示信号を生成するか,又は,自らが処理可能なデータファイルとして前記記憶手段に一旦格納し,その後読み出した上で処理することによりデジタル表示信号を生成する表示信号生成手段」と,「該表示信号生成手段が生成したデジタル表示信号に対して必要な処理を行い,又は,該デジタル表示信号に基づいて必要な処理を行い,処理後のデジタル表示信号を送信する表示補助手段」とを有するのに対して,刊行物記載発明のデータ処理手段(ASIC-CPU)の内部構成は明記されておらず,前記表示信号生成手段と,前記表示補助手段とを有するのか否か不明である点。

<相違点2>
本願発明では,データ処理手段からディスプレイ制御手段Aへ送信されるデジタル表示信号は,表示信号生成手段が生成したデジタル表示信号に対して必要な処理を行った,又は,該デジタル表示信号に基づいて必要な処理を行った,「処理後の」デジタル表示信号であり,また,データ処理手段からインターフェース手段A1へ送信される信号は,前記「処理後の」デジタル表示信号であり,さらに,「前記処理後のデジタル表示信号を,前記ディスプレイ制御手段Aと前記インターフェース手段A1の双方へ送信する,又は,前記ディスプレイ制御手段Aと前記インターフェース手段A1のいずれか一方へ振り分けて送信する機能を」「前記表示補助手段」が有するのに対して,刊行物記載発明では,データ処理手段からディスプレイ制御手段Aへ送信されるデジタル表示信号は,当該処理後のデジタル表示信号であるか否か不明であり,また,データ処理手段からインターフェース手段A1へ送信される信号は,HTMLコンテンツであって当該処理後のデジタル表示信号ではなく,「処理後のデジタル表示信号を,前記ディスプレイ制御手段Aと前記インターフェース手段A1の双方へ送信する,又は,前記ディスプレイ制御手段Aと前記インターフェース手段A1のいずれか一方へ振り分けて送信する機能」については記載されていない点。


第6 当審の判断

上記各相違点について検討する。

<相違点1について>
初めに,刊行物記載発明のデータ処理手段(ASIC-CPU)は,WWWサイトのコンテンツ情報を受信すると,RAMを用いて展開した後,ディスプレイ制御手段A(LCDドライバIC)を駆動し,WWWサイトの画面をディスプレイパネルA(LCDパネル)に表示するものであって,WWWサイトのコンテンツ情報としてはHTMLコンテンツが一般的である(例えば,刊行物の段落【0134】,特表2003-529812号公報の段落【0022】を参照。)こと,また,LCDドライバICとしては,ビットマップデータを入力するものが一般的であること(上記「第5 対比」の第5段落「刊行物記載発明の「ASIC-CPU」は…」を参照。)から,刊行物記載発明のデータ処理手段は,HTMLコンテンツ処理を実行可能とし,また,LCDパネルを駆動するディスプレイ制御手段Aに対してビットマップデータを出力する構成としたものと解される。

そして「表示信号生成手段」について検討すると,HTMLブラウザにおいて,受信して記憶したHTMLコンテンツからビットマップデータを生成する前段階として,処理命令を作成することは周知(例えば,特開2004-302895号公報の段落【0022】?【0027】には,HTML等により記述されたドキュメントを受信バッファに格納し,該ドキュメントに含まれるオブジェクトを描画するための描画命令情報を作成することが記載されており,上記特表2003-529812号公報の段落【0034】?【0037】,【0075】?【0077】,【0104】?【0109】には,HTMLコンテンツ記述のようなコンテンツをキャッシュから読み出し,コンテンツのHTML記述に従ってコンテンツをレイアウトする中でレンダリング命令を発生することが,記載されている。)であるから,刊行物記載発明のデータ処理手段(ASIC-CPU)が実行する内蔵プログラムに,周知のHTMLブラウザを適用し,記憶手段(RAM,メモリ)に一旦格納したコンテンツ情報を処理して,本願発明の「デジタル表示信号」に相当する処理命令(「デジタル表示信号」については,本願明細書の上記段落【0032】を参照。)を生成する構成となすこと,すなわち,「入力手段から受信した入力データと記憶手段に格納されたプログラムとに基づき,無線通信手段から受信したデジタル信号に必要な処理を行い,」「自らが処理可能なデータファイルとして前記記憶手段に一旦格納し,その後読み出した上で処理することによりデジタル表示信号を生成する表示信号生成手段」の構成とすることに,格別の困難性はない。
また,マークアップ文書(例えば,HTML文書やBML文書などが含まれる。)のブラウザの一種として,デジタル信号を無線放送により受信して表示する際に,受信した信号に必要な処理を行い,デジタル表示信号を生成するBMLブラウザが周知(例えば,特開2003-348474号公報の段落【0060】?【0068】には,ディジタル放送受信機において,復調されたディジタル信号からBML文書を復元し,該BML文書をROMに格納されているBMLブラウザによりCPUで処理して描画処理命令を生成することが記載されており,特開2002-16849号公報の段落【0025】?【0028】には,BSデジタル放送受信機において,受信したRF信号を復号し,BML文書データを取得してBMLブラウザ部に取り込まれ,BMLデータは構文解析されて所定の内部データ形式に変換されることが記載されている。)であって,受信した放送内容は,実質的にリアルタイムに表示されると解されるところ,刊行物の段落【0110】には,「HTMLコンテンツは,CompactHTML等のHTMLのサブセットまたはXML等のHTMLの類似の原語で記述されたものであってもよい。」と記載されていることから,刊行物記載発明のデータ処理手段が実行する内蔵プログラムに,周知のBMLブラウザを適用して,「前記入力手段から受信した入力データと前記記憶手段に格納されたプログラムとに基づき,前記無線通信手段から受信したデジタル信号に必要な処理を行い,リアルタイムでデジタル表示信号を生成する」「表示信号生成手段」とすることは,当業者が容易になし得たことである。

次に「表示補助手段」について検討すると,刊行物記載発明のディスプレイ制御手段A(LCDドライバIC)は,処理命令を解釈して実行する処理手段ではなく(上記「第5 対比」の第5段落「刊行物記載発明の「ASIC-CPU」は…」を参照。),刊行物記載発明のデータ処理手段(ASIC-CPU)からディスプレイ制御手段Aへ送信される「デジタル表示信号」は,データ処理手段が,周知のHTMLブラウザ又はBMLブラウザにより,前記コンテンツ情報や文書を処理して生成したデジタル表示信号(処理命令)をさらに処理して生成された,本願発明の「処理後のデジタル表示信号」に相当する信号であると解され,さらに,「デジタル表示信号に対して必要な処理を行い,又は,該デジタル表示信号に基づいて必要な処理を行い,処理後のデジタル表示信号を送信する表示補助手段」そのものは周知(例えば,特開平4-257085号公報の段落【0008】?【0009】には,ホストプロセッサ14のようなプロセッサからグラフィック命令を受けてこれらの命令を処理し,ビットマップメモリ22のそれぞれのメモリ位置に2進数の1および0信号を入力することによって描画を行う高性能シングルチップグラフィクス表示プロセッサ(コージェネレータ10)が記載され,特開平7-271344号公報の段落【0006】には,描画コマンド及び属性設定コマンドに従ってフレームメモリ17にラスター展開や複写といった描画処理を実行する描画プロセッサ5が記載され,特開平8-138059号公報の段落【0010】?【0015】には,ジオメトリ・プロセッサ27から演算後の命令を読み込み,ドットイメージを作成し,フレームメモリ22を更新するラスター変換器21が記載されている。)である。

そして,一般に,一連の処理を実行する処理手段を実現する際に,一連の処理を複数に分割して各部分を実行する処理手段を個別に設けるか,あるいは,一連の処理を実行する単一の処理手段を設けるかは,当業者が適宜選択すべき事項であるから,刊行物記載発明のデータ処理手段(ASIC-CPU)において,周知のHTMLブラウザ又はBMLブラウザにより,デジタル表示信号(処理命令)を生成する構成を設けるとともに,周知の表示補助手段の適用により,デジタル表示信号(処理命令)から処理後のデジタル表示信号(ビットマップデータ)を生成して送信する構成とすること,すなわち「前記入力手段から受信した入力データと前記記憶手段に格納されたプログラムとに基づき,前記無線通信手段から受信したデジタル信号に必要な処理を行い,リアルタイムでデジタル表示信号を生成するか,又は,自らが処理可能なデータファイルとして前記記憶手段に一旦格納し,その後読み出した上で処理することによりデジタル表示信号を生成する表示信号生成手段と,該表示信号生成手段が生成したデジタル表示信号に対して必要な処理を行い,又は,該デジタル表示信号に基づいて必要な処理を行い,処理後のデジタル表示信号を送信する表示補助手段とを有するデータ処理手段」とすることは,当業者が容易になし得たことである。


<相違点2について>
上記<相違点1について>で指摘したとおり,刊行物記載発明のデータ処理手段(ASIC-CPU)からディスプレイ制御手段A(LCDドライバIC)へ送信される信号を,周知のBMLブラウザによりリアルタイムに生成されたデジタル表示信号,又は,記憶手段(RAM,メモリ)に一旦格納したコンテンツ情報を読み出した上で処理することにより生成されたデジタル表示信号,のいずれかに基づいて作成された,処理後のデジタル表示信号(ビットマップデータ)とすることは容易である。

また,刊行物記載発明において,データ処理手段(ASIC-CPU)からHTMLコンテンツ情報を受信したインターフェース手段A1(プロセサ)がアナログのビデオ信号を生成する際には,HTMLコンテンツ情報に基づいてデジタル表示信号(処理命令)を生成し,処理後のデジタル表示信号(ビットマップデータ)を生成し,さらにアナログビデオ信号への変換を行うことが明らかであり,また,HTMLコンテンツ情報に基づく処理後のデジタル表示信号の生成を,データ処理手段,あるいはインターフェース手段A1のどちらで実行させるかは,当業者が適宜選択すべき設計的事項であって(例えば,特開2003-288286号公報の段落【0018】?【0037】には,携帯ブラウザホンから,汎用表示装置に接続された中継装置へ,Webページの画面を表示するためのデータを転送する際に,携帯ブラウザホン側で展開されたビットマップデータを転送する実施形態と,ビットマップデータの生成起源となるHTML文書等自体を転送し,中継装置のブラウザでビットマップ展開する実施形態とが,選択可能であることが記載されている。),刊行物記載発明において,データ処理手段からインターフェース手段A1へ送信する信号を,処理後のデジタル表示信号とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。

さらに,携帯機器の内蔵ディスプレイへ送信する表示信号と,外部ディスプレイへ接続される外部インターフェース手段へ送信する表示信号を,同一の手段から取り出して送信することは周知(例えば,上記特開2003-288286号公報の段落【0022】,【0037】には,ビデオRAM(6a)に展開されたビットマップデータを,携帯ブラウザホン(1)が備えるLCD(4)と,汎用表示装置(30)に結合された中継装置(20)へ送信することが記載され,特開2001-197167号公報の段落【0008】?【0014】には,画像メモリ(22)に記憶させた表示データ(ドットデータ)を,携帯電話機本体に設けられた簡易型液晶表示パネル(23)と,CRT表示器(24)に接続されたモニタ端子(25)へ送信することが記載されている。)であって,表示信号を内蔵ディスプレイと外部インターフェース手段の双方へ送信するか,内蔵ディスプレイと外部インターフェース手段のいずれか一方へ振り分けて送信するかは,当業者が適宜選択するべき設計的事項であるから,刊行物記載発明において,データ処理手段から,ディスプレイ制御手段A及びインターフェース手段A1へ送信されるデジタル表示信号を,表示信号生成手段が生成したデジタル表示信号に対して必要な処理を行った,又は,該デジタル表示信号に基づいて必要な処理を行った,「処理後の」デジタル表示信号とするとともに,「前記処理後のデジタル表示信号を,前記ディスプレイ制御手段Aと前記インターフェース手段A1の双方へ送信する,又は,前記ディスプレイ制御手段Aと前記インターフェース手段A1のいずれか一方へ振り分けて送信する機能を有」する「表示補助手段」を設けることは,当業者が容易になし得たことである。


そして,本願発明のように構成したことによる効果も,刊行物記載発明,及び周知技術から予測できる程度のものである。


第7 むすび

以上のとおり,本願発明は,刊行物に記載された発明,及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

したがって,本願は,他の請求項について論及するまでもなく,拒絶すべきものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-10-21 
結審通知日 2009-10-27 
審決日 2009-11-09 
出願番号 特願2008-162654(P2008-162654)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
P 1 8・ 572- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 円子 英紀  
特許庁審判長 江嶋 清仁
特許庁審判官 近藤 聡
圓道 浩史
発明の名称 携帯情報通信装置とともに用いる外部入出力ユニット  

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