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審決分類 |
審判 査定不服 2号主要部同一 特許、登録しない。 G06K 審判 査定不服 1号課題同一 特許、登録しない。 G06K 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G06K 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06K 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06K |
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管理番号 | 1210601 |
審判番号 | 不服2007-2254 |
総通号数 | 123 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2010-03-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2007-01-18 |
確定日 | 2010-01-21 |
事件の表示 | 特願2002-147914「ICカード」拒絶査定不服審判事件〔平成15年12月 5日出願公開、特開2003-346109〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本願は、 平成14年5月22日付けの出願であって、 平成15年6月12日付けで審査請求がなされ、 平成17年9月30日付けで拒絶理由通知(平成17年10月4日発送)がなされ、 同年12月5日付けで意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正書が提出され、 平成18年6月9日付けで最後の拒絶理由通知(平成18年6月13日発送)がなされ、 同年8月14日付けで意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正書が提出されたが、 同年11月21日付けで該同年8月14日付けの手続補正書に対する補正却下の決定がなされるとともに、拒絶査定(同年12月19日発送)がなされ、 平成19年1月18日付けで審判請求がされるとともに、 同年2月19日付けで手続補正書が提出されたものである。 なお、同年3月30日付けで特許法第164条第3項に定める報告(前置報告)がなされ、同年6月7日付けで、該報告を考慮した補正案を提示する上申書が提出されている。 第2.平成19年2月19日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成19年2月19日付けの明細書又は図面についての手続補正を却下する。 [理由] 1. 本件補正の内容 平成19年2月19日付けの手続補正(以下「本件補正」と記す。)は、特許請求の範囲について、下記の補正前の特許請求の範囲から、下記の補正後の特許請求の範囲に補正しようとするものである。 <補正前の特許請求の範囲> 【請求項1】 配線基板と、前記配線基板に設けられた半導体集積回路チップと、前記半導体集積回路チップを被覆する絶縁性樹脂部とを有する半導体集積回路装置パッケージと、 前記半導体集積回路装置パッケージの一表面に設けられ、電子機器の端子に対して再接触するための前記半導体集積回路チップと電気的に接続された複数のカード端子と、 半導体集積回路装置パッケージが貼り付けられる凹部を有し、前記凹部の底と前記半導体集積回路装置パッケージの前記一表面に相対した他表面とが貼り付けられたベースカードと、を具備し、 前記半導体集積回路装置パッケージは直方体パッケージであり、 前記半導体集積回路装置パッケージの前記他表面には前記絶縁性樹脂が、前記半導体集積回路装置パッケージの前記一表面、及び前記他表面を除く4面には前記配線基板と前記絶縁性樹脂とが露出することを特徴とするICカード。 【請求項2】 前記ベースカードの凹部は、前記ベースカードの中心から偏在した位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のICカード。 【請求項3】 前記ベースカードのカード端子側表面には、リブが設けられていることを特徴とする請求項1に記載のICカード。 【請求項4】 前記半導体集積回路装置パッケージの複数のカード端子の表面の位置は、前記ベースカードを、前記カード端子面側表面を下にして平面上に置いた際、前記複数のカード端子の表面が前記平面に触れない位置にあることを特徴とする請求項1に記載のICカード。 【請求項5】 前記半導体集積回路装置パッケージの複数のカード端子の表面の位置は、前記ベースカードのカード端子面側表面の位置よりも低い位置にあることを特徴とする請求項4に記載のICカード。 【請求項6】 前記ベースカードのカード端子面側表面のうち、少なくとも電子機器の端子が摺れ合う部分の表面の位置は、前記カード端子面側表面の他の部分の位置よりも低い位置にあり、かつ前記半導体集積回路装置パッケージの複数のカード端子の表面の位置と、公差の範囲内で同じ位置にあることを特徴とする請求項5に記載のICカード。 【請求項7】 前記ベースカードの凹部の側面と前記ベースカードのカード端子面側表面が交わる角部に、面取り部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のICカード。 【請求項8】 前記ベースカードの凹部の側面どうしが交わる隅部に、逃げ溝部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のICカード。 【請求項9】 前記ベースカードの凹部の底に、突起部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のICカード。 【請求項10】 前記ベースカードの凹部の底に、段差部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のICカード。 【請求項11】 前記ベースカードの凹部の底に、突起部及び段差部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のICカード。 【請求項12】 前記ベースカードの幅は、電子機器への挿入方向に向かって狭くなっていることを特徴とする請求項1に記載のICカード。 【請求項13】 前記ベースカードのカード端子側表面には段差が有り、前記段差の幅は、電子機器への挿入方向に向かって広くなっていることを特徴とする請求項1に記載のICカード。 【請求項14】 前記ベースカードの厚みは、電子機器への挿入方向に向かって薄くなっていることを特徴とする請求項1に記載のICカード。 【請求項15】 前記半導体集積回路装置パッケージ内に設けられている少なくとも1つの半導体集積回路チップと前記複数のカード端子との各電気的接続点は、前記複数のカード端子の各表面のうち、電子機器の端子と擦れ合う部分以外の部分に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のICカード。 【請求項16】 前記複数のカード端子の形状はストレート状であり、前記半導体集積回路チップと前記複数のカード端子との各電気的接続点は、前記ストレート状のカード端子の中心から偏在した位置に設けられ、かつ電子機器挿入側と反対側の位置に設けられていることを特徴とする請求項15に記載のICカード。 【請求項17】 前記各電気的接続点は直線状に並んでいることを特徴とする請求項16に記載のICカード。 【請求項18】 前記ベースカードの凹部の隅、あるいは前記ベースカードの凹部の側面に、前記凹部の上方にオーバーハングするオーバーハングが設けられていることを特徴とする請求項1に記載のICカード。 【請求項19】 前記ベースカードのカード端子面上から、前記半導体集積回路装置パッケージの一部分上にかけて設けられたカバーを、さらに有することを特徴とする請求項1に記載のICカード。 【請求項20】 前記ベースカードのカード端子面上の一部、もしくは前記カード端子面の一部とその周囲をカバーするカバーを、さらに有することを特徴とする請求項1に記載のICカード。 【請求項21】 前記半導体集積回路装置パッケージ内に設けられている少なくとも1つ半導体集積回路チップは、不揮発性半導体メモリチップを含むことを特徴とする請求項1に記載のICカード。 【請求項22】 前記半導体集積回路装置パッケージ内に設けられている少なくとも1つ半導体集積回路チップは、不揮発性半導体メモリチップと、メモリコントローラチップとを含むことを特徴とする請求項1に記載のICカード。 【請求項23】 前記半導体集積回路装置パッケージ内に設けられている少なくとも1つ半導体集積回路チップは、不揮発性半導体メモリとメモリコントローラとを混載した混載メモリチップを含むことを特徴とする請求項1に記載のICカード。 【請求項24】 一表面に、電子機器の端子に対して再接触するためのカード端子が設けられた配線基板と、 前記配線基板の一表面に相対した他表面に設けられ、前記カード端子に電気的に接続された半導体集積回路チップと、 前記半導体集積回路チップを被覆する絶縁性樹脂と、を具備する半導体集積回路装置パッケージであって、 前記半導体集積回路装置パッケージは直方体パッケージであり、 前記半導体集積回路装置パッケージの一表面には前記カード端子が設けられ、 前記半導体集積回路装置パッケージの前記一表面に相対した他表面には前記絶縁性樹脂が、前記半導体集積回路装置パッケージの前記一表面、及び前記他表面を除く4面には前記配線基板と前記絶縁性樹脂とが露出することを特徴とする半導体集積回路装置パッケージ。 【請求項25】 前記複数のカード端子が設けられた前記パッケージの一表面と反対側の表面は、貼り付け面であることを特徴とする請求項24に記載の半導体集積回路装置パッケージ。 【請求項26】 前記複数のカード端子の形状は、ストレート状であることを特徴とする請求項24に記載の半導体集積回路装置パッケージ。 【請求項27】 前記半導体集積回路チップと前記複数のカード端子との各電気的接続点は、前記ストレート状の複数のカード端子の中心から偏在した位置に設けられ、かつ前記各電気的接続点は直線状に並んでいることを特徴とする請求項26に記載の半導体集積回路装置パッケージ。 【請求項28】 前記複数のカード端子の形状は、ランド状であることを特徴とする請求項24に記載の半導体集積回路装置パッケージ。 【請求項29】 前記複数のカード端子の表面には、耐腐食性メッキが施されていることを特徴とする請求項24に記載の半導体集積回路装置パッケージ。 【請求項30】 前記耐腐食性メッキは、貴金属及び希少金属のいずれかを含むことを特徴とする請求項29に記載の半導体集積回路装置パッケージ。 【請求項31】 前記貴金属は金を含み、前記希少金属はパラジウムを含むことを特徴とする請求項30に記載の半導体集積回路装置パッケージ。 【請求項32】 前記ベースカードのカード端子面側表面のうち、少なくとも電子機器の端子が摺れ合う部分の表面の位置は、前記カード端子面側表面の他の部分の位置よりも低い位置にあり、かつ前記ベースカードの機器挿入面において、前記カード端子面側表面の他の部分が、前記少なくとも電子機器の端子が摺れ合う部分の両端にあることを特徴とする請求項1に記載のICカード。 【請求項33】 前記少なくとも電子機器の端子が摺れ合う部分に、電子機器への挿入方向に向かって薄くなるテーパがついていることを特徴とする請求項32に記載のICカード。 <補正後の特許請求の範囲> 「【請求項1】 配線基板と、前記配線基板に設けられた半導体集積回路チップと、前記半導体集積回路チップを被覆する絶縁性樹脂部とを有する半導体集積回路装置パッケージと、 前記半導体集積回路装置パッケージの一表面に設けられ、電子機器の端子に対して再接触するための前記半導体集積回路チップと電気的に接続された複数のカード端子と、 半導体集積回路装置パッケージが貼り付けられる凹部を有し、前記凹部の底と前記半導体集積回路装置パッケージの前記一表面に相対した他表面とが貼り付けられたベースカードと、を具備し、 前記半導体集積回路装置パッケージは直方体パッケージであり、 前記半導体集積回路装置パッケージの前記他表面には前記絶縁性樹脂が、前記半導体集積回路装置パッケージの前記一表面、及び前記他表面を除く4面には前記配線基板と前記絶縁性樹脂とが露出し、 前記ベースカードのカード端子面側表面のうち、少なくとも電子機器の端子が摺れ合う部分の表面の位置は、前記カード端子面側表面の他の部分の位置よりも低い位置にあり、かつ前記ベースカードの機器挿入面において、前記カード端子面側表面の他の部分が、前記少なくとも電子機器の端子が摺れ合う部分の両端にあることを特徴とするICカード。 【請求項2】 前記ベースカードの凹部は、前記ベースカードの中心から偏在した位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のICカード。 【請求項3】 前記ベースカードのカード端子側表面には、リブが設けられていることを特徴とする請求項1に記載のICカード。 【請求項4】 前記半導体集積回路装置パッケージの複数のカード端子の表面の位置は、前記ベースカードを、前記カード端子面側表面を下にして平面上に置いた際、前記複数のカード端子の表面が前記平面に触れない位置にあることを特徴とする請求項1に記載のICカード。 【請求項5】 前記半導体集積回路装置パッケージの複数のカード端子の表面の位置は、前記ベースカードのカード端子面側表面の位置よりも低い位置にあることを特徴とする請求項4に記載のICカード。 【請求項6】 前記ベースカードのカード端子面側表面のうち、少なくとも電子機器の端子が摺れ合う部分の表面の位置は、前記カード端子面側表面の他の部分の位置よりも低い位置にあり、かつ前記半導体集積回路装置パッケージの複数のカード端子の表面の位置と、公差の範囲内で同じ位置にあることを特徴とする請求項5に記載のICカード。 【請求項7】 前記ベースカードの凹部の側面と前記ベースカードのカード端子面側表面が交わる角部に、面取り部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のICカード。 【請求項8】 前記ベースカードの凹部の側面どうしが交わる隅部に、逃げ溝部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のICカード。 【請求項9】 前記ベースカードの凹部の底に、突起部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のICカード。 【請求項10】 前記ベースカードの凹部の底に、段差部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のICカード。 【請求項11】 前記ベースカードの凹部の底に、突起部及び段差部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のICカード。 【請求項12】 前記ベースカードの幅は、電子機器への挿入方向に向かって狭くなっていることを特徴とする請求項1に記載のICカード。 【請求項13】 前記ベースカードのカード端子側表面には段差が有り、前記段差の幅は、電子機器への挿入方向に向かって広くなっていることを特徴とする請求項1に記載のICカード。 【請求項14】 前記ベースカードの厚みは、電子機器への挿入方向に向かって薄くなっていることを特徴とする請求項1に記載のICカード。 【請求項15】 前記半導体集積回路装置パッケージ内に設けられている少なくとも1つの半導体集積回路チップと前記複数のカード端子との各電気的接続点は、前記複数のカード端子の各表面のうち、電子機器の端子と擦れ合う部分以外の部分に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のICカード。 【請求項16】 前記ベースカードの凹部の隅、あるいは前記ベースカードの凹部の側面に、前記凹部の上方にオーバーハングするオーバーハングが設けられていることを特徴とする請求項1に記載のICカード。 【請求項17】 前記ベースカードのカード端子面上から、前記半導体集積回路装置パッケージの一部分上にかけて設けられたカバーを、さらに有することを特徴とする請求項1に記載のICカード。 【請求項18】 前記ベースカードのカード端子面上の一部、もしくは前記カード端子面の一部とその周囲をカバーするカバーを、さらに有することを特徴とする請求項1に記載のICカード。 【請求項19】 前記半導体集積回路装置パッケージ内に設けられている少なくとも1つ半導体集積回路チップは、不揮発性半導体メモリチップを含むことを特徴とする請求項1に記載のICカード。 【請求項20】 前記半導体集積回路装置パッケージ内に設けられている少なくとも1つ半導体集積回路チップは、不揮発性半導体メモリチップと、メモリコントローラチップとを含むことを特徴とする請求項1に記載のICカード。 【請求項21】 前記半導体集積回路装置パッケージ内に設けられている少なくとも1つ半導体集積回路チップは、不揮発性半導体メモリとメモリコントローラとを混載した混載メモリチップを含むことを特徴とする請求項1に記載のICカード。 【請求項22】 前記ベースカードのカード端子面側表面のうち、少なくとも電子機器の端子が摺れ合う部分に、電子機器への挿入方向に向かって薄くなるテーパがついていることを特徴とする請求項1に記載のICカード。」 2.本件補正の目的について 本件補正の目的について検討する。 (1)補正後の請求項1、22に関する補正について 本件補正後の請求項1は、本件補正前の請求項1に記載の発明を特定するための事項(以下「発明特定事項」と略記する。)に、本件補正前には請求項1を引用していた請求項32に記載の「前記ベースカードのカード端子面側表面のうち、少なくとも電子機器の端子が摺れ合う部分の表面の位置は、前記カード端子面側表面の他の部分の位置よりも低い位置にあり、かつ前記ベースカードの機器挿入面において、前記カード端子面側表面の他の部分が、前記少なくとも電子機器の端子が摺れ合う部分の両端にある」との発明特定事項を追加したものである。 また、本件補正後の請求項22は、本件補正前には請求項32を引用していた請求項33を、請求項1を引用する請求項としたものである 従って、これらの補正は補正前の請求項1を削除し、補正前の請求項32を独立形式で表現したものを新たな請求項1としたことに伴う補正であるから、請求項の削除を目的とするものと認められる。 (2)補正前の請求項16、17、24?31を削除する補正について 本件補正前の請求項16、17、24?31に対応する請求項は、本件補正後の特許請求の範囲からは削除されており、これも請求項の削除を目的とするものと認められる。 (3)補正後の請求項2?21に関する補正について 本件補正前の請求項2?4、7?15、18?23は、いずれも請求項1のみを引用する請求項であり、また、本件補正前の請求項5は請求項4のみを、請求項6は請求項5のみを引用する請求項である。 本件補正後の請求項2?4、7?21は、本件補正前の請求項2?4、7?15、18?23に記載の発明特定事項と同様の事項を限定する従属形式の請求項であるが、いずれも本件補正後の請求項1を引用するものである。また、本件補正後の請求項5、6も本件補正後の請求項1を間接的に引用するものである。 してみると、本件補正後の請求項2?21にかかる発明は、本件補正前には有していなかった「前記ベースカードのカード端子面側表面のうち、少なくとも電子機器の端子が摺れ合う部分の表面の位置は、前記カード端子面側表面の他の部分の位置よりも低い位置にあり、かつ前記ベースカードの機器挿入面において、前記カード端子面側表面の他の部分が、前記少なくとも電子機器の端子が摺れ合う部分の両端にある」なる発明特定事項を有するものとなる。そして、この発明特定事項が、本件補正前の請求項2?21におけるいずれかの発明特定事項を概念的により下位にしたものであると認めることもできない。 これは、「特許請求の範囲の減縮」ではあるものの、「請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるもの」ではない。 従って、この補正後の請求項2?21に関する補正は、「特許請求の範囲の減縮(第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)」には該当しない。 また、この補正後の請求項2?21に関する補正が、請求項の削除、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)を目的とするものでないことは明らかである。 (4)小結 したがって、本件補正は、平成14年法律第24号改正附則第2条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するものである。 3.本件補正の独立特許要件について 次に、上記2.(3)の補正後の請求項2?21に関する「特許請求の範囲の減縮」をする補正が「第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるもの」に該当するものであると仮定した場合に、本件補正後の請求項8に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて検討する。 (1)本件補正発明 本件補正後の請求項1に係る発明は、上記1.に示した、補正後の特許請求の範囲の【請求項1】として記載した通りのものであり、これを引用する本件補正後の請求項8に係る発明(以下、「本件補正発明」という。)は、上記1.に示した、補正後の特許請求の範囲の【請求項8】として記載した通りのものである。 従って、本件補正後の請求項8に係る発明は、独立形式で表現すれば、以下に示す通りのものと認められる。 「配線基板と、前記配線基板に設けられた半導体集積回路チップと、前記半導体集積回路チップを被覆する絶縁性樹脂部とを有する半導体集積回路装置パッケージと、 前記半導体集積回路装置パッケージの一表面に設けられ、電子機器の端子に対して再接触するための前記半導体集積回路チップと電気的に接続された複数のカード端子と、 半導体集積回路装置パッケージが貼り付けられる凹部を有し、前記凹部の底と前記半導体集積回路装置パッケージの前記一表面に相対した他表面とが貼り付けられたベースカードと、を具備し、 前記半導体集積回路装置パッケージは直方体パッケージであり、 前記半導体集積回路装置パッケージの前記他表面には前記絶縁性樹脂が、前記半導体集積回路装置パッケージの前記一表面、及び前記他表面を除く4面には前記配線基板と前記絶縁性樹脂とが露出し、 前記ベースカードのカード端子面側表面のうち、少なくとも電子機器の端子が摺れ合う部分の表面の位置は、前記カード端子面側表面の他の部分の位置よりも低い位置にあり、かつ前記ベースカードの機器挿入面において、前記カード端子面側表面の他の部分が、前記少なくとも電子機器の端子が摺れ合う部分の両端にあることを特徴とするICカードであって、 前記ベースカードの凹部の側面どうしが交わる隅部に、逃げ溝部が設けられていることを特徴とするICカード。」 (2)引用文献の記載内容 ア.引用文献1の記載内容 原審の拒絶の査定の理由である上記平成18年6月9日付けの最後の拒絶理由通知において引用された、特開平01-128884号公報(以下「引用文献1」と記す。)、及び、には、下記の事項が記載されている。 <引用文献記載事項1-1> 「ICチップを有するICモジュールを、カード基材の表面側に形成された凹部内に挿入し、カード基材の面と略平行するICモジュールの接着面と凹部の接着面とを接着剤で接着固定してなるICカードにおいて、凹部の接着面周縁にカード基材の裏面側に伸びる収納空間を形成し、カード基材が表面側を内側として曲げられた場合、該収納空間内にICモジュールの接着面周縁が収納されるよう構成したことを特徴とするICカード。」(特許請求の範囲) <引用文献記載事項1-2> 「第1図乃至第3図は本発明によるICカードの第1の実施例を示す図である。第1図乃至第3図において、柔軟性ならびに強度にすぐれた材料からなる支持体11の一方の面にパターニング形成された外部端子12が設けられている。また、支持体11の他方の面にICチップ13が搭載され、外部端子12との間でスルーホール及び回路パターン(図示せず)を介してボンディングワイヤ14によって必要な配線が行われている。さらに、ICチップ13ならびにボンディングワイヤ14を含む配線部の周囲が、モールド用樹脂によって樹脂モールドされて、樹脂モールド部15が形成され、このようにしてICモジュール10が構成されている。この樹脂モールド部15は支持体11の全面を覆っている。」(第2頁下左欄第4行?第18行) <引用文献記載事項1-3> 「この場合、樹脂モールドはトランスファーモールド法により行うことが好ましく、樹脂モールド部15の寸法ならびに形状は、ICチップ13や後述するカード基材20に合せて適宜決定される。」(第2頁下左欄第19行?同頁下右欄第2行) <引用文献記載事項1-4> 「なお、ICモジュール10の樹脂モールド部15の下面15aと、カード基材20の凹部25の底面25aが接着面となるが、これら樹脂モールド部15の下面15aおよび凹部25の底面25aは、いずれもカード基材20と平行する面となっている。」(第3頁上左欄第13行?第18行) <引用文献記載事項1-5> 断面が略長方形で支持体11及び樹脂モールド層15が側面に達しているICモジュール10と、断面が略長方形の凹部25を備えたカード基材20とを有するICカードの側断面図(図1) <引用文献記載事項1-6> カード上方より見た形状が略長方形である凹部25を備えたカード基材20の矢視図(図3) イ.引用文献2の記載内容 同じく、上記最後の拒絶理由通知において引用された、特開昭63-288793号公報(以下「引用文献2」と記す。)には、下記の事項が記載されている。 <引用文献記載事項2-1> 「第1図aの実施例では、カード基材1に、凹状開口部3を設け、この開口部3にICモジュール2を埋設し、その底面を接着、カード基材1に固定している。そして、開口部3の4つの角には、切欠き部6を設けている。」(第2頁下左欄第7行?第11行) (3)引用発明の認定 ア.引用文献1には上記引用文献記載事項1-1の如く「ICチップを有するICモジュールを、カード基材の表面側に形成された凹部内に挿入し、カード基材の面と略平行するICモジュールの接着面と凹部の接着面とを接着剤で接着固定してなるICカード」が記載されている。 イ.そして、該「ICモジュール」は、上記引用文献記載事項1-2の通り「支持体11の一方の面にパターニング形成された外部端子12が設けられて」おり、「支持体11の他方の面にICチップ13が搭載され、外部端子12との間でスルーホール及び回路パターン(図示せず)を介してボンディングワイヤ14によって必要な配線が行われ」、「さらに、ICチップ13ならびにボンディングワイヤ14を含む配線部の周囲が、モールド用樹脂によって樹脂モールドされて、樹脂モールド部15が形成され」、「この樹脂モールド部15は支持体11の全面を覆っている」ものである。 ウ.上記引用文献記載事項1-3の通り、上記「ICモジュール」の「樹脂モールド部15の寸法ならびに形状は、ICチップ13や後述するカード基材20に合せて適宜決定される」ものである。 エ.上記引用文献記載事項1-5等から見て、上記「ICモジュール」の「断面」は「略長方形で支持体11及び樹脂モールド層15が側面に達している」と言える。 オ.上記引用文献記載事項1-5、1-6等から見て、上記「カード基材の表面側に形成された凹部」は「断面が略長方形」で「カード上方より見た形状が略長方形である」と言える。 カ.そして、上記引用文献記載事項1-4の通り、上記「ICカード」は「ICモジュール10の樹脂モールド部15の下面15aと、カード基材20の凹部25の底面25aが接着面となる」ものである 従って、引用文献1には下記引用発明が記載されていると認められる。 <引用発明> 「ICチップを有するICモジュールを、カード基材の表面側に形成された凹部内に挿入し、カード基材の面と略平行するICモジュールの接着面と凹部の接着面とを接着剤で接着固定してなるICカードであって、 該ICモジュールは、支持体の一方の面に外部端子が設けられ、該支持体の他方の面にICチップが搭載され、該外部端子との間でスルーホール及び回路パターンを介してボンディングワイヤによって必要な配線が行われ、さらに、上記ICチップならびにボンディングワイヤを含む配線部の周囲が、モールド用樹脂によって樹脂モールドされて、樹脂モールド部が形成され、この樹脂モールド部は上記支持体の全面を覆っているものであり、 上記ICモジュールの樹脂モールド部の寸法ならびに形状は、上記ICチップや上記カード基材に合せて適宜決定され、 上記ICモジュールの断面は略長方形で、上記支持体及び上記樹脂モールド層はその側面に達しており、 上記カード基材の表面側に形成された凹部は、その断面が略長方形で、カード上方より見た形状が略長方形であり、 上記ICモジュールの樹脂モールド部の下面と、上記カード基材の凹部の底面が接着面となるものであるICカード。」 (4)対比 ア.引用発明は、本件補正発明と同様に「ICカード」である。 イ.引用発明における「ICモジュール」は本件補正発明における「半導体集積回路装置パッケージ」に対応付けられるものであるところ、前者は「該支持体の他方の面にICチップが搭載され」、「上記ICチップならびにボンディングワイヤを含む配線部の周囲が、モールド用樹脂によって樹脂モールドされて、樹脂モールド部が形成され、この樹脂モールド部は上記支持体の全面を覆っているものである」であるから、後者と同様に「配線基板と、前記配線基板に設けられた半導体集積回路チップと、前記半導体集積回路チップを被覆する絶縁性樹脂部とを有する半導体集積回路装置パッケージ」とも言えるものである。 ウ.引用発明における「外部端子」は本件補正発明における「カード端子」に対応付けられるものであるところ、該引用発明における「外部端子」は引用発明における「ICモジュール」の「支持体の一方の面に」「設けられ」、「ICチップが」「該外部端子との間でスルーホール及び回路パターンを介してボンディングワイヤによって必要な配線が行われ」るものであり、さらに、この外部端子が「電子機器の端子に対して再接触するための」ものであることは明らかであるから、本件補正発明における「カード端子」と同様に「前記半導体集積回路装置パッケージの一表面に設けられ、電子機器の端子に対して再接触するための前記半導体集積回路チップと電気的に接続された複数のカード端子」とも言えるものである。 エ.引用発明における「カード基材」は本件補正における「ベースカード」に対応付けられるものであるところ、引用発明は「ICチップを有するICモジュールを、カード基材の表面側に形成された凹部内に挿入し、カード基材の面と略平行するICモジュールの接着面と凹部の接着面とを接着剤で接着固定してなる」ものであるから、引用発明における「カード基材」も本件補正における「ベースカード」と同様に「半導体集積回路装置パッケージが貼り付けられる凹部を有し、前記凹部の底と前記半導体集積回路装置パッケージの前記一表面に相対した他表面とが貼り付けられたベースカード」とも言えるものである。 オ.引用発明における「ICモジュール」は「上記ICチップならびにボンディングワイヤを含む配線部の周囲が、モールド用樹脂によって樹脂モールドされて、樹脂モールド部が形成され、この樹脂モールド部は上記支持体の全面を覆っているもの」であり、しかも、「上記ICモジュールの樹脂モールド部の下面と、上記カード基材の凹部の底面が接着面となるもの」であるから、引用発明の「ICモジュール」も本件補正発明の「半導体集積回路装置パッケージ」も「前記半導体集積回路装置パッケージの前記他表面には前記絶縁性樹脂が」「露出し」ている点で共通すると言える。 (5)一致点・相違点 よって、本件補正発明と引用発明とは、下記<一致点>で一致し、下記<相違点>で相違すると言える。 <一致点> 「配線基板と、前記配線基板に設けられた半導体集積回路チップと、前記半導体集積回路チップを被覆する絶縁性樹脂部とを有する半導体集積回路装置パッケージと、 前記半導体集積回路装置パッケージの一表面に設けられ、電子機器の端子に対して再接触するための前記半導体集積回路チップと電気的に接続された複数のカード端子と、 半導体集積回路装置パッケージが貼り付けられる凹部を有し、前記凹部の底と前記半導体集積回路装置パッケージの前記一表面に相対した他表面とが貼り付けられたベースカードと、を具備し、」 「前記半導体集積回路装置パッケージの前記他表面には前記絶縁性樹脂が」「露出し」「ている」「ICカード。」 <相違点1> 本件補正発明においては、半導体集積回路装置パッケージを、「直方体パッケージであり」その「前記一表面、及び前記他表面を除く4面には前記配線基板と前記絶縁性樹脂とが露出し」ているものとしている。 これに対し、引用発明の「ICモジュール」は、その「樹脂モールド部の寸法ならびに形状」が「断面が略長方形で、カード上方より見た形状が略長方形である」「凹部」が形成される「上記カード基材に合せて適宜決定され」るもので、「断面は略長方形で、上記支持体及び上記樹脂モールド層はその側面に達して」いるものであるとは言えるものの、引用文献1には、「ICモジュール」の形状が「直方体」でその側面において「前記配線基板と前記絶縁性樹脂とが露出し」ている旨を明示する文章は無い。 <相違点2> 本件補正発明は、「前記ベースカードのカード端子面側表面のうち、少なくとも電子機器の端子が摺れ合う部分の表面の位置は、前記カード端子面側表面の他の部分の位置よりも低い位置にあり、かつ前記ベースカードの機器挿入面において、前記カード端子面側表面の他の部分が、前記少なくとも電子機器の端子が摺れ合う部分の両端にある」ものとなされている。 これに対し、引用文献1においては「カード基材の表面」の形状や「外部端子」との位置関係についての明示は無い。 <相違点3> 本件補正発明が「前記ベースカードの凹部の側面どうしが交わる隅部に、逃げ溝部が設けられている」ものである。 これに対し、引用発明には係る「逃げ溝部」は設けられていない。 (6)当審判断 以下、上記相違点について検討する。 <相違点1について> 複数のICが実装された基板を樹脂でモールドしてからダイシングするICパッケージの製造方法は、従来から当業者に周知慣用のものであり(必要があれば特開2002-16193号公報、特開2002-16189号公報、特開2001-274308号公報、特開2001-244399号公報(いずれも原審の平成18年11月21日付けの補正却下で引用されたもの)等参照)、このような製造方法によって製造されたICパッケージは、須く直方体で、かつ側面に基板と樹脂が露出するものとなる。 してみれば、引用発明にける「ICモジュール」として、このような製造方法によって製造されたICパッケージを採用すること、すなわち、上記相違点1における半導体集積回路装置パッケージを「直方体パッケージであり」、その「前記一表面、及び前記他表面を除く4面には前記配線基板と前記絶縁性樹脂とが露出し」ているものとすることは、当業者であれば適宜に採用し得る周知慣用技術の採用に過ぎないものであり、これによって格別新たな効果が奏されるものでもない。 <相違点2について> ICカードの端子を該ICカード基材に設けた凹部内に設けることは、端子やIC保護等のために古くから適宜に採用されているデザインであり(必要があれば、特開平11-053503号公報、特開昭61-295099号公報、実願昭57-136437号(実開昭59-40957号)のマイクロフィルム等参照)、これを引用発明に適用し、「前記ベースカードのカード端子面側表面のうち、少なくとも電子機器の端子が摺れ合う部分の表面の位置は、前記カード端子面側表面の他の部分の位置よりも低い位置にあり、かつ前記ベースカードの機器挿入面において、前記カード端子面側表面の他の部分が、前記少なくとも電子機器の端子が摺れ合う部分の両端にある」ものとすることは、当業者が適宜に採用し得た設計的事項に過ぎないものであり、その効果も予測し得る程度のもので、格別なものでなない。 <相違点3について> ICモジュールを埋設する開口部の4つの角に切欠き部を設けることは上記引用文献2(特に引用文献記載事項2-1)記載の如く、当業者が適宜に採用している周知の設計事項であり、これを引用発明に適用して、「前記ベースカードの凹部の側面どうしが交わる隅部に、逃げ溝部が設けられている」ものとすることも、当業者であれば適宜に採用し得た設計事項に過ぎないものであり、その効果も予測し得る程度のもので、格別なものでなない。 してみると、本件補正発明の構成は引用文献記載の発明に基づいて、当業者が容易に想到し得たものである。 そして、当該構成の採用によって奏される作用効果も、当業者であれば容易に予測し得る程度のものであって、格別顕著なものではない。 よって、本件補正発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。 (7)小結 従って、仮に、本件補正が特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるとしても、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものである。 4.上申書の補正案について 請求人は、上記平成19年6月7日付けの上申書において、下記補正案を提示している。 「(補正案) <請求項1> 配線基板と、前記配線基板に設けられた半導体集積回路チップと、前記半導体集積回路チップを被覆する絶縁性樹脂部とを有する半導体集積回路装置パッケージと、 前記半導体集積回路装置パッケージの一表面に設けられ、電子機器の端子に対して再接触するための前記半導体集積回路チップと電気的に接続された複数のカード端子と、 半導体集積回路装置パッケージが貼り付けられる凹部を有し、前記凹部の底と前記半導体集積回路装置パッケージの前記一表面に相対した他表面とが貼り付けられたベースカードと、を具備し、 前記半導体集積回路装置パッケージは直方体パッケージであり、 前記半導体集積回路装置パッケージの前記他表面には前記絶縁性樹脂が、前記半導体集積回路装置パッケージの前記一表面、及び前記他表面を除く4面には前記配線基板と前記絶縁性樹脂とが露出し、 前記ベースカードの凹部の側面どうしが交わる隅部に、前記半導体集積回路装置パッケージのばりを収容する逃げ溝部が設けられていることを特徴とするICカード。 <請求項2> 前記ベースカードの凹部は、前記ベースカードの中心から偏在した位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のICカード。 <請求項3> 前記ベースカードのカード端子側表面には、リブが設けられていることを特徴とする請求項1に記載のICカード。 <請求項4> 前記半導体集積回路装置パッケージの複数のカード端子の表面の位置は、前記ベースカードを、前記カード端子面側表面を下にして平面上に置いた際、前記複数のカード端子の表面が前記平面に触れない位置にあることを特徴とする請求項1に記載のICカード。 <請求項5> 前記半導体集積回路装置パッケージの複数のカード端子の表面の位置は、前記ベースカードのカード端子面側表面の位置よりも低い位置にあることを特徴とする請求項4に記載のICカード。 <請求項6> 前記ベースカードのカード端子面側表面のうち、少なくとも電子機器の端子が摺れ合う部分の表面の位置は、前記カード端子面側表面の他の部分の位置よりも低い位置にあり、かつ前記半導体集積回路装置パッケージの複数のカード端子の表面の位置と、公差の範囲内で同じ位置にあることを特徴とする請求項5に記載のICカード。 <請求項7> 前記ベースカードの凹部の側面と前記ベースカードのカード端子面側表面が交わる角部に、面取り部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のICカード。 <請求項8> 前記ベースカードの凹部の底に、段差部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のICカード。 <請求項9> 前記ベースカードの幅は、電子機器への挿入方向に向かって狭くなっていることを特徴とする請求項1に記載のICカード。 <請求項10> 前記ベースカードのカード端子側表面には段差が有り、前記段差の幅は、電子機器への挿入方向に向かって広くなっていることを特徴とする請求項1に記載のICカード。 <請求項11> 前記ベースカードの厚みは、電子機器への挿入方向に向かって薄くなっていることを特徴とする請求項1に記載のICカード。 <請求項12> 前記半導体集積回路装置パッケージ内に設けられている少なくとも1つの半導体集積回路チップと前記複数のカード端子との各電気的接続点は、前記複数のカード端子の各表面のうち、電子機器の端子と擦れ合う部分以外の部分に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のICカード。 <請求項13> 前記半導体集積回路装置パッケージ内に設けられている少なくとも1つ半導体集積回路チップは、不揮発性半導体メモリチップを含むことを特徴とする請求項1に記載のICカード。 <請求項14> 前記半導体集積回路装置パッケージ内に設けられている少なくとも1つ半導体集積回路チップは、不揮発性半導体メモリチップと、メモリコントローラチップとを含むことを特徴とする請求項1に記載のICカード。 <請求項15> 前記半導体集積回路装置パッケージ内に設けられている少なくとも1つ半導体集積回路チップは、不揮発性半導体メモリとメモリコントローラとを混載した混載メモリチップを含むことを特徴とする請求項1に記載のICカード。 <請求項16> 前記ベースカードのカード端子面側表面のうち、少なくとも電子機器の端子が摺れ合う部分に、電子機器への挿入方向に向かって薄くなるテーパがついていることを特徴とする請求項1に記載のICカード。 <請求項17> 前記ベースカードのカード端子面側表面のうち、少なくとも電子機器の端子が摺れ合う部分の表面の位置は、前記カード端子面側表面の他の部分の位置よりも低い位置にあり、かつ前記ベースカードの機器挿入面において、前記カード端子面側表面の他の部分が、前記少なくとも電子機器の端子が摺れ合う部分の両端にあることを特徴とする請求項1記載のICカード。」 当該補正案について検討するに、当該補正案は、上記本件補正後の請求項1から「前記ベースカードのカード端子面側表面のうち、少なくとも電子機器の端子が摺れ合う部分の表面の位置は、前記カード端子面側表面の他の部分の位置よりも低い位置にあり、かつ前記ベースカードの機器挿入面において、前記カード端子面側表面の他の部分が、前記少なくとも電子機器の端子が摺れ合う部分の両端にある」との発明特定事項を削除し、さらに、本件補正後の請求項8記載の「前記ベースカードの凹部の側面どうしが交わる隅部に、逃げ溝部が設けられている」との発明特定事項を付加するとともに、該「逃げ溝部」を「前記半導体集積回路装置パッケージのばりを収容する逃げ溝部」としたものを補正案の請求項1とし、該補正案の請求項1を引用する従属請求項として上記本件補正後の請求項2?7、10、12?15、19?22と同様の限定をする請求項を、補正案の請求項2?16とし、さらに、該補正案の請求項1を引用する従属請求項として、上記「前記ベースカードのカード端子面側表面のうち、少なくとも電子機器の端子が摺れ合う部分の表面の位置は、前記カード端子面側表面の他の部分の位置よりも低い位置にあり、かつ前記ベースカードの機器挿入面において、前記カード端子面側表面の他の部分が、前記少なくとも電子機器の端子が摺れ合う部分の両端にある」との発明特定事項を別途限定する請求項を、補正案の請求項17とする補正をしようとするものである。 しかしながら、上記補正案の請求項1についての補正は、本件補正後の請求項1から「前記ベースカードのカード端子面側表面のうち、少なくとも電子機器の端子が摺れ合う部分の表面の位置は、前記カード端子面側表面の他の部分の位置よりも低い位置にあり、かつ前記ベースカードの機器挿入面において、前記カード端子面側表面の他の部分が、前記少なくとも電子機器の端子が摺れ合う部分の両端にある」との発明特定事項を削除しようとするものであるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものではない。また、これが請求項の削除、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)を目的とするものでないことも明らかである。 また、仮に、この補正案が本件補正前の特許請求の範囲に対してなされる補正であるとしても、当該補正案の請求項2?16は補正前には有していなかった「前記ベースカードの凹部の側面どうしが交わる隅部に、前記半導体集積回路装置パッケージのばりを収容する逃げ溝部が設けられている」との発明特定事項を有するものとなるのであるから、当該補正案の請求項2?16についての補正は「特許請求の範囲の減縮」ではあるものの、「請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるもの」ではない。また、これが請求項の削除、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)を目的とするものでないことも明らかである。 従って、この補正案は、平成14年法律第24号改正附則第2条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反する補正を提案するものである。 また、当該補正案の請求項1に係る発明は、上記相違点1、3に加え「逃げ溝部」を「前記半導体集積回路装置パッケージのばりを収容する」ものとしている点でも引用発明と相違するものであるが、ばり取り作業を行わずにばりを溝部に収納することは、例えば特開平11-087550号公報等に示される如く当業者が適宜採用する事項であるから、半導体集積回路装置パッケージに「ばり」が生じた場合でも、これを除去せずに上記「逃げ溝部」に「収容する」ことも、当業者であれば適宜採用し得る事項に過ぎないものである。 従って、当該補正案の請求項1に係る発明も、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。 すなわち、仮に、上記補正案の請求項1に係る補正が特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるとしても、この補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反する補正である。 よって、上記補正案通りの補正がなされたと仮定しても、この補正は、補正の却下の決定を免れることはできない。 5.むすび 以上の通り、本件補正は、平成14年法律第24号改正附則第2条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 さらに、仮に、本件補正が特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるとしても、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正却下の決定の結論の通り決定する。 第3.本件審判請求の成否について 1.手続きの経緯 本願の手続きの経緯の概略は上記第1.記載の通りのものであり、さらに、平成19年2月19日付けの手続補正は上記第2.のとおり却下された。 したがって、本願の特許請求の範囲は、平成17年12月5日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲に記載のものである。 2.発明の進歩性(特許法第29条第2項)について (1)本願発明の認定 本願請求項1?33に係る発明は、本願の特許請求の範囲の請求項1?33に記載された通りのものであるところ、その請求項1に係る発明は、上記第2.1.の<補正前の特許請求の範囲>の【請求項1】として記載した通りのものであり、その請求項8に係る発明は、上記第2.1.の<補正前の特許請求の範囲>の【請求項8】として記載した通りのものであり、その請求項24に係る発明は、上記第2.1.の<補正前の特許請求の範囲>の【請求項24】として記載した通りのものである。 (2)引用文献の記載内容・引用発明の認定 原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献には、上記第2.3.(2)記載の引用文献記載事項が記載されており、上記第2.3.(3)記載の通りの引用発明が記載されている。 (3)本願請求項1に係る発明についての対比・判断 本願請求項1に係る発明と引用発明とを比較するに、本願請求項1に係る発明は、上記第2.3.で検討した本件補正発明から、「前記ベースカードのカード端子面側表面のうち、少なくとも電子機器の端子が摺れ合う部分の表面の位置は、前記カード端子面側表面の他の部分の位置よりも低い位置にあり、かつ前記ベースカードの機器挿入面において、前記カード端子面側表面の他の部分が、前記少なくとも電子機器の端子が摺れ合う部分の両端にある」旨の発明特定事項、すなわち上記相違点2に係る発明特定事項、及び、「前記ベースカードの凹部の側面どうしが交わる隅部に、逃げ溝部が設けられている」旨の発明特定事項、すなわち上記相違点3に係る発明特定事項を省いたものであるから、本願請求項1に係る発明と引用発明とは上記相違点1のみで相違する。 しかしながら、上記相違点1は上記第2.3.(6)の<相違点1について>で論じた通りのものであるから、本願請求項1に係る発明は、引用発明に周知慣用技術を付加したものに過ぎないものである。そして、これによって何ら新たな効果を奏するものでもない。 従って、本願請求項1に係る発明も、引用文献1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (4)本願請求項8に係る発明についての対比・判断 本願請求項8に係る発明と引用発明とを比較するに、本願請求項8に係る発明は、上記(3)で検討した本願請求項1に係る発明に「前記ベースカードの凹部の側面どうしが交わる隅部に、逃げ溝部が設けられている」旨の発明特定事項を付加したものであるから、引用発明とは上記相違点1及び3で相違する。しかしながら。上記相違点1及び3は、上記第2.3.(6)の<相違点1について><相違点3について>で論じた通りのものである。 従って、本願請求項8に係る発明も、引用文献1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (5)本願請求項24に係る発明についての対比・判断 本願請求項24に係る発明と上記引用発明における「ICモジュール」とを比較するに、本願請求項24に係る発明と上記引用発明における「ICモジュール」とは上記相違点1でのみ相違する。しかしながら、上記相違点1は上記第2.3.(6)の<相違点1について>で論じた通りのものであるから、本願請求項24に係る発明は、引用発明における「ICモジュール」に周知慣用技術を付加したものに過ぎないものである。そして、これによって何ら新たな効果を奏するものでもない。 従って、本願請求項24に係る発明は、引用文献1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (6)小結 以上の通り、本願請求項1、8、24に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 3.出願の単一性(特許法第37条)について 本願は、本願特許請求の範囲の請求項1?33に記載された通りの、2以上の発明について、1の願書で出願するものであるところ、その請求項1?33に係る発明は、上記第2.1.の<補正前の特許請求の範囲>の【請求項1】?【請求項33】として記載した通りのものである。 そこで、本願特許請求の範囲の請求項1?33に係る発明が特許法第37条各号の関係を有しているか否かについて検討する。 (1)特許法第37条第1号の関係について 本願請求項1?33に係る発明は、ICカード及びこれに用いる半導体集積回路装置パッケージに関する発明であるから、本願請求項1?33に係る発明の産業上の利用分野は同一のものであると言える。 本願明細書の発明の詳細な説明には請求項1?30に係る発明に共通の課題として、以下の説明がある。 「【0006】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図39A及び図39Bに示したICカードには、下記のような事情がある。 【0007】キャビティ112の大きさが、例えばのりしろ部113により制限される。このため、例えばICカードを小型化しようとしたとき、ICカードに大型のチップ103を搭載することが困難になる。また、COB型パッケージ101は、チップ103を樹脂104でオーバーコートする構造である。このため、例えばモールディングを用いた場合、樹脂104の側面に、金型からの離脱性を向上させるための逃げ角の設定が必要である。あるいはポッティングを用いた場合には、樹脂104の外周のだれを考慮する必要がある。これらの観点からも大型のチップ103を搭載することは難しい。 【0008】大型のチップ103を搭載することが困難なことは、例えば小型化が進むICカードの単位面積当たりのパフォーマンスを向上させ難い、という弊害を生む。例えばメモリカード用途では、メモリカードの単位面積当たりの記憶容量を大規模化させ難いことが挙げられる。 【0009】この弊害を解消するには、チップ103の大規模集積化等、デバイス技術を推進すれば良いが、デバイス技術の推進には莫大な開発コストを必要とする。この開発コストは、ICカードの製造コストに反映されることになるので、ICカードを低コストで製造することを難しくする。 【0010】また、例えばICカードのパフォーマンスを重視した場合には、大型のチップ103をキャビティ112に収容せざるを得ない場合も想定される。このため、ICカードが大型化される可能性がある。ICカードの大型化もICカードの製造コストを増加させる。 【0011】この発明は、上記の事情に鑑み為されたもので、その目的は、低コストで製造することが可能なICカード及びそのICカードに利用可能な半導体集積回路装置パッケージを提供することにある。」 該共通の課題は、本願請求項1または本願請求項24に係る発明によって解決されるものであるところ、本願請求項1、24に係る発明は、上記2.(3)(5)で論じた通り、引用文献1記載の発明に周知慣用技術を付加したものに過ぎないものであり、これにより新たな効果を奏するものでもないから、該共通の課題は、本願出願前には解決済みであった課題であり、本願出願時まで未解決であった技術上の課題であるとは言えない。 また、他に、本願請求項1に係る発明と他の請求項に係る発明との間に共通し、かつ、本願出願時まで未解決であった技術上の課題は見あたらない。 従って、本願請求項1に係る発明と他の請求項に係る発明の「解決しようとする課題が同一である」とは言えない。 よって、本願請求項1に係る発明を特定発明とした場合には、本願請求項2?33に係る発明は特許法第37条第1号に掲げる発明とは言えない。 また、同様の理由により、請求項24に係る発明を特定発明とした場合でも、本願請求項1?23、25?33に係る発明は特許法第37条第1号に掲げる発明とは言えない。 さらに、同様の理由により、本願請求項2?23、25?33に係る発明を特定発明とした場合でも、本願請求項1、24に係る発明は特許法第37条第1号に掲げる発明とは言えない。 (2)特許法第37条第2号の関係について 上記(1)で述べた通り、本願請求項1?33に係る発明の産業上の利用分野は同一のものであると言える。 本願請求項2?23、32、33に係る発明は、請求項1に係る発明に更に限定を加えたものであるから、これらと本願請求項1に係る発明とは、本願請求項1に記載の発明特定事項を有する点で共通する。 しかしながら、本願請求項1に係る発明は、上記2.(3)で論じた通り、引用発明に周知慣用技術を付加したものに過ぎないものであり、これにより新たな効果を奏するものでもないから、本願請求項1に記載の発明特定事項は、解決しようとする課題に対応した新規な事項と言えるものではない。 また他に、本願請求項1に係る発明と本願請求項2?23、32、33に係る発明との間に共通し、かつ、解決しようとする課題に対応した新規な事項と言える事項は見あたらない。 よって、本願請求項1に係る発明と本願請求項2?23、32、33に係る発明とは特許法第37条第2号の関係を有しない。 本願請求項24に係る発明は、請求項1に係る発明の一部である「半導体集積回路装置パッケージ」に他ならないものであり、本願請求項25?30に係る発明は、該本願請求項24に係る発明に更に限定を加えたものである。従って、これらと本願請求項1に係る発明とは、本願請求項24記載の「半導体集積回路装置パッケージ」を有する点で共通する。 しかしながら、本願請求項24に係る発明も、上記2.(5)で論じた通り、引用発明に周知慣用技術を付加したものに過ぎないものであり、これにより新たな効果を奏するものでもないから、本願請求項24に記載の発明特定事項も、解決しようとする課題に対応した新規な事項と言えるものではない。 よって、本願請求項1に係る発明を特定発明とした場合には、本願請求項2?33に係る発明は特許法第37条第2号に掲げる発明とは言えない。 また、同様の理由により、本願請求項24に係る発明を特定発明とした場合には、本願請求項1?23、25?33に係る発明は特許法第37条第2号に掲げる発明とは言えない。 そして、さらに、請求項2?23、25?33に係る発明を特定発明とした場合でも、本願請求項1、24に係る発明は特許法第37条第2号に掲げる発明とは言えない。 (3)特許法第37条第3号の関係について 本願請求項1?33に係る発明はいずれも「物」の発明であるから、本願請求項1?33に係る発明のいずれを特定発明としても、他の請求項に係る発明は、該特定発明を生産する方法の発明とも、該特定発明を使用する方法の発明とも、該特定発明を取り扱う方法の発明とも言えるものではない。 本願請求項1?23、32、33に係る発明はいずれも「ICカード」の発明であり、本願請求項24?31に係る発明は該「ICカード」の一部分であるところの「半導体集積回路装置パッケージ」であるから、本願請求項1?33に係る発明のいずれを特定発明としても、他の請求項に係る発明は、該特定発明を生産する機械、器具、装置、その他の物の発明とも、該特定発明の特定の性質を専ら利用する物の発明とも、該特定発明を取り扱う物の発明とも言えるものではない。 よって、本願請求項1?33に係る発明のいずれを特定発明としても、他の請求項に係る発明は特許法第37条第3号に掲げる発明とは言えない。 (4)特許法第37条第4号の関係について 本願請求項1?33に係る発明はいずれも「物」の発明であるから、本願請求項1?33に係る発明のいずれを特定発明としても、該特定発明の実施に直接使用する機械、器具、装置その他の物には該当しない。 よって、本願請求項1?33に係る発明のいずれを特定発明としても、他の請求項に係る発明は、特許法第37条第4号に掲げる発明とは言えない。 (5)特許法第37条第5号の関係について 上記(1)?(4)記載の通りであるから、本願請求項1?33に係る発明のいずれを特定発明としても、当該特定発明と他の請求項に係る発明とは特許法第37条第5号の経済産業省令で定める関係を有しない。 (6)小結 以上の通りであるから、本願は、特許法第37条に規定する要件を満たしていない。 4.むすび 以上のとおり、本願請求項1、8、24に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本願は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、また、本願は、特許法第37条に規定する要件を満たしていないものである。 よって、上記結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2009-11-18 |
結審通知日 | 2009-11-24 |
審決日 | 2009-12-07 |
出願番号 | 特願2002-147914(P2002-147914) |
審決分類 |
P
1
8・
572-
Z
(G06K)
P 1 8・ 642- Z (G06K) P 1 8・ 121- Z (G06K) P 1 8・ 641- Z (G06K) P 1 8・ 575- Z (G06K) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 村田 充裕 |
特許庁審判長 |
山崎 達也 |
特許庁審判官 |
鈴木 匡明 久保 光宏 |
発明の名称 | ICカード |
代理人 | 村松 貞男 |
代理人 | 鈴江 武彦 |
代理人 | 河野 哲 |
代理人 | 橋本 良郎 |
代理人 | 中村 誠 |