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審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1212780
審判番号 不服2007-19389  
総通号数 124 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-04-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-07-11 
確定日 2010-03-04 
事件の表示 特願2002-155043「電子文書表示方法、電子文書表示装置、電子文書表示プログラムおよび電子文書表示プログラムを記録した機械読取り可能な記録媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成15年12月 5日出願公開、特開2003-345788〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
第1 手続の経緯

本願は、平成14年5月29日の出願であって、平成19年6月5日付で拒絶査定がなされ、これに対し、平成19年7月11日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、平成19年8月9日付けで手続補正がなされたものである。




第2 平成19年8月9日付けの手続補正についての補正却下の決定

〔結論〕

平成19年8月9日付けの手続補正を却下する。

〔理由〕

1.補正内容

平成19年8月9日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲に対する補正であって、
本件補正前の特許請求の範囲の請求項1及び請求項12、すなわち、

「 【請求項1】 1つ以上の画像を含む電子文書を閲覧または編集するために前記電子文書のイメージを画面に表示する電子文書表示装置であって、
前記電子文書のイメージ中で表示された前記画像を外部操作に応じて選択する画像選択手段と、
前記画像選択手段によって選択された前記画像を、当該画像に対応の簡略されたオブジェクトに置換えることにより生成された前記電子文書のイメージを表示するオブジェクト表示手段と、
前記電子文書のイメージ中で表示された前記オブジェクトを外部操作に応じて選択するオブジェクト選択手段と、
前記オブジェクト選択手段により選択された前記オブジェクトを、該オブジェクトに対応の前記画像に置換えて前記画面において表示する画像表示手段と、
前記画像に対応して、前記電子文書のイメージにおいて外部操作による当該画像の入力を受付る領域を指示する領域情報を管理する入力管理手段を備え、
前記オブジェクト表示手段は、
前記電子文書のイメージを、選択された前記画像が対応の前記オブジェクトに置換えられたイメージに更新するイメージ更新手段を含み、
前記入力管理手段は、
前記イメージ更新手段による前記イメージの更新に従い、前記画像に対応の前記領域情報を、置換えられた対応の前記オブジェクトに対応した情報に変更する領域変更手段を含む、電子文書表示装置。」
及び、
「 【請求項12】 前記画像がリンク情報を有する場合には、
前記オブジェクト選択手段により前記オブジェクトが選択されると、選択された前記オブジェクトに対応の前記画像が有する前記リンク情報が指示するリンク先の情報を表示する、請求項1に記載の電子文書表示装置。」

に基づいて、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1、すなわち、

「 【請求項1】 1つ以上の画像を含む電子文書を閲覧または編集するために前記電子文書のイメージを画面に表示する電子文書表示装置であって、
前記電子文書のイメージ中で表示された前記画像を外部操作に応じて選択する画像選択手段と、
前記画像選択手段によって選択された前記画像を、当該画像に対応の簡略されたオブジェクトに置換えることにより生成された前記電子文書のイメージを表示するオブジェクト表示手段と、
前記電子文書のイメージ中で表示された前記オブジェクトを外部操作に応じて選択するオブジェクト選択手段と、
前記オブジェクト選択手段により選択された前記オブジェクトを、該オブジェクトに対応の前記画像に置換えて前記画面において表示する画像表示手段と、
前記画像に対応して、前記電子文書のイメージにおいて外部操作による当該画像への入力を受付る領域を指示する領域情報を管理する入力管理手段を備え、
前記オブジェクト表示手段は、
前記電子文書のイメージを、選択された前記画像が対応の前記オブジェクトに置換えられたイメージに更新するイメージ更新手段を含み、
前記入力管理手段は、
前記イメージ更新手段による前記イメージの更新に従い、前記画像に対応の前記領域情報を、置換えられた対応の前記オブジェクトに対応した領域情報に変更する領域変更手段を含み、
前記画像がリンク情報を有する場合には、
所定の外部操作に応じて前記オブジェクト選択手段により前記オブジェクトが選択されると、選択された前記オブジェクトに対応の前記画像を表示し、前記所定の外部操作とは異なる外部操作に応じて前記オブジェクト選択手段により前記オブジェクトが選択されると、選択された前記オブジェクトに対応の前記画像が有する前記リンク情報が指示するリンク先の情報を表示する、電子文書表示装置。」

に変更する補正を含むものである。


つまり、本件補正は、

(本件補正事項1)
本件補正前の請求項1を引用する請求項12の、
「前記画像がリンク情報を有する場合には、
前記オブジェクト選択手段により前記オブジェクトが選択されると、選択された前記オブジェクトに対応の前記画像が有する前記リンク情報が指示するリンク先の情報を表示する」ことを、
本件補正後の請求項1の、
「前記画像がリンク情報を有する場合には、
所定の外部操作に応じて前記オブジェクト選択手段により前記オブジェクトが選択されると、選択された前記オブジェクトに対応の前記画像を表示し、前記所定の外部操作とは異なる外部操作に応じて前記オブジェクト選択手段により前記オブジェクトが選択されると、選択された前記オブジェクトに対応の前記画像が有する前記リンク情報が指示するリンク先の情報を表示する」ことに変更する補正、

又は、

(本件補正事項2)
本件補正前の請求項1に、
「前記画像がリンク情報を有する場合には、
所定の外部操作に応じて前記オブジェクト選択手段により前記オブジェクトが選択されると、選択された前記オブジェクトに対応の前記画像を表示し、前記所定の外部操作とは異なる外部操作に応じて前記オブジェクト選択手段により前記オブジェクトが選択されると、選択された前記オブジェクトに対応の前記画像が有する前記リンク情報が指示するリンク先の情報を表示する」ことを追加することによって、本件補正後の請求項1とする補正、

のどちらかと解釈できる補正を含むものである。


なお、本件補正に関して、審判請求人は、審判請求書において、

「(2)補正の内容
本願については、同日付で提出しました手続補正書により特許請求の範囲を補正致しました。補正後の特許請求の範囲には請求項1-14が記載されました。具体的には、補正後の請求項1は、元の請求項(平成19年1月25日提出の手続補正書の特許請求の範囲に記載の請求項)1を、元の請求項12の内容と出願当初明細書の段落[0084]の記載に基づく特徴を組込んで補正したものです。」

と主張している。



2.本件補正に対する判断

(1)本件補正事項1について

本件補正事項1は、請求項を削除するものではないので、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項(以下、単に「特許法第17条の2第4項」という。)第1号に規定された「請求項の削除」に該当しない。


また、本件補正前では、画像がリンク情報を有する場合には、オブジェクトが選択されると、前記画像が有する前記リンク情報が指示するリンク先の情報を表示するものとの限定があったものが、
本件補正後では、画像がリンク情報を有する場合であっても、所定の外部操作に応じて前記オブジェクト選択手段により前記オブジェクトが選択される場合には、前記画像が有する前記リンク情報が指示するリンク先の情報を表示する限定を解除するものとなったのであるから、
本件補正事項1は、特許法第17条の2第4項第2号に規定された「特許請求の範囲の減縮(第三十6条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであつて、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)」に該当しない。


更に、本件補正前の
「前記画像がリンク情報を有する場合には、
前記オブジェクト選択手段により前記オブジェクトが選択されると、選択された前記オブジェクトに対応の前記画像が有する前記リンク情報が指示するリンク先の情報を表示する」
という記載には誤記はないのであるから、本件補正事項1は、特許法第17条の2第4項第3号に規定された「誤記の訂正」に該当しない。


しかも、「前記画像がリンク情報を有する場合」の処理に関して、明りようでない記載に関する拒絶理由は通知されていないので、
本件補正事項1は、特許法第17条の2第4項第4号に規定された「明りようでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)」に該当しない。

〔参考〕平成19年(行ケ)第10159号(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080326111316.pdf)
「(3) さらに,原告は,新規事項の追加状態を解消する補正は,記載不備状態を解消するためのものであり,第三者に不測の不利益を与えることもないから,特許請求の範囲の不明りょうな記載を明りょうな記載に補正するものとして取り扱うべきであると主張する。
しかし,特許法17条の2第4項4号は,「明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)」と規定しているから,「明りょうでない記載の釈明」を目的とする補正は,法律上,審査官が拒絶理由中で特許請求の範囲が明りょうでない旨を指摘した事項について,その記載を明りょうにする補正を行う場合に限られており,原告の主張する「新規事項の追加状態を解消する」目的の補正が特許法17条の2第4項4号に該当する余地はない。」(第13頁第6乃至16行)


つまり、本件補正事項1は、特許法第17条の2第4項各号の規定された要件を満たしていない。


(2)本件補正事項2について

本件補正事項2が、
特許法第17条の2第4項第1号に規定された「請求項の削除」、
特許法第17条の2第4項第3号に規定された「誤記の訂正」、
特許法第17条の2第4項第4号に規定された「明りようでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)」、
に該当しないことは明らかである。


また、本件補正前の請求項1には「画像がリンク情報を有する場合」の処理については全く記載されておらず、本件補正前の請求項1が解決しようとする課題は、
「それゆえに、電子文書の閲覧または編集のとき、外部操作して画像を選択するだけで、該画像を簡略されたオブジェクトに切換え表示でき、外部操作してオブジェクトを選択するだけで、該オブジェクトを元の画像に切換えて電子文書と同一画面で表示できるので、簡単に画像の表示および非表示(オブジェクトの表示)に切換えながら閲覧または編集できる。」(段落【0022】)
ということを実現することである。

一方、本件補正によって追加された「画像がリンク情報を有する場合」の処理が解決しようとする課題は、
「HTML文書中の埋込み画像はリンク情報を持つことがある。通常、画像に対応づけられたリンク先には該画像をクリックすることで移動できるが、本実施の形態1では埋込み画像を小オブジェクトに置換えて、置換えられた小オブジェクトをクリックすると埋込み画像を表示するようにしているので、ユーザが埋込み画像のリンク情報で示されたリンク先に移動するための機能を用意する必要がある。」(段落【0082】)ということを解決することである。

そして、上記両課題のうち後者は、前者をより概念的に下位にしたものではないし、前者と同種のものでもなく、上記両課題は、互いに密接に関連したものとはいえない。

したがって、本件補正事項2については、本件補正前の発明が解決しようとする課題と本件補正後の発明が解決しようとする課題が同一であるとはいえず、
特許法第17条の2第4項第2号に規定された「特許請求の範囲の減縮(第三十6条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであつて、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)」に該当しない。


つまり、本件補正事項2は、特許法第17条の2第4項各号の規定された要件を満たしていない。



3.むすび

したがって、本件補正は、本件補正事項1に基づく補正と解釈しても、本件補正事項2に基づく補正と解釈しても、特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。




第3 本願発明について

1.本願発明

本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成19年1月25日付けの手続補正書の特許請求の範囲第1項に記載されたとおりのものと認められるところ、本願発明は次のとおりのものである。

「 【請求項1】 1つ以上の画像を含む電子文書を閲覧または編集するために前記電子文書のイメージを画面に表示する電子文書表示装置であって、
前記電子文書のイメージ中で表示された前記画像を外部操作に応じて選択する画像選択手段と、
前記画像選択手段によって選択された前記画像を、当該画像に対応の簡略されたオブジェクトに置換えることにより生成された前記電子文書のイメージを表示するオブジェクト表示手段と、
前記電子文書のイメージ中で表示された前記オブジェクトを外部操作に応じて選択するオブジェクト選択手段と、
前記オブジェクト選択手段により選択された前記オブジェクトを、該オブジェクトに対応の前記画像に置換えて前記画面において表示する画像表示手段と、
前記画像に対応して、前記電子文書のイメージにおいて外部操作による当該画像の入力を受付る領域を指示する領域情報を管理する入力管理手段を備え、
前記オブジェクト表示手段は、
前記電子文書のイメージを、選択された前記画像が対応の前記オブジェクトに置換えられたイメージに更新するイメージ更新手段を含み、
前記入力管理手段は、
前記イメージ更新手段による前記イメージの更新に従い、前記画像に対応の前記領域情報を、置換えられた対応の前記オブジェクトに対応した情報に変更する領域変更手段を含む、電子文書表示装置。」



2.引用例の認定

(1)
原査定の拒絶の理由3に引用文献1として引用された、特開平07-182314号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに以下の技術事項が記載されている。

(ア)
「 【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、日本語ワードプロセッサ等の文書作成装置に係り、特に文書中に存在する図形やグラフを必要に応じて表示することのできる文書作成装置及び表示制御方法に関する。」

(イ)
「 【0002】
【従来の技術】
従来、文書作成装置では、文書データとは別に図形データを作成できるものがある。図形データは、行桁で管理されている文書データ(文字データ)とは別の管理下で扱われるデータであり、ここでは文書データとは別管理という意味でグラフデータも含むものとする。図形データには、直線、曲線、矩形、円、楕円といったものから、図形文字と呼ばれる図形扱いの文字などがある。また、グラフデータには、円グラフ、棒グラフ、折れ線グラフなどがある。
【0003】
このような図形データは特定のモード(図形モード/グラフモード)にて作成され、文書データの任意の位置に挿入できる。この場合、上述したように図形データと文書データとは別管理であるため、それぞれ別のモードにて編集を行うことになる。」

(ウ)
「 【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の文書作成装置では、文書データの中に図形データが存在していると、この図形データも含めて表示が行われていた。このため、例えば文書編集時などのように図形データの表示を必要としない作業を行う場合に、図形データの方の表示に時間がかかってしまい、文書編集効率が悪くなる問題があった。
【0005】
また、携帯型の文書作成装置であれば、画面を見せながら報告書等の説明を行うことがあり、その際に、説明に合わせて図形やグラフをタイムリーに表示することが望まれる(図3および図4参照)。しかしなから、上述したように、従来の文書作成装置では、常に図形データも含めて表示が行われるため、このような利用はできず、非常に不具合であった。」

(エ)
「 【0007】
本発明は上記のような点に鑑みなされたもので、文書データの中に図形データ(グラフを含む)が存在する場合に、図形データの表示を任意選択的に行うことのできる文書作成装置及び表示制御方法を提供することを目的とする。
【0008】
特に、本発明は、文書編集時などのように図形データの表示を必要としない作業を行う場合、または、報告書等の説明に合わせて図形データをタイムリーに表示したい場合において、図形データの表示に抑止をかけておき、必要に応じてその表示抑止を解除することのできる文書作成装置及び表示制御方法を提供することを第1の目的とする。」

(オ)
「 【0014】
【実施例】
以下、図面を参照して本発明の一実施例を説明する。図1は本発明の一実施例に係る文書作成装置の構成を示すブロック図である。図1において、CPU11は、入力指示に従うプロクラムの起動でメモリ12をアクセスし、文書作成処理の他、ここでは、図5および図6に示すような図形デタの表示制御処理を行う。
【0015】
メモリ12は、例えばRAMからなり、文書バッファ13、図形バッファ14、表示抑止テーブル15を有する。文書バッファ13には、文書データが格納されている。図形バッファ14には、文書データ中に作成された図形データが格納されている。この場合、文書データは行桁で管理され、図形データはX軸およびY軸の座標で管理されている。」

(カ)
「 【0022】
図3および図4は文書表示画面を示す図であり、図3は図形データを表示している状態(表示抑止を解除している状態)を示し、図4は図形データの表示を抑止している状態を示している。図3において、31,32,33はそれぞれ図形モード(グラフモード)で作成された図形データである。
【0023】
この図形データ31?33のうち、図形データ32および33を囲むような表示抑止範囲34を指定すると、図4に示すように、図形データ32および33の表示が抑止される。このとき、図形データ32および33の表示抑止状態を明示するための点線枠41および42がそれぞれ図形データ32および33の表示位置に表示される。」

(キ)
「 【0024】
次に、同実施例の動作を説明する。図5は表示抑止動作を示すフローチャートである。表示抑止の指示は、図3に示すように、図形データ31?33を有する文書データがLCD18に表示されている状態で、タブレット16上の任意の2点P1 ,P2 をペンによりポインティングすることで行う(ステップA1)。この抑止指示により、CPU11は点P1 を始点、点P2 を終点とする表示抑止範囲34を設定し、図形バッファ14を参照して、この表示抑止範囲34内に存在する図形データ33および34を検出する(ステップA2)。
【0025】
次に、CPU11は図形データ33および34を表示抑止対象とするような表示抑止データを作成し、この表示抑止データを表示抑止テーブル15に格納する(ステップA3)。そして、CPU11は表示抑止テーブル15に格納された表示抑止データに基づいて表示抑止を行うと共に(ステップA4)、その表示抑止状態を特定の表示形態をもって明示する(ステップA5)。
【0026】
ここでは、図形データ32および33を表示抑止対象とする表示抑止データが作成されているため、図4に示すように、文書データに存在している図形データ31?33のうち、図形データ32および33の表示が抑止され、代わって、その表示位置に点線枠41および42が表示される。この点線枠41および42は、図形データ32および33の表示抑止状態を明示するものである。」

(ク)
「 【0028】
図6は表示抑止解除動作を示すフローチャートである。表示抑止解除の指示は、図4に示すように、点線枠41または42をペンによりポインティングすることで行う(ステップB1)。この解除指示により、CPU11は表示抑止テーブル15を参照して該当図形データの表示を行うが、その際に、表示抑止ロック情報を見てロック指示がなされているか否かをチェックする(ステップB2)。
【0029】
ロック指示がなされていない場合(ステップB2のNo)、CPU11はその図形データの表示抑止状態を解除する(ステップB3)。これにより、図4の例で、例えば点線枠41のポインティングして解除指示を行えば、図形データ32の表示抑止状態が解除され、点線枠41に代わって図形データ32が再び図3のように表示される。また、点線枠42のポインティングして解除指示を行えば、点線枠41に代わって図形データ33の表示抑止状態が解除され、点線枠41に代わって図形データ33が再び図3のように表示される。」

(ケ)
「 【0035】
なお、上記実施例では、入力装置としてタブレットを用いているが、これに限るものではなく、例えばキーボード等の他の入力装置を用いても良い。また、表示抑止の指示方法として、表示抑止範囲を指定し、その範囲内に存在する図形データを表示抑止対象として扱うようにしたが、本発明はこれに限るものではなく、例えば図形データの1つ1つを表示抑止対象として個別に指定するようにしても良いし、頁内に存在する図形データの全てを表示抑止対象として一括指定するようにしても良い。
【0036】
また、表示抑止解除の指示方法として、表示抑止状態にする図形データの1つ1つを指定して解除するようにしたが、本発明はこれに限るものではなく、例えば表示抑止解除範囲を指定し、その範囲内に存在する図形データの表示抑止状態を解除するようにしても良いし、頁内に存在する図形データの全てを表示抑止解除対象として一括指定するようにしても良い。」

(コ)
「 【0038】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、文書データの中に図形データ(グラフを含む)が存在する場合に、図形データの表示を任意選択的に行うことができる。これにより、文書編集時などのように図形データの表示を必要としない作業を行う場合には、図形データの表示を抑止しておくことで、図形データに邪魔されずに文書データのみを速やかに表示して編集操作を行うことができる。」


以上の引用例1の記載によれば、引用例1には以下の事項が開示されていると認められる。

(a)
引用例1の上記(ア)の「本発明は、日本語ワードプロセッサ等の文書作成装置に係り、特に文書中に存在する図形やグラフを必要に応じて表示することのできる文書作成装置及び表示制御方法に関する。」という記載、
(なお、「文書作成装置」に関するものなのであるから、文書の「作成」を前提としたものであって、しかも、「作成」という概念が「編集」という概念を含むことは明らかである。)

引用例1の上記(カ)の「図3および図4は文書表示画面を示す図であり、図3は図形データを表示している状態(表示抑止を解除している状態)を示し、図4は図形データの表示を抑止している状態を示している。図3において、31,32,33はそれぞれ図形モード(グラフモード)で作成された図形データである。」という記載、
(なお、「文書表示画面」に表示されているものは、「文書のイメージ」であることは明らかである。)

引用例1の上記(キ)の「次に、同実施例の動作を説明する。図5は表示抑止動作を示すフローチャートである。表示抑止の指示は、図3に示すように、図形データ31?33を有する文書データがLCD18に表示されている状態で、タブレット16上の任意の2点P1 ,P2 をペンによりポインティングすることで行う(ステップA1)。この抑止指示により、CPU11は点P1 を始点、点P2 を終点とする表示抑止範囲34を設定し、図形バッファ14を参照して、この表示抑止範囲34内に存在する図形データ33および34を検出する(ステップA2)。」という記載から、

引用例1には、「複数の図形を含む文書データを表示又は編集するために前記文書データのイメージを文書表示画面に表示する文書作成装置」が開示されていると認められる。


(b)
上記(a)の「複数の図形を含む文書データを表示又は編集するために前記文書データのイメージを文書表示画面に表示する文書作成装置」という開示、

引用例1の上記(キ)の「次に、同実施例の動作を説明する。図5は表示抑止動作を示すフローチャートである。表示抑止の指示は、図3に示すように、図形データ31?33を有する文書データがLCD18に表示されている状態で、タブレット16上の任意の2点P1 ,P2 をペンによりポインティングすることで行う(ステップA1)。この抑止指示により、CPU11は点P1 を始点、点P2 を終点とする表示抑止範囲34を設定し、図形バッファ14を参照して、この表示抑止範囲34内に存在する図形データ33および34を検出する(ステップA2)。・・・(中略)・・・。ここでは、図形データ32および33を表示抑止対象とする表示抑止データが作成されているため、図4に示すように、文書データに存在している図形データ31?33のうち、図形データ32および33の表示が抑止され、代わって、その表示位置に点線枠41および42が表示される。この点線枠41および42は、図形データ32および33の表示抑止状態を明示するものである。」という記載から、
(なお、ペンによりポインティングすることにより表示抑止対象とする図形を検出ことによって選択しているのであるから、図形を選択するための手段(例:図形選択手段)があることは明らかである。
また、文書表示画面が図3から図4のように遷移するのであるから、文書データのイメージを図3から図4のように更新するための手段(例:イメージ更新手段)や、図4にあるような文書表示画面を表示をするための手段(例:抑止状態表示手段)があることは明らかである。)

引用例1には、
「前記電子データのイメージ中で表示された前記図形をペンによりポインディングすることによって選択する図形選択手段と、
前記図形選択手段によって選択された前記図形を、当該図形に対応の点線枠に置換えることにより生成された前記文書データのイメージを表示する抑止状態表示手段と、
前記文書データのイメージを、選択された前記図形が対応の前記点線枠に置換えられたイメージに更新するイメージ更新手段」
が開示されていると認められる。


(c)
上記(a)の「複数の図形を含む文書データを表示又は編集するために前記文書データのイメージを文書表示画面に表示する文書作成装置」という開示、

上記(b)の
「前記電子データのイメージ中で表示された前記図形をペンによりポインディングすることによって選択する図形選択手段と、
前記図形選択手段によって選択された前記図形を、当該図形に対応の点線枠に置換えることにより生成された前記文書データのイメージを表示する抑止状態表示手段と、
前記文書データのイメージを、選択された前記図形が対応の前記点線枠に置換えられたイメージに更新するイメージ更新手段」という開示、

引用例1の上記(ク)の 「図6は表示抑止解除動作を示すフローチャートである。表示抑止解除の指示は、図4に示すように、点線枠41または42をペンによりポインティングすることで行う(ステップB1)。この解除指示により、CPU11は表示抑止テーブル15を参照して該当図形データの表示を行うが、その際に、表示抑止ロック情報を見てロック指示がなされているか否かをチェックする(ステップB2)。・・・(中略)・・・。ロック指示がなされていない場合(ステップB2のNo)、CPU11はその図形データの表示抑止状態を解除する(ステップB3)。これにより、図4の例で、例えば点線枠41のポインティングして解除指示を行えば、図形データ32の表示抑止状態が解除され、点線枠41に代わって図形データ32が再び図3のように表示される。また、点線枠42のポインティングして解除指示を行えば、点線枠41に代わって図形データ33の表示抑止状態が解除され、点線枠41に代わって図形データ33が再び図3のように表示される。」という記載から、
(なお、ペンによりポインティングすることにより表示抑止を解除する対象とする点線枠を選択するのであるから、点線枠を選択するための手段(例:点線枠選択手段)があることは明らかである。
また、文書表示画面が図4から図3のように遷移するのであるから、文書データのイメージを図4から図3のように更新して表示をするための手段(例:解除状態表示手段)があることは明らかである。)

引用例1には、
「前記文書データのイメージ中で表示された前記点線枠をペンによりポインディングすることによって選択する点線枠選択手段と、
前記点線枠選択手段により選択された前記点線枠を、該点線枠に対応の前記図形に置換えて前記文書表示画面において表示する解除状態表示手段」
が開示されていると認められる。


以上の引用例1の記載によれば、引用例1には下記の発明(以下、「引用例1発明」という。)が開示されていると認められる。

「複数の図形を含む文書データを表示又は編集するために前記文書データのイメージを文書表示画面に表示する文書作成装置であって、
前記電子データのイメージ中で表示された前記図形をペンによりポインディングすることによって選択する図形選択手段と、
前記図形選択手段によって選択された前記図形を、当該図形に対応の点線枠に置換えることにより生成された前記文書データのイメージを表示する抑止状態表示手段と、
前記文書データのイメージ中で表示された前記点線枠をペンによりポインディングすることによって選択する点線枠選択手段と、
前記点線枠選択手段により選択された前記点線枠を、該点線枠に対応の前記図形に置換えて前記文書表示画面において表示する解除状態表示手段と、
前記文書データのイメージを、選択された前記図形が対応の前記点線枠に置換えられたイメージに更新するイメージ更新手段を備える、
文書作成装置。」



3.対比

(1)
引用例1発明の「複数の図形」、「図形」、「表示」、「文書データ」、「文書表示画面」は、それぞれ、

本願発明の「1つ以上の画像」、「画像」、「閲覧」、「電子文書」、「画面」に相当する。


(2)
引用例1発明の「点線枠」というオブジェクトは、「図形」が簡略(こまかい所を略して簡単にすること。簡約。〔「株式会社岩波書店 広辞苑第六版」より抜粋〕)表示されたものといえることから、

本願発明の「簡略されたオブジェクト」に相当する。

なお、引用例1発明の「点線枠」と、本願発明の「簡略されたオブジェクト」とは異なると判断される場合についての検討も行っているので、下記の「5.付記」を併せて参照されたい。


(3)
引用例1発明の「複数の図形を含む文書データを表示又は編集するために前記文書データのイメージを文書表示画面に表示する文書作成装置」は、

本願発明の「1つ以上の画像を含む電子文書を閲覧または編集するために前記電子文書のイメージを画面に表示する電子文書表示装置」に相当する。


(4)
引用例1発明の
「前記電子データのイメージ中で表示された前記図形をペンによりポインディングすることによって選択する図形選択手段と、
前記図形選択手段によって選択された前記図形を、当該図形に対応の点線枠に置換えることにより生成された前記文書データのイメージを表示する抑止状態表示手段と、
前記文書データのイメージを、選択された前記図形が対応の前記点線枠に置換えられたイメージに更新するイメージ更新手段」と、

本願発明の
「前記電子文書のイメージ中で表示された前記画像を外部操作に応じて選択する画像選択手段と、
前記画像選択手段によって選択された前記画像を、当該画像に対応の簡略されたオブジェクトに置換えることにより生成された前記電子文書のイメージを表示するオブジェクト表示手段と、
前記オブジェクト表示手段は、
前記電子文書のイメージを、選択された前記画像が対応の前記オブジェクトに置換えられたイメージに更新するイメージ更新手段を含」むこととは、

「前記電子文書のイメージ中で表示された前記画像を外部操作に応じて選択する画像選択手段と、
前記画像選択手段によって選択された前記画像を、当該画像に対応の簡略されたオブジェクトに置換えることにより生成された前記電子文書のイメージを表示するオブジェクト表示手段と、
前記文書データのイメージを、選択された前記図形が対応の前記オブジェクトに置換えられたイメージに更新するイメージ更新手段」という点で一致し、

本願発明では、「オブジェクト表示手段」が「イメージ更新手段」を含んでいるのに対し、
引用例1発明では、「オブジェクト表示手段」が「イメージ更新手段」を含んでいるのか不明である点、
で相違する。


(5)
引用例1発明の
「前記文書データのイメージ中で表示された前記点線枠をペンによりポインディングすることによって選択する点線枠選択手段と、
前記点線枠選択手段により選択された前記点線枠を、該点線枠に対応の前記図形に置換えて前記文書表示画面において表示する解除状態表示手段」は、

本願発明の
「前記電子文書のイメージ中で表示された前記オブジェクトを外部操作に応じて選択するオブジェクト選択手段と、
前記オブジェクト選択手段により選択された前記オブジェクトを、該オブジェクトに対応の前記画像に置換えて前記画面において表示する画像表示手段 」に相当する。


(6)
したがって、本願発明と引用例1発明とは、

「1つ以上の画像を含む電子文書を閲覧または編集するために前記電子文書のイメージを画面に表示する電子文書表示装置であって、
前記電子文書のイメージ中で表示された前記画像を外部操作に応じて選択する画像選択手段と、
前記画像選択手段によって選択された前記画像を、当該画像に対応の簡略されたオブジェクトに置換えることにより生成された前記電子文書のイメージを表示するオブジェクト表示手段と、
前記電子文書のイメージ中で表示された前記オブジェクトを外部操作に応じて選択するオブジェクト選択手段と、
前記オブジェクト選択手段により選択された前記オブジェクトを、該オブジェクトに対応の前記画像に置換えて前記画面において表示する画像表示手段と、
前記文書データのイメージを、選択された前記図形が対応の前記オブジェクトに置換えられたイメージに更新するイメージ更新手段を備える、
電子文書表示装置。」

という点で一致し、

(相違点1)
本願発明では、「オブジェクト表示手段」が「イメージ更新手段」を含んでいるのに対し、
引用例1発明では、「オブジェクト表示手段」が「イメージ更新手段」を含んでいるのか不明である点、

(相違点2)
本願発明では、
「前記画像に対応して、前記電子文書のイメージにおいて外部操作による当該画像の入力を受付る領域を指示する領域情報を管理する入力管理手段を備え、
前記入力管理手段は、
前記イメージ更新手段による前記イメージの更新に従い、前記画像に対応の前記領域情報を、置換えられた対応の前記オブジェクトに対応した情報に変更する領域変更手段を含む」のに対し、
引用例1発明では、そのような手段を含まない点、


で相違する。



4.相違点の判断

(1)相違点1について

関連する処理を行う複数の手段、例えば、表示手段A及び(表示手段Aで表示するための情報を更新する)更新手段がある場合、
表示手段Aと更新手段をひとまとまりの表示手段Bとし、表示手段Bが更新手段を含むというように再構成することは、情報処理分野における常套手段である。

しかも、更新手段が表示手段Aで表示するための情報を更新するためのものである場合、更新手段は一種の表示手段(又は、表示手段のサブ手段)に相当するのであるから、表示手段Aと更新手段をひとまとまりにした表示手段Bを、表示手段Aと同じ名称で呼称することに、技術的問題はない。
したがって、引用例1発明の「オブジェクト表示手段」及び「イメージ更新手段」をひとまとめにしたものを、「オブジェクト表示手段」と称することによって、
ひとまとめにした「オブジェクト表示手段」が「イメージ更新手段」を含むものとすることは、
当業者が容易に想到し得ることである。


(2)相違点2について

引用例1の上記(オ)の「以下、図面を参照して本発明の一実施例を説明する。図1は本発明の一実施例に係る文書作成装置の構成を示すブロック図である。図1において、CPU11は、入力指示に従うプロクラムの起動でメモリ12をアクセスし、文書作成処理の他、ここでは、図5および図6に示すような図形デタの表示制御処理を行う。・・・(中略)・・・メモリ12は、例えばRAMからなり、文書バッファ13、図形バッファ14、表示抑止テーブル15を有する。文書バッファ13には、文書データが格納されている。図形バッファ14には、文書データ中に作成された図形データが格納されている。この場合、文書データは行桁で管理され、図形データはX軸およびY軸の座標で管理されている。」という記載から、
引用例1には、文書データ中に作成された図形データが格納されている「図形バッファ」には「図形データ」が格納され、当該「図形データはX軸およびY軸の座標で管理されている」ことが開示されている。

上記開示と、引用例1の上記(キ)の
「次に、同実施例の動作を説明する。図5は表示抑止動作を示すフローチャートである。表示抑止の指示は、図3に示すように、図形データ31?33を有する文書データがLCD18に表示されている状態で、タブレット16上の任意の2点P1 ,P2 をペンによりポインティングすることで行う(ステップA1)。この抑止指示により、CPU11は点P1 を始点、点P2 を終点とする表示抑止範囲34を設定し、図形バッファ14を参照して、この表示抑止範囲34内に存在する図形データ33および34を検出する(ステップA2)。」
という記載からは、図形データを管理している「X軸およびY軸の座標」が何に関する座標なのか、当該図形データが格納されている「図形バッファ」をどのように利用して、表示抑止範囲内に存在する図形を検出しているのかが必ずしも定かではないが、
被選択領域(例:図形)に関する情報(例:図形の位置やサイズなど)と、選択領域(例:表示抑止範囲)に関する情報(例:表示抑止範囲の位置やサイズなど)とを用いて、被選択領域と選択領域の重複関係を判定して、被選択領域が選択されたか否かを決定することは情報処理分野における周知技術であることを鑑みれば、
引用例1発明において、被選択領域(図形)が選択されたか否かの判定を、「図形データ」を管理している「X軸およびY軸の座標」により規定される領域を用いて行うようにすること、
換言すれば、該『「X軸およびY軸の座標」により規定される領域情報を、文書データのイメージにおいて外部操作(ペンによるポインディング)による当該図形の入力を受付る領域とし、それを管理するようにする』ことは、当業者が容易に推考し得たことである。

一方、引用例1の上記(ク)の
「図6は表示抑止解除動作を示すフローチャートである。表示抑止解除の指示は、図4に示すように、点線枠41または42をペンによりポインティングすることで行う(ステップB1)。この解除指示により、CPU11は表示抑止テーブル15を参照して該当図形データの表示を行うが、その際に、表示抑止ロック情報を見てロック指示がなされているか否かをチェックする(ステップB2)。・・・(中略)・・・。ロック指示がなされていない場合(ステップB2のNo)、CPU11はその図形データの表示抑止状態を解除する(ステップB3)。これにより、図4の例で、例えば点線枠41のポインティングして解除指示を行えば、図形データ32の表示抑止状態が解除され、点線枠41に代わって図形データ32が再び図3のように表示される。また、点線枠42のポインティングして解除指示を行えば、点線枠41に代わって図形データ33の表示抑止状態が解除され、点線枠41に代わって図形データ33が再び図3のように表示される。」
という記載からも、如何にして点線枠を検出しているのかが定かではないものの、
被選択領域(例:点線枠)に関する情報(例:点線枠の位置やサイズなど)と、選択位置に関する情報(例:表示抑止解除の指示位置)とを用いて、被選択領域と選択位置との包含関係を判定して、被選択領域が選択されたか否かを決定することは情報処理分野における周知技術であることを鑑みれば、
引用例1発明において、被選択領域(点線枠)が選択されたか否かを判定するために、前記図形データを管理している「X軸およびY軸の座標」により規定される領域情報を、イメージ更新手段による前記イメージの更新というタイミングで、点線枠の存在する領域を特定するために必要な、点線枠のための位置やサイズなどを表す領域情報に「変更」し、その変更した領域情報を用いるようにすること、
換言すれば、『前記イメージ更新手段による前記イメージの更新に伴い、前記図形に対応の前記情報領域を、置換えられた対応の前記点線枠に対応した情報に変更し、それを外部操作による当該点線枠の入力を受付る領域とするようにする』ことも、当業者が容易に推考し得たことである。

(なお、上記した引用例1の(ク)には、「・・・、CPU11は表示抑止テーブル15を参照して該当図形データの表示を行うが、その際に、表示抑止ロック情報を見てロック指示がなされているか否かをチェックする(ステップB2)。」という記載はあるが、
引用例1の【図2】にあるように、「表示抑止テーブル」は、「表示抑止ロック」に関する情報は記憶されているものの、点線枠を検出するための情報を格納していないので、点線枠の検出とは関係が無い。)

そして、ある処理に対応した手段を設けることや、
関連する処理を行う複数の手段(例えば、手段A及び手段B)を、手段Aが手段Bを含むというように構成することは、
情報処理分野における周知技術である。

したがって、引用例1発明に対して、当該周知技術を適用することによって、
『「X軸およびY軸の座標」により規定される領域情報を、文書データのイメージにおいて外部操作(ペンによるポインディング)による当該図形の入力を受付る領域とし、それを管理するようにする』処理を、「入力管理手段」という名称の手段に割り当て、
『前記イメージ更新手段による前記イメージの更新に伴い、前記図形に対応の前記情報領域を、置換えられた対応の前記点線枠に対応した情報に変更し、それを外部操作による当該点線枠の入力を受付る領域とするようにする』処理を、「領域変更手段」という名称の手段に割り当て、
「入力管理手段」に、「領域変更手段」という「入力管理手段」と関連する手段を含ませることにより、
引用例1発明に対して、
「前記画像に対応して、前記電子文書のイメージにおいて外部操作による当該画像の入力を受付る領域を指示する領域情報を管理する入力管理手段を備え、
前記入力管理手段は、
前記イメージ更新手段による前記イメージの更新に従い、前記画像に対応の前記領域情報を、置換えられた対応の前記オブジェクトに対応した情報に変更する領域変更手段を含む」という構成を付加することは、当業者が容易に想到し得ることである。



5.付記

「簡略」という語は、「こまかい所を略して簡単にすること。簡約。」(「株式会社岩波書店 広辞苑第六版」より抜粋)という意味を有する語であって、(こまかい所を略した結果、結果的に表示サイズが小さくなることはあるかもしれないが)『表示サイズを小さくする』という意味を有する語でないことは明らかである。
しかしながら、仮に、「3.対比 (2)」における判断とは異なり、本願発明の「簡略されたオブジェクト」は、本願の明細書に開示されているような(「画像」より小さい)「小オブジェクト」に限定して解釈すべきものであるから、引用例1発明の(「画像」と同じ大きさの)「点線枠」とは異なると判断すべきである、
とした場合について念のため検討しておく。


引用例1の【図3】及び【図4】から明らかなように、引用例1発明の「図形」と「点線枠」は、ほぼ同じ位置に、ほぼ同じサイズで表示される。

しかしながら、引用例1の上記(ウ)の「ところで、従来の文書作成装置では、文書データの中に図形データが存在していると、この図形データも含めて表示が行われていた。このため、例えば文書編集時などのように図形データの表示を必要としない作業を行う場合に、図形データの方の表示に時間がかかってしまい、文書編集効率が悪くなる問題があった。・・・(中略)・・・また、携帯型の文書作成装置であれば、画面を見せながら報告書等の説明を行うことがあり、その際に、説明に合わせて図形やグラフをタイムリーに表示することが望まれる(図3および図4参照)。しかしなから、上述したように、従来の文書作成装置では、常に図形データも含めて表示が行われるため、このような利用はできず、非常に不具合であった。」という記載、
及び、引用例1の上記(エ)の 「本発明は上記のような点に鑑みなされたもので、文書データの中に図形データ(グラフを含む)が存在する場合に、図形データの表示を任意選択的に行うことのできる文書作成装置及び表示制御方法を提供することを目的とする。・・・(中略)・・・特に、本発明は、文書編集時などのように図形データの表示を必要としない作業を行う場合、または、報告書等の説明に合わせて図形データをタイムリーに表示したい場合において、図形データの表示に抑止をかけておき、必要に応じてその表示抑止を解除することのできる文書作成装置及び表示制御方法を提供することを第1の目的とする。」という記載から、
引用例1発明の「図形」と「点線枠」を、ほぼ同じ位置に、ほぼ同じサイズで表示することを目的としたものではないのであるから、
引用例1発明の「点線枠」を、「図形」とは異なる位置に、異なるサイズで表示することの阻害要因はないといえる。

そして、文書処理分野という点で、本願発明と同一の技術分野に属する、原査定の拒絶の理由3に引用文献2として引用された、特開平04-365165号公報(以下、「引用例2」という。)の段落【0010】には、
「次に上記文書表示編集装置の動作について、図2のフローチャートを参照しながら説明する。いま、編集中の文書の画面表示の説明図である図3における3行目の「シンボル化したい文書断片開始」から12行目の「シンボル化したい文書断片終了」までの文書断片を文書断片管理部1に登録し、表示方法を変更する場合を考える。まずオペレータが文書断片登録操作部2を用いて、登録したい文書断片開始位置である「シンボル化したい文書断片開始」の先頭と、終了位置である「シンボル化したい文書断片終了」の末尾とを指定すると(ステップS1)、文書の指定された部分が文書断片管理部1に文書断片として登録される(ステップS2)。そしてオペレータが文書断片表示操作部4を用いて、文書断片管理部1に登録した文書断片の表示方法を例えばシンボル化に指定すると(ステップS3)、文書断片管理部1にその表示方法情報が記憶され、文書断片表示部5によって図4のように文書断片がシンボル化されてアイコンとして表示画面に表示される(ステップS4)。そして図4の表示状態で、オペレータが文書断片選択操作部3を用いてシンボルすなわちアイコンを選択し(ステップS5)、文書断片表示操作部4を用いて文書断片の表示方法を文書断片全部分表示に指定すると(ステップS6)、図3の表示状態に戻る(ステップS7)。以下、文書断片選択操作部3と文書断片表示操作部4とを用いて、文書断片管理部1に登録した文書断片の表示方法を交互に切り換えることができる。なお文書断片管理部1には任意数の文書断片を登録可能である。」(下線は当審にて付加)
と記載されているように、(画像とは異なるものの)「文書断片」を「アイコン」(本願発明の「簡略されたオブジェクト」に対応。)に変更したり、「アイコン」を「文書断片」に戻す技術が開示されている。

しかも、「アイコン」に変更する対象を、文書の構成要素である画像とする技術は、本出願明細書段落【0008】に、
「Internet Explorer(マイクロソフト社製)などでは、ユーザは、HTML文書中に配されている画像要素の記述に従う画像を表示しないように設定することができる。この設定により、画像の代わりに、画像が配されていることを示すために小さなアイコンが表示される。さらに別の設定によって、レイアウトを崩さないために、表示されていない画像のサイズ分の領域を確保して文書を表示するか、レイアウトを崩してでも、代わりに表示される小さなアイコン分のみの領域を確保して文書を表示するかを選択できる。このような設定を用いた機能は、帯域の狭いネットワークを介してHTML文書を取得するときに、取得に要する時間を短縮するために用意されていた。また、ユーザは、画像の代わりに表示されるアイコンをクリックすれば、対応の画像を個別に表示させることができる。」(下線は当審にて付加)
と記載されているように、情報処理分野における周知技術である。

しかも、アイコンの画像を、(アイコンと対応する画像を簡略に表現したものなど)簡略したものとすることも、情報処理分野における周知技術である。

したがって、引用例1発明に対して、引用例2に記載された技術及び当該周知技術を適用することによって、
引用例1発明において、「点線枠」というオブジェクトを表示する代わりに、「アイコン」という「簡略されたオブジェクト」を表示するように構成することは、当業者が容易に想到し得ることである。

なお、その際、「点線枠」というオブジェクトと、「アイコン」という「簡略されたオブジェクト」とは、表示する位置やサイズが異なることから、上記「4.(2)相違点2について」で検討した「領域変更手段」に関して、「アイコン」という「簡略されたオブジェクト」に対応させるべく、領域情報が有する具体的内容(例:位置やサイズ)を併せて変更することも、当業者が容易に想到し得ることである。



6.むすび

したがって、本願発明は、引用例1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-12-24 
結審通知日 2010-01-05 
審決日 2010-01-18 
出願番号 特願2002-155043(P2002-155043)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
P 1 8・ 572- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 今村 剛  
特許庁審判長 田口 英雄
特許庁審判官 和田 財太
小曳 満昭
発明の名称 電子文書表示方法、電子文書表示装置、電子文書表示プログラムおよび電子文書表示プログラムを記録した機械読取り可能な記録媒体  
代理人 酒井 將行  
代理人 野田 久登  
代理人 森田 俊雄  
代理人 仲村 義平  
代理人 堀井 豊  
代理人 荒川 伸夫  
代理人 深見 久郎  

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