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審決分類 |
審判 査定不服 4項4号特許請求の範囲における明りょうでない記載の釈明 特許、登録しない。 H05F 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 H05F 審判 査定不服 4項3号特許請求の範囲における誤記の訂正 特許、登録しない。 H05F 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 H05F 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 H05F 審判 査定不服 4項1号請求項の削除 特許、登録しない。 H05F |
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管理番号 | 1213223 |
審判番号 | 不服2007-20536 |
総通号数 | 125 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2010-05-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2007-06-26 |
確定日 | 2010-03-16 |
事件の表示 | 特願2003-436631号「交流電気力線放射式帯電除電器及びその製造方法。」の拒絶査定不服審判事件〔平成17年7月7日出願公開、特開2005-183350号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
【第1】手続の経緯 本願は、平成15年12月17日付けの特許出願であって、平成16年6月10日に審査請求と同時に明細書(特許請求の範囲を含む)について手続補正をした後、拒絶査定がされて、本件審判請求の日から30日以内の平成19年7月13日付けで、特許法第17条の2第1項第4号の規定に係る手続補正(前置補正)をしたものである。 なお、平成20年4月3日付け提出の手続補正書に係る手続は、期限経過後にした手続であることを理由に、同年8月19日付けで手続却下されている。 【第2】平成19年7月13日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成19年7月13日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1.平成19年7月13日付けの手続補正(以下「本件手続補正」という) は、次の(1)及び(2)の内容を含むものである。 (1)特許請求の範囲に含まれる請求項の数は変更することなく、請求項1を次のように、補正する。 <補正前>「【請求項1】接地電極不要で、放電極1個以上を各単独、又は直並列結線等を施した1組以上の放電電極に交流高電圧電源を荷電し、空気中又は真空中の静電気帯電体の逆帯電発生無く除電する交流電気力線放射式帯電除電器。」を、 <補正後>「【請求項1】放射電極1個以上を各単独、又は直並列結線等を施した1組以上の放射電極に交流高電圧電源を荷電し、空気中又は真空中の静電気帯電体の逆帯電発生無く除電する交流電気力線放射式帯電除電器。」 (なお、補正前の請求項1中の下線は、補正の内容を明らかにするために、当審で加入した。) (2)明細書の段落【0014】中に、「トランス開閉器(10」、「電圧調整器、ファンモータ用(15)」、「赤色ネオンランプ(16)、青色ネオンランプ(17)」等が表示されている、「明細書の説明専門図」を新たに加入する。 2.上記(1)の補正の内容は、補正前にあった下線部の記載事項を削除しようとするものであるが、このような補正の目的は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の第1ないし4号に掲げる目的(請求項の削除、特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明)のいずれに該当するものとも認められない。 また、上記(2)で指摘した、「明細書の説明専門図」の表示内容は、出願当初の明細書や図面等では全く言及されていなかったものであるし、しかも、そのような表示の内容は自明のものともいえないから、上記(2)の補正事項は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものとは認められないので、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たすものではない。 3.したがって、本件手続補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第3項及び第4項の規定に違反するので、特許法第159条第1項において一部読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 よって、上記補正却下の決定の結論のとおり決定する。 【第3】本願についてした補正及び本願の発明について 1.本願の発明 平成19年7月13日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の発明は、平成16年6月10日付け手続補正に係る明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、そのうちの請求項1に係る発明(以下「本願発明」という)は、次のとおりである。 「【請求項1】 接地電極不要で、放電極1個以上を各単独、又は直並列結線等を施した1組以上の放電電極に交流高電圧電源を荷電し、空気中又は真空中の静電気帯電体の逆帯電発生無く除電する交流電気力線放射式帯電除電器。」 2.本願についてした補正(新規事項の追加)について 上記本願請求項1中の下線部の事項は、平成16年6月10日付け手続補正により、新たに付加されたものである。 一方、特許法第17条の2第3項の規定によれば、特許をすべき旨の査定の謄本の送達前にする補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするべきものとされている。 しかし、上記下線部の記載事項については、出願当初の明細書や図面等では言及されていなかったことであり、また、当該技術分野において、「接地電極不要 」とすることが必ずしも自明の事項ともいえない。 そうすると、上記平成16年6月10日付け手続補正に係る特許請求の範囲についての補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たすものとは認められない。 3.発明の同一性について (1)原査定の特許法第29条第1項第3号に係る拒絶理由(拒絶理由通知書の<理由3>参照)で引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開平9-219294号公報(以下「引用例」という)には、次のイ?ハの事項が記載されている。 イ 「【0002】 【従来の技術】従来の電圧印加式除電器はイオン生成用電極の極く近いところに対向電極(接地電極とも言う)を設置し、この両電極間に高圧電源を印加しコロナ放電を発生させ、この時発生するイオンにより被除電物体の帯電を除去するものである。両電極間が狭いためイオンの発生する範囲が狭くこれにつれて除電する範囲も狭くなる・・・。」(第2頁第2欄第1?8行) ロ 「【0004】 【課題を解決するための手段】・・・本発明の電圧印加式除電器は、高電圧電源の出力側の1極に高圧電線及び5MΩ以上の高抵抗器を介し、イオン生成用電極に、高電圧電源の出力の他極を直接接地または静電容量、電気抵抗等を構成している物体又は人体等を介し、大地、床、この周辺に存在している物体等を対向電極とし、これと前記のイオン生成用電極との間にイオンの放射が発生するので、・・・除電効果範囲も広くなる。」(第2頁第2欄第19?29行) ハ 「【0011】図4は・・・実施例の説明図である。交流高電圧電源として周波数20Hz以上70Hz未満に使用する変圧器12の出力側の1極に高抵抗器4を介しイオン生成用電極14に印加し、空間を通して停止中又は移動中の被除電物体11、13に周波数に応じた+-の交互の極性がイオンを放射し除電を行う。但し交流電源の周波数が20Hz未満のものは直流高電圧電源の極性を時間と共に交互に切り替えて交流化する。・・・ 【0012】図5は・・・高電圧の変圧器12の出力側の1極に高抵抗器4をつけ、この先端に高圧電線20に一定間隔にイオン生成用電極14を1本以上つけたものを移動中の被除電物体13の移動方向に、移動中の被除電物体13との間に空間をあけて設置する。」(第3頁第3欄第40行?同第4欄第5行) (2)引用例に記載されている発明 上記イ?ハの記載事項を総合すると、引用例には、「大地、床、この周辺に存在している被除電物体等を対向電極(接地電極)として、これにイオン生成用電極14に発生する周波数に応じた+-の交互の極性のイオンを放射し除電を行う電圧印加式除電器であって、1本あるいは1本以上としたイオン生成用電極には、交流高電圧電源として周波数20Hz以上70Hz未満に使用する変圧器12の出力側の1極が、高抵抗器4、高圧電線20を介して印加された電圧印加式除電器。」の発明が記載されていると認められる。 (3)対比・判断 上記の本願発明と、上記引用例記載の発明とを対比すると、引用例記載の発明では「被除電物体等を対向電極(接地電極)」とするとしているが、これは本願発明でいう、(除電器自体には)「接地電極不要」であることを意味する。また、高圧電線20に接続された「1本あるいは1本以上としたイオン生成用電極」は、「放電極1個以上を各単独、又は直並列結線等を施した1組以上の放電電極」に相当し、「印加」は「荷電」に相当するといえるし、引用例記載の発明に係る「電圧印加式除電器」も、「周波数に応じた+-の交互の極性のイオンを放射し除電を行う」のであるから、「交流電気力線放射式帯電除電器」とみることができる。そして、このように両発明間で基本的な構成を同じくする以上、「空気中又は真空中の静電気帯電体の逆帯電発生無く除電する」ことについても、両者間で変わるところはないと解される。 そうすると、本願発明は、上記引用例に記載されている発明といえ、特許法第29条第1項第3号の前段に規定する発明に該当する。 4.むすび 上記2.のとおり、本願の特許請求の範囲についてした補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていないので、本願は拒絶されるべきものである。 また、上記3.のとおり、本願発明については、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないので、このような特許を受けることができない発明を包含する本願は、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2009-01-09 |
結審通知日 | 2009-01-20 |
審決日 | 2009-02-05 |
出願番号 | 特願2003-436631(P2003-436631) |
審決分類 |
P
1
8・
572-
Z
(H05F)
P 1 8・ 113- Z (H05F) P 1 8・ 561- Z (H05F) P 1 8・ 573- Z (H05F) P 1 8・ 574- Z (H05F) P 1 8・ 571- Z (H05F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 堀川 一郎、鳥居 稔、岸 智章 |
特許庁審判長 |
藤井 俊明 |
特許庁審判官 |
横溝 顕範 中川 真一 |
発明の名称 | 交流電気力線放射式帯電除電器及びその製造方法。 |