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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1213967
審判番号 不服2008-17493  
総通号数 125 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-05-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-07-09 
確定日 2010-03-25 
事件の表示 平成 9年特許願第231139号「パチンコ機の制御プログラム検査方法」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 3月 2日出願公開、特開平11- 57188〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
第1 手続の経緯

本願は平成9年8月27日に出願されたものであって、平成20年6月4日付けで拒絶の査定がされたところ、これを不服として同年7月9日付けで本件審判請求がされるとともに、同年8月8日付けで明細書についての手続補正(以下、「審判請求時補正」という。)がされたものである。
当審においてこれを審理した結果、平成21年9月4日付けで、上記審判請求時補正を却下するとともに、同日付けで新たな拒絶の理由(当審注、いわゆる最後の拒絶理由である)を通知したところ、請求人は平成21年11月6日付けで、意見書及び手続補正書を提出した。


第2 補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

平成21年11月6日付けの手続補正を却下する。

[理由]

1.補正前後における特許請求の範囲の記載
平成21年11月6日付け手続補正(以下、「本件補正」という。)は、明細書の特許請求の範囲の補正を含むものである。審判請求時補正は却下されているから、本件補正の前後における特許請求の範囲の記載は、下記のとおりである。なお、(補正前)については下線を省略し、(補正後)の下線は一部当審で修正した。

(補正前)
「【請求項1】
可変図柄表示装置を電気的に接続する複数のコネクタを有する主制御基板に、封印されて配設された記憶手段に記憶されている制御プログラムを検査するパチンコ機の制御プログラム検査方法において、
前記記憶手段に記憶されている、人為的に発生されるパチンコ機における各種エラーで起動する検査用プログラムにより、前記制御プログラムが読み出され、
前記コネクタの一部に接続される基板により、前記検査用プログラムによって読み出された前記制御プログラムが受け取られ、
プログラム検査手段により、記憶済みの制御プログラムと前記検査用プログラムによって読み出された制御プログラムとの照合によって、前記検査用プログラムによって読み出された制御プログラムが検査される
ことを特徴とするパチンコ機の制御プログラム検査方法。」

(補正後)
「【請求項1】
パチンコ機における主制御基板には記憶部が封印されて配設され、該記憶部に記憶されている制御プログラムを、該主制御基板にプログラム検査装置を接続して検査する制御プログラム検査方法であって、
前記記憶部には、検査用プログラムも記憶されており、該検査用プログラムは、人為的に発生されるパチンコ機における各種エラーで起動され、該検査用プログラムに基づいて前記制御プログラムが前記記憶部から読み出され、
前記主制御基板に接続されたプログラム検査装置が、前記検査用プログラムによって記憶部から読み出された前記制御プログラムを受け取り、
前記プログラム検査装置が、正規の制御プログラムと前記検査用プログラムによって記憶部から読み出された制御プログラムとを照合することによって、前記検査用プログラムによって読み出された制御プログラムを検査し、
前記主制御基板は可変図柄表示装置を電気的に接続するための複数のコネクタを有し、前記プログラム検査装置は該複数のコネクタに接続される基板を介して前記主制御基板と接続され、
前記検査用プログラムが人為的に発生されるパチンコ機における各種エラーで起動されるのは、該複数のコネクタに前記基板を介して前記プログラム検査装置が接続されている場合で、前記可変図柄表示装置が前記複数のコネクタに接続されている場合は、前記検査用プログラムは起動されない
ことを特徴とするパチンコ機の制御プログラム検査方法。」


2.補正事項、補正内容及び補正目的
(1)補正事項
補正前後の請求項1を比較する。本件補正による記載の変更は請求項1の全体に及んでいるが、分説すると、本件補正による補正事項は以下のとおりである。なお、参考のためにここでも記載の変更箇所に下線を付した。

<補正事項1>
「可変図柄表示装置を電気的に接続する複数のコネクタを有する主制御基板に、封印されて配設された記憶手段に記憶されている制御プログラムを検査するパチンコ機の制御プログラム検査方法において」なる記載を、「パチンコ機における主制御基板には記憶部が封印されて配設され、該記憶部に記憶されている制御プログラムを、該主制御基板にプログラム検査装置を接続して検査する制御プログラム検査方法であって」なる記載へと補正した。

<補正事項2>
「前記記憶手段に記憶されている、人為的に発生されるパチンコ機における各種エラーで起動する検査用プログラムにより、前記制御プログラムが読み出され」なる記載を、「前記記憶部には、検査用プログラムも記憶されており、該検査用プログラムは、人為的に発生されるパチンコ機における各種エラーで起動され、該検査用プログラムに基づいて前記制御プログラムが前記記憶部から読み出され」なる記載へと補正した。

<補正事項3>
「前記コネクタの一部に接続される基板により、前記検査用プログラムによって読み出された前記制御プログラムが受け取られ、」なる記載を、「前記主制御基板に接続されたプログラム検査装置が、前記検査用プログラムによって記憶部から読み出された前記制御プログラムを受け取り」なる記載へと補正した。

<補正事項4>
「プログラム検査手段により、記憶済みの制御プログラムと前記検査用プログラムによって読み出された制御プログラムとの照合によって、前記検査用プログラムによって読み出された制御プログラムが検査される」なる記載を、「前記プログラム検査装置が、正規の制御プログラムと前記検査用プログラムによって記憶部から読み出された制御プログラムとを照合することによって、前記検査用プログラムによって読み出された制御プログラムを検査し、」なる記載へと補正した。

<補正事項5>
「前記主制御基板は可変図柄表示装置を電気的に接続するための複数のコネクタを有し、前記プログラム検査装置は該複数のコネクタに接続される基板を介して前記主制御基板と接続され、」なる記載を追加した。

<補正事項6>
「前記検査用プログラムが人為的に発生されるパチンコ機における各種エラーで起動されるのは、該複数のコネクタに前記基板を介して前記プログラム検査装置が接続されている場合で、前記可変図柄表示装置が前記複数のコネクタに接続されている場合は、前記検査用プログラムは起動されない」なる記載を追加した。

(2)補正内容及び補正目的
本件補正の補正内容及び補正目的について検討する。

(2-1)補正事項1について
補正事項1において、補正前の「可変図柄表示装置を電気的に接続する複数のコネクタを有する」との記載が削除された点は、補正事項5における記載の追加で補充されているから、発明の拡張には該当しない。補正事項1において、補正前の「記憶手段」が補正後に「記憶部」とされた点は、単なる表現の変更と認める。
補正事項1において、「該主制御基板にプログラム検査装置を接続して」との記載が追加された点について検討する。「プログラム検査装置」については、補正前の請求項1に記載された「プログラム検査手段」の用語を変更したものと認める。「接続して」については、補正事項5における追加記載も勘案すると、補正後においては「基板」を介するものの「主制御基板」と「プログラム検査装置」とが接続された状態で検査が行われることが特定されたものである。これに対して補正前には、「主制御基板」に接続された「基板」によって制御プログラムが受け取られ、最終的に「プログラム検査手段」によって検査されることは特定されていたものの、「基板」を介して「主制御基板」と「プログラム検査手段(プログラム検査装置)」とが接続されて検査が行われることは特定されていなかった。そのため、補正事項1における「該主制御基板にプログラム検査装置を接続して」なる記載の追加は、補正事項5における「前記プログラム検査装置は該複数のコネクタに接続される基板を介して前記主制御基板と接続され」なる記載の追加と併せて、補正前の発明を限定したものと認めることができる。
補正事項1中の、上述した点を除く記載の変更は、単なる表現の変更と認める。

(2-2)補正事項2について
補正事項2における記載の変更は、単なる表現の変更と認める。

(2-3)補正事項3について
補正事項3においては、補正前では「基板」が制御プログラムを受け取る記載であったところ、補正後には「前記主制御基板に接続されたプログラム検査装置」が制御プログラムを受け取る記載となっている。けれども、先に補正事項1及び補正事項5について述べたように、補正後の請求項1において「プログラム検査装置」は「基板」を介して「主制御基板」に接続されているから、「プログラム検査装置」が制御プログラムを受け取る以上は、接続を介在する「基板」も制御プログラムを受け取っている。そのため補正事項3において、制御プログラムを受け取る部材が、補正前には「基板」と記載され、補正後には「前記主制御基板に接続されたプログラム検査装置」と記載とされる点は、補正前の発明を実際上拡張または変更したものには該当しない。すなわちこの点については、補正事項1及び補正事項5による「主制御基板」と「プログラム検査装置」との接続関係の特定と併せて、補正前の発明を限定したものと認めることができる。
その一方、補正事項3及び補正事項5において、「基板」と「コネクタ」の接続に関する記載の変化を見ると、補正前には「基板」は複数のコネクタの「一部」に接続される記載であったところ、補正後には「基板」は「該複数のコネクタ」に接続される記載となっている。すなわち、可変図柄表示装置用の複数のコネクタが存在するうえで、その中の「一部」のコネクタだけに接続するという補正前の発明特定事項が、補正後においては削除されている。この点については、補正前における発明特定事項を削除しているから、補正前の発明を拡張したものと言うべきである。
ただし、補正前における当該「前記コネクタの一部に接続される」なる記載については、当審拒絶理由において、新規事項である旨を指摘するとともに、誤記であると善解したうえでの進歩性を検討した事項である。そして、本件補正は、当該「一部」なる記載を削除しようとするものである。また、本件補正の前においても、とりわけ該「一部」という発明特定事項に依拠して、請求人が発明の特許性を主張していた経緯はない。
これらのことも勘案して、本件補正が、補正前には可変図柄表示装置用の複数のコネクタのうち「一部」で接続するという発明特定事項を削除した点については、補正前の当該発明特定事項を誤記であると解した場合について、すなわち、誤記の訂正を目的としたものとみなした場合についても、検討することとする。

(2-4)補正事項4について
補正事項4においては、補正前における「記憶済みの制御プログラム」なる語が、補正後には「正規の制御プログラム」なる語へと変更されている。この点については、補正前の「記憶済みの制御プログラム」は、検査のための比較対照用である以上、正規のものであることが明らかである。また、補正後における「正規のプログラム」も、実際上記憶済みのものであることが明らかである。さらに、補正前における「記憶済みの制御プログラム」なる表記では、検査のために「記憶部」から読み出した制御プログラムとの区別が、若干曖昧である。そのため、補正事項4における上記用語の変更は、同補正事項4内のその他の記載の修正、及び、補正事項3における「記憶部から」なる記載の追加と併せて、若干の記載の明りよう化を行ったものと認めることとする。

(2-5)補正事項5について
補正事項5については、補正事項1?4に関連してこれまでに述べたとおりであるので、繰り返して述べることは省略する。

(2-6)補正事項6について
補正事項6については、補正事項1及び5について述べたと同様、検査が「主制御基板」と「基板」及び「プログラム検査装置」が接続された状態で行われることを特定するとともに、「人為的に発生されるパチンコ機における各種エラーで起動する検査用プログラム」についても、上記の接続状態で起動が行われることを特定した点で、補正前の発明を限定したものと認める。


3.補正目的の適法性
上に検討した本件補正の補正目的が、適法であるか否かを判断する。

(3-1)「限定的減縮」に適合する部分
補正事項1、3及び5において、「プログラム検査装置」が「基板」を介して「主制御基板」と接続されることが限定された点、及び、補正事項6において、「プログラム検査装置」と「基板」及び「主制御基板」の三者が接続された場合に、検査用プログラムの起動に限定が付された点は、補正前の発明を限定したものである。これらの点においては、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則3条1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下、「平成18年改正前特許法」という。)17条の2第4項2号に掲げる目的を補正目的とするもの、すなわち、限定的減縮を目的とするものと認めることができる。
したがって、その他の点において同法同条同項1号?4号に掲げる補正目的に対する違反がない場合には、本件補正が適法であるか否かは、同法同条第5項において準用する同法126条5項の規定に適合するか否か、すなわち、本件補正後の請求項1に係る発明が、特許出願の際に独立して特許を受けることができたか否かを検討することにより、判断されることとなる。

(3-2)目的違反を生じるか「誤記の訂正」となる部分
補正事項3及び5において、可変図柄表示装置用の複数のコネクタのうち、基板の接続は「一部」で行われるとの事項が削除された点は、補正前における当該発明特定事項を誤記と解するのでなければ、発明の拡張に該当する。すなわち、平成18年改正前特許法17条の2第4項1号?4号に掲げる、いずれの目的にも適合しないこととなる。
ただし、補正前における当該「一部」という発明特定事項を、全くの誤記と解する場合には、同条同項3号に掲げる、誤記の訂正を目的とするものと、認めることができる。

(3-3)付随的修正と扱うべき部分
補正事項3及び4において、「記憶済みの制御プログラム」を「正規の制御プログラム」と書き改める等の、若干の記載の明りよう化を行った点は、補正前の記載が不明りようであるとの拒絶理由が通知されたものではない。そのため、厳密には、平成18年改正前特許法17条の2第4項4号にいう「明りようでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)」という目的には該当しないこととなる。
しかしながら、上記の若干の記載の明りよう化は、その他の記載上の微修正と併せて、請求項1に係る発明に実際上の影響を及ぼすものはないものである。それだけでなく、本件補正はこれら記載上の微修正のみを単独で行ったものではなく、(3-1)及び(3-2)の補正に付随して記載上の微修正を行ったに過ぎない。
そのため、本件補正の補正目的を画定するうえでは、これらの記載上の微修正は付随的なものと扱うことが妥当である。したがって、これらの若干の記載の修正の点で、本件補正が平成18年前特許法17条の2第4項の規定に違反するとは、判断しないこととする。なお、仮にこの点を同条同法同項違反と扱ったとしても、先に(3-2)で指摘した点を「誤記の訂正」と認めない場合と同様となるから、審決の判断及び結論に影響が生じるものではない。

(3-4)まとめ
したがって、本件補正は、補正前において「基板」の接続が「コネクタの一部」と記載される点を誤記と解する限りは、平成18年改正前特許法17条の2第4項2号に掲げる発明の限定的減縮、及び、同条同項3号に掲げる誤記の訂正を目的としたものと認められる。そのため、以下では、本件補正の適否を判断するために、平成18年改正前特許法17条の2第5項において準用する同法126条5項の規定に適合するか否か、すなわち、補正後の請求項1に係る発明が、特許出願の際に独立して特許を受けることができたか否かについて、検討することとする。
ただし、本件補正前において「基板」の接続が「コネクタの一部」と記載された点が、誤記でない場合には、本件補正は当該補正前の発明特定事項を削除した点で発明を拡張したものであるから、平成18年改正前特許法17条の2第4項の規定に違反する。この場合には、本件補正後の請求項1に係る発明の独立特許要件を検討することを要さず、本件補正は、同法159条1項で読み替えて準用する同法53条1項の規定により、却下されるべきこととなる。


4.独立特許要件1-補正発明の認定
本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「補正発明」という。)は、本件補正により補正された明細書の特許請求の範囲における、【請求項1】に記載された事項により特定されるべきものである。その記載は、「1.補正前後における特許請求の範囲の記載」において、(補正後)【請求項1】として示したとおりである。
なお、同【請求項1】中の「主制御基板には記憶部が封印されて配設され」なる記載については、構文上は「封印」されるのは「記憶部」となっているが、実際上どのような形態での「封印」までこれに該当するかについては、解釈の幅があり得る。そのため、この点について補足する。
本願明細書の発明の詳細な説明には、「パチンコ機の封印された制御基板・・・・特に制御基板を開封しないで該制御プログラムを検査する・・」なる記載(段落【0001】)、「なお、CPU、ROM等を含む主制御基板は不正を防ぐために封印されている。」なる記載(段落【0002】)、「・・・前記封印を解いて・・・・一旦封印が解かれた主制御基板はもはや・・・・検査した主制御基板は、封印が解かれているので、・・・・制御基板の封印を解くことなく、・・・」なる記載(段落【0003】)、「以上の構成により、主制御基板10aを開封せずに、コネクタ14a、14bから図4に示す液晶表示装置60を取り外し、・・・」なる記載(段落【0015】)、及び、「封印された主制御基板の・・・前記主制御基板の封印を解くことなく」なる記載(段落【0020】)がされている。
また、願書に最初に添付された明細書(以下、図面も含めて「当初明細書等」という。)を参酌すると、上記で指摘した箇所のほか、【請求項1】及び段落【0004】においても、「封印された制御基板」との記載がされている。
このように、明細書の発明の詳細な説明においては、前提とする従来技術及び実施例ともに、「記憶部」のみが単独で封印されるものではなく、「主制御基板」が封印される(当審注、ただし接続の関係から「コネクタ」部は当然に除かれていると解される)ことによって、「記憶部」も封印される記載である。その一方、主制御基板上の「記憶部」のみを単独で封印することは、本件補正後の発明の詳細な説明に明記されておらず、当初明細書等にも記載されていない。
以上からすれば、本件補正後の【請求項1】における「主制御基板には記憶部が配設されて封印され」なる記載については、主制御基板(ただしコネクタ部は除く)が封印されることで「記憶部」も封印される形態を、少なくとも包含するものである。
よって、補正発明における「封印」については、そういう趣旨と解することとする。


5.独立特許要件2-引用刊行物に記載される事項の認定
本願出願前に頒布された刊行物であり、当審の拒絶の理由に引用した、特開平8-47566号公報(以下、「引用例1」という。)には、次の記載がされている。

記載事項ア.
「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、パチンコ遊技機、アレンジボール、回動式遊技機、ジャン球遊技機等に代表される遊技機を制御するためのマイクロコンピュータに関する。
【0002】「発明の背景」近年、遊技機、例えば、パチンコ遊技機等においては、遊技領域の略中央に配置される特別図柄表示装置での可変表示ゲームにより遊技の興趣が高められている。
【0003】この可変表示ゲームは、例えば、所定の遊技条件が成立した場合に、特別図柄表示装置中に表示される図柄が変動表示を開始するとともに、所定時間後に変動が停止し、停止時の図柄が特定図柄で揃っていた場合を大当たりとするものが一般的であり、このような可変表示ゲームにおいては、大当たりの決定や、停止時の図柄の決定等は、確率的要素が盛り込まれ、偶然性を伴うことにより、遊技に対する興趣を盛り上げている。このため、大当たりの決定や、停止図柄の決定等には、一様性及び不規則性を伴う乱数が用いられ、このような乱数は遊技制御回路によって生成されている。」

記載事項イ.
「【0004】
【従来の技術】このように、昨今の遊技機は、以前の遊技機のように、遊技球の入賞に基づき入賞具を開放して遊技球の入賞を増加させるというのではなく、予めROMに格納された遊技制御プログラムに従い、所定の入賞に基づき、遊技制御プログラムによって作成された乱数を抽出し特定値との判定を行い、遊技者に有利となる遊技を行わせるか否かを行っており、遊技性は、遊技プログラムに負うところが大きくなっている。
【0005】言い換えれば、遊技プログラムによる乱数の生成範囲を縮小したり、判定を行う場合の特定値を増加させたりすることで、容易に(釘調整を行わなくても)、出玉を増加させる(大当たりを出現させる)ことができる。
【0006】そこで、遊技機を、市場に販売する場合は、遊技プログラムが所定の基準を満足しているかどうかを検定する第3者機関に申請を行い、検査の結果、適合機種のみが許可を取得でき、検定に合格した遊技プログラムを搭載した健全な遊技機が市場に設置されることになる。」

記載事項ウ.
「【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、遊技プログラムを格納したROMは脱着可能にソケットに差されており改造ROMとの交換が容易である(この場合、正規ROMには、剥離すると確認できる封印シールが貼付されている(ROMを交換するにはシールを剥離しなければならない)が、その状態を確認するには、遊技機裏面の遊技制御基盤を確認しなければならず手間である。
【0008】また、遊技店自体がROMの改造を行っている場合には、なんら効果が発揮されない。そのため、遊技プログラムが格納されるROM、また、作業領域として使用されるRAM、及び、CPUをまとめたワンチップマイクロコンピュータの使用が考えられるが、以下のような問題点が発生する。
【0009】ワンチップマイクロコンピュータ内に遊技プログラムを格納したROMが内蔵されるために、ROMに格納されている遊技プログラムだけを読み出して確認する作業が困難になる。
【0010】「目的」本発明は、上記問題点に鑑み、遊技プログラムの改造を防止すると共に、書き込まれた遊技プログラムを容易に読み出せる遊技機用マイクロコンピュータ及びその検査装置を提供することを目的とする。」
記載事項エ.
「【0024】(第1実施例)まず、構成を説明する。図3は、請求項1及び請求項2記載の発明を適用した第1実施例の遊技機用マイクロコンピュータ10のブロック構成図である。遊技機用マイクロコンピュータ10は、図3に示すように、クロック発生回路11、プログラマブルクロック分周回路12、外部バスインターフェース13、リセット/割込み制御回路14、プログラマブルカウンタ/タイマ15、16、乱数生成回路17、ウォッチドッグタイマ18、CPU19、内蔵RAM20、内蔵ROM21、22、プログラム切替装置23、アドレスデコーダ24及びI/Oポート25により構成され、各ブロックは内部バス26に接続されている。
・・・・・
【0027】外部バスインターフェース13は、図中で示す外部ROM(ユーザーROM)や外部I/Oのアドレスバスやデータバスと接続し、そのアドレスバスやデータバスに接続される外部の図示しないサウンドジェネレータ、表示器等に報知用信号を出力する。
・・・・・
【0031】CPU(Central Processing Unit )19は、遊技機用マイクロコンピュータ10のコアをなす8ビットのマイクロプロセッサであり、リセット/割込み制御回路14により発生される割込要求信号に基づいて、リセット割込処理により、遊技機の遊技動作を内蔵ROM21内に格納された遊技プログラムに基づいて1シーケンス単位で各種プログラム処理を実行するものである。また、遊技に用いる乱数を必要とする場合、乱数生成回路17で生成される乱数を抽出し、特定値との判定を行い、遊技者に有利となる遊技を行わせるか否かを判定する。
・・・・・・
【0034】内蔵ROM(Read Only Memory)21は、遊技プログラムが格納されるユーザーROMであり、第1の記憶手段及び遊技プログラム格納手段としての機能を有する。
【0035】内蔵ROM22は、遊技機用マイクロコンピュータ10に内蔵される各種デバイスを制御するデバイス制御プログラムを格納し、外部から入力される所定の制御信号により内蔵ROM21に格納されている遊技プログラムを外部に送出する遊技情報送出プログラムを格納する。内蔵ROM22は、第2の記憶手段、デバイスプログラム格納手段及び遊技情報送出手段としての機能を有する。」

記載事項オ.
「【0038】次に、上記図3に示した請求項1及び請求項2記載の発明を適用した遊技機用マイクロコンピュータ10に対応する請求項5記載の発明を適用した検査装置の装置構成を図4、図5に示す。図4は、遊技制御回路としての上記遊技機用マイクロコンピュータ10と、検査装置としてのデータローダインターフェース回路30と、ROMライター50との接続関係を示す図である。この図4では、遊技機用マイクロコンピュータ10の内蔵ROM21に格納されている遊技プログラムを読み出す場合の装置構成を示している。
【0039】図4の接続状態において、まず、データローダインターフェース回路30に設けられているスイッチをオンすることにより遊技機用マイクロコンピュータ10の内蔵ROM22に格納されている遊技情報送出プログラムが起動され、内蔵ROM21に格納されている遊技プログラムがデータローダインターフェース回路30に送出されると、信号変換されて、ROMライター50に送出される。
【0040】この時、ROMライター50には、予め正規の遊技プログラム(マスタープログラム)が書込まれているマスターROM60を接続しておき、遊技機用マイクロコンピュータ10から送出される遊技プログラムと正規の遊技プログラムとの比較を行い、整合性を確認する。この時、送出されるデータの形式は、例えば、HEXのデータフォーマット形式をとる。なお、データ送出は、所定単位づつ行い、整合性の確認も、そのデータ送出単位で行われる。
・・・・・
【0054】また、遊技機用マイクロコンピュータ10では、内蔵ROM21に格納された遊技プログラムを、外部に送出するプログラムを内蔵しているので、外部よりの所定信号により、遊技プログラムを送出することができ、書き込まれた遊技プログラムを詳細に確認することができる。」

記載事項カ.
「【0082】次に、上記第1実施例の遊技機用マイクロコンピュータ10、データローダインターフェース回路30及び上記第2実施例の遊技機用マイクロコンピュータ100、データローダインターフェース回路40を、それぞれ実際の制御基板として構成した場合の外観図を図13?図16に示す。
【0083】図13は、上記第1実施例の遊技機用マイクロコンピュータ10あるいは上記第2実施例の遊技機用マイクロコンピュータ100を搭載した遊技制御回路基板70の外観斜視図である。この図13において、71は電源回路を構成する部分を示しており遊技制御回路基板70内部の動作電圧を生成し、72はデータローダインターフェース回路と接続するコネクタであり、73は外部の電源ライン(例えば、AC24V)と接続する電源コネクタを示している。
【0084】図14に、この遊技制御回路基板70のコネクタ72に接続されるデータローダインターフェース回路基板80の外観斜視図を示す。このデータローダインターフェース回路基板80には、遊技制御回路基板70に設けられたコネクタ72と接続するためのコネクタ81が設けられるとともに、外部のROMライターと接続するコネクタ82も設けられる。
・・・・・
【0086】また、図15は、図14に示したものとは異なる構成のデータローダインターフェース回路基板90を透明ケース91に収納した場合の一例であり、図12に示したコネクタ81の代りにフラットーケーブル92を設けて遊技制御回路基板70に設けられたコネクタ72と接続する構成としても良い。また、図15中の93はLED群、94はブザー、95はデータローダインターフェース回路基板90内部の動作電圧を生成する電源回路構成部分である。
【0087】また、図16に示すように、図13に示したフラットケーブル92の代りに遊技機用マイクロコンピュータ10、100のICパッケージから露出するピンと1対1で直接接触するクランプ式ICプローブ96を設けたものである。このクランプ式ICプローブ96を利用することにより、遊技機用マイクロコンピュータ10、100の各ピンと直接的に制御信号やデータの授受を行うことができ、遊技制御回路基板70に設けたコネクタ72を不要にすることができる。
【0088】したがって、図13に示したように、遊技制御回路基板70に遊技機用マイクロコンピュータ10あるいは遊技機用マイクロコンピュータ100を搭載し、また、図14?図16に示したように、データローダインターフェース回路基板80、90を構成したことにより、遊技機用マイクロコンピュータ10あるいは遊技機用マイクロコンピュータ100の内蔵ROM21に格納された遊技プログラムの整合性テストを容易に行うことができる。」


6.独立特許要件3-引用刊行物記載の発明の認定
記載事項ア.?カ.の全体から、引用例1には、「遊技機」の「遊技プログラム」の検査方法が開示されていることが明らかである。「遊技機」としては、記載事項ア.の段落【0002】に「例えば、パチンコ遊技機等」とあるから、「パチンコ遊技機」を採ることとする。以下では、引用例1中の「遊技機」は、「パチンコ遊技機」である場合について、認定を進めることとする。
引用例1における「遊技プログラム」は、記載事項ア.?ウ.及び記載事項エ.の段落【0031】から、パチンコ遊技機の遊技動作を制御するものであることが明らかである。該「遊技プログラム」は、記載事項エ.によれば「内蔵ROM21」内に格納されている。同記載事項エ.によれば、「内蔵ROM21」は「内蔵ROM22」と共に「遊技用マイクロコンピュータ10」に内蔵されている。引用例1には、抜記した記載事項ウ.すなわち「発明が解決しようとする課題」の欄を除き、「ワンチップ」との明記は存在しない。けれども、「遊技用マイクロコンピュータ10」がROM21及びROM22を「内蔵」すると記載されていること、及び、【図13】における図番「10」が一つのチップを指している様子とからすれば、「遊技用マイクロコンピュータ10」としては、少なくともワンチップのマイクロコンピュータとする場合が開示されていることは明らかである。そのため、ここではワンチップの「遊技用マイクロコンピュータ10」に「内蔵ROM21」及び「内蔵ROM22」が内蔵される場合を採ることとする。また、同記載事項エ.の段落【0035】によると、「内蔵ROM22」には、「遊技プログラム」を外部に送出する「遊技情報送出プログラム」が格納されている。
記載事項オ.によると、「遊技プログラム」の検査は、「遊技用マイクロコンピュータ10」と「データローダインターフェース回路30」及び「ROMライター50」を接続して行われる。ここで、「データローダインターフェース回路30」は、「遊技情報送出プログラム」によって送出された「遊技プログラム」を信号変換して「ROMライター50」に送出する。「ROMライター50」には、「正規の遊技プログラム」が書き込まれた「マスターROM60」が接続されている。そして、「遊技用マイクロコンピュータ10から送出される遊技プログラム」と「正規の遊技プログラム」との比較により、整合性の確認がされる。
記載事項カ.によると、「遊技用マイクロコンピュータ10」は「遊技制御回路基板70」に搭載され、「データローダインターフェース回路30」は「データローダインターフェース回路基板80、90」に搭載される。そのため、遊技プログラムの検査に際しての接続は、「遊技制御回路基板70」を「データローダインターフェース回路80、90」と接続し、「データローダインターフェース回路基板80、90」に「マスターROM60」が接続された「ROMライター50」を接続したものとなる。「データローダインターフェース回路基板80、90」は、「遊技制御回路基板70」上の「コネクタ72」と接続される。

以上をまとめると、引用例1には
「パチンコ遊技機における遊技制御回路基板70には、内蔵ROM21及び内蔵ROM22を内蔵するワンチップの遊技用マイクロコンピュータ10が搭載され、遊技用マイクロコンピュータ10の内蔵ROM21に格納される遊技プログラムを検査する方法であって、
検査は、遊技制御回路基板70のコネクタ72にデータローダインターフェース回路基板80、90を接続し、さらに、データローダインターフェース回路80、90を、マスターROM60が接続されたROMライター50に接続して行い、
遊技用マイクロコンピュータ10の内蔵ROM22には、遊技情報送出プログラムが格納されており、
遊技情報送出プログラムによって、遊技用マイクロコンピュータ10の内蔵ROM21から遊技プログラムが外部に送出され、
マスターROMが接続されたROMライター50が、マスターROM60に書き込まれた正規の遊技プログラムと、遊技用マイクロコンピュータ10の内蔵ROM21から送出された遊技プログラムとを、比較することで整合性を確認する、
パチンコ遊技機の遊技プログラム検査方法。」
の発明(以下「引用発明1」という)が記載されている。


7.独立特許要件4-補正発明と引用発明1との一致点及び相違点の認定
引用発明1と補正発明とを対比する。
引用発明1における「パチンコ遊技機」は、補正発明における「パチンコ機」に相当する。引用発明1における「遊技プログラム」、「遊技情報送出プログラム」、及び「マスターROM60に書き込まれた正規の遊技プログラム」は、それぞれ、補正発明における「制御プログラム」、「検査用プログラム」、及び「正規の制御プログラム」に相当する。そのため、引用発明1が「パチンコ遊技機の遊技プログラム検査方法」であることは、補正発明が「パチンコ機の制御プログラム検査方法」であることに相当する。
引用発明1における「遊技制御回路基板70」は、補正発明における「主制御基板」に相当する。引用発明1における「搭載」及び「格納」は、それぞれ補正発明における「配設」及び「記憶」に相当する。
引用発明1における「遊技用マイクロコンピュータ10」は、ワンチップの中に「内蔵ROM21」及び「内蔵ROM22」を有して「遊技プログラム」や「遊技情報送出プログラム」を格納するから、「プログラムを記憶する機能を有する部材」であり、CPU機能を併せ持つものの「記憶部」と言い得る。これを補正発明における「記憶部」と比較すると、補正発明においては「記憶部」が「封印されて」と記載されているものの、先に「3.補正発明の認定」において検討したように、発明の詳細な説明においてはCPU、ROM等を含む主制御基板(当審注、ただし外部とのコネクタ部分は除く)が封印されることによって該「記憶部」の「封印」がなされる前提である。すなわち、CPUもROMも共に主基板上に配設されて封印される前提であるとともに、特許請求の範囲において「記憶部」が「CPU機能を併せ持たない記憶部」あるいは「単機能の記憶部」という限定がされているわけではない。そのため、引用発明1における「遊技用マイクロコンピュータ10」は、これが「封印」されているか否かという点はひとまず措くとして、まずは、補正発明における「記憶部」に相当すると言うべきである。
しかしながら、請求人は平成21年11月6日付け意見書において、パチンコ遊技機のプログラム改ざんに対する不正防止策としては封印という手法とCPU及びROMのワンチップ化という手法との2つが存在するところ、後者の手法を採った引用発明1から前者の手法に立つ補正発明に至ることはあり得ない旨を主張している(同意見書中「(3-2)第29条第2項の拒絶理由について」欄参照)。そこで、引用発明1における「遊技用マイクロコンピュータ10」と補正発明における「記憶部」とについては、ひとまず、「プログラムを記憶する機能を有する部材」という点で一致するとしたうえで、その余の点は「一応の相違点」としておく。そして、相違点の検討の箇所において、補正発明の「記憶部」を「CPU機能を併せ持たない記憶部」と解した場合についても、予備的に検討することとする。
引用発明1における「データローダインターフェース回路基板80、90」は、補正発明において主制御基板に接続される「基板」に相当する。引用発明1における「マスターROM60が接続されたROMライター50」は、遊技プログラムの検査を行うものであるから、補正発明における「プログラム検査装置」に相当する。引用発明1において、検査の際には「遊技制御回路基板70」と「データローダインターフェース回路基板80、90」及び「ROMライター50」が接続されているから、補正発明に「該主制御基板にプログラム検査装置を接続して検査する」とある点は、引用発明1と補正発明との一致点である。
引用発明1においては、「遊技情報送出プログラム」によって「遊技プログラム」が送出されるとともに、検査時においては「ROMライター50」が接続されており、検査が行われる「ROMライター50」まで送出は行われている。すなわち、引用発明1では、「遊技プログラム」は「内蔵ROM21」の部分のみから外に読み出されるのではなく、「内蔵ROM21」を含む「遊技用マイクロコンピュータ10」の外部へと読み出されて、「ROMライター50」に受け取られていると言い得る。そうであるからには、補正発明に「該検査用プログラムに基づいて前記制御プログラムが前記記憶部から読み出され、前記主制御基板に接続されたプログラム検査装置が、前記検査用プログラムによって記憶部から読み出された前記制御プログラムを受け取り、」とある点は、「記憶部」をひとまず「プログラムを記憶する機能を有する部材」とする前述の留保は別として、引用発明1と補正発明との一致点である。
引用発明1において、「ROMライター50」による遊技プログラムの検査は、正規の遊技プログラムと比較することで整合性を確認することによる。このことは、補正発明において、「正規の制御プログラム」との「照合」により検査を行うことに相当する。したがって、補正発明に「前記プログラム検査装置が、正規の制御プログラムと前記検査用プログラムによって記憶部から読み出された制御プログラムとを照合することによって、前記検査用プログラムによって読み出された制御プログラムを検査し」とある点も、「記憶部」をひとまず「プログラムを記憶する機能を有する部材」とする前述の留保を別として、引用発明1と補正発明との一致点である。
引用発明1において、「遊技制御回路基板70」は、同基板上のコネクタに接続された「データローダインターフェース回路基板80、90」を介在したうえで、「ROMライター50」と接続されている。したがって、補正発明における「前記主制御基板は可変図柄表示装置を電気的に接続するための複数のコネクタを有し、前記プログラム検査装置は該複数のコネクタに接続される基板を介して前記主制御基板と接続され、」なる発明特定事項については、少なくとも「主制御基板はコネクタを有し、前記プログラム検査装置は該コネクタに接続される基板を介して前記主制御基板と接続され」という限度においては、引用発明1と補正発明との一致点である。

以上をまとめると、補正発明と引用発明1は、
「パチンコ機における主制御基板には、プログラムを記憶する機能を有する部材が配設され、該プログラムを記憶する機能を有する部材に記憶されている制御プログラムを、該主制御基板にプログラム検査装置を接続して検査する制御プログラム検査方法であって、
前記プログラムを記憶する機能を有する部材には、検査用プログラムも記憶されており、該検査用プログラムに基づいて前記制御プログラムが前記プログラムを記憶する機能を有する部材から読み出され、
前記主制御基板に接続されたプログラム検査装置が、前記検査用プログラムによってプログラムを記憶する機能を有する部材から読み出された前記制御プログラムを受け取り、
前記プログラム検査装置が、正規の制御プログラムと前記検査用プログラムによってプログラムを記憶する機能を有する部材から読み出された制御プログラムとを照合することによって、前記検査用プログラムによって読み出された制御プログラムを検査し、
主制御基板はコネクタを有し、前記プログラム検査装置は該コネクタに接続される基板を介して前記主制御基板と接続される、
パチンコ機の制御プログラム検査方法。」
である点で一致し、次の点で相違、または一応のところ相違する。

<相違点1>
プログラムを記憶する機能を有する部材が、補正発明においては「封印」された状態であるのに対して、引用発明1では「封印」されるか否か明らかでない点。
なお、補正発明における「封印」は、先に「4.独立特許要件1-補正発明の認定」において補足したように、主制御基板がコネクタ部分を除いて封印されることにより、結果的にプログラムを記憶する機能を有する部材も封印されることを含む趣旨と解する。

<相違点2>
プログラムを記憶する機能を有する部材が、補正発明においては「記憶部」であるのに対して、引用発明1ではROMを内蔵するワンチップの遊技用マイクロコンピュータ10であること、
及び、
補正発明においては当該「記憶部」に遊技用の「制御プログラム」と「検査用プログラム」とが記憶されるのに対して、引用発明1では2つのプログラムがワンチップの遊技用マイクロコンピュータ10内に格納されるものの、一方は内蔵ROM21の部分に格納され、他方は内蔵ROM22の部分に格納されること。
なお、先に引用発明1と補正発明との対比において留保したように、補正発明における「記憶部」が「CPU機能を併せ持たない記憶部」といった限定を有さないことからすれば、引用発明1における「遊技用マイクロコンピュータ10」は補正発明における「記憶部」に相当するというべきであるから、ここに挙げた相違点2は、前半部分及び後半部分共に、本来は相違点ではない。しかしながら、ここでは補正発明の「記憶部」を「CPU機能を併せ持たない記憶部」と解した場合についても予備的に検討するため、「一応の相違点」としたものである。

<相違点3>
補正発明においては、検査用プログラムが「人為的に発生されるパチンコ機における各種エラーで起動」されるのに対して、引用発明1ではそうなっていない点。

<相違点4>
補正発明においては、主制御基板が「可変図柄表示装置を電気的に接続するための複数のコネクタ」を有しており、プログラム検査装置との接続を介在する「基板」が「該複数のコネクタ」に接続されるのに対して、引用発明1ではそうなっていない点。

<相違点5>
補正発明においては、「前記検査用プログラムが人為的に発生されるパチンコ機における各種エラーで起動されるのは、該複数のコネクタに前記基板を介して前記プログラム検査装置が接続されている場合で、前記可変図柄表示装置が前記複数のコネクタに接続されている場合は、前記検査用プログラムは起動されない」のに対して、引用発明1ではそうなっていない点。


8.独立特許要件5-相違点の判断及び補正発明の独立特許要件の判断
(1)相違点1について
(1-1)パチンコ遊技機の技術常識について
相違点1について検討するに際して、まず、パチンコ遊技機における技術常識を参酌する。
たとえば、特開昭64-17677号公報には、次の各記載がある。
「この制御回路基板は、一般に外部から接触できないように保護カバーで覆われており、特に、遊技機のようにある程度射倖心をそそるものは、その遊技内容が変更されないように保護カバーを厳格に密封する必要がある。」(第2頁左上欄13行?17行)、
「次に保護カバー50内に収納される制御回路基板71について説明すると、制御回路基板71上にはP-ROM72、CPU73、その他各種の電子部品が電気的に関連付けられて植立され、その最下端に入出力用コネクター74が設けられている。この入出力用コネクター74は、前記した各種の入賞装置や電源等と接続する必要があるため、第2図(a)、(b)に示されるように各側壁53b、53c、65b、65c、65dより外部に位置するようになっている。」(第5頁左上欄19行?右上欄9行)
「上述のように組み立てられた保護カバー50には固定カバー51の側壁53a?53cと被覆カバー63の側壁65a?65cとによって同一平面が形成されるので、第2図(b)、(c)に示されるように側壁53bと側壁65bとの衝接する位置、及び切欠部61と延長壁69とが合致する位置にきわめて容易に封印紙80、81をそれぞれ貼付することができる。」(第5頁左下欄17行?右下欄4行)
そして、同公報の第1図、第2図には、「制御回路基板71」について、コネクタ部74を除きカバーで覆い封印する様子が示されている。
また、特開平4-282177号公報の第9図、特開平6-165857号公報の第8図及び段落【0032】?段落【0034】、特開平6-261978号公報の第3図及び段落【0036】、特開平9-192321号公報の第2図?第3図、特開平9-220332号公報の第4図?第5図にも、同様の開示がある。
これらのことからも明らかなように、そもそも、パチンコ遊技機の技術分野においては、遊技動作を制御する主たる基板については、外部との接続部位を除き、搭載電子部品の部分を封印することが技術常識である。
そして、たとえば参考として言及した上述文献のうち、特開平6-165857号公報には、「この実装チップ69と外部ROM70によってマイクロコンピュータが構成される。このマイクロコンピュータは、実装チップ69と外部ROM70と、さらにはサウンドジェネレータ248を含めてワンチップ化してもよい。」(段落【0072】)及び「・・・外部ROMに記憶されている制御用のプログラムに従ってパチンコ遊技機を制御する処理がなされる。」(段落【0092】)との記載がある。
すなわち、上述した基板の搭載電子部品部分の封印は、遊技動作を制御するプログラムを、基板上で単体のROMに格納した場合に限られるという性質の技術常識ではない。

(1-2)「封印」に関する引用例1の記載について
以上の技術常識を踏まえて、引用例1の記載に戻る。
引用例1中において、封印に関する記載がされているのは、【発明が解決しようとする課題】欄のみである。そこにおける記載は、先に「記載事項ウ.」に抜記したとおりである。すなわち、「封印シール」について、ROMに貼付した封印シールの状態確認が手間であること、遊技店自体がROMの改造を行っている場合には効果が乏しいことが記載されている。
「封印シール」に関する上記2つの記載を詳しく見ると、前者の部分は、記載事項ウ.中の段落【0007】に示したとおり、「正規ROMには、剥離すると確認できる封印シールが貼付されている(ROMを交換するにはシールを剥離しなければならない)」としたうえで、「その状態を確認するには、遊技機裏面の遊技制御基板を確認しなければならず手間である。」という記載である。この記載を単独で取り出すと、確認のために遊技制御基板にアクセスすること自体が困難である旨をいうものと解することもできる。しかしながら、記載事項エ.?カ.に抜記した事項、あるいは引用発明1の認定で述べたことからも明らかなとおり、引用例1が提示する課題解決策は、結局のところ「遊技制御回路基板70」に「データローダインターフェース回路基板80、90」等を接続するものである。そのため、前記段落【0007】における「その状態を確認するには、遊技機裏面の遊技制御基板を確認しなければならず手間である。」との記載は、遊技制御基板へのアクセス自体が困難であるという趣旨ではなく、同基板上のROMに貼付した場合の「封印シール」に剥離があったか否かを、視認で正確に確認する手間と困難とを指す趣旨と解される。
次に、「封印シール」に関する残りの記載をみると、その記載は記載事項ウ.中の段落【0008】にあるとおり、「また、遊技店自体がROMの改造を行っている場合には、何ら効果が発揮されない。」というものである。この記載はその文脈から、遊技店自体が不正に関与する場合には、ROMと封印シールの両方の偽造が比較的容易であることを指す趣旨と解される。
以上のとおり、引用例1における封印に関する記載は、「封印シール」単独では不正防止効果が十分ではないことを述べるものであり、封印という手法が不正防止の観点からすれば逆効果であることを述べるものではない。
また、引用例1では上述した「封印シール」の不完全性を指摘する記載に続けて、「そのため、遊技プログラムが格納されるROM、また、作業領域として使用されるRAM、及び、CPUをまとめたワンチップマイクロコンピュータの使用が考えられる」(段落【0008】)と記載している。しかしながら、先に(1-1)で見たとおり、主たる制御基板の封印はパチンコ遊技機における技術常識であるとともに、ここにいう「ワンチップマイクロコンピュータの使用」という不正防止策と、主たる制御基板の封印という不正防止策とは、前者を採用する場合には後者を採用できないという排他的関係にはないことが明らかである。そのため、引用例1における前述の「・・・ワンチップマイクロコンピュータの使用が考えられる」という記載も、不正防止策がワンチップマイクロコンピュータの使用か封印かのいずれか一方のみに分類されるという趣旨ではなく、また、前者の手法を採る引用例1においては、いかに技術常識であっても、主たる制御基板の封印という手法を併用することはないという趣旨ではないことが明らかである。

(1-3)引用発明1と上記技術常識について
以上のとおりであるから、引用例1において、「【発明が解決しようとする課題】」欄を除いて封印に関する記載が存在しないからといって、引用例1では主たる制御基板を封印することが排除されているというものではない。そして、先に(1-1)において示したとおり、外部との接続に用いるコネクタ部位を除いて主たる制御基板を封印することは、パチンコ遊技機においては技術常識である。そのため、引用例1においても、単にワンチップのマイクロコンピュータを用いたということとは別に、別途特段の阻害要因があるのでない限りは、「遊技制御回路基板70」を封印することは十分に予定されているというべきである。
ここで、引用例1には、記載事項カ.の段落【0087】に記載される「遊技用マイクロコンピュータ10、100のICパッケージから露出するピンと1対1で直接接触するクランプ式ICプローブ96」といった形態も記載されている。仮にこの形態をそのまま採用するのであれば、「遊技制御回路基板70」の遊技用マイクロコンピュータ搭載部分は露出させざるを得ないから、当該部分を「封印されて」という状態とすることには阻害要因が存在すると言い得る。しかしながら、引用例1において前述「クランプ式ICプローブ96」は一つの変形例という位置づけに過ぎない。そして、引用発明1は「遊技制御回路基板70」上の「コネクタ72」を外部との接続に用いるものとして認定している。
したがって、引用発明1を出発点とする以上は、基板上のコネクタの位置は「コネクタ72」も含めて適宜好適に設計すべき事項であるとともに、コネクタ部位を除く「遊技制御回路基板70」を封印すること対して、何らの阻害要因も存在しない。
そして、コネクタ部位を除く「遊技制御回路基板70」を封印することは、単なる技術常識の採用であるとともに、そうしたことによる効果も、全て事前に予測された程度の事項と言わざるを得ない。

(1-4)相違点1の結論
よって、引用発明1において、「遊技制御回路基板70」を封印しているか否かは明らかでないけれど、そうすることは技術常識であるとともに、単なる設計事項に過ぎない。すなわち、相違点1は実際上の相違点ではないか、単なる設計事項程度である。
なお、この点について請求人は、不正防止策には封印という手法とワンチップマイクロコンピュータの使用という手法の2つが存在するところ、引用例1は前者の手法ではなく後者の手法を選択したものだから、引用例1を出発点として補正発明に至ることはあり得ない旨を主張している。しかしながら、相違点1に関しては上述したとおりであり、請求人の主張は採用できない。

(2)相違点2について
(2-1)主位的検討-実際上の相違点ではないことの確認
相違点1の検討で示したとおり、パチンコ遊技機において、外部との接続部位を除き主たる制御基板を封印することは技術常識であり、そのうえで遊技用のプログラムを格納するROMの部分とCPU部分を別体とするかワンチップとするかも、遊技機の設計者が適宜に選択すべき事項である(前述特開平6-165857号公報の段落【0072】参照)。そして、補正発明においても、発明の詳細な説明において主制御基板はCPU及びROMを含めて封印される前提であるとともに、「記憶部」について「CPU機能を併せ持たない」等の特定はされていない。
したがって、請求人はワンチップ化と主制御基板の封印とは本質的に相容れない旨を主張しているけれども、当該主張は失当であるとともに、該請求人の主張に関わらず、引用発明1におけるワンチップの「遊技用マイクロコンピュータ10」は、補正発明1における「記憶部」に相当すると言うべきである。よって、相違点2は仮定的に相違点としたけれども、実際上の相違点ではない。

(2-2)予備的検討
上に示したとおり、相違点2は実際上の相違点ではないが、補正発明の「記憶部」を「CPU機能を併せ持たない記憶部」と解した場合について、予備的に検討する。
主たる制御基板の封印が上述したように技術常識であること、そのうえで遊技機のプログラムを格納するROMの部分とCPU部分を別体とするかワンチップとするかも適宜に選択可能であることを勘案すれば、当業者の視点から見た場合、引用発明1は、CPUとROMをワンチップ化している部分によって、まずある程度の不正防止上の効果(当審注、物理的破壊無くROM部分のみを取り出せない、最小部品単位での偽造がROM単体の場合に比較して困難になる等が考えられる)を有しているけれども、だからといって、ワンチップのマイクロコンピュータを用いる場合を除いては、本質的に何の効果も得られない性質のものではないことが明らかである。すなわち、引用発明1は、主たる制御基板外に遊技プログラムを送出するという機能を持つことにより、「書き込まれた遊技プログラムを詳細に確認することができる」(記載事項オ.中の段落【0054】)という効果を奏するものであることが明らかである。
そうであれば、従来からの常識的な遊技機用の制御基板として、「主たる制御基板を封印しているがCPUとROMをワンチップ化していない」という制御基板を熟知する当業者が、引用発明1に接した場合、CPUとROMのワンチップ化の部分はコスト等の実情面を考慮して採用を控える一方、制御基板外に遊技プログラムを送出する機能によりプログラム自体を詳細に確認するという観点から、ワンチップ化を除く引用発明1の構成を採用することは、十分に想到し得たであろう事項というほかはない。
すなわち、引用発明1においてワンチップの「遊技用マイクロコンピュータ10」に与えられたCPU機能とROM機能とを、ワンチップ化はしないままに、従来からの分離独立されたCPU及びROMに持たせることで、CPU機能を併せ持たない補正発明の「記憶部」とすることは想到容易である。したがって、仮定的相違点2の前半部分は、解釈により実際上の相違点と扱って予備的に検討しても、想到容易である。
また、引用発明1では、ワンチップの「遊技用マイクロコンピュータ10」内において、遊技プログラムと検査用プログラムを格納する箇所を、「内蔵ROM21」及び「内蔵ROM22」と区別していたけれども、1つのチップ内での区別であったとともに、従来通りにCPUとROMとを分離する場合においてまで、必ずしも物理的に別体の2つのROMを用いる必要があるわけではない。1つのROMに両プログラムを格納すること、あるいは、何らかの格納区分が存在することが望ましいとしても、たとえば特開平6-269554号公報(当審注、後記する「引用例2」)の段落【0009】に、「・・前記制御情報記憶手段(例えば、ROM302)を、遊技制御情報を記憶する遊技制御情報記憶領域(例えば、ROM302A)と、出力試験制御情報を記憶する出力試験制御情報記憶領域(例えば、ROM302B)とに区分けし、」とも記載があるように、1つのROMを領域区分けして用いる程度で済ませることは、設計事項である。すなわち、CPU機能を併せ持たない補正発明の「記憶部」に、遊技プログラムと検査用プログラムとの両者を格納することは、設計事項程度である。したがって、仮定的相違点2の後半部分は、解釈により実際上の相違点と扱って予備的に検討しても、設計事項である。

(2-3)相違点2の結論
以上より、相違点2は実際上の相違点でなく、予備的に解釈により実際上の相違点と扱ったとしても、技術常識の適用により想到困難性無く得られる事項である。

(3)相違点3について
当審の拒絶の理由に引用した、特開平6-269554号公報(以下、「引用例2」という。)には、「このように本実施例では、パチンコ機1に配置された各種出力機器の作動確認を行うテスト機能(出力試験制御の機能)が設けられ、このテスト機能はテストプログラムによって実行される。テストプログラムは電源投入後に予め定められた所定の検出手段(普図始動通過ゲートスイッチ322)がオンするように操作する(普図ゲート110、111の何れかに対して強制的に玉を停留させる)ことによって起動し、電源を切らない限り、遊技制御は行われない。」(段落【0083】)との記載がある。
すなわち、引用例2には、遊技機用のテストプログラムの実行を、普図ゲートに対して強制的に玉を停留させることによって、起動させることが示されている。普図ゲートにおける玉の停留は、「これは玉がスイッチ内に留まらないので好ましいから使用しているものである。したがって、他の検出手段を利用してもよいが、少なくとも玉が止ったり、あるいは玉が多量に貯留してもスイッチが玉を検出したままの状態にならないスイッチを用いるのが好ましい。」(段落【0093】)とも記載されているように、通常であれば起こらないと考えられる事象であり、ここで併せて言及される「他の検出手段を利用」の場合も含めて、補正発明における「人為的に発生されるパチンコ機における各種エラー」に相当する。
そして、引用発明1における「遊技情報送出プログラム」を、引用例2におけるテストプログラム起動契機を参酌して、人為的に発生される各種のエラーで起動されるようにすることは、当業者であれば想到容易である。

(4)相違点4について
(4-1)「複数のコネクタ」を設けることについて
まず、「可変図柄表示装置を電気的に接続するための複数のコネクタ」について検討する。
引用例1においても、記載事項ア.の段落【0002】に、「例えば、パチンコ遊技機等においては、遊技領域の略中央に配置される特別図柄表示装置での可変表示ゲームにより遊技の興趣が高められている。」と記載されている。すなわち、引用発明1のパチンコ遊技機も、実際上は「特別図柄表示装置」を備えることが予定されており、該「特別図柄表示装置」は補正発明における「可変図柄表示装置」に相当する。
そして、先に「(1-1)パチンコ遊技機の技術常識について」で参考的に言及した、多数の文献の図示からも明らかなとおり、パチンコ遊技機の主たる制御基板に、外部との接続に必要なコネクタを設けることは実際上当然である。さらに、一般に演出用の表示装置を接続する場合にはサブCPUあるいはサブ基板を介することが多いとはいえ、たとえば上述した多数の文献中の特開平6-165857号公報には、「また、可変表示装置表示駆動用IC249を設けることなく可変表示装置90を直接I/Oポート244からの出力信号により制御するようにしてもよい。」(段落【0065】)と記載されている。すなわち、表示装置を接続するためにサブCPUやサブ基板を介することは、必ずしも必要がないものである。
したがって、引用発明1において、「遊技制御回路基板70」上に、特別図柄表示装置を電気的に接続するためのコネクタを設けることは、実際上明らかであるか、そうでなくとも設計事項に過ぎない。またその際、基板上の信号配線の都合から、必ずしも一つの外部装置に対するコネクタを1箇所にまとめられるとは限らないから、特別図柄表示装置用のコネクタを「複数」とすることも格別の事項ではない。

(4-2)コネクタの兼用について
次に、検査に用いるコネクタとの兼用について検討する。
引用例1においても、記載事項カ.の段落【0087】におけるように、「遊技制御回路基板70」上にデータローダインターフェース回路と接続するための専用コネクタを設けることを省くことが検討されている(段落【0087】参照)。そして、たとえば特開平2-191062号公報に「そのコネクターを検査用に併用すれば」(第4頁左上欄13行?14行)と記載されているように、既存のコネクタを検査用に兼用することは、一般的に広く知られた事項に過ぎない。
そしてそれだけでなく、当審が拒絶の理由に引用した、特開平5-137843号公報(以下、「引用例3」という。)には、「・・・パチンコ機P側のコネクター9に、少なくともカードリーダー11を含む球貸ユニットAからのケーブル14を接続するようにしたパチンコ機Pにおいて、前記コネクター9からケーブル14を外し、そのコネクター9とROM試験機15を変換アダプター16を介して接続すると共に、変換アダプター16を介して払出し制御装置8のROMに記録されたデータをROM試験機15に読み込ませ得るようにした」(段落【0006】)と記載されている。すなわち、パチンコ遊技機において検査用のROM試験機を接続する場合に、他部材との接続に用いる既存のコネクタを用いることが開示されている(端的には【図1】及び【図2】を参照)。
加えて、引用発明1において、先に相違点3について検討したように、エラーの発生を検査用プログラムの起動契機とする場合には、「データローダインターフェース回路基板80、90」の接続に兼用すべき既存のコネクタとしても、専ら信号出力用のもので足りることは明らかである。
そうであれば、特別図柄表示装置を接続するためのコネクタを、データローダインターフェース回路の接続用に兼用することは、当業者であれば想到容易と言わざるを得ない。その際、特別図柄表示装置用のコネクタが複数に分かれている場合に、装置単位での差し替えとして該複数のコネクタをそのまま用いることは、設計事項程度である。

(4-3)相違点4の結論
以上より、相違点4に係る補正発明の構成を得ることは、引用例3に記載された発明、及び技術常識に基づいて、当業者が容易になし得た事項である。

(5)相違点5について
引用発明1において、検査のための遊技プログラム送出を行うのは、「遊技制御回路基板70」と「データローダインターフェース回路基板80、90」及び「ROMライター50」を接続している時である。そうであれば、相違点3及び相違点4に係る構成を採る場合に、「遊技制御回路基板70」に「データローダインターフェース回路基板80、90」が接続され、さらに「データローダインターフェース回路基板80、90」に「ROMライター50」が接続されている場合に、「遊技情報送出プログラム」を起動可能にする一方、遊技プログラムを受け取ることが予定されていない単なる表示装置が接続されているときには、「遊技情報送出プログラム」が起動されないように調整することは、設計事項程度である。
すなわち、相違点5に係る補正発明の構成を得ることは、設計事項程度である。

(6)補正発明の独立特許要件の判断
これまでに述べたように、相違点1?5は、いずれも実際上の相違点ではないか、相違点としても、当該相違点に係る補正発明の構成を得ることが想到容易であり、あるいは設計事項程度である。そして、そうしたことによる作用効果も、格別なものと認めることはできない。
したがって、補正発明は、引用発明1?3に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
すなわち、本件補正は、平成18年改正前特許法17条の2第5項で準用する同法126条5項の規定に違反している。


[補正の却下の決定のむすび]
以上述べたとおり、本件補正は、補正前の請求項1に記載する「前記コネクタの一部」なる事項を誤記と扱わないのであれば、平成18年改正前特許法17条の2第4項の規定に違反する。また一方、前述の点を誤記と認めても、同法同条第5項で準用する同法126条5項の規定に違反する。
そのため、本件補正は、同法159条1項で読み替えて準用する同法53条1項の規定により、却下されなければならない。
よって、補正の却下の決定の結論のとおり決定する。


第3 本件審判請求についての判断

1.本願発明
平成21年11月6日付け手続補正は当審において却下され、審判請求時補正も当審により却下されている。
そのため、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成20年5月7日付け手続補正により補正された明細書の特許請求の範囲における、【請求項1】に記載された事項によって特定されるべきものとなる。その記載は、「第2 補正の却下の決定」の「1.補正内容」において、(補正前)【請求項1】として示したとおりである。


2.新規事項追加
(1)基板の接続について
請求項1には、「可変図柄表示装置を電気的に接続する複数のコネクタを有する主制御基板」と記載されたうえで、「前記コネクタの一部に接続される基板により、前記検査用プログラムによって読み出された前記制御プログラムが受け取られ」と記載されている。この記載に従えば、可変図柄表示装置を接続するためのコネクタが「複数」存在し、かつ、当該「複数のコネクタ」の「一部」に、プログラム検査装置と接続するための基板(以下、明細書中の用語を用いて「変換基板」という。)を接続しなければならない。
しかしながら、願書に最初に添付された明細書及び図面(以下、「当初明細書等」という。)には、【図2】及び【図4】において、可変図柄表示装置と接続するためのコネクタ「14a」と「14b」とが存在することは示されているものの、変換基板は該コネクタ「14a」と「14b」の両者と接続されており、これら複数のコネクタの「一部」のみで変換基板を接続することは記載されていない。そして、そのようにすることは当初明細書等のその他の記載と総合すれば導出できるものでもない。
なお、この点については、当審が通知した拒絶理由に対して、本審決中で却下した本件補正において当該「一部の」という発明特定事項が削除されていること、及び、当該「一部の」という発明特定事項に依拠した特許性の主張は、請求人によって特になされていないことからすれば、誤記と解することもできる。しかしながら、誤記と解さない場合には、上述したとおり新規事項の追加に該当する。

(2)検査用プログラムの起動について
当審拒絶理由においては、「人為的に発生されるパチンコ機における各種エラーで起動する検査用プログラムにより、前記制御プログラムが読み出され」という記載部分についても、可変図柄表示装置用のコネクタを検査用に流用する方法において、可変図柄表示装置が接続された状態でもエラーがあれば検査用プログラムが起動する趣旨であれば、新規事項の追加であると通知した。なお、当初明細書等においては、段落【0014】?【0015】に記載されるように、可変図柄表示装置が接続されているときには検査用プログラムが無視されることとなっている。
しかしながら、請求項1には、上記の記載に後続して、「前記コネクタの一部に接続される基板により、前記検査用プログラムによって読み出された前記制御プログラムが受け取られ」と記載されている。また、当該「基板」すら接続されておらず、可変図柄表示装置がそのまま接続されている場合に、可変図柄表示装置に対して、遊技を制御するプログラムを送り出すことは明らかに実際的でない。これらのことも勘案すれば、請求項1において、検査用プログラムが起動されるのは、少なくとも可変図柄表示装置ではなく基板(変換基板)が接続された状態であると解することが妥当である。
したがって、請求項1において、「人為的に発生されるパチンコ機における各種エラーで起動する検査用プログラム」とある点については、可変図柄表示装置が接続されている場合であっても検査用プログラムが起動される趣旨ではないと解することとし、当審拒絶理由においてこの部分を新規事項と指摘した点については、撤回することとする。

(3)新規事項まとめ
以上より、本願は、請求項1において「可変図柄表示装置を電気的に接続する複数のコネクタ」と記載したうえで「前記コネクタの一部に接続される基板」と記載するところ、該「一部」という記載が誤記でない場合には、当審拒絶理由で通知したとおり、新規事項が追加されている。
よって、本願は、特許法17条の2第3項の規定に違反する。


3.進歩性
(1)本願発明の認定についての補足
本願発明は、上に「2.(1)」で示したとおり、「主制御基板」が「可変図柄表示装置を電気的に接続する複数のコネクタ」を有したうえで、「前記コネクタの一部」に基板(当審注、明細書中にいう「変換基板」)を接続するという点で、新規事項が追加されている。
しかしながら、却下された本件補正では当該「一部」という記載が削除されていることを勘案すれば、この点は誤記と解することもできる。そのため、当該「一部」という記載を誤記と解した場合について、本願発明の進歩性を判断することとする。
なお、「人為的に発生される各種エラーで起動する検査用プログラム」については、「2.(2)」で述べたとおり、可変図柄表示装置が接続されている場合であっても起動する趣旨ではないと解することとする。
また、「主制御基板に、封印されて配設された記憶手段」については、先に「第2 補正の却下の決定」、「4.独立特許要件1-補正発明の認定」において、補正発明を認定する際に補足したと同じ理由から、主制御基板が封印される(ただしコネクタ部は除く)ことによって記憶手段が封印されることを含む趣旨と解することとする。

(2)引用刊行物に記載される事項、及び、引用刊行物記載の発明の認定
本願出願前に頒布された刊行物であり、当審の拒絶の理由に引用した特開平8-47566号公報、すなわち引用例1には、先に「第2 補正の却下の決定」、「5.独立特許要件2-引用刊行物に記載される事項の認定」において抜記した、記載事項ア.?記載事項カ.の記載がされている。
そして、引用例1には、先に「第2 補正の却下の決定」、「6.独立特許要件3-引用刊行物記載の発明の認定」において認定した、引用発明1が記載されていると認めることができる。

(3)本願発明と引用発明1の一致点及び相違点の認定
本願発明と補正発明とで異なる点は、先に「第2 補正の却下の決定」における「2.補正事項、補正内容及び補正目的」で示したとおりであり、補正発明と引用発明1との一致点及び相違点は、先に「第2 補正の却下の決定」における「7.独立特許要件4-補正発明と引用発明1の一致点及び相違点の認定」で示したとおりである。
そのため、引用発明1と本願発明との一致点は、次のとおりとなる。

<一致点>
「コネクタを有する主制御基板に配設された、プログラムを記憶する機能を有する部材に記憶されている制御プログラムを検査するパチンコ機の制御プログラム検査方法において、
前記プログラムを記憶する機能を有する部材に記憶されている検査用プログラムにより、前記制御プログラムが読み出され、
主制御基板のコネクタに接続される基板により、前記検査用プログラムによって読み出された前記制御プログラムが受け取られ、
プログラム検査手段により、記憶済みの制御プログラムと前記検査用プログラムによって読み出された制御プログラムとの照合によって、前記検査用プログラムによって読み出された制御プログラムが検査される
パチンコ機の制御プログラム検査方法。」

そして、引用発明1と本願発明との相違点または一応の相違点は、次のとおりとなる。

<相違点1’>
本願発明においては、主制御基板が「可変図柄表示装置を電気的に接続するための複数のコネクタ」を有しているのに対して、引用発明1における「遊技制御回路基板70」は当該コネクタを有するか否か不明な点。

<相違点2’>
プログラムを記憶する機能を有する部材が、本願発明においては「封印」された状態であるのに対して、引用発明1では「封印」されるか否か明らかでない点。
なお、本願発明における「封印」は、先に「(1)本願発明の認定の補足」で補足したとおり、主制御基板がコネクタ部分を除いて封印されることにより、結果的にプログラムを記憶する機能を有する部材も封印されることを含む趣旨と解する。

<相違点3’>
プログラムを記憶する機能を有する部材が、本願発明においては「記憶手段」であるのに対して、引用発明1ではROMを内蔵するワンチップの遊技用マイクロコンピュータ10であること、
及び、
本願発明においては当該「記憶手段」に遊技用の「制御プログラム」と「検査用プログラム」とが記憶されるのに対して、引用発明1では2つのプログラムがワンチップの遊技用マイクロコンピュータ10内に格納されるものの、一方は内蔵ROM21の部分に格納され、他方は内蔵ROM22の部分に格納されること。
なお、本願発明における「記憶手段」が「CPU機能を併せ持たない記憶手段」といった限定を有さないことからすれば、引用発明1における「遊技用マイクロコンピュータ10」は、本願発明における「記憶手段」に相当するというべきである。そのため、ここに挙げた相違点3’は、本来は相違点ではない。しかしながら、ここでは本願発明の「記憶手段」を「CPU機能を併せ持たない記憶手段」と解した場合についても予備的に検討するため、仮定的に「一応の相違点」としたものである。

<相違点4’>
本願発明においては、検査用プログラムが「人為的に発生されるパチンコ機における各種エラーで起動」されるのに対して、引用発明1ではそうなっていない点。

<相違点5’>
本願発明では、「基板」が「前記コネクタ」、すなわち相違点1’における「可変図柄表示装置を電気的に接続する複数のコネクタ」に接続されるのに対して、引用発明1ではそうなっていない点。
なお、「(1)補正発明の認定の補足」で補足したとおり、請求項1に「前記コネクタの一部」と記載されている点は、誤記と解する。

(4)相違点の判断
(4-1)相違点1’について
相違点1’については、引用発明1と補正発明との相違点4のうち、その前半部分と実際上同一である。そのため、先に「第2 補正の却下の決定」、「8.独立特許要件5-相違点の判断及び独立特許要件の判断」において、「(4)相違点4について」、「(4-1)「複数のコネクタ」を設けることについて」で述べたことが該当するので、援用する。
すなわち、引用発明1において、「遊技制御回路基板70」上に特別図柄表示装置を電気的に接続するためのコネクタを設けることは、実際上明らかであるか、そうでなくとも設計事項に過ぎない。またその際、基板上の信号配線の都合から、必ずしも一つの外部装置に対するコネクタを1箇所にまとめられるとは限らないから、特別図柄表示装置用のコネクタを「複数」とすることも格別の事項ではない。
したがって、相違点1’は実際上の相違点ではないか、単なる設計事項程度である。

(4-2)相違点2’について
相違点2’は、引用発明1と補正発明との相違点1と、実際上同一である。そのため、先に「第2 補正の却下の決定」、「8.独立特許要件5-相違点の判断及び独立特許要件の判断」において、「(1)相違点1について」で述べたことが該当するので、援用する。
すなわち、引用発明1において、「遊技制御回路基板70」を封印しているか否かは明らかでないけれど、そうすることは技術常識であるとともに、単なる設計事項に過ぎない。
したがって、相違点2’は実際上の相違点ではないか、単なる設計事項程度である。

(4-3)相違点3’について
相違点3’は、引用発明1と補正発明との相違点2と、実際上同一である。そのため、先に「第2 補正の却下の決定」、「8.独立特許要件5-相違点の判断及び独立特許要件の判断」において、「(2)相違点2について」で述べたことが該当するので、援用する。
すなわち、請求人は不正防止の手法として、ワンチップ化と主制御基板の封印とは本質的に相容れない手法である旨を主張するが、当該主張は失当であるとともに、本願発明において「CPU機能を併せ持たない記憶手段」等の特定はされていないから、引用発明1におけるワンチップの「遊技用マイクロコンピュータ10」は本願発明における「記憶手段」に相当すると言うべきである。また、本願発明の「記憶手段」を、解釈により「CPU機能を併せ持たない記憶手段」と解した場合について予備的に検討しても、従来からありふれた独立のCPUとROMとを有する封印された主制御基板に対して、ワンチップ化の部分を除く引用発明1の手法を採用することは想到容易であり、その際に遊技用と検査用の両プログラムを1つのROM内に格納することは適宜なし得る程度の事項である。
したがって、相違点3’は仮定的に相違点としたけれども、実際上の相違点ではない。また、解釈により実際上の相違点と扱って予備的に検討しても、当業者であれば想到容易である。

(4-4)相違点4’について
相違点4’は、引用発明1と補正発明との相違点3と、実際上同一である。そのため、先に「第2 補正の却下の決定」、「8.独立特許要件5-相違点の判断及び独立特許要件の判断」において、「(3)相違点3について」で述べたことが該当するので、援用する。
すなわち、引用発明1における「遊技情報送出プログラム」を、引用例2におけるテストプログラム起動契機を参酌して、人為的に発生される各種のエラーで起動されるようにすることは、当業者であれば想到容易である。なおその際、検査用の接続をしている際にはその他特段の条件を要さず当該各種のエラーによりテストプログラムを起動するよう調整することも、設計事項程度である。
したがって、相違点4’に係る本願発明の構成を得ることは、引用例2に記載される発明に基づいて、当業者であれば容易である。

(4-5)相違点5’について
相違点5’については、引用発明1と補正発明との相違点4のうち、その後半部分と実際上同一である。そのため、先に「第2 補正の却下の決定」、「8.独立特許要件5-相違点の判断及び独立特許要件の判断」において、「(4)相違点4について」、「(4-2)コネクタの兼用について」で述べたことが該当するので、援用する。
すなわち、引用例3に、他部材との接続に用いる既存のコネクタを検査用に兼用することが開示されていることを参酌し、引用発明1において、「データローダインターフェース回路基板80、90」の接続に、専用の「コネクタ72」に換えて他部材との接続に用いる適宜のコネクタを兼用することは想到容易である。そしてその際、相違点1’で検討した如く、特別図柄表示装置を接続するための複数のコネクタを備える場合であれば、当該コネクタを検査用に兼用するとともに、装置単位での差し替えとして該複数のコネクタをそのまま用いることは、設計事項程度である。
したがって、本願請求項1において、可変図柄表示装置用のコネクタが「複数」あるうえで、該複数のコネクタの「一部」のみを用いて変換基板を接続することは新規事項であるが、当該「一部」という記載の存在が誤記であり、コネクタ自体は可変図柄表示装置用のもの全てを用いて変換基板を接続する趣旨と解した場合、相違点5’に係る本願発明の構成を得ることは、引用例3に記載される発明に基づいて、当業者であれば想到容易である。
なお、請求項1における「前記コネクタの一部に接続される基板」なる記載について、誤記ではあっても「一部」という記載の存在自体が誤記であるのではなく、コネクタ自体は全体を用いて接続するが一部空きポートを残すという趣旨の誤記であると善解した場合についても、予備的に検討する。必要に応じてコネクタ中の適宜のピンのみを信号送信に用いることは設計事項であるから、この場合であっても、相違点5’に係る本願発明の構成を得ることは、やはり想到容易である。

(4-6)進歩性まとめ
以上のとおり、相違点1’?5’は、いずれも実際上の相違点ではないか、相違点としても、当該相違点に係る本願発明の構成を得ることが想到容易であり、あるいは設計事項程度である。そして、そうしたことによる作用効果も、格別なものと認めることはできない。
したがって、本願発明は、引用発明1?3に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条2項の規定により、特許を受けることができない。


第4 むすび
以上のとおりであるから、本件補正は却下されなければならず、本願発明は、特許を受けることができない。
したがって、本願は拒絶せざるを得ない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-01-21 
結審通知日 2010-01-26 
審決日 2010-02-09 
出願番号 特願平9-231139
審決分類 P 1 8・ 575- WZ (A63F)
P 1 8・ 121- WZ (A63F)
P 1 8・ 572- WZ (A63F)
P 1 8・ 55- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 藤田 年彦  
特許庁審判長 立川 功
特許庁審判官 吉村 尚
有家 秀郎
発明の名称 パチンコ機の制御プログラム検査方法  

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