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審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1213983
審判番号 不服2008-29700  
総通号数 125 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-05-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-11-20 
確定日 2010-03-25 
事件の表示 特願2007-311146「表示制御装置及び表示制御方法」拒絶査定不服審判事件〔平成20年 4月24日出願公開、特開2008- 97638〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
第1 手続の経緯

本願は、平成8年5月21日に出願した特願平8-149933号の一部を平成19年11月30日に新たな特許出願としたものであって、平成20年10月14日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成20年11月20日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、平成20年12月22日付けで手続補正がなされたものである。




第2 平成20年12月22日付けの手続補正についての補正却下の決定

〔結論〕

平成20年12月22日付けの手続補正を却下する。

〔理由〕

1.補正内容

平成20年12月22日付けの手続補正(以下、「本件補正」という)は、特許請求の範囲の補正を含むものであって、
本件補正前の特許請求の範囲の請求項1、すなわち、

「 【請求項1】
音楽データと前記音楽データに関連する画像データとを対応付けて記憶媒体に記録する記録手段と、
前記音楽データ毎に対応するイメージを表示手段に表示させ、複数の前記イメージうち一のイメージに対する選択操作に基づいて、前記一のイメージに対応する音楽データに対応付けられた画像データを露呈させ、所定の操作入力に基づいて、前記一のイメージに対応する音楽データに対応付けられた画像データから、他のイメージに対応する音楽データに対応付けられた画像データへと、露呈される画像データを順次連続的に切り替えて前記表示手段に表示させ、前記露呈された画像データに対する決定操作が入力されたときに、前記露呈された画像データに対応する音楽データを再生手段に再生させる制御手段と
を備える制御装置。」

を、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1、すなわち、

「 【請求項1】
音楽データと前記音楽データのジャケットの画像データとを対応付けて記憶媒体に記録する記録手段と、
前記音楽データをそれぞれ薄板状のイメージに対応させ、表示手段に表示された複数の前記イメージのうち一の前記イメージに対する選択操作がなされるのに応答して、一の前記イメージに対応する音楽データの前記画像データをほぼ正面を向くように表示させ、
所定の操作入力に応答して、一の前記イメージに対応する音楽データの前記画像データから、他の前記イメージに対応する音楽データの前記画像データへと、前記ほぼ正面を向くように表示される画像データを順次連続的に切り替えて前記表示手段に表示させ、
前記ほぼ正面を向くように表示される画像データに対する決定操作が入力されたときに、前記ほぼ正面を向くように表示された画像データに対応する音楽データを再生手段に再生させる制御手段と
を備える制御装置。」

に変更する補正を含む。つまり、本件補正は、

(本件補正事項1)
本件補正前の「音楽データに関連する画像データ」を、本件補正後の「音楽データのジャケットの画像データ」に限縮する補正、

(本件補正事項2)
本件補正前の「イメージ」を、本件補正後の「薄板状のイメージ」に限縮する補正、

(本件補正事項3)
本件補正前の「前記音楽データ毎に対応するイメージを表示手段に表示させ、複数の前記イメージうち・・・」という記載を、本件補正後の「前記音楽データをそれぞれ・・・イメージに対応させ、表示手段に表示された複数の前記イメージのうち・・・」と変更することによって、イメージを「表示させ」るという処理を行う限定を解除して、イメージが既に表示されていることを前提としたものに変更する補正、

(本件補正事項4)
本件補正前の「露呈」されることが前提とされる「画像データ」を、「ほぼ正面を向くように表示される」ことが前提とされる「画像データ」に限縮する補正、

を含むものである。



2.本件補正の検討

本件補正が、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項(以下、単に「特許法第17条の2第4項」という。)各号に規定された要件を満たしているのか否かについて検討する。


(1)本件補正事項1、本件補正事項2、本件補正事項4について

本件補正事項1、本件補正事項2、本件補正事項4が、
特許法第17条の2第4項第2号に規定された「特許請求の範囲の減縮(第三十6条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであつて、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)」に該当することは明らかである。


(2)本件補正事項3について

本件補正事項3は、請求項を削除するものではないので、特許法第17条の2第4項第1号に規定された「請求項の削除」に該当しない。

また、本件補正事項3は、
本件補正前の「前記音楽データ毎に対応するイメージを表示手段に表示させ、複数の前記イメージうち・・・」という記載を、本件補正後の「前記音楽データをそれぞれ・・・イメージに対応させ、表示手段に表示された複数の前記イメージのうち・・・」という記載に変更することによって、イメージを「表示させ」るという処理を行う限定を解除して、イメージが既に表示されていることを前提としたものに変更する補正なのであるから、
特許法第17条の2第4項第2号に規定された「特許請求の範囲の減縮(第三十6条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであつて、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)」に該当しない。

更に、本件補正前の「前記音楽データ毎に対応するイメージを表示手段に表示させ、複数の前記イメージうち・・・」という記載中の「表示させ」ることに誤記はないのであるから、
本件補正事項3は、特許法第17条の2第4項第3号に規定された「誤記の訂正」に該当しない。

しかも、本件補正前の「前記音楽データ毎に対応するイメージを表示手段に表示させ、複数の前記イメージうち・・・」という記載中の「表示させ」ることに不明りょうな記載はなく、
当該「表示させ」るという記載に対して、明りようでない記載に関する拒絶理由通知は通知されていないのであるから、
本件補正事項3は、特許法第17条の2第4項第4号に規定された「明りようでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)」に該当しない。

〔参考〕平成19年(行ケ)第10159号(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080326111316.pdf)
「(3)さらに,原告は,新規事項の追加状態を解消する補正は,記載不備状態を解消するためのものであり,第三者に不測の不利益を与えることもないから,特許請求の範囲の不明りょうな記載を明りょうな記載に補正するものとして取り扱うべきであると主張する。
しかし,特許法17条の2第4項4号は,「明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)」と規定しているから,「明りょうでない記載の釈明」を目的とする補正は,法律上,審査官が拒絶理由中で特許請求の範囲が明りょうでない旨を指摘した事項について,その記載を明りょうにする補正を行う場合に限られており,原告の主張する「新規事項の追加状態を解消する」目的の補正が特許法17条の2第4項4号に該当する余地はない。」(第13頁第6乃至16行)


3.まとめ

したがって、本件補正事項3を含む本件補正は、特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。



4.予備的判断

仮に、本件補正事項3について、本件補正後の「前記音楽データをそれぞれ・・・イメージに対応させ、表示手段に表示された複数の前記イメージのうち・・・」という記載には、イメージを「表示させ」るという処理が当然に含まれるものであって、
本件補正前に「前記音楽データ毎に対応するイメージを表示手段に表示させ、複数の前記イメージうち・・・」と記載された発明特定事項を実質的に変更するものではないから、
(なお、発明特定事項を実質的に変更しない補正が、特許法第17条の2第4項の規定に基づく補正といえるのかは、甚だ疑問ではあるが、それはさておくとして、)
請求項1に対する本件補正(すなわち、本件補正事項1、本件補正事項2、本件補正事項4)が特許法第17条の2第4項第2号に該当する補正であるとしても、
本件補正後の請求項1に係る発明は、請求項1に対する本件補正を考慮して対比判断がなされた後述する下記「第3 本願発明について」で検討した同様の理由により(検討した箇所については下記〔参考〕を参照。)、引用例1発明、引用例2発明、及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

したがって、請求項1に対する本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


〔参考〕
(1)本件補正事項1によって減縮した事項について
「第3 5.(1)相違点1について」の(1-a-1)において、引用例1発明の「画像データ」を、CDに収納されている「音楽データ」のためのもの、例えば、CDの「ジャケットの画像データ」とすることの示唆について指摘し、
「第3 5.(1)相違点1について」の(1-b)において、当該示唆に基づき、引用例1発明の「画像データ」を、CDの「ジャケットの画像データ」とすることは、当業者が容易に想到し得ることである旨、判断している。

(2)本件補正事項2によって減縮した事項について
「第3 5.(1)相違点1について」の(1-a-1)において、引用例1発明の「イメージ」を、CDに収納されている「音楽データ」のためのもの、例えば、CDを収納するための薄板状のケース又はトレイ盤を模した「薄板状のイメージ」とすることの示唆について指摘し、
「第3 5.(1)相違点1について」の(1-b)において、当該示唆に基づき、引用例1発明の「イメージ」を、CDを収納するための薄板状のケース又はトレイ盤を模した「薄板状のイメージ」とすることは、当業者が容易に想到し得ることである旨、判断している。

(3)本件補正事項4によって減縮した事項について
「第3 2.引用例1の認定」において、引用例1発明を、「・・・、前記ほぼ正面を向くように表示される頁のイメージデータ・・・」というように「イメージデータ」が「ほぼ正面を向くように表示される」ことを認定し、
「第3 5.(1)相違点1について」の(1-b)において、「(なお、「2.引用例1の認定」で検討したように、引用例1発明の「画像データ」は「ほぼ正面を向くように表示させ」ることを前提としているのであるから、当該再生を行う際に露呈される「画像データ」も「ほぼ正面を向くように表示させ」ることになることは明らかである。)」と判断している。
なお、「露呈」という表現には、「表示」という意味が含まれることは明らかである。




第3 本願発明について

1.本願発明の認定

平成20年12月22日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成19年8月20日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載されている、次のとおりのものである。

「 【請求項1】
音楽データと前記音楽データに関連する画像データとを対応付けて記憶媒体に記録する記録手段と、
前記音楽データ毎に対応するイメージを表示手段に表示させ、複数の前記イメージうち一のイメージに対する選択操作に基づいて、前記一のイメージに対応する音楽データに対応付けられた画像データを露呈させ、所定の操作入力に基づいて、前記一のイメージに対応する音楽データに対応付けられた画像データから、他のイメージに対応する音楽データに対応付けられた画像データへと、露呈される画像データを順次連続的に切り替えて前記表示手段に表示させ、前記露呈された画像データに対する決定操作が入力されたときに、前記露呈された画像データに対応する音楽データを再生手段に再生させる制御手段と
を備える制御装置。」



2.引用例1の認定

原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用された、発明協会公開技報公技番号92-10300号(以下、「引用例1」という)には、図面と共に以下の技術事項が記載されている。

(ア)
「〔目的〕
本技術は、一般のワークステーション等における文書ファイルの文書検索方式に関する。
従来の文書検索方式は、キーボードによるファンクションキー等のダイレクト操作か、プログラムによる頁指定の操作等による。
従来の文書検索方式では、文献などの任意な頁からの頁検索が困難であり、又、任意な頁の連続検索はできない。」
(第1頁左欄第1乃至9行)

(イ)
「〔構成〕
本技術は、文書データの表示画面を、見開いた頁の2頁分の見開き表示エリアと、見開いた頁の前後頁の残数がわかる左右のイメージ検索エリアとに分割し、イメージ検索エリアで、ライトペン,マウス,キーボードなどを使用して、頁を任意に指定して検索するダイナミック検索と、イメージ検索エリアから連続検索して、見開き表示エリアにイメージを連続描写する分書スキャナー・イメージ検索を備えている。」
(第1頁左欄第10乃至20行)
(なお、「分書スキャナー・イメージ検索」は「文書スキャナー・イメージ検索」の誤記であることは明らかである。)

(ウ)
「以下、本技術の実施例につき図面を参照して説明する。図1は本技術の文書ファイルのイメージ処理・検索方式の一実施例を示す構成図である。」
(第1頁左欄第21乃至24行)

(エ)
「図1において、分書データの表示画面の表示エリア30を、見開いた頁の2頁分の見開き表示エリア31と見開いた頁の前後頁の残数がわかる左右のイメージ検索エリア32とに分割し、左右のイメージ検索エリア32の検索指定ポイント10をライトペン,マウス,キーボード11などを使用して、検索したい頁に任意に動かす。そして、検索指定ポイント10で指定されたポイントを、イメージ検索表示部13で読み取り検索操作処理部12で残数を考慮した読み取りを、ファジイ的に処理し、その該当頁を、文書データ・ファイル16から、高速メモリ処理部15を経て、見開き表示エリア31に表示するために、イメージ検索処理部14で、該当頁-1の頁と同時に高速処理し、見開き表示部22において表示する。」
(第1頁左欄第25行から同頁右欄第6行)
(なお、「分書データ」は「文書データ」の誤記であることは明らかである。)

(オ)
「又、イメージ検索エリア32の検索指定ポイント10を、ライトペン,マウス,キーボード11などを使用して連続的に動かし、その移動ポイントを、イメージ検索表示部13で読み取り、検索操作処理部12でファジイ的に処理し、文書データ・ファイル16から、高速メモリ処理部15を経て、イメージ検索処理部14で、高速に連続検索の頁を読み取り、その連続の頁検索のイメージを見開き表示部22に表示するために、スキャナー表示処理部21で、イメージ検索処理部14の連続の頁検索のメモリ領域を、高速スキャンでイメージ処理して、見開き表示部22に表示する。」
(第1頁右欄第7乃至20行)


以上の引用例1の記載によれば、引用例1には以下の事項が開示されていると認められる。

(a)
引用例1の上記(エ)の
「・・・、その該当頁を、文書データ・ファイル16から、高速メモリ処理部15を経て、見開き表示エリア31に表示するために、イメージ検索処理部14で、該当頁-1の頁と同時に高速処理し、見開き表示部22において表示する。」という記載から、
(イメージ検索を行っているのであるから、「文書データ・ファイル」に格納されている文書データは「頁のイメージデータ」として格納されていることは明らかである。)

引用例1には、
「頁のイメージデータが記録された文書データ・ファイル」
が開示されていると認められる。


(b-1)
上記(a)の
「頁のイメージデータが記録された文書データ・ファイル」
という開示、

引用例1の上記(エ)の
「図1において、分書データの表示画面の表示エリア30を、見開いた頁の2頁分の見開き表示エリア31と見開いた頁の前後頁の残数がわかる左右のイメージ検索エリア32とに分割し、左右のイメージ検索エリア32の検索指定ポイント10をライトペン,マウス,キーボード11などを使用して、検索したい頁に任意に動かす。そして、検索指定ポイント10で指定されたポイントを、イメージ検索表示部13で読み取り検索操作処理部12で残数を考慮した読み取りを、ファジイ的に処理し、その該当頁を、文書データ・ファイル16から、高速メモリ処理部15を経て、見開き表示エリア31に表示するために、イメージ検索処理部14で、該当頁-1の頁と同時に高速処理し、見開き表示部22において表示する。」
という記載、
(なお、「表示画面」に各種情報が表示されるのであるから、「表示画面」を表示するための手段(例:表示手段)があることは自明である。)

図1には、「見開き表示エリア31」の左にある「イメージ検索エリア32」には頁の左端を示す長方形イメージが複数、「見開き表示エリア31」の右にある「イメージ検索エリア32」には頁の右端を示す長方形イメージが複数、図示されていること、

図1には、「見開き表示エリア31」及び「イメージ検索エリア32」によって、見開かれた頁がほぼ正面を向いている状態を模していることが図示されていること

図1に図示された、「検索操作処理部12」、「イメージ検索表示部13」、「イメージ検索処理部14」、「高速メモリ処理部15」、「スキャナー表示処理部21」、「見開き表示部22」が、「制御手段」の一種であることは明らかであることから、

引用例1には、
「頁端を示す長方形イメージを表示手段に表示させ、複数の前記長方形イメージのうち一の長方形イメージに対する選択操作に基づいて、前記一の長方形イメージに対応する頁のイメージデータをほぼ正面を向くように表示させ」る「制御手段」
が開示されていると認められる。


(b-2)
上記(a)の
「頁のイメージデータが記録された文書データ・ファイル」
という開示、

上記(b-1)の
「頁端を示す長方形イメージを表示手段に表示させ、複数の前記長方形イメージのうち一の長方形イメージに対する選択操作に基づいて、前記一の長方形イメージに対応する頁のイメージデータをほぼ正面を向くように表示させ」る「制御手段」
という開示、

引用例1の上記(イ)の
「〔構成〕
本技術は、文書データの表示画面を、見開いた頁の2頁分の見開き表示エリアと、見開いた頁の前後頁の残数がわかる左右のイメージ検索エリアとに分割し、・・・(中略)・・・、イメージ検索エリアから連続検索して、見開き表示エリアにイメージを連続描写する分書スキャナー・イメージ検索を備えている。」
という記載、

引用例1の上記(オ)の
「又、イメージ検索エリア32の検索指定ポイント10を、ライトペン,マウス,キーボード11などを使用して連続的に動かし、その移動ポイントを、イメージ検索表示部13で読み取り、検索操作処理部12でファジイ的に処理し、文書データ・ファイル16から、高速メモリ処理部15を経て、イメージ検索処理部14で、高速に連続検索の頁を読み取り、その連続の頁検索のイメージを見開き表示部22に表示するために、スキャナー表示処理部21で、イメージ検索処理部14の連続の頁検索のメモリ領域を、高速スキャンでイメージ処理して、見開き表示部22に表示する。」
という記載から、

引用例1には、
「所定の操作入力に基づいて、前記一の長方形イメージに対応する頁のイメージデータから、他の長方形イメージに対応する頁のイメージデータへと、前記ほぼ正面を向くように表示される頁のイメージデータを連続描写して前記表示手段に表示させ」る「制御手段」
が開示されていると認められる。


(b-3)
上記(b-1)の
「頁端を示す長方形イメージを表示手段に表示させ、複数の前記長方形イメージのうち一の長方形イメージに対する選択操作に基づいて、前記一の長方形イメージに対応する頁のイメージデータをほぼ正面を向くように表示させ」る「制御手段」
という開示、

上記(b-2)の
「所定の操作入力に基づいて、前記一の長方形イメージに対応する頁のイメージデータから、他の長方形イメージに対応する頁のイメージデータへと、前記ほぼ正面を向くように表示される頁のイメージデータを連続描写して前記表示手段に表示させ」る「制御手段」
という開示から、

引用例1には、
「頁端を示す長方形イメージを表示手段に表示させ、複数の前記長方形イメージのうち一の長方形イメージに対する選択操作に基づいて、前記一の長方形イメージに対応する頁のイメージデータをほぼ正面を向くように表示させ、所定の操作入力に基づいて、前記一の長方形イメージに対応する頁のイメージデータから、他の長方形イメージに対応する頁のイメージデータへと、前記ほぼ正面を向くように表示される頁のイメージデータを連続描写して前記表示手段に表示させる制御手段」を備える「制御装置」
が開示されていると認められる。


以上の引用例1の記載によれば、引用例1には下記の発明(以下、「引用例1発明」という。)が開示されていると認められる。

「頁のイメージデータが記録された文書データ・ファイルと、
頁端を示す長方形イメージを表示手段に表示させ、複数の前記長方形イメージのうち一の長方形イメージに対する選択操作に基づいて、前記一の長方形イメージに対応する頁のイメージデータをほぼ正面を向くように表示させ、所定の操作入力に基づいて、前記一の長方形イメージに対応する頁のイメージデータから、他の長方形イメージに対応する頁のイメージデータへと、前記ほぼ正面を向くように表示される頁のイメージデータを連続描写して前記表示手段に表示させる制御手段と
を備える制御装置。」



3.引用例2の認定

原査定の拒絶の理由に引用文献2として引用された、特開平3-134883号公報(以下、「引用例2」という)には、図面と共に以下の技術事項が記載されている。

(ア)
「A 産業上の利用分野
この発明は画像検索装置に関する。」
(第1頁右欄第14乃至15行)

(イ)
「B 発明の概要
この発明は、画像検索装置において、文字・記号などを静止画や動画のキーワードとすることにより、例えば音楽の曲名からその曲に関係する静止画や動画を表示できるようにしたものである。」
(第1頁右欄第16行から第2頁左上欄第3行)

(ウ)
「C 従来の技術
静止画や音声の場合には、その信号をデジタル化しても、データの量はそれほど多くないので、それらのデータをCD-ROMやハードディスクにストアしておき、必要なとき検索して取り出すことができる。」
(第2頁左上欄第4乃至9行)

(エ)
「D 発明が解決しようとする課題
ところが、動画の場合には、その情報量が非常に多いので、動画のデータをコンピュータの内部にストアして利用することは困難である。
このため、動画のデータは、レーザーディスクやビデオテープなど外部の記憶媒体に記憶して使用せざるをえない。
この発明は、そのような静止画や動画を自由に検索して取り出すことができるようにしようとするものである。」
(第2頁左上欄第10行から同頁右上欄第1行)

(オ)
「G 実施例
以下に述べる例においては、対象とするデータが、CDのアルバム名、その歌手名、及びそのCDに収録されている曲名であり、これらのデータがCD-ROMに書き込まれている場合である。また、動画を記憶しているメディア及びその再生装置が、レーザーディスク及びレーザーディスクプレーヤの場合である。」
(第2頁左下欄第4乃至11行)

(カ)
「第1図において、(10)はCPU、(11)は各種のプログラムが書き込まれているROM、(12)はワークエリア用のRAM、(13)はハードディスク装置、(14)はハードディスクコントローラを示し、ハードディスク装置(13)には、例えば第2図に示すフローチャートの画像検索ルーチン(40)がインストールされている。
また、(15)はCD-ROMプレーヤ、(16)は例えばSCSI規格のCD-ROM用インターフェイス、(17)はCD-ROM(またはCDI)、(18)はマウス、(19)はマウス用インターフェイスである。」
(第2頁左下欄第12行から同頁右下欄第3行)

(キ)
「この場合、CD-ROM(17)は、プレーヤ(18)及びインターフェイス(16)を通じて読み出し(再生)が行われるが、このCD-ROM(17)には、リスト情報として、例えば第3図に示すようなデータテーブルNART、ALBM、TITL、NAST、ALST(詳細は後述する)などが書き込まれているとともに、いくつかの曲のデジタルオーディオデータDaと、CDのジャケットを静止画として撮像したときのデジタル画像データDsとが記録されている。
ただし、このデータDa及びDsとして記録されている曲及びジャケットの数は、CD-ROM(17)の容量(最大で540Mバイト)で決まり、CD-ROM(17)が対象としている音楽データのすべてについて、対応するデータDa、DSが記録されているわけではない。」
(第2頁右下欄第4乃至18行)

(ク)
「さらに、(21)はフルキーボード、(22)はキーボード用インターフェイス、(24)はD/Aコンパー夕、(25)はステレオアンプ、(26)はスピーカであり、所定のモードのとき、CD-ROM(19)からのオーディオデータDaがスイッチ回路(23)を通じてコンバータ(24)に供給される。」
(第2頁右下欄第19行から第3頁左上欄第4行)

(ケ)
「また、テーブルNART?ALSTは、例えば、次のようなものである。すなわち、テーブルNARTは、歌手(演奏家)の名前Niと、その歌手ごとに割り当てられた固有の歌手コードniとの歌手名テーブルであり、例えば、歌手「渡辺満里奈」に歌手コードniとして「123」が割り当てられている。
さらに、テーブルALBMは、アルバムの名前(CDの名前)Ajと、そのアルバムのCD番号Cjと、そのアルバムの発売日Bjと、そのアルバムごとに割り当てられた固有のアルバムコードajとを有するテーブルであり、例えば、アルバム「MARINA」のCD番号及び発売日が「32・8H105」及び「1987年2月26日」であり、このアルバムにアルバムコードajとして「234」が割り当てられている。
さらに、テーブルTITLは、曲の名前Tkと、その曲ごとに割り当てられた固有の曲コードtkとの曲名テーブルであり、例えば、曲「ホリディ・ビジター」に曲コードtkとして「3456」が割り当てられている。
また、テーブルNASTは、歌手ごとに用意されている歌手別検索用テーブルであり、その歌手Niの出しているアルバムAjのアルバムコードajと、ジャケットアドレスJjとのテーブルである。図の例においては、n i=123である「渡辺満里奈」のテーブルNAST(ni=123)の場合である。
そして、このテーブルNASTにおいて、Jj≠0ときには、そのコードajの割り当てられているアルバムAjのジャケットの静止画のデジタル画像データDsが、CD-ROM(17)に記録されているとともに、そのアドレスがJjであることを示し、Jj=0のときには、そのような記録のないことを示す。
さらに、テーブルALSTは、アルバムごとに用意されているアルバム別検索用テーブルであり、そのアルバムAjに収録されている曲Tkの曲名コードtkと、デジタルオーディオデータDaのアドレスSkと、ビデオ信号SyのアドレスVkとを有するテーブルである。図の例においては、aj=234であるアルバム「MARINA」のテーブルALST(aj=234)の場合である。
そして、このテーブルALSTにおいて、Sk≠0のときには、そのコードtkの割り当てられている曲TkのデジタルオーディオデータDaが、CD-ROM(17)に記録されているとともに、そのアドレスがSkであることを示し、Sk=0のときには、そのような記録のないことを示す。また、アドレスVkも同様で、Vk≠0のときには、そのコードtkの割り当てられている曲Tkのビデオ信号Sy及びデジタルオーディオ信号Saがレーザーディスク(38)に記録されているとともに、そのアドレスがVkであることを示し、Vk=0のときには、そのような記録のないことを示す。
なお、以上のテーブルNART?ALST以外にも検索に必要な各種のテーブルがCD-ROM(17)に記録されているが、ここでは説明を省略する。また、これらテーブルNAST?ALSTのデータ量は、レコード会社の1社分を集めてもCD-ROM(17)の全容量の1%程度である。
したがって、CD-ROM(17)の容量のほぼ全部を、曲TkのデジタルオーディオデータDaあるいはCDのジャケットの静止画のデジタル画像データDsに割り当てることができる。そして、データDaと、データDsとに対してどのような比率で割り当てるかは、任意である。」
(第3頁右上欄第12行から第4頁左上欄第16行)

(コ)
「そして、データの検索は、CPU(10)がルーチン(40)を実行することにより、次のように行われる。なお、以下の説明においては、検索項目が「歌手名」であり、そのキーワードが「渡辺満里奈」の場合である。
・・・(中略)・・・
この初期画面には、「歌手名」、「アルバム名」など検索の対象となる項目名などが表示され、このステップ(43)において、どの項目で検索を行うかなどの指示待ちとなる。
そこで、マウス(18)により検索項目として「歌手名」のアイコンをクリックすると、処理はステップ(43)からステップ(44)に進み、このステップ(44〉においてキーワードの入力待ちとなり、ここで、キーボード(21)からキーワードとして「渡辺満里奈」を入力すると、処理はステップ(44)がらステップ(45)に進む。
そして、このステップ(45)においては、次のようなテーブル処理が行われる。
・・・(中略)・・・
以上の処理が行われると、処理はステップ(45)からステップ(46)に進み、このステップ(46)において、ステップ(45)で取り出されたデータにしたがった表示データが形成されてRAM(31)に供給される。」
(第4頁右上欄第5行から第5頁左上欄第4行)

(サ)
「したがって、表示装置(34)には、ステップ(45)において取り出されたデータにしたがって例えば第4図Aに示すように、「渡辺満里奈」のアルバム「MARINA」のCD番号及び発売日と、このアルバムに収録されている曲の曲名が、リスト形式で表示される。
また、このとき、ステップ(45)において取り出されたアドレスJj、Sk、VkにしたがってインデックスマークMiが、同時に表示される。すなわち、Jj≠0のときには、そのCDのジャケットの静止画の画像データDsが、CD-ROM(17)のアドレスJjに記録されているので、この記録があることを示すために、同図Aに示すように、表示画面の一部にインデックスマークMiとして「ジャケット」の文字が表示され、Jj=0のときには表示されない。
さらに、Sk≠0のときには、対応する曲のデジタルオーディオデータDaが、CD-ROM(17)のアドレスSkに記録されているので、この記録があることを示すために、同図Aに示すように、対応する曲の曲名の例えば前に、インデックスマークMiとして「音符」マークが表示され、Sk=0のときには表示されない。」
(第5頁左上欄第5行から同頁右上欄第7行)

(シ)
「なお、同図Aの場合には、このアルバム「MARINA」のジャケットの静止画の画像データDsがあり、第1番目の曲「ホリディ・ビジター」についてCD-ROM(17)にデジタルオーディオデータDaがあるとともに、第3番目の曲「裸のクレヨン」についてレーザーディスク(38)に動画及びその音声があることを示している。
さらに、表示画面の下には、「前」、「次」、「再度」、「終了」の文字Mcが表示される。
そして、以上のような表示が行われると、処理はステップ(46)からステップ(47)に進み、このステップ(47)において、マウス(18)による入力待ちとなる。」
(第5頁右上欄第15行から同頁左下欄第7行)

(ス)
「したがって、第4図Aに示す表示状態のとき、マークMiのうちの「音符」マークをマウス(18)で指定すると、その「音符」マークの付けられている曲名の曲がCD-ROM(17)から再生される。また、このとき、表示装置(34)には、同図への画像がそのまま表示されている。」
(第5頁右下欄第14乃至19行)

(セ)
「したがって、第4図Aに示す表示状態のとき、マークMiのうちの「ジャケット」のマークをマウス(18)で指定すると、同図Cに示すように、そのCDのジャケットの静止画が表示される。また、このとき、CD-ROM(17)あるいはレーザーディスク(38)の再生が行われていれば、その音声については再生が続行される。」
(第6頁右下欄第20行から第7頁左上欄第6行)

(ソ)
「さらに、ステップ(47)においてマウス(18)による入力待ちとなっているとき、マウス(18)によりマークMcのうちの「次」のマークをクリックすると、処理はステップ(47)からステップ(50)に進み、このステップ(50)においてクリックされた文字あるいは記号がどれであるかが判別され、今の場合は、「次」のマークなので、処理はステップ(50)からステップ(81)に進む。
そして、このステップ(81)において、今の場合、テーブルNASTのうちのテーブルNAST(Ni=123)が選択されているとともに、このテーブルのうちのaj=234のアルバムについて第4図Aに示すように、表示が行われていたので、アルバムコードajはaj=234から次のaj=423にインクリメントされ、続いて処理はステップ(81)からステップ(45)に戻る。
したがって、以後、aj=423のアルバムコードのアルバムについて、第4図Aと同様にその各データがリスト形式で表示され、その後、ステップ(47)においてマウス(18)による入力待ちとなる。
また、ステップ(47)において、マウス(18)による人力待ちとなっているとき、マウス(18)によりマークMcのうちの「前」のマークをクリックすると、ステップ(82)において、「次」のマークのときとは逆に、アルバムコードajは、現在のアルバムコードから前のアルバムコードにディクリメントされ、その後、処理はステップ(82)からステップ(45)に戻る。
したがって、以後、1つ前のアルバムコードajのアルバムについて、第4図へと同様にその各データがリスト形式で表示され、その後、ステップ(47)においてマウス(18)による人力待ちとなる。」
(第7頁左上欄第9行から同頁左下欄第1行)

(タ)
「さらに、ステップ(47)においてマウス(18)による入力待ちとなっているとき、マウス(18)によりマークMcのうちの「再度」のマークをクリックすると、処理はステップ(47)からステップ(50)に進み、このステップ(50)においてクリックされた文字あるいは記号がどれであるかが判別され、今の場合は、「再度」のマークなので、処理はステップ(50)からステップ(83)に進む。
そして、このステップ(83)において、RAM(31)の内容がクリアされて表示装置(34)の表示画面がクリアされ、次に処理はステップ(43)に戻る。
したがって、以後、例えば別の歌手について同様にリスト、動画あるいはジャケットの表示や曲の再生を行うことができる。」
(第7頁左下欄第2乃至15行)

(チ)
「こうして、この発明によれば、CD-ROM(17)に例えば歌手名、アルバム名、曲名などのリストを登録しておくとき、その登録した曲名の曲のデジタルオーディオデータDaを記録しておいたり、登録したCDのジャケットの静止画のデジタル画像データDsを記録しておいたり、あるいは登録した曲名と、レーザーディスクの対応する動画や音声とを関連させておいたりすることができ、リストを表示したとき、対応する曲をCD-ROM(17)から再生したり、CDのジャケットの静止画を表示したり、あるいは対応する曲の動画及び音声をレーザーディスクから再生できるので、CD-ROM(17)を単なるテキストのデータベースとしてだけではなく、CDやレーザーディスクを有機的に、かつ、効果的に結合してより高度なデータベースとして使用することができる。」
(第7頁右下欄第1乃至16行)

(ツ)
「また、デジタルオーディオデータDa、デジタル画像データDsや、ビデオ信号Sy及びデジタルオーディオ信号Saは、それぞれ複数のCDやレーザーディスクに分割されていてもよく、その場合には、アドレスSk、VkにCDやレーザーディスクを識別するコードを含ませればよい。あるいは、データDa、Dsは、ハードディスク(13)に例えばコピーしておき、これを使用することもできる。」
(第8頁左上欄第6乃至14行)


以上の引用例2の記載によれば、引用例2には以下の事項が開示されていると認められる。

(a)
引用例2の上記(キ)の
「この場合、CD-ROM(17)は、プレーヤ(18)及びインターフェイス(16)を通じて読み出し(再生)が行われるが、このCD-ROM(17)には、リスト情報として、例えば第3図に示すようなデータテーブルNART、ALBM、TITL、NAST、ALST(詳細は後述する)などが書き込まれているとともに、いくつかの曲のデジタルオーディオデータDaと、CDのジャケットを静止画として撮像したときのデジタル画像データDsとが記録されている。
ただし、このデータDa及びDsとして記録されている曲及びジャケットの数は、CD-ROM(17)の容量(最大で540Mバイト)で決まり、CD-ROM(17)が対象としている音楽データのすべてについて、対応するデータDa、DSが記録されているわけではない。」

引用例2の上記(ケ)の
「また、テーブルNART?ALSTは、例えば、次のようなものである。すなわち、テーブルNARTは、歌手(演奏家)の名前Niと、その歌手ごとに割り当てられた固有の歌手コードniとの歌手名テーブルであり、例えば、歌手「渡辺満里奈」に歌手コードniとして「123」が割り当てられている。
・・・(中略)・・・
また、テーブルNASTは、歌手ごとに用意されている歌手別検索用テーブルであり、その歌手Niの出しているアルバムAjのアルバムコードajと、ジャケットアドレスJjとのテーブルである。図の例においては、n i=123である「渡辺満里奈」のテーブルNAST(ni=123)の場合である。
・・・(中略)・・・
さらに、テーブルALSTは、アルバムごとに用意されているアルバム別検索用テーブルであり、そのアルバムAjに収録されている曲Tkの曲名コードtkと、デジタルオーディオデータDaのアドレスSkと、ビデオ信号SyのアドレスVkとを有するテーブルである。図の例においては、aj=234であるアルバム「MARINA」のテーブルALST(aj=234)の場合である。
・・・(後略)・・・ 」
という記載から、

引用例2には、
「CDアルバムに収録される曲目の一部の曲のデジタルオーディオデータと、前記デジタルオーディオデータに関連するCDアルバムのジャケットを静止画として撮像したときのデジタル画像データとを記憶する記憶手段」
が開示されていると認められる。


(b)
上記(a)の
「CDアルバムに収録される曲目の一部の曲のデジタルオーディオデータと、前記デジタルオーディオデータに関連するCDアルバムのジャケットを静止画として撮像したときのデジタル画像データとを記憶する記憶手段」
という開示、

引用例2の上記(ク)の
「さらに、(21)はフルキーボード、(22)はキーボード用インターフェイス、(24)はD/Aコンパー夕、(25)はステレオアンプ、(26)はスピーカであり、所定のモードのとき、CD-ROM(19)からのオーディオデータDaがスイッチ回路(23)を通じてコンバータ(24)に供給される。」
という記載、

引用例2の上記(サ)の
「したがって、表示装置(34)には、ステップ(45)において取り出されたデータにしたがって例えば第4図Aに示すように、「渡辺満里奈」のアルバム「MARINA」のCD番号及び発売日と、このアルバムに収録されている曲の曲名が、リスト形式で表示される。
また、このとき、ステップ(45)において取り出されたアドレスJj、Sk、VkにしたがってインデックスマークMiが、同時に表示される。すなわち、Jj≠0のときには、そのCDのジャケットの静止画の画像データDsが、CD-ROM(17)のアドレスJjに記録されているので、この記録があることを示すために、同図Aに示すように、表示画面の一部にインデックスマークMiとして「ジャケット」の文字が表示され、Jj=0のときには表示されない。
さらに、Sk≠0のときには、対応する曲のデジタルオーディオデータDaが、CD-ROM(17)のアドレスSkに記録されているので、この記録があることを示すために、同図Aに示すように、対応する曲の曲名の例えば前に、インデックスマークMiとして「音符」マークが表示され、Sk=0のときには表示されない。」
という記載、

引用例2の上記(ス)の
「したがって、第4図Aに示す表示状態のとき、マークMiのうちの「音符」マークをマウス(18)で指定すると、その「音符」マークの付けられている曲名の曲がCD-ROM(17)から再生される。また、このとき、表示装置(34)には、同図への画像がそのまま表示されている。」
という記載、
(なお、この処理がCPU等の制御手段によって行われることは、情報処理分野における技術常識である。)

引用例2の上記(セ)の
「したがって、第4図Aに示す表示状態のとき、マークMiのうちの「ジャケット」のマークをマウス(18)で指定すると、同図Cに示すように、そのCDのジャケットの静止画が表示される。また、このとき、CD-ROM(17)あるいはレーザーディスク(38)の再生が行われていれば、その音声については再生が続行される。」
という記載から、
(なお、この処理がCPU等の制御手段によって行われることは、情報処理分野における技術常識である。)


引用例2には、
「「ジャケット」のマークに対する操作入力に基づいて、デジタルオーディオデータの、CDアルバムのジャケットを静止画として撮像したときのデジタル画像データが表示された状態で表示装置に表示させ、「音符」マークに対する操作入力に基づいて、前記デジタルオーディオデータを再生手段に再生させる制御手段」
が開示されていると認められる。


(c)
上記(b)の
「「ジャケット」のマークに対する操作入力に基づいて、デジタルオーディオデータの、CDアルバムのジャケットを静止画として撮像したときのデジタル画像データが表示された状態で表示装置に表示させ、「音符」マークに対する操作入力に基づいて、前記デジタルオーディオデータを再生手段に再生させる制御手段」
という開示、

引用例2の上記(ア)の
「A 産業上の利用分野
この発明は画像検索装置に関する。」
という記載から、

引用例2には、「制御機能を有する画像検索装置」が開示されていると認められる。


以上の引用例2の記載によれば、引用例2には下記の発明(以下、「引用例2発明」という。)が開示されていると認められる。

「CDアルバムに収録される曲目の一部の曲のデジタルオーディオデータと、前記デジタルオーディオデータに関連するCDアルバムのジャケットを静止画として撮像したときのデジタル画像データとを記憶する記憶手段と、
「ジャケット」のマークに対する操作入力に基づいて、デジタルオーディオデータの、CDアルバムのジャケットを静止画として撮像したときのデジタル画像データが表示された状態で表示装置に表示させ、「音符」マークに対する操作入力に基づいて、前記デジタルオーディオデータを再生手段に再生させる制御手段と
を備える、制御機能を有する画像検索装置。」



4.対比

本願発明と引用例1発明とを対比する。

(1)
引用例1発明の「長方形イメージ」、「表示」、「制御機能を有する画像検索装置」は、それぞれ、

本願発明の「イメージ」、「露呈」、「制御装置」に相当する。


(2)
引用例1発明の「頁のイメージデータ」は、画像に関するデータという点で、

本願発明の「画像データ」に相当する。


(3)
引用例1発明の
「頁のイメージデータが記録された文書データ・ファイル」と、

本願発明の
「音楽データと前記音楽データに関連する画像データとを対応付けて記憶媒体に記録する記録手段」とは、

「記憶媒体」という点で一致し、

・本願発明の「記録媒体」は、「音楽データと前記音楽データに関連する画像データとを対応付け」たものを記録しているのに対し、
引用例1発明の「記録媒体」は、そのようなものではない点、

・本願発明は、「記録媒体」に記録するための「記録手段」を備えているのに対し、
引用例1発明では、そのような手段を備えていない点、

で相違する。


(4)
引用例1発明の
「頁端を示す長方形イメージを表示手段に表示させ、複数の前記長方形イメージのうち一の長方形イメージに対する選択操作に基づいて、前記一の長方形イメージに対応する頁のイメージデータをほぼ正面を向くように表示させ、所定の操作入力に基づいて、前記一の長方形イメージに対応する頁のイメージデータから、他の長方形イメージに対応する頁のイメージデータへと、前記ほぼ正面を向くように表示される頁のイメージデータを連続描写して前記表示手段に表示させる制御手段」と、

本願発明の
「前記音楽データ毎に対応するイメージを表示手段に表示させ、複数の前記イメージうち一のイメージに対する選択操作に基づいて、前記一のイメージに対応する音楽データに対応付けられた画像データを露呈させ、所定の操作入力に基づいて、前記一のイメージに対応する音楽データに対応付けられた画像データから、他のイメージに対応する音楽データに対応付けられた画像データへと、露呈される画像データを順次連続的に切り替えて前記表示手段に表示させ、前記露呈された画像データに対する決定操作が入力されたときに、前記露呈された画像データに対応する音楽データを再生手段に再生させる制御手段」とは、

「イメージを表示手段に表示させ、複数の前記イメージうち一のイメージに対する選択操作に基づいて、前記一のイメージに対応する画像データを露呈させ、所定の操作入力に基づいて、前記一のイメージに対応する画像データから、他のイメージに対応する画像データへと、露呈される画像データを順次連続的に切り替えて前記表示手段に表示させる制御手段」という点で一致し、

・本願発明の「イメージ」及び「画像データ」は、「音楽データ」に対応付けられているのに対し、
引用例1発明の「イメージ」及び「画像データ」は、そのようなものではない点、

・本願発明の「制御手段」は、「前記露呈された画像データに対する決定操作が入力されたときに、前記露呈された画像データに対応する音楽データを再生手段に再生させ」るのに対し、
引用例1発明の「制御手段」は、そのようなことを行わない点、

で相違する。


(5)
以上のことから、本願発明と引用例1発明とは、

「記憶媒体と、
イメージを表示手段に表示させ、複数の前記イメージうち一のイメージに対する選択操作に基づいて、前記一のイメージに対応する画像データを露呈させ、所定の操作入力に基づいて、前記一のイメージに対応する画像データから、他のイメージに対応する画像データへと、露呈される画像データを順次連続的に切り替えて前記表示手段に表示させる制御手段と
を備える制御装置。」

という点で一致し、

(相違点1)
・本願発明の「イメージ」及び「画像データ」は、「音楽データ」に対応付けられているのに対し、
引用例1発明の「イメージ」及び「画像データ」は、そのようなものではない点、

そのため、

本願発明の「記録媒体」は、「音楽データと前記音楽データに関連する画像データとを対応付け」たものを記録しているのに対し、
引用例1発明の「記録媒体」は、そのようなものではない点、

及び、

本願発明の「制御手段」は、「前記露呈された画像データに対する決定操作が入力されたときに、前記露呈された画像データに対応する音楽データを再生手段に再生させ」るのに対し、
引用例1発明の「制御手段」は、そのようなことを行わない点、

(相違点2)
本願発明は、「記録媒体」に記録するための「記録手段」を備えているのに対し、
引用例1発明では、そのような手段を備えていない点、

で相違する。



5.相違点に対する判断

(1)相違点1について

(1-a)
(1-a-1)
引用例1の記載では、見開いた頁を模して検索する対象として、現実世界における書籍を示唆しているものの、
CD等に収録される「音楽データ」まで示唆しているのか、引用例1の記載のみでは不明である。

しかしながら、現実世界において、頁を見開いて検索するものとして書籍に類似したバインダーがあることや、当該バインダーにCDとCDのジャケットを対応させて収納させることは、

・実願平2-28090号(実開平3-120487)のマイクロフィルム
(第1頁第19行から第2頁第8行には、
「・・・、薄い袋状のケース(1)にCDレコードを入れ、人目で分かるようにタイトルジャケットを入れるポケット(2)を付け、又、市販のバインダーににも対応出来るようケース横にファイル用の穴(3)を空け、検索に便利、持ち運びにも手軽なようにした。
本案の何より便利な点はケースを薄い袋状にした点で、他の書類袋等で行われているファイル整理等がすべてのCDレコードにも活用出来る様にした点である。」と記載されている。)

・実願平4-25377号(実開平5-77078号)のCD-ROM
(段落【0014】には、
「図6は前記トレイ盤1の表面を覆うラベル表示用のジャケット11を示す斜視図であり、このジャケット11は、例えば透明ビニールシートによって、前記トレイ盤1のディスク収納部2の個数に対応した二連の袋状に形成されているもので、その開口部11a側には綴じ孔11bが設けられている。
そして、前記ジャケット11内には、前記トレイ盤1のディスク収納部2に収納すべきCD(図示せず)のラベル内容を表示したラベル12が挿脱可能に収納されるようになっている。
なお、前記ジャケット11は、透明ビニールシート製のものに限らず、その他の例えば薄形ケース状のものや、前記ラベル12を簡単に保持できるホルダー構成のものなど、その材質および形状構成は問われるものでない。」と記載されている。)

に記載されているような周知技術である。

そして、原査定の拒絶の理由に引用文献3として引用された、
神谷 他,3次元ウォークスルーとCG司書を用いた電子図書館インタフェースの開発,情報処理学会研究報告,日本,社団法人情報処理学会,1995年1月13日,第95巻,第1号,p.27-24(95-IM-19-5)には、
(なお、審判請求人(出願人)が、平成20年8月4日付けの意見書の「7.理由3(3)」及び審判請求書の「(3)拒絶査定の理由3(特許法第29条第2項)に対して」において、引用文献2について「p.27-34」と正しく認識しているように、「p.27-24」は「p.27-34」の誤記であることは明らかである。)
「また、電子図書館が持つ機能としては従来の図書館と同様に情報の検索、閲覧、参照といった機能が必要になる。
情報検索については従来の図書館では以下のような2種類の検索機能を提供してきた。
1.図書カードによる検索 著者名、本のタイトル、分類番号などによる検索。OPAC端末などによる検索を含む。
2.開架書架による検索 図書館内を実際に歩きまわることによる検索。
「Virtual Library」システムでは、図書カードによる目的を持った検索ではなく、従来の開架書架による検索による、「情報空間の散策」による「発見的検索」を目的とした仮想的な開架書架を提供する。」
(第28頁右欄第24乃至38行)
「仮想書架の表示では書架にある本のデータについて背表紙、表紙などの画像データを用意し、テクスチャマッピング表示を行うことでリアルな本、本棚の3次元イメージを生成している。仮想書架表示における書架の例を図7に示す。
書架表示モードでは仮想空間内で滑らかに移動しているように表示できることを重視し表示の際のテクスチャ画像として比較的小さい(粗い)画像を用いて部屋全体の表示を行っている。
仮想書架表示を行っている画面で表示されている書架をマウスで選択するとクリックした書架の前まで自動的に移動を行う。また書架の選択はCG司書に対して音声で行うことも可能となっている。
特定の書架を選択すると詳細な表示を行う詳細書架表示モードに移行する。詳細書架表示モードでは本の表紙などが十分認識できる程度の詳細さで表示することを重視しテクスチャ画像として比較的大きい(詳細な)画像を用いて単一の書架のみを表示し、高解像度での表示と単一の書架の範囲での移動を行う。詳細表示を行っている書架の例を図8(書架の一部拡大)に示す。
この詳細表示モードで特定の本をマウスで選択することにより、選択された本のIDが制御部に通知される。この通知により制御部は仮想書架部から書誌表示部に表示を切替える。また、書架の本以外の部分を選択することにより、書架表示モードに戻り、再び書架の間を自由に動き回ることが可能である。
5.2 書誌情報表示部
書誌情報表示部は仮想書架部によって選択された本の内容、書誌情報を表示するプログラムである。」
(第30頁右欄第14行から第31頁左欄第14行)
と記載されているように、
あたかも画面に現実世界の物があるかのように表示してマウス操作により所望の電子データを探し出す技術(所謂「バーチャルリアリティ」又はそれに類する技術)は周知技術である。

したがって、引用例1の記載及び当該周知技術を鑑みれば、
引用例1発明を「音楽データ」が収録されているCDの検索に適用したり、
引用例1発明の「イメージ」及び「画像データ」を、CDに収納されている「音楽データ」のためのもの(例えば、それぞれを、CDを収納するための薄板状のケース又はトレイ盤を模した「薄板状のイメージ」、及び、CDの「ジャケットの画像データ」)としたりすること、
が示唆されているといえる。

(1-a-2)
なお、上記周知技術として提示した文献の事例では、バインダーを見開いて用いると、ジャケットを一度の複数閲覧することになるものの、

・実願平1-145630号(実開平3-84792号)のマイクロフィルム
(第9頁第11乃至15行には、「なお、前記実施例においては、台板12の両面にCDを収納できる構造のものについて説明したが、片面だけに収納できるようにしてもよい。また、片面に形成する収納凹部の数は、1つでも3つ以上でもよく、・・・」と記載されている。)

に記載されているように、CDを収納するケース(又はトレイ盤)は、片面に1枚のみ収納可能なものとするか否かは、当業者が適宜成し得る設計的事項に過ぎない。

つまり、CDを収納するケース(又はトレイ盤)として、片面に1枚のみ収納可能なものを採用することによって、当該ケースを用いたバインダーを見開いた状態で用いることができるようにすること、
言い換えると、バインダーを見開いた状態で用いるときには、常に、1枚のCDに対応するひとつのジャケットを閲覧できるように構成することは、
当業者が適宜成し得る設計的事項に過ぎない。


(1-b)
画像に関するオブジェクトに、音に関するオブジェクトを関連づけておき、当該画像に関するオブジェクトに対する操作入力(例:マウスによって当該オブジェクトがダブルクリックがされる操作入力)に基づいて、当該音に関するオブジェクトを再生させることによって、関連する情報を容易に取得することも、情報処理分野における周知技術である。

しかも、引用例2発明は、
「CDアルバムに収録される曲目の一部の曲のデジタルオーディオデータと、前記デジタルオーディオデータに関連するCDアルバムのジャケットを静止画として撮像したときのデジタル画像データとを記憶する記憶手段と、
「ジャケット」のマークに対する操作入力に基づいて、デジタルオーディオデータの、CDアルバムのジャケットを静止画として撮像したときのデジタル画像データが表示された状態で表示装置に表示させ、「音符」マークに対する操作入力に基づいて、前記デジタルオーディオデータを再生手段に再生させる制御手段と
を備える、制御機能を有する画像検索装置。」
というように、CDアルバムのジャケットを表示したり、当該CDアルバムに収録されているデジタルオーディオデータを再生するために、
「CDアルバムに収録される曲目の一部の曲のデジタルオーディオデータと、前記デジタルオーディオデータに関連するCDアルバムのジャケットを静止画として撮像したときのデジタル画像データとを記憶する記憶手段」
を備えること、
すなわち、「音楽データと前記音楽データに関連する画像データとを対応付け」たものを記録することが開示されている。


したがって、引用例1発明に対して、上記(1-a)の示唆に基づき、引用例2発明及び上記周知技術を適用し、
・引用例1発明の「イメージ」及び「画像データ」を、(例えば、それぞれを、CDを収納するための薄板状のケース又はトレイ盤を模した「薄板状のイメージ」、及び、CDの「ジャケットの画像データ」と関連付けた上で)「音楽データ」に対応付けたり、
引用例1発明の「記録媒体」に、「音楽データと前記音楽データに関連する画像データとを対応付け」たものを記録しておいたり、
引用例1発明の「制御手段」を、「前記露呈された画像データに対する決定操作が入力されたときに、前記露呈された画像データに対応する音楽データを再生手段に再生させ」るようにしたり(なお、「2.引用例1の認定」で検討したように、引用例1発明の「画像データ」は「ほぼ正面を向くように表示させ」ることを前提としているのであるから、当該再生を行う際に露呈される「画像データ」も「ほぼ正面を向くように表示させ」ることになることは明らかである。)、
することは、当業者が容易に想到し得ることである。


(2)相違点2について

記録媒体に情報を格納せしめるためには、情報を「記録媒体」に記録するための「記録手段」を必要とすることは、情報処理分野における周知技術である。

したがって、引用例1発明に対して、当該周知技術を適用することによって、「記録媒体」に記録するための「記録手段」を備えるように構成することは、当業者が容易に想到し得ることである。



6.むすび

したがって、本願発明は、引用例1発明、引用例2発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。


よって結論の通り審決する。
 
審理終結日 2010-01-21 
結審通知日 2010-01-26 
審決日 2010-02-08 
出願番号 特願2007-311146(P2007-311146)
審決分類 P 1 8・ 572- Z (G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 高瀬 勤  
特許庁審判長 田口 英雄
特許庁審判官 小曳 満昭
和田 財太
発明の名称 表示制御装置及び表示制御方法  
代理人 杉浦 正知  

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