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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G11B
管理番号 1216061
審判番号 不服2007-11441  
総通号数 126 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-06-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-04-19 
確定日 2010-05-06 
事件の表示 特願2006-175814「記録装置及び記録方法」拒絶査定不服審判事件〔平成18年11月24日出願公開、特開2006-318637〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1. 手続の経緯

本願は、1996年5月31日(パリ条約による優先権主張1995年5月31日、日本)を国際出願日とする特願平8-536381号の一部を平成18年6月26日に新たな特許出願としたものであって、平成18年12月19日付けで拒絶理由が通知され、平成19年2月26日付けで手続補正されたが、同年3月15日付けで拒絶査定され、これに対し、同年4月19日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同年5月21日付けで手続補正されたものである。

2. 本願発明
平成19年5月21日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであると認める。

そして、本件補正の特許請求の範囲についての補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項4号に掲げられた明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当し、適法になされたものである。

したがって、本願の請求項1乃至4に係る発明は、平成19年5月21日付けで手続補正された特許請求の範囲の請求項1乃至4に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。

「 【請求項1】
複数の記録領域を有する記録媒体に情報を記録する記録装置であって、
第1の音源からのオーディオ信号を所定の標本化周波数で標本化すると共に、得られるデジタルオーディオ情報を所定のビット数で線形量子化する第1の音声処理部と、
上記第1の音源と同一の収録用音源から収録された第2の音源からのオーディオ信号を上記所定の標本化周波数と同一の標本化周波数で標本化すると共に、得られるデジタルオーディオ情報を圧縮する第2の音声処理部と、
上記第1の音声処理部からのデジタルオーディオ情報を上記記録媒体の第1の記録領域にCD-DAフォーマットで記録し、上記第2の音声処理部からのデジタルオーディオ情報を該記録媒体の上記第1の記録領域よりも外周側の第2の記録領域に記録する記録部と
を有することを特徴とする記録装置。」

3. 引用例
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先権主張日前に頒布された刊行物である特開平5-250811号公報(以下、「引用例1」という)には、図面とともに以下の技術事項が記載されている。(なお、下線は当審により付加したものである。)

(a)
「【請求項2】 記録媒体にディジタルオ-ディオ信号を記録するディジタルオ-ディオ信号の記録装置であって、入力ディジタルオ-ディオ信号を周波数毎の帯域ディジタルデ-タ群に変換する変換手段と、前記帯域ディジタルデ-タ群の各々を時間軸上において区分して帯域サブブロックを得るサブブロック生成手段と、前記帯域サブブロックの内同一時間帯にあるもの同士を組合せて情報デ-タ部を得る情報デ-タ部生成手段と、前記情報デ-タ部に含まれるサブブロック毎の周波数帯域を示す識別デ-タブロックを含むヘッダ部を生成するヘッダ部生成手段と、前記情報デ-タ部と前記ヘッダ部とを組合せてブロックを生成するブロック生成手段と、前記ブロックを前記記録媒体に記録する記録手段とを有することを特徴とするディジタルオ-ディオ信号の記録装置。」

(b)
「【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる問題を解決すべくなされたものであり、従来のCDに比べて広帯域、高音質、多チャネルを有するス-パ-CDの記録再生装置において、従来規格の性能を満たして低価格にした再生装置と、ス-パ-CDの規格を満たした高音質で高価格な再生装置の各々に対応可能な記録方式を採用したディジタルオ-ディオ信号の記録再生装置を提供することを目的とする。」

(c)
「【0014】チャネル1ないし4からなる記録オ-ディオ信号は、各々帯域分割・デ-タ生成手段1aないし1dに供給される。帯域分割・デ-タ生成手段1aないし1dは各々同じ内部構成でありこれを第3図に示す。第3図中、帯域分割手段11は、アナログ信号である記録オ-ディオ信号を0?20KHz のオ-ディオ信号成分と20KHz?40KHz のオ-ディオ信号成分とに帯域分割して、これらを各々20ビットA/Dコンバ-タ12及び13に供給する。20ビットA/Dコンバ-タ12は、0?20KHz のオ-ディオ信号成分を20ビット量子化して、その内、上位16ビットをロ-バンド上位信号として出力し、下位4ビットをロ-バンド下位信号として出力する。20ビットA/Dコンバ-タ13は、20KHz?40KHz の記録オ-ディオ信号成分を20ビット量子化して、その20ビット量子化信号を20-16ビット圧縮手段14に供給する。20-16ビット圧縮手段14は、例えば差分PCM法などの方式により上記20ビット量子化信号を16ビットに圧縮して、ハイバンド信号として出力する。
(中略)
【0015】かかる構成により帯域分割・デ-タ生成手段1aないし1dは、記録オ-ディオ信号の各チャネル毎に量子化されたロ-バンド上位信号、ロ-バンド下位信号及びハイバンド信号を生成しブロック形成手段2に供給する。以下、この帯域分割・デ-タ生成手段1aないし1dの出力信号の各々を、図4に示される名称にて呼ぶこととする。
(後略)」

(d)
「【0017】次に、ブロック形成手段2は、上記情報デ-タ部とヘッダ部とを組合せて1つのブロックとし、さらにこのブロックの先頭にブロックの位置を示すアドレスを付加して図6に示す信号を形成して、これを符号化回路3に供給する。符号化回路3はブロック形成手段2の出力信号に誤り訂正符号を付加して変調回路4に供給する。変調回路4は例えばEFM(Eight to Fourteen Moduration) 変調であり、変調された信号は光ヘッド5に供給され、スピンドルモ-タ6によって回転駆動せしめられる光ディスク7に光電変換して記録される。」

ここで、「A/Dコンバ-タ」は、アナログデータを所定の標本化周波数で標本化し、所定のビット数で量子化することによりディジタルデータへ変換する物であり、また、単に「量子化」と言う場合は「直線量子化」を表しているか、少なくとも「直線量子化」を排除するものではないことは明らかであるから、これらの技術常識を考慮し、上記引用例記載事項及び図面を総合勘案して記載を整理すると、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認める。

「 記録媒体にディジタルオ-ディオ信号を記録する記録装置であって、
記録オ-ディオ信号を0?20KHz のオ-ディオ信号成分と20KHz?40KHz のオ-ディオ信号成分とに帯域分割し
0?20KHz のオ-ディオ信号成分を所定の標本化周波数で標本化すると共に、直線量子化する20ビットA/Dコンバ-タ12と、
20KHz?40KHz のオ-ディオ信号成分をある標本化周波数で標本化すると共に、直線量子化する20ビットA/Dコンバ-タ13と、その20ビット量子化信号を16ビットに圧縮する20-16ビット圧縮手段と、
20ビットA/Dコンバ-タ12からの信号と、20-16ビット圧縮手段からの信号よりブロックを形成し、ブロックを記録媒体に記録する記録手段と
を有する記録装置。」

同じく、原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先権主張日前に頒布された刊行物である特開平2-226976号公報(以下、「引用例2」という)には、図面とともに以下の技術事項が記載されている。(なお、下線は当審により付加したものである。)
(e)
「〔作用〕
本発明のビデオディスクによれば表示手段の表示画面のアスペクト比が19:6の横長画像及び表示画面のアスペクト比が4:3の標準画像のどちらでも再生することが出来るので、互換性のあるディスクが得られる。」
(第2頁右上欄第1?6行)

(f)
「第2図は1枚の光ディスクからなるものでディスクの一つの表面に表示画面のアスペクト比16:9用の映像信号(2)及び表示画面のアスペクト比4:3の上述映像信号(2)と同一ソフト内容の映像信号(3)をビットの形の記録したものである。」
(第2頁右上欄第16行?左下欄第1行)

(g)
第2図には、光ディスクを複数の領域に分け、内周側の領域に「アスペクト比4:3用信号」を、その外周側の領域に「アスペクト比16:9用信号」を記録したディスクが記載されている。

同じく、原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先権主張日前に頒布された刊行物である特開平6-44692号公報(以下、「引用例3」という)には、図面とともに以下の技術事項が記載されている。(なお、下線は当審により付加したものである。)

(h)
「【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、HD画像信号を記録再生するための装置は高解像度の画像信号を処理するため標準画像信号を記録再生する装置に比べて大規模となり高価格のものとなる。また、HD画像信号及び標準画像信号を記録再生するためには、それぞれの画像信号を記録再生する装置を用意する必要があるという課題を有していた。これは伝送再生装置及びディスク装置においても同様の課題を有していた。
【0007】本発明はかかる点に鑑み、解像度の異なる画像信号を記録及び再生あるいは伝送及び再生することができる装置及びディスク装置を提供することを目的とする。」

(i)
「【0039】次に、本発明の第四の実施例としてディスク装置の一例を図5(a)及び図6を用いて説明する。
【0040】まず、図5(a)はディスク51の記録再生部52を半径方向で内周部53と外周部54に分割したもので、画像信号の低周波数帯域成分を内周部53に記録し、高周波数帯域成分を外周部54に記録して再生するものである。このディスクを記録再生するディスク装置を図6に示している。図6はアナログ/ディジタル変換器63、周波数帯域分割器64、符号化器65、記録信号処理器66、第一の記録再生ヘッド67、第二の記録再生ヘッド68、再生信号処理器69、復号器70、周波数帯域合成器71、ディジタル/アナログ変換器72で構成されるものである。」

4. 対比
そこで、本願発明を、引用発明と比較する。

引用発明の「ディジタルオーディオ信号」「記録装置」は、本願発明の「情報」「記録装置」に相当する。
そして、引用発明の「記録媒体」が「記録領域」を有することは明らかである。すると、引用発明の「記録媒体」は、「記録装置」により「ディジタルオーディオ信号」が記録される「記録媒体」である点で、本願発明の「記録領域を有する記録媒体」と共通する。

引用発明の「0?20KHz のオ-ディオ信号成分」は、本願発明の「第1の音源からのオーディオ」に相当し、引用発明の「記録オーディオ信号」は、本願発明の「収録用音源」に相当する。
そして、引用発明の「20KHz?40KHz のオ-ディオ信号成分」は、 「0?20KHz のオ-ディオ信号成分」と同一の音源である「記録オーディオ信号」から収録されているので、本願発明の「第1の音源と同一の収録用音源から収録された第2の音源」に相当する。

引用発明の「20ビットA/Dコンバ-タ12」は、「0?20KHz のオ-ディオ信号成分」を「所定の標本化周波数で標本化」し「直線量子化」する点で、本願発明の「第1の音声処理部」に相当する。

引用発明の「20KHz?40KHz のオ-ディオ信号成分をある標本化周波数で標本化すると共に、直線量子化する20ビットA/Dコンバ-タ13と、その20ビット量子化信号を16ビットに圧縮する20-16ビット圧縮手段」は、「20KHz?40KHz のオ-ディオ信号成分」を「標本化」し「圧縮」する点で、本願発明の「第2の音声処理部」と共通する。

引用発明の「20ビットA/Dコンバ-タ12からの信号」「20-16ビット圧縮手段からの信号」は、それぞれ本願発明の「第1の音声処理部からのデジタルオーディオ情報」「第2の音声処理部からのデジタルオーディオ情報」に相当する。
そして、引用発明の「20ビットA/Dコンバ-タ12からの信号と、20-16ビット圧縮手段からの信号よりブロックを形成し、ブロックを記録媒体に記録する記録手段」は、「20ビットA/Dコンバ-タ12からの信号」と「20-16ビット圧縮手段からの信号」を「記録媒体」に記録する点で、本願発明の「記録部」に共通する。

すると、本願発明と、引用発明とは、次の点で一致する。
<一致点>
複数の記録領域を有する記録媒体に情報を記録する記録装置であって、
第1の音源からのオーディオ信号を所定の標本化周波数で標本化すると共に、得られるデジタルオーディオ情報を所定のビット数で線形量子化する第1の音声処理部と、
上記第1の音源と同一の収録用音源から収録された第2の音源からのオーディオ信号を標本化すると共に、得られるデジタルオーディオ情報を圧縮する第2の音声処理部と、
上記第1の音声処理部からのデジタルオーディオ情報と、上記第2の音声処理部からのデジタルオーディオ情報を該記録媒体の記録領域に記録する記録部と
を有する記録装置。

一方で、以下の点で相違する。
<相違点>
(相違点1)本願発明は「第2の音声処理部」が、「第2の音源からのオーディオ信号」を「所定の標本化周波数と同一の標本化周波数で標本化」するのに対し、引用発明では「20ビットA/Dコンバ-タ13」における「標本化周波数」について特定されていない点。

(相違点2)本願発明は「記録媒体」が、内周・外周に分割された「複数の記録領域」を有し、「記録部」において「第1の音声処理部からのデジタルオーディオ情報」が「記録媒体の第1の記録領域にCD-DAフォーマット」で記録され、「第2の音声処理部からのデジタルオーディオ情報」が「第1の記録領域よりも外周側の第2の記録領域」へ記録されるのに対し、引用発明では「記録媒体」が「複数の記録領域」を有しておらず、「記録手段」がどの「記録領域」へ記録するのか特定されていない点。

5. 判断
(相違点1)について
信号を標本化・量子化(いわゆるデジタル化)し記録する場合における「標本化周波数」や「量子化ビット数」の選択は、該記録される信号の性質や記録媒体を再生する再生装置の構成等に応じて、当業者が適宜選択し得る設計的事項である。
してみると、引用発明の「20ビットA/Dコンバ-タ13」における「標本化周波数」として、本願発明の様に「所定の標本化周波数と同一の標本化周波数」を採用する点に、特段の困難性は認められない。

(相違点2)について
様々な装置に互換性を有する記録媒体として、内周側・外周側に分割された「複数の記録領域を有する記録媒体」を用い、内周側の「第1の記録領域」、外周側の「第2の記録領域」それぞれに異なる処理を施した情報を記録することにより、互換性を有する媒体とする点は、例えば引用文献2及び3に記載されている。
してみると、引用発明の「記録媒体」として、引用文献2及び3に記載された「複数の記録領域を有する記録媒体」を採用し、「20ビットA/Dコンバ-タ12からの信号」「20-16ビット圧縮手段からの信号」を、それぞれ「第1の記録領域」「第1の記録領域よりも外周側の第2の記録領域」に記録するよう「記録手段」を構成することにより、本願発明とすることは、当業者が容易になし得たものである。
このとき、「従来のCDプレーヤ」との互換性も考慮すると、「第1の記録領域」のフォーマットとして「CD-DAフォーマット」を採用する点は周知技術(原査定の拒絶の理由に引用された、特開昭60-119670号公報の第6図の、「ステレオ音楽データ」が記録された「第1のプログラム領域4」や、同じく原査定の拒絶の理由に引用された、特開平2-193317号公報の第1図の、従来のCDと同様の音楽データが記録された「データ領域13」等を参照されたい)であって、ごく自然な特定にすぎないものである。
そして、上記各相違点を総合的に判断しても、本願発明が奏する効果は、引用例1乃至3に記載された発明から、当業者が十分に予測できたものであって、格別なものとはいえない。

したがって、本願発明は、引用例1乃至3に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

6. むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その余の請求項について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-03-08 
結審通知日 2010-03-09 
審決日 2010-03-25 
出願番号 特願2006-175814(P2006-175814)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G11B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 戸島 弘詩松尾 淳一  
特許庁審判長 山田 洋一
特許庁審判官 ▲吉▼澤 雅博
酒井 伸芳
発明の名称 記録装置及び記録方法  
代理人 伊賀 誠司  
代理人 小池 晃  

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