• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) F02D
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) F02D
管理番号 1216895
審判番号 不服2006-10993  
総通号数 127 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-07-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-05-29 
確定日 2010-05-21 
事件の表示 平成 7年特許願第132052号「電子的調整により燃料噴射器のような装置を制御する方法およびシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成 7年12月22日出願公開、特開平 7-332142〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成7年5月30日(パリ条約による優先権主張1994年5月31日、米国)の出願であって、平成16年12月21日付けで拒絶理由が通知され、平成17年7月4日付けで意見書及び手続補正書が提出されたが、平成18年2月23日付けで拒絶査定がなされ、それに対して、同年5月29日に拒絶査定不服審判が請求され、同年8月17日付けで審判請求書における請求の理由を補正する手続補正書が提出され、その後、当審において平成19年5月22日付けで拒絶理由が通知され、同年8月28日付けで期間延長請求書が提出され、同年11月28日付けで意見書及び手続補正書が提出されたものである。


第2.当審において平成19年5月22日付けで通知した拒絶理由の抜粋
「理 由
1)本件出願の請求項1?47に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

…(中略))…

3)平成17年 7月 4日付けでした手続補正は、下記の点で願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、平成6年改正前特許法第17条の2第2項で準用する第17条第2項に規定する要件を満たしていない。



【1】理由1)について
1.刊行物
(1)特開昭62-197652号公報(以下、「刊行物1」という。)
(2)特開昭61-215450号公報(以下、「刊行物2」という。)
(3)特開平4-334738号公報(以下、「刊行物3」という。)
(4)特開平3-260483号公報(以下、「刊行物4」という。)
(5)実願昭61-24726号(実開昭62-135840号)のマイクロフィルム(以下、「刊行物5」という。)
…(中略))…

【3】理由3)について
平成17年7月4日付けでした手続補正により、請求項32?47が追加されたが、請求項32?47に係る出荷のために準備する方法なる発明は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項から当業者が直接的かつ一義的に導き出せる事項でない。また、全補正請求項について「・・・調整値」、「請求項信号」、「制御通信リンク」、「作動機構」、「電子的作動装置」、「本体」、「気体の特性値」等の事項も、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項から当業者が直接的かつ一義的に導き出せる事項でない。 」


第3.平成19年11月28日付けの手続補正書による補正の内容(以下のとおり、特許請求の範囲についての補正のみであり、発明の詳細な説明についての補正は含まれていない。なお、アンダーラインは、補正箇所を明示するためのものである。)
「【手続補正1】
【補正対象書類名】 明細書
【補正対象項目名】 特許請求の範囲
【補正方法】 変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数の作動条件のもとで、制御信号に従って制御される時、一サイクル当りの規定全流体供給量を有するタイプの装置を動作する方法であって、
複数の作動条件において前記装置に関する一サイクル当りの全流体供給量を測定し、
前記装置における前記一サイクル当りの全流体供給量を記憶し、
測定された一サイクル当りの全流体供給量と一サイクル当りの規定全流体供給量との間の偏差の関数として作動条件ごとに前記制御信号を調整し、
動作中に、調整された前記制御信号に従って前記装置を制御して装置の一サイクル当りの全流体供給量が一サイクル当りの規定全流体供給量に近づくようにする、
ステップを有することを特徴とする方法。
【請求項2】 一サイクル当たりの全流体供給量を測定するステップにおいて測定された一サイクル当りの全流体供給量を前記装置に関係づけるステップを更に有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】 制御信号がメモリ手段を有する制御手段により生成され、前記関係づけるステップが、メモリ手段において、前記装置の測定された一サイクル当りの全流体供給量を示すデータを記憶するサブステップを有することを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】 前記関係づけるステップが、前記装置の測定された一サイクル当りの全流体供給量を示すデータを、前記装置上に永久的に記録するサブステップを有することを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】 制御信号が制御手段により生成され、前記関係づけるステップが、装置上に記録されたデータを読み取り、読み取ったデータを前記制御手段に入力するサブステップを有することを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】 前記偏差の関数として調整される調整量の大きさに対応するオフセット値を有する複数の調整カテゴリーが設けられ、前記調整ステップが、測定された一サイクル当りの全流体供給量に基づいて、前記装置を、前記複数の調整カテゴリーの一つに選別し、オフセット値の関数として制御信号を修正するサブステップを有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】 オフセット値の関数として制御信号を修正するステップが、前記装置及びエンジンの少なくとも一つの実際の作動条件の関数として更に実行されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】 作動条件ごとに前記制御信号を調整する調整ステップが、制御信号の関数としての一サイクル当りの規定全流体供給量と制御信号の関数としての前記装置の測定された一サイクル当りの全流体供給量の関係を決定し、測定された関係に基づいた制御信号を修正するサブステップを有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】 前記修正ステップが、前記装置及びエンジンの少なくとも1つの実際の作動条件の関数として更に実行されることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】 規定噴射開始特性を有し、燃料噴射が燃料供給信号により制御されるタイプの複数の電子制御型燃料噴射器を動作する方法であって、
各燃料噴射器に対して、各々の噴射開始特性を測定し、
各燃料噴射器に対して、測定された噴射開始特性を燃料噴射器の各々に関係づけ、
各燃料噴射器に対して、各々関係づけられ測定された噴射開始特性の関数として、規定噴射開始特性から燃料供給信号を調整し、
各々調整された燃料供給信号に従って各燃料噴射器を制御し、規定噴射開始特性に対する噴射開始の偏差を減少させるステップを有することを特徴とする方法。
【請求項11】 燃料供給信号がメモリ手段を有する制御手段により生成され、各燃料噴射器に対して、測定された噴射開始特性を燃料噴射器の各々に関係づけるステップが、各燃料噴射器の測定された噴射開始特性を示すデータをメモリ手段に記憶するサブステップを有することを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】 前記関係づけるステップが、各々の燃料噴射器上に、各燃料噴射器の測定された噴射開始特性を示すデータを永久的に記録するサブステップを有することを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項13】 調整される調整量の大きさに対応する複数の調整カテゴリーが設けられ、前記永久的に記録されるデータが調整カテゴリーの表示であり、前記関係づけるステップが、測定された噴射開始特性の各々に基づいて、各燃料噴射器を複数の調整カテゴリーの一つに選別するサブステップを含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】 燃料供給信号が制御手段により生成され、前記関係づけるステップが、燃料噴射器上に記録されたデータを読み取り、読み取られたデータを制御手段に入力するサブステップを有することを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項15】 前記永久的にデータを記録するサブステップが、各燃料噴射器上で測定された噴射開始を示すデータを、各々バーコード化することにより実行され、燃料噴射器上に記録されたデータを読み取り、読み取られたデータを制御手段に入力する前記読み取りおよび入力サブステップが、燃料噴射器上に記録されたバーコードを走査し、測定された噴射開始特性を示すデータを再現するように各バーコードを認識し、再現されたデータを制御手段に伝えることにより実行されることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】 前記永久的にデータを記録するサブステップが、各燃料噴射器に対して、各燃料噴射器の測定された噴射開始を示す抵抗値を有するレジスタを付すことにより実行され、前記読み取りおよび入力サブステップが、各燃料噴射器に対して、付されたレジスタの各々の抵抗値を検出し、検出された抵抗値を認識して測定された噴射開始特性を示すデータを再現することにより実行されることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項17】 各カテゴリーが関連オフセット値を有し、前記調整ステップが、各燃料噴射器に対して、各オフセット値の関数として燃料供給信号を修正するサブステップを有することを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項18】 燃料噴射が燃料供給信号により制御される複数の電子制御型燃料噴射器を動作する方法であって、前記燃料噴射器は作動条件を関数とする規定供給量特性を有するタイプのものであり、
前記各燃料噴射器に対して、複数の作動条件で各々の供給量特性を測定し、
前記各燃料噴射器に対して、測定された供給量特性を各々燃料噴射器に関係づけ、
前記燃料噴射器の各作動条件において、各燃料噴射器に対して、該燃料噴射器に関係するそれぞれの測定された供給量特性の規定供給量特性からの偏差の関数として燃料供給信号を調整し、
各々調整された燃料供給信号に従って各燃料噴射器を制御し、燃料噴射器と噴射器の間の供給量偏差を最小にするステップを有することを特徴とする方法。
【請求項19】 各燃料噴射器に対して、測定された供給量特性を各々噴射器に関係づけるステップが、前記各燃料噴射器の測定された供給量特性を示すデータを、各々の前記燃料噴射器上に永久的に記録するサブステップを有することを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】 燃料供給信号が制御手段により生成され、前記関係づけるステップが、前記燃料噴射器上に記録されたデータを読み取り、読み取ったデータを制御手段に入力するサブステップを有することを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】 前記永久的にデータを記録するサブステップが、前記燃料噴射器上で測定された供給量特性を示すデータを、各々バーコード化し、前記読み取りおよび入力サブステップが、前記燃料噴射器上に記録されたバーコードを走査し、測定された噴射開始特性を示すデータを再現するように各バーコードを認識し、再現されたデータを制御手段に伝えることにより実行されることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】 前記永久的にデータを記録するサブステップが、前記各燃料噴射器に、該各燃料噴射器の測定された供給量特性を示す抵抗値を有するレジスタを付すことにより実行され、前記燃料噴射器上に記録されたデータを読み取り、読み取ったデータを制御手段に入力するサブステップが、各燃料噴射器に対して、付されたレジスタの各々の抵抗値を検出し、検出された抵抗値を認識して、測定された供給量特性を示すデータを再現することにより実行されることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項23】 燃料供給信号がメモリ手段を有する制御手段により生成され、前記関係づけるステップが、前記各噴射器の測定された供給量特性を示すデータをメモリ手段に記憶するサブステップを有することを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項24】 調整される調整量の大きさに対応する複数の調整カテゴリーが設けられ、前記永久的に記録されるデータが調整カテゴリー表示であり、前記関係づけるステップが、測定された供給量特性の各々に基づいて、各燃料噴射器を、複数の調整カテゴリーの一つに選別するサブステップを有することを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項25】 各カテゴリーが関連オフセット値を有し、前記調整ステップが、各燃料噴射器に対して、オフセット値の各々の関数として燃料供給信号を修正するサブステップを有することを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】 燃料噴射が、メモリ手段を有する制御手段により生成された燃料供給信号により制御され、燃料噴射器が、規定噴射開始特性および規定供給量特性を有するタイプのものである場合において、複数の電子制御型燃料噴射器を動作する方法であって、
各燃料噴射器に対して、噴射開始特性および供給量特性の各々を測定し、
規定噴射開始特性および規定供給量特性からの偏差の大きさに応じて複数の調整カテゴリーを設け、
各燃料噴射器を、測定された噴射開始特性および供給量特性についての、規定噴射開始特性および規定供給量特性からの偏差の関数として、前記複数の調整カテゴリーの一つに選別し、
各燃料噴射器が、前記複数の調整カテゴリーの一つに選別するステップ中に選別されたカテゴリーを、各々の燃料噴射器上に記録し、
各燃料噴射器上に記録された各々のカテゴリーをメモリ手段に記憶し、
規定噴射開始特性および規定供給量特性に基づいて、実際の作動条件の関数として燃料供給信号を計算し、
各燃料噴射器に対して、噴射開始オフセット値および供給量オフセット値の関数として、燃料供給信号を調整し、
各々調整された燃料供給信号に従って、各燃料噴射器を制御し、噴射開始偏差および供給量偏差を減少させるステップを有することを特徴とする方法。
【請求項27】 前記燃料噴射器は、作動流体圧命令信号により制御される油圧作動型噴射器であり、該方法が、各燃料噴射器に対して、噴射開始オフセット値および供給量オフセット値の各々の関数として作動流体圧命令信号を調整するステップを更に有することを特徴とする請求項26燃料噴射器に対して、噴射開始特性および供給量特性の各々を測定するステップが、複数の作動条件で実行され、前記調整ステップが、実際の作動条件の関数として燃料供給命令信号を更に調整するサブステップを有することを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】 前記測定ステップが、複数の作動条件で実行され、前記調整ステップが、実際の作動条件の関数として燃料供給命令信号を更に調整するサブステップを有することを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項29】 選別されたカテゴリーを、各々の噴射器上に記録するステップが、各噴射器に対して、各噴射器が選別されるカテゴリーを示す各々のバーコードを付するサブステップを有することを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項30】 前記記録ステップが、各燃料噴射器に対して、各々の燃料噴射器が選別されるカテゴリーを示す抵抗値を有するレジスタの各々を付するサブステップを有することを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項31】 各々が少なくとも一つの観察された性能パラメータにより特徴づけられるタイプの複数の燃料噴射器を通してエンジンへの燃料供給を制御するシステムであって、
複数の動作パラメータを検出し、検出されたパラメータを示す複数の動作パラメータ信号の各々を生成するセンサ手段と、
前記動作パラメータ信号に応答して、各燃料噴射器に対する基礎燃料供給信号を生成す制御手段とを備え、
各燃料噴射器は前記制御手段に結合され、エンジンへの制御された燃料供給に対する各々の基礎燃料供給信号を受信するものであり、
各燃料噴射器に対する調整信号を記憶する前記制御手段に結合されるメモリ手段とを備え、
前記調整信号は、複数の作動条件において観察された性能パラメータから得られるものであり、
前記調整信号を前記メモリ手段に伝える手段とを備え、
前記制御手段が、前記調整信号の関数として、かつ、前記動作パラメータの関数として、各燃料噴射器に対して前記基礎燃料供給信号を調整し、性能パラメータ偏差を減少させることを特徴とするシステム。
【請求項32】 複数の作動条件のもとで、制御信号によって制御される時、測定可能な特性を有するタイプの燃料噴射器を出荷のために準備する方法であって、
複数の作動条件における前記燃料噴射器に関連する少なくとも一つの特性値を測定し、
この測定された特性値と規定の特性値との偏差の関数として、かつ、該燃料噴射器の作動条件の関数として、制御信号調整値を決定し、
該制御信号調整値を前記燃料噴射器上に記録する、
ステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項33】 前記複数の作動条件が、異なるエンジン作動条件を含むことを特徴とする制御32に記載の方法。
【請求項34】 前記制御信号調整値が、燃料噴射器の作動条件の関数としての燃料噴射量調整値を含むことを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項35】 制御信号調整値を前記燃料噴射器上に記録するステップは、バーコードを該燃料噴射器に取り付けるステップを含むことを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項36】 前記燃料噴射器の作動条件の関数として、制御信号調整値を決定することは、燃料噴射時期の調整を含むことを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項37】 バーコードを該燃料噴射器に取り付けるステップは、該燃料噴射器がエンジンに取り付けられた後で読むことができる位置に前記バーコードを配置するステップを含むことを特徴とする請求項36に記載の方法。
【請求項38】 複数の作動条件のもとで、制御信号によって制御される時、測定可能な特性を有するタイプの複数の噴射装置を作動させる方法で噴射装置についての制御信号調整値を示すデータを読み取り、
この調整値のデータを電子制御モジュールに入力し、
前記噴射装置の各々と該電子制御モジュールとの間に制御通信リンクを確立し、
前記噴射装置の各々を、規定の制御信号と、作動条件と、各噴射装置についての制御信号調整値との関数として調整された制御信号により制御する、
ステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項39】 前記複数の噴射装置が複数の燃料噴射器であり、前記複数の燃料噴射器をエンジンに取り付けるステップを含むことを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項40】 それぞれの噴射装置についての制御信号調整値を示すデータを読み取るステップは、前記複数の燃料噴射器に取り付けられたバーコードを走査するステップを含むことを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項41】 前記制御信号調整値を示すデータは、前記複数の燃料噴射器のそれぞれについての作動条件の関数である燃料噴射量調整値のデータを含むことを特徴とする請求項40に記載の方法。
【請求項42】 前記制御信号調整値を示すデータは、燃料噴射時期調整値のデータを含むことを特徴とする請求項41に記載の方法。
【請求項43】 電子制御信号に応答して測定可能な特性値を生成する作動機構であって、
本体と、
前記本体に取り付けられ、該本体からの全流体供給量を制御するように構成された電子的作動装置と、
前記本体に取り付けられ、測定された特性値と公称特性値との間の偏差を作動条件の関数として表す制御信号調整値のデータを含むデータ記録と、
を有し、前記制御信号調整値のデータは、前記電子作動装置による制御のもとで前記本体から供給される全流体供給量を示すものであることを特徴とする作動機構。
【請求項44】 前記作動機構が燃料噴射器であることを特徴とする請求項43に記載の機構。
【請求項45】 前記記録がバーコードであることを特徴とする請求項44に記載の機構。
【請求項46】 前記制御信号調整値のデータが前記燃料噴射器の作動条件の関数であることを特徴とする請求項45に記載の機構。
【請求項47】 前記制御信号調整値のデータが燃料噴射時期調整値のデータであることを特徴とする請求項46に記載の機構。」


第4.当審の判断
第4-1.当審において平成19年5月22日付けで通知した拒絶理由の理由1)(特許法第29条第2項違反)について
1.本願発明
本願の請求項1ないし47に係る発明は、平成19年11月28日付けの手続補正書及び平成17年7月4日付けの手続補正書により補正された明細書並びに願書に最初に添付された図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1ないし47に記載された事項により構成されるとおりのものであると認められるところ、その請求項18に係る発明(以下、「本願発明」という。)は上記第3.の【請求項18】に記載されたとおりのものである。

2.刊行物
(1)当審の平成19年5月22日付けで通知した拒絶理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開昭62-197652号公報(以下、単に「刊行物」という。)には、第1ないし5、7図とともに次の事項が記載されている。なお、アンダーラインは、当審で付与した。
(ア)「(1)エンジンの各気筒毎に設けられた1本以上のインジエクタから噴射される燃料を制御する燃料噴射制御装置に備えられて、前記噴射燃料の流量誤差を補正するためのインジエクタ流量補正装置であつて、
前記噴射燃料の流量を検出する燃料流量検出手段と、
検出された燃料流量とその噴射時に目標とされる燃料流量の差から、噴射燃料の流量誤差を検出する手段と、
特定の燃料噴射時間に対する検出流量誤差を3点以上の代表点で学習して、前記流量誤差を補正するための補正値を算出する手段と、
算出された補正値に基づき、インジエクタから噴射される燃料の流量を補正する手段と、
を備えたことを特徴とするインジエクタ流量補正装置。」(特許請求の範囲の第1項)
(イ)「【産業上の利用分野】
本発明は、インジエクタ流量補正装置に係り、特に、車両用エンジンに備えられる電子式燃料噴射制御装置に用いるのに好適な、エンジンの各気筒毎に設けられた1本以上のインジエクタから噴射される燃料を制御する燃料噴射制御装置に備えられて、前記噴射燃料の流量誤差を補正するためのインジエクタ流量補正装置に関する。」(第1頁右下欄第3ないし10行)
(ウ)「【発明が解決しようとする問題点】
・・・(中略)・・・
又、前記電子式燃料噴射制御装置に用いられるインジエクタは、その製造公差のため±3%、場合によつては±8%程度の噴射燃料の流量誤差を生じることが考えられる。
又、そのような製造公差による誤差のみならず、インジエクタはソレノイド弁で開弁されるため、インジエクタ開弁時間に対して第7図に示す如き流量特性を有する。これは、図中実線で示す設計値とは異なるため、図中斜線で示す部分が誤差となる。なお、この誤差の量はインジエクタ個々により異なる。
このようにインジエクタからの燃料噴射量がばらつくと、気筒間の分配等により特定の気筒のリツチ、リーンの影響を強くO_(2)センサが受けてしまう。すると、その特定の気筒からの排気の影響を受けたO_(2)センサの検出値により、吸気の空燃比が理論空燃比とされていると判断しても、実際には、トータルの空燃比が理論空燃比よりもずれてしまう場合がある。この場合、エキゾーストマニホールドの下流に備えられる例えば三元触媒の浄化性能が落ちてしまい、それを通じて排出される排気ガスの成分の悪化を招く場合があるという問題点を有していた。
このような問題点を解消するためには、インジエクタから実際に噴射される燃料流量と目標とする燃料流量との誤差を検出して、検出誤差に基づき補正を行うことが考えられる。このような方法として、インジエクタの噴射時間を等分間隔でいくつかの領域に分け、この領域毎に誤差を学習して補正値を求め、求められた補正値で噴射時間の補正を行うという方法が考えられる。
・・・(中略)・・・
又、第7図から理解されるように、インジエクタ開弁時間即ち燃料噴射時間の短い区間においては、少しの噴射時間の変化でも大きくその誤差が変化し、一方、噴射時間の長い区間においては、1m sec程度の噴射量の変化でもその変動が少ない。」(第2頁左上欄第11行ないし同頁右下欄第6行)
(エ)「【発明の目的】
本発明は、前記従来の問題点に鑑みてなされたものであつて、各気筒のインジエクタからの燃料噴射量の誤差を、記憶装置のメモリを大量に用いずになくし、空燃比の制御性を向上させることができるインジエクタ流量補正装置を提供することを目的とする。」(第2頁右下欄第10ないし16行)
(オ)「【作用】
本発明においては、エンジンの各気筒毎に設けられた1本以上のインジエクタから噴射される燃料を制御する燃料噴射制御装置の噴射燃料の流量誤差を補正する際に、前記噴射燃料の流量を検出し、検出された燃料流量とその噴射時に目標とされる燃料流量の差から、噴射燃料の流量誤差を検出し、特定の燃料噴射時間に対する検出流量誤差を、例えば後出第1図に示されるように、インジエクタ開弁時間に対して3点以上の代表点で学習して、前記流量誤差を補正するための補正値を算出し、算出された補正値に基づき、インジエクタから噴射される燃料の流量を補正する。従って、噴射される燃料の流量誤差を、記憶装置のメモリを大量に用いることなくなくし、空燃比の制御性を向上させることができるため、エンジンの全体の空燃比を例えば理論空燃比に近付けることができる。」(第3頁左上欄第12行ないし同頁右上欄第9行)
(カ)「この実施例は、第2図に示されるように、デリバリパイプ34から各気筒に備えられたインジエクタ22A?22Dから燃料を噴射する燃料噴射装置における、噴射燃料の流量誤差を補正するインジエクタ流量補正装置である。
このインジエクタ22A?22Dがエンジン10のマニホールドに備えられる燃料噴射制御装置の全体構成を第3図に示す。
・・・(中略)・・・
前記吸気弁20入側付近の吸気マニホールド13には、第2図に示されるインジエクタ22A?22Dが各気筒毎に備えられる。このインジエクタ22A?22Dに燃料を分配するためのデリバリパイプ34には、そこに燃料を流入させるため、フユーエルタンク(燃料タンク)(図示省略)内の燃料を圧送するためのフユーエルポンプ(燃料ポンプ)(図示省略)が管を介して接続される。
前記エンジン10の排気側には排気弁26を介して排気をマフラー等に流入するためのエキゾーストマニホールド28が備えられ、このエキゾーストマニホールド28には排気中の酸素量を検出するためのO_(2)センサ58が設置される。なお、エンジン10にはそのクランク角を検出するためのクランク角センサ60が備えられる。又、これらセンサからの検出信号は、エンジンの運転状態を制御する制御コンピユータ(ECU)40に入力するようにされている。
ここで、前記デリバリパイプ34がらインジエクタ22A?22Dへの各燃料通路には、第2図乃至第3図に示されるように、そこを流れる燃料流量を検出する燃料流量計54A?54Dが備えられる。又、燃料ポンプから送られてくる燃料中に存在する脈動分を吸収するためのパルセーシヨンダンパ52がデリバリパイブ34の燃料入側に備えられる。更に、デリバリパイブ34には、その中の燃料圧力を一定に保つため、該圧力が所定値以上となつた場合に燃料を燃料タンクに戻すプレツシヤレギユレータ36が備えられる。なお、図示されていないが、インジエクタ22A?22Dは、その内部に燃料噴射するための開閉弁を開閉指示パルスにより駆動するソレノイドコイルを有する。又、第2図においては4気筒エンジンに用いられるインジエクタの例を示すが、6気筒エンジンに用いる場合においては、インジエクタが6本必要となる。
前記流量計54A?54Dの設置場所は、必ずしも燃料通路に限られず、各インジエクタ22A?22Dに設置することができる。又、流量計54A?54Dには、歯車式のもの(体積流量を検出)やホツトワイヤを用いたもの(質量流量を検出)を使用できる。なおホツトワイヤを用いた流量計は温度補正により、その測定精度を向上できる。
次に、前記ECU40内の内部構成を第4図に示す。図に示されるように、このECU40は、各センサからのアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器62と、制御信号の入出力を司さどるI/Oポート64と、入力信号に基づき演算を行い制御信号を出力する中央処理装置(CPU)66と、中央処理装置66で用いる情報を記憶しておくための記憶装置68A、68Bと、前記中央装置66で用いるプログラムを記憶するための記憶装置70を備える。
前記記憶装置68A、68Bには、自由に読み出し、書き込みができるRAM(ランダムアクセスメモリ)を用いることができる。又、記憶装置68Aについては、車両に搭載されたバツテリにより電源のバツクアツプを受けているため、イグニツシヨンスイツチがオフとれさても(審決注:「オフとされても」の誤記と認める。)それに記憶されている情報が消去しないようにされている。
又、前記記憶装置70にはROM(リードオンリメモリ)を用いることができる。このROMは電源のバツクアツプがなくともその記憶内容が維持される読み出し専用のメモリである。」(第3頁右上欄第13行ないし第4頁左下欄第4行)
(キ)「以上のような各気筒にインジエクタ22を設けている電子式燃料噴射制御装置においては、ECU40が吸気マニホールド13内に備えられたエアフローメータ14からの信号を基に、インジエクタ22からの燃料噴射量を制御するための燃料噴射時間(燃料圧が一定の場合、燃料噴射量は噴射時間に比例)を決定する。
ところが、インジエクタは製造誤差及びその内部に有するソレノイドによる電気的特性上、一般に、前出第7図あるいは第1図中の破線で示す流量特性を有する。この流量特性は、図中の実線で示す設計値による噴射量とは異なり、これらの値の差である第7図中の斜線の部分が誤差となる。この誤差量はインジエクタ個々により異なるものであり、前記燃料噴射時間を決定するにあたつては、それら誤差を考慮する必要がある。
そこで、この誤差を、第1図に示されるように、インジエクタの噴射期間中の3点以上の特定の代表点で計測し、計測された誤差に基づきその補正値を算出する。この特定の代表点は、通常ある微小区間を有するものとし、この区間で計測される誤差をその区間中心における噴射量の誤差として記憶装置68A内に記憶する。そして、この特定の数点の噴射期間以外の噴射時間となつたときは、この特定の代表点における噴射期間による誤差を用いてその補間を行い、前記誤差の補正値を求める。これら補正値の求め方について、以下に説明する。
即ち、例えば前記誤差の測定点を、第1図に示されるように、インジエクタの噴射期間中におけるTAU_(0)?TAU_(1)、TAU_(2)?TAU_(3)、・・・、TAU_(n-1)?TAU_(n)のn/2点とする。この各点の誤差TAUHO_(i)は、(審決注:原文では「O」にはアッパーラインが付されている。以下同様。)燃料流量計54A?54Dで測定した燃料流量の積算値Vより次式(1)を用いて算出する。
TAUHO_(i)=TAU-V/α ・・・ ・・・(1)
但し、添字iは測定点を表わしており、TAUはインジエクタの燃料噴射時間である。又、αは、独立噴射の場合、単位噴射時間当りの噴射量であり、同時噴射の場合、(単位時間当りの噴射量)*気筒数とする。
(1)式で得られた誤差TAUHO_(i)を前記記憶装置68A内に記憶し、記憶されている値を次式(2)を用いて更新する。
TAUHO_(i)=(TAUHO_(iA )
+TAUHO_(iB))/2・・・(2)
但し、TAUHO_(iA)は今回の誤差の値、TAUHO_(iB)は記憶装置68A内に記憶されている前回までの誤差の値である。
このようにして得られた誤差TAUHO_(i)に対し、前記の如く測定される特定の噴射期間以外の噴射時間におけるインジエクタ噴射時間の補正は、インジエクタ噴射時間がTAU<TAU_(0)及びTAU>TAU_(n)以外の条件で、目的とする噴射時間TAUに対して次式(3)の計算により求める。
TAU=TAU+[(TAUHO_(i+1)
_( )-TAUHO_(i))*{TAU
-(TAU_(2*i)+TAU_(2*i+1))
/2}]
/{(TAU_(2*(i+1))
+TAU_(2*(i+1)+1))/2
-(TAU_(2*i)+TAU_(2*i+1))
/2}+TAUHO_(i) ・・・ ・・・(3)
又、燃料噴射時間がTAU<TAU_(0)及びTAU>TAU_(n)の期間のときは、(3)式のように補間を行えないので、それぞれ期間TAU_(0)?TAU_(1)とTAU_(2)?TAU_(3)の誤差については次式(4)で、期間TAU_(n-3)?TAU_(n-2)とTAU_(n-1)?TAU_(n)の誤差については、次式(5)により推察する。
TAU=TAU+[(TAUHO_(1 )
-TAUHO_(0))*{TAU
-(TAU_(0)+TAU_(1))/2}]
/{(TAU_(2)+TAU_(3))/2
-(TAU_(0)+TAU_(1))/2}
+TAUHO_(0 ) ・・・ ・・・ ・・・(4)
TAU=TAU+[(TAUHO_(n/2)
_( )-TAUHO_((n-1)/2))
*{TAU-(TAU_(n-2)
_( )+TAU_(n-3))/2}]
/{(TAU_(n)+TAU_(n-1))/2
-(TAU_(n-2)+TAU_(n-3))
/2}+TAUHO_((n-1)/2) ・・・(5)」(第5頁左上欄第8行ないし第6頁左上欄第10行)
(ク)「次に、本実施例に係るインジエクタ流量補正装置の制御について、第5図に示されるフローチヤートに基づき説明する。
まず、ステツプ100でエンジンのインジエクタが噴射タイミングであるか否かを判定する。判定結果が正であればステツプ110に進み、インジエクタの燃料噴射時間TAUを計算する。次いで、ステツプ120に進み、それぞれの噴射時間TAU_(0)?TAU_(n)を示すインデツクスkと測定点を示すインデツクスiをクリアし、ステツプ130で前記噴射時間TAUがインデツクスkに対応する各噴射時間TAU_(k)より小か否かを判定する。判定結果が正のとき即ち、噴射時間TAUがTAU_(0)以下の場合とTAU_(2)以下の場合はステツプ200に進み、又、先のステツプ100で噴射タイミングでないと判定されたときもステツプ200に進み、インデックスi=0として、前出(4)式(審決注:「(2)式」の誤記と認める。)で誤差TAUHO_(i)の計算を行う。
ステツプ130で判定結果が否のときは、ステツプ140に進み、インデツクスkをインクリメントし、ステツプ150に進み、再度噴射時間TAUがインデツクスに対応する測定時間TAU_(k)より小さいか否かを判定し、判定結果が正ならばステツプ200に進む。
ステツプ150で判定結果が否のときはステツプ160に進み、インデツクスiを1だけインクリメントし、ステップ170でインデツクスkがnより大であるか否かを判定する。判定結果が否のときは、ステツプ140に戻り再度インデツクスkをインクリメントする。又、判定結果が正のときはインジエクタの噴射時間TAUが測定点以上となつたのでステップ190に進み、インデツクスiに(n-2)/2を代入することにより、ステツプ200で(5)式より噴射時間TAUの補正計算を行う。計算された噴射時間TAUに基づき、ステツプ210でインジエクタに噴射開始の指示を行う。
次いで、ステツプ220に進む。このステツプ220からステツプ260では、誤差TAUHO_(i)の値の更新を行うために、インデツクスiを求める。即ち、ステツプ220でインデツクスi、kをクリアし、ステツプ230で、噴射時間がTAUが測定時間TAU_(k)より小さいか否かを判定し、判定結果が否のときはステツプ240でインデツクスkを1だけインクリメントし、ステツプ250で再度噴射時間TAUが測定時間TAU_(k)より小さいか否かを判定し、判定結果が否のときはステツプ260でインデツクスk、iをインクリメントしてステツプ230に戻る。ステツプ250の判定結果が正のときはステツプ270に進み、前出(1)式に基づき誤差TAUHO_(i)の計算を行い、(2)式により記憶値を更新して終了する。」(第6頁左上欄第11行ないし同頁右下欄第3行)
(ケ)「更に、前記実施例においては、測定区間をn/2点測定していたが、測定区間の測定点数はこれに限定されるものではなく、少なくとも3点以上あればよい。
その場合において、通常インジエクタ開弁時間即ち燃料噴射時間の測定区間は開き始めの近くτ=1.5?2m secのところと、低負荷に相当するτ=2.5?3m secのところと、中負荷に相当するτ=5m sec位のところで測定するのが望ましい。これは、第1図及び第7図に示されるように、インジエクタの燃料噴射量の誤差がその開弁時間の小さい所で大きいからである。」(第7頁左上欄第5ないし16行)

(2)ここで、上記(1)(ア)ないし(ケ)及び第1ないし5、7図からみて、次のことがわかる。
(コ)上記(1)(カ)、(キ)及び第1ないし4図からみて、インジエクタ22A?22Dは、その内部に燃料噴射するための開閉弁を開閉指示パルスにより駆動するソレノイドコイルを有しECU40により制御されるので、電子制御型のものであることがわかる。
(サ)上記(1)(ア)、(ウ)、(オ)ないし(ケ)及び第1、7図からみて、第1図又は第7図の横軸のインジエクタ開弁時間即ち燃料噴射時間TAUにおいて、左の小方向の領域が低負荷側に相当し、右の大方向の領域が高負荷側に相当するので、インジエクタ開弁時間即ち燃料噴射時間TAUの大小の状態は、異なる作動条件であり、インジエクタ22A?22Dは作動条件を関数とする設計値を有するタイプであることがわかり、また、3点以上の特定の代表点は、インジエクタ22A?22Dの実際の燃料噴射量を検出する際の複数の作動条件であるといえる。
(シ)上記(1)(ウ)、(エ)、(オ)、(キ)、(ク)及び第1、7図からみて、補正された開閉指示パルスに従って各インジエクタ22A?22Dを制御し、各インジエクタ22A?22Dの燃料噴射量を設計値に近づけることがわかる。このことは、結果的には、インジエクタ22A?22D間の燃料噴射量のばらつきを小にすると同等であるといえる。
(ス)上記(1)(ア)、(ウ)、(オ)ないし(キ)、(ケ)及び第1、5図からみて、燃料噴射量誤差に対応する誤差TAUHO_(i)の関数としてインジエクタ22A?22Dを駆動する開閉指示パルスを補正することがわかる。

(3)上記(1)(ア)ないし(ケ)、(2)(コ)ないし(ス)及び第1ないし5、7図の記載を総合すると、刊行物には、次の発明(以下、「刊行物記載の発明」という。)が記載されているものと認められる。
「燃料噴射が開閉指示パルスにより制御される複数の電子制御型インジエクタ22A?22Dを動作する方法であって、前記インジエクタ22A?22Dは作動条件を関数とする規定供給量特性を有するタイプのものであり、
前記各インジエクタ22A?22Dに対して、複数の作動条件で各々の燃料噴射時間に対する燃料流量計54A?54Dでの実際の燃料噴射量の関係を測定し、
前記各インジエクタ22A?22Dに対して、測定された燃料噴射時間に対する燃料流量計54A?54Dでの実際の燃料噴射量の関係を各々インジエクタ22A?22Dに関係づけ、
前記インジエクタ22A?22Dの各作動条件において、各インジエクタ22A?22Dに対して、該インジエクタ22A?22Dに関係するそれぞれの測定された燃料噴射時間に対する燃料流量計54A?54Dでの実際の燃料噴射量の関係の規定供給量特性からの誤差TAUHO_(i)の関数として開閉指示パルスを補正し、
各々補正された開閉指示パルスに従って各インジエクタ22A?22Dを制御し、インジエクタ22A?22D間の燃料噴射量のばらつきを小にするステップを有する方法。」

3.対比・判断
(1)対比
本願発明と刊行物記載の発明とを対比すると、刊行物記載の発明における「電子制御型インジエクタ22Aないし22D」又は「インジエクタ22Aないし22D」は、その機能及び形状や構造からみて、本願発明における「電子制御型燃料噴射器」、「燃料噴射器」又は「噴射器」に相当し、刊行物記載の発明における「開閉指示パルス」、「特定の代表点の状態」、「3点以上の特定の代表点の状態」、「燃料噴射時間TAUに対する補正値に基づき補正された燃料噴射量の関係」、「燃料噴射時間に対する燃料流量計54Aないし54Dでの実際の燃料噴射量の関係」、「燃料噴射量誤差に対応する誤差TAUHO_(i)」及び「補正」は、それらの機能及び形状や構造からみて、本願発明における「燃料供給信号」、「作動条件」、「複数の作動条件」、「規定供給量特性」、「供給量特性」、「偏差」及び「調整」にそれぞれ相当する。
そして、刊行物記載の発明における「各々補正された開閉指示パルスに従って各インジエクタ22A?22Dを制御し、インジエクタ22A?22Dとインジエクタ22A?22Dの間の燃料噴射量誤差を小にするステップを有する」は、「各々調整された燃料供給信号に従って各燃料噴射器を制御し、燃料噴射器と噴射器の間の供給量偏差を小さくするステップを有する」という限りにおいて、本願発明における「各々調整された燃料供給信号に従って各燃料噴射器を制御し、燃料噴射器と噴射器の間の供給量偏差を最小にするステップを有する」に相当する。
そうすると、本願発明と刊行物記載の発明は、
「燃料噴射が燃料供給信号により制御される複数の電子制御型燃料噴射器を動作する方法であって、前記燃料噴射器は作動条件を関数とする規定供給量特性を有するタイプのものであり、
前記燃料噴射器に対して、複数の作動条件で供給量特性を測定し、
前記燃料噴射器に対して、測定された供給量特性を燃料噴射器に関係づけ、
前記燃料噴射器の各作動条件において、燃料噴射器に対して、該燃料噴射器に関係するそれぞれの測定された供給量特性の規定供給量特性からの偏差の関数として燃料供給信号を調整し、
各々調整された燃料供給信号に従って各燃料噴射器を制御し、燃料噴射器と噴射器の間の供給量偏差を小さくするステップを有する方法。」
である点で一致し、次の相違点でのみ一応相違する。
(相違点)
「各々調整された燃料供給信号に従って各燃料噴射器を制御し、燃料噴射器と噴射器の間の供給量偏差を小さくするステップを有する」に関し、本願発明においては、「各々調整された燃料供給信号に従って各燃料噴射器を制御し、燃料噴射器と噴射器の間の供給量偏差を最小にするステップを有する」のに対し、刊行物記載の発明においては、「各々補正された開閉指示パルスに従って各インジエクタ22A?22Dを制御し、インジエクタ22A?22D間の燃料噴射量のばらつきを小にするステップを有する」点(以下、単に「相違点」という。)。

(2)判断
本願発明における、「各々調整された燃料供給信号に従って各燃料噴射器を制御し、燃料噴射器と噴射器の間の供給量偏差を最小にするステップを有する」に関し、本願の明細書の発明の詳細な説明の特に段落【0018】ないし【0023】をみると、本願の明細書の発明の詳細な説明に記載された実施例においては、測定された各噴射器の「供給量およびタイミングの公称からの偏差」を小さくすることにより、結果的に、「燃料噴射器と噴射器の間の供給量偏差を最小に」しているにすぎない。
他方、刊行物記載の発明においては、各インジエクタ22A?22Dの燃料噴射量を設計値に近づけることにより、結果的に、インジエクタ22A?22D間の燃料噴射量のばらつきを小にしている。
そうすると、上記相違点に関し、本願発明の実施例と刊行物記載の発明は近接したやり方をした上で、実質的に同様な結果をもたらしているといえる。してみれば、刊行物記載の発明において、上記相違点に係る本願発明のようにすることは、当業者が容易に想到し得る程度のことである。
しかも、本願発明は、全体構成でみても、刊行物記載の発明から予測できる作用効果以上の顕著な作用効果を奏するものとも認められない。
なお、審判請求人は、平成19年11月28日付けの意見書において、本願発明(請求項18に係る発明)と刊行物記載の発明とが相違する旨の主張を明示的に行っていない。

(3)まとめ
以上のように、本願発明は、刊行物記載の発明に基いて、当業者が容易に想到できたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第4-2.当審において平成19年5月22日付けで通知した拒絶理由の理由3)(平成6年法律第116号改正附則第6条によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第2項において準用する同法第17条第2項に規定する要件違反)について
1.審判請求人の主張
審判請求人は、平成19年11月28日付けの意見書において、
「請求項38に記載されている「制御通信リンク」は、本件明細書段落番号0015に記載されている通信リンク116を意味するものである。
請求項43に記載されている「作動機構」は、本件明細書段落番号0018に「いかなる作動可能な機構も、本発明に従って、有利に制御され、動作されることができる。」と記載されており、また、段落番号0011には、「本発明に従って動作される複数の機械作動型電子制御(MEUI)方式の燃料噴射器22を利用する機械作動型電子制御燃料噴射システム20を示す。」と記載されているとおりである。
請求項43に記載されている「電子的作動装置」、「本体」は、作動可能な機構を意味するものであり、本体及び電子アクチュエータを含むことを意味する。例えば、本件明細書には、噴射器22は噴射器本体36と、ソレノイド及びバルブ組立体50、ソレノイド及びバルブ組立体50を作動するための電子端子52を含むことが記載されている。
請求項43に記載された「ガス」は誤記であったので、「公称」に訂正した。この補正は本件明細書段落番号第0032の記載に基づくものである。」(意見書【意見の内容】の(4) 理由3について)と主張している。

2.当審の判断
特許請求の範囲は、平成19年11月28日付けの手続補正書によって補正された。しかしながら、上記第2.の「【3】理由3)について」で指摘した
a.請求項32?37に係る出荷のために準備する方法なる発明
b.請求項32?47についての「・・・調整値」
c.請求項38?42についての「制御通信リンク」
d.請求項43?47についての「作動機構」
e.請求項43?47についての「電子的作動装置」
f.請求項43?47についての「本体」
なる事項が願書に最初に添付した明細書又は図面に記載されていないことは、依然として解消していない。
なお、審判請求人は、上記1.にあるように、平成19年11月28日付けの手続補正(及び平成17年7月4日付けでした手続補正)が平成6年法律第116号改正附則第6条によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第2項において準用する特許法17条の2第2項に適合したものであること、すなわち、平成19年11月28日付けの手続補正が願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであることを何ら主張していない。しかも、上記第2.の「【3】理由3)について」にあるように、請求項32?47は平成17年7月4日付けでした手続補正により追加されたものであるが、上記したように、その後の平成19年11月28日付けの手続補正によっても、特に特許請求の範囲の請求項32についてはその記載内容はまったく変更されていない。
したがって、平成19年11月28日付けでした手続補正は、平成17年7月4日付けでした手続補正と同様に、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものではなく、平成6年法律第116号改正附則第6条によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第2項において準用する第17条第2項に規定する要件を満たしたものではない。


第5.むすび
以上のとおり、本願発明は、刊行物献記載の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。また、平成19年11月28日付けでした手続補正は、平成6年法律第116号改正附則第6条によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第2項において準用する第17条第2項に規定する要件を満たしていない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-12-15 
結審通知日 2009-12-17 
審決日 2010-01-04 
出願番号 特願平7-132052
審決分類 P 1 8・ 561- WZ (F02D)
P 1 8・ 121- WZ (F02D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 和田 雄二  
特許庁審判長 深澤 幹朗
特許庁審判官 中川 隆司
鈴木 貴雄
発明の名称 電子的調整により燃料噴射器のような装置を制御する方法およびシステム  
代理人 宍戸 嘉一  
代理人 中村 稔  
代理人 大塚 文昭  
代理人 小川 信夫  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ