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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F
管理番号 1217012
審判番号 不服2006-9418  
総通号数 127 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-07-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-05-10 
確定日 2010-05-19 
事件の表示 特願2002-511227「集積化検証および製造適応ツール」拒絶査定不服審判事件〔平成13年12月20日国際公開、WO01/97096、平成16年 2月 5日国内公表、特表2004-503879〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 第1 手続きの経緯
国際出願日 :平成13年5月25日
(パリ条約による優先権主張2000年(平成12年)6月13日,米国)
拒絶理由通知(最初)の起案日:平成17年 7月 6日
意見書及び手続補正書の受付日:平成18年 1月11日
拒絶査定の起案日 :平成18年 2月 6日
審判請求書の受付日 :平成18年 5月10日
手続補正書の受付日 :平成18年 6月 9日
補正の却下の決定の起案日 :平成21年 3月25日
拒絶理由通知(最後)の起案日:平成21年 3月25日
意見書及び手続補正書の受付日:平成21年 9月28日

第2 補正却下の決定
1 補正却下の決定の結論
平成21年9月28日付けの手続補正を却下する。

2 理由
ア 本件補正前の特許請求の範囲
平成18年6月9日付けの手続補正は,平成21年3月25日付けで補正の却下の決定がなされているから,本件補正前の特許請求の範囲の請求項1ないし19の記載は,平成18年1月11日付けの手続補正書に記載された次のとおりのものである。
「 【請求項1】 一以上のマスクを作成するために,集積デバイスレイアウトを表すデータを処理するようにコンピュータ上で実行される集積化検証および製造適応プログラムであって,
階層状の該集積デバイスレイアウトの少なくとも一部分を表すデータの階層型データベースを維持するデータベースコンポーネントと,
該集積デバイスレイアウトを表す該データに対して実行されるべき検査のリストを走査する走査コンポーネントと,
該走査コンポーネントによって決定される検査コンポーネントであって,該階層型データベース内の一以上の層から該データの少なくとも一部分を読み出し,該階層型データベースの一以上の層に検査されたデータを格納することによって,該集積デバイスレイアウトを表す該データの選択された検査を実行する検査コンポーネントと,
該階層型データベースの一以上の層からデータを読み出し,該階層型データベースの一以上の層に光学的プロセス修正(OPC)されたデータを格納することによって,該データに対して該光学的プロセス修正を実行する光学的プロセス修正(OPC)コンポーネントと
を含む,集積化検証および製造適応プログラム。
【請求項2】 前記検査コンポーネントは,レイアウト対回路図(LVS)コンポーネントを含む,請求項1に記載の集積化検証および製造適応プログラム。
【請求項3】 前記検査コンポーネントは,設計ルールチェック(DRC)コンポーネントを含む,請求項1に記載の集積化検証および製造適応プログラム。
【請求項4】 前記階層型データベースの一以上の層を読み出し,前記一以上のマスクを形成する際に用いられる該階層型データベースの一以上の層における一以上の位相シフトの特徴を表すデータを作成することによって,前記集積デバイスレイアウトを表すデータを解析する位相シフトマスク(PSM)コンポーネントをさらに含む,請求項1に記載の集積化検証および製造適応プログラム。
【請求項5】 前記検査コンポーネントは,前記階層型データベースの一以上の層から読み出されたデータに対して光学的ルールチェックを実行する光学的ルールチェック(ORC)コンポーネントを含む,請求項1に記載の集積化検証および製造適応プログラム。
【請求項6】 前記OPCコンポーネントおよび前記検査コンポーネントは,前記集積デバイスレイアウトの一部分のエッジのセットを表すデータに対して演算する,請求項1に記載の集積化検証および製造適応プログラム。
【請求項7】 前記集積デバイスレイアウトは,集積回路(IC)レイアウトである,請求項1に記載の集積化検証および製造適応プログラム。
【請求項8】 前記階層型データベースは,一以上の中間層を含む,請求項1に記載の集積化検証および製造適応プログラム。
【請求項9】 前記階層型データベース内に含まれるべき中間層の数は,少なくとも部分的に,前記集積デバイスレイアウトに対して実行されるべき検査に基づいて決定される,請求項8に記載の集積化検証および製造適応プログラム。
【請求項10】 命令のシーケンスが格納された機械読み取り可能媒体であって,該命令のシーケンスは,それが実行されると,一以上の電子システムに,
集積デバイスレイアウトを階層型データベースにインポートさせることにより,共有データを生成し,
該集積デバイスレイアウトを表す該データに対して実行されるべき所望の検査のリストを走査させ,
該階層型データベース内の一以上の層から該共有データの少なくとも一部分を読み出し,該階層型データベースの一以上の層に検査されたデータを格納することによって,該集積デバイスレイアウトを表す該データの所望の検査を実行させ,
該階層型データベースの一以上の層に格納された該集積デバイスを表す該共有データに対して光学的プロセス修正(OPC)を実行させ,該階層型データベースの一以上の層に該OPC修正されたデータを格納させる,機械読み取り可能媒体。
【請求項11】 前記一以上の電子システムに所望の検査を実行させる前記命令のシーケンスは,実行される場合,該一以上の電子システムに,前記共有データに対してレイアウト対回路図(LVS)演算を実行させる命令のシーケンスを含む,請求項10に記載の機械読み取り可能媒体。
【請求項12】 前記一以上の電子システムに所望の検査を実行させる前記命令のシーケンスは,それが実行されると,該一以上の電子システムに,前記共有データ対して設計ルールチェック(DRC)演算を実行させる命令のシーケンスを含む,請求項10に記載の機械読み取り可能媒体。
【請求項13】 前記一以上の電子システムに所望の検査を実行させる前記命令のシーケンスは,それが実行されると,該一以上の電子システムに,前記共有データに対して位相シフトマスク(PSM)演算を実行させる命令のシーケンスをさらに含む,請求項10に記載の機械読み取り可能媒体。
【請求項14】 前記一以上の電子システムに所望の検査を実行させる前記命令のシーケンスは,それが実行されると,該一以上の電子システムに,前記共有データに対して光学的ルールチェック(ORC)演算を実行させる命令のシーケンスをさらに含む,請求項10に記載の機械読み取り可能媒体。
【請求項15】 前記一以上の電子システムに所望の検査を実行させる前記命令のシーケンスは,それが実行されると,該一以上の電子システムに,前記共有データ内のシミュレートされたシリコンエッジに対して光学的ルールチェック(ORC)演算を実行させる命令のシーケンスをさらに含む,請求項10に記載の機械読み取り可能媒体。
【請求項16】 前記一以上の電子システムに,集積デバイスレイアウトを前記階層型データベースにインポートさせる前記命令のシーケンスは,それが実行されると,該一以上の電子システムに,冗長パターンについて元の集積デバイスレイアウトを解析させ,該冗長のパターンのうちの一以上を冗長のパターンを含むセルと置き換えさせる命令のシーケンスを含む,請求項10に記載の機械読み取り可能媒体。
【請求項17】 前記一以上の電子システムに,集積デバイスレイアウトを前記階層型データベースにインポートさせる前記命令のシーケンスは,それが実行されると,該一以上の電子システムに,単一のレイヤを含む該レイアウトの一以上の部分を,複数のレベルの階層型レイアウトを含む該レイアウトの一以上の部分へ変換させる命令のシーケンスを含む,請求項10に記載の機械読み取り可能媒体。
【請求項18】 前記レイアウト検証演算および前記光学プロセス修正(OPC)演算は,前記共有データ内の前記集積デバイスレイアウトの一部を表すエッジのセットに対して実行される,請求項10に記載の機械読み取り可能媒体。
【請求項19】 前記集積デバイスレイアウトは集積回路(IC)レイアウトを含む,請求項10に記載の機械読み取り可能媒体。」

イ 本件補正後の特許請求の範囲
本件補正により,特許請求の範囲の請求項1の記載は,次のとおり補正された。
「 【請求項1】 一以上のマスクを作成するために,集積デバイスレイアウトを表すデータを処理するようにコンピュータ上で実行される集積化検証および製造適応プログラムであって,
階層状の該集積デバイスレイアウトの少なくとも一部分を表すデータの階層型データベースを格納し維持するデータベースコンポーネントであって,該集積デバイスレイアウトの少なくとも一部分は,集積デバイスの対応する少なくとも一部分を表し,該データは,セルの階層にグループ化されており,各セルは,該集積デバイスの対応する少なくとも一部分において作成されるべき特徴を表す複数のエッジを定義し,該複数のエッジのうちセルの境界に位置するエッジであって,該集積デバイスの対応する少なくとも一部分において他のセルによって作成されるべき特徴に影響を与えるエッジは,該階層の1つのレベルに割り当てられ,これにより,該セルのエッジが他のセルによって作成されるべき近接する特徴と衝突しないようにされる,データベースコンポーネントと,
該集積デバイスレイアウトを表す該データに対して実行されるべき検証演算のリストを走査する走査手段であって,該検証演算は,該データが該集積デバイスレイアウトを正確に表すことを検証し,かつ,該データが所定のルールに従って生成されることを検証する,走査手段と,
該検証演算のリストの中にある複数の検証演算のうち該走査手段によって決定された1つの検証演算に対応する検査コンポーネントであって,該階層型データベース内の一以上の層から該データの少なくとも一部分を読み出し,該階層型データベースの一以上の層に検証されたデータを格納することによって,該集積デバイスレイアウトを表す該データの選択された検証演算を実行する検査コンポーネントと,
該階層型データベースの一以上の層からデータを読み出し,該階層型データベースの一以上の層に光学的プロセス修正(OPC)されたデータを格納することによって,該データに対して該光学的プロセス修正を実行する光学的プロセス修正(OPC)コンポーネントと
を含む,集積化検証および製造適応プログラム。」

ウ 補正の適否についての判断
本件補正が,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下,「平成18年法改正前特許法」という。)第17条の2第4項各号に規定される事項を満たすものであるか,検討する。

(ア)第1号(請求項の削除)について
本件補正後の請求項1に係る発明は,本件補正前のいずれの請求項に係る発明とも同一ではないから,少なくとも請求項1に関する本件補正は,本件補正前のいずれかの請求項の削除を目的とした補正を行った結果,本件補正前のいずれかの請求項の番号が変更されたものでないことは明らかである。
よって,本件補正は,平成18年法改正前特許法第17条の2第4項第1号(請求項の削除)に規定される事項を目的としたものではない。

(イ)第2号(特許請求の範囲の減縮)について
請求項1に関する本件補正は,その一部として「階層状の該集積デバイスレイアウトの少なくとも一部分を表すデータの階層型データベースを維持するデータベースコンポーネント」に「該集積デバイスレイアウトの少なくとも一部分は,集積デバイスの対応する少なくとも一部分を表し,該データは,セルの階層にグループ化されており,各セルは,該集積デバイスの対応する少なくとも一部分において作成されるべき特徴を表す複数のエッジを定義し,該複数のエッジのうちセルの境界に位置するエッジであって,該集積デバイスの対応する少なくとも一部分において他のセルによって作成されるべき特徴に影響を与えるエッジは,該階層の1つのレベルに割り当てられ,これにより,該セルのエッジが他のセルによって作成されるべき近接する特徴と衝突しないようにされる」点を付加したものである。
上記付加により,「データベースコンポーネント」が,単に「階層型データベースを維持する」だけのものから,「集積デバイスの対応する少なくとも一部分において他のセルによって作成されるべき特徴に影響を与えるエッジは,該階層の1つのレベルに割り当てられ,該セルのエッジが他のセルによって作成されるべき近接する特徴と衝突しないようにされる」という,データベースの維持とは概念上異なる,データの編集機能が追加されている。つまり,上記補正事項は,本件補正前の請求項1の発明特定事項である「データベースコンポーネント」を限定的に減縮したものではない。
また,本件補正前の請求項10は本件補正前の請求項1のカテゴリーを異にする発明であって,その発明特定事項は同様なものであり,その他の本件補正前の請求項2ないし9及び11ないし19のいずれにも「データベースコンポーネント」に関する発明特定事項は記載されていないから,請求項1に関する上記補正事項は,別の発明特定事項を有する他の請求項2ないし19係る発明を限定したものともいえないことは明らかである。
よって,本件補正は,本件補正前の請求項1ないし19のいずれかに係る発明を特定するために必要な事項を限定するものではないから,平成18年法改正前特許法第17条の2第4項第2号(特許請求の範囲の減縮)に規定される事項を目的としたものとはいえない。

(ウ)第3号(誤記の訂正)について
本件補正前の請求項の記載において誤記の存在は認められないから,本件補正は,平成18年法改正前特許法第17条の2第4項第3号(誤記の訂正)に規定される事項を目的としたものでないことは明らかである。

(エ)第4号(明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。))について
請求項1に関する本件補正は,その一部として「データベースコンポーネント」についての補正を行っているが,審判合議体が平成21年3月25日付けで通知した拒絶理由の中で,当該「データベースコンポーネント」に対しては記載不備の指摘はなされていないから,本件補正は,平成18年法改正前特許法第17条の2第3項第4号(明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。))に規定される事項を目的としたものでないことは明らかである。

エ 本件補正についてのむすび
以上のとおり,本件補正は,平成18年法改正前特許法第17条の2第4項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

オ 付記
なお,仮に,本件補正が,特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するとした場合について,本件補正後の特許請求の範囲の請求項に記載された発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか),以下に検討しておく。

(ア)審判合議体が通知した拒絶理由の要旨
審判合議体が平成21年3月25日付けで通知した拒絶理由のうち,その[理由]2.は,次のとおりのものである。
「2.この出願は,特許請求の範囲の記載が下記の点で,特許法第36条第4項及び第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしていない。


(1)請求項1の「該集積デバイスレイアウトを表す該データに対して実行されるべき検査のリストを走査する走査コンポーネント」及び,検査コンポーネントが「該走査コンポーネントによって決定される」点は,発明の詳細な説明に記載したものではない(上記理由1及び下記(2)参照)。

(2)請求項1の「該集積デバイスレイアウトを表す該データに対して実行されるべき検査のリストを走査する走査コンポーネント」とは,どのような事項を表しているのか,明確でない。
(特に,「検査のリスト」とは,どのようなものを表しているのか,請求項の記載からは,その内容を特定することができず,明確でない。例えば,ツールが有する検査コンポーネントのリストを表しているのか(さらにいえば,例えば,DRCコンポーネント,LVSコンポーネントといった,検査種類に対応したコンポーネントのリストを表しているのか,または検査コンポーネントをDRCコンポーネントとした場合,そのDRCコンポーネントの中でも,処理内容の異なるコンポーネントのリストを表しているのか等),それとも,検査コンポーネント内で用いられる検査ルールのリストを表しているのか(例えば,検査コンポーネントがDRCコンポーネントとした場合,DRCを行うために用いられる最小ライン幅,最小間隔などのパラメータリストを表しているのか等),それとも,それ以外の何かの「検査のリスト」を表しているのか,様々な想像をしてみることはできるが,何を表しているのかを明確に特定することはできない。
また,請求項の記載からは,その内容を特定することができないため,発明の詳細な説明の記載を参酌してみるが,段落【0023】に「一実施形態において,ツールは,必要な入力および出力を決定するために,実行される所望の演算のリストを調べる(時折「ルールデッキ(ruledeck)」と呼ばれる)。」との記載があるのみで,他に「検査のリスト」に関連すると認められる記載はない。発明の詳細な説明における「演算のリスト」が請求項1の「検査のリスト」に対応するものと想像されることは,理由1で指摘したとおりである。ここで,「演算のリスト」における「演算」とは,何を表しているのか,その「リスト」がどのようなものであるのか,段落【0023】以外に「演算のリスト」を説明する記載はなく,その内容は不明であると言わざるを得ない。よって,請求項1記載の「検査のリスト」とは,どのようなものであるのか,発明の詳細な説明を参酌しても,明確でない。
したがって,請求項1の「該集積デバイスレイアウトを表す該データに対して実行されるべき検査のリストを走査する走査コンポーネント」とは,どのような事項を表しているのか,明確でない。)

(以下,請求項1に関する指摘ではないので省略)」

上記拒絶理由の(1)に対する具体的な説明は,理由Aに記載された次のとおりのものである(なお,上記拒絶理由の(1)にある「上記理由1」参照は,「上記理由A」参照の誤記である。)。
「 当該手続補正における「該集積デバイスレイアウトを表す該データに対して実行されるべき検査のリストを走査する走査コンポーネント」及び,検査コンポーネントが「該走査コンポーネントによって決定される」とする点について,国内書面に最初に添付した明細書及び図面(以下,「当初明細書等」という)には記載されていない。

当該補正の根拠について,当該手続補正とともに提出された意見書においては何ら記載されていない。

上記補正の根拠について,当初明細書等の記載を探してみると,上記「検査のリスト」や「走査コンポーネント」との用語を用いた直接的な記載は認められない。
上記補正に関連すると考えられる記載を探してみると,段落【0023】に「一実施形態において,ツールは,必要な入力および出力を決定するために,実行される所望の演算のリストを調べる(時折「ルールデッキ(ruledeck)」と呼ばれる)。」との記載がある。当該記載を上記補正と照らし合わせてみると,請求項1の「検査のリスト」は,段落【0023】の「演算のリスト」を表すもの,「リストを調べる」ものが「走査コンポーネント」を表すものと想像することができる。
そこで,段落【0023】の「演算のリスト」が,どのようなものであるのかをみてみると,当初明細書等には,上記段落【0023】の記載以外,「演算のリスト」に関する記載は他になく,その意味するところが明確ではないが(下記理由2参照),少なくとも,「検査コンポーネント」が「演算のリストを調べる」ことによって「決定される」という事項は記載されておらず,また当該事項が当初明細書等の記載からみて自明な事項であるとはいえない。
また,段落【0023】には,「ツールは・・・演算のリストを調べる」と記載されており,「ツール」が「演算のリストを調べる」ことが明記されている。これに対し,段落【0021】には「個々のコンポーネントはツールと呼ばれない。」と明記されていることから,「演算リストを調べる」ものは「個々のコンポーネント」ではないことは明らかである。してみると,当初明細書等には,請求項1の「走査コンポーネント」という「コンポーネント」が「検査のリストを調べる」点について何ら記載されておらず,また当該事項が当初明細書等の記載からみて自明な事項であるとはいえない。

したがって,本願の請求項1に記載された「該集積デバイスレイアウトを表す該データに対して実行されるべき検査のリストを走査する走査コンポーネント」及び,検査コンポーネントが「該走査コンポーネントによって決定される」とする点は,当初明細書等に記載した事項の範囲内においてなされたものではない。」

(イ)審判請求人の主張
上記拒絶理由に対して,審判請求人は平成21年9月28日付け意見書で反論しているところ,そのうち,請求項1に関する主張は次のとおりのものである。
「4.平成21年3月25日付け拒絶理由通知書に記載の特許法第36条第4項及び第6項第1号及び第2号の規定に基づく拒絶理由について
(1)上述したように,補正後の請求項1において,「該集積デバイスレイアウトを表す該データに対して実行されるべき検証演算のリストを走査する走査手段であって,該検証演算は,該データが該集積デバイスレイアウトを正確に表すことを検証し,かつ,該データが所定のルールに従って生成されることを検証する,走査手段」,「該検証演算のリストの中にある複数の検証演算のうち該走査手段によって決定された1つの検証演算に対応する検査コンポーネント」と補正しました。この補正により,補正後の請求項1の記載が,発明の詳細な説明に記載したものであることを明確にしました。この補正により,この拒絶理由は解消されるべきです。

(2)上述したように,「検査のリスト」が,「検証演算のリスト」であることを明確にするとともに,「検証演算」がどのようなものであるのかを明確にしました。この補正により,この拒絶理由は解消されるべきです。

(請求項1に関する主張ではないので,省略)

以上の理由から,特許法第36条第4項及び第6項第1号及び第2号の規定に基づく拒絶理由は解消されるべきです。」

上記主張の中で「上述したように」とあるのは,平成21年9月28日付け意見書における「2.「補正の却下の決定の理由について」」の主張を指すものと認められるところ,その主張は次のとおりである。
「2.補正の却下の決定の理由について
補正後の請求項1において,「該集積デバイスレイアウトを表す該データに対して実行されるべき検証演算のリストを走査する走査手段であって,該検証演算は,該データが該集積デバイスレイアウトを正確に表すことを検証し,かつ,該データが所定のルールに従って生成されることを検証する,走査手段」,「該検証演算のリストの中にある複数の検証演算のうち該走査手段によって決定された1つの検証演算に対応する検査コンポーネント」と補正しました。

この補正の趣旨は,以下のとおりです。

第一に,「リスト」を走査するものが,個々のコンポーネントではないことを明確にしました。むしろ,「リスト」を走査する「走査手段」は,本願明細書の段落0023に記載の「ツール」に対応しています。この点を明確にするために,「走査コンポーネント」を「走査手段」に補正しました。

第二に,「検証演算」が,データが集積デバイスレイアウトを正確に表すことを検証し,かつ,データが所定のルールに従って生成されることを検証するものであることを明確にしました。この補正により,「検証演算」がどのようなものであるのかを明確にしました。

第三に,走査手段によって決定されるものが「検査コンポーネント」ではなく,「該検証演算のリストの中にある複数の検証演算のうちの1つの検証演算」であることを明確にしました。

これらの補正は,少なくとも,本願明細書の段落0006,0023,0025の記載に基づいています。

以上の理由から,補正の却下の理由はもはや存在しないというべきです。」

(ウ)当審合議体の判断
請求項1には「該集積デバイスレイアウトを表す該データに対して実行されるべき検証演算のリストを走査する走査手段であって,該検証演算は,該データが該集積デバイスレイアウトを正確に表すことを検証し,かつ,該データが所定のルールに従って生成されることを検証する,走査手段」及び「該検証演算のリストの中にある複数の検証演算のうち該走査手段によって決定された1つの検証演算に対応する検査コンポーネント」との記載があるが,「該データが該集積デバイスレイアウトを正確に表すことを検証し,かつ,該データが所定のルールに従って生成されることを検証する」「検証演算のリスト」及び「検査コンポーネント」が「検証演算のリストの中にある複数の検証演算のうち該走査手段によって決定された1つの検証演算に対応する」ものとする記載は,発明の詳細な説明に記載されたものではない。以下,詳細に,その理由を説明する。

まず,審判請求人は,当該記載について,上記意見書の中で「これらの補正は,少なくとも,本願明細書の段落0006,0023,0025の記載に基づいています。」と主張しているものの,具体的に,上記段落における,どのような記載事項に基づいた記載であるのか,明確にしていない。そこで,当審判合議体において,その記載事項について検討する。

審判請求人が根拠と主張している本願明細書の記載は次のとおりである。
「【0006】
一度レイアウトが製作されると,レイアウトは,ネットリストからレイアウトへの変換が適切に行われていること,および,製造された最終的なレイアウトが特定の幾何学的な設計規則に従うことを確実にするため検証される。これらのレイアウトの検証演算は,それぞれ,LVS(レイアウト対回路図)およびDRC(設計ルールチェック)と呼ばれることが多い。この検証工程を実行するために,いくつかの製品が製造されている。それらの製品は,California,San JoseのCadence Design Systemsから市販されているDRACULATM,California,FremontのAvant! Corporationから市販されているHERCULESTM,Oregon,WilsonvilleのMentor Graphicsから市販されているCALIBRE(登録商標)を含む。異常またはエラーがこれらの検査ツールによって発見されると,設計者は,レイアウトが,マスク製作およびウェハ製造のためにマスク工場へ送られる前に,欠陥を修復しなければならない。」

「【0023】
一実施形態において,ツールは,必要な入力および出力を決定するために,実行される所望の演算のリストを調べる(時折「ルールデッキ(ruledeck)」と呼ばれる)。次いで,ツールは,必要とされる入力レイヤを入力データベースから読み出し,そして,計算の間に満たされるべき空のエクスポートレイヤを生成する。さらに,いくつかの中間または「作業」レイヤが生成され得,一時的な計算結果を保持し得る。一実施形態において,全ての入力,出力および中間の結果は,「レイヤ」と呼ばれる図形が集まったものであり,レイアウトの一以上のセル内の幾何学的形状の集合体として定義される。この定義は,レイアウトを表すための周知のGDSIIデータベース標準フォーマットにおけるレイヤの定義と同じである。また,レイヤによって,階層データ表示が可能となる。」

「【0025】
LVSコンポーネント440,DRCコンポーネント450,ORCコンポーネント46
0,PSMコンポーネント420,OPCコンポーネント430,および,「その他」470によって示される任意の他のコンポーネント(単数または複数)は,階層型データベース410に格納された元のICレイアウト300を表す階層データに演算する。一実施形態において,LVSコンポーネント440,DRCコンポーネント450,ORCコンポーネント460,PSMコンポーネント420,および,OPCコンポーネント430は,元のICレイアウト300を記述するエッジの階層表示に演算する。様々なコンポーネントは,エッジ表示,および,階層型データベース410に含まれる中間レイヤの構造を用いて,それぞれの演算を実行する。」

上記記載の中で,「リスト」との文言は,段落【0023】に記載された「演算のリスト」のみである。よって,上記「検証演算のリスト」とは,段落【0023】に記載された「演算のリスト」を表すものと認められる。そして,当該「演算のリスト」に関する記載は,段落【0023】の「ツールは,必要な入力および出力を決定するために,実行される所望の演算のリストを調べる(時折「ルールデッキ(ruledeck)」と呼ばれる)。」というもののみである。当該記載において,「必要な入力および出力」,「所望の演算」とは何を表しているのか,「演算のリスト」とは具体的にどのような内容であって,「必要な入力および出力」の決定と,どのような関係にあるのか等が明確でないため,「演算のリスト」は,不明確なものといわざるを得ない。
上記のような不明確な「演算のリスト」に対し,請求項1では「該データが該集積デバイスレイアウトを正確に表すことを検証し,かつ,該データが所定のルールに従って生成されることを検証する」検証演算の「リスト」として記載しているが,上記段落【0023】の「演算」が請求項1に記載されたような「検証演算」を表すとの記載,及び上記段落【0023】の「演算のリスト」が,そのような「検証演算のリスト」を表すとの記載は存在しておらず,請求項1記載の「検証演算のリスト」は,発明の詳細な説明,特に上記段落【0023】記載には記載されておらず,その記載から自明な事項ともいえない。

また,上記3つの段落からは「演算のリスト」が,具体的にどのようなものであるのか,その「演算のリスト」を調べた結果,どのようなもの又はどのようなことが決定されるのか,それに応じて,どのような処理がなされるのかについては何ら記載されていないところ,請求項1には「該検証演算のリストの中にある複数の検証演算のうち該走査手段によって決定された1つの検証演算に対応する検査コンポーネント」との記載,つまり,「検証演算のリスト」とは,その中に「複数の検証演算」があるものであって,その中から「1つの検証演算」を決定し,それに対応した「検査コンポーネント」が実行されるものとする点,もしくは「1つの検証演算に対応する検査コンポーネント」を「決定」するものである点は,発明の詳細な説明,特に上記3つの段落には記載されておらず,その記載から自明な事項ともいえない。

なお,審判請求人は,「「該集積デバイスレイアウトを表す該データに対して実行されるべき検証演算のリストを走査する走査手段であって,該検証演算は,該データが該集積デバイスレイアウトを正確に表すことを検証し,かつ,該データが所定のルールに従って生成されることを検証する,走査手段」,「該検証演算のリストの中にある複数の検証演算のうち該走査手段によって決定された1つの検証演算に対応する検査コンポーネント」と補正しました。この補正により,補正後の請求項1の記載が,発明の詳細な説明に記載したものであることを明確にしました。この補正により,この拒絶理由は解消されるべきです。」と主張しているが,当該記載が,具体的に,発明の詳細な説明,特に上記段落【0006】,【0023】,【0025】のどの記載に基づくものであるのか明確にしておらず,また,上記したように,当該記載は発明の詳細な説明に記載されていないものと判断されるものであるから,審判請求人の主張を採用することはできない。

上記点の他,本件補正により,請求項1には「データベースコンポーネント」について,「該複数のエッジのうちセルの境界に位置するエッジであって,該集積デバイスの対応する少なくとも一部分において他のセルによって作成されるべき特徴に影響を与えるエッジは,該階層の1つのレベルに割り当てられ」との記載が加えられたが,「階層の1つのレベルに割り当てられ」との記載が,どのような技術事項を表しているのか,明確でない。
当該記載の根拠として,平成21年9月28日付け意見書において審判請求人は,段落【0034】ないし【0036】を挙げている。そこで,当該段落を参酌してみると,当該段落に「階層の1つのレベルに割り当てられ」との記載はないから,「階層の1つのレベルに割り当てられ」との記載は,発明の詳細な説明を参酌しても,どのような技術事項を表しているのか明確でない。また「階層の1つのレベルに割り当てられ」との記載がないのであるから,当該記載は,発明の詳細な説明に記載されたものではない。さらに,発明の詳細な説明に「階層の1つのレベルに割り当てられ」との記載がない以上,当該点において,発明の詳細な説明には,当業者が特許を受けようとする発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものとはいえない。

(エ)むすび
以上のとおり,本願は,少なくとも上記の点において,依然として特許請求の範囲の請求項1に記載された特許を受けようとする発明が明確でなく,また発明の詳細な説明に記載されたものでもなく,発明の詳細な説明に当業者が当業者が特許を受けようとする発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものともいえないから,特許法第36条第4項並びに第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしていない。

よって,仮に,本件補正が,特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するとしても,特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから,平成18年法改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成21年9月28日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので,本願の請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,平成18年1月11日付けで補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものであって,次のとおりのものである(上記「第2 2 ア」の再掲)。

「 【請求項1】 一以上のマスクを作成するために,集積デバイスレイアウトを表すデータを処理するようにコンピュータ上で実行される集積化検証および製造適応プログラムであって,
階層状の該集積デバイスレイアウトの少なくとも一部分を表すデータの階層型データベースを維持するデータベースコンポーネントと,
該集積デバイスレイアウトを表す該データに対して実行されるべき検査のリストを走査する走査コンポーネントと,
該走査コンポーネントによって決定される検査コンポーネントであって,該階層型データベース内の一以上の層から該データの少なくとも一部分を読み出し,該階層型データベースの一以上の層に検査されたデータを格納することによって,該集積デバイスレイアウトを表す該データの選択された検査を実行する検査コンポーネントと,
該階層型データベースの一以上の層からデータを読み出し,該階層型データベースの一以上の層に光学的プロセス修正(OPC)されたデータを格納することによって,該データに対して該光学的プロセス修正を実行する光学的プロセス修正(OPC)コンポーネントと
を含む,集積化検証および製造適応プログラム。」

2 審判合議体が通知した拒絶理由の要旨
審判合議体が平成21年3月25日付けで通知した拒絶理由の要旨は,上記「第2 2 オ(ア)」に記載したとおりである。

3 当審判合議体の判断
ア 上記拒絶理由における[理由]2.(1)で指摘した事項について
請求項1に記載された「検査のリスト」や「走査コンポーネント」について,本願明細書の記載を探してみても,当該用語を用いた直接的な記載は認められない。
よって直接的な記載以外で,上記用語に関連すると認められる本願明細書の記載を確認すると,段落【0023】に「一実施形態において,ツールは,必要な入力および出力を決定するために,実行される所望の演算のリストを調べる(時折「ルールデッキ(ruledeck)」と呼ばれる)。」との記載がある。
(なお,平成21年9月28日付け意見書において,当該記載に関連する記載として,段落【0006】,【0023】,【0025】が挙げられており,当該3つの段落を確認してみても,上記段落【0023】の記載以外に,「検査のリスト」や「走査コンポーネント」に関連する記載は認められない点は,上記「第2 2 オ(ウ)」に記載したとおりである。)
そこで,請求項1の「検査リスト」,「走査コンポーネント」と段落【0023】の記載とを照らし合わせてみると,請求項1の「検査のリスト」は段落【0023】の「演算のリスト」を表すし,請求項1の「走査する」ことは段落【0023】の「リストを調べる」ことを表し,請求項1の「走査コンポーネント」は段落【0023】の「ツール」を表すものと想像することができる。
ここで,上記段落【0023】の記載は「ツールは,・・・所望の演算のリストを調べる」と記載されており,かつ段落【0021】には「個々のコンポーネントはツールと呼ばれない。」と明記されていることから,本願明細書においては「所望の演算のリストを調べる」のは「コンポーネント」ではなく,「ツール」と解される。これに対し,請求項1では「該集積デバイスレイアウトを表す該データに対して実行されるべき検査のリストを走査する走査コンポーネント」なるものが記載されており,そのような「コンポーネント」は本願明細書,特に発明の詳細な説明の段落【0023】には記載されておらず,またその記載からみて自明な事項であるともいえない。
また「演算のリスト」に関連する記載は,当該段落【0023】以外に記載がなく,「必要な入力および出力を決定するために,実行される所望の演算のリスト」という記載の意味するところが明確ではないが,少なくとも「演算のリストを調べる」ことにより,請求項1に記載されたような「検査コンポーネント」が「該走査コンポーネントによって決定される」という事項は,本願明細書,特に発明の詳細な説明の段落【0023】には記載されておらず,またその記載からみて自明な事項であるともいえない。
したがって,本願の請求項1に記載された「該集積デバイスレイアウトを表す該データに対して実行されるべき検査のリストを走査する走査コンポーネント」及び,「検査コンポーネント」が「該走査コンポーネントによって決定される」とする点は,発明の詳細な説明に記載した事項ではないから,特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

イ 上記拒絶理由における[理由]2.(2)で指摘した事項について
請求項1の「該集積デバイスレイアウトを表す該データに対して実行されるべき検査のリストを走査する走査コンポーネント」において,「検査のリスト」,「リストを走査する」との記載が,どのようなものを表しているのか,請求項の記載からは,その内容を特定することができず,明確ではない。
また,当該「検査のリスト」,「リストを走査する」との記載は,上記アに記載したように,段落【0023】の「演算のリスト」,「リストを調べる」ことを表すものと想像することができるものの,段落【0023】の「一実施形態において,ツールは,必要な入力および出力を決定するために,実行される所望の演算のリストを調べる(時折「ルールデッキ(ruledeck)」と呼ばれる)。」という記載以外に記載はなく,当該記載のみからでは「演算のリスト」とは,どのようなものを表しているのか,その「リストを調べる」こととはどのような事項を表しているのか,リストを調べることで何が得られるのか等について明確ではない。
上記のように,「検査のリスト」,「リストを走査する」ことに関し,発明の詳細な説明,特に段落【0023】の記載を参酌しても,その技術的事項が明確でない以上,本願の発明の詳細な説明には,当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものとはいえない。
したがって,本願の請求項1に記載された「該集積デバイスレイアウトを表す該データに対して実行されるべき検査のリストを走査する走査コンポーネント」が明確でないため,請求項1に記載された特許を受けようとする発明が明確でなく,発明の詳細な説明に当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものとはいえないから,特許法第36条第4項及び第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

なお,審判請求人が平成21年9月28日付け意見書で主張している点は却下された平成21年9月28日付けの手続補正に基づくものであるから,採用することはできない。

4 むすび
以上のとおり,本願は,少なくとも上記の点において,依然として特許請求の範囲の請求項1に記載された特許を受けようとする発明が,発明の詳細な説明に記載したものでなく,またその記載が明確でなく,当業者が当該発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないから,特許法第36条第4項並びに第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしておらず,同法第49条第1項の規定に該当し,拒絶をすべきものである。
したがって,本願は,他の記載について検討するまでもなく拒絶すべきものである。
よって,原査定を取り消す,本願は特許をすべきものであるとする審判請求の趣旨は認められないから,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-12-22 
結審通知日 2009-12-24 
審決日 2010-01-07 
出願番号 特願2002-511227(P2002-511227)
審決分類 P 1 8・ 537- WZ (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 早川 学  
特許庁審判長 吉村 博之
特許庁審判官 廣川 浩
千葉 輝久
発明の名称 集積化検証および製造適応ツール  
代理人 安村 高明  
代理人 森下 夏樹  
代理人 山本 秀策  

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