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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1220208
審判番号 不服2008-19298  
総通号数 129 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-09-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-07-30 
確定日 2010-07-12 
事件の表示 特願2004-230009「インタフェースユニット、該インタフェースユニットを含むリソグラフィ投影装置、及びデバイス製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 3月 3日出願公開、特開2005- 57294〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件出願は平成16年8月6日(パリ条約による優先権主張 2003年8月7日、欧州特許庁)の出願であって、平成19年9月7日付けで拒絶理由が通知され、同年12月11日付けで手続補正書が提出され、平成20年1月4日付けで拒絶理由(いわゆる「最後の拒絶理由通知」である。)が通知され、同年4月8日付けで意見書及び手続補正書が提出されたが、同年4月8日付けの手続補正が同年4月30日付けの補正の却下の決定により却下されるとともに、同年1月4日付けの拒絶理由通知書に記載した理由により同年4月30日付けで拒絶査定がなされたため、これを不服として同年7月30日に本件審判請求がされるとともに、同日付けで特許請求の範囲について手続補正がなされたものである。

第2 補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成20年7月30日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正の内容
本件補正は、平成19年12月11日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲についての

「【請求項1】
対象物を移送するためのインタフェースユニットにおいて、
該インタフェースユニットが、対象物処理用のトラックと対象物露光用のリソグラフィ露光ユニットとの間で対象物を移送する第1移送経路を有し、
該インタフェースユニットが、また外部空間とリソグラフィ露光ユニットとの間で該対象物を移送する第2移送経路を備えており、該第2移送経路が外部空間への閉鎖可能な開口を通って延在しており、
該インターフェースユニットが、該対象物を清浄化するための浄化ステーションを含み、
該浄化ステーションは、
該対象物から汚染粒子を除去する浄化手段と、
該対象物上の該汚染粒子の存在を検出する汚染検出システムと、を備える、
対象物を移送するためのインタフェースユニット。
【請求項2】
対象物の前記第1移送経路が前記第2移送経路と接続されている、請求項1に記載のインタフェースユニット。
【請求項3】
前記閉鎖可能の移送開口が、前部開口汎用ポッドと接触するように構成された前部開口汎用ポッドインタフェースを含む、請求項1又は請求項2に記載のインタフェースユニット。
【請求項4】
前記インタフェースユニットが、リソグラフィ露光ユニットのロードロックに接続されるように構成されており、
該ユニットが、ロードロックによって閉鎖可能な第2開口を有する囲まれた真空空間を有し、
前記第1移送経路が、該第2開口を通って前記真空空間内へ延在している、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のインタフェースユニット。
【請求項5】
前記インタフェースユニットが、リソグラフィ露光ユニット及びトラックに接続されるように構成されている、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のインタフェースユニット。
【請求項6】
前記インタフェースユニットが、対象物(W)を移送するためのロボット式取り扱い器(30)を含む、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のインタフェースユニット。
【請求項7】
前記インタフェースユニットが、インタフェースユニット内に対象物を保持するための少なくとも1つのステーションを含む、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のインタフェースユニット。
【請求項8】
前記少なくとも1ステーションが、対象物(W)の一時保管用バッファステーション(41)を含む、請求項7に記載のインタフェースユニット。
【請求項9】
前記少なくとも1ステーションが、リソグラフィ露光ユニットに使用可能な基板(W)を供給する前に、対象物(W)に前処理を施すための前処理ステーション(43)を含む、請求項7または8に記載のインタフェースユニット。
【請求項10】
前記少なくとも1ステーションが、対象物(W)がリソグラフィ露光ユニットからインタフェースユニット(20)へ移送された後、対象物(W)に露光後の処理を施すための後処理ステーション(44)を含む、請求項7から請求項9までのいずれか1項に記載のインタフェースユニット。
【請求項11】
前記インタフェースユニット(20)が、リソグラフィ露光ユニットの制御ユニット及び/又はトラックの制御ユニットと通信するように構成された制御ユニット(51)を含む、請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載のインタフェースユニット。
【請求項12】
リソグラフィ投影装置であって、
放射投影ビーム(PB)を得るための放射系(Ex,IL)と、
所望パターンに従って投影ビーム(PB)にパターン付与するのに役立つパターニング素子(MA)のための支持構造物と、
基板(W)を保持するための基板テーブル(WT)と、
パターン付与されたビーム(PB)を基板(W)のターゲット区画(C)に投影するための投影系(PL)とを含む形式のものにおいて、
前記リソグラフィ投影装置が、請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載されたインタフェースユニットを含み、該インタフェースユニットがリソグラフィ露光ユニットと接続されていることを特徴とする、リソグラフィ投影装置。
【請求項13】
デバイス製造方法であって、
少なくとも部分的に放射線感受性材料層により被覆された対象物(W)を得る段階と、
放射系を使用して放射投影ビーム(PB)を得る段階と、
パターニング素子を使用して投影ビーム(PB)の横断面にパターンを付与する段階と、
放射線感受性材料層のターゲット区画(C)に、パターン付与された放射ビーム(PB)を投影する段階とを含む形式のものにおいて、
前記対象物(W)が、請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載されたインタフェースユニットを介して得られることを特徴とする、デバイス製造方法。」

の記載を、

「【請求項1】
対象物を移送するためのインタフェースユニットにおいて、
該インタフェースユニットが、対象物処理用のトラックと対象物露光用のリソグラフィ露光ユニットとの間で対象物を移送する第1移送経路を有し、
該インタフェースユニットが、また外部空間とリソグラフィ露光ユニットとの間で該対象物を移送する第2移送経路を備えており、該第2移送経路が外部空間への閉鎖可能な開口を通って延在しており、
該インターフェースユニットが、該対象物を清浄化するための浄化ステーションを含み、
該浄化ステーションは、
該対象物から汚染粒子を除去する浄化手段と、
該対象物上の該汚染粒子の存在を検出する汚染検出システムと、を備え、
該インターフェースユニットが、さらに該第2移送経路を介して該対象物を移送する交換ステーションを備え、
該交換ステーションは、該トラックが故障した場合、または、該トラックへの移送が不要な場合のいずれかのときに、該第2移送経路を介して該対象物を移送することによって該トラックをバイパスさせることを特徴とする、
対象物を移送するためのインタフェースユニット。
【請求項2】
対象物の前記第1移送経路が前記第2移送経路と接続されている、請求項1に記載のインタフェースユニット。
【請求項3】
前記閉鎖可能の移送開口が、前部開口汎用ポッドと接触するように構成された前部開口汎用ポッドインタフェースを含む、請求項1又は請求項2に記載のインタフェースユニット。
【請求項4】
前記インタフェースユニットが、リソグラフィ露光ユニットのロードロックに接続されるように構成されており、
該ユニットが、ロードロックによって閉鎖可能な第2開口を有する囲まれた真空空間を有し、
前記第1移送経路が、該第2開口を通って前記真空空間内へ延在している、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のインタフェースユニット。
【請求項5】
前記インタフェースユニットが、リソグラフィ露光ユニット及びトラックに接続されるように構成されている、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のインタフェースユニット。
【請求項6】
前記インタフェースユニットが、対象物(W)を移送するためのロボット式取り扱い器(30)を含む、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のインタフェースユニット。
【請求項7】
前記インタフェースユニットが、インタフェースユニット内に対象物を保持するための少なくとも1つのステーションを含む、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のインタフェースユニット。
【請求項8】
前記少なくとも1ステーションが、対象物(W)の一時保管用バッファステーション(41)を含む、請求項7に記載のインタフェースユニット。
【請求項9】
前記少なくとも1ステーションが、リソグラフィ露光ユニットに使用可能な基板(W)を供給する前に、対象物(W)に前処理を施すための前処理ステーション(43)を含む、請求項7または8に記載のインタフェースユニット。
【請求項10】
前記少なくとも1ステーションが、対象物(W)がリソグラフィ露光ユニットからインタフェースユニット(20)へ移送された後、対象物(W)に露光後の処理を施すための後処理ステーション(44)を含む、請求項7から請求項9までのいずれか1項に記載のインタフェースユニット。
【請求項11】
前記インタフェースユニット(20)が、リソグラフィ露光ユニットの制御ユニット及び/又はトラックの制御ユニットと通信するように構成された制御ユニット(51)を含む、請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載のインタフェースユニット。
【請求項12】
リソグラフィ投影装置であって、
放射投影ビーム(PB)を得るための放射系(Ex,IL)と、
所望パターンに従って投影ビーム(PB)にパターン付与するのに役立つパターニング素子(MA)のための支持構造物と、
基板(W)を保持するための基板テーブル(WT)と、
パターン付与されたビーム(PB)を基板(W)のターゲット区画(C)に投影するための投影系(PL)とを含む形式のものにおいて、
前記リソグラフィ投影装置が、請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載されたインタフェースユニットを含み、該インタフェースユニットがリソグラフィ露光ユニットと接続されていることを特徴とする、リソグラフィ投影装置。
【請求項13】
デバイス製造方法であって、
少なくとも部分的に放射線感受性材料層により被覆された対象物(W)を得る段階と、
放射系を使用して放射投影ビーム(PB)を得る段階と、
パターニング素子を使用して投影ビーム(PB)の横断面にパターンを付与する段階と、
放射線感受性材料層のターゲット区画(C)に、パターン付与された放射ビーム(PB)を投影する段階とを含む形式のものにおいて、
前記対象物(W)が、請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載されたインタフェースユニットを介して得られることを特徴とする、デバイス製造方法。」

と補正するものである。

2 本件補正の適否の検討
(1)目的要件についての検討
本件補正は、本件補正前の請求項1?13の「インターフェースユニット」を、本件補正後の請求項1?13の「該インターフェースユニットが、さらに該第2移送経路を介して該対象物を移送する交換ステーションを備え、」「該交換ステーションは、該トラックが故障した場合、または、該トラックへの移送が不要な場合のいずれかのときに、該第2移送経路を介して該対象物を移送することによって該トラックをバイパスさせること」と補正するものであるから、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下単に「特許法」という。)第17条の2第4項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第4項の規定に適合する。

(2)独立特許要件についての検討
上記(1)で検討したとおり、本件補正のうち本件補正前の請求項1を本件補正後の請求項1とする補正の目的は、特許法第17条の2第4項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」に該当する。
そこで、本件補正が特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項に規定する要件を満たすか否か、すなわち、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるか否かを検討する。

ア 本件補正発明の認定
本件補正発明は、本件補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定される次のとおりのものと認める。

「対象物を移送するためのインタフェースユニットにおいて、
該インタフェースユニットが、対象物処理用のトラックと対象物露光用のリソグラフィ露光ユニットとの間で対象物を移送する第1移送経路を有し、
該インタフェースユニットが、また外部空間とリソグラフィ露光ユニットとの間で該対象物を移送する第2移送経路を備えており、該第2移送経路が外部空間への閉鎖可能な開口を通って延在しており、
該インターフェースユニットが、該対象物を清浄化するための浄化ステーションを含み、
該浄化ステーションは、
該対象物から汚染粒子を除去する浄化手段と、
該対象物上の該汚染粒子の存在を検出する汚染検出システムと、を備え、
該インターフェースユニットが、さらに該第2移送経路を介して該対象物を移送する交換ステーションを備え、
該交換ステーションは、該トラックが故障した場合、または、該トラックへの移送が不要な場合のいずれかのときに、該第2移送経路を介して該対象物を移送することによって該トラックをバイパスさせることを特徴とする、
対象物を移送するためのインタフェースユニット。」

イ 引用刊行物の記載事項
原査定の拒絶理由に引用され、本件出願の優先日前に頒布された刊行物である特開平9-74127号公報(以下「引用例」という。)には、以下のa?oの記載が図面とともにある。

a 「【請求項1】 フォトリソグラフィ工程のうち、露光処理前後の各種の基板処理を行なうための処理ユニットと、露光処理を行なうための露光ユニットとの間で基板の搬送(受渡し)を行なうための基板搬送装置において、
複数枚の基板を一時収納しておける複数の収納部を備えた基板収納部と、
前記露光ユニットとの間で基板の受渡しを行なうとともに、前記基板収納部の任意の収納部に対して基板の収納/取り出しを行なう基板搬送手段と、
を備え、かつ、
前記処理ユニット内に設けられた処理ユニット内基板搬送手段が、前記基板収納部の任意の収納部に対して基板の収納/取り出しを行なうように構成したことを特徴とする基板搬送装置。」

b 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体ウエハや液晶表示器用のガラス基板などの基板に対してフォトリソグラフィ工程の各基板処理(レジスト塗布、プリベーク、露光、現像、ポストベークなど)を行なうための基板処理装置における基板搬送装置に係り、特には、フォトリソグラフィ工程のうち、露光処理前後のレジスト塗布、ベーク、現像などの各種の基板処理を行なうための処理ユニットと、露光処理を行なうための露光ユニットとの間で基板の搬送(受渡し)を行なうための基板搬送装置に関する。」

c 「【0002】
【従来の技術】基板に対してフォトリソグラフィ工程の各種の基板処理を行なうための基板処理装置においては、従来、フォトリソグラフィ工程のうち、露光処理前後の各種の基板処理を行なうための処理ユニットと、露光処理を行なうための露光ユニットとに分けられて構成されている。
【0003】処理ユニットは、レジスト塗布、プリベークなどの露光処理前の各基板処理や、現像、ポストベークなどの露光処理後の各基板処理を行なうためのスピンコーター、スピンディベロッパー、ベークユニット(ホットプレートやクールプレートを含んでいる)などの各種装置や、処理ユニット内で基板の搬送などを行なう基板搬送ロボットなどを一体的にユニット化して構成している。
【0004】露光ユニットは、露光を行なうための、例えば、縮小投影露光機(ステッパ)などの露光機や、露光機での露光パターンの焼き付けのための位置決めを行なうアライメント機構、露光ユニット内で基板の搬送などを行なう基板搬送ロボットなどを一体的にユニット化して構成している。
【0005】この装置による処理手順は、まず、処理ユニットで露光処理前の基板処理が行なわれ、次に、露光ユニットで露光処理が行なわれ、そして、再び処理ユニットで露光処理後の基板処理が行なわれる。従って、処理ユニットと露光ユニットとの間で基板を搬送(受渡し)する必要があり、この種の装置にあっては、これらユニット間で基板の搬送を行なうための基板搬送装置を備えている。この基板搬送装置は、従来、基板搬送ロボットや基板受渡し台、基板搬入台、基板搬出台、バッファ部などを一体的にユニット化して構成している。このユニットはインターフェースユニット(以下、「IFユニット」という)と呼ばれている。」

d 「【0027】本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、処理ユニットでの処理時間と露光ユニットでの処理時間との時間差に対応しつつ、インターフェースユニット内での基板搬送自体の高速化を図った基板搬送装置を提供することを目的とする。」

e 「【0028】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。すなわち、本発明は、フォトリソグラフィ工程のうち、露光処理前後の各種の基板処理を行なうための処理ユニットと、露光処理を行なうための露光ユニットとの間で基板の搬送(受渡し)を行なうための基板搬送装置において、複数枚の基板を一時収納しておける複数の収納部を備えた基板収納部と、前記露光ユニットとの間で基板の受渡しを行なうとともに、前記基板収納部の任意の収納部に対して基板の収納/取り出しを行なう基板搬送手段と、を備え、かつ、前記処理ユニット内に設けられた処理ユニット内基板搬送手段が、前記基板収納部の任意の収納部に対して基板の収納/取り出しを行なうように構成したことを特徴とするものである。
【0029】
【作用】本発明の作用は次のとおりである。まず、処理ユニットから露光ユニットへの露光前基板の搬送は、処理ユニット内基板搬送手段が、露光前基板を基板収納部の任意の収納部に収納し、次に、基板処理装置内の基板搬送手段が、基板収納部からその基板を取り出し露光ユニットに引き渡すことで行なわれる。露光ユニットでの露光処理が長引き、以後に処理ユニットから送る込まれる基板を露光ユニットに受け渡せない場合には、処理ユニット内基板搬送手段は、露光前基板を別の収納部へ順次収納されていき、基板搬送手段は露光ユニットへの露光前基板の引渡しが可能となると、基板収納部から露光前基板を取り出し露光ユニットへ引き渡していく。
【0030】また、露光ユニットから処理ユニットへの露光済基板の搬送は、基板搬送装置内の基板搬送手段が露光ユニットから露光済基板を受け取りその基板を基板収納部の任意の収納部に収納し、処理ユニット内基板搬送手段が基板収納部からその基板を取り出し処理ユニットに取り込むことで行なわれる。この場合も、処理ユニットへの基板の取込みタイミングよりも早いタイミングで露光済基板が露光ユニットから搬出されてくると、基板搬送手段は、基板収納部の別の収納部に基板を一時収納していき、処理ユニット内基板搬送手段は、露光済基板の処理ユニットへの取込みタイミングごとに、基板収納部から露光済基板を順次取り出し処理ユニットに取り込んでいく。」

f 「【0031】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の一実施例を説明する。
<第1実施例>図1は、本発明の第1実施例に係る基板搬送装置を備えた基板処理装置全体の構成を示す平断面図であり、図2は、第1実施例装置のバッファ部付近の概略構成を示す斜視図、図3は、第1実施例装置を露光ユニット側から見た正面図である。図1以降の各図には、位置関係を明確にするためにXYZ直交座標系を付している。
【0032】なお、本実施例および後述する第2実施例や各種の変形例は、半導体ウエハ(基板)に対してフォトリソグラフィ工程の各基板処理を行なうための基板処理装置に本発明を適用した場合を例に採っているが、本発明は、液晶表示器用のガラス基板などの各種の基板の基板処理装置にも同様に適用することができる。
【0033】図1に示すように、本発明に係る基板搬送装置が適用される基板処理装置は、インデクサ1、処理ユニット2、インターフェースユニット(IFユニット)3、露光ユニット4などを備えて構成されている。
【0034】インデクサ1は、キャリアの自動搬送装置(Auto Guided Vehicle :以下「AGV」という)5とのキャリアCの受渡しを行なうための搬入出テーブル11や、搬入出テーブル11に載置されているキャリアCと後述する処理ユニット2内の基板搬送ロボット23との間の基板Wの受渡しを行なうための基板搬入出ロボット12などを備えて構成されている。
【0035】処理ユニット2は、第1の装置配置部21と第2の装置配置部22と基板搬送ロボット23の搬送経路24とを備えている。第1の装置配置部21には、図1のX軸方向に沿って、レジスト塗布を行なうためのスピンコーターSCや、現像を行なうためのスピンディベロッパーSDなどがそれぞれ複数台配設されている。また、第2の装置配置部22には、プリベークやポストベークなどを行なうためのベークユニットBUや、複数台のエッジ露光部EEWなどが配設されている。ベークユニットBUは、基板Wを所定温度に加熱するためのベーク装置と、加熱された基板Wを常温付近に冷却するための冷却装置とを備え、これらベーク装置と冷却装置とがそれぞれ複数台、X軸方向および鉛直方向(X、Y軸に直交するZ軸方向であって図1の紙面に垂直方向)に2次元的に配設されて構成されている。」

g 「【0039】この処理ユニット2内の基板搬送ロボット23は、本発明における処理ユニット内基板搬送手段に相当する。」

h 「【0041】IFユニット3は、本発明に係る基板搬送装置に相当する部分であり、図1ないし図3に示すように、バッファ部32と基板搬送ロボット33と基板搬入台34と基板搬出台35とを一体的にユニット化して構成されている。また、本実施例では、IFユニット3内に、第1、第2のカセット36a、36bをそれぞれセットしておくための2個のテーブル台37a、37bも備えられている。
【0042】バッファ部32は、上記処理ユニット2内の基板搬送ロボット23のX軸方向の移動経路の延長線と、後述するIFユニット3内の基板搬送ロボット33のX軸方向(当審注:「X軸方向」は「Y軸方向」の誤記と認める。)の移動経路の延長線との交差する位置に配置され、IFユニット3の内則面に支持されている。このバッファ部32には、複数個の収納棚32aがZ軸(鉛直)方向に多段状に積層形成されている。各収納棚32aは、露光ユニット4側の側壁32bに処理ユニット2側に向けて張り出して設けられた一対の支持腕32cに複数個の基板支持ピン32dが鉛直方向に固定立設されて構成され、基板支持ピン32dに基板Wが載置されてその基板Wが収納棚32aに収納される。また、各収納棚32aは、上記理ユニット2内の基板搬送ロボット23および、後述するIFユニット3内の基板搬送ロボット33に向く面が開口されていて、これら各基板搬送ロボット23、33による基板Wの収納/取り出しが行なえるように構成している。このバッファ部32は本発明における基板収納部に相当し、収納棚32aは本発明における基板収納部の収納部に相当する。」

i 「【0053】上記構成によってこの基板搬送ロボット33は、バッファ部32の任意の収納棚32aに対する基板Wの収納/取り出しや、基板搬入台34への基板Wの載置、基板搬出台35からの基板Wの取り出し、後述するカセット36a、36bに対する基板Wの収納/取り出しなどを行なう。」

j 「【0058】上記IFユニット3内の基板搬送ロボット33は本発明における基板搬送装置内の基板搬送手段に相当する。」

k 「【0061】第1、第2のカセット36a、36bには、複数枚の基板Wを水平姿勢で収納しておくための複数個の収納棚(図示せず)が設けられている。これらカセット36a、36bは、例えば、パイロット基板(露光テスト用の基板)を収納して露光テストする場合に用いられたり、IFユニット3をインデクサ1として使用する場合に用いられる。
【0062】なお、「IFユニット3をインデクサ1として使用する場合」とは、本実施例装置のインデクサ1や処理ユニット2を経ないで本実施例装置の露光ユニット4で露光処理のみを行なう場合であって、他の処理装置で露光処理の直前までの処理が施された基板(露光前基板)Wをカセット36aや36bに収納してテーブル台37aや37bにセットし、IFユニット3内の基板搬送ロボット33がこのカセット36aや36bから露光前基板Wを露光ユニット4に順次搬送して露光処理を行なわせ、露光済基板Wを再びカセット36aや36bに収納してこのカセット36aや36bをIFユニット3から取り出し、他の処理装置で露光工程の後に施す処理をこれら露光済基板Wに施すように使用する場合をいう。
【0063】また、カセット36aや36bのテーブル台37aや37bに対するセットや取り出しは、IFユニット3の一側面に設けられた扉38(図1参照)を開いて、そこから作業者が行なう。」

l 「【0064】露光ユニット4は、露光を行なうための、例えば、縮小投影露光機(ステッパ)などの露光機や、露光機での露光パターンの焼き付けのための位置決めを行なうアライメント機構、露光ユニット4内で基板Wの搬送などを行う基板搬送ロボット(いずれも図示せず)などを一体的にユニット化して構成している。なお、この露光ユニット4内の基板搬送ロボットは、IFユニット3内の基板搬入台34に載置された露光前基板Wを露光ユニット4内に取り込むとともに、露光ユニット4での露光処理が終了した露光済基板Wを露光ユニット4から搬出してIFユニット3内の基板搬出台35に載置する動作も行なう。この露光ユニット4内の基板搬送ロボットによる基板搬入台34からの基板Wの取り出しや基板搬出台35への基板Wの載置の動作は、上記図5で説明したIFユニット3内の基板搬送ロボット33による基板搬入台34からの基板Wの取り出しや基板搬出台35への基板Wの載置の動作と同様の動作で行なわれる。」

m 「【0072】次に、上記構成を有する基板処理装置の動作を説明する。なお、以下ではIFユニット3で通常処理がされる場合の動作を説明する。
【0073】この場合の処理の一例を以下に示す。
[01] 搬入出テーブル11へのキャリアCのセット
[02] キャリアCから処理ユニット2内の基板搬送ロボット23への処理前基板Wの受渡し
[03] ベーク装置BAによるベーク
[04] 冷却装置CAによる冷却
[05] スピンコーターSCによるレジスト塗布
[06] ベーク装置BAによるベーク
[07] 冷却装置CAによる冷却
[08] エッジ露光部EEWによるエッジ露光
[09] ベーク装置BAによるベーク
[10] 冷却装置CAによる冷却
[11] 処理ユニット2から露光ユニット4への露光前基板Wの受渡し
[12] 露光ユニット4による露光処理
[13] 露光ユニット4から処理ユニット2への露光済基板Wの受渡し
[14] スピンディベロッパーSDによる現像
[15] ベーク装置BAによるベーク
[16] 冷却装置CAによる冷却
[17] キャリアCへの処理済基板Wの収納
[18] 搬入出テーブル11からのキャリアCの取り出し
【0074】上記[01]、[18]はAGV5により、[02]、[17]はインデクサ1により、[03]?[10]及び[14]?[16]は処理ユニット2により、[11]、[13]はIFユニット3により、[12]は露光ユニット4によりそれぞれ実行される。
【0075】まず、AGV5は、この基板処理装置で行なわれる一連の処理を受ける前の処理前基板Wが複数枚収納されたキャリアCを前工程から搬送してきて、インデクサ1の搬入出テーブル11の所定位置に載置する([01])。
【0076】次に、インデクサ1の基板搬入出ロボット12は、搬入出テーブル11に載置されたキャリアCから処理前基板Wを1枚ずつ取り出し、処理ユニット2内の基板搬送ロボット23に順次引き渡していく([02])。
【0077】そして、露光処理が行なわれるまでの各基板処理が処理ユニット2内で行なわれる([03]?[10])。具体的には、処理ユニット2内の基板搬送ロボット23は、インデクサ1から受け取った処理前基板Wを、まず、ベーク装置BAに搬入し、そこでその基板Wを所定温度に加熱(ベーク)し、ベークが終了すると、基板搬送ロボット23はその基板Wをベーク装置BAから搬出する([03])。
【0078】処理ユニット2には、処理前基板Wが順次搬入されるとともに、後述するように露光済基板Wも順次搬入されてくる。従って、各段階([03]、[06]、[09]、[15])におけるベーク処理が競合することもあるが、本実施例の処理ユニット2では、ベーク装置BAを複数台備えていて、これら複数枚の基板Wに対する各段階のベーク処理を並行して行なえるようにし、この処理ユニット2内の処理のスループットを向上させ、露光ユニット4での処理時間(平均露光処理時間)が高速化されてもそれに追従させるように工夫している。なお、ベーク装置BAの使用は、スループットが最適となる使い方を予め実験的にまたは理論的に決め、処理ユニット制御部6bはこの手順でベーク装置BAを使用する。
【0079】また、本実施例の処理ユニット2では、後述する冷却装置CAやスピンコーターSC、エッジ露光部EEW、スピンディベロッパーSDもそれぞれ複数台備えていて(図1など参照)、この処理ユニット2内の処理のスループットの向上に寄与させている。これら各装置CA、SC、EEW、SDの使用の仕方も上記ベーク装置BAの使用の仕方と同様にスループットが最適となるように制御される。さらに、処理ユニット2内の各装置BA、CA、SC、EEW、SDの間の基板搬送ロボット23による基板Wの搬送もスループットが最適となるように制御され、処理ユニット2内のスループットの向上が図られている。
【0080】基板搬送ロボット23はベーク処理済の基板Wを冷却装置CAに搬入してそこで加熱された基板Wを常温付近まで冷却し([04])、冷却装置CAから搬出した冷却済の基板WをスピンコーターSCに搬入してそこでレジスト塗布させる([05])。そして、基板搬送ロボット23はレジスト塗布後の基板Wを再びベーク装置BA、冷却装置CAの順に搬入してベーク処理、冷却処理を行なわせ([06]、[07])、次に、エッジ露光部EEWに搬入してそこでエッジ露光を行なわせ([08])、エッジ露光済の基板Wを再度ベーク装置BA、冷却装置CAの順に搬入してベーク処理、冷却処理を行なわせる([09]、[10])。[10]の冷却が終了した基板W(このシーケンスの場合、露光前基板Wになる)は、基板搬送ロボット23によりIFユニット3内のバッファ部32の任意の収納棚32aに収納される。なお、基板搬送ロボット23による露光前基板Wのバッファ部32の任意の収納棚32aへの収納のタイミングは、後述する露光ユニット4による平均露光処理時間に基づき決められ、所定時間(例えば、40秒?30秒)ごとに露光前基板Wがバッファ部32の任意の収納棚32aに収納される。
【0081】バッファ部32の任意の収納棚32aに収納された露光前基板Wは、IFユニット3内の基板搬送ロボット33によって取り出され、基板搬入台34に載置される([11])。なお、例えば、露光ユニット4での露光処理に遅れが生じて、基板搬入台34に、前に載置した露光前基板Wが露光ユニット4に取り込まれずに依然基板搬入台34に載置された状態であると、バッファ部32に新たに収納された露光前基板Wを基板搬入台34に載置することができないが、本実施例では、処理ユニット2内の基板搬送ロボット23とIFユニット3内の基板搬送ロボット33との間の基板Wの受渡しはバッファ部32を介して行ない、このバッファ部32には複数枚の基板Wを収納しておける複数個の収納棚32aが備えられている。従って、処理ユニット2内の基板搬送ロボット23が前にバッファ部32に収納した露光前基板Wがバッファ部32に収納されたままであると、処理ユニット2内の基板搬送ロボット23は今回搬送してきた露光前基板Wをバッファ部32の別の収納棚32aに順次収納していくことができるので、処理ユニット2からIFユニット3への露光前基板Wの送り出しを所定のタイミングごとにスムーズに行え、処理ユニット2での処理の遅れを引き起こすなどの不都合がない。一方、IFユニット3内の基板搬送ロボット33は、基板搬入台34の空き状態に応じて、バッファ部32の収納棚32aから露光前基板Wを順次取り出し基板搬入台34に載置することができるので、露光ユニット4での露光処理時間の変動に影響されることなく、IFユニット3内での露光前基板Wの搬送に停滞を来すことがない。なお、この場合のバッファ部32の使用管理の詳述は後述する。
【0082】基板搬入台34に載置された露光前基板Wは、露光ユニット4内の基板搬送ロボットにより露光ユニット4内に取り込まれ、アライメント機構に引き渡されてそこで位置決め処理が行なわれ、位置決めされた状態で露光機に渡され、所定の露光パターンが焼き付けられる。そして、露光処理が終了した露光済基板Wは、露光ユニット4内の基板搬送ロボットによって露光ユニット4内から搬出されIFユニット3内の基板搬出台35に載置される([12])。
【0083】基板搬出台35に載置された露光済基板Wは、IFユニット3内の基板搬送ロボット33によって取り出され、バッファ部32の任意の収納棚32aに収納される([13])。なお、例えば、露光ユニット4による露光処理時間に長短が生じ、露光ユニット4からの露光済基板Wの搬出のタイミングと、処理ユニット2への処理済基板Wの取込みのタイミングにずれが生じるなどにより、基板搬出台35に露光済基板Wが載置されたとき、処理ユニット2内の基板搬送ロボット23が露光済基板Wを処理ユニット2内に取り込むタイミングでなかったとしても、IFユニット3内の基板搬送ロボット33は基板搬出台35に露光済基板Wが載置されるとその基板Wをバッファ部32の空き状態の収納棚32aに収納することができる。また、バッファ部32には複数個の収納棚32aが備えられているので、その他の露光前基板Wや露光済基板Wが収納されていても、別の空き状態の収納棚32aに今回の露光済基板Wを収納することができる。従って、IFユニット3内での露光済基板Wの搬送が停滞することがなく、基板搬出台35に露光済基板Wが載置されると速やかにその基板Wを基板搬出台35から取り出すことができ、基板搬出台35に露光済基板Wを長時間載置させておくことがなく、露光ユニット4内の基板搬送ロボットは、露光済基板Wを速やかに基板搬出台35に載置することができ、露光ユニット4からの露光済基板Wの搬出に待ちがでて、次の露光前基板Wの露光ユニット4への取込みが遅れるなどの不都がない。なお、この場合のバッファ部32の使用管理の詳述も後述する。
【0084】処理ユニット2内の基板搬送ロボット23は、露光済基板Wの処理ユニット2への取込みのタイミングごとに、バッファ部32に収納された露光済基板Wを取り出し、スピンディベロッパーSDに搬入させそこで現像処理を行わせ、露光ユニット4の露光機で焼き付けられた露光パターンおよび、エッジ露光部EEWで露光された基板Wのエッジ部が現像除去される([14])。なお、基板搬送ロボット23による露光済基板Wのバッファ部32からの取り出しのタイミングも、後述する露光ユニット4による平均露光処理時間に基づき決められ、所定時間(例えば、40秒?30秒)ごとに露光済基板Wがバッファ部32から取り出される。
【0085】現像済の基板Wは、基板搬送ロボット23によりベーク装置BA、冷却装置CAの順に搬入され、ベーク処理、冷却処理が順に施される([15]、[16])。冷却済の基板(このシーケンスの場合の処理済基板)Wは、基板搬送ロボット23により、インデクサ1内の基板搬入出ロボット12に順次引き渡され、基板搬入出ロボット12は受け取った処理済基板Wを搬入出テーブル11の所定位置に待機されている空のキャリアCに順次収納していく([17])。そして、処理済基板Wが所定枚数収納されたキャリアCは、AGV5によって搬入出テーブル11から取り出され、後工程への搬送されていく([18])。」

n 「【0108】上述したように、本実施例によれば、バッファ部32を備えているので、処理ユニット2での処理時間と露光ユニット4での処理時間とに時間差が生じても、それに柔軟に対応して、処理ユニット2からIFユニット3への露光前基板Wの送り出しや露光ユニット4からIFユニット3への露光済基板Wの送り出しなどを速やかに行え、処理ユニット2と露光ユニット4との間の基板Wの受渡しの停滞などが生じるのを防止できる。
【0109】また、本実施例によれば、バッファ部32を、処理ユニット内2の基板搬送ロボット23とIFユニット3内の基板搬送ロボット33との受渡しポジションとして兼用しているので、IFユニット3内の基板搬送ロボット33の基板Wの受渡しのポジション数が少なくなり、IFユニット3内の基板Wの搬送動作の高速化を図ることができる。さらに、本実施例によれば、IFユニット3内の基板搬送ロボット33は、バッファ部32と、基板搬入台34および基板搬出台35との間で基板Wを搬送すればよく、IFユニット3内の基板搬送ロボット33はバッファ部32や基板搬入台34、基板搬出台35などを避けるように移動する必要がなく、IFユニット3内の基板搬送ロボット33の動作がスムーズになされる。従って、IFユニット3内における基板搬送を、高速化された露光ユニット4やそれに追従させた処理ユニット2に追従させて高速化することができる。」

o 「【0117】次に、IFユニット3で特殊処理を行なう場合の動作を簡単に説明する。作業者は、例えば、本基板処理装置の処理ユニット2以外の他の処理装置で露光処理を受ける直前までの処理が施された露光前基板Wを1枚または複数枚、カセット36aや36bに収納して、IFユニット3の扉38を開いてそのカセット36aや36bをテーブル台37aや37bにセットし扉38を閉じる。そして、操作部6fから特殊処理を設定する。
【0118】これにより、IFユニット3では、基板搬送ロボット33がカセット36a、36bから露光前基板Wを1枚取り出し、基板搬入台34に搬送して載置する。この基板Wは露光ユニット4内に取り込まれ、露光処理が施される。基板搬入台34が空き状態になると、基板搬送ロボット33はカセット36a、36bから次の露光前基板Wを1枚取り出し、基板搬入台34に搬送して載置する。また、露光処理が終了して基板搬出台35に露光済基板Wが載置されると、基板搬送ロボット33はその露光済基板Wを基板搬出台35から取り出し、カセット36a、36bの所定の収納場所(その基板Wが最初に収納されていた収納場所)に収納する。上記動作を繰り返し、全ての基板Wの露光処理が終了してカセット36a、36bに収納されると、作業者は扉38を開いてそのカセット36a、36bをIFユニット3から取り出し扉38を閉じる。そして、露光済基板Wが収納されたそのカセット36a、36bを他の処理装置に運びそこで露光処理後の各種基板処理(現像やポストベークなど)を行なせる。なお、上記動作において、露光ユニット4での露光処理時間に長短が生じても、基板搬送ロボット33は、基本的に基板搬入台34が空き状態になると、次の露光前基板Wをカセット36a、36bから取り出し基板搬入台34に搬送して載置し、また、基板搬出台35に露光済基板Wが載置されると、その基板Wを取り出してカセット36a、36bに収納するように動作するので特に問題はない。
【0119】また、パイロット基板Wを1枚または複数枚、カセット36aや36bに収納して、露光ユニット4で露光処理を施し、露光処理後の基板Wを用いて露光状態を試験(露光テスト)を行なう場合も、IFユニット3内では上記と同様に動作する。」

ウ 引用例に記載された発明の認定
引用例の上記記載事項a?oから、引用例には次の発明が記載されていると認めることができる。

「レジスト塗布を行なうためのスピンコーターや現像を行なうためのスピンディベロッパーなどが配設された第1の装置配置部とプリベークやポストベークなどを行なうためのベークユニットや複数台のエッジ露光部EEWなどが配設された第2の装置配置部と処理ユニット内基板搬送手段の搬送経路とを備え露光処理前後の各種の基板処理を行なうための処理ユニットと、露光処理を行なうための露光ユニットとの間で、基板の搬送(受渡し)を行うためのインターフェースユニットにおいて、
前記インターフェースユニットは、複数枚の基板を一時収納しておける複数の収納部を備えたバッファ部と、基板搬送手段と、基板搬入台と、基板搬出台と、カセットをセットしておくためのテーブル台とを備え、前記インターフェースユニットの一側面に扉が設けられ、
前記基板搬送手段は、前記バッファ部の任意の収納部に対する基板の収納/取り出し、前記基板搬入台への基板の載置、前記基板搬出台からの基板の取り出し、前記カセットに対する基板の収納/取り出しを行い、
前記処理ユニット内に設けられた前記処理ユニット内基板搬送手段が、前記バッファ部の任意の収納部に対して基板の収納/取り出しを行なうように構成され、
前記処理ユニットで処理された露光前基板が前記処理ユニット内基板搬送手段により前記インターフェースユニット内の前記バッファ部の前記収納部に収納され、前記バッファ部の前記収納部に収納された前記露光前基板は、前記基板搬送手段によって取り出され前記基板搬入台に載置され、前記基板搬入台に載置された前記露光前基板は前記露光ユニット内に取り込まれ、露光処理が施され、露光処理が終了した露光済基板は前記露光ユニット内から搬出されて前記基板搬出台に載置され、前記基板搬出台に載置された前記露光済基板は前記基板搬送手段によって取り出されて前記バッファ部の前記収納部に収納され、前記処理ユニット内基板搬送手段は前記バッファ部に収納された前記露光済基板を取り出し、前記処理ユニットに搬入し、
前記処理ユニット以外の他の処理装置で基板に露光処理の直前までの処理が施され、前記処理ユニットを経ないで前記露光ユニットで露光処理のみを行う場合には、作業者は、前記処理ユニット以外の他の処理装置で露光処理の直前までの処理が施された露光前基板を前記カセットに収納し、前記インターフェースユニットの前記扉を開いて前記カセットを前記テーブル台にセットし、前記扉を閉じ、前記基板搬送手段が前記カセットから前記露光前基板を取り出し、前記基板搬入台に搬送して載置し、前記露光前基板が前記露光ユニット内に取り込まれ、露光処理が施され、露光処理が終了して前記基板搬出台に前記露光済基板が載置されると、前記基板搬送手段は前記露光済基板を前記基板搬出台から取り出し、前記カセットに収納し、前記作業者が前記扉を開いて前記カセットを前記インターフェースユニットから取り出し前記扉を閉じる、
インターフェースユニット。」(以下「引用発明」という。)

エ 本件補正発明と引用発明の一致点及び相違点の認定
(ア)引用発明の「基板」、「基板の搬送(受渡し)を行うためのインターフェースユニット」は、それぞれ、本件補正発明の「対象物」、「対象物を移送するためのインタフェースユニット」に相当する。

(イ)a 本件補正発明の「対象物処理用のトラック」について、本件出願の明細書(以下「本件明細書」という。)には、「トラックは、対象物を処理する多ステーションと、該ステーションと露光ユニットとの間で対象物を移送する移送システムとを備えている。概してトラックは細長にされて、一方の側に対象物用の積み降ろしユニットを有し、他方の側に露光ユニットとの接続部を有している。」(段落【0002】)、「この種のリソグラフィ投影装置は、通常、トラックと協働し、トラックがリソグラフィ投影装置と接続されていることで、当業者には周知のように、トラックと投影装置間で基板を交換できる。基板は、既述のあらゆる種類の処理、例えばプライミング、レジスト被覆、ソフトベイク、露光後ベイク(PEB)、現像、ハードベイク、結像した形状特徴の測定/検査を、トラック内で受ける。」(段落【0013】)と記載されている。したがって、引用発明の「レジスト塗布を行なうためのスピンコーターや現像を行なうためのスピンディベロッパーなどが配設された第1の装置配置部とプリベークやポストベークなどを行なうためのベークユニットや複数台のエッジ露光部EEWなどが配設された第2の装置配置部と処理ユニット内基板搬送手段の搬送経路とを備え露光処理前後の各種の基板処理を行なうための処理ユニット」は、本件補正発明の「対象物処理用のトラック」に相当する。
また、引用発明の「露光処理を行なうための露光ユニット」は、本件補正発明の「対象物露光用のリソグラフィ露光ユニット」に相当する。

b 引用発明では、「前記処理ユニットで処理された露光前基板が前記処理ユニット内基板搬送手段により前記インターフェースユニット内の前記バッファ部の前記収納部に収納され、前記バッファ部の前記収納部に収納された前記露光前基板は、前記基板搬送手段によって取り出され前記基板搬入台に載置され、前記基板搬入台に載置された前記露光前基板は前記露光ユニット内に取り込まれ、露光処理が施され、露光処理が終了した露光済基板は前記露光ユニット内から搬出されて前記基板搬出台に載置され、前記基板搬出台に載置された前記露光済基板は前記基板搬送手段によって取り出されて前記バッファ部の前記収納部に収納され、前記処理ユニット内基板搬送手段は前記バッファ部に収納された前記露光済基板を取り出し、前記処理ユニットに搬入」しているから、引用発明では、「基板」は、「インターフェースユニット」の「バッファ部」、「基板搬送手段」及び「基板搬入台」を通って、「処理ユニット」から「露光ユニット」に搬送されるとともに、「インターフェースユニット」の「基板搬出台」、「基板搬送手段」及び「バッファ部」を通って、「露光ユニット」から「処理ユニット」に搬送されていると認めることができる。
したがって、引用発明の「インターフェースユニット」の「バッファ部」から「基板搬送手段」、「基板搬入台」に至る「基板」の「搬送」経路、及び、「インターフェースユニット」の「基板搬出台」から「基板搬送手段」、「バッファ部」に至る「基板」の「搬送」経路は、本件補正発明の「該インタフェースユニットが」「有」する「対象物処理用のトラックと対象物露光用のリソグラフィ露光ユニットとの間で対象物を移送する第1移送経路」に相当する。

(ウ)a 引用発明の「前記インターフェースユニットの一側面に扉が設けられ」、「作業者は、前記処理ユニット以外の他の処理装置で露光処理の直前までの処理が施された露光前基板を前記カセットに収納し、前記インターフェースユニットの前記扉を開いて前記カセットを前記テーブル台にセットし、前記扉を閉じ」たり、「前記作業者が前記扉を開いて前記カセットを前記インターフェースユニットから取り出し前記扉を閉じ」たりすることから、引用発明の「インターフェースユニットの一側面」には「扉」によって「開」「閉」される開口が設けられていると認めることができる。
したがって、引用発明の「扉」によって「開」「閉」される「インターフェースユニットの一側面」の開口は、本件補正発明の「外部空間への閉鎖可能な開口」に相当する。

b 引用発明では、「前記処理ユニット以外の他の処理装置で基板に露光処理の直前までの処理が施され、前記処理ユニットを経ないで前記露光ユニットで露光処理のみを行う場合には、作業者は、前記処理ユニット以外の他の処理装置で露光処理の直前までの処理が施された露光前基板を前記カセットに収納し、前記インターフェースユニットの前記扉を開いて前記カセットを前記テーブル台にセットし、前記扉を閉じ、前記基板搬送手段が前記カセットから前記露光前基板を取り出し、前記基板搬入台に搬送して載置し、前記露光前基板が前記露光ユニット内に取り込まれ、露光処理が施され、露光処理が終了して前記基板搬出台に前記露光済基板が載置されると、前記基板搬送手段は前記露光済基板を前記基板搬出台から取り出し、前記カセットに収納し、前記作業者が前記扉を開いて前記カセットを前記インターフェースユニットから取り出し前記扉を閉じる」ことから、引用発明では、「基板」は、「インターフェースユニットの一側面」の開口、「インターフェースユニット」の「テーブル台」、「基板搬送手段」及び「基板搬入台」を通って、外界から「露光ユニット」に搬送されるとともに、「インターフェースユニット」の「基板搬出台」、「基板搬送手段」、「テーブル台」、「インターフェースユニットの一側面」の開口を通って、「露光ユニット」から外界に搬送されていると認めることができる。
すると、引用発明の「インターフェースユニットの一側面」の開口から「インターフェースユニット」の「テーブル台」、「基板搬送手段」、「基板搬入台」に至る「基板」の「搬送」経路、及び、「インターフェースユニット」の「基板搬出台」から「インターフェースユニット」の「基板搬送手段」、「テーブル台」、「インターフェースユニットの一側面」の開口に至る「基板」の「搬送」経路は、本件補正発明の「インタフェースユニットが」「備え」る「外部空間とリソグラフィ露光ユニットとの間で該対象物を移送する第2移送経路」に相当する。

(エ)引用発明の「前記処理ユニット以外の他の処理装置で基板に露光処理の直前までの処理が施され、前記処理ユニットを経ないで前記露光ユニットで露光処理のみを行う場合」は、「処理ユニット」への移送が不要な場合であるから、引用発明の「前記処理ユニット以外の他の処理装置で基板に露光処理の直前までの処理が施され、前記処理ユニットを経ないで前記露光ユニットで露光処理のみを行う場合」は、本件補正発明の「該トラックへの移送が不要な場合」に相当する。
したがって、引用発明の「前記処理ユニット以外の他の処理装置で基板に露光処理の直前までの処理が施され、前記処理ユニットを経ないで前記露光ユニットで露光処理のみを行う場合には、作業者は、前記処理ユニット以外の他の処理装置で露光処理の直前までの処理が施された露光前基板を前記カセットに収納し、前記インターフェースユニットの前記扉を開いて前記カセットを前記テーブル台にセットし、前記扉を閉じ」、「前記作業者が前記扉を開いて」「前記露光済基板」が「収納」された「前記カセットを前記インターフェースユニットから取り出し前記扉を閉じる」ことと、本件補正発明の「インターフェースユニットが、さらに該第2移送経路を介して該対象物を移送する交換ステーションを備え」、「該交換ステーションは、該トラックが故障した場合、または、該トラックへの移送が不要な場合のいずれかのときに、該第2移送経路を介して該対象物を移送することによって該トラックをバイパスさせる」こととは、「該トラックへの移送が不要な場合」「に、該第2移送経路を介して該対象物を移送することによって該トラックをバイパスさせる」点で一致する。

(オ)以上から、本件補正発明と引用発明とは、

「対象物を移送するためのインタフェースユニットにおいて、
該インタフェースユニットが、対象物処理用のトラックと対象物露光用のリソグラフィ露光ユニットとの間で対象物を移送する第1移送経路を有し、
該インタフェースユニットが、また外部空間とリソグラフィ露光ユニットとの間で該対象物を移送する第2移送経路を備えており、該第2移送経路が外部空間への閉鎖可能な開口を通って延在しており、
該トラックへの移送が不要な場合に、該第2移送経路を介して該対象物を移送することによって該トラックをバイパスさせる、
対象物を移送するためのインタフェースユニット。」

である点で一致し、以下の点で相違する。

〈相違点1〉
本件補正発明の「インターフェースユニット」は、「該対象物から汚染粒子を除去する浄化手段と、」「該対象物上の該汚染粒子の存在を検出する汚染検出システムと、を備え」た「浄化ステーションを含」むのに対し、引用発明の「インターフェースユニット」は、前記浄化ステーションを含まない点。

〈相違点2〉
本件補正発明の「インターフェースユニット」は、「該第2移送経路を介して該対象物を移送する交換ステーションを備え」、「該トラックへの移送が不要な場合」「に、該第2移送経路を介して該対象物を移送することによって該トラックをバイパスさせる」のが「該交換ステーション」であるのに対し、引用発明の「インターフェースユニット」では、「作業者」が「インターフェースユニットの一側面に」「設けられ」た「扉」を「開」「閉」して「基板」が「収納」された「カセット」を「インターフェースユニット」から出し入れする点。

オ 相違点についての判断
(ア)相違点1について
フォトリソグラフィ処理装置の技術分野において、基板に対しレジスト塗布や現像処理等を行う基板処理部と基板に対しパターン露光を行う露光装置との間のインターフェース部に、前記基板に付着した異物を検出する異物検出部を設けること(例えば、特開2002-151403号公報(特に、段落【0039】、【0044】、【0083】?【0086】、図3,7)、特開平11-214284号公報(特に、請求項2、段落【0021】?【0025】、図1)を参照。)、及び、前記基板に付着した異物を検出する異物検出部が設けられた装置と同じ装置内に前記異物を除去する異物除去部を設けること(例えば、特開2002-151403号公報(特に、段落【0099】の「基板に付着したパーティクル等を除去する基板処理装置・・・(中略)・・・にパーティクル検査を行う検査部を配置するようにしても良い」という記載)、特開2002-372789号公報(特に、段落【0009】?【0016】、図1?2)、特開平11-238678号公報(特に、段落【0013】の「かかる異物除去機能は、異物検出装置6が有していてもよい」という記載)を参照。)は、いずれも、本件出願の優先日当時において当業者に周知の技術的事項である。
すると、引用発明に上記周知技術を適用して、引用発明の「インターフェースユニット」に「基板」に付着した異物を検出する異物検出部を設けるとともに、前記異物検出部が設けられた前記「インターフェースユニット」に前記異物を除去する異物除去部を設けることは、当業者にとって容易に想到し得る。
したがって、上記相違点1に係る本件補正発明の発明特定事項を採用することは、当業者にとって想到容易である。

(イ)相違点2について
本件補正発明の「該第2移送経路を介して該対象物を移送する交換ステーション」について、本件明細書には、「本発明の一実施例によれば、少なくとも1ステーションは、リソグラフィ投影装置及びトラックの外部空間と基板を交換するためのステーションを含んでいる。この交換ステーションにより、トラックのバイパスが可能になる。基板は、リソグラフィ投影装置から交換ステーションを介して、トラックの使用なしで送・受できる。交換ステーションは、特に、リソグラフィ投影装置が真空に保たれ、直接外界と基板の交換が、ロードロック等の付加的ハードウエアを設けることなしには不可能な場合に役立つ。」(段落【0018】)、「本発明の一実施例によれば、交換ステーションは、前部開口汎用ポッドと係合するように構成された前部開口汎用ポッドインタフェースを含んでいる。前部開口汎用ポッド(FOUP)は、集積回路のフィールド内で普通に使用される基板搬送用キャリアである。別の実施例では、交換ステーションが標準機械インタフェースポッド(SMIF-Pod)含んでいる。」(段落【0018】)、「インタフェースユニット20は、更に外界との間で基板を送出入時に基板交換する交換ステーション45を備えることができる。この交換ステーション45は、好ましくはFOUPインタフェース等のキャリア用インタフェースを備え、該インタフェースは、リソグラフィ投影装置1又はトラック10との基板Wの交換の代わりに、基板Wをインタフェースユニット20に対し受け渡しするためにキャリアと接触するように構成されている。」(段落【0042】)と記載されている。本件明細書のこれら記載に照らすと、前部開口汎用ポッドインタフェースやキャリア用インタフェース等「該第2移送経路を介して該対象物を移送する」装置が、本件補正発明の「該第2移送経路を介して該対象物を移送する交換ステーション」に当たるということができる。
そして、フォトリソグラフィ処理装置の技術分野において、外界と処理装置の内部との間で基板を移送する装置を前記処理装置に設けることは、本件出願の優先日当時において当業者に周知の技術的事項である(例えば、特開2003-45931号公報(段落【0058】?【0063】、【0096】?【0105】)、特開平11-87459号公報(段落【0034】、図5を参照。)。
すると、引用発明に上記周知技術を適用して、引用発明の「インターフェースユニットの一側面」の開口を通じて外界と「インターフェースユニット」の内部との間で「基板」を移送する装置を「インターフェースユニット」に設けることは、当業者にとって容易に想到し得る。
したがって、上記相違点2に係る本件補正発明の発明特定事項を採用することは、当業者にとって想到容易である。

カ 本件補正発明の独立特許要件の判断
以上のとおり、引用発明に上記相違点1?2に係る本件補正発明の発明特定事項を採用することは、当業者にとって想到容易である。
また、本件補正発明の効果も、引用例に記載された発明及び周知技術から当業者が予測し得る程度のものに過ぎない。
したがって、本件補正発明は引用例に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。

(3)むすび
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本件審判請求についての判断
1 本件発明の認定
上記第2で述べたとおり本件補正は却下され、平成20年4月8日付けの手続補正も同年4月30日付けの補正の却下の決定により却下されたから、平成19年12月11日付けの手続補正により補正された明細書、特許請求の範囲及び図面に基づいて審理すると、本件出願の請求項1に係る発明は、平成19年12月11日付けの手続補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定される次のとおりのものと認める。

「対象物を移送するためのインタフェースユニットにおいて、
該インタフェースユニットが、対象物処理用のトラックと対象物露光用のリソグラフィ露光ユニットとの間で対象物を移送する第1移送経路を有し、
該インタフェースユニットが、また外部空間とリソグラフィ露光ユニットとの間で該対象物を移送する第2移送経路を備えており、該第2移送経路が外部空間への閉鎖可能な開口を通って延在しており、
該インターフェースユニットが、該対象物を清浄化するための浄化ステーションを含み、
該浄化ステーションは、
該対象物から汚染粒子を除去する浄化手段と、
該対象物上の該汚染粒子の存在を検出する汚染検出システムと、を備える、
対象物を移送するためのインタフェースユニット。」(以下「本件発明」という。)

2 引用刊行物の記載事項及び引用例に記載された発明の認定
原査定の拒絶理由に引用され、本件出願前に頒布された刊行物である引用例には、上記第2の2(2)イに摘記したとおりの事項が記載されており、引用例に記載された発明は、上記第2の2(2)ウに記載したとおりである。

3 対比・判断
本件発明は、本件補正発明の発明特定事項から、上記第2の2(1)で述べた限定事項を省いたものである。
そして、本件発明の発明特定事項をすべて含み、他の発明特定事項を付加したものに相当する本件補正発明が、上記第2の2(2)に記載したとおり、引用例に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明も、上記第2の2(2)で示した理由と同様の理由により、引用例に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
以上のとおり、本件発明は引用例に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
そして、本件発明が特許を受けることができない以上、本件出願のその余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本件出願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-02-18 
結審通知日 2010-02-19 
審決日 2010-03-02 
出願番号 特願2004-230009(P2004-230009)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (H01L)
P 1 8・ 121- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 多田 達也  
特許庁審判長 北川 清伸
特許庁審判官 日夏 貴史
小松 徹三
発明の名称 インタフェースユニット、該インタフェースユニットを含むリソグラフィ投影装置、及びデバイス製造方法  
代理人 大賀 眞司  
代理人 稲葉 良幸  
代理人 大貫 敏史  

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