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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1220814
審判番号 不服2008-21957  
総通号数 129 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-09-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-08-28 
確定日 2010-07-29 
事件の表示 特願2002-162739「弾球遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 1月15日出願公開、特開2004- 8312〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
第1.手続の経緯等

本願の手続の経緯概要は以下のとおりである。
平成14年 6月 4日 出願
平成19年12月17日 拒絶理由通知
平成20年 2月22日 手続補正
平成20年 7月25日 拒絶査定
平成20年 8月28日 拒絶査定不服審判請求
平成20年 9月25日 手続補正
平成21年 7月 8日 審尋
平成21年 9月11日 回答書
平成22年 1月29日 審尋
平成22年 4月 1日 回答書

第2.平成20年9月25日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成20年9月25日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1.補正後の本願発明

本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「遊技者に有利な利益状態を発生させるか否かの抽選結果を、所定の遊技動作に関連して決定して、遊技動作を中心的に制御する、主ワンチップマイコンを具備する主制御部と、 前記抽選結果を決定した後の主制御部から制御コマンドを受信して、前記抽選結果に対応する一連の演出動作を実行する、第1ワンチップマイコンを具備する第1サブ制御部と、
前記第1サブ制御部からの指示を受信し、その指示に基づいて、第1サブ制御部と同期した一連の演出動作を実行する、第2ワンチップマイコンを具備する第2サブ制御部と、を有して構成され、
前記抽選結果に関連して、前記一連の演出動作の開始時に特定される演出内容にしたがって識別情報を変動表示させ、最終的に前記抽選結果を遊技者に報知する表示装置と、
遊技者によるON操作によって前記一連の演出動作の途中から開始される専用演出動作の開始タイミングのみを規定する操作部材と、を適所に配置した遊技機であって、
決定済みの前記抽選結果を報知する処理に先立って、前記主制御部から受けた制御コマンドによって前記操作部材のON操作が許容されると、前記ON操作の有無を所定時間だけ第1サブ制御部において待機して検知する待機手段と、
前記ON操作がされると、第1サブ制御部と第2サブ制御部とで同期した、前記専用演出動作を開始させる演出開始手段と、を設け、
前記ON操作は、前記専用演出動作の開始タイミングを決定するものの、それ以前に決定されている前記表示装置の演出内容や、前記抽選結果に影響を与えないよう構成することで、賭博的な要素を排除しつつ、遊技者が遊技に関与する機会を増加させるようにしたことを特徴とする遊技機。」(以下、「本願補正発明」という。)と補正された。

上記補正は、補正前請求項1の「主制御部」を「主ワンチップマイコンを具備する主制御部」と限定し、同「主制御部から制御コマンドを受けて」を「前記抽選結果を決定した後の主制御部から制御コマンドを受信して」と限定し、同「前記抽選結果に対応する演出動作を実行する第1サブ制御部」を「前記抽選結果に対応する一連の演出動作を実行する、第1ワンチップマイコンを具備する第1サブ制御部」と限定し、同「指示に基づいて、第1サブ制御部と同期した演出動作を実行する第2サブ制御部」を「指示を受信し、その指示に基づいて、第1サブ制御部と同期した一連の演出動作を実行する、第2ワンチップマイコンを具備する第2サブ制御部」と限定し、同「決定された変動パターンにしたがって識別情報を変動表示させ」を「前記一連の演出動作の開始時に特定される演出内容にしたがって識別情報を変動表示させ」と限定し、同「遊技者によるON操作が可能な操作部材」を「遊技者によるON操作によって前記一連の演出動作の途中から開始される専用演出動作の開始タイミングのみを規定する操作部材」と限定し、同「前記抽選結果の報知処理に先立って」を「決定済みの前記抽選結果を報知する処理に先立って」と限定し、同「第1サブ制御部において検知する第一手段」を「第1サブ制御部において待機して検知する待機手段」と限定し、同「特定の演出動作を開始させる第二手段」を「前記専用演出動作を開始させる演出開始手段」と限定し、同「前記演出動作の開始タイミング」を「前記専用演出動作の開始タイミング」と限定し、同「それ以前に決定されている前記抽選結果に影響を与えないよう」を「それ以前に決定されている前記表示装置の演出内容や、前記抽選結果に影響を与えないよう」と限定するものであり、平成18年法律第55号改正附則3条1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法17条の2第4項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本願補正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(上記改正前の特許法17条の2第5項において準用する同法126条5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

2.引用文献

(1)当審で発見した特開平10-192501号公報(公開日:平成10年7月28日)(以下、「引用文献1」という。)には、以下の事項が図面とともに記載されている。
・【0009】・・・まず図1に示す弾球遊技機17の制御を司る電子制御装置1の構成について説明する。電子制御装置1は可変表示装置2を備え、これは画像処理装置3と液晶表示画面4とからなるものである。この画像処理装置3は、画像データを格納する画像データROM(図示せず)と、画像データROMから画像データを読みだし、後述のCPU10の指示に基づいて画像演算処理を行い画像データを発生する画像データプロセッサ(図示せず)と、画像データを一時的に格納する画像データRAM(図示せず)とからなるものである。画像処理装置3は、CPU10からの指令があると、必要な画像データを選択し、そのデータ処理を行い、特別図柄表示装置としての液晶表示画面4に可変表示を行うものである。液晶表示画面4は、画像処理装置3からのデータを受け可変表示を行うダイナミック駆動方式のものである。
・【0010】電子制御装置1は、前述したCPU10を中心として、ROM11,RAM12,入力インタフェース13,出力インタフェース14、カウンタ15等をバス16により相互に接続したものである。入力インタフェース13には、遊技球検出スイッチ13a,発射停止ボタン13b,タッチスイッチ13c,上受け皿詰まりスイッチ13d,満杯スイッチ13e,始動入賞球検出器34,普通図柄作動ゲート30a,30b等が接続されており、CPU10は、それらから入力インタフェース13を介して遊技球検出信号、発射停止信号、タッチ信号、上受け皿詰まり信号、満杯信号、始動入賞信号、普通図柄作動信号等の種々の入力信号を受け、CPU10が初期設定や所定の演算等を行うようにしている。出力インタフェース14には、遊技球を発射する遊技球発射装置26,音声を出力するスピーカ23,各種LED29a?29c、及び普通図柄表示部38等が接続されており、それらに対してCPU10が出力インタフェース14を介して出力信号を供給している。
・【0011】次に、特別図柄表示装置としての液晶表示画面4について詳細に説明する。図2に示す通り、液晶表示画面4は、3桁の特別図柄の変動及び停止を可変表示部5?7に行うとともに(図6(a)参照)、リーチ表示のときにUFO8とレーザービーム発射装置9を表示し、レーザービーム発射装置9からUFO8へレーザービームの発射を行うものである(図6(b)参照)。そして、レーザービーム発射装置9からUFO8へのレーザービーム発射が命中してUFO8が撃破されたときには、特別図柄「777」を縮小表示するとともに撃破されたシーンを表示し(図7参照)、後述の大入賞口36を遊技者に有利な状態に変化させる(特別遊技状態)ように構成されている。即ち、特別図柄は、それぞれ、「0」?「9」,「A」,「B」,「C」からなる13種類の数字から構成される図柄配列からなり、その内の当り図柄は3桁同一値(ゾロ目)となる場合に成立するのであり、それ以外は外れ図柄となる。
・【0012】特別図柄の当否の決定は、特別図柄当否決定乱数によってランダムに決定されるようになっている。乱数発生器としての特別図柄当否決定カウンタAは、電源投入後、初期値が「0」とされ、0?249の250種類の数値を、リセット割込み(2mS)毎に昇順にかつ繰り返しインクリメントするものである。
・【0013】特別図柄の大当り図柄の決定は、当り図柄決定乱数によってランダムに決定されるようになっている。乱数発生器としての当り図柄決定カウンタBは、電源投入後、初期値が「0」とされ、0?12の13種類の数値を、リセット割込み(0.01mSから2mSの間)毎に昇順にかつ繰り返しインクリメントするものである。前記当り図柄決定乱数値0?12に対応して、大当り図柄配列は、「000」?「999」,「AAA」,「BBB」,「CCC」のいずれか1つが選択される。
・【0014】外れ図柄の決定は、外れ図柄決定乱数によってランダムに決定されるようになっている。乱数発生器としての3個の外れ図柄決定カウンタC?Eは、電源投入後、初期値が「0」とされ、0?12の13種類の数値を、リセット割込み(2mSの間)毎に、外れ図柄決定カウンタC?Eを順番に連鎖的にインクリメントするものである。なお、当りでもないのに、決定された特別図柄が偶然的に当り図柄になった場合には、いずれかの1つの特別図柄の示す数値を1つずらして、強制的に外れに是正している。
・【0015】さらにリーチの決定は、リーチ決定乱数によってランダムに決定されるようになっている。乱数発生器としてのリーチ決定カウンタFは、電源投入後、初期値が「0」とされ、0?6の7種類の数値を、リセット割込み(2mSの間)毎にインクリメントするものである。当りの場合にはすべてリーチ表示を行い、外れの場合に、リーチ決定乱数が「5」の場合には、リーチ表示を実行するようにしている。つまりこれらリーチ表示の場合に前述のUFO8とレーザービーム発射装置9とが表示されるように液晶表示画面4の画面が構成されている。
・【0016】さらにリーチ時において表示されるUFO8とレーザービーム発射装置9の表示パターンの決定は、図2(a)の攻撃成功の場合、図2(b)の攻撃失敗の場合のいずれも、乱数によってランダムに決定されるようになっている。乱数発生器としての攻撃成功パターン決定カウンタGは、電源投入後、初期値が「0」とされ、それぞれ0?6の7種類の数値を、リセット割込み(2mSの間)毎にインクリメントするものである。この乱数に対応して、攻撃成功パターンの画像が選択されるようになっている。また乱数発生器としての攻撃失敗パターン決定カウンタHは、電源投入後、初期値が「0」とされ、それぞれ0?6の7種類の数値を、リセット割込み(2mSの間)毎にインクリメントするものである。この乱数に対応して、攻撃失敗パターンの画像が選択されるようになっている。
・【0019】液晶表示画面4の上部と左右にはそれぞれ表示枠上飾りLED29a,表示枠左右飾りLED29bが配置されている。・・・液晶表示画面4では、第1種始動口32又は33に打球が入賞したことに基づいて特別図柄を変動させ、一定時間(例えば、5.9秒)経過すると順次停止するようにしている。
・【0020】そしてリーチ時にはUFO8とレーザービーム発射装置9が表示され(図6(b)参照)、特別図柄の停止時の識別情報の組合わせが前述の所定の大当り図柄となったとき、特別遊技状態となって、スピーカ23から大当り音を発生させるとともに、大入賞口36を28.7秒(あるいは10個の入賞玉が発生すると28.7秒以内であってもその時まで)開放するように設定され、その開放している間、遊技領域24を落下する打球を大入賞口36内の特定領域37内に受け入れ可能になっている。
・【0023】また大入賞口36の左右には下入賞口40a,40bが設けられており、遊技領域24の上部左右にランプ風車41a,41bが設けられている。その他、遊技領域24には袖ランプ(図示せず)、サイドランプ(図示せず),飾りランプ・飾りLED(図示せず)等が設けられ、表示枠上飾りLED29a,表示枠左右飾りLED29bとともに、始動入賞時あるいは特別遊技状態時に点灯あるいは点滅してその旨を遊技者に報知するようにしている。
・【0025】本実施形態の特徴的動作を、図1?7とともに説明する。弾球遊技機17が電源に接続され、電源部(図示せず)から各回路に電源が供給されると、CPU10はフラグやカウンタ等の一連の初期設定を行い、図示せぬメインルーチンを実行しつつ、割り込みにより、図4に示す特別判定処理ルーチンを起動する。まず処理が開始されると、始動入賞球検出器34の入球信号を待ち(S10)、入球信号がないと判断されたときには、リターンに抜ける。一方、第1種始動口32又は33に打球が入賞すると、始動入賞球検出器34が入球信号を発生するので、肯定判断され、このとき、特別図柄の当否決定カウンタA、当り図柄決定カウンタB、外れ図柄決定カウンタC?E、攻撃成功パターン決定カウンタG、攻撃失敗パターン決定カウンタHの各カウント値を各々取り出して、RAM12に格納する。当りのときには特別図柄の当り図柄決定カウンタBのカウント値及び攻撃成功パターン決定カウンタGのカウント値、外れのときには外れ図柄決定カウンタC?Eのカウント値及び攻撃失敗パターン決定カウンタHを択一的に格納する。
・【0026】そして液晶表示画面4における特別図柄の変動開始から微小時間が経過してから、RAM12に格納された特別図柄の当否決定カウンタAのカウント値を取り出し、その数値が大当り数値に該当するかどうか判断し、該当する場合には、大当り、非該当の場合には外れを判断する(S20)。
・【0028】次に大当りの場合には、RAM12に格納された当り図柄決定カウンタB及び攻撃成功パターン決定カウンタGのカウント値をRAM12から読み出し、この数値に応じて対応する1つの大当り図柄及び攻撃成功パターンを決定する(S30)。
・【0029】一方、当り乱数でない場合、S20で否定判断されて、外れ図柄決定カウンタC?E及び攻撃失敗パターン決定カウンタHのカウント値をRAM12から読み出し、このカウント値に対応する1つの外れ図柄及び攻撃失敗パターンを決定する(S40)。
・【0030】次に特別図柄を表示させるための図5に示す図柄表示サブルーチンにジャンプし、これの処理を行ってからS50に戻る。この図柄表示サブルーチンについては後述する。
・【0032】前述した図5の図柄表示サブルーチンを説明する。まずS100でリーチかどうか判断する。つまりリーチ決定乱数が「5」であるかどうか判断し、肯定判断ならS110で当り図柄かどうか判断し、肯定判断ならS120で攻撃成功パターン決定カウンタGのカウント値に対応するレーザービーム発射装置9がUFO8を攻撃するシーンを示す画像を読み出し液晶表示画面4のほとんどの部分に表示するとともにリーチ状態の特別図柄を液晶表示画面の上部にある小さくされた可変表示部5?7に表示する(図6(b)参照)。そして、レーザービーム発射装置9がUFO8を撃破するシーンを示す画像を表示したら、S130で可変表示部6の図柄を停止表示させ当り表示を確定する(図7参照)。
・【0035】【具体例2】次に具体例2は、上述した具体例1とほぼ同様の構成であるが図9に示すように、液晶表示画面64に表示される標的図柄である怪獣58を攻撃手段であるミサイル戦闘機59で攻撃できるとともに、遊技者が操作手段を構成する攻撃ボタン22(図3参照)によってもミサイル戦闘機59から攻撃操作できるようにされている点が異なっている。しかし、標的図柄である怪獣58が撃破されるかどうかは判定確率に基づいて決定されることは同様である。例えば、判定結果が外れの場合に、あたかも遊技者が操作して怪獣58を撃破できなかったように表示させることとする。尚、遊技者が所定の時間内に攻撃ボタン22の操作を終了させなかった場合、判定結果に基づいて遊技機側で操作させてしまうような構成とする。
・【0037】図8において、まずS200でリーチかどうか判断する。つまりリーチ決定乱数が「5」であるかどうか判断し、肯定判断ならS210で怪獣58及びミサイル戦闘機59を表示させる。S230で攻撃ボタン22が押されたかどうか判断され、肯定判断ならS240でそれに対応した画像を読み出し、攻撃ボタン22の操作に対応させるためS30、S40で決定された画像とは異なる攻撃シーンを示す画像パターンを決定する。S230で否定判断ならS250で所定時間経過したかどうか判断する。否定判断ならS230に戻り攻撃ボタン22が押されるまでループ処理を行う。一方、S250で肯定判断ならS240へ移行し、画像パターンには変更を加えない(S240)。そして、S260で当り図柄かどうか判断し、肯定判断ならS270で攻撃成功パターン決定カウンタGのカウント値に対応するミサイル戦闘機59が怪獣58を攻撃するシーンを示す画像を読み出し液晶表示画面54のほとんどの部分に表示するとともにリーチ状態の特別図柄を液晶表示画面54の上部にある小さくされた可変表示部55?57に表示する(図9(a)参照)。そして、例えば、ミサイル戦闘機59が怪獣58を攻撃し怪獣58が退散するシーンを示す画像を表示したら、可変表示部56の図柄を停止表示させ当り表示を確定する(図9(b)参照)。一方、S260で否定判断ならS280で攻撃失敗パターンに対応する画像を液晶表示画面54に表示するとともに、可変表示部55?57に外れ図柄を表示する。なお、S200で否定判断なら、S220では怪獣58及びミサイル戦闘機59の表示は禁止され、液晶表示画面54の大部分に可変表示部55?57が表示され、可変表示部56の図柄を停止させて、外れ表示を確定する。
・【0038】以上説明した具体例2によれば、具体例1と同様に、怪獣58とミサイル戦闘機59はリーチのときだけに表示されることで、攻撃の成否と、リーチ表示とが直結することになる。つまり、リーチ表示の有無で怪獣58とミサイル戦闘機59の表示の有無を明確に区切ることにより、インパクトのあるゲーム性が実現できることになる。その上、操作手段である攻撃ボタン22により、遊技者が主体的に遊技に参加することで、受け身の遊技から脱却でき、趣向性が高まるといった効果がある。

以上を含む全記載及び図示に基づき、「【具体例2】」を中心に整理すると、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「第1種始動口32又は33に打球が入賞して始動入賞球検出器34が入球信号を発生したとき、特別図柄の当否決定カウンタA、当り図柄決定カウンタB、外れ図柄決定カウンタC?E、攻撃成功パターン決定カウンタG、攻撃失敗パターン決定カウンタHの各カウント値を各々取り出して、RAM12に格納し、
RAM12に格納された特別図柄の当否決定カウンタAのカウント値を取り出し、その数値が大当り数値に該当するかどうか判断し、該当する場合には、大当り、非該当の場合には外れを判断し、
液晶表示画面4上で、特別図柄を変動させ、場合によってリーチ状態となり、一定時間経過するとRAM12に格納された当り図柄決定カウンタB又は外れ図柄決定カウンタC?Eのカウント値に基づいて停止するようにし、
サイドランプ,飾りランプ・飾りLED、表示枠上飾りLED29a,表示枠左右飾りLED29bを始動入賞時あるいは特別遊技状態時に点灯あるいは点滅させる、
弾球遊技機17の制御を司る電子制御装置1を有して構成され、
3桁の特別図柄の変動及び停止を可変表示部5?7に行うとともに、リーチ表示のときにUFO8とレーザービーム発射装置9を表示し、レーザービーム発射装置9からUFO8へレーザービームの発射を行う液晶表示画面4と、
遊技者が押すと、ミサイル戦闘機59が怪獣58を攻撃するシーンが液晶表示画面54に表示される攻撃ボタン22を配置した弾球遊技機であって、
リーチ状態となって所定時間経過するまで攻撃ボタン22が押されるまでループ処理を行い、
攻撃ボタン22が押されると、当り図柄かどうかの判断が肯定判断なら、始動入賞球検出器34が入球信号を発生したときに格納された攻撃成功パターン決定カウンタGのカウント値に対応するミサイル戦闘機59が怪獣58を攻撃するシーンを示す画像を表示した後、可変表示部56の図柄を停止表示させ当り表示を確定する一方、否定判断なら、始動入賞球検出器34が入球信号を発生したときに格納された攻撃成功パターン決定カウンタHのカウント値に対応する攻撃失敗パターンに対応する画像を液晶表示画面54に表示した後、可変表示部56の図柄を停止させ外れ表示を確定する、
操作手段である攻撃ボタン22により、遊技者が主体的に遊技に参加する弾球遊技機。」

(2)原査定の拒絶の理由に引用された特開2002-85702号公報(公開日:平成14年3月26日)(以下。「引用文献2」という。)には、以下の事項が図面とともに記載されている。
・【0013】図1は、パチンコ遊技機1の遊技盤面10を示す正面図である。遊技盤面10のほぼ中央には、作動部の一例として遊技に必要な図柄を表示する表示部を構成する液晶表示装置3が配置されている。この液晶表示装置3は、画像で表現される複数の図柄を変動表示することで、スロットマシンの3列の回転リールを擬似的に表示する。図1の液晶表示装置3の表示例は、「3」、「5」及び「7」を表わす図柄が停止して表示された状態を示している。これらの図柄は、後述の始動入賞口4に遊技球が入賞することにより下方へ移動を開始し変動表示を行う。この変動表示する図柄を「特別図柄」という。特別図柄は、その変動表示が停止した時の表示が所定の図柄態様(例えば“7-7-7”、これを「大当り」の停止態様という)となると、遊技者にとって有利な特別遊技状態へ移行するように定められたものである。「大当り」を発生させ、特別遊技状態へ移行するか否かは後述の主制御回路31が決定する。
・【0030】パチンコ遊技機1の動作を制御する主制御部を構成する主制御回路31は、基板上に配置して構成されたメインCPU32と、センサ等との間のインタフェースである入出力ポート(図示せず)と、読み出し専用の記憶手段として遊技に必要なシーケンスプログラムを格納したメインROM33と、読み書き可能な記憶手段であるメインRAM34とを有している。メインRAM34としては、ダイナミック型メモリ(DRAM)が用いられる。
・【0032】メインCPU32は、各センサからの入力信号に基づいて、賞球制御回路41及び表示制御回路42へコマンドを送信する。具体的には、始動入賞球センサ36が入力信号を発生すると、メインCPU32は、大当り決定用乱数カウンタから乱数を抽出し、変動開始時に「大当り」を発生させるか否かを決定する入賞判定を行う。この入賞判定は、抽出された乱数が予め定められた数値であるか否かにより行われる。この入賞判定の結果が「大当り」を発生させるものであれば、メインCPU32は、図柄変動終了後、大入賞口5を遊技球が入賞しやすい開状態に変換する。
・【0035】表示制御回路42は、サブCPU51、VDP(Video Display Processor)52、D/A変換器53、CTC(Count Timer Controller)54、プログラムROM55、ワークRAM56、画像ROM57、及びリセットIC58を備える。
・【0037】この表示制御回路42は、主制御回路31及び賞球制御回路41により送信されたコマンドに基づいて、液晶表示装置3を作動させ、音制御回路43及びランプ・LED制御回路44に対してコマンドを送信する。
・【0038】音制御回路43は、賞球制御回路41及び表示制御回路42により送信されたコマンドに基づいて、スピーカ63を作動させる。
・【0039】ランプ・LED制御回路44は、賞球制御回路41及び表示制御回路42により送信されたコマンドに基づいて、ランプ64及びLED表示装置2を作動させる。ここで、ランプ64は、前述のランプの全て、すなわち盤面サイドランプ14a,14b、図柄変動記憶ランプ15、LED作動記憶ランプ16、表示部上ランプ17、袖通路ランプ18a,18b、大入賞口ランプ19a,19bを含む総称である。
・【0041】初めに、図3の(1)に示すように、始動入賞口4に遊技球が入賞したとき、特別図柄表示領域71L,71C,71R内に表示された特別図柄が変動表示を開始する。この領域の下方には、登場人物(以下「翔之助」という)72及び太鼓73が表示される。
・【0042】次に、(2)に示すように、翔之助72が太鼓73を叩いたとき、左の特別図柄表示領域71Lに特別図柄“4”が停止表示される。次に、(3)に示すように、翔之助72が太鼓73を叩いたとき、中央の特別図柄表示領域71Cに特別図柄“4”が停止表示される。(3)は、いわゆる「リーチ」となった例を示している。ここで、中央の特別図柄表示領域71Cに特別図柄が停止表示するとき、翔之助72は3回太鼓73を叩き、その度に、太鼓73を叩く音が出音され特別図柄が変動表示される。
・【0047】「第1予兆音」とは、左の特別図柄表示領域71Lに特別図柄が停止表示された後、翔之助72が最初に太鼓73を叩いたときに出力される音である。「第2予兆音」とは、「第1予兆音」が出力された後、翔之助72が太鼓73を叩いたときに出力される音である。「第3予兆音」とは、「第2予兆音」が出力された後、翔之助72が太鼓73を叩いたときに出力される音である。本実施例において、「第1予兆音」、「第2予兆音」、及び「第3予兆音」として出力される音の組合せが、予め定められている。例えば、「リズムd」の場合、「第1予兆音」及び「第2予兆音」は、「ドドドド」という音である。「第3予兆音」は、「ドン」という音である。ここで、表示制御回路42は、「リズムa」?「リズムd」のうち、いずれのリズムで音を出力するかを、後で説明する図41のST113の処理で「音声リクエスト番号」を選択することにより決定する。
・【0048】「第1予兆音」が出力されたとき、すなわち翔之助72が太鼓73を叩いたとき、例えば中央の特別図柄表示領域71Cに特別図柄“4”が表示された状態から特別図柄“5”が表示された状態に変化する。次に、「第2予兆音」が出力されたとき、特別図柄“5”が表示された状態から特別図柄“6”が表示された状態に変化する。続いて、「第3予兆音」が出力されたとき、特別図柄“6”が表示された状態から特別図柄“7”が表示された状態に変化する。
・【0050】回路基板上に配置された主制御手段を構成する主制御回路31は、これが配置された回路基板とは別の回路基板に配置された表示制御回路42に対してコマンドを送信する。・・・表示制御回路42は、主制御回路31から送信されたコマンドに基いてコマンドを生成し、これを別の回路基板上に配置された音制御回路43及びランプ・LED制御回路44へ送信する。また、表示制御回路42は、主制御回路31から送信されたコマンドに基いて液晶表示装置3を制御する。
・【0051】音制御回路43は、表示制御回路42から送信されたコマンドに基いてスピーカ63を制御する。ランプ・LED制御回路44は、表示制御回路42から送信されたコマンドに基いてLED表示装置2及びランプ64を制御する。ここで、本実施例では、主制御回路31が送信したコマンドが、直接音制御回路43又はランプ・LED制御回路44に入力されることはない。また、表示制御回路42から主制御回路31へコマンドが出力されることはない。
・【0053】図6は、主制御回路31が表示制御回路42へ送信するコマンドを示す。「ゲーム指定コマンド」は、後で説明する図19のST54の処理で生成され、特別図柄の変動開始指令、「大当り情報」、及び「変動グループ番号」を内容とするコマンドである。「大当り情報」とは、「はずれ」、「通常大当り」、又はいわゆる「確変大当り」のいずれかを識別するためのものである。「変動グループ番号」とは、特別図柄表示領域71L,71C,71R内の特別図柄の変動を開始した後、全ての特別図柄を停止表示するまでの時間(変動表示時間)及びリーチの有無を指定するものである。
・【0055】図7は、表示制御回路42が音制御回路43へ送信するコマンドを示す。「変動音パターン指定コマンド」は、「音声リクエスト番号」を指定するコマンドである。「音声リクエスト番号」は、後で説明する図41のST113の処理で選択され、特別図柄、翔之助72等の動きに見合った音を指定するものである。
・【0056】図8は、表示制御回路42がランプ・LED制御回路44へ送信するコマンドを示す。「変動点滅パターン指定コマンド」は、「ランプリクエスト番号」を指定するコマンドである。「ランプリクエスト番号」は、後で説明する図41のST113の処理で選択され、特別図柄、翔之助72等の動きに見合った点灯態様を指定するものである。
・【0067】図13は、「大当り」の場合に参照される「変動グループ決定テーブル」を示す。「変動グループ決定用乱数」の値に応じて「変動グループA」?「変動グループD」のうちのいずれかが選択される。例えば、「変動グループA」が選択された場合、変動グループ番号“08H”が「ゲーム指定コマンド」の下位5ビットに配置される。また、「変動時間タイマ値」は、“50秒”が選択される。この「変動時間タイマ値」は、後述の図18のST24の処理で更新され、図20のST62の処理で変動時間(変動表示時間)が経過したか否かが判別される。各「変動グループ」に対応して表示制御回路42により選択されるリーチの種類が予め定められている。
・【0068】図14は、「はずれ、リーチあり」の場合に参照される「変動グループ決定テーブル」を示す。「変動グループ決定用乱数」の値に応じて「変動グループE」?「変動グループG」のうちのいずれかが選択される。
・【0069】図15は、「リーチなし[時短条件成立]」の場合に参照される「変動グループ決定テーブル」を示す。「変動グループ決定用乱数」の値に拘らず「変動グループH」が選択される。ここで、「時短条件」は、遊技の進行を速やかに進めるためのものであり、例えば4個設けられた図柄変動記憶ランプ15が全て又は3つ点灯しているという条件である。
・【0070】図16は、「リーチなし[時短条件未成立]」の場合に参照される「変動グループ決定テーブル」を示す。「変動グループ決定用乱数」の値に拘らず「変動グループI」が選択される。
・【0079】ST41の判別が“YES”のとき、メインCPU32は、始動入賞球センサ36からの入力に基いて大当り決定用乱数カウンタから抽出された大当り決定用乱数値が「大当り」を示すものであるか否かを判別する(ST43)。具体的には、大当り決定用乱数値が図11に示す大当り判定テーブルに示す「確変大当り」又は「通常大当り」となる値であるか否かを判別する。この判別が“YES”のときは、大当り決定用乱数の値が「確変大当り」を示すものである否かを判別する(ST44)。
・【0080】ST44の判別が“YES”のとき、メインCPU32は、「大当り判定フラグ」に「確変大当り情報」をセットし(ST45)、“NO”のときは、「通常大当り情報」をセットする(ST46)。ここで、「大当り判定フラグ」とは、メインRAM34内の所定の領域である。「確変大当り情報」とは、16進数により“8XH”(図11)で示される情報である。「通常大当り情報」とは、16進数により“6XH”(図11)で示される情報である。
・【0082】ST47の判別が“NO”のときは、「時短条件」が成立しているか否かを判別する(ST49)。この判別が“YES”のときは、「大当り判定フラグ」に「リーチなし(時短あり)情報」をセットし(ST50)、“NO”のときは、「リーチなし(時短なし)情報」をセットする(ST51)。ここで、「リーチなし(時短あり)情報」及び「リーチなし(時短なし)情報」は、共に16進数により“4XH”で示される情報である。
・【0083】次に、メインCPU32は、「大当り判定フラグ」の値に対応した変動グループ決定テーブル、及び始動入賞球センサ36からの入力に基いて抽出された変動グループ決定用乱数に基いて変動グループ番号を選択し、変動時間タイマ値を変動時間タイマへセットする(ST52)。例えば、「大当り判定フラグ」の値が“8XH”又は“6XH”のとき、図13に示す変動グループ決定テーブルから変動グループ番号を選択し、変動時間タイマ値を変動時間タイマにセットする。また、例えば「大当り判定フラグ」の値が“4XH”の場合、ST47の判別が“YES”とされたときは、図14に示す変動グループ決定テーブルから変動グループ番号を選択する。ST49の判別が“YES”とされたときは、図15に示す変動グループ決定テーブルから、“NO”とされたときは、図16に示す変動グループ決定テーブルから変動グループ番号を選択し、変動時間タイマ値を変動時間タイマにセットする。
・【0084】次に、メインCPU32は、選択した変動グループ番号を「変動グループフラグ」にセットする(ST53)。「変動グループフラグ」とは、メインRAM34内の所定の領域である。続いて、メインCPU32は、「大当り判定フラグ」の内容と「変動グループフラグ」の内容とにより「ゲーム指定コマンド」を生成する(ST54)。具体的には、「大当り判定フラグ」(例えば“8XH”)と「変動グループフラグ」(例えば“05H”)との論理和(OR)をとり、その結果(例えば“85H”)を「ゲーム指定コマンド」とする。
・【0085】次に、メインCPU32は、メインRAM34内に設けられた図柄制御送信バッファに「ゲーム指定コマンド」をセットする(ST55)。セットされたコマンドは、前述のST31(図18)の処理により表示制御回路42へ送信される。
・【0087】[表示制御回路]図21は、表示制御回路42が備えた複数のカウンタ(図示せず)からサブCPU51が抽出する乱数を示す。「演出選択用乱数」は、後で説明する「演出内容決定テーブル」を参照して「演出番号」等を決定するために用いられ、「演出選択用乱数カウンタ」から“0”?“127”の範囲で抽出される。「演出選択用乱数カウンタ」は、後で説明する図44のST162の処理で“1”を加算することにより更新される。「演出選択用乱数」のサンプリングポイントは、特別図柄の変動を開始するとき、すなわち主制御回路31から送信された「ゲーム指定コマンド」を受信したときである。
・【0088】「図柄決定用乱数」は、特別図柄の変動が終了したときに各特別図柄表示領域71L,71C,71Rに最終的に停止表示される特別図柄(以下「確定図柄」という)の組合せ(停止態様)を決定するために用いられる。
・【0090】図22は、表示制御回路42が「変動グループA」を示す「ゲーム指定コマンド」を受信したときに使用される「演出内容決定テーブル」を示す。「演出選択用乱数」の値に応じて「演出番号」、「音声リクエスト番号」、及び「ランプリクエスト番号」が決定される。「演出番号」は、特別図柄の変動開始から停止までの時間(変動表示時間)を示す「変動時間タイマ値」及び「リーチ」の種類等を含む液晶表示装置3における表示内容を示すものである。
・【0091】「音声リクエスト番号」は、対応する「演出番号」に基く特別図柄の変動開始から終了までの間の表示内容と整合の図られた音を示すものである。この「音声リクエスト番号」は、「変動音パターン指定コマンド」として音制御回路43へ送信される。ここで、図22に示す「演出内容決定テーブル」では、演出番号“1”に対応して、音声リクエスト番号“1a”、“1b”、又は“1d”のいずれかが選択される。すなわち、液晶表示装置3における一の表示内容に対応して特別図柄の変動開始から終了までの間に出力される音が異なることとなる。
・【0094】図23は、表示制御回路42が「変動グループB」を示す「ゲーム指定コマンド」を受信したときに使用される「演出内容決定テーブル」を示す。図23に示すテーブルでは、図22のものと異なり「御神輿リーチ」又は「たこ焼きリーチ」のいずれかが行われることとなる「演出番号」が選択される。ここで、「音声リクエスト番号」及び「ランプリクエスト番号」は、各リーチに対応して設けられ、液晶表示装置3の表示内容とスピーカ63から出力される音との整合が図られることとなる。なお、「リーチの種類」が異なる場合であっても、「変動時間タイマ値」は、同じである。
・【0095】図24は、表示制御回路42が「変動グループC」を示す「ゲーム指定コマンド」を受信したときに使用される「演出内容決定テーブル」を示す。図25は、表示制御回路42が「変動グループD」を示す「ゲーム指定コマンド」を受信したときに使用される「演出内容決定テーブル」を示す。
・【0096】図26?図30は、主制御回路31により「はずれ」(ST43(図19)で“NO”)と判別された場合に、表示制御回路42が「変動グループE」?「変動グループI」のいずれかを示す「ゲーム指定コマンド」を受信したときに使用される「演出内容決定テーブル」を示す。図26?図30に示すテーブルでは、前述の図22?図25に示すものと異なり、「図柄選択値」の欄が設けられている。「図柄選択値」は、後で説明する図41のST118の処理において、「確定図柄」の組合せを決定するための「確定図柄の組合せ決定テーブル」を選択するために用いられる。
・【0113】次に、図37を参照して、表示制御回路42のサブCPU51が行う「メイン処理」について説明する。
・【0120】・・・ST101の処理では、サブCPU51は、「ゲーム指定コマンド」を受信したか否かを判別し、この判別が“YES”のときは、後で図41を参照して説明する「ゲーム指定準備処理」を行い(ST102)、“NO”のときは、「受信コマンド分析処理」を終了する。
・【0123】初めに、サブCPU51は、受信コマンドをゲーム指定フラグにセットする(ST111)。「ゲーム指定フラグ」とは、ワークRAM56内の所定の領域である。ここで、「ゲーム指定準備処理」は、図39のST101の処理で“YES”と判別された場合に行われる。従って、ST111の「受信コマンド」とは、「ゲーム指定コマンド」のことである。次に、サブCPU51は、ゲーム指定フラグ(下位5bit)に基き、条件に応じた演出内容決定テーブルを選択し、変動時間タイマ値をセットする(ST112)。ゲーム指定フラグの下位5bitは、「変動グループ番号」を示す。例えば、ゲーム指定フラグ(下位5bit)が“08H”のときは、「演出内容決定テーブル(変動グループA(大当り))」(図22)を選択し、変動時間タイマ値“50秒”を変動時間タイマにセットする。この変動時間タイマ値は、後で説明する図43のST153の処理で更新される。
・【0124】次に、サブCPU51は、演出選択用乱数値と演出内容決定テーブルから「演出番号」、「音声リクエスト番号」、及び「ランプリクエスト番号」を選択する(ST113)。ここで、演出選択用乱数は、後で説明する図44のST161乃至ST165の処理において更新される。次に、大当り情報(ゲーム指定フラグの上位3bit)は、「大当り」を示すものであるか否か、すなわち“8XH”又は“6XH”であるか否かを判別する(ST114)。この判別が“YES”のときは、ST115の処理に移り、“NO”のときは、ST118の処理に移る。
・【0125】ST115の処理では、サブCPU51は、「確変大当り」であるか否か、すなわち大当り情報が“8XH”であるか否かを判別する。この判別が“YES”のときは、図31に示す確変大当たり用の「確定図柄の組合せ決定テーブル」を選択する(ST116)。ST115の判別が“NO”のときは、サブCPU51は、図32に示す通常大当り用の「確定図柄の組合せ決定テーブル」を選択する(ST117)。ST114の判別が“NO”のとき、すなわち大当り情報が「はずれ」を示す“4XH”のとき、サブCPU51は、図柄選択値からはずれ用の「確定図柄の組合せ決定テーブル」を選択する(ST118)。具体的には、図33?図36に示すいずれかのテーブルを選択する。
・【0126】次に、サブCPU51は、図柄決定用乱数及び選択された「確定図柄の組合せ決定テーブル」に基き確定図柄を決定し、決定した確定図柄の図柄番号をワークRAM56内の確定図柄保存領域へ記憶する(ST119)。ここで、図柄決定用乱数は、後で説明する図44のST166乃至ST170の処理において更新される。次に、サブCPU51は、上記ST113の処理において選択した「演出番号」をワークRAM56内の演出選択フラグに格納する(ST120)。次に、サブCPU51は、「音声リクエスト番号」をワークRAM56内の「音声制御送信バッファ」にセットし(ST121)、「ランプリクエスト番号」を「ランプ制御送信バッファ」にセットする(ST122)。続いて、サブCPU51は、ゲーム状態フラグを変動状態にセットし、変動開始フラグをセットする(ST123)。
・【0128】・・・ST136の処理では、サブCPU51は、音声制御送信バッファのデータを音声制御コマンド出力ポートへ出力し(ST136)、送信したデータを音声制御送信バッファから消去し(ST137)、ST138の処理に移る。
・図22?30には、「演出内容決定テーブル」において、「リーチの種類」として、「御神輿リーチ」、「たこ焼きリーチ」、「射的リーチ」、「金魚すくいリーチ」、「ノーマルリーチ」及び「リーチなし」が記載されている。

3.対比
本願補正発明と引用発明1を対比する。
引用発明1の「大当り」は本願補正発明の「遊技者に有利な利益状態」に相当し、以下同様に「当否決定カウンタAのカウント値を取り出し、その数値が大当り数値に該当するかどうか判断」は「抽選結果」に、「特別図柄」は「識別情報」に、「液晶表示画面4」は「表示装置」に、「遊技者が押す」は「遊技者によるON操作」に、「攻撃ボタン22」は「操作部材」に、それぞれ相当し、引用発明1の「弾球遊技機」は、「遊技機」の一種である。
そして、以下のことがいえる。
(1)引用発明1の電子制御装置1は、弾球遊技機17の制御を司るとともに、大当り又は外れの判断を行うものであり、本願補正発明の主制御部は主制御手段を構成しているから、主ワンチップマイコンの具備は別として、本願補正発明と引用発明1は「遊技者に有利な利益状態を発生させるか否かの抽選結果を、所定の遊技動作に関連して決定して、遊技動作を中心的に制御する主制御手段」を具備する点で共通している。
また、引用発明1において、特別図柄の変動及び停止の制御、ランプ等の点灯制御に関する電子制御装置1の機能は、表示制御手段及びランプ制御手段ということができる。
そして、引用発明1において、表示制御手段は弾球遊技機全体を制御する主制御手段によって制御されるものであるから「サブ制御手段」ということができ、本願補正発明の「第1サブ制御部」は「第1サブ制御手段」を構成するものといえる。特別図柄の変動及び停止の制御は、大当り又は外れの判断後に判断結果に対応して行われることは明らかであって、「抽選結果に対応する一連の演出動作」ということができる。そうすると、制御コマンドの受信、第1ワンチップマイコンの具備は別として、本願補正発明と引用発明1は「抽選結果を決定した後の主制御手段の制御により、抽選結果に対応する一連の演出動作を実行する第1サブ制御手段」を具備する点で共通している。
更に、引用発明1において、ランプ制御手段は弾球遊技機全体を制御する主制御手段によって制御されるものであるから「サブ制御手段」ということができ、本願補正発明の「第2サブ制御部」は「第2サブ制御手段」を構成するものといえる。そして、ランプ制御手段がランプ等による一連の演出動作を行うことは自明である。そうすると、指示の受信、第1サブ制御手段との同期は別として、本願補正発明と引用発明1は「一連の演出動作を実行する第2サブ制御手段」を具備する点で共通している。

(2)引用発明1は、「液晶表示画面4上で、特別図柄を変動させ、場合によってリーチ状態となり、一定時間経過するとRAM12に格納された当り図柄決定カウンタB又は外れ図柄決定カウンタC?Eのカウント値に基づいて停止する」ものであるが、リーチ状態とは同じ特別図柄が2個停止した状態の演出内容といえ、カウント値で決定された特別図柄を停止時に表示することも演出内容といえる。そして、このような演出内容は、RAM12に格納された当り図柄決定カウンタB又は外れ図柄決定カウンタC?Eのカウント値を「特別図柄の変動開始から微小時間経過してから」読み出して判断されるもの(【0026】、【0028】、【0029】)であって、当りか否かに関連しているものであるから、「抽選結果に関連して、一連の演出動作の開始時に特定される演出内容」ということができる。また、停止した特別図柄の表示態様は当りか否かすなわち抽選結果を報知するものである。
そうすると、引用発明1は、本願補正発明の「前記抽選結果に関連して、前記一連の演出動作の開始時に特定される演出内容にしたがって識別情報を変動表示させ、最終的に前記抽選結果を遊技者に報知する表示装置」に相当する構成を実質的に具備するものである。

(3)引用発明1は、液晶表示画面4上において3桁の特別図柄がリーチ表示の時に、攻撃ボタン22を押すとミサイル戦闘機59が怪獣58を攻撃するシーンが表示されるものであり、当該シーンの表示の演出動作は特別図柄の一連の演出動作の途中から開始される専用演出動作ということができ、攻撃ボタン22は当該専用演出動作の開始タイミングのみを規定する操作部材ということができる。そうすると、引用発明1は、本願補正発明の「遊技者によるON操作によって前記一連の演出動作の途中から開始される専用演出動作の開始タイミングのみを規定する操作部材と、を適所に配置した」に相当する構成を実質的に具備するものである。
そして、上記攻撃シーンは、当り表示の確定又は外れ表示の確定の前に行われるものであるから、「決定済みの前記抽選結果を報知する処理に先だって」行われるものであり、リーチ状態となる以前は機能せず(操作ボタンの押す動作は検知されることがない)、リーチ状態になった時に操作ボタンの入力が可能となることは、「ON操作が許容される」ということができ、「リーチ状態となって所定時間経過するまで攻撃ボタン22が押されるまでループ処理」が行われることは「前記ON操作の有無を所定時間だけ待機して検知する」ということができ、そのための手段すなわち待機手段が存在することは自明である。
そうすると、本願補正発明と引用発明1は、「決定済みの前記抽選結果を報知する処理に先立って、前記操作部材のON操作が許容されると、前記ON操作の有無を所定時間だけ待機して検知する待機手段」を具備することで共通している。
更に、攻撃ボタン22が押されると攻撃シーンの表示が開始されるのであるから、引用発明1は本願補正発明の「前記ON操作がされると、前記専用演出動作を開始させる」に相当する構成を実質的に具備するものであり、引用発明1は当然そのための手段すなわち「演出開始手段」を具備するものである。

(4)攻撃ボタン22を押すことが「前記専用演出動作の開始タイミングを決定する」ことであることは上記のとおりである。そして、攻撃ボタン22を押しても、RAM12に格納された特別図柄当否決定カウンタA、当り図柄決定カウンタB、外れ図柄決定カウンタC?E、リーチ決定カウンタFのカウント値は変更されることはないから、引用発明1は「前記ON操作は、・・・それ以前に決定されている前記表示装置の演出内容や、前記抽選結果に影響を与えないよう構成」されたものであり、賭博的な要素を排除したものといえる。また、攻撃ボタン22を押すことは遊技者が遊技に関与するものであるから、引用発明1は遊技者が遊技に関与する機会を増加させるようにしたものといえる。
そうすると、引用発明1は、本願補正発明の「前記ON操作は、前記専用演出動作の開始タイミングを決定するものの、それ以前に決定されている前記表示装置の演出内容や、前記抽選結果に影響を与えないよう構成することで、賭博的な要素を排除しつつ、遊技者が遊技に関与する機会を増加させるようにした」に相当する構成を実質的に具備するものである。

以上によると、本願補正発明と引用発明1は、
「遊技者に有利な利益状態を発生させるか否かの抽選結果を、所定の遊技動作に関連して決定して、遊技動作を中心的に制御する主制御手段と
前記抽選結果を決定した後の主制御手段の制御により、前記抽選結果に対応する一連の演出動作を実行する第1サブ制御手段と、
一連の演出動作を実行する第2サブ制御手段と、を有して構成され、
前記抽選結果に関連して、前記一連の演出動作の開始時に特定される演出内容にしたがって識別情報を変動表示させ、最終的に前記抽選結果を遊技者に報知する表示装置と、
遊技者によるON操作によって前記一連の演出動作の途中から開始される専用演出動作の開始タイミングのみを規定する操作部材と、を適所に配置した遊技機であって、
決定済みの前記抽選結果を報知する処理に先立って、前記操作部材のON操作が許容されると、前記ON操作の有無を所定時間だけ待機して検知する待機手段と、
前記ON操作がされると、前記専用演出動作を開始させる演出開始手段と、を設け、
前記ON操作は、前記専用演出動作の開始タイミングを決定するものの、それ以前に決定されている前記表示装置の演出内容や、前記抽選結果に影響を与えないよう構成することで、賭博的な要素を排除しつつ、遊技者が遊技に関与する機会を増加させるようにした遊技機」である点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1]
主制御手段、第1サブ制御手段、第2サブ制御手段が、本願補正発明では、主ワンチップマイコンを具備する主制御部、主制御部からの制御コマンドを受信して動作する第1ワンチップマイコンを具備する第1サブ制御部及び前記第1サブ制御部からの指示を受信し、その指示に基づいて動作を実行する、第2ワンチップマイコンを具備する第2サブ制御部であるのに対し、引用発明1では1つの電子制御装置1により実現されている点。
[相違点2]
操作部材のON操作が許容されるのは、本願補正発明では主制御部から受けた制御コマンドによるのに対し、引用発明1ではそのような構成でない点。
[相違点3]
待機手段は、本願補正発明では第1サブ制御部において待機して検知するのに対し、引用発明1ではそのような構成か不明である点。
[相違点4]
本願補正発明では第2サブ制御部は第1サブ制御部と同期した一連の演出動作を実行するのに対し、引用発明1ではそのような構成か不明である点。
[相違点5]
演出開始手段が開始させる専用演出動作は、本願補正発明では第1サブ制御部と第2サブ制御部とで同期して開始させるものであるのに対し、引用発明1ではそのような構成か不明である点。なお、「同期して開始させる」については平成22年4月1日付け回答書第3?4頁を参酌した。

4.判断

上記相違点について検討する。
[相違点1]について
引用文献2(特開2002-85702号公報)には、パチンコ遊技機1の動作を制御する主制御部を構成する、メインCPU32を有する主制御回路31と、主制御回路31から送信されたコマンドに基づいて液晶表示装置3を作動させるとともに音制御回路43及びランプ・LED制御回路44に対してコマンドを送信する、サブCPU51を有する表示制御回路42と、表示制御回路42により送信されたコマンドに基づいてランプ64及びLED表示装置2を作動させるランプ・LED制御回路44とにより、パチンコ遊技機1の表示及び点灯に関する制御手段を構成することが記載されている。
そして、上記主制御回路31は本願補正発明の主制御部に相当し、上記表示制御回路42は主制御部に相当する主制御回路31から制御コマンドを受信して動作を実行するものであって本願補正発明の第1サブ制御部に相当し、上記ランプ・LED制御回路44は第1サブ制御部に相当する表示制御回路42から制御コマンドを受信して動作を実行するものであって本願補正発明の第2サブ制御部に相当する。
また、一般に、制御手段の一部又は全部をワンチップマイコンによって構成することは、例を挙げるまでもなく、慣用手段に過ぎないものであって、制御手段をワンチップマイコンで構成することは単なる設計事項に過ぎない。
そうすると、引用発明1において、上記引用文献2に記載された技術事項を適用し、主制御手段、第1サブ制御手段、第2サブ制御手段を、主ワンチップマイコンを具備する主制御部、主制御部からの制御コマンドを受信して動作する第1ワンチップマイコンを具備する第1サブ制御部、前記第1サブ制御部からの指示を受信しその指示に基づいて動作を実行する第2ワンチップマイコンを具備する第2サブ制御部とし、相違点1に係る本願補正発明の構成とすることは当業者にとって想到容易である。
[相違点3]について
整理の都合上、相違点3について先に検討する。
引用発明1において、遊技者により攻撃ボタン22が押されると、ミサイル戦闘機59が怪獣58を攻撃するシーンが液晶表示画面4に表示されるものである。そうすると、ON操作の有無を所定時間だけ待機して検知するという制御は液晶表示画面4の表示に関することであり、また、サブ制御部に遊技者によるON操作の信号を入力することは従来周知(特開2001-276320号公報参照)であるから、[相違点1]で検討したように引用発明1の第1サブ制御手段を第1サブ制御部とする際に、第1サブ制御部において行うこととすることは、当業者にとって想到容易である。
[相違点2]について
上記のようにON操作の有無を所定時間だけ待機して検知する待機手段を第1サブ制御部とする際には、遊技動作を中心的に制御する主制御部からの制御コマンドに基づいて操作ボタンのON操作を許容することは、主制御部及び第1サブ制御部の機能からみて適宜採用できる設計事項に過ぎず、相違点2は単なる設計事項に過ぎない。
[相違点4、5]について
相違点4及び5については、関連しているのであわせて検討する。
一般に、遊技機において、表示装置における特別図柄の変動及び演出にあわせて、音による演出及びランプによる演出等の各種演出を行うことは常識となっており、これらの演出を制御する手段が互いにこれらの演出動作を同期して開始、実行させることは慣用手段に過ぎない。
そうすると、第1サブ制御部と第2サブ制御部とで同期して(専用)演出動作を同期して行う(開始させる)という相違点4及び5は単なる設計事項に過ぎない。

そして、本願補正発明の効果は、引用発明1、引用文献2に記載された技術事項、上記周知慣用技術から当業者が予測できる範囲のものである。

したがって、本願補正発明は、引用発明1、引用文献2に記載された技術事項、上記周知慣用技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

5.むすび

以上のとおり、本件補正は、上記改正前の特許法17条の2第5項で準用する同法126条第5項の規定に違反するものであり、同法159条第1項で準用する同法53条第1項の規定により却下されるべきものである。

第3.本願発明について

1.本願発明の認定

平成20年9月25日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成20年2月22日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「遊技者に有利な利益状態を発生させるか否かの抽選結果を、所定の遊技動作に関連して決定して、遊技動作を中心的に制御する主制御部と、主制御部から制御コマンドを受けて前記抽選結果に対応する演出動作を実行する第1サブ制御部と、前記第1サブ制御部からの指示に基づいて、第1サブ制御部と同期した演出動作を実行する第2サブ制御部とを有して構成され、
前記抽選結果に関連して決定された変動パターンにしたがって識別情報を変動表示させ、最終的に前記抽選結果を遊技者に報知する表示装置と、遊技者によるON操作が可能な操作部材と、を適所に配置した遊技機であって、
前記抽選結果の報知処理に先立って、前記主制御部から受けた制御コマンドによって前記操作部材のON操作が許容されると、前記ON操作の有無を所定時間だけ第1サブ制御部において検知する第一手段と、
前記ON操作がされると、第1サブ制御部と第2サブ制御部とで同期した、特定の演出動作を開始させる第二手段と、を設け、
前記ON操作は、前記演出動作の開始タイミングを決定するものの、それ以前に決定されている前記抽選結果に影響を与えないよう構成することで、賭博的な要素を排除しつつ、遊技者が遊技に関与する機会を増加させるようにしたことを特徴とする遊技機。」

2.本願発明の進歩性の判断

(1)引用文献2
引用文献2に記載された事項は、「第2.平成20年9月25日付けの手続補正についての補正却下の決定」「2.引用文献」「(2)」に摘記したとおりであり、それによれば、引用文献2には次の発明が記載されていると認められる。
「基板上に配置して構成されたメインCPU32を有し、メインCPU32は、始動入賞球センサ36が入力信号を発生すると、大当り決定用乱数カウンタから乱数を抽出し、変動開始時に「大当り」を発生させるか否かを決定する入賞判定を行うとともに、ST43における入賞判定後、「大当り判定フラグ」の内容と「変動グループフラグ」の内容とにより生成され、特別図柄の変動開始指令、「大当り情報」、及び「変動グループ番号」を内容とする「ゲーム指定コマンド」をST31の処理により表示制御回路42へ送信する、パチンコ遊技機1の動作を制御する主制御部を構成する主制御回路31と、
主制御回路31から送信された「ゲーム指定コマンド」等に基づいて、変動が終了したときに各特別図柄表示領域71L,71C,71Rに最終的に停止表示される「確定図柄」、特別図柄の変動開始から停止までの時間(変動表示時間)を示す「変動時間タイマ値」及び「リーチ」の種類等を含む液晶表示装置における表示内容を示す「演出番号」、及び特別図柄の変動開始から終了までの間の表示内容と整合された音を示すための「音声リクエスト番号」を決定し、決定した「確定図柄」及び「演出番号」に基づいて液晶表示装置3を制御するとともに、「音声リクエスト番号」を指定する「変動音指定コマンド」を音制御回路43へ送信する、サブCPU51を備えた表示制御回路42と、
表示制御回路42から送信された「音声リクエスト番号」を指定する「変動音指定コマンド」に基いてスピーカ63を制御する、音制御回路43と、
複数の特別図柄が変動表示し、停止した時の表示が所定の図柄態様となると遊技者にとって有利な特別遊技状態へ移行するように遊技機が制御される液晶表示装置3とを有し、
登場人物(翔之助)72が太鼓73を叩く度に太鼓73を叩く音が出音され、特別図柄が変動表示される遊技機。」(以下、「引用発明2」という。)

(2)対比
本願発明と引用発明2を対比する。
引用発明2の「主制御部を構成する主制御回路31」は本願発明の「主制御部」に相当し、以下同様に「始動入賞球センサ36が入力信号を発生すると、大当り決定用乱数カウンタから乱数を抽出し、変動開始時に「大当り」を発生させるか否かを決定する入賞判定を行う」は「遊技者に有利な利益状態を発生させるか否かの抽選結果を、所定の遊技動作に関連して決定して」に、「パチンコ遊技機1の動作を制御する」は「遊技動作を中心的に制御する」に、「主制御回路31から送信された「ゲーム指定コマンド」」は「主制御部から制御コマンド」に、「サブCPU51を備えた表示制御回路42」は「第1サブ制御部」に、「音制御回路43」は「第2サブ制御部」に、「液晶表示装置」は「表示装置」に、それぞれ相当する。

そして、引用発明2について、以下のことがいえる。
ア.表示制御手段42は、「ゲーム指定コマンド」に基づいて「演出番号」を決定して特別図柄の変動開始から停止までの時間(変動表示時間)を示す「変動時間タイマ値」及び「リーチ」の種類等を含む表示内容を決定し、液晶表示装置を制御するものである。そして、変動開始から停止までの間に決定した表示内容に応じた演出が行われるが、その演出を行うため表示制御手段42は、所定の制御(動作)を行うものであって、演出動作を行うものといえる。また、「演出番号」は「大当り判定フラグ」の内容と「変動グループフラグ」の内容とにより生成されるものであるから、上記「演出動作」は、「大当り判定に対応する」すなわち「抽選結果に対応する」ものといえる。
そうすると、引用発明2は、本願発明の「主制御部から制御コマンドを受信して、前記抽選結果に対応する演出動作を実行する第1サブ制御部」に相当する構成を実質的に具備するものである。
イ.音制御回路43は、表示制御回路42から送信された「音声リクエスト番号」を指定する「変動音指定コマンド」に基いてスピーカ63を制御するものであるが、スピーカ63からは「特別図柄の変動開始から終了までの間の表示内容と整合された音」が発生されるものであるから、音制御回路43が行う制御は表示制御回路42すなわち第1サブ制御部と同期した演出動作ということができる。
そうすると、「変動音指定コマンド」は「第1サブ制御部からの指示」ということができるから、引用発明2は、本願発明の「前記第1サブ制御部からの指示に基づいて、第1サブ制御部と同期した演出動作を実行する第2サブ制御部」に相当する構成を実質的に具備するものである。
ウ.液晶表示装置3は、表示内容を示す演出番号に基づいて制御されるものであり、演出番号は複数種類の変動パターンのうち1つの変動パターンを決定するものということができ、識別情報は変動パターンにしたがって可変表示されるものである。また、液晶表示装置3の停止した時の表示が「所定の図柄態様となると遊技者にとって有利な特別遊技状態へ移行する」ということは、「最終的に抽選結果を遊技者に報知」していることを意味している。
そうすると、引用発明2は、本願発明の「前記抽選結果に関連して決定された変動パターンにしたがって識別情報を変動表示させ、最終的に前記抽選結果を遊技者に報知する表示装置」に相当する構成を実質的に具備している。
以上によると、本願発明と引用発明2は、
「遊技者に有利な利益状態を発生させるか否かの抽選結果を、所定の遊技動作に関連して決定して、遊技動作を中心的に制御する主制御部と、主制御部から制御コマンドを受けて前記抽選結果に対応する演出動作を実行する第1サブ制御部と、前記第1サブ制御部からの指示に基づいて、第1サブ制御部と同期した演出動作を実行する第2サブ制御部とを有して構成され、
前記抽選結果に関連して決定された変動パターンにしたがって識別情報を変動表示させ、最終的に前記抽選結果を遊技者に報知する表示装置を適所に配置した遊技機。」である点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点6]
本願発明は、遊技者によるON操作が可能な操作部材を適所に配置したものであるのに対し、引用発明2はそのような構成を有していない点。
[相違点7]
本願発明は、前記抽選結果の報知処理に先立って、前記主制御部から受けた制御コマンドによって前記操作部材のON操作が許容されると、前記ON操作の有無を所定時間だけ第1サブ制御部において検知する第一手段と、前記ON操作がされると、第1サブ制御部と第2サブ制御部とで同期した、特定の演出動作を開始させる第二手段と、を設け、前記ON操作は、前記演出動作の開始タイミングを決定するものの、それ以前に決定されている前記抽選結果に影響を与えないよう構成することで、賭博的な要素を排除しつつ、遊技者が遊技に関与する機会を増加させるようにしたものであるのに対し、引用発明2はそのような構成を有していない点。

(3)判断
上記相違点について検討する。
ア.引用文献3
原査定の拒絶の理由に引用された特開平6-285235号公報(公開日:平成6年10月11日)(以下、「引用文献3」という。)には、以下の事項が図面とともに記載されている。

・【特許請求の範囲】【請求項1】複数のキャラクタが競争を行なっている状態を表示可能な画像表示装置と、該画像表示装置を表示制御する表示制御手段と、前記画像表示装置による競争表示の結果が所定の着順になった場合に遊技価値を付与する遊技価値付与手段とを含むことを特徴とする、遊技機。
・【0008】図1は、遊技機の一例のパチンコ遊技機1を示す全体正面図である。パチンコ遊技機1の右下隅に設けられている打球操作ハンドル21を遊技者が操作することにより、玉貯留皿19内に貯留されているパチンコ玉が遊技領域2内に打込まれる。遊技領域2内には、LCDユニットにより構成された画像表示装置の一例の可変表示装置3が設けられている。遊技領域2内に打込まれたパチンコ玉が始動入賞口6に入賞してその始動入賞玉が始動入賞玉検出器7により検出されれば、その検出信号に基づいて可変表示装置3が後述するように画像表示動作を開始して表示部16にキャラクタの一例の競争馬が競争を行なっている画像等が表示される。この競争馬の着順の予想は、遊技者が馬券購入ボタン23を押圧操作することにより予め入力設定することが可能であり、1着および2着の競争馬の番号をこの馬券購入ボタン23により予め入力設定しておく。そして、可変表示装置3の競争馬の競争表示の結果が、遊技者が予め入力設定した着順に一致した場合には、大当り状態が発生して可変入賞球装置4の開閉板5が開成されてパチンコ玉が入賞しやすい遊技者にとって有利な第1の状態になる。
・【0012】図2は、パチンコ遊技機の制御回路を示すブロック図である。制御回路は、制御中枢としてのマイクロコンピュータ41を含む。マイクロコンピュータ41は、以下に述べるようなパチンコ遊技機の動作を制御する機能を有する。マイクロコンピュータ41は、たとえば数チップのLSIで構成されており、その中には、制御動作を所定の手順で実行することのできるCPU34とCPU34の動作プログラムを格納するROM35と、必要なデータの書込,読出ができるRAM36とが含まれている。
・【0016】マイクロコンピュータ41は、LCDユニット24に画像表示用制御信号を出力し、その制御信号に基づいて、LCDユニット24が画像表示動作を行ない、可変表示装置3の表示部16により競争馬が競争を行なっている画像が表示される。このマイクロコンピュータ41により、前記画像表示装置を表示制御する表示制御手段が構成される。・・・マイクロコンピュータ41は、ランプ駆動回路28を介して各種飾りランプ14,18を点灯または点滅制御する信号を与える。マイクロコンピュータ41は、セグメント・LED駆動回路29を介して、L・N表示器12,始動入賞記憶表示器13,飾りLED15,入賞個数表示器11に対しそれぞれ表示制御用の信号を与える。マイクロコンピュータ41は、アンプ30を介してスピーカ22から音を発生させるための制御信号を出力する。
・【0019】次に、図3の(b)に示すように、馬券売場の画像表示と馬券販売の締切りまでの残り時間とが表示される。この残り時間内に、遊技者が馬券購入ボタン23を押圧操作することにより、遊技者が購入した馬券の1着の番号45が1着表示用の枠43内に表示されるとともに、遊技者が購入した馬券のうちの2着目の番号46が2着表示用の枠44内に表示される。なお図中42は馬券表示領域である。また、締切時間の間に遊技者が馬券購入ボタン23を押圧操作しなかった場合には、後述するように、マイクロコンピュータがランダムに購入馬券を事前決定し、その事前決定された1着馬と2着馬とがこの1着表示用の枠43と2着表示用の枠44とに表示される。
・【0020】遊技者の馬券番号が決まった後において、図3(c)に示すように、複数のキャラクタの一例の競争馬50a?50hがスタートゲート49に並んだ状態とコース48とが画像表示される。
・【0021】次に、競争馬がゲート49をスタートして競争している画像が図4(a),(b)に示される。(a)は、各競争馬が第4コーナを回っている状態を画像表示しており、表示部16の右上隅には、遊技者の馬券の番号51が表示されている。
・【0022】図4(b)は、競争馬のゴール状態を画像表示している。図中、52はゴールライン53を示すポールである。この(b)に示すように、3番の競争馬50cがトップでゴールし、遊技者の馬券番号「3-7」とこの時点では一致しているために、リーチ状態となり、可変表示装置3の画面の色と音が変化する。
・【0023】図5(a)は、写真判定の画像を示し、ゴール付近における競争馬50f,50g,50hを拡大してスローモーションで画像表示し、ゴールの瞬間を再現して表示する。その結果、(a)に示す画像の場合には、2番手の競争馬は50gとなり、遊技者が予め入力設定した馬券番号「3-7」と着順が一致する。
・【0024】すると、図5(b)に示すように、表示部16に「的中」が表示され、次に(c)に示すように、「配当をお受け取り下さい」が表示される。その後、前述した大当り制御が開始される。
・【0026】まず、パチンコ玉が始動入賞口6に入賞して始動入賞玉検出器7により検出されれば、ステップS(以下単にSという)1により、可変表示装置3の表示部16の1着枠43が点滅され、次にS2に進み、基本時間(たとえば10秒間)が終了したか否かの判断がなされ、終了していない場合にはS3に進み、馬券購入ボタン23がONになったか否かの判断がなされ、ONになっていない場合にはS2に戻る。そして、基本時間が終了するまでの間に遊技者が馬券購入ボタン23を押圧操作すれば、S5に進み、押された番号を1着枠43内に表示して1着枠43を点滅状態から点灯状態に切換える制御が行なわれる。次にS6に進み、表示部16の2着枠44を点滅させ、S7に進み、基本時間が終了したか否かの判断がなされ、終了していない場合にはS8に進み、馬券購入ボタン23がONになったか否かの判断がなされ、ONになっていない場合にはS7に戻る。そして、基本時間の終了するまでの間に遊技者が再度馬券購入ボタン23を押圧操作すれば、S9に進み、押された番号を2着枠44内に表示して2着枠44を点滅状態から点灯状態に切換える制御がなされる。
・【0029】さらに、(b)は、大当り判定動作を示すフローチャートであり、馬券購入処理が行なわれた直後に実行される。まずS11により、ランダム1カウンタのカウント値を判定する処理が行なわれる。このランダム1カウンタは、当りはずれを事前決定するためのカウンタであり、「0」から2msec毎に「1」ずつカウントアップして、カウント上限値に達すると再度「0」からカウントアップし直すものである。そして、パチンコ玉の始動入賞のタイミングでランダム1カウンタのカウント値がサンプリングされ、そのサンプリングされた値(乱数)が始動入賞記憶エリアに格納される。始動入賞記憶エリアは、エリア1からエリア4まで用意されており、一番古い始動入賞記憶の発生時にサンプリングされたカウント値がエリア1に格納され、次に新しいサンプリング値がエリア2に格納され、次に新しいサンプリング値がエリア3に格納され、一番新しいサンプリング値がエリア4に格納される。そして、エリア1に格納されているランダム1カウンタの値を呼出して、S11により、当り値(たとえば「1」)と一致するか否かがS12により判定され、一致する場合にはS16に進み、購入馬券に基づいて1着,2着の競争馬がセットされ、S17により、ランダム3カウンタに基づいて3着以下の競争馬がセットされる。
・【0030】次に、S12によりはずれと判定された場合にはS13に進み、ランダム4カウンタに基づいて競争馬のすべての着順をセットし、S14に進み、1着,2着が購入馬券と一致するか否かの判断がなされ、一致しない場合にはそのままリターンするが、一致する場合にはS15により、2着と3着を入れ替える処理が行なわれた後にリターンする。つまり、S12によりはずれと事前決定されたにもかかわらず、たまたま偶然の一致で1着と2着が遊技者の購入馬券と一致した場合には、そのままでは大当りとなるために、S15により2着と3着を入れ替えて強制的にはずれとなるように制御しているのである。

イ.相違点についての検討
[相違点6]について
引用文献3の【0026】及び図1には、遊技者の押圧操作によってONとなる馬券購入ボタン23を遊技機に設けること(技術事項1)が記載されており、馬券購入ボタン23は「遊技者によるON操作が可能な操作部材」ということができる。
そうすると、引用発明2において、引用文献3に記載された技術事項1を適用し、相違点6に係る本願発明の構成とすることは、当業者にとって想到容易である。
[相違点7]について
引用文献3(【0026】)において、1着枠43が点滅された後、馬券購入ボタン23がONになったか否かの判断がなされているが、これは点滅以前では馬券購入ボタンが23がONされても制御に何らの影響も与えないことであるから、点滅後に「操作部材のON操作が許容される」ということができる。また、基本時間が終了するまで、馬券購入ボタン23のON操作の有無が検知されるものであるから、そのような検知を行う手段は当然存在し、当該手段は本願発明の「第一手段」に相当するものといえる。更に、このような馬券購入ボタンのON操作の許容及び検知は、大当り否かの表示(【0024】)の以前に行われるものであるから、「抽選結果の報知処理に先立って」行われるものといえる。
したがって、引用文献3には、本願発明の「抽選結果の報知処理に先立って、ON操作の有無を所定時間だけ検知する第一手段」に相当する構成(技術事項2)が実質的に開示されているといえる。

引用文献3において、馬券購入ボタン23の操作が終了すると、競走馬によるレース(図3(c)?図5(c))を画像表示する演出が行われるが、当該演出は表示部16における可変表示の開始から停止までの演出の一部であり、「特定の演出」ということができる。そして、馬券購入ボタン23の操作が終了すなわち「ON操作がされる」と当該「特定の演出が開始されるものであるから、開始させる手段は当然存在し、当該手段は本願発明の「第二手段」に相当するといえる。
したがって、引用文献3には、本願発明の「ON操作がされると、特定の演出動作を開始させる第二手段」に相当する構成(技術事項3)が実質的に開示されているといえる。

引用文献3においては、パチンコ玉の始動入賞のタイミングでサンプリングされて始動入賞記憶エリアに格納されたランダム1カウンタのカウント値が当り値(たとえば「1」)と一致するか否かによって、大当りとするか否かが決定されるものであり、遊技者の馬券購入ボタン23のON操作によって大当りか否かの決定が変更されるものではないから、賭博的要素は排除されているものということができる。また、馬券購入ボタン23のON操作を行うことにより、遊技者が遊技に関与する機会が与えられるということができる。
したがって、引用文献3には、本願発明の「前記ON操作は、前記演出動作の開始タイミングを決定するものの、それ以前に決定されている前記抽選結果に影響を与えないよう構成することで、賭博的な要素を排除しつつ、遊技者が遊技に関与する機会を増加させるようにした」に相当する構成(技術事項4)が実質的に開示されているといえる。

また、第一手段による処理は、表示に関連する処理であり、サブ制御部に遊技者によるON操作の信号を入力することは従来周知(特開2001-276320号公報参照)であるから、引用発明2に引用文献3に記載された技術事項2を適用する場合には、引用発明2において表示制御回路42にその処理を担わせることは自然なことであって、その場合にはパチンコ遊技機1の動作を制御する主制御制御回路31からの制御コマンドによってその処理を制御することも自然なことである。
更に、一般に、遊技機において、表示装置における特別図柄の変動及び演出にあわせて、音による演出及びランプによる演出を行うことは常識となっており、これらの演出を制御する手段が互いにこれらの演出動作を同期して開始、実行させることは慣用手段に過ぎない。

以上により、引用発明2に引用文献3に記載された技術事項2?4を適用するとともに、第二手段が開始させる特定の演出に関し、表示制御回路42(第1サブ制御部)と音制御回路43(第2サブ制御部)が同期して演出動作を開始させるようにし、相違点7に係る本願発明の構成とすることは、当業者にとって想到容易である。

そして、本願発明の効果は、引用発明2、引用文献3に記載された技術事項、上記周知慣用技術から当業者が予測できる範囲のものである。

したがって、本願発明は、引用発明2、引用文献3に記載された技術事項、上記周知慣用技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4.むすび
以上のとおり、本願発明は、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-05-28 
結審通知日 2010-06-01 
審決日 2010-06-14 
出願番号 特願2002-162739(P2002-162739)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小河 俊弥  
特許庁審判長 伊藤 陽
特許庁審判官 川島 陵司
池谷 香次郎
発明の名称 弾球遊技機  
代理人 野中 誠一  

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