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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1222503
審判番号 不服2008-31716  
総通号数 130 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-10-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-12-15 
確定日 2010-08-26 
事件の表示 特願2002-190154「パチンコ遊技機の窓扉」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 2月 5日出願公開、特開2004- 33240〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明の認定
本願は平成14年6月28日に出願されたものであって、平成20年11月25日付けで拒絶の査定がされたため、これを不服として同年12月15日付けで本件審判請求がされたものである。
当審においてこれを審理した結果、平成22年1月4日付けで、新たな拒絶の理由を通知したところ、請求人は同年3月8日付けで、意見書を提出した。
さらに、当審において、平成22年4月21日付けで、新たな拒絶の理由を通知したところ、請求人は同年6月4日付けで、意見書を提出した。

2.当審の判断
2.-1 本願発明の認定
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成20年12月15日付けで補正された明細書の特許請求の範囲における、
【請求項1】に記載された事項によって特定されるべきものであり、その記載は次のとおりである。
「パチンコ遊技機の本体に軸支されて扉状に開閉可能で、閉鎖状態において該パチンコ遊技機の遊技盤を臨ませるための窓を有する窓扉であって、
前記窓を閉鎖する表側透明板と窓枠部分とが一体成形された合成樹脂製で、その横幅、高さは該窓扉の横幅、高さとそれぞれ整合する板状構造体を不可分の一部として備え、
前記表側透明板の背後側にて前記窓を閉鎖する状態で配されて前記窓扉の閉鎖時には前記遊技盤と対面して自身と前記遊技盤との間に遊技領域となる空間を形成する裏側透明板が接着されており、
前記遊技盤を保持する中枠に軸支されて前記パチンコ遊技機に取り付けられ、閉鎖状態では前記中枠を背後にして前記窓に遊技盤を臨ませる
ことを特徴とするパチンコ遊技機の窓扉。」
なお、本願発明において、窓扉は「パチンコ遊技機の本体に軸支されて」及び「遊技盤を保持する中枠に軸支されて」と、2つの異なる名称の部材に軸支されているが、「パチンコ遊技機の本体」が、本願の明細書及び図面を参照しても明らかでなく、中枠に軸支されているに統一した場合、請求項の記載に矛盾が生じないので、「(窓扉は)中枠に軸支されている」ものとして、以下検討する。

2.-2 引用刊行物の記載事項
当審の拒絶理由に引用した実公昭38-24254号公報(以下「引用例1」という。)には、以下の記載が図示とともにある。
ア.「考案の詳細な説明
本案は、パチンコ機における競技盤の前面にガラス板を支持する支持枠に関する。これを図面に付いて説明すると、aはパチンコ機体bは本考案に係る支持枠を示す。支持枠bは透明な合成樹脂からなり、ブラウン管面状に彎曲させた前面1と四周の框2からなり、框2の上部にはガラスの差入孔3を穿つてガラス板4を挿入し、ガラス板4の両側縁および下縁は框2の両側および溝5により支持させる。なお6は框2の外周に設けた係止溝で、機体aの競技窓孔周縁のレール7に滑合する。もつとも機体と枠との取付けは、上記したように溝6、レール7によらず釘付けにしたり蝶番付けしたりしてもよい。
要するに本案は、透明な合成樹脂で形成された前面1を有し、その内側にガラス板4を取付けるようにしてあるから、全体として従来永久磁石により球を誘導し不正に競技をすることを避けるための二重ガラス式ガラス支持枠と同様に不正競技をすることができなくさせると共にガラス板は一枚で足り、しかも前面1は硬質合成樹脂のために内側のガラスの割れるのを保護し、その上同一寸法の規格のものを簡単かつ大量に提供できる。」

イ.「実用新案登録請求の範囲
枠体を硬質合成樹脂で塑造して枠前面には透明部を一体に設けると共に枠体内周にはガラス保持溝を形成し、該溝に保持させたガラスを透明部の内面に間を存して対面させるようにしたパチンコ機用前面ガラス支持枠。」

2.-3.引用例1記載の発明の認定
上記の摘記した記載から、引用例1には、
「パチンコ機の機体aに蝶番付けされる支持枠bであって、前記支持枠bは、透明な合成樹脂で一体に形成された前面1と四周の框2とからなり、前記前面1は(支持)枠前面に框2と一体に設けられた透明部であり、前記框2は、上部に穿たれた差入孔3からガラス板4を挿入し、前記前面1の内側に、前記框2の両側および溝5によって前記ガラス板4の両側縁および下縁を支持するパチンコ機用前面ガラス支持枠。」
なる発明(以下、「引用発明」という。)が開示されていると認めることができる。

2.-4. 本願発明と引用発明の一致点及び相違点の認定
引用発明における「パチンコ機」は、本願発明における「パチンコ遊技機」に相当し、同様に「競技盤」は「遊技盤」に相当する。
引用発明の「支持枠b」は、「機体a」に蝶番付けされており、「軸支」されていると言え、遊技機の技術分野の常識を考え合わせれば、その軸支は、機体aに対して扉状に開閉可能とするための構成であるから、「支持枠b」は、扉部材である。
そして、その扉部材が閉鎖状態において、扉部材越しに競技盤が視認できるように構成されていることも、パチンコ機の常識から考えて、当然のことである。
とすれば、引用発明における支持枠bの「四周の框2」で囲まれた空間は、本願発明における「窓」に相当し、その窓を構成する「框2」は、本願発明における「窓枠部分」に相当する。
さらに、支持枠bの「前面1」は、支持枠bの前面に一体に設けられた透明部であるから、本願発明における「表側透明板」に相当する。
よって、引用発明の「支持枠b」は、閉鎖状態において競技盤を臨ませるための窓を有する窓扉であり、「支持枠b」は、前記窓を閉鎖する表側透明板と窓枠部分とを有し、その横幅、高さは該窓扉の横幅、高さとそれぞれ整合する板状構造体を不可分の一部として備えているものでもある。
引用発明の「ガラス板4」は、前記前面1の内側、つまり遊技者から見て背後側の位置で、前記四周の框2で囲まれた空間を閉鎖する状態で配されているから、本願発明の「裏側透明板」に相当し、前記ガラス板と競技盤との間には、遊技領域となる空間が形成されていることは、引用発明がパチンコ機に係る発明であることを勘案すれば自明である。
また、引用発明において支持枠bが閉鎖状態にあるとき、表側(遊技者側)から見て、支持枠b、機体a、競技盤の順に積層されていることは、明細書及び図面(特に第2図)から明らかであるから、引用発明の支持枠bは、機体aを背後にして前記四周の框2で囲まれた空間が競技盤に臨んでいることとなる。

以上のことより、引用発明と本願発明とは、
〈一致点〉
「パチンコ遊技機の中枠に軸支されて扉状に開閉可能で、閉鎖状態において該パチンコ遊技機の遊技盤を臨ませるための窓を有する窓扉であって、
前記窓を閉鎖する表側透明板と窓枠部分とが一体成形された合成樹脂製で、その横幅、高さは該窓扉の横幅、高さとそれぞれ整合する板状構造体を不可分の一部として備え、
前記表側透明板の背後側にて前記窓を閉鎖する状態で配されて前記窓扉の閉鎖時には前記遊技盤と対面して自身と前記遊技盤との間に遊技領域となる空間を形成する裏側透明板を有し、
前記遊技盤を保持する中枠に軸支されて前記パチンコ遊技機に取り付けられ、閉鎖状態では前記中枠を背後にして前記窓に遊技盤を臨ませる
ことを特徴とするパチンコ遊技機の窓扉。」
である点で一致し、以下の点で相違している。
<相違点1>
裏側透明板の取付けの態様に関して、本願発明では、「接着」されているのに対して、引用発明では「支持枠bの上部に穿たれた差入孔3からガラス板4を挿入し、框2の両側および溝5によって前記ガラス板4の両側縁および下縁を支持」している点で相違している。

2.-5.相違点の判断及び本願発明の進歩性の判断
(1)相違点1について
当審の拒絶理由に引用した特開2000-176122号公報(以下「引用例2」という。)には、本願発明の裏側透明板に相当するガラス板34を、同じく表側透明板に相当する透視板31から遊技盤側に延在したガラス固定部33a、33b に接着することが記載(【0022】-【0023】、【図2】) されている。
そして、枠体に板状体を取り付ける際に、本願発明のように接着することも、引用発明1のように枠体に設けられたスリット状の孔部に挿入することも、技術分野を問わず、普通に採用される取付け態様であって、引用発明1の裏側透明板の取付けの態様に、引用例2に記載される接着という取付けの態様を用いて、相違点1に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得る程度のことである。
また、本願発明において、「接着」という取付け態様を採用したことによる、格別の作用効果は、何ら生じていない。

2.-6.進歩性のまとめ
以上のとおり、本願発明は、引用発明1及び引用例2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

3.むすび
本願発明が特許を受けることができない以上、本願は他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-06-22 
結審通知日 2010-06-29 
審決日 2010-07-15 
出願番号 特願2002-190154(P2002-190154)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 齋藤 智也  
特許庁審判長 立川 功
特許庁審判官 井上 昌宏
吉村 尚
発明の名称 パチンコ遊技機の窓扉  
代理人 足立 勉  

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