• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する H04M
管理番号 1223203
審判番号 訂正2010-390070  
総通号数 131 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-11-26 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2010-07-01 
確定日 2010-08-26 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3462196号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第3462196号に係る明細書及び図面を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び図面のとおり訂正することを認める。 
理由 第1 請求の要旨
本願は,日本国への平成8年12月13日に出願した特願平8-334188号の一部を,平成13年7月16日に新たな特許出願としたものであって,平成15年8月15日に設定登録がなされた明細書(以下,「特許明細書」という。)を本件審判請求書に添付した訂正明細書のとおり,すなわち,以下(1)?(3)のとおり訂正することを求めるものである。

(1)訂正事項1
特許明細書の請求項1における「ISDNに接続した番号調査用コンピュータにより回線交換呼の制御手順を発信端末として実行し,」との記載を,「ISDNに接続した番号調査用コンピュータにより,使用されているすべての市外局番および市内局番と加入者番号となる可能性のある4桁の数字のすべての組み合わせからなる調査対象電話番号について回線交換呼の制御手順を発信端末として実行し,」との記載に訂正する。
(2)訂正事項2
特許明細書の請求項2における「ISDNに接続した番号調査用コンピュータにより回線交換呼の制御手順を発信端末として実行し,」との記載を,「ISDNに接続した番号調査用コンピュータにより,使用されているすべての市外局番および市内局番と加入者番号となる可能性のある4桁の数字のすべての組み合わせからなる調査対象電話番号について回線交換呼の制御手順を発信端末として実行し,」との記載に訂正する。
(3)訂正事項3
特許明細書の段落【0009】における「ISDNに接続した番号調査用コンピュータにより回線交換呼の制御手順を発信端末として実行し,」との記載を,「ISDNに接続した番号調査用コンピュータにより,使用されているすべての市外局番および市内局番と加入者番号となる可能性のある4桁の数字のすべての組み合わせからなる調査対象電話番号について回線交換呼の制御手順を発信端末として実行し,」との記載に訂正する。

なお,訂正前の請求項1,2,及び,(1)訂正事項1,(2)訂正事項2により訂正された訂正後の請求項1,2は以下のとおりである。
(訂正前)
「【請求項1】ISDNに接続した番号調査用コンピュータにより回線交換呼の制御手順を発信端末として実行し,網から得られる情報に基づいて有効な電話番号をリストアップして有効番号リストを作成する網発呼プロセスと,
前記網発呼プロセスにより作成された前記有効番号リストを複数のクリーニング用コンピュータに配布して読み取り可能にするリスト配布プロセスと,
前記各クリーニング用コンピュータにおいて,クリーニング処理しようとする顧客などの電話番号リストを読み取り可能に準備し,このクリーニング対象電話番号リストと前記有効番号リストとを対照することで,前記クリーニング対象電話番号リスト中の有効な電話番号を区別するクリーニング処理プロセスと,
を含んだことを特徴とする電話番号リストのクリーニング方法。

【請求項2】ISDNに接続した番号調査用コンピュータにより回線交換呼の制御手順を発信端末として実行し,網から得られる情報に基づいて無効な電話番号をリストアップして無効番号リストを作成する網発呼プロセスと,
前記網発呼プロセスにより作成された前記無効番号リストを複数のクリーニング用コンピュータに配布して読み取り可能にするリスト配布プロセスと,
前記各クリーニング用コンピュータにおいて,クリーニング処理しようとする顧客などの電話番号リストを読み取り可能に準備し,このクリーニング対象電話番号リストと前記無効番号リストとを対照することで,前記クリーニング対象電話番号リスト中の無効な電話番号を区別するクリーニング処理プロセスと,
を含んだことを特徴とする電話番号リストのクリーニング方法。」

(訂正後)
「【請求項1】ISDNに接続した番号調査用コンピュータにより,使用されているすべての市外局番および市内局番と加入者番号となる可能性のある4桁の数字のすべての組み合わせからなる調査対象電話番号について回線交換呼の制御手順を発信端末として実行し,網から得られる情報に基づいて有効な電話番号をリストアップして有効番号リストを作成する網発呼プロセスと,
前記網発呼プロセスにより作成された前記有効番号リストを複数のクリーニング用コンピュータに配布して読み取り可能にするリスト配布プロセスと,
前記各クリーニング用コンピュータにおいて,クリーニング処理しようとする顧客などの電話番号リストを読み取り可能に準備し,このクリーニング対象電話番号リストと前記有効番号リストとを対照することで,前記クリーニング対象電話番号リスト中の有効な電話番号を区別するクリーニング処理プロセスと,
を含んだことを特徴とする電話番号リストのクリーニング方法。

【請求項2】ISDNに接続した番号調査用コンピュータにより,使用されているすべての市外局番および市内局番と加入者番号となる可能性のある4桁の数字のすべての組み合わせからなる調査対象電話番号について回線交換呼の制御手順を発信端末として実行し,網から得られる情報に基づいて無効な電話番号をリストアップして無効番号リストを作成する網発呼プロセスと,
前記網発呼プロセスにより作成された前記無効番号リストを複数のクリーニング用コンピュータに配布して読み取り可能にするリスト配布プロセスと,
前記各クリーニング用コンピュータにおいて,クリーニング処理しようとする顧客などの電話番号リストを読み取り可能に準備し,このクリーニング対象電話番号リストと前記無効番号リストとを対照することで,前記クリーニング対象電話番号リスト中の無効な電話番号を区別するクリーニング処理プロセスと,
を含んだことを特徴とする電話番号リストのクリーニング方法。」(下線箇所が訂正箇所である。)

第2 当審の判断
1.訂正の目的の適否,新規事項の有無,及び拡張・変更の存否について

(1)訂正事項1について
訂正前の請求項1では,「番号調査」の対象となる調査対象番号について特に規定されていなかったが,本件訂正により,訂正後の請求項1では,「使用されているすべての市外局番および市内局番と加入者番号となる可能性のある4桁の数字のすべての組み合わせからなる調査対象電話番号」と規定された。
この訂正事項に関して,本件に係る願書に添付した明細書又は図面(以下,「当初明細書」という。)には,以下の記載がある。
a.「【0011】
このパソコン1がたとえば北海道・青森県・秋田県・岩手県エリアに設置されていて,これにより当該エリア全域において実際に使われているすべての電話番号を調べるものとする。よく知られているように,各加入者の電話番号は市外局番と市内局番と加入者番号の組み合せからなり,末尾の4桁が加入者番号である。」
b.「【0012】
北海道・青森県・秋田県・岩手県エリアには,011/0123/01235/01237/01242/0125/0126/01266/0133/0134/0135/0136/0138/01397/0142/0143/0144/0146/01462/0152/01527/0153/01532/01537/0154/0155/0157/0162/016432/0166/0167/0172/0173/0175/0176/0177/0178/0182/0183/0184/0185/0186/0187/0188/0191/0192/0193/0194/0195/0196/0197/0198という52個の市外局番が存在する。これら各市外局のそれぞれに規模に応じた数の市内局番が存在する。たとえば青森局内(0177番)には,22/23/26/28/29/31/32/34?39/41?44/52/54/61?66/73?77/81/82/87/88/99という35個の市内局番が存在する。加入者番号は未公開の情報であるが,これは4桁の数字であり,0000番から9999番までの1万個の番号が存在する可能性がある。青森局内(0177番)には35個の市内局番があるので,35×1万=35万個の電話番号が存在する可能性があり,その何割かが実際に加入者に割り当てられている有効な電話番号である。この発明の方法では,たとえば0177番の青森局内において存在可能性のある35万個の電話番号のうち,どれとどれが有効(無効)かをすべて調べ上げて,その結果を調査リストとする。」
c.「【0013】
実施例のパソコン1は北海道・青森県・秋田県・岩手県エリアの調査を担当している。当該エリアには52個の市外局番が存在しており,各市外局にはそれぞれ多数の市内局番が割り当てられている。これら調査対象となる地域に含まれるすべての市外局番および市内局番を公開されている情報に従ってあらかじめ取得し,それらの局番を調査対象局番としてテーブル化しておく(パソコン1の適当な記憶手段に格納しておく)。その調査対象局番のすべてと,加入者番号となる可能性のある4桁の数字のすべて(1万個)の組み合せが調査対象電話番号である。」
d.「【0032】
===電話番号調査の時間的および地域的な実施の仕方===
ここまでは1台のパソコン1で北海道・青森県・秋田県・岩手県エリアの調査を行うと説明した。同様にして,全国の電話網をいくつかの地域に分割し,それぞれの地域にて前記と同様な電話番号調査用パソコンをISDNに接続し,全国の電話番号の調査を複数の地域に分散した複数のパソコンで分担実行する。そして,それぞれ担当した地域の前記調査リストを通信などを通じて1つに集約することで,全国的な広域の調査リストを作成できる。このようにすることで,1箇所に設置したパソコンで全国の電話網を対象にして前述の調査を行う場合に比べ,調査用パソコンが網に与える悪影響(輻輳の問題)を大幅に低減でき,実用上まったく問題のないレベルに抑えることができる。」

したがって,上記摘記事項cにも記載されているように,調査対象電話番号は,「すべての市外局番および市内局番」及びそれらの番号下に含まれる「加入者番号となる可能性のある4桁の数字のすべて(1万個)の組み合せ」であるから,本件訂正に付加された「使用されているすべての市外局番および市内局番と加入者番号となる可能性のある4桁の数字のすべての組み合わせからなる調査対象電話番号いついて」は,当初明細書に開示されている。
そして,「番号調査」の対象となる調査対象番号が,この訂正事項1を基にして具体化されているのであるから,特許請求の範囲を減縮するものである。
したがって,訂正事項1は,特許請求の範囲を減縮するものであり,しかも当初明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであって,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもない。

(2)訂正事項2について
補正前の請求項2は,同請求項1の「有効な番号」を「無効な番号」とする構成に係る部分が相違するだけで,他の構成要素は実質的に同一といえ,また,上記摘記事項bの「どれとどれが有効(無効)」との記載等からも明らかなように,「有効」と「無効」は単なる補集合の関係にあって,クリーニング処理において同等に取り扱える旨一貫して記載されているから,上記「(1)訂正事項1について」の趣旨と同様に,訂正事項2は,特許請求の範囲を減縮するものであり,しかも当初明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであって,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもない。

(3)訂正事項3について
訂正事項3に係る記載箇所は,発明の詳細な説明中の請求項1,2に係る発明の開示箇所であるから,訂正事項1,2によりその発明の構成が訂正された関係で,整合性を取るためのものであって,平仄合わせに等しいものであるから,明りょうでない記載の釈明に該当する。

以上のとおりであるから,上記訂正事項1,2,3は,特許法第126条第1項第1,3号に揚げる事項を目的とし,第2項乃至第4項の規定に適合する。

2.独立特許要件について
訂正後の特許請求の範囲の請求項1,請求項2に係る発明が,特許出願の際独立して特許を受けることができるものか否かについて検討する。
本件については,参考文献として,以下のものが引用されている。
(1)特開平7-177214号公報
上記文献(1)には,訂正後の請求項1に係る発明の技術的な特徴ともいうべき,「クリーニング対象電話番号リストと有効番号リストとを対照することで,前記クリーニング対象電話番号リスト中の有効な電話番号を区別するクリーニング処理プロセス」を含む点について記載も示唆もないから,請求項1に係る発明が,文献(1)に記載された発明と同一とすることはもとより,文献(1)に記載された発明に基づいて容易に発明できたものとすることもできない。
上記文献(1)には,訂正後の請求項2に係る発明の技術的な特徴ともいうべき,「クリーニング対象電話番号リストと無効番号リストとを対照することで,前記クリーニング対象電話番号リスト中の無効な電話番号を区別するクリーニング処理プロセス」を含む点について記載も示唆もないから,請求項2に係る発明が,文献(1)に記載された発明と同一とすることはもとより,文献(1)に記載された発明に基づいて容易に発明できたものとすることもできない。

次に,本件審判請求書において,請求人が,提出した甲第1?3号証について検討する。
(2)甲第1号証(侵害事件本案訴訟の乙第5号証)
株式会社ワンビシアーカイブズが作成し被告にfaxで送信したとされる資料。
(3)甲第2号証(同,乙第7号証)
株式会社横浜コンピューターシステムが作成したとされる資料。
(4)甲第3号証(同,乙第6号証)
電話帳データベース・クリーニングセールス対象顧客一覧との書証。

これら甲第1?3号証は,本件に関した侵害訴訟事件(平成21年(ワ)第35411号特許侵害行為差止請求事件,及び平成22年(ヨ)第22024号仮処分命令申立事件)において,被告である株式会社クローバー・ネットワーク・コムにより,本件特許が,新規性,進歩性を有しないとの無効の抗弁の根拠とした先行技術資料であると,本件審判請求書に記載されたものである。

しかし,これら甲第1?3号証のいずれの証拠方法によっても,公知日を含む公知性について,このままでは認定ができないものであり,関連する補強証拠もないから,公然知られた発明,公然実施された発明,頒布された刊行物,に相当する証拠資料を感得することができない。
したがって,訂正後の特許請求の範囲の請求項1,請求項2に係る発明が,特許出願の際独立して特許を受けることができるものか否かについて,これら甲第1?3号証のみでは判断できない。
なお,甲第4号証も提出されているが,本件請求項1,2の新規性,進歩性を否定するためのものではないので,特に検討しない。

そして,本件特許に対し,無効の審判は請求されておらず,他に特許出願の際独立して特許を受けることができないとすべき理由も見当たらない。
したがって,訂正後の請求項1,2に係る発明は,特許法第126条第5項の規定に適合する。

第3 むすび
したがって,本件審判の請求は,特許法第126条第1項乃至第5項の規定に適合するものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
電話番号リストのクリーニング方法
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ISDNに接続した番号調査用コンピュータにより、使用されているすべての市外局番および市内局番と加入者番号となる可能性のある4桁の数字のすべての組み合わせからなる調査対象電話番号について回線交換呼の制御手順を発信端末として実行し、網から得られる情報に基づいて有効な電話番号をリストアップして有効番号リストを作成する網発呼プロセスと、
前記網発呼プロセスにより作成された前記有効番号リストを複数のクリーニング用コンピュータに配布して読み取り可能にするリスト配布プロセスと、
前記各クリーニング用コンピュータにおいて、クリーニング処理しようとする顧客などの電話番号リストを読み取り可能に準備し、このクリーニング対象電話番号リストと前記有効番号リストとを対照することで、前記クリーニング対象電話番号リスト中の有効な電話番号を区別するクリーニング処理プロセスと、
を含んだことを特徴とする電話番号リストのクリーニング方法。
【請求項2】ISDNに接続した番号調査用コンピュータにより、使用されているすべての市外局番および市内局番と加入者番号となる可能性のある4桁の数字のすべての組み合わせからなる調査対象電話番号について回線交換呼の制御手順を発信端末として実行し、網から得られる情報に基づいて無効な電話番号をリストアップして無効番号リストを作成する網発呼プロセスと、
前記網発呼プロセスにより作成された前記無効番号リストを複数のクリーニング用コンピュータに配布して読み取り可能にするリスト配布プロセスと、
前記各クリーニング用コンピュータにおいて、クリーニング処理しようとする顧客などの電話番号リストを読み取り可能に準備し、このクリーニング対象電話番号リストと前記無効番号リストとを対照することで、前記クリーニング対象電話番号リスト中の無効な電話番号を区別するクリーニング処理プロセスと、
を含んだことを特徴とする電話番号リストのクリーニング方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、電話回線網で実際に使われている電話番号(または使われていない電話番号)をコンピュータを用いて調査し、その調査結果に基づいて既存の電話番号リストをクリーニングする方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電話を利用した各種の業務においては顧客の電話番号リストはきわめて重要な情報であり、不必要になった電話番号をリストから削除するなど、情報の価値を低下させないような管理を随時行う必要がある。リストに登録されている顧客情報には流動的な情報も当然含まれており、登録されている電話番号がある時点で使用されなくなったり、別の新たな電話番号に変更になったり、あるいはもともと間違った電話番号が登録されていることもある。そのような無効の電話番号はリストから削除しなければならないし、移転した新電話番号をリスト中の旧電話番号に置き換える処理も必要である。
【0003】
従来においては、電話番号リストに従って各顧客に対してなんらかの業務を実行し、各顧客からの応答を確認しながらリストの削除・更新を行っていた。この従来の方法では、実業務の内容によっては甚だしい無駄や不合理を生じることがある。つまり、削除されなければならない無効の顧客に対しても業務を実行することで無駄な経費を使ったり、顧客でない人に迷惑をかけたりすることがある。また移転した顧客に対しては、旧電話番号地と新電話番号地に対して二重に業務を行い、時間と経費が無駄になる。
【0004】
この不合理を解消するために本出願人らは、先に、つぎのような電話番号リストのクリーニング装置を開発した(特開平7-177214号)。網制御回路を備えたパソコンを電話回線に加入者端末として接続し、このパソコンでフロッピーディスクなどに記録した電話番号リストを処理する。リスト中の電話番号を順番にピックアップして電話回線網に発呼し、その発呼動作に対する回線の反応を監視する。発呼後の所定時間内に呼出音が検出されるか、その前に極性反転が検出された場合、発呼した電話番号は有効であると判定する。所定時間内に呼出音も極性反転も話中音も検出されなかった場合、発呼した電話番号は無効であると判定する。この処理を電話番号リストに従ってつぎつぎと行い、有効な番号と無効な番号を区別した新しいリストを作成する。発呼する相手方にできるだけ迷惑をかけない工夫や、電話番号の変更を知らせる案内音声を録音する工夫もしてある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本出願人は前述したようなクリーニング装置を用いて、電話番号リストをクリーニングするサービス業務を行っている。通常はクリーニングしようとする電話番号リストを記録したフロッピーディスクを依頼人から預かり、それをクリーニング装置であるパソコンで前述のように処理し、更新した電話番号リストをやはりフロッピーディスクに記録して依頼人にわたす。この業務について、つぎに述べる2つの重大な問題が生じた。
【0006】
1つは、クリーニング装置から間断なくつぎつぎと発呼することで、直近の交換局で輻輳を生じやすくなるという問題である。電話番号リストのクリーニング処理は一度行えば済むものではなく、適当な期間をおいて繰り返し行う必要がある。多数の依頼人からの多数の電話番号リストを処理するために、多数の電話回線と複数台の高速パソコンを使って集中的かつ連続的な発呼を行うと、輻輳の問題が現実的に無視できなくなる。
【0007】
もう1つの問題は、クリーニング処理を行いたいのだけれども、機密保持の観点から大切な顧客情報の1つである電話番号リストを外部に出せないという事情の依頼人がいることである。この場合には、フロッピーディスクに記録した電話番号リストを業者にわたしてクリーニングしてもらうサービスを受けることができなかった。
【0008】
この発明は前述した従来の問題点に鑑みなされたもので、その目的は、電話番号リストに従って実際に網に発呼することでクリーニング処理するのではなく、電話回線網で実際に使われている電話番号(または使われていない電話番号)をコンピュータを用いて調査し、その調査結果に基づいて網に対してはオフラインで既存の電話番号リストをクリーニング処理する仕組みを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る電話番号リストのクリーニング方法は、ISDNに接続した番号調査用コンピュータにより、使用されているすべての市外局番および市内局番と加入者番号となる可能性のある4桁の数字のすべての組み合わせからなる調査対象電話番号について回線交換呼の制御手順を発信端末として実行し、網から得られる情報に基づいて有効(または無効)な電話番号をリストアップして有効番号リスト(または無効番号リスト)を作成する網発呼プロセスと、前記網発呼プロセスにより作成された前記有効番号リスト(または無効番号リスト)を複数のクリーニング用コンピュータに配布して読み取り可能にするリスト配布プロセスと、前記各クリーニング用コンピュータにおいて、クリーニング処理しようとする顧客などの電話番号リストを読み取り可能に準備し、このクリーニング対象電話番号リストと前記有効番号リスト(または無効番号リスト)とを対照することで、前記クリーニング対象電話番号リスト中の有効(または無効)な電話番号を区別するクリーニング処理プロセスとを含んだことを特徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
===電話番号の調査方法を実施するシステムの基本===
この発明に関わる電話番号調査方法を実施するシステムの一例を図1に示している。ここではISDN端末として一般的なパソコン1を使う。パソコン1は、CPU2・メモリ3・ハードディスク装置4・フロッピーディスク装置5・ディスプレイ装置6・キーボード7・ISDN通信ボード8などを備える。このパソコン1をISDN通信ボード8および回線接続装置(DSU)10を介してISDNに接続している。周知のようにISDNと電話網は一体的に相互接続している。
【0011】
このパソコン1がたとえば北海道・青森県・秋田県・岩手県エリアに設置されていて、これにより当該エリア全域において実際に使われているすべての電話番号を調べるものとする。よく知られているように、各加入者の電話番号は市外局番と市内局番と加入者番号の組み合せからなり、末尾の4桁が加入者番号である。市外局番および市内局番として使用されている番号は、当然ながら一般に公開された情報である。
【0012】
北海道・青森県・秋田県・岩手県エリアには、011/0123/01235/01237/01242/0125/0126/01266/0133/0134/0135/0136/0138/01397/0142/0143/0144/0146/01462/0152/01527/0153/01532/01537/0154/0155/0157/0162/016432/0166/0167/0172/0173/0175/0176/0177/0178/0182/0183/0184/0185/0186/0187/0188/0191/0192/0193/0194/0195/0196/0197/0198という52個の市外局番が存在する。これら各市外局のそれぞれに規模に応じた数の市内局番が存在する。たとえば青森局内(0177番)には、22/23/26/28/29/31/32/34?39/41?44/52/54/61?66/73?77/81/82/87/88/99という35個の市内局番が存在する。加入者番号は未公開の情報であるが、これは4桁の数字であり、0000番から9999番までの1万個の番号が存在する可能性がある。青森局内(0177番)には35個の市内局番があるので、35×1万=35万個の電話番号が存在する可能性があり、その何割かが実際に加入者に割り当てられている有効な電話番号である。この発明の方法では、たとえば0177番の青森局内において存在可能性のある35万個の電話番号のうち、どれとどれが有効(無効)かをすべて調べ上げて、その結果を調査リストとする。
【0013】
実施例のパソコン1は北海道・青森県・秋田県・岩手県エリアの調査を担当している。当該エリアには52個の市外局番が存在しており、各市外局にはそれぞれ多数の市内局番が割り当てられている。これら調査対象となる地域に含まれるすべての市外局番および市内局番を公開されている情報に従ってあらかじめ取得し、それらの局番を調査対象局番としてテーブル化しておく(パソコン1の適当な記憶手段に格納しておく)。その調査対象局番のすべてと、加入者番号となる可能性のある4桁の数字のすべて(1万個)の組み合せが調査対象電話番号である。
【0014】
調査を実行するにあたっては、調査対象局番テーブルから所定の順番で、ある1つの局番(市外局番+市内局番)をピックアップし、その局番と4桁の数字(0000番から9999番までの1万個の番号)のすべての組み合せについて、それが有効な電話番号なのかどうかを以下のようにして調べる。なお、0000番から9999番までの1万個の番号を順番に発生するのはカウンタ機能によりごく簡単にできる。
【0015】
===調査処理の導入部分===
パソコン1が実行する電話番号の調査処理の概略手順を図2のフローチャートに示している。パソコン1は、適宜な記憶手段に格納されている調査対象局番テーブルを認知し、そのテーブルから所定の順番で1個づつ局番をピックアップし、その局番に0000番から9999番までの1万個の番号を順番に組み合わせた電話番号を1個づつ順番に生成し、その1個の電話番号を発呼する呼設定シーケンスを実行開始する(ステップ100→200)。呼設定シーケンスでは最初に、調査対象として生成した電話番号を着番号とし、かつ伝達能力として非制限ディジタル情報を指定した「呼設定」メッセージを作成して網に送出する(ステップ201)。この呼設定シーケンス200ではITU-T勧告Q.931に詳細に規定されている回線交換呼制御手順に従って進行する。この回線交換呼の制御手順は各種の文献に詳細に解説されているので、この明細書では詳しく説明しないが、代表的なシーケンスの進行はつぎの通りである。
【0016】
発信端末からの「呼設定」メッセージを受け取った網は、使用すべきBチャネルを知らせる「呼設定受付」メッセージを発信端末に送るとともに、「呼設定」メッセージを着信端末に送る。これで着信端末に要求されるいろいろな性能が指定され、これを着信端末側でチェックし、適合を確認した着信端末が「呼出」メッセージを網に返す(着信端末が呼出中となる)。この「呼出」メッセージは網から発信端末に送られる。着信端末にてオフフックなどの応答をすると、着信端末→網→発信端末に「応答」メッセージが送られ、これを受けて発信端末から網に、また網から着信端末に「応答確認」メッセージが送られる。これで当該「呼設定」メッセージが受け付けられて回線が接続されたことになる。
【0017】
また、さまざまな理由により発信端末の要求した呼が受け付けられない場合がある。その場合には、網は発信端末に「切断」メッセージを送り、切断復旧シーケンスを実行する。このとき網から発信端末に送られる「切断」メッセージに付帯する情報要素の理由表示の項目で、呼が受け付けられない理由が理由番号の形で通知される。
【0018】
====「切断」メッセージの理由表示====
ITU-T勧告Q.931では、「切断」メッセージにつける理由表示の種別と番号はつぎのように定義されている。
1.正常クラス
《理由番号1 欠番》
この理由表示は、番号はフォーマット上有効であったが、現在欠番のため、発信ユーザが要求した相手に着信できないことを示す。
《理由番号2 指定中継網へのルートなし》
この理由表示は、この理由表示の送信元の装置が、認識不可能な特殊な中継網を通して呼をルーチングする要求を受けたことを示す。この理由表示の送信元の装置は、その中継網が存在してないか、あるいは、それが存在したとしても、この理由表示の送信先の装置に対してサービスをしていない特殊な中継網であるため、その中継網を認識しない。
《理由番号3 相手へのルートなし》
この理由表示は、呼をルーチングされた網が、着信の要求を受けないため呼を着信ユーザへ届けることができないことを示す。
《理由番号6 チャネル利用不可》
この理由表示は、チャネル選択の結果として選択されたチャネルが送信端末に対して利用不可であることを示す。
《理由番号7 呼が設定済のチャネルへ着呼》
この理由表示は、ユーザに着呼があり、その着呼が同様の呼(例えば、パケットモードのX.25バーチャルコール)として、ユーザが既に設定しているチャネルに接続されることを示す。
《理由番号16 正常切断》
この理由表示は、呼に関係するユーザのうちの1人が、呼の切断復旧を要求したことにより、呼が切断されることを示す。正常状態では、この理由表示の生成源は網ではない。
《理由番号17 着ユーザビジー》
この理由表示は、着信ユーザが、もう一つの別の呼を受け付けられないことを示す。この場合、ユーザ装置では、着信呼に対して通信の整合性がとれている必要があります。
《理由番号18 着ユーザレスポンスなし》
この理由表示は、相手ユーザが呼設定のメッセージに対して規定された割り当て時間(本仕様で定義されたタイマT303か、もしくはT310の満了)内に「呼出中」か「応答」かを示すメッセージを返送しない時に使用する。
《理由番号19 着ユーザ呼出中/応答なし》
この理由表示は、呼出の通知はあったが、その後規定された時間内に応答の通知がこなかった場合に使用する。この理由表示は、JT-Q931手順により必然的に生じるものではなく、網内のタイマにより生じることもある。
《理由番号20 加入者不在》
この理由表示は、移動局が(無線バスを通して信号手順によって)ログオフされているか、または、無線交信が着移動局と行なえない(例えば、障害、圏外又は、電源断)ことを示す。
《理由番号21 通信拒否》
この理由表示は、この理由表示を送信した装置がビジーでも不整合でもなく、呼を受け付け可能であるにもかかわらず、呼を受け付けないことを示すのに用いる。
《理由番号22 相手加入者番号変更》
この理由表示は、発信ユーザによって示された着信番号がもはや割り当てられていない時、発信ユーザに通知されるものである。このとき、新しい着信番号が診断情報フィールドに含まれる。
《理由番号26 選択されなかったユーザの切断復旧》
この理由表示は、ユーザが着信呼を得られなかったことを示す。
《理由番号27 相手端末故障中》
この理由表示は、着信側インタフェースが機能的に正常でなかったため、発信ユーザが要求した相手ユーザへの着信が出来なかったことを示す。この「機能的に正常でない」ということは、信号メッセージが相手ユーザに届かないことを意味している。例えば、相手ユーザインタフェースの物理レイヤもしくはデータリンクレイヤの故障とか、ユーザ装置がオフラインの場合等である。
《理由番号28 無効番号フォーマット(不完全番号)》
この理由表示は、着信番号が無効なフォーマットか、もしくは不完全なために、相手ユーザへの着信ができないことを示す。
《理由番号29 ファシリティ拒否》
この理由表示は、ユーザによって要求されたファシリティが、網で提供できない場合に返す。
《理由番号30 状態問合への応答》
この理由表示は、「状態表示」メッセージを生成した理由が、これを生成する以前に「状態問合」メッセージを受信したことによる場合に、この「状態表示」メッセージの中に含まれる。
《理由番号31 その他の正常クラス》
この理由表示は、正常クラスの他の理由で表せない場合に正常状況を報告するためにのみ使用する。
2.リソース使用不可クラス
《理由番号34 利用可回線/チャネルなし》
この理由表示は、呼を取り扱うための利用可能な適当な回線/チャネルが、現在ないことを示す。
《理由番号38 網障害》
この理由表示は、網が機能的に正常でなく、その状態が比較的長時間続きそうであることを表示する。例えば、すぐに再発呼しても受付られそうもない場合である。
《理由番号41 一時的障害》
この理由表示は、網が機能的に正常でなく、その状態が長時間は継続しそうもないことを示す。例えば、ユーザがほぼ即時に再発呼が望める場合である。
《理由番号42 交換機輻輳》
この理由表示は、この理由を発生した交換装置が高トラヒックで輻輳していることを示すのに用いる。
《理由番号43 アクセス情報廃棄》
この理由表示は、網が要求されたアクセス情報(ユーザ・ユーザ情報,低位レイヤ整合性,高位レイヤ整合性もしくは詳細情報の中に示されるサブアドレス等)を相手ユーザに届けられなかったことを示す。廃棄されたアクセス情報の特殊タイフのものは、診断情報の中に含まれる場合がある。
《理由番号44 要求回線/チャネル利用不可》
この理由表示は、要求端末により通知された回線またはチャネルが、相手側のインタフェースで提供できない場合に返す。
《理由番号47 その他のリソース使用不可クラス》
この理由表示は、網輻輳クラスの中の他の理申を適用できないときにのみ、網輻輳イベントとして報告するために使用する。
3.サービス利用不可クラス
《理由番号49 QOS利用不可》
この理由表示は、要求されたQOS(勧告X.213で定義されている)が提供されないことを報告するために使用する(例えば、スループット又は伝達遅延が提供されない場合)。
《理由番号50 要求ファシリティ未契約》
この理由表示は、ユーザがファシリティを提供する網に対して必要な管理上の手続きを終えていないため、要求された付加サービスが綱によって提供されないことを示す。
《理由番号57 伝達能力不許可》
この理由表示は、理由表示を生成した装置で実現している伝達能力であるが、ユーザに許可してない伝達能力をユーザが要求したことを示す。
《理由番号58 現在利用不可伝達能力》
この理由表示は、理由表示を生成した装置で実現している伝達能力であるが、現在利用不可である伝達能力をユーザが要求したことを示す。
《理由番号63 その他のサービスまたはオプションの利用不可クラス》
この理由表示は、サービス利用不可クラスの他の理由表示が適用できない場合にのみ、サービス利用不可イベントを報告するのに使用する。
4.サービス未提供クラス
《理由番号65 未提供伝達能力指定》
この理由表示は、理由表示を送信した装置が要求された伝達能力をサポートしでないことを示す。
《理由番号66 未提供チャネル種別指定》
この理由表示は、理由表示を送信した装置が要求されたチャネル種別をサポートしでないことを示す。
《理由番号69 未提供ファシリティ要求》
この理由表示は、この理由表示を送信した装置が要求された付加サービスを提供しないことを示す。
《理由番号70 制限ディジタル情報伝達能力》
この理由表示は、ある装置が非制限ディジタル情報伝達能力を要求した場合、この理由表示を送信する装置が要求された伝達能力のうち制限ディジタル情報伝達能力のみをサポートしていることを示す。
《理由番号79 その他のサービスまたはオプションの未提供クラス》
この理由表示は、サービス未提供クラスの他の理由が適用できない場合にのみ、サービス未提供を報告するのに使用する。
5.無効メッセージクラス
《理由番号81 無効呼番号使用》
この理由表示ば、理由表示を送信した装置がユーザ・網インタフェース間で現在使用しているのと異なる呼番号のメッセージを受信したことを示す。
《理由番号82 無効チャネル番号使用》
この理由表示は、理由表示を送信した装置が活性化していないチャネル番号の使用要求を受信したことを示す。例えば、ユーザが1から12までのチャネルを契約しているにもかかわらず、ユーザ装置または網がチャネル番号13から23の使用を試みた場合等である。
《理由番号83 指定された中断呼識別番号未使用》
この理由表示は、中断された呼に用いられていた呼識別番号とは異なった呼識別番号を持つ呼の再開が試されたことを示す。
《理由番号84 中断呼識別番号使用中》
この理由表示は、網が呼の中断要求を受信したが、この中断要求は呼の再開が行われるかもしれないインタフェース領域内の中断呼識別としてすでに使用中である呼識別(なにもしない場合を含む)を含んでいたことを示す。
《理由番号85 中断呼なし》
この理由表示は、網が呼の再開要求を受信したことを示す。しかし、呼の再開要求の含んでいる呼識別が、呼の再開が行われるかもしれないインタフェース領域内の中断された呼には現在使用されていないことを示す。
《理由番号86 指定中断呼切断復旧済》
この理由表示は、網が再開要求を受信したが、この再開要求は、一度中断呼として通知された呼識別を含んでおり、その中断呼が(リモートユーザの切断復旧またはタイムアウトにより)すでに切断復旧されていることを示す。
《理由番号87 ユーザはCUGメンバでない》
付加サービス仕様参照
《理由番号88 端末属性不一致》
この理由表示は、理由表示を送信した装置が適合しえない低位レイヤ整合性、高位レイヤ整合性、あるいは他の整合性属性(例=データ速度)をもつ呼設定の要求を受信したことを示す。
《理由番号91 無効中継網選択》
この理由表示は、中継網織別を受信したが、それが別に定義されているように、正しくないフォーマットであることを示す。
《理由番号95 その他の無効メッセージクラス》
この理由表示は、無効メッセージクラスの他の理由が適用できない場合にのみ、無効メッセージクラスのイベントを報告するために用いる。
6.手順誤リ(例:認識されないメッセージ)クラス
《理由番号96 必須情報要素不足》
この理由表示は、理由表示を送信した装置がメッセージを受信時に、メッセージ内に存在しなければならない情報要素(必須情報要素)が不足していたことを示す。
《理由番号97 メッセージ種別未定義または未提供》
この理由表示は、理由表示を送信した装置が、その装置において未定義のメッセージ、または定義されているが未提供であるような認識できないメッセージ種別を持つメッセージを受信したことを示す。
《理由番号98 呼状態とメッセージ不一致又はメッセージ種別未定義》
この理由表示は、この理由表示を送信した装置が、処理において特定な呼状態の間に受信したメッセージが許可しうるメッセージでないか、整合していない呼状態を示す「状態表示」を受信したことを示す。
《理由番号99 情報要素未定義》
この理由表示は、理由表示を送信した装置の情報要素識別子が未定義、または定義されていても未提供である情報要素を含んだメッセージを受信した場合に用いる。なお、その情報要素は、この理由を送出した装置が、メッセージの処理を行うために必要なものでない場合に限る。
《理由番号100 情報要素内容無効》
この理由表示は、理由表示を送信した装置が提供している情報要素であるが、情報要素の1つまたは複数のフィールドが提供していないコードである情報要素を受信したことを示す。
《理由番号101 呼状態とメッセージ不一致》
この理由表示は、受信したメッセージが呼状態と不一致の場合に用いる。
《理由番号102 タイマ満了による回復》
この理由表示は、本レイヤ3仕様のエラー処理手順に従い、タイマが満了したことにより手順が開始されたことを示す。
《理由番号111 その他の手順誤りクラス》
この理由表示は、手順誤りクラスの他の理由が適用できない場合にのみ手順誤りイベントを報告するのに用いる。
7.インタワーキンダクラス
《理由番号127 その他のインタワーキングクラス》
この理由表示は、動作するための理由表示が存在しないような網でのインタワークが発生したことを示す。従って、送信すべきメッセージのための正確な理由表示は確認できない。
【0019】
====調査処理の制御の流れ====
さて、この発明の電話番号の調査処理においては、図2のフローチャートに示すように、呼設定シーケンス200において、送出した「呼設定」メッセージの呼が受け付けられて網から「呼出」メッセージまたは「応答」メッセージが転送されてきた場合に、ステップ202またはステップ203からステップ301→302→303の処理に抜け出して、直ちに網に「切断」メッセージを送出して切断復旧シーケンスを実行するとともに、当該「呼設定」メッセージの前記電話番号を有効番号と判定して有効リストに記入する。これで、この電話番号についての調査処理を終了したことになる。
【0020】
また呼設定シーケンス200において、送出した「呼設定」メッセージの呼が受け付けられずに網から「切断」メッセージが転送されてきた場合に、ステップ204からステップ401→402の処理に抜け出して、直ちに切断復旧シーケンスを実行するとともに、網からの「切断」メッセージに付帯した情報要素の理由表示をピックアップし、その理由表示の内容に応じて、当該「呼設定」メッセージの前記電話番号についての有効・無効および保留などの判断を下す。
【0021】
(a)有効番号
ステップ402でピックアップした理由表示が、
《理由番号3 相手へのルートなし》
《理由番号7 呼が設定済のチャネルへ着呼》
《理由番号16 正常切断》
《理由番号17 着ユーザビジー》
《理由番号18 着ユーザレスポンスなし》
《理由番号19 着ユーザ呼出中/応答なし》
《理由番号20 加入者不在》
《理由番号21 通信拒否》
《理由番号27 相手端末故障中》
《理由番号49 QOS利用不可》
《理由番号50 要求ファシリティ未契約》
《理由番号57 伝達能力不許可》
《理由番号58 現在利用不可伝達能力》
《理由番号63 その他のサービスまたはオプションの利用不可クラス》
《理由番号65 未提供伝達能力指定》
《理由番号66 未提供チャネル種別指定》
《理由番号69 未提供ファシリティ要求》
《理由番号70 制限ディジタル情報伝達能力》
《理由番号79 その他のサービスまたはオプションの未提供クラス》
《理由番号88 端末属性不一致》
のいずれかであった場合は、当該「呼設定」メッセージの前記電話番号を有効番号と認定し、その電話番号を有効リストに記入する(ステップ403→404)。
【0022】
(b)番号変更
ステップ402でピックアップした理由表示が《理由番号22 相手加入者番号変更》であった場合、その理由表示の診断情報フィールドに記入されている新しい電話番号をピックアップし、当該「呼設定」メッセージの前記電話番号をピックアップした新しい電話番号と発呼した電話番号とを対照させて変更番号調査リストに記入する(ステップ403→405→406)。
【0023】
(c)無効番号
ステップ402でピックアップした理由表示が、
《理由番号1 欠番》
《理由番号2 指定中継網へのルートなし》
《理由番号6 チャネル利用不可》
のいずれかであった場合は、当該「呼設定」メッセージの前記電話番号を無効番号と認定し、その電話番号を無効リストに記入する(ステップ403→405→407→408)。
【0024】
(d)判断保留
ステップ402でピックアップした理由表示が、ステップ403・405・407で調べたいずれの理由番号でもなかった場合は、当該「呼設定」メッセージの前記電話番号を有効番号とも無効番号とも判定せずに、保留リストに記入する(ステップ403→405→407→409)。
【0025】
以上のようにして、ある1つの電話番号について調査処理を終了したならば、ステップ501に進み、調査対象のすべての電話番号について処理完了したか否かをチェックし、完了していなければ最初のステップ100に戻ってつぎの電話番号を生成し、その電話番号について前記と同じ処理を行う。全件の処理が完了したのであれば、ステップ502に進んで、調査リストを所定の形式で出力する。
【0026】
====実際の運用状況====
調査対象となる地域に含まれるすべての市外局番および市内局番を公開されている情報に従ってあらかじめ取得し、それらの局番を調査対象局番としてテーブル化しておく。その調査対象局番のすべてと、加入者番号となる可能性のある4桁の数字のすべての組み合せが調査対象電話番号である。都市の規模によって異なるが、1つの局番を持つ1万個の調査対象電話番号のうち、半数程度が未使用の無効の番号であることが普通である。また、電話番号のほとんどがアナログ電話網の加入者番号であり、最近すこしずつISDN(INS64)の加入者番号が増えてきている。このような現状の電話網に前述した仕組みの調査処理により発呼した場合、パソコン1とISDNの交換局(網)との間でつぎのような応答がなされる。
【0027】
(A)発呼した電話番号がアナログ電話網の有効な加入者番号であった場合
この数が全体の半数近くを占めるのが普通である。この発明の装置は「呼設定」メッセージで伝達能力として非制限ディジタル情報を指定して発呼しているので、網は《理由番号3 相手へのルートなし》を付けた「切断」メッセージを返してくる。したがってパソコン1は、その電話番号を有効リストに記入する。ここで注目すべきことは、この調査と判断を行うにあたって、調査対象の電話に対して呼出をまったく行わないことである。つまり調査される相手から見た場合、無用な電話に無理に応答させられる煩わしさがない。
【0028】
(B)発呼した電話番号が変更になっていた場合
これはアナログ電話網かISDNのいずれの加入者番号かに係わりなく、網は《理由番号22 相手加入者番号変更》を付けた「切断」メッセージを返してくる。これを受けてパソコン1は、その理由表示の診断情報フィールドに記入されている新しい電話番号をピックアップし、その新番号と発呼した番号とを対照させて変更番号調査リストに記入する。
【0029】
(C)発呼した電話番号が使われていない番号であった場合
この数が全体の半数近くになることが多い。これもアナログ電話網かISDNのいずれの加入者番号かに係わりなく、網は《理由番号1 欠番》の付いた「切断」メッセージを返してくる。これを受けてパソコン1は、その電話番号を無効リストに記入する。
【0030】
(D)発呼した電話番号がISDNの有効な加入者番号であった場合
この場合は相手設備の状況に応じてやり取りが変わる。パソコン1からの「発呼」メッセージにより着信端末(相手)にて呼出が行われ、さらにその呼出に相手が応答すると、図2のフローチャートにおいてステップ301側に処理が進み、本発明の調査装置の側から切断復旧シーケンスを開始するし、その電話番号を有効リストに記入する。また、網から「切断」メッセージが返ってきた場合であっても、前述したように、その理由番号が#7,#16,#17,#18,#19,#20,#21,#27,#49,#50,#57,#58,#63,#65,#66,#70,#79のいずれかであれば、その電話番号を有効リストに記入し、理由番号が#2か#6であればその電話番号を無効リストに記入し、これ以外の理由番号のときは保留リストに記入する。
【0031】
なお、各理由番号について“有効”“無効”“保留”のどの分類に振り分けるかは、実施例での説明が最善のものと言えない場合も考えられる。ISDNの加入者の利用状況とそれに対する網の反応をさらに詳しく吟味し、ある理由表示は“保留”ではなくて“有効”に分類した方が適切であったり、または“無効”に分類した方が適切だということがあり得る。この発明は、そのような弾力的な運用を妨げるものではない。
【0032】
===電話番号調査の時間的および地域的な実施の仕方===
ここまでは1台のパソコン1で北海道・青森県・秋田県・岩手県エリアの調査を行うと説明した。同様にして、全国の電話網をいくつかの地域に分割し、それぞれの地域にて前記と同様な電話番号調査用パソコンをISDNに接続し、全国の電話番号の調査を複数の地域に分散した複数のパソコンで分担実行する。そして、それぞれ担当した地域の前記調査リストを通信などを通じて1つに集約することで、全国的な広域の調査リストを作成できる。このようにすることで、1箇所に設置したパソコンで全国の電話網を対象にして前述の調査を行う場合に比べ、調査用パソコンが網に与える悪影響(輻輳の問題)を大幅に低減でき、実用上まったく問題のないレベルに抑えることができる。
【0033】
またつぎに説明するように、この発明においては、前記の調査方法により得た調査リストをたとえばCD-ROMやフロッピーディスクあるいはICカードに記録して依頼者に配付したり、通信により依頼者のコンピュータに転送したりし、依頼者のコンピュータで調査リストと既存の電話番号リストとを照し合せることで、電話番号リストをクリーニング処理する。したがって、多数の依頼者がいても、1回行われた調査結果に基づいて電話網に対してはオフラインで何回でもクリーニング処理を行うことができる。
【0034】
そのため従来の方法のように、電話網に発呼し続けながら多数の電話番号リストをクリーニング処理する必要はなく、定期的に全国的な規模で電話番号調査を前述のように実行すればよい。たとえば1ヵ月に1回の割り合いで調査を行うとしたならば、前述のパソコン1は受け持ちの北海道・青森県・秋田県・岩手県エリアの調査を1ヵ月かけて行えばよい。そうすれば、調査対象電話番号の数が膨大でも、ゆっくりと時間をかけて調査を行うことができるので、輻輳の問題は完全に問題のないレベルとなる。
【0035】
なお、いままでの説明では「加入者番号となる可能性のある4桁の数字のすべて」は0000番から9999番までの1万個だとした。ここで、電話回線網の運営事業者の都合などで絶対に加入者に割り当てない番号があり、しかもその番号が公開情報として入手できるのであれば、その番号を「加入者番号となる可能性のない番号」として扱い、これを調査対象から外すようにしてもよい。
【0036】
===電話番号リストのクリーニング処理===
クリーニング処理したい電話番号リストを持っている依頼者は、従来のようにリストを記録したフロッピーディスクなどをサービス業者にわたす必要はない。反対に、前述した調査処理の結果である調査リストをサービス業者から受け取る。CD-ROMやフロッピーディスクあるいはICカードといった電子記録媒体に記録された調査リストを受け取って、自分の(依頼人の)コンピュータに取り込んだり、インターネットなどの通信媒体を通じてサービス業者のサーバーから自分のコンピュータにダウンロードする。
【0037】
クリーニング処理したい電話番号リストも磁気テープやフロッピーディスクなどにより自分のコンピュータに取り込む。そして電話番号リストと調査リストとを対照処理し、電話番号リストについて、調査リストでは無効番号と判定された電話番号を除くか、あるいは調査リストで有効番号と判定された電話番号を抽出することで、当該電話番号リストを更新する。また前述の変更番号調査リストを利用して、クリーニング対象の電話番号リストに変更になった電話番号が含まれていたならば、それを新しい電話番号に置換する。
【0038】
【発明の効果】
この発明では、電話番号リストに従って実際に網に発呼することでクリーニング処理するのではなく、電話回線網で実際に使われている電話番号をコンピュータを用いて調査し、その調査結果に基づいて網に対してはオフラインで既存の電話番号リストをクリーニング処理する。そして調査にあたっては、調査対象の電話に対して呼出をまったく行わないという大きな特徴があり、実際の電話加入者に対して無用な電話に無理に応答させるという迷惑がかからない。
【0039】
また調査にあたっては、地域的および時間的に充分に分散して処理を実行できるので、調査用のコンピュータ(調査装置)に直近の交換局で輻輳を起こすことがない。また、機密保持の観点で電話番号リストを外部に出せない場合でも、自分のコンピュータで簡単にリストのクリーニング処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の電話番号の調査方法を実行するパソコンシステムのハードウェア構成の概略図である。
【図2】同上システムにおける調査処理の主要部分の概略を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 パソコン
2 CPU
3 メモリ
4 ハードディスク装置
5 フロッピーディスク装置
6 ディスプレイ装置
7 キーボード
8 ISDN通信ボード
10 回線接続装置
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2010-08-18 
出願番号 特願2001-215037(P2001-215037)
審決分類 P 1 41・ 851- Y (H04M)
最終処分 成立  
前審関与審査官 山中 実篠塚 隆  
特許庁審判長 山本 春樹
特許庁審判官 竹井 文雄
新川 圭二
萩原 義則
高野 洋
登録日 2003-08-15 
登録番号 特許第3462196号(P3462196)
発明の名称 電話番号リストのクリーニング方法  
代理人 田中 浩之  
代理人 野口 明男  
代理人 一色国際特許業務法人  
代理人 野口 明男  
代理人 飯塚 卓也  
代理人 一色国際特許業務法人  
代理人 田中 浩之  
代理人 飯塚 卓也  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ