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審決分類 審判 全部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  E06B
審判 全部無効 2項進歩性  E06B
審判 全部無効 特36条4項詳細な説明の記載不備  E06B
管理番号 1223211
審判番号 無効2009-800023  
総通号数 131 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-11-26 
種別 無効の審決 
審判請求日 2009-02-09 
確定日 2010-08-23 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第3420527号発明「合成樹脂製窓材」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
平成11年 4月21日:出願(特願平11-113686号)
平成15年 4月18日:特許権の設定登録
平成21年 2月 9日:本件審判請求
平成21年 4月23日:被請求人より答弁書及び訂正請求書提出
平成21年 5月28日:請求人より弁駁書提出
平成21年 9月10日:請求人及び被請求人より口頭審理陳述要領書
提出、口頭審理
平成21年 9月29日:請求人より上申書提出
平成21年10月 7日:被請求人より上申書提出

第2 当事者の主張
1.請求人の主張
請求人は、特許第3420527号の請求項1に係る発明についての特許を無効とする、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由として、以下の無効理由を主張し、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第12号証を提出した。

[無効事由]
(1)無効理由1:本件特許発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証ないし甲第12号証に示される従来周知の技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本件特許は取り消されるべきである。
(2)無効理由2:本件明細書の記載は不備であり、特許法第36条第6項第2号及び第4項の規定に違反してなされたものであるから、特許法第123条第4項に規定に該当し、無効とされるべきである。
(3)訂正後の請求項1に係る発明も依然として上記無効理由がある。

[証拠方法]
甲第1号証:特開昭58-138885号公報
甲第2号証:ドイツ公開特許第3616444号公報
甲第3号証:特開平6-344413号公報
甲第4号証:特開昭49-64671号公報
甲第5号証:特開平10-246067号公報
甲第6号証:特開平9-216269号公報
甲第7号証:特開平8-47985号公報
甲第8号証:特開平7-195580号公報
甲第9号証:特公平3-8887号公報
甲第10号証:特許第2943092号公報
甲第11号証:特許第3108897号公報
甲第12号証:特開平3-176584号公報

2.被請求人の主張
被請求人は、答弁書と共に訂正請求書を提出し、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求め、請求人の無効理由に対して以下のように反論し、証拠方法として乙第1号証ないし乙第4号証を提出した。

[無効理由に対する反論]
(1)訂正後の本件特許発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証ないし甲第12号証に示される従来周知の技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定に違反するものではない。
(2)明細書及び特許請求の範囲の記載は明確かつ十分に記載されているものであり、特許法第36条第6項第2号及び第4項の規定に違反しておらず,無効とされるべきものではない。

[証拠方法]
乙第1号証:特開平10-192735号公報
乙第2号証:特開2000-343579号公報
乙第3号証:特公平7-11229号公報
乙第4号証:特開平8-118472号公報

第3 訂正の適否
1.訂正の内容
本件無効審判の訂正請求は、本件特許の願書に添付した明細書を次のとおりに訂正しようとするものである。
(1)訂正事項1
請求項1の「合成樹脂製の中空窓材であって、」を「各窓枠の長さ方向に対して斜めに切断された断面を加熱し、両側から押し付けることにより溶着される合成樹脂製の中空窓材であって、」に訂正する。

(2)訂正事項2
請求項1の「組成物(B)からなる外層とにより構成されてなり、且つ該中空窓材を用いて窓枠に構成したときに、」を「組成物(B)からなる外層とにより構成されてなり、前記廃材が、オレフィン系樹脂フィルムが貼付、またはアクリル系樹脂で被覆された塩化ビニル樹脂の廃材であり、且つ、該中空窓材を用いて窓枠に構成したときに、」に訂正する。

2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記訂正事項1は、訂正前の請求項1に記載された「合成樹脂製の中空窓材」の構成を限定するものであるから、特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものである。
また、記訂正事項2は、訂正前の請求項1に記載された「塩化ビニル系樹脂とオレフィン系樹脂又はアクリル系樹脂とを含んでなる廃材」について、「オレフィン系樹脂フィルムが貼付、またはアクリル系樹脂で被覆された塩化ビニル樹脂の廃材」に限定するものであるから、特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものである。
そして、上記訂正事項1は、本件特許明細書の、「窓枠5を作成する際には、窓枠材11は溶着される。この場合、窓枠5の強度の点から図1に示すように、各窓枠の長さ方向に対して斜めに切断された断面を加熱し、両側から押しつけることにより溶着するのが一般的であり、」(本件特許公報6欄17?21行)の記載に基づくものであり、訂正事項2は、「上記形材には、表面保護の目的でその外表面には手で容易に剥離可能なオレフィン系樹脂フィルムが貼付されいるのが一般的であり、」(同3欄6?9行)、及び「窓材をカラー化するために塩化ビニル樹脂基体の表面を透明、若しくは様々な色に着色したアクリル系樹脂で被覆することが行われている。」(同3欄15?18行)の記載に基づくものであって、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、特許請求の範囲を実質上拡張し、又は変更するものでもない。

3.むすび
したがって、上記訂正事項1、2は、第134条の2第1項ただし書きに適合し、特許法第134条の2第5項において準用する特許法第126条第3項及び4項の規定に適合するから、当該訂正を認める。

第4 本件発明
上記第3に示したとおり、本件に係る訂正が認められるから、本件特許の請求項1に係る発明は、上記訂正請求書に添付した訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
「各窓枠の長さ方向に対して斜めに切断された断面を加熱し、両側から押し付けることにより溶着される合成樹脂製の中空窓材であって、塩化ビニル系樹脂とオレフィン系樹脂又はアクリル系樹脂とを含んでなる廃材由来のリサイクル樹脂を主成分とする組成物(A)からなる内層と、未使用の塩化ビニル系樹脂又は未使用のアクリル系樹脂を主成分とする組成物(B)からなる外層とにより構成されてなり、前記廃材が、オレフィン系樹脂フィルムが貼付、またはアクリル系樹脂で被覆された塩化ビニル樹脂の廃材であり、且つ、該中空窓材を用いて窓枠に構成したときに、各窓材の上記内層および外層からなる構成層のうち、枠内側に位置する構成層(甲)、枠外側に位置する構成層(乙)、および枠の内外の側面に位置する構成層(丙)の少なくとも1つが、下記条件を充足することを特徴とする合成樹脂製窓材。
甲:層の全厚さ(Wt)対する前記組成物(B)で形成された外層部分の厚さ(Wb)の比(Wb/Wt)が0.30?0.45である。
乙:層の全厚さ(Wt)対する前記組成物(B)で形成された外層部分の厚さ(Wb)の比(Wb/Wt)が0.80?0.95である。
丙:層の全厚さ(Wt)対する前記組成物(B)で形成された外層部分の厚さ(Wb)の比(Wb/Wt)が0.40?0.65である。」(以下、「本件発明」という。)

第5 無効理由1についての判断
1.甲号各証の記載内容
(1)甲第1号証(特開昭58-138885号公報 )には図面と共に次の事項が記載されている。
(1a)「1.強化プラスチックから成る中空であってもよい異形心材及び該異形心材を包囲するプラスチックから成る外被を有する、窓又は戸用の枠を製造するための異形材において、異形心材が・・・ポリ塩化ビニル100重量部に対して、・・・ガラス繊維40?100重量部及び・・・鉱物性充填剤0?25重量部を含有するガラス繊維強化PVC組成物から構成されておりかつ・・・PVCと相溶性の、異形心材の衝撃強さを上回るプラスチックから成る外被と結合されていることを特徴とする異形材。」(特許請求の範囲第1項)、
(1b)「8.外被がPVC、ポリ塩化ビニリデン、後塩素化されたPVC、塩素化単量体と該単量体と共重合可能な少なくとも1種の単量体とから得られる共重合体、例えば単重合体または例えばエチレンビニルアセテート、アクリレート、ビニルアクリレート、塩素化ポリエチレン、ブタジエン、ポリオレフィン又はその他との共重合体もしくはグラフト重合体及びその混合物をベースとしかつ添加剤・・・を含有するものから成る、特許請求の範囲第1項?第7項のいずれか1項に記載の異形材。」(特許請求の範囲第8項)、
(1c)「本発明の課題は、耐候性、機械的強度及び剛性に対する要求を満足し、できるだけ簡単な接合技術で特に溶接により枠組することができ、」(3頁右上欄12?14行)、
(1d)「異形心材はガラス繊維の割合が高いために着色が困難である、・・・外被は異形材の色付けの役割を有するだけでなく、同時にまた平滑な表面を形成する役割も有する。」(3頁左下欄15?20行)、
(1e)「材料使用量を減少させるためには、本発明では、異形心材を中空成形体として構成することを提案する、この場合には壁厚は1.0?10mm、有利には2.0?4mmを使用する。主として表面加工の課題を有しかつ場合により衝撃強さを高めるために貢献しかつ耐候性を高める外被は、有利には0.2?4mm、特に0.3?1.5mmの壁厚を有する」(6頁左上欄13?20行)。

これらの記載によれば、甲第1号証には、次の発明が記載されていると認められる。
「溶接により枠組された合成樹脂製の中空窓材であって、
未使用の塩化ビニル系樹脂とガラス繊維を含むガラス繊維強化PVC組成物からなる異形心材と、
未使用の塩化ビニル系樹脂を主成分とする組成物とからなる外被とにより構成され、且つ
該中空窓材を用いて窓枠に構成したときに、各窓材の上記異形心材および外被からなる構成層のうち、異形心材の壁厚は1.0?10mm、有利には2.0?4mmであり、外被は、0.2?4mm、特に0.3?1.5mmの壁厚を有する窓枠。」

(2)甲第2号証(ドイツ公開特許第3616444号公報)には、概略次の事項が記載されている。
(2a)「原則的に潤滑剤、フィラー、顔料と特に安定剤を混合してなるポリ塩化ビニルであって、押出加工法で加工されるプラスチック材料からなる窓及び/又はドア用型材であり、この型材の内部(2)がより安定でないプラスチック型材からなり、型材の外部(1)が安定なプラスチック材料或いは同等の材料からなる型材」(2頁1欄、請求項1)、
(2b)「型材の内部が、再生又は押出材の廃棄物から得られているより劣った安定剤を一定量含んでいるプラスチック材料からなり、未使用材料からなる型材の外部の機械的性質がそれによって決まる請求項1の型材」(2頁1欄、請求項2)、
(2c)「発明を適切に利用する型材の外部及び内部の色調に関しては任意の組み合わせがあり、例えば、内部領域用の暗い色調の再生材料と外部領域用の明るい色の未使用材料とを共押出したものがある。同様に、型材の外部領域用の暗い色調の未使用材料と内部領域用の明るい及び/又は有色の再生材料との組み合わせもあり得る。」(同号証3頁3欄32?41行)。

(3)甲第3号証(特開平6-344413号公報)には、図面と共に次の事項が記載されている。
(3a)「【請求項1】 異形押出成形法により形成される長尺の家具用部材であって、合成樹脂成分を有する本体と、該本体の表面の少なくとも一部にその軸方向に沿って形成された合成樹脂からなる表皮層とから構成される家具用部材。」、
(3b)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は家具用部材に関する。さらに詳しくは、建具、各種棚類、パネルなどの枠体、窓サッシ、カーテンボックス、さらに鴨居や敷居など広い分野で用いられる家具用部材に関する。」、
(3c)「【0010】図1において、1は襖の枠体であり、2が本体、3が表皮層である。本体2は廃却された熱可塑性または熱硬化性の合成樹脂からなる製品を微細に粉砕し、これらを熱可塑性樹脂内に混入してえられた、いわば混合合成樹脂から形成されており、とくに着色などを施したものではない。表皮層3はPMMA樹脂、AES樹脂、AAS樹脂またはABSなどの熱可塑性樹脂から構成されている。この表皮層には所望の着色を施せばよい。このように構成された枠体1は、本体2に廃材を使用しようとも、表皮層3が美麗であるため、何ら商品価値を低下させることがない。・・・
【0011】なお、本体の材料としては、前述のごとく合成樹脂廃材に限定されることはなく、たとえば木材チップ、コンクリートチップもしくはもみがらなどを溶融熱可塑性合成樹脂に混入したもの、または発泡合成樹脂などから押出成形してもよい。」。

(4)甲第4号証(特開昭49-64671号公報)には、図面と共に次の事項が記載されている。
(4a)「・・・プラスチック廃棄物を用いてプレスによるブロック化、板状化をはかったり、押出機を用いて棒状、管状、板状体を作り土木建築用に利用する方法が一部で試みられている。しかしかゝる方法ではプラスチック廃棄物は種々雑多な混合物であるため、外観的にまた強度的にも不均一で著しく利用範囲を狭めるものである。」(1頁左下欄17行?右下欄4行)、
(4b)「・・・本発明の要旨とするところは溶融混合したものをまたは溶融混合させながら押出機から、プラスチック廃棄物を押出し、同時に化粧用かつ補強用となる表皮層を押出し、1基のダイの内または外で合流被覆させて、2層の押出物を得るものであり、芯層としてプラスチック廃棄物を有効に利用することにある。」(1頁右下欄9?15行)、
(4c)「第2?4図までは本発明の押出成形品の例であるが、断面形状はこの限りではなく正方形、三角形、楕円形、溝形などの異形品が得られる。」(2頁左上欄9?11行)、
(4d)「また第2?4図に示した表皮部aの材質は化粧用兼補強用として、用途によって選択すればよく、それらはポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリスチレン系その他熱可塑性樹脂であり、・・・」(2頁左上欄14?18行)、
(4e)「実施例1.
射出成形工場から発生するABS樹脂系の廃棄物を使用した。第1図の装置を用い、発泡剤・・・をABS樹脂系廃棄物に加えて押出して芯層となし、他方、ガラス短繊維を20%含有したABS樹脂ペレットを用いて表皮層となし、・・・第2図のような断面形状を有し芯層の発泡した丸棒を得た。」(2頁右上欄7?15行)、
(4f)「実施例2.
ポリ塩化ビニルパイプ押出工場から発生する廃棄物を使用した。ポリ塩化ビニルパイプの廃棄物を粉砕して、押出機2を通して芯層となし、表皮層として同系統の硬質ポリ塩化ビニルコンパウンドのペレットを用いて、表1の条件で押出し第3図のような丸棒を得た。」(2頁右上欄18?左下欄4行)、
(4g)「実施例3.
一般家庭から集められたプラスチック廃棄物でポリオレフィン系60%、その他40%の混合物でかつ雑多な着色品を芯層として用い、外皮層として着色した通常のポリオレフィン系ペレットを用いて、表1の条件で押出成形し第4図のような角棒を得た。」(2頁左下欄7?13行)。

(5)甲第5号証:(特開平10-246067号公報)には、次の事項が記載されている。
(5a)「【請求項1】建物躯体において屋内側と屋外側とを仕切る壁の開口部に取り付ける樹脂製サッシ枠部材であって、
そのサッシ枠部材は、その外側部分を開口面に固定するとともに内側に建具部材をはめ込むためのサッシ中央部と、サッシ中央部とは異なる外観を呈する材質を用いて形成する化粧部とを備え、
その化粧部は、前記サッシ中央部の屋内側に位置させるとともにサッシ中央部と一体的に形成することを特徴とするサッシ枠部材。
【請求項2】サッシ中央部の屋外側には、サッシ中央部に用いる材質よりも耐候性に優れた材質を用いて形成する保護部を備えることを特徴とする請求項1記載のサッシ枠部材。」、
(5b)「【0013】また、「サッシ中央部(60)に用いる材質よりも耐候性に優れた材質」とは、例えば、サッシ中央部(60)を塩化ビニル樹脂により形成する場合には、アクリル酸樹脂の他、ポリアミド等がある。・・・」。

(6)甲第6号証(特開平9-216269号公報)には、次の事項が記載されている。
(6a)「【請求項1】 無着色又は着色した熱可塑性樹脂と、耐候性に優れ且つ着色したアクリル系樹脂とを共押出して熱可塑性樹脂基材の表面にアクリル系樹脂被覆層を積層形成し且つ該被覆層の表面を平坦にするとともに、基材と被覆層との境界面を凹凸となすことによって前記被覆層の厚さを不均一にし、・・・木目調を発現させてなることを特徴とする共押出建築外装化粧材。」、
(6b)「【0011】本発明の建築外装化粧材としての低発泡塩化ビニル系樹脂押出形材の表面には、前述の如く着色したアクリル系樹脂を不均一厚に積層している。・・・」。

甲第7号証(特開平8-47985号公報)には、次の事項が記載されている。
(7a)「【請求項8】 約160°Fを越えるガラス転移温度を有する高温耐性の熱可塑性ポリマーの基材と、気候と紫外光に対して耐性のポリマーの外層とからなる、請求項7記載の熱可塑性高精細度異形構造体。
【請求項9】 基材が剛性のアクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレンポリマーであり、外層が(a)アクリル‐スチレン‐アクリロニトリルポリマーおよび(b)これとポリ塩化ビニルとのブレンドより成る群の中から選択されるポリマーである、請求項8記載の積層体。」。

甲第8号証(特開平7-195580号公報)には、次の事項が記載されている。
(8a)「【請求項1】 第1熱可塑性ポリマーからなる支持コア部品およびポリアミド11、ポリアミド12またはポリアミド1212を主体とする第2熱可塑性ポリマーからなる、コア部品を取囲む保護層を有し、保護層は形および方法に制約されて0.2?5mmの厚さおよび意図した機能的穿孔を有することができる、支持コア部品とそれを取囲む保護層を有する成形品。
【請求項2】 第1ポリマーが、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフタルアミド、それらのブレンド、それらのリサイクル生成物およびその混合物の群から選択されていることを特徴とする請求項1記載の成形品。」、
(8b)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特許請求の範囲に記載された対象に関する。殊に、本発明は、機能-またはコア部品と、該コア部品を取り囲む熱可塑性保護層からなる抵抗性表面を有する成形品に関する。
【0002】該成形品は、たとえばバックミラーケーシング、ドアのハンドル、異形材、シールストリップ、ドアヒンジ、ドアパネルとして使用される。」。

甲第9号証(特公平3-8887号公報)には、次の事項が記載されている。
(9a)「〔産業上の利用分野〕
本発明は、建築に使用される窓枠、建具、あるいは絵画用額縁等の合成樹脂製枠を構成する一対の合成樹脂製形材の45度に切断した端部同士を直角に溶着して生じた溶着部分、特に垂直部と水平部を有する入隅部における溶着張りを取り除く方法に関するものである。
〔従来の技術〕
窓枠、建具、絵画用額縁などの合成樹脂製枠を製作する際に合成樹脂製形材の端部同士を直角に溶着するには次のようにしている。
第1は、合成樹脂製形材の端部を45度に切断し、その切断面同士を突き合せて加熱手段によつて溶融状態として溶着する。
このようにして溶着すると溶着部分に溶着張りが生じるので、この溶着張りを取り除く必要がある。」(1欄17行?2欄5行)。

甲第10号証(特許第2943092号公報)には、次の事項が記載されている。
(10a)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、建築に使用される窓枠、建具、あるいは絵画用額縁等の合成樹脂製枠を構成する一対の合成樹脂製形材の45度に切断した端部同士を直角に溶着した溶着部分に生じた溶着張りを取り除く装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】窓枠、建具、絵画用額縁などの合成樹脂製枠を製作する際に合成樹脂製形材の端部同士を直角に溶着するには次のようにしている。第1は、合成樹脂製形材の端部を45度に切断し、その切断面同士を突き合せて加熱手段によって溶融状態として溶着する。このようにして溶着すると溶着部分に溶着張りが生じるので、この溶着張りを取り除く必要がある。」。

甲第11号証(特許第3108897号公報)には、次の事項が記載されている。
(11a)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、建築に使用される窓枠、建具、あるいは絵画用額縁等の合成樹脂製枠を構成する一対の合成樹脂製形材の45度に切断した端部同士を直角に溶着した溶着部分に生じた溶着張りを切削して取り除く装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】窓枠、建具、絵画用額縁などの合成樹脂製枠を製作する際に合成樹脂製形材の端部同士を直角に溶着するには次のようにしている。第1は、合成樹脂製形材の端部を45度に切断し、その切断面同士を突き合せて加熱手段によって溶融状態として溶着する。このようにして溶着すると溶着部分に溶着張りが生じるので、この溶着張りを取り除く必要がある。」。

甲第12号証(特開平3-176584号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。
(12a)「「産業上の利用分野」
本発明は合成樹脂製窓枠およびその製造方法に係り、特に、窓枠の四辺を構成する各棒状枠材が突き合わせ状態に融着されるとともに、その表面に被覆シートが貼付された窓枠の技術に関する。
「従来の技術」
ポリ塩化ビニール等の合成樹脂により製造した窓枠は、・・・耐候性、耐熱性に劣るため室内での使用に限定され易く、またデザイン性の面でも見劣りし易い。
そこで、窓枠の表面に、耐候性、耐熱性に優れるアクリル樹脂等からなる被覆シート、・・・を貼付して、太陽の光や熱からの保護、あるいはデザイン性の向上を図ることが考えられている。この場合、一般に押し出し成型により製造された棒状枠材により窓枠の四辺を構成するようにしており、該棒状枠材に被覆シートを貼付しておき、その棒状枠材を相互に接合して窓枠として構成することが行われる。
「発明が解決しようとする課題」
しかしながら、棒状枠材を突き合わせ融着により接合する場合であると、第4図(a)に示すように溶融した樹脂が棒状枠材1の表面に盛り上がる現象が生じる。このため、その盛り上がり部Xを研削することが必要になるが、被覆シート2も一組に研削されてしまうため、第4図(b)に示すように棒状枠材1の本体が露出するという問題が生じる。」(1頁右下欄4行?2頁左上欄14行)、
(12b)「まず、主枠15と押え枠16とを構成する各棒状枠材を押し出し成型により形成して、これらの表板18A・18B・18Cに被覆シート24A24Bを貼付しておく。そして、これら棒状枠材の端部を45°の角度で切断するとともに、表板18A・18B・18Cの切断端面の裏面付近を残して外面部分を切削することにより、該外面部分に第1図(a)に示すように他の部分よりも窪ませてなる逃がし部29を形成しておく・・・
次に、各棒状枠材の切断端面における突出部30および補強部19の端面を突き合わせて熱融着により接合する。」(3頁左上欄14行?右上欄12行)。

2.対比
本件発明と甲第1号証記載の発明を対比する。
甲第1号証記載の発明の「心材」、「外被」、「異形心材」は、それぞれ本件発明の「内層」、「外層」、「窓材」に相当する。
甲第1号証記載の発明の「塩化ビニル系樹脂を含むガラス繊維強化PVC組成物」と、本件発明の「塩化ビニル樹脂の廃材由来のリサイクル樹脂を主成分とする組成物」とは、「塩化ビニル系樹脂を含む組成物」である点で共通する。
したがって、両者は、
「合成樹脂製の中空窓材であって、塩化ビニル系樹脂を含む組成物からなる内層と、未使用の塩化ビニル系樹脂を主成分とする組成物からなる外層とにより構成されてなる、合成樹脂製窓材」で一致し、次の点で相違する。

[相違点1]
合成樹脂製の中空窓材が、本件発明では、「各窓枠の長さ方向に対して斜めに切断された断面を加熱し、両側から押し付けることにより溶着され」たものであるのに対し、甲第1号証記載の発明は、溶接により枠組されたものであるものの、具体的な溶接(溶着)手段が不明な点。
[相違点2]
塩化ビニル系樹脂を含む組成物からなる内層が、本件発明は、「オレフィン系樹脂フィルムが貼付、またはアクリル系樹脂で被覆された塩化ビニル樹脂の廃材由来のリサイクル樹脂を主成分とする組成物」からなるのに対して、甲第1号証記載の発明は、廃材由来のリサイクル樹脂ではない点。
[相違点3]
本件発明は、各窓材の上記内層および外層からなる構成層のうち、枠内側に位置する構成層(甲)、枠外側に位置する構成層(乙)、および枠の内外の側面に位置する構成層(丙)の少なくとも1つが、下記条件を充足するものであるのに対し、甲第1号証記載の発明は、このような条件が付されていない点。

甲:層の全厚さ(Wt)対する前記組成物(B)で形成された外層部分の厚さ(Wb)の比(Wb/Wt)が0.30?0.45である。
乙:層の全厚さ(Wt)対する前記組成物(B)で形成された外層部分の厚さ(Wb)の比(Wb/Wt)が0.80?0.95である。
丙:層の全厚さ(Wt)対する前記組成物(B)で形成された外層部分の厚さ(Wb)の比(Wb/Wt)が0.40?0.65である。

3.判断
(1)相違点1について検討すると、合成樹脂材を枠組する際に、窓枠の長さ方向に対して斜め(45°)に切断された断面を加熱し、両側から押し付けることにより溶着することは甲第9号証ないし甲第12号証に記載されているように周知の技術であり、甲第1号証記載の窓材を枠組する際に上記周知技術を採用し、本件発明の相違点1にかかる構成とすることは当業者が容易になしうることである。

(2)次に、上記相違点2について検討する。
ア 甲第2号証ないし甲第4号証には、芯層に廃棄された合成樹脂由来のリサイクル樹脂を用いることが示されているが、芯層の材料として、本件発明で特定される「オレフィン系樹脂フィルムが貼付、またはアクリル系樹脂で被覆された塩化ビニル樹脂の廃材由来のリサイクル樹脂」を用いることは記載されていない。
すなわち、甲第2号証には、窓等の枠材として使用される型材を、押出材の廃棄物からなる内層と未使用材料からなる外層の押出成形により形成することが記載され、材料としてポリ塩化ビニル樹脂を使用することも示されているが、押出材の廃棄物として、本件発明で使用される上記特定のリサイクル樹脂を採用することは記載されていない。
また、甲第3号証には、合成樹脂成分を有する本体と、該本体の表面の軸方向に沿って形成された合成樹脂からなる表皮層とから構成される、窓サッシ等に使用される長尺の家具用部材が記載され、本体は廃却された合成樹脂製品を粉砕したものを熱可塑性樹脂内に混入してえられた混合合成樹脂から形成することが記載されているが、具体的な混合合成樹脂として、PMMA樹脂、AES樹脂、AAS樹脂またはABSなどが例示されているものの、本件発明で使用される特定のリサイクル樹脂は記載されていない。
さらに、甲第4号証には、芯層としてプラスチック廃棄物を用い、化粧用かつ補強用となる表皮層を設けた2層の押出成形物が記載されており、実施例として、芯層にポリ塩化ビニルパイプの廃棄物の粉砕物を、表皮層に同系統の硬質ポリ塩化ビニルを用いることが記載され、さらに種々雑多な樹脂の混合物を芯層として用い、土木建築用材料として使用できることも示されているが、用途によっては、このような材料が使用できることを示すにとどまり、種々雑多な樹脂の混合物を芯層として用い、表面層を設けたものが、どのような土木建築用材料としても使用できることを示すものではなく、このような混合物を窓材として使用することを示唆するものではない。

イ 一方、甲第5号証には、塩化ビニル系樹脂の芯にアクリル系樹脂を被覆した窓枠が、甲第6号証には、低発泡塩化ビニル系樹脂押出形材の表面にアクリル系樹脂を積層した建築外装化粧材が記載されているが、これらの窓枠や建築外装化粧材をリサイクル材として、窓材に使用することは記載されていないし、示唆もない。

ウ 請求人は、内外二層のプラスチック材料でできた型材において、内側の層をプラスチック廃棄物で構成したものは、甲第2号証?甲第4号証に示すように従来周知であり、さらに、窓枠ではないが、コア部品とコア部品を取り開む被覆層から成るプラスチック成型品において、コア部品をポリマーから成るリサイクル生成物を使用したものが甲第8号証に記載されているように知られているから、甲第5号証、甲第6号証に示されるような塩化ビニル系樹脂やアクリル系樹脂或いはオレフィン系樹脂を含んだ樹脂の廃棄物材料を合成樹脂製窓材の内層として用いることは当業者にとってなんら困難なことではない旨、主張する(請求書11頁3?23行)。
しかしながら、塩化ビニル系樹脂とアクリル系樹脂或いはオレフィン系樹脂を含んでなるリサイクル樹脂は、塩化ビニル系樹脂とは樹脂の特性が異なり、さらに甲第2号証に記載されているように、廃材に含まれる安定材や可塑材によって強度等が劣るものとなる場合があることが知られているから、塩化ビニル系樹脂とアクリル系樹脂或いはオレフィン系樹脂を含んでなる窓材のリサイクル樹脂が、窓材に求められる強度等の特性を有していることは明らかではなく、これを、再び窓材に使用することが当業者が容易に想到しうるとすることはできない。
このことは、被請求人の提出した乙第1号証(特開平10-192735号公報)に、塩化ビニル系樹脂とアクリル系樹脂を含んでなる樹脂においては、塩化ビニル系樹脂とアクリル系樹脂を分離しリサイクル樹脂とすることが記載されていることからも明らかである。
したがって、本件特許発明が上記相違点2の構成を採用した点は、従来周知の事項に基づき当業者が容易に想到し得たものであるとすることはできない。

(3)さらに、上記相違点3について検討する。
本件明細書には、構成層甲、乙、丙の膜厚比について次のように記載されている。
「・・・この合成樹脂製窓材を用いて、窓枠を作成する際には、各構成窓材が溶着される。この場合、窓枠の強度の点から、各窓枠の長さ方向に対して斜めに切断された断面を加熱し、両側から押しつけることにより溶着するのが一般的であり、溶着部にはバリと呼ばれる盛り上がりが生じてしまう。このため、溶着後にはバリを削り取って表面を平坦にする操作(バリ取り)を行う必要があるが、表層部の層(外層)の厚さが薄いと、バリ取りにより下地(内層)が露出してしまうことがある。
このような現象は、表層部の層の厚さを厚くすれば回避出来るが、層の厚さを必要以上に厚くすることはリサイクル効率を下げることにつながる。
したがって、前記合成樹脂製窓材において、廃材のリサイクル率をあまり下げることなく、意匠性や耐候性が特に重要な所期の外面において、溶着時に生じたバリを除去する際に下地の組成物(A)で形成された内層が露出するのを回避することが大きな課題であった。」(特許公報4欄4?20行)、
「・・・窓枠に構成したときに、各窓材の上記内層および外層からなる構成層のうち、枠内側に位置する構成層(甲)、枠外側に位置する構成層(乙)、および枠の内外の側面に位置する構成層(丙)の少なくとも1つの層の全厚さ(Wt)対する前記組成物(B)で形成された外層部分の厚さ(Wb)の比(Wb/Wt)を特定のものにすることにより、上記の課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。」(同4欄22?30行)、
「本発明者等は、リサイクル効率を出来るだけ下げずに上記問題を回避するために層11bの厚さについて検討を行ったところ、上記問題が発現し始める「層11bの厚さ」は、溶着の位置によって異なることが分かった。
すなわち、溶着により窓枠に構成したときに枠外側に位置する層(乙:図1では111に対応する。)ではバリ取りの際に下地部が特に露出しやすく枠の内外の側面に位置する層(丙:図1では113に対応する。)、枠の内側に位置する層(甲:図1では112に対応する。)の順にバリ取りの際に下地部が露出しにくなることが分かった。
具体的には、バリ取りの際に下地が見え始めるようになる厚さは、全厚さWtに対する層11bの厚さWbの割合(Wb/Wt、以下相対厚さともいう。)で表すと、上記の層(乙)、層(丙)、層(甲)でそれぞれ、約0.80、約0.40、約0.30であることが分かった。
したがって、リサイクル効率を高く保ち、且つ上記バリ取り時の問題を回避するためには、上記の層(乙)、層(丙)、層(甲)における層11bの相対厚さ(Wb/Wt)を、それぞれ0.80?0.95、0.40?0.65、及び0.30?0.45とするのが、特にそれぞれ0.85?0.9、0.50?0.60、及0.35?0.40とすることが必要であり、本発明は、この(Wb/Wt)を特定の値にした点に最大の特徴を有するものである。」(同4欄26?50行)。
これらの記載に基いて、構成層甲、乙、丙の膜厚比の技術的意義について検討すると、これらの膜厚比の下限は、窓枠の長さ方向に対して斜めに切断された断面を加熱し、両側から押しつけることにより溶着した際に、溶着部に生じるバリを削り取って表面を平坦にするバリ取り操作を行った際に、バリ取りにより下地(内層)が露出しないようにするために必要な、全厚さWtに対する各構成層の厚さWbの割合を設定したものであり、膜厚比の上限は、心材となるリサイクル樹脂の樹脂全体に対する割合いをできるだけ多くするために設定したものであると解することができる。
また、溶着時に樹脂の流れ出す状況に応じて、構成層の位置により膜厚比を異なるものとしたことも理解できる。

これに対し、甲第9号証ないし甲第11号証には、一対の合成樹脂製形材の45度に切断した端部同士を直角に溶着した溶着部分に生じた溶着張り(バリ)を取り除くことが記載され、甲第12号証には、このようなバリ取りの際に下地部が露出することを防止しようとする課題が示されているが、下地部が露出することを防止するために、層厚比を調整することは示されていない。
また、甲第1号証には、中空成形体の心材の壁厚を1.0?10mm、有利には2.0?4mmとし、外被は、有利には0.2?4mm、特に0.3?1.5mmの壁厚とすることが記載されているが(記載事項(1e))、外被はガラス繊維強化樹脂製の心材の衝撃強さを高めかつ耐候性を高めるために必要な壁厚を示しており、下地部が露出することを防止するために、構成層の位置に応じて層厚比を調整することは示されていない。
その他の証拠方法にも、相違点3に係る本件発明の構成は記載されていないし、示唆もない。
したがって、相違点3に係る本件発明の構成が、甲第1号証記載の発明および周知技術に基いて当業者が容易になしうるとすることはできない。

(4)本件発明の作用効果について検討すると、本件発明は全体として、オレフィン系樹脂製保護フィルムやアクリル系樹脂層を除去するという面倒な作業をすることなしに合成樹脂製窓材を効率的に製造することができ、また、廃材のリサイクル率をあまり下げることなく、溶着時に生じたバリを除去する際に、内層が露出するのを回避することができる等の、明細書記載の特有の作用効果を奏するものである。

4.無効理由1の判断のむすび
したがって、本件発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証ないし甲第12号証に示される本願出願前の周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

第6 無効理由2についての判断
1.請求人の主張する理由
請求人は、本件明細書の記載は不備である理由として、次の点を主張する。
(1)本件発明は、各窓材の上記内層および外層からなる構成層のうち、枠内側に位置する構成層(甲)、枠外側に位置する構成層(乙)、および枠の内外の側面に位置する構成層(丙)の層の比率についての条件を限定しているが、本件明細書全体をみても、上記で規定した数値(相対厚さWb/Wt)については、単にバリ取りの際に下地が見え始めるようになる厚さと説明されているだけで、その数値の具体的根拠は明らかではなく、また、外層の厚さ(寸法)を規定しないで、内外層の相対厚を規定するだけで達成できるというのは不合理であるから、本件明細書の記載では効果を得るための構成が明確ではない。
さらに、構成層甲、乙、丙のうちのいずれか一つだけを満たしている場合、残りの窓枠材については課題が達成できないから、効果を得るための本件特許発明の構成は明確ではない。
溶着部に生じるバリの出具合は、溶着手段、溶着条件によっても当然異なると思われるところ、本件特許発明は、その溶着手段、環境や条件及び窓枠材の内層、外層の寸法も一切規定していないから、上記構成要件を規定した根拠が明確ではなく、本件特許発明の構成は明確ではない。

(2)本件明細書には、次のような不備があり、本件特許発明について当業者がその実施をすることが出来る程度に明確かつ十分に記載されていない。
(1)溶着部に生じるバリは、溶着手段、溶着条件によっても当然その出方が異なると思われるが、本件明細書にはその溶着手段、溶着条件が一切記載されていない。
(2)層11bの厚さ如何に係わらず、全厚さWtに対する層11bの厚さWbの割合を規定するだけで、バリ取りの際に下地が見え始めるようになる厚さが分かるというのは不可解である。
(3)何故、枠外側に位置する層、枠の内外の側面に位置する層、枠の内側に位置する層の順にバリ取りの際に下地部が露出しにくくなるのかその理由は一切明らかにされていない。

2.判断
(1)上記(1)の主張について
上記第5 4.(3)で述べたとおり、本件明細書の記載によれば、窓材の上記内層および外層からなる構成層のうち、枠内側に位置する構成層(甲)、枠外側に位置する構成層(乙)、および枠の内外の側面に位置する構成層(丙)の層厚の枠材厚全体に対する比率は、枠材の斜めに切断された断面を加熱し、溶着した際に溶着部に生じるバリを取る操作を行った際に、下地(内層)が露出しないようにし、かつ、心材となるリサイクル樹脂の樹脂全体に対する割合をできるだけ多くしたものであると解することができ、また、溶着時に樹脂の流れ出す状況に応じて、構成層の位置により膜厚比を異なるものとしたことも理解できる。
そして、実施例には、膜厚比の条件を満たすものは下地(内層)が露出しない効果を奏することが示されており、本件発明の膜厚比の下限及び上限はこのような効果を示す望ましい範囲を示したものであって、上記のとおりの技術的意義を有することは明らかであるから、本件発明の構成が明確でないとすることはできない。
また、溶着時には、下地の樹脂も外被の樹脂も溶融し溶着面に沿って流れ、その後、バリ取りにより下地が露出する条件は、外被の絶対的な厚さではなく、溶融し溶着面に沿って流れる下地と外被の樹脂の量比、すなわち、これらの樹脂層の厚さの比に依存することから、本件発明では、下地の樹脂が露出しない条件を相対厚さWb/Wtで表示したものと認められ、相対厚を規定することで効果を奏するとすることが不合理であるとはいえない。
さらに、本件発明は、「枠の内外の側面に位置する構成層(丙)の少なくとも1つが、下記条件を充足する」とされているところ、本件明細書には、「窓1を建物開口部に設置したときに、窓枠5の屋外に対面せずにしかも屋内から見えない外面については、下地が露出しても特に問題はない。そのため、上記の条件は、意匠性や耐候性が重要な外面について満足すればよく、どの条件を満足させるかは窓枠5の具体的な形態毎に適宜決定すればよい。」(特許公報6欄50行?7欄5行)と記載されており、本件発明の上記記載は、構成層甲、乙、丙のうちのいずれか一つが条件を満たしていれば、その構成層は、下地(内層)が露出しない効果が生じることを示していることは明らかであり、効果を得るための本件特許発明の構成は明確ではないとすることはできない。
したがって、本件明細書の特許請求の範囲の記載は明確であり不備であるとすることはできない。

(2)上記(2)の主張について
(1)については、訂正により、「各窓枠の長さ方向に対して斜めに切断された断面を加熱し、両側から押し付けることにより溶着される」ものであることが特定された。そして、塩化ビニル樹脂を用いる窓材の一般的な溶着条件に従えば、本件発明の条件において作用効果を奏することは容易に理解でき、溶着条件が記載されていないから、当業者が容易に実施できないとすることはいえない。
(2)については、上記(1)で述べたと同じ理由により不可解であるとはいえない。
(3)については、窓枠の長さ方向に対して斜めに切断された断面を加熱した際に、樹脂が溶着面に沿って流れる状況により、バリ部の樹脂の状況が異なることに基づくものであることは容易に理解でき、当業者が理解できないとはいえない。
したがって、本件明細書の発明の詳細な説明の記載が不備であるとはいえない。

3.無効理由2の判断のむすび
したがって、本件明細書の記載が不備であるとすることはできない。

第7 むすび
以上のとおりであるから、請求人の主張する理由及び証拠方法によっては、本件発明に係る特許は、無効とすることができない。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項において準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
合成樹脂製窓材
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各窓枠の長さ方向に対して斜めに切断された断面を加熱し、両側から押し付けることにより溶着される合成樹脂製の中空窓材であって、
塩化ビニル系樹脂とオレフィン系樹脂又はアクリル系樹脂とを含んでなる廃材由来のリサイクル樹脂を主成分とする組成物(A)からなる内層と、未使用の塩化ビニル系樹脂又は未使用のアクリル系樹脂を主成分とする組成物(B)からなる外層とにより構成されてなり、
前記廃材が、オレフィン系樹脂フィルムが貼付、またはアクリル系樹脂で被覆された塩化ビニル樹脂の廃材であり、且つ、
該中空窓材を用いて窓枠に構成したときに、各窓材の上記内層および外層からなる構成層のうち、枠内側に位置する構成層(甲)、枠外側に位置する構成層(乙)、および枠の内外の側面に位置する構成層(丙)の少なくとも1つが、下記条件を充足することを特徴とする合成樹脂製窓材。
甲:層の全厚さ(Wt)対する前記組成物(B)で形成された外層部分の厚さ(Wb)の比(Wb/Wt)が0.30?0.45である。
乙:層の全厚さ(Wt)対する前記組成物(B)で形成された外層部分の厚さ(Wb)の比(Wb/Wt)が0.80?0.95である。
丙:層の全厚さ(Wt)対する前記組成物(B)で形成された外層部分の厚さ(Wb)の比(Wb/Wt)が0.40?0.65である。
【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術分野】
本発明は、塩化ビニル系樹脂製窓材の廃材又は該窓材を製造するときに発生する廃材を再使用した合成樹脂製窓材に関する。
【従来の技術】
塩化ビニル系樹脂は、その優れた機械的強度や耐候性、さらに金属材料に比べて格段に小さい熱伝導率を有することから、寒冷地の住宅などの窓材として広く使用されている。塩化ビニル系樹脂製の窓材は、所期の形状に異形押出成形された形材を適宜切断して部材を作成し、この様にして得られた各部材を溶接するなどして窓枠や框に組み立てて使用されている。この部材を作成する時に発生する形材の端材(廃材)の量は全体の10%にも達するため、該端材は粉砕して押出成型の際に原料の一部として再使用されている。ところで、上記形材には、表面保護の目的でその外表面には手で容易に剥離可能なオレフィン系樹脂フィルムが貼付されいるのが一般的であり、上記端材(廃材)の再使用に際しては異種ポリマーの混入による物性低下を防止するため、該フィルムを除去する必要があった。ところが、一般に端材の大きさや形状は一定ではないため、上記フィルムの除去作業を機械化することは難しく、該作業は手作業で行われるのが普通であり、労力及び作業効率の点で問題があった。また、近年は、耐候性を改良したり、窓材をカラー化するために塩化ビニル樹脂基体の表面を透明、若しくは様々な色に着色したアクリル系樹脂で被覆することが行われている。このような窓材の廃材を再使用するに際しては、アクリル系樹脂の混入により、得られる窓材が好ましくない色に着色したりするのを防ぐため、前記保護フィルムの除去に加えてアクリル系樹脂の被覆層を除去するという新たな操作を行わなければならない。ところが、上記アクリル系樹脂の被覆層は、基体に強固に融着しているため、その除去は前記保護フィルムの除去に比べて遥かに困難である。このように、従来は、塩化ビニル系樹脂製窓材の廃材をリサイクルするに当たっては、保護フィルムやアクリル系樹脂被覆層を除去する必要があり、操作性や効率の点で問題があった。
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは上記問題を解決するために、先ず、前記廃材をそのまま粉砕し、得られた粉砕物(以下、リサイクルパウダーともいう。)を未使用の塩化ビニル系樹脂パウダー(以下、未使用の樹脂パウダーをバージンパウダーともいう。)に混ぜて使用する方法について検討を行ったところ、製品窓材について強度、耐候性及び色調といった性能に悪影響を及ぼさないリサイクルパウダーの配合量はリサイクルパウダーの種類によって大きく異なっており、しかもその量は多い場合でも30重量%程度が限度であることが分かった。このため、上記方法でリサイクルする場合には、リサイクルパウダーの種類や配合量を制御・管理しなければならず、この様な制御・管理を手動で行うのは操作が煩雑で手間がかかり、また自動で行うためには新たな装置を導入する必要がある。そこで、本発明者等は、リサイクルパウダーの種類や配合量を特に制御・管理することのない方法として、リサイクルパウダーとバージンパウダーを別々に共押出しすることを発想し、その方法について検討を行った。そして、合成樹脂製の中空窓材であって、塩化ビニル系樹脂とオレフィン系樹脂又はアクリル系樹脂とを含んでなる廃材由来のリサイクル樹脂を主成分とする組成物(A)からなる内層と、未使用の塩化ビニル系樹脂又は未使用のアクリル系樹脂を主成分とする組成物(B)からなる外層とにより構成されてなる合成樹脂製窓材が好適であることを見出した。しかしながら、この合成樹脂製窓材を用いて、窓枠を作成する際には、各構成窓材が溶着される。この場合、窓枠の強度の点から、各窓枠の長さ方向に対して斜めに切断された断面を加熱し、両側から押しつけることにより溶着するのが一般的であり、溶着部にはバリと呼ばれる盛り上がりが生じてしまう。このため、溶着後にはバリを削り取って表面を平坦にする操作(バリ取り)を行う必要があるが、表層部の層(外層)の厚さが薄いと、バリ取りにより下地(内層)が露出してしまうことがある。このような現象は、表層部の層の厚さを厚くすれば回避出来るが、層の厚さを必要以上に厚くすることはリサイクル効率を下げることにつながる。したがって、前記合成樹脂製窓材において、廃材のリサイクル率をあまり下げることなく、意匠性や耐候性が特に重要な所期の外面において、溶着時に生じたバリを除去する際に下地の組成物(A)で形成された内層が露出するのを回避することが大きな課題であった。
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意研究を続けてきた。その結果、窓枠に構成したときに、各窓材の上記内層および外層からなる構成層のうち、枠内側に位置する構成層(甲)、枠外側に位置する構成層(乙)、および枠の内外の側面に位置する構成層(丙)の少なくとも1つの層の全厚さ(Wt)対する前記組成物(B)で形成された外層部分の厚さ(Wb)の比(Wb/Wt)を特定のものにすることにより、上記の課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、合成樹脂製の中空窓材であって、塩化ビニル系樹脂とオレフィン系樹脂又はアクリル系樹脂とを含んでなる廃材由来のリサイクル樹脂を主成分とする組成物(A)からなる内層と、未使用の塩化ビニル系樹脂又は未使用のアクリル系樹脂を主成分とする組成物(B)からなる外層とにより構成されてなり、且つ該中空窓材を用いて窓枠に構成したときに、各窓材の上記内層および外層からなる構成層のうち、枠内側に位置する構成層(甲)、枠外側に位置する構成層(乙)、および枠の内外の側面に位置する構成層(丙)の少なくとも1つが、下記条件を充足することを特徴とする合成樹脂製窓材である。
[条件]
甲:層の全厚さ(Wt)対する前記組成物(B)で形成された外層部分の厚さ(Wb)の比(Wb/Wt)が0.30?0.45である。
乙:層の全厚さ(Wt)対する前記組成物(B)で形成された外層部分の厚さ(Wb)の比(Wb/Wt)が0.80?0.95である。
丙:層の全厚さ(Wt)対する前記組成物(B)で形成された外層部分の厚さ(Wb)の比(Wb/Wt)が0.40?0.65である。
なお、本発明で言う窓材とは、建物用開口部材と同義であり、窓框、これを構成する縦框材、横框材、窓枠、これを構成する縦枠材、及び横枠材等を含む概念である。
【発明の実施の形態】
以下、図1を用いて本発明の合成樹脂製窓材を説明する。図1は、本発明の合成樹脂製窓材を用いて構成された窓1の概略を示す図である。該窓1は、窓枠5にガラス4が固定されて構成されている。また、窓枠5は、そのコーナー部6において、横断面の形が一定でその寸法が長さに比べて小さい形材である窓枠材11が溶着されて構成されている。また、図2は、窓1が建物開口部2に設置されたときの断面図を示す。窓1は、窓枠5がネジ止め等の固定手段により建物壁3に固定されて使用される。図3は、図2の一部拡大図であり、窓枠材11の断面がより明りょうに示されている。図3に示されるように、窓枠材11は、中空であり、その構成層は、材質の異なる2種類の層11a及び11bからなっている。層11aは、塩化ビニル系樹脂とオレフィン系樹脂又はアクリル系樹脂とを含んでなる廃材由来のリサイクル樹脂を主成分とする組成物(A)で形成された部分(a)であり、層11bは、未使用の塩化ビニル系樹脂又は未使用のアクリル系樹脂を主成分とする組成物(B)で形成された部分(b)である。なお、上記各組成物の詳細については本発明の製造方法のところで詳述する。一般に、層11aのようなリサイクル樹脂を多く含む樹脂の成形体は耐候性が悪いのであるが、雨や雪等の水分との接触や紫外線照射等が避けられない屋外に対面する部分の表層を耐候性の高い未使用の樹脂で形成する(被覆する)ことにより、リサイクル樹脂を使用しない製品と同等の耐候性を得ることが出来るため好適である。ここで、屋外に対面する部分とは、使用時に常に外気と直接接する部分を意味する。なお、図3に示される窓枠材11では、外部に露出する全ての面(外面)の表層が前記組成物(B)で構成されているが、リサイクル樹脂の粉砕条件を選べば全ての外面の表層を前記組成物(B)で形成しなくとも実用上問題のない強度のものを得ることが出来る。とくに、屋内に対面する外面については、その環境が屋外に比べて著しく穏やかであるため、必ずしもその表層部を前記組成物(B)で形成する必要はない。但し、一般に前記組成物(A)は着色していることが多いため、製品の色調が黒色や暗褐色である場合のように、リサイクル樹脂の着色が問題とならないような場合を除き、全外表面を組成物(B)で被覆するのが好ましい。なぜならば、塩化ビニル系樹脂又はアクリル系樹脂のバージンパウダーを使用した場合は色調の制御が容易であり明度の高い、所望の色調の外観を有する窓枠を容易に得ることが出来るからである。この場合、下地の色の影響を受けないためには、表層部の層11bの厚さは、0.2mm以上、特に0.5mm以上であることが好ましい。図4に、耐候性および審美性が特に要求される部分の表層のみが前記組成物(B)からなる態様の窓枠材11’の断面図を示す。また、外面の表層に位置する層11aは、必ずしも単一の層である必要はなく、例えば、塩化ビニル系樹脂を主成分とする層の上にアクリル系樹脂を主成分とする層が積層されたような二層構造を取ることも出来る。このときアクリル系樹脂層は、塩化ビニル系樹脂層の全面を覆うようにしてもよいし、特に耐候性が要求される部分のみを選択的に覆うようにしても良い。従来技術で説明したように、耐候性(特に退色や変色防止)や色調調節の観点からは、寧ろこの様な構造を取ることが好ましい。さらに、本発明の合成樹脂製窓材は、少なくとも前記部分aと前記部分bとからなっていればよく、必ずしもこれら部分のみで構成される必要はない。例えば、補強や耐変形性を高めることを目的として、金属や木材等で構成される部分を導入してもよい。前記したように、窓枠5を作成する際には、窓枠材11は溶着される。この場合、窓枠5の強度の点から図1に示すように、各窓枠の長さ方向に対して斜めに切断された断面を加熱し、両側から押しつけることにより溶着するのが一般的であり、溶着部にはバリが生じてしまう。このため、溶着後にはバリ取りを行う必要があるが、表層部の層11bの厚さが薄いと、バリ取りにより下地が露出してしまう。このような現象は、表層部の層11bの厚さを厚くすれば回避出来るが、層11bの厚さを必要以上に厚くすることはリサイクル効率を下げることにつながる。本発明者等は、リサイクル効率を出来るだけ下げずに上記問題を回避するために層11bの厚さについて検討を行ったところ、上記問題が発現し始める「層11bの厚さ」は、溶着の位置によって異なることが分かった。すなわち、溶着により窓枠に構成したときに枠外側に位置する層(乙:図1では111に対応する。)ではバリ取りの際に下地部が特に露出しやすく枠の内外の側面に位置する層(丙:図1では113に対応する。)、枠の内側に位置する層(甲:図1では112に対応する。)の順にバリ取りの際に下地部が露出しにくなることが分かった。具体的には、バリ取りの際に下地が見え始めるようになる厚さは、全厚さWtに対する層11bの厚さWbの割合(Wb/Wt、以下相対厚さともいう。)で表すと、上記の層(乙)、層(丙)、層(甲)でそれぞれ、約0.80、約0.40、約0.30であることが分かった。したがって、リサイクル効率を高く保ち、且つ上記バリ取り時の問題を回避するためには、上記の層(乙)、層(丙)、層(甲)における層11bの相対厚さ(Wb/Wt)を、それぞれ0.80?0.95、0.40?0.65、及び0.30?0.45とするのが、特にそれぞれ0.85?0.9、0.50?0.60、及0.35?0.40とすることが必要であり、本発明は、この(Wb/Wt)を特定の値にした点に最大の特徴を有するものである。但し、窓1を建物開口部に設置したときに、窓枠5の屋外に対面せずにしかも屋内から見えない外面については、下地が露出しても特に問題はない。そのため、上記の条件は、意匠性や耐候性が重要な外面について満足すればよく、どの条件を満足させるかは窓枠5の具体的な形態毎に適宜決定すればよい。以上、窓枠材11について説明したが、図示しない他の窓材についても同様である。本発明の合成樹脂製窓材の製造方法は、特に限定されないが、次のような方法により好適に製造することが出来る。すなわち、塩化ビニル系樹脂とオレフィン系樹脂又はアクリル系樹脂とを含んでなる廃材を粉砕し、得られた粉砕物を主成分とする組成物(A)と未使用の塩化ビニル系樹脂又は未使用のアクリル系樹脂を主成分とする組成物(B)とを、得られる合成樹脂製の中空窓材の所望する部分の表層(外層)が前記組成物(B)で形成され、且つ該中空窓材を用いて窓枠に構成したときに、各窓材の上記内層および外層からなる構成層のうち、枠内側に位置する構成層(甲)、枠外側に位置する構成層(乙)、および枠の内外の側面に位置する構成層(丙)の少なくとも1つが、前記(Wb/Wt)の条件を充足するように共押出して異形押出成形することにより好適に製造することが出来る。上記組成物(A)は、本発明の合成樹脂製窓材の部分(a)の原料となるものである。ここで使用される廃材は、塩化ビニル系樹脂とオレフィン系樹脂又はアクリル系樹脂とを含んでなるものであれば特に限定されないが、その組成が明らかで、しかもその変動が少ないことから、オレフィン系樹脂製の保護膜が貼付された塩化ビニル系樹脂製の窓材用形材の端材、又は表面層がアクリル系樹からなる脂塩化ビニル系樹脂製の窓材用形材あるいはその表面にオレフィン系樹脂製の保護膜が貼付された窓材用形材の端材等の廃材を使用するのが好適である。ここで、塩化ビニル系樹脂、オレフィン系樹脂、およびアクリル系樹脂としては、合成樹脂製窓材の原料として一般的に使用される公知の樹脂が使用出来る。このような塩化ビニル系樹脂を例示すれば、塩化ビニルの単独重合体;塩化ビニル-エチレン共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体等の塩化ビニルを主体とした共重合体;及びアクリル系ゴム変性塩化ビニル樹脂等のゴム変性塩化ビニル樹脂等を挙げることが出来る。また、オレフィン系樹脂を例示すれば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレンおよび、エチレン-プロピレン共重合体等が挙げられる。これら樹脂は1種類単独であっても複数種類が混合されたものであっても良い。また、アクリル系樹脂を例示すれば、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸n-プロピル、ポリアクリル酸イソプロピル、ポリアクリル酸n-ブチル、ポリアクリル酸イソブチル、ポリアクリル酸sec-ブチル、ポリアクリル酸t-ブチル、ポリアクリル酸オクチル、ポリアクリル酸エチルヘキシルなどのポリアクリル酸エステル類;ポリメタアクリル酸メチル(PMMA)、ポリメタアクリル酸エチル、ポリメタアクリル酸n-プロピル、ポリメタアクリル酸イソプロピル、ポリメタアクリル酸n-ブチル、ポリメタアクリル酸イソブチル、ポリメタアクリル酸sec-ブチル、ポリメタアクリル酸t-ブチル、ポリメタアクリル酸オクチル、ポリメタアクリル酸エチルヘキシルなどのポリメタアクリル酸エステル類等が挙げられる。これら樹脂は1種類単独であっても複数種類が混合されたものであっても良い。これら各樹脂には、熱安定剤、滑材、紫外線安定剤、安定化助剤、着色剤(顔料)、可塑剤及び充填剤等の添加剤が配合されていてもよい。前記廃材における上記各樹脂の含有割合は特に限定されないが、リサイクルしたときの成形性や製品強度等の観点から、塩化ビニル系樹脂100重量部に対してアクリル系樹脂1?10重量部、好ましくは2?5重量部、及び/又はオレフィン系樹脂0.1?3重量部、好ましくは0.2?2重量部であるのが好適である。なお、これら3種の樹脂の他にも、塩化ビニル系樹脂に対して相溶性を有する樹脂であれば、5重量部程度まで含むことも出来る。塩化ビニル系樹脂に対して相溶性を有する樹脂としてはAES樹脂、ABS樹脂、ポリスチレン樹脂等が挙げられる。一般的な塩化ビニル系樹脂製窓材、或いは該窓材用の形材の廃材は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、アクリル系樹脂が2?5重量部、オレフィン系樹脂0.2?2重量部程度となっているので、本発明の製造方法で何ら問題なく使用することが出来る。前記製造方法に於いては、押出機にかけるため上記廃材は粉砕されてから使用されるのが好ましい。廃材を粉砕するときの粉砕方法は、特に限定されず、公知の粉砕機を用いて行うことが出来るが、効率および粉砕粒子の粉末性状の制御が容易であることから高速渦流粉砕機(ターボミル)を用いるのが好適である。なお、ターボミルを用いた場合には、固定刃と回転刃の間隔や回転刃の回転数を調整することにより、簡単に粉砕粒子の嵩比重、粒子径を調整することが出来る。前記組成物(A)としては、上記のように粉砕して得た粉体をそのまま使用することが出来るが、必要に応じて顔料やバージンパウダーを添加することも出来る。未使用の塩化ビニル系樹脂又は未使用のアクリル系樹脂を主成分とする組成物(B)は、本発明の合成樹脂製窓材の部分(b)の原料となるものである。該組成物(B)は、劣化していない未使用の樹脂が主成分であるため、得られる合成樹脂製窓材の少なくとも屋外に対面する部分の表層を前記組成物(B)で形成することにより、耐候性の良好な窓材とすることが出来る。ここで使用される塩化ビニル系樹脂やアクリル樹脂は未使用のものであれば特に限定されず、組成物(A)の説明で前記したものと同じ種類のものが使用出来る。これら樹脂は粉末状であってもペレット状であってもよく、上記2種類の樹脂はそれぞれ単独で使用しても、混合して使用しても良い。また、該組成物(B)には、必要に応じて、熱安定剤、滑材、紫外線安定剤、安定化助剤、着色剤(顔料)、可塑剤及び充填剤等の添加剤が配合されていてもよい。さらに、耐候性や色調に影響を与えない範囲であればリサイクル樹脂を添加することも出来る。本発明の製造方法に於いては、前記組成物(A)と前記組成物(B)とを、それぞれ異なる押出機に供給して共押出し、溶融若しくはゲル化した両組成物を一組の共通ダイに導き、ダイ内部あるいはダイ開口部において該両組成物を、最終的に得られる合成樹脂製窓材の少なくとも屋外に対面する部分の表層が前記組成物(B)で形成されるように接触させ、単一の形材に異形押出成形する。以上の製造方法の好ましい態様として、リサイクルパウダー(A)、塩化ビニル系樹脂を主成分とするバージンパウダー(B1)、及びアクリル系樹脂を主成分とするバージンパウダー(B2)をそれぞれ別の押出機に供給して共押出し、上記(A)からなる部分の外側に上記(B1)及び(B2)が、(B2)が最外層になるように異形押出成形する方法を挙げることが出来る。このとき、ダイとしては、目的とする窓材の構造に応じたダイを適宜用いればよく、使用する押出機の数も窓材の構造や用いる樹脂組成物の種類に応じて適宜決定すればよい。また、成形温度、溶融樹脂の温度等の成形条件も従来の塩化ビニル系樹脂製窓材を異形押出成形により製造するときの条件と特に変わるところはなく、使用する各組成物の組成、ダイ、および押出機に応じて、最適な条件を適宜設定すればよい。
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1
シャノンウィンド(株式会社トクヤマ製)を製造するときに発生した、ポリエチレン製保護フィルムが貼付された形材の端材をターボミル(ターボ工業株式会社製)を用いて、平均粒子径1.0mm、嵩密度0.5g/ccの粉末に粉砕した。なお、該粉末の樹脂組成は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、オレフィン系樹脂(ポリエチレン)2重量部、アクリル系樹脂(PMMA)4重量部であった。また、嵩密度の調節はターボミルの固定刃と回転刃の隙間を調節することにより行い、嵩密度の測定はJISK6721に定められる嵩比重測定器を用いて行った。また、平均粒子径はJISZ8801の標準ふるいを用いる方法で求めた。得られた粉末(リサイクルパウダー)、及び未使用の塩化ビニル樹脂100重量部に対し、安定剤3.5重量部、滑剤1.5重量部、無機充填剤5重量部、強化剤と加工助剤合わせて6重量部を配合した組成物からなるバージンパウダーを、それぞれ60mmコニカル二軸押出機、及び35mmコニカル二軸押出機に供給し、図5(b)に示す横断面構造の窓枠用形材7を成形した。成形はシリンダー温度165?200℃、金型温度180?200℃、溶融樹脂温度190?200℃の温度条件で行ったが、成形性は良好で問題なく成形することが出来た。なお、図5(b)において、Wtは各層の全体の厚さを示し、Wbはバージンパウダーで形成された層7bの厚さを示し、Waはリサイクルパウダーで形成された層7aの厚さを示す。本実施例では面71、72、73a、及び73bに対応する層のWtは全て同じ2.5mmとし、Wbは窓枠に構成したときに枠外側に位置するようになる層71については2.0mm(Wb/Wt=0.8)、枠の内側に位置するようになる層72については0.9mm(Wb/Wt=0.36)、枠の内外の側面に位置するようになる層73aおよび73bについてはともに1.3mm(Wb/Wt=0.52)とした。この窓枠用形材を斜めに45度に切断し、切断面どうしを図5(a)に示すようにして、窓枠用コーナー溶着機(アクチャル社製)を用いてコーナー溶着し、溶着試料を20個作成した。作成した溶着試料全てについて溶着後に生じたバリをカッターナイフにより平坦面になるように切り取ったところ、いずれの試料とも下地は見えずにきれいに仕上げることができた。
実施例2?5
実施例1において、Wbの値を表1に示す値に変更する他は実施例1と同様にして窓枠用形材を成形した。得られた各形材ごとに溶着試料を20作成し、実施例1と同様にバリ取りを行った。その結果、実施例2?3では全てについて下地が表れることなくきれいに仕上げることができた。また、実施例4では4つの試料について層73a又は73bの表面で下地が表れたが、その他の試料では綺麗に仕上げることが出来た。なお、上記4つの試料においても他の面については下地は表れなかった。また、実施例5で5つの試料で層71の表面で下地が表れたが、他の試料では下地は表れず綺麗に仕上げることが出来た。なお、上記5つの試料に於いても他の面では下地は表れなかった。
【表1】

【発明の効果】
本発明は、塩化ビニル系樹脂等の合成樹脂製窓材の効率的なリサイクル技術を提案するものである。従来、合成樹脂製窓材をリサイクルするためには、オレフィン系樹脂製保護フィルムやアクリル系樹脂層を除去するという面倒な作業をする必要があったが、本発明の合成樹脂製窓材によれば、この様な操作をすることなしに効率的に製造することができる。また、廃材のリサイクル率をあまり下げることなく、意匠性や耐候性が特に重要な所期の外面において、溶着時に生じたバリを除去する際に、下地の組成物(A)で形成された内層が露出するのを回避することができ極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本図は、本発明の合成樹脂製窓材である窓の概略図である。
【図2】本図は、図1に示す窓を建物開口部に設置したときの断面図である。
【図3】本図は、図2の一部拡大図である。
【図4】本図は、別の態様の本発明の合成樹脂製窓枠材の断面図である。
【図5】本図は、実施例1で製造した窓枠用形材を溶着して得た溶着試料のの概略図(a)およびそのX-X’断面図(b)である。
【符号の説明】
1・・・窓
11・・・窓枠材
11a・・・組成物(A)で形成された層
11b・・・組成物(B)で形成された層
111・・・窓枠5の枠外に位置する層(乙)
112・・・窓枠5の枠内に位置する層(甲)
113・・・窓枠5の枠内外の側面に位置する層(丙)
2・・・建物開口部
3・・・建物壁
4・・・ガラス
5・・・窓枠
6・・・コーナー
7・・・窓枠用形材
7a・・・組成物(A)で形成された層
7b・・・組成物(B)で形成された層
71・・・窓枠に構成したときに枠外側に位置する層(乙)
72・・・窓枠に構成したときに枠内側に位置する層(甲)
73a、b・・・窓枠に構成したときに枠内外の側面に位置する層(丙)
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2009-11-05 
結審通知日 2009-11-09 
審決日 2009-11-24 
出願番号 特願平11-113686
審決分類 P 1 113・ 121- YA (E06B)
P 1 113・ 536- YA (E06B)
P 1 113・ 537- YA (E06B)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 山口 由木
特許庁審判官 宮崎 恭
山本 忠博
登録日 2003-04-18 
登録番号 特許第3420527号(P3420527)
発明の名称 合成樹脂製窓材  
代理人 前田 均  
代理人 前田 均  
代理人 根本 恵司  
代理人 鈴木 亨  
代理人 鈴木 亨  

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