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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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不服20045852 | 審決 | 特許 |
不服2006724 | 審決 | 特許 |
不服200611048 | 審決 | 特許 |
不服200628853 | 審決 | 特許 |
無効2007800236 | 審決 | 特許 |
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審決分類 |
審判 査定不服 特36 条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない。 G01N |
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管理番号 | 1223307 |
審判番号 | 不服2005-19657 |
総通号数 | 131 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2010-11-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2005-10-11 |
確定日 | 2010-09-28 |
事件の表示 | 平成11年特許願第157192号「NANBVの診断用薬」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 2月 8日出願公開、特開2000- 39434〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、1990年3月15日(パリ条約による優先権主張1989年3月17日、1989年4月20日、1989年5月18日、米国)に国際出願された特願平2-505094号について、その一部を平成8年9月6日に新たな特許出願とした特願平8-237015号の、更にその一部を平成10年4月6日に新たな特許出願とした特願平10-93767号の、更にその一部を平成11年6月3日に新たな特許出願としたものであって、その請求項1?11に係る発明は、特許法第17条の2第1項第4号の規定に基づき平成17年10月11日付の手続補正書により補正された明細書および図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?11に記載されたとおりのものと認められるところ、その請求項1の記載は以下のとおりである(以下、これを本願発明1という。)。 「【請求項1】 以下の特性を有する、少なくとも8個のアミノ酸の連続する配列を含む、ポリペプチド: (1)該少なくとも8個のアミノ酸の連続する配列が少なくとも一つの部位を含み、 該部位は、該少なくとも8個のアミノ酸の連続する配列からなる配列中においても該ポリペプチド中においても、C型肝炎ウイルスに対する抗体によって結合され得;そして (2)該少なくとも8個のアミノ酸の連続する配列が、以下のアミノ酸配列: 【化1】(1位のMetから457位のAlaまでの457アミノ酸からなる配列、具体的配列はここでは省略);もしくは【化2】(2880位のProから2955位のLysまでの76アミノ酸からなる配列、具体的配列はここでは省略) 中に1または数個の欠失、挿入、または置換を有するアミノ酸配列から得られ、 ただし、該ポリペプチドは、以下のアミノ酸配列: 【化3】(1位のMetから457位のAlaまでの457アミノ酸からなる、【化1】と同じ配列、具体的配列はここでは省略);もしくは【化4】(2880位のProから2955位のLysまでの76アミノ酸からなる、【化2】と同じ配列、具体的配列はここでは省略) から得られ得る、少なくとも8個のアミノ酸の連続する配列を含まない。」 2.原審の拒絶査定の理由 原審の拒絶査定の理由となった、平成15年8月18日付で原審が通知した拒絶理由は、「この出願は、明細書及び図面の記載が、特許法第36条第3項又は第4項及び第5項に規定する要件を満たしていない。」 というものである。 3.当審の判断 これに対し、審判請求人は、本件審判の請求に際し、上述のとおり特許請求の範囲を補正したものである。 そこで、上記補正後の請求項1に係る発明である本願発明1について、上記拒絶査定の理由により拒絶されるべきものであるどうか、以下に検討する。 (3-1)本願発明1のポリペプチドについて まず、本願発明1のポリペプチドを規定するために本願発明1において用いられている用語について、検討する。 本願発明1で規定する「C型肝炎ウイルス」について、本願明細書には、『本願で用いる場合、「C型肝炎ウイルス」(HCV)という用語はNANBH(非A非B型肝炎)の病原因子を意味し、またこのNANBHは、以前にはNANBVおよび/またはBB-NANBVと呼ばれていたものである。本願では、HCV、NANBVおよびBB-NANBVという用語を互換性のある語として使用する。この用語法を拡張して、以前はNANB肝炎(NANBH)と呼んでいたHCVによって発病する疾患をC型肝炎と呼ぶ。本願では、NANBHとC型肝炎と言う用語を互換性のある語として使用してもよい。』(【0028】)と記載されている。 そして、本願発明1で規定する「【化1】もしくは【化2】」のアミノ酸配列は、本願明細書に添付された図27?図36に記載されたアミノ酸配列のうち、458位(ヌクレオチドの1372位)のSerから2879位(ヌクレオチドの8637位)のLeuまでのアミノ酸配列を除いた残りのアミノ酸配列であり、当該アミノ酸配列は、本願明細書によれば、慢性NANBHのチンパンジーの多くの個体から集めた血漿プールから作成したcDNAライブラリーから、ヒトHCV患者由来の血清により免疫学的に特異的に認識されるポリペプチドをコードするクローン5-1-1を得、当該5-1-1のDNA配列を決定し、当該配列から設計したプローブを用いて同様のcDNAライブラリーからこれに隣接するクローンを得、以下同様にして順次隣接する配列を決定することにより得られたアミノ酸配列のうちの、458位から2879位までのアミノ酸配列を除いたアミノ酸配列である。そして、図27?図36に記載されたアミノ酸配列について、本願明細書に、「HCVcDNAセンス鎖配列から推定された推定HCVポリタンパクのアミノ酸配列もまた、図27?図36に示されており、1番は推定開始メチオニンから始まる。」(【0190】)、「コードされたHCVポリタンパクの可能なタンパク領域およびその境界は次のとおりである:推定ドメイン、およその境界(アミノ酸番号)/「C」(ヌクレオカプシドタンパク)、1-120/「E」(ビリオンエベロープタンパク(S)および推定のマトリックス(M)タンパク)、120-400…/[NS5](ポリメラーゼ)、2000-?末端」(【0191】)と記載されているとおり、当該458位から2879位までのアミノ酸配列を除いたアミノ酸配列は、複数のクローンの配列を複合したものではあるが、天然に存在するHCVの、重複部分のない一続きのポリタンパクのアミノ酸配列のN末端側およびC末端側の部分であることが想定されているものである。 一方、本願明細書には、『「HCV」という用語は、本願で用いる場合、その病原株がNANBHを発病させるウイルス種、および弱毒化されたウイルス株または後者由来の欠損干渉粒子を意味する。後に述べるように、HCVゲノムは、RNAで構成されている。RNAを含有するウイルスの偶発変異率が比較的高いということが知られており、すなわち組み込まれたヌクレオチドあたり10^(-3)?10^(-4)のオーダーであると報告されている。それ故、後に述べるHCV種の中には、毒性または無毒性であり得る多くのウイルス株がある。』(【0029】)と、HCVゲノムには比較的高い率で変異が起こり、これによりHCVにはゲノム配列の変異した多数の株(以下、これをHCV変異体という。)が存在することが記載されており、当該ゲノムのDNA配列の変異はHCVポリタンパクのアミノ酸配列の変異にもつながり得るものであるから、当該ゲノム配列が変異したHCV変異体の中にはそのポリタンパクのアミノ酸配列も変異した変異体が含まれていることになる。 そうすると、本願発明1で規定する「【化1】もしくは【化2】」のアミノ酸配列は、上述のとおり多数存在するHCV変異体のうちの特定の1変異体(以下、これを本件の特定HCV変異体という。)のポリタンパクのアミノ酸配列のN末端側およびC末端側の領域のアミノ酸配列と位置づけることができるものである。 一方、本願発明1で規定する「C型肝炎ウイルス(HCV)に対する抗体」は、当該本件の特定HCV変異体ないしその上記N末端側およびC末端側の領域に対する抗体に限定して解釈すべき理由はなく、また、HCVに対する抗体である以上、当該抗体は天然に実際に存在し得るHCVに結合するものでなければならないから、上述した変異等に起因して天然に存在し得るあらゆるHCV変異体に対する抗体、すなわち、本件の特定HCV変異体に対する抗体およびその他の天然に存在し得るHCV変異体に対する抗体を包含するものであると解すべきである。 これらのことからすれば、本願発明1のポリペプチドは、 (i)本件の特定HCV変異体のポリタンパクのアミノ酸配列の上記N末端側およびC末端側の領域に対し1?数個のアミノ酸の欠失、挿入または置換を有するアミノ酸配列の、少なくとも8個のアミノ酸の連続する配列を含むポリペプチドであって、 (ii)当該少なくとも8個のアミノ酸の連続する配列は、当該配列からなる配列中においても、当該ポリペプチド中においても、本件の特定HCV変異体に対する抗体またはその他の天然に存在し得るHCV変異体に対する抗体によって結合され得る部位を含むものであり、 (iii)ただし、当該ポリペプチドは、本件の特定HCV変異体ポリタンパクの上記領域から得られ得る少なくとも8個のアミノ酸の連続する配列を含まない、 というものであるといえる。 そして、本件の特定HCV変異体とその他のHCV変異体のポリタンパクは、そのアミノ酸配列のあらゆる箇所で相互に変異を有するものではなく、その抗原性部位の多くは保存されていると考えられることからすれば、上記その他のHCV変異体に対する抗体の中には、本件の特定HCV変異体に対する抗体と同じ抗体が含まれていることが想定されるから、上記「本件の特定HCV変異体に対する抗体またはその他の天然に存在し得るHCV変異体に対する抗体」は、結局、「本件の特定HCV変異体に対する抗体」と「その他の天然に存在し得るHCV変異体に対してのみ結合し得る、特異的抗体」とからなるといえ、本願発明1のポリペプチド中の少なくとも8個のアミノ酸の連続する配列に含まれる部位もまた、これらの抗体のいずれかに結合され得るものであるといえる。 そこで、本願発明1のポリペプチドを、本件の特定HCV変異体に対する抗体によって結合され得る部位を含むものと、その他の天然に存在し得るHCV変異体に対する特異的抗体によって結合され得る部位を含むものとに分けて、それぞれについて、本願明細書に、それらのポリペプチドを容易に得ることができる程度に記載されているか、どうか、検討する。 (3-2)本件の特定HCV変異体に対する抗体によって結合され得る部位を含む、本願発明1のポリペプチドについて (3-2-1)本件の特定HCV変異体のポリタンパクの上記領域のアミノ酸配列に対し1?数個のアミノ酸の欠失、挿入または置換を有するアミノ酸配列を有するタンパクは、もとの457個もしくは76個のアミノ酸のうちの1?数個が変異するに過ぎないものであるから、当該タンパク中には、本件の特定HCV変異体ポリタンパクの上記領域と同じ抗原性を有する部位が多々存在すると考えられる。 そしてそのような部位を有するポリペプチドであれば、本件の特定HCV変異体ポリタンパクの上記領域の部分ポリペプチドと同様に、本件の特定HCV変異体に対する抗体と交差反応性を有するはずであり、例えば患者血清中などにおける本件の特定HCV変異体に対する抗体の存在を検出し、もって患者のHCV感染を検出する等の用途に用い得るものと考えられる。 しかしながら、このような用途には、本件の特定HCV変異体ポリタンパクの上記領域の部分ポリペプチドを用いれば十分であり、わざわざ本件の特定HCV変異体ポリタンパクの上記領域のアミノ酸配列に対し1?数個のアミノ酸の欠失、挿入または置換を有するアミノ酸配列を有するタンパクの部分ポリペプチドの中から、このような抗原性を維持した部分ポリペプチドを選択して用いることに、格別の技術的な意義があるとは認めがたい。 そして、このような格別の技術的意義のない部分ポリペプチドであっても、これを網羅的に得るには、本件の特定HCV変異体ポリタンパクの上記領域のアミノ酸配列に対し1?数個のアミノ酸の欠失、挿入または置換を有する、無数に存在するアミノ酸配列の、当該アミノ酸の欠失、挿入または置換部位を少なくとも1つ含む、少なくとも8個のアミノ酸配列の連続する配列からなる、無数の候補部分ポリペプチドからスクリーニングする必要がある。この作業は、本件の特定HCV変異体ポリタンパクの上記領域の部分ポリペプチドの中から、本件の特定HCV変異体に対する抗体によって結合され得るポリペプチドを得るために、本件の特定HCV変異体ポリタンパクの上記領域のアミノ酸配列の少なくとも8個のアミノ酸配列の連続する配列からなる候補部分ポリペプチドをスクリーニングする作業に比べて、はるかに膨大な作業である。 従って、当該作業は、当業者に期待し得る程度を超える過度の試行錯誤を伴う実験であるといえる。 なお、この点に関し、平成15年(行ケ)第220号審決取消請求事件判決において、種々のHCV変異体のエピトープが得られることを前提とする発明について、「特許請求の範囲に含まれるすべてのエピトープを含む抗原領域を探索し、特定すること」は過度の実験を要し、容易でないとする、本件と同趣旨の判断の下に、特許法第36条第4項に違反するとした審決が支持されている。 (3-3)その他の天然に存在し得るHCV変異体に対する特異的抗体によって結合され得る部位を含む、本願発明1のポリペプチドについて (3-3-1)本願明細書に記載されているように、連続するアミノ酸により構成される抗原性部位が一般的には少なくとも8?10個のアミノ酸で構成されるとされ(【0050】)、そのうちの1アミノ酸が変異しただけでもその抗原性が変異することがあることを考慮すると、本件の特定HCV変異体ポリタンパクの上記領域に対し1?数個のアミノ酸の欠失、挿入または置換を有するアミノ酸配列からなるポリタンパクの上記の領域を有する天然のHCV変異体の中には、本件の特定HCV変異体とは異なる抗原性部位を有するものが存在することは十分想定されることである。 そしてそのような部位を有するポリペプチドであれば、例えば、当該HCV変異体に罹患した患者血清中の、本件の特定HCV変異体ポリタンパクの上記領域の部分ポリペプチドでは検出できない、当該HCV変異体に特異的な抗体を検出でき、もって患者が当該HCV変異体に感染したことを検出する等のことができ得るとも考えられるから、そのような本件の特定HCV変異体とは異なるHCVの抗原性部位を有する部分ポリペプチドを得ることには、技術的な意義があるとも解される。 しかしながら、そのようなHCV異体の部分ポリペプチドを得るためには、当該HCV変異体に特異的な抗体が既に得られているか、容易に得られることが前提となる。すなわち、そのような抗体が得られていなければ、そのような特異的抗体と交差反応するHCV変異体の部分ポリペプチドをスクリーニングすることができないが、本願明細書をみても、そのような抗体を網羅的に得ることが容易になし得ることとは認められない。 また、当該HCV変異体ポリタンパクのアミノ酸配列について何も情報がないような状況下では、そのような特異的抗体と交差反応性を有する部分ポリペプチドを、本件の特定HCV変異体ポリタンパクの上記領域のアミノ酸配列に対し1?数個のアミノ酸の欠失、挿入または置換を有する、無数に存在するアミノ酸配列の、当該アミノ酸の欠失、挿入または置換部位を少なくとも1つ含む、少なくとも8個のアミノ酸配列の連続する配列からなる、無数の候補部分ポリペプチドからスクリーニングする必要がある。 しかも、そのような特異的抗体と交差反応性を有する部分ポリペプチドは、当該HCV変異体ポリタンパク自体、あるいはこれに数個のマイナーな変異を含む程度のもの以外の、通常の本件の特定HCV変異体ポリタンパクの上記領域のアミノ酸配列に対し1?数個のアミノ酸の欠失、挿入または置換を有する、無数に存在するアミノ酸配列の部分ポリペプチドの中から見出されることは、ほとんどあり得ないことである。 従って、HCV変異体に特異的な抗体に対し交差反応性を有する部分ポリペプチドについては、そもそも当該特異的な抗体自体が容易に得られなければ、容易に得ることができず、更に、そのような抗体が容易に得られたとしても、上記のような無数の候補部分ポリペプチドに対する網羅的スクリーニングにより、HCV変異体に特異的な抗体に対し交差反応性を有する部分ポリペプチドを得ることには、当業者に期待し得る程度を超える過度の試行錯誤を伴う実験が必要であるといえる。 なお、この点についても、必要なら、上記平成15年(行ケ)第220号審決取消請求事件判決を参照されたい。 (3-4)まとめ 以上のとおりであるから、本願発明1のポリペプチドのうち、本件の特定HCV変異体以外のHCV変異体に特異的な抗体に結合し得るポリペプチドについては、予めそのような特異的抗体を得ることが容易なこととは認められず、また、いずれにしても、本件の特定HCV変異体に対する抗体に結合し得るポリペプチドを含め、本願発明1のポリペプチドを得るためには当業者に期待し得る程度を超える過度の試行錯誤を伴う実験が必要であるといえるので、本願明細書の発明の詳細な説明は、本願発明1を当業者が容易に実施することができる程度に記載されているとはいえず、本願は、本願発明1について、特許法第36条第3項に規定する要件を満たしていない。 同様のポリペプチド、その製造方法、それをコードするDNA等に係り、本願発明1と同様の規定を含む、本願請求項2、8?11の発明、及び、請求項1、2のポリペプチドをイムノアッセイに用いることに係る本願請求項3?7の発明についても、本願発明1と同様の理由により、当業者が容易に実施することができる程度に本願明細書の発明の詳細な説明が記載されているとはいえず、本願は、これらの発明についても、特許法第36条第3項に規定する要件を満たしていない。 なお、本願発明1は、上述のとおり、本願明細書の詳細な説明に、当業者が容易に実施することができる程度に記載されておらず、このことは、また、本願発明の詳細な説明には、本願発明1が実質的に開示されていないということもできる。 従って、当審が平成19年8月17日付で発した審尋書において指摘したとおり、本願は、本願発明1について、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないともいえる。 本願請求項2?11に係る発明についても、これと同様である。 4.付言 請求人は、当審の上記審尋に対する平成20年2月19日付の回答書において、本願発明1を 「【請求項1】 以下の特性を有する、8個のアミノ酸の連続する配列を含む、ポリペプチド: (1)該8個のアミノ酸の連続する配列が少なくとも一つの部位を含み、 該部位は、以下のアミノ酸配列: 【化1】(1位のMetから457位のAlaまでの457アミノ酸からなる配列、具体的配列はここでは省略);もしくは【化2】(2880位のProから2955位のLysまでの76アミノ酸からなる配列、具体的配列はここでは省略) を有するC型肝炎ウイルスに対する抗体によって結合され得;そして (2)該8個のアミノ酸の連続する配列が、以下のアミノ酸配列: 【化3】;もしくは【化4】(【化1】;もしくは【化2】と同じ配列) 中に1個の置換を有するアミノ酸配列から得られる。」 と補正する等の事項を内容とする補正案を提示している。 念のため、この補正案についても検討すると、本願明細書には、【化1】;もしくは【化2】からなるアミノ酸配列から得られる8個のアミノ酸の連続する配列を含むポリペプチドであって、当該8個のアミノ酸の連続する配列中に含まれる部位が【化1】;もしくは【化2】からなるアミノ酸配列を有するHCVに対する抗体によって結合され得るポリペプチドについては何も記載されておらず、ましてや、【化1】;もしくは【化2】からなるアミノ酸配列中に1個の置換を有するアミノ酸配列から得られる8個のアミノ酸の連続する配列を含む、そのようなポリペプチドについては何ら記載されていない。 すなわち、本願明細書には、「エピトープは、一般に少なくとも5個のこのようなアミノ酸で構成され、より一般的には少なくとも8?10個のこのようなアミノ酸で構成されている。」(【0050】)との記載はあるが、このことが、HCVの【化1】;もしくは【化2】からなるアミノ酸配列ないし当該アミノ酸配列中に1個の置換を有するアミノ酸配列から得られる8個のアミノ酸の連続する配列中に、【化1】;もしくは【化2】からなるアミノ酸配列を有するHCVに対する抗体に結合する部位を有するものが実際に確実に存在することを示すものではないのは明らかなことであり、このような部位を含む8個のアミノ酸の連続する配列が存在することが自明であるとはいえない。 また、本願明細書には、このような部位を含む8個のアミノ酸の連続する配列を実際に得たことも記載されていない。 したがって、上記補正案で示された請求項1についての補正は、本願明細書に記載された範囲内で行われるものではないから、そもそも不適法であり、認められないものである。 5.むすび 以上のとおりであるから、本願は、特許法第36条第3項に規定する要件を満たしておらず、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2008-02-28 |
結審通知日 | 2008-02-29 |
審決日 | 2008-03-13 |
出願番号 | 特願平11-157192 |
審決分類 |
P
1
8・
531-
Z
(G01N)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 小暮 道明 |
特許庁審判長 |
種村 慈樹 |
特許庁審判官 |
光本 美奈子 鵜飼 健 |
発明の名称 | NANBVの診断用薬 |
代理人 | 山本 秀策 |
代理人 | 安村 高明 |
代理人 | 森下 夏樹 |