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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1228899
審判番号 不服2008-14368  
総通号数 134 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-02-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-06-06 
確定日 2010-12-16 
事件の表示 特願2002-366580「撮影装置及び監視システム」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 7月15日出願公開、特開2004-200989〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 【第1】経緯

[1]手続

本願は、平成14年12月18日の出願であって、手続の概要は以下のとおりである。
拒絶理由通知 :平成19年 8月27日(起案日)
意見書 :平成19年10月23日
手続補正(明細書の補正) :平成19年10月23日
拒絶査定 :平成20年 4月28日(起案日)
拒絶査定不服審判請求 :平成20年 6月 6日
手続補正(明細書の補正) :平成20年 6月13日
前置審査報告 :平成21年 2月 3日
審尋 :平成22年 4月 7日(起案日)
回答書 :平成22年 6月14日

[2]査定
原査定の理由は、概略、以下のとおりである。

〈査定の理由〉
本願の請求項1から請求項3までに係る各発明は、下記刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
記(引用例)
刊行物1:特開平11-298890号公報
刊行物2:特開2002-320198公報
刊行物3:特開2002-34031号公報

【第2】補正の却下の決定

平成20年6月13日付けの補正(以下「本件補正」という。)について次のとおり決定する。

《結論》
平成20年6月13日付けの補正を却下する。

《理由》

【第2-1】本件補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲についてする以下の補正事項をその内容とするものである(下線部は補正箇所)。
請求項1の記載についてのみ補正し、請求項2,3の記載についての補正はない。

請求項1について、
「被写体を継続的に撮像する撮像手段と、
前記撮像手段による撮像によって得られた動画像データに基づいて、前記撮像手段によって撮像されている被写体の動きを検出する検出手段と、
前記検出手段によって被写体の動きが検出されていない間、前記撮像手段による撮像におけるフレームレートが低下するように前記撮像手段に供給する同期信号の周期を変更することで、出力する動画像データのフレームレートを低下させる制御手段と、
を含む撮影装置。」(補正前)を、

「被写体を継続的に撮像する撮像手段と、
前記撮像手段による撮像によって得られた動画像データに基づいて、前記撮像手段によって撮像されている被写体の動きを検出する検出手段と、
前記検出手段によって被写体の動きが検出されていない間、前記撮像手段による撮像におけるフレームレートが低下するように、前記撮像手段に供給する同期信号の周期を前記検出手段によって被写体の動きが検出されている間よりも長くすることで、出力する動画像データのフレームレートを低下させる制御手段と、
を含む撮影装置。」(補正後)とする補正。

【第2-2】本件補正の適合性1 補正の範囲(第17条の2第3項)
本件補正は、願書に最初に添付した明細書(段落0031,0034?0040)に記載した事項の範囲内においてする補正である。

【第2-3】本件補正の適合性2 補正の目的(第17条の2第4項)
請求項1についてする上記補正事項は、補正前の請求項1に記載のあった特定事項である「制御手段」の制御内容を限定し減縮するものといえ、補正の前後において、産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一である。
そして、補正のない請求項2,3も、請求項1を引用することから、請求項1と同様、「制御手段」の制御内容を限定し減縮されたものとなる。
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項2号で規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
【第2-4】本件補正の適合性3 独立特許要件(第17条の2第5項)
そこで、独立特許要件について検討するに、補正後の請求項1に記載される発明は特許出願の際独立して特許を受けることができない。

本件補正は、平成18年年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

本件補正後の請求項1に記載される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由の詳細は、以下のとおりである。

《理由:独立特許要件に適合しない理由の詳細》

[1]補正後発明

本件補正後の請求項1から請求項3までに係る発明のうち請求項1に記載された発明(以下「補正後発明」という。)は、下記のとおりであると認められる。

記(補正後発明)
被写体を継続的に撮像する撮像手段と、
前記撮像手段による撮像によって得られた動画像データに基づいて、前記撮像手段によって撮像されている被写体の動きを検出する検出手段と、
前記検出手段によって被写体の動きが検出されていない間、前記撮像手段による撮像におけるフレームレートが低下するように、前記撮像手段に供給する同期信号の周期を前記検出手段によって被写体の動きが検出されている間よりも長くすることで、出力する動画像データのフレームレートを低下させる制御手段と、
を含む撮影装置。

[2]引用刊行物の記載

(1)特開平11-298890号公報(刊行物1)
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である特開平11-298890号公報(上記刊行物1に同じ。)には、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。

《特許請求の範囲》
(K1)「【請求項1】 入力画像データを圧縮して圧縮画像データを出力する画像データの圧縮装置であって:入力される画像データを圧縮処理する圧縮処理手段と;前記入力される画像データの画像に基づいて画像上の変化を検出する画像変化検出手段と;画像データを圧縮処理して出力する圧縮画像データのフレームレートを制御するフレームレート制御手段とを有するものにおいて:さらに、前記画像変化検出手段により検出される画像上の変化の状況に応じ、前記フレームレート制御手段により、その変化が大きいシーンよりもその変化が少ないシーンにおけるフレームレートを低くするように、出力される圧縮画像データのフレームレートを制御する手段を設けたことを特徴とする画像データの圧縮装置。
【請求項2】 前記請求項1に記載の画像データの圧縮装置において、前記画像変化検出手段は、前記入力される画像データの画像間における変化量を検出する変化量検出手段から構成されることを特徴とする画像データの圧縮装置。
【請求項3】 前記請求項1に記載の画像データの圧縮装置において、前記画像変化検出手段は、前記入力される画像データにおける画像上の動き量を検出する動き量検出手段から構成されることを特徴とする画像データの圧縮装置。
【請求項4】【請求項5】略
【請求項6】 前記請求項3に記載の画像データの圧縮装置において、前記動き量検出手段は、所定の画像データを基準画像として記憶する基準画像記憶手段と、該基準画像記憶手段に記憶した画像データに対する入力された画像データの動きベクトルを検出する動きベクトル検出手段で構成されることを特徴とする画像データの圧縮装置。
【請求項7】 前記請求項1に記載の画像データの圧縮装置において、前記フレームレート制御手段は、画像データを1フレーム単位で圧縮符号化するかしないかを切り替え制御する切り替え制御手段で構成され、前記変化量検出手段、あるいは、前記動き量検出手段の検出結果に応じて、変化量あるいは動き量の少ない画像データを、前記切り替え制御手段によって圧縮符号化しないようにすることを特徴とする画像データの圧縮装置。
【請求項18】 前記請求項16に記載の画像データの圧縮方法において、前記変化の検出は、前記入力される画像データの動きベクトルを検出することにより行われることを特徴とする画像データの圧縮方法。」

《発明が属する技術分野》
(K2)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な画像データの圧縮又は伸張方法とその装置に関し、さらに、かかる方法及び装置を用いた画像伝送システムや監視システムに関する。」

《発明が解決しようとする課題・目的》
(K3)「【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、一般的に画像データを圧縮する場合、画像の内容が細かかったり(高周波成分が多い場合)、画像の動きが激しいような場合には、画像データをあまり圧縮することができない。従って、上記H.261方式により画像データを数10kbps?数100kbpsの伝送速度に圧縮符号化する場合、通常、画像があまり細かくなく動きが緩やかなシーンではフレームレート(一定時間内のフレーム数)が高く(多く)なり、これとは逆に、画像が細かかったり動きが速いようなシーンではフレームレートが低く(少なく)なるように制御される。
【0006】そのため、画像が細かく動きが速いシーンでは、フレームレートが低く(少なく)なることから、送信先のディスプレイ上に表示される動作が間欠的になり、不自然になってしまう。また、動きの速いシーンでのフレームレートを高くしようとすると、通常、画像そのものの画質を低下させるように制御せざるを得なかった。
【0007】このように、上記の従来技術における画像データの圧縮処理では、圧縮しても本来そのデータ量が大きくなる画像が細かく動きが速いシーンについては、その画像そのものの画質を低下させてデータの転送速度を低減し、あるいは、フレームレートを一定にしようとするものでしかなく、この画像が細かく動きが速いシーンについて、その画像の画質を向上する点については全く考慮されていなかった。すなわち、上記の従来技術では、画像が細かく動きが速いシーンについて画質の優れた画像を得ることは不可能であった。
【0008】ところで、例えば、電話回線などを使って現場画像の伝送を行なって監視する遠隔監視システムでは、人の侵入や火災などの異常状態の画像を監視するため、動きや変化が大きい画像が特に重要である。また、かかる遠隔監視システムでは、動きや変化が大きい画像でも十分な画質で圧縮して伝送することが望まれている。すなわち、あまり動きが速くなく変化も少ないシーンではフレームレートが低くて構わないが、異常状態に対応した変化が大きく動きが速いようなシーンではフレームレートを低下させず、かつ十分な画質を保つように制御する必要がある。
【0009】しかしながら、既に述べたように、従来技術であるH.261方式などでは、監視システムにとってはあまり重要でない動きが緩やかなシーンではフレームレートが高く、監視にとっては重要である動きの速いシーンでは、むしろ、フレームレートが低下してしまい、あるいは、その画質が低下してしまう。そのため、かかる従来技術は、遠隔監視システムなどには適用し難いという問題があった。
【0010】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明では、上述したような発明者等による従来技術における問題点の認識を基にしてなされたものであり、画像の変化が大きかったり動きが速いようなシーンでの画質の向上を可能とし、かつ、全体としての画像データの減少が可能な画像データの圧縮又は伸張方法とその装置、並びに、それを用いた画像伝送システムを提供することを目的とする。
【0011】また、本発明では、上記の本発明を遠隔監視システムに適用し、かかる監視システムにとっては重要である動きの速いシーンの画質の低下を伴うことのない優れた遠隔監視システムを提供することを目的とする。」

(K4)「【0012】本発明では、上記問題を解決するため、各シーンにおける動きや変化を検出し、動きや変化が小さいシーンよりも動きや変化が大きいシーンの方がフレームレート(一定時間内のフレーム数)が高くなるように制御するものである。」

《発明の実施の形態》
〈図1?図4〉
(K5)「【0041】
【発明の実施の形態】以下、本発明になる実施の形態について、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0042】図1は、本発明の一実施の形態になる画像圧縮方法を実施するための画像符号化装置の一例を示す構成図である。図において、符号100は画像圧縮装置、101はデジタル画像データの入力端子、102はスイッチ回路、103は少なくとも1画面分の基準となる画像データを記憶する基準画像メモリ、104はスイッチ回路、105は入力画像を少なくとも1画面分記憶する入力画像メモリ、106は入力画像と基準画像とを比較してその動き量や変化量を検出する検出部、107は検出部106で検出した動き量や変化量を予め定めた値と比較して入力画像を符号化するかどうか、あるいは、通信するかどうかを判定する判定部、108はスイッチ回路、109は画像データを圧縮符号化する圧縮符号化器である。なお、この圧縮符号化器109では、例えばJPEG、MPEG1などの方法でデータ圧縮を行う。また、図中の110は、圧縮された画像データの出力端子であり、また、符号111が動き量変化量検出手段に、そして、符号112がフレームレート制御手段に相当する構成となっている。」

(K6)「【0043】ここで、まず図1の動作を説明する前に、添付の図2?図4の原理説明図を用いて、本発明の画像データの圧縮の原理について説明する。
【0044】図2において、符号201、202、203は所定の時間間隔(例えば、1/30秒。なお、この時間間隔は1秒の等間隔でもよいし、特に一定していなくてもよい。)で連続的に撮影された3枚の画像を示しており、これらの画像201、202、203において、符号204は各画像内のある物体(図1の例では、自動車を模してある)を示している。
【0045】この図2においては、画像が201から202へ移る間には、上記物体204はほとんど移動していない(画像の左端付近に存在)が、これに対し、画像が202から203へ移る間には、上記物体204は画像の左端から右端へ移動している。本発明の画像圧縮方法によれば、このような画像を伝送する場合、画像202は画像201に対して変化がほとんどない(変化量が小さい)ので、画像202は圧縮符号化せず、その伝送もしないようにする。
【0046】これに対して、画像203は画像201に比較して変化(変化量)が大きいので、これは圧縮符号化して伝送するようにする。この画像203を伝送する時には、画像203そのものを圧縮符号化して伝送してもよいし、あるいは、画像201に対して変化した所だけを伝送したり、変化した所だけを圧縮符号化して伝送するようにしてもよい。ここで重要なことは、画像201に対して変化や動きの少ない画像202は圧縮符号化しないでスキップする(間引く)ということである。」

(K7)「【0047】次に、添付の図3には、上記図2に対し、画像中で動いている物体そのものが小さい場合の例を示す。図3において、画像301、302、303は、上記図2と同様に、連続的に撮影された3枚の画像であり、符号304は各画像内のある物体(この図では飛行機を模してある)である。
【0048】ここでも、上記図2と同様に、画像が301から302へ移る間に物体304はほとんど移動していないが、画像が302から303へ移る間には物体304は左端から右端へ大きく移動している場合を示している。しかしながら、上記図2の物体204(自動車)に比較して、図3の画像中での物体304(飛行機)は小さいため、画像301と303を比較した場合には、画像全体に対する変化量はそれほど大きくはならない。しかしながら、このような場合には、物体304の一定時間内(単純に各画像間でもよい)の動き量(すなわち、動きの速度)を検出することとする。このように、物体の画像上での移動量を検出することにより、画像302と画像303との比較での変化量そのものは小さいが、しかしながら、画像301と画像303とを比較するとその動き量は大きくなる(動きが速いということ)。そこで、このような場合には、本発明の画像圧縮方法では、画像302は圧縮符号化せず、また、伝送もしないが、画像301と画像303については、これらを圧縮符号化して伝送するようにすることとなる。なお、画像303を伝送する時には、上記物体304のいわゆる動きベクトルを送るようにしても、勿論、構わない。すなわち、ここで変化とは、これら画像間における変化量や画像上の動き量を意味する。」

(K8)「【0049】さらに、図4は、上記図2や図3と同様に、連続的に撮影された10枚の画像を示しており、図からも明らかなように、画像401から画像405までは変化が少なく、画像406から画像410までは変化が大きく、あるいは、その動きが速く、特に、画像409から画像410までの動きが速い場合を示している。
【0050】ここで、比較のため、従来方式であるH.261などでこのような画像を圧縮符号化した場合には、例えば、動きの少ない画像401から画像405までの画像では、画像401と画像403と画像405とが圧縮符号化されるが、しかしながら、動きの大きい画像406から画像410までの画像では、画像408しか圧縮符号化されず、そのため、出力される画像信号のフレームレートは、動きの少ないシーンの方が、動きの多いシーンよりも高くなるように制御されるのが普通である。
【0051】これに対して本発明では、図にも示すように(すなわち、「○」は圧縮符号化を、「×」はスキップ(間引き)を示す)、画像401を符号化した後、画像402から画像404はほとんど動きがないのでスキップし(間引き)、次に画像405を圧縮符号化する。さらに、画像406、408は省略して画像407、409、410を符号化するわけである。
【0052】このようにすることによって、単に10枚の画像を伝送する場合に比較し、少ない数の画像(この場合には5枚)を送るだけで済むので、その送信データ量を減らすことができる上、さらに、動きの速い画像のフレームレートが高く設定されることから、これを復号伸長化した場合にも、動きや変化のあった重要な画像のフレームを落とすことなく、むしろ、これを増やして、すなわち、動きの速い画像での画質の低下を伴うことなく、その動きや変化を詳細に検討することが可能になる。」

(K9)「【0055】これに対して、本発明になる画像圧縮方法により圧縮符号化される画像データのデータ量とフレームレートとの関係では、実線Aにより明らかなように、圧縮符号化された画像データが大きくなる動きや変化の多い画像に対しては、むしろ、そのフレームレートを増大させ、動きや変化の少ない画像に対しては、そのフレームレートを減少させるように制御する。」

(K10)「【0056】続いて、上記図2から図4で説明した原理に基き、上記図1にその構成を説明した画像圧縮装置100の動作を説明する。
【0057】上記図1の構成において、最初、基準画像メモリ103と入力画像メモリ105はクリアしておき、スイッチ102はオン、スイッチ104はオフ、スイッチ108はオフ状態にしておく。まず、1枚目の画像が入力端子101に入力されると、基準画像メモリ103と入力画像メモリ105に記憶される。この時、検出部106では、スイッチ104がオフのため、1枚目の入力画像のみが入力されるので、画像全体が変化部となり、判定部107では変化量が大きいと判断して、スイッチ108をオンにする。
【0058】上記のようにして、1枚目の画像が基準画像メモリ103と入力画像メモリ105に記憶されると、次に、スイッチ102をオフにし、スイッチ104をオン状態にする。その後、2枚目の画像が入力端子101に入力されると、スイッチ102はオフ状態なので、基準画像メモリ103には記憶されず、入力画像メモリ105にのみ記憶されると共に、検出部106に入力される。また、入力画像メモリ105に記憶されている1枚目の画像は、スイッチ108を介して圧縮符号化器109に入力されて圧縮符号化されて出力端子110に出力される。また、検出部106では、入力された2枚目の画像と、スイッチ104を介して基準画像メモリ103に記憶された1枚目の画像とを比較して、変化量や動き量を検出する。
【0059】この検出された変化量や動き量は、判定部107で予め定めた値と比較され、変化量や動き量が小さいと判定した場合には、スイッチ108をオフにする。この場合には、入力画像メモリ105に記憶された2枚目の画像は圧縮符号化器109に送られず、圧縮符号化されないので出力端子110に出力されない。すなわち、その入力画像フレームはスキップされることになる。これに対して、判定部107で予め定めた値よりも大きいと判定した場合には、スイッチ108をオンにして、1枚目の画像同様に2枚目の画像も圧縮符号化器109で圧縮符号化されて出力端子110に出力される。このようにして、変化量や動き量に応じてスイッチ108をオンオフすることによりフレームレート制御することになる。なお、基準画像メモリ103の画像は、適宜入れ替えるようにしてもよい。」

〈図7;画像伝送システムに用い、遠隔監視システムに応用した例〉
(K11)「【0064】次に、添付の図6から図8により、上記に説明した本発明による画像圧縮装置100の応用例について説明する。
【0065】図6は、本発明の画像圧縮装置100を画像伝送システムに用いて遠隔監視システムに応用した例であり、
・・・(中略)・・・
【0070】図7は、上記のアナログ電話回線とは異なり、本発明の画像圧縮装置100を、デジタル方式の画像データを伝送するのに十分高速なイーサネットなどのLANや高速の通信回線を使った画像伝送システムに用い、もって、遠隔監視システムに応用した例を示す。なお、この図において、符号701はビデオカメラ、702は回線インターフェイス、703はイーサネットLANや高速デジタル回線などの通信回線である。
【0071】この場合にも、上記ビデオカメラ701からは、例えば1/30秒単位に1枚(1フレーム)の画像が画像圧縮装置100に送られる。そして、この画像圧縮装置100では、1秒間に30枚の画像(フレーム)の中から、既に説明した方法により、変化の大きい画像や動きの速いシーンのフレームレート(一定時間内のフレーム数)はあまり低下させず、変化や動きが小さいシーンではフレームレートを大きく下げるように圧縮符号化して、回線インターフェイス702を介して通信回線703で送信する。
【0072】このようにすることによって、動きの速い画像の画質の低下を伴わず、全体としては、通信速度の遅いアナログ電話回線のような通信回線でも画像データ量を減少して素速く伝送することができ、さらには、監視に重要な画像を重点的に伝送し、従来よりも通信回線703でのトラヒック(データ伝送量)を格段に低くすることができるので、これに伴い、同一容量の通信回線に対してもより多くのカメラ等を接続できるようになる。」

〈図17;MPEG1方式を基本にした構成例、動きベクトル〉
(K12)「【0095】図17は、本発明による更に他の画像圧縮装置の例であり、ここでは、MPEG1方式を基本にした構成例を示している。この図17において、符号1701は画像データの入力端子を、1702は減算器を、1703はDCT(離散コサイン変換)演算器を、1704は量子化器を、1705は可変長符号化器を、1706は動きベクトル検出器を、1707はローカルデコード部を、1708は逆量子化器を、1709は逆DCT演算器を、1710は加算器を、1711は画像メモリを、1712は動き補償部を、1713は出力端子を、1714はスイッチを、1715は動き量検出器を、1716は合成器を、1717はスイッチを示している。なお、これらの構成部分のうち、符号1701?1713により示される部分は、MPEG1方式の画像圧縮器と同一の構成要素である。
【0096】この構成によれば、最初、画像メモリ1711はクリアしておき、1枚目の画像データが入力端子1701に入力されると、減算器1702では減算するデータがないのでそのままDCT演算器1703でDCT演算された後、量子化器1704で量子化される。そして、量子化されたデータは、スイッチ1714とローカルデコード部1708へ送られる。スイッチ1714とスイッチ1717は、最初オン状態にしておくのでそのまま可変長符号化器1705で可変長符号化され、合成部1716を介して出力端子1713に出力される。ローカルデコード部1708では、まず逆量子化器1708で逆量子化され、次に逆DCT演算器1709で逆DCT演算され、元の1枚目の画像に戻されて画像メモリ1711に格納される。次の2枚目の画像データが入力端子1701に入力されると、動きベクトル検出器1706において、1枚目の画像に対する動きベクトルが検出される。
【0097】そして、この検出した動きベクトルに従って、動き補償部1712で画像メモリ1711内の画像に動き補償が行なわれ、その画像データと2枚目の画像データとが減算器1702で減算される。すなわち、2枚目の画像と1枚目の画像に動き補償を行なった画像(概略2枚目の画像)の差分が取られ、差分画像が得られる。この差分画像が、1枚目の画像同様、 DCT演算器1703でDCT演算された後、量子化器1704で量子化され、スイッチ1714とローカルデコード部へ送られる。この時、動きベクトル検出器1706で検出したベクトル値(このベクトル値が大きいということが、動きが速いということに相当する。)を動き量検出器1715で比較判定し、所定の値よりも小さければ、動きが遅いと判断して、スイッチ1714とスイッチ1717をオフ状態にし、この時の画像データは符号化しないでスキップしてしまう。
【0098】また、スイッチ1717がオフ状態なので、画像メモリ1711内の画像は更新されない。逆に、所定の値よりも大きければ、動きが速いと判断し、スイッチ1714とスイッチ1717をオン状態にし、可変長符号化器1705で動きベクトル値とともに可変長符号化し、合成部1716ではその可変長符号化データと画像をスキップしなかったという情報を合成して出力端子1713に出力する。なお、ローカルデコード部1707では、差分画像について1枚目と同様に逆量子化と逆DCT演算を行ない、動き補償部1712で動き補償した画像と加算器1710で加算した画像(すなわち2枚目の画像)を画像メモリ1711に格納する。
【0099】次の3枚目の画像データが入力端子1701に入力されると、動きベクトル検出器1706において、2枚目をスキップした場合場合には1枚目の画像に対する動きベクトルを、2枚目をスキップしなかった場合には2枚目の画像に対する動きベクトルが検出される。この動きベクトルに従って、動き補償部1712で画像メモリ1711内の画像に対して動き補償が行なわれ、その画像データと3枚目の画像データとが減算器1702で減算され差分画像が得られる。この差分画像が、DCT演算器1703でDCT演算された後、量子化器1704で量子化され、スイッチ1714とローカルデコード部へ送られる。この時、動きベクトル検出器1706で検出したベクトル値(このベクトル値が大きいということが、動きが速いということに相当する。)を動き量検出器1715で比較判定し、所定の値よりも小さければ、動きが遅いと判断して、スイッチ1714とスイッチ1717をオフ状態にし、この時の画像データは符号化しないで再びスキップしてしまう。
【0100】また、スイッチ1717がオフ状態なので、画像メモリ1711内の画像は更新されない。逆に、所定の値よりも大きければ、動きが速いと判断し、スイッチ1714とスイッチ1717をオン状態にし、可変長符号化器1705で動きベクトル値とともに可変長符号化し、合成部1716ではその可変長符号化データと画像をスキップしなかったという情報と、ここでもし前の画像をスキップした場合には、前の画像をスキップしたという情報を合成して出力端子1713に出力する。この画像をスキップしたあるいはしないという情報の代わりに、前に送った画像と今送った画像との時間間隔に関する情報(例えば、スキップしない時は1/30秒で、1枚スキップすると2/30秒というような情報)を送るようにしてもよい。なお、ローカルデコード部1707では、差分画像について前と同様に逆量子化と逆DCT演算を行ない、動き補償部1712で動き補償した画像と加算器1710で加算した画像(すなわち3枚目の画像)をスキップしない場合には画像メモリ1711に格納する。」

《発明の効果》
(K13)「【0113】
【発明の効果】以上の詳細な説明からも明らかなように、本発明の画像データの圧縮又は伸張方法とその装置、並びに、それを用いた画像伝送システム及び監視システムによれば、変化や動きの小さいシーンではフレームレートが低く、他方、変化や動きの大きいシーンのフレームレートは高くなるように圧縮符号化されて送信されるので、特に、監視システムなど、動きを伴う画像を高画質で伝送することの必要なシステムにおいて、その必要な画像を中心として、高画質で速く伝送し、効率よく記録することが可能になる。また、この伝送され、記録された画像データを復号化して見る場合にも、画像の変化や動きの大きい重要な部分の画像を高画質で、素速くモニターすることが可能になる。」

(2)特開2002-320198号公報(刊行物2)
同じく原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である2002-320198(上記刊行物2に同じ。)には、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。

《特許請求の範囲、請求項1,4》
(M1)「【請求項1】 動画像を構成する複数のフレーム画像を順次取得する取得手段と、この取得手段により順次取得されるフレーム画像を記憶手段に蓄積記憶する記憶制御手段と、前記フレーム画像の被写体の状態を表す物理量を検出する検出手段と、前記検出手段によって検出された物理量が所定の判定条件に合致したときに前記記憶手段にフレーム画像を蓄積記憶する際の前記動画像のフレームレートを変更する制御手段とを備えたことを特徴とする動画記録装置。
【請求項2】【請求項3】略
【請求項4】 前記検出手段は、被写体自体または被写体周囲の物体の動き量を前記物理量として検出し、前記制御手段は、当該動き量が所定の判定条件に合致したときに前記フレームレートを変更することを特徴とする請求項1記載の動画記録装置。」

《発明の属する技術分野》
(M2)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、動画記録装置に関し、特に、動画を撮影して記録できるムービーカメラ等の動画記録装置に関する。」

《発明が解決しようとする課題》
(M3)「【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、一般に電子スチルカメラの記憶媒体の容量(記憶容量)は、数MB(メガバイト)ないしは数十MB程度であり、この容量はディジタルビデオカメラのような動画撮影専用機器の記憶容量に比べて遙かに少ないことから、電子スチルカメラの動画撮影を長時間にわたって行うことができないという問題点があった。
【0004】したがって、本発明が解決しようとする課題は、動画撮影時のフレームレートを切り換えることを可能とし、以て、低フレームレート期間中の撮影データ量を圧縮することにより、動画撮影時間の延長化を図ることにある。」

《発明の実施の形態》
(M4)「【0006】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
<第1の実施形態>図1(a)は、第1の実施形態における電子スチルカメラの簡略的なブロック構成図である。この図において、電子スチルカメラ1は、イメージセンサ2(取得手段)、フレーム画像生成部3(取得手段)、フレームレート制御部4(記憶制御手段、制御手段)、記録部5(記憶手段)、音レベル検出部6(検出手段)及びフレームレート判定部7(制御手段)などによって構成されており、これら各部の機能は、以下のとおりである。
【0007】まず、イメージセンサ2は、写真レンズなどの光学系8を介して取り込まれた被写体9のフレーム画像信号を生成する。このイメージセンサ2は、CCDタイプやCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)タイプまたはその他のタイプの二次元イメージセンサであり、被写体9の静止画信号を所定の周期(フレームレート)で繰り返し生成出力するというものである。
【0008】たとえば、電子スチルカメラによく用いられるNTSC(NationalTV Standards Committee)仕様のイメージセンサは、毎秒約30フレーム(正確には29.97フレーム;以下便宜的に四捨五入して30フレームとする。)の静止画信号を生成出力する。この場合、上記の“周期”は約1/30秒となる。
【0009】なお、図示のイメージセンサ2は、特に限定しないが、受光面にカラーフィルターを装着したカラーのイメージセンサであるものとする。さらに、図面では省略しているが、その出力端にサンプルホールド回路やアナログディジタル変換回路などを接続すると共に、画像の取り込み周期等を制御するための駆動部などの周辺回路を有しているものとする。
【0010】フレーム画像生成部3は、イメージセンサ2の出力信号からフレーム単位の輝度・色差マルチプレクス信号(以下、YUV信号という。)を生成する。・・・(以下略)」

(M5)「【0011】フレームレート制御部4は、フレーム画像生成部3から出力されたYUV信号のフレームレートを、所定の制御信号C_SELに従って、高低二つのフレームレートのいずれか一方に切り換える。高側のフレームレート(以下「高フレームレート」という。)は、フレーム画像生成部3から出力されたYUV信号のフレームレートと同一である。以下、この高フレームレートを説明の都合上、毎秒30フレームとする。一方、低側のフレームレート(以下「低フレームレート」という。)は、上記の高フレームレートよりも低いフレームレートである。以下、この低フレームレートを説明の都合上、高フレームレートの1/2の毎秒15フレームとする。フレームレート制御部4は、所定の制御信号C_SELがアクティブのときにフレームレートを高フレームレートに切り換え、所定の制御信号C_SELがインアクティブのときにフレームレートを低フレームレートに切り換える。
【0012】記録部5は、高フレームレートまたは低フレームレートの動画像を記録する記録媒体であり、たとえば、フラッシュメモリなどの半導体記憶装置あるいはフレキシブルディスクなどの磁気記録装置である。」

(M6)「【0027】図6(a)は、被写体9の動き量を検出してフレームレートを変更するようにした「動画撮影処理プログラム」の要部を示すフローチャートである。このプログラムを開始すると、まず、被写体9のどの部分の動き量を検出するかを指定するための動き検出判定エリア設定を行う(ステップS31)。この動き検出判定エリア設定は、たとえば、図5(a)に示すように、イメージセンサ2の撮影範囲20を多数のエリアに分割し、そのエリアの一つもしくは複数のエリアからなる領域を指定する。図中のハッチング付きエリアは、指定された動き検出判定エリア21を表しており、このエリア21に含まれる画像(図5(b)では便宜的に車両22の後輪23の画像)が動き検出対象画像となる。
【0028】次に、動き検出対象画像の動き量を検出し(ステップS32)、その動き量と所定の判定値とを比較する(ステップS33)。そして、動き量が判定値を上回っていたときは制御信号S_SELをアクティブにして出力し、動き量が判定値を上回っていないときは制御信号S_SELをインアクティブにして出力する。
【0029】したがって、上述のとおり、フレームレート制御部4は、制御信号C_SELがアクティブのときにはフレームレートを高フレームレートに切り換え、制御信号C_SELがインアクティブのときにはフレームレートを低フレームレートに切り換えるものであるから、結局、制御信号S_SELのアクティブ/インアクティブに応じて、記録部5には、動き量が判定値を上回っている間は、高フレームレートの動画像が記録され(ステップS34)、動き量が判定値を上回っていない間は、低フレームレートの動画像が記録される(ステップS35)という作用が得られ、その結果、以上の処理(ステップS32?ステップS35)の動作を動画撮影終了まで繰り返すことにより、低フレームレート期間中の記録データ量を圧縮することができ、記録部5の記憶容量を有効活用して、動画撮影時間の延長化を図ることができる。」

(M7)「【0035】また、以上の説明では、フレームレート制御部4でフレーム画像を間引くことによりフレームレートを変更するようにしたが、イメージセンサ2の露光時間及び露光(撮影)間隔を制御することによりフレームレートを変更するようにしてもよい。」

[3]刊行物1に記載された発明(以下、「引用発明」という)

(0)刊行物1には、前掲(K2)「画像データの圧縮又は伸張方法とその装置に関し、さらに、かかる方法及び装置を用いた画像伝送システムや監視システム」に関するもので、
前掲(K3)を解決しようとする課題・目的とし、解決手段の概要を前掲(K4)とするものが記載されている。
簡潔にいえば、
「画像の変化が大きかったり動きが速いようなシーンでの画質の向上を可能とし、かつ、全体としての画像データの減少が可能な画像データの圧縮又は伸張方法とその装置、並びに、それを用いた画像伝送システムを提供」(K3)し、また「遠隔監視システムに適用し、かかる監視システムにとっては重要である動きの速いシーンの画質の低下を伴うことのない優れた遠隔監視システムを提供することを目的」(K3)とし、
「各シーンにおける動きや変化を検出し、動きや変化が小さいシーンよりも動きや変化が大きいシーンの方がフレームレート(一定時間内のフレーム数)が高くなるように制御するもの」(K4)が記載されている。

(1)引用発明認定の基礎
前掲(K1)の請求項1,3,6,7に着目する。
請求項3には、請求項1の「画像データの圧縮装置」において、その「画像変化検出手段」を、「入力される画像データにおける画像上の動き量を検出する動き量検出手段」{対応する実施例(実施の形態)は、前掲(K7)等}とするものが記載され、
請求項7には、請求項1の「画像データの圧縮装置」において、その「フレームレート制御手段」を、「画像データを1フレーム単位で圧縮符号化するかしないかを切り替え制御する切り替え制御手段」とし、「前記動き量検出手段の検出結果に応じて、」「動き量の少ない画像データを、前記切り替え制御手段によって圧縮符号化しないようにする」ものが記載されており、
これに対応する実施例(実施の形態)は、前掲(K5),(K7)?(K10)、図1,図3?図4に記載されている。
また、請求項6には、請求項3の「動き量検出手段」を「動きベクトル検出手段」とするものが記載されており、これに対応する実施例(実施の形態)は、前掲(K17)(段落【0095】?【0100】)、図17に記載されている。

さらに、そのようにした「画像データの圧縮装置」を、
「デジタル方式の画像データを伝送するのに十分高速なイーサネットなどのLANや高速の通信回線を使った画像伝送システムに用い、もって、遠隔監視システムに応用した例」が、(K11)(段落【0070】),図7に記載されている。

引用発明は、主に、以上のものから認定する。

(2)構成

(ア)全体構成
前掲(K11)「ビデオカメラ701からは、例えば1/30秒単位に1枚(1フレーム)の画像が画像圧縮装置100に送られる。そして、この画像圧縮装置100では、1秒間に30枚の画像(フレーム)の中から、既に説明した方法により、変化の大きい画像や動きの速いシーンのフレームレート(一定時間内のフレーム数)はあまり低下させず、変化や動きが小さいシーンではフレームレートを大きく下げるように圧縮符号化して、回線インターフェイス702を介して通信回線703で送信する。」(段落【0071】)、図7によれば、
引用発明として、「ビデオカメラ701」と「画像データ圧縮装置」を備え、「画像データ圧縮装置」は、「ビデオカメラ701」から送られた画像を、(フレームレートを変更可能に)圧縮符号化し、「回線I/F(インターフェイス)702」を介して送信するようにした、
「遠隔監視システム」に用いる装置(図7)が認められる。

(イ)ビデオカメラ701
前記した(K11)によれば、「被写体を撮像する」と明記はされていないが、ビデオカメラ701は、被写体を、例えば1/30秒単位に1枚(1フレーム)の画像として撮像するものと言うことができる。
また、「ビデオカメラ701からは、例えば1/30秒単位に1枚(1フレーム)の画像が画像圧縮装置100に送られる」ところ、前掲(K5)には、「図において、符号100は画像圧縮装置、101はデジタル画像データの入力端子、」(段落【0042】)とあることから、ビデオカメラ701から「画像データ」が画像圧縮装置100に送られ、画像圧縮装置の入力画像データとなるものと言える。
すなわち、「画像圧縮装置」は、ビデオカメラ701から入力される画像データを(フレームレートを変更可能に)圧縮符号化するものである。
したがって、引用発明として、
「被写体を、例えば1/30秒単位に1枚(1フレーム)の画像として撮像するビデオカメラ701」を備え、
「画像データ圧縮装置」は「ビデオカメラ701から画像データが入力される」もの、を認定することができる。

(ウ)「画像データ圧縮装置」

〈動き量検出手段〉
前掲(K1);請求項3の「前記入力される画像データにおける画像上の動き量を検出する動き量検出手段」及び、
その実施例の説明である(K10)、(K7)、図1、図3,図4、
特に、前掲(K7)段落【0048】「物体304の一定時間内(単純に各画像間でもよい)の動き量(すなわち、動きの速度)を検出することとする。このように、物体の画像上での移動量を検出することにより、画像302と画像303との比較での変化量そのものは小さいが、しかしながら、画像301と画像303とを比較するとその動き量は大きくなる(動きが速いということ)。」、
前掲(K10)段落【0058】の「検出部106では、入力された2枚目の画像と、スイッチ104を介して基準画像メモリ103に記憶された1枚目の画像とを比較して、変化量や動き量を検出する。」
によれば、
引用発明の「画像データ圧縮装置」は、「入力される画像データにおける画像上の動き量を検出する動き量検出手段」(K1)を備えるものであり、
その画像上での動き量は、「入力される画像データ」に基づいて検出するものであると言え、また、「物体の画像上での移動量を検出」するものであるから、「被写体の画像上の動きを検出する動き量検出手段」と言うことができる。
したがって、引用発明の「画像データ圧縮装置」は、
「入力される画像データに基づいて、被写体の画像上の動きを検出する動き量検出手段」を備えるものと言える。

〈フレームレート制御手段〉
そして、前掲(K1);
請求項1の「画像データを圧縮処理して出力する圧縮画像データのフレームレートを制御するフレームレート制御手段とを有するものにおいて:さらに、前記画像変化検出手段により検出される画像上の変化の状況に応じ、前記フレームレート制御手段により、その変化が大きいシーンよりもその変化が少ないシーンにおけるフレームレートを低くするように、出力される圧縮画像データのフレームレートを制御する手段」、
請求項6の「前記フレームレート制御手段は、画像データを1フレーム単位で圧縮符号化するかしないかを切り替え制御する切り替え制御手段で構成され」、「前記動き量検出手段の検出結果に応じて、変化量あるいは動き量の少ない画像データを、前記切り替え制御手段によって圧縮符号化しないようにする」及び、
その実施例の説明である(K10)、(K7)、図1、図3,図4、
特に、前掲(K7)段落【0048】「物体304の一定時間内(単純に各画像間でもよい)の動き量(すなわち、動きの速度)を検出することとする。このように、物体の画像上での移動量を検出することにより、画像302と画像303との比較での変化量そのものは小さいが、しかしながら、画像301と画像303とを比較するとその動き量は大きくなる(動きが速いということ)。そこで、このような場合には、本発明の画像圧縮方法では、画像302は圧縮符号化せず、また、伝送もしないが、画像301と画像303については、これらを圧縮符号化して伝送するようにすることとなる。」(【0048】、図3)、
前掲(K10)段落【0059】「この検出された変化量や動き量は、判定部107で予め定めた値と比較され、変化量や動き量が小さいと判定した場合には、スイッチ108をオフにする。この場合には、入力画像メモリ105に記憶された2枚目の画像は圧縮符号化器109に送られず、圧縮符号化されないので出力端子110に出力されない。すなわち、その入力画像フレームはスキップされることになる。これに対して、判定部107で予め定めた値よりも大きいと判定した場合には、スイッチ108をオンにして、1枚目の画像同様に2枚目の画像も圧縮符号化器109で圧縮符号化されて出力端子110に出力される。」(【0059】、図1)、
等によれば、
引用発明の「画像データ圧縮装置」は、
前記「動き量検出手段の検出結果に応じて」、「動き量」が「大きいシーンよりも」「動き量」が「小さい」「シーンにおけるフレームレートを低くするように、出力する圧縮画像データのフレームレートを制御するフレームレート制御手段」であって、
前記「動き量検出手段により検出した動き量」が「予め定めた値と比較され」、「小さいと判定した場合には」、「入力画像フレーム」、すなわち、ビデオカメラ701から入力される画像データの「入力画像フレーム」はスキップ」して圧縮符号化せず出力せず、「予め定めた値よりも大きいと判定した場合には」、「圧縮符号化」して「出力」するようにする「フレームレート制御手段」
を備えるものと言える。

また、前掲(K1);請求項6の「動き量検出手段は、所定の画像データを基準画像として記憶する基準画像記憶手段と、該基準画像記憶手段に記憶した画像データに対する入力された画像データの動きベクトルを検出する動きベクトル検出手段で構成される」及び、
その実施例の説明(K12)「図17は、本発明による更に他の画像圧縮装置の例であり、ここでは、MPEG1方式を基本にした構成例を示している。・・・1706は動きベクトル検出器を、・・・1715は動き量検出器を、1716は合成器を、1717はスイッチを示している。なお、構成部分のうち、符号1701?1713により示される部分は、MPEG1方式の画像圧縮器と同一の構成要素である。」、「次の2枚目の画像データが入力端子1701に入力されると、動きベクトル検出器1706において、1枚目の画像に対する動きベクトルが検出される。」「そして、この検出した動きベクトルに従って、動き補償部1712で画像メモリ1711内の画像に動き補償が行なわれ、・・・動きベクトル検出器1706で検出したベクトル値(このベクトル値が大きいということが、動きが速いということに相当する。)を動き量検出器1715で比較判定し、所定の値よりも小さければ、動きが遅いと判断して、スイッチ1714とスイッチ1717をオフ状態にし、この時の画像データは符号化しないでスキップしてしまう。」(段落【0096】【0097】,図17)によっても、
上記と同じ「動き量検出手段」及び「フレームレート制御手段」を備える「画像データ圧縮装置」を認定することができる。

(3)引用発明
以上によれば、補正後発明と対比する引用発明として、下記の発明を認定することができる。

記(引用発明)
被写体を、例えば1/30秒単位に1枚(1フレーム)の画像として撮像するビデオカメラ701と、画像データ圧縮装置を備え、
画像データ圧縮装置は、
ビデオカメラ701から入力される画像データに基づいて、被写体の画像上の動きを検出する動き量検出手段と、
前記動き量検出手段の検出結果に応じて、動き量が大きいシーンよりも動き量が小さいシーンにおけるフレームレートを低くするように、出力する圧縮画像データのフレームレートを制御するフレームレート制御手段であって、
前記動き量検出手段により検出した動き量が予め定めた値と比較され、小さいと判定した場合には、ビデオカメラ701から入力される画像データの入力画像フレームはスキップして圧縮符号化せず出力せず、予め定めた値よりも大きいと判定した場合には、圧縮符号化して出力するようにするフレームレート制御手段
とを備え、
出力する圧縮画像データを回線I/F(インターフェイス)702を介して送信するようにした、
遠隔監視システムに用いる装置。

〈課題・目的〉
そして、上記(0)及び上記引用発明の構成からすれば、上記引用発明は、
画像の動きが速いようなシーンでの撮影画質の向上を可能とし、かつ、全体としての画像データの減少が可能な画像データの圧縮装置を提供し、それを用いた画像伝送システム、遠隔監視システムに適用して、監視システムにとっては重要である動きの速いシーンの画質の低下を伴うことのない優れた装置を提供することを目的とするものと言うことができる。

[4]補正後発明と引用発明との対比(対応関係)

(1)補正後発明(構成要件の分説等)

ア 構成要件の分説
補正後発明は、以下のように要件A?Dに分説することができる。

補正後発明(分説)
A:被写体を継続的に撮像する撮像手段と、
B:前記撮像手段による撮像によって得られた動画像データに基づいて、前記撮像手段によって撮像されている被写体の動きを検出する検出手段と、
C:前記検出手段によって被写体の動きが検出されていない間、前記撮像手段による撮像におけるフレームレートが低下するように、前記撮像手段に供給する同期信号の周期を前記検出手段によって被写体の動きが検出されている間よりも長くすることで、出力する動画像データのフレームレートを低下させる制御手段と、
D:を含む撮影装置。

(2)対応関係
ア 構成要件A:「被写体を継続的に撮像する撮像手段」について
引用発明の、「被写体を、例えば1/30秒単位に1枚(1フレーム)の画像として撮像するビデオカメラ701」は、「被写体を継続的に撮像する撮像手段」と言え、要件Aと相違しない。

イ 構成要件B:「前記撮像手段による撮像によって得られた動画像データに基づいて、前記撮像手段によって撮像されている被写体の動きを検出する検出手段」について
引用発明の、「ビデオカメラ701から入力される画像データに基づいて、被写体の画像上の動きを検出する動き量検出手段」の「入力される画像データ」は、補正後発明でいう「前記撮像手段による撮像によって得られた動画像データ」といえ、
また、引用発明の「被写体の画像上の動き」は、補正後発明でいう「前記撮像手段によって撮像されている被写体の動き」と変わらないといえ、
「動き量検出手段」は「動き検出手段」と言い得るものである。
したがって、引用発明の「ビデオカメラ701から入力される画像データに基づいて、被写体の画像上の動きを検出する動き量検出手段」は、上記構成要件Bの検出手段と相違しない。

ウ 構成要件C:「前記検出手段によって被写体の動きが検出されていない間、前記撮像手段による撮像におけるフレームレートが低下するように、前記撮像手段に供給する同期信号の周期を前記検出手段によって被写体の動きが検出されている間よりも長くすることで、出力する動画像データのフレームレートを低下させる制御手段」について

引用発明の「フレームレート制御手段」、すなわち、
「前記動き量検出手段の検出結果に応じて、動き量が大きいシーンよりも動き量が小さいシーンにおけるフレームレートを低くするように、出力する圧縮画像データのフレームレートを制御するフレームレート制御手段であって、
前記動き量検出手段により検出した動き量が予め定めた値と比較され、小さいと判定した場合には、ビデオカメラ701から入力される画像データの入力画像フレームはスキップして圧縮符号化せず出力せず、予め定めた値よりも大きいと判定した場合には、圧縮符号化して出力するようにするフレームレート制御手段」
が出力する圧縮画像データは、「動画像データ」といえる。
そして、補正後発明の上記構成要件Cの制御手段も、
『前記動き量検出手段(補正後発明でいう「前記検出手段」に同じ)の検出結果に応じて、動き量が大きいシーンよりも動き量が小さいシーンにおけるフレームレートを低くするように、出力する』動画像データの『フレームレートを制御する』ものであるといえるから、
『前記検出手段の検出結果に応じて、動きが大きいシーンよりも動きが小さいシーンにおけるフレームレートを低くするように、出力する動画像データのフレームレートを制御するフレームレート制御手段』(以下、C’という。)であると言い得る点においては、引用発明の「フレームレート制御手段」と相違はない。
もっとも、そのように言い得る「フレームレート制御手段」が、
補正後発明では、
「前記検出手段によって被写体の動きが検出されていない間、前記撮像手段による撮像におけるフレームレートが低下するように、前記撮像手段に供給する同期信号の周期を前記検出手段によって被写体の動きが検出されている間よりも長くすることで、出力する動画像データのフレームレートを低下させる制御手段」であるのに対して、
引用発明では、
「前記検出手段(動き量検出手段)により検出した動き量が予め定めた値と比較され、小さいと判定した場合には、ビデオカメラ701から入力される画像データの入力画像フレームはスキップして(圧縮符号化せず)出力せず、予め定めた値よりも大きいと判定した場合には、(圧縮符号化して)出力するようにする制御手段」である点で相違が認められる。

エ 構成要件D:「D:を含む撮影装置。」について
補正後発明は、装置全体が一体としての「撮像装置」であるのに対して、
引用発明の「遠隔監視システムに用いる装置」は、ビデオカメラ701と画像データ圧縮装置とを備えた装置であって、装置全体が一体としての「撮像装置」であるとまでは言えず、この点、相違が認められる。

[5]一致点、相違点
以上の対比結果によれば、補正後発明と引用発明との一致点、相違点は次のとおりであることが認められる。

[一致点]
A:被写体を継続的に撮像する撮像手段と、
B:前記撮像手段による撮像によって得られた動画像データに基づいて、前記撮像手段によって撮像されている被写体の動きを検出する検出手段と、
C’:『前記検出手段の検出結果に応じて、動きが大きいシーンよりも動きが小さいシーンにおけるフレームレートを低くするように、出力する動画像データのフレームレートを制御するフレームレート制御手段』と
を含む装置。

[相違点]

[相違点1]
C’『前記検出手段の検出結果に応じて、動きが大きいシーンよりも動きが小さいシーンにおけるフレームレートを低くするように、出力する動画像データのフレームレートを制御するフレームレート制御手段』が、
補正後発明では、
構成要件C:「前記検出手段によって被写体の動きが検出されていない間、前記撮像手段による撮像におけるフレームレートが低下するように、前記撮像手段に供給する同期信号の周期を前記検出手段によって被写体の動きが検出されている間よりも長くすることで、出力する動画像データのフレームレートを低下させる制御手段」
であるのに対して、
引用発明では、
前記検出手段により検出した動き量が予め定めた値と比較され、小さいと判定した場合には、ビデオカメラ701から入力される画像データの入力画像フレームはスキップして出力せず、予め定めた値よりも大きいと判定した場合には、出力するようにする制御手段
である点。

[相違点2]
補正後発明は、装置全体が一体としての「撮像装置」とするのに対して、
引用発明は、装置全体が一体としての「撮影装置」とするものではない点。

[6]相違点等の判断(容易想到性の判断)

(1)[相違点の克服]

[相違点1の克服]
引用発明の、
C’『前記検出手段の検出結果に応じて、動きが大きいシーンよりも動きが小さいシーンにおけるフレームレートを低くするように、出力する動画像データのフレームレートを制御するフレームレート制御手段』であって(ここまでは一致点)、
前記検出手段により検出した動き量が予め定めた値と比較され、小さいと判定した場合には、ビデオカメラ701から入力される画像データの入力画像フレームはスキップして出力せず、予め定めた値よりも大きいと判定した場合には、出力するようにする制御手段
を、
構成要件C:「前記検出手段によって被写体の動きが検出されていない間、前記撮像手段による撮像におけるフレームレートが低下するように、前記撮像手段に供給する同期信号の周期を前記検出手段によって被写体の動きが検出されている間よりも長くすることで、出力する動画像データのフレームレートを低下させる制御手段」
とし、

[相違点2の克服]
引用発明を、装置全体を一体としての「撮影装置」とする

ことで、上記[相違点]は克服され、補正後発明に到達する。

(2)[相違点の克服]の容易想到性

ア 相違点1に係る、補正後発明の構成要件Cについて

構成要件C:「前記検出手段によって被写体の動きが検出されていない間、前記撮像手段による撮像におけるフレームレートが低下するように、前記撮像手段に供給する同期信号の周期を前記検出手段によって被写体の動きが検出されている間よりも長くすることで、出力する動画像データのフレームレートを低下させる制御手段」
の下線部、特に「動きが検出されていない」/「動きが検出されている」、および、「同期信号」の解釈について検討する。

ア1 「動きが検出されていない」/「動きが検出されている」
「動きが検出されていない」/「動きが検出されている」は、
本願明細書の【発明の実施の形態】についての下記記載(段落【0037】等)では、
「動き検出・補償部56」から入力されるデータが表す動きベクトル(例えば動きベクトルの絶対値、各ブロック毎の動きベクトル等)(「検出手段によって検出した被写体の動き量」と言い得るものである。)
が、所定値以上か否かに基づいて判断するとしている。
このことからすれば、
「動きが検出されていない」/「動きが検出されている」とは
「前記検出手段」(「動き検出・補償部56」が「検出手段」に対応することは明らかである)によって検出した被写体の動き量が、所定値と比較して小である/大である、ことを含んでいうものと解される。

ア2 「同期信号」
「前記撮像手段に供給する同期信号の周期を・・・長くすることで、」の「同期信号」は、「前記撮像手段に供給する」信号であることは特定されているものの、請求項1にはそれ以上の特定はなく、
発明の詳細な説明にも、「同期信号」なる記載は、請求項1と同様の記載である段落【0011】?【0013】にのみ認められ、それ以外にはないが、
上記記載「前記撮像手段に供給する同期信号の周期を・・・長くすることで、」に対応する記載が、【発明の実施の形態】の段落【0038】「被写体の動きが検出されていない間は、後述する高画質モードのときと比較して、撮像部20に供給するタイミング信号の周期が長くされ、撮像部20による撮像におけるフレームレートが低下される」に認められ、
当該記載に照らせば、
上記「同期信号」は、「撮像部20」(「撮像手段」)に供給する「タイミング信号」を含んでいうものと理解される。

ア3 以上によれば、
相違点1に係る、補正後発明の構成要件Cは、
c:「前記検出手段によって検出した被写体の動き量が所定値と比較して小である間、前記撮像手段による撮像におけるフレームレートが低下するように、前記撮像手段に供給するタイミング信号の周期を(前記検出手段により検出した被写体の動き量が)所定値と比較して大である間よりも長くすることで、出力する動画像データのフレームレートを低下させる制御手段」
を含んで言うものと解される。

記(本願明細書の記載)
【0037】
TG制御部34は、動き検出・補償部56から入力されるデータが表す動きベクトルを所定値と比較し、動きベクトルが所定値以上か否かに基づいて、被写体(撮像部20による撮像範囲内に存在している物体)に動きが有ったか否か判断する。なお、所定値と比較する動きベクトルとしては、例えば動きベクトルの絶対値を用いることができるが、これに代えて、動きベクトルの検出に用いた各ブロック毎の動きベクトル等を用いてもよい。そして、動きベクトルが所定値未満の場合には、タイミング・ジェネレータ24で生成されるタイミング信号の周期が低画質モードに対応する周期のまま継続するように、タイミング・ジェネレータ24を制御する。
【0038】
従って、被写体の動きが検出されていない間は、後述する高画質モードのときと比較して、撮像部20に供給するタイミング信号の周期が長くされ、撮像部20による撮像におけるフレームレートが低下されることで、信号処理部28から出力され動画像圧縮部30を経由して撮影装置12から出力される動画像データ(符号化動画像データ)のデータ量が抑制されることになる。

イ 刊行物2(特開2002-320198号公報)
刊行物2には、
動画を撮影して記録できる動画記録装置で、記録容量が少ないものでは、動画撮影を長時間にわたって行うことができないという問題点があり{(M1)(M2)}、そのような問題点を解決するべく、
動画撮影時のフレームレートを切り換えることを可能とし、以て、低フレームレート期間中の撮影データ量を圧縮することにより、動画撮影時間の延長化を図るもので、
以下のイメージセンサ2(取得手段)、フレーム画像生成部3、フレームレート制御部4と高フレームレートまたは低フレームレートとされたYUV動画像を記録する記録部5を有する、動画を撮影して記録できる動画記録装置{(M3)、段落【0003】}が記載されている。

そのイメージセンサ2(取得手段)は、
動画像を構成する複数のフレーム画像、詳しくは、「毎秒約30フレーム」の動画像を構成する、被写体9の静止画信号を1/30秒の周期(フレームレート)で繰り返し生成出力するもので、
画像の取り込み周期等を制御するための駆動部などの周辺回路を有し{(M1)(M4)、図1、請求項1、段落【0009】}、
そのフレーム画像生成部3は、
イメージセンサ2の出力信号から、フレーム単位のYUV信号(輝度・色差マルチプレクス信号)を生成し{(M4)段落【0010】}、
そのフレームレート制御部4は、
フレーム画像生成部3で生成したYUV信号のフレームレートを、所定の制御信号C_SELに従って、高低二つのフレームレートのいずれか一方に切り換えて変更する{(M5)(M7)、段落【0011】}もので、
フレームレートの高低切換変更は、
フレーム単位のYUV信号からフレーム画像を間引き制御することにより行うものである(-前掲(M7)段落【0037】「フレームレート制御部4でフレーム画像を間引くことによりフレームレートを切り換えて変更する」としていることから、「間引き制御を行うことにより」は明らかである。)。

すなわち、イメージセンサから繰り返し生成される、毎秒約30フレームの動画像を構成する、被写体のフレーム画像信号からフレーム画像の間引き制御により、フレームレートを高低に切換変更するものが記載されている。

そして、フレームレートの高低切換変更は、前掲(M6),図5,図6によれば、動き検出対象画像の動き量を検出し(ステップS32)、その動き量と所定の判定値とを比較し(ステップS33)、
動き量が判定値を上回っていたときは、フレームレートを高フレームレートに切り換え、
動き量が判定値を上回っていないときは、フレームレートを低フレームレートに切り換え{(M6)、段落【0027】?【0029】}、
記録部5は、高フレームレートまたは低フレームレートとされたYUV動画像を記録するものである{(M5)段落【0012】}。

さらに、刊行物2の前掲(M7)段落【0035】には、「フレームレート制御部4でフレーム画像を間引くことによりフレームレートを変更するように」する代わりに、「イメージセンサ2の露光時間及び露光(撮影)間隔を制御することによりフレームレートを変更するようにしてもよい」との記載があり、
イメージセンサ2は、画像の取り込み周期等を制御するための駆動部を有していて{(M4)段落【0009】}、その「画像の取り込み周期」すなわち「露光(撮影)間隔」は駆動部により制御されるものであるから、
イメージセンサ2の駆動部を制御して「画像の取り込み周期」すなわち「露光(撮影)間隔」を制御することにより、フレームレートを高低に切換変更することとと解される。
つまり、
上記段落【0035】記載の技術は、上記のフレームレートの高低切換変更を、
イメージセンサから繰り返し生成される、毎秒約30フレームの動画像を構成する、被写体のフレーム画像信号からフレーム画像の間引き制御することにより行う代わりに、
イメージセンサ2の駆動部を制御して「画像の取り込み周期」{露光(撮影)間隔}を制御することにより、行うことと理解される。
そして、この場合においても、フレームレートの高低切り換え変更は、上記「被写体のフレーム画像信号からフレーム画像の間引き制御によりフレームレートを変更する」場合と同様、動き検出対象画像の動き量と所定の判定値とを比較してなされるものと理解される。

[刊行物2記載技術]
以上のことから、刊行物2には、
〈課題〉
動画を撮影して記録できる動画記録装置において、記録容量が少ないとき、長時間の動画撮影ができないという課題を解決するため、
下記の技術手段([刊行物2記載技術]という)を採ることが記載されていると言うことができる。

記[刊行物2記載技術]
動画を撮影して記録できる動画記録装置において、低フレームレート期間中の撮影データ量を圧縮することにより、動画撮影時間の延長化を図るため、
被写体(動き検出対象画像)の動き量を検出し、その動き量が判定値を上回っていたときは、フレームレートを高フレームレートに切換え、
動き量が判定値を上回っていないときは、フレームレートを低フレームレートに切換えて、
動画撮影時のフレームレートを高低に切換変更することを可能とし、低フレームレート期間中の撮影データ量を圧縮する技術であって、
動画撮影時のフレームレートを高低に切換変更するための具体的手段として、
《技術手段1》
イメージセンサから繰り返し生成される、毎秒約30フレームの動画像を構成する、被写体のフレーム画像信号からフレーム画像の間引き制御することにより、フレームレートを高低に切換変更する手段、または、
《技術手段2》
イメージセンサの駆動部を制御して、画像の取り込み周期{露光(撮影)間隔}を制御することにより、フレームレートを高低に切換変更する手段
とする技術

ウ [相違点1の克服]の容易想到性

ウ1 上記[刊行物2記載技術]は、動画撮影記録において低フレームレート期間中の撮影データ量を圧縮することにより、動画撮影時間の延長化を図るものであるが、
記録するしないに関わらず、動画撮影時に、動きの小さい場合、動きの大きい場合よりも低フレームレートとすることで動画撮影データ量の減少を図るものと捉えることができ、この点においては、引用発明と課題が共通する(補正後発明とも共通する)から、引用発明に上記[刊行物2記載技術]を適用する動機付けがあると言え、
引用発明に、動画撮影時のフレームレートを高低に切換変更するための具体的手段として上記《技術事項2》を採用した上記[刊行物2記載技術]を適用することは、当業者が容易に想到することである。

そして、そのように適用すると、

{引用発明の「ビデオカメラ701」は、「刊行物2記載技術]の「イメージセンサ」(撮像手段)となり、
引用発明の
「動き量検出手段により検出した動き量が予め定めた値と比較され、小さいと判定した場合」/「予め定めた値よりも大きいと判定した場合」
と、
「刊行物2記載技術」の、「動き量を検出し、動き量が判定値を上回っていないとき」/「動き量が判定値を上回っていたとき」とは、実質上変わるものではないから、}

引用発明の、「フレームレート制御手段」
{すなわち、C’『前記検出手段の検出結果に応じて、動きが大きいシーンよりも動きが小さいシーンにおけるフレームレートを低くするように、出力する動画像データのフレームレートを制御するフレームレート制御手段』であって、
「前記検出手段により検出した動き量が予め定めた値と比較され、小さいと判定した場合には、ビデオカメラ701から入力される画像データの入力画像フレームはスキップして出力せず、予め定めた値よりも大きいと判定した場合には、出力するようにする制御手段」}
は、

C”:「前記検出手段により検出した動き量が予め定めた値と比較され、小さいと判定した場合には、撮像手段の駆動部を制御して、画像の取り込み周期{露光(撮影)間隔}を制御することによりフレームレートを低フレームレートに切換え、
前記検出手段により検出した動き量が予め定めた値と比較され、大きいと判定した場合には、撮像手段の駆動部を制御して、画像の取り込み周期{露光(撮影)間隔}を制御することによりフレームレートを高フレームレートに切換える制御手段」
となる。

ウ2 そして、一般に、撮像手段を駆動するタイミング信号(クロック信号、同期信号、基本クロック等)の周期(周波数)を変更すれば、これに応じて画像の取り込み周期{露光(撮影)間隔}が変化し、フレームレートを変化させることができることは、技術常識・周知にすぎず(例えば、下記周知例参照)、
「撮像手段の駆動部を制御して、画像の取り込み周期{露光(撮影)間隔}を制御」するのに、
撮像手段に供給するタイミング信号の周期を、画像の取り込み周期を長くするときは長く、画像の取り込み周期を短くするときは短くするように制御することは、当業者の常套といえ、
上記C”の制御手段とするのに、
『前記検出手段により検出した動き量が予め定めた値と比較され、小さいと判定した場合には、撮像手段に供給するタイミング信号の周期を長くして、フレームレートを低フレームレートに切換え、
前記検出手段により検出した動き量が予め定めた値と比較され、大きいと判定した場合には、撮像手段に供給するタイミング信号の周期を短くして、フレームレートを高フレームレートに切換えるように制御すること』
も、当業者が困難なく容易に想到し得ることである。

そして、そのように(上記『』のように)制御することは、
「前記検出手段によって検出した被写体の動き量が所定値と比較して小である間、前記撮像手段による撮像におけるフレームレートが低下するように、前記撮像手段に供給するタイミング信号の周期を(前記検出手段により検出した被写体の動き量が)所定値と比較して大である間よりも長くすることで、出力する動画像データのフレームレートを低下させる」ように制御することとも言うことができる。

すなわち、そのように(上記『』のように)制御する制御手段とすれば、
ア3で上述した、
c:「前記検出手段によって検出した被写体の動き量が所定値と比較して小である間、前記撮像手段による撮像におけるフレームレートが低下するように、前記撮像手段に供給するタイミング信号の周期を(前記検出手段により検出した被写体の動き量が)所定値と比較して大である間よりも長くすることで、出力する動画像データのフレームレートを低下させる制御手段」
に至るのである。

そして、前記のとおり、相違点1に係る補正後発明の構成要件Cは、上記cを含むものであるから、
上記ウ1・ウ2とすることにより、上記[相違点1]は克服され、補正後発明の構成要件Cに至ることになるのであり、
上記ウ1・ウ2とすることは、刊行物2及び技術常識・周知技術から当業者が容易になし得ることである。

記(周知例1?4)

(1)周知例1:特開2000-125210号公報
{段落【0003】【0004】【0012】等}
「【0003】この固体撮像素子は、所定のフレームレートにしたがった周期で、被写体の像の情報を取り込む。このフレームレートにより定められる周期は、通常は、1秒間に30フレーム(60フィールド)である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述のようなビデオカメラにおいては、固体撮像素子の駆動タイミング発生回路のクロック周波数を切り替えることにより、フレームレートを変更することができる。フレームレートを変更すると、1秒あたりのフレーム数を増加、または、減少させることができ、フレーム数を増加させると、高速フレームレートビデオカメラを実現することができる。」
「【0012】CCD1は、タイミングジェネレータ5で発生された駆動クロックによりドライブされる。タイミングジェネレータ5は、システムコントローラ6で指定されたフレームレートに応じたクロックで、駆動クロックを発生し、CCD1に送る。すなわち、このビデオカメラにおいては、システムコントローラ6を介して、フレームレートを自在に変更することができ、1秒間に30フレーム(60フィールド)などの通常速度撮影のみならず、1秒間のフレーム数がより多い高速撮影をも行うことができる。」

(2)周知例2:特開平7-298112号公報
「【請求項4】 前記制御手段は前記光電変換手段を駆動するための垂直同期信号を発生し、この周期を変更することにより前記フレームレートの変更を行うことを特徴とする請求項1記載の動画撮像システム。」

(3)周知例3:特開2002-10243号公報
{段落【0024】等}
「【0024】制御回路11は、本発明の制御手段に対応する。この制御回路11は、データ処理部12からの制御信号に基づいてイメージセンサ10を駆動するための駆動信号を生成する。この駆動信号には、イメージセンサ10から単位時間に出力されるフレーム数を規定するための信号、例えばドットクロック信号、水平同期信号(HD)、垂直同期信号(VH)等が含まれる。」

(4)周知例4:特開平10-304250号公報
{段落【0004】等}
〈記載事項の摘示〉
「【0004】しかしながら、固体撮像素子の駆動周波数を低下させると、これに合わせて固体撮像素子のフレームレートも低下してしまう。フレームレートが低下すると、単位時間当たりに固体撮像素子から出力される出力信号の量(画面数)が少なくなるので、被写体の構図を確認するために電子スチルカメラに設けられているディスプレイ(液晶ディスプレイ等)で表示される画像の動きが、滑らかでなく不自然なものになってしまう。しかも、固体撮像素子における暗電流やスミア等の影響も受けやすくなってしまい、結果として撮影後の画質にも影響を及ぼしてしまう。」

(5)周知例5:特開2002-55730号公報
{段落【0042】、【0043】等}
〈記載事項の摘示〉
「【0042】以上のような前提における基本クロックの分周設定とは、図5に示すようなPCLK同期信号の周波数(PCLK周波数)を変えることに他ならない。図6には、その分周設定とPCLK周波数の関係を示す。この図6に示すように、分周設定が1/2、1/4、1/8に設定されていくに従い、PCLK周波数も1/2、1/4、1/8に変化する。これにより、図6に示すように、水平同期周波数Hも変化する。その結果、垂直同期周波数も変化するため、図6に示すように、1秒間あたりの出力画面数(フレームレート)が変化する。例えば、分周設定が1/8に設定された場合には、1秒間あたりの出力画面数(フレームレート)は30フレームの1/8の3.75フレームになる。
【0043】以上のように基本クロックの種々の分周設定によって出力画面数(フレームレート)が変化する。そして、このとき、出力画面数に応じて消費電力も変化するのである。上述した説明は各種の基本クロックの分周設定における映像出力ディジタル信データとタイミング信号との関係についての説明であるが、これと同様に撮像部11のCCD11a、及び信号処理部12のサンプルホールド、AGC、A/Dコンバーター等に供給される各種タイミング信号も各種の分周設定に応じて変化するのである。これは図6におけるCCD蓄積時間が変化することにも相当する。すなわち、分周設定値が小さくなるほどCCD駆動タイミング信号の周波数が小さくなり、その結果、CCD蓄積時間が長くなる。例えば、分周設定が1/1の場合のCCD蓄積時間が1/30秒あったものが、1/8に設定された場合にはCCD蓄積時間がその8倍の1/3.75秒に長くなる。」

ウ3 まとめ
上記[相違点1の克服]は、引用発明に、動画撮影時のフレームレートを高低に切換変更するための具体的手段として上記《技術事項2》を採用した上記[刊行物2記載技術]及び技術常識・周知技術を適用して当業者が容易になし得ることである。

エ [相違点2の克服]の容易想到性

上記のように[相違点1の克服]をするとき、
「イメージセンサ」(撮像手段)の駆動部を制御することとなるのであるから、引用発明の「ビデオカメラ701」をそのまま用いることはできず、「イメージセンサ」(撮像手段)は制御対象部として扱うこととなることからすれば、
「イメージセンサ」(撮像手段)と「画像データ圧縮装置」とを一体化することは、ごく自然であると言うことができ、一体化したものを「撮影装置」と称することもごく普通のことにすぎない。
したがって、引用発明を、装置全体を一体としての「撮影装置」とすることも、当業者が容易に想到し得ることである。

(3)まとめ{相違点等の判断(容易想到性の判断)}
以上にように、[相違点1の克服]も[相違点2の克服]も、刊行物2記載の発明及び技術常識・周知技術に基づいて、当業者が容易になし得ることであるところ、
引用発明を出発点として、これらを合わせて克服することも、当業者が容易になし得ることである。

[7]まとめ(理由:独立特許要件不適合)
以上によれば、補正後の請求項1に記載される発明は、上記刊行物1に記載された発明及び上記刊行物2に記載された発明及び技術常識・周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。

【第3】当審の判断

[1]本願発明
平成20年6月13日付けの補正は上記のとおり却下する。
本願の請求項1から請求項3までに係る発明は、本願明細書及び図面(平成19年10月23日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面)の記載からみて、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1から請求項3までに記載した事項により特定されるとおりのものであるところ、そのうち、請求項1に係る発明(以下「本願発明」ともいう。)は、下記のとおりであると認められる。

記(本願発明)
被写体を継続的に撮像する撮像手段と、
前記撮像手段による撮像によって得られた動画像データに基づいて、前記撮像手段によって撮像されている被写体の動きを検出する検出手段と、
前記検出手段によって被写体の動きが検出されていない間、前記撮像手段による撮像におけるフレームレートが低下するように前記撮像手段に供給する同期信号の周期を変更することで、出力する動画像データのフレームレートを低下させる制御手段と、
を含む撮影装置。

[2]引用刊行物の記載
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である特開平11-298890号公報(上記刊行物1に同じ。)及び特開2002-320198号公報(上記刊行物2に同じ。)には、それぞれ前記「【第2-4】[2](1)」及び前記「【第2-4】[2](2)」のとおりの事項が記載されている。

[3]刊行物1に記載された発明

刊行物1には、前記「【第2-4】[3]」で認定したとおりの引用発明が認められる。

[4]本願発明と引用発明との対比

(1)本願発明(構成要件の分説等)

本願発明は、以下のように要件A?Dに分説することができる。

本願発明(分説)
A:被写体を継続的に撮像する撮像手段と、
B:前記撮像手段による撮像によって得られた動画像データに基づいて、前記撮像手段によって撮像されている被写体の動きを検出する検出手段と、
C:前記検出手段によって被写体の動きが検出されていない間、前記撮像手段による撮像におけるフレームレートが低下するように前記撮像手段に供給する同期信号の周期を変更することで、出力する動画像データのフレームレートを低下させる制御手段と、
D:を含む撮影装置。

本願発明と引用発明との対応については、前記「【第2-4】[4]「補正後発明と引用発明との対比」を援用する。

[5]一致点、相違点
本願発明と引用発明との一致点、相違点は以下のとおりである。

[一致点]
A:被写体を継続的に撮像する撮像手段と、
B:前記撮像手段による撮像によって得られた動画像データに基づいて、前記撮像手段によって撮像されている被写体の動きを検出する検出手段と、
C’:『前記検出手段の検出結果に応じて、動きが大きいシーンよりも動きが小さいシーンにおけるフレームレートを低くするように、出力する動画像データのフレームレートを制御するフレームレート制御手段』と
を含む装置。

[相違点]

[相違点1]
C’『前記検出手段の検出結果に応じて、動きが大きいシーンよりも動きが小さいシーンにおけるフレームレートを低くするように、出力する動画像データのフレームレートを制御するフレームレート制御手段』が、
本願発明では、
構成要件C:「前記検出手段によって被写体の動きが検出されていない間、前記撮像手段による撮像におけるフレームレートが低下するように前記撮像手段に供給する同期信号の周期を変更することで、出力する動画像データのフレームレートを低下させる制御手段」
であるのに対して、
引用発明では、
前記検出手段により検出した動き量が予め定めた値と比較され、小さいと判定した場合には、ビデオカメラ701から入力される画像データの入力画像フレームはスキップして出力せず、予め定めた値よりも大きいと判定した場合には、出力するようにする制御手段
である点。

[相違点2]
本願発明は、装置全体が一体としての「撮像装置」とするのに対して、
引用発明は、装置全体が一体としての「撮影装置」とするものではない点。

[6]相違点等の判断(容易想到性の判断)
前記「【第2-4】[6]」でした、補正後発明についての相違点等の判断と同じである。

[7]まとめ(本願発明)
本願発明は、刊行物1記載の発明及び刊行物2記載の発明及び技術常識・周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

【第4】むすび
以上、本願の請求項1に係る発明は、刊行物1に記載された発明及び刊行物2に記載された発明及び技術常識・周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願の他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-10-14 
結審通知日 2010-10-19 
審決日 2010-11-01 
出願番号 特願2002-366580(P2002-366580)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04N)
P 1 8・ 575- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 関谷 隆一  
特許庁審判長 乾 雅浩
特許庁審判官 渡邊 聡
小池 正彦
発明の名称 撮影装置及び監視システム  
代理人 福田 浩志  
代理人 西元 勝一  
代理人 加藤 和詳  
代理人 中島 淳  

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