• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H05K
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H05K
管理番号 1229837
審判番号 不服2009-4245  
総通号数 134 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-02-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-02-26 
確定日 2011-01-06 
事件の表示 平成11年特許願第118232号「多層プリント配線板および多層プリント配線板の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成12年11月 7日出願公開、特開2000-312077〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 [1]手続の経緯
本願は、平成11年4月26日の出願であって、平成20年6月2日付けで拒絶理由通知がなされ、同年7月24日付けで意見書及び手続補正書が提出され、平成21年1月23日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年2月26日に拒絶査定を不服とする審判請求がなされるとともに、同年3月27日に手続補正書が提出されたものである。

[2]平成21年3月27日付け手続補正についての補正の却下の決定
<結論>
平成21年3月27日付け手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

<理由>
(1)補正の内容、目的
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1において、「前記下層導体回路の上面と側面の同種類の粗化方法による粗化」が「同時」に行われ、また、「前記上層導体回路の上面と側面の同種類の粗化方法による粗化」が「同時」に行われることを限定するとともに、同請求項4において、「前記下層導体回路の上面および側面を同時に粗化処理」するのが、「同種類の粗化方法」により行われ、また、「前記下層導体回路の上面および側面を同時に粗化処理」するのが、「同種類の粗化方法」により行われることを限定する補正を含むものであり、該補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

(2)独立特許要件
そこで、上記補正後の本願請求項に係る発明が、特許出願の際独立して特許を受けられるものかどうかを検討する。
(2-1)本願補正発明
本件補正後の本願請求項1に係る発明は、平成21年3月27日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものと認める。
「【請求項1】内部に樹脂が充填されたスルーホールが設けられるとともに、表面が粗化された下層導体回路が両面に設けられた基板上に、さらに層間樹脂絶縁層及び表面が粗化された上層導体回路が順次積層形成されてなるビルドアップ多層プリント配線板において、
前記下層導体回路の上面と側面とが同時に同種類の粗化方法により粗化されているとともに、前記上層導体回路の上面と側面とが同時に同種類の粗化方法により粗化されていることを特徴とする多層プリント配線板。」(以下、「本願補正発明1」という。)

(2-2)引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された特開平9-260849号公報(以下、「引用刊行物1」という。)には、以下の事項が記載されている。
(1a)「【請求項1】銅張り積層板にスルーホールを設け、このスルーホールに導電路を形成し、上記導電路に粗面化処理を施した後に、上記スルーホール内に樹脂を封入し、穴埋め樹脂層を形成し、その後、銅張り積層板の表面に導体回路を形成することを特徴とする内層用回路板の製造方法。
……
【請求項3】請求項1…記載の内層用回路板を用い、この内層用回路板の導体回路を被覆する絶縁樹脂層をビルドアップ方式で形成することを特徴とする多層プリント配線板の製造方法。」(【特許請求の範囲】)

(1b)「…本発明の内層用回路板の製造方法について説明する。図1(a)に示す如く、上記銅張り積層板1にスルーホール3が設けられ、このスルーホール3に銅メッキ等を施し導電路2が形成される。
……
…図1(b)に示す如く、上記導電路2に粗面化処理を施した後に、上記スルーホール3内に樹脂を封入し穴埋め樹脂層4を形成する。…封入した樹脂を硬化させ穴埋め樹脂層4を形成し、研磨を行い表面を平滑にした後に、図1(c)に示す如く、銅箔5aにエッチングを施し、導体回路5を形成し、内層用回路板を作製する。
…次に、上記内層用回路板を用いた多層プリント配線板の製造方法を説明する。図2に示す如く、内層用回路板の導体回路5にビルドアップ方式で樹脂を被覆し、この樹脂を硬化させて絶縁樹脂層7を形成する。上記ビルドアップ方式として、フローコータで樹脂を塗工する方法、…樹脂フィルムを重ねる方法が挙げられる。
……
…上記多層プリント配線板は、必要に応じて、サブトラクティブ、アディティブ等を用いて絶縁樹脂層7上に外層導体回路(図示せず)を形成する。
……
上記内層用回路板は、内層用回路板の上下両面に絶縁樹脂層7を形成して使用する回路板でも……よい。」(第2頁第2欄第40行-第3頁第3欄第38行)

(1c)図1には、内層回路板の製造方法がステップ毎に示され、図2には、内層回路板上に樹脂を被覆した様子が示されている。

よって、上記記載事項(1a)-(1c)によれば、引用刊行物1には、
「内部に樹脂が封入されたスルーホールが設けられるとともに、内層用の導体回路が両面に設けられた内層用回路板上に、さらに絶縁樹脂層及び外層導体回路が順次積層形成されてなるビルドアップ方式で形成される多層プリント配線板。」(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。

(2-3)対比・判断
本願補正発明1と引用発明とを対比すると、引用発明の「封入」、「内層用の導体回路」、「内層用回路板」、「絶縁樹脂層」、「外層導体回路」及び「ビルドアップ方式で形成される多層プリント配線板」は、それぞれ、本願補正発明1の「充填」、「下層導体回路」、「基板」、「層間樹脂絶縁層」、「上層導体回路」及び「ビルドアップ多層プリント配線板」に相当する。
したがって、両者は、
「内部に樹脂が充填されたスルーホールが設けられるとともに、下層導体回路が両面に設けられた基板上に、さらに層間樹脂絶縁層及び上層導体回路が順次積層形成されてなるビルドアップ多層プリント配線板。」である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点)
本願補正発明1では、「前記下層導体回路の上面と側面とが同時に同種類の粗化方法により粗化されているとともに、前記上層導体回路の上面と側面とが同時に同種類の粗化方法により粗化されている」のに対し、引用発明では、そのような限定がない点。

そこで、上記相違点について検討すると、
原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された特開平10-51113号公報(以下、「引用刊行物2」という。)には、以下の事項が記載されている。
(2a)「【請求項1】内層導体パターンを備える基板におけるパターン形成面に、熱硬化性接着剤層をベースフィルムによって保護してなる接着剤ドライフィルムを配置し、かつ前記ベースフィルムを介した熱プレスによって前記接着剤層を前記パターン形成面に密着させ、次いで前記接着剤層に対する穴あけを行った後、前記接着剤層上に外層導体パターンを形成することを特徴とした多層プリント配線板の製造方法。」(【特許請求の範囲】)

(2b)「【従来の技術】従来より、フルアディティブプロセスによる多層プリント配線板の製造方法が実施されている。以下、その従来の方法を2つ紹介する。
…第1の方法は、液状の接着剤を用いた方法である。この方法では、まず基板31の片面または両面に、一般的な手法によって銅からなる内層導体パターン32を形成する(図8(a)参照)。なお、必要に応じて黒化還元処理等の表面改質処理を行うことにより、内層銅パターン32の表層に針状の黒化還元層33(酸化銅層)を形成してもよい。次いで、基板31のパターン形成面に対し、ロールコータ等を用いてアディティブ用接着剤を塗布しかつ硬化させる。この工程を経ると、内層導体パターン32を覆うアディティブ用接着剤層34が、層間絶縁層として基板31上に形成される(図8(b)参照)。
……
…第2の方法は、接着剤ドライフィルムを用いた方法である。この方法においても、まず基板31の片面または両面に銅からなる内層導体パターン32を形成した後、必要に応じてその表層に黒化還元層33を形成する。……
ラミネータにより基板31のパターン形成面にアディティブ用接着剤層35を圧着する(図9(a)?(c)参照)。」(第2頁第1欄第21行-第2欄第5行)

(2c)「ところが、上記従来技術には以下のような問題がある。即ち、第1の方法では内層導体パターン32と基板31との高低差が大きくなると、塗布されたアディティブ用接着剤層34が所々で落ち込んでしまい、接着剤層34の表面が平坦にならなくなる。ゆえに、外層導体パターンやバイアホールの形成に支障を来す。また、同様の問題は第2の方法においても起こりやすい。
…さらに、黒化還元処理等を行った場合には、針状の黒化還元層33に対して接着剤が充分に埋まり込まなくなり、特に内層導体パターン32の側面下部近傍に気泡39が残りやすくなる。このため、多層プリント配線板の内層における密着強度が低下し、それに伴って信頼性も悪化する。」(第2頁第2欄第13-26行)

(2d)「以下、本発明の「作用」を説明する。請求項1に記載の発明によると、熱プレス工程において熱硬化性接着剤に熱と圧力とが加わった場合、凹凸のあるパターン形成面に熱硬化性接着剤が確実に追従し、かつその状態で同接着剤層が硬化する。従って、内層導体パターンの側面下部近傍に気泡が残りにくくなる。また、例えば内層導体パターンに針状の黒化還元層等が形成されている場合においても、その層に対して接着剤が充分に埋まり込むようになる、以上のことから、多層プリント配線板の内層における密着強度が向上し、それに伴って信頼性も向上する。……
……
…また、熱プレスを採用した本発明によると、内層導体パターンと基板との高低差が大きくても、熱硬化性接着剤層が所々落ち込んでしまうことはなく、接着剤層の表面が平坦になる。ゆえに、後工程において外層導体パターンやバイアホールの形成に支障を来すこともない。」(第3頁第3欄第3-21行)

(2e)「「第1の実施形態]
……
…図4(d)に示されるように、本実施形態の多層プリント配線板1を構成する基板2の両面には、内層導体パターンとしての内層銅パターン3が形成されている。内層銅パターン3の表層には、針状の黒化還元層4が形成されている。基板2におけるパターン形成面には、層間絶縁層としてのアディティブ用の熱硬化性接着剤層6が形成されている。熱硬化性接着剤層6の上面には、永久レジスト7及び外層導体パターンとしての外層銅パターン8が形成されている。
……
…次に、本実施形態の多層プリント配線板1を製造する手順を説明する。まず、あらかじめ接着剤ドライフィルム10と基板2とを準備する。内層銅パターン3を備える基板2は、例えば以下のようにして得られる。樹脂製の絶縁基材に銅箔をラミネートしてなる銅張積層板を出発材料とし、その銅箔をサブトラクティブプロセスによりパターン状にエッチングする。その結果、図3(a)に示されるような所定形状をした厚さ約35μmの内層銅パターン3が形成される。次に、従来公知の手法に従って、内層銅パターン3に対する黒化還元処理を行う。すると、図3(b)に示されるように、内層銅パターン3の表層全体に、針状をした厚さ0.2μm?3μmの黒化還元層4が形成される。
……
【0020】アディティブ用の熱硬化性接着剤層6とは、樹脂原料(樹脂マトリクス)や溶剤等に微細なフィラーを分散させたものをいう。
……
【0025】次に、接着剤ドライフィルム10からカバーフィルム11を剥離した直後に、ラミネータを用いラミネート工程を実施する(図3(c)参照)。
……
その結果、熱硬化性接着剤層6が基板2のパターン形成面に圧着される(図3(d)参照)。
【0026】次に、ラミネート工程を経た基板2をプレス装置に移し、そこで熱プレス工程を実施する。
……
【0032】…
…すると、表面の平坦な熱硬化性接着剤層6が露出する。
……
【0035】その後、従来公知の方法に準じて触媒核を付与した後、アディティブ接着剤層6の上面にフォトリソグラフィによって永久レジスト7を形成する。さらに、触媒核の活性化処理等を行ったうえで無電解銅めっきを実施し、外層銅パターン8…を形成する。」(第3頁第4欄第1行-第5頁第7欄第23行)

(2f)「【0049】なお、本発明は例えば次のように変更することが可能である。
……
【0054】(6)本発明の多層プリント配線板1の製造方法は、…5層板以上の多層プリント配線板の製造に適用されてもよい。
……
【0057】(9)本発明は多層プリント配線板における第1層め-第2層めの導体層間のみについて適用されるばかりでなく、第2層め-第3層めの導体層間や、第3層め-第4層めの導体層間等についても同様に適用される。」(第6頁第9欄第31行-第7頁第11欄第1行)

引用刊行物2には、上記記載事項(2a)、(2e)によれば、多層プリント配線板において、表層全体、すなわち上面と側面とが同時に同種類の粗化方法により粗化されている内層導体パターン(本願補正発明1の「下層導体回路」に相当)を備える基板上に、さらに熱プレスにより層間絶縁層としての熱硬化性樹脂接着剤層(本願補正発明1の「層間樹脂絶縁層」に相当)を形成し、さらに、前記層間樹脂絶縁層表面に永久レジスト及び外層導体パターン(本願補正発明1の「上層導体回路」に相当)とを形成する多層プリント配線板の製造方法が示されており、
また、同(2f)によれば、上記製造方法は、さらに層間樹脂絶縁層及び外層導体パターンを積層してより多層化するものにも適用でき、その際には、第1層め-第2層めの導体層間のみでなく、第2層め-第3層めの導体層間、第3層め-第4層目との導体層間等についても同様の適用がなされる旨記載されている。

そこで、上記製造方法の技術的意味について検討すると、同(2b)-(2d)によれば、熱プレスにより層間樹脂絶縁層を前記内層導体パターンを備える基板上に形成するため、内層導体パターンと基板との高低差が大きくても、形成される層間樹脂絶縁層は平坦な表面となり、外層導体パターンの形成に支障がなく、また、内層導体パターンの側面下部近傍に気泡が残りにくくなり、層間絶縁層との密着強度が向上するというものである。
してみると、引用刊行物2の上記記載事項(2f)は、例えば、第2層め-第3層めの導体層間においては、第2層めの導体パターン形成後、永久レジスト7を除去して、第2層めの導体パターン間の下面の層間樹脂絶縁層が露出した凹部を形成するか、或いは、サブトラクティブ法により、第2層めの導体層をパターニングして凹部を形成させることを前提としていることは明らかである。

したがって、このことを勘案すると、上記製造方法を、より多層化したプリント配線板に適用する場合には、外層導体パターンと層間樹脂絶縁層表面との間に高低差が生じる状態とするとともに、外層導体パターンの上面および側面に粗化処理を施した後、同様の層間樹脂絶縁層及び外層導体パターンの積層を繰り返すものと解するのが自然であり、この場合、外層導体パターンも内層導体パターンと同様に、その上面と側面とは同時に同種類の粗化方法により粗化されているものといえる。

また、例えば、特開平10-256724号公報(原査定の拒絶の理由において周知例として引用)にも記載されるように、多層プリント配線板において、内層導体回路及び外層導体回路と絶縁樹脂層との密着性向上のために、前記内層導体回路および前記外層導体回路について、それぞれの上面及び側面を粗面化すること自体は、本出願前周知である。

(周知例)
「多層プリント配線板において、前記基板に設けた導体回路の少なくとも側面…に粗化層が形成されていることを特徴とする多層プリント配線板である。【0011】……また、前記導体回路の上面…には粗化層が形成されていることが望ましい。
……
【0013】このような構成とした本発明の多層プリント配線板によれば、基板に設けた導体回路と充填樹脂との界面…の密着性を改善することができる。」(第3頁第3欄第5-26行)
「外層導体回路5を形成した基板を、…無電解めっき液に浸漬し、該外層導体回路5の表面に厚さ3μmの銅-ニッケル-リン合金からなる粗化層11を形成した。(図13,図21参照)」(第7頁第第12欄第47行-第8頁第13欄第3行)
また、図21には、内層導体回路の上面及び側面、外層導体回路の上面及び側面に粗化層が形成された様子が示されている。

とすれば、上記引用発明に係るビルドアップ多層プリント配線板において、外層導体回路を2層以上含むよう多層化する場合に、内層導体回路及び外層導体回路と絶縁樹脂層との密着性を向上すべく、内層導体回路及び外層導体回路の粗面化は適宜考慮されるべき事項であり、その際、引用刊行物2に開示されるような、内層導体回路の上面及び側面、並びに外層導体回路の上面及び側面をそれぞれ同時に同種類の粗化方法において粗化する手段を適用することに格別の困難性は認められない。
そして、本願補正発明1が、引用刊行物1、2及び周知例に記載された周知技術からは予想しえない効果を奏するものとも認められない。

よって、本願補正発明1は、引用刊行物1、2に記載された発明及び周知例に記載された周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

(2-4)まとめ
したがって、本件発明は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第1項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項に規定により却下すべきものである。

[3]本願発明
平成21年3月27日付け手続補正は上記のとおり却下されたので、本願請求項1-7に係る発明は、平成20年7月24日付け手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1-7に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明は以下のとおりのものと認める。

「【請求項1】内部に樹脂が充填されたスルーホールが設けられるとともに、表面が粗化された下層導体回路が両面に設けられた基板上に、さらに層間樹脂絶縁層及び表面が粗化された上層導体回路が順次積層形成されてなるビルドアップ多層プリント配線板において、
前記下層導体回路の上面と側面とが同種類の粗化方法により粗化されているとともに、前記上層導体回路の上面と側面とが同種類の粗化方法により粗化されていることを特徴とする多層プリント配線板。」(以下、「本願発明1」という。)

[4]引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物1(特開平9-260849号公報)、刊行物2(特開平10-51113号公報)には、上記[2](2-2)、(2-3)のとおりの発明が記載されている。

[5]対比・判断
上記[2](1)のとおり、本願発明1は、本願補正発明1の「前記下層導体回路の上面と側面とが同時に同種類の粗化方法により粗化され」、「前記上層導体回路の上面と側面とが同時に同種類の粗化方法により粗化され」において、それぞれ、「同時に」なる限定が除かれたものであり、それ以外は同じ特定事項を有するものである。

したがって、上記[2](2-3)のとおり、本願補正発明1が、引用刊行物1、2に記載された発明及び周知例に記載された周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明1についても、引用刊行物1、2に記載された発明及び周知例に記載された周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

[6]むすび
以上のとおりであるから、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本願の請求項2-7に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-11-05 
結審通知日 2010-11-09 
審決日 2010-11-24 
出願番号 特願平11-118232
審決分類 P 1 8・ 575- Z (H05K)
P 1 8・ 121- Z (H05K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 豊島 ひろみ黒石 孝志  
特許庁審判長 藤原 敬士
特許庁審判官 田村 耕作
鈴木 正紀
発明の名称 多層プリント配線板および多層プリント配線板の製造方法  
代理人 特許業務法人 安富国際特許事務所  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ