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審決分類 審判 査定不服 (訂正、訂正請求) 特許、登録しない。 A61K
管理番号 1229864
審判番号 不服2010-19969  
総通号数 134 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-02-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-09-06 
確定日 2011-01-06 
事件の表示 特許権存続期間延長登録願2009-700147「心筋交感神経イメージング剤」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.本件特許及び本件特許発明
特許第2736470号(以下、「本件特許」という。)は、平成2年6月6日に出願され(特願平2-147649号)、平成10年1月16日に特許権の設定登録がされたものであって、その特許発明は特許明細書の特許請求の範囲の請求項1?2に記載された、以下のとおりのものである。
「【請求項1】比放射能370MBq/mg以上の123I標識メタヨードベンジルグアニジンを主成分として含有し、該成分の投与量が10μg/kg体重以下であることを特徴とする心筋交感神経イメージング剤。
【請求項2】123I標識メタヨードベンジルグアニジンの比放射能が1110MBq/mg以上であり、その投与量が3μg/kg体重以下である請求項1記載の心筋交感神経イメージング剤。」
(以下、請求項1に係る発明を「本件特許発明」という。)

2.本件特許権存続期間の延長登録出願
本件特許権存続期間の延長登録出願(以下、「本件出願」という。)は、平成21年11月27日に出願され、平成22年5月28日付けで拒絶査定され、該拒絶査定の謄本は、平成22年6月8日に出願人に発送され、これに対し、平成22年9月6日に拒絶査定不服の審判が請求されたものである。
本件出願は、本件特許発明の実施について特許法第67条第2項の政令で定める処分を受けることが必要であったとして、2年8月20日の特許権存続期間の延長登録を求めるものであり、その政令で定める処分は、以下のものとされている(以下、「本件処分」という)。

(1)延長登録の理由となる処分
薬事法第14条第9項に規定する医薬品に係る同項の承認

(2)処分を特定する番号
承認番号20400AMZ01122000

(3)処分の対象となった物
メタヨードベンジルグアニジン(123I)

(4)処分の対象となった物について特定された用途
腫瘍シンチグラフィによる神経芽腫の診断

3.原審の拒絶理由の概要
原審の拒絶の理由は、「この出願に係る特許発明の実施に特許法第67条第2項の政令で定める処分を受けることが必要であったとは認められないから、この出願は特許法第67条の3第1項第1号に該当する。」というものであり、より具体的には、
「平成21年11月6日付けで、薬事法の規定により承認番号20400AMZ01122000として一部変更の承認を受けたのは、メタヨードベンジルグアニジン(123I)を有効成分とするものであり、その承認に係る効能又は効果は、腫瘍シンチグラフィによる神経芽腫の診断と認められる。
一方、本願に係る特許発明(特許第2736470号)は、メタヨードベンジルグアニジン(123I)を心筋交感神経イメージング剤として用いる用途特許と認められる。
そうすると、上記特許発明は、上記承認の用途、すなわち腫瘍シンチグラフィによる神経芽腫の診断を用途とするものとは認められないから、その特許発明の実施に上記承認を受けることが必要であったとは認められない。」というものである。

4.当審の判断
(1)特許法第67条の3第1項第1号の解釈
特許法第67条の3第1項第1号にいう「その特許発明の実施に政令で定める処分を受けることが必要であった」との事実が存在するといえるためには、a.「政令で定める処分」を受けたことによって禁止が解除された行為が存在すること、及び、b.「政令で定める処分」によって禁止が解除された当該行為が「その特許発明の実施」に該当する行為(例えば、物の発明にあっては、その物を生産等する行為)に含まれること、の両者が成立することが必要であるといえる。そして、b.の点については、「政令で定める処分」が薬事法第14条所定の医薬品の製造の承認や医薬品の製造の承認事項の一部変更に係る承認である場合には、当該承認を受けることによって禁止が解除された医薬品の製造行為が「その特許発明の実施」に含まれることが必要であり、例えば、「その特許発明」が、発明特定事項として医薬用途を含む、いわゆる医薬用途発明である場合には、処分の対象となった物について特定された用途が「その特許発明」の医薬用途に含まれることが必要である。

(2)本件における特許法第67条の3第1項第1号該当性の判断
1)そこで、上記(1)の観点から、原審の拒絶理由について検討する。
本件処分の対象となった物について特定された用途は、「腫瘍シンチグラフィによる神経芽腫の診断」というものであり、ここで「腫瘍シンチグラフィ」なる文言は、腫瘍に特異的に集積する物質をRIで標識して投与し、シンチカメラで放射能分布を測定する核医学画像検査(南山堂医学大辞典第19版、株式会社南山堂発行、の第1132ページ「腫瘍シンチグラフィ」の項より)、の意であるとされているから、「腫瘍シンチグラフィによる神経芽腫の診断」という用途の内容は、神経芽腫に特異的に集積する物質をRIで標識して得たもの、すなわち、本件処分においては、本件処分の対象となった物であるメタヨードベンジルグアニジン(123I)、を投与し、シンチカメラで放射能分布を測定する核医学画像検査によって、神経芽腫を診断すること、というものと解される。
一方、本件特許発明は、「心筋交感神経イメージング」なる医薬用途を発明特定事項として含む、いわゆる医薬用途発明であると解されるところ、かかる「心筋交感神経イメージング」なる医薬用途は、本件特許明細書における以下の記載
「投与法は静脈内投与が好ましく、撮像は病院等のほとんどの施設が備えているガンマカメラで行えばよい。またデータ解析は、常法に従って行うことができ、かくしてシンチグラム像を得ることができる。
〔作用及び発明の効果〕
本発明によればノルエピネフリンのアナログである放射性ヨウ素標識MIBGが少ない投与量(化学物質量)で、投与早期に心筋神経細胞に選択的に集積するため以下のような優れた効果を有する心筋イメージング方法が提供される。
(1) 投与早期に多量の標識MIBGが心筋神経細胞内に集積するので、急性心筋梗塞のような心疾患患者に対しても適用でき、投与後いつでも撮像可能となり、特に定性的な評価においては撮像時期を拘束しない。
(2) 心筋神経細胞に特異的に集積するため、読影に障害となる肝臓などのバックグラウンドが減少し、明瞭な画像が得られる。
(3) 明瞭な心筋断層像(SPECT像)が得られ、従来では、臨床例において心不全例で心筋摂取減少が示されたのみで、MIBG心筋SPECT像による局所分布を検討した報告はほとんどなく、測定困難であった心筋局所のノルエピネフリン分布の評価が可能となる。
(4) MIBGによる心筋SPECT像を用いてノルエピネフリン局所分布の検討により、各種の心疾患(心筋梗塞、狭心症、心筋症)の早期発見や治療方針に有用な情報が得られる。」(特許第2736470号公報第2ページ右欄より)
によれば、心臓に特異的に集積する標識MIBGを投与し、ガンマカメラで撮像して得た心筋断層像(SPECT像)によって、各種の心疾患(心筋梗塞、狭心症、心筋症)の情報を得る、という用途のことと解される。
そうすると、本件処分の対象となった物について特定された用途と、本件特許発明の「心筋交感神経イメージング」なる医薬用途は、123I標識メタヨードベンジルグアニジンを集積させて画像を得ようとする対象が、前者では神経芽腫である一方、後者では心臓である点で異なり、また、情報を得ようとする疾病が、前者では神経芽腫である一方、後者では各種の心疾患(心筋梗塞、狭心症、心筋症)である点で異なる。してみると、本件処分の対象となった物について特定された用途が、本件特許発明の医薬用途に含まれると解することはできない。
また、上記請求項2に係る発明も、本件特許発明と同様、「心筋交感神経イメージング」なる医薬用途を発明特定事項として含む、いわゆる医薬用途発明であると解されるから、本件処分の対象となった物について特定された用途が、上記請求項2に係る発明の医薬用途に含まれると解することはできない。

2)この点に関し審判請求人は、原審における平成22年4月16日付けの意見書において、参考資料1(臨床放射線32:461?470頁、1987)を引用し、以下の主張をしている。
「貴官のご指摘によりますと、本件特許発明は、メタヨードベンジルグアニジン(123I)[以下「MIBG」と云う]を心筋交感神経イメージング剤として用いる用途特許と認められるから、腫瘍シンチグラフィによる神経芽腫の診断を用途とするものとは認められない、とのことであります。
しかしながら、本件特許発明の心筋交感神経イメージング剤は、心筋の交感神経に特異的に集積するイメージング剤で、これを利用することにより、心筋交感神経の描出を含めて心臓断層像を得ることができるものであります。
而して、当該心臓断層像の評価により心臓疾患の診断を行うことができることはもとより、当該交感神経支配の評価により神経芽腫の診断を行うことができるものであります。
このことは、MIBGを用いた神経芽腫の診断に関する論文である別添の「臨床放射線32:461?470頁、1987」(参考資料1)の第462頁右欄第17?25行に、「正常なシンチグラムでは、唾液腺、心臓、肝臓、膀胱が明瞭にかつ高率に描出される(図2)。正常副腎は、通常描出されないか、24時間目で約2%、48時間目で約20%の頻度で淡く描出される。唾液腺と心臓の描出は、これらの臓器が交感神経に富んでおり、MIBGを特異的に取り込むためと考えられ、」と記載されていることからも明らかであります。
すなわち、MIBGを使って神経芽腫の診断を行う検査では、心臓が明瞭にかつ高率に描出され、しかもそれは心臓の交感神経に特異的に取り込まれるからであることは当業者に周知の事実であり、これは取りも直さず心筋交感神経イメージング剤を用いれば、心臓疾患のみならず、神経芽腫の診断も行うことができることが当業者の技術常識となっていることを意味することに外なりません。
従いまして、本件特許発明の心筋交感神経イメージイング剤は、当然に腫瘍シンチグラフィによる神経芽腫の診断にも使用し得るものであり、自ずと本件特許発明は、当該神経芽腫の診断用途をも含むものであります。」
しかしながら、審判請求人が引用する参考資料1の上記記載には、神経芽腫の診断に言及する内容を見いだすことができず、この記載をもって、心筋交感神経イメージイング剤を用いれば、心臓疾患のみならず、神経芽腫の診断も行うことができることが当業者の技術常識となっているとする審判請求人の主張を裏付けるものとすることはできない。
かえって、参考資料1の
「通常は頭部から骨盤部まで撮像するが、・・・神経芽細胞腫の場合は全身像を得る。」(第462ページ右欄第12?16行)、
「・・・神経芽細胞腫は、種々の程度の陽性像として描出される。」(第462ページ右欄第33?34行)、
「図7 神経芽細胞腫例・・・の131I-MIBG後面像の経時的変化
A 初診時、左側腹部に大きな集積像を認める。
B 化学療法と外部照射後、腫瘍の縮小が認められる。・・・」(第465ページ中央部分)、
「我々も現在8例の神経芽細胞腫における131I-MIBGシンチを経験しているが、・・・治療経過中に転移をきたした骨病巣の陽性描画を認めている。」(第465ページ左欄第8?13行)
などの記載によれば、131I-MIBGによる神経芽細胞腫(神経芽腫と同義と認められる。)の診断は、通常は頭部から骨盤部まで撮像し、131I-MIBGが集積した神経芽細胞腫の画像を得て、これを読影することにより行われるものといえ、心臓を描出すること、すなわち、心筋交感神経イメージイングにより行われるものとはいえない。
したがって、審判請求人の上記主張は採用できない。

また本件審判請求人は、審判請求書において、甲第1号証(「Diagnostic Imaging in Clinical Medicine」Vol.54:第21?27頁、1985年 S.Karger AG.発行)を引用し、以下の主張をしている。
「(1)原査定は、
「出願人は、意見書2頁でさらに、本件特許発明の心筋交感神経イメージング剤が腫瘍シンチグラフィによる神経芽腫の診断に使用しうるものであることが当業者の技術常識であるから、当該診断用途を含む旨主張している。
しかし、出願人の説明と提出された資料からは、心筋交感神経イメージングと神経芽腫のイメージングとの関連性があるとはいえないから、出願人が指摘するように、心筋交感神経イメージング剤が腫瘍シンチグラフィによる神経芽腫の診断に使用しうるものであるとの技術常識があるとしても、それは、心筋交感神経イメージング剤である放射性ヨウ素標識メタヨードベンジルグアニジンが、神経芽腫の診断という別の適用を有するということにすぎず、このことをもって心筋交感神経イメージング剤という用途が神経芽腫の診断をも包含するものであるとはいえない。」
と認定するものである。
すなわち、原査定は、「心筋交感神経のイメージングと神経芽腫のイメージングとの関連性」が明らかでないことを拒絶の根拠としている。
(2)しかしながら、メタヨードベンジルグアニジン(MIBG)の心筋への集積と神経芽腫への集積は反比例の関係にあり、心筋への低集積により神経芽腫を診断できるものである。
このことは、「Diagnostic Imaging in Clinical Medicine」Vol.54:第21?27頁、1985年 S.Karger AG.発行(甲第1号証)の第21頁Abstractの欄第5行における「神経芽腫の患者で、131I-MIBGの集積が心筋と腫瘍では反比例する。」旨の記載;同第21頁の右欄第11行及び同第25頁Discussionの欄第3行における「神経芽腫はカテコールアミンの合成をし、貯蔵する。そして、神経芽腫の診断は尿中のカテコールアミン代謝物を測定することにより行う」旨の記載;同第25頁Discussionの欄下から第3行?第26頁左欄第15行における「1983年 Nakajoらによって、褐色細胞腫が疑われる患者では、131I-MIBGの心筋への集積と、体内循環するカテコールアミンのレベルには反比例の関係があることが報告されている。今回の筆者らの画像所見はこのことが神経芽腫にも当てはまり、神経芽腫の患者では心筋への集積がないか又は減少した。斯様に、131I-MIBGは神経芽腫の診断に重要な役割を果たす。」旨の記載;同第25頁左欄下から第14行?最下行における「131I-MIBGでの所見がポジティブでカテコールアミンが高いレベルの時は、心筋への集積がないか低かった」旨の記載からも極めて明らかである。
すなわち、以下の認識は既に当業者の技術常識となっていたものである。
i)神経芽腫の診断は、カテコールアミンのレベルをみることによって行なわれ、当該レベルが高い場合に神経芽腫と診断すること。
ii)カテコールアミンのレベルと心筋への集積は反比例の関係にあること。
iii)従って、心筋への集積と神経芽腫への集積は反比例の関係にあること。
iv)従って、心筋への低集積により、神経芽腫を診断できること。
v)従って、心筋交感神経イメージング剤の用途には、神経芽腫の診断も含まれること。
(3)以上説述致しました如く、原査定が不明であるとした心筋交感神経の描出と神経芽腫の描出の関係が反比例の関係にあって、心筋交感神経イメージング剤の用途に神経芽腫の診断も含まれることは技術常識上明らかでありますから、再応ご審査の上、請求の趣旨に記したとおりの御審決を賜りたくお願い申し上げます。」
そこで検討するに、まず、審判請求人が指摘する甲第1号証の各記載には、審判請求人のいう「心筋への低集積により、神経芽腫を診断できること」なる内容を見いだすことはできない。もっとも、審判請求人が引用する記載は断片的なものとも考えられるので、これらの記載を含む、より広範な甲第1号証の記載内容を子細に検討する。なお、甲第1号証は、英文で記載されているので、以下、翻訳文によって、その記載内容を引用する。
「神経芽腫検出のための131I-メタヨードベンジルグアニジンによる全身シンチグラフィ」(第21頁冒頭のタイトル部分)
「抄録。131I-メタヨードベンジルグアニジン(131I-MIBG)による全身シンチグラフィが、神経芽腫患者20名に実施された。完全寛解した患者では、131I-MIBGの異常な集中は見られなかった。神経芽腫が(治療後)残存したり、再発したり、転移したりした16名の患者では、腫瘍への局在化が131I-MIBGシンチグラフィによって正しく検出された。5名の患者では、さらなる腫瘍が見つかった。たいていの患者で131I-MIBGの心筋への集中と腫瘍への集中の間に反比例の関係が見られた。転移した疾患の患者における131I-MIBG取り込みの放射線量測定により、腫瘍への局在化における、同位元素の考慮すべき集中と長くて効果的な半減期を伴う事例が示された。結論として、131I-MIBG全身シンチグラフィは、神経芽腫の診断とフォローアップに有用であり、もし患者が線量測定のメリットによって選ばれるならば、治療用途にも見込みがある。」(第21頁中央の抄録の欄)
「神経芽腫、すなわち、同細胞(交感神経母細胞)由来で、多くの場合幼児に発生する悪性腫瘍は、カテコールアミンの合成と蓄積も可能である。これらの腫瘍では、131I-MIBGの集中が論理上期待され、実際、いくつかの事例が報告されている[10,11]。
我々は、神経芽腫の検出における131I-MIBGの全身シンチグラフィにおける収穫とその治療的用途における可能性を評価した。」(第21頁右欄第11行?第22頁左欄第11行)
「131I-MIBGシンチグラムで陽性とされ、尿中のカテコールアミン代謝産物のレベルが高い患者において、同位体の心筋への取り込みが、4例では見られず、7例では減少していた。」(第25頁左欄第1?6行)
「議論
131I-MIBGは、褐色細胞腫の検出に大きな価値があることが証明された[4]。神経芽腫は、たいていの場合、生化学的に活動的な腫瘍であり、しばしば尿中のカテコールアミン代謝産物の計測によって検出され、フォローアップされる。したがって、これらの腫瘍は、131I-MIBGを保持することもまた可能であろうと期待された。
本研究は、131I-MIBGによる全身シンチグラフィが、神経芽腫、それが原発のものであれ、(治療後)残存したものであれ、再発したり、転移したものであれ、その検出と位置の特定に有用であることを示す。たいていの患者では、この病気の存在は、生化学的に指摘され、そして、131I-MIBGシンチグラフィーによって位置特定された。小さい腫瘍ボリュームとカテコールアミン代謝産物非検出を伴う一人の患者において、その腫瘍は、それでもなお、131I-MIBGの集中を示した。
1983年、ナカジョウら[13]は、褐色細胞腫が疑われる患者では、131I-MIBGの心筋への集積と、体内循環するカテコールアミンのレベルには反比例の関係があることを示した。心臓の非可視化又は心筋による取り込みの減少が、褐色細胞腫で見られた。今回の筆者らの画像所見はこのことが神経芽腫にも当てはまることを示す。神経芽腫の患者では心筋への集積がないか又は減少した。活動的な神経芽腫を患う16名中11名の患者で、心筋への集積がないか又は減少し、5名の患者では、心筋による取り込みが病気の進行中に変化した。このように、131I-MIBGは、神経芽腫の診断(副腎による割り増しの取り込みが副腎腫瘍においてほぼ特徴的である)、病期の特定、及び、フォローアップに重要な役割を果たすことができる。病期の特定において、131I-MIBGシンチグラフィーは、骨シンチグラムに置き換えることができるかもしれない、なぜなら、131I-MIBGシンチグラフィーは、骨転移を検出するだけでなく、広がった骨髄浸潤、肝臓転移、リンパ組織への広がりをも検出するであろうからである。」(第25頁右欄第17行?第26頁左欄第19行)
これらの記載によれば、131I-MIBGシンチグラフィーによる、神経芽腫であることやその部位、進行の程度などの診断は、131I-MIBGが局在化した神経芽腫の画像を得て、これを読影することにより行われるものといえる。その一方、131I-MIBGの心筋への集中と腫瘍への集中の間に反比例の関係が見られることは、たいていの神経芽腫の患者で見られる現象であると認識されてはいるもの、このことにより神経芽腫であることやその部位、進行の程度などの診断が行われることが当業者の間の技術常識であるとまではいえない。
したがって、審判請求人の上記主張も採用できない。

5.むすび
したがって、本件処分は、本件出願に係る特許発明の実施に必要な処分であったとは認められないから、本件出願は特許法第67条の3第1項第1号の規定に該当し、本件特許権存続期間の延長登録を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-11-01 
結審通知日 2010-11-09 
審決日 2010-11-22 
出願番号 特願2009-700147(P2009-700147)
審決分類 P 1 8・ 71- Z (A61K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 齋藤 恵本間 友孝  
特許庁審判長 内田 淳子
特許庁審判官 荒木 英則
内藤 伸一
発明の名称 心筋交感神経イメージング剤  
代理人 村田 正樹  
代理人 中嶋 俊夫  
代理人 特許業務法人アルガ特許事務所  
代理人 有賀 三幸  
代理人 山本 博人  
代理人 高野 登志雄  
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