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審決分類 審判 判定 同一 属さない(申立て成立) H04N
管理番号 1229900
判定請求番号 判定2010-600018  
総通号数 134 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許判定公報 
発行日 2011-02-25 
種別 判定 
判定請求日 2010-04-21 
確定日 2011-01-20 
事件の表示 上記当事者間の特許第3980012号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 (イ)号図面及びその説明書に示す「テレビジョンスケジュール情報を供給するシステム及び方法」は、特許第3980012号発明の技術的範囲に属しない。 
理由 【第1】請求の趣旨
本件判定の請求の趣旨は、イ号図面並びにその説明書に示す東芝製HDDレコーダーは、特許第3980012号の各請求項に記載された特許発明の技術的範囲に属しない、との判定を求めるものである。

【第2】本件特許発明
本件特許の請求項1及び2に係る発明(以下、それぞれを「本件特許発明1」、「本件特許発明2」という。)は、本件の特許明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定されるとおりのものであり、これらを構成要件に分説すると次のとおりである。

1.本件特許発明1
A)ユーザによってアクセス可能なウェブベースの双方向テレビジョンスケジュールガイドシステムであって、
B)インターネットを介してアクセス可能なオンラインデータベースであって、複数の地理的領域のそれぞれに対するテレビジョンスケジュールガイド情報を格納するオンラインデータベースと、
C)該オンラインデータベースを格納するメモリと、
D)該複数の地理的領域のうちの1つを指定するユーザ選択を受信する入力装置と、
E)該データベースから離れているプロセッサであって、該インターネットを介して該データベースにアクセスし、該入力装置が該ユーザ選択を受信したことに応答して、該ユーザ選択によって指定された該地理的領域に対する該テレビジョンスケジュールガイド情報を直接的にオンラインで表示するようにコンピュータソフトウェアを実行するプロセッサと、
F)該データベースから離れているディスプレイであって、該テレビジョンスケジュールガイド情報を直接的にオンラインで表示するディスプレイと
を備えた、
G)双方向テレビジョンスケジュールガイドシステム。

2.本件特許発明2
H)インターネットを介してアクセス可能なウェブサイトに格納されたテレビジョンスケジュールガイド情報を表示する方法であって、
I)該ウェブサイトを介してアクセス可能なデータベースに複数の地理的領域のそれぞれに対するテレビジョンスケジュールガイド情報を格納するステップと、
J)該インターネットを介して該ウェブサイトへの通信リンクを確立するステップと、
K)該複数の地理的領域のうちの1つを指定するユーザ選択を受信するステップと、
L)該ユーザ選択を受信したことに応答して、該ユーザ選択によって指定された該地理的領域に対する該テレビジョンスケジュールガイド情報を直接的にオンラインで表示するようにコンピュータソフトウェアを実行するステップと、
M)該データベースから離れているディスプレイに該テレビジョンスケジュールガイド情報を直接的にオンラインで表示するステップと
を包含する、方法。

【第3】イ号物品の構成
1.「イ号図面および説明書」(以下、それぞれ、単に、「イ号図面」、「説明書」という。)及び同じく提出した「東芝製HDDレコーダRD-E160取扱説明書(操作編)」(甲第3号証)、「東芝製HDDレコーダRD-E160取扱説明書(応用編)」(甲第4号証)の記載事項について

(1)番組表の表示
甲第3号証61頁第1行の「“□番組ナビ”を押すと「番組ナビ トップ」が表示されますが、前回「番組表」画面で番組ナビを終了した場合、次に“□番組ナビ”を押すと「番組表」が表示されます。」の記載及び71頁の、
「“□1”「番組ナビ トップ」を表示する。
“□2”【番組表】を選び、“○決定”を押す。」
等の記載から見て、イ号物品では、番組表は、上記“□番組ナビ”、“○決定”等の操作により表示されるものであることが理解できる。
また、甲第3号証の60頁には「「番組ナビ」としてご使用いただける各画面の一覧は以下の通りです。」の記載があり、上記一覧の中に番組表の表示が含まれることが理解できる。すなわち、番組表が表示されるのは(イ号物品が接続されるテレビの)画面である。

なお、当判定において、「□」の中に文字「X」が入ったものを“□X”、「○」の中に文字「Y」が入ったものを“○Y”などと表す。(上記において、“□番組ナビ”は「□」の中に「番組ナビ」なる文字が、“○決定”は「○」の中に「決定」なる文字が入ったものを表す。)

(2)番組データのダウンロード
「説明書」の【番組表データの入手】をみると、番組表データを取得するには、いくつかの方法があるが、地上アナログ放送の番組表データの取得手段として、「iNET」なる手段を利用すると、インターネットを利用して、番組データサーバーから番組データをダウンロードすることが可能であることが理解できる。
上記「iNET」の特長として、
「・8日分の番組データを取り込みます。
・24時間いつでも番組データをダウンロードできます。」
の記載もあり、さらに、甲第4号証18頁には、「DEPG(ADAMS、iNET)使用時は、録画時以外にも、一日1?2回不定期で番組情報を更新します。」の記載もある。
以上の記載から見て、イ号物品は「インターネットを利用して、番組表を一日に1?2回不定期で更新することが可能な」装置であることは理解できる。
また、「一日1?2回不定期で番組情報を更新」した番組情報に基づき番組表を表示するということは、更新した番組情報を「HDDレコーダー」に記憶しておき、当該記憶された番組情報に基づき番組表を表示することを意味し、このことは、ダウンロードした番組データを記憶しておき、記憶された番組データに基づき番組表を表示することを意味するといえる。

(3)地域の設定
イ号物品の、地上アナログ放送チャンネルの受信チャンネルを設定する際の動作について、「説明書」の【地域の設定】を参酌すると、
「“□4”お住まいの都道府県を選び、“○決定”を押す
“□5”お住まいの地域を選び、“○決定”を押す
受信チャンネル自動的に設定されます。
・「設定メニュー」を終了するときは、“□終了”を押します。」
の記載があることから見て、「設定メニュー」の状態の時、(ユーザが)複数の地理的領域から一つを選択する選択操作を行うと、受信チャンネルが設定されるものであることが理解できる。
また、上記操作はリモコンにて行われていることから、リモコンが送信する操作者が操作した信号を受信しているといえる。

(4)まとめ
以上まとめると、請求人が判定を求めているイ号物品(東芝製HDDレコーダー)は、判定請求書の記載(4頁27行?5頁14行)、判定請求書に添付して提出した「イ号図面および説明書」)及び同じく提出した「東芝製HDDレコーダRD-E160取扱説明書(操作編)」(甲第3号証)、「東芝製HDDレコーダRD-E160取扱説明書(応用編)」(甲第4号証)からみて、下記のとおりのものであるということができる。

(4-A)イ号物品
A’)インターネットを利用して、番組表を一日に1?2回不定期で更新することが可能なHDDレコーダーであって、
B’、C’)番組データサーバーにインターネットを利用して接続可能であって、上記番組データサーバには、地上アナログ放送の番組データが記憶されており、
D’)「設定メニュー」の状態の時、(ユーザが)リモコンにより複数の地理的領域から一つを選択する選択操作を行うと、その操作信号を受信し、受信チャンネルが設定されるものであり、
E’)インターネットを利用して、番組データサーバから番組データをダウンロードすることが可能であり、
F’)画面に番組表を表示させることが可能な
G’)HDDレコーダー

また、上記構成を有するイ号物品は、以下の方法を実現しているともいえる。

(4-B)イ号方法
H’)インターネットを利用して接続可能な番組データサーバに格納された番組データを表示する方法であって、
I’)番組データサーバには複数の地域のそれぞれに対する番組表が格納されており、
J’)インターネットを利用して番組データサーバに接続することにより番組データを取得可能であり、
K’)複数の地域から一つを選択する、操作者の操作を受信し、
L’)上記操作者の操作を受信すると、受信チャンネルが設定され、
番組表を表示する際には、インターネットを利用して、番組データサーバからダウンロードされた番組データに基づき、“□番組ナビ”、“○決定”等の操作により番組表が表示され、
M’)ダウンロードした番組データを記憶しておき、記憶された番組データに基づき、HDDレコーダーに接続されたテレビに番組表を表示することを包含する方法。

【第4】対比
(1)本件特許発明1の構成要件とイ号物品の構成要件とを対比検討する。
本件特許発明1の「双方向テレビジョンスケジュールガイドシステム」は、 上記請求項1の記載からみて、少なくとも「オンラインデータベース」、「オンラインデータベースを格納するメモリ」、「テレビジョンスケジュールガイド情報を・・表示するディスプレイ」を備えたシステムである。

これに対して、イ号物品である「東芝製HDDレコーダー」は、上記「オンラインデータベース」、「オンラインデータベースを格納するメモリ」、「ディスプレイ」を備えていない。

したがって、イ号のHDDレコーダーは、番組表を、(外部のテレビ等に)表示することが可能なHDDレコーダーではあるが、「オンラインデータベース」、「オンラインデータベースを格納するメモリ」、「テレビジョンスケジュールガイド情報を表示するディスプレイ」を備えたシステムでないから、本件特許発明1の構成要件A、B、C、F、Gを充足しない。

本件特許発明1の構成要件D「該複数の地理的領域のうちの1つを指定するユーザ選択を受信する入力装置」は、ユーザが複数の地理的領域のうちの1つを指定すると当該指定を受信する装置という意味であり、イ号物品の「(ユーザが)リモコンにより複数の地理的領域から一つを選択する選択操作を行うと、その操作信号を受信」する構成を有するHDDレコーダーは、「該複数の地理的領域のうちの1つを指定するユーザ選択を受信する入力装置」を有しているといえるから、イ号物品は、構成要件Dを充足する。

本件特許発明1の構成要件E「該データベースから離れているプロセッサであって、該インターネットを介して該データベースにアクセスし、該入力装置が該ユーザ選択を受信したことに応答して、該ユーザ選択によって指定された該地理的領域に対する該テレビジョンスケジュールガイド情報を直接的にオンラインで表示するようにコンピュータソフトウェアを実行するプロセッサ」は、少なくとも「入力装置が該ユーザ選択を受信したことに応答して」、「ユーザ選択によって指定された該地理的領域に対する該テレビジョンスケジュールガイド情報を直接的にオンラインで表示する」プロセッサでなければならないといえる。
そして、「該ユーザ選択」とは、「該複数の地理的領域のうちの1つを指定するユーザ選択」を指しているから、上記構成要件Eは、少なくとも「該複数の地理的領域のうちの1つを指定するユーザ選択を受信したことに応答して」、「ユーザ選択によって指定された該地理的領域に対する該テレビジョンスケジュールガイド情報を直接的にオンラインで表示する」プロセッサでなければならないということができる。
ここで、「該複数の地理的領域のうちの1つを指定するユーザ選択を受信したことに応答して」とは、上記ユーザ選択の受信が行われると、その受信の後、ユーザによる他の操作が行われることなく次の動作に移行することをいうから、上記「該複数の地理的領域のうちの1つを指定するユーザ選択を受信したことに応答して」、「ユーザ選択によって指定された該地理的領域に対する該テレビジョンスケジュールガイド情報を直接的にオンラインで表示する」プロセッサは、「該複数の地理的領域のうちの1つを指定するユーザ選択を受信」すると、他の操作が行われることなく、「ユーザ選択によって指定された該地理的領域に対する該テレビジョンスケジュールガイド情報を直接的にオンラインで表示する」プロセッサであると解釈できる。

これに対して、イ号物品のHDDレコーダーは、地理的領域のうちの1つを指定するのは、「設定メニュー」の状態の時であり、上記「設定メニュー」において、操作者が地理的領域を選択する操作を行い、地理的領域の1つを指定することが可能であるが、上記選択する操作のみでは番組表の表示は行われず、上記選択操作の後、設定メニューを終了し、番組表を表示するための操作が必要である。すなわち、イ号物品のHDDレコーダーは、「該複数の地理的領域のうちの1つを指定するユーザ選択を受信し(表示すべき地理的領域の設定を変え)」、「設定メニューの終了操作(“□終了”を押す)」、「番組表を表示するための操作(“□番組ナビ”、“○決定”等の操作)」を行い、番組表が表示されるのであり、イ号物品のHDDレコーダーは、(複数の地理的領域のうち一つを指定する)ユーザ選択の受信に応答した後、テレビジョンスケジュールガイドを(直接的にオンラインで)表示するためには、操作者が他の操作を行わなければならないから、「(複数の地理的領域のうち一つを指定する)ユーザ選択を受信したことに応答して」、「テレビジョンスケジュールガイドを表示する」ことは行われていない。

したがって、イ号物品は構成要件Eを充足しない。

(2)本件特許発明1とイ号物件との対比まとめ
以上のことから、イ号物品の構成は、本件特許発明1の構成要件A、B、C、E,F、Gを充足しないので、イ号物品は、本件特許発明1の技術的範囲に属しない。

(3)本件特許発明2の構成要件とイ号方法の構成要件とを対比検討する。
ア)構成要件Hの充足性について
本件特許発明2の「インターネットを介してアクセス可能なウェブサイト」について検討する。
特許請求の範囲(請求項2)には
「H)インターネットを介してアクセス可能なウェブサイトに格納されたテレビジョンスケジュールガイド情報を表示する方法であって、
I)該ウェブサイトを介してアクセス可能なデータベースに複数の地理的領域のそれぞれに対するテレビジョンスケジュールガイド情報を格納するステップと」
発明の詳細な説明【0007】には
「本発明は、リモートデータベース、或いはネットワークサーバ、例えば、インターネット又はワールドワイドウェブからテレビジョンスケジュール情報をアクセスできると共に、これらデータベース及びサーバへのユーザアクセスも与えることのできる対話式のテレビジョンスケジュールシステムを提供する。」
と記載されている。
すなわち、上記構成要件Hでは、テレビジョンスケジュールガイド情報が格納されているのは「ウェブサイト」であり、構成要件Iでは、テレビジョンスケジュールガイド情報が格納されているのは「データベース」である。テレビジョンスケジュールガイドが異なるところに格納されているものでないことは明らかであるから、本件特許発明においては「ウェブサイト」および、「データベース」は同様のものと考えるのが妥当である。
また、発明の詳細な説明【0007】においては、「データベース」と「サーバ」とが同様のものとして説明されている。
したがって、本件特許発明2においては、「サーバ」にテレビジョンスケジュールガイド情報が格納されることも含んでいるといえる。
これらのことからみて、本願特許発明2の「インターネットを介してアクセス可能なウェブサイト」は、いわゆるインターネット上のホームページのことだけをいうのではなく、インターネット上にあるデータが格納されたサーバの概念も含むものであると考えるのが普通である。

一方、イ号方法において「東芝製HDDレコーダー」は、インターネットを利用して接続可能な番組データサーバに格納された番組データを表示するのであるから、イ号方法の「インターネットを利用して接続可能な番組データサーバに格納された番組データを表示する」は、本件特許発明2の「インターネットを介してアクセス可能なウェブサイトに格納されたテレビジョンスケジュールガイド情報を表示する」を充足する。

イ)構成要件Iの充足性について
「東芝製HDDレコーダー」は、インターネットを利用して「番組データサーバ」に接続可能であり、「東芝製HDDレコーダー」は「番組データサーバ」から、異なる複数の地域の番組表を必要に応じてダウンロードすることが可能である。すなわち、「番組データサーバ」は、「複数の地理的領域のそれぞれに対する番組表(テレビジョンスケジュールガイド)情報を格納」しているということができ、上記格納されているということは、「番組データサーバ」に「複数の地理的領域のそれぞれに対する番組表(テレビジョンスケジュールガイド)情報を格納」するステップが存在していることは明らかである。
してみると、イ号方法は構成要件Iを充足する。

ウ)構成要件Jの充足性について
「東芝製HDDレコーダー」は「インターネットを利用して番組データサーバに接続することにより番組データを取得可能であ」ることから、インターネットを介して番組データサーバとの通信リンクの確立を行っていることは明らかである。
すなわち、イ号方法は構成要件Jを充足する。

エ)構成要件Kの充足性について
「東芝製HDDレコーダー」は「複数の地域から一つを選択する、操作者の操作を受信し」ている。すなわち、「複数の地理的領域のうちの1つを指定するユーザ選択を受信するステップ」を有しているといえる。
よって、イ号方法は構成要件Kを充足する。

オ)構成要件Lの充足性について
構成要件Lは「該ユーザ選択を受信したことに応答して、該ユーザ選択によって指定された該地理的領域に対する該テレビジョンスケジュールガイド情報を直接的にオンラインで表示するようにコンピュータソフトウェアを実行するステップ」である。
上記構成要件Lの「テレビジョンスケジュールガイド情報を直接的にオンラインで表示する」について、発明の詳細な説明を参酌して検討すると、発明の詳細な説明の【0009】には「(a)テレビジョンスケジュールガイド又はウェブサイトは、オンラインで直接テレビジョン情報を見てそれと対話するように構成されてもよいし、或いは(b)視聴者インターフェイスに接続されたローカルプロセッサへ情報をダウンロードするように構成されてもよい。」((a)、(b)は説明の都合上付記した。)と記載されている。
すなわち、上記記載の「或いは」の前の構成(構成(a)という。)では、「テレビジョンスケジュールガイド又はウェブサイトは、オンラインで直接テレビジョン情報を見てそれと対話するように構成」し、「或いは」の後の構成(構成(b)という。)では、「(テレビジョンスケジュールガイド又はウェブサイトは、)視聴者インターフェイスに接続されたローカルプロセッサへ情報をダウンロードするように構成」することであると読め、上記構成(a)と構成(b)とは異なるものであるといえる。
そして、本件特許発明2は「該テレビジョンスケジュールガイド情報を直接的にオンラインで表示する」のであるから、上記発明の詳細な説明の構成(a)のみを特許請求の範囲に記載したというべきであるである。
すなわち、本件特許発明2では、発明の詳細な説明に記載された構成(b)である「(テレビジョンスケジュールガイド又はウェブサイトは、)視聴者インターフェイスに接続されたローカルプロセッサへ情報をダウンロードするように構成」は含まないといえる。
また、構成要件Lの「該ユーザ選択」とは、「複数の地理的領域のうちの1つを指定するユーザ選択」のことは明らかである。
してみると、構成要件Lの「該ユーザ選択を受信したことに応答して、該ユーザ選択によって指定された該地理的領域に対する該テレビジョンスケジュールガイド情報を直接的にオンラインで表示するようにコンピュータソフトウェアを実行するステップ」は、
i)複数の地理的領域のうちの1つを指定するユーザ選択を受信
ii)上記受信に応答して、ユーザ選択によって指定された該地理的領域に対する(ローカルにダウンロードされていない)該テレビジョンスケジュールガイド情報を表示する
ものであるということができる。

これに対して、「東芝製HDDレコーダー」は「複数の地域から一つを選択する、操作者の操作を受信」したときは、「設定メニュー」状態の時であって、番組表を表示する状態でないから、「複数の地理的領域のうちの1つを指定するユーザ選択を受信」することに応答して、「番組表(テレビジョンスケジュールガイド)」を表示しているとはいえないことは、上記【第4】(1)の構成要件Eにて検討したとおりである。
また、「東芝製HDDレコーダー」は「番組データサーバからダウンロードされた番組データに基づき」番組表を表示するものであって、「(ローカルにダウンロードされていない)該テレビジョンスケジュールガイド情報を表示する」本件特許発明2の構成と異なる。

したがって、イ号方法は構成要件Lを充足しない。

カ)構成要件Mの充足性について
構成要件Mは「該データベースから離れているディスプレイに該テレビジョンスケジュールガイド情報を直接的にオンラインで表示するステップとを包含する、方法」である。
上記オ)にて検討したとおり、本件特許発明2の「テレビジョンスケジュールガイド情報を直接的にオンラインで表示する」とは、「(ローカルにダウンロードされていない)該テレビジョンスケジュールガイド情報を表示する」ことを表現したものである。

これに対して、イ号方法は、「ダウンロードした番組データを記憶しておき、記憶された番組データに基づき、HDDレコーダーに接続されたテレビに番組表を表示する」構成であり、「(ローカルにダウンロードされていない)該テレビジョンスケジュールガイド情報を表示する」ものではない。

したがって、イ号方法は構成要件Mを充足しない。

(4)本件特許発明2とイ号物件との対比まとめ
以上のことから、イ号方法の構成は、本件特許発明2の構成要件L,Mを充足しないので、イ号方法は、本件特許発明2の技術的範囲に属しない。

〈付記〉
なお、請求人は間接侵害についても主張(審判請求書11頁(6.1.3)、同請求書13頁(6.2.3))しているが、判定は、技術的範囲についての属否を判断するものであり、間接侵害か否かを判断するものではないから、上記請求人の主張については判断しない。

【第5】むすび
以上のとおりであるから、イ号図面及びその説明書に示す東芝製HDDレコーダーは、本件特許発明(請求項1および2に係る特許発明)の技術的範囲に属しない。

よって、結論のとおり判定する。
 
判定日 2011-01-12 
出願番号 特願2004-126308(P2004-126308)
審決分類 P 1 2・ 1- ZA (H04N)
最終処分 成立  
前審関与審査官 西谷 憲人古川 哲也  
特許庁審判長 渡邊 聡
特許庁審判官 乾 雅浩
▲徳▼田 賢二
登録日 2007-07-06 
登録番号 特許第3980012号(P3980012)
発明の名称 テレビジョンスケジュール情報を供給するシステム及び方法  
代理人 堀口 浩  
代理人 安村 高明  
代理人 玉城 健  
代理人 村井 賢郎  
代理人 山本 秀策  
代理人 森下 夏樹  
復代理人 大塩 竹志  

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