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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  H04N
審判 全部無効 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備  H04N
審判 全部無効 特36 条4項詳細な説明の記載不備  H04N
管理番号 1230488
審判番号 無効2008-800025  
総通号数 135 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-03-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2008-02-13 
確定日 2011-02-03 
事件の表示 上記当事者間の特許第3968067号発明「テレビジョン番組リストのユーザーインタフェース」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第3968067号の請求項1乃至請求項4に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
1.出願の経緯
本件特許(特許3968067号、特願2003-332113号)は、以下のように2度の分割出願を重ね、第3世代として出願され、特許されたものである。
・特願平3-516691号
(1991年3月10日(パリ条約による優先権主張外国庁受理1990年9月10日、米国)を国際出願日とする出願、以下「親出願」ともいう)
・特願2000-321391号
(親出願の一部を平成12年10月20日に新たな特許出願とした出願、以下「子出願」ともいう)
特願2003-332113
(子出願の一部を平成15年9月24日に新たな特許出願とした出願、以下「本件出願」もしくは「孫出願」ともいう)

2.本件出願の経緯
出願 平成15年 9月24日
(特願2003-332113
分割の原出願 特願2000-321391号 )
設定登録 平成19年 6月 8日
(特許3968067号
請求項数 4
権利者 スターサイト テレキャスト インコーポレイテッド)

3.本件審判の経緯
無効審判請求(請求人) 平成20年 2月13日付け
答弁書(被請求人) 平成20年 6月 2日付け
口頭審理(特許庁審判廷) 平成20年12月 4日
口頭審理陳述要領書(請求人) 平成20年12月 4日付け
口頭審理陳述要領書(被請求人) 平成20年12月 4日付け
上申書(被請求人) 平成20年12月12日付け
上申書(請求人) 平成20年12月19日付け

第2 請求及び主張の概要
1.請求人
(1)請求の趣旨
特許第3968067号の特許請求の範囲に記載された請求項1乃至請求項4に係る各発明についての特許を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。

(2)無効理由1(記載不備)
本件特許発明1乃至本件特許発明4は、特許法第36条第5項第1号、第2号、第4項に規定する要件を満たしておらず、その特許は同法第123条第1項第3号に該当し、無効とすべきものである。
なお、「○3」の表記は記号「○」中に数字「3」がある記号を示す(他の数字についても同じ)。情報処理装置の文字処理能力の事情により、以下、このように表記する。
ア.「複数の項目のそれぞれに対応する番組説明情報を取得」が、発明の詳細な説明に不記載。
(特許法第36条第5項第1号)
(審判請求書での○3、1)-1 )
イ.「該複数のセルのそれぞれは、該少なくともいくつかの項目のうちの1つに関連付けられている」が、発明の詳細な説明に不記載。
(特許法第36条第5項第1号)
(審判請求書での○5、1)-2 )
ウ.「テレビジョン番組表」の意味が不明。
(特許法第36条第5項第2号)
(審判請求書での○1、2)-1 )
エ.「テレビジョン番組表に含まれる複数の項目」の意味が不明。
(特許法第36条第5項第2号)
(審判請求書での○2、2)-2 )
オ.「番組ガイドの形式」の意味が不明
(特許法第36条第5項第2号)
(審判請求書での○4、2)-3 )
カ.「グリッドガイド形式」の意味が不明
(特許法第36条第5項第2号)
(審判請求書での○8、2)-4 )
キ.「番組説明情報」を、なぜ表示できるのか不明。
(特許法第36条第4項)
(審判請求書での○6、3)-1 )
ク.「選択されたセルが配置されている該モニタースクリーン上の領域とは異なる該モニタースクリーン上の領域」を、どのように検出するのか、発明の詳細な説明を参酌しても不明。
(特許法第36条第4項)
(審判請求書での○7、3)-2 )

(3)無効理由2(進歩性欠如)
本件特許発明1乃至本件特許発明4は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第1号に該当し、無効とすべきものである。

ア.本件特許発明1乃至本件特許発明4は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明並びに周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

イ.本件特許発明1乃至本件特許発明4は、分割の原出願(子出願:特願2000-321391号)の出願当初の明細書又は図面に記載した事項の範囲内でないものを含み、分割の原出願に包含される発明ではないので、特許法第44条に規定する要件を満たしていない。そのため、本件特許の出願日は、原出願(親出願:特願平3-516691号)の出願日(平成3年9月10日)まで遡及せず、現実の出願日の平成15年9月24日になる。それにより、本件特許発明1乃至本件特許発明4は、原出願(親出願)の平成6年5月12日の国内公表公報(甲第8号証:特表平6-504165号)及び分割の原出願の平成13年7月6日の出願公開公報(甲第9号証:特開2001-186438号)に記載された各発明に基づいて、出願前に当業者が容易に発明することができたものである。

甲第1号証 特開平1-209399号公報
甲第2号証 特開平2-189753号公報
甲第3号証 特開昭62-49528号公報
甲第4号証 特開昭63-247812号公報
甲第5号証 特開昭63-276069号公報
甲第6号証 特開昭58-210776号公報
甲第7号証 本件特許公報(特許第3968067号)
甲第8号証 特表平6-504165号公報
(親出願の国内公表公報)
甲第9号証 特開2001-186438号公報
(子出願の出願公開公報)

2.被請求人
(1)答弁の趣旨
本件特許権には無効理由がなく本件特許権を維持する、本件審判費用は審判請求人の負担とする、との審決を求める。

第3 本件特許発明
本件特許の請求項1乃至4に係る発明は、本件特許請求の範囲記載の請求項1乃至4に記載されたとおりである。検討のため、以下のように分説する。以下、本件特許の請求項1に係る発明を本件特許発明1ともいい、請求項2乃至4に係る発明も項番号にしたがって本件特許発明2乃至4ともいう。

【請求項1】(本件特許発明1)
A:テレビジョン番組表に関する情報を提供する方法であって、
該方法は、
B:受信機の外部にある放送装置から受信機が受信した放送信号から、テレビジョン番組表に含まれる複数の項目のそれぞれに対応するタイトル情報と、該複数の項目のそれぞれに対応する番組説明情報とを取得するステップと、
C:時間およびチャンネルの番組ガイドの形式で該テレビジョン番組表に含まれる複数の項目のうちの少なくともいくつかの項目をモニタースクリーンに表示するステップであって、該番組ガイドは、複数のセルを含み、該複数のセルのそれぞれは、該少なくともいくつかの項目のうちの1つに関連付けられている、ステップと、
D:該モニタースクリーン上でカーソルを移動することにより、該複数のセルのうちの1つを選択するステップと、
E:該選択されたセルに関連付けられている該項目に対応する該タイトル情報が、該選択されたセル内に表示されている一方で、該選択されたセルに関連付けられている該項目に対応する該番組説明情報を、該選択されたセルが配置されている該モニタースクリーン上の領域とは異なる該モニタースクリーン上の領域に表示するステップと
を包含する、方法。

【請求項2】(本件特許発明2)
F:前記時間およびチャンネルの番組ガイドの形式で前記少なくともいくつかの項目を表示するステップは、グリッドガイド形式で該少なくともいくつかの項目を表示するステップを包含する、請求項1に記載の方法。

【請求項3】(本件特許発明3)
b:受信機の外部にある放送装置から受信機が受信した放送信号から、テレビジョン番組表に含まれる複数の項目のそれぞれに対応するタイトル情報と、該複数の項目のそれぞれに対応する番組説明情報とを取得する手段と、
c:時間およびチャンネルの番組ガイドの形式で該テレビジョン番組表に含まれる複数の項目のうちの少なくともいくつかの項目をモニタースクリーンに表示する手段であって、該番組ガイドは、複数のセルを含み、該複数のセルのそれぞれは、該少なくともいくつかの項目のうちの1つに関連付けられている、手段と、
d:該モニタースクリーン上でカーソルを移動することにより、該複数のセルのうちの1つを選択する手段と、
e:該選択されたセルに関連付けられている該項目に対応する該タイトル情報が、該選択されたセル内に表示されている一方で、該選択されたセルに関連付けられている該項目に対応する該番組説明情報を、該選択されたセルが配置されている該モニタースクリーン上の領域とは異なる該モニタースクリーン上の領域に表示する手段と
を含む、電子番組ガイドシステム。

【請求項4】(本件特許発明4)
f:前記時間およびチャンネルの番組ガイドの形式で前記少なくともいくつかの項目を表示する手段は、グリッドガイド形式で該少なくともいくつかの項目を表示する手段を含む、請求項3に記載の電子番組ガイドシステム。

第4 判断
1.無効理由1(記載不備)について
(1)無効理由1 ア.について
ア.本件特許の用語の理解
(ア)「テレビジョン番組表」
本件特許明細書の発明の詳細な説明には「テレビジョン番組表」という用語は用いられていないが、「テレビジョン番組表」という用語自体から、本件特許明細書段落【0007】に「印刷されたグリッドテレビジョンスケジュールガイドは、よく番組のタイトル及び放送局名以外の付属情報を含む。そのようなグリッドはまた一般に、各番組の紹介、その番組が再放送かどうか、映画の人気及びその他の情報を含むより詳細な印刷スケジュールと組み合わせて提供される。」ともあるような、一般に新聞のテレビ・ラジオ欄や放送スケジュール雑誌などに印刷されている表のようなテレビジョン番組を一覧できる表の概念であると理解される。
(イ)「テレビジョン番組表に含まれる複数の項目」
本件特許明細書の発明の詳細な説明には「項目」という用語は単独では用いられていないが、「項目」という用語(こう‐もく【項目】:物事を或る基準で区分した一つ一つ。「関連?」「?別」[株式会社岩波書店 広辞苑第五版])自体から、「テレビジョン番組表に含まれる複数の項目」は、「テレビジョン番組表に」「複数」「含まれる」ものであって、「或る基準で区分した一つ一つ」であると理解される。そして、テレビジョン番組表が、通常、複数のテレビジョン番組を1つ1つを枠で囲むことで1つ1つのテレビジョン番組として区別して一覧すること、本件特許において、タイトル情報が「それぞれに対応する」とされることから、「テレビジョン番組表に含まれる複数の項目」の「項目」とは、テレビジョン番組表における1つ1つの番組の概念であると理解される。
(ウ)「番組説明情報」
本件特許明細書の発明の詳細な説明には「番組説明情報」という用語は用いられていないが、「番組説明情報」という用語自体から、「番組」を説明する情報であると認められ、一般に新聞のテレビ・ラジオ欄や放送スケジュール雑誌などで番組について説明されている紹介記事等の番組を説明する情報が、本件特許における「番組説明情報」に相当することが理解される。

イ.「複数の項目のそれぞれに対応する番組説明情報を取得」
本件特許明細書には、段落【0023】に番組ノートオーバレイ52の例が記載され、図6に番組ノートオーバレイ52が図示されている。これら段落【0023】の例、図6に番組ノートオーバレイ52の内容「ドロシー・・・」が、番組を説明するために用いられていることは明らかであり、上記用語の理解からすれば、段落【0023】の例、図6に番組ノートオーバレイ52の内容「ドロシー・・・」が本件特許の「番組説明情報」であって、「(テレビジョン番組表に含まれる)複数の項目のそれぞれに対応する番組説明情報」が本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載されていることは明らかである。
本件特許明細書には、テレビジョン番組表に関する情報の取得に関して、段落【0073】、【0074】、【0076】に垂直ブランキングインターバル(VBI)から「リスト情報(リストデータ、リスト)」を取得することが記載されており、また、段落【0083】では「リスト情報(リストデータ、リスト)」を「スケジュール情報」という表現をしており、「リスト」「スケジュール」という表現をしているものの、この情報が、本件特許明細書で各図面で説明される各種表示形態の表として表示を行うための表示内容情報を含むものであることは、詳細に説明されずとも理解することができる。
そして、そのような各図面で説明される各種表示形態の表として表示を行うために必要となる内容情報を取得する手段としては、VBIの他には、「これ(VBI)に替えて、またはこれに補助的に、通信回線270から・・ダウンロードすることも可能」(【0083】)と記載されているだけであるから、「通信回線270から・・ダウンロード」する構成を採用しない場合に、図面で説明される各種表示形態の表として表示を行うために必要となる内容情報はVBIから取得するものと理解される。
そうすると、図6で1つの表示形態の表として表示される際の番組ノートオーバレイ52の内容である段落【0023】の例、図6の「ドロシー・・・」はVBIから取得するものと理解され、したがって、「(テレビジョン番組表に含まれる)複数の項目のそれぞれに対応する番組説明情報」が放送信号(VBI)から取得されることは、本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載されているということができる。
よって、無効理由1 ア.については理由がないというべきである。

(2)無効理由1 イ.について
上記「第4 1.(1)ア.(ア)テレビジョン番組表」で述べたように、本件特許明細書段落【0007】に「印刷されたグリッドテレビジョンスケジュールガイドは、よく番組のタイトル及び放送局名以外の付属情報を含む。そのようなグリッドはまた一般に、各番組の紹介、その番組が再放送かどうか、映画の人気及びその他の情報を含むより詳細な印刷スケジュールと組み合わせて提供される。」ともあるような、一般に新聞のテレビ・ラジオ欄や放送スケジュール雑誌などに印刷されている表のようなテレビジョン番組を一覧できる表が、通常、複数のテレビジョン番組を1つ1つを枠で囲むことで1つ1つのテレビジョン番組として区別して一覧するものであり、本件特許におけるテレビジョン番組表において、そのような枠で囲まれた範囲を「セル」ということは明らかであって、実施例では例えば図1のセル21とされるように、セルが1つの番組に対応していることは明らかである。上記したように、本件特許の「項目」という用語は、番組の概念であると理解されるから、「該複数のセルのそれぞれは、該少なくともいくつかの項目のうちの1つに関連付けられている」ことは、本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載されているということができる。
よって、無効理由1 イ.については理由がないというべきである。

(3)無効理由1 ウ.について
上記したように、一般に新聞のテレビ・ラジオ欄や放送スケジュール雑誌などに印刷されている表のようなテレビジョン番組を一覧できる表の概念であると理解され、不明瞭ということはできない。
よって、無効理由1 ウ.については理由がないというべきである。

(4)無効理由1 エ.について
上記「第4 1.(1)ア.(イ)テレビジョン番組表に含まれる複数の項目」で述べたように、テレビジョン番組表における1つ1つの番組の概念であると理解され、不明瞭ということはできない。
よって、無効理由1 エ.については理由がないというべきである。

(5)無効理由1 オ.について
本件特許における「番組ガイドの形式」とは、「時間およびチャンネルの番組ガイドの形式」とされているものである。
本件特許のテレビジョン番組表は、上記したように、一般に新聞のテレビ・ラジオ欄や放送スケジュール雑誌などに印刷されている表のようなテレビジョン番組を一覧できる表の概念であると理解され、「時間およびチャンネルの番組ガイドの形式」とは、そのように理解されるテレビジョン番組表の形式をいうものと理解できる。そして、一般の新聞のテレビ・ラジオ欄や放送スケジュール雑誌などにおいて、番組が、放送の時間と放送のチャンネルとが分かるような形式で表示され、また、放送の時間と放送のチャンネルとから番組を特定できるような形式で表示されていることが普通であることから、「時間およびチャンネルの番組ガイドの形式」とは、番組の放送の時間と放送のチャンネルとが分かり、また、放送の時間と放送のチャンネルとから番組を特定できるような形式をいうことは、普通に理解できる。
そうすると、「番組ガイドの形式」の意味が不明であるとはいえない。
よって、無効理由1 オ.については理由がないというべきである。

(6)無効理由1 カ.について
本件特許における「グリッドガイド形式」とは「時間およびチャンネルの番組ガイドの形式で前記少なくともいくつかの項目を表示するステップ」が包含するステップにおける「グリッドガイド形式」であって、テレビジョン番組表の形式をいうものと理解でき、その形式が「グリッドガイド」という用語から格子状の形態を取って番組をガイドするものと理解できることから、「グリッドガイド形式」とは、本件特許の図1や一般に新聞のテレビ・ラジオ欄や放送スケジュール雑誌などに印刷されている表のような、格子状の形態を取って番組をガイドする形式をいうことは普通に理解できる。
そうすると、「グリッドガイド形式」の意味が不明であるとはいえない。
よって、無効理由1 カ.については理由がないというべきである。

(7)無効理由1 キ.について
本件特許の「番組説明情報」が、本件特許明細書の段落【0023】の番組ノートオーバレイ52の例、図6に図示される番組ノートオーバレイ52の内容「ドロシー・・・」に対応するものであることは上記したとおりであるところ、本件特許明細書にはそれらが番組ノートオーバレイ52として表示されることが記載されている。
CRT等の表示手段に情報を表示することは、情報が取得できれば、当業者の有するテレビやコンピュータのディスプレイの表示技術を持ってすれば、具体的説明が無くとも容易に実現できることはいうまでもないところである。
そして、上記「第4 1.(1)イ.複数の項目のそれぞれに対応する番組説明情報を取得」で述べたように「番組説明情報」が放送信号(VBI)から取得されることは、本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載されているということができる。取得される「番組説明情報」が番組の説明であることから、どの番組の説明であるか区別されなければならないことは自明であり、その区別をどのようにして行うかは、特別記載が無くとも、その区別を付けられる情報を付加するなど、当業者にあっては容易に実現できることといえる。 そうすると、「番組説明情報」を、なぜ表示できるのか不明ということはできない。
よって、無効理由1 キ.については理由がないというべきである。

(8)無効理由1 ク.について
本件特許明細書には、カーソルを用いてモニタースクリーン上に配置されているセルを選択することが記載されており、モニタースクリーン上に配置されているセルが選択されたものであることを認識できる以上、カーソルの位置に基づいて選択されたセルが配置されている該モニタースクリーン上の領域が検出でき、同時に、「選択されたセルが配置されている該モニタースクリーン上の領域とは異なる該モニタースクリーン上の領域」を認識できるといえるから、「選択されたセルが配置されている該モニタースクリーン上の領域とは異なる該モニタースクリーン上の領域」を、どのように検出するのか、発明の詳細な説明を参酌しても不明ということはできない。
よって、無効理由1(ク)については理由がないというべきである。

(9)無効理由1についてのまとめ
以上のようであって、無効理由1 ア.乃至ク.は、いずれも理由がなく、請求人が主張する無効理由1については理由がないというべきである。

2.無効理由2(進歩性欠如)について
(1)無効理由2 ア.について
ア.本件特許発明1について
(ア)本件特許発明1
構成A?Eに分説した本件特許発明1を以下に再掲する。

【請求項1】(本件特許発明1)
A:テレビジョン番組表に関する情報を提供する方法であって、
該方法は、
B:受信機の外部にある放送装置から受信機が受信した放送信号から、テレビジョン番組表に含まれる複数の項目のそれぞれに対応するタイトル情報と、該複数の項目のそれぞれに対応する番組説明情報とを取得するステップと、
C:時間およびチャンネルの番組ガイドの形式で該テレビジョン番組表に含まれる複数の項目のうちの少なくともいくつかの項目をモニタースクリーンに表示するステップであって、該番組ガイドは、複数のセルを含み、該複数のセルのそれぞれは、該少なくともいくつかの項目のうちの1つに関連付けられている、ステップと、
D:該モニタースクリーン上でカーソルを移動することにより、該複数のセルのうちの1つを選択するステップと、
E:該選択されたセルに関連付けられている該項目に対応する該タイトル情報が、該選択されたセル内に表示されている一方で、該選択されたセルに関連付けられている該項目に対応する該番組説明情報を、該選択されたセルが配置されている該モニタースクリーン上の領域とは異なる該モニタースクリーン上の領域に表示するステップと
を包含する、方法。

(イ)甲第1号証(特開平1-209399号公報)
本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第1号証(特開平1-209399号公報)(以下、「甲1」ともいう)には、図面と共に次の記載がある。

(甲1の記載)
「〔実施例〕
以下、本発明による情報処理システムの一実施例を図面により詳細に説明する。
第1図は本発明の一実施例の機器構成を示すブロック図、第2図は予め提供されるスケジュールの記録媒体内での論理フォーマットを説明する図、第3図は表示画面を示す図である。第1図?第3図において、1はデイスプレィ装置、2はVTR装置、3はVTR制御部、4は予約制御部、5は操作パネル、6はフロッピーディスク装置、7はテレビ信号ケーブル、7′はRGB信号ケーブル、8は日付フィールド、8′は曜日フィールド、9-1,9-2はチャンネルフィールド、10-1,10-2は時間フィールド、11-1,11-2は番組フィールド、12は日付エリア、13-1,13-2はチャンネルエリア、14は時間エリア、15は番組エリア、16はカーソル移動キー、17はモード切換スイッチ、18は設定スイッチ、19はテンキーである。
定められたスケジュールに従って提供される情報を処理する情報処理の形態は、例えば、気象衛星から定期的に送信されてくる気象情報の受信処理、VTRによるテレビ放送の録画予約の処理等があるが、本発明の実施例は、本発明をテレビ放送の録画予約の処理に適用したものとして説明する。
本発明が適用されたVTRにおけるテレビ放送の録画予約の処理システムは、第1図に示すように、VTR制御部3、予約制御部4、操作パネル5及びフロッピーディスク(以下FDという)装置6を有するVTR装置2と、デイスプレイ装置1とにより構成され、操作パネル5は、カーソル移動キー16、モード切換スイッチ17、設定スイッチ18及びテンキー19等を備えて構成されている。
第1図に示すシステムにおいて、デイスプレイ装置1は、テレビ信号ケーブル7とRGB信号ケーブル7′とによりVTR装置2と接続されており、VTR装置2における画像再生時に、VTR制御部3から出力される画像信号は、テレビ信号ケーブル7を通ってデイスプレイ装置1に送られて表示される。これを以下VTRモードと呼ぶこととする。VTR制御部3は、VTRの基本機能である録画、再生機能、1週間分の番組の録画予約機能を含んでおり、録画開始、終了の日時と、そのチャンネル情報とは、予約制御部4からセットされるものとする。予約制御部4は、1週間分のテレビ放送のスケジュールが記録されたFDの内容をFD装置6から読出して、その内容をRGB信号ケーブル7′を介してデイスプレイ装置1に表示する。操作者が、この表示を目視しながら操作パネル5の操作により録画したい番組を選択すると、予約制御部4は、その番組の録画開始、終了の夫々の日時と、そのチャンネル情報をVTR制御部3に登録する。これを予約モードと呼ぶこととする。VTRモードと予約モードとの切換えは、モード切換スイッチ17により行われる。
FD装置6にセットされるFDは、予め提供される1週間分の放送スケジュールを記録しており、このFDに記録されている放送スケジュールの内容を示すデータの論理フォーマットが第2図に示されている。1日分のデータは、日付フィールド8、曜日フィールド8′に続き、各チャンネル毎に、時間フィールドと番組フィールドとにより記録されている。1チャンネル分のフォーマットは、第2図の例では、まず、チャンネルフィールド9-1により1CHの番組であることが示された後、このフィールドに引続いて、時間フィールド10-1と番組フィールド11-1との対のフィールドが、1日分の番組の数だけ設けられて、番組スケジュールを示すように構成されている。次に、第2チヤンネルの1日分のスケジュールが、チャンネルフィールド9-2に引続き、時間フィールド10-2と番組フィールド11-2との組が1日分の番組の数だけ設けられて示される。FD内には、番組を提供している全てのチャンネルについて、その一週間分の番組が順次前述と同様にフォーマットされたスケジュールとして記録されている。
前述のフォーマットにおいて、時間フィールド10-1,10-2には、対応する番組フィールド11-1,11-2で示される番組の開始及び終了時刻が記録されており、番組フィールド11-1,11-2には、一般的には番組名称と、必要に応じてその番組の概要が記録されている。
次に、第2図に示すようなフォーマットでスケジュールを記録しているFDを用いて録画予約を行おうとする場合の動作を説明する。この動作例は、9月20日、日曜日の19時?20時に、第1チヤンネルのニュースA、同日の20時?22時に第2チヤンネルの映画Aの録画予約を行うものとして説明する。
まず、モード切換スイッチ17を操作することにより、第1図に示すシステムを予約モードとし、テンキー19より「0920」と日付の入力を行う。これにより、デイスプレイ装置1には、9月20日の番組表が表示される。この表示を目視しながらカーソル移動キー16を操作し、カーソルをデイスプレイ装置1上の画面の最上端あるいは最下端に移動させると、時間スクロールが行われ、画面上には、異なる時間帯の番組が次々と表示され、また、カーソルを最左端あるいは最右端に移動させると、チャンネルスクロールが行われ、画面上には、他チャンネルの番組が表示される。
第3図には、このようにして表示された画面の一例が示されており、FD内の日付フィールド8、曜日フィールド8′の情報は、日付エリア12に、チャンネルフィールド9-1,9-2の情報は、チャンネルエリア13-1,13-2に夫々表示され、番組フィールド11-1,11-2の情報は、時間フィールド10-1,10-2を表示する時間エリア14に対応した番組エリア15に夫々表示される。第3図に示す例では、19時?23時における第1チヤンネルと第2チヤンネルの番組表が表示されている。
録画予約を行おうとする操作者は、この表示画面の中に所望する番組を見付け出すと、カーソル移動キー16を操作して、カーソルを所望の番組に移動させる。カーソルは、その番組を表示しているエリア全体の色を変える等により、その番組を選択していることを示すものであり、第3図では、カーソルは斜線で表わされていて、ニュースAが選択された状態を示している。この状態で、設定スイッチ18を操作すると、予約制御部4は、ニュースAを録画するために必要な、FD内の日付フィールド8、曜日フィールド8′、チャンネルフィールド9-1、時間フィールド10-1の情報をVTR制御部3内にセットし、ニュースAの録画予約が完了する。次に、カーソル移動キー16を操作してカーソルを第3図の映画Aに移動し、設定スイッチ18を操作すれば、前述と同様にして映画Aの録画予約が完了する。
前述の実施例は、1画面に2つのチャンネルの番組表を表示できるようにしたが、表示されるチャンネル数は、さらに多くてもよい。また、例えば、1個のチャンネルのみとして、表示できる時間帯を多くしてもよい。
また、前述の実施例は、番組のスケジュールがフロッピーディスク等の記録媒体により提供されるとしたが、番組の情報が通信手段を介して直接VTR装置に提供されるようにしてもよい。
前述した本発明の実施例によれば、提供されるテレビ放送番組のスケジュールを画面上に表示しながら、表示画面上で所望する番組を選択するのみで、番組の録画予約を行うことができるので、簡単な操作で、確実な録画予約を行うことができる。」(第2頁右上欄第14行?第4頁左上欄第16行)
(甲1の記載、以上)

上記記載によると、
まず、
「本発明の実施例は、本発明をテレビ放送の録画予約の処理に適用したものとして説明する。」(第2頁左下欄第16?18行)
「予約制御部4は、1週間分のテレビ放送のスケジュールが記録されたFDの内容をFD装置6から読出して、その内容をRGB信号ケーブル7′を介してデイスプレィ装置1に表示する。操作者が、この表示を目視しながら操作パネル5の操作により録画したい番組を選択する・・」(第2頁右下欄第18行?第3頁左上欄第3行)
「第3図には、このようにして表示された画面の一例が示されており、・・・19時?23時における第1チヤンネルと第2チヤンネルの番組表が表示されている。」(第3頁左下欄第15行?右下欄第4行)
とあることから、
甲1には、
テレビ放送の番組表を表示する技術が記載されている。

次に、
「予約制御部4は、1週間分のテレビ放送のスケジュールが記録されたFDの内容をFD装置6から読出して、その内容をRGB信号ケーブル7′を介してデイスプレィ装置1に表示する。」(第2頁右下欄第18行?第3頁左上欄第2行)
「このFDに記録されている放送スケジュールの内容を示すデータの論理フォーマットが第2図に示されている。」(第3頁左上欄第11?13行)
「チャンネルフィールド9-1により1CHの番組であることが示された後、このフィールドに引続いて、時間フィールド10-1と番組フィールド11-1との対のフィールドが、1日分の番組の数だけ設けられて、番組スケジュールを示すように構成されている。」(第3頁左上欄第17行?右上欄第2行)
「時間フィールド10-1,10-2には、対応する番組フィールド11-1,11-2で示される番組の開始及び終了時刻が記録されており、番組フィールド11-1,11-2には、一般的には番組名称と、必要に応じてその番組の概要が記録されている。」(第3頁右上欄第10?15行)
「番組のスケジュールがフロッピーディスク等の記録媒体により提供されるとしたが、番組の情報が通信手段を介して直接VTR装置に提供されるようにしてもよい。」(第4頁左上欄第7?10行)
とあることから、
甲1記載のテレビ放送の番組表を表示する技術は、番組の数だけ設けられる番組フィールドに一般的には番組名称と、必要に応じてその番組の概要が記録されている論理フォーマットの放送スケジュールの内容を示すデータを通信手段を介して提供されることが記載されている。

次に、
「第3図には、このようにして表示された画面の一例が示されており、・・・チャンネルフィールド9-1,9-2の情報は、チャンネルエリア13-1,13-2に夫々表示され、番組フィールド11-1,11-2の情報は、時間フィールド10-1,10-2を表示する時間エリア14に対応した番組エリア15に夫々表示される。第3図に示す例では、19時?23時における第1チヤンネルと第2チヤンネルの番組表が表示されている。」(第3頁左下欄第15行?右下欄第4行)
とあり、
第3図には、左側に時間エリア14、上側にチャンネルエリア13-1,13-2、時間エリア14とチャンネルエリア13-1,13-2とで囲まれた位置に番組エリア15が区画されて表示される様子が図示されていることから、
甲1記載のテレビ放送の番組表を表示する技術は、時間フィールドを表示する時間エリアとチャンネルフィールドの情報が表示されるチャンネルエリアとで囲まれた位置に番組フィールドの情報が表示される番組エリア15が区画されて表示されるものであることが記載されている。

次に、
「録画予約を行おうとする操作者は、この表示画面の中に所望する番組を見付け出すと、カーソル移動キー16を操作して、カーソルを所望の番組に移動させる。カーソルは、その番組を表示しているエリア全体の色を変える等により、その番組を選択していることを示すものであり、第3図では、カーソルは斜線で表わされていて、ニュースAが選択された状態を示している。」(第3頁右下欄第5?12行)
ことから、
甲1記載のテレビ放送の番組表を表示する技術は、表示画面の中でカーソルを移動させ、番組を表示しているエリアを選択して番組を選択するものであることが記載されている。

このような、甲1記載のテレビ放送の番組表を表示する技術は、テレビ放送の番組表を表示する方法としても認識できる。

これらのことから、甲1には次の発明(以下、「甲1発明」ともいう)が記載されている。

(甲1発明)
番組の数だけ設けられる番組フィールドに一般的には番組名称と、必要に応じてその番組の概要が記録されている論理フォーマットの放送スケジュールの内容を示すデータを通信手段を介して提供され、
時間フィールドを表示する時間エリアとチャンネルフィールドの情報が表示されるチャンネルエリアとで囲まれた位置に番組フィールドの情報が表示される番組エリアが区画されて表示され、
表示画面の中でカーソルを移動させ、番組を表示しているエリアを選択して番組を選択する、
テレビ放送の番組表を表示する方法。

(ウ)対比
本件特許発明1と甲1発明とを対比する。
a.構成A「テレビジョン番組表に関する情報を提供する方法」
甲1発明は、「テレビ放送の番組表を表示する方法」であり、「テレビ放送の番組表」に関する情報を提供するといえるから、本件特許発明1と甲1発明とは、「テレビジョン番組表に関する情報を提供する方法」である点で一致する。

b.構成B「受信機の外部にある放送装置から受信機が受信した放送信号から、テレビジョン番組表に含まれる複数の項目のそれぞれに対応するタイトル情報と、該複数の項目のそれぞれに対応する番組説明情報とを取得するステップ」

(a)「テレビジョン番組表に含まれる複数の項目のそれぞれに対応するタイトル情報と、該複数の項目のそれぞれに対応する番組説明情報」

甲1発明は、「番組の数だけ設けられる番組フィールドに一般的には番組名称と、必要に応じてその番組の概要が記録されている論理フォーマットの放送スケジュールの内容を示すデータを通信手段を介して提供され」るものであり、論理フォーマットの番組の数だけ設けられる番組フィールドに「番組名称」と「番組の概要」が記録されているから、「番組名称」と「番組の概要」は、番組のそれぞれに対応しているといえる。
本件特許発明1の「項目」は、上記「第4 1.(1)ア.(イ)テレビジョン番組表に含まれる複数の項目」で述べたように「番組」の概念であるところ、「番組名称」は番組の名称であるから「タイトル」ということもでき、「番組の概要」は、番組の概要であるから番組を説明するということもできるから、甲1発明の「番組名称」は本件特許発明1の「タイトル情報」に相当し、「番組の概要」は、本件特許発明1の「番組説明情報」に相当するといえる。そして、それらは番組のそれぞれに対応しているから、「テレビジョン番組表に含まれる複数の項目のそれぞれに対応する」といえる。
そうすると、甲1発明は本件特許発明1の「テレビジョン番組表に含まれる複数の項目のそれぞれに対応するタイトル情報と、該複数の項目のそれぞれに対応する番組説明情報」を有するといえる。

(b)「受信機の外部にある放送装置から受信機が受信した放送信号から」(タイトル情報と番組説明情報とを)「取得するステップ」

甲1発明は、「番組名称」と「番組の概要」とを「通信手段を介して提供され」る。「通信手段を介」するのであるから、当然に通信における送受信がなされるものであり、当然に受信機の存在が認められる。そして、これも当然に受信機の外部にある送信装置からの送信信号を受信するものといえる。
そうすると、甲1発明は「番組名称」と「番組の概要」とを「受信機の外部にある送信装置から受信機が受信した送信信号から」取得するということができ、このことは、本件特許発明1の「受信機の外部にある放送装置から受信機が受信した放送信号から」(タイトル情報と番組説明情報とを)「取得するステップ」に対応するということができる。
もっとも、このタイトル情報と番組説明情報とを取得する手法が、本件特許発明1では「放送」を用いたものであって、送信装置として「放送装置」、送信信号として「放送信号」であることに対し、甲1発明では「通信」であって「送信装置」「送信信号」ある点で相違する。

請求人は、上記「放送」に関する相違を一致するとも主張する。
しかしながら、本件特許発明1の「放送信号」は、タイトル情報等がVBIに含まれてはいるものの、本来、番組の映像・音声を放送するための放送信号であって、タイトル情報等を放送することを本来の目的としない信号であることは明らかであり、本件特許発明1は、番組の映像・音声を送る信号にタイトル情報等を含ませているものと解釈すべきものであるところ、
甲1では「番組のスケジュールがフロッピーディスク等の記録媒体により提供されるとしたが、番組の情報が通信手段を介して直接VTR装置に提供されるようにしてもよい。」(第4頁左上欄第7?10行)とされるように、通信手段の通信は「フロッピーディスク等の記録媒体により提供される」ことに代えて「番組の情報」(番組のスケジュール)を通信するためのものであって、フロッピーディスク等の記録媒体に番組自体が入っていないから、甲1の通信手段の通信は専ら「番組の情報」(番組のスケジュール)を通信するためのものといえ、番組の映像・音声を送信する信号に「番組の情報」(番組のスケジュール)を含ませる技術が記載されているとはいえない。
したがって、請求人の上記主張は失当である。

(c)構成Bのまとめ
上記のようであるから、本件特許発明1と甲1発明とは「受信機の外部にある送信装置から受信機が受信した送信信号から、テレビジョン番組表に含まれる複数の項目のそれぞれに対応するタイトル情報と、該複数の項目のそれぞれに対応する番組説明情報とを取得するステップ」という点で一致し、
タイトル情報と番組説明情報とを取得する手法が、本件特許発明1では「放送」を用いたものであって、装置として「放送装置」、信号として「放送信号」であることに対し、甲1発明では「通信」であって「送信装置」「送信信号」ある点で相違する。

c.構成C「時間およびチャンネルの番組ガイドの形式で該テレビジョン番組表に含まれる複数の項目のうちの少なくともいくつかの項目をモニタースクリーンに表示するステップであって、該番組ガイドは、複数のセルを含み、該複数のセルのそれぞれは、該少なくともいくつかの項目のうちの1つに関連付けられている、ステップ」

甲1発明は「時間フィールドを表示する時間エリアとチャンネルフィールドの情報が表示されるチャンネルエリアとで囲まれた位置に番組フィールドの情報が表示される番組エリアが区画されて表示され」るものであり、図3をみても、番組エリアで表示される番組がどの時間にどのチャンネルで放送されるかが分かるようにされているから、本件特許発明1の「時間およびチャンネルの番組ガイドの形式で該テレビジョン番組表に含まれる複数の項目のうちの少なくともいくつかの項目をモニタースクリーンに表示するステップ」に相当する構成を有しているといえる。
そして、甲1発明の「番組エリア」は、図3を見ても分かるように複数、区画されて表示されており、それぞれが番組に対応し「カーソルを移動させ、番組を表示しているエリアを選択して番組を選択する」から、甲1発明は本件特許発明1の「該番組ガイドは、複数のセルを含み、該複数のセルのそれぞれは、該少なくともいくつかの項目のうちの1つに関連付けられている、ステップ」を有しているといえる。
したがって、本件特許発明1と甲1発明とは、「時間およびチャンネルの番組ガイドの形式で該テレビジョン番組表に含まれる複数の項目のうちの少なくともいくつかの項目をモニタースクリーンに表示するステップであって、該番組ガイドは、複数のセルを含み、該複数のセルのそれぞれは、該少なくともいくつかの項目のうちの1つに関連付けられている、ステップ」で一致する。

d.構成D「該モニタースクリーン上でカーソルを移動することにより、該複数のセルのうちの1つを選択するステップ」
甲1発明は「表示画面の中でカーソルを移動させ、番組を表示しているエリアを選択して番組を選択する」ものであり、本件特許発明1の「該モニタースクリーン上でカーソルを移動することにより、該複数のセルのうちの1つを選択するステップ」を有するといえる。

e.構成E「該選択されたセルに関連付けられている該項目に対応する該タイトル情報が、該選択されたセル内に表示されている一方で、該選択されたセルに関連付けられている該項目に対応する該番組説明情報を、該選択されたセルが配置されている該モニタースクリーン上の領域とは異なる該モニタースクリーン上の領域に表示するステップ」

甲1発明は「時間フィールドを表示する時間エリアとチャンネルフィールドの情報が表示されるチャンネルエリアとで囲まれた位置に番組フィールドの情報が表示される番組エリアが区画されて表示され」、「番組フィールドに一般的には番組名称と、必要に応じてその番組の概要が記録されている」から、番組エリアには「番組フィールド」に記録されている「一般的には番組名称と、必要に応じてその番組の概要が」表示される。そして、甲1発明は「表示画面の中でカーソルを移動させ、番組を表示しているエリアを選択して番組を選択する」から、「一般的には番組名称と、必要に応じてその番組の概要が」表示される番組エリアを選択する。
そうすると、甲1発明は、「該選択されたセルに関連付けられている該項目に対応する該タイトル情報と選択されたセルに関連付けられている該項目に対応する該番組説明情報とが、該選択されたセル内に表示されている」ということはできるが、選択されていないセルにも番組説明情報が表示されており、本件特許発明1の「該選択されたセルに関連付けられている該項目に対応する該番組説明情報を、該選択されたセルが配置されている該モニタースクリーン上の領域とは異なる該モニタースクリーン上の領域に表示する」構成を有していない。
よって、本件特許発明1と甲1発明とは「該選択されたセルに関連付けられている該項目に対応する該タイトル情報が、該選択されたセル内に表示されている」、そして、「該選択されたセルに関連付けられている該項目に対応する該番組説明情報を」表示することで一致するが、
その「番組説明情報」の表示態様が、本件特許発明1では「該選択されたセルが配置されている該モニタースクリーン上の領域とは異なる該モニタースクリーン上の領域に表示する」であることに対し、甲1発明では「該選択されたセル内に表示され」、「選択されていないセルにも番組説明情報が表示され」る点で相違する。

(エ)一致点、相違点
以上対比によると、本件特許発明1と甲1発明との一致点、相違点は次のとおりである。

[一致点]
テレビジョン番組表に関する情報を提供する方法であって、
受信機の外部にある送信装置から受信機が受信した送信信号から、テレビジョン番組表に含まれる複数の項目のそれぞれに対応するタイトル情報と、該複数の項目のそれぞれに対応する番組説明情報とを取得するステップと、
時間およびチャンネルの番組ガイドの形式で該テレビジョン番組表に含まれる複数の項目のうちの少なくともいくつかの項目をモニタースクリーンに表示するステップであって、該番組ガイドは、複数のセルを含み、該複数のセルのそれぞれは、該少なくともいくつかの項目のうちの1つに関連付けられている、ステップと、
該モニタースクリーン上でカーソルを移動することにより、該複数のセルのうちの1つを選択するステップと、
該選択されたセルに関連付けられている該項目に対応する該タイトル情報が、該選択されたセル内に表示され、
該選択されたセルに関連付けられている該項目に対応する該番組説明情報を表示するステップと、
を包含する、方法

[相違点1]
タイトル情報と番組説明情報とを取得する手法が、本件特許発明1では「放送」を用いたものであって、装置として「放送装置」、信号として「放送信号」であることに対し、甲1発明では「通信」であって「送信装置」「送信信号」ある点。

[相違点2]
「番組説明情報」の表示態様が、本件特許発明1では「該選択されたセルが配置されている該モニタースクリーン上の領域とは異なる該モニタースクリーン上の領域に表示する」であることに対し、甲1発明では「該選択されたセル内に表示され」、「選択されていないセルにも番組説明情報が表示され」る点。

(オ)相違点の判断
a.[相違点1]の判断
(a)甲第2号証
本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第2号証(特開平2-189753号公報)(以下、「甲2」ともいう)には、図面と共に次の記載がある。
(甲2の記載)
「3.発明の詳細な説明
(イ) 産業上の利用分野
本発明は、テレテキスト放送が受信可能なビデオテープレコーダ(VTR)に関し、特にテレテキストデータに含まれる放送予定番組の放送開始時刻、番組タイトル等を示す複数種の文字データを取り込むことが可能なビデオテープレコーダの番組予約方法に関するものである。
(ロ) 従来の技術
従来、VTRで録画予約を行う場合は、録画開始時刻、終了時刻、チャンネル番号などの項目を一つずつキー操作によって入力して行かなければならなかった。このため、録画予約のためのキー操作の回数が多くなり操作手順が複雑になってしまったり、誤入力により希望する放送番組が録画できなくなってしまうという事態を招来していた。ところで、近年放送局によっては、テレテキスト放送の一部として放送予定番組の放送開始時刻、番組タイトル等の情報(番組表)を送っており、この番組表を利用して録画する方法が例えば西ドイツ公開特許明細書第333508号に提案されている。
これは、第4図の如く放送局から送られてくる放送予定番組の放送開始時刻やタイトルが書かれた番組表がデイスプレィの画面(100)上に表示され、ユーザはこの表示を見ながら、所望する予約番組をカーソル(200)で指定することにより、録画予約に必要なデータをとりだして番組予約するものであり、これによって番組予約に要するキー操作の回数を大幅に滅らすことが出来、更に番組表を画面に表示することにより、番組のタイトルを見て録画予約することができるので、誤入力を少なくすることができる。
(ハ) 発明が解決しようとする課題
ところで、放送局から送られてくる番組表の受信機側における表示態様は第4図に示されるように「12:00 NEWS」、「12:15 MUSIC SHOW」の如く簡略化された形または放送局独自のフォーマットで表示されるものであり、例えば図示の如くカーソル(2)で 「12:00 NEWS」を指定して録画予約キーを押圧しても、12時から始まるニュースを予約されることはユーザに分かるが、更に詳細な予約データ(録画予約日付、チャンネル、録画開始及び終了時刻)等の情報を表示画面から知り得る事ができず、極めて不便であった。
そこで、本発明はかかる欠点を解決しようとするものである。
(ニ) 課題を解決するための手段
本発明の番組予約方法は上記課題を解決すべくテレビジョン映像信号の垂直ブランキング期間に重畳されたテレテキスト信号に含まれる放送予定番組の番組表及びこの番組表の各項目に対応する番組予約データを取り込むようにしたビデオテープレコーダにおいて、
画面上に表示される前記番組表の項目を選択したとき、その選択された項目に対応する番組予約データを前記番組表の表示画面と同一画面に文字によって表示させるようにした。
(ホ) 作用
上記手段によれば、カーソル等で画面上において選択された番組表の項目に対応した番組予約データを文字として確認できる。
(へ) 実施例
以下、本発明の一実施例を第1図乃至第3図を参照しつつ説明する。
第1図は本発明を実施したVTRの概略ブロック図を示しており、アンテナ(1)で捕らえられた放送信号はチューナ(2)で受信選択され、映像中間周波数及び検波回路[IF・DET](3)を介して映像信号処理回路(4)によって信号処理された表示切換回路(5)に供給される。この表示切換回路(5)はマイクロコンピュータにより構成されるテレテキスト制御部(6)からの切換信号(a)によって、前記映像信号処理回路(4)からのビデオ信号(b)またはキャラクタジェネレータ(7)からの文字信号(c)を選択し、出力するようになっている。
一方、IF・DET(3)から得られるビデオ信号のうち垂直帰線期間に多重されたテレテキスト信号は、テレテキスト信号抜取回路(8)によって抽出されて、ページ選択回路(9)に供給される。このページ選択回路(9)はテレテキスト制御部(6)から指示されたページ番号のデータだけを抜き出して画面メモリ(10)に供給する。画面メモリ(10)は前記ページ選択回路(9)で選択された特定のページ番号の画面データを、テレテキスト制御部(6)からの制御信号に従って書込む。前記画面メモリ(10)に書込まれたデータはテレテキスト制御部(6)からの制御信号に従って読み出された後、キャラクタジェネレータ(7)により文字信号に変換される。
このように、テレテキスト制御部(6)は上記のようにページ選択回路(9)と表示切換回路(5)に命令を送ることによりテレビ画面及びテレテキスト画面の表示制御を行う他、直接画面メモリ(10)にデータを書き込んで任意の文字を表示することもできる。
(11)はキー入力部であって、このキー入力部(11)をユーザが操作することにより、テレテキスト制御部(6)はそのキー操作に応じた処理を行う。又、ワークメモリ(12)は、テレテキスト制御部(6)が番組予約処理などを行うときに使用される。
テレテキスト制御部(6)による番組予約録画について述べると、ユーザのキー入力部(11)の操作により、デイスプレィ上に、テレテキストの所定番号のページの画面を表示し、カーソルを移動せしめて所望する番組を選択後、録画予約キーを押すと、その選択された番組に対応する番組予約データを予約データメモリ(19)に書込む。予約データメモリ(19)に書き込まれた予約データは、マイクロコンピュータから構成されたタイマー予約制御部(13)により読出される。IF・DET(3)から得られるビデオ信号のうち垂直帰線期間に多重されたVPS(Video Program System )信号はVPS信号抜取回路(14)で抽出されてタイマー予約制御部(13)に供給され、又、時計回路(15)からの時刻データがタイマー予約制御部(13)に与えられる。前記タイマー予約制御部(13)は前記時刻データまたは、VPS信号が存在する場合はVPS信号と前記予約データを比較し、両データが一致したとき、選局回路(16)を制御してチューナ(2)により所定のTV番組を選局すると共に、システムコントローラ(17)に録画命令を送る。システムコントローラ(17)は、前記録画命令を受けると録画回路(18)を制御し、録画が開始される。そして、録画終了時刻になって、録画が終了すると予約データメモリ(19)に書込まれている番組予約データは消去されるようになっている。
次に、第1図とともに第2図及び第3図を参照しつつ、テレテキスト放送で送られてくる番組録画予約におけるテレテキスト制御部(6)の動作を更に詳細に説明する。
まず、ユーザが図示しない番組予約表示キーを押してテレテキスト画面のページを選択すると、その選択されたページの画面のデータが画面メモリ(10)に取込まれるが、テレテキスト制御部(6)はまずこの所定のページの画面データが完全に取込まれたかどうかの判断を行う(ステップ○1)。画面データの画面メモリ(10)への取込みが完了すると、制御部(6)は前記画面データを読込み(ステップ○2)解析して録画予約データ[Pos.(チャンネルポジション)、Date(日付)、Start(録画開始時刻)、Stop(録画終了時刻)]を抜きだし、ワークメモリ(12)に書込む(ステップ○3)。
前記選択されたページ一画面分の予約データがワークメモリ(12)に書き込まれると、制御部(6)はワークメモリ(12)に書込まれた一番初めの番組予約データを文字データとして画面メモリ(10)に書込むことにより番組表(第2図(A))とともに該番組表が表示された画面と同一の画面(100)に番組予約データの内容(第2図(B))を表示する。この時、番組表(第2図(A))に於て、表示された番組予約データに対応する番組表の項目の位置にカーソル(20)を表示し、これによりユーザに現在選択されている番組とその番組予約データとを対応づけて知らせる[ステップ○5]。
ここで、テレテキスト制御部(6)はキー人力部(11)からの次のキー入力を待つ[ステップ○6]。
次に入力されたキーがステップ○7でカーソル移動のキーであると判断されると、該カーソル(20)の移動によって指定される番組の項目(例えば「12:15 MUSIC SHOW」)に対応する番組予約データをワークメモリ(12)から読みだし、画面メモリ(10)に文字データとして書込むことにより、その番組予約データを第2図に示す画面の領域(B)に表示する[ステップ○8]とともに、ステップ○9でその領域(B)に表示された番組予約データに対応する上記項目(「12:15 MUSIC SHOW」)の位置にカーソル(20)を表示する。
ステップ○7でキー入力がカーソル移動のキーでないと判断されると、ステップ○10で予約実行キーによる入力かどうかの判断がなされ、予約実行キーによるキー入力であると判断されると、カーソル(20)で指定されている番組の項目の番組予約データ、即ち、画面の領域(B)に表示されている番組予約データを予約データにメモリに(19)に書込み(ステップ )、終了する。
番組予約データが予約データメモリ(19)に書込まれた後の動作は既に説明した通りであり、上述の一連の動作により、テレテキスト放送による番組予約録画が行われる。
(ト) 発明の効果
本発明によれば、テレテキスト放送で送られてくる番組表の項目を指定する毎に、その項目に対応した番組予約データを画面上において文字で確認できるという効果がある。」(第1頁左下欄第14行?第4頁左上欄第1行)
(甲2の記載、以上)

上記記載によると、
「近年放送局によっては、テレテキスト放送の一部として放送予定番組の放送開始時刻、番組タイトル等の情報(番組表)を送っており、この番組表を利用して録画する方法が例えば西ドイツ公開特許明細書第333508号に提案されている。」(第1頁右下欄第10?15行)
「テレビジョン映像信号の垂直ブランキング期間に重畳されたテレテキスト信号に含まれる放送予定番組の番組表及びこの番組表の各項目に対応する番組予約データを取り込むようにしたビデオテープレコーダにおいて、
画面上に表示される前記番組表の項目を選択したとき、その選択された項目に対応する番組予約データを前記番組表の表示画面と同一画面に文字によって表示させる」(第2頁右上欄第3?11行)
ことから、
甲2には、
ビデオテープレコーダの番組録画予約のために、テレビジョン映像信号の垂直ブランキング期間に重畳されたテレテキスト信号に、放送予定番組の番組表及びこの番組表の各項目に対応する番組予約データを含ませて放送局から送り、番組表を表示する技術が記載されている。

(b)甲1発明への採用
甲1において、甲1発明はVTRにおけるテレビ放送の録画予約において番組表を表示する発明であるところ、甲2記載の上記技術は、ビデオテープレコーダの番組録画予約のために番組表を表示する技術であり、甲1発明において番組表に関する情報である「番組名称」と「番組の概要」(本件特許発明1のタイトル情報と番組説明情報に相当)とを通信で送る場合、甲2の技術において放送で番組表を送る技術を採用することは当業者が容易に想到できることということができる。
そうすると、甲1発明において、タイトル情報と番組説明情報とを取得する手法として、「通信」を「放送」とし、「送信装置」「送信信号」を「放送装置」「放送信号」とすること、すなわち、本件特許発明1の上記相違点1に係る構成とすることは、当業者が容易に想到できることといえる。

b.[相違点2]の判断
(a)表示に関する一般的な技術課題
何らかの表示を行う場合、ディスプレイや紙面などの表示媒体には表示を行う面積に限界があり、表示しようとする情報の全てを同時に表示することができず、表示態様を工夫する必要があることは、表示に関して一般的な技術課題といえる。このことは、後述するように、甲1の記載からも伺うことができる。

(b)番組表提示に関する一般的な事項
新聞のテレビ・ラジオ欄や放送スケジュール雑誌などでは、チャンネルと時間帯とで番組を一覧する番組表と、番組表の大きさや文字サイズを考慮して番組表内には書ききれない番組の更に詳しい説明を、番組表とは異なる場所に表示することが日常一般に行われている。

(c)ディスプレイ表示における周知技術
ディスプレイ上でカーソルを用い、「カーソルで選択された項目に応じた情報を、選択された項目が配置された領域と異なる領域に表示する」ことは、周知技術である。
(甲第3号証(特開昭62-49528号公報)、
甲第4号証(特開昭63-247812号公報)、
甲第5号証(特開昭63-276069号公報)参照。)

(d)甲2の記載
甲2には、上記第4 2.(1)ア.(オ)a.(a)甲第2号証の記載があり、
「番組表(第2図(A))とともに該番組表が表示された画面と同一の画面(100)に番組予約データの内容(第2図(B))を表示する。」(第3頁左下欄第4?7行)
「該カーソル(20)の移動によって指定される番組の項目・・・に対応する番組予約データを・・・第2図に示す画面の領域(B)に表示する」(第3頁左下欄第15行?右下欄第1行)
ことから、
甲2には、番組表(第2図(A))でカーソルで指定される番組の項目に対応する番組予約データを、番組表の番組の表示個所とは異なる位置(第2図(B))に表示することが記載されており、甲2には番組表において上記周知技術を採用することが記載されている、ということができる。

(e)甲1発明への採用
甲1発明は、「番組説明情報」を「該選択されたセル内に表示されている」ということができるものであるところ、甲1には、上記第4 2.(1)ア.(イ)甲第1号証の記載があって、
「カーソルをデイスプレイ装置1上の画面の最上端あるいは最下端に移動させると、時間スクロールが行われ、画面上には、異なる時間帯の番組が次々と表示され、また、カーソルを最左端あるいは最右端に移動させると、チャンネルスクロールが行われ、画面上には、他チャンネルの番組が表示される。」(第3頁左下欄第8?14行)
「第3図には、このようにして表示された画面の一例が示されており、FD内の日付フィールド8、曜日フィールド8′の情報は、日付エリア12に、チャンネルフィールド9-1,9-2の情報は、チャンネルエリア13-1,13-2に夫々表示され、番組フィールド11-1,11-2の情報は、時間フィールド10-1,10-2を表示する時間エリア14に対応した番組エリア15に夫々表示される。第3図に示す例では、19時?23時における第1チヤンネルと第2チヤンネルの番組表が表示されている。」(第3頁左下欄第15行?右下欄第4行)
「前述の実施例は、1画面に2つのチャンネルの番組表を表示できるようにしたが、表示されるチャンネル数は、さらに多くてもよい。また、例えば、1個のチャンネルのみとして、表示できる時間帯を多くしてもよい。」(第4頁左上欄第2?6行)
とあるように、表示されない他チャンネルの番組をスクロールによって表示すること、表示されるチャンネル数を多くすること、また、1個のチャンネルのみとして、表示できる時間帯を多くすることが記載されており、、甲1には、甲1発明に、番組表の表示にあたって、上記表示に関する一般的な技術課題、すなわち、表示態様を工夫するという技術課題が存在することを示唆する記載があるといえる。
また、上記番組表提示に関する一般的な事項からみて、甲1の番組表の提示形態として、番組エリア内に必要に応じて表示される番組の説明に相当する「番組の概要」を番組表とは異なる場所に表示しようとすることは、甲1発明の表示態様を工夫する手法として、当業者であれば、容易に想到できることであり、その手段として、上記甲2記載のように番組表においても採用されるものであるところの上記ディスプレイ表示における周知技術を採用して、甲1発明でカーソルを移動させて選択する番組の「番組の概要」を「選択された項目が配置された領域と異なる領域に表示する」こと、すなわち、本件特許発明1の相違点2に係る構成「該選択されたセルが配置されている該モニタースクリーン上の領域とは異なる該モニタースクリーン上の領域に表示する」ようになすことは、当業者であれば容易に想到できることといえる。

c.相違点の判断まとめ
以上のように、相違点1および相違点2に係る本件特許発明1の構成はいずれも当業者が容易に想到できることであり、これらを総合してもその効果は当業者が予測できるものであるから、本件特許発明1は甲第1号証記載の発明、甲第2号証記載の発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたものである。

(カ)本件特許発明1についてまとめ
以上のように、本件特許の請求項1に係る発明は、甲第1号証記載の発明、甲第2号証記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであり、特許法第123条第1項第2号の規定により、本件特許の請求項1に係る発明は、無効とすべきものである。

イ.本件特許発明2について
請求項2は、請求項1を引用しており、本件特許発明2は、請求項1の記載の本件特許発明1に加えて、構成F「前記時間およびチャンネルの番組ガイドの形式で前記少なくともいくつかの項目を表示するステップは、グリッドガイド形式で該少なくともいくつかの項目を表示するステップを包含する」を有する。
本件特許発明2と甲1発明とを対比すると、構成F以外は上記本件特許発明1と甲1発明との対比と同様であるので、構成Fについて、更に対比すると、甲1発明の「時間フィールドを表示する時間エリアとチャンネルフィールドの情報が表示されるチャンネルエリアとで囲まれた位置に番組フィールドの情報が表示される番組エリアが区画されて表示され」ることは、番組エリアについて、甲1第3図で横方向に見ると時間エリアにおける放送時間が、縦方向に見るとチャンネルエリアにおける放送チャンネルが確認できるものであって、本件特許発明2のグリッドガイド形式に相当する表示であるといえる。
したがって、本件特許発明2と甲1発明とは、構成F「前記時間およびチャンネルの番組ガイドの形式で前記少なくともいくつかの項目を表示するステップは、グリッドガイド形式で該少なくともいくつかの項目を表示するステップを包含する」点で一致する。
そうすると、本件特許発明2と甲1発明との相違点は上記本件特許発明1と甲1発明との相違点と同様であり、その相違点については上記本件特許発明1についての相違点の判断と同様に判断されるから、本件特許発明2は甲第1号証記載の発明、甲第2号証記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるというべきである。
よって、本件特許の請求項2に係る発明は、甲第1号証記載の発明、甲第2号証記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであり、特許法第123条第1項第2号の規定により、本件特許の請求項2に係る発明は、無効とすべきものである。

ウ.本件特許発明3について
本件特許発明3は、テレビジョン番組表に関する情報を提供する方法である本件特許発明1を電子番組ガイドシステムの発明としたものであり、技術としては本件特許発明1と同内容の発明である。そして、甲1発明も電子番組ガイドシステムの発明としても認識できるから、本件特許発明1と同様に、本件特許発明3は甲第1号証記載の発明、甲第2号証記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるというべきである。
よって、本件特許の請求項3に係る発明は、甲第1号証記載の発明、甲第2号証記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであり、特許法第123条第1項第2号の規定により、本件特許の請求項3に係る発明は、無効とすべきものである。

エ.本件特許発明4について
本件特許発明4は、テレビジョン番組表に関する情報を提供する方法である本件特許発明2を電子番組ガイドシステムの発明としたものであり、本件特許発明2と同様に、本件特許発明4は甲第1号証記載の発明、甲第2号証記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるというべきである。
よって、本件特許の請求項4に係る発明は、甲第1号証記載の発明、甲第2号証記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであり、特許法第123条第1項第2号の規定により、本件特許の請求項4に係る発明は、無効とすべきものである。

オ.無効理由2 ア.についてまとめ
以上のように、本件特許発明1乃至本件特許発明4は、いずれも無効とすべきものであるから、無効理由2 ア.は理由があるというべきである。

(2)無効理由2 イ.について
本件出願が特許法第44条に規定する要件を満たしていないと請求人が主張する根拠である、本件特許発明1乃至本件特許発明4が含むとする分割の原出願(子出願:特願2000-321391号)の出願当初の明細書又は図面に記載した事項の範囲内でないものとは、「番組説明情報を取得すること」及び「セルが項目に関連付けられていること」である。
本件特許明細書と原出願の出願当初の明細書の発明の詳細な説明との記載内容の相違は、段落【0009】【0022】にあり、その他は実質的に同一である。段落【0009】における相違は、特許請求の範囲に対応した〔課題を解決するための手段〕の相違であり、段落【0022】における相違は、「選択された一つのテレビジョン番組リスト「ゴールデンガールズ」に関する番組紹介情報「ドロシーは、誕生日に驚かすためシシリーからソフィアの妹(ナンシー・ウォーカー)をつれてくる。」を表示する」「番組ノートオーバレイ52は、一つのリストセル26の面積よりも広い。」が追加された相違である。
上記「第4 1.(1)イ.複数の項目のそれぞれに対応する番組説明情報を取得」及び「第4 1.(2)無効理由1 イ.について」で述べたように、「番組説明情報を取得すること」及び「セルが項目に関連付けられていること」は、本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載されているということができるものであり、上記相違を考慮しても、本件特許明細書の発明の詳細な説明と同様に原出願の出願当初の明細書の発明の詳細な説明にも記載されているということができる。
したがって、本件出願が特許法第44条に規定する要件を満たしていないと請求人が主張する根拠はなく、本件出願が特許法第44条に規定する要件を満たしていないとすることはできない。
よって、本件出願が特許法第44条に規定する要件を満たしていないことを前提とした無効理由2(イ)はその根拠がなく、理由がないというべきである。

(3)無効理由2についてのまとめ
以上のようであって、無効理由2 イ.については理由がないというべきであるものの、無効理由2 ア.については理由があるというべきであるから、請求人が主張する無効理由2については理由があるというべきである。

3.判断のまとめ
以上のようであるから、請求人の主張する、無効理由2は理由があるというべきであり、請求項1乃至請求項4に係る特許は無効とすべきものである。

第5.むすび
以上とおり、請求項1乃至請求項4に係る特許は無効とすべきものである。

審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-04-30 
結審通知日 2009-05-08 
審決日 2009-05-19 
出願番号 特願2003-332113(P2003-332113)
審決分類 P 1 113・ 121- Z (H04N)
P 1 113・ 534- Z (H04N)
P 1 113・ 531- Z (H04N)
最終処分 成立  
前審関与審査官 藤内 光武豊島 洋介松尾 淳一西谷 憲人古川 哲也  
特許庁審判長 奥村 元宏
特許庁審判官 小池 正彦
乾 雅浩
登録日 2007-06-08 
登録番号 特許第3968067号(P3968067)
発明の名称 テレビジョン番組リストのユーザーインタフェース  
代理人 森下 夏樹  
復代理人 大塩 竹志  
代理人 山本 秀策  
代理人 安村 高明  
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