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審決分類 審判 全部無効 特29条の2  A63F
審判 全部無効 2項進歩性  A63F
管理番号 1231822
審判番号 無効2009-800177  
総通号数 136 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-04-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2009-08-12 
確定日 2010-10-12 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第3942746号発明「遊技機」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 特許第3942746号の請求項に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 
理由 第1.手続の経緯
本件の特許第3942746号に係る出願は、特願平9-340746号(以下「基礎出願」という。)に基づく優先権を主張して出願された特願平10-260071号の特許であり、基礎出願からの主立った経緯は次のとおりである。
平成9年11月27日 基礎出願
平成10年9月14日 本件出願
平成19年4月13日 特許第3942746号として設定登録(請求項1乃至5)
平成21年8月12日 無効審判請求
同年11月2日 被請求人より答弁書、訂正請求書提出
同年12月10日 請求人より弁駁書提出(書面には12月9日の日付が記載されている。)
平成22年4月12日 請求人及び被請求人より口頭審理陳述要領書提出(書面には4月9日の日付が記載されている。)
同年4月23日 口頭審理を実施
同年5月24日 被請求人より上申書提出(書面には5月21日の日付が記載されている。)

第2.当事者の主張
1.請求人の主張
請求人は、本件特許の請求項1乃至5に係る発明についての特許を無効とする、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由として、次の点(無効理由1、2)を挙げ、証拠方法として甲第1号証乃至甲第32号証(但し、甲第1号証は、本件特許公報、甲第2号証は、本件特許出願の優先権主張の基礎となっている出願時の明細書及び図面)を提出している。
[無効理由1]
本件特許の請求項1乃至5に係る発明、並びに訂正後の請求項1乃至3に係る発明は、進歩性を有するものではなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

[無効理由2]
本件特許の請求項1、3乃至5に係る発明に係る発明は、本件の出願前の他の出願であって本件の出願後に公開された刊行物(甲第21号証)に記載された発明と実質同一であるから、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない。
なお、審判事件弁駁書には、本件訂正が認容されるとすれば、特許法第29条の2違反の無効理由は撤回する、との記載がある。
さらに、被請求人より提出された平成21年11月2日付け訂正請求による訂正について、特許請求の範囲の訂正は、減縮には当たらず、特許請求の範囲を拡張又は変更するものであり、発明の詳細な説明の訂正は、特許請求の範囲の解釈に影響を及ぼすものであるから、拒絶されるべきものである。

[証拠方法]
・審判請求書に添付されたもの
甲第1号証:特許第3942746号公報(本願特許公報)
甲第2号証:特願平9?340746号(本件の優先権主張の基礎となっている出願当初明細書及び図面)
甲第3号証:パチスロ必勝本SPECIAL vol.1、辰巳出版株式会社、平成10年9月10日、第36-65頁
甲第4号証:パチスロ必勝ガイド1998年4月号、株式会社白夜書房、平成10年4月1日、第4-9頁
甲第5号証:パチスロ必勝ガイド1998年5月号、株式会社白夜書房、平成10年5月1日、第8-17頁
甲第6号証:特公平3?72313号公報
甲第7号証:特開平8?117390号公報
甲第8号証:特開平10?151246号公報
甲第9号証:特開平9?103540号公報
甲第10号証: 特開平4?164471号公報
甲第11号証:特開平10?33750号公報
甲第12号証:特開平7?136313号公報
甲第13号証:特開平8?280872号公報
甲第14号証:特開平8?280873号公報
甲第15号証:必勝パチスロファン1998年6月号、株式会社日本文芸社、平成10年6月1日、第106-109頁
甲第16号証:パチスロ攻略マガジン1998年4月号、株式会社双葉社、平成10年4月1日発行、第7巻第5号、第5-9頁
甲第17号証:特開平8?211869号公報
甲第18号証:特開平7?101103号公報
甲第19号証:パチスロ必勝ガイド1998年9月号、株式会社白夜書房、平成10年9月1日、第9巻第11号、第3頁、第59-61頁
甲第20号証:パチスロ攻略マガジン1998年8月号、株式会社双葉社、平成10年8月1日、第7巻第9号、第4-11頁
甲第21号証:特開2000?14863号公報
甲第22号証:特開平6?114144号公報
甲第23号証:特開平6?312043号公報
甲第24号証:特開平6?327809号公報
甲第25号証:特開平6?335560号公報
甲第26号証:特開平10?179862号公報
・審判事件弁駁書に添付されたもの
甲第27号証:特開平10?33750号公報
・口頭審理陳述要領書(請求人側)に添付されたもの
甲第28号証:特開平8?99407号公報
甲第29号証:特開平10?15156号公報
甲第30号証:特開平10?15175号公報
甲第31号証:特開平10?201911号公報
甲第32号証:特開平10?113439号公報

2.被請求人の主張
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求め、その理由として、[無効理由1]において、甲3発明と従来技術(甲第20号証に記載された発明)との組合せに周知技術を参酌して、訂正後の本件特許の請求項1乃至3に係る発明は、当業者が容易に想到することができたものではなく、特許法第29条第2項に基づく無効理由は存在しない、と主張し、[無効理由2]において、訂正後の本件特許の請求項1乃至3に係る発明と甲第21号証に記載された発明との相違点は、いずれの証拠にも記載されておらず周知技術ではないから、相違点は、甲第21号証に記載された発明に対して微差とはいえず、特許法第29条の2に基づく無効理由は存在しない、と主張している。

第3.訂正の適否についての判断
1.訂正の内容
平成21年11月2日付けの訂正請求は、本件特許明細書を訂正請求書に添付した訂正明細書のとおりに訂正することを求めるものであり、その訂正の内容は次のとおりである。
訂正事項1(訂正事項aの一部)
特許明細書の特許請求の範囲の請求項1中の「前記報知手段は、遊技状態および前記当選フラグの各組み合わせ毎にデモ抽選テーブルの種類が割り当てられたデモ抽選テーブル選択テーブルを有しており、遊技状態および前記入賞態様決定手段によって成立した前記当選フラグに応じてデモ抽選テーブルを選択し、」を「前記報知手段は、前記スタートレバーの操作直後に、報知選択抽選処理を行い、前記複数種類のデモ抽選テーブルのうち、1つのデモ抽選テーブルを、前記デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して、その時の遊技状態および前記入賞態様決定手段によってその時に成立している前記当選フラグに応じて選択し、」と訂正することで、「報知手段」が「デモ抽選テーブル選択テーブル」を有する点を削除し、新たに「ROM」の構成を追加して、「乱数抽選によって複数の報知態様のうち一の報知態様を決定するための抽選値の情報を有する複数種類のデモ抽選テーブル、並びに、前記複数種類のデモ抽選テーブルのうち、1つのデモ抽選テーブルを、その時の遊技状態および前記入賞態様決定手段によってその時に成立している前記当選フラグに応じて選択するための各デモ抽選テーブルに対応する番号を有するデモ抽選テーブル選択テーブル、が記憶されるROMをさらに備え、」と訂正する。

訂正事項2(訂正事項aの一部)
特許明細書の特許請求の範囲の請求項1中の「選択したデモ抽選テーブルに各報知態様毎に記憶された各抽選値を参照し、参照した抽選値と抽出した乱数値とを演算して、この演算結果が所定の結果になる前記抽選値に割り当てられた報知態様で、前記入賞態様に対応した当選フラグが成立したことを遊技者に対して報知するものであって、」を「その選択したデモ抽選テーブルに各報知態様毎に記憶された各抽選値を参照し、参照した抽選値と抽出した乱数値とを演算して、この演算結果が所定の結果になる前記抽選値に割り当てられた報知態様を選択し、当該選択した報知態様に対応する表示態様で、前記スタートレバーの操作により前記報知態様が選択されてから前記複数の停止ボタンのうちいずれか一の停止ボタンが操作されるまでの間に、前記小当たり入賞態様に対応した当選フラグが成立したことを所定確率で遊技者に対して報知し、」と訂正する。

訂正事項3(訂正事項b)
特許請求の範囲の請求項4を削除する。

訂正事項4(訂正事項c)
特許請求の範囲の請求項5を削除する。

訂正事項5(訂正事項d)
本件特許明細書の段落【0010】の記載を本件訂正明細書のとおりに訂正する(詳細は省略)。

2.訂正の適否について
訂正事項1(訂正事項aの一部)について
訂正事項1により、「報知手段」が「デモ抽選テーブル選択テーブル」を有する限定がなくなり、「デモ抽選テーブル選択テーブル」は新たに追加された「ROM」に記憶されることとなった。この点について検討すると、本件特許明細書には、「本実施形態によるスロットマシンでは、図15に示すデモ抽選テーブル選択テーブルおよび図16?図18に示すデモ抽選テーブルがROM32に記憶されている。」(段落【0094】)との記載があり、「報知手段」が「デモ抽選テーブル選択テーブル」を有する点はいずれにも記載がない。
また、いずれの図面にも、「報知手段」が「デモ抽選テーブル選択テーブル」を有することを図示するものはない。
よって、訂正前の請求項1において「報知手段」が「デモ抽選テーブル選択テーブル」を有している点は、本件特許明細書には記載がないことから、このような内容が請求項1に記載されていたことは、明白な誤記であり、訂正事項1の訂正によって、「報知手段」が「デモ抽選テーブル選択テーブル」を有している点が削除されたのであるから、訂正前の誤記が訂正によって解消されたものと認められる。
さらに、本件明細書の実施の形態(第3の実施形態)に対応して、「デモ抽選テーブル」、及び、「デモ抽選テーブル選択テーブル」が「ROM」に記憶されている点が訂正によって特定されたものとなったのであるから、当該「ROM」に関する訂正は特許請求の範囲の減縮に当たる。
以上のことから、訂正事項1の訂正は、誤記の訂正、及び、特許請求の範囲の減縮に当たるものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上、特許請求の範囲を拡張、変更するものでもない。
また、訂正事項1における上記以外のその他の構成については、特許請求の範囲の減縮に当たることは明らかであり、本件特許明細書(段落【0094】?【0122】)に開示があるので、新規事項の追加に該当せず、特許請求の範囲を拡張、変更するものでもない。

訂正事項2(訂正事項aの一部)について
訂正事項2における、「前記小当たり入賞態様に対応した当選フラグが成立したことを遊技者に対して報知」する点について、「報知態様」を「表示態様」にて行うこと、及び、いつ報知を行うのかを特定し、さらに、報知を行う割合を「所定の確率で」行う点を特定したものであるから、訂正事項2の訂正は特許請求の範囲を減縮するものである。
また、訂正事項2は、本件特許明細書(段落【0094】?【0122】)に開示があるので、新規事項の追加に該当せず、特許請求の範囲を拡張、変更するものでもない。

訂正事項3、4(訂正事項b、c)について
訂正事項3、4は、請求項4、5を削除するものであるから、実質的に特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

訂正事項5(訂正事項d)について
訂正事項5は、訂正後の特許請求の範囲と発明の詳細な説明の記載が整合するように、本件特許明細書の段落【0010】の記載を訂正するものであって、全て上記訂正事項1?4に対応するものとなっている。
よって、訂正事項5は、誤記の訂正又は明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。

以上のとおり、上記訂正事項1?5は、いずれも、特許法第134条の2ただし書き、及び、同条第5項において準用する同法第126条第3項、4項の規定に適合するので、平成21年11月2日の訂正を認める。

第4.本件発明
1.上記第3に示したとおり、本件に係る訂正が認められるから、本件の請求項1乃至3に係る発明(以下、「本件発明1乃至3」という。)は、上記訂正請求書に添付した訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1乃至3に記載された事項により特定される次のとおりのものと認める。

(本件発明1)
「複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させる入賞態様決定手段と、
種々の図柄を複数のリールに表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを有効化入賞ライン上に停止表示する可変表示装置と、
この可変表示装置の可変表示を開始させるスタートレバーと、
前記複数のリールを各リール毎に停止させる複数の停止ボタンと、
前記当選フラグが成立したことを遊技者に報知する報知手段と、を備えた遊技機において、
乱数抽選によって複数の報知態様のうち一の報知態様を決定するための抽選値の情報を有する複数種類のデモ抽選テーブル、並びに、前記複数種類のデモ抽選テーブルのうち、1つのデモ抽選テーブルを、その時の遊技状態および前記入賞態様決定手段によってその時に成立している前記当選フラグに応じて選択するための各デモ抽選テーブルに対応する番号を有するデモ抽選テーブル選択テーブル、が記憶されるROMをさらに備え、
前記入賞態様決定手段は、前記当選フラグが成立したその遊技において完結し次回の遊技に前記当選フラグが持ち越されない小当たり入賞態様と、前記当選フラグの成立後前記当選フラグに対応した入賞態様が発生するまで前記当選フラグが次回の遊技に持ち越されるボーナス入賞態様とを有し、このボーナス入賞態様の内部当選中であっても前記小当たり入賞態様の抽選を行い、
前記報知手段は、前記スタートレバーの操作直後に報知選択抽選処理を行い、前記複数種のデモ抽選テーブルのうち、1つのデモ抽選テーブルを、前記デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して、その時の遊技状態および前記入態様決定手段によってその時に成立している前記当選フラグに応じて選択し、
その選択したデモ抽選テーブルに各報知態様毎に記憶された各抽選値を参照し、参照した抽選値と抽出した乱数値とを演算して、この演算結果が所定の結果になる前記抽選値に割り当てられた報知態様を選択し、当該選択した報知態様に対応する表示態様で、前記スタートレバーの操作により前記報知態様が選択されてから前記複数の停止ボタンのうちいずれか一の停止ボタンが操作されるまでの間に、前記小当たり入賞態様に対応した当選フラグが成立したことを所定確率で遊技者に対して報知し、
前記デモ抽選テーブルは、前記遊技状態が異なる場合には、前記入賞態様決定手段によって成立した前記小当たり入賞態様に対応した当選フラグが同一の当選フラグであっても、参照する前記デモ抽選テーブルに記憶された抽選値が異なるように構成されたこと
を特徴とする遊技機。」
(本件発明2)
「前記入賞態様決定手段により決定される入賞態様には複数種類のボーナス入賞態様が含まれるとともに、前記遊技状態には前記複数種類のボーナス入賞態様に対応する当選フラグが持ち越されている特定の遊技状態が含まれており、
前記報知手段が参照する前記デモ抽選テーブルに記憶された抽選値は、前記特定の遊技状態毎に異なること
を特徴とする請求項1に記載の遊技機。」
(本件発明3)
「前記入賞態様決定手段は、複数の前記小当たり入賞態様を有し、前記報知手段はこの複数の小当たり入賞態様に対応した複数の当選フラグの種類をも報知すること
を特徴とする請求項1に記載の遊技機。」

2.本件発明の基準日について
本件特許出願の優先権主張の基礎である特願平9-340746号の出願時(出願日;平成9年11月26日)における明細書及び図面には、本件の訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された「デモ抽選テーブル」、「デモ抽選テーブル選択テーブル」についての記載がない。

よって、本件の請求項1に記載された内容が、本件特許出願の優先権主張の基礎である特願平9-340746号の出願時における明細書及び図面に記載がないから、本件発明1は、基礎出願に基づく優先権主張は認めることができない。本件発明1を引用する本件発明2及び3についても同様である。
本件発明1乃至3は、特許法第41条第2項の規定は適用されないから、新規性進歩性を検討する上での出願日は本件が出願された平成10年9月14日であるものと認められる。

なお、この点について、当事者双方争いにはなっていない。

第5.無効理由1についての検討
1.甲第3号証に記載された発明
甲第3号証(パチスロ必勝本SPECIAL vol.1、辰巳出版株式会社、平成10年9月10日、第36頁-第65頁)は、次の事項が記載、または、図示されている。

記載事項1
第36頁右側には、サンダーVとの記載があり、同頁左側には、上部、下部にTHUNDERと書かれたスロットマシンの写真が掲載され、このスロットマシンには、スロットマシンに必須の、3つの回転リール(左リール、中リール、右リール)と、3つの回転リールを回転開始させるスタートレバーと、3つの回転リールのそれぞれを停止させる3つのストップボタンが備えられており、3つの回転リール上には、3つの回転リールの図柄を表示する窓があり、この窓には各図柄の中心を通る横方向の3本の線と、右下がり、右上がりで各図柄の中心を通る2本の線があり、この窓の左側には、この窓によって表示される3つの回転リールの真ん中の中心線に対応して「MEDAL」の文字があり、この文字に対して上下対称に「2MEDALS」、「3MEDALS」の文字が見て取れる。
また、第37頁左には「リール配列図」の見出しがあり、3つの回転リールのそれぞれには、複数種類の図柄が表示されていることが見て取れる。
記載事項2
第37頁右側には、「ボーナス&小役払い出し構成」との見出しがあり、ボーナスの入賞態様として、「777」及び「VVV」(BIG BONUS)、「BAR BAR BAR」(REG BONUS)と、その他複数の入賞態様が図示されている。
記載事項3
「ゲームの流れ 予告音、リール消灯、多彩なフラッシュといった今までのパチスロには無かった様々な要素が満載されているサンダーV。これらの発生パターンによって成立フラグが察知できるようになっているぞ」(第38頁上)









記載事項4
「レバーを叩く(スタート)←←←←←←←←←←←←←←←
↓(YES) ↑
予告音が鳴った?(NO)→→→→→→→→→↓ ↑
↓(YES) ↓ ↑
連続なら期待大! チャンス ↓ ↑
↓ ↓ ↑
↓←(NO)リールランプが消灯←←←←←←← ↑
↓ ↓(YES) ↓(YES) ↓(YES) ↑
↓ 1つ消灯 2つ消灯 3つ消灯 ↑
全灯 ↓ ↓ ↓(チャンス) ↑
↓ →→→→→→→↓←←←←←←←← ↑
→→→→→→→→フラッシュした→→→→→↓ ↑
↓(YES) ↓(NO) ↑
チャンス ↓ ↑
↓ ↓ ↑
チャンスの数だけ期待度アップ→→→→→↑

上図がホールに貼り出されているメーカー発表のチャンスパターン。予告音、リール消灯(1or2or3リール)、フラッシュが複合すればするほど、さらには連続すればするほどボーナスフラグ成立の期待度がアップするという案配になっています」(第38頁左上)
記載事項5
「リールの消灯
ストップボタンを押すと対応したリールのバックライトが消える。これがリール消灯で、消えれば消えるほど(当たり前だが、最高で3つまで)ボーナスフラグ成立の可能性もアップ。」(第39頁右上)
記載事項6
第42頁左上には、「予告音と成立フラグ対応表」との見出しがあり、「ハズレ」、「チェリー」、「ベル」、「スイカ」、「リプレイ」の役に対応して、予告音の有無が選択される割合を「通常状態」、「ボーナスフラグ成立中」の状態で場合分けされた表が図示されている。
記載事項7
「下表は、解析から判明した成立フラグに対するチャンスパターンの選択率表。リール消灯、フラッシュ、予告音はそれぞれバラバラに選択されるのではなくセットになっているのだ。」(第43頁右上)
記載事項8
第43頁下側には、「完全網羅!! 解析から判明したチャンスパターンの全て!」との見出しがあり、「ボーナスフラグ成立中」、「ボーナス成立プレイ」、「ボーナスフラグ不成立時」の場合分けがなされ、それぞれの場合分けされた下の欄には、成立フラグとしての「チェリー」、「ベル」等の小役や、「REG(レギュラーボーナス)」、「BIG(ビッグボーナス)」等のボーナス、及び「ハズレ」における、「予告音」の有無、「リール消灯」の数、及び「フラッシュパターン」の有無と種類、により組み分けられたそれぞれの振り分け率(%)を示した表が記載されている。
記載事項9
第43頁下側の「ボーナスフラグ不成立時」の見出しの「リプレイ」の下には、「完全外れの内、予告音が発生するのは3%にも満たない。したがって、予告音が発生した場合には何らかのフラグが成立していると考えられる」との記載がある。

上記記載事項1乃至9の記載及び図面から、甲第3号証には以下の技術が開示されているものと認定できる。
a.記載事項1、第36頁のスロットマシンの図、及び、スロットマシンの周知のルールとして、メダルの投入枚数によって入賞ラインの数が設定され(有効入賞ラインが、メダル1枚で中央の横方向1つのみ、メダル2枚で更に上下の横方向2つ追加、メダル3枚で更に2つの斜め方向2つ追加されるルール)、かつ、ストップボタンの操作によって、回転リールに表示された図柄を入賞ライン上に停止制御させる点を鑑みれば、第36頁に図示されたスロットマシンにおいて、回転リールの図柄を表示する窓に表示された複数の線は、入賞ラインを示しており、メダル(MEDAL)の投入数によって有効化入賞ラインが決定され、さらに、窓に表示される各図柄はストップボタンの操作によっていずれかの入賞ライン上に停止制御されるものと認められる。
以上のことから、甲第3号証に記載されたスロットマシンには、3つの回転リール(左リール、中リール、右リール)と、前記3つの回転リール上に設けられた窓と、前記窓には入賞ラインが設けられ、入賞ライン上に停止表示される回転リールに表示された複数種類の図柄が備えられた点が開示されているものと認められる。
b.第37頁には、「ビッグボーナス確率」、「レギュラーボーナス確率」、「小役抽選確率(BIG中)」、「小役抽選確率(高確率時)」、「小役抽選確率(低確率時)」を見出しとした表が記載されており、回転リールを停止させるストップボタンを備えたスロットマシンにおいて、小役、BIG(ビッグボーナス)、及びREG(レギュラーボーナス)のいずれかのフラグを、乱数を用いて成立させる制御は周知である点を鑑みれば、前述の表は、「BIG(ビッグボーナス)」、「REG(レギュラーボーナス)」、及び小役のフラグが成立する確率を表していることは、自明であるから、甲第3号証に記載されたスロットマシンにおいても、小役のフラグ成立やBIG(ビッグボーナス)、REG(レギュラーボーナス)のフラグ成立を、乱数による抽選によって決定させる手段を備えているものと認められる。
c.記載事項4から、予告音を報知する場合には、予告音は、(スタート)レバーを叩いた後、最初のストップボタンを押すまでの間に鳴るものと認められる。
d.記載事項6及び第42頁左上の表から、予告音を報知するか、しないかの割合は、成立したフラグの種類によって異なることが図示されている。
さらに、第43頁下の表(「完全網羅!! 解析から判明したチャンスパターンの全て!」の見出しのある表)には、「ボーナスフラグ成立中」、「ボーナス成立プレイ」、及び「ボーナスフラグ不成立時」の記載があって、その下に「ハズレ」、「チェリー」、「ベル」、「スイカ」、「リプレイ」の成立フラグ(但し、ボーナス成立プレイの場合には、「REG」と「BIG」のみ)と、その横に「予告音」、「リール消灯」、「フラッシュパターン」、「振り分け率(%)」が記載されており、この表には、「ボーナスフラグ成立中」、「ボーナス成立プレイ」、「ボーナスフラグ不成立時」の遊技状態別に成立したフラグでの予告音、リール消灯、フラッシュパターンの組み合わせ及び、その組み合わせが選択される確率としての「振り分け率(%)」が図示され、さらに、ハズレ以外の所定の役が成立していても何も報知しない、すなわち、予告音なし、リール消灯なし、フラッシュパターンなしの組み合わせについても所定の振り分け率が設定され、「ボーナス成立プレイ」においては、成立フラグとして「REG」と「BIG」の2つのみが設定されている点が図示されている。
さらに、記載事項7の「リール消灯、フラッシュ、予告音はそれぞれバラバラに選択されるのではなくセットになっているのだ。」の記載、及び第43頁下の表記から、成立したフラグの種類によって、予告音、リール消灯、フラッシュパターンの組み合わせによる振り分け率が異なること、並びに、上記認定事項c.から、予告音は最初のストップボタンの操作前に鳴るものであり、予告音の発生を行う時点では既に、ハズレを含めた何らかの役のフラグが成立しており、かつ、この時点までに、予告音、リール消灯、フラッシュの組み合わせが決定されているものと認められ、予告音の発生を行わない場合であっても、予告音の発生を行う場合と同様の時点では既に、ハズレを含めた何らかの役のフラグが成立しており、かつ、この時点までに、予告音、リール消灯、フラッシュの組み合わせが決定されているものと認められる。
さらに、「振り分け率」は、予告音、リール消灯、フラッシュパターンの組み合わせが選択される確率であるから、予告音、リール消灯、フラッシュパターンの組み合わせの選択は、何らかの抽選と「振り分け率」の設定値によって決定することは自明である。
さらに、遊技状態と成立フラグから予告音、リール消灯、フラッシュの組み合わせが決定される点、及び、記載事項7の「リール消灯、フラッシュ、予告音はそれぞれバラバラに選択されるのではなくセットになっているのだ。」の記載から、予告音、リール消灯、フラッシュの組み合わせは、一の報知態様を構成しているものといえる。
e.第43頁下側の表には、「ボーナスフラグ成立中」において、「チェリー」、「ベル」、「スイカ」といった小役が記載されているので、ボーナス成立中(ボーナス当選中)においても、小役のフラグ成立の抽選を行っているものと認められる。
よって、ボーナスフラグ成立中に小役のフラグ成立の抽選を行うということは、この時点より前に既にボーナスに当選しているわけであるであるから、少なくともボーナス当選後の次の遊技では、ボーナスフラグが持ち越されるものと認められる。
しかしながら、ボーナスフラグがいつまで持ち越されるのかという、ボーナスフラグ持ち越し期間については、甲第3号証のいずれの箇所にも記載がないものの、ボーナスゲームを有するスロットマシンの通常のルールとして、ボーナスに当選した(ボーナスのフラグ成立)場合には、ボーナスに入賞、すなわち、ボーナス図柄(7、7、7など)が揃うまで、持ち越されるものであるから、通常のルールに従い、ボーナスに内部当選した(ボーナスフラグ成立)場合には、ボーナスに入賞するまでボーナスフラグを持ち越すものと認められる。
以上の記載事項1乃至9、及び、a.?e.の認定事項から、甲第3号証には、以下の発明が記載されているものと認められる。
「小役フラグ成立やBIG(ビッグボーナス)、REG(レギュラーボーナス)フラグ成立を乱数による抽選によって決定させる手段と、
3つの回転リール(左リール、中リール、右リール)と、前記3つの回転リール上に設けられた窓と、前記窓には入賞ラインが設けられ、前記入賞ライン上に停止制御される前記3つの回転リールに表示された複数種類の図柄と、
前記3つの回転リールを回転開始させるスタートレバーと、
前記3つの回転リールのそれぞれを停止させる3つのストップボタンと、
予告音、リール消灯、及びフラッシュパターンを発生する手段を備えた遊技機において、
ボーナスフラグ成立の場合には、ボーナスに入賞するまで前記ボーナスフラグを持ち越すものであり、
前記予告音を報知するか、しないかの割合は、成立したフラグの種類によって異なるものであって、前記予告音を報知する場合には、前記スタートレバーを叩いた後、最初の前記ストップボタンを押すまでの間に前記予告音が鳴るものであり、
「ボーナスフラグ成立中」、「ボーナス成立プレイ」、「ボーナスフラグ不成立時」の遊技状態別に、前記成立フラグでの前記予告音、前記リール消灯、前記フラッシュパターンの組み合わせ及び、その組み合わせが選択される確率としての「振り分け率(%)」が設定され、さらに、ハズレ以外の所定のフラグが成立していても何も報知しない、すなわち、前記予告音なし、前記リール消灯なし、前記フラッシュパターンなしの組み合わせについても所定の振り分け率が設定され、予告音の発生を行う時点では既に、ハズレを含めた何らかの役のフラグが成立しており、かつ、この時点までに、予告音、リール消灯、フラッシュの組み合わせが決定されており、予告音の発生を行わない場合であっても、予告音の発生を行う場合と同様の時点では既に、ハズレを含めた何らかの役のフラグが成立しており、かつ、この時点までに、予告音、リール消灯、フラッシュの組み合わせが決定されており、ボーナス成立フラグとして、「REG」と「BIG」の2種類が設定され、前記予告音、前記リール消灯、前記フラッシュパターンの組み合わせの選択は、前記遊技状態と前記成立フラグ以外に、抽選と前記「振り分け率(%)」の設定によっても決定される、スロットマシン。」(以下「甲3発明」という。)

3.当審の判断
(1)本件発明1について
(イ).本件発明1と甲3発明との対比
本件発明1と甲3発明とを対比すると、
甲3発明の「複数種類の図柄」は本件発明1の「種々の図柄」に相当し、以下同様に、
「3つの回転リール(左リール、中リール、右リール)」は「複数のリール」に、
「ストップボタン」は「停止ボタン」に、
「成立フラグ」は「当選フラグ」に、
「スロットマシン」は「遊技機」に、
「予告音、リール消灯、フラッシュパターンの組み合わせ」は「報知態様」に、
「小役フラグ成立」は「小当たり入賞態様」に、
「ボーナスフラグ成立」は、「ボーナス入賞態様」に、各々相当する。

さらに、甲第3号証の記載事項1乃至9、認定事項a.乃至e.からみて、以下のことがいえる。
f.甲3発明のスロットマシンには、「入賞ライン上に停止制御される回転リールに表示された複数種類の図柄」を有することから、本件発明1の「種々の図柄を複数のリールに表示」した構成を有するものと認められる。
g.上記a.b.e.で認定した点を総合的に勘案すると、本件発明1の「確率テーブル」は別にして、甲3発明と本件発明1とは、「乱数によって、いずれかの入賞態様の当選フラグを成立させる入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数のリールに表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄の組み合せを有効化入賞ライン上に停止表示する可変表示装置」を備えた点で共通する。
h.甲3発明の「予告音、リール消灯、フラッシュパターンの組み合わせ」は、振り分け率(%)により、複数の報知態様の中から決定されるのであって、乱数抽選によって報知態様を選択していることは自明であるから、甲3発明と本件発明1とは、「乱数抽選によって複数の報知態様のうち一の報知態様を決定する」点で共通し、認定事項c.、記載事項7及び認定事項d.から、甲3発明と本件発明1とは、「いずれか一の停止ボタンが操作されるまでに報知選択抽選処理を行」う点で共通し、さらに、甲3発明の予告音は、報知態様を構成するものであって、その予告音は、スタートレバーの操作から最初のストップボタンが操作されるまでの間に鳴るものであり、第42頁左上の「予告音と成立フラグ対応表」の表の記載から予告音は、はずれ以外のフラグが成立した場合には、所定の確率で報知するものであるから、甲3発明と本件発明1とは、「当該選択した報知態様に対応する表示態様」で報知する点は別にして、「前記複数の停止ボタンのうちいずれか一の停止ボタンが操作されるまでに前記報知態様が選択され、前記スタートレバーの操作から前記複数の停止ボタンのうちいずれか一の停止ボタンが操作されるまでの間に、前記小当たり入賞態様に対応した当選フラグが成立したことを所定確率で遊技者に対して(報知態様を構成する予告音によって)報知」する点で共通する。
そうすると、両者は、
「乱数によって、いずれかの入賞態様の当選フラグを成立させる入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数のリールに表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄の組み合せを有効化入賞ライン上に停止表示する可変表示装置と、
この可変表示装置の可変表示を開始させるスタートレバーと、
前記複数のリールを各リール毎に停止させる複数の停止ボタンと、
前記当選フラグが成立したことを遊技者に報知する報知手段と、を備えた遊技機において、
乱数抽選によって複数の報知態様のうち一の報知態様を決定し、
前記報知手段は、いずれか一の停止ボタンが操作されるまでに報知選択抽選処理を行い、
小当たり入賞態様と、前記当選フラグの成立後前記当選フラグに対応した入賞態様が発生するまで前記当選フラグが次回の遊技に持ち越されるボーナス入賞態様とを有し、このボーナス入賞態様の内部当選中であっても前記小当たり入賞態様の抽選を行い、
前記複数の停止ボタンのうちいずれか一の停止ボタンが操作されるまでに前記報知態様が選択され、前記スタートレバーの操作から前記複数の停止ボタンのうちいずれか一の停止ボタンが操作されるまでの間に、前記小当たり入賞態様に対応した当選フラグが成立したことを所定確率で遊技者に対して報知する、遊技機。」の点で一致し、以下の点(相違点1?3)で相違している。

[相違点1]
本件発明1では、「複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させる入賞態様決定手段」を有するのに対し、甲3発明では、「フラグ成立」の決定に対して、「確率テーブル」を用いているのかが不明な点
[相違点2]
本件発明1では、「乱数抽選によって複数の報知態様のうち一の報知態様を決定するための抽選値の情報を有する複数種類のデモ抽選テーブル、並びに、前記複数種類のデモ抽選テーブルのうち、1つのデモ抽選テーブルを、その時の遊技状態および前記入賞態様決定手段によってその時に成立している前記当選フラグに応じて選択するための各デモ抽選テーブルに対応する番号を有するデモ抽選テーブル選択テーブル、が記憶されるROM」を備えているのに対し、甲3発明では、「デモ抽選テーブル」、「デモ抽選テーブル選択テーブル」を備えているのかが不明であり、これらが記憶される「ROM」についても同様に備えているのか不明な点
[相違点3]
本件発明1の「小当たり入賞態様」では、「前記入賞態様決定手段は、前記当選フラグが成立したその遊技において完結し次回の遊技に前記当選フラグが持ち越されない」ものであるが、甲3発明では、「小役(チェリー、ベル、スイカ)」のフラグが成立した場合に、小役の成立フラグが「その遊技において完結し次回の遊技に前記当選フラグが持ち越されない」ものか否かが不明な点
[相違点4]
本件発明1の「報知手段」は、「前記スタートレバーの操作直後に報知選択抽選処理を行」っているのに対し、甲3発明では、「予告音、リール消灯、フラッシュパターンの組み合わせ」の決定を、最初のストップボタンが操作されるまでのいつの時点で行っているのかが不明な点
[相違点5]
本件発明1の「報知手段」について、「前記複数種のデモ抽選テーブルのうち、1つのデモ抽選テーブルを、前記デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して、その時の遊技状態および前記入態様決定手段によってその時に成立している前記当選フラグに応じて選択し、
その選択したデモ抽選テーブルに各報知態様毎に記憶された各抽選値を参照し、参照した抽選値と抽出した乱数値とを演算して、この演算結果が所定の結果になる前記抽選値に割り当てられた報知態様を選択」する機能を有するのに対し、甲3発明では、[相違点2]で述べたように、そもそも「デモ抽選テーブル」、及び「デモ抽選テーブル選択テーブル」を備えているのかが不明な点
[相違点6]
本件発明1及び甲3発明では、「前記複数の停止ボタンのうちいずれか一の停止ボタンが操作されるまでの間に前記報知態様が選択され、前記スタートレバーの操作から前記複数の停止ボタンのうちいずれか一の停止ボタンが操作されるまでの間に、前記小当たり入賞態様に対応した当選フラグが成立したことを所定確率で遊技者に対して報知」する点で共通するものの、このような報知を本件発明1では、「報知態様に対応する表示態様」で報知するのに対し、甲3発明では、「前記スタートレバーの操作から前記複数の停止ボタンのうちいずれか一の停止ボタンが操作されるまでの間に」、報知するのは、(予告)音であって、表示(態様)ではない点に加え、本件発明では、「乱数抽選によって複数の報知態様のうち一の報知態様を決定」し、「選択した報知態様に対応する表示態様」で報知を行っているので、複数の表示態様から、報知態様に対応する表示態様を選択して、いずれか一の停止ボタンが操作されるまでの間に報知しているのに対し、甲3発明では、最初のストップボタンが操作されるまでの間に報知する予告音は、鳴らすか否かの選択しか行っておらず、予告音を鳴らす場合に複数の態様から選択して報知していない点
[相違点7]
本件発明1の「デモ抽選テーブル」は、「前記遊技状態が異なる場合には、前記入賞態様決定手段によって成立した前記小当たり入賞態様に対応した当選フラグが同一の当選フラグであっても、参照する前記デモ抽選テーブルに記憶された抽選値が異なるように構成」されているのに対し、[相違点2]で指摘したとおり、甲3発明では、「デモ抽選テーブル」を備えているのか不明な点

(ロ).相違点の判断
[相違点1について]
スロットマシン等の遊技機の分野において、「確率テーブル」を有する相違点1に係る「入賞態様決定手段」は、甲第6号証(特に、第4頁左欄第37行?42行、同頁右欄第26?43行、第5頁左欄第4行?23行、第10図)及び甲第7号証(特に、段落【0038】?【0040】、第4図)に記載されているように、周知の技術(以下「周知技術1」という。)であり、甲3発明において、周知技術1の「入賞態様決定手段」を用いて、入賞態様を決定することは、当業者にとって格別なことではない。
[相違点2、5について]
相違点2、5については、「デモ抽選テーブル」、「デモ抽選テーブル選択テーブル」に関して関連するのであわせて検討する。
甲第3号証の第43頁下の「解析から判明したチャンスパターンの全て」の見出しにおける表は、甲第3号証に記載された「サンダーV」という機種のスロットマシンにおいて、どのように組み込まれているのかが不明である。
しかしながら、この点について甲第4号証には、「サンダーV」という甲第3号証と同一機種のスロットマシンの記事が掲載されており、甲第4号証の第6-7頁の「予告機能テーブル」及び第5頁下のフラッシュパターンを参酌すると、フラッシュパターンの名称こそ異なるものの、同一のフラッシュパターンを有することは明白であり、かつ、甲第3号証の「振り分け率(%)」が数値であるのに対し、甲第4号証の「選択率」が分数表示である点で表記の仕方が異なるが、遊技状態及び成立フラグにおける、それぞれの予告音、リール消灯、フラッシュパターンの組み合わせに対しては、甲第3号証の「振り分け率(%)」と甲第4号証の「選択率」がほぼ同一の数値であることも明白である。
このことから、甲第4号証の「予告機能テーブル」の内容と、甲第3号証の当該表の内容は同じものである。
よって、甲第3号証に掲載のスロットマシンには、当該表が「テーブル」として搭載されていることは自明である。
また、甲第3号証の当該表は、まず、遊技状態で区別され、次に、成立フラグで区別され、最後に、「振り分け率(%)」で、予告音、リール消灯、フラッシュパターンの組み合わせを区別されていることから、別の見方をすれば、遊技状態、成立フラグによって区別された、「振り分け率(%)」と予告音、リール消灯、フラッシュパターンの組み合わせからなるテーブルが複数あって、1つの表を構成しているものと見ることができる。
このことは、甲第4号証(第6-7頁参酌)においても見て取れる。すなわち、甲第4号証の「予告機能テーブル」は、遊技状態、成立フラグによって区別された、「選択率」(甲第3号証のおける「振り分け率(%)」)と予告音、消灯、フラッシュの種類の組み合わせからなるテーブルが複数種類記載されている(なお、BIG・REG成立ゲームの予告機能テーブルにおいても、遊技状態は、REG成立ゲーム、又はBIG成立ゲームであり、成立フラグはREG又はBIGであるから、この場合においても遊技状態、成立フラグでテーブルが区別されているといえる)。
また、認定事項d.で指摘したとおり、甲第3号証の「振り分け率(%)」は、乱数抽選によって、予告音、リール消灯、フラッシュパターンの組み合わせを決定するためのものである。
そうすると、甲3発明には「テーブル」を有し、この「テーブル」は、本件発明1に係る「乱数抽選によって複数の報知態様のうち一の報知態様を決定するための抽選値の情報を有する複数種類のデモ抽選テーブル」に相当するものであって、この「テーブル」における機能・役割は、本件発明1に係る「前記複数種のデモ抽選テーブルのうち、1つのデモ抽選テーブルを、その時の遊技状態および前記入態様決定手段によってその時に成立している前記当選フラグに応じて選択し、
その選択したデモ抽選テーブルに各報知態様毎に記憶された各抽選値を参照し、参照した抽選値と抽出した乱数値とに基づき、前記抽選値に割り当てられた報知態様を選択」する点で共通するから、相違点2、5における実質的な相違点は、「ROM」の構成、及び「参照した抽選値と抽出した乱数値とを演算」することによって、「この演算結果が所定の結果になる前記抽選値に割り当てられた報知態様を選択」する点を別にすれば、「前記複数種のデモ抽選テーブルのうち、1つのデモ抽選テーブルを、その時の遊技状態および前記入態様決定手段によってその時に成立している前記当選フラグに応じて選択」するための本件発明1に係る「デモ抽選テーブル選択テーブル」を甲3発明が備えているのかどうかが不明である点に絞られる。
そして、「デモ抽選テーブル選択テーブル」を有するということは、甲3発明における、遊技状態、成立フラグによって区別された、「振り分け率(%)」と予告音、リール消灯、フラッシュパターンの組み合わせからなる複数のテーブルが個別に存在している場合に「デモ抽選テーブル選択テーブル」を有するものであって、この複数のテーブルが個別でなく甲第3号証の第43頁の当該表のとおり、遊技状態、成立フラグ、振り分け率(%)から予告音、リール消灯、フラッシュパターンの組み合わせが選択できるように1つのテーブルとして存在している場合には「デモ抽選テーブル選択テーブル」は有していないものと認められるが、この点については、甲第4号証の第6-7頁に「予告機能テーブル」として、遊技状態、成立フラグ別に複数のテーブルが記載されていることから、甲第3号証においても同様に遊技状態、成立フラグ別に複数のテーブルが個別に存在していることは自明であるといえるが、仮に、この複数のテーブルが個別でなく1つのテーブルとして存在している場合も含め、当該相違点について以下で検討する(なお、「ROM」の構成等他の相違点については、この検討の後、検討を行う。)。

甲第17号証、甲第29号証乃至甲第31号証に記載されているように、一般に、テーブル(本件発明1の「デモ抽選テーブル選択テーブル」に相当)が別の複数のテーブルに対応する番号を有し、2つのパラメータ(本件発明1「遊技状態」、「当選フラグ」に相当)に基づき、上記番号によって上記別の複数のテーブル(本件発明1の「デモ抽選テーブル」に相当する)から1つのテーブルを選択する技術は、周知の技術(以下「周知技術2」という。)である。
なお、本件発明1の「デモ抽選テーブル選択テーブル」、「デモ抽選テーブル」に相当する構成として、
甲第17号証(特に、段落【0013】、図4、図6参照)では「タッチ変換テーブル選択テーブル45」、「タッチ変換テーブル46」、
甲第29号証(特に、段落【0043】?【0056】参照)では「照合順序選択テーブル」(図6参照)、「照合順序設定テーブル200」(図7参照)、
甲第30号証(特に、段落【0087】?【0098】参照)では「リーチモード選択確率設定用テーブル」(表5参照)、「テーブル1?6」(表6?11参照)、
甲第31号証(特に、段落【0107】?【0118】参照)では「リーチモード選択確率設定用テーブル」(表5参照)、「テーブル1?6」(表6?11参照)である。

また、甲3発明において、遊技状態、成立フラグによって区別された、「振り分け率(%)」と予告音、リール消灯、フラッシュパターンの組み合わせからなる複数のテーブルが個別に存在している場合には、複数のテーブルから1つのテーブルを選択するためには、何らかの選択手段が当然必要であり、複数のテーブルから1つのテーブルを選択するための手段として、周知技術2を採用することに何ら格別な困難性はない。
また、仮に、甲3発明の複数のテーブルが個別に存在しておらず、甲第3号証の第43頁の当該表のとおり、遊技状態、成立フラグ、振り分け率(%)から予告音、リール消灯、フラッシュパターンの組み合わせが選択できるように1つのテーブルが存在している場合であったとしても、周知技術2を採用することに何ら阻害要因はない。
よって、甲3発明における「予告音、リール消灯、フラッシュパターンの組み合わせ」は、まず、「遊技状態」、「成立フラグ」の2つのパラメータによって区分けされているのであるから、甲3発明に周知技術2を適用することで、「遊技状態」、「成立フラグ」の2つのパラメータによって区別された複数のテーブルの1つテーブルを選択する構成に変えて、本件発明1に係る「デモ抽選テーブル選択テーブル」に相当するテーブルを別途設けることは、当業者にとって想到容易である。

また、上記「ROM」の構成については、甲3発明における「テーブル」及び甲3発明における「テーブル」とは別のテーブル(本件発明1に係る「デモ抽選テーブル選択テーブル」に相当する)を記録する手段としてROMを用いることは、当業者にとって設計事項にすぎない。
さらに、「参照した抽選値と抽出した乱数値とを演算」することによって、「この演算結果が所定の結果になる前記抽選値に割り当てられた報知態様を選択」する点についても、報知態様の選択に際し、乱数値と振り分け率との演算により行うことは、当業者にとって適宜実施しうる設計事項にすぎない。
[相違点3について]
遊技者の目押しによるストップボタンの操作タイミング、及び、内部当選に基づき、停止図柄を決定するスロットマシンの分野において、小役のフラグが成立した場合には、その遊技において完結し次回の遊技に前記当選フラグが持ち越されないことは、普通に行われているルールであって、小役のフラグの持ち越しについて記載がなかったとしても、小役のフラグが成立した場合には、その遊技において完結し次回の遊技に前記当選フラグが持ち越されないことは自明であるし、仮に、この点で甲3発明と本件発明1とが相違するとしても、相違点3に係る本件発明1の構成を甲3発明に適用することは、当業者にとって単なる設計事項にすぎない。
[相違点4について]
甲3発明において、報知態様の1つである「予告音」は、記載事項4及び9から、外れ以外の何らかのフラグが成立している可能性が高いことを、最初のストップボタンが操作されるまでに報知するものであり、「予告音」以外の報知態様(リール消灯、フラッシュパターン)は予告音の後、報知されるものであるから、報知態様(予告音、リール消灯、フラッシュパターンの組み合わせ)の決定は最初のストップボタンが操作される前に行えば良いことは自明である。
一方、本件発明1については、明細書(特に段落【0007】?【0009】)を参酌すると、小当たり入賞が決定されたことを遊技者に報知するのは、リールの回転を最初に停止操作するまでに行えば良いものであることが記載されており、この点から、本件発明1の「報知抽選処理」も同様にリールの回転を最初に停止操作するまでに行えば良いものであり、「スタートレバーの操作直後」でなければならない必然性はない。
そして、甲3発明において、報知態様の決定をスタートレバーの操作直後に行うことによる技術的困難性はないから、したがって、相違点4に係る本件発明1の構成を甲3発明に適用することは、当業者にとって単なる設計事項にすぎない。
[相違点6について]
甲3発明において、予告音以外に、報知態様(リール消灯、フラッシュ、予告音)を構成するものとして、リール消灯、フラッシュがあり、これらは表示態様にて報知しており、かつ、甲第3号証における記載事項4及び記載事項8から、リール消灯、フラッシュパターンは、それぞれ複数種類の報知態様を有するものであるが、甲第3号証における記載事項4及び「リールの消灯」はリールの消灯数が報知態様を表していることから、これらの報知のタイミングは、すべてのストップボタンを操作した後に行われるものと認められる。
しかしながら、甲第12号証には、【発明が解決しようとする課題】(【0005】)として、「また、ソフト的に賞態様が決定されたといっても、これを遊技者に告知する手段がないため、遊技者はそのときの遊技状態を把握することができず、遊技の興趣を損ねることとなっていた。本発明は、上記した従来の技術の有する問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、遊技内容を多様化するとともに、遊技状態を的確に把握して、遊技の興趣を高めることができるスロットマシンを提供することにある。」(【0005】)との記載があり、さらに、段落【0014】の「尚、それぞれの内部当り表示ランプ121?128の点灯タイミングは、「7」の内部当り表示ランプ121及び「BAR」の内部当り表示ランプ122では、「7」「7」「7」及び「BAR」「BAR」「BAR」が内部フラグを持ち越すため、スタートスイッチ80がオンとなって乱数抽出手段202により乱数が抽出されて賞態様がソフト的に発生してから、実際に入賞するまでの間点灯し、その他の内部当り表示ランプ123?128では、スタートスイッチ80がオンとなって乱数抽出選手段192により乱数が抽出されて賞態様がソフト的に発生してから、全てのストップスイッチ90?92がオンとなるまでの間点灯する。」との記載、及び【発明の効果】(段落【0035】)における「したがって、回転リールを所定位置で停止させるだけではなく、所定位置で停止させないことにも価値が与えられるので、遊技の内容が多様化して、遊技の興趣を高めることができる。また、遊技者はそのときの遊技状態を的確に把握することができるので、遊技の興趣を損ねることがない。」との記載があって、これらの記載を勘案すると、乱数抽出手段(202)で決定した図柄の組み合わせが、予め定めた賞態様となった場合に、ストップスイッチ90?92を操作する前に、その賞態様(本件発明1の「入賞態様」に相当)を遊技者に知らせるための内部当り表示手段(120)を備えたスロットマシンの技術(以下「甲第12号証の技術」という。)が開示されているものと認められる。
そして、甲3発明と甲第12号証の技術とは、「小当たり入賞態様に対応した当選フラグが成立したことを遊技者に対して報知する」点で共通するので、甲3発明に甲第12号証の技術を適用し、甲3発明における、スタートレバーを叩いた後、最初のストップボタンを押すまでの間に、報知態様に対応した表示態様にて、小当たり入賞態様に対応した当選フラグが成立したことを所定確率で遊技者に対して報知することは、当業者にとって想到容易である。
[相違点7について]
甲第3号証の第43頁下側の表には、小役のフラグが成立しても、異なる遊技状態では、同一の報知態様に対する振り分け率(%)が異なっており(例えば、チェリーフラグ成立時の予告音♪、リール消灯0、フラッシュパターン直線の報知態様において、ボーナスフラグ成立中では、振り分け率2.34%、ボーナスフラグ不成立では、10.16%)、上記[相違点2、5について]で指摘したとおり、甲3発明には、本件発明1に係る「デモ抽選テーブル」に相当する「予告機能テーブル」を備えているから、相違点7に係る構成は、甲3発明においても備えているものと認められる。
よって、本件発明1と甲3発明において、[相違点7]で指摘した点は相違しない。

さらに、本件発明1の奏する効果を全体としてみても、甲3発明、甲第12号証の技術、及び周知技術1、2から当業者が予測できる程度のものである。

したがって、本件発明1は、甲1発明、甲第12号証の技術、及び周知技術1、2に基づいて当業者が、容易に発明をすることができたものである。

(2)本件発明2について
本件発明2は、本件発明1に、「前記入賞態様決定手段により決定される入賞態様には複数種類のボーナス入賞態様が含まれるとともに、前記遊技状態には前記複数種類のボーナス入賞態様に対応する当選フラグが持ち越されている特定の遊技状態が含まれており、
前記報知手段が参照する前記デモ抽選テーブルに記憶された抽選値は、前記特定の遊技状態毎に異なること」の限定を付加したものである。
また、甲3発明は、ボーナスフラグ成立として「REG」と「BIG」の2種類があるので、甲3発明における、「REG」と「BIG」のフラグ成立は、本件発明2の「複数種類のボーナス入賞態様」に相当する。
よって、本件発明2の上記限定を付加した点において、甲3発明と本件発明2とは、「前記入賞態様決定手段により決定される入賞態様には複数種類のボーナス入賞態様が含まれるとともに、前記遊技状態には前記複数種類のボーナス入賞態様に対応する当選フラグが持ち越されている特定の遊技状態が含まれて」いる点で共通する。
そして、甲第3号証の第43頁の下の表を参照すると、「ボーナスフラグ成立中」との記載があるが、「ボーナスフラグ成立中」は「BIG BONUS成立中」、「REG BONUS成立中」のようにボーナスの種類によって区別されていないから、本件発明2と甲3発明とを対比すると、「(1)本件発明1について」で指摘した相違点1乃至7に加えて、本件発明2の「前記報知手段が参照する前記デモ抽選テーブルに記憶された抽選値は、前記特定の遊技状態毎に異なること」について、甲3発明では、上記相違点2で指摘した点(すなわち、甲3発明には「デモ抽選テーブル」を備えているのか不明な点)に加え、甲3発明の「振り分け率」(本件発明2の「抽選値」に相当する)が、「ボーナスフラグ成立中」(本件発明1の「特定の遊技状態」に相当する)におけるボーナスの種類によって異なるものではない点(以下、「相違点8」という。)で相違する。

[相違点8についての判断]
甲第20号証の第7頁の左側には、「REG成立2枚チェリーorBIG成立4枚チェリー」、「REG成立4枚チェリーorBIG成立2枚チェリー」の見出し及び、それぞれの見出しに対応する表があって、それぞれの表に記載されている報知態様(予告音、消灯、フラッシュの組み合わせ)及び、出現率は、それぞれの表で異なっているものが図示されていることから、甲第20号証には、「BIG BONUS」のフラグが成立した状態と「REG BONUS」のフラグが成立した状態で、小役(チェリー)のフラグが成立することがあり、かつ、「BIG BONUS」、若しくは「REG BONUS」のフラグが成立している状態では、小役(2枚チェリー、4枚チェリー)成立時の報知態様の出現率(本件発明2の「抽選値」に相当する)が異なる技術(以下「甲第20号証の技術」という。)が開示されているものと認められる。
また、本件発明2に記載された「抽選値」は、本件発明2が引用する本件発明1の記載から、報知態様を選択するためのものであるので、本件発明2と甲第20号証の技術とは、「報知態様を選択するための抽選値は、前記特定の遊技状態毎に異なる」点で共通する。
そして、甲3発明と甲第20号証の技術とは、ボーナスフラグ成立した状態でも小役のフラグが成立することがあり、所定の小役のフラグが成立した場合でも抽選値によって報知態様が異なる点で共通するから、甲第20号証の技術を甲3発明に適用することによって、相違点8に係る本件発明2の構成を甲3発明に設けることは、当業者にとって想到容易である。

さらに、本件発明2の奏する効果を全体としてみても、甲3発明、甲第12、20号証の技術、及び周知技術1、2から当業者が予測できる程度のものである。

したがって、本件発明2は、「(1)本件発明1について」において検討したのと同様、甲1発明、甲第12、20号証の技術、及び周知技術1、2に基づいて当業者が、容易に発明をすることができたものである。

(3)本件発明3について
本件発明3は、本件発明1に、「前記入賞態様決定手段は、複数の前記小当たり入賞態様を有し、前記報知手段はこの複数の小当たり入賞態様に対応した複数の当選フラグの種類をも報知すること」の限定を付加したものである。
そして、本件発明3と甲3発明とを対比すると、「(1)本件発明1について」で指摘した相違点1乃至7に加えて、甲3発明には、「前記入賞態様決定手段は、複数の前記小当たり入賞態様を有し、前記報知手段はこの複数の小当たり入賞態様に対応した複数の当選フラグの種類をも報知する」点を有しない点で相違する(以下「相違点9」という。)。
[相違点9についての判断]
甲第12号証の技術は、相違点9に相当する本件発明3の構成を含むものであって、(3)本件発明1の[相違点6について]で述べた理由と同様の理由から、甲3発明に甲第12号証の技術を適用し、報知する態様として「複数の小当たり入賞態様に対応した複数の当選フラグの種類をも報知する」表示態様とすることは当業者にとって想到容易である。

さらに、本件発明3の奏する効果を全体としてみても、甲3発明、甲第12号証の技術、及び周知技術1、2から当業者が予測できる程度のものである。

したがって、本件発明3は、「(1)本件発明1について」において検討したのと同様、甲1発明、甲第12号証の技術、及び周知技術1、2に基づいて当業者が、容易に発明をすることができたものである。

第6 無効理由2について
「第5.無効理由1についての検討」で述べたとおり、本件発明1乃至3は、無効理由を有するので、無効理由2については、検討するまでもなく、本件発明1乃至3は拒絶される。
よって、無効理由2については、検討しない。

また、請求人は平成21年12月10日付け審判事件弁駁書の(3-2-1)にて、訂正が認められた場合には、訂正事項を含む本件特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第2号又は同項第1号の規定を満たさないことを主張しているが、その後開催された平成22年4月23日に口頭審理で、この主張を取り下げたので、請求人が主張する特許法第36条第6項第2号又は同項第1号の規定違反については検討しない。

第7 むすび
以上のとおり、本件発明1?3についての特許は、特許法第29条第2項に規定に違反してなされたものであり、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
遊技機
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させる入賞態様決定手段と、
種々の図柄を複数のリールに表示し,前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを有効化入賞ライン上に停止表示する可変表示装置と、
この可変表示装置の可変表示を開始させるスタートレバーと、
前記複数のリールを各リール毎に停止させる複数の停止ボタンと、
前記当選フラグが成立したことを遊技者に報知する報知手段と、を備えた遊技機において、
乱数抽選によって複数の報知態様のうち一の報知態様を決定するための抽選値の情報を有する複数種類のデモ抽選テーブル、並びに、前記複数種類のデモ抽選テーブルのうち、1つのデモ抽選テーブルを、その時の遊技状態および前記入賞態様決定手段によってその時に成立している前記当選フラグに応じて選択するための各デモ抽選テーブルに対応する番号を有するデモ抽選テーブル選択テーブル、が記憶されるROMをさらに備え、
前記入賞態様決定手段は、前記当選フラグが成立したその遊技において完結し次回の遊技に前記当選フラグが持ち越されない小当たり入賞態様と、前記当選フラグの成立後前記当選フラグに対応した入賞態様が発生するまで前記当選フラグが次回の遊技に持ち越されるボーナス入賞態様とを有し、このボーナス入賞態様の内部当選中であっても前記小当たり入賞態様の抽選を行い、
前記報知手段は、前記スタートレバーの操作直後に、報知選択抽選処理を行い、前記複数種類のデモ抽選テーブルのうち、1つのデモ抽選テーブルを、前記デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して、その時の遊技状態および前記入賞態様決定手段によってその時に成立している前記当選フラグに応じて選択し、
その選択したデモ抽選テーブルに各報知態様毎に記憶された各抽選値を参照し、参照した抽選値と抽出した乱数値とを演算して、この演算結果が所定の結果になる前記抽選値に割り当てられた報知態様を選択し、当該選択した報知態様に対応する表示態様で、前記スタートレバーの操作により前記報知態様が選択されてから前記複数の停止ボタンのうちいずれか一の停止ボタンが操作されるまでの間に、前記小当たり入賞態様に対応した当選フラグが成立したことを所定確率で遊技者に対して報知し、
前記デモ抽選テーブルは、前記遊技状態が異なる場合には、前記入賞態様決定手段によって成立した前記小当たり入賞態様に対応した当選フラグが同一の当選フラグであっても、参照する前記デモ抽選テーブルに記憶された抽選値が異なるように構成されたこと
を特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記入賞態様決定手段により決定される入賞態様には複数種類のボーナス入賞態様が含まれるとともに、前記遊技状態には前記複数種類のボーナス入賞態様に対応する当選フラグが持ち越されている特定の遊技状態が含まれており、
前記報知手段が参照する前記デモ抽選テーブルに記憶された抽選値は、前記特定の遊技状態毎に異なること
を特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記入賞態様決定手段は、複数の前記小当たり入賞態様を有し、前記報知手段はこの複数の小当たり入賞態様に対応した複数の当選フラグの種類をも報知すること
を特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項4】
【請求項5】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、乱数抽選によって入賞態様が決定され、小当たり入賞が発生する遊技機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の遊技機としては例えばスロットマシンがある。一般的なスロットマシンでは、図22(a)に示すように、前面パネル2の背後に3個のリール3,4,5が3列に並設されている。各リール3?5の外周には種々の図柄が描かれており、これら図柄は、各リール毎に設けられた図示しない内蔵光源(バックライト)によって背後から照明され、前面パネル2に形成された各窓6,7,8を介して観察される。この窓には5本の入賞ラインが記されており、スロットマシン遊技は、いずれかのこの入賞ライン上に所定の図柄の組み合わせが揃うか否かによって行われる。
【0003】
遊技は遊技者によって投入口にメダルが投入されることによって開始され、投入口にメダルが投入されると、同図(a)に示すようにバックライトが全部点灯する。このバックライトは遊技終了後一定期間、遊技者のメダル投入操作等がなかった場合には、同図(b)に示すように全部消灯している。各リール3?5は遊技者によるスタートレバーの操作に応じて回転し、各窓6?8には図柄が列方向に回転移動表示される。各リール3?5が一定速度に達すると各リール3?5に対応して設けられた各ストップボタンの操作は有効となる。
【0004】
遊技者は移動する図柄を観察しながら各ストップボタンを操作し、各リール3?5の回転を停止させ、所望の図柄をいずれかの入賞ライン上に停止表示させようとする。各リール3?5は各ストップボタンの操作タイミングに応じてその回転が停止する。この停止時にいずれかの入賞ライン上に所定の図柄組み合わせが表示されると、その図柄組み合わせに応じた入賞が得られる。
【0005】
入賞態様には大当たり入賞や中当たり入賞,小当たり入賞等があり、大当たり入賞や中当たり入賞は図柄「7」や所定のキャラクタ図柄が入賞ライン上に3個揃うと発生する。大当たり入賞ではビッグ・ボーナス・ゲーム(BBゲーム)、中当たり入賞ではレギュラー・ボーナス・ゲーム(RBゲーム)といった特別遊技が行え、大量のコインを獲得することが出来る。また、小当たり入賞は「チェリー」や「ベル」といった図柄が入賞ライン上に3個揃うと発生し、この小当たり入賞では数枚のメダルを獲得することが出来る。同図(c)は図柄「ベル」が中央の入賞ラインに揃った場合を示しており、この場合にはバックライトは点滅する。
【0006】
このような入賞態様は、スタートレバーが操作された直後に行われる乱数抽選によって決定され、各リールが遊技者によって停止操作される前には既に定まっている。この乱数抽選は遊技機内部に構成された入賞態様決定手段で実施される。この乱数抽選によって大当たり入賞が決定されると、機器前面パネルに設けられたランプが点灯し、機械の内部抽選によって大当たり入賞が発生したことが遊技者に報知される。その後、遊技者の停止ボタン操作に応じて各リールの回転が停止制御され、乱数抽選によって決定された入賞の図柄組合せが入賞ライン上に停止表示されると、入賞が発生する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の遊技機では、内部抽選によって大当たり入賞が発生したことは遊技者に報知されるが、小当たり入賞が内部抽選によって発生したことは報知されない。このため、小当たり入賞は、各窓に図柄が実際に停止表示されるまで、機械内部の乱数抽選で決定されたことが分からなかった。従って、内部抽選によって小当たり入賞が決定された場合、遊技者は、この内部抽選結果を予め把握できないため、リールの回転を最初に停止操作する際、どのような図柄を入賞ライン上に揃えれば良いかを知ることは出来なかった。
【0008】
また、上記従来の遊技機では、大当たり入賞が発生した内部抽選結果はランプが単に点灯することだけによって報知されており、何ら遊技上の面白味はない。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような課題を解決することを目的になされたものであって、この目的は、下記(1)?(4)の発明によって達成される。
【0010】
(1)複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し、抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき、その属した入賞態様の当選フラグを成立させる入賞態様決定手段と、
種々の図柄を複数のリールに表示し,前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを有効化入賞ライン上に停止表示する可変表示装置と、
この可変表示装置の可変表示を開始させるスタートレバーと、
前記複数のリールを各リール毎に停止させる複数の停止ボタンと、
前記当選フラグが成立したことを遊技者に報知する報知手段と、を備えた遊技機において、
乱数抽選によって複数の報知態様のうち一の報知態様を決定するための抽選値の情報を有する複数種類のデモ抽選テーブル、並びに、前記複数種類のデモ抽選テーブルのうち、1つのデモ抽選テーブルを、その時の遊技状態および前記入賞態様決定手段によってその時に成立している前記当選フラグに応じて選択するための各デモ抽選テーブルに対応する番号を有するデモ抽選テーブル選択テーブル、が記憶されるROMをさらに備え、
前記入賞態様決定手段は、前記当選フラグが成立したその遊技において完結し次回の遊技に前記当選フラグが持ち越されない小当たり入賞態様と、前記当選フラグの成立後前記当選フラグに対応した入賞態様が発生するまで前記当選フラグが次回の遊技に持ち越されるボーナス入賞態様とを有し、このボーナス入賞態様の内部当選中であっても前記小当たり入賞態様の抽選を行い、
前記報知手段は、前記スタートレバーの操作直後に、報知選択抽選処理を行い、前記複数種類のデモ抽選テーブルのうち、1つのデモ抽選テーブルを、前記デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して、その時の遊技状態および前記入賞態様決定手段によってその時に成立している前記当選フラグに応じて選択し、
その選択したデモ抽選テーブルに各報知態様毎に記憶された各抽選値を参照し、参照した抽選値と抽出した乱数値とを演算して、この演算結果が所定の結果になる前記抽選値に割り当てられた報知態様を選択し、当該選択した報知態様に対応する表示態様で、前記スタートレバーの操作により前記報知態様が選択されてから前記複数の停止ボタンのうちいずれか一の停止ボタンが操作されるまでの間に、前記小当たり入賞態様に対応した当選フラグが成立したことを所定確率で遊技者に対して報知し、
前記デモ抽選テーブルは、前記遊技状態が異なる場合には、前記入賞態様決定手段によって成立した前記小当たり入賞態様に対応した当選フラグが同一の当選フラグであっても、参照する前記デモ抽選テーブルに記憶された抽選値が異なるように構成されたこと
を特徴とする遊技機。
【0011】
(2)前記入賞態様決定手段により決定される入賞態様には複数種類のボーナス入賞態様が含まれるとともに、前記遊技状態には前記複数種類のボーナス入賞態様に対応する当選フラグが持ち越されている特定の遊技状態が含まれており、
前記報知手段が参照する前記デモ抽選テーブルに記憶された抽選値は、前記特定の遊技状態毎に異なること
を特徴とする上記(1)に記載の遊技機。
【0012】
(3)前記入賞態様決定手段は、複数の前記小当たり入賞態様を有し、前記報知手段はこの複数の小当たり入賞態様に対応した複数の当選フラグの種類をも報知すること
を特徴とする上記(1)に記載の遊技機。
【0013】
(4)前記報知手段は、音によって前記報知を行うこと
を特徴とする上記(1)に記載の遊技機。
【0014】
(5)前記報知手段は、前記ボーナス入賞態様に対応した当選フラグの成立をも報知することを特徴とする上記(1)から(4)のいずれかに記載の遊技機。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、本発明による遊技機をスロットマシンに適用した第1の実施形態について説明する。
【0016】
図1は本実施形態によるスロットマシン1の正面図である。
【0017】
スロットマシン1の前面パネル2の背後には可変表示装置を構成する3個のリール3,4,5が回転自在に設けられている。各リール3,4,5の外周面には複数種類の図柄(以下、シンボルという)から成るシンボル列が描かれている。これらシンボルはスロットマシン1の正面の表示窓6,7,8を通してそれぞれ3個ずつ観察される。また、表示窓6,7,8の下方右側には、遊技者がメダルを入れるための投入口9が設けられている。
【0018】
各リール3?5は図2に示す回転リールユニットとして構成されており、フレーム51にブラケット52を介して取り付けられている。各リール3?5はリールドラム53の外周にリール帯54が貼られて構成されている。リール帯54の外周面には上記のシンボル列が描かれている。また、各ブラケット52にはステッピングモータ55が設けられており、各リール3?5はこれらモータ55が駆動されて回転する。
【0019】
各リール3?5の構造は図3(a)に示される。なお、同図において図2と同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。リール帯54の背後のリールドラム53内部にはランプケース56が設けられており、このランプケース56の3個の各部屋にはそれぞれバックランプ57a,57b,57cが取り付けられている。これらバックランプ57a?57cは図3(b)に示すように基板58に実装されており、この基板58がランプケース56の背後に取り付けられている。また、ブラケット52にはホトセンサ59が取り付けられている。このホトセンサ59は、リールドラム53に設けられた遮蔽板60がリールドラム53の回転に伴ってホトセンサ59を通過するのを検出する。
【0020】
各バックランプ57a?57cは後述するランプ駆動回路48によって個別に点灯制御される。各バックランプ57a?57cの点灯により、リール帯54に描かれたシンボルの内、各バックランプ57の前部に位置する3個のシンボルが背後から個別に照らし出され、各表示窓6?8にそれぞれ3個ずつのシンボルが映し出される。
【0021】
また、図1に示す表示窓6?8には、横3本(中央L1および上下L2A,L2B)および斜め2本(斜め右下がりL3A,斜め右上がりL3B)の入賞ラインが記されている。ゲーム開始に先立ち、遊技者がメダル投入口9に1枚のメダルを投入したときは、各リール3?5上にある中央の入賞ラインL1だけが図4(a)に示すように有効化される。また、2枚のメダルを投入口9に投入したときはこれに上下の入賞ラインL2A,L2Bが加わり、横3本の入賞ラインL1,L2AおよびL2Bが同図(b)に示すように有効化される。また、3枚のメダルを投入口9に投入したときは全ての入賞ラインL1,L2A,L2B,L3AおよびL3Bが同図(c)に示すように有効化される。
【0022】
なお、同図における丸印は各リール3?5上に描かれたシンボルを表している。このような入賞ラインの有効化は、各入賞ラインの端部に配置された有効化ライン表示ランプ23(図1参照)が点灯することにより、遊技者に表示される。
【0023】
また、表示窓6?8の下方左側には、1BETスイッチ10,2BETスイッチ11およびマックスBETスイッチ12が設けられている。クレジット数表示部13にメダルがクレジットされている場合には、メダル投入口9へのメダル投入に代え、これら1BETスイッチ10,2BETスイッチ11およびマックスBETスイッチ12の各押ボタン操作により、1回のゲームにそれぞれ1枚,2枚および3枚のメダルが賭けられる。クレジット数表示部13は、表示する数値の桁数に応じた個数の7セグメントLEDで構成されており、現在クレジットされているメダル数を表示する。
【0024】
これらBETスイッチ10?12の下方にはクレジット/精算切換スイッチ(C/Pスイッチ)14およびスタートレバー15が設けられており、スタートレバー15の右方の機器中央部には停止ボタン16,17,18が設けられている。C/Pスイッチ14の押しボタン操作により、メダルのクレジット/払い出し(PLAY CREDIT/PAY OUT)を切り換えることが出来る。
【0025】
スタートレバー15のレバー操作により、リール3,4,5の回転が一斉に開始する。停止ボタン16,17,18は、各リール3,4,5に対応して配置されている。各リール3?5の回転速度が一定速度に達したときに各停止ボタン16?18の操作が有効化され、各停止ボタン16?18は遊技者の押しボタン操作に応じて各リール3?5の回転を停止させる。
【0026】
また、スロットマシン1の正面下部には透音孔19およびメダル受皿20が設けられている。透音孔19は、機器内部に収納されたスピーカから発生した音を外部へ出すものである。メダル受皿20はメダル払出口21から払い出されるメダルを貯めるものである。また、スロットマシン1の正面上部には、各入賞に対してどれだけのメダルが払い出されるかが示されている配当表示部22が設けられている。
【0027】
また、各リール3,4,5の右方の前面パネル2には液晶表示部24が設けられている。この液晶表示部24は各リール3,4,5の回転表示をしたり、遊技履歴を表示したり、ボーナスゲーム中に演出を行ったりするディスプレイ装置である。
【0028】
図5は、本実施形態のスロットマシン1における遊技処理動作を制御する制御部と、これに電気的に接続された周辺装置(アクチュエータ)とを含む回路構成を示している。
【0029】
制御部はマイクロコンピュータ(以下、マイコンという)30を主な構成要素とし、これに乱数サンプリングのための回路を加えて構成されている。マイコン30は、予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPU31と、記憶手段であるROM32およびRAM33を含んで構成されている。CPU31には、基準クロックパルスを発生するクロックパルス発生回路34および分周器35と、一定範囲の乱数を発生させる乱数発生手段である乱数発生器36および発生した乱数の中から任意の乱数を抽出する乱数抽出手段である乱数サンプリング回路37が接続されている。
【0030】
マイコン30からの制御信号により動作が制御される主要なアクチュエータとしては、リール3,4,5を回転駆動する各ステッピングモータ55、メダルを収納するホッパ38、液晶表示部24、スピーカ39およびバックランプ57a?57cがある。これらはそれぞれモータ駆動回路40、ホッパ駆動回路41、表示駆動回路42、スピーカ駆動回路43およびランプ駆動回路48によって駆動される。これら駆動回路40?43,48は、マイコン30のI/Oポートを介してCPU31に接続されている。各ステッピングモータ55はモータ駆動回路40によって1-2相励磁されており、400パルスの駆動信号が供給されるとそれぞれ1回転する。
【0031】
また、マイコン30が制御信号を生成するために必要な入力信号を発生する主な入力信号発生手段としては、スタートレバー15の操作を検出するスタートスイッチ15Sと、メダル投入口9から投入されたメダルを検出する投入メダルセンサ9Sと、前述したC/Pスイッチ14とがある。また、ホトセンサ59、およびこのホトセンサ59からの出力パルス信号を受けて各リール3,4,5の回転位置を検出するリール位置検出回路44もある。
【0032】
ホトセンサ59は各リール3,4,5が一回転する毎に遮蔽板60を検出してリセットパルスを発生する。このリセットパルスはリール位置検出回路44を介してCPU31に与えられる。RAM33内には、各リール3?5について、一回転の範囲内における回転位置に対応した計数値が格納されており、CPU31はリセットパルスを受け取ると、RAM33内に形成されたこの計数値を“0”にクリアする。このクリア処理により、各シンボルの移動表示と各ステッピングモータ55の回転との間に生じるずれが、一回転毎に解消されている。
【0033】
さらに、上記の入力信号発生手段として、リール停止信号回路45と、払出し完了信号発生回路46とがある。リール停止信号回路45は、停止ボタン16,17,18が押された時に、対応するリール3,4,5を停止させる信号を発生する。また、メダル検出部47はホッパ38から払い出されるメダル数を計数し、払出し完了信号発生回路46は、このメダル検出部47から入力した実際に払い出しのあったメダル計数値が所定の配当枚数データに達した時に、メダル払い出しの完了を知らせる信号をCPU31へ出力する。
【0034】
ROM32には、このスロットマシン1で実行されるゲーム処理の手順がシーケンスプログラムとして記憶されている他、入賞確率テーブル,シンボルテーブルおよび入賞シンボル組合せテーブル等がそれぞれ区分されて格納されている。
【0035】
入賞確率テーブルは、サンプリング回路37で抽出された乱数を各入賞態様に区分けする乱数区分手段を構成しており、乱数発生器36で発生する一定範囲の乱数を各入賞態様に区画するデータを記憶している。このような入賞確率テーブルは例えば図6に示すように構成される。同図におけるa1?a3,b1?b3,c1?c3,d1?d3,e1?e3,f1?f3,g1?g3は予め設定された数値データであり、サンプリング回路37で抽出された乱数を各入賞態様に区画する際に用いられる。このデータは、投入メダル枚数が1枚の場合には「a1?g1」、2枚の場合には「a2?g2」、3枚の場合には「a3?g3」の各数値の組合せが用いられる。
【0036】
これら数値は通常「a<b<c<d<e<f<g」の大小関係に設定され、抽出された乱数値がa未満であれば大当たり入賞(大ヒット)となって「BB」当選フラグが立つ。また、抽出された乱数値がa以上b未満であれば中当たり入賞(中ヒット)となって「RB」当選フラグが立つ。また、抽出された乱数値がb以上f未満であれば小当たり入賞(小ヒット)となり、この場合、b以上c未満の場合には「スイカ」当選フラグが立ち、c以上d未満の場合には「ベル」当選フラグ、d以上e未満の場合には「4枚チェリー」当選フラグ、e以上f未満の場合には「2枚チェリー」当選フラグが立つ。また、抽出された乱数値がf以上g未満であれば「再遊技」当選フラグが立ち、g以上であれば入賞なしの「ハズレ」当選フラグが立つ。
【0037】
つまり、入賞態様は、サンプリングされた1つの乱数値がこのどの数値範囲に属するかによって決定され、「ハズレ」および「再遊技」を含めて合計8種類の当選フラグによって表される。ここで、乱数発生器36,サンプリング回路37,入賞確率テーブルおよびマイコン30は入賞態様決定手段を構成している。各種のヒットはこのような入賞確率テーブルのデータ設定に応じた確率の下で発生するため、遊技者の技量に極端に左右されることなく、例えば1日の営業時間内でのトータル的なメダル支払い率がほぼ一定に維持されている。
【0038】
また、シンボルテーブルは図7に概念的に示される。このシンボルテーブルは各リール3?5の回転位置とシンボルとを対応づけるものであり、シンボル列を記号で表したものである。このシンボルテーブルにはコードナンバに対応したシンボルコードが各リール3?5毎に記憶されている。コードナンバは、前述したリセットパルスが発生する回転位置を基準として各リール3?5の一定の回転ピッチ毎に順次付与されている。シンボルコードはそれぞれのコードナンバ毎に対応して設けられたシンボルを示している。
【0039】
また、入賞シンボル組合せテーブルには、配当表示部22に示される各入賞シンボル組合せのシンボルコードや、特定ゲーム発生のフラグが成立していることを遊技者に示唆する「リーチ目」を構成するシンボル組合せのシンボルコード、各入賞を表す入賞判定コード、入賞メダル配当枚数等が記憶されている。この入賞シンボル組合せテーブルは、第1リール3,第2リール4、第3リール5の停止制御時、および全リール停止後の入賞確認を行うときに参照される。
【0040】
次に、本実施形態においてマイコン30で制御される遊技機の動作について説明する。
【0041】
図8および図9はこの遊技処理の概略を示すフローチャートである。
【0042】
まず、CPU31により、メダルBETがなされたかどうかが判別される(図8,ステップ101参照)。この判別は、メダル投入口9にメダルが投入され、メダルセンサ9Sからの検出信号入力があった場合、あるいはBETスイッチ10,11,12からの信号入力があった場合に“YES”となる。その場合、次にスタートレバー15の操作によりスタートスイッチ15Sからのスタート信号入力があったか否かが判別される(ステップ102)。
【0043】
この判別が“YES”の場合、前述した入賞態様決定手段によって入賞判定(確率抽選処理)が行われる(ステップ103)。入賞判定が行われるタイミングは、図10(e)のタイミングチャートに示され、同図(d)に示すスタートレバー15の操作時に行われる。前述したように入賞判定は、乱数発生器36で発生し、サンプリング回路37によって特定された1つの乱数値が、入賞確率テーブルにおいてどの入賞グループに属する値になっているか判断されることによって行われる。
【0044】
入賞態様決定手段で決定された入賞態様は当選フラグの種類によって表される。当選フラグの種類には「ハズレ」,「2枚チェリー」,「4枚チェリー」,「ベル」,「スイカ」,「再遊技」,「RB」および「BB」の8種類がある。これら当選フラグのうち、「2枚チェリー」,「4枚チェリー」,「ベル」および「スイカ」の各フラグは、内部抽選の結果小当たり入賞に当選した場合に立つ。また、「RB」フラグは内部抽選の結果中当たり入賞に当選した場合、「BB」フラグは内部抽選の結果大当たり入賞に当選した場合に立つ。
【0045】
小当たり入賞当選フラグはその回の遊技においてだけ有効であり、新たなメダル投入によって行われる次回の遊技には持ち越されない。つまり、小当たり入賞態様は、入賞態様決定手段によって小当たり当選フラグがセットされたその遊技において完結する。これに対してRB当選フラグやBB当選フラグは数回の遊技にわたって持ち越される。つまり、中当たり入賞や大当たり入賞といったボーナス入賞態様は、入賞態様決定手段によってRB当選フラグやBB当選フラグが一旦セットされると、通常、RB入賞やBB入賞が発生するまでその遊技状態(RB内部当たり中やBB内部当たり中)が続く。そして、RB入賞が発生すると遊技状態はRB作動中になって後述するRBゲームが行われ、BB入賞が発生すると遊技状態はBB作動中になって後述するBBゲームが行われる。
【0046】
次に、この入賞判定の結果、小当たり入賞当選フラグが立ったか否かが判断される(ステップ104)。小当たり入賞当選フラグが立っている場合には、次に、小当たり当選報知音出力処理(ステップ105)が行われる。また、小当たり入賞当選フラグが立っていない場合には、処理は後述するステップ106に移る。ステップ105の報知音出力処理では、スピーカ駆動回路43がCPU31によって制御され、スピーカ39から小当たり入賞当選フラグの種類に応じた報知音A?Dが出力させられる。
【0047】
つまり、小当たり入賞当選フラグが「2枚チェリー」の場合にはスピーカ39から報知音Aが出力され、「4枚チェリー」,「ベル」および「スイカ」の場合にはそれぞれ報知音B,CおよびDがスピーカ39から出力される。これら報知音は機器前面下方の透音孔19を通って遊技者に伝えられる。ここで、スピーカ駆動回路43,スピーカ39およびマイコン30は小当たり入賞当選を報知する報知手段を構成している。小当たり当選報知音A?Dが出力されるタイミングは図10(a)に示され、同図(e)に示す抽選タイミング直後から時間t1の間出力される。
【0048】
次に、リール3,4,5の回転処理が行われ(ステップ106)、引き続いてリール3,4,5の停止制御が行われる(ステップ107)。このリール停止制御は入賞判定の結果セットされた当選フラグの種類に応じて行われる。つまり、当選フラグが「ハズレ」の場合には、CPU31によってモータ駆動回路40が制御され、いずれの有効化入賞ライン上にも入賞シンボル組合せが揃わないように各リール3?5が停止制御される。
【0049】
また、当選フラグが「2枚チェリー」の場合には、CPU31によってモータ駆動回路40が制御され、いずれかの有効化入賞ライン上にシンボル「チェリー」の組合せが揃うように各リール3?5が停止制御される。また、当選フラグが「4枚チェリー」の場合には、2本の有効化入賞ライン上にシンボル「チェリー」の組合せがそれぞれ揃うように各リール3?5が停止制御される。また、当選フラグが「ベル」,「スイカ」の場合には、いずれかの有効化入賞ライン上にシンボル「ベル」,「スイカ」の組合せが揃うように各リール3?5が停止制御される。
【0050】
また、当選フラグが「RB」,「BB」の場合には、いずれかの有効化入賞ライン上にシンボル「7」または所定のキャラクタ・シンボルの組合せが揃うように各リール3?5が停止制御される。
【0051】
しかし、これら停止制御は機械によって全て行われるのではなく、遊技者による各停止ボタン16?18の操作タイミングも問われる。つまり、内部抽選の結果入賞当選フラグが立っていても、遊技者によって停止ボタン16?18が所定タイミングに操作されないと、有効化入賞ライン上に入賞シンボル組合せは揃わず、入賞は発生しない。
【0052】
このため、次に、リール停止時の表示が所定の入賞シンボル組合せであるか否かが、入賞シンボル組合せテーブルを参照して判断される(ステップ108)。入賞が得られなかったときには“NO”となって処理は初めのステップ101に戻る。また、入賞判定の結果リプレイゲーム(再遊技)であるときは、処理はステップ102のスタートレバー15の操作待ち処理に戻る(ステップ109)。リプレイゲームでない入賞のときには、CPU31によってホッパ駆動回路41が制御され、所定枚数のメダルがホッパ38によってコイン受け皿20へ払い出される(図9,ステップ110)。
【0053】
例えば、「2枚チェリー」の小当たり入賞の場合には2枚のメダルが払い出され、「4枚チェリー」の小当たり入賞の場合には4枚のメダルが払い出される。また、「ベル」の小当たり入賞の場合には6枚のメダル、「スイカ」の小当たり入賞の場合には8枚のメダルが払い出される。また、「BB」,「RB」の大当たり入賞の場合にはそれぞれ15枚のメダルが払い出される。
【0054】
次に、BBゲームが発生したか否かが判断され(ステップ111)、BBゲームが発生している場合にはBBゲームが実行される(ステップ112)。このBBゲームでは一般遊技およびボーナスゲームのセットを複数回行うことが出来る。BBゲーム中の一般遊技では小当たり入賞が高確率で発生する。また、ボーナスゲームは複数回の高配当ゲームが一組となったゲームである。BBゲーム中のこの一般遊技においても、内部抽選によって小当たり入賞の当選フラグが立った場合には、その入賞態様に応じた報知音が上述したようにスピーカ39から出力される。
【0055】
BBゲームが発生していない場合には、次にRBゲームが発生したか否かが判断され(ステップ113)、RBゲームが発生している場合にはRBゲームが実行される(ステップ114)。このRBゲームでは上記のボーナスゲームが1回行える。従って、小当たり入賞では上記のように僅かなメダルしか獲得することが出来ないが、RBゲームやBBゲームではこのように多数回の遊技が行えるため、通常、大量のメダルを獲得することが可能である。
【0056】
その後、上述した処理が繰り返されてスロットマシン遊技が行われる。この際、スタートレバー15は時間t2例えば4.1秒の間隔をおいて操作する必要がある。例えば、図10(d)に示すように前回のスタートレバー操作から時間t2以内に次のレバー操作をすると、リール回転不可音が同図(b)に示すタイミングでスピーカ39から出力される。ここで同図(c)は前回の遊技において最後に停止するリールの回転状態を示しており、このリールは前回遊技の回転開始時から時間t2経過後に回転し出す。このような場合には、次の遊技の小当たり入賞当選報知音も時間t2経過後から出力される。
【0057】
このような本実施形態によれば、遊技者は、スピーカ39から出力される報知音A?Dを聞くことにより、内部抽選によって小当たり入賞が発生したことを、各停止ボタン16?18の操作をする前に予め知ることが出来る。従って、停止ボタン16?18の操作は、配当表示部22に示されている小当たり入賞図柄を停止表示させるように狙って行うことが出来る。もしも、この小当たり入賞当選報知が行われない場合、遊技者は各リール3?5にどの図柄を停止表示させたらよいか分からないが、本実施形態によれば停止表示させる図柄の種類を絞り込むことが出来、停止ボタン操作は容易になる。
【0058】
さらに本実施形態では、小当たり入賞当選報知手段は、小当たり入賞の態様と1対1に対応した複数の音A?Dを発生させ、小当たり入賞の種類をも遊技者に報知する構成になっている。このため、小当たり入賞の中のどの小当たり入賞が当選したかを予め知ることが出来、停止ボタン16?18の操作は最初からその入賞図柄だけを停止表示させるように狙って行える。従って、停止ボタン操作はより容易に行える。
【0059】
また、小当たり入賞当選フラグが立つと報知音A?Dが鳴るため、遊技者はその音を楽しむことも出来るようになる。例えば、報知音Aを「パオー」といった象の叫び声,報知音Bを「ガオー」といった虎の叫び声というように、各報知音を動物の叫び声などにしたりすることにより、報知音の面白味も増し、スロットマシン遊技の興趣は向上する。
【0060】
なお、上記実施形態では、内部抽選当選報知音を小当たり入賞の各種類に1対1に対応させて複数種類出力させる構成としたが、必ずしも1対1に対応させる必要はない。例えば、報知音をA,Bの2種類とし、入賞態様決定手段で小当たり入賞が決定された場合に報知音Aをスピーカ39から出力し、大当たり入賞が決定された場合に報知音Bをスピーカ39から出力する構成としてもよい。この場合には、報知音A,Bの違いから小当たり入賞の当選フラグが立ったことを知ることが出来る。ただし、小当たり入賞の種類については知ることが出来ない。
【0061】
本構成によっても、内部抽選によって小当たり入賞当選フラグが立ったことを予め知ることが出来、各リール3?5に停止表示させる図柄の種類を絞り込むことが出来る。従って、停止ボタン操作は容易になり、また、報知音を楽しむことも出来る。
【0062】
次に、本発明による遊技機をスロットマシンに適用した第2の実施形態について説明する。
【0063】
本実施形態によるスロットマシンの構成は上記の第1の実施形態によるスロットマシンの構成と次の各点が相違しており、これら以外の構成は上記実施形態によるスロットマシンと同じである。
【0064】
つまり、上記実施形態によるスロットマシンでは確率抽選処理(図8,ステップ103)で小当たり入賞が抽選されると、この小当たり入賞が報知手段によって必ず遊技者に報知された。しかし、本実施形態によるスロットマシンでは、確率抽選処理で小当たり入賞が抽選されても、必ずしもこの小当たり入賞が報知されるとは限らない。また、入賞態様決定手段で小当たり入賞以外の入賞態様が決定されても、小当たり入賞が予兆報知される場合がある。また、上記実施形態ではスピーカ39によって報知手段が構成されていたが、本実施形態では各リール3?5の各バックランプ57a?57cによって報知手段が構成されている。
【0065】
以下にこの本実施形態によるスロットマシンについて詳述する。
【0066】
本実施形態によるスロットマシンでは、ROM32に入賞態様報知選択抽選確率テーブルが記憶されている。この報知選択抽選確率テーブルは入賞態様決定手段で決定された入賞態様を所定確率で遊技者に報知する際に参照される。
【0067】
図11に例示する報知選択抽選確率テーブルは、図6に示す入賞確率テーブルにおける3枚賭けの確率テーブルに対応して示されている。つまり、この報知選択抽選確率テーブルの上段には、図6に示す3枚賭け時のヒット区画データである数値データa3?g3の各値が示されている。また、下段には3枚賭け一般遊技時の報知区画データの各位が示されている。ここで、乱数発生器36は0?65535(=216)の範囲の乱数を発生するものとしている。
【0068】
同テーブルによれば、入賞判定時に0?200の範囲にある乱数がサンプリング回路37によって抽出されれば、内部抽選結果は大当たり入賞となって「BB」当選フラグが立ち、201?380の範囲にある乱数がサンプリング回路37によって抽出されれば、内部抽選結果は中当たり入賞となって「RB」当選フラグが立つ。同様に、381?10000の範囲にある乱数が抽出されれば、各役の小当たり入賞当選フラグが立ち、10001?18000の範囲にある乱数が抽出されれば、「再遊技」当選フラグが立ち、18001?65535の範囲にある乱数が抽出されれば、「ハズレ」当選フラグが立つ。
【0069】
また、入賞判定時にサンプリング回路37によって381?770または20381?20800の範囲にある乱数が抽出されていれば、「スイカ」当選フラグの予兆報知が行われる。つまり、381?770の範囲にある乱数が抽出されて「スイカ」当選フラグが立った場合には、「スイカ」当選フラグの入賞態様報知が行われる。また、20381?20800の範囲にある乱数が抽出されて「ハズレ」当選フラグが立っている場合にも、この「スイカ」当選フラグの入賞態様報知が行われる。一方、771?800の範囲にある乱数が抽出されて「スイカ」当選フラグが立っていても、この範囲の乱数は「スイカ」当選フラグ報知区画データの範囲外であるため、「スイカ」当選フラグの入賞態様報知は行われない。
【0070】
すなわち、「スイカ」当選フラグの入賞態様報知が行われても、必ずしも内部抽選によって「スイカ」当選フラグが立っているとは限らず、また、「スイカ」当選フラグの入賞態様報知が行われていなくても、内部抽選によって「スイカ」当選フラグが立っていないとは限らない。「スイカ」当選フラグの入賞態様報知は所定の信頼度の下で行われており、図11に示すテーブルの場合には、「スイカ」当選フラグが立っている場合にこの入賞態様報知が行われる確率は390/810で約48%{(381?770の390)/(381?770の390と20381?20800の420との和)}になっている。また、「スイカ」当選フラグが立っていない場合にこの入賞態様報知が行われる確率は420/810で約52%になっている。この結果、入賞態様報知は約52%の確率ではずれることになる。
【0071】
このような入賞態様報知は小当たり入賞の他の各当選フラグや、大当たり,中当たり入賞の「BB」,「RB」当選フラグや、「再遊技」当選フラグについても同様に行われる。ただし、入賞態様報知の信頼度は全ての役において一率である必要はなく、メダル投入枚数や遊技状態によって異ならせてもよい。例えば、図11に示すテーブルでは、「ベル」当選フラグの報知が当たっている確率は1000/1100で約91%であり、この報知がはずれている確率は100/1100で約9%である。
【0072】
次に、本実施形態による遊技処理について図12に示すフローチャートおよび図13に示すタイミングチャートを参照して説明する。
【0073】
同フローチャートのステップ121?123は第1の実施形態の図8に示すフローチャートの101?103と同じであり、まず、CPU31によってメダルBETの有無が判別される(ステップ121)。メダルBETが有った場合には次にスタートレバー15の操作が有ったか否かが判別され(ステップ122)、この操作が有った場合には、前述した確率抽選処理(ステップ123)によって入賞態様が決定される。次に、リール3,4,5の回転処理が行われる(ステップ124)。
【0074】
スタートレバー15の操作が図13(h)に示すタイミングで行われると、各リール3?5は同図(a),(b),(c)に示すようにスタートレバー15の操作に応じて一斉に回転し出す。また、ステップ123の確率抽選処理は同図(i)に示すタイミングで行われ、スタートレバー15の操作時に行われる。
【0075】
次に、この確率抽選処理に引き続き、入賞態様の報知選択抽選処理が行われる(ステップ125)。この報知選択抽選タイミングは図13(j)に示すタイミングで行われ、スタートレバー15の操作直後に行われる。上述したように入賞態様の報知選択抽選処理は、図11に例示する報知選択抽選確率テーブルを用いて行われ、入賞判定時にサンプリング回路37によって特定された1つの乱数値が、この確率テーブルの報知区画データのどの区画に属する値になっているか判断されることによって行われる。この報知選択抽選結果もRAM33の所定領域に書き込まれ、入賞態様が予兆として報知される場合にはステップ125で報知フラグがセットされる。セットされるこの報知フラグは、報知する入賞態様の種類をも表すものとする。
【0076】
次に、この報知選択抽選処理によって小当たり入賞報知フラグが立ったか否か、つまり、サンプリングされた乱数値が小当たり入賞報知区画データに属する値か否かが判断される(ステップ126)。サンプリングされた乱数値が小当たり入賞報知区画データに属し、小当たり入賞報知フラグが立っている場合には、次に、リールランプ点灯制御処理(ステップ127)が行われる。また、小当たり入賞報知フラグが立っていない場合には、処理はステップ128に移る。
【0077】
前述した第1の実施形態では、小当たり入賞予兆報知の際に参照されるフラグは小当たり入賞当選フラグであったが、本実施形態では予兆報知の際に小当たり入賞報知フラグが参照される。従って、上述したように、小当たり入賞は所定の信頼度の下で報知され、その報知が当たっている場合もあり、外れている場合もある。さらに、入賞態様決定手段でハズレ入賞態様が決定された場合にも、小当たり入賞予兆報知が行われる場合がある。
【0078】
ステップ127のリールランプ点灯制御処理では、ランプ駆動回路48がCPU31によって制御され、第1リール3の各バックランプ57a?57cが小当たり入賞報知フラグの種類に応じて点灯制御される。ここで、ランプ駆動回路48,各バックランプ57a?57cおよびマイコン30は小当たり入賞を予兆報知する報知手段を構成している。また、各リール3?5に内蔵された各バックランプ57a?57cはメダル投入時に一斉に点灯している。
【0079】
例えば、「2枚チェリー」小当たり入賞予兆報知フラグがセットされている場合には、図13(j)に示す報知選択抽選タイミングに対応した同図(g)に示すタイミングで、第1リール3の上段のバックランプ57aだけが図14(a)に示すように消灯される。この際、第1リール3並びに第2リール4および第3リール5は回転し続けている。また、「4枚チェリー」小当たり入賞予兆報知フラグがセットされている場合には、報知選択抽選タイミングに応じた同様なタイミングで、第1リール3の中断のバックランプ57bだけが同図(b)に示すように消灯される。また、「ベル」小当たり入賞予兆報知フラグがセットされている場合には、報知選択抽選タイミングに応じたタイミングで、第1リール3の下段のバックランプ57cだけが同図(c)に示すように消灯される。また、「スイカ」小当たり入賞予兆報知フラグがセットされている場合には、報知選択抽選タイミングに応じたタイミングで、第1リール3の全てのバックランプ57a?57cが同図(d)に示すように消灯される。
【0080】
その後、リール3,4,5の停止制御が行われる(ステップ128)。このリール停止は、例えば図13(d),(e),(f)に示すタイミングで行われ、第1リール停止ボタン16,第2リール停止ボタン17,第3リール停止ボタン18の各ボタン操作後に行われる。なお、ここでは便宜上、第1リール停止ボタン16,第2リール停止ボタン17,第3リール停止ボタン18がこの順番に操作され、各リール3?5が第1リール3,第2リール4,第3リールの順番で停止する場合について説明している。しかし、各リール3?5の停止順序はこれに限定されるものではなく、例えば、第1リール停止ボタン16,第3リール停止ボタン18,第2リール停止ボタン17のように、ランダムな操作順序により停止するようにしてもよい。
【0081】
次に、リール停止時の表示が所定の入賞シンボル組合せであるか否かが、入賞シンボル組合せテーブルを参照して判断される(ステップ129)。入賞が得られなかったときには処理は初めのステップ121に戻り、また、入賞判定の結果リプレイゲームであるときは、処理はステップ122のスタートレバー15の操作待ち処理に戻る(ステップ130)。
【0082】
その後の処理は、第1の実施形態で説明した図9に示すフローチャートのステップ110?114に従って同様に行われる。
【0083】
このような本実施形態によれば、遊技者は、スタートレバー15の操作時に通常点灯している各リール3?5のバックランプ57a?57cのうち、第1リール3のバックランプ57a?57cが消灯するのを視認することにより、小当たり入賞の予兆報知が行われたことを知ることが出来る。従って、各停止ボタン16?18の操作をする前に小当たり入賞が予兆報知されるため、停止ボタン16?18の操作は、配当表示部22に示されている小当たり入賞図柄を停止表示させるように狙って行うことが出来る。
【0084】
さらに本実施形態では、報知手段は、小当たり入賞の態様と1対1に対応した4つの態様で第1リール3の各バックランプ57a?57cを点灯制御し、小当たり入賞の種類をも遊技者に予兆報知する構成になっている。このため、小当たり入賞の中のどの小当たり入賞が当選した確率が高いかを遊技者は予め知ることが出来、停止ボタン16?18の操作は最初からその入賞図柄だけを停止表示させるように狙って行える。また、各バックランプ57a?57cが種々の態様で点灯するため、遊技者はこの表示態様を楽しむことも出来る。
【0085】
また、小当たり入賞態様の報知は、全ての内部抽選結果に対して行われるのではなく、報知選択抽選確率テーブル(図11参照)に示すような所定確率で行われる。また、入賞態様決定手段で決定された入賞態様と異なる入賞態様が所定確率で報知される場合もある。従って、小当たり入賞態様は遊技者に報知される場合もあり、報知されない場合もある。よって、遊技者によって小当たり入賞態様の報知が期待されるようになり、報知があった場合にはその喜びも増し、遊技の興趣は向上する。
【0086】
なお、上記実施形態の説明においては、第1リール3の各バックランプ57a?57cを個別に点灯制御して小当たり入賞態様の種類を報知する構成としたが、各リール3?5毎に各バックランプ57a?57cを同時に点灯制御して小当たり入賞態様の種類を報知する構成としてもよい。例えば、「2枚チェリー」小当たり入賞予兆報知の場合には第1リール3の各バックランプ57a?57cを3個同時に消灯させ、「4枚チェリー」小当たり入賞予兆報知の場合には第2リール4の各バックランプ57a?57cを3個同時に消灯させる。また、「ベル」小当たり入賞予兆報知の場合には第3リール5の各バックランプ57a?57cを3個同時に消灯させ、「スイカ」小当たり入賞予兆報知の場合には各リール3?5の全バックランプ57a?57cを同時に消灯させる。
【0087】
また、上記実施形態の説明においては、報知手段は、入賞態様決定手段で「ハズレ」入賞態様が決定されたときにも小当たり入賞態様の予兆報知をする構成について説明したが、小当たり入賞以外の入賞態様が決定されたときには小当たり入賞態様の予兆報知をせず、小当たり入賞態様が決定されたときにだけこれを所定確率で予兆報知する構成としてもよい。
【0088】
また、前述した第1の実施形態では、小当たり入賞態様およびその種類を、スピーカ39から出力される複数の音によって報知する構成として説明したが、上記の第2実施形態と同様に、各バックランプ57a?57cを複数の態様で点灯制御して報知する構成とすることも可能である。また、前述した第1の実施形態では小当たり入賞当選フラグが立つと必ず複数の音で予兆報知する構成について説明したが、第2の実施形態で説明したような報知選択抽選確率テーブル(図11参照)を使用して、所定確率で小当たり入賞の予兆報知をする構成としてもよい。
【0089】
次に、本発明による遊技機をスロットマシンに適用した第3の実施形態について説明する。
【0090】
本実施形態によるスロットマシンの構成は上述した第2の実施形態によるスロットマシンの構成と次の各点が相違しており、これら以外の構成は上述した第2の実施形態によるスロットマシンと同じである。つまり、この第3の実施形態によるスロットマシンは、第2の実施形態と比較し、報知選択抽選処理(図12,ステップ125)およびリールランプ点灯制御処理(ステップ127)の各内容が異なっている。これに伴い、制御回路のROM32に記憶されているテーブルも異なっている。
【0091】
第2の実施形態によるスロットマシンでは、報知選択抽選処理は、報知選択確率抽選テーブル(図11参照)が参照されて報知する入賞態様が選択され、この入賞態様に応じた報知情報が選択されて予兆報知が行われた。しかし、この第3の実施形態によるスロットマシンの報知選択抽選処理は、後述するように、デモ抽選テーブル選択テーブルが参照され、遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルが選択される。さらに、選択されたデモ抽選テーブルが参照され、抽選乱数に応じて報知情報が選択されて予兆報知が行われる。
【0092】
また、第2の実施形態によるスロットマシンでは、リールランプ点灯制御処理は、第1リール3の各バックランプ57a?57cが個別に点灯制御されて行われた。しかし、この第3の実施形態によるスロットマシンでは、後述するように、各リール3?5毎に各バックランプ57a?57cが同時に点灯制御されて行われる。
【0093】
以下にこの第3の実施形態によるスロットマシンについて詳述する。
【0094】
本実施形態によるスロットマシンでは、図15に示すデモ抽選テーブル選択テーブルおよび図16?図18に示すデモ抽選テーブルがROM32に記憶されている。デモ抽選テーブル選択テーブルおよびデモ抽選テーブルは、入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて報知手段が点灯制御するリールバックランプ消灯パターンの種類を選択する報知態様選択手段を構成している。
【0095】
デモ抽選テーブル選択テーブルは、遊技状態および当選フラグからNo.0?No.17のデモ抽選テーブルを選択するためのものである。遊技状態は図19(a)に示す遊技状態ステータス(GMLVSTS)格納領域を参照することによって判明する。このGMLVSTS格納領域はRAM33中に1バイトのデータとして記憶されている。ビット0?4には遊技状態が記憶されており、データが1にセットされてオンになっている遊技状態がその時の遊技状態である。遊技状態の種類にはGMLVSTSに示されるように「RB作動中」,「BB作動中」,「一般遊技中」,「RB内部当たり中」および「BB内部当たり中」の5種類がある。
【0096】
当選フラグは図19(b)に示すフラグカウンタ(FLGCTR)格納領域を参照することによって判明する。このFLGCTR格納領域もRAM33中に1バイトのデータとして記憶されている。16進数の00?07の1バイトデータにより、その時の当選フラグが示されている。
【0097】
例えば、GMLVSTSのビット2のデータが1(04H)にセットされ、FLGCTRのデータが02Hであれば、遊技状態は一般遊技中で当選フラグは4枚チェリーになる。従って、その時のデモ抽選テーブルは、デモ抽選テーブル選択テーブルからNo.2のデモ抽選テーブルになる。このNo.2のデモ抽選テーブルは図16に示され、同テーブルに示される抽選値を使った後述する抽選により、リールランプ消灯パターンの種類が選択される。例えば、No.2のデモ抽選テーブルで抽選値49の欄の組合せが選択されると、リールランプ消灯パターンはパターン2になる。
【0098】
また、遊技状態ステータスが一般遊技中でフラグカウンタが4枚チェリーの上記の場合において、No.2のデモ抽選テーブルで最下欄の抽選値30の欄の組合せが選択されると、リールランプ消灯パターンはパターン3になる。また、GMLVSTSのビット2のデータが1にセットされ、FLGCTRのデータが04Hであれば、遊技状態は一般遊技中で当選フラグはスイカになる。この時のデモ抽選テーブルは、デモ抽選テーブル選択テーブルからNo.4のデモ抽選テーブルになる。
【0099】
このNo.4のデモ抽選テーブルも図16に示され、同テーブルから抽選値14の欄が抽選によって選択されると、この時の演出態様組合せも、リールランプ消灯パターンはパターン3になる。つまり、異なる当選フラグが成立するゲームにおいても、予兆報知パターン決定用乱数の値によっては、同一の予兆報知パターンが出現する可能性がある。
【0100】
このようにして当選フラグの種類は、その時の遊技状態によって定まるリールランプ消灯パターンの種類によって遊技者に報知されるが、その信頼度は一様ではない。例えば、一般遊技中における4枚チェリーフラグ当選の予兆報知が上記のように行われたとしても、その時に必ずしも4枚チェリーフラグが当選しているとは限らない。つまり、一般遊技中に4枚チェリーフラグが当選している際にその予兆報知が行われる確率はX(=0?100)%であり、また、一般遊技中に4枚チェリーフラグが当選していないのにその予兆報知が行われる確率は(100-X)%である。
【0101】
また、第2の実施形態と同様に本実施形態においても、ランプ駆動回路48、バックランプ57a?57cおよびマイコン30は、各リール3?5の表示を演出して入賞態様を所定確率で遊技者に報知する報知手段を構成している。この報知手段によって演出される表示態様には5種類ある。
【0102】
第1の表示態様は「リールランプ消灯パターンなし」の表示態様であり、報知手段は、スタートレバー15の操作直後に各リール3?5の各バックランプ57a?57cを消灯せずに点灯したままの状態にする。第2の表示態様は図20(a)に示す「リールランプ消灯パターン1」の表示態様であり、スタートレバー15の操作直後に第1リール3の各バックランプ57a?57cが消灯する。第3の表示態様は同図(b)に示す「リールランプ消灯パターン2」の表示態様であり、スタートレバー15の操作直後に第2リール4の各バックランプ57a?57cが消灯する。第4の表示態様は同図(c)に示す「リールランプ消灯パターン3」の表示態様であり、スタートレバー15の操作直後に第3リール5の各バックランプ57a?57cが消灯する。第5の表示態様は同図(d)に示す「リールランプ消灯パターン4」の表示態様であり、スタートレバー15の操作直後に全リール3?5の各バックランプ57a?57cが消灯する。
【0103】
なお、各リール3?5に内蔵された各バックランプ57a?57cはメダル投入時に一斉に点灯している。
【0104】
「リールランプ消灯パターンなし」の表示態様は、デモ抽選テーブル選択テーブルでフラグカウンタが「はずれ」になり、デモ抽選テーブルNo.17が選択される場合や、フラグカウンタが「リプレイ」になり、デモ抽選テーブルNo.0が選択される場合に高い確率で現れる。また、「リールランプ消灯パターン1」の表示態様は、「2枚チェリー」小当たり入賞に対応しており、デモ抽選テーブル選択テーブルでフラグカウンタが「2枚チェリー」になり、デモ抽選テーブルNo.1,No.5,No.9,No.13が選択される場合に高い確率で現れる。また、「リールランプ消灯パターン2」の表示態様は、「4枚チェリー」小当たり入賞に対応しており、デモ抽選テーブル選択テーブルでフラグカウンタが「4枚チェリー」になり、デモ抽選テーブルNo.2,No.6,No.10,No.14が選択される場合に高い確率で現れる。
【0105】
また、「リールランプ消灯パターン3」の表示態様は、「ベル」小当たり入賞に対応しており、デモ抽選テーブル選択テーブルでフラグカウンタが「ベル」になり、デモ抽選テーブルNo.3,No.7,No.11,No.15が選択される場合に高い確率で現れる。また、「リールランプ消灯パターン4」の表示態様は、「スイカ」小当たり入賞に対応しており、デモ抽選テーブル選択テーブルでフラグカウンタが「スイカ」になり、デモ抽選テーブルNo.4,No.8,No.12,No.16が選択される場合に高い確率で現れる。
【0106】
本実施形態による遊技処理も、上述した第2の実施形態で用いられた図12に示すフローチャートおよびこれに続く図9に示すフローチャートと同様に表される。次に、これらフローチャートおよび図13に示すタイミングチャートを参照して本実施形態による遊技処理について説明する。
【0107】
本実施形態においても、まず、CPU31によってメダルBETの有無が判別される(図12,ステップ121)。メダルBETが有った場合には次にスタートレバー15の操作が有ったか否かが判別され(ステップ122)、この操作が有った場合には、前述した確率抽選処理(ステップ123)によって入賞態様が決定される。次に、リール3,4,5の回転処理が行われる(ステップ124)。
【0108】
次に、入賞態様の報知選択抽選処理が行われる(ステップ125)。この報知選択抽選タイミングは前述したように図13(j)に示すタイミングで行われ、スタートレバー15の操作直後に行われる。この報知選択抽選処理は、図21に示すフローチャートに従って行われる。
【0109】
まず、RAM33に格納されたGMLVSTS領域(図19(a)参照)が参照され、その時の遊技状態が把握される(図21、ステップ201)。次に、FLGCTR領域に格納されたデータが参照され、当選フラグの種類が把握される(ステップ202)。次に、その時の遊技状態および当選したフラグの種類から、デモ抽選テーブル選択テーブル(図15参照)を参照してNo.0?No.17のうちのいずれか1つのデモ抽選テーブルが選択される(ステップ203)。次に、RAM33を一定時間間隔でリフレッシュするためのカウンタから任意のタイミングでカウント値Cが抽出される(ステップ204)。
【0110】
このカウント値Cは0?127の範囲で変化しており、抽出されたこのカウント値Cを用いて報知態様選択のための乱数抽選が行われる。つまり、このカウント値Cから、ステップ203で選択されたデモ抽選テーブルにおける最上段の抽選値Rが減算され、減算結果A(=C-R)の正負が判断される(ステップ205)。減算結果Aが負にならない場合には、次にテーブルの次段の抽選値が抽選値Rにセットされ(ステップ206)、その後A-Rの減算が行われてその結果A(=A-R)の正負が判断される(ステップ207)。この演算は減算結果Aが負になるまで行われ、負になった場合にはその抽選値Rの欄のリールランプ消灯パターンが予兆報知される演出態様に選択される(ステップ208)。
【0111】
例えば、一般遊技中に4枚チェリーフラグが当選した場合には上述したようにNo.2のデモ抽選テーブルが選択されるが、この際の表示態様の選択抽選処理は次のように行われる。まず、ステップ204でリフレッシュ・カウンタ値Cとして15が抽出されたとすると、ステップ205のC-Rの減算は、抽選値Rに最上段の抽選値3がまずセットされ、減算結果A=15-3=12になる。この減算結果Aは正であるため、次にテーブルの次段の抽選値10が抽選値Rにセットされ、減算結果A=12-10=2の正負が判断される。この減算結果Aも正であるため、次にテーブルの次段の抽選値5が抽選値Rにセットされ、減算結果A=2-5=-3の正負が判断される。この減算結果Aは負であるため、抽選値5の欄のリールランプ消灯パターン1が予兆報知態様に選択される。
【0112】
この報知選択抽選結果はRAM33の所定領域に書き込まれ、ステップ125で報知フラグがセットされる。ここで、予兆報知態様として「リールランプ消灯パターンなし」が選択された場合には、報知フラグはセットされない。また、予兆報知態様として「リールランプ消灯パターン1」が選択された場合には、「2枚チェリー」小当たり入賞報知フラグがセットされ、予兆報知態様として「リールランプ消灯パターン2」が選択された場合には、「4枚チェリー」小当たり入賞報知フラグがセットされる。また、予兆報知態様として「リールランプ消灯パターン3」が選択された場合には、「ベル」小当たり入賞報知フラグがセットされ、予兆報知態様として「リールランプ消灯パターン4」が選択された場合には、「スイカ」小当たり入賞報知フラグがセットされる。
【0113】
次に、この報知選択抽選処理によって小当たり入賞報知フラグが立ったか否かが判断される(図12,ステップ126)。この小当たり入賞報知フラグが立っている場合には、次に、リールランプ点灯制御処理(ステップ127)が行われる。また、小当たり入賞報知フラグが立っていない場合には、処理はステップ128に移る。
【0114】
ステップ127のリールランプ点灯制御処理では、ランプ駆動回路48がCPU31によって制御され、各リール3?5の各バックランプ57a?57cが入賞報知フラグの種類に応じて点灯制御される。
【0115】
例えば、予兆報知フラグが「2枚チェリー」小当たり入賞としてセットされている場合には、図13(j)に示す報知選択抽選タイミングに対応した同図(g)に示すタイミングで、第1リール3の各バックランプ57a?57cが図20(a)に示すように消灯される。この際、第1リール3並びに第2リール4および第3リール5は回転し続けている。上述したようにこの表示態様は「リールランプ消灯パターン1」に対応しており、「2枚チェリー」小当たり時に高い確率で現れる。また、予兆報知フラグが「4枚チェリー」小当たり入賞としてセットされている場合には、報知選択抽選タイミングに対応した同様なタイミングで、第2リール4の各バックランプ57a?57cが図20(b)に示すように消灯される。この表示態様は「リールランプ消灯パターン2」に対応しており、「4枚チェリー」小当たり時に高い確率で現れる。
【0116】
また、予兆報知フラグが「ベル」小当たり入賞としてセットされている場合には、報知選択抽選タイミングに対応した同様なタイミングで、第3リール5の各バックランプ57a?57cが図20(c)に示すように消灯される。この表示態様は「リールランプ消灯パターン3」に対応しており、「ベル」小当たり時に高い確率で現れる。また、予兆報知フラグが「スイカ」小当たり入賞としてセットされている場合には、報知選択抽選タイミングに対応した同様なタイミングで、全リール3?5の各バックランプ57a?57cが図20(d)に示すように消灯される。この表示態様は「リールランプ消灯パターン4」に対応しており、「スイカ」小当たり時に高い確率で現れる。
【0117】
その後、リール3,4,5の停止制御が行われる(図12,ステップ128)。このリール停止は、例えば図13(d),(e),(f)に示すタイミングで行われ、第1リール停止ボタン16,第2リール停止ボタン17,第3リール停止ボタン18の各ボタン操作後に行われる。
【0118】
次に、リール停止時の表示が所定の入賞シンボル組合せであるか否かが、入賞シンボル組合せテーブルを参照して判断される(ステップ129)。入賞が得られなかったときには処理は初めのステップ121に戻り、また、入賞判定の結果リプレイゲームであるときは、処理はステップ122のスタートレバー15の操作待ち処理に戻る(ステップ130)。
【0119】
その後の処理は、第1の実施形態で説明した図9に示すフローチャートのステップ110?114に従って同様に行われる。
【0120】
このような本実施形態によっても、遊技者は、スタートレバー15の操作時に通常点灯している各リール3?5のバックランプ57a?57cが消灯するのを視認することにより、小当たり入賞の予兆報知が行われたことを知ることが出来る。従って、各停止ボタン16?18の操作をする前に小当たり入賞が予兆報知されるため、停止ボタン16?18の操作は、配当表示部22に示されている小当たり入賞図柄を停止表示させるように狙って行うことが出来る。
【0121】
さらに本実施形態でも、報知手段は、小当たり入賞の態様と1対1に対応した態様で各リール3?5の各バックランプ57a?57cを点灯制御し、小当たり入賞の種類をも遊技者に予兆報知する構成になっている。このため、小当たり入賞の中のどの小当たり入賞が当選した確率が高いかを遊技者は予め知ることが出来、停止ボタン16?18の操作は最初からその入賞図柄だけを停止表示させるように狙って行える。また、各バックランプ57a?57cが種々の態様で点灯するため、遊技者はこの表示態様を楽しむことも出来る。
【0122】
また、小当たり入賞態様の報知は、全ての内部抽選結果に対して行われるのではなく、デモ抽選テーブル(図16?図18参照)を用いた乱数抽選による所定確率で行われる。また、入賞態様決定手段で決定された入賞態様と異なる入賞態様が所定確率で報知される場合もある。従って、小当たり入賞態様は遊技者に報知される場合もあり、報知されない場合もある。よって、遊技者によって小当たり入賞態様の報知が期待されるようになり、報知があった場合にはその喜びも増し、遊技の興趣は向上する。
【0123】
なお、上記実施形態においても、小当たり入賞以外の入賞態様が決定されたときには小当たり入賞態様の予兆報知をせず、小当たり入賞態様が決定されたときにだけこれを所定確率で予兆報知する構成としてもよい。
【0124】
このような各構成によっても上記の各実施形態と同様な効果が奏される。
【0125】
また、上記各実施形態においては本発明による遊技機をスロットマシンに適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、例えば、パチンコ機といった弾球遊技機や、その他のアミューズメント機器に適用してもよい。
【0126】
本発明をパチンコ機に適用する場合、上記各実施形態のスロットマシンにおけるスタートレバー操作、入賞態様決定用乱数抽出、リール回転開始、といった遊技の流れは、パチンコ機においては、ある特定の入賞口へのパチンコ球の入賞、入賞態様決定用乱数抽出、パチンコ機に組み込まれたスロットマシン・リールの回転開始、といった遊技の流れに置き換えられる。また、上記各実施形態のスロットマシンで、リールの図柄がある特定の態様で停止表示されたときに行われたメダルの払い出しは、パチンコ機においては、アタッカやチューリップといった変動入賞装置を開放させ、多くの出球を遊技者に付与するというように、パチンコゲーム上での特典を与えることに置き換えられる。
【0127】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、内部抽選によって小当たり入賞が発生したことを、報知手段が発生する報知音や、報知手段が点灯制御するリールバックランプの点灯等によって予め知ることが出来るため、遊技者は停止ボタン操作を容易に行えるようになる。また、報知手段が小当たり入賞の種類をも遊技者に報知する構成とすれば、遊技者による停止ボタン操作はより容易に行えるようになる。また、遊技者は小当たり入賞の予兆報知が行われたときに報知音を聞いたりランプの表示態様を見て楽しむことも出来、遊技の興趣は増すようになる。また、この報知を所定確率で行う構成とすれば、報知があった場合にはその喜びも増し、遊技の興趣はさらに向上するようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1,第2,第3の各実施形態によるスロットマシンの外観を示す正面図である。
【図2】図1に示すスロットマシンの回転リールユニットを示す斜視図である。
【図3】図2に示す回転リールユニットを構成する回転リールの構造を示す斜視図である。
【図4】図1に示すスロットマシンの表示窓に記された入賞ラインが順次有効化される状態を示す図である。
【図5】図1に示すスロットマシンの主要な制御回路構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第1,第2,第3の各実施形態によるスロットマシンの遊技処理に用いられる入賞確率テーブルを示す図である。
【図7】本発明の第1,第2,第3の各実施形態によるスロットマシンの遊技処理に用いられるシンボルテーブルを示す図である。
【図8】本発明の第1の実施形態によるスロットマシンの遊技処理を示す第1のフローチャートである。
【図9】本発明の第1,第2,第3の各実施形態によるスロットマシンの遊技処理を示す第2のフローチャートである。
【図10】本発明の第1の実施形態によるスロットマシンの遊技処理において報知音が出力されるタイミングを示すタイミングチャート図である。
【図11】本発明の第2の実施形態によるスロットマシンの遊技処理に用いられる入賞態様報知選択抽選確率テーブルを示す図である。
【図12】本発明の第2,第3の各実施形態によるスロットマシンの遊技処理を示す第1のフローチャートである。
【図13】本発明の第2,第3の各実施形態によるスロットマシンの遊技処理における回路各部のタイミングを示すタイミングチャート図である。
【図14】本発明の第2の実施形態によるスロットマシンの遊技処理において報知手段によって点灯制御されるリールバックランプの表示態様を示す図である。
【図15】本発明の第3の実施形態によるスロットマシンの遊技処理に用いられるデモ抽選テーブル選択テーブルを示す図である。
【図16】本発明の第3の実施形態によるスロットマシンの遊技処理に用いられる第1のデモ抽選テーブルを示す図である。
【図17】本発明の第3の実施形態によるスロットマシンの遊技処理に用いられる第2のデモ抽選テーブルを示す図である。
【図18】本発明の第3の実施形態によるスロットマシンの遊技処理に用いられる第3のデモ抽選テーブルを示す図である。
【図19】(a)は第3の実施形態によるスロットマシンのRAMに記憶された遊技状態ステータス(GMLVSTS)格納領域の内容、(b)は同RAMに記憶されたフラグカウンタ(FLGCTR)格納領域の内容を示す図である。
【図20】本発明の第3の実施形態によるスロットマシンの遊技処理において報知手段によって点灯制御されるリールバックランプの表示態様を示す図である。
【図21】本発明の第3の実施形態における報知選択抽選処理の内容を示すフローチャートである。
【図22】従来のスロットマシンにおけるリールバックランプの点灯状態を示す図である。
【符号の説明】
1…スロットマシン
2…前面パネル
3,4,5…第1,第2,第3リール
6,7,8…窓
9…メダル投入口
10,11,12…BETスイッチ
13…クレジット数表示部
14…クレジット/精算切換スイッチ
15…スタートレバー
16,17,18…停止ボタン
19…透音孔
20…メダル受皿
21…メダル払出口
22…配当表示部
23…有効化ライン表示ランプ
24…液晶表示部
L1,L2A,L2B,L3A,L3B…入賞ライン
57a,57b,57c…バックランプ
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2010-07-23 
結審通知日 2010-08-05 
審決日 2010-08-31 
出願番号 特願平10-260071
審決分類 P 1 113・ 121- ZA (A63F)
P 1 113・ 16- ZA (A63F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 池谷 香次郎  
特許庁審判長 立川 功
特許庁審判官 井上 昌宏
吉村 尚
登録日 2007-04-13 
登録番号 特許第3942746号(P3942746)
発明の名称 遊技機  
代理人 北口 智英  
代理人 黒田 博道  
代理人 正林 真之  
代理人 正林 真之  

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