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審決分類 審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A61K
審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A61K
管理番号 1232424
審判番号 不服2007-1147  
総通号数 136 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-01-12 
確定日 2011-02-14 
事件の表示 特願2006-515303「ミトコンドリア病予防と対策」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 9月15日国際公開、WO2005/084660〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成16年3月5日を国際出願日とする特許出願であって、拒絶理由通知に応答して平成18年11月20日付けで手続補正がなされたが、平成18年12月11日付で拒絶査定がなされ、これに対し、平成19年1月12日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同日付で手続補正がなされたが、その後当審において、前記平成19年1月12日付け手続補正が却下されるとともに、最後の拒絶理由が通知され、平成22年7月1日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成22年7月1日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成22年7月1日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
(2-1)補正の概略
本件補正により、特許請求の範囲は、
補正前(平成18年11月20日付け手続補正書参照)の
「【請求項1】
L-アルギニンと、該L-アルギニン1重量部に対して0.2?20重量部のL-アスコルビン酸とを含み、該L-アスコルビン酸は油脂でコーティングされている製剤であって、少なくとも0.5g(L-アルギニン)/kg(体重)/時(時間)以上の投与量での長期間投与に使用されるミトコンドリア病治療剤。
【請求項2】
前記L-アルギニン1重量部に対して0.2?6重量部のL-アスコルビン酸を含んでなる請求項1に記載のミトコンドリア病治療剤。
【請求項3】
前記L-アルギニン1重量部に対して0.2?0.25重量部のL-アスコルビン酸を含んでなる請求項2に記載のミトコンドリア病治療剤。
【請求項4】
L-アルギニンと、リボ核酸、リボヌクレオチド及びリボヌクレオシドからなる群より選択される少なくとも一種と、該L-アルギニン1重量部に対して0.2?20重量部のL-アスコルビン酸とを含み、該L-アスコルビン酸は油脂でコーティングされている製剤であって、少なくとも0.5g(L-アルギニン)/kg(体重)/時(時間)以上の投与量での長期間投与に使用されるミトコンドリア病治療剤。
【請求項5】
前記L-アルギニン1重量部に対して0.2?6重量部のL-アスコルビン酸を含んでなる請求項4に記載のミトコンドリア病治療剤。
【請求項6】
前記L-アルギニン1重量部に対して0.2?0.25重量部のL-アスコルビン酸を含んでなる請求項5に記載のミトコンドリア病治療剤。
【請求項7】
L-アルギニンと、該L-アルギニン1重量部に対して0.2?20重量部のL-アスコルビン酸とを医薬的に許容可能な溶液に溶解してなる製剤であって、少なくとも0.5g(L-アルギニン)/kg(体重)/時(時間)以上の投与量での点滴による長期間投与に使用され、かつシスチン及びシステインを含まないミトコンドリア病治療剤。
【請求項8】
前記L-アルギニン1重量部に対して0.2?6重量部のL-アスコルビン酸を含んでなる請求項7に記載のミトコンドリア病治療剤。
【請求項9】
前記L-アルギニン1重量部に対して0.2?0.25重量部のL-アスコルビン酸を含んでなる請求項8に記載のミトコンドリア病治療剤。」から、
補正後の
「【請求項1】
L-アルギニンと、該L-アルギニン1重量部に対して0.2?20重量部のL-アスコルビン酸とを含み、該L-アスコルビン酸は油脂でコーティングされている製剤であるミトコンドリア病治療剤。
【請求項2】
前記L-アルギニン1重量部に対して0.2?6重量部のL-アスコルビン酸を含んでなる請求項1に記載のミトコンドリア病治療剤。
【請求項3】
前記L-アルギニン1重量部に対して0.2?0.25重量部のL-アスコルビン酸を含んでなる請求項2に記載のミトコンドリア病治療剤。
【請求項4】
L-アルギニンと、リボ核酸、リボヌクレオチド及びリボヌクレオシドからなる群より選択される少なくとも一種と、該L-アルギニン1重量部に対して0.2?20重量部のL-アスコルビン酸とを含み、該L-アスコルビン酸は油脂でコーティングされている製剤であるミトコンドリア病治療剤。
【請求項5】
前記L-アルギニン1重量部に対して0.2?6重量部のL-アスコルビン酸を含んでなる請求項4に記載のミトコンドリア病治療剤。
【請求項6】
前記L-アルギニン1重量部に対して0.2?0.25重量部のL-アスコルビン酸を含んでなる請求項5に記載のミトコンドリア病治療剤。
【請求項7】
L-アルギニンと、該L-アルギニン1重量部に対して0.2?20重量部のL-アスコルビン酸とを医薬的に許容可能な溶液に溶解してなる製剤であって、点滴による投与に使用され、かつシステインを含まないミトコンドリア病治療剤。
【請求項8】
前記L-アルギニン1重量部に対して0.2?6重量部のL-アスコルビン酸を含んでなる請求項7に記載のミトコンドリア病治療剤。
【請求項9】
前記L-アルギニン1重量部に対して0.2?0.25重量部のL-アスコルビン酸を含んでなる請求項8に記載のミトコンドリア病治療剤。」
と補正された。

上記補正前後の構成を対比すると、補正後の請求項1?9は補正前の請求項1?9に順に対応するものと認められるところ、
(a)補正後の請求項1?9(引用する請求項の構成も含む)に係る発明は、補正前の請求項1?9(引用する請求項の構成も含む)の「少なくとも0.5g(L-アルギニン)/kg(体重)/時(時間)以上の投与量」及び「長期間投与に使用される」との発明特定事項が(なお、請求項2,3,5,6,8,9では、引用する請求項1,3,5に含まれる)削除され、そして、
(b)補正後の請求項7?9に係る発明(引用する請求項の構成も含む)は、補正前の請求項7?9に係る発明(引用する請求項の構成も含む)「シスチン及びシステインを含まない」との発明特定事項が、「システインを含まない」と補正されたものと認められる。

(2-2)補正の適否
しかしながら、本件補正は、第17条の2第1項第3号の「拒絶理由通知を受けた後更に拒絶理由通知を受けた場合において、最後に受けた拒絶理由通知に係る 第五十条の規定により指定された期間内にするとき。」(所謂、最後の拒絶理由)に応答してなされたものであるところ、該場合においては、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下、「平成18年改正前特許法」ともいう。)第17条の2第4項において「第一項第二号及び第三号に掲げる場合において特許請求の範囲についてする補正は、次に掲げる事項を目的とするものに限る。」とされ、少なくとも同法同条第4項第1号から第4号の規定を満たす必要がある。

そこで、上記(a),(b)の補正について検討する。
上記補正の(a)は発明特定事項を削除するものであるから、また、上記補正の(b)は「シスチンを含まない」との発明特定事項を削除するものであるから、上記補正は、いずれも平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号に規定する限定的減縮に相当しないことが明らかであり、同条第4項第1号(請求項の削除)、第3号(誤記の訂正)、第4号(明りょうでない記載の釈明)のいずれの規定をも満たさないと認めらる。

(2-3)むすび
したがって、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第4項各号の規定を満たしていないため同条第4項の規定に違反するものであるから、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
平成22年7月1日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?9にかかる発明は、平成18年11月20日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1?9に記載された事項により特定されるとおりのものと認められ、前記2.(2-1)の補正前の請求項1?9に摘示されたとおりのものである。

(3-1)これに対する当審の最後の拒絶理由の概要は、次のとおりである。
『 理 由
平成19年1月12日付け手続補正が却下されているため、以下の拒絶理由は平成18年11月20日付けで補正された特許請求の範囲及び当初明細書に対するものである。 なお、該手続補正の却下の決定の理由を、後ろに転記したので、参照されたい。
<<最後の拒絶理由>>
平成18年11月20日付けでした手続補正は、下記の点で願書に最初に添付した特許請求の範囲及び明細書(以下、「当初明細書等」という。なお、本願に図面の添付は無い。)に記載した事項の範囲内においてしたものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

(1)上記日付けでした手続補正後の請求項1?9(引用する請求項の構成も含む)に係る発明は、「少なくとも0.5g(L-アルギニン)/kg(体重)/時(時間)以上の投与量」及び「長期間投与に使用」との技術事項が限定され(なお、請求項2,3,5,6,8,9は、引用する請求項1,3,5に含まれる)、そして、(2)上記日付けでした手続補正後の請求項7?9に係る発明(引用する請求項の構成も含む)は、「シスチン及びシステインを含まない」との技術事項が限定された。
しかしながら、当初明細書等には、かかる(1)(2)の技術事項は記載も示唆もされていない。
即ち、(1)の点については、明細書の臨床例1,2において、「投与量はL-アルギニン換算で0.5g/kg/時とした。」と記載されているだけであり、「少なくとも・・・以上の投与量」及び「長期間投与に使用」について言及されていないし、臨床例3では、「点滴時には、周期的に患者の尿中のNox濃度をテステープにより測定し、該Nox濃度が増加しないように投与量を増減させた」と記載されているだけで、「少なくとも0.5g(L-アルギニン)/kg(体重)/時(時間)以上の投与量」とすること及び「長期間投与に使用」することは、臨床例3に記載も示唆もなく、また、当初明細書等の他の箇所にも「少なくとも0.5g(L-アルギニン)/kg(体重)/時(時間)以上の投与量」及び「長期間投与に使用」とする記載も示唆もなく自明であるとすることもできない。
(2)の点については、シスチンはシステインの酸化型であるが異なった化合物と言うべきものであるところ、「システインを含まない」ことは言及されているが、「シスチンを含まない」ことは、本願当初明細書等に記載も示唆もなく、自明であるとも認められない。

なお、この(1)の点に関し、審判請求人は、平成18年11月20日付け意見書において、臨床例1?3の記載に補正の根拠がある旨を主張するが、上記のとおりその主張は失当であり、採用できない。また(2)の点に関し、審判請求人は、補正の根拠を示しておらず、また何らの釈明もしていない。

したがって、上記日付でした手続補正は、願書に最初に添付した特許請求の範囲および明細書に記載した事項の範囲内においてするものとは言えないから、特許法第17条の2第3項に違反する。

最後の拒絶理由通知とする理由
原審の最初の拒絶の理由に応答する補正によって通知することが必要になった拒絶を通知する拒絶理由通知である。
なお、最後の拒絶理由であるから、補正する場合には請求項の削除、限定的減縮、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明を目的とするものに限られ、発明特定事項の削除や差し替えなどによって発明を拡張、変更することはそれらの目的に合致しないことに留意されたい。

なお、・・・(後略)・・・。』

(3-2)新規事項について
前記最後の拒絶理由の理由は妥当であり、この点の指摘に対し請求人から格別の反論はなされていない。なお、最後の拒絶の理由に応答してなされた補正は、前記2.において補正却下の決定がなされている。
よって、平成18年11月20日付けでした手続補正は、願書に最初に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてしたものとは言えないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない

(3-3)むすび
以上のとおり、平成18年11月20日付けでした手続補正は特許法第17条の2第3項に違反するから、他の拒絶理由について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-12-10 
結審通知日 2010-12-15 
審決日 2010-12-28 
出願番号 特願2006-515303(P2006-515303)
審決分類 P 1 8・ 57- WZ (A61K)
P 1 8・ 55- WZ (A61K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 今村 玲英子  
特許庁審判長 川上 美秀
特許庁審判官 森井 隆信
内田 淳子
発明の名称 ミトコンドリア病予防と対策  
代理人 加藤 勉  
代理人 宮崎 嘉夫  
代理人 中村 壽夫  
代理人 萼 経夫  

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