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審決分類 審判 全部無効 特36 条4項詳細な説明の記載不備  A63F
審判 全部無効 特29条特許要件(新規)  A63F
審判 全部無効 2項進歩性  A63F
審判 全部無効 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備  A63F
審判 全部無効 特120条の4、2項訂正請求(平成8年1月1日以降)  A63F
管理番号 1233545
審判番号 無効2009-800045  
総通号数 137 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-05-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2009-02-24 
確定日 2011-02-14 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第2772786号「パチンコ遊技機」の特許無効審判事件についてされた平成22年4月26日付け審決に対し、知的財産高等裁判所において審決取消の決定(平成22年(行ケ)第10180号 平成22年8月31日言渡)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由
第1.手続の経緯

本件特許は,特願平1-209756号の一部を特許法44条1項の規定により新たな出願とした特願平8-213770号の特許であり,経緯概要は以下のとおりである。

平成 1年 8月14日 原出願(特願平1-209756号)
平成 8年 8月13日 本件出願(特願平8-213770号),審査請 求
平成10年 3月10日 特許査定
平成10年 4月24日 設定登録(特許第2772786号)
平成21年 2月24日 無効審判請求(書面には2月23日の日付が記
載)
平成21年 6月 2日 答弁書・訂正請求(被請求人)
平成21年 7月13日 弁駁書(請求人)
平成21年 9月 2日 答弁書(2)(被請求人)
平成22年 1月27日 口頭審理陳述要領書(請求人)(書面には1月
20日の日付が記載),口頭審理
平成22年 2月 9日 上申書(被請求人)
平成22年 4月26日 審決(特許を無効とする)
平成22年 6月 9日 審決取消請求の提起(被請求人による)(平成
22年行(ケ)10180号)
平成22年 8月 3日 訂正の審判請求(訂正2010-390082
号)
平成22年 8月31日 特許法181条2項の規定に基づく決定(特許庁 が無効2009-800045号事件について平 成22年4月26日にした審決を取り消す。)
平成22年 9月14日(9月16日発送)訂正請求のための期間指定通知
平成22年 9月27日 訂正請求
平成22年11月 5日 弁駁書(被請求人提出)
なお,被請求人は平成22年9月14日付け訂正請求のための期間指定通知に対して訂正請求をしなかったので,被請求人が行った平成22年8月3日付けの訂正審判請求(訂正2010-390082号)は,特許法134条の3第5項の規定により,当該期間の末日である平成22年9月27日に,その訂正審判の請求書に添付された訂正した明細書,特許請求の範囲又は図面を援用した訂正請求とみなされた。
また,上記原出願に係る無効審判事件(無効2008-800205号)及び上記原出願の分割出願に係る無効審判事件(無効2008-800204号)について,平成22年9月30日に知的財産高等裁判所において特許を維持する旨の判決言渡(平成21年(行ケ)第10282号,平成21年(行ケ)第10283号)があった。

第2.本件審判事件にかかる両当事者の主張
請求人と被請求人の主張は以下のとおりである。なお,以下において,「訂正前の請求項」とは,本件設定登録時の請求項を,「一次訂正後の請求項」とは,平成21年6月2日付の訂正請求(以下,「一次訂正」という。)に基づく請求項を,「本件訂正後の請求項」とは,平成22年9月27日付の訂正請求(以下,「本件訂正」という。)に基づく請求項をそれぞれ指す。

1.請求人の主張
請求人は,平成21年2月24日差出の審判請求書において,「特許第2772786号の特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。との審決を求め」(請求の趣旨),以下の理由により,本件特許発明(訂正前の請求項1)は特許を受けることができないものであるから,特許法123条1項の規定により無効にされるべきである旨主張し,証拠方法として甲第1?20号証を提出した。

【無効理由1】
本件特許(審決注:訂正前の請求項1)は,その出願日(平成1年8月14日)において施行されている旧特許法36条3項及び4項に規定する要件を満たしていないものであり,無効とされるべきものである。
なお,平成22年1月27日の口頭審理において,請求人の主張する36条に関する無効理由は,イ)実施可能に記載されていない(特許法36条3項),ロ)請求の範囲記載の発明(特に,「所定の前兆報知条件」の点)は詳細な説明に記載したものでない(特許法36条4項1号),であることが確認された。
【無効理由2】
本件特許(審決注:訂正前の請求項1)は,特許法29条1項柱書きの規定に違反するものであり,無効とされるべきものである。
【無効理由3】
本件特許は,分割要件違反であるため,その出願日が現実の出願日である平成8年8月13日に繰り下がる。そして,本件特許発明(審決注:訂正前の請求項1)は,繰り下がった出願日以前に公開された甲第4号証(特開平3-73180号公報)に基づき,或いは,甲第4号証に記載された発明に甲第6?11,12?18,19号証に記載の周知技術を単純に組み合わせることで,当業者が容易に成し得たものであり,特許法29条2項により無効とされるべきものである。
【無効理由4】
仮に出願日の繰り下げがないとしても,本件特許発明(審決注:訂正前の請求項1)は,甲第12号証に記載された発明に甲第13?19号証に記載された発明を組み合わせることで,当業者が容易に成し得たものであり,特許法29条2項により無効とされるべきものである。
甲第1号証:社団法人発明協会発行の特許庁編「特許・実用新案審査基準」 の抜粋(第V部 特殊な出願」の「第1章 出願の分割」)
甲第2号証:社団法人発明協会発行の特許庁編「一般審査基準 出願の分割 (改訂)」(昭和58年5月発行)の抜粋
甲第3号証:社団法人発明協会発行の吉嶺桂著の「実例で見る特許・実用新 案 審査基準の解説」の抜粋
甲第4号証:特開平3-73180号公報
甲第5号証:本審判の請求人が作成した甲第4号証の本件特許に係る原出願 の明細書と本件特許の登録時の明細書との比較表
甲第6号証:特開平6-304313号公報
甲第7号証:特開平7-68027号公報
甲第8号証:特開平7-136313号公報
甲第9号証:特開平8-117390号公報
甲第10号証:特開平8-173592号公報
甲第11号証:特開平6-114140号公報
甲第12号証:実願昭60-74971号(実開昭61-191081号) のマイクロフィルム
甲第13号証:特開昭59-186580号公報
甲第14号証:特開昭60-148575号公報
甲第15号証:特開昭62-127086号公報
甲第16号証:実願昭58-128413号(実開昭60-37380号) のマイクロフィルム
甲第17号証:特開昭59-40883号公報
甲第18号証:特開昭60-100987号公報
甲第19号証:「パチンコ攻略マガジン[創刊号]」の抜粋(テン・オクロ ック工房編著,1987年12月10日国立国会図書館受入)
甲第20号証:株式会社三共のホームページの抜粋(パチンコ機「フィーバ ーマッスル」のスペック紹介ページ,同ホームページの19 95年機種一覧より)

そして,被請求人の平成21年6月2日付け訂正請求を受けて,平成21年7月13日付け弁駁書において,参考例1?8を提出すると共に,該一次訂正請求は訂正要件違反であって認められないものである旨主張し,仮に一次訂正が認められるとしても,審判請求書で申し立てた無効理由1,2及び4は解消していない旨主張している。
参考例1:「フィーバーレクサス」の記事(フリー百科事典『ウィキペディ ア(Wikipedia)』より)
参考例2:「平成パチンコ大図鑑777」の抜粋(パチンコ必勝ガイド編, 白夜書房発行)
参考例3:「パチンコ必勝大図鑑増補改訂2000年度版」の抜粋(白夜書 房,2000年2月27日発行)
参考例4:「パチンコ攻略マガジン1989年8月号」の抜粋(双葉社,
1989年8月1日発行)
参考例5:「パチンコ攻略マガジン1989年9月号」の抜粋(双葉社,
1989年9月1日発行)
参考例6:「パチンコ攻略マガジン1989年10月号」の抜粋(双葉社, 1989年10月1日発行)
参考例7:「パチンコファン1989年10月号」の抜粋(日本文芸社,
1989年10月15日発行)
参考例8:「パチンコファン1990年1月号」の抜粋(日本文芸社,
1990年1月15日発行)

また,平成22年1月27日付けの口頭審理陳述要領書(書面には1月20日の日付が記載)において,参考例9,10を提出すると共に,一次訂正が違法である旨,進歩性がない旨主張している。
参考例9:「パチスロ大図鑑」の抜粋(白夜書房,2007年5月21日発 行)
参考例10:「改正 風俗営業等に関する法令集」(大阪府遊技業協同組合 ,昭和60年2月発行)
更に,被請求人の平成22年9月27日付け訂正請求を受けて,平成22年11月5日付け弁駁書において,甲第21号証を提出すると共に,本件訂正は訂正要件違反であって認められないものである旨主張し,仮に本件訂正が認められるとしても,本件訂正後の発明は甲第21号証のパチンコ機に甲第12,19号証に記載の技術,スロットマシンにおけるリーチ目表示に関する周知慣用技術に基づいて容易になし得たものである旨主張している。

2.被請求人の主張
被請求人は,平成21年6月2日付けで答弁書を提出し,「本件無効審判の請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とする,との審決を求め」(答弁の趣旨),本件明細書の発明の詳細な説明は当業者が容易に実施することができる程度に記載されておらず,特許請求の範囲における発明が発明の詳細な説明に記載されていないとの請求人の主張には理由がなく,また,本件特許発明を技術的思想の創作でないとする請求人の主張には理由がない旨,主張している。そして,一次訂正により請求人が主張する分割要件違反の根拠は存在しなくなり,出願日が繰り下がることを前提とする進歩性欠如の主張には理由がない旨,更に,一次訂正後の請求項1に係る発明は甲第12号証に記載の発明に甲第13?19号証に記載された発明を組み合わせることで当業者が容易に成し得たものではない旨,主張している。
また,平成21年9月2日付の答弁書(2)及び平成22年2月9日付の上申書において,一次訂正は認められるべきとした上で,請求人の主張している無効理由は理由がない旨,主張している。
更に,訂正請求とみなされた平成22年8月3日付け訂正の審判請求(訂正2010-390082号)の審判請求書において,訂正後の特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明は,特許出願の際独立して特許を受けることができる旨,主張している。

第3.無効審判請求の要旨の変更についての判断
請求人の平成22年11月5日付け弁駁書における,本件訂正後の発明は甲第21号証のパチンコ機に甲第12,19号証に記載の技術,スロットマシンにおけるリーチ目表示に関する周知慣用技術に基づいて容易になし得たものである旨の主張は,当初の請求理由の要旨の変更(追加)にあたり,上記弁駁書は「請求の理由」を変更(追加)する補正を実質的に行うものである。
そして,特許法131条の2第1項ただし書及び第2項によれば,請求理由の要旨を変更する補正であっても,所定の「補正許可要件」を満たした場合には審判長はその補正を許可できるとされているが,上記弁駁書による「請求の理由」を実質的に変更する補正は,以下の理由により,許可することとしない。
(1)一次訂正後と本件訂正後の請求項1は,一次訂正後の請求項1では「大当たり発生用の識別情報に対応するものでない(表示結果)」とされているものが,本件訂正後の請求項1では「外れの(表示結果)」とされている点のみで相違し,残余の記載は同一である。そして,上記弁駁書は,甲第21号証を保留玉で記憶するパチンコ機として主要引用文献としようとするものであるが,保留玉で記憶するパチンコ機に関する構成は一次訂正において請求項1に加えられたものであって,本件訂正で新たに加えられたものではない。したがって,一次訂正は取り下げられたものとみなされ,上記弁駁書は本件訂正に対応して提出されたものであったとしても,甲第21号証を主要引用文献とする無効理由は一次訂正の段階で主張されるべきものであり,本件訂正によって請求理由を補正する必要が実質的に生じたものとは認められないから,許可することとしない。
(2)上記弁駁書による請求理由の補正を許可したとしても,「第6.本件訂正発明にかかる検討」「5.予備的検討」において後述するように,無効とする理由を構成するものではなく,その補正を許可しても,被請求人に答弁機会を与える必要があるなど,いたずらに審理の遅延を招くだけであるから,許可することとしない。

第4.被請求人による訂正請求について
1.訂正請求の内容
平成22年9月27日付の訂正請求は,本件特許第2772786号の明細書(以下,「特許明細書」という。)を,訂正請求書に添付した明細書によって訂正しようとするものであって,次の事項を訂正内容とするものである。

・訂正事項1
【発明の名称】の「遊技機」を「パチンコ遊技機」と訂正する。
・訂正事項2
【請求項1】の「表示状態が変化可能な可変表示装置」を「打玉の始動入賞領域への入賞により複数種類の識別情報を可変表示可能な可変表示装置」と訂正する。
・訂正事項3
【請求項1】の「予め定められた大当り発生用の表示態様」を「予め定められた大当り発生用の識別情報」と訂正する。
・訂正事項4
【請求項1】の「遊技機」を「パチンコ遊技機」と訂正する。
・訂正事項5
【請求項1】の「前記可変表示装置の表示結果の決定に用いられる表示結果決定用データを生成可能な表示結果決定用データ生成手段」を「前記可変表示装置の表示結果の決定に用いられる表示結果決定用データを打玉が前記始動入賞領域へ入賞したときに記憶しておくことにより,当該表示結果を導出表示するための可変表示の数回前の可変表示の段階から表示結果決定用データを生成可能な表示結果決定用データ生成手段」と訂正する。
・訂正事項6
【請求項1】の「生成された前記表示結果決定用データが前記大当り発生用の表示態様に対応するものである場合に,前記大当り発生用の表示態様が導出表示されることを遊技者に事前に報知する前兆報知を行なうための前兆報知手段」を「打玉が前記始動入賞領域へ入賞したときに生成された前記表示結果決定用データが前記大当り発生用の識別情報に対応するものであり,該大当り発生用の識別情報に対応する表示結果決定用データが生成される前に打玉の前記始動入賞領域への入賞により生成された表示結果決定用データが外れの表示結果を示す場合に,前記大当り発生用の識別情報が導出表示されることを,該大当り発生用の識別情報が導出表示される回の可変表示が行なわれる前の回までの前記外れの表示結果となる可変表示において遊技者に事前に報知する前兆報知を行なうための前兆報知手段」と訂正する。
・記載事項7
【請求項1】の「該前兆報知手段は,前記表示結果決定用データが前記大当り発生用の表示態様に対応しないものであった場合にも,所定の前兆報知条件が成立した場合には前記前兆報知を行なう」を「該前兆報知手段は,打玉が前記始動入賞領域へ入賞したときに生成された前記表示結果決定用データが前記大当り発生用の識別情報に対応しないものであった場合にも,所定の前兆報知条件が成立した場合には前記前兆報知を行なうときの報知態様と同じ態様での報知を行なう」と訂正する。
・訂正事項8
【0001】の「本発明は,パチンコ遊技機等で代表される遊技機に関し,詳しくは,表示状態が変化可能な可変表示装置を有し,該可変表示装置の表示結果が予め定められた特定の表示態様となった場合に遊技者に有利な状態に制御される遊技機に関する。」を「本発明は,パチンコ遊技機に関し,詳しくは,打玉の始動入賞領域への入賞により複数種類の識別情報を可変表示可能な可変表示装置を有し,該可変表示装置の表示結果が予め定められた大当り発生用の識別情報となった場合に遊技状態が大当り状態となるパチンコ遊技機に関する。」と訂正する。
・訂正事項9
【0002】の「遊技機の一例としてのパチンコ遊技機」,「表示態様」を,それぞれ「パチンコ遊技機」,「識別情報」と訂正する。
・訂正事項10
【0003】の「遊技機」,「特定の表示態様」を,それぞれ「パチンコ遊技機」,「大当り発生用の識別情報」と訂正する。
・訂正事項11
【0004】および【0022】の「遊技機」を「パチンコ遊技機」と訂正する。
・訂正事項12
【0005】の「本発明は,…ことを特徴とする。」を
「本発明は,打玉の始動入賞領域への入賞により複数種類の識別情報を可変表示可能な可変表示装置を有し,該可変表示装置の表示結果が予め定められた大当り発生用の識別情報となった場合に遊技状態が大当り状態となるパチンコ遊技機であって,
前記可変表示装置の表示結果の決定に用いられる表示結果決定用データを打玉が前記始動入賞領域へ入賞したときに記憶しておくことにより,当該表示結果を導出表示するための可変表示の数回前の可変表示の段階から表示結果決定用データを生成可能な表示結果決定用データ生成手段と,
前記可変表示装置を可変開始させた後前記表示結果決定用データに従って決定された表示結果を導出表示させる制御を行なう可変表示制御手段と,
打玉が前記始動入賞領域へ入賞したときに生成された前記表示結果決定用データが前記大当り発生用の識別情報に対応するものであり,該大当り発生用の識別情報に対応する表示結果決定用データが生成される前に打玉の前記始動入賞領域への入賞により生成された表示結果決定用データが外れの表示結果を示す場合に,前記大当り発生用の識別情報が導出表示されることを,該大当り発生用の識別情報が導出表示される回の可変表示が行なわれる前の回までの前記外れの表示結果となる可変表示において遊技者に事前に報知する前兆報知を行なうための前兆報知手段とを含み,
該前兆報知手段は,打玉が前記始動入賞領域へ入賞したときに生成された前記表示結果決定用データが前記大当り発生用の識別情報に対応しないものであった場合にも,所定の前兆報知条件が成立した場合には前記前兆報知を行なうときの報知態様と同じ態様での報知を行なうことを特徴とする。」と訂正する。
・訂正事項13
【0006】の「請求項1に記載の本発明によれば,…前記前兆報知が行なわれる。」を「請求項1に記載の本発明によれば,表示結果決定用データ生成手段の働きにより,可変表示装置の表示結果の決定に用いられる表示結果決定用データを打玉が前記始動入賞領域へ入賞したときに記憶しておくことにより,当該表示結果を導出表示するための可変表示の数回前の可変表示の段階から表示結果決定用データを生成することが可能となる。また,可変表示制御手段の働きにより,可変表示装置を可変開始させた後前記表示結果決定用データに従って決定された表示結果を導出表示させるよう制御が行なわれる。また,前兆報知手段の働きにより,打玉が前記始動入賞領域へ入賞したときに生成された前記表示結果決定用データが前記大当り発生用の識別情報に対応するものであり,該大当り発生用の識別情報に対応する表示結果決定用データが生成される前に打玉の前記始動入賞領域への入賞により生成された表示結果決定用データが外れの表示結果を示す場合に,前記大当り発生用の識別情報が導出表示されることを,該大当り発生用の識別情報が導出表示される回の可変表示が行なわれる前の回までの前記外れの表示結果となる可変表示において遊技者に事前に報知する前兆報知が行なわれ,さらに,前兆報知手段の働きにより,打玉が前記始動入賞領域へ入賞したときに生成された前記表示結果決定用データが前記大当り発生用の識別情報に対応しないものであった場合にも,所定の前兆報知条件が成立した場合には前記前兆報知を行なうときの報知態様と同じ態様での報知が行なわれる。」と訂正する。
・訂正事項14
【0007】の「つまり,…遊技の興趣を向上することができる。」を「つまり,該大当り発生用の識別情報が導出表示されることが,大当り発生用の識別情報が導出表示される回の可変表示が行なわれる前の回までの可変表示において遊技者に事前に報知される前兆報知が行なわれるため,前記大当り発生用の識別情報が表示されることに対する遊技者の期待感が高まる。しかも,前兆報知を行う回数は,たとえば生成された前記表示結果決定用データが前記大当り発生用の識別情報に対応するものである場合のみに前兆報知を行うものと比較して,多くなり,大当り発生用の識別情報が導出表示されることに対して遊技者が期待を抱く回数が増加するため,遊技の興趣を向上することができる。」と訂正する。
・訂正事項15
【0009】および【図面の簡単な説明】の「遊技機の一例のパチンコ遊技機」を「パチンコ遊技機」と訂正する。
・訂正事項16
【0010】の「大当り発生用の表示態様の一例である大当り発生用の識別情報」を「大当り発生用の識別情報」と訂正する。
・訂正事項17
【0013】の「中当り発生用の表示態様の一例である中当り発生用の識別情報」を「中当り発生用の識別情報」と訂正する。
・訂正事項18
【0017】の「16個の表示態様の一例である識別情報」を「16個の識別情報」と訂正する。
・訂正事項19
【0032】の「事前報知手段が構成されている。また,後述するS21,S22ならびに前記S9,S11,S7に従って制御される当り予告表示器55により,生成された後述の表示結果決定用データが大当り発生用の表示態様に対応するものである場合に,大当り発生用の表示態様が導出表示されることを遊技者に事前に報知する前兆報知手段が構成されている。なお,この事前報知および前兆報知は,前記当り予告表示器55による点灯または点滅表示に代えて,可変表示装置14の可変表示を特定の態様で行なわせる(たとえば可変表示の速さや明るさ等を変化させる)ものであってもよい。つまり,可変表示装置14によっても,生成された後述の表示結果決定用データが大当り発生用の表示態様に対応するものである場合に,大当り発生用の表示態様が導出表示されることを遊技者に事前に報知する前兆報知手段が構成されていることになる。」を「事前報知手段が構成されている。なお,この事前報知は,前記当り予告表示器55による点灯または点滅表示に代えて,可変表示装置14の可変表示を特定の態様で行なわせる(たとえば可変表示の速さや明るさ等を変化させる)ものであってもよい。 」と訂正する。
・訂正事項20
【0033】の「大当り発生用の表示態様」を「大当り発生用の識別情報」と訂正する
・訂正事項21
【0038】の「表示態様の一例である識別情報」を「識別情報」に,「本発明はこれに限らず,表示態様に対応するもの」を「本発明はこれに限らず,識別情報に対応するもの」に,「予め定められた大当り発生用の表示態様」を「予め定められた大当り発生用の識別情報」に,それぞれ訂正する。
・訂正事項22
【0038】の「また,前記S65に従ってリーチ目を表示する可変表示装置14により,生成された表示結果決定用データが大当り発生用の表示態様に対応するものである場合に,大当り発生用の表示態様が導出表示されることを遊技者に事前に報知する前兆報知を行なうための前兆報知手段が構成されている。」を「また,前記S65に従ってリーチ目を表示する可変表示装置14により,打玉が前記始動入賞領域へ入賞したときに生成された前記表示結果決定用データが前記大当り発生用の識別情報に対応するものであり,該大当り発生用の識別情報に対応する表示結果決定用データが生成される前に打玉の前記始動入賞領域への入賞により生成された表示結果決定用データが外れの表示結果を示す場合に,前記大当り発生用の識別情報が導出表示されることを,該大当り発生用の識別情報が導出表示される回の可変表示が行なわれる前の回までの前記外れの表示結果となる可変表示において遊技者に事前に報知する前兆報知を行なうための前兆報知手段が構成されている。」と訂正する。
・訂正事項23
【0047】の「表示態様に対応する識別情報」を「識別情報」に,「大当り発生用の表示態様」を「大当り発生用の識別情報」に,それぞれ訂正する。
・訂正事項24
【0053】の「本発明は,…遊技の興趣を向上することができる。」を「本発明は,大当り発生用の識別情報が可変表示装置により導出表示されることに対する遊技者の期待感を高めることができ,可変表示装置の面白さを十分に演出し遊技者の期待感をより一層向上することのできるパチンコ遊技機を提供し得るに至った。しかも,前兆報知を行う回数は,たとえば生成された前記表示結果決定用データが前記大当り発生用の識別情報に対応するものである場合のみに前兆報知を行うものと比較して,多くなり,大当り発生用の識別情報が導出表示されることに対して遊技者が期待を抱く回数が増加するため,遊技の興趣を向上することができる。」と訂正する。

2.訂正の適否に対する判断
(1)訂正事項1,4について
訂正事項4は請求項1における「遊技機」を「パチンコ遊技機」と限定するものであるから,特許請求の範囲の減縮に相当し,新規事項の追加に該当せず,実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。また、訂正事項1は、訂正事項4による訂正との整合を図るため,【発明の名称】を訂正するものであるから,明りょうでない記載の釈明を目的とするものであって,新規事項の追加に該当せず,実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。

(2)訂正事項2について
可変表示が「打玉の始動入賞領域への入賞により」行われるものであることを限定すると共に,可変表示装置について「表示状態が変化」を「複数種類の識別情報を可変表示」と限定するものであるから,特許請求の範囲の減縮に相当し,新規事項の追加に該当せず,実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。

(3)訂正事項3について
「表示態様」を「識別情報」と限定するものであるから,特許請求の範囲の減縮に該当し,新規事項の追加に該当せず,実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。

(4)訂正事項5について
「表示結果決定用データ生成手段」が「表示結果決定用データを記憶しておく」という動作をすることによって,「当該表示結果を導出表示するための可変表示の数回前の可変表示の段階から表示結果決定用データを生成可能」にしている点,及び,その表示結果決定用データは「打玉が前記始動入賞領域へ入賞したとき」に記憶しておく点,をそれぞれ限定するものであり,特許請求の範囲の減縮に相当し,新規事項の追加に該当せず,実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。

(5)訂正事項6について
「生成された前記表示結果決定用データ」が「打玉が前記始動入賞領域へ入賞したときに生成された」ものであることを限定し,「表示態様」を「識別情報」と限定し,「前兆報知を行なう」条件として「該大当り発生用の識別情報に対応する表示結果決定用データが生成される前に打玉の前記始動入賞領域への入賞により生成された表示結果決定用データが外れの表示結果を示す場合」であることを限定し,「前兆報知を行なう」のが「該大当り発生用の識別情報が導出表示される回の可変表示が行なわれる前の回までの前記外れの表示結果となる可変表示において」であることを限定するものであり,特許請求の範囲の減縮に相当し,新規事項の追加に該当せず,実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。

(6)訂正事項7について
訂正事項7については,訂正事項12,13と共に,請求人が平成22年11月5日付け弁駁書において,実質的変更及び新規事項の追加に該当する旨主張しているものであり,以下に検討する。
「前記前兆報知」は「大当り発生用の識別情報が導出表示されることを遊技者に事前に報知する前兆報知」であるところ,本件訂正前の「前記表示結果決定用データが前記大当り発生用の表示態様に対応しないものであった場合にも,・・・前記前兆報知を行なう」の記載では,文理上、大当り発生の報知を行うにも係わらず大当たりが発生しないという不合理が生じており,特許請求の範囲が不明りょうになっている。
一方,特許明細書の【0022】には,「本発明に係る遊技機では可変表示装置14によりリーチ目が表示される。このリーチ目とは,大当り状態が発生する可能性が高まったことを可変表示装置14により表示するためのものであり,たとえば「SANKYO 7 FEVER」のように表示される。リーチ目表示用の停止図柄データ(「SANKYO 7 FEVER」に対応)は,16進数で表わせば「EB4」となりこれを2進数で表わせば「111010110100」となる。後述するように,始動入賞時の停止図柄決定用カウンタの値が大当りまたは中当りに対応する値である場合には,停止図柄データ記憶エリアのエリア4(図14参照)の停止図柄データを「EB4」に変更することにより,大当り状態または中当り状態の前兆としてリーチ目を表示する。」と記載され,【0052】には「なお,前記2つの実施の形態においては,前兆報知手段により前兆が報知された場合または事前報知手段により報知が行なわれた場合には,必ず大当り状態が発生するのではなく,中当り状態や小当り状態となり大当り状態が発生しない場合や,可変表示装置である定められた停止図柄で予告する場合において,偶然にその停止図柄になった場合のように全く大当り状態や中当り状態さらには小当り状態にならない場合が生ずるものを示している。」と記載されている。
そして,当該記載によれば,リーチ目を大当り状態の前兆として表示すると共に,リーチ目が表示されても,必ず大当り状態が発生するのではなく,中当り状態や小当り状態となり大当り状態が発生しない場合や,偶然にその停止図柄になった場合のように全く大当り状態や中当り状態さらには小当り状態にならない場合があることが示されている。
そうすると,訂正事項7に係る訂正前の記載だけでは不明りょうなものであるが,特許明細書全体をみれば,当該訂正前の記載が訂正後の「前記表示結果決定用データが前記大当り発生用の識別情報に対応しないものであった場合にも,・・・前記前兆報知を行なうときの報知態様と同じ態様での報知を行なう」を実質的に意味していることは明らかである。したがって,訂正事項7は,実質的に発明を変更するものではなく,特許明細書の【0022】,【0052】に記載されている事項であるから新規事項を追加するものでもない。
そうすると,訂正事項7は,明りょうでない記載の釈明を目的とするものであって,新規事項の追加に該当せず,実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。

(7)訂正事項8?24について
訂正事項8?24は,訂正事項2?7による請求項1の訂正との整合を図るため,発明の詳細な説明を訂正するものであるから,明りょうでない記載の釈明を目的とするものであって,新規事項の追加に該当せず,実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。

3.むすび
以上のとおりであるから,平成22年9月27日付けの訂正は,特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律116号)附則6条1項の規定によりなお従前の例によるものとされた同法による改正前の特許法134条2項ただし書きに適合し,134条の2第5項の規定により準用する同法による改正前の特許法126条2項の規定に適合するので,当該訂正を認める。

第5.本件訂正発明
上記のとおり訂正を認めるので,本件審判請求に係る発明は,本件訂正に係る訂正請求書に添付した明細書に記載された特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本件訂正発明」という。)であって,次のとおりのものである。
「打玉の始動入賞領域への入賞により複数種類の識別情報を可変表示可能な可変表示装置を有し,該可変表示装置の表示結果が予め定められた大当り発生用の識別情報となった場合に遊技状態が大当り状態となるパチンコ遊技機であって,
前記可変表示装置の表示結果の決定に用いられる表示結果決定用データを打玉が前記始動入賞領域へ入賞したときに記憶しておくことにより,当該表示結果を導出表示するための可変表示の数回前の可変表示の段階から表示結果決定用データを生成可能な表示結果決定用データ生成手段と,
前記可変表示装置を可変開始させた後前記表示結果決定用データに従って決定された表示結果を導出表示させる制御を行なう可変表示制御手段と,
打玉が前記始動入賞領域へ入賞したときに生成された前記表示結果決定用データが前記大当り発生用の識別情報に対応するものであり,該大当り発生用の識別情報に対応する表示結果決定用データが生成される前に打玉の前記始動入賞領域への入賞により生成された表示結果決定用データが外れの表示結果を示す場合に,前記大当り発生用の識別情報が導出表示されることを,該大当り発生用の識別情報が導出表示される回の可変表示が行なわれる前の回までの前記外れの表示結果となる可変表示において遊技者に事前に報知する前兆報知を行なうための前兆報知手段とを含み,
該前兆報知手段は,打玉が前記始動入賞領域へ入賞したときに生成された前記表示結果決定用データが前記大当り発生用の識別情報に対応しないものであった場合にも,所定の前兆報知条件が成立した場合には前記前兆報知を行なうときの報知態様と同じ態様での報知を行なうことを特徴とする,パチンコ遊技機。」

第6.本件訂正発明にかかる検討
1.無効理由1について(旧特許法36条3項,4項1号)
請求人は,本件訂正発明における「前兆報知手段」は「前記表示結果決定用データが前記大当り発生用の表示態様に対応しないものであった場合にも,所定の前兆報知条件が成立した場合には前記前兆報知を行なう」とあるが,本件特許明細書の発明の詳細な説明には,大当り以外の中当り,小当りやハズレ発生用の表示態様の場合にも前兆報知する「前兆報知手段」が記載されているものの,小当りやハズレのときに,どのようになれば「所定の前兆報知条件」が成立するのか一切記載されていないから,小当りやハズレのときにおける「前兆報知」をどのようにして行うのか,発明の詳細な説明にはその構成について当業者が容易に実施できる程度に記載されておらず(旧特許法36条3項の要件違反),また,特許請求の範囲における特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明には一切記載されていない(旧特許法36条4項1号の要件違反),旨主張する(審判請求書第44?第46頁)ので,検討する。

(1)発明の詳細な説明の記載事項
発明の詳細な説明には,以下の事項が記載されている。
(ア)「5つの前記当りライン(図1参照)上に大当り発生用の識別情報(本実施の形態では,「777」「FEVER FEVER FEVER」「BAR BAR BAR」「SANKYO SANKYO SANKYO」)のいずれかが揃えば大当り状態が発生する。・・・一方,前記可変入賞球装置20を比較的短い所定時間(たとえば1.4秒)開成できる中当り発生用の識別情報は,「7○7」「FEVER ○ FEVER」「BAR ○ BAR」「SANKYO ○ SANKYO」(○は◎または☆または●または★)の16種類であり,16種類×5ライン=80通りとなる。」(段落【0017】)
(イ)「この停止図柄決定用カウンタは,後述するマイクロコンピュータのRAM63(図7参照)内に設けられている。この停止図柄決定用カウンタ90は,2バイトで構成され上位4ビットは使用しない。そして,D0 ?D3が左回転ドラムの図柄用のものであり,D4 ?D7 が中央の回転ドラムの図柄用であり,D8 ?D11 が右側の回転ドラムの図柄用である。そしてそれぞれに,000?FFF(図4に示した16進数)まで,16^(3 )=4096通りのすべての組合わせで停止制御可能に構成されている。・・・この停止図柄決定用カウンタ90は,後述する図8のステップS(以下単にSと記載する)8によりカウントアップされる。」(段落【0020】)
(ウ)「たとえば,16進数がFの場合には,左の回転ドラムの図柄が7となり,中央の回転ドラムの図柄がSANKYOとなる。また16進数がEの場合には,右の回転ドラムの図柄がFEVERとなる。そしてこの図からもわかるように,図1に示された「777」の表示の組合わせの停止図柄決定用カウンタの値を16進数で表わした場合には「ABF」となり,これを2進数で表わせば「101010111111」となる。」(段落【0022】)
(エ)「一方,本発明に係るパチンコ遊技機では可変表示装置14によりリーチ目が表示される。このリーチ目とは,大当り状態が発生する可能性が高まったことを可変表示装置14により表示するためのものであり,たとえば「SANKYO 7 FEVER」のように表示される。リーチ目表示用の停止図柄データ(「SANKYO 7 FEVER」に対応)は,16進数で表わせば「EB4」となりこれを2進数で表わせば「111010110100」となる。」(段落【0022】)
(オ)「後述するように,始動入賞時の停止図柄決定用カウンタの値が大当りまたは中当りに対応する値である場合には,停止図柄データ記憶エリアのエリア4(図14参照)の停止図柄データを「EB4」に変更することにより,大当り状態または中当り状態の前兆としてリーチ目を表示する。」(段落【0022】)
(カ)「そしてパチンコ玉が始動入賞口27a?27cのいずれかに入賞すれば,S53よりYESの判断がなされS55に進み,スタートスイッチチェックカウンタが最大か否かの判断がなされる。・・・未だに「4」に達していない場合にはS59に進み,始動入賞が発生したことに伴う始動入賞カウンタの「1」の加算処理がなされる。次にS60では,停止図柄決定用カウンタの現在のカウント値を停止図柄データとして始動記憶カウンタの値に対応する停止図柄データ記憶エリアに記憶する処理がなされる。たとえば,図14に示すように,始動記憶カウンタが「1」の場合には,停止図柄データ記憶エリアのエリア5に現在のカウント値に対応する停止図柄データ「a」が記憶される。」(段落【0037】)
(キ)「次にS63に進み,停止図柄決定用カウンタの現在のカウント値が大当りまたは中当りの値であるか否かの判断がなされる。・・・大当りまたは中当りの値になっている場合にはS64に進み,エリア4に記憶されている停止図柄データが大当りまたは中当りの値になっているか否かの判断がなされ,・・・大当りまたは中当りの値でない場合にはS65に進み,エリア4の停止図柄データをリーチ目表示用の停止図柄データに変更する処理がなされてサブルーチンプログラムが終了する。・・・このS65による変更処理がなされるため,リーチ目が可変表示装置で表示されてから1?4回後の可変表示により大当り状態または中当り状態が発生することになる。・・・前記S65に従ってリーチ目を表示する可変表示装置14により,打玉が前記始動入賞領域へ入賞したときに生成された前記表示結果決定用データが前記大当り発生用の識別情報に対応するものであり,該大当り発生用の識別情報に対応する表示結果決定用データが生成される前に打玉の前記始動入賞領域への入賞により生成された表示結果決定用データが外れの表示結果を示す場合に,前記大当り発生用の識別情報が導出表示されることを,該大当り発生用の識別情報が導出表示される回の可変表示が行なわれる前の回までの前記外れの表示結果となる可変表示において遊技者に事前に報知する前兆報知を行なうための前兆報知手段が構成されている。」(段落【0038】)
(ク)「なお,前記2つの実施の形態においては,前兆報知手段により前兆が報知された場合または事前報知手段により報知が行なわれた場合には,必ず大当り状態が発生するのではなく,中当り状態や小当り状態となり大当り状態が発生しない場合や,可変表示装置である定められた停止図柄で予告する場合において,偶然にその停止図柄になった場合のように全く大当り状態や中当り状態さらには小当り状態にならない場合が生ずるものを示している。」(段落【0052】)

(2)判断
上記記載事項(ク)の「前兆報知手段により前兆が報知された場合または事前報知手段により報知が行なわれた場合には,必ず大当り状態が発生するのではなく,」は,大当り状態が発生しない場合にも前兆報知手段により前兆が報知されることがあることを意味しており,本件訂正発明の「前記表示結果決定用データが前記大当り発生用の識別情報に対応しないものであった場合にも,所定の前兆報知条件が成立した場合には前記前兆報知を行なうときの報知態様と同じ態様での報知を行なう」(記載の簡易化のため,以下,このような前兆報知を「偽りの報知」という。)ことに対応するものである。そして,その「偽りの報知」を行う場合として,「中当り」,「小当り」,「偶然にその停止図柄になった場合」が記載されている。
まず,「中当り」の場合に「偽りの報知」を行う場合を検討する。上記記載事項(オ),(カ),(キ)に記載されているように,始動入賞口27a?cのいずれかにパチンコ玉が入賞した時に,停止図柄決定用カウンタの現在のカウント値が中当りの値になっている場合にはエリア4に記憶されている停止図柄データが大当りまたは中当りの値になっているか否かの判断がなされ,大当りまたは中当りの値でない場合にはエリア4の停止図柄データがリーチ目表示用の停止図柄データに変更され,変更されたエリア4の停止図柄データに基づいてリーチ目(前兆報知)がされた後,1?4回後の可変表示により中当り状態が発生することになるから,この前兆報知が行われる条件は「偽りの報知」を行う「所定の前兆報知条件」ということができる。したがって,「中当り」の場合に「偽りの報知」を行う「所定の前兆報知条件」について,当業者が容易に実施できる程度に発明の詳細な説明に記載されているということができる。
次に,「小当り」の場合に「偽りの報知」を行う場合を検討する。「小当り」は「実施の形態」としては何らの説明もなく,「実施の形態」の最後に当りの変形例として記載されたものと解される。そして,「小当り」の場合に「偽りの報知」を行う「所定の前兆報知条件」についての記載は全く存在しないが,上記記載事項(ク)の「中当り状態や小当り状態となり大当り状態が発生しない場合や,・・・が生ずるものを示している。」のように「小当り」の場合に「偽りの報知」を行うことが記載されている以上,「小当り」を当りの変形例として採用した場合に,「中当り」の場合の「偽りの報知」を行うための構成と同様の構成を採用し,「偽りの報知」を行うことは当業者にとって何らの技術的困難性はないと認められる。したがって,「小当り」の場合に「偽りの報知」を行う「所定の前兆報知条件」について,当業者が容易に実施できる程度に発明の詳細な説明に記載されているということができる。
更に,「偶然にその停止図柄になった場合」について検討する。上記記載事項(イ),(カ)によれば,停止図柄決定用カウンタは000?FFF(16進数)までカウントアップされ,パチンコ玉が始動入賞口27a?27cのいずれかに入賞すると,停止図柄決定用カウンタの現在のカウント値が停止図柄データとして始動記憶カウンタの値に対応する停止図柄データ記憶エリアに記憶されるものである。そして,上記記載事項(エ)によれば,たとえば,リーチ目は「SANKYO 7 FEVER」のように表示されるものであり,リーチ目表示用の停止図柄データ(「SANKYO 7 FEVER」に対応)は,16進数で表わせば「EB4」となる。そうすると,停止図柄決定用カウンタが「EB4」の値の時にパチンコ玉が入賞すると,停止図柄データとして「EB4」が停止図柄データ記憶エリアに記憶され,当該停止図柄データに基づく可変表示において「リーチ目」が表示されることとなる。このリーチ目の表示は,その後の大当りの発生を条件としたものではないから,「偽りの報知」であり,当該リーチ目を表示する条件は「所定の前兆報知条件」ということができる。したがって,「偶然にその停止図柄になった場合」として「偽りの報知」を行う「所定の前兆報知条件」について,当業者が容易に実施できる程度に発明の詳細な説明に記載されているということができる。
したがって,発明の詳細な説明には,「前記表示結果決定用データが前記大当り発生用の識別情報に対応しないものであった場合にも,所定の前兆報知条件が成立した場合には前記前兆報知を行なうときの報知態様と同じ態様での報知を行なう」こととして,「中当り」,「小当り」及び「偶然にその停止図柄になった場合」が記載されており,「所定の前兆報知条件」について当業者が容易に実施できる程度に記載されているから,本件訂正発明は,旧特許法36条3項の規定に違反するものではない。
更に,上述のとおり,特許請求の範囲の「所定の前兆報知条件」について発明の詳細な説明に記載されているから,本件訂正発明は旧特許法36条4項1号の規定に違反するものではない。
以上により,無効理由1には理由がない。

2.無効理由2について(29条1項柱書き違反)
請求人は,甲第12?18号証を引用して,本件特許発明の本質部分はe「生成された前記表示結果決定用データが前記大当り発生用の表示態様に対応するものである場合に,前記大当り発生用の表示態様が導出表示されることを遊技者に事前に報知する前兆報知を行なうための前兆報知手段」及びf「該前兆報知手段は,前記表示結果決定用データが前記大当り発生用の表示態様に対応しないものであった場合にも,所定の前兆報知条件が成立した場合には前記前兆報知を行なうときの報知態様と同じ態様での報知を行なう」であり,発明の本質部分が人為的な約束事であったり,あるいは専ら人間の精神的活動に依拠していたり,人間の技量に依存していたりした場合には,「技術的思想の創作」に該当しないものであり,本件特許発明において,大当りのときや大当り以外のときに「リーチ目表示」を行うことにより「遊技者の期待感の高揚や遊技の興趣の向上」という作用効果を生じるか否かは,遊技者の精神活動に委ねられているのであって,本件特許発明が当該特定された構成に基づく客観的な条件の下で当然に所定の技術的な作用効果を奏するわけでなく,本件特許発明は「技術的思想の創作」ではない旨,主張(審判請求書46?58頁)するので検討する。
なお,上記e,fについては本件訂正により,e’「打玉が前記始動入賞領域へ入賞したときに生成された前記表示結果決定用データが前記大当り発生用の識別情報に対応するものであり,該大当り発生用の識別情報に対応する表示結果決定用データが生成される前に打玉の前記始動入賞領域への入賞により生成された表示結果決定用データが外れの表示結果を示す場合に,前記大当り発生用の識別情報が導出表示されることを,該大当り発生用の識別情報が導出表示される回の可変表示が行なわれる前の回までの前記外れの表示結果となる可変表示において遊技者に事前に報知する前兆報知を行なうための前兆報知手段」及びf’「該前兆報知手段は,打玉が前記始動入賞領域へ入賞したときに生成された前記表示結果決定用データが前記大当り発生用の識別情報に対応しないものであった場合にも,所定の前兆報知条件が成立した場合には前記前兆報知を行なうときの報知態様と同じ態様での報知を行なう」と訂正された。

(1)発明の詳細な説明の記載
発明の詳細な説明には以下の記載がある。
・「本発明は,パチンコ遊技機に関し,詳しくは,打玉の始動入賞領域への入賞により複数種類の識別情報を可変表示可能な可変表示装置を有し,該可変表示装置の表示結果が予め定められた大当り発生用の識別情報となった場合に遊技状態が大当り状態となるパチンコ遊技機に関する。」(段落【0001】)
・「この種の従来のパチンコ遊技機においては,可変表示装置による予め定められた特定の識別情報が何の前兆もなく表示されるため,可変表示装置の可変表示の停止以前から遊技者の期待感を盛り上げることがあまりできず,せっかく可変表示装置を設けたにもかかわらずその可変表示装置の面白さを十分に演出できないという欠点を有していた。」(段落【0003】)
・「また,前兆報知手段の働きにより,打玉が前記始動入賞領域へ入賞したときに生成された前記表示結果決定用データが前記大当り発生用の識別情報に対応するものであり,該大当り発生用の識別情報に対応する表示結果決定用データが生成される前に打玉の前記始動入賞領域への入賞により生成された表示結果決定用データが外れの表示結果を示す場合に,前記大当り発生用の識別情報が導出表示されることを,該大当り発生用の識別情報が導出表示される回の可変表示が行なわれる前の回までの前記外れの表示結果となる可変表示において遊技者に事前に報知する前兆報知が行なわれ,さらに,前兆報知手段の働きにより,打玉が前記始動入賞領域へ入賞したときに生成された前記表示結果決定用データが前記大当り発生用の識別情報に対応しないものであった場合にも,所定の前兆報知条件が成立した場合には前記前兆報知を行なうときの報知態様と同じ態様での報知が行なわれる。」(段落【0006】)
・「該大当り発生用の識別情報が導出表示されることが,大当り発生用の識別情報が導出表示される回の可変表示が行なわれる前の回までの可変表示において遊技者に事前に報知される前兆報知が行なわれるため,前記大当り発生用の識別情報が表示されることに対する遊技者の期待感が高まる。しかも,前兆報知を行う回数は,たとえば生成された前記表示結果決定用データが前記大当り発生用の識別情報に対応するものである場合のみに前兆報知を行うものと比較して,多くなり,大当り発生用の識別情報が導出表示されることに対して遊技者が期待を抱く回数が増加するため,遊技の興趣を向上することができる。」(段落【0007】)
・「図7は,パチンコ遊技機に使用される制御回路を示すブロック図である。マイクロコンピュータ60は以下に述べるような各種機器の動作を制御する機能を有する。このため,マイクロコンピュータ60は,たとえば数チップのLSIで構成されており,その中には制御動作を所定の手順で実行することのできるMPU61と,MPUの動作プログラムデータを格納するROM62と,必要なデータの書込みおよび読出しができるRAM63とを含む。」(段落【0023】)
・「マイクロコンピュータ60は以下の回路および装置に制御信号を与える。まず,モータ駆動回路75を介してそれぞれのステッピングモータ48a?48cにモータ駆動用制御信号を与える。このモータ駆動回路75とマイクロコンピュータ60とにより,前記可変表示装置を可変開始させた後,後述する表示結果決定用データ生成手段により生成された前記可変表示装置の表示結果の決定に用いられる表示結果決定用データに従って決定された表示結果を導出表示させるように制御を行なう可変表示制御手段が構成されている。ソレノイド駆動回路76を介してソレノイド36にソレノイド励磁用制御信号を与える。ランプ駆動回路77を介してそれぞれのランプ31a,31b,32a,32bにランプ点灯用制御信号を与える。また,ランプ駆動回路77を介して当り予告表示器55に当り予告用制御信号を与える。LED駆動回路78を介して,始動入賞記憶表示器16a?16dに始動入賞記憶表示用制御信号を与えるとともに,当りライン表示器17a?17fに当りライン表示用制御信号を与える。セグメントLED駆動回路79を介して,入賞個数表示器25に入賞個数表示用制御信号を与えるとともに,開成回数表示器18に開成回数表示用制御信号を与える。さらに,アンプ80を介してスピーカ7に音発生用制御信号を与える。なお,前記各種機器および制御回路には電源回路81から所定の直流電源が供給される。」(段落【0029】)
・「図8ないし図11は,図7に示した制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。」(段落【0030】)
・「次にS63に進み,停止図柄決定用カウンタの現在のカウント値が大当りまたは中当りの値であるか否かの判断がなされる。・・・大当りまたは中当りの値になっている場合にはS64に進み,エリア4に記憶されている停止図柄データが大当りまたは中当りの値になっているか否かの判断がなされ,・・・大当りまたは中当りの値でない場合にはS65に進み,エリア4の停止図柄データをリーチ目表示用の停止図柄データに変更する処理がなされてサブルーチンプログラムが終了する。・・・このS65による変更処理がなされるため,リーチ目が可変表示装置で表示されてから1?4回後の可変表示により大当り状態または中当り状態が発生することになる。・・・前記S65に従ってリーチ目を表示する可変表示装置14により,打玉が前記始動入賞領域へ入賞したときに生成された前記表示結果決定用データが前記大当り発生用の識別情報に対応するものであり,該大当り発生用の識別情報に対応する表示結果決定用データが生成される前に打玉の前記始動入賞領域への入賞により生成された表示結果決定用データが外れの表示結果を示す場合に,前記大当り発生用の識別情報が導出表示されることを,該大当り発生用の識別情報が導出表示される回の可変表示が行なわれる前の回までの前記外れの表示結果となる可変表示において遊技者に事前に報知する前兆報知を行なうための前兆報知手段が構成されている。」(段落【0038】)

(2)判断
上記(1)によれば,本件訂正発明は,「パチンコ遊技機」という機器に関する発明であり,従前のパチンコ遊技機においては可変表示装置による予め定められた特定の識別情報が何の前兆もなく表示されるため,可変表示装置の可変表示の停止以前から遊技者の期待感を盛り上げることがあまりできず,せっかく可変表示装置を設けたにもかかわらずその可変表示装置の面白さを十分に演出できないという欠点を有していたが,本件訂正発明により,前兆報知手段の働きにより,生成された前記表示結果決定用データが前記大当り発生用の識別情報に対応するものである場合に,前記大当り発生用の識別情報が導出表示されることを遊技者に事前に報知する前兆報知が行なわれ,さらに,前兆報知手段の働きにより,前記表示結果決定用データが前記大当り発生用の識別情報に対応しないものであった場合でも,所定の前兆報知条件が成立した場合には前記前兆報知を行なうときの報知態様と同じ態様での報知が行なわれるもので,大当り状態となる大当り発生用の識別情報が表示されることが前もって遊技者に前兆報知されるため,前記大当り発生用の識別情報が表示されることに対する遊技者の期待感が高まるとともに,前兆報知と同じ態様での報知を行なう回数は,たとえば生成された前記表示結果決定用データが前記大当り発生用の識別情報に対応するものである場合のみに前兆報知を行なうものと比較して,多くなり,大当り発生用の識別情報が導出表示されることに対して遊技者が期待を抱く回数が増加するため,遊技の興趣を向上することができるという効果が生じるものであることが認められる。
そして,上記パチンコ遊技機におけるCPU60は,ROM62に格納された動作プログラムに従って各種制御を行うとともに,可変表示装置14等の他の機器と協働して,技術手段としての前兆報知手段を構成していると認められる。
そうすると,本件訂正発明の「打玉が前記始動入賞領域へ入賞したときに生成された前記表示結果決定用データが前記大当り発生用の識別情報に対応するものであり,該大当り発生用の識別情報に対応する表示結果決定用データが生成される前に打玉の前記始動入賞領域への入賞により生成された表示結果決定用データが外れの表示結果を示す場合に,前記大当り発生用の識別情報が導出表示されることを,該大当り発生用の識別情報が導出表示される回の可変表示が行なわれる前の回までの前記外れの表示結果となる可変表示において遊技者に事前に報知する前兆報知を行なう」及び「該前兆報知手段は,打玉が前記始動入賞領域へ入賞したときに生成された前記表示結果決定用データが前記大当り発生用の識別情報に対応しないものであった場合にも,所定の前兆報知条件が成立した場合には前記前兆報知を行なうときの報知態様と同じ態様での報知を行なう」は,CPU60等により構成される技術手段である「前兆報知手段」によって実現されるものであり,精神活動を介在させるものでないから,本件訂正発明は全体として「自然法則を利用した」ものということができる。
また,「技術的思想」の「技術」については,平成9年(行ケ)第206号判決は「特許法2条に定義される発明とは,・・・「技術的思想であること」をその要件の1つとするものであるが,この要件に示された「技術」については,「技術は一定の目的を達成するための具体的手段であって実際に利用できるもので,技能とは異なって他人に伝達できる客観性を持つものである」ことが必要とされるものと認められる」と説示しており,この観点からみて,本件訂正発明の「打玉が前記始動入賞領域へ入賞したときに生成された前記表示結果決定用データが前記大当り発生用の識別情報に対応するものであり,該大当り発生用の識別情報に対応する表示結果決定用データが生成される前に打玉の前記始動入賞領域への入賞により生成された表示結果決定用データが外れの表示結果を示す場合に,前記大当り発生用の識別情報が導出表示されることを,該大当り発生用の識別情報が導出表示される回の可変表示が行なわれる前の回までの前記外れの表示結果となる可変表示において遊技者に事前に報知する前兆報知を行なう」及び「該前兆報知手段は,打玉が前記始動入賞領域へ入賞したときに生成された前記表示結果決定用データが前記大当り発生用の識別情報に対応しないものであった場合にも,所定の前兆報知条件が成立した場合には前記前兆報知を行なうときの報知態様と同じ態様での報知を行なう」は「技術」に該当し,本件訂正発明は全体として「技術的思想」ということができる。

なお,請求人は「リーチ目表示」を行うことにより「遊技者の期待感の高揚や遊技の興趣の向上」という作用効果を生じるか否かは遊技者の精神活動に委ねられているのであって,本件訂正発明は「技術的思想の創作」ではない旨主張(審判請求書53?58頁)し,判例(東京高裁昭和60年行(ケ)第126号判決,東京高裁昭和31年行(ナ)第12号判決(東京高裁昭和31年12月25日判決),東京地裁平成14年(ワ)第5502号判決)を挙げている。しかし,これら判決には,発明考案の構成等について総合的に検討した上で「技術思想の創作」であるか否か判断しているものであり,作用効果が生じるか否かが精神活動に委ねられる場合には「技術的思想の創作」ではないとしたものではなく,請求人の主張は採用することができない。

したがって,本件訂正発明は「自然法則を利用した技術的思想の創作」であり,特許法29条1項柱書きの規定に違反するものとすることはできず,無効理由2には理由がない。

3.無効理由3について(分割要件違反,29条)
請求人は,「本件特許に係る分割出願の際に,「弾球遊技機」をスロットマシンも含む「遊技機」に変更し,「複数種類の識別情報を可変表示可能」を「表示状態が変化可能」に変更し,「識別情報」,「特定の識別情報」それぞれを「表示態様」,「特定の表示態様」に変更することで,回転ドラムに描かれた識別情報だけでなく動画表示なども可能な「可変表示装置」を備えるパチンコ遊技機やスロットマシンを含む「遊技機」の発明に変更したものであることは明らかであり,本件特許は原出願には包含されていない識別情報以外の動画表示が可能なパチンコ遊技機やスロットマシンを含む「遊技機」の発明を分割出願したもの」であるとし,本件特許は,分割要件違反であるため,その出願日が現実の出願日である平成8年8月13日に繰り下がると主張する(審判請求書58?63頁)。
そして,本件訂正発明は,繰り下がった出願日以前に公開された甲第4号証(特開平3-73180号公報)に基づき,或いは,甲第4号証に記載された発明に甲第6?11,12?18,19号証に記載の周知技術を単純に組み合わせることで,当業者が容易に成し得たものであり,特許法29条2項により無効とされるべきものである,と主張する(審判請求書63?69頁)ので,検討する。

(1)甲第4号証の記載事項
原出願(特願平1-209756号)の願書に最初に添付した明細書又は図面(以下,「原出願当初明細書」という。)には,甲第4号証(特開平3-73180号公報)によれば,以下の記載がある。
・「【特許請求の範囲】
複数種類の識別情報を可変表示可能な可変表示装置と,
前記可変表示装置の可変表示を開始するための予め定められた開始条件が成立したことに基づいて開始指令信号を発生する開始指令信号発生手段と,
前記可変表示装置の可変表示を停止するための予め定められた停止条件が成立したことに基づいて停止指令信号を発生する停止指令信号発生手段と,
前記可変表示装置の停止時の価値内容を該可変表示装置の数回前の可変表示の段階から予め決定しておくための価値内容事前決定手段と,
前記開始指令信号発生手段の開始指令信号に基づいて前記可変表示装置を可変表示させるとともに,前記停止指令信号発生手段の停止指令信号に基づいて前記可変表示を停止制御し,停止時の識別情報が前記価値内容事前決定手段により決定された価値内容に従ったものになるように表示制御する可変表示制御手段と,
前記可変表示装置の停止時の表示結果が予め定められた特定の識別情報になったことに基づいて所定の遊技価値を付与する遊技価値付与手段と,前記価値内容事前決定手段により決定された価値内容が前記予め定められた特定の識別情報に対応するものであることを判別する特定識別情報判別手段と,
少なくとも前記特定識別情報判別手段の判別出力に基づいて,該特定の識別情報が表示される予定となっている回の可変表示の開始以前に,前記特定の識別情報が表示されることを遊技者に事前に報知するための前兆報知手段とを含むことを特徴とする,弾球遊技機。」
・「[産業上の利用分野] 本発明は,パチンコ遊技機等で代表される弾球遊技機に関し,詳しくは,複数種類の識別情報を可変表示可能な可変表示装置の表示結果に基づいて所定の遊技価値を付与する弾球遊技機に関する。」(1頁右下欄19行?2頁左上欄3行)
・「[発明が解決しようとする課題] しかし,この種従来の弾球遊技機においては,可変表示装置による予め定められた特定の識別情報が何の前兆もなく表示されるため,可変表示装置の可変表示の停止以前から遊技者の期待感を盛り上げることがあまりできず,せっかく可変表示装置を設けたにもかかわらずその可変表示装置の面白さを十分に演出できないという欠点を有していた。
本発明は,かかる実情に鑑みて可変表示装置による可変表示の面白さを十分に演出し遊技者の期待感をより一層向上することのできる弾球遊技機を提供することを目的とする。」(2頁左上欄19行?右上欄11行)
・「本発明によれば,価値内容事前決定手段の働きにより,可変表示装置の停止時の価値内容を該可変表示装置の数回前の可変表示の段階から予め決定しておくことができる。また,予め定められた停止条件が成立したことに基づいて可変表示装置の可変表示が停止制御され,その停止時の識別情報が前記予め決定された価値内容に従ったものになるように表示制御される。さらに,可変表示装置の停止時の表示結果が予め定められた特定の識別情報になったことに基づいて所定の遊技価値が遊技者に付与される。また,前兆報知手段の働きにより,前記価値内容事前決定手段により決定された価値内容が前記予め定められた特定の識別情報に対応するものであることに基づいて,該特定の識別情報が表示される予定となっている回の可変表示の開始以前に,前記特定の識別情報が導出表示されることが遊技者に事前に報知される。
つまり,所定の遊技価値が付与可能な特定の識別情報が表示されることが,その特定の識別情報が表示される予定となっている回の可変表示の開始以前に遊技者に報知されるため,前記特定の識別情報が表示される予定となっている回の可変表示以前から遊技者の期待感が高まる。」(2頁右下欄7行?3頁左上欄9行)
・「遊技領域13には,そのほぼ中央に可変表示装置14が設けられているとともに,その下方に可変入賞球装置20が配設されている。可変表示装置14には,複数種類の識別情報を可変表示できる識別情報表示部15a,15b,15cが設けられている。そして遊技領域13に形成されている始動入賞口27a,27b,27cのいずれかにパチンコ玉が入賞することにより最大4個まで始動入賞記憶が行なわれ,始動入賞記憶のあることに基づいて,識別情報表示部15a,15b,15cが可変表示を開始し,所定時間の経過または,所定時間の経過以前における遊技者による停止操作ボタン8の押圧操作に基づいて前記識別情報表示部15a,15b,15cが順次停止制御されるように構成されている。なお,可変表示が1回行なわれる毎に前記始動入賞記憶が1ずつ減算される。そして停止したときの可変表示装置14による表示結果が予め定める特定の組合わせ(特定の識別情報)になれば,大当りとなり可変入賞球装置20の開閉板22を開成して遊技者にとって有利となる第1の状態に駆動制御される。この可変入賞球装置20により,前記可変表示装置14の停止時の表示結果が予め定められた特定の識別情報になったことに基づいて所定の遊技価値を付与する遊技価値付与手段が構成されている。」(3頁右上欄6行?左下欄10行)
・「第3図は,可変表示装置14の内部構造を示す斜視図である。ドラム機構収納部35内には,回転ドラム49a,49b,49cが設けられている。(5頁左上欄11?14行)
・「前記それぞれの回転ドラム49a?49cの外周面には,たとえば16個の識別情報が描かれており,5つの前記当りライン(第1図参照)上に大当り発生用の識別情報・・・のいずれかが揃えば大当り状態が発生する。」(5頁右上欄13?20行)
・「以上説明した可変表示装置14は,本実施例ではドラム型のものを示したが,本発明はこれに限らず,液晶などを用いたデジタル表示のものであってもよく,また,リーフ式あるいはエレクトロルミネセンスによる表示であってもよい。さらに,複数のランプやLEDを配設し,ランプやLEDを循環させて走行点灯させながら可変表示を行なういわゆるルーレット式のものであってもよい。また,円盤形の複数のディスクにそれぞれ複数種類の識別情報を書込み,それぞれのディスクの1カ所の識別情報を表示するようにしたディスク式のものであってもよい。さらに,ドラム型やデジタル式を組合わせるなど,前記種々の可変表示部材を2つ以上組合わせたものであってもよい。また,ベルト式やドットマトリックスでもよい。なお,本実施例では,表示部の数を3個としたが,1個または2個もしくは4個以上であってもよい。」(5頁左下欄14行?右下欄10行)
・「次にS60では,停止図柄決定用カウンタの現在のカウント値を停止図柄データとして始動記憶カウンタの値に対応する停止図柄データ記憶エリアに記憶する処理がなされる。たとえば,第9図に示すように,始動記憶カウンタが「1」の場合には,停止図柄データ記憶エリアのエリア5に現在のカウント値に対応する停止図柄データ「a」が記憶される。(11頁左下欄4?11行)
・「次にS63に進み,停止図柄決定用カウンタの現在のカウント値が大当りまたは中当りの値であるか否かの判断がなされる。・・・大当りまたは中当りの値になっている場合にはS64に進み,エリア4に記憶されている停止図柄データが大当りまたは中当りの値になっているか否かの判断がなされ,・・・大当りまたは中当りの値でない場合にはS65に進み,エリア4の停止図柄データをリーチ目表示用の停止図柄データに変更する処理がなされてサブルーチンプログラムが終了する。・・・このS65による変更処理がなされるため,リーチ目が可変表示装置で表示されてから1?4回後の可変表示により大当り状態または中当り状態が発生することになる。・・・前記S65に従ってリーチ目を表示する可変表示装置14により,少なくとも前記特定識別情報判別手段の判別出力に基づいて,該特定の識別情報が表示される予定となっている回の可変表示の開始以前に,前記特定の識別情報が表示されることを遊技者に事前に報知するための前兆報知手段が構成されている。」(11頁右下欄13行?12頁右上欄18行)
・「さらに,前記2つの実施例においては,前兆報知手段により前兆が報知された場合または事前報知手段により報知が行なわれた場合に,必ず大当りが発生するのではなく,中当りや小当りとなり大当りが発生しない場合や,可変表示装置である定められた停止図柄で予告する場合において,偶然にその停止図柄になった場合のように全く大当りや中当りさらには小当りにならない場合が生ずるものを示した。しかし,本発明はこれに限らず,一旦前兆報知手段により前兆が報知された場合または事前報知手段により報知がなされた場合には,必ず大当りが発生するものであってもよい。また,中当りや小当りがなく大当りのみあるものであっもよい。」(16頁右下欄10行?17頁左上欄3行)

(2)出願日の繰下げについての検討
本件訂正により,「遊技機」は「弾球遊技機」に訂正され,「表示状態が変化可能」は「複数種類の識別情報を可変表示可能」に訂正され,「表示態様」,「特定の表示態様」はそれぞれ「識別情報」,「特定の識別情報」に訂正された。
そして,本件訂正発明の「弾球遊技機」,「複数種類の識別情報を可変表示可能」,「識別情報」,「特定の識別情報」が,原出願当初明細書及び原出願の分割直前の明細書等に記載されたものであり,本件訂正発明は原出願に包含された発明の一つであることは明らかであるから,本件出願は原出願に包含された発明の一部を特許法44条1項の規定により新たな出願としたものと認められる。
したがって,本件出願は,特許法44条2項により,原出願のときにしたものとみなされるから,その出願日は平成1年8月14日となる。

(3)29条に関する判断
請求人が無効理由3において,主要引用文献としている甲第4号証及び周知例としている甲第6?11号証は,本件出願の出願日とみなされた平成1年8月14日以前に公開されたものではないから,29条2項における刊行物として採用することができない。そして,周知例とされた甲第12?18,19号証のみによっては,本件訂正発明が容易に想到し得たとすることができないことは明らかである。

以上により,無効理由3には理由がない。

4.無効理由4について(29条2項)
仮に出願日の繰り下げがないとしても,本件訂正発明は,甲第12号証に記載された発明に甲第13?19号証に記載の発明を組み合わせることで,当業者が容易に成し得たものであり,特許法29条2項により無効とされるべきものであると主張する(審判請求書69?74頁)ので,この点について検討する。
(1)甲第12?19号証の記載事項
甲第12号証には,以下の事項が記載されている。
・「本考案は,特定の入賞が得られやすい状態になっている場合に,これを表示するようにしたスロットマシンに関するものである。」(2頁5?7行)
・「しかし,従来のスロットマシンにおいては,前記マイクロコンピュータによって入賞リクエスト信号が得られた場合でも,それが表示されることがないため,遊技者にとっては折角のチャンスでありながらこれを知ることができない。特に,上述したようなボーナスゲームのリクエスト信号が発生されていたとしても格別の注意を喚起することなくゲームが続行されてしまう。本考案は上記のような背景を考慮してなされたもので,ボーナスゲームあるいは高配当が得られるような特定の入賞が発生されやすい状態になっている場合には,これを遊技者に報知することによって遊技者に大きな期待感を与え,ゲームの興趣をさらに盛り上げるようにしたスロットマシンを提供することにある。」(4頁8行?5頁2行)
・「本体1の前面パネルに設けられたメダル投入口2から所定枚数のメダルを投入し,スタートレバー3を操作することによってリール4?6が回転する。リール4?6の回転中は,各リール上に配列されたシンボルの識別は非常に困難となっている。こうしてゲームが開始され,リール4?6が定常回転に達した後に,各リールごとに設けられたストップボタン11?13の操作が可能となる。遊技者が任意のタイミングでストップボタン11?13を操作してゆくと,リール4?6がその都度停止される。そして,観察窓7?9から観察される各リール相互間のシンボルの組み合わせが,投入されたメダルの枚数によって有効化された入賞ライン上で,所定の組み合わせになっていると,入賞の種類に応じた枚数のメダルが受け皿14に払い出される。」(6頁7行?7頁3行)
・「ROM21には,入賞に該当するシンボルの組み合わせや,入賞ごとの払い出しメダル枚数の他,スロットマシンの基本的なゲームプログラム,およびボーナスゲームを実行するプログラム等がメモリされている。また,RAM22には,ゲーム進行中に順次書換られるシンボルデータや,リクエスト信号を発生するために一時的にサンプリングして保持される乱数値などがメモリされる。」(7頁12?20行)
・「リールコントロールブロックBは,リール4?6のそれぞれを駆動するステッピングモータM1?M2に駆動パルスを供給する入力ポート23と,リール4?6の回転位置および停止位置を前記駆動パルスのパルス数として検出し,これをメインCPU20に入力する位置検出入力ポート24とを備えている。さらに,ストップボタン11?12の操作タイミングを,前記駆動パルスとの相関をもった信号としてメインCPU20に入力するためのリールストップ入力ポート25が設けられている。」(8頁3?13行)
・「ストップボタン11?13が操作され,停止したリール4?6の回転停止位置として特定されたシンボルの組み合わせが,メインCPU20に入力され,その組み合わせをROM21のデータと照合した結果,入賞が得られた場合には,ホッパー駆動入力ポート28を介してホッパー29が作動する。ホッパー29の作動により,スロットマシンの本体1内に収容されているメダルが受け皿14に払い出される。」(8頁16行?9頁第5行)
・「ゲームを行った結果,各リール4?6相互間のシンボルの組み合わせが「7」-「7」-「7」になった場合には,ボーナスゲームの特典が与えられるようになっている。ボーナスゲームが行われると,入賞が極めて頻繁に生じるようになるため,ボーナスゲームの発生はメインCPU20でソフト的に制御される。」(9頁13?19行)
・「乱数発生回路35から発生される乱数値を,乱数値サンプリング回路36によりサンプリングする。乱数値サンプリング回路36は,例えばスタートレバー3が操作された時点を基準にして,一定時間後に乱数値のサンプリングを行うようになっており,乱数発生回路35から発生される循環した乱数列から,常に一定間隔で乱数値をサンプリングし,一且サンプリングされた乱数値は以後サンプリングされることがないように構成されている。こうしてサンプリングされた乱数値は,カウンタ37にストアされる。リクエスト信号発生回路38は,こうして得られた乱数値をROM39のデータを比較し,一定範囲内のときにはリクエスト信号を出力する。」(9頁20行?10頁14行)
・「リクエスト信号発生回路38からリクエスト信号が出力されると,各リール4?6の駆動を制御するモータ制御回路40?42のそれぞれは,リール4?6がシンボル「7」を表示した位置で停止させるようにモータM1?M3を制御する。モータM1?M3は,ステッピングモータによって構成されており,これらに供給される駆動パルスはカウンタ43?45で計数される。また,リール4?6が一回転するごとに,ホトセンサ47?49からカウンタ43?45にリセット信号が供給される。したがって,カウンタ43?45の計数値は,リール4?6の一回転内の回転位置に対応しており,この計数値に基づいて回転中のリール4?6のシンボルの移動を監視することができるようになる。こうして,各リール4?6が回転されているときに,ストップボタン11?13が操作されると,ストップ信号発生回路50?52から各モータ制御回路40?42にストップ信号が供給される。モータ制御回路40?42にリクエスト信号が入力されているときには,カウンタ43?45の計数値がモータ制御回路40?42にフィードバックされるようになっている。そして,モータ制御回路40?42は,リール4?6について,シンボル「7」が所定の入賞ライン上で停止するように,それぞれのカウンタ43?45での計数値を参照しながらモータM1?M3の駆動を制御する。一方,リクエスト信号発生回路38からリクエスト信号が発生されたときには,表示ランプ駆動回路55に駆動信号が出力される。この結果,配当パネル15内に設けられた表示ランプ16が点灯動作してリクエスト信号の発生,すなわちボーナスゲームとなるシンボルの組み合わせが得やすいように,リール4?6が停止制御される状態になっていることを表示する。しかし,ストップボタン11?13の操作タイミングとリール4?6の停止タイミングとがあまりかけ離れていると,不自然な感じがでてくるから,上述したようにシンボル「7」がでるようにリール4から6の停止制御を行うことには限度がある。例えば,ストップボタン11?13が操作された時点のシンボルから,3?4個ずれたシンボルの範囲内に「7」があるときには,シンボル「7」を表示してリール4?6を停止させ得るが,その範囲内にシンボル「7」が存在しないときにはシンボル「7」が出るようにリール4?6を停止制御できなくなり,ボーナスゲームが得られない場合も生じる。」(10頁17行?13頁4行)
・「シンボル検出回路56?57から供給されるシンボルデータに基づき,入賞判定回路60が入賞の判定を行った結果,「7」-「7」-「7」の組み合わせであることが判定されたときには,ホッパー29が作動して規定枚数のメダルが払い出された後,ボーナスゲームが開始される。」(14頁4?9行)
・「リクエスト信号が発生されたときには,初心者にもある程度シンボルの移動が識別できるように,リールの回転速度を低下させるようにすれば,リクエスト信号を有効に活用する上でさらに好ましい。」(15頁11?15行)
・「以上に説明したように,本考案のスロットマシンにおいては,特定の入賞が得られやすいようにシンボル列の移動が停止制御されるときに,その旨が表示装置によって遊技者に報知されるようになる。したがって,従来のスロットマシンにはない非常にスリリングな興趣が得られるようになる。」(15頁17行?16頁3行)

甲第13号証には,以下の事項が記載されている。
・「本発明はマイクロコンピュータの利用により,電子的に統括制御されたスロットマシンに関するものである。」(2頁左上欄7?9行)
・「スロットマシンは基本的には,何種かのシンボルマークが周縁部に配列された例えば3個のリールを高速回転させ,これらが停止された時点で所定の窓位置に現れた各リールのシンボルマークがいかなる組み合わせになっているかで入賞が決定される。」(2頁左上欄12?17行)
・「ゲーム毎にサンプリングされる乱数値を予め設定記憶された入賞確率テーブル中の数値と照合してその入賞を決定するようにしてある。」(2頁左下欄19行?右下欄1行)
・「こうして決定された入賞に見合うシンボルマークの組み合わせが得られるように,あるいは得られ易いように,各リールをリールストップボタンが操作されてから停止させるまでの間に監視制御するものである。」(2頁右下欄2?6行)
・「ROM51には前述したシンボルマークとシンボルマークコードとの対応表,入賞に相当するシンボルマークコードおよび入賞メダル支払い枚数表の他,実行されたゲームに関して入賞させるか否かを決定し,入賞させる場合にその入賞の高低に応じたヒットリクエストを発生させる入賞確率テーブルなどがストアされている。」(4頁左上欄4?10行)
・「第9図は発生,更新される乱数値のサンプリング,ヒットリクエストチェック処理のフローチャートである。このフローチャートは,第4図に示したフローチャートにおける“ヒットリクエスト”処理に該当するもので,ゲーム開始後例えばスタートレバーの操作後の所定のタイミング信号(この時点で各リールは定常回転されることが好ましい。)により,その時点で乱数値RAM80(第8図)に存在する乱数値をそのゲームの乱数値として決定する。こうして決定された乱数値は第9図のフローチャートに従い,後述する入賞確率テーブルと照合され,大ヒットに該当する数値であれば大ヒットリクエスト信号の発生,また中ヒットに該当する数値であれば中ヒットリクエスト信号の発生というように小ヒットまでの判断,処理がなされいずれかのヒットリクエストが発生されるかあるいはヒットリクエストなしかがチェックされることとなる。なお,“入賞テーブル選択”の処理は,ゲーム開始に先立ち投入されるメダルが何枚であるかによって有効入賞ライン数が変化するので,この投入メダル数に応じた入賞テーブルを選択することを意味している。」(5頁左上欄12行?右上欄13行,9図)
・「第10図は入賞確率テーブルの概念図である。テーブル中のB1?B3,M1?M3,S1?S3はそれぞれ事前に設定された数値で,第8図に示したような2バイトのメモリ領域,但しROM上に存在している。そして投入メダル数に応じていずれかのラインが選択される(第9図のフローチャートの“入賞テーブル選択”処理に対応。)。なお,各ラインにおける数値は通常はB<M<Sに設定され,例えば第7図により発生される乱数値がO?Nの範囲の値であると,投入メダル数1の場合の大ヒットの確率はB1/N,中ヒットの確率は(M1-B1)/N,小ヒットの確率は(S1-M1-B1)/Nとなり,B1,M1,S1それぞれの値が100,500,1000であるとすると,サンプリングされた乱数値が100未満であれば大ヒット,100以上500未満であると中ヒット,500以上1000未満なら小ヒットの各リクエストが発生され,1000以上ではヒットリクエストなしとなるものである。従ってこの入賞確率テーブルはいわば入賞の確率を決定する機能をもつと言える。」(5頁右上欄14行?左下欄13行,10図)
・「こうして任意時点でのゲーム開始後に特定の乱数値がサンプリングされ,前述の入賞確率テーブルと照合されてヒットリクエストが得られることになるが,さらにペイアウト率を一定にする意味でリクエストカウンタを設けておいてもよい。すなわち,前述した入賞確率テーブル中の数値それぞれに相当する数値をRAM上にストアしておき,該当したヒットリクエストが発生した際に,その数値に-1の減算処理を行なう。」(5頁左下欄14行?右下欄2行)
・「これまでに述べてきた大,中,小の各ヒットの例としては,大ヒットが15枚のメダル支払いの後ボーナスゲームができるようになるもの,中ヒットが10?15枚のメダル支払い,小ヒットが2?5枚程度のメダル支払など適宜設定される。ボーナスゲームとしては,例えばメダル1枚の投入毎に1個のリールのみでゲームを実行し,その1個のリールについてある種のシンボルマークが出ればそのまま15枚のメダル支払いがなされ,このような手順で数回のゲームができるようになることなどが考えられる。」(5頁右下欄8?18行)
・「リールの周縁の1個所に例えば光電検出できるリセット信号部を設け,このリセット位置におけるシンボルマークからリール回転方向への配列に従って順に0?20の付番によるコードナンバーとシンボルマークに対応するシンボルナンバーをROMにメモリしておけば,メインコントロール部により,リセット通過後にモータ送られるパルス数を計数してコードナンバーを算出し前述のコードナンバーおよびシンボルナンバーがメモリされたROMを参照すれば,窓に現れているシンボルマークが識別できることになる。もちろんリセット位置検出センサの位置が窓位置からずれている場合にはそのずれ分だけ回転させるべきパルス数を予め考慮しておくものとする。このような構成によれば,リールのストップボタンの押された瞬間に,リセット信号発生後何パルス送られたかを監視し,前述のシンボルナンバーROMを参照するによってその時点で窓に現れているシンボルマークが何であるかが識別できる。従って仮にストップボタンが押されてからリールが1回転するまでの間に実際にリールを停止させればよいものとすれば,リセット信号発生からストップボタン操作までの間にモータに送られたパルス数を考慮して,さらに送るパルス数を調節することで任意のシンボルマークが窓に現れて停止するようにすることが可能となる。」(6頁左上欄12行?右上欄18行)
・「まずストップボタンの操作後,シンボルマークが例えば4個分移動するまでの間にリールを停止させるようにするものとする。そしてストップボタンが操作された時点でのリールの位置から,これに後続しているシンボルマーク4個までの計5個のシンボルマークが何であるかをチェックするようにしてある。このようにシンボルマークをチェックして,すでにセットアップされたヒットリクエストに対応するシンボルマークの組み合わせを得るのに必要なシンボルマークがその5個のチェック範囲内にあればそこでリールを停止させることになる。なお,このような処理は3個のリールそれぞれについて行なわれることは言うまでもない。第12図は前述したコードナンバー及びシンボルコードのテーブル例を概念的に示すもので,また第13図はリール停止処理を示すフローチャートである。第12図におけるシンボルマークそのものは実際には簡略化されたデザイン図形であり,これはROM上には存在しないが,シンボルナンバーとの対応関係を表す意味で図示してある。また各リールの0?20のコードナンバー,1?8のシンボルナンバーは実際には2進数としてROMにストアされており,コードナンバーは5ビット,シンボルナンバーは3ビットあればよい。」(6頁左下欄17行?7頁左上欄1行)
・「第13図におけるP10,P11の処理は,リールに設けられたリセット信号部,すなわちコードナンバー0を検出し,リールの回転に伴って順次コードナンバーを書き換えながらメモリしてゆくRAMを0にクリアするものであり,P12,P13では1シンボル分の移動に必要なパルス(9?10パルス)がモータに送り込まれたかを確認したうえで,前記コードナンバーをストアするRAMに新たなコードナンバーをセットアップする。また,P14のストップコントロール処理では,すでに得られているヒットリクエストを得るためのシンボルマークが,ストップボタンの操作時に前記した4個の範囲内に存在するかコードナンバーに基いてを判別し,存在する場合にはさらに何パルスだけモータに送り出せばよいかを算出する。そしてP15の処理により算出された個数分のパルスを計数しながら,予定個数だけモータに送り出した後,リールをストップさせ,P16の処理によりコードナンバーとシンボルナンバーとの参照を行なうことになる。こうして全てのリールについて処理を行なう。なお,第14図は第13図におけるP13の処理ごとにデータの書き換えられるRAMエリアの様子を示している。第14図において,RAM1はP13の処理により書き換えられるRAMで,例えばある時点においてリール窓のセンターライン(第2図におけるライン1に相当する。)に現れた各リールR1?R3のコードナンバーがセットアップされる。これが例えば図示した状態であるとする。こうして各リールのコードナンバーがセットアップされると,第12図に示した表がストアされたROMを参照することによりリール窓に現れている各リールR1?R3毎3個のシンボルコード(シンボルマーク)が一義的に決定され,この結果がRAM2に図示のようにセットアップされることになる(参考のため,シンボルマークも付記した。)。こうしてRAM2が決まると,第2図における各入賞ライン1,2A,2B,3A,3B上の各シンボルマークの並びが決定し,これが図示のようにRAM3にストアされることになる。そしてこの各ラインでのシンボルコードの組み合わせを,入賞のシンボルコードの組み合わせと共にこれに対応した支払メダル数,またボーナスゲームの有無がメモリされている入賞シンボルテーブルと照合される。」(7頁左上欄4行?左下欄7行,13図,14図)
・「第15図はこうした入賞シンボルテーブルの一例を概念的に示すものである。なお,例えば投入メダル数が1枚であれば,ライン1のみの照合で済むことは言うまでもない。今仮に3枚のメダル投入があったとし,ライン3Bのシンボルコードの組み合わせ5(E)-5(E)-5(E)でメダル10枚の払い出しの中ヒットであれば,これがRAM4に図示のようにセットされる。」(7頁左下欄7?15行)
・「以上のようにして第2リールストップ処理が終了した後,第3リールの停止処理は,大ヒットリクエストが発生されている場合第23図のフローチャートにより行なわれる。この場合のヒットの判断は,第2リールストップ後にすでに作成された入賞区分表(第21図)を参照して実行される。また中ヒットリクエストが発生されている場合にはこのフローチャートにおける2つのヒット判断処理ブロックが入れ換わったもので行なわれる。小ヒットリクエストが発生されている場合には,本来第3リールのシンボルは何であってもよいが,投入メダル数によっては(2枚以上),複数の入賞ラインのいずれかによって大ヒット,中ヒットが発生することもあり得るので,やはり第3リールストップ処理においても4コマずれの範囲内でこれをチェックすることが必要であり,またヒットリクエストなしの場合でも第1,第2リールが大あるいは中ヒットを構成するシンボルの並びになっていることもあり得るのでやはりチェックが必要で,これは第24図のフローチャートによって処理されることになる。例えばヒットリクエストなしの場合で第1,第2リールがそれぞれコードナンバー17,19でストップしていたとすれば(第21図参照),第3リールのストップ操作が,第3リールのコードナンバー3と4との間で行なわれるとコマずれなしのコードナンバー4から4コマずれのコードナンバー8までの間でチェックが行なわれる。そしてコマずれなしであると中ヒットとなるので,第3リールは例えば1コマずれのコードナンバー5でストップされることになる。なお,前述したように,第21図の入賞区分表は単にライン1での入賞の有無だけでなく,各入賞ラインについてのものであるので,各ラインとも入賞が発生してしまうことはない。こうして第3リールがストップすると,第25図に示したフローチャートによる処理が実行される。すなわち,第3リールの停止により,窓に現れている全てのリールのシンボルマークが確定し,これで第14図に示した各RAMエリアが全てのデータをもつことになり,この時点で再度第22図の入賞判定処理が実行される。そして入賞の場合にはそのゲーム開始時に得られていたヒットリクエストを減算し,メダル支払いのためのホッパーモータがONされる。」(9頁左上欄13行?左下欄18行)
・「また,リールの処理は4コマずれを想定して説明してきたが,このためヒットリクエストに対応したシンボルがその4コマずれの範囲内に存在しないこともあり得る。(特に大ヒットシンボルは少ないため,充分あり得る。)このような場合にはヒットリクエストを満足しない結果となってしまい,設定された入賞確率が低下することになり,特に大ヒットではその影響が大きくなる。これを適正化するためには,ヒットリクエストが発生されながらも入賞なしとなった場合にはそのヒットリクエストを次回のゲームまで保存するようにすればよい。」(9頁右下欄10行?10頁左上欄1行)

甲第14号証には,以下の事項が記載されている。
・「本発明は電動型スロットマシンに関する。」(2頁左上欄16行)
・「周囲に多数の絵柄が表示されている複数本のリール」(2頁左下欄6?7行)
・「乱数発生手段(4)では,スタートスイッチ(3)の作動信号が入力されると乱数を通常の手段により発生せしめる。発生せしめる乱数の数は,後述するごとく絵柄組合せテーブルメモリ(7)の記憶内容によって1個または3個である。発生した乱数は停止絵柄情報読取手段(8)に送られ,種々の絵柄の組合せまたは種々の絵柄が記憶されている絵柄組合せテーブルメモリ(7)から前記乱数に基づいてランダムに停止絵柄の組合せを読取り,決定する。絵柄組合せテーブルメモリ(7)の内容は,前記のごとく絵柄の組合せそのものであってもよいし,絵柄自体であってもよい。絵柄の組合せを記憶しておくばあいは,すべての絵柄の組合せを記憶させてもよいし,メダルの払出しを受けられる組合せ(以下,アタリの組合せという)とメダルの払出しを受けられない組合せ(以下,ハズレの組合せという)とを適当な数ずつ記憶させてもよい。後者のばあいは,アタリの組合せの数とハズレの組合せの数とを適宜調整することにより,アタリの回数を制御することが可能になる。なお,絵柄の組合せを記憶させておくばあいには,乱数発生手段(4)で発生せしめる乱数は1つでよい。一方,絵柄自体を記憶させておくばあいでは,各リールの表示絵柄に対応した絵柄が記憶されている3つのテーブルを用いてもよいし,各絵柄ごとに個数を適宜選定して同種の絵柄を1個ないし複数個記憶させておいてもよい。後者のばあいはテーブルは1つでよく,同じテーブルから3回絵柄を読取る。なお,絵柄自体を記憶させておくばあいには,3つの乱数が必要になる。」(3頁左上欄6行?右上欄18行)
・「かくして停止絵柄情報読取手段(8)で決定された停止絵柄情報は停止絵柄位置情報発生手段(9)に送られ,リールに表示されている絵柄の位置情報に変換されて比較手段(10)に送られる。比較手段(10)には,各リールにおける停止絵柄位置情報と表示絵柄位置検出手段(11)から常時送られてくる各リールの現在の表示絵柄位置情報とストップスイッチ(12)の作動信号が入力される。比較手段(10)では1個のストップスイッチ(12)から作動信号が入力されると,そのリールの現在の表示絵柄位置情報とそのリールの停止絵柄位置情報とを比較して両者の位置関係情報をタイミング手段(13)に出力する。タイミング手段(13)では,比較手段(10)からの位置関係情報に基づいて,ストップスイッチ(12)が作動したリールの停止時の表示絵柄があらかじめ決められた停止絵柄となるようなタイミングで励磁パルス停止信号をドライバー手段(5)に出力する。ドライバー手段(5)では該停止信号により励磁パルスの発生を停止してステッピングモータ(6)を停止せしめる。その結果,停止したリールの表示絵柄は,ストップスイッチ(12)の作動のタイミングとは無関係に乱数に基づいて決められた絵柄となる。」(3頁右上欄19行?右下欄2行)
・「本発明のスロットマシンの特徴は,以上の機能実現手段にさらにアタリの組合せの出る確率を特別に高くした絵柄組合せテーブル(以下,特別テーブルという)を別途用意し,その特別テーブルに切替える時期をリセット時に決定する手段を追加した点にある。」(4頁右上欄12?17行)

甲第15号証には,以下の事項が記載されている。
・「この発明は,複数のドラムを一斉始動させた後,停止ボタンによりこれらを停止させた際,停止ライン上に並ぶ各ドラムの絵柄が所定の配列となるか否かによりゲームの勝負を決定するスロットマシンに関する。」(1頁右欄4?8行)
・「周面に複数個の絵柄が配列された複数のドラムと,それぞれのドラムを駆動するための駆動手段と,駆動手段が始動する毎に特定の入賞の条件を向上させるための抽選を行う抽選手段と,抽選結果に応じて前記駆動手段の動作を制御して特定の入賞の条件を向上させるための入賞条件向上手段と,抽選結果を遊戯者に報知する報知手段とを具備させることにした。」(2頁右上欄1?8行)
・「特定の絵柄配列となったとき,「ボーナスゲーム」の権利が与えられて,高配当のメダルの払い出しが期待できるようになっている。」(2頁右下欄9?12行)
・「コンピュータ回路は,各ドラムが一斉回転する毎に前記ボーナスゲームについての抽選を実行する手段と,抽選が当たったとき各パルスモータの動作を制御してボーナスゲームにかかる前記絵柄配列が有効な停止ライン上に揃い易いように入賞の条件を向上させる手段とを構成するものであって,具体的には,第5図および第6図に,制御手順が示してある。第5図において,今遊戯者がメダル投入口4ヘメダルを投入して,始動レバー6を操作すると,ステップ1(図中,「ST1」で示す)およびステップ2の各判定が“YES”であり,3個のドラム1a,1b,1cが一斉回転する(ステップ3)。この段階で,前記の抽選が実施されて,抽選が当たると,ステップ4が“YES”となり,抽選結果表示ランプ30が点灯すると共に,音声発生部23が所定の効果音を発して,遊戯者に抽選の当ったことが報知される。そして遊戯者が3個の停止ボタン5をランダムに押操作すると,抽選が当っていないときは本来の通常の停止制御が,一方抽選が当ったときは,後述する第6図の停止制御が,それぞれ実行されて,各ドラム1a,1b,1cが順次停止し,(ステップ6?8),絵柄表示部3には各ドラムにつき3駒分の絵柄が並ぶものである。」(3頁左下欄1行?右下欄5行,5図)
・「今メダルの投入および始動レバー6の操作によりドラム1a,1b,1cが一斉始動すると,まずCPU27はROM28に予め格納してある乱数テーブルより任意の乱数を取り込んで,抽選処理を開始する(ステップ21,22)。この抽選処理は,乱数値がRAM29にセット済の設定値と一致するか否かを判定し,もしこれが一致するとき,ボーナスゲームにかかる絵柄配列が生じ易いような停止制御を,各ドラムに対し与えるものである。」(4頁左上欄1?10行,6図)

甲第16号証には,以下の事項が記載されている。
・「本考案はスロットマシンに関し,更に詳しくは通常のゲームのほかに副次的ゲームが行なえるようにしたスロットマシンに関するものである。」(2頁6?8行)
・「本考案においては,停止された複数個のリールの絵柄が特定の組み合わせになると,いわゆる通常のゲームとは異なる副次的ゲーム(以下,ボーナスゲームという)のチャンスが与えられるようにする。しかもこのボーナスゲームは通常のゲームよりも入賞率が高く設定されると共に,このボーナスゲームの実行可能回数の決定もゲームの一要素に盛り込むことによって,極めてゲーム性に富んだものとなる。」(2頁20行?3頁8行)
・「コイン投人後にスタートレバー3が操作されると,全リール4,5,6は各リール毎に設けたパルスモータによって一斉に回転され,それぞれのリール窓7,8,9内で各リールの絵柄は順次変化し,絵柄の識別は不可能となる。これと同時に,コイン投入口1へのコイン投入は禁止されるべく,図示せぬロック用コイルが作動し,コイン投入口1は閉じられ,またスタートレバー3の再操作もロックされる。こうして所定時間経過すると,スロットマシン本体内に設けられた乱数発生器によるランダム値に応じて第1リール4,第2リール5が所定の間隔で順次停止される。同時に第3リール6の任意停止が可能となり,第3リール6のストップボタン10の操作許可表示11(例えばランプの点灯)がなされる。」(4頁7行?5頁1行)
・「乱数発生部34は,2個の乱数値をサンプリングし,この乱数値に応じてモータ制御部25を制御する。すなわち,パルスモータ31の始動後約2秒経過すると,乱数発生部34からサンプリングした乱数値に応じてパルスモータ31を停止させる。更に,約1.5秒経過すると,もう1つの乱数値に応じてパルスモータ32が停止する。このようにして第1及び第2リール3,4が順次停止する。前記第2リール4の停止と同時に,モータ制御部26は,パルスモータ33の回転を低速(高速時の1/8)に切り換える。このパルスモータ33が低速回転になると,第1図に示すストップボタン操作許可表示11が点灯する。遊戯者は,第3リール5の絵柄を見ながら,入賞絵柄の配列が完成されるように,ストップボタン10を押す。このストップボタン10が押されると,モータ制御部26は周波数の低いパルスをモータ駆動回路30へ送るのを停止する。この結果,第3リール5の回転が停止する。」(9頁10行?10頁9行)

甲第17号証には,以下の事項が記載されている。
・「本発明はスロットマシンのリール停止機構に関する。」(1頁右下欄3?4行)
・「スロットマシンの複数のリールを停止せしめる際,リールの絵柄の組合せをランダムに決定するリール停止機構に関する。スロットマシンはリールの絵柄の組合せがランダムになるのがもっとも好ましく,種々のタイプのリール停止機構が提案され,実施されている。」(1頁右下欄4?11行)
・「ハンドル(1)を引き3個のリール(2a),(2b),(2c)を回転せしめ,自動的または停止ボタン(3a),(3b),(3c)の押圧により3個のリールを順次停止せしめて絵柄の組合せにより所定の数のメダルを排出する。第2図に本発明のリール停止機構の一実施例のブロックダイヤグラムを示す。ハンドル(2)が引かれると,スイッチ(4)がONとなり信号を発するが,この信号はチャタリングやノイズを含んでいるため波形成形部(5)で波形を成形したのちタイマ(6)に送られる。スイッチ(4)と波形成形部(5)とタイマ(6)とはハンドル信号検出部(7)を構成している。タイマ(6)の出力信号は乱数発生回路(8)のラッチ(9)にデータラッチ信号として入力される。一方ラッチ(9)には,発振器(10)のフリーランにより常にフリーランの状態になっているカウンタ(11)からの高速で更新されているデータ信号が入力されている。このようにフリーランの状態のデータが常に入力されているラッチ(9)に前記タイマ(6)からのハンドル信号が入力すると,ハンドル信号の入力時のデータに基づく乱数情報(配当テーブルメモリ(13)のアドレス情報)がラッチ(9)から比較演算部(12)に送られる。比較演算部(12)は,絵柄の組合せおよびそれに対応する配当のテーブルがストアされている配当テーブルメモリ(13)から,乱数情報に基づくアドレスにストアされている絵柄の組合せおよび配当を読み取る。」(2頁右上欄1行?左下欄9行)
・「ディスク(14)が回転し始めるとフォトセンサ(15a),(15b)により通過した絵柄のコマ数だけコマパルス信号が生ずる。このコマパルス信号は絵柄位置検出部(20)の波形成形部(21)に送られ波形が成形されたのち,カウンタ(22)に入力される。一方,基準孔(19)がフォトセンサ(16a),(16b)を通過するごとに基準パルス信号が生じ,波形成形部(23)に送られ波形を成形したのちカウンタ(22)に入力される。カウンタ(22)では基準パルス信号が入力されるごとにコマパルス信号を零に戻す。したがってカウンタ(22)からの出力には現在フォトセンサ(15a),(15b)を通過している絵柄が基準の絵柄から何番目であるかという絵柄位置情報が含まれている。この絵柄情報は前記比較演算部(12)に送られる。比較演算部(12)では前記乱数によりランダムに決定された絵柄の組合せ情報と絵柄位置検出部(20)からの現在位置情報とを比較演算し,リール停止位置情報をリール停止部(24)のダウンカウンタ(25)に出力する。リール停止位置情報は,リールを所定回数回転させたのち絵柄表示位置から所定のコマ数以内に目的とする絵柄が入ったときに出力される。ダウンカウンタ(25)では入力されたリール停止位置情報をフォトセンサ(15b)でえられる1コマごとのカウント信号によりカウントダウンする。カウントダウンされた信号はコンパレータ(27)に送られ,コンパレータ(27)はその内容が零になったときタイマ(28)を介してソレノイド(29)に停止信号を送り,リールを目的とする絵柄が表示される位置で停止せしめる。」(2頁右下欄4行?3頁左上欄14行)

甲第18号証には,以下の事項が記載されている。
・「本発明は電動型スロットマシンの絵柄停止位置制御装置に関する。」(2頁右上欄11?12行)
・「電動型スロットマシンは,スタートスイッチの作動により周囲に多数の絵柄が表示されている3本のリールをステッピングモータで回転駆動し」(2頁右上欄15?18行)
・「乱数発生手段(a)では,スタートスイッチ(1)の作動信号が入力されると乱数を通常の手段により発生せしめる。発生せしめる乱数の数は,後述するごとく絵柄組合せテーブルメモリ(4)の記憶内容によって1個または3個である。発生した乱数は停止絵柄情報読取手段(b)に送られ,種々の絵柄の組合せまたは種々の絵柄が記憶されている絵柄組合せテーブルメモリ(4)から前記乱数に基づいてランダムに停止絵柄の組合せを読取り,決定する。絵柄組合せテーブルメモリ(4)の内容は,前記のごとく絵柄の組合せそのものであってもよいし,絵柄自体であってもよい。絵柄の組合せを記憶しておくばあいは,すべての絵柄の組合せを記憶させてもよいし,メダルの払出しを受けられる組合せ(以下,アタリの組合せという)とメダルの払出しを受けられない組合せ(以下,ハズレの組合せという)とを適当な数ずつ記憶させてもよい。後者のばあいは,アタリの組合せの数とハズレの組合せの数とを適宜調整することにより,アタリの回数を制御することが可能になる。なお,絵柄の組合せを記憶させておくばあいには,乱数発生手段(a)で発生せしめる乱数は1つでよい。一方,絵柄自体を記憶させておくばあいでは,各リールの表示絵柄に対応した絵柄が記憶されている3つのテーブルを用いてもよいし,各絵柄ごとに個数を適宜選定して同種の絵柄を1個ないし複数個記憶させておいてもよい。後者のばあいはテーブルは1つでよく,同じテーブルから3回絵柄を読取る。なお,絵柄自体を記憶させておくばあいには,3つの乱数が必要になる。」(2頁右下欄8行?3頁左上欄20行)
・「かくして停止絵柄情報読取手段(b)で決定された停止絵柄情報は停止絵柄位置情報発生手段(c)に送られ,リールに表示されている絵柄の位置情報に変換されて比較手段(d)に送られる。比較手段(d)には,各リールにおける停止絵柄位置情報と表示絵柄位置検出手段(6)から常時送られてくる各リールの現在の表示絵柄位置情報とストップスイッチ(5)の作動信号が入力される。比較手段(d)では1個のストップスイッチ(5)から作動信号が入力されると,そのリールの現在の表示絵柄位置情報とそのリールの停止絵柄位置情報とを比較して両者の位置関係情報をタイミング手段(e)に出力する。タイミング手段(e)では,比較手段(d)からの位置関係情報に基づいて,ストップスイッチ(5)が作動したリールの停止時の表示絵柄があらかじめ決められた停止絵柄となるようなタイミングで励磁パルス停止信号をドライバー手段(2)に出力する。ドライバー手段(2)では該停止信号により励磁パルスの発生を停止してステッピングモータ(3)を停止せしめる。その結果,停止したリールの表示絵柄は,ストップスイッチ(5)の作動のタイミングとは無関係に乱数に基づいて決められた絵柄となる。」(3頁右上欄1行?左下欄4行)
・「1本のリールには通常15?25個(絵柄の種類は2?10種)の絵柄が表示されている。」(3頁右下欄15?17行)

甲第19号証には,以下の事項が記載されている。
・「XXではビッグチャンスかレギュラーボーナスの前兆に入ると,スタートレバーを叩いたとき,1回だけ,リールが一瞬遅れてスタートするという特性がある。この遅れは3本のリール何れにも生じるが,とりわけ左リールの遅れが大きい。遅れは100%の前兆現象なので,これを知らないと,前兆に入っているのにみすみす台をあけ渡すことにもなりかねない。遅れを知らない人は,次の要領で,それを見分ける目を養うことだ。通常の場合,リールは,レバーを叩くと同時にスタートする。ところが,遅れがあるときは,叩いた瞬間と,リールのスタートとのタイミングが,約0.1秒くらいズレるのだ。」(106頁3段?4段)
・「遅れがあったら,その周で「スイカ」か「BAR」を有効ライン上に目押しすることだ。レギュラーボーナスがきている場合は一発でそろう。また,このとき最後の1個が有効ラインの1つまたは2つ上にとまれば,ビッグチャンスがきていると判断できる。ただし,その場合は,「7」が揃うまでにまだ時間がかかる。さらに1000円強(51?54枚)のコインを投入したところで,払い出し枚数14?15枚相当の小役が集中的に4?6回続き,その直後に目押しをすれば,「7」が一発でそろう。この「遅れ」から「小役集中」までに投入するコイン枚数(51?54枚)とは,「マシン側に吸い取られる枚数」という意味だ。だから,途中で小役がそろったりすると,その払い出し枚数分のコインを再びマシン側に奪い返されることになる。「小役の集中」が,それだけ遅れるというわけだ。」(106頁4段?107頁2段)
・「ほかの客がコインをつぎ込んでくれたことで「遅れ」が近々きそうだと思える台」(107頁3段)

そして,参考例1?8は,請求人が「保留玉」に関する周知技術を示すために提示したものであって,「始動入賞領域に打玉が入賞すればこれを「保留玉」として記憶しておく「保留玉」機」が記載されていると認められる。 また,参考例9は,リーチ目表示は,回胴式遊技機において,ハズレの表示を利用して内部当選を報知する図柄を表示する技術として発達したもので,本件特許出願前周知であることを示すために提示したものである。
更に,参考例10は,「「1ゲームの独立」は行政上の規制に過ぎない」との主張のための参考資料である。

(2)甲12発明
甲第12号証において「ボーナスゲームとなるシンボルの組み合わせ」と「「7」-「7」-「7」の組み合わせ」の両者の表現があるが,両者は同じ意味を表すと認められるから,簡単のため後者の表現に統一する。
甲第12号証の記載事項を参酌すれば,甲第12号証には以下の発明(以下,「甲12発明」という。)が記載されていると認められる。
「各リール上にシンボルが配列され,メダル投入口2から所定枚数のメダルを投入し,スタートレバー3を操作することによってリール4?6が回転し,ゲームが開始され,遊技者が任意のタイミングで各リールごとに設けられたストップボタン11?13を操作してゆくと,リール4?6がその都度停止され,そして,観察窓7?9から観察される各リール相互間のシンボルの組み合わせが,投入されたメダルの枚数によって有効化された入賞ライン上で,所定の組み合わせになっていると,入賞の種類に応じた枚数のメダルが受け皿14に払い出され,「7」-「7」-「7」の組み合わせであるときには,規定枚数のメダルが払い出された後,ボーナスゲームが開始されるスロットマシンであって,
スタートレバー3が操作された時点を基準にして,一定時間後に,乱数発生回路35から発生される乱数値を,乱数値サンプリング回路36によりサンプリングし,サンプリングされた乱数値は,カウンタ37にストアされ,
リクエスト信号発生回路38は,こうして得られた乱数値をROM39のデータを比較し,一定範囲内のときにはリクエスト信号を出力し,
前記リクエスト信号発生回路38から前記リクエスト信号が出力されると,各リール4?6の駆動を制御するモータ制御回路40?42のそれぞれは,リール4?6がシンボル「7」を表示した位置で停止させるようにモータM1?M3を制御し,
前記リクエスト信号発生回路38から前記リクエスト信号が発生されたときには,表示ランプ駆動回路55に駆動信号が出力され,この結果,配当パネル15内に設けられた表示ランプ16が点灯動作してリクエスト信号の発生,すなわち「7」-「7」-「7」の組み合わせが得やすいようにリール4?6が停止制御される状態になっていることを表示するスロットマシン。」

(3)対比
ここで,本件訂正発明と甲12発明とを対比する。
甲12発明の「シンボル」は本件訂正発明の「識別情報」に相当し,甲12発明は「各リール上にシンボルが配列され」たものであり,各リールが「回転」及び「停止」することによって「観察窓7?9から観察される」表示状態が変化することは明らかであるから,甲12発明の「リール」は本件訂正発明の「複数種類の識別情報を可変表示可能な可変表示装置」に相当する。
甲12発明における,入賞ライン上でのリール相互間の「シンボルの組み合わせ」とは,本件訂正発明の「表示結果」に相当し,甲12発明はシンボルの「所定の組み合わせ」として予め定めたものということができる「「7」-「7」-「7」の組み合わせ」もさらに備え,そのときには「ボーナスゲームが開始される」ものである。そして,「ボーナスゲームが開始される」と遊技者に大きな利益が付与され,この時の遊技状態は「大当り状態」ということができるから,甲12発明における「「7」-「7」-「7」の組み合わせであるとき」とは本件訂正発明の「予め定められた大当り発生用の識別情報となった場合」に,甲12発明における「ボーナスゲームが開始される」とは本件訂正発明の「遊技状態が大当り状態となる」に相当するものである。
甲12発明の「前記リクエスト信号発生回路38から前記リクエスト信号が出力されると,…リール4?6がシンボル「7」を表示した位置で停止させるようにモータM1?M3を制御し,」において,シンボル「7」が表示されるということは「表示結果」であり,リクエスト信号の出力の有無によってシンボル「7」が表示され得るか否か「決定」されるということができるから,甲12発明の「リクエスト信号」は本件訂正発明の「表示結果の決定に用いられる表示結果決定用データ」に相当し,甲12発明の「リクエスト信号発生回路38」は「表示結果決定用データを生成可能な表示結果決定用データ生成手段」に相当する。

また,甲12発明について以下のことがいえる。
甲12発明の「スロットマシン」と本件訂正発明の「パチンコ遊技機」とは,「遊技機」である点で共通している。
甲12発明において「前記リクエスト信号発生回路38から前記リクエスト信号が出力されると,各リール4?6の駆動を制御するモータ制御回路40?42のそれぞれは,リール4?6がシンボル「7」を表示した位置で停止させるようにモータM1?M3を制御し」という点については,リールの回転を開始した後にリクエスト信号に応じてリールを停止させる制御を行って表示結果を導出表示させるのであるから,甲12発明のこの制御は,本件訂正発明の「前記可変表示装置を可変開始させた後前記表示結果決定用データに従って決定された表示結果を導出表示させる制御」であると云え,甲12発明の「モータ制御回路40?42」は本件訂正発明の「可変表示制御手段」に相当する。
また,甲12発明において「前記リクエスト信号発生回路38から前記リクエスト信号が発生されたときには,表示ランプ駆動回路55に駆動信号が出力され,この結果,配当パネル15内に設けられた表示ランプ16が点灯動作してリクエスト信号の発生,すなわち「7」-「7」-「7」の組み合わせが得やすいようにリール4?6が停止制御される状態になっていることを表示する」ものであるから,ここで「表示ランプ16」の「点灯動作」は,リクエスト信号が発生した場合に,そのリールの回転停止前に,これから「7」-「7」-「7」の組み合わせが表示される可能性があることを報知するものということができる。そして,甲12発明においてはリクエスト信号が発生した場合に「点灯動作」が行われるのに対し,本件訂正発明では「表示結果決定用データが大当り発生用の識別情報に対応するものである場合」に報知が行われるものであるが,両者は「表示結果決定用データに基づいて,大当り発生用の識別情報が導出表示されることを遊技者に事前に報知する前兆報知を行なう」という点では共通しているものであって,甲12発明はそのための手段を当然具備するものである。

よって,本件訂正発明と甲12発明とは
「複数種類の識別情報を可変表示可能な可変表示装置を有し,該可変表示装置の表示結果が予め定められた大当り発生用の識別情報となった場合に遊技状態が大当り状態となる遊技機であって,
前記可変表示装置の表示結果の決定に用いられる表示結果決定用データを生成可能な表示結果決定用データ生成手段と,
前記可変表示装置を可変開始させた後前記表示結果決定用データに従って決定された表示結果を導出表示させる制御を行う可変表示制御手段と,
生成された前記表示結果決定用データに基づいて,前記大当り発生用の識別情報が導出表示されることを遊技者に事前に報知する前兆報知を行なうための前兆報知手段を含む,遊技機。」
の点で一致し,以下の点で相違している。

[相違点1]
「遊技機」について,本件訂正発明は「パチンコ遊技機」であり,引用発明は「スロットマシン」である点。そして,本件訂正発明は「打玉の始動入賞領域への入賞により」可変表示を行うのに対して,引用発明はスタートレバー3及びストップボタン11?13の操作に基づいて可変表示を行うものである点。また,「表示結果決定用データ」について,本件訂正発明は「打玉」が「始動入賞領域へ入賞」したときに「記憶」又は「生成」されるのに対して,引用発明は「スタートレバー3が操作された時点を基準」にして乱数値をサンプリングし,これに基づきリクエスト信号を出力するものである点。
[相違点2]
表示結果決定用データが,本件訂正発明においては「大当り発生用の識別情報に対応するものである場合」と「大当り発生用の識別情報に対応しないものである場合」があるのに対し,甲12発明はそのような構成を有しない点。
[相違点3]
本件訂正発明は,「表示結果決定用データ生成手段」が,前記可変表示装置の表示結果の決定に用いられる表示結果決定用データを「当該表示結果を導出表示するための可変表示の数回前の可変表示の段階から」表示結果決定用データを生成可能なものであるのに対して,甲12発明においては,「表示結果決定用データ生成手段」についてかかる構成がない点。
[相違点4]
本件訂正発明は,「前兆報知手段」が,「前記表示結果決定用データが前記大当り発生用の識別情報に対応するものであり」,かつ「該大当り発生用の識別情報に対応する表示結果決定用データが生成される前に」「表示結果決定用データが外れの表示結果を示す場合に,前記大当り発生用の識別情報が導出表示されることを,該大当り発生用の識別情報が導出表示される回の可変表示が行なわれる前の回までの前記外れの表示結果となる可変表示において」遊技者に事前に報知するのに対し,甲12発明においては「前兆報知手段」についてかかる構成がない点。
[相違点5]
本件訂正発明は,「前兆報知手段」が,「前記表示結果決定用データが前記大当り発生用の識別情報に対応しないものであった場合にも,所定の前兆報知条件が成立した場合には前記前兆報知を行なうときの報知態様と同じ態様での報知を行なう」ものであるのに対し,甲12発明においては「前兆報知手段」についてかかる構成がない点。

(4)相違点についての検討
[相違点1]について
相違点1として挙げた構成の相違は,技術常識を踏まえれば,それぞれパチンコ遊技機又はスロットマシンが当然備える基本的構成に伴う相違であるから,要は,相違点1とは,「パチンコ遊技機」と「スロットマシン」との相違に他ならない。
そして,パチンコ遊技機とスロットマシンとは,遊技場において遊技に供される遊技機として両者共に広く使用されているものであるから,一方の技術を他方に転用することは,何らかの阻害要因がない限り,当業者にとって当然検討すべき事項であるから,相違点1を当業者にとって想到困難とする理由がない。
よって,相違点1は当業者にとって容易に想到できたことである。

[相違点2]について
甲13号証には,「スタートレバーの操作後の所定のタイミング信号により,その時点で乱数値RAM80に存在する乱数値をそのゲームの乱数値として決定する。こうして決定された乱数値は第9図のフローチャートに従い,後述する入賞確率テーブルと照合され,大ヒットに該当する数値であれば大ヒットリクエスト信号の発生,また中ヒットに該当する数値であれば中ヒットリクエスト信号の発生というように小ヒットまでの判断,処理がなされいずれかのヒットリクエストが発生されるかあるいはヒットリクエストなしかがチェックされることとなる。」及び「そしてストップボタンが操作された時点でのリールの位置から,これに後続しているシンボルマーク4個までの計5個のシンボルマークが何であるかをチェックするようにしてある。このようにシンボルマークをチェックして,すでにセットアップされたヒットリクエストに対応するシンボルマークの組み合わせを得るのに必要なシンボルマークがその5個のチェック範囲内にあればそこでリールを停止させることになる。」と記載されており,当該ヒットリクエスト信号は,ヒットリクエストに対応するシンボルマークが表示され得るか否か「決定」するものであるから,「表示結果決定用データ」に相当するものであって,「大ヒット」,「中ヒット」及び「小ヒット」の種類を有するものである。そして,「大ヒットリクエスト信号」は「大当り発生用の識別情報に対応するもの」,「中ヒットリクエスト信号」及び「小ヒットリクエスト信号」は「大当り発生用の識別情報に対応しないもの」ということができる。
そうすると,甲12発明に甲第13号証に記載された技術事項を適用し,表示結果決定用データが,「大当り発生用の識別情報に対応するもの」と「大当り発生用の識別情報識別情報に対応しないもの」を含むものとし,相違点1に係る本件訂正発明の構成とすることは当業者にとって想到容易である。

[相違点3,4]について
相違点3,4については,まとめて検討する。
請求人は,審判請求書において,「甲第12号証に記載された発明のE-12の「表示ランプ」による事前の表示は・・・当該ゲームにおける各リールの回転開始時に表示するものであり,各リールの回転が開始すると,その回転中「表示ランプ」による事前の報知が成される。」(審判請求書71頁6?10行)及び「甲第13号証のE-13の「ヒットリクエストが発生されながらも入賞なしとなった場合にはそのヒットリクエストを保存する手段」のように,ヒットリクエストを保存しておき,この保存されたヒットリクエストに基づき,甲第12号証のE-12の表示ランプにより・・・表示するようにすれば,ヒットリクエストが保存されているゲームの間は表示ランプによる事前報知がなされることになる。」(審判請求書71頁11?17行)と主張し,「甲第12号証のE-12の「表示ランプ」に甲第13号証のE-13を組み合わせることにより,本件特許発明のeの「前兆報知手段」のように,大当り発生用の表示態様が導出表示される以前に大当り発生用の表示態様が報知するようになすことは,当業者の設計事項に過ぎない。」(審判請求書71頁23?26行)と主張している。
しかし,甲第13号証は「任意時点でのゲーム開始後に特定の乱数値がサンプリングされ」るものであるから,可変表示の結果が出る以前にヒットリクエストが記憶されることが明らかであったとしても,あくまでヒットリクエストはそのゲーム開始後にしか発生しないから,甲第13号証には,そのゲームより前から結果を決定し,かつそれを記憶することは記載されていない。また,ヒットリクエストの保存手段は,その回のゲームにおいて発生した大ヒットのヒットリクエストについて,その回に入賞がなかった場合に次のゲームまで保存するというものであるから,入賞があった場合は次のゲームまで保存されるものではない。とすれば,当該ヒットリクエストが生成されたゲーム以降,その入賞を揃えるまでの全てのゲームが「大ヒットとなる可変表示」に相当するから,大ヒットとなるゲームの「数ゲーム前」の段階から当該ヒットリクエストが生成されると云えるものではない。よって,甲12発明及び甲第13号証に記載された技術事項に基づき,大ヒットのヒットリクエストを数ゲーム前の段階で記憶させることは想定できないから,相違点3について当業者が容易に想到できたとすることはできない。
また,甲第13号証における当該保存手段は,その回のゲームで大ヒットに入賞しなかった(図柄が揃わなかった)場合にそのヒットリクエストを持ち越すものであるから,その回のゲームはそもそも「大ヒットとなるゲーム」なのであって,結果的に外れとはなったとしても,元々「外れとなるゲーム」ではない。
とすれば,甲12発明に甲第13号証に記載された技術事項を適用して,大ヒットリクエストが生成されたものの結果的に外れとなったゲームにおいて前兆報知(甲12 発明における表示ランプ16の点灯動作)を行ったとしても,そのゲームは「大当り発生用の識別情報が導出表示される可変表示」に該当するものであって,本件訂正発明のような「該大当り発生用の識別情報に対応する表示結果決定用データが生成される前に・・・生成された表示結果決定用データが外れの表示結果を示す場合」に該当するものではない。よって,相違点4についても,甲12発明及び甲第13号証に記載された技術事項に基づき,当業者が容易に想到できるものではない。

また,請求人は,平成21年7月13日付け弁駁書(16?17頁)において参考例1?8を提示すると共に保留玉機は周知であると主張しているから,ここで,参考例で示される周知技術について検討すると,パチンコ遊技機において,遊技球がいわゆる始動口に入賞することによって可変表示が開始されるが,当該可変表示の進行とは関係なく遊技球を発射でき,そして可変表示の途中(可変表示が終了していない段階)で始動口に入賞した場合は,その入賞を無効とするのではなく,所定個数までは,遊技球が始動口に入賞したことを記憶(いわゆる「始動記憶」)しておき,現在の可変表示の終了後当該始動記憶に基づき順次可変表示結果として導出することは,請求人が主張しているように周知技術であると認められる。
一方,甲12発明を含めスロットマシンは,「メダル投入口2から所定枚数のメダルを投入し,スタートレバー3を操作することによってリール4?6が回転し,ゲームが開始され」るものであって,かつ「各リールごとに設けられたストップボタン11?13を操作してゆくと,リール4?6がその都度停止され」るものであるから,メダルを投入してスタートスイッチを操作することによって「1ゲーム」が開始され,リールが全て停止することによって「1ゲーム」が終了するものであって,すなわち1ゲームが終了しないと,次のゲームのメダルの投入やスタートスイッチの操作ができないものである。特に,甲12発明は「スタートレバーの操作時点を基準にしてサンプリングされた乱数値が一定範囲内のときにリクエスト信号が出力され,そのゲームで出力されたリクエスト信号に基づいて,ボーナスゲームが得やすいように停止制御される状態」となるものであって,スタートレバーの操作時点を基準にして乱数値をサンプリングするのであるから,1ゲームの途中で次回以降のゲームのための乱数値をサンプリングすることを全く想定することができない。
すなわち,パチンコ遊技機の1回の可変表示と,スロットマシンの1ゲームは,その表示結果に応じて大当りか否かを決定する点で共通するものであるが,パチンコ遊技機とスロットマシンとではゲームの進行が全く異なっており,特にスロットマシンは1ゲーム1ゲームが独立し,それぞれにおいて抽選を行う点で,パチンコ遊技機の始動記憶に関する技術とは大きく異なっているから,スロットマシンにおいて,1ゲーム毎に抽選を行うのではなく数回前のゲームの段階から結果を決定し,かつそれを記憶する必要性も意義も見あたらず,パチンコ遊技機において可変表示結果を数回分保留しておくことが可能な保留玉機が周知であるとしても,その技術を引用発明のようなスロットマシンに適用する動機付けは存在しないというべきである。
よって,参考例で示される周知技術の存在によって,相違点3,4について甲12発明から当業者が容易に想到できるものではない。

さらに,請求人は甲第19号証にあるように,スロットマシンにおいても事前報知は周知であると主張している(弁駁書6ページ)。
確かに,甲19号証には次の旨の記載があることが認められる。
・「ビッグチャンスの前兆に入るとリールのスタートタイミングのズレによって報知を行う。」
・「該報知によって,ビッグチャンスがきていると判断できる場合には,さらに1000円強(51?54枚)のコインを投入したところで,払い出し枚数14?15枚相当の小役が集中的に4?6回続き,その直後に「7」(ビッグチャンス)がでそろう。」
ここで,「さらに1000円強(51?54枚)のコインを投入」とは全てハズレでも17?18ゲームを要すると判断でき,さらに「払い出し枚数14?15枚相当の小役が集中的に4?6回続き」とあるからここでも4?6ゲームを要すると解される。とすれば,甲第19号証から,ビッグチャンスの報知から20数ゲーム程度を要してからビッグチャンスが揃うという点を理解することはできる。
しかし,甲第19号証においては,実際に20数ゲーム後にビッグチャンスを揃えることを可能にするために,具体的にどのような制御を行っているのか不明である。そもそも,ビッグチャンスがそのゲームで揃うことをどのようにして決定しているのか全く不明であり,甲第19号証には「ほかの客がコインをつぎ込んでくれたことで「遅れ」が近々きそうだと思える台」という記載もあり,投入されたコイン数に応じて図柄が揃う(例えばリールの制御を変更する)ようなスロットマシンの可能性も想定され,甲12発明のような1ゲーム毎に乱数で抽選を行ってヒットリクエスト信号を発生するスロットマシンとは異なる技術であるとすれば単純適用できない可能性もある。さらに,仮に甲第19号証が各ゲームにおいて何らかの抽選の形でビッグチャンスとなることを決定するデータを生成するとしても,実際に20数ゲーム前から当該データを記憶しているかどうかは,何ら記載がなく不明である(全ての条件が揃ってから,そのようなデータが作成されるかもしれない)。
すなわち,甲第19号証は,スロットマシンにおいて事前報知が周知であることを示すとしても,当該事前報知を行うための制御や方法について何ら具体的に記載されていないのであるから,甲第19号証が,可変表示装置の表示結果の決定に用いられる表示結果決定用データを「当該表示結果を導出表示するための可変表示の数回前の可変表示の段階から」表示結果決定用データを生成可能であることを示す証拠にはならない。よって,相違点3について,甲12発明及び甲第19号証に記載された技術事項に基づいて,当業者が容易に想到できたとすることはできない。
さらに,甲第19号証における「この「遅れ」から「小役集中」までに投入するコイン枚数(51?54枚)とは,「マシン側に吸い取られる枚数」という意味だ。だから,途中で小役がそろったりすると,その払い出し枚数分のコインを再びマシン側に奪い返さえることになる。「小役の集中」が,それだけ遅れるというわけだ。」という記載からも,事前報知(「遅れ」)時点ではビッグチャンスとなるゲームが具体的に特定されていない(変動し得る)こととなるから,とすれば,事前報知時がビッグチャンスとなるゲームの特定の回数前(本件訂正発明では,「生成された表示結果決定用データが外れの表示結果を示す場合に」「前の回までの前記外れの表示結果となる可変表示」で前兆報知をするとして,特定の前の回で行うことが特定されている。)であるとは認められない。そもそも甲第19号証にはその事前報知が外れの時に行われるとの記載もないから,少なくとも「該大当り発生用の識別情報が導出表示される回の可変表示が行なわれる前の回までの前記外れの表示結果となる可変表示」において行われることを示すものではない。
すなわち,甲第19号証は,スロットマシンにおいて事前報知が周知であることを示すとしても,どのような具体的手段によって事前報知を行うのかは全く開示されていないのであり,一方,本件訂正発明においては,前兆報知の数回後に大当りとするために,「該大当り発生用の識別情報に対応する表示結果決定用データが生成される前に…生成された表示結果決定用データが外れの表示結果を示す場合」と限定した上で,かつ「該大当り発生用の識別情報が導出表示される回の可変表示が行なわれる前の回までの前記外れの表示結果となる可変表示」を特定して前兆報知を行っているのであって,そのような相違点4にかかる構成はむろん甲第19号証に記載されておらず,さらにそのような具体的構成を,甲第19号証の記載に基づき,当業者が容易に想到できたとすることはできない。

また,請求人の挙げた他の甲第14?18号証にも,相違点3,4について,これを示唆する記載は見あたらない。

なお,請求人は,「「表示結果決定用データ」をいつの段階から生成するのかという相違点2(審決注:本審決での相違点3に相当)や,「前兆報知」をどのタイミングで行うかという相違点3(審決注:本審決での相違点4に相当)に関する被請求人の主張は,・・・単なる人為的取り決めであるゲーム方法を具体的にどのようにするかという細かなルール上の差違を述べているに過ぎず,技術的な差違を主張しているのではない。」(平成21年7月13日付け弁駁書17頁21?25行)と主張しているが,報知をいつ行うかは適宜決定できるとしても,上述したようにスロットマシンは独立した1ゲームで抽選を行うからパチンコ遊技機の始動記憶に関する技術とは大きく異なっており,すなわちスロットマシンにおいて数ゲーム前から抽選結果を決定し,かつ記憶する技術が請求人提示の各甲号証に記載がない以上,大当りの数ゲーム前に報知を行う具体的な方法が想定できないのであって,これを設計事項と認めることはできない。

よって,本件訂正発明の相違点3,4にかかる構成について,甲12発明,甲第13?19号証に記載された技術事項及び周知技術に基づいて,当業者が容易に想到できたものとすることはできない。

[相違点5]について
甲第19号証には「XXではビッグチャンスかレギュラーボーナスの前兆に入ると,スタートレバーを叩いたとき,1回だけ,リールが一瞬遅れてスタートするという特性がある。」と記載されており,「ビッグチャンス」及び「レギュラーボーナス」が「大当り」及び「中当り」に相当するから,「ビッグチャンスかレギュラーボーナス」に入賞すなわち可変表示装置が「大当り発生用の識別情報」又は「中当り発生用の識別情報」となる前に前兆報知が行われることが記載されている。
そうすると,甲第19号証には,「大当り発生用の識別情報」となる前に前兆報知を行うことに加えて,「中当り発生用の識別情報」となる前に前兆報知を行うことすなわち「大当り発生用の識別情報」でない場合にも前兆報知を行うことが記載されている。
してみると,「[相違点2]について」で検討したように,表示結果決定用データを「大当り発生用の識別情報に対応するもの」と「大当り発生用の識別情報に対応しないもの」を含むものとする際に,「大当り発生用の識別情報に対応するものである場合」及び「大当り発生用の識別情報に対応するものでない場合」に前兆報知するようにすることは,当業者にとって想到容易である。
よって,相違点5については,甲12発明及び甲第13,19号証に基づき,当業者が容易に想到できたものである。

(5)まとめ
以上により,相違点3,4については当業者が容易に想到できたものではないから,本件訂正発明は,甲第12?19号証及び参考例によって,当業者が容易に想到できたものとすることはできない。
したがって,無効理由4には理由がない。

5.予備的検討
本件訂正後の発明は甲第21号証のパチンコ機に甲第12,19号証に記載の技術,スロットマシンにおけるリーチ目表示に関する周知慣用技術に基づいて容易になし得たものである旨主張する請求人の平成22年11月5日付け弁駁書は「請求の理由」を変更する補正(追加)を実質的に行うものであり,当該補正を許可することとしない点は,上記「第3.無効審判請求の要旨の変更について判断」で記載したとおりであるが,仮に上記補正を許可した場合に本件特許を無効とすることができるかについて予備的に検討する。

(1)甲第21号証(特開昭64-52493号公報)の記載事項
甲第21号証には,以下の事項が記載されている。
・「本発明は,・・・パチンコ機に関する。」(1頁右下欄6?8行)
・「遊戯盤51の中央部には,特定入賞口52,53,54に球が入賞した時に,偶然性の組合せ状態を表示する数値表示器27と,ランプ表示器29が配設されている。数値表示器27は,3桁のLED表示器であり,ランプ表示器29は,サイクリックに赤と青のLEDが配設されたランプである。特定入賞口に入賞した時は,当たりモードを決定する為に,数値表示器27に表示される3桁の数値が変動する。そして,入賞後所定時間内に停止スイッチ20を遊技者が押下するか所定時間が経過するとその変動した数値が停止し,その時の値から当たりモードが決定され,そのモードに応じて,大入賞口63の開閉扉64の開時間等が制御される。/また,遊戯盤51には,動作状態を表示するための各種の表示器,ランプが設けられている。中央部の30は,特定入賞口に入賞し,当たり処理が保留されている球の数を表示する為の記憶個数表示器である。47a?47jは,当たりモードを決定するための組合せ動作時に,点滅する動作ランプである。43a?43cは,大当たり時に,ランプ47a?47jと共に点滅するパニックランプである。」(2頁左下欄18?右下欄20行)
・「そしてROM3には第6図に示す乱数テーブル31が形成されており,RAM8には時々刻々変化する乱数が記憶される乱数メモリ81と当たりモードを決定する確定された乱数を記憶する確定メモリ82とが形成されている。」(3頁左上欄6?11行)
・「また,マイクロコンピュータ1のRST1端子にはタイミング信号発生回路18の出力するタイミング信号が入力しており,そのタイミング信号に同期して第5図に示す乱数発生プログラムが起動される。」(3頁右上欄4?8行)
・「特定入賞口に入賞し保留されている入賞球の数をカウントする入賞球カウンタC」(3頁右下欄8?9行)
・「ただし,保留されている入賞球の数は,ステップ106で,4までしか計数しないようにしている。」(4頁左上欄12?14行)
・「(4)入賞球が存在する時(C≠0)/(a)組合せ動作処理/ステップ124でカウンタCの値が判定され,入賞が検出されるとカウンタCの値を1減算し,組合せ動作状態を示すためレジスタFを1にセットし,タイマT1を所定値に設定する(ステップ124?130)。そして,ステップ132で乱数決定処理,即ち特定入賞口に入賞した時の乱数メモリ81の値が確定メモリ82に設定されることにより当たりモードを決定する乱数が決定される。次にステップ133でタイマT1がタイムアツプとなったか否か判定され,タイムアツプでないと判定された場合にはステップ134で停止スイッチ20が押下されたか否かが判定され,停止スイッチ20が押下された場合にはステップ135において乱数メモリ81の値が確定メモリ82に設定されることよりステップ132で設定された当たりモードを決定する乱数が修正される。そして,ステップ136へ移行して確定メモリ82の値を数値表示レジスタXI,X2,X3に設定することにより数値表示器27に確定した乱数が表示される。そして,次のステップ137でその確定した乱数に応じて当たりモードが決定される。このように,特定入賞口に入賞した時又は入賞後所定時間内に停止スイッチ20が押下された時にはその時に発生されている乱数に応じて当たりモードが決定される。/この時の確定された乱数は環境の温度によって周期の変動するタイミング信号に同期して変化する乱数によって決定されるため,一定の規則性をもって停止スイッチ20を押下したとしても,乱数の変動速度が環境の温度によって変動するため,確定した乱数を意図的に特定の値にすることは不可能となる。/また,停止スイッチ20が押下されるかタイムアツプするまでは,ステップ100?118,133,134,170の処理を操り返す。当たりモードレジスタRに設定される値は,0は外れ,1は小当たり,2は中当たり,3は,大当たりである。外れの時は,レジスタFを0にして,次の入賞球の判定のサイクルへ移行する。/(b)当たりの時の処理/ステップ139の判定結果が当たりの時は,その当たりモードに応じて,ステップ144でタイマT2に時間が設定される。そして,タイマT2がステップ146でタイムアツプと判定されるまで,上述したバックグランド処理が行われる。この結果,大入賞口は,所定時間だけ開状態となり,ランプ群は,パニック状態を示す表示となる。この時,ステップ148で大入賞口への入賞球の数が10個と判定されると,タイムアツプ前でも,タイムアツプと同様の処理を行う。即ち,ステップ150でカウンタGを0にレジスタRを0に設定する。/(c)V入賞球の存在する時の処理/大入賞口が開状態の時にV入賞球が存在すると,即ち,カウンタAが1のときは(ステップ156)ステップ158で継続権利の発生を示すためレジスタFの値を3に設定する。そして,ステップ162で,タイマT3を所定時間に設定し,ステップ164でタイムアツプを判定する。この処理は,続いて,大入賞口を開状態にするまで,一定の遅延を持たせるためものである。この後,ステップ166でレジスタRを大当たりを示す値3に設定し,ステップ142へ移行して,上記の当たり時の処理を行う。ただし,継続権は,10回より大きく発生しない様にステップ152で調整している。」(4頁左下欄3行?5頁右上欄10行)
・「また,確定された乱数として,動作中に特定入賞口に入賞した場合には,その時の乱数の値を記憶しておくようにしても良い。」(5頁右上欄19行?左下欄1行)

(2)甲21発明
甲第21号証の記載事項を参酌すれば,甲第21号証には以下の発明(以下,「甲21発明」という。)が記載されていると認められる。
「特定入賞口52,53,54に球が入賞すると,3桁の数値が変動を開始し,その後に偶然性の組合せ状態を表示する数値表示器27を有し,確定メモリ82の値を数値表示レジスタXI,X2,X3に設定することにより数値表示器27に確定した乱数を表示するとともに,その確定した乱数に応じて当たりモードを決定し,その当たりモードが大当りの時は,大入賞口を所定時間開状態とすることを,V入賞を条件として10回を限度として行う,パチンコ機であって,
特定入賞口に入賞し保留されている入賞球の数を4個を上限として入賞球カウンタCでカウントし,確定した乱数として動作中に特定入賞口に入賞した場合にはその時の乱数の値を記憶する,パチンコ機。」

(3)対比
甲21発明と本件訂正発明を対比すると,甲21発明の「特定入賞口52,53,54に球が入賞すると」は本件訂正発明の「打玉の始動入賞領域への入賞により」に相当し,以下同様に,「数値」は「識別情報」に,「変動を開始し・・組合せ状態を表示する数値表示器27」は「可変表示可能な可変表示装置」に,「パチンコ機」は「パチンコ遊技機」に,それぞれ相当する。
そして,甲21発明について以下のことがいえる。
甲21発明は,その「数値」が複数種類からなることは自明であり,「数値表示器27に確定した乱数を表示するとともに,その確定した乱数に応じて当たりモードを決定し,その当たりモードが大当りの時は,大入賞口を所定時間開状態とすることを,V入賞を条件として10回を限度として行う」ということは,「可変表示装置の表示結果が予め定められた大当り発生用の識別情報となった場合に遊技状態が大当り状態になる」といいかえることができる。そうすると,甲21発明は,本件訂正発明の「打玉の始動入賞領域への入賞により複数種類の識別情報を可変表示可能な可変表示装置を有し,該可変表示装置の表示結果が予め定められた大当り発生用の識別情報となった場合に遊技状態が大当り状態となるパチンコ遊技機」に相当する構成を実質的に具備するものである。
また,甲21発明は,変動動作中に玉が特定入賞口に入賞した場合にはその時の乱数値が4個を上限として記憶され,その乱数値を呼び出して数値表示器27に表示するとともに乱数値に応じて当たりモードを決定するものであるが,乱数値は数値表示器27の表示を決定するものであるから本件訂正発明の「表示結果決定用データ」に相当するものである。なお,甲21発明において,乱数値は遊技状態を大当りにするものとしないのもの(中当り,小当たり,外れ)があるから,表示結果決定用データが「大当り発生用の識別情報に対応するものである場合」と「大当り発生用の識別情報に対応しないものである場合」がある点で,一致している。そして,既に乱数値の記憶が行われている場合を含め変動動作中に玉が入賞した場合に乱数値が更に記憶されるということは,「表示結果を導出表示するための可変表示の数回前の可変表示の段階から表示結果決定用データを生成可能」なものということができ,甲21発明は当然そのための手段を具備するものである。更に,甲21発明は,保留乱数値によって数値表示器27の表示を決定して,それを表示するように制御するものであり,そのような制御を行う手段を当然具備するものである。そうすると,甲21発明は,本件訂正発明の「前記可変表示装置の表示結果の決定に用いられる表示結果決定用データを打玉が前記始動入賞領域へ入賞したときに記憶しておくことにより,当該表示結果を導出表示するための可変表示の数回前の可変表示の段階から表示結果決定用データを生成可能な表示結果決定用データ生成手段」及び「前記可変表示装置を可変開始させた後前記表示結果決定用データに従って決定された表示結果を導出表示させる制御を行なう可変表示制御手段」に相当する構成を実質的に具備するものである。
よって,本件訂正発明と甲21発明とは,
「打玉の始動入賞領域への入賞により複数種類の識別情報を可変表示可能な可変表示装置を有し,該可変表示装置の表示結果が予め定められた大当り発生用の識別情報となった場合に遊技状態が大当り状態となるパチンコ遊技機であって,
前記可変表示装置の表示結果の決定に用いられる表示結果決定用データを打玉が前記始動入賞領域へ入賞したときに記憶しておくことにより,当該表示結果を導出表示するための可変表示の数回前の可変表示の段階から表示結果決定用データを生成可能な表示結果決定用データ生成手段と,
前記可変表示装置を可変開始させた後前記表示結果決定用データに従って決定された表示結果を導出表示させる制御を行なう可変表示制御手段とを含む,パチンコ遊技機。」の点で一致し,以下の点で相違している。
[相違点6]
本件訂正発明は,「生成された前記表示結果決定用データが前記大当り発生用の識別情報に対応するものであり,該大当り発生用の識別情報に対応する表示結果決定用データが生成される前に打玉に前記始動入賞領域への入賞により生成された表示結果決定用データが外れの表示結果を示す場合に,前記大当り発生用の識別情報が導出表示されることを,該大当り発生用の識別情報が導出表示される回の可変表示が行なわれる前の回までの前記外れの表示結果となる可変表示において遊技者に事前に報知する前兆報知を行なうための前兆報知手段」を具備するのに対し,甲21発明はかかる「前兆報知手段」を具備しない点。
[相違点7]
本件訂正発明は,「前兆報知手段」が,「前記表示結果決定用データが前記大当り発生用の識別情報に対応しないものであった場合にも,所定の前兆報知条件が成立した場合には前記前兆報知を行なうときの報知態様と同じ態様での報知を行なう」ものであるのに対し,甲21発明は「前兆報知手段」を具備しない点。

(4)相違点についての検討
[相違点6]について
請求人は,平成22年11月5日付け弁駁書(15頁5?10行)において,「「打玉が前記始動入賞領域へ入賞したときに生成された前記表示結果決定用データが前記大当り発生用の識別情報に対応するものであり,」「前記大当り発生用の識別情報が導出表示されることを,該大当り発生用の識別情報が導出表示される回の可変表示が行なわれる前の回まで」に「遊技者に事前に報知する前兆報知を行なう」という構成(審決注:以下,「構成A」という。)は,保留機に関する甲第21号証に記載の発明に,甲第12号証を組み合わせることで容易になし得た事項である。」と主張しているので,先ずこの点について検討する。
その主張の根拠として,平成22年4月26日付け審決を援用しているが,当該審決は一次訂正を認めず,その一次訂正前の請求項について判断したものであって,上記構成Aについてみると,訂正前の請求項に対し,今回認めることとした本件訂正後の請求項は,「該大当り発生用の識別情報が導出表示される回の可変表示が行なわれる前の回まで」の記載が付加されており,上記審決の単なる援用によっては上記構成Aを容易になし得たとの主張を採用することはできない。
構成Aについて更に検討すると,甲12発明は,リクエスト信号が発生した場合に,そのリールの回転停止前に,これから「7」-「7」-「7」の組み合わせが表示される可能性があることをそのゲームにおいて「点灯動作」で報知するものである。したがって,甲21発明に甲12発明を組み合わせたとしても,玉が特定入賞口に入賞して保留玉として記憶された乱数が大当りに対応する場合に,その大当りとなる変動において組み合わせ状態が表示される以前に「点灯動作」で報知するというパチンコ機に到ることができても,「前記大当り発生用の識別情報が導出表示されることを,該大当り発生用の識別情報が導出表示される回の可変表示が行なわれる前の回まで」に報知するという構成にはならない。
また,甲第13号証に記載された事項であるヒットリクエストの保存手段は,その回のゲームにおいて発生した大ヒットのヒットリクエストについて,その回に入賞がなかった場合に次のゲームまで保存するというものであるから,これを甲21発明,甲12発明に組み合わせれば,玉が特定入賞口に入賞して保留玉として記憶された乱数が大当りに対応する場合に,その大当りとなる変動表示において組み合わせ状態が表示される以前に「点灯動作」で報知し,入賞しなければ次の変動表示において同様の報知をするというパチンコ機に到るという主張があるかもしれない。しかしながら,パチンコ機においては,始動入賞口への入球に基づく乱数抽選によって大当りに当選した場合には当該入球を契機とした可変表示において大当り状態とすることが常識であり,その可変表示において大当りとならないときに次の可変表示に大当りの可能性を保存することは考え難いことを考慮すると,甲第13号証に記載された技術事項であるヒットリクエストの保存手段をパチンコ遊技機に適用することには阻害要因があるとすべきである。
また、甲第13号証を甲21発明に適用可能としても,大当りとなったゲームで入賞が生じた場合には前兆報知が行われないことになるから,「前の回まで」に報知する本件訂正発明と異なるものといえる。
以上により,構成Aとすることを,甲21発明,甲12発明,甲第13号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易になし得たとすることができない。

また,請求人は,平成22年11月5日付け弁駁書(16頁2?7行)において,「スロットマシンにおけるリーチ目表示は,当りではない外れの表示であるから,外れの表示をする可変表示の際にしかリーチ目表示を行うことができないのであり,かかるスロットマシンのリーチ目表示の技術を保留玉機のパチンコ機に転用すれば,本件訂正後発明のように,大当り表示をする回よりも前の可変表示に使われるデータの中に外れのデータがあるときに,外れのデータをリーチ目のデータに変更してリーチ目表示をすることで事前に報知することは当業者が容易に想到することができる。」と主張しているので検討する。
一般にスロットマシンにおいては,あるゲームで乱数抽選でビッグボーナス(以下,「BB」という。)に当選した場合,停止ボタンが操作された時にBB入賞用図柄(例えば7)が所定の滑りコマ範囲にあればそれを停止させる。しかし,BB入賞用図柄が所定の滑りコマ範囲外にある場合には規則によってそれを停止させることができないので,停止図柄としてリーチ目を形成する図柄を滑りコマ範囲内において選択して停止させ,表示部にリーチ目を形成させ,BBが内部当選している(BB入賞用図柄が停止可能である)ことを表示するものである。そして,BB入賞用図柄が停止可能な状態となっていることをスロットマシン内部において保持するため,いわゆるBBフラグをONする又は立てることが行われ,BB入賞用図柄が停止するまでBBフラグのONが継続(持ち越し)するものである。例えば,あるゲームで乱数抽選でBBに当選した場合に,BBフラグが立ってBB入賞が可能な状態となるが,そのゲームで当り(BB入賞)表示が行われるか,外れの表示が行われるかは乱数抽選時には決まっておらず,どちらになるかは遊技者の停止ボタンの操作タイミングによる。
そして,スロットマシンのヒットリクエストの保存手段を入賞の持ち越しのないパチンコ遊技機に適用することには阻害要因があるとすべきであることは,上述のとおりであるが,仮に,このような従来周知のスロットマシンのリーチ目表示の技術を,甲12発明とともに,甲21発明に組み合わせたとしても,大当り当選(BB当選)となったゲームで大当り(BB入賞)が生じた場合には前兆報知が行われないことになるから,本件訂正発明と異なるものといえる。また,乱数抽選で大当り当選(BB当選)しても大当り(入賞)せずフラグが持ち越されたゲームでリーチ目による報知が行われたとしても,その回のゲームは,そもそも大当り(BB入賞)となるゲームなのであって,結果的に外れとはなったとしても,元々「外れとなるゲーム」ではないから,本件訂正発明のように,元々外れの場合に前兆報知をするものとは構成を異にしている。
したがって,請求人の上記主張は採用することはできない。

更に,請求人の挙げた他の甲第14?19号証にも,相違点6について,これを示唆する記載は見あたらない。

よって,本件訂正発明の相違点6にかかる構成について,甲21発明,甲第12?19号証及び周知技術に基づいて,当業者が容易に想到できたものとすることはできない。

[相違点7]について
甲第19号証には「XXではビッグチャンスかレギュラーボーナスの前兆に入ると,スタートレバーを叩いたとき,1回だけ,リールが一瞬遅れてスタートするという特性がある。」と記載されており,「ビッグチャンス」及び「レギュラーボーナス」が「大当り」及び「中当り」に相当するから,「ビッグチャンスかレギュラーボーナス」に入賞すなわち可変表示装置が「大当り発生用の識別情報」又は「中当り発生用の識別情報」となる前に前兆報知が行われることが記載されている。
そうすると,甲第19号証には,「大当り発生用の識別情報」となる前に前兆報知を行うことに加えて,「中当り発生用の識別情報」となる前に前兆報知を行うことすなわち「大当り発生用の識別情報」でない場合にも前兆報知を行うことが記載されている。
してみると,表示結果決定用データとして「大当り発生用の識別情報に対応するもの」と「大当り発生用の識別情報に対応しないもの」を含む甲21発明において「大当り発生用の識別情報に対応するものである場合」及び「大当り発生用の識別情報に対応するものでない場合」に前兆報知するようにすることは,当業者にとって想到容易である。
よって,相違点7については,甲21発明及び甲第19号証に基づき,当業者が容易に想到できたものである。

(5)まとめ
以上により,相違点6については当業者が容易に想到できたものではないから,本件訂正発明は,請求人の主張及び証拠方法(甲第21号証,甲第12?19号証及び参考例)によって,当業者が容易に想到できたものとすることはできない。
したがって,平成22年11月5日付け弁駁書による「請求の理由」の実質的変更(追加)を許可しても,本件訂正発明を無効とすることはできない。

第7.むすび
以上のとおりであるから,請求人の主張及び証拠方法によっては,本件特許は無効とすることはできない。
審判に関する費用については,特許法169条2項の規定で準用する民事訴訟法61条の規定により,全額を請求人が負担すべきものとする。
よって,結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
パチンコ遊技機
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】打玉の始動入賞領域への入賞により複数種類の識別情報を可変表示可能な可変表示装置を有し、該可変表示装置の表示結果が予め定められた大当り発生用の識別情報となった場合に遊技状態が大当り状態となるパチンコ遊技機であって、
前記可変表示装置の表示結果の決定に用いられる表示結果決定用データを打玉が前記始動入賞領域へ入賞したときに記憶しておくことにより、当該表示結果を導出表示するための可変表示の数回前の可変表示の段階から表示結果決定用データを生成可能な表示結果決定用データ生成手段と、
前記可変表示装置を可変開始させた後前記表示結果決定用データに従って決定された表示結果を導出表示させる制御を行なう可変表示制御手段と、
打玉が前記始動入賞領域へ入賞したときに生成された前記表示結果決定用データが前記大当り発生用の識別情報に対応するものであり、該大当り発生用の識別情報に対応する表示結果決定用データが生成される前に打玉の前記始動入賞領域への入賞により生成された表示結果決定用データが外れの表示結果を示す場合に、前記大当り発生用の識別情報が導出表示されることを、該大当り発生用の識別情報が導出表示される回の可変表示が行なわれる前の回までの前記外れの表示結果となる可変表示において遊技者に事前に報知する前兆報知を行なうための前兆報知手段とを含み、
該前兆報知手段は、打玉が前記始動入賞領域へ入賞したときに生成された前記表示結果決定用データが前記大当り発生用の識別情報に対応しないものであった場合にも、所定の前兆報知条件が成立した場合には前記前兆報知を行なうときの報知態様と同じ態様での報知を行なうことを特徴とする、パチンコ遊技機。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パチンコ遊技機に関し、詳しくは、打玉の始動入賞領域への入賞により複数種類の識別情報を可変表示可能な可変表示装置を有し、該可変表示装置の表示結果が予め定められた大当り発生用の識別情報となった場合に遊技状態が大当り状態となるパチンコ遊技機に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のパチンコ遊技機において、従来から一般的に知られているものに、たとえば、打玉が始動入賞領域に入賞する等の所定の条件が成立することに基づいて可変表示装置が可変表示され、所定時間の経過または所定時間の経過以前におけるストップスイッチの押圧操作等の予め定められた停止条件が成立したことに基づいて可変表示装置が停止制御され、その停止した可変表示装置の表示結果が予め定められた識別情報になっていることに基づいて所定個数の賞品玉の払出し等の所定の遊技価値を遊技者に与えるように構成されたものがあった。そしてこの可変表示装置により停止時の表示結果がいかなる識別情報になるかという期待感を遊技者に与えんとしていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この種の従来のパチンコ遊技機においては、可変表示装置による予め定められた大当り発生用の識別情報が何の前兆もなく表示されるため、可変表示装置の可変表示の停止以前から遊技者の期待感を盛り上げることがあまりできず、せっかく可変表示装置を設けたにもかかわらずその可変表示装置の面白さを十分に演出できないという欠点を有していた。
【0004】
本発明は、かかる実情に鑑みて可変表示装置による可変表示の面白さを十分に演出し遊技者の期待感をより一層向上することのできるパチンコ遊技機を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、打玉の始動入賞領域への入賞により複数種類の識別情報を可変表示可能な可変表示装置を有し、該可変表示装置の表示結果が予め定められた大当り発生用の識別情報となった場合に遊技状態が大当り状態となるパチンコ遊技機であって、
前記可変表示装置の表示結果の決定に用いられる表示結果決定用データを打玉が前記始動入賞領域へ入賞したときに記憶しておくことにより、当該表示結果を導出表示するための可変表示の数回前の可変表示の段階から表示結果決定用データを生成可能な表示結果決定用データ生成手段と、
前記可変表示装置を可変開始させた後前記表示結果決定用データに従って決定された表示結果を導出表示させる制御を行なう可変表示制御手段と、
打玉が前記始動入賞領域へ入賞したときに生成された前記表示結果決定用データが前記大当り発生用の識別情報に対応するものであり、該大当り発生用の識別情報に対応する表示結果決定用データが生成される前に打玉の前記始動入賞領域への入賞により生成された表示結果決定用データが外れの表示結果を示す場合に、前記大当り発生用の識別情報が導出表示されることを、該大当り発生用の識別情報が導出表示される回の可変表示が行なわれる前の回までの前記外れの表示結果となる可変表示において遊技者に事前に報知する前兆報知を行なうための前兆報知手段とを含み、
該前兆報知手段は、打玉が前記始動入賞領域へ入賞したときに生成された前記表示結果決定用データが前記大当り発生用の識別情報に対応しないものであった場合にも、所定の前兆報知条件が成立した場合には前記前兆報知を行なうときの報知態様と同じ態様での報知を行なうことを特徴とする。
【0006】
【作用】
請求項1に記載の本発明によれば、表示結果決定用データ生成手段の働きにより、可変表示装置の表示結果の決定に用いられる表示結果決定用データを打玉が前記始動入賞領域へ入賞したときに記憶しておくことにより、当該表示結果を導出表示するための可変表示の数回前の可変表示の段階から表示結果決定用データを生成することが可能となる。また、可変表示制御手段の働きにより、可変表示装置を可変開始させた後前記表示結果決定用データに従って決定された表示結果を導出表示させるよう制御が行なわれる。また、前兆報知手段の働きにより、打玉が前記始動入賞領域へ入賞したときに生成された前記表示結果決定用データが前記大当り発生用の識別情報に対応するものであり、該大当り発生用の識別情報に対応する表示結果決定用データが生成される前に打玉の前記始動入賞領域への入賞により生成された表示結果決定用データが外れの表示結果を示す場合に、前記大当り発生用の識別情報が導出表示されることを、該大当り発生用の識別情報が導出表示される回の可変表示が行なわれる前の回までの前記外れの表示結果となる可変表示において遊技者に事前に報知する前兆報知が行なわれ、さらに、前兆報知手段の働きにより、打玉が前記始動入賞領域へ入賞したときに生成された前記表示結果決定用データが前記大当り発生用の識別情報に対応しないものであった場合でも、所定の前兆報知条件が成立した場合には前記前兆報知を行なうときの報知態様と同じ態様での報知が行なわれる。
【0007】
つまり、該大当り発生用の識別情報が導出表示されることが、大当り発生用の識別情報が導出表示される回の可変表示が行なわれる前の回までの可変表示において遊技者に事前に報知される前兆報知が行なわれるため、前記大当り発生用の識別情報が表示されることに対する遊技者の期待感が高まる。しかも、前兆報知を行なう回数は、たとえば生成された前記表示結果決定用データが前記大当り発生用の識別情報に対応するものである場合のみに前兆報知を行なうものと比較して、多くなり、大当り発生用の識別情報が導出表示されることに対して遊技者が期待を抱く回数が増加するため、遊技の興趣を向上することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0009】
図1は、パチンコ遊技機を示す全体正面図である。パチンコ遊技機1の前面枠2には、扉保持枠3が設けられている。そして、パチンコ遊技機1の遊技盤11によって形成されている遊技領域13を開閉するガラス扉枠4と前面板5とが前記扉保持枠3に対し開閉自在に設けられている。パチンコ遊技機1の図示右下隅には、打球操作ハンドル9が設けられており、この打球操作ハンドル9を遊技者が操作することにより打球発射装置46(図2参照)が作動し、パチンコ玉を1つずつ打球誘導レール12aと遊技領域形成レール12bとの間を通して前記遊技領域13に打込むように構成されている。
【0010】
遊技領域13には、そのほぼ中央に可変表示装置14が設けられているとともに、その下方に可変入賞球装置20が配設されている。可変表示装置14には、複数種類の識別情報を可変表示できる識別情報表示部15a,15b,15cが設けられている。そして遊技領域13に形成されている始動入賞口27a,27b,27cのいずれかにパチンコ玉が入賞することにより最大4個まで始動入賞記憶が行なわれ、始動入賞記憶のあることに基づいて、識別情報表示部15a,15b,15cが可変表示を開始し、所定時間の経過または、所定時間の経過以前における遊技者による停止操作ボタン8の押圧操作に基づいて前記識別情報表示部15a,15b,15cが順次停止制御されるように構成されている。なお、可変表示が1回行なわれる毎に前記始動入賞記憶が1ずつ減算される。そして停止したときの可変表示装置14による表示結果が予め定める大当り発生用の組合わせ(大当り発生用の識別情報)になれば、大当り状態となり可変入賞球装置20の開閉板22を開成して遊技者にとって有利となる第1の状態に駆動制御される。この可変入賞球装置20により、前記可変表示装置14の停止時の表示結果が予め定められた大当り発生用の識別情報になったことに基づいて所定の遊技価値を付与する遊技価値付与手段が構成されている。なお、この遊技価値付与手段は、可変表示装置14の表示結果が予め定められた大当り発生用の識別情報になったことに基づいて所定数の賞品玉や得点を直接遊技者に与えるものであってもよい。なお、前記可変表示装置14は、常時可変表示されパチンコ玉の始動入賞を条件としてその後所定時間の経過または遊技者の停止操作ボタン8の押圧操作に基づいて停止制御されるものであってもよい。この場合には、始動入賞に伴って可変表示の速さや明るさ等を切換えて可変表示態様を切換えて可変開始を報知することが望ましい。可変表示装置14には、可変入賞球装置20の開閉板22の開成回数を表示するための開成回数表示器18,パチンコ玉の始動入賞の記憶値(後述する)を表示するための始動入賞記憶表示器16a?16d,大当り発生用の組合わせが成立した当りラインを表示するための当りライン表示器17a?17fならびに入賞口19が設けられている。
【0011】
可変入賞球装置20の前記第1の状態は、所定期間(たとえば30秒)が経過することまたは可変入賞球装置20内へ入賞したパチンコ玉が所定個数(たとえば10個)に達することのうちいずれか早い方の条件が成立することに基づいて終了し、開閉板22が閉成される。前記開閉板22の開成状態で開放される入賞空間21には、特定入賞口23が形成されており、可変入賞球装置20の第1の状態の期間中にパチンコ玉がその特定入賞口23に入賞すれば、前記第1の状態が更新されて繰返し継続制御される。その繰返し継続制御は、その回の第1の状態が終了するまで待って行なわれる。なお、パチンコ玉が特定入賞口23に入賞して繰返し継続条件が成立した時点で即座に前記繰返し継続制御を行なってもよい。この繰返し継続回数の上限は10回に設定されている。なお、前記入賞空間21に形成された特定入賞口23の左右両側には通常入賞口24a,24bが形成されている。可変入賞球装置20には、さらに可変入賞球装置20に入賞した入賞玉の個数を表示するための入賞個数表示器25ならびに通常の通過口26が設けられている。なお、本発明においては、前記可変入賞球装置20の開成時間(30秒)や入賞個数(10個)ならびに繰返し継続回数(10回)は前記実施の形態に限定されるものではない。さらに、前記可変入賞球装置20は、開閉板22が前方に開閉するものを示したが、本発明はこれに限らず、1対の開閉翼片が左右に開閉するものや1対の摺動片が左右に摺動するものでもよく、また駆動源としてソレノイドの代わりにモータを用いてもよい。
【0012】
前記遊技領域13には、さらに通常の入賞口28a,28b,29a,29b,大当り状態の発生時等に点灯または点滅する遊技効果ランプ31a,31bが設けられている。また、遊技領域13に打込まれたパチンコ玉がいずれの入賞口にも入賞しなかった場合には、アウト玉としてアウト口30から回収される。図中、32a,32bは大当り状態の発生時に点灯または点滅する遊技効果ランプである。
【0013】
パチンコ玉の入賞に伴ってその入賞ごとに所定個数(たとえば13個)の賞品玉が打球供給皿6内に払出される。そしてこの打球供給皿6内のパチンコ玉が遊技者の打球操作ハンドル9の操作に基づいて1つずつ打球発射位置に供給されて遊技領域13内に弾発発射される。この打球供給皿6の下方には余剰玉受皿10が設けられており、前記打球供給皿6内のパチンコ玉が満杯となりそれ以上貯留できなくなった余剰玉がこの余剰球受皿10内に放出される。図中、7はスピーカであり、大当り状態の発生時等に効果音を発生させたり異常事態発生時に警報音を発生したりするものである。また55は当り予告表示器であり、後述する表示結果決定用データ生成手段により生成された可変表示装置14の表示結果の決定に用いられる表示結果決定用データに基づいて、可変表示装置14によって大当り発生用の識別情報が表示される可能性が高まったことを遊技者に事前に報知するためのものである。なお、前記可変入賞球装置20は、可変表示装置14の表示結果が後述する中当り発生用の識別情報になった場合にも所定時間(たとえば1.4秒)開成するが、この場合には前述した繰返し継続制御は行なわれない。
【0014】
図2は、パチンコ遊技機の一部内部構造を示す全体背面図である。パチンコ遊技機1の下方一側方には、打球発射装置46が設けられている。そして、前記図1に示した打球操作ハンドル9を遊技者が操作することにより、この打球発射装置46が作動してパチンコ玉が1つずつ遊技領域13内に弾発発射されるように構成されている。遊技盤保持枠(図示せず)に対し遊技盤11と機構板40とが着脱自在に取付けられている。この遊技盤11裏面には入賞玉集合カバー体33が取付けられている。この入賞玉集合カバー体33は、遊技盤11前面側に形成されている各種入賞口から入賞した入賞玉を所定箇所に誘導して集合させるためのものである。この入賞玉集合カバー体33には中継端子板34が設けられている。この中継端子板34は、ゲーム制御に関する電気的装置と制御基板との接続を中継するものである。また図中45は制御基板ボックスであり、景品玉払出制御に関する電気的装置と制御基板との接続を中継するものであり、機構板40に設けられている。なお、41は開口である。前記入賞玉集合カバー体33のほぼ中央にはドラム機構収納ボックス35が設けられており、可変表示装置14の後部のドラム機構が収納される。前記入賞玉集合カバー体33によって集合された入賞玉は、入賞玉集合樋42によって入賞玉処理機構43に誘導される。そして入賞玉処理機構43により入賞玉を1つずつ処理し、その入賞玉毎に賞品玉払出機構44を作動させ、入賞玉1個につき所定個数(たとえば13個)の賞品玉を打球供給皿6(図1参照)内に払出す。
【0015】
図中、39a,39b,39cは、始動入賞口27a,27b,27c(図1参照)にそれぞれ入賞した入賞玉を検出するための始動入賞玉検出器である。また36は可変入賞球装置20の開閉板22(図1参照)を開閉させるためのソレノイドである。さらに、37は特定入賞玉検出器であり、特定入賞口23(図1参照)に入賞した入賞玉を検出するためのものである。38は可変入賞球装置20の入賞空間21(図1参照)に入賞した入賞玉を検出するための入賞個数検出器である。
【0016】
図3は、可変表示装置14の内部構造を示す斜視図である。ドラム機構収納部35内には、回転ドラム49a,49b,49cが設けられている。この回転ドラム49a,49b,49cは、それぞれに、ステッピングモータ48a,48b,48cにより回転されるように構成されている。前記ステッピングモータ48a?48cは、それぞれモータ取付板47a?47cに取付けられている。また、回転ドラム49a?49cには、ドラム位置を検出するための切欠部50a?50cがそれぞれに形成されている。ドラム機構収納ボックス35の前記切欠部50a?50cに対応する位置には、透孔51a?51cがそれぞれ形成され、その透孔51a?51cに、ドラム位置検出器(ホトトランジスタ)53a?53cがそれぞれ挿入される。このドラム位置検出器(ホトトランジスタ)53a?53cは、中継端子板54に固定される回路基板52に設けられている。そして、前記ドラム位置検出器53a?53cによりそれぞれの切欠部50a?50cを検出することにより、それぞれの回転ドラム49a?49cの回転角度が検出可能となる。
【0017】
前記それぞれの回転ドラム49a?49cの外周面には、たとえば16個の識別情報が描かれており、5つの前記当りライン(図1参照)上に大当り発生用の識別情報(本実施の形態では、「777」「FEVERFEVER FEVER」「BAR BAR BAR」「SANKYO SANKYO SANKYO」)のいずれかが揃えば大当り状態が発生する。この大当り状態が発生する識別情報の大当り発生用の組合わせは、4種類ありかつ当りラインが5本あるために、4×5=20通りとなる。そして大当り状態発生の確率は、16種類の識別情報が描かれた回転ドラムが3個あるために、20/16^(3)=1/204.8となる。一方、前記可変入賞球装置20を比較的短い所定時間(たとえば1.4秒)開成できる中当り発生用の識別情報は、「7○7」「FEVER ○ FEVER」「BAR ○ BAR」「SANKYO ○ SANKYO」(○は◎または☆または●または★)の16種類であり、16種類×5ライン=80通りとなる。そして中当り状態となる確率は80/16^(3)=1/51.2である。このように、本発明でいう「大当り状態」とは、可変表示装置の表示結果に応じて遊技者にとって有利となる状態のことであり、その有利となる度合が大小複数ある場合は、最大の有利度合となる状態をいう。
【0018】
以上説明した可変表示装置14は、本実施の形態ではドラム型のものを示したが、本発明はこれに限らず、液晶などを用いたデジタル表示のものであってもよく、また、リーフ式あるいはエレクトロルミネセンスによる表示であってもよい。さらに、複数のランプやLEDを配設し、ランプやLEDを循環させて走行点灯させながら可変表示を行なういわゆるルーレット式のものであってもよい。また、円盤形の複数のディスクにそれぞれ複数種類の識別情報を書込み、それぞれのディスクの1カ所の識別情報を表示するようにしたディスク式のものであってもよい。さらに、ドラム型やデジタル式を組合わせるなど、前記種々の可変表示部材を2つ以上組合わせたものであってもよい。また、ベルト式やドットマトリックスでもよい。なお、本実施の形態では、表示部の数を3個としたが、1個または2個もしくは4個以上であってもよい。
【0019】
図4は、回転ドラム49a?49cの外周に描かれた図柄と図柄に対応する16進数ならびにステップカウンタのカウント値との対応を説明するための説明図である。回転ドラム49a?49cは図示反時計方向に回転する。そして、図示左側に情報表示部が形成され、遊技者が視認可能に構成されている。図中、内側の円内の数字0?9ならびに内側のA?Fは、16種類の図柄に対応する16進数であり、この0ないしFの16進数が後述する制御に用いられる。また、図中、外側の数字0?90は、図柄中心に対応するステップカウンタのカウント値であり、後述する制御に用いられる。
【0020】
図5は、停止図柄決定用カウンタ90を説明するための説明図である。この停止図柄決定用カウンタは、後述するマイクロコンピュータのRAM63(図7参照)内に設けられている。この停止図柄決定用カウンタ90は、2バイトで構成され上位4ビットは使用しない。そして、D_(0)?D_(3)が左回転ドラムの図柄用のものであり、D_(4)?D_(7)が中央の回転ドラムの図柄用であり、D_(8)?D_(11)が右側の回転ドラムの図柄用である。そしてそれぞれに、000?FFF(図4に示した16進数)まで、16^(3)=4096通りのすべての組合わせで停止制御可能に構成されている。なお、本実施の形態では有効ラインが5ラインあるが(図1参照)、制御においてはすべて中央ラインの図柄のデータをもとにする。この停止図柄決定用カウンタ90は、後述する図8のステップS(以下単にSと記載する)8によりカウントアップされる。
【0021】
図6は、図4に示した16進数と各回転ドラムの中央ラインに表示される図柄との対応を説明するための説明図である。なお、はずれ図柄の内容は省略している。
【0022】
この図からもわかるように、たとえば、16進数がFの場合には、左の回転ドラムの図柄が7となり、中央の回転ドラムの図柄がSANKYOとなる。また16進数がEの場合には、右の回転ドラムの図柄がFEVERとなる。そしてこの図からもわかるように、図1に示された「777」の表示の組合わせの停止図柄決定用カウンタの値を16進数で表わした場合には「ABF」となり、これを2進数で表わせば「101010111111」となる。一方、本発明に係るパチンコ遊技機では可変表示装置14によりリーチ目が表示される。このリーチ目とは、大当り状態が発生する可能性が高まったことを可変表示装置14により表示するためのものであり、たとえば「SANKYO 7 FEVER」のように表示される。リーチ目表示用の停止図柄データ(「SANKYO 7 FEVER」に対応)は、16進数で表わせば「EB4」となりこれを2進数で表わせば「111010110100」となる。後述するように、始動入賞時の停止図柄決定用カウンタの値が大当りまたは中当りに対応する値である場合には、停止図柄データ記憶エリアのエリア4(図14参照)の停止図柄データを「EB4」に変更することにより、大当り状態または中当り状態の前兆としてリーチ目を表示する。
【0023】
図7は、パチンコ遊技機に使用される制御回路を示すブロック図である。マイクロコンピュータ60は以下に述べるような各種機器の動作を制御する機能を有する。このため、マイクロコンピュータ60は、たとえば数チップのLSIで構成されており、その中には制御動作を所定の手順で実行することのできるMPU61と、MPUの動作プログラムデータを格納するROM62と、必要なデータの書込みおよび読出しができるRAM63とを含む。
【0024】
さらに、マイクロコンピュータ60は入力信号を受けてMPU61に入力データを与えるとともにMPU61からの出力データを受けて外部に出力する入出力回路64と、MPU61から音データを受けるサウンドジェネレータ65と、電源投入時にMPU61にリセットパルスを与えるパワーオンリセット回路66と、MPU61にクロック信号を与えるクロック発生回路67と、クロック発生回路67からのクロック信号を分周してリセットパルスを定期的(たとえば2msec毎)にMPU61に与えるパルス分周回路(定期リセット回路)68と、MPU61からのアドレスデータをデコードするアドレスデコード回路69とを含む。
【0025】
アドレスデコード回路69はMPU61からのアドレスデータをデコードし、ROM62,RAM63,入出力回路64,サウンドジェネレータ65にそれぞれチップセレクト信号を与える。
【0026】
なお、この実施の形態では、ROM62は、その内容の書き換え、すなわち、必要が生じた場合には、その中に格納されたMPU61のためのプログラムデータを変更することができるようにプログラマブルROMが用いられる。そして、MPU61がこのROM62内に格納されたプログラムデータに従って、かつ以下に述べる各制御信号の出力に応答して、種々の機器に対し制御信号を与える。
【0027】
マイクロコンピュータ60は、入力信号として、次のような信号が与えられる。
【0028】
まず、遊技者の停止操作ボタン8(図1参照)の押圧操作に伴って停止操作検出器8aがONになり、それに応答して検出回路70から停止操作信号がマイクロコンピュータ60に与えられる。パチンコ玉の始動入賞に伴って始動入賞玉検出器39a?39cがONしたことに応答して、検出回路71から始動入賞玉検出信号がマイクロコンピュータ60に与えられる。パチンコ玉が特定入賞口23(図1参照)に入賞したことに伴って特定入賞玉検出器37がONになり、それに応答して検出回路72から特定入賞玉検出信号がマイクロコンピュータ60に与えられる。パチンコ玉が可変入賞球装置20の入賞空間21内に入賞したことに伴って入賞個数検出器38がONになり、それに応答して検出回路73から入賞個数検出信号がマイクロコンピュータ60に与えられる。左ドラム位置検出器53a,中ドラム位置検出器53b,右ドラム位置検出器53cがそれぞれ切欠部50a?50cを検出することに伴って、検出回路74からそれぞれの検出信号がマイクロコンピュータ60に入力される。
【0029】
次に、マイクロコンピュータ60は以下の回路および装置に制御信号を与える。まず、モータ駆動回路75を介してそれぞれのステッピングモータ48a?48cにモータ駆動用制御信号を与える。このモータ駆動回路75とマイクロコンピュータ60とにより、前記可変表示装置を可変開始させた後、後述する表示結果決定用データ生成手段により生成された前記可変表示装置の表示結果の決定に用いられる表示結果決定用データに従って決定された表示結果を導出表示させるように制御を行なう可変表示制御手段が構成されている。ソレノイド駆動回路76を介してソレノイド36にソレノイド励磁用制御信号を与える。ランプ駆動回路77を介してそれぞれのランプ31a,31b,32a,32bにランプ点灯用制御信号を与える。また、ランプ駆動回路77を介して当り予告表示器55に当り予告用制御信号を与える。LED駆動回路78を介して、始動入賞記憶表示器16a?16dに始動入賞記憶表示用制御信号を与えるとともに、当りライン表示器17a?17fに当りライン表示用制御信号を与える。セグメントLED駆動回路79を介して、入賞個数表示器25に入賞個数表示用制御信号を与えるとともに、開成回数表示器18に開成回数表示用制御信号を与える。さらに、アンプ80を介してスピーカ7に音発生用制御信号を与える。なお、前記各種機器および制御回路には電源回路81から所定の直流電源が供給される。
【0030】
図8ないし図11は、図7に示した制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【0031】
図8はメインルーチンを示し、前記パルス分周回路68からたとえば2msec毎に発振されるリセットパルスが与えられるごとに1回実行される。図8に示したS3の処理内容は後述する図9に示すが、当り予告表示器以外のコントロール処理の詳細は省略する。また、S4の処理内容の詳細は省略する。またS6のスイッチチェック処理は、後述する図11?図13に示すが、特定入賞玉検出器37および入賞個数検出器38のチェック処理の詳細は省略する。次に、S8により、停止図柄決定用カウンタのカウントアップがなされるが、このS8の処理は、リセット待ち時間(S1?S7までのメイン処理が済んでからリセットパルスが入力されるまでの時間)の間繰返し行なわれる。なお、メイン処理(S1?S7)1回の処理時間が遊技状態によって変化するため、S8の処理回数は一定ではない。そしてS8の処理が1回なされるごとに停止図柄決定用カウンタが「+1」ずつカウントアップされる。
【0032】
図9は、前記S3により定義されたサブルーチンプログラムのうち当り予告表示器のコントロールのためのプログラムを示すフローチャートである。まずS9により当り予告フラグがセットされているか否かの判断が行なわれる。この当り予告フラグは後述する図10のS22によりセットされるものである。そして当り予告フラグがセットされている場合にはS11に進み、当り予告表示データがセットされて、前記S3に従って当り予告表示器55(図1参照)を点灯または点滅させて当り予告の表示が行なわれる。一方、当り予告フラグが未だにセットされていない場合または後述するS50により当り予告フラグがクリアされた場合には、S9によりNOの判断がなされてS10に進み、ランプをOFFにする制御がなされ、それを受けてS7に従って当り予告表示器55による当り予告が停止制御される。後述するS21,S22ならびに前記S9,S11,S7に従って制御される当り予告表示器55により、前記大当り発生用の識別情報が表示されることを遊技者に事前に報知するための事前報知手段が構成されている。なお、この事前報知は、前記当り予告表示器55による点灯または点滅表示に代えて、可変表示装置14の可変表示を特定の態様で行なわせる(たとえば可変表示の速さや明るさ等を変化させる)ものであってもよい。
【0033】
図10は前記S5により定義されたモータコントロール処理のプログラムを示すフローチャートである。S12ないしS14により、モータ減速フラグ,モータ定速フラグならびにモータ加速フラグのそれぞれがセットされているか否かの判断がなされ、それらすべてのフラグがセットされていない場合にはS15に進む。ここに、モータ減速フラグとは、回転ドラムを回転駆動するためのステッピングモータ48a?48c(図3参照)をスムーズに減速させるためのものであり、後述するS29によりセットされS52によりクリアされるものである。モータ定速フラグとは、前記ステッピングモータを一定の速度で回転させるためのものであり、後述するS25によりセットされS29によりクリアされるものである。また、モータ加速フラグとは、前記ステッピングモータをスムーズに加速させるためのものであり、後述するS23によりセットされS25によりクリアされるものである。S15では、大当りフラグまたは中当りフラグがセットされているか否かの判断がなされる。この大当りフラグは後述するS48によりセットされ、中当りフラグは後述するS50によりセットされるものである。そして大当りフラグまはた中当りフラグが既にセットされている場合にはそのままサブルーチンプログラムが終了するが、未だにセットされていない場合にはステップS16に進み、始動記憶カウンタが「0」か否かの判断がなされ、「0」である場合にはそのままサブルーチンプログラムが終了するが「0」でない場合にはS17に進み、外れインターバルタイマが終了したか否かの判断がなされる。この外れインターバルタイマは、可変表示装置の停止時の識別情報が外れの場合にそれを遊技者に認識させるために必要となる1秒程度の時間を計時するためのものであり、後述するS51によりセットされるものである。そしてこの外れインターバルタイマが未だに終了していない場合にはそのままサブルーチンプログラムが終了する。そしてこの外れインターバルタイマが終了しない間はこのサブルーチンプログラムが実行される毎にS17によりNOの判断がなされるが、外れインターバルタイマが終了した段階でS17によりYESの判断がなされてS18に進み、停止図柄データ記憶エリアのエリア1の停止図柄データを呼出して別エリアに記憶する処理がなされる(図14参照)。たとえば、図14に示す1個目始動入賞時に停止図柄データ記憶エリアのエリア1に記憶されている停止図柄データがbであり、S18の処理によりこのbの停止図柄データが別エリア(今回表示)に呼出されて記憶されるのである。この別エリアに記憶されるのは、今回の可変表示における予定停止図柄のデータということになる。なお、前記停止図柄データは、前記可変表示装置の表示結果の決定に用いられる表示結果決定用データの一例である。次にS19により始動記憶カウンタを1減算し、S20により停止図柄データ記憶エリアの記憶内容をそっくり8から1の方向に1つずつシフトさせる。たとえば、図14に示す1個目始動入賞時の停止図柄データ記憶エリアの停止図柄データがこのS20の処理がなされると1回目可変表示時の停止図柄データ記憶エリアに記憶されるようなデータとなる。次にS21に進み、別エリアのデータが大当りまたは中当りの値か否かの判断がなされ、大当りまたは中当りの値である場合にはS22により当り予告フラグがセットされるが、大当りまたは中当りでない場合にはS23に進み、基本タイマのセット,モータ加速フラグのセットならびにモータ加速パターンデータのセットがなされる。この基本タイマは可変表示装置の自動停止の場合の基本時間を計時するためのものであり、たとえば4.9秒程度の時間を計時する。次にS44によりステッピングモータのステップ数をカウントする処理がなされてサブルーチンプログラムが終了する。前記S21により、後述する表示結果決定用データ生成手段により生成された表示結果決定用データが前記予め定められた大当り発生用の識別情報に対応するものであることを判定する特定識別情報判定手段が構成されている。
【0034】
このモータコントロールのサブルーチンプログラムはたとえば2msec毎に1回実行されるのであり、前回の実行に際してS23により既にモータ加速フラグがセットされているために、今回の実行に際してはS14によりYESの判断がなされてS24に進む。S24では、モータ加速パターンデータが終了したか否かの判断がなされる。このモータ加速パターンデータは、ステッピングモータをスムーズに正確に加速させるための制御用データであり、そのモータ加速パターンデータが終了するまでステップS24によりNOの判断がなされ、S44に進みステップ数のカウントがなされてサブルーチンプログラムが終了する。そしてステッピングモータが十分加速されてモータ加速パターンデータが終了したと判断された場合にはS25に進み、モータ加速フラグがクリアされるとともにモータ定速フラグがセットされてS44に進む。
【0035】
そしてそれ以降のモータコントロールサブルーチンプログラムが実行されるに際しては、既にS25によりモータ定速フラグがセットされているために、S13によりYESの判断がなされてS26に進み、基本タイマが終了したか否かの判断がなされる。この基本タイマは前記S23によりセットされているものであり、終了していない段階ではS27に進みストップフラグがセットされたか否かの判断がなされ、ストップフラグがセットされていない場合には前記S44に進む。このストップフラグは、遊技者の停止操作ボタン8(図1参照)の押圧操作に基づいて後述するS72によりセットされるものである。そして、基本タイマが終了するかまたはその終了以前において遊技者が停止操作ボタン8(図1参照)を押圧操作した場合にS28に進み、以降の可変表示装置の停止制御が行なわれる。まず、S28により図柄途中か否かの判断がなされる。このS28による判断は、停止条件の成立時に図柄が中心位置にない場合にその中心位置に図柄が来るまで待つためのものであり、図柄が中心位置に来た段階でNOの判断がなされてS29に進む。S29では、ストップフラグのクリア,モータ定速フラグのクリアならびにモータ減速フラグのセットの処理がなされる。そしてS30に進み、現在図柄と予定停止図柄とに基づいて各モータの減速パターンデータを選択してセットする。現在図柄とは、S30の処理が行なわれる段階で可変表示装置の中央表示ラインに位置する図柄であり、予定停止図柄とは前記S18により別エリアに記憶されている停止図柄データに従った停止図柄である。各ステッピングモータの減速パターンデータが選択セットされれば、各ステッピングモータが同時に減速パターンに入るように構成されている。また、この減速パターンデータは、各モータに対応して16通りずつ予め用意される。またどのような組合わせで停止させる場合であっても必ず左ドラム用のステッピングモータA、右ドラム用のステッピングモータC、中央のドラム用のステッピングモータBの順で停止するように設定されている。前記S30によりそれぞれの各モータA,C,Bの減速パターンデータが選択されてセットされているため、次回のモータコントロールサブルーチンプログラムの実行に際しては、S12によりYESの判断がなされることとなる。そしてS31に進み、モータA減速パターンデータが終了したか否かの判断がなされ、終了していない場合にはS32に進み、今回終了するか否かの判断がなされ、今回終了しない場合にはS44に進む。そして今回終了する場合にはS33に進み、ステッピングモータAを停止制御させた後にS44に進む。そして次回のモータコントロールサブルーチンプログラムの実行に際しては、ステッピングモータAの減速パターンデータが終了するために、S31によりYESの判断がなされてS34に進み、モータCの減速パターンが終了したか否かの判断がなされ、未だに終了していない場合にはS35に進み、今回終了するか否かの判断がなされ、そして今回終了する場合にはS36に進み、モータCを停止制御してS37に進む。S37では、左右の停止図柄が大当り条件を満足しているか否かの判断がなされ、満足していない場合にはそのままS44に進むが、満足している場合にはS38に進み、リーチフラグをセットした後にS44に進む。このS37によりYESの判断がなされる場合の具体例としては、たとえば大当りの図柄の組合わせが「777」である場合に、左回転ドラムおよび右回転ドラムの停止時の図柄がともに「7」であった場合である。
【0036】
次回のモータコントロールサブルーチンプログラムの実行に際しては、S34によりYESの判断がなされてS39に進むこととなり、モータB減速パターンが終了したか否かの判断がなされ、未だに終了していない場合にはS40に進み今回終了するか否かの判断がなされ、今回終了する場合にはS41に進み、リーチフラグがセットされているか否かの判断がなされる。リーチフラグがセットされていない場合にはS46に進みそのままステッピングモータBの停止制御がなされるが、前記S38によりリーチフラグがセットされている場合にはS42に進み、3回転増データのセットがなされてS44に進む。この3回転増データがセットされることにより、中央の回転ドラムが停止する前にゆっくりと通常より長い時間回転することになり、遊技者の期待感をより一層盛り上げる効果が期待できる。次回のモータコントロールサブルーチンプログラムの実行に際しては、S39によりYESの判断がなされてS43に進み、3回転増データが終了したか否かの判断がなされる。そして未だに終了していない場合にはS43によりNOの判断がなされるのであり、3回転増データが終了するまでの間モータコントロールサブルーチンプログラムが実行される毎にS43によりNOの判断がされ続けることになる。そして3回転増データが終了した段階でS43によりYESの判断がなされてS45に進み、リーチフラグをクリアしてS46に進み、ステッピングモータBの停止制御がなされる。そしてS47に進み、左,中,右の停止図柄が大当り条件を満足しているか否かの判断がなされ、大当り条件を満足している場合にS48に進み、当り予告フラグをクリアし、大当りフラグをセットするとともに大当りインターバルタイマをセットする。この大当りインターバルタイマは、可変入賞球装置20(図1参照)の開閉板22が開成するまでの待ち時間である。一方、左,中,右の停止図柄が大当り条件を満足していない場合にはS49に進み、左,中,右の停止図柄が中当り条件を満足しているか否かの判断がなされ、中当り条件を満足している場合にはS50に進み、当り予告フラグをクリアするとともに中当りフラグをセットしさらに中当りインターバルタイマがセットされる。また、大当り条件と中当り条件の両者ともに満足していない場合にはS51に進み、外れインターバルタイマがセットされる。また、大当りフラグか中当りフラグがセットされた場合には、それに基づいて可変入賞球装置の開閉板22(図1参照)を開成制御するためにソレノイド36をコントロール処理するのであるが、そのソレノイドのコントロール処理のプログラムは省略する。このソレノイドのコントロール処理のプログラムにおいて、大当り制御または中当り制御が終了すれば前記S48またはS50によりセットされた大当りフラグや中当りフラグがクリアされる。次にS52に進み、モータ減速フラグがクリアされてサブルーチンプログラムが終了する。なお、それぞれの回転ドラムは同時またはほぼ同時に停止制御されてもよい。
【0037】
図11は、前記S6で定義されたスイッチチェック処理のうちのスタートスイッチチェックのサブルーチンプログラムを示すフローチャートである。S53により、スタートスイッチ(始動入賞玉検出器39a?39b)がONになっているか否かの判断がなされる。そしてパチンコ玉が始動入賞口27a?27cのいずれかに入賞すれば、S53よりYESの判断がなされS55に進み、スタートスイッチチェックカウンタが最大か否かの判断がなされる。このスタートスイッチチェックカウンタは、このスタートスイッチチェックサブルーチンプログラムが実行される毎にS56により「1」ずつ加算されるものであり、その最大値はたとえば「255」である。そして未だに最大に達していない場合にはS56に進み、チェックカウンタが1インクリメントされ、S57に進み、スタートスイッチチェックカウンタ=「3」であるか否かの判断がなされる。そして未だに「3」に達していない場合にはそのままサブルーチンプログラムが終了するが、「3」に達した場合にはS58に進み、始動記憶カウンタ=「4」であるか否かの判断がなされる。始動記憶カウンタの上限値は「4」であるため、既にその上限値である「4」に達している場合にはそのままサブルーチンプログラムが終了するのであるが、未だに「4」に達していない場合にはS59に進み、始動入賞が発生したことに伴う始動入賞カウンタの「1」の加算処理がなされる。次にS60では、停止図柄決定用カウンタの現在のカウント値を停止図柄データとして始動記憶カウンタの値に対応する停止図柄データ記憶エリアに記憶する処理がなされる。たとえば、図14に示すように、始動記憶カウンタが「1」の場合には、停止図柄データ記憶エリアのエリア5に現在のカウント値に対応する停止図柄データ「a」が記憶される。なお、始動記憶カウンタの値に対応する停止図柄データ記憶エリアとは、始動記憶カウンタの値が「1」の場合にはエリア5となり、始動記憶カウンタが「2」である場合にはエリア6となり、始動記憶カウンタが「3」である場合にはエリア7となり、始動記憶カウンタが「4」である場合にはエリア8となる。次にS61に進み、停止図柄データ記憶エリアのエリア1?4が空き状態であるか否かの判断がなされ、空き状態でない場合には直接S63に進むが、空き状態の場合にはS62に進む。つまり、始動記憶カウンタがたとえば「1」である場合に、そのカウント値に対応するエリア5に停止図柄データ「a」が記憶され、エリア1?4に全くデータが記憶されていない場合には、S61によりYESの判断がなされてS62に進み、停止図柄決定用カウンタの現在のカウント値に基づいて4回分の停止図柄データを決定しエリア1?4に記憶させる処理がなされる。このS62による処理がなされた状態が、図14の1個目始動入賞時の停止図柄データ記憶エリアに示されている。
【0038】
次にS63に進み、停止図柄決定用カウンタの現在のカウント値が大当りまたは中当りの値であるか否かの判断がなされる。この「現在のカウント値」とは前記S60で記憶した値と同じものである。そして大当りまたは中当りの値でないと判断された場合にはそのままサブルーチンプログラムが終了する。一方、大当りまたは中当りの値になっている場合にはS64に進み、エリア4に記憶されている停止図柄データが大当りまたは中当りの値になっているか否かの判断がなされ、大当りまたは中当りの場合にはそのままサブルーチンプログラムが終了するが、大当りまたは中当りの値でない場合にはS65に進み、エリア4の停止図柄データをリーチ目表示用の停止図柄データに変更する処理がなされてサブルーチンプログラムが終了する。このS65による変更処理がなされた状態が、図14のたとえば4個目始動入賞時におけるエリア4に示されている。この4個目始動入賞時のエリア4の記憶はfから(x)に変更されたものであり、本実施の形態では(x)=「EB4」である。このS65による変更処理がなされるため、リーチ目が可変表示装置で表示されてから1?4回後の可変表示により大当り状態または中当り状態が発生することになる。前記S60により、前記可変表示装置の表示結果の決定に用いられる表示結果決定用データを生成可能な表示結果決定用データ生成手段が構成されている。つまり、前記S60により、前記可変表示装置の表示結果の決定に用いられる表示結果決定用データを生成可能な表示結果決定用データ生成手段が構成されているのである。なお、本実施の形態では、始動入賞時に表示結果決定用データを生成するものを示したが、本発明はこれに限らず、可変表示の開始時や停止条件成立時に表示結果決定用データを生成するものであってもよい。また、本実施の形態では、表示結果決定用データ生成手段により生成される表示結果決定用データが可変表示装置により表示される識別情報自体に対応するものであったが、本発明はこれに限らず、識別情報に対応するものまでは生成されずに可変表示装置の表示結果の当り外れのみを決定するもの、つまり、可変表示装置の表示結果が予め定められた大当り発生用の識別情報であるか否かのみに対応するものであってもよい。また、前記S65に従ってリーチ目を表示する可変表示装置14により、打玉が前記始動入賞領域へ入賞したときに生成された前記表示結果決定用データが前記大当り発生用の識別情報に対応するものであり、該大当り発生用の識別情報に対応する表示結果決定用データが生成される前に打玉の前記始動入賞領域への入賞により生成された表示結果決定用データが外れの表示結果を示す場合に、前記大当り発生用の識別情報が導出表示されることを、該大当り発生用の識別情報が導出表示される回の可変表示が行なわれる前の回までの前記外れの表示結果となる可変表示において遊技者に事前に報知する前兆報知を行なうための前兆報知手段が構成されている。なお、前記S65では、常にエリア4の停止図柄データをリーチ目表示用の停止図柄データに変更するように構成したが、これに代えて、エリア4に記憶されている停止図柄データが大当りまたは中当りの値であった場合にはエリア3に記憶されている停止図柄データをチェックし、大当りまたは中当りの値でない場合にそのエリア3をリーチ目表示部の停止図柄データに変更してもよく、また、エリア3のチェックの結果エリア3に記憶されている停止図柄データが大当りまたは中当りの値であった場合にはエリア2をチェックし、そのエリア2がさらに大当りまたは中当りの値であった場合にはさらにエリア1をチェックし、大当りまたは中当りでないエリアを捜してそのエリアをリーチ目表示用の停止図柄データに変更するように制御してもよい。
【0039】
図12は、前記S6により定義されたスイッチチェック処理のうちストップスイッチチェックのサブルーチンプログラムを示すフローチャートである。遊技者が停止操作ボタン8(図1参照)を押圧操作すれば、ストップスイッチがONになりステップS66によりYESの判断がなされてS68に進み、ストップスイッチカウンタが最大になっているか否かの判断がなされる。このストップスイッチカウンタは、このストップスイッチチェックサブルーチンプログラムが実行される毎にS69により「1」ずつ加算されるものであり、その最大値はたとえば「255」である。そしてストップスイッチチェックカウンタが未だに最大になっていない場合にはS69に進み、ストップスイッチチェックカウンタを「1」インクリメントし、S70に進む。S70では、ストップスイッチチェックカウンタ=「3」であるか否かの判断がなされ、未だに「3」になっていない場合にはそのままサブルーチンプログラムが終了するが、「3」になっている場合にはS71に進み、モータ定速フラグがセットされているか否かの判断がなされる。このモータ定速フラグは、前記S25によりセットされS29によりクリアされるものである。そしてモータ定速フラグがセットされていない場合にはそのままサブルーチンプログラムが終了するが、モータ定速フラグがセットされている場合にはS72に進み、ストップフラグをセットしてサブルーチンプログラムが終了する。モータ定速フラグがセットされていない場合すなわち既にモータが減速段階に入っている場合にストップフラグがセットされない理由は、既にステッピングモータが減速段階に入っているために遊技者が停止操作ボタン8を押圧操作したとしても遅すぎるためである。このS72によりセットされたストップフラグに基づいて前記S27によりYESの判断がなされて以降の可変表示装置の停止制御に移行する。一方、ストップスイッチがONでない場合にはS67に進み、ストップスイッチチェックカウンタをクリアしてサブルーチンプログラムが終了する。前記S70によりストップスイッチチェックカウンタが「3」に達して初めて以降のストップフラグがセットされるように制御する理由は、遊技場に発生したノイズ等によりストップスイッチが瞬間的にONになる場合があり、そのようなノイズによる誤動作に基づいてストップフラグをセットしないようにするために、ストップスイッチチェックサブルーチンプログラムが3回実行されて3回ともストップスイッチがONになっている場合にのみストップフラグをセットするように制御したのである。前記S66ないしS72ならびに前記S26およびS27により、前記可変表示装置の可変表示を停止するための予め定められた停止条件が成立したことに基づいて停止指令信号を発生する停止指令信号発生手段が構成されている。
【0040】
図13は、前記S6により定義されたスイッチチェック処理のうちドラム位置スイッチチェックのサブルーチンプログラムを示すフローチャートである。まずS73により、ステップカウンタA=「96」であるか否かの判断がなされる。この「96」はステップカウンタの最大値である(図4参照)。またステップカウンタBならびにステップカウンタCが「96」であるか否かの判断がそれぞれS76とS79によりなされる。そしてすべてのステップカウンタA,B,Cが「96」でない場合にはそのままサブルーチンプログラムが終了する。一方、ステップカウンタAが「96」である場合にはS74に進み、ドラム位置スイッチAがONであるか否かの判断がなされる。図3および図4に示すように、ステップカウンタAが最大値である「96」である場合には、ドラム位置スイッチA(ドラム位置検出器53a)がONになっているはずであり、もしONになっていないとすれば、ステッピングモータの故障か回転ドラムが不正に強制的に停止されたことが考えられるため、その場合にはS82に進みアラームフラグをセットしてサブルーチンプログラムが終了する。このアラームフラグのセットに従ってスピーカ7(図1参照)等から警報音が発せられる。なお、ドラム位置スイッチBおよびドラム位置スイッチCに対しても同様にS77ならびにS80によりONになっているか否かの判断がなされてONになっていない場合にはS82に進みアラームフラグがセットされる。そして、S74によりYESの判断がなされた場合にはS75に進み、ステップカウンタAをクリアする。またステップカウンタBおよびステップカウンタCについても同様にS78とS81によりそれぞれクリアする。つまり、ステップカウンタが最大値である「96」に達すれば回転ドラムが1回転したことになるため、その時点でステップカウンタをクリアし、再び0からステップカウンタをカウントアップし始めるのである。
【0041】
図14は、始動記憶カウンタと停止図柄データ記憶エリアと別エリアとの記憶情報の関係を示す説明図である。
【0042】
まず電源投入時においては、始動入賞が発生していないために始動記憶カウンタは「0」となっており、停止図柄データ記憶エリアおよび別エリアには何も記憶されていない状態である。そして、1個目の始動入賞に伴って始動記憶カウンタが「1」となり、それに基づいて停止図柄データ記憶エリアのエリア5に、現在の停止図柄決定用カウンタのカウント値に対応する停止図柄データ「a」が記憶される(S60参照)。そしてこの状態では停止図柄データ記憶エリアのエリア1?4が空き状態となっているために、S62に従って、停止図柄決定用カウンタの現在のカウント値に基づいて4回分の停止図柄データが決定されてエリア1?4に記憶される。この状態が1回目始動入賞時の行に示されている。次に1回目可変開始時においては、前記S18に従ってエリア1の停止図柄データ「b」が別エリアに呼出されるとともに、S20により停止図柄データ記憶エリアが1つずつシフトされる。その状態が1回目可変開始時の行に示されている。次に2個目始動入賞時においては、始動記憶カウンタの値が再び「1」となり、それに対応する停止図柄データ記憶エリアのエリア5に停止図柄決定用カウンタのカウント値に応じた停止図柄データ「f」が記憶される。さらに3個目始動入賞時においては、始動記憶カウンタの値が「2」となり、それに対応する停止図柄データ記憶エリアのエリア6に停止図柄データ「g」が記憶される。このように、始動入賞に伴って始動記憶カウンタが1ずつ加算され、その始動記憶カウンタのカウント値に応じた停止図柄データ記憶エリアのエリアに所定の停止図柄データが記憶され、可変表示装置の可変開始が行なわれる毎に停止図柄データ記憶エリアの記憶情報が1ずつ図示左方向にシフトされる。
【0043】
次に、4回目始動入賞時において、始動記憶カウンタが「2」となっており、それに応じたエリア6に記憶される停止図柄データが大当りの停止図柄データ《h》となった場合には、前記S65に従って、エリア4の停止図柄データ「f」をリーチ目の停止図柄データ(x)に変更する処理がなされる。そして6回目の可変開始時においてはそのリーチ目(x)が別エリアに記憶されることとなり、可変表示装置においてリーチ目の表示がなされる。次に、7個目始動入賞時において、始動記憶カウンタの値が「1」となっており、それに対応するエリア5の記憶される停止図柄データが中当りの〈k〉となった場合には、4回目始動入賞時と同様にエリア4の停止図柄データ「j」をリーチ目の停止図柄データ(x)に変更する。そして、8回目可変開始時においては、前記大当りの停止図柄《h》が別エリアに記憶され、可変表示装置の可変表示の最中に当り予告表示器55(図1参照)により当り予告がなされるとともに、その回の可変表示装置の停止時においては大当り目(たとえば「777」)の表示が行なわれる。
【0044】
次に、10回目の可変開始時においては、前記リーチ目(x)の停止図柄データが別エリアに記憶され、可変表示装置によりリーチ目が表示される。そして11回目の可変開始時においては、可変表示の最中に前記当り予告表示器55により当り予告の表示が行なわれるが、可変表示装置の停止時においては中当り〈k〉の識別情報が表示される。なお、4回目始動入賞時および7回目始動入賞時においてそれぞれエリア4の停止図柄データ「f」,「j」をリーチ目の停止図柄データ(x)に変更しているが、この「f」,「j」が大当りまたは中当りの値であった場合にはリーチ目の変更は行なわれない(前記S64参照)。
【0045】
次に、本発明の別実施の形態を説明する。図15は、前記図8のS6により定義されたスイッチチェック処理のうちスタートスイッチチェック処理のサブルーチンプログラムを示すフローチャートである。この図15におけるS53ないしS59までの処理は前記図11に示したS53ないしS59の処理と同様であるため、説明の繰返しを省略する。S83により、停止図柄決定用カウンタの現在のカウント値が大当りまたは中当りの値であるか否かの判断がなされ、大当りまたは中当りでない場合にはS87に進み、始動記憶カウンタ≦記憶エリアカウンタの判断が行なわれる。この「記憶エリアカウンタ」は、図16に示す停止図柄データ記憶エリアのうち既に停止図柄データが記憶されているエリアの個数である。そして、始動記憶カウンタが記憶エリアカウンタ以下である場合にはそのままサブルーチンプログラムが終了する。なお、前記停止図柄データは、前記可変表示装置の表示結果の決定に用いられる表示結果決定用データの一例である。一方、パチンコ玉が始動入賞して始動記憶カウンタが「1」になった瞬間においては、始動入賞カウンタが「1」であり記憶エリアカウンタが「0」になっているため、S87によりNOの判断がなされてS88に進み、停止図柄データ記憶エリアの最下位空きエリアに停止図柄決定用カウンタの現在のカウント値を停止図柄データとして記憶する処理がなされる。この処理がなされた状態が、たとえば図16の1個目始動入賞時の行に示されている。次にS89に進み、記憶エリアカウンタを1インクリメントしてサブルーチンプログラムが終了する。
【0046】
一方、停止図柄決定用カウンタの現在のカウント値が大当りまたは中当りの値であった場合には、前記S83によりYESの判断がなされてS84に進み、記憶エリアカウンタ≧「4」の判断が行なわれる。そして、記憶エリアカウンタが「4」以上になっている場合には直接前記S88に進み、停止図柄データ記憶エリアの最下位空きエリアに停止図柄決定用カウンタの現在のカウント値つまり大当りまたは中当りの値を停止図柄データとして記憶する処理がなされる。前記S83により、後述の表示結果決定用データ生成手段により生成された表示結果決定用データが前記予め定められた大当り発生用の識別情報に対応するものであることを判定する特定識別情報判定手段が構成されている。一方、記憶エリアカウンタが「4」未満である場合には、S85に進み、停止図柄データ記憶エリアの空きエリアの下位から4回分の前兆パターン図柄データを記憶する処理がなされる。そしてS86により記憶エリアカウンタを「4」加算する処理がなされて前記S88に進む。前記S85による「前兆パターン図柄データ」は、大当りの発生の可能性が高まったことを遊技者に報知するための可変表示装置の図柄に関するデータであり、図16に示すように、「(w),(x),(y),(z)」の4種類のものがある。なお、この別実施の形態においては、前記図10に示したモータコントロールサブルーチンプログラムにおけるS19で、始動記憶カウンタを「-1」するとともに記憶エリアカウンタを「-1」する処理を行なうこととなる。
【0047】
以上説明したように、この別実施の形態においては、始動記憶カウンタ≦記憶エリアカウンタである場合でかつ、始動入賞時の停止図柄決定用カウンタのカウント値が外れの値である場合(図16のd?g,i,k?m)は、その外れの値が可変表示に用いられず、大当りまたは中当りの値でありかつ記憶エリアカウンタ<「4」である場合(図16のc,h)は前兆パターン図柄データ((w),(x),(y),(z))とともに空きエリアに記憶され、記憶エリアカウンタ≧「4」である場合(図16のj)は、前兆パターン図柄データを作ることなく空きエリアに記憶する。前記S88により、前記可変表示装置の表示結果の決定に用いられる表示結果決定用データを生成可能な表示結果決定用データ生成手段が構成されている。なお、この別実施の形態においては、始動入賞時に表示結果決定用データを生成する実施の形態を示したが、本発明はこれに限らず、可変表示装置の可変開始時や停止条件成立時に表示結果決定用データを生成するものであってもよく、また、表示結果決定用データとして可変表示装置の具体的な識別情報に対応するものを示したが、本発明はこれに限らず、可変表示装置の表示結果の当り外れのみを決定するもの、つまり、可変表示装置の表示結果が予め定められた大当り発生用の識別情報であるか否かのみに対応するものであってもよい。
【0048】
図16は、始動記憶カウンタ,記憶エリアカウンタ,停止図柄決定用カウンタ,停止図柄データ記憶エリアならびに別エリアにそれぞれ記憶されているデータの関係を示す説明図である。
【0049】
まず、電源投入時においては始動入賞がまだ行なわれていないために、始動記憶カウンタが「0」となっており、停止図柄決定用カウンタ,停止図柄データ記憶エリアならびに別エリアのそれぞれには全くデータが記憶されていない状態である。そして停止図柄データ記憶エリアに情報が全く記憶されていないために記憶エリアカウンタの値は「0」となっている。この状態で、1個目の始動入賞時においては、始動記憶カウンタが「1」となり、この段階でS87によりNOの判断がなされてS88による記憶処理がなされ、停止図柄決定用カウンタの現在の値「a」が停止図柄データ記憶エリアの最下位空きエリアすなわちエリア1に記憶される。次に、1回目の可変表示開始時においては、図10に示した前記S18に従って「a」が別エリアに記憶されるとともに、前記S20に従って停止図柄データ記憶エリアの情報が図示左方向に1つシフトされる。次に、3回目始動入賞時のように、停止図柄決定用カウンタが大当りの停止図柄のカウント値《c》であり、記憶エリアカウンタが「4」未満である場合には、前記S85に従って、停止図柄データ記憶エリアの空きエリアの下位から4回分の前兆パターン図柄データ「(w),(x),(y),(z)」が記憶される。そしてS88に従って、最下位の空きエリアすなわちエリア6にその大当りの停止図柄データのカウント値《c》が記憶される。次に、4回目始動入賞時においては、停止図柄決定用カウンタが「d」であったとしても、この「d」が外れの値でありかつ始動記憶カウンタ≦記憶エリアカウンタであるために、その停止図柄決定用カウンタの値「d」は何ら停止図柄データ記憶エリアに記憶されない。
【0050】
次に、3回目可変開始時においては、前兆パターン図柄データ(w)が別エリアに記憶され、可変表示装置の停止時の図柄にこの前兆パターンの図柄が表示される。また4回目可変開始時においては前兆パターン図柄(x)が可変表示装置によって表示される。一方、8回目始動入賞時においては、停止図柄決定用カウンタが中当りの値〈h〉となっており、かつ、記憶エリアカウンタの値が「3」であり「4」未満であるため、前記S85に従って前兆パタ-ン図柄デ-タが停止図柄デ-タ記憶エリアに記憶される。
【0051】
次に、10回目始動入賞時においては、停止図柄決定用カウンタが中当りの値〈j〉となっているが、記憶エリアカウンタが「6」となっており、「4」以上であるためにS84によりYESの判断がなされ、S85による前兆パターン図柄データの記憶処理はなされない。なお、11回目可変開始時のように前兆パターン図柄(z)が可変表示装置により表示された場合においても、その次の回の12回目の可変開始時に示すように、可変表示装置の停止時の図柄が中当りの図柄〈h〉となり、必ずしも大当り状態が発生しない場合がある。
【0052】
前兆パターン図柄の具体的例としては以下のようなものが考えられる。
たとえば図16で《c》の値が「ABF」(図柄 777が中央ラインに揃う)である場合には、
(w)=「EBF」(図柄 7 7 FEVERが中央ラインに揃う)
(x)=「96E」(図柄 7 FEVER 7が上ラインに揃う)
(y)=「B80」(図柄 7 FEVER 7が下ラインに揃う)
(z)=「A7F」(図柄 7 FEVER 7が中央ラインに揃う)
また、図16に示すhの値が「196」(図柄 BAR ☆ BARが中央ラインに揃う)である場合には、(w)=「436」(図柄 BAR BAR SANKYOが中央ラインに揃う)
(x)=「0E5」(図柄 BAR SANKYO BARが上ラインに揃う)
(y)=「207」(図柄 BAR SANKYO BARが下ラインに揃う)
(z)=「1F6」(図柄 BAR SANKYO BARが中央ラインに揃う)
前述した2つの実施の形態においては、前兆報知手段が、前兆パターンとして或る定められた停止図柄で可変表示装置を停止させるように表示制御するものを示したが、本発明はこれに限らず専用の表示器によって前兆を可視表示させるか、それに代えてあるいはそれに加えて特有の音によって前兆を報知するようにしてもよい。また可変表示中以外のときに前兆を報知してもよい。さらに、可変表示装置の可変表示を特有の態様(たとえば明るさや速さを変化させる等)で行なわせることにより前兆を報知してもよい。なお、前記2つの実施の形態においては、前兆報知手段により前兆が報知された場合または事前報知手段により報知が行なわれた場合には、必ず大当り状態が発生するのではなく、中当り状態や小当り状態となり大当り状態が発生しない場合や、可変表示装置である定められた停止図柄で予告する場合において、偶然にその停止図柄になった場合のように全く大当り状態や中当り状態さらには小当り状態にならない場合が生ずるものを示している。
【0053】
【発明の効果】
本発明は、大当り発生用の識別情報が可変表示装置により導出表示されることに対する遊技者の期待感を高めることができ、可変表示装置の面白さを十分に演出し遊技者の期待感をより一層向上することのできるパチンコ遊技機を提供し得るに至った。しかも、前兆報知を行なう回数は、たとえば生成された前記表示結果決定用データが前記大当り発生用の識別情報に対応するものである場合のみに前兆報知を行なうものと比較して、多くなり、大当り発生用の識別情報が導出表示されることに対して遊技者が期待を抱く回数が増加するため、遊技の興趣を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明に係るパチンコ遊技機を示す全体正面図である。
【図2】
パチンコ遊技機の一部内部構造を示す全体背面図である。
【図3】
可変表示装置の内部構造を示す斜視図である。
【図4】
回転ドラムの図柄に対応する16進数と図柄中心に対応するステップカウンタのカウント値との対応を示す説明図である。
【図5】
停止図柄決定用カウンタを説明するための説明図である。
【図6】
図柄に対応する16進数とそれぞれの回転ドラムの図柄との対応を説明するための説明図である。
【図7】
パチンコ遊技機に使用される制御回路のブロック図である。
【図8】
図7に示した制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】
図7に示した制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【図10】
図7に示した制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【図11】
図7に示した制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【図12】
図7に示した制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【図13】
図7に示した制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【図14】
始動記憶カウンタと停止図柄データ記憶エリアと別エリアとのそれぞれの記憶データの関係を説明するための説明図である。
【図15】
別実施の形態における、スタートスイッチチェックサブルーチンプログラムを示すフローチャートである。
【図16】
別実施の形態における、始動記憶カウンタ,停止図柄決定用カウンタ,記憶エリアカウンタ,停止図柄データ記憶エリアならびに別エリアの各記憶データの関係を説明するための説明図である。
【符号の説明】
8 停止操作ボタン
14 可変表示装置
20 可変入賞球装置
55 当り予告表示器
60 マイクロコンピュータ
90 停止図柄決定用カウンタ
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2010-12-16 
結審通知日 2010-04-05 
審決日 2010-04-26 
出願番号 特願平8-213770
審決分類 P 1 113・ 531- YA (A63F)
P 1 113・ 534- YA (A63F)
P 1 113・ 121- YA (A63F)
P 1 113・ 832- YA (A63F)
P 1 113・ 1- YA (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 土屋 保光  
特許庁審判長 伊藤 陽
特許庁審判官 澤田 真治
川島 陵司
登録日 1998-04-24 
登録番号 特許第2772786号(P2772786)
発明の名称 パチンコ遊技機  
代理人 深見 久郎  
代理人 深見 久郎  
代理人 振角 正一  
代理人 塚本 豊  
代理人 池垣 彰彦  
代理人 中田 雅彦  
代理人 森田 俊雄  
代理人 梁瀬 右司  
代理人 川下 清  
代理人 塚本 豊  
代理人 中田 雅彦  
代理人 森田 俊雄  
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