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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G08C
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G08C
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G08C
管理番号 1234057
審判番号 不服2009-6929  
総通号数 137 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-05-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-04-02 
確定日 2011-03-17 
事件の表示 特願2003-150062「監視端末装置」拒絶査定不服審判事件〔平成16年12月16日出願公開、特開2004-355165〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
平成15年 5月28日 特許出願
平成20年 9月 5日 拒絶理由通知(同年9月 9日発送)
平成20年10月27日 意見書、手続補正書
平成21年 2月24日 拒絶査定(同年 3月 3日送達)
平成21年 4月 2日 本件審判請求
平成21年 5月 7日 手続補正書(方式)(審判請求書の請求の理由)、手続補正書(以下、「本件補正」という。)
平成22年 5月18日 審尋(同年5月25日発送)
平成22年 7月22日 回答書


2 本件補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
2-1 本件補正の内容
本件補正は、以下の(1)に示される本件補正前の特許請求の範囲の請求項1ないし11を、以下の(2)に示される本件補正後の特許請求の範囲の請求項1ないし10に補正するものである。

(1)本件補正前の特許請求の範囲
「【請求項1】 センサと、このセンサ出力を無線発信する無線発信手段と、前記無線発信手段を制御する制御手段と、予め設定された一定周期で起動信号を生成するタイマと、前記センサ出力と前記タイマの起動信号とに応答して、前記無線発信手段及び前記制御手段の起動制御をなす電源管理手段とを含む監視端末装置であって、
前記無線発信手段の情報発信時間と前記一定周期との比を、1/1000?1/1000000程度に設定したことを特徴とする監視端末装置。
【請求項2】 前記タイマの起動信号に応答して、自装置が正常動作していることを通知するための信号を送信する手段を含むことを特徴とする請求項1記載の監視端末装置。
【請求項3】 前記電源管理手段は、前記センサ出力の状態変化に応答して前記起動制御をなすことを特徴とする請求項1または2記載の監視端末装置。
【請求項4】 前記電源管理手段は、前記無線発信手段及び前記制御手段に対して、起動後所定時間だけ電源供給をなすようにしたことを特徴とする請求項1?3いずれか記載の監視端末装置。
【請求項5】 前記所定時間は、前記無線発信手段が情報発信をなすに十分な時間であることを特徴とする請求項4記載の監視端末装置。
【請求項6】 前記電源管理手段は、前記所定時間後に前記センサや前記タイマ以外の部分への電源供給を停止することを特徴とする請求項5記載の監視端末装置。
【請求項7】 前記センサは待機状態における消費電力がゼロのセンサであることを特徴とする請求項1?6いずれか記載の監視端末装置。
【請求項8】 前記センサは、リードスイッチまたは水銀スイッチであることを特徴とする請求項7記載の監視端末装置。
【請求項9】 前記リードスイッチまたは水銀スイッチの出力変化に応答して、前記電源管理手段の起動をなすようにしたことを特徴とする請求項8記載の監視端末装置。
【請求項10】 太陽電池、二次電池、コンデンサの少なくとも一つにより構成された電源を含むことを特徴とする請求項1?9いずれか記載の監視端末装置。
【請求項11】 前記太陽電池はアモルファス型であることを特徴とする請求項10記載の監視端末装置。」

(2)本件補正後の特許請求の範囲
「【請求項1】
センサと、このセンサ出力を無線発信する無線発信手段と、
前記無線発信手段を制御する制御手段と、
予め設定された一定周期で起動信号を生成するタイマと、
前記センサ出力と前記タイマの起動信号とに応答して、前記無線発信手段及び前記制御手段の起動制御をなす電源管理手段とを含む監視端末装置であって、
前記無線発信手段の情報発信時間と前記一定周期との比を、1/1000?1/1000000程度に設定し、
前記電源管理手段は、前記所定時間後に前記センサや前記タイマ以外の部分への電源供給を停止することを特徴とする監視端末装置。
【請求項2】
前記タイマの起動信号に応答して、自装置が正常動作していることを通知するための信号を送信する手段を含むことを特徴とする請求項1記載の監視端末装置。
【請求項3】
前記電源管理手段は、前記センサ出力の状態変化に応答して前記起動制御をなすことを特徴とする請求項1または2記載の監視端末装置。
【請求項4】
前記電源管理手段は、前記無線発信手段及び前記制御手段に対して、起動後所定時間だけ電源供給をなすようにしたことを特徴とする請求項1?3いずれか記載の監視端末装置。
【請求項5】
前記所定時間は、前記無線発信手段が情報発信をなすに十分な時間であることを特徴とする請求項4記載の監視端末装置。
【請求項6】
前記センサは待機状態における消費電力がゼロのセンサであることを特徴とする請求項1?5いずれか記載の監視端末装置。
【請求項7】
前記センサは、リードスイッチまたは水銀スイッチであることを特徴とする請求項6記載の監視端末装置。
【請求項8】
前記リードスイッチまたは水銀スイッチの出力変化に応答して、前記電源管理手段の起動をなすようにしたことを特徴とする請求項7記載の監視端末装置。
【請求項9】
太陽電池、二次電池、コンデンサの少なくとも一つにより構成された電源を含むことを特徴とする請求項1?8いずれか記載の監視端末装置。
【請求項10】
前記太陽電池はアモルファス型であることを特徴とする請求項9記載の監視端末装置。」

なお、下線は、補正箇所を明示するために請求人が付したものである。

2-2 本件補正の目的
本件補正により、本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「電源管理手段」に関して、「前記所定時間後に前記センサや前記タイマ以外の部分への電源供給を停止する」との限定を付加された。
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下、「改正前特許法」という。)第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載された事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(改正前特許法第17条の2第5項において準用する特許法第126条第5項の規定に適合するか)について、以下に検討する。

2-3 独立特許要件違反
2-3-1 特許法第36条第6号第2号
本件補正後の請求項1の記載が、特許法第36条第6項第2号の規定を満たすか否かを検討する。

はじめに、本件補正後の請求項1の記載は、以下のとおりである。

「センサと、このセンサ出力を無線発信する無線発信手段と、
前記無線発信手段を制御する制御手段と、
予め設定された一定周期で起動信号を生成するタイマと、
前記センサ出力と前記タイマの起動信号とに応答して、前記無線発信手段及び前記制御手段の起動制御をなす電源管理手段とを含む監視端末装置であって、
前記無線発信手段の情報発信時間と前記一定周期との比を、1/1000?1/1000000程度に設定し、
前記電源管理手段は、前記所定時間後に前記センサや前記タイマ以外の部分への電源供給を停止することを特徴とする監視端末装置。 」

本件補正後の請求項1には「前記所定時間後」との記載があるが、「前記所定時間後」以前には「所定時間」又は「所定時間後」の記載が見当たらないため、「前記所定時間後」の技術的な意味が明確ではない。
よって、本件補正後の請求項1の記載は、本願は特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たすものではないから、本件補正後の請求項1に係る発明は、特許法第36条第6項第2号の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

2-3-2 特許法第29条第2項
上記「2-3-1」で検討したとおり、本件補正後の請求項1に係る発明は特許出願の際独立して特許を受けることができるものではないから、本件補正は却下すべきものであるが、上記「前記所定時間後」の技術的な意味を本願明細書及び図面を参照して解釈した場合についても、念のため、以下に検討する。

(1)本願補正発明
上記「所定時間後」に関し、本願明細書の【0031】に
「図6は本発明の他の実施例の構成図であり、図1と同等部分は同一符号にて示している。本例では、図1の構成の他に、制御回路201、データ処理部102、発信部40の動作時間を決定する遅延回路203が付加されている。電源管理部302の電源供給を受けて起動した制御回路201は、おなじく電源管理部302の電源供給を受けて起動した遅延回路203の時定数等で決まる一定時間だけ、データ処理部102、発信部40を動作させる。当然、データ送信はこの時間内に完了しなければならない。」
との記載、及び
平成20年10月27日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項4?6に
「【請求項4】 前記電源管理手段は、前記無線発信手段及び前記制御手段に対して、起動後所定時間だけ電源供給をなすようにしたことを特徴とする請求項1?3いずれか記載の監視端末装置。
【請求項5】 前記所定時間は、前記無線発信手段が情報発信をなすに十分な時間であることを特徴とする請求項4記載の監視端末装置。
【請求項6】 前記電源管理手段は、前記所定時間後に前記センサや前記タイマ以外の部分への電源供給を停止することを特徴とする請求項5記載の監視端末装置。 」
との記載がある。

これらの記載からみて、本件補正後の請求項1に記載した「前記所定時間後」の「所定時間」は「無線発信手段及び制御手段」が「起動」した後の「所定時間」と認められるから、「前記所定時間後」は「無線発信手段及び制御手段が起動した所定時間後」と解釈するのが妥当である。

したがって、本件補正後の請求項1に記載された発明を、以下のとおりの発明(以下、「本願補正発明」という。)と認定する。

「センサと、このセンサ出力を無線発信する無線発信手段と、
前記無線発信手段を制御する制御手段と、
予め設定された一定周期で起動信号を生成するタイマと、
前記センサ出力と前記タイマの起動信号とに応答して、前記無線発信手段及び前記制御手段の起動制御をなす電源管理手段とを含む監視端末装置であって、
前記無線発信手段の情報発信時間と前記一定周期との比を、1/1000?1/1000000程度に設定し、
前記電源管理手段は、前記無線発信手段及び前記制御手段が起動した所定時間後に前記センサや前記タイマ以外の部分への電源供給を停止することを特徴とする監視端末装置。」

(2)引用文献記載の事項・引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物である特開平4-101597号公報(以下、「引用文献」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。

(a)「3.発明の詳細な説明
(発明の属する技術分野)
本発明は遠隔地の状況を無人で観測し、その観測データを無線電波によって伝送し、有人の監視局において遠隔監視する無線テレメータシステムに関する。」(1頁右下欄13?19行目)

(b)「第1図は本発明による無線テレメータシステムの全体構成例を示すブロック図である。図において、1は遠く離れた監視領域に設置されるセンサを備えた情報送信機であり、センサからの異常情報発生と同時に無線によってその情報を送出する。・・・。
一方、回線の自己診断を所定の時間間隔で実施させるため、自己診断信号送出タイマのタイマ値を設定して監視部8から情報受信機5を介して情報送信機1に対して送出する。情報送信機1は受信したタイマ値を確認して設定し電源休止の状態(スリープモード)に入る。長時間に亘って情報送信機1のセンサに異常情報の発生が無い場合には、情報送信機1に設定されたタイマ値がタイムアップしたとき情報送信機1の送受信機(当審注:下記(c)の「第2図は第1図の情報送信機1の構成例の詳細を示したブロック図である。図において、11は無線送受信部であり」との記載から、「送受信機」は「無線送受信部」の誤記と認められる。)が起動し、回線に異常(故障)がないかどうかを確認するための自己診断信号を送出して情報受信機5との更新を実行し、異常がなければ再びスリープモードに入るように動作する。」(3頁左上欄7行目?右上欄15行目)

(c)「第2図は第1図の情報送信機1の構成例の詳細を示したブロック図である。図において、11は無線送信部であり、検知情報の無線送出と情報受信機5からの返送データの受信を行う。無線送受信部11は消費電力が大きいので電池20からパワーセービング回路19を介して電圧VDD2の電源が供給されるように接続されており、パワーセービング回路19は、制御部(MPU)18からの制御信号によって起動,休止するように制御され、通常は休止の状態(スリープモード)にあり、無線送受信部11への電源はオフの状態にある。」(3頁右上欄16行目?左下欄6行目)

(d)「13はセンサの状態変化を検出する検出部であり、1つまたは複数のセンサに変化(異常)が生じた時、変化を生じたセンサの番号と変化の状況を検出する。
14は検出部13がセンサの変化を検出したとき制御部18に割込み起動命令を与えて情報送信機1を動作状態にする割込み起動命令部(当審注:「割込み起動命令部」は、第2図、下記(g)及び(i)において「割込起動命令部」とも記載されているため、以下に「割込起動命令部」で用語を統一して使用する。)である。」(3頁左下欄7?13行目)

(e)「15はプログラマブルタイマカウンタであり、監視側の情報受信部5からの指定を優先とするタイマ値または情報受信機5からの指定がないときはID-ROM17に予め指定されたタイマ値になるまで時間計数し、いずれのときもタイムアップしたとき制御部18に起動命令を与えるタイマカウンタであり、CMOS-ICにより構成された低消費電力で常時動作状態にある。」(3頁左下欄14行目?右下欄1行目)

(f)「17はEEP-ROMで構成されるID-ROMであり、・・・当該情報送信機の動作シーケンス等を記憶させるメモリ部である。通常はスリープモードとし、必要に応じて制御部18からの指示により起動する。」(3頁右下欄2?7行目)

(g)「18は情報送信機1全体の動作制御を実行する制御部(プロセッサ部)である。通常はスリープモードにあり、割込起動命令部14またはプログラマブルタイマカウンタ15からの起動命令によってウェイクアップし制御動作を行う。」(3頁右下欄8?12行目)

(h)「19は制御部18からの制御により電池20から消費電力の大きい無線送受信部11に動作電源V_(DD2)を供給又は停止するパワーセービング回路(PowerSaver)である。」(3頁13?16行目)

(i)「次に、本発明の動作を第4図,第5図のフローチャートによって説明する。
第4図は情報送信機1の動作を示すフローチャートであり、101?120はステップ番号を示す。
通常は、情報送信機1の検出部13とプログラマブルタイマカウンタ15及び時刻タイマ16は常時極く微少な消費電力で動作しており、無線送受信部11はスリープ状態にある。
センサからの異常信号を検出部13が検出したとき(101)又はプログラマブルタイマカウンタ15にセットされた自己診断タイムt_(1)がタイムアップした時(102)パワーセービング回路19を含むすべての回路の電源がONとなって動作状態になる(103)。
例えば、煙検知器,温度検知器,ガス検知器等のセンサが異常を検知すると検出部13が作動し、割込起動命令部14より起動信号が制御部18に加わってスリープモードにあった制御部18が動作状態になり、パワーセービング回路19に動作電源供給指令を与え、電力消費の大きい無線送受信部11に動作電源が供給され電源ON状態になる(103)。
・・・。ステップ105では異常を検出したセンサの番号と異常情報をID-ROM17の内容と照合して検出情報の符号化を行い送出データとして準備する。・・・、ステップ107で情報受信機5に対して選定された無線チャネルによってステップ105で準備した送出データの送出を行う。ステップ108ではステップ104で設定した回数(N回)のデータ送受信を行い送出符号が情報送受信機5からの返送データと符号照合し一致するかどうかを判断する。そして返送データと同時に情報受信機5から自己診断時刻t_(1)の指定があるかどうかをステップ109で判断し、タイマ値t_(1)の設定指示があった時はプログラマブルタイマカウンタ15にt_(1)の値を設定すると同時に電源をOFFにし(ステップ112)情報送信機1の無線送受信部11をスリープモードにする。以上の動作により初期の通常の状態に戻る。」(4頁左上欄17行目?右下欄2行目)

(j)「このようにして、情報送信機1は、センサが異常のときの送信要求とプログラマブルタイマカウンタ15に設定された自己診断時刻t_(1)のいずれかのときにのみ動作状態となり、しかも、自己診断時刻t_(1)は情報受信機5すなわち監視部8側から警備の必要に応じて昼間,夜間によって自己診断時間を変えて設定することができるので効果的に情報送信機1をスリープモードにして電池電源の電力消費を必要最小限に抑えることができる。」(4頁右下欄3?11行目)

(k)「ステップ120は、ステップ113?119の実行によりステップ108にて例えば無線回線の電波の状態が悪くて符号の一致が得られなかったとき前記ステップ105で準備した送出データ及び時刻タイマ16の時刻をメモリに記憶しておき次回の送出時に再送出する為の記憶処理である。」


(ア)上記(c)の記載及び第2図から、
「検出部13と、無線送受信部11と、
制御部18と、
プログラマブルタイマカウンタ15と、
パワーセービング回路19とを含む情報送信機1。」との技術事項が読み取れる。

(イ)上記(b)の「センサからの異常情報発生と同時に無線によってその情報を送出する。」との記載、上記(c)の「11は無線送受信部であり、検知情報の無線送出と情報受信機5からの返送データの受信を行う。」との記載、そして検知情報は検出部13により検知した情報であることは明らかなことから、「検出部13により検知した検知情報の無線送出を行う無線送受信部11」との技術事項が読み取れる。

(ウ)上記(g)の「18は情報送信機1全体の動作制御を実行する制御部(プロセッサ部)である。」との記載及び第2図から、
「無線送受信部11を含む情報送信機1全体の動作制御を実行する制御部18」との技術事項が読み取れる。

(エ)上記(b)の「回線の自己診断を所定の時間間隔で実施させるため、自己診断信号送出タイマのタイマ値を設定して監視部8から情報受信機5を介して情報送信機1に対して送出する。・・・。長時間に亘って情報送信機1のセンサに異常情報の発生が無い場合には、情報送信機1に設定されたタイマ値がタイムアップしたとき・・・起動し、回線に異常(故障)がないかどうかを確認するための自己診断信号を送出」との記載、
上記(i)の「プログラマブルタイマカウンタ15にセットされた自己診断タイムt_(1)がタイムアップした時(102)パワーセービング回路19を含むすべての回路の電源がONとなって動作状態になる(103)。・・・情報受信機5から自己診断時刻t_(1)の指定があるかどうかをステップ109で判断し、タイマ値t_(1)の設定指示があった時はプログラマブルタイマカウンタ15にt_(1)の値を設定する」との記載及び第4図から、
「回線の自己診断を所定の時間間隔で実施させるため、タイマ値が設定されるプログラマブルタイマカウンタ15」との技術事項が読み取れる。

さらに、上記(j)の「情報送信機1は、センサが異常のときの送信要求とプログラマブルタイマカウンタ15に設定された自己診断時刻t_(1)のいずれかのときにのみ動作状態となり」との記載、
上記(e)の「15はプログラマブルタイマカウンタであり、監視側の情報受信部5からの指定を優先とするタイマ値または情報受信機5からの指定がないときはID-ROM17に予め指定されたタイマ値になるまで時間計数し、いずれのときもタイムアップしたとき制御部18に起動命令を与えるタイマカウンタ」との記載及び第4図から、
「指定されたタイマ値になるまで時間計数し、タイムアップしたとき起動命令を与えるプログラマブルタイマカウンタ15」との技術事項が読み取れる。

これら技術事項を勘案すると、
「回線の自己診断を所定時間間隔で実施させるため、設定されたタイマ値になるまで時間計数し、タイムアップしたとき起動命令を与えるプログラマブルタイマカウンタ15」との技術事項が読み取れる。

(オ)上記(d)の「13はセンサの状態変化を検出する検出部であり・・・。14は検出部13がセンサの変化を検出したとき制御部18に割込み起動命令を与えて情報送信機1を動作状態にする割込起動命令部である。」との記載から、
「検出部13がセンサの変化を検出したときに割込起動命令部14から与えられる割込み起動命令」との技術事項が読み取れる。

また、上記(g)の「18は情報送信機1全体の動作制御を実行する制御部(プロセッサ部)である。・・・割込起動命令部14またはプログラマブルタイマカウンタ15からの起動命令によってウェイクアップし制御動作を行う。」との記載、
上記(i)の「センサからの異常信号を検出部13が検出したとき(101)又はプログラマブルタイマカウンタ15にセットされた自己診断タイムt_(1)がタイムアップした時(102)パワーセービング回路19を含むすべての回路の電源がONとなって動作状態になる(103)。・・・センサが異常を検知すると検出部13が作動し、割込起動命令部14より起動信号が制御部18に加わってスリープモードにあった制御部18が動作状態になり、パワーセービング回路19に動作電源供給指令を与え、電力消費の大きい無線送受信部11に動作電源が供給され電源ON状態になる(103)。」との記載及び第2図から、
「割込起動命令部14またはプログラマブルタイマカウンタ15からの起動命令によって、制御部18が動作状態になり、制御部18からの動作電源供給指令により無線送受信部11を動作状態にするパワーセービング回路19」との技術事項が読み取れる。

これら技術事項を勘案すると、
「検出部13がセンサの変化を検出したときに与えられる割込起動命令部14からの起動命令またはプログラマブルタイマカウンタ15からの起動命令によって、制御部18が動作状態になり、制御部18からの動作電源供給指令により無線送受信部11を動作状態にするパワーセービング回路19」との技術事項が読み取れる。

(カ)上記(a)の「本発明は遠隔地の状況を無人で観測し、その観測データを無線電波によって伝送し、有人の監視局において遠隔監視する無線テレメータシステム」との記載、第1図及び第2図から、
「遠隔監視する無線テレメータシステムにおける情報送信機1」との技術事項が読み取れる。

(キ)上記(h)の「19は制御部18からの制御により電池20から消費電力の大きい無線送受信部11に動作電源V_(DD2)を供給又は停止するパワーセービング回路(PowerSaver)である。」との記載、
上記(i)の「ステップ108ではステップ104で設定した回数(N回)のデータ送受信を行い送出符号が情報受信機5からの返送データと符号照合し一致するかどうかを判断する。そして返送データと同時に情報受信機5から自己診断時刻t_(1)の指定があるかどうかをステップ109で判断し、タイマ値t_(1)の設定指示があった時はプログラマブルタイマカウンタ15にt_(1)の値を設定すると同時に電源をOFFにし(ステップ112)情報送信機1の無線送受信部11をスリープモードにする。」との記載及び第4図から、
「制御部18は、設定した回数のデータ送受信を行い送出符号が情報受信機5からの返送データと符号照合し一致するかどうかを判断した後、タイマ値t_(1)の設定指示があった時はプログラマブルタイマカウンタ15に前記タイマ値t_(1)を設定すると同時に、または前記タイマ値t_(1)の設定指示がなかった時に、パワーセービング回路19を制御し、無線送受信部11への動作電源V_(DD2)の供給を停止する」との技術事項が読み取れる。

以上の技術事項(ア)?(キ)から、引用文献には次の発明が記載されているものと認められる。

「検出部13と、この検出部13により検知した検知情報の無線送出を行う無線送受信部11と、
無線送受信部11を含む情報送信機1全体の動作制御を実行する制御部18と、
回線の自己診断を所定時間間隔で実施させるため、設定されたタイマ値になるまで時間計数し、タイムアップしたとき起動命令を与えるプログラマブルタイマカウンタ15と、
前記検出部13がセンサの変化を検出したときに与えられる割込起動命令部14からの起動命令または前記プログラマブルタイマカウンタ15からの起動命令によって、前記制御部18が動作状態になり、前記制御部18からの動作電源供給指令により前記無線送受信部11を動作状態にするパワーセービング回路19とを含む遠隔監視する無線テレメータシステムにおける情報送信機1であって、
前記制御部18は、設定した回数のデータ送受信を行い送出符号が情報受信機5からの返送データと符号照合し一致するかどうかを判断した後、タイマ値t_(1)の設定指示があった時はプログラマブルタイマカウンタ15に前記タイマ値t_(1)を設定すると同時に、または前記タイマ値t_(1)の設定指示がなかった時に、パワーセービング回路19を制御し、無線送受信部11への動作電源V_(DD2)の供給を停止する遠隔監視する無線テレメータシステムにおける情報送信機1。」(以下、「引用発明」という。)

(3) 対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。

(ア)引用発明の「検出部13」、「検出部13により検知した検知情報」、「無線送出を行う」、「無線送受信部11」、「起動命令」、「プログラマブルタイマカウンタ15」及び「動作電源V_(DD2)の供給」は、それぞれ、 本願補正発明の「センサ」、「センサ出力」、「無線送信する」、「無線発信手段」、「起動信号」、「タイマ」及び「電源供給」に相当する。

(イ)引用発明の「回線の自己診断を所定時間間隔で実施させるため、設定されたタイマ値になるまで時間計数し、タイムアップしたとき起動命令を与える」における「タイマ値」は、プログラマブルタイマカウンタ15に予め設定された値であり、起動命令を生成するための一定周期と言えるから、引用発明の「回線の自己診断を所定時間間隔で実施させるため、設定されたタイマ値になるまで時間計数し、タイムアップしたとき起動命令を与える」は、本願補正発明の「予め設定された一定周期で起動信号を生成する」に相当する。

(ウ)引用発明の「遠隔監視する無線テレメータシステムにおける情報送信機1」は、監視側に設置された情報受信機5に対し、遠く離れた監視領域に設置されるセンサからの検知情報を送出するものであり、監視側に対して端末装置といえることから、本願補正発明の「監視端末装置」に相当する。

(エ)引用発明の「無線送受信部11を含む情報送信機1全体の動作制御を実行する制御部18」は、情報送信機1が有する無線送受信部11の制御も含むものであるから、本願補正発明の「無線発信手段を制御する制御手段」に相当する。

(オ)引用発明の「前記検出部13がセンサの変化を検出したときに与えられる割込起動命令部14からの起動命令」は、検出部13で検知した検知情報により起動制御をなすための信号であり、また、本願補正発明の「前記センサ出力・・・に応答して、・・・起動制御をなす」のセンサ出力も起動制御をなすための起動信号であるから、引用発明の「前記検出部13がセンサの変化を検出したときに与えられる割込起動命令部14からの起動命令または前記プログラマブルタイマカウンタ15からの起動命令によって」と本願補正発明の「前記センサ出力と前記タイマの起動信号とに応答して」とは、「前記センサ出力による起動信号と前記タイマの起動信号とに応答して」で共通する。

また、引用発明の「制御部18」及び「パワーセービング回路19」は、無線送受信部11への動作電源V_(DD2)の供給によって動作状態とするものであり、無線送受信部11への電源管理によって起動制御を行う手段を構成するものと言えるから、引用発明の「制御部18」及び「パワーセービング回路19」と本願補正発明の「前記無線発信手段及び前記制御手段の起動制御をなす電源管理手段」とは、「前記無線発信手段の起動制御をなす電源管理手段」で共通する。

したがって、引用発明の「前記検出部13でセンサの変化を検出したときに与えられる割込起動命令部14からの起動命令または前記プログラマブルタイマカウンタ15からの起動命令によって、前記制御部18が動作状態になり、前記制御部18からの動作電源供給指令により前記無線送受信部11を動作状態にするパワーセービング回路19」と本願補正発明の「前記センサ出力と前記タイマの起動信号とに応答して、前記無線発信手段及び前記制御手段の起動制御をなす電源管理手段」とは、「前記センサ出力による起動信号と前記タイマの起動信号とに応答して、前記無線発信手段の起動制御をなす電源管理手段」で共通する。

(カ)引用発明の「前記制御部18は、設定した回数のデータ送受信を行い送出符号が情報受信機5からの返送データと符号照合し一致するかどうかを判断した後、タイマ値t_(1)の設定指示があった時はプログラマブルタイマカウンタ15に前記タイマ値t_(1)を設定すると同時に、または前記タイマ値t_(1)の設定指示がなかった時に、パワーセービング回路19を制御し、無線送受信部11への動作電源V_(DD2)の供給を停止する」は、無線送受信部11がデータ送受信を行う起動後に動作電源V_(DD2)の供給を停止するものと言えるから、引用発明の「前記制御部18は、設定した回数のデータ送受信を行い送出符号が情報受信機5からの返送データと符号照合し一致するかどうかを判断した後、タイマ値t_(1)の設定指示があった時はプログラマブルタイマカウンタ15に前記タイマ値t_(1)を設定すると同時に、または前記タイマ値t_(1)の設定指示がなかった時に、パワーセービング回路19を制御し、無線送受信部11への動作電源V_(DD2)の供給を停止する」と本願補正発明の「前記電源管理手段は、前記無線発信手段及び前記制御手段が起動した所定時間後に前記センサや前記タイマ以外の部分への電源供給を停止する」とは、「前記電源管理手段は、前記無線発信手段の起動後に前記無線発信手段への電源供給を停止する」点で共通する。

そうすると、本願補正発明と引用発明とは、次の一致点で一致し、次の相違点1?4で相違する。

[一致点]
「センサと、このセンサ出力を無線送信する無線発信手段と、
前記無線発信手段を制御する制御手段と、
予め設定された一定周期で起動信号を生成するタイマと、
前記センサ出力による起動信号と前記タイマの起動信号とに応答して、前記無線発信手段の起動制御をなす電源管理手段とを含む監視端末装置であって、
前記電源管理手段は、前記無線発信手段の起動後に前記無線発信手段への電源供給を停止する監視端末装置。」

[相違点1]
制御手段及び電源管理手段に関し、本願補正発明は、制御手段が「無線発信手段」を制御し、電源管理手段が「前記無線発信手段及び前記制御手段の起動制御をなす」ものであるが、引用発明では、制御部18及びパワーセービング回路19が無線送受信部11の起動や電源供給の停止を含む制御を行うものであって、そのために無線送受信部11及び制御部18を起動する電源管理手段を備えていない点。

[相違点2]
電源管理手段に関し、本願補正発明では、電源管理手段が応答するのは「前記センサ出力と前記タイマの起動信号」であるのに対し、引用発明では、制御部18及びパワーセービング回路19が応答するのは検出部13の直接の出力ではなく、割込起動命令部14の出力である点。

[相違点3]
無線発信手段に関し、本願補正発明では、「無線発信手段の情報発信時間と前記一定周期との比を、1/1000?1/1000000程度に設定し」ているが、引用発明では、無線送受信部11の「無線送信」の時間と「所定間隔」との比の設定について明確ではない点。

[相違点4]
電源管理手段が実施する電源供給の停止に関し、本願補正発明は、「前記無線発信手段及び前記制御手段が起動した所定時間後に前記センサや前記タイマ以外の部分への電源供給を停止する」ものであるが、引用発明では、無線送受信部11以外への動作電源V_(DD2)の供給の停止及び該停止する時間について明確ではない点。


(4) 判断
以下、上記相違点1?4について検討する。

[相違点1]及び[相違点4]について
上記相違点1及び相違点4を併せて検討する。
消費電力を低減するために、動作していない部分への電源供給を停止し、該部分を動作させる時に起動制御をなすように電源管理を行う手段を設けることや(例えば、特開平9-134492号公報(特に、【0027】の「もし、パターンが一致すればスイッチ回路13を”ON”にして受信回路3、制御回路4及び送信回路7に電源電圧を供給しメータ側送受信装置50a全体を動作状態にする。」との記載、【0032】の「起動手段52が特定パターンを検波した時に消費電力の大きい受信回路3、制御回路4及び受信回路7を動作させることにより、消費電力を低減できる。」との記載、図1及び図2を参照。)、特開平3-286632号公報(特に、第1図及び第6図を参照。)、特開平8-204791号公報(特に、図4を参照。))、起動後所定時間たったら電源供給を停止すること(例えば、特開平2-40441号公報(特に、5頁右上欄12?左下欄11行目の「従ってタイミング回路9は所要のタイミング制御信号の発生と、省電力化のために他機器への給電制御をも行っている。・・・。従ってタイミング回路9を除くその他の機器へ電源1から給電する給電時間は、上記送信時間の27msとその前後をカバーする一定の余裕時間を加算したものでよい。」との記載及び第1図を参照。)、特開2002-359592号公報(特に、【0076】?【0079】の「時刻検出手段110は、一定の周期の時刻になったとき信号を出力するが、周期は、予め時刻検出手段110にて設定するようにしてもよく、・・・設定用データを送り、該データにより時刻検出手段110を設定するようにしてもよい。時刻検出手段110から一定の周期の時刻になったとき出力される信号は、制御部161へ送られ、制御部161のプログラムが電源スウィッチ105に対し接指令を行い、通信部A102に電源を投入してもよく、また、時刻検出手段110から一定の周期の時刻になったとき出力される信号を、直接、電源スウィッチ105に送り、電源スウィッチ105を接にするようにしてもよい。・・・。通信が完了した後の電源スウィッチ105の切は、・・・、時刻検出手段110が一定の時間経過を検出して信号を、直接、電源スウィッチ105に送り、電源スウィッチ105を切にするようにしてもよい。」との記載を参照。))は技術常識である。
また、電源管理の対象や電源供給を停止するタイミングについては、動作に必要な機能や各部分の消費電力を勘案して当業者が適宜決定する設計的事項である。
したがって、引用発明において、消費電力を低減するために、起動後所定時間たったら、情報送信機1を起動するための信号を出力する検出部13やプログラマブルカウンタ15以外の部分への動作電源の供給を停止をするようにし、上記相違点1及び相違点4に係る本願補正発明の構成とすることは当業者が引用発明に基いて容易になし得ることである。

[相違点2]について
装置の電源管理を行う際、センサ出力に応答して起動制御を行うか否かは当業者が適宜なし得る設計的事項である(例えば、上記特開平8-204791号公報(特に、【0058】の「一定の光・・・あるいは音・・・は、上記した受光部64あるいは受音部65で受けると、電源制御部62によって電源部63に対して送受信部52及び通信制御部53に電源供給を開始するように制御され」との記載及び図4を参照。)、上記特開2002-359592号公報(特に、図2、図8を参照。))。
したがって、引用発明において、検出部13の出力に応答して起動制御を行うようにし、上記相違点2に係る本願補正発明の構成とすることは当業者が引用発明に基いて容易になし得ることである。

[相違点3]について
消費電力を少なくするため、無線送信における動作時間を短時間とすることは常套手段である(例えば、引用文献(特に、2頁右上欄4?6行目の「情報送信機の動作時間を短くし、電池の消費電力の低減と長時間運用を実施している」との記載を参照。)、上記特開平2-40441号公報(特に4頁左上欄18行目?右上欄1号目の「子機12は一定周期毎に間欠動作を行い、その動作時間と動作周期との比(一般にデュティという)はきわめて小さく、休止時間の消費電力は少いので、電源1は省電力が計られている。」との記載、5頁右上欄9行目?12行目の「タイミング回路9は・・・子機12が一定の送信周期T0(例えば3分)毎に間欠的に送信を行う・・・。即ちタイミング回路9は送信時間の27msだけ子機12の送信動作を行わせるためのタイミング制御を行うもので」との記載を参照。))。
また、上記相違点3に係る構成である上記比の数値を「1/1000?1/1000000程度」にとの具体的な数値に特定したことの効果が本願の明細書に記載されておらず、また、その効果が顕著なものとはいえないから、無線送受信部11の無線送出の時間とプログラマブルカウンタ15の所定間隔との比を本願補正発明の数値範囲に設定することは当業者が適宜なし得る設計的事項である。
したがって、引用発明において上記相違点3に係る本願補正発明の構成とすることは当業者が容易になし得ることである。

よって、上記相違点1?4に係る本願補正発明の構成を採用することは当業者が引用発明に基いて容易になし得ることである。
そして、本願補正発明の作用効果も、引用発明から当業者が予測可能なものであって格別のものではない。

したがって、本願補正発明は、当業者が引用発明に基いて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

2-4 むすび
以上のとおり、本件補正は、改正前特許法第17条の2第5項において準用する特許法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
よって、結論のとおり決定する。


3 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし11に係る発明は、平成20年10月27日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし11に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、本願の請求項1に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。

「センサと、このセンサ出力を無線発信する無線発信手段と、前記無線発信手段を制御する制御手段と、予め設定された一定周期で起動信号を生成するタイマと、前記センサ出力と前記タイマの起動信号とに応答して、前記無線発信手段及び前記制御手段の起動制御をなす電源管理手段とを含む監視端末装置であって、
前記無線発信手段の情報発信時間と前記一定周期との比を、1/1000?1/1000000程度に設定したことを特徴とする監視端末装置。」(以下、「本願発明」という。)


4 引用文献記載の事項・引用発明
原査定の拒絶理由に引用された引用文献記載の事項・引用発明は、上記「2-3-2」の「(2)」に記載したとおりである。


5 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
本願発明は、上記「2-3」で検討した本願補正発明の「電源管理手段」についての限定事項である「前記所定時間後に前記センサや前記タイマ以外の部分への電源供給を停止する」との限定を削除したものである。
そうすると、本願発明と引用発明とは、次の一致点で一致し、次の相違点A?Cで相違する。

[一致点]
「センサと、このセンサ出力を無線送信する無線発信手段と、前記無線発信手段を制御する制御手段と、予め設定された一定周期で起動信号を生成するタイマと、前記センサ出力による起動信号と前記タイマの起動信号とに応答して、前記無線発信手段の起動制御をなす電源管理手段とを含む監視端末装置。」

[相違点A]
制御手段及び電源管理手段に関し、本願発明は、制御手段が「無線発信手段」を制御し、電源管理手段が「前記無線発信手段及び前記制御手段の起動制御をなす」ものであるが、引用発明では、制御部18及びパワーセービング回路19が無線送受信部11の起動や電源供給の停止を含む制御を行うものであって、そのために無線送受信部11及び制御部18を起動する電源管理手段を備えていない点。

[相違点B]
電源管理手段に関し、本願発明では、電源管理手段が応答するのは「前記センサ出力と前記タイマの起動信号」であるのに対し、引用発明では、制御部18及びパワーセービング回路19が応答するのは検出部13の直接の出力ではなく、割込起動命令部14の出力である点。

[相違点C]
無線発信手段に関し、本願発明では、「無線発信手段の情報発信時間と前記一定周期との比を、1/1000?1/1000000程度に設定し」ているが、引用発明では、無線送受信部11の「無線送信」の時間と「所定間隔」との比の設定について明確ではない点。


6 判断
上記相違点A?Cは、上記「2-3-2」の「(3)」に記載した相違点1?3と同一である。
したがって、上記相違点A?Cに係る本願発明の発明特定事項は、当業者が引用発明に基いて容易に想到し得た事項である。
よって、本願発明は、当業者が引用発明に基いて容易に発明をすることができたものである。


7 むすび
したがって、本願発明は、当業者が引用発明に基いて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
以上のとおりであるから、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-01-07 
結審通知日 2011-01-11 
審決日 2011-02-01 
出願番号 特願2003-150062(P2003-150062)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G08C)
P 1 8・ 575- WZ (G08C)
P 1 8・ 537- WZ (G08C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 関根 洋之櫻井 健太  
特許庁審判長 江塚 政弘
特許庁審判官 森 雅之
越川 康弘
発明の名称 監視端末装置  
代理人 浅井 俊雄  
代理人 机 昌彦  
代理人 木村 明隆  

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