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審決分類 審判 全部無効 特29条の2  A01G
管理番号 1235134
審判番号 無効2008-800211  
総通号数 138 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-06-24 
種別 無効の審決 
審判請求日 2008-10-20 
確定日 2011-03-14 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第3979659号発明「植栽設備」の特許無効審判事件についてされた平成21年4月21日付け審決に対し,知的財産高等裁判所において審決取消の決定(平成21年(行ケ)第10136号,平成22年1月28日判決言渡)があったので,さらに審理のうえ,次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 特許第3979659号の請求項1,2に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は,被請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯

平成 9年 8月29日 原出願の特許出願
(特願平9-250023号)
平成18年10月20日 分割出願(本件)の特許出願
(特願2006-286318号)
平成19年 7月 6日 特許権の設定登録(特許第3979659号)

平成20年10月20日 本件無効審判請求(請求項1?4に対して)
平成20年12月16日 被請求人:答弁書提出
同日 被請求人:訂正請求書提出
平成21年 1月23日 請求人:弁駁書提出
平成21年 4月21日 審決(請求不成立)

平成21年 5月29日 請求人:知的財産高等裁判所出訴
(平成21年(行ケ)第10136号)
平成22年 1月28日 審決取消の判決言渡

平成22年 3月16日 被請求人:訂正請求書提出
平成22年 5月 7日 請求人:弁駁書提出
平成22年 6月11日 被請求人:答弁書提出

第2 当事者の主張
1.請求人の主張
請求人は,本件特許第3979659号の特許請求の範囲の請求項1乃至4に係る発明の特許を無効とする,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,証拠方法として甲第1号証乃至甲第17号証を提出し,以下のように主張している。

(1)無効理由1(特許法第29条の2)
a) 訂正前の請求項1乃至4に係る発明,及び,平成20年12月16日付け訂正請求書による訂正(以下,「前回訂正」という。)による訂正後の請求項1及び2に係る発明は,いずれも,本件特許出願の日前に出願され且つ本件特許出願後に出願公開された甲第2号証の1に記載された発明(以下「甲2-1発明」という。)と同一であり,本件特許発明の発明者が甲2-1発明の発明者と同一の者ではなく,本件特許出願の出願人が甲2-1発明に係る特許出願の出願人と同一の者でないから,その特許は,特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないものであり,同法第123条第1項第2号に該当し無効とすべきである。
b) 平成22年3月16日付け訂正請求書による訂正(以下,「本件訂正」という。)は,前回訂正の訂正事項に加え,更に「敷き詰め」について「空隙を生じることなく」との限定事項を付加するものであるが,
甲2-1発明の「載置」も「空隙を生じることなく」との概念を含むものであり,また,仮に,載置が同概念を含まないとしても,「隙間を生じることなく」との事項は,甲第6号証,甲第11号証,甲第12号証,甲第14号証乃至甲第17号証に記載された周知事項であって,課題解決のための具体化手段における微差に過ぎないものであるから,
本件訂正による訂正後の請求項1及び2に係る発明も,甲2-1発明と同一であって,その特許は,上記a)と同様に特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないものであり,同法第123条第1項第2号に該当し無効とすべきである。

(2)無効理由2(特許法第29条第2項)
訂正前の請求項1乃至4に係る発明,及び,前回訂正による訂正後の請求項1及び2に係る発明は,いずれも,甲第3号証に記載された発明,及び,甲第4号証乃至甲第9号証に記載された周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,その特許は,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり,同法第123条第1項第2号に該当し無効とすべきである。

(3)無効理由3(特許法第29条第2項)
訂正前の請求項1乃至4に係る発明,及び,前回訂正による訂正後の請求項1及び2に係る発明は,いずれも,甲第3号証,甲第6号証,甲第10号証乃至甲第12号証に記載された周知事項,及び,甲第4号証乃至甲第9号証に記載された周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,その特許は,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり,同法第123条第1項第2号に該当し無効とすべきである。

(4)無効理由4(分割要件違反)
本件特許出願の明細書,特許請求の範囲又は図面は,原出願の願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面(以下,「原出願の当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内でないものを含むものである。
すなわち,原出願の当初明細書等には,訂正前の請求項1乃至4に係る発明の「ボーダー部材」なる用語の記載がなく,
ボーダー部材が被覆する植栽マット群の範囲として「外周縁の上端部」及び「近傍」との記載がなく,
ボーダー部材の機能として「位置ずれを防止する」との記載がない。
また,訂正前の請求項1?3に係る発明のボーダー部材は,框以外のものを含むものであるが,原出願の当初明細書等において,植栽マット群を被覆するものは框以外にない。
したがって,本件特許出願は分割出願の遡及効が認めらず,訂正前の請求項1乃至4に係る発明は,甲第13号証(原出願の出願公開公報)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,その特許は,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり,同法第123条第1項第2号に該当し無効とすべきである。

そして,証拠方法は,以下のとおりである。

《審判請求書で提示》
甲第1号証 :特許第3979659号公報
甲第2号証の1:特開平10-84774号公報
甲第2号証の2:特許第3773599号公報
甲第2号証の3:無効2006-80098の特許審決公報
甲第3号証 :実願平2-40492号(実開平4-2241号)
のマイクロフィルム
甲第4号証 :実願平2-63005号(実開平4-21242号)
のマイクロフィルム
甲第5号証 :特開平7-255277号公報
甲第6号証 :特開平7-79638号公報
甲第7号証 :特開平8-89088号公報
甲第8号証 :実開昭59-130593号公報
甲第9号証 :実開昭63-167843号公報
甲第10号証 :特開平9-168332号公報
甲第11号証 :実願平2-86326号(実開平4-43947号)
のマイクロフィルム
甲第12号証 :特開平6-343350号公報
甲第13号証 :特開平11-75568号公報

《平成22年5月7日付け弁駁書で提示》
甲第14号証 :特開平8-116811号公報
甲第15号証 :特開平7-184468号公報
甲第16号証 :特開平5-284865号公報
甲第17号証 :特開平7-135842号公報

2.被請求人の主張
被請求人は,本件訂正を請求するとともに,本件無効審判の請求は成り立たない,審判費用は,請求人の負担とする,との審決を求め,以下のように主張している。

(1)無効理由1(特許法第29条の2)について
a) 甲第2号証の1は,少なくとも前回訂正による訂正後の請求項1に係る発明の「植栽マット群の外周縁の上端部より植栽マット群側の領域を框の被覆部で被覆する」という構成を開示又は示唆しておらず,また,前回訂正による訂正後の請求項2に係る発明の「框で敷き詰めた植栽マット群の位置ずれを防止する」という構成を開示又は示唆していないから,前回訂正による訂正後の請求項1及び2に係る発明の特許は,特許法第29条の2の規定に違反して特許されたものではなく,請求人の主張する無効理由1によって無効とすることはできない。
b) 本件訂正による訂正後の請求項1及び2に係る発明は,植栽マットを「隙間を生じることなく」敷き詰めた点において,甲2-1発明と同一ではないから,その特許は,特許法第29条の2の規定に違反して特許されたものではなく,請求人の主張する無効理由1によって無効とすることはできない。

(2)無効理由2及び3(特許法第29条2項)について
甲号各証においては,前回訂正による訂正後の請求項1に係る発明の「植栽マットを敷設面に複数敷き詰め」という構成,「植栽マット群の外周に框を配設」という構成,「框の被覆部を框の側壁上端から植栽マット群側へ突出して設け」という構成,「植栽マット群と框の側壁間の隙間及び植栽マット群の外周縁の上端部より植栽マット群側の領域を框の被覆部で被覆する」という構成を認定することができず,また,前回訂正による訂正後の請求項2に係る発明の「框を敷設面に固定して配設し」,「框で敷き詰めた植栽マット群の位置ずれを防止する」という構成を認定することはできず,更に,いずれの構成も慣用手段ではないから,前回訂正による訂正後の請求項1及び2に係る発明の特許は,特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものではなく,請求人の主張する無効理由2及び3によって無効とすることはできない。

(3)無効理由4(分割要件違反)について
訂正前の請求項1乃至4に係る発明の「ボーダー部材」を,前回訂正により,訂正後の請求項1及び2に係る発明の「框」とすることによって,本件特許出願の明細書,特許請求の範囲又は図面は,原出願の当初明細書等に記載した事項の範囲内でないものを含むものではなくなったから,前回訂正による訂正後の請求項1及び2に係る発明の特許は,特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものではなく,請求人の主張する無効理由4によって無効とすることはできない。

第3 訂正の適否
1.訂正の内容
本件訂正の内容は次のとおりである。

(1)訂正事項A(特許請求の範囲)
訂正前の
「【請求項1】
底部近傍に開口部を有する凹型のセルを有するマットフレーム内に植物育成材を設けてなる植栽マットを敷設面に複数敷き詰め,該敷き詰めた植栽マット群の外周にボーダー部材を配設し,該植栽マット群の外周縁の上端部付近を該ボーダー部材で被覆することを特徴とする植栽設備。
【請求項2】
前記ボーダー部材の被覆部が該ボーダー部材の側壁上端から前記植栽マット群側へ突出して設けられ,該植栽マット群と該ボーダー部材の側壁間の隙間を該被覆部で被覆することを特徴とする請求項1記載の植栽設備。
【請求項3】
前記ボーダー部材で前記敷き詰めた植栽マット群の位置ずれを防止することを特徴とする請求項1又は2記載の植栽設備。
【請求項4】
前記ボーダー部材を框とすることを特徴とする請求項1?3の何れかに記載の植栽設備。」を,

「【請求項1】
底部と側面を有すると共に,該底部近傍に開口部を有する凹型のセルを有するマットフレーム内に植物育成材を設けてなる植栽マットを敷設面に隙間を生じることなく複数敷き詰め,
該敷き詰めた植栽マット群の外周に框を配設し,
該框の被覆部を該框の側壁上端から該植栽マット群側へ突出して設け,
該植栽マット群と該框の側壁間の隙間及び該植栽マット群の外周縁の上端部より該植栽マット群側の領域を該框の該被覆部で被覆することを特徴とする植栽設備。
【請求項2】
前記框を前記敷設面に固定して配設し,
前記框で前記敷き詰めた植栽マット群の位置ずれを防止することを特徴とする請求項1記載の植栽設備。」と訂正する。

(2)訂正事項B(明細書)
本件特許明細書の発明の詳細な説明について,
訂正前の段落【0007】の「本発明の植栽設備は・・・ボーダー部材は框とすることと好適である。」(特許公報2頁23?30行)を,
「本発明の植栽設備は,底部と側面を有すると共に,該底部近傍に開口部を有する凹型のセルを有するマットフレーム内に植物育成材を設けてなる植栽マットを敷設面に空隙を生じることなく複数敷き詰め,該敷き詰めた植栽マット群の外周に框を配設し,該框の被覆部を該框の側壁上端から該植栽マット群側へ突出して設け,該植栽マット群と該框の側壁間の隙間及び該植栽マット群の外周縁の上端部より該植栽マット群側の領域を該框の該被覆部で被覆することを特徴とする。また,本発明の植栽設備は,前記框を前記敷設面に固定して配設し,前記框で前記敷き詰めた植栽マット群の位置ずれを防止することが好ましい。」と訂正する。

2.訂正の目的の適否
(1)訂正事項Aについて
訂正事項Aは,補正前の請求項2を訂正して補正後の請求項1とし(訂正事項A-1),補正前の請求項3を訂正して補正後の請求項2とし(訂正事項A-2),補正前の請求項1及び4を削除したもの(訂正事項A-3)に相当する。

(a)訂正事項A-1について
訂正事項A-1のうち,
「底部と側面を有すると共に,該底部近傍に開口部を有する凹型のセル」とする訂正は,凹型のセルについて「底部と側面を有する」との限定事項を付加する訂正であり,
「植栽マットを敷設面に空隙を生じることなく複数敷き詰め」とする訂正は,植栽マットの敷き詰め方について「空隙を生じることなく」との限定事項を付加する訂正であり,
「ボーダー部材」を「框」とする訂正は,概念を下位化する訂正であり,
「該植栽マット群と該框の側壁間の隙間及び該植栽マット群の外周縁の上端部より該植栽マット群側の領域を該框の該被覆部で被覆する」とする訂正は,「(框の)被腹部」が被覆する領域について,訂正前の「植栽マット群とボーダー部材(框)の側壁間の隙間」に加えて,「該植栽マット群の外周縁の上端部より該植栽マット群側の領域」をも被覆するものに限定する訂正であるから,
これらの訂正は特許請求の範囲の減縮を目的としたものである。

(b)訂正事項A-2について
訂正事項A-2の「前記框を前記敷設面に固定して配設し」とする訂正は,上記(a)において「ボーダー部材」を「框」に訂正したうえで,該框の配設の仕方を限定する訂正であるから,特許請求の範囲の減縮を目的としたものである。

(c)訂正事項A-3について
訂正事項A-3は,請求項を削除する補正であるから,明らかに特許請求の範囲の減縮を目的としたものである。

(2)訂正事項Bについて
訂正事項Bは,特許請求の範囲の訂正に伴い,これに対応する発明の詳細な説明の記載を整合させるように訂正するものであり,明りょうでない記載の釈明を目的とするものにあたる。

3.新規事項の追加の有無
(1)訂正事項Aについて
(a)訂正事項A-1について
訂正事項A-1のうち,
「底部と側面を有すると共に,該底部近傍に開口部を有する凹型のセル」とする訂正は,本件特許明細書の段落【0014】の「植栽マット1は,底部側面から側面下部にかけて開口部6を有する略方形セル7を互いにリブ5で連接してなるマットフレーム2と」との記載,及び,図面の記載等を根拠とするものであり,
「植栽マットを敷設面に空隙を生じることなく複数敷き詰め」とする訂正は,本件特許明細書の段落【0094】の「3種類の大きさのA,B,Cのマットフレーム2を組み合わせて敷設することにより,潅水装置配設用空間22以外の空隙を生じることなく,マットを敷き詰めることができる」との記載,及び,図33の記載等を根拠とするものであり,
「ボーダー部材」を「框」とする訂正は,本件特許明細書の【請求項4】の「前記ボーダー部材を框とする」との記載,及び,図44(d)の記載等を根拠とするものであり,
「該植栽マット群と該框の側壁間の隙間及び該植栽マット群の外周縁の上端部より該植栽マット群側の領域を該框の該被覆部で被覆する」との訂正は,本件特許明細書の【請求項2】の「該框の被覆部が該框の側壁上端から前記植栽マット群側へ突出して設けられ,該植栽マット群と該ボーダー部材の側壁間の隙間を該被覆部で被覆する」との記載,及び,図44(d)の記載等を根拠とするものであるから,
これらの訂正は,本件特許明細書及び図面に記載した事項の範囲内においてするものである。

(b)訂正事項A-2について
訂正事項A-2の「前記框を前記敷設面に固定して配設し」とする訂正は,本件特許明細書の段落【0126】の「該空間部39以外の植栽マット1の側端部には,マットフレーム2の上部から敷設面20に亘って一端を敷設面20に固定するスロープ41または框42を配設するものである。」との記載,及び,図44(d)の記載等を根拠とするものであるから,本件特許明細書及び図面に記載した事項の範囲内においてするものである。

(c)訂正事項A-3について
訂正事項A-3は,請求項を削除する補正であるから,特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであることは明らかである。

4.特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更
本件訂正は,実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。

5.訂正の適否のまとめ
以上より,本件訂正は,特許法第134条の2第1項ただし書きの規定に適合し,同条第5項の規定において準用する同法第126条第3項及び第4項の規定に適合するから,本件訂正を認める。

第4 本件発明
本件特許発明は,上記のとおり訂正請求が認められるから,平成22年3月16日付け訂正請求書に添付された訂正明細書及び図面の記載からみて,その特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定される次のとおりのものと認める。

「【請求項1】
底部と側面を有すると共に,該底部近傍に開口部を有する凹型のセルを有するマットフレーム内に植物育成材を設けてなる植栽マットを敷設面に隙間を生じることなく複数敷き詰め,
該敷き詰めた植栽マット群の外周に框を配設し,
該框の被覆部を該框の側壁上端から該植栽マット群側へ突出して設け,
該植栽マット群と該框の側壁間の隙間及び該植栽マット群の外周縁の上端部より該植栽マット群側の領域を該框の該被覆部で被覆することを特徴とする植栽設備。」
(以下,「本件発明1」という。)

「【請求項2】
前記框を前記敷設面に固定して配設し,
前記框で前記敷き詰めた植栽マット群の位置ずれを防止することを特徴とする請求項1記載の植栽設備。」
(以下,「本件発明2」という。)

第5 無効理由4(分割要件違反)について
まず,無効理由4について検討する。
本件特許出願の特許請求の範囲の記載のうち,
請求項1の「框の被覆部を該框の側壁上端から植栽マット群側へ突出して設け,該植栽マット群と該框の側壁間の隙間及び該植栽マット群の外周縁の上端部より該植栽マット群側の領域を該框の該被覆部で被覆すること」は,原出願の当初明細書等の図44(d)(甲第13号参照,以下同様。)の記載から自明な事項であり,
請求項2の「框で敷き詰めた植栽マット群の位置ずれを防止すること」は,原出願の当初明細書等の段落【0138】の「空間部39以外の植栽マット1の側端部には,マットフレーム2の上部から施設面20に亘って一端を施設面20に固定する・・・框42を配設する」,段落【0145】の「植栽マット1を本実施形態で施設することにより,植栽マット1の全周のうち,建物の側壁38付近やそれ以外の場所での位置ずれが防止でき」,及び,図44(d)の記載から自明な事項であるから,原出願の当初明細書等に記載した事項の範囲内のものである。
また,特許請求の範囲のその他の事項においても,原出願の当初明細書等に記載した事項の範囲内でないものは見出せないし,明細書の記載においても,原出願の当初明細書等に記載した事項の範囲内でないものは見出せない。
したがって,本件特許出願の明細書,特許請求の範囲又は図面は,原出願の当初明細書等に記載した事項の範囲内でないものを含むものではなく,本件特許出願は原出願の時になされたとみなされるから,本件発明1及び2の特許は,特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものではなく,請求人の主張する無効理由4によって無効とすることはできない。

第6 無効理由1(特許法第29条の2)について
1.証拠方法の記載内容
甲第2号証の1:特開平10-84774号公報

上記第5で検討したとおり,本件特許出願は,原出願の時にされたものとみなされるから,上記甲第2号証の1(以下,「甲2-1」という。)は,本件特許出願の日前に出願され且つ本件特許出願後に出願公開されたものと認められる。
そして,甲2-1には,以下の記載事項がある。

(1a)「【特許請求の範囲】
【請求項1】バルコニーまたは屋上の床面が防水処理され,この防水処理された床面上の一部に,植物が植えられたプランタが載置され,このプランタが載置された載置部と,その他の前記床面との境界部に,前記プランタより高い仕切部が設けられていることを特徴とするバルコニー等の緑化構造。」
(1b)「【0002】
【背景の技術】建物の屋上,バルコニー等を緑化する場合,例えば,レンガ,ブロック,コンクリート等で枠組みをして,この枠組内に庭土を投入して均し,ここに植栽を施したり,あるいは,前記屋上やバルコニーに,単に,植物が植えられたプランタ等を適当に配置したりしている場合が多い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】・・・一方,後者の場合,植物が植えられたプランタ等を適当に配置しているだけであり,しかもプランタ自体が見えるので,雑然としたイメージとなり易く,花壇のような景観の美しいものとするのは困難であった。」
(1c)「【0004】本発明は上記事情に鑑みてなされたもので,建物の屋上,バルコニー等を容易に緑化するとともに,景観の美しいものとすることができるバルコニー等の緑化構造を提供することを目的としている。」
(1d)「【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために,本発明の請求項1のバルコニー等の緑化構造は,例えば図1に示すように,バルコニーまたは屋上の床面1を防水処理し,この防水処理した床面上の一部に,植物2が植えられたプランタ3を載置し,このプランタ3が載置された載置部4と,その他の床面1aとの境界部に,前記プランタ3より高い仕切部5を設けたものである。」
(1e)「【0006】・・・前記プランタ3は,その中に用土を入れて植物を植え込むためのもので,上部が開口した容器状に形成されたものである。」
(1f)「【0007】前記仕切部5は,前記プランタ3より高く,かつ,該プランタに植えられた植物2を隠さない程度の高さに形成されたもので,前記境界部に沿って延在するようにして設けられる。・・・
【0008】請求項1のバルコニー等の緑化構造にあっては,バルコニーあるいは屋上の床面1の一部に設けられた載置部4に,植物2が植えられたプランタ3を載置することによって,該プランタ3自体は前記仕切部5によって隠され,一方,プランタ3に植えられた植物2は仕切部5から上方に突出しおり,しかも,該植物2は仕切部5によって,載置部4以外の床面1aから分離しているので,あたかも花壇に植えられた植物のように美しい景観となる。」
(1g)「【0024】前記仕切部5は,前記プランタ3より高く,かつ,該プランタ3に植えられた植物2を隠さない程度の高さに形成されたもので,前記境界部に沿って延在するようにして設けられている。また,前記仕切部5は,図1に示すように,・・・その上部には,前記載置部4側に突出する突出部5aが,仕切部5の長手方向に延在するようにして形成されており,この突出部5aによって,仕切部5と,前記載置部4に該仕切部5と隣接して配置されたプランタ3との隙間を隠すようになっている。さらに,前記仕切部5の下面側には段部5bが形成されており,この段部5bには,前記床面1に敷設された床材10の縁部が挿入されて,該床材10の縁部の見切りが行われるとともに,段部5bを床材10に当接させることで,仕切部5が床面1上に,倒れることなく安定的に設けられている。」
(1h)「【0031】上述したように,本例のバルコニー等の緑化構造によれば,バルコニーの床面の一部に設けられた載置部4に,植物2が植えられたプランタ3を載置することによって,図8に示すように,該プランタ3自体は前記仕切部5によって隠され,一方,プランタ3に植えられた植物2は仕切部5から上方に突出しているので,該植物2を観賞することができ,しかも,該植物2は仕切部5によって,載置部以外の床面1aから分離しているので,あたかも花壇に植えられた植物2のように観え,美しい景観を造りだすことができる。また,前記載置部4に,植物2が植えられたプランタ3を載置するだけでバルコニー容易に植栽を施すことができ,また,プランタ3を取り替えるだけで,植栽を容易に植替ることができる。」
(1i)図1には,仕切部5の側壁上端からプランタ3側に突出部5aが突出し,この突出部5aがプランタ3の外周縁の上端部まで達していることが示されている。


上記記載事項(1a)?(1i)からみて,甲2-1には次の発明が記載されていると認められる。

「上部が開口した容器状に形成され,その中に用土を入れて植物を植え込むためのプランタ3を載置部4に複数載置し,
該載置したプランタ3群の外周に仕切部5を配設し,
該仕切部5の突出部5aを該仕切部5の側壁上端から該プランタ3群側へ突出して設け,
該プランタ3群と該仕切部5の側壁間の隙間及び該プランタ3群の外周縁の上端部を該仕切部5の該突出部5aで被覆する緑化構造」
(「甲2-1発明」)

2.対比・判断
(1)本件発明1について
本件発明1と甲2-1発明とを対比すると,
甲2-1発明の「上部が開口した容器状に形成され,その中に用土を入れて植物を植え込むためのプランタ3」は,本件発明1の「底部と側面を有する凹型のセルを有するマットフレーム内に植物育成材を設けてなる植栽マット」に相当し(平成21年(行ケ)第10136号判決(以下,「判決」という。)の14頁13行?15頁2行参照。),
以下同様に,「載置部4」が「施設面」に,「載置し」が「敷き詰め」に,「仕切部5」が「框」に,「突出部5a」が「被覆部」に,「緑化構造」が「植栽設備」にそれぞれ相当する。
また,一般的なプランタの機能,構造からして,甲2-1発明のプランタ3が底部近傍に植物育成のために必要な水を排出する開口部を有するものであることは自明であるから,甲2-1発明の「プランタ3」と本件発明1の「植栽マット」は,「底部近傍に開口部を有する」点においても相当する。
さらに,框の被覆部の被覆する範囲に関し,甲2-1発明の「プランタ3群の外周縁の上端部」と,本件発明の「植栽マット群の外周縁の上端部より該植栽マット群側の領域」とは,「植栽マット群の外周縁の上端部」において共通する。

そうすると,両者は,以下の点で一致している。
(一致点)
「底部と側面を有すると共に,該底部近傍に開口部を有する凹型のセルを有するマットフレーム内に植物育成材を設けてなる植栽マットを敷設面に複数敷き詰め,
該敷き詰めた植栽マット群の外周に框を配設し,
該框の被覆部を該框の側壁上端から該植栽マット群側へ突出して設け,
該植栽マット群と該框の側壁間の隙間及び該植栽マット群の外周縁の上端部を該框の該被覆部で被覆する植栽設備。」

そして,次の点で一応相違している。
(相違点1)
植栽マットの敷き詰めについて,本件発明1は「隙間を生じることなく」なされているのに対して,甲2-1発明ではそのような限定がない点。

(相違点2)
框の被覆部の被覆する範囲が,本件発明1では「(植栽マット群の外周縁の)上端部より植栽マット群側の領域」にまで及んでいるのに対して,
甲2-1発明では「上端部」までしかない点。

以下,上記各相違点について検討する。
(相違点1について)
本願特許明細書には,段落【0094】に「図33の如く,・・・潅水装置配設用空間22以外の空隙を生じることなく,マットを敷き詰めることができる。」と記載されるとともに,段落【0058】に「・・・空間部22に・・・植栽マット1の上端部と同一平面を形成する逆U字型のカバー部材25を配水管を覆うように設ける。」と記載され,さらに,段落【0064】に「・・・植栽マット1の上端部と略同一面平面を形成するカバー部材25により,植栽マット1による設備が全体として平面的に形成され,見栄えが非常に良くなる。」と記載されていることからみて,
本件発明1は,敷き詰められたマット全体として,平面的に形成されて見栄えが良くなることを意図していると認められるから,
本件発明1の「隙間を生じることなく」とは,潅水装置用空間22以外の箇所で,平面的に形成されて見栄えが良くなるようにマットを敷き詰めることを意味すると解釈できる。
これに対して,甲2-1発明は,上記第6の1.(1b),(1c),(1f)及び(1h)の記載事項からして,プランタを複数載置して花壇のように美しい景観を造り出すものであるから,上記第6の1.(1i)の図1においてプランタの間に隙間が介在しているように見えるものの,同隙間を積極的に生じさせるとは考え難く,できるだけ隙間なく載置していると考えるのが自然である。
そうすると,本件発明1の「隙間を生じることなく」という構成は,甲2-1発明も備えている構成ということができるから,上記相違点1は,実質的な相違点ではない。

(相違点2について)
甲2-1発明は,上記第6の1.(1b)?(1d),(1f)?(1h)の記載事項からして,仕切部5を設けることにより,植物2を花壇に植えられたかのように見せ,美しい景観を造り出すことができるようにしたものである。
そして,このような甲2-1発明の目的に照らすならば,仕切部5の突出部5aは,上記第6の1.(1g)の「前記仕切部5は,前記プランタ3より高く,かつ,該プランタ3に植えられた植物2を隠さない程度の高さに形成されたもので」との記載事項からして,高さ方向のみではなく,水平方向においても,突出部5aが,プランタ3における植物が上方に突出することを妨害しない範囲内であれば,プランタ3群側に突出してプランタ3と仕切部5の側壁との隙間を被覆することも許容されるものと解され,
甲2-1発明は,突出部5aのプランタ3群側への突出がないことを必須のものとすると理解することはできない(判決20頁6行?23頁8行参照。)。
そうすると,甲2-1発明において,突出部5aを「(植栽マット群の外周縁の)上端部より植栽マット群側の領域」まで被覆する構成とすることは,植物を花壇に植えられたかのように見せ美しい景観を造り出すという課題を解決するための,具体化における微差に過ぎないということができるから,上記相違点2は,実質的な相違点ではない。

以上より,本件発明1と甲2-1発明の間には,相違するところがないから,両者は同一のものである。

(2)特許発明2について
特許発明2は,特許発明1において「前記框を前記敷設面に固定して配設し,前記框で前記敷き詰めた植栽マット群の位置ずれを防止する」との発明特定事項を付加したものであり,
本件発明1と甲2-1発明は,上記1.で検討したとおり同一であって,相違するところがないから,本件発明2と甲2-1発明の対比にあっては,上記付加された事項のみを検討すれば事足りる。
そこで,上記付加された事項について検討するに,上記第6の1.(1g)の記載事項によれば,甲2-1発明においても,仕切部5は床材10によってその移動が規制される結果,床面1に固定されるものであると認められ,そのため,仕切部5がプランタ3の位置ずれを防止することができるものであるといえるから(判決23頁16行?24頁5行参照。),
甲2-1発明の「仕切部5」は,本件発明2の框が有する「敷設面に固定して配設」される点,及び,「敷き詰めた植栽マット群の位置ずれを防止する」機能を備えていると認められる。
そうすると,甲2-1発明は,本件発明2の上記付加された事項も包含しており,本件発明2と甲2-1発明は相違するところがなく,両者は同一のものである。

第7 むすび
以上のとおり,本件発明1及び2は,本件特許出願の日前に出願され且つ本件特許出願後に出願公開された甲2-1発明と同一であり,本件特許発明の発明者が甲2-1発明の発明者と同一の者ではなく,本件特許出願の出願人が甲2-1発明に係る特許出願の出願人と同一の者でないから,その特許は,特許法第29条の2の規定に違反して特許されたものであり,無効理由2及び3について検討するまでもなく同法123条第1項第2号に該当し無効とすべきである。
審判に関する費用については,特許法第169条第2項の規定において準用する民事訴訟法第61条の規定により被請求人が負担すべきものとする。
よって,結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
植栽設備
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビルの屋上等の人工地盤上に設けて、植物、特に地被植物を育成する植栽設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ビルの屋上、テラス、ベランダのように平面的な敷設面を有する箇所に植物を植栽する場合には、防水層及び防根層を形成し又はシートを敷き、その上に土壌を盛って、芝生等の地被植物、草木、野菜などを植栽していた。
【0003】
しかし、上記のように土壌を敷設すると、敷設面にかかる荷重は多大なものとなり、防水層等の設備も必要となる。そのため、既存の建築物には適用し難く、新建築物にはコスト負担が大きくなる。
【0004】
また、上記の植栽設備では、敷設された土壌が雨水等で流出したり、乾燥して風で飛散したりすることから、土壌が減少して植物の育成が阻害されるおそれがある。
【0005】
さらには、上記の土壌の敷設は大がかりな作業となり、非常な時間と労力を要する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記の問題点に鑑みて提案されたもので、人工地盤上での植栽を可能にするため、軽量で既存の建築物にも適用でき、土壌の管理が容易であり、さらには敷設、撤去に多大な労力、時間やコストを要さない植栽設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の植栽設備は、底部と側面を有すると共に、該底部近傍に開口部を有する凹型のセルを有するマットフレーム内に植物育成材を設けてなる植栽マットを敷設面に空隙を生じることなく複数敷き詰め、該敷き詰めた植栽マット群の外周に框を配設し、該框の被覆部を該框の側壁上端から該植栽マット群側へ突出して設け、該植栽マット群と該框の側壁間の隙間及び該植栽マット群の外周縁の上端部より該植栽マット群側の領域を該框の該被覆部で被覆することを特徴とする。また、本発明の植栽設備は、前記框を前記敷設面に固定して配設し、前記框で前記敷き詰めた植栽マット群の位置ずれを防止することが好ましい。
【0008】
尚、植栽マットは、底部近傍に開口部を有する凹型のセルが設けられ、該セルを互いにリブで連設してなるマットフレームと、該セル内に敷設されたフィルターと、該セル内で該フィルター上に形設された植物育成材からなるものとしてもよい。前記植栽マットは、軽量で防根や防水の機能があることから、既存のビルの屋上やベランダ等に特別な設備を要せず敷設でき、新建築物に敷設する場合にも特別なコストを必要としない。更に、土壌が減少せず、かつ水分の管理が容易な人工植栽地盤を提供できる。また、植栽マットは、植物又は種子を予め植え込まれた植物育成材からなる、或いは適宜箇所のリブを幅広に形成したマットフレームからなる、或いはセル内に補強的に仕切部材を配設したマットフレームからなるものとしてもよい。
【0009】
また、植栽設備或いは植栽マットの敷設方法では、植栽マットの敷設面上に平面状の保水層を形成し、該保水層上に該植栽マットを所要数敷き詰めるようにしてもよい。また、植栽マットを敷き詰める際に、植栽マットの隣接相互間に所用経路の給水管配設用空間部を形成するように敷き詰め、該空間部に給水管を配設し、該空間部にマットフレームのリブと略同一平面を形成するカバー部材を設けてもとよい。また、適宜箇所のリブを幅広に形成したマットフレームからなる植栽マットを用い、該幅広リブとセル側面と保水層に囲まれた空間で所要経路の給水管配設用空間部を形成するように、該植栽マットを連続して敷設するとともに、該空間部に給水管を配設してもよい。
【0010】
また、植栽設備或いは植栽マットの敷設方法では、植栽マットの敷設面上に、該植栽マットが収納可能な凹型の貯水槽トレーを敷き詰め、該貯水槽トレー内に植栽マットを敷設してもよい。また、内側を複数の貯水槽に分割した貯水槽トレーを用いる、或いは貯水槽トレー相互の側面上部を連結部材で連結する、或いは側面上部に切り欠き凹部を形成した貯水槽トレーを用い、該貯水槽トレー相互の該切り欠き凹部が隣接するように該貯水槽トレーを敷き詰めるとともに、貯水槽トレーの側面上部を相互に連結部材で嵌着する、或いは、植栽マットを敷き詰める際に、該植栽マットの隣接相互間に所用経路の給水管配設用空間部を形成するように敷き詰め、該空間部に貯水槽トレーの側面上端部又は切り欠き凹部で保持して給水管を配設し、該空間部にマットフレームのリブと略同一平面を形成するカバー部材を設ける、或いは適宜箇所のリブを幅広に形成したマットフレームからなる植栽マットを用い、該幅広リブとセル側面と貯水槽トレー底面に囲まれた空間で所要経路の給水管配設用空間部を形成するように該植栽マットを連続して敷設するとともに、該空間部に貯水槽トレーの側面上端部又は切り欠き凹部で保持して給水管を配設する、或いは、所要経路の給水管配設用空間部を形成するように貯水槽トレーを敷き詰め、該空間部に該貯水槽トレーと同一高さの凹型の貯水樋を配設し、該貯水槽トレーの側面上端部と該貯水樋の側面上端部を連結し、該空間部に貯水樋の側面上端部で保持して給水管を配設し、その上方にマットフレームのリブと略同一平面を形成するカバー部材を該リブに嵌合してもよい。
【0011】
また、マットフレームの所要箇所のセルを除去し、該除去箇所に蓋を設ける、或いはマットフレームの一部を除去し、該除去箇所に植桝を配置する、或いは、敷き詰めた植栽マットの全周の内、植栽マットと建物の側壁との空間部分にマットフレームのリブと略同一高さの位置ずれ防止部材を配設し、該空間部分以外の植栽マット側端部には、マットフレームの上部から敷設面に亘って一端を敷設面に固定するスロープ又は框を配設してもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、軽量で既存の建築物にも適用でき、土壌の管理が容易である。更に、分解可能な軽量資材で組み立てることが可能であり、その敷設や撤去時に、極めて容易かつ短時間にコストをかけず敷設や撤去を行うことができ、不使用時の管理も容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、具体的な実施形態に基づいて説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0014】
まず、植栽マットについて説明する。図1は植栽マットの斜視図、図2(a)はその平面図、同図(b)はその断面図である。植栽マット1は、底面側部から側面下部にかけて開口部6を有する略方形のセル7を互いにリブ5で連設してなるマットフレーム2と、該セル7の底面に敷設されたフィルター3(図示せず)と、該セル7内のフィルター3上に形設された植物育成材4とから構成される。
【0015】
植栽マット1に用いるマットフレーム2について、図3(a)にその平面図、同図(b)に正面図、同図(c)に断面図を、図4(a)にマットフレーム2の部分平面図、同図(b)にその部分正面図、同図(c)にA-A線断面図を示す。
【0016】
マットフレーム2には複数個の略方形のセル7が凹設され、隣接するセル7相互は、その上端部を連結リブ5bによって連設されている。マットフレーム2の外周部分には、セル7の上端部に連結リブ5bと略同一高さの周縁リブ5aが設けられている。そして、各セル7底面の各辺の中心付近には、底面側部から側面下部にかけて、4箇所の開口部6が設けられている。
【0017】
リブ5(周縁リブ5a、連結リブ5b)の厚さは、可撓性を持たせて敷設面の凹凸等(スラブ)の不陸によく追従させると同時に、マットフレーム2に直接又は歩行板を敷いて人が乗っても、つぶれない程度の強度を有すること厚さとすることが必要であり、例えば0.4?2.0mmとするのが良好である。これにより、マットフレーム2は、複数のセル7底面で支持されて屈曲により安定感を有するとともに、屋上等のスラブ面に敷き詰め可能な形状となる。また、セル7の厚さについても、リブ5の厚さと同様の配慮が必要となる。
【0018】
マットフレーム2の材質としては合成樹脂製のものが良好であり、塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリスチレン等が用いられ、真空成型、ブロー成型、射出成型、押し出し型等の成型方法で形成される。尚、マットフレーム2の大きさは適宜であり、実施例では500×500×100mmとした。
【0019】
開口部6の大きさは適宜であるが、植栽マット1への潅水に対応できる大きさとしなければならない。即ち、じょうろ等による植栽マット1への潅水の余剰水の排出や後述する保水層からの水の吸水に適したものとするとよい。尚、排出された水は、排水のために傾斜勾配を有するスラブ面上を流れて排水ドレインにより排水される。
【0020】
植栽マット1のフィルター3と植物育成材4の配置について明らかにするために、本発明による植栽マットの構成図を図5に示す。マットフレーム2の各セル7の底面にフィルター3を敷設し、その上に植物育成材4を形設する。植物育成材4の各セル7内への形設は、敷設面にフレームマット2を敷設する前、後のどちらでもよい。
【0021】
フィルター3は、土壌流出を防止するために、セル7内の開口部6をふさぐように敷設される。フィルター3には不織布、ネット、チュール等を用いる。
【0022】
植物育成材4は植物生育の培地となるものであり、本実施形態では予め種子を埋設することができる軽量ブロック資材を使用した。軽量ブロック資材とは、例えば、培養土をでんぷん糊などのバインダと共に型枠に入れ、プレス機によって厚みが約半分になるようにプレスし、熱風を通過させて硬化させたものである。これにより、所望のブロック状の培養土が得られる。
【0023】
また、植物育成材4として、マットフレーム2上に客土を山積みし、刷毛でならして各セル7内に平らに土詰めしてもよい。この場合客土としては、パーライト、バーミキュウライト、ピートモス、肥土などを混合した、保水性が良く排水が良好な軽量土壌が好ましい。
【0024】
本実施形態で植物育成材4に植える植物は、芝、アイビー類、フッキソウ類等の地被植物であるが、これに限定されることなく低木等でもよい。これらの植物は、苗又は成育植物の状態で植物育成材4に植えらる。植物育成材4が軽量のブロック材の場合には、該ブロック状の植物育成材4に苗又は成育植物を事前に繁茂させて、セル7内に詰めることもできる。
【0025】
また、苗等の替わりに種子を使用することもできる。種子は植物育成材4に蒔くことを基本とするが、植物育成材4が軽量ブロック資材の場合には、予めブロックの中に埋め込んでおいてもよい。さらには、一般的なバラバラの種子の他、有機質又は、無機質のシートに種子を付着させた種子シート17を用いることもできる(図17参照)。種子シート17を使用する場合には、植物育成材4の表面にでんぷん質などの溶液を散布し、その上面に種子シート17を貼付しておく。
【0026】
次に、植栽マットの他の実施形態について説明する。図6(a)は他の実施形態のマットフレームの部分平面図、同図(b)はその部分正面図、同図(c)はB-B線断面図、図7は当該実施形態の構成図である。
【0027】
本実施形態では、セル7の底面に十字型の凸状の底部リブ5cが形設されており、底部リブ5cの内部は、セル7の底部中心から側面下部にかけて連なる空間状態になっている。底部リブ5cには、4箇所の底部リブ開口部6aが設けられている。セル7とフィルター3と植物育成材4の組み合わせは、図7に示す如く、上記実施形態と同様である。従って、潅水された余剰水は、底部リブ開口部6aから底部リブ5c内部の空間を通って、セル7の側面下端部に導かれ排出される。
【0028】
さらに、マットフレーム2の周縁リブ5aと連結リブ5bの高さが異なる実施形態について示す。図8(a)は本発明による他の実施形態の植栽マットの斜視図、同図(b)はその周縁リブの部分断面図である。
【0029】
本実施形態では、周縁リブ5aと連結リブ5bの高さを同じにせず、周縁リブ5aの高さよりも連結リブ5bの高さを低く形成してある。周縁リブ5aと連結リブ5bの高さの相違については特に限定するものではないが、例えば10?20mm低く形成すると良好である。尚、本実施形態では、周縁リブ5aは外側に折れ曲がる鍵上のものとした。
【0030】
かかる構成により、客土を周縁リブ5aの高さまで詰めて植物を育成するにあたり、潅水により客土が沈下した際に、該客土の上面と連結リブ5bとの高さが略同一平面になる、また、客土を連結リブ5bの高さまで詰めた後に、切芝をその上面に並べて目土仕上げした際に、周縁リブ5aと略同一平面になるので、仕上がりの状態がよくなる作用がある。また、植栽マット1相互間の根の絡み合いが防止できるので、植栽マット1の移設のとき便利である。
【0031】
ここで、図9に周縁リブ5aの連設状態を例を示す。敷設によるマットフレーム2の側面上端部にある周縁リブ5aは、上記実施形態では全周に設けているが、所要辺にのみ設ける、全く設けない等でもよい。
【0032】
そして、隣接するマットフレーム2の周縁リブ5a相互の連設手段も適宜で、図9(a)は外向きの水平な周縁リブ5aを有し、隣接するマットフレーム2の周縁リブ5a相互を重ね合わせたもの、同図(b)は外向きに垂下げた構造の周縁リブ5aを有し、隣接するマットフレーム2の該周縁リブ5a相互を重ね合わせ係合させたもの、同図(c)は外向きの水平な周縁リブ5aを有し、隣接するマットフレーム2の周縁リブ5a相互を突き合わせたもの、図7(d)は周縁リブ5aを形成せず、隣接するマットフレーム2の側面上端の周縁部相互を突き合わせたもの等がある。
【0033】
次に、植栽マット1に用いるマットフレーム2の適宜箇所のリブ5を幅広にした実施形態について説明する。図10(a)は幅広リブを有する実施形態のマットフレームの平面図、同図(b)はその正面図、同図(c)はその断面図であり、図11(a)は該幅広リブを有する実施形態の植栽マットの平面図、同図(b)はその正面図、同図(c)はその断面図である。
【0034】
本実施形態では、マットフレーム2の縦横中心で、連結リブ5bが十字型に幅広に形成されているが、これに限定されるものではない。即ち、適宜箇所の縦方向や横方向の周縁リブ5a、連結リブ5bを幅広に形成することが可能であり、縦方向のみ、横方向のみ、又は縦横方向など適宜にリブ5を幅広にして良い。また、リブ5の幅は、必要に応じて適宜決定される。
【0035】
そして、幅広にしたリブ5を有する植栽マット1のみを組み合わせて使用しても、幅広にしたリブ5を有しない植栽マット1と組み合わせて使用してもよい。
【0036】
幅広にしたリブ5を有する植栽マット1は、後述の潅水装置の配設において、給水管の設置を容易にすることができる作用がある。
【0037】
次に、植栽マット1に用いるマットフレーム2のセル7に、仕切部材8を形成する実施形態について説明する。図12は仕切部材8を一体成形したマットフレームの斜視図であり、各セル7は壁型の仕切部材8によって画成部7aに分けられている。
【0038】
本実施形態では、壁型の仕切部材8はマットフレーム2の製造時に一体成型される。仕切部材8の形状はクロス状としたが、これに限定されるものではなく、格子状等、形状は適宜である。仕切部材8の高さは、セル7を連結するリブ5の高さとほぼ同一の高さとした。
【0039】
また、セル7内にある仕切部材8の中央部及び端部4箇所の上部に肉厚部9が形成され、その頂面に小穴10を設けてある。この小穴10は種子シート17を使用する場合に、種子シート17を固定する役割を果たす。
【0040】
壁型の仕切部材8によりセル7を画成部7aに分ける場合には、通水のために画成部7aごとに開口部6をセル7の底面付近に設けることが好ましいが、画成部7aごとには設けず、仕切部材8の下部に画成部7a相互の連通用切り欠きを形成して、セル7の一箇所等の開口部6で通水を行ってもよい。
【0041】
上記の仕切部材8はマットフレーム2と一体成型したが、仕切部材8とマットフレーム2は別体でもよく、その例として、図13(a)に別体の仕切部材を配置したマットフレームの拡大平面図、同図(b)にC-C線断面図を示す。
【0042】
本実施形態では、セル7内に別部材としてクロス状の仕切部材8を配設し、仕切部材8の中央部及び端部4箇所の上部には、上記と同様に肉厚部9が形成され、その頂面に小穴10を設けてある。仕切部材8の高さは、セル7のリブ5の高さと略同一であるが、これに限定されるものではない。
【0043】
そして、セル7の側面下部から底面中心に向かって隆起部11が形成され、該隆起部11のセル7中心方向への端部の上面には、通水のための開口部6が設けられている。隆起部11の内側は逆U字型の空間である凹溝11aになっており、開口部6を通った余剰水は凹溝11aから排出される。
【0044】
別体の仕切部材8の例を図14乃至16に示す。図14(a)は上下に一体に嵌合する仕切部材8の斜視図、同図(b)は嵌合状態にある上記仕切部材の斜視図である。2枚の平板8aを切り欠き12で上下に一体に嵌合させて、仕切部材8とする。図15は凹凸に嵌合する仕切部材8の斜視図であり、2枚の略直角板8の中央部平面において、凸部13と凹部14で凹凸に嵌合させて、仕切部材8とする。図16は円弧部を凹凸に係合する仕切部材8の斜視図であり、2枚の湾曲板8bの中央部において、円弧凸部15と円弧凹部16で凹凸に係合させて仕切部材8とする。
【0045】
これらの仕切部材8は、いずれも分離可能であることから、保管・搬入時に場所をとらず、さらに、図14の仕切部材8は、嵌合状態で矢印の方向に回転させて折りたたむことが可能であり、分離せずともある程度上記と同様の作用がある。
【0046】
実際に仕切部材8を植栽マット1の例を図17に示す。マットフレーム2の各セル7内にフィルター3(図示せず)を敷設し、フィルター3の上に別体のクロス状の仕切部材8を配設する。仕切部材8の配設でセル7は画成部7aに分割されている。各画成部7aには、植物育成材4がリブ5の上端部まで詰められている。
【0047】
そして、マットフレーム2の上部開口19に種子シート17が載置され、種子シート17は、ピン・釘等の止め具18と、仕切部材8の中央部・各端部に設けられた小穴10によってマットフレーム2に止められる。
【0048】
種子シート17の固定により、種子シート17は植物育成材4に面接触し、浮き上がったり、飛ぶことなく、水分を吸収して発芽することができる。
【0049】
仕切部材8を用いた場合には、マットフレーム2の上部からの圧力に対する強度を上げて補強するので、マットフレーム2の敷き詰め時、植栽マット1の敷き詰め時、又は敷設完了後の保守、点検時等において、その上部を歩行した際に、マットフレーム2の破損を防止し、植栽マット1の芝等の植物の根へのダメージを和らげる作用がある。
【0050】
また、各セル7内の植物育成材4につき、客土の場合は長期間における中央部の沈下を防止し、軽量土壌・軽量ブロック資材の場合はその移動を防止するので、植物育成材4を植物の育成に対し常に好条件に保つ作用がある。
【0051】
尚、仕切部材8は図8の連結リブ5bが周縁リブ5aより低いマットフレーム2にも適用できるもので、植物育成材4を連結リブ5bの高さまで詰めた後に、切り芝をその上面に並べて目土仕上げした際に、周縁リブ5aと略同一平面とすることもできる。
【0052】
次に、保水層21を用いて、本発明による植栽マット1を敷設する方法(植栽設備)について説明する。
【0053】
図18(a)は保水層の上部に植栽マットを敷設した場合の平面図、同図(b)はD-D線断面図である。本敷設方法は、敷設面20にスクリーン状(平面状)の保水層21を形成し、保水層21の上に植裁マット1の所要数を敷き詰めるものである。保水層21には、化学繊維や天然繊維を使用した織布・不織布、フェルト、吸水ポリマーをシートに加工したもの、或いはそれらの複合物等を用いる。
【0054】
上記敷設方法を採用することにより、ジョウロ等による上部からの潅水、降雨などの余剰水の一部は、排水ドレインに排水されることなく、保水層21に貯水され、セル7内の植物育成材4が水不足となった場合に保水層21の水分は底部の開口部6から毛細管現象によって吸水される。従って、保水層21は植物育成材4への水分補給源となって水枯れの心配がなく、植物の育成に大きく貢献し、管理も容易になる。
【0055】
そして、保水層21の存在により、植物の生育の培地となる植物育成材4を少なくしても、植物の水分の育成条件を好適に保持することができるので、ビル屋上等の敷設面への荷重負担を軽減できる作用がある。
【0056】
そして、植裁マット1の底部にある開口部6から出た植物の根張りは、保水層21上又は保水層21内に位置して、敷設面20を劣化させることがなく、防根の作用を果たす。
【0057】
さらに、上記保水層21上に給水管を配設する実施形態について説明する。図19(a)は保水層上に植栽マットを敷設して給水管を配設する場合の平面図、同図(b)は上記実施形態のE-E線断面図である。
【0058】
本敷設方法では、敷設面20に平面状の保水層21を形成した後、植栽マット1を敷き詰める際に、隣接する植栽マット1の相互間に所用経路の給水管配設用空間部22を形成するように敷き詰める。そして、該空間部22の保水層21上に該空間部22に沿うように給水管24を配設し、該空間部22にマットフレーム2のリブ5、即ち、植栽マット1の上端部と同一平面を形成する逆U字型のカバー部材25を給水管24を覆うように設ける。
【0059】
給水管24は潅水用加圧装置等に接続され、全体として潅水装置を構成する。潅水の種類には、保水層21の乾燥状況に合わせて潅水装置のセット及び作動を人が行う手動潅水、或いは、保水層21内に湿気センサーを設置した(完全)自動潅水があるが、そのどちらでも構わない。また、給水管24による潅水用装置としては、散水方式、ドリッパー方式及び浸み出し方式があるが、カバー部材25により水の飛散を防止できるので、いずれでもよい。
【0060】
図20は給水管を配設する場合の施工概念図の一例であり、保水層上に設ける所要経路の給水管配設用空間を形成する場合を示す。図20の如く、給水管配設用空間部22に曲がり部22aを有する場合、所定の大きさである1種類の植裁マット1により敷設していくと、曲がり部22aにおいて、給水管配設用空間22幅分の空隙23が形成される。この空隙23には、図21に示す細長のセル7をリブ5により連設した細長のマットフレーム2aを敷設し、又は後述の図22(b)のカバー部材25を配設する。尚、図20の施工概念図の別の例として、1種類の植栽マット1を相互間に空隙23を設けることなく並設しても差し支えない。
【0061】
図22(a)は給水管の部分拡大図である。給水管24は円筒形であるが、かかる形状に限定されるものではない。給水管24の周囲には、潅水時に水を流出させるための小孔26が適宜箇所に多数設けられている。
【0062】
図22(b)はカバー部材の部分拡大図である。カバー部材25の形状は、逆U字型の溝(チャンネル状)であるが、かかる形状に限定されるものではなく、後述する係合平板上のカバー部材25aでもよい(図38(a)参照)。カバー部材25の側面下部には、給水管24から保水層21へ通水するための略逆U字形の通水孔27が適宜箇所に設けられている。
【0063】
本実施形態では給水管24による潅水装置により、上述の水分補給、敷設面への荷重負担軽減、防根に加えて、給水を均一に、さらには自動化して行うとともに、外部への水の飛散がなく有効な水資源の利用に資することが可能になる。
【0064】
また、植裁マット1の上端部と略同一平面を形成するカバー部材25により、植栽マット1による設備が全体として平面的に形成され、見栄えが非常に良くなる。
【0065】
上記実施形態ではカバー部材25により給水管24を配設しているが、幅広リブ24により、給水管24を配設する実施形態について説明する。図23(a)は保水層上に幅広リブを有する植栽マットを敷設して給水管を配設した場合の平面図、同図(b)は上記実施形態のF-F線断面図、図24は保水層上に幅広リブを有する植栽マットを敷設して給水管を配設する場合の施工概念図である。
【0066】
本敷設方法は、敷設面20に平面状の保水層21を形成した後、植栽マット1を敷き詰める際に、幅広のリブ5を有する植栽マット1を用い、幅広リブ5とセル7側面と保水層21に囲まれた空間で所要経路の給水管配設用空間部22を形成するように、植栽マット1を連続して敷設するとともに、該空間部22に沿うように給水管24を配設する。
【0067】
図23では、マットフレーム2の連結リブ5bが幅広になっているが、これに限定されるものではなく、周縁リブ5aでもよく、又その両方でもよい。
【0068】
本敷設方法により、1種類のマットフレーム2で給水管を用いた潅水装置を配設でき、さらに、潅水装置配設用空間部22に曲がり部22aを有する場合でも、給水管24は植裁マット1の幅広リブ5内に位置しているので、1種類のマットフレームで足りる作用がある。
【0069】
次に、貯水槽トレー28を用いて、植栽マット1を敷設する方法(植栽設備)について説明する。
【0070】
図25は貯水槽トレー、マットフレーム、フィルター層及び植物育成材の構成図である。本実施形態による植栽マット1の敷設方法は、植栽マット1の敷設面上20に、植栽マット1が収納可能な凹型の貯水槽トレー28を所要数敷き詰め、その貯水槽トレー28内に植栽マット1を敷設するものである。
【0071】
図26(a)は貯水槽トレーを使用する実施形態のマットフレームの部分平面図、同図(b)はその断面図、同図(c)は上記実施形態の貯水槽トレーの断面図である。図26(c)の貯水槽トレー28は、1つの凹型の貯水槽29からなるが、複数の貯水槽29に区画されたものであってもよい。そして、マットフレーム2を1個又は複数を収納する、或いは1つのマットフレーム2を複数の貯水槽トレー28で受ける大きさの方形の形状である。
【0072】
貯水槽トレー28の材質、成型方法は特に限定するものではなく、合成樹脂製成型品やマットフレーム2と同一の材質のものを使用できる。厚さは、貯水槽トレー28が敷設面20の不陸に適応する程度のものとすると良好である。貯水槽トレー28の大きさは適宜であるが、マットフレーム2の高さの1/2?1/10の高さ程度のものがよく、実験例として1000×1000×10?50mmの大きさの貯水槽トレー28を使用した。
【0073】
貯水槽トレー28を用いた実施形態では、潅水による余剰水は貯水槽トレー28に貯水されて底面から潅水される、即ち、植物育成材4に毛細管現象によって水分を供給することが可能であり、水枯れの心配がなく、管理が容易になる。
【0074】
以下、貯水槽トレー28の例を示す。
【0075】
図27はマットフレーム及び貯水槽トレーの斜視図、図28はマットフレームを貯水槽トレーに敷設した状態の斜視図である。マットフレーム2と貯水槽トレー28の組み合わせの一例であり、16個のセルを有するマットフレーム2を4個収納できる貯水槽トレー28に敷設したものである。尚、マットフレーム2の敷き詰めた時の、隣接する周縁リブ5aの連接手段は、図9(a)?(d)に示したものと同様である。
【0076】
図29は、16個のセル7を有するマットフレーム2と、それを4枚収容できる貯水槽トレー28の斜視図であり、説明の便宜上、貯水槽トレー28は4つのブロック30に分けて、各々異なる大きさの貯水槽29を画成してある。
【0077】
ブロック30aは、16個のセル7を有するマットフレーム2の1つに対し、1つの貯水槽29で収容する。ブロック30bは、8個のセル7を1つの貯水槽29に収容するもので、16個のセルを有するマットフレーム2の1つを、2つの貯水槽29で収容する。ブロック30cは、4個のセル7を1つの貯水槽29で収容するもので、16個のセル7を有するマットフレーム2の1つに対し、4つの貯水槽29で収容する。ブロック30dは、1個のセル7を1つの貯水槽29で収容するもので、16個のセル7を有するマットフレーム2の1つに対し、16個の貯水槽29で収容する。
【0078】
ブロック30aとブロック30c間の貯水槽画成部29aの上部には、各貯水槽29ごとに連通するように、1部を切り欠いた通水凹部27aを形成してある。他の部分においても、鎖線のごとく通水凹部27aを形成することにより、各貯水槽29への通水を容易にすることができる。
【0079】
図30は複数の貯水槽が設けられた貯水槽トレーの斜視図である。この貯水槽トレー28は複数の貯水槽29に区画され、1つの貯水槽29に1つのセル7を対応させることが可能である。
【0080】
貯水槽291つに対し割り当てられるセル7の数を少なくすれば、各セル7内の植物育成材4に対する水分補給が確実になり、本実施形態で、貯水槽29とセル7を1対1で対応させるとより良好になる。この場合に、上述の貯水槽29の画成部29a上端部に通水凹部27aを形成して、各貯水槽29への通水を容易にすれば、一層水分補給が確実になる。さらに、植栽マット1の敷設面20の排水用傾斜勾配を利用すれば、より有効で効率的な水分補給が実現できる。
【0081】
次に、隣接する貯水槽トレー28同士を連結する例を示す。
【0082】
図31は貯水槽トレー相互の連結状態を示す斜視図である。本実施形態による植栽マット1の敷設方法は、植栽マット1の敷設面上20に、植栽マット1が収納可能な凹型の貯水槽トレー28を所要数敷き詰め、その貯水槽トレー28内に植栽マット1を敷設し、貯水槽トレー28相互の側面上端部28aを連結部材31で連結する。
【0083】
各貯水槽トレー28は、隣接する側面上端部28aの全長に亘り、合成樹脂製等の連結部材31、具体的には略逆U字状の直線連結部材31a、略十字型の連結部材31b、略T字型の連結部材31cを嵌合され、相互を嵌着される。
【0084】
貯水槽トレー28同士を連結する場合は、隣接する貯水槽トレー28相互で、貯水された余剰水の交換が可能であり、この点から、貯水槽トレー28の側面上端部28aに通水凹部27aを設けると、より有利になる。
【0085】
ここで、貯水槽トレー28に切り欠け凹部34を形成した例について示す。図32は貯水槽トレー相互の連結状態の変更例を示す斜視図である。
【0086】
本実施形態による植栽マット1の敷設方法は、側面上端部28aに切り欠き凹部32を形成した貯水槽トレー28を用い、敷設面上20に貯水槽トレー28相互の切り欠き凹部32が隣接するように貯水槽トレー28を敷き詰めるとともに、切り欠き凹部32同士に連結部材31dを嵌合し、貯水槽トレー28を嵌着する。そして、貯水槽トレー28内に植栽マット1を敷設する。
【0087】
切り欠き凹部32の大きさ、形状は、適宜である。そして、隣接する切り欠き凹部32に嵌合する連結部材31dは、該凹部32の形状に合致する形状であり、該凹部32に凹凸係合等して部分連結する。また、連結部材31dは切り欠き凹部32以外の部分で、隣接する貯水槽トレー28を連結するものであってもよい。
【0088】
切り欠き凹部32を有する貯水槽トレー28を用いた場合は、切り欠き凹部32の高さが貯水槽トレー28の側面より低いことから、貯水槽トレー28同士の水分交換がより有効に行われる。
【0089】
これら貯水槽トレー28を用いた植栽マット1の敷設では、ジョウロ等による上部からの潅水、降雨などの余剰水は、マットフレーム2の各セル7の開口6から流出して、貯水槽トレー28に貯水される。その貯水高さは、貯水槽トレー28の側面上端部28a、通水凹部27a或いは連結部材31dを嵌合された切り欠き凹部32の位置までである。これ以上の余剰水は、隣接貯水槽トレー28に流入し、最終的には貯水槽トレー28からあふれ、敷設面20上を流れて排水ドレインより排出される。
【0090】
次に、貯水槽トレー28を用い、給水管24による潅水装置を設ける植栽マット1の敷設方法(植栽設備)について説明する。
【0091】
図33は3種類のマットフレームを敷設して給水管配設空間を形成した概念図の一例、図34(a)は3種類のマットフレームを敷設して給水管配設空間を形成した実施形態の平面図、同図(b)はその断面図である。
【0092】
本敷設方法は、敷設面20に貯水槽トレー28を敷設した後、植栽マット1を貯水槽トレー28内に敷き詰める際に、植栽マット1の隣接相互間に所用経路の給水管配設用空間部22を形成するように敷き詰め、該空間部22に貯水槽トレー28の側面上端部28a又は切り欠き凹部32(図示せず)で保持して給水管24を配設し、該空間部22の給水管24の上方から、マットフレーム2のリブ5と略同一平面を形成するカバー部材25を設けるものである。給水管24による潅水装置は、上述のものと同様であり、給水方式は問わない。
【0093】
カバー部材25は、上述したチャンネル状のカバー部材25であり、該カバー部材25の下側には、略U字状の通水孔27が設けられ、通水孔27を通して給水管24から貯水槽トレー28へ通水が行われる(図22参照)。かかるカバー部材25は、後述する係合部を有する平板状カバー部材25aでもよい。
【0094】
図33の如く、給水管配設用空間部22を形成したときに曲がり部22aを有する場合、所定の大きさである1種類の貯水槽トレー28を敷き詰めた後、その貯水槽トレー28内に給水管配設用空間部22を形成し得る3種類の大きさのA、B、Cのマットフレーム2を組み合わせて敷設することにより、潅水装置配設用空間22以外の空隙を生ずることなく、マットを敷き詰めることができる。
【0095】
また、図19の如く基本的に1種類のマットフレーム2を敷設する場合は、所定の大きさの貯水槽トレー28を敷設し(図示せず)、貯水槽トレー28内に所定大きさであるマットフレーム2を図示の如く敷設すると、空隙23が形成される。この空隙23には、上記と同様に図21の細長のマットフレーム2aを用いた植裁マット1や図22(b)のチャンネル状のカバー部材25を配設する。
【0096】
尚、上記の敷設方法の別の例として、空隙23を設けることなく、1種類の貯水槽トレー28内に1種類のマットフレーム2を並設しても差し支えない。
【0097】
本実施形態では、給水管による潅水装置を用いて、有効な水資源の利用が図られる。即ち、給水すると通水孔27から水が流出し、貯水槽トレー28の側面上端部28aまで貯水され、その貯水レベルを超えると上端連結部28aを乗り越えて隣接する貯水槽トレー28に流入し、順次各貯水槽トレー28の貯水レベルまで貯水される。
【0098】
図35は幅広リブを有する1種類のマットフレームを敷設して給水管配設空間を形成した概念図、図36(a)は幅広リブを有する1種類のマットフレームを敷設して給水管配設空間を形成した実施形態の平面図、同図(b)はその断面図である。
【0099】
本敷設方法は、敷設面20に貯水槽トレー28を敷設した後、植栽マット1を貯水槽トレー28内に敷き詰める際に、幅広リブ5を有する植栽マット1を用い、幅広リブ5とセル7側面と貯水槽トレー28の底面に囲まれた空間で所要経路の給水管配設用空間部22を形成するように、植栽マット1を連続して敷設するとともに、該空間部22に貯水槽トレー28の側面上端部28a又は切り欠き凹部32(図示せず)で保持して給水管24を所要経路に配設するものである。給水管24による潅水装置は、上述のものと同様であり、給水方式は問わない。
【0100】
この場合は、、潅水装置に曲がり部22aを有する場合でも、給水管24は植裁マット1の幅広リブ5内に位置しているので、マットフレーム2は1種類の大きさで足りる。
【0101】
次に、貯水槽トレー28と貯水樋33を用いて、本発明による植栽マット1を敷設する方法(植栽設備)について説明する。
【0102】
図37は2種類の貯水槽トレーを敷設して給水管配設空間を形成した概念図の一例、図38(a)は2種類の貯水槽トレーを敷設して給水管配設空間を形成した実施形態の斜視図、同図(b)は上記実施形態の貯水樋の斜視図、図39は2種類の貯水槽トレーを敷設して潅水装置配設空間を形成した実施形態の部分断面図である。
【0103】
本敷設方法は、貯水槽トレー28の間に所要経路の給水管配設用空間部22を形成するように貯水槽トレー28を敷設面20に敷き詰め、該空間部22に貯水槽トレー28と同一高さの貯水樋33を配設し、貯水槽トレー28の側面上端部28aと貯水樋33の側面上端部33cを連結部材31で連結し、該空間部22に貯水樋33の側面上端部33cの給水管位置決め凹部34で保持して給水管24を配設し、その上方にマットフレーム2のリブ5と略同一平面を形成するカバー部材25をリブ5に嵌合する。そして、貯水槽トレー28内に植栽マット1を載置するものである。尚、給水管24を貯水槽トレー28内に設ける上記に実施形態との併用も可能であり、また、潅水方式は問わない。
【0104】
形成した給水管配設用空間22に曲がり部22aを有する場合、所定の大きさ2種類のD、Eの貯水槽トレー28を敷き詰めて給水管配設用空間22を形成した後、そのD、E内に、所定大きさの2種類の植裁マット1を敷設する。そして、該空間部22には、直線33aと曲がり部33bの貯水樋33を配設する。
【0105】
また、1種類の貯水槽トレー28を用いて、給水管配設用空間22を形成した結果できた空隙には、図20の細長のマットフレーム2a又は図22(b)のチャンネル状カバー部材25と、これを受ける貯水槽トレー28を準備して対処してもよい。また、空隙を設けることなく、1種類の貯水槽トレー28を並設しても差し支えない。
【0106】
貯水樋33は、貯水槽トレー28相互間に形成される給水管配設用空間22に適合する大きさ、形状のものであり、また、該空間部22に適応して、直線33aや曲がり部33bの貯水樋33を用いる。貯水樋33の側面上端部33cのうち、給水管24を配設する部分には、給水管の位置決め凹部34が形成してあり、その内部は貯水用に凹型の空間になっている。
【0107】
貯水樋33の両側に位置する貯水槽トレー28の側面上端部28aと、貯水樋33の側面上端部33cは、図31又は図32の連結部材31で連結される。
【0108】
カバー部材25には、両側の植裁マット1の上端部への係合する平板状のカバー部材25aを用いるが(図38(a)参照)、図22のチャンネル状のカバー部材25を用いて、カバー部材25の下端部を貯水樋33の上端部33cに載置してもよい。
【0109】
本敷設方法により、貯水樋を介して隣接する貯水槽トレー28に順次通水され、各貯水槽トレー28の貯水レベルまで貯水される。
【0110】
上記の各施工方法(植栽設備)は具体例にして、図面及び説明文に限定されるものではなく、その他、請求の範囲内における種々の施工方法(植栽設備)を含むものである。
【0111】
次に、マットフレーム2に給水口(K)と点検口(T)を設けて、植栽マット1を敷設する方法(植栽設備)について説明する。
【0112】
図40は傾斜勾配を有するスラブ面上に植栽マットを敷設して給水口(K)及び点検口(T)を設けた場合の概念図である。同図の植栽マット1は、中心付近の高さが最も高く、周辺に行くに従って低くなる傾斜勾配を有する。
【0113】
本敷設方法(植栽設備)は、植栽マット1を敷設する際に、植物育成材4を形設しないマットフレーム2の所要箇所のセル7を切除し、その部分に開閉又は着脱可能な蓋(図示せず)を設け、水量の点検口T又は給水口Kとするものである。
【0114】
ホース、自動潅水装置等による潅水を、合成樹脂製等のマットフレーム2の下に敷設されている保水層21又は貯水槽トレー28から行う場合に、排水のための傾斜勾配を有する敷設面20の高所・低所等、所要箇所でマットフレーム2のセル7を切除し給水口Kや貯水量の点検口Tとする。セル7の切除は、植栽マット1の敷設時、敷設後はもとより、製造工場で事前に処理をしてもよい。そして、該セル7の切除部分35の上面には、開閉又は着脱可能な蓋を設けて、異物の侵入を防止する。
【0115】
さらに、点検口T内の適宜箇所に、水又は湿気を感知するセンサを設置し、これを自動潅水装置に連動させ、感知センサの作動により、給水口からの潅水作業を自動的に始動させる装置とすることもできる。
【0116】
本敷設方法により、点検口Tを目視確認し又はセンサが自動的に水又は湿気の不足を感知することにより、貯水量が不足の場合は、給水口Kによりホース又は自動潅水装置等で、望ましい水位レベル等まで給水する。従って、水位レベル等の管理が容易になる。
【0117】
また、植栽マット1の一部に植桝36を配置して、植栽マット1を敷設する方法(植栽設備)について説明する。
【0118】
図41はマットフレームのセルの適宜箇所を切除した実施形態の概念図、図42は植桝に低木を植栽した場合の斜視図である。
【0119】
本敷設方法は、植栽マット1を敷設面20に敷設するに際し、少なくともマットフレーム2の一部を除去し、その箇所に植桝36を配置するものである。即ち、マットフレーム2の適宜箇所を除去してセル切除空間35を形成し、その空間35に、低木37などを植えた植桝36を配設する。
【0120】
この植桝36の下部には開口6が設けられ、その上部には土壌流出防止用フィルター3を介して植物育成材4が配設され、植栽が行われる。
【0121】
マットフレーム2のみを切除する場合は、セル切除空間35の下部は実施形態に応じて、敷設面20、保水層21又は貯水槽トレー28となる。また、マットフレーム2の下に保水層21又は貯水槽トレー28を敷設して、両者を除去してセル切除空間35を形成してもよい。この場合、該空間35に設置された植桝36の下部は敷設面20となる。
【0122】
尚、貯水槽トレー28の中に植桝36を配置する場合に、植桝36の高さに対して貯水槽トレー28の貯水レベルが低くなるときには、その分、毛細管現象による吸水の良好な植物育成材4を選定使用するとよい。
【0123】
本敷設方法を採用することにより、低木用の植桝等を配置することが可能になるので、景観をより自然な状態とすることができる。
【0124】
また、位置ずれ防止部材40を用いて、植栽マット1を敷設する方法(植栽設備)について説明する。
【0125】
図43は敷設した植栽マットと建築物の側壁、ボーダー、スロープ(又は框)との位置関係を示す概念図である。
【0126】
本敷設方法(植栽設備)は、植栽マット1を敷設面20に敷設する際に、敷き詰めた植栽マット1の全周の内、植栽マット1と建物の側壁38の間の空間部39にマットフレーム2のリブ5と略同一高さの位置ずれ防止部材40を配設し、該空間部39以外の植栽マット1の側端部には、マットフレーム2の上部から敷設面20に亘って一端を敷設面20に固定するスロープ41または框42を配設するものである。
【0127】
側壁38と植栽マット1、保水層21若しくは貯水槽トレー28との間の空間部39には、植栽マットの位置ずれ防止部材40が配置される。この位置ずれ防止部材40の高さは、植栽マット1の上端部にあるリブ5等と略同一平面を形成する。図44(a)は空間部39に位置ずれ防止部材40としてボーダー40aを配置した例を示す。
【0128】
また、図44(b)の如く、該空間部39に位置決め用のコンクリートブロック40bを配設し、このコンクリートブロック40bと植栽マット1、保水層21若しくは貯水槽トレー28との間に、所要幅、所要長さのフレキシブルコンクリートマット40cを配置し、寸法調整を行ってもよい。
【0129】
ここで、位置決め部材40の材質は、木材、プラスチック製・コンクリート製等のブロック、フレキシブルコンクリートマット、発泡スチロール、コンクリート、又はそれらの組み合わせなど適宜である。
【0130】
上記の空間部39は、屋上の側壁38付近にある排水用の凹溝を考慮して、あえて設けてもよい。即ち、該排水溝の部分には、植栽マット1による人工地盤の形成が困難であり、側壁38からある程度離れた位置から人工地盤を形成するのが安全かつ有効である。一例として、側壁38から20cm?60cm離れた位置に植栽マット1を敷設したものが良好であった。
【0131】
植栽マット1の全周の内、側壁39と植栽マット1の間以外の場所においては、マットフレーム2の上端部付近から敷設面20に亘るスロープ41又は框42を配設して、スロープ41や框42の少なくとも一端を止め具18で敷設面20に固定する(図44(c)、同図(d))。
【0132】
ここで、スロープ41、框42の材質は適宜であるが、スロープ41の材質の例として、アルミニウム、木材などが、框42の材質の例としてアルミニウム、ステンレスなどがある。
【0133】
植栽マット1を本実施形態で敷設することにより、植栽マット1の全周のうち、建物の側壁38付近やそれ以外の場所での位置ずれを防止でき、かつ、植栽マット1による人工地盤の見栄えを向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0134】
本発明は、例えばビルの屋上等の人工地盤上に設けて地被植物を育成する植栽設備に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】植栽マットの斜視図。
【図2】(a)は植栽マットの平面図。(b)は植栽マットの断面図。
【図3】(a)は植栽マットのマットフレームの平面図。(b)は植栽マットのマットフレームの正面図。(c)は植栽マットのマットフレームの断面図。
【図4】(a)は一実施形態のマットフレームの部分平面図。(b)は一実施形態のマットフレームの部分正面図。(c)は一実施形態のマットフレームのA-A線断面図。
【図5】植栽マットの一実施形態の構成図。
【図6】(a)は他の実施形態のマットフレームの部分平面図。(b)は他の実施形態のマットフレームの部分正面図。(c)は他の実施形態のマットフレームのB-B線断面図。
【図7】植栽マットの他の実施形態の構成図。
【図8】(a)は他の実施形態の植栽マットの斜視図。(b)は上記実施形態の周縁部リブの部分断面図。
【図9】(a)?(d)は隣接する周縁部リブの連接状態を示す部分断面図。
【図10】(a)は幅広リブを有する実施形態のマットフレームの平面図。(b)は上記実施形態のマットフレームの正面図。(c)は上記実施形態のマットフレームの断面図。
【図11】(a)は幅広リブを有する実施形態の植栽マットの平面図。(b)は上記実施形態の植栽マットの正面図。(c)は上記実施形態の植栽マットの断面図。
【図12】仕切部材を一体成形したマットフレームの斜視図。
【図13】(a)は別体の仕切部材を配置したマットフレームの拡大平面図。(b)はC-C線断面図。
【図14】(a)は上下に一体に嵌合する仕切部材の斜視図。(b)は嵌合状態にある上記仕切部材の斜視図。
【図15】凹凸に嵌合する仕切部材の斜視図。
【図16】円弧部を凹凸に係合する仕切部材の斜視図。
【図17】仕切部材を有する植栽マットの斜視図。
【図18】(a)は保水層上に植栽マットを敷設した実施形態の平面図。(b)は上記実施形態のD-D線断面図。
【図19】(a)は保水層上に植栽マットを敷設して給水管を配設する場合の平面図。(b)は上記実施形態のE-E線断面図。
【図20】給水管を配設する場合の施工概念図。
【図21】細幅のマットフレームの斜視図。
【図22】(a)は給水管の部分拡大図。(b)はカバー部材の部分拡大図。
【図23】(a)は保水層上に幅広リブを有する植栽マットを敷設して給水管を配設した場合の平面図。(b)は上記実施形態のF-F線断面図。
【図24】保水層上に幅広リブを有する植栽マットを敷設して給水管を配設する場合の施工概念図。
【図25】貯水槽トレー、マットフレーム、フィルター層及び植物育成材の構成図。
【図26】(a)は貯水槽トレーを使用する実施形態のマットフレームの部分平面図。(b)は上記実施形態の断面図(c)は上記実施形態の貯水槽トレーの断面図。
【図27】マットフレーム及び貯水槽トレーの斜視図。
【図28】マットフレームを貯水槽トレーに敷設した状態の斜視図。
【図29】他の実施形態のマットフレーム及び貯水槽トレーの斜視図。
【図30】複数の貯水槽が設けられた貯水槽トレーの斜視図。
【図31】貯水槽トレー相互の連結状態を示す斜視図。
【図32】貯水槽トレー相互の連結状態の変更例を示す斜視図。
【図33】3種類のマットフレームを敷設して給水管配設空間を形成した概念図。
【図34】(a)は3種類のマットフレームを敷設して給水管配設空間を形成した実施形態の平面図。(b)は上記実施形態の断面図。
【図35】幅広リブを有する1種類のマットフレームを敷設して給水管配設空間を形成した概念図。
【図36】(a)は幅広リブを有する1種類のマットフレームを敷設して給水管配設空間を形成した実施形態の平面図。(b)は上記実施形態の断面図。
【図37】2種類の貯水槽トレーを敷設して給水管配設空間を形成した概念図。
【図38】(a)は2種類の貯水槽トレーを敷設して給水管配設空間を形成した実施形態の斜視図。(b)は上記実施形態の貯水樋の斜視図。
【図39】2種類の貯水槽トレーを敷設して給水管配設空間を形成した実施形態の部分断面図。
【図40】傾斜勾配を有するスラブ面上に植栽マットを敷設して給水口(K)及び点検口(T)を設けた場合の概念図。
【図41】マットフレームのセルの適宜箇所を切除した実施形態の概念図。
【図42】植桝に低木を植栽した場合の斜視図。
【図43】敷設した植栽マットと建築物の側壁、ボーダー、スロープ(又は框)との位置関係を示す概念図。
【図44】(a)は植栽マットと側壁、ボーダーの配置を示す断面図。(b)は植栽マットと側壁、フレキシブルコンクリートブロック、コンクリートブロックの配置を示す断面図。(c)は植栽マットとスロープの配置を示す断面図。(d)は植栽マットと框の配置を示す断面図。
【符号の説明】
【0136】
1 植栽マット
2 マットフレーム
3 フィルター
4 植物育成材
8 仕切部材
21 保水層
24 給水管
25 カバー部材
28 貯水槽トレー
31 連結部材
33 貯水樋
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部と側面を有すると共に、該底部近傍に開口部を有する凹型のセルを有するマットフレーム内に植物育成材を設けてなる植栽マットを敷設面に空隙を生じることなく複数敷き詰め、
該敷き詰めた植栽マット群の外周に框を配設し、
該框の被覆部を該框の側壁上端から該植栽マット群側へ突出して設け、
該植栽マット群と該框の側壁間の隙間及び該植栽マット群の外周縁の上端部より該植栽マット群側の領域を該框の該被覆部で被覆することを特徴とする植栽設備。
【請求項2】
前記框を前記敷設面に固定して配設し、
前記框で前記敷き詰めた植栽マット群の位置ずれを防止することを特徴とする請求項1記載の植栽設備。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2009-03-31 
結審通知日 2009-04-07 
審決日 2009-04-21 
出願番号 特願2006-286318(P2006-286318)
審決分類 P 1 113・ 16- ZA (A01G)
最終処分 成立  
前審関与審査官 郡山 順  
特許庁審判長 山口 由木
特許庁審判官 山本 忠博
宮崎 恭
登録日 2007-07-06 
登録番号 特許第3979659号(P3979659)
発明の名称 植栽設備  
代理人 元井 成幸  
代理人 高橋 隆二  
代理人 元井 成幸  
代理人 薬丸 誠一  
代理人 藤本 昇  
代理人 高橋 隆二  
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