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審決分類 |
審判 査定不服 特39条先願 特許、登録しない。 G11B |
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管理番号 | 1236813 |
審判番号 | 不服2009-3507 |
総通号数 | 139 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2011-07-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2009-02-17 |
確定日 | 2011-05-12 |
事件の表示 | 特願2000- 97418「情報信号記録再生装置および情報信号記録再生方法」拒絶査定不服審判事件〔平成13年10月12日出願公開、特開2001-283513〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成12年3月31日(国内優先権主張 平成12年1月27日)の出願であって、平成20年2月4日付けの拒絶理由通知に対し、平成20年3月31日付けで手続補正書が提出され、平成20年6月25日付けの最後の拒絶理由通知に対し、平成20年8月1日付けの手続補正書が提出され、前記平成20年8月1日付けの手続補正については、平成20年12月17日付けで補正の却下の決定がなされるとともに、同日付けで拒絶査定がなされ、平成21年2月17日付けで拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同日付けでの手続補正書が提出されたものである。 さらに、平成22年11月30日付けで審尋がなされ、平成22年12月22日付けで回答書が提出された。 第2 平成21年2月17日付けの手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成21年2月17日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1.補正の内容 本願は、平成20年3月31日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲 「【請求項1】 情報信号記録媒体から少なくとも一つのヘッドによりn個(但し、nは2以上の整数)の情報信号を時分割で再生し、前記n個の情報信号を前記ヘッドの再生転送レートで一時的にバッファメモリに記憶し、前記バッファメモリの一時的に記憶した前記n個の情報信号を前記ヘッドの再生転送レートより遅い、前記n個のそれぞれの情報信号の転送レートで出力し、 前記ヘッドからの前記n個の情報信号の再生転送レートと、前記バッファメモリから出力する前記n個の情報信号の各転送レートとの差を前記バッファメモリで吸収し、 前記ヘッドから前記バッファメモリに転送する前記n個の情報信号の再生転送レート…Rp、 前記n個の情報信号を前記バッファメモリから出力する各転送レートの総和…ΣRn=Ra+Rb+ … +Rn、 前記n個の情報信号の各再生情報単位量を前記ヘッドから前記バッファメモリに転送する情報単位量の総和…ΣYn=Ya+Yb+ … +Yn、 前記ヘッドを一体的に移動する移動体が前記情報信号記録媒体上での現在の位置から次の位置に移動し再生までに要する各時間の総和をΣSnとし、 ΣYn≧Rp×ΣRn×ΣSn/(Rp-ΣRn) Ya≧Rp×Ra×ΣSn/(Rp-ΣRn) Yb≧Rp×Rb×ΣSn/(Rp-ΣRn) … Yn≧Rp×Rn×ΣSn/(Rp-ΣRn) の関係式を満たして前記情報信号記録媒体から前記n個の情報信号を時分割で再生することを特徴とする情報信号再生装置。 【請求項2】 それぞれの転送レートで入力したn個(但し、nは2以上の整数)の情報信号をバッファメモリに一時的に記憶し、 前記n個の情報信号をそれぞれの転送レートより速い転送レートで前記バッファメモリから読み出して、前記n個の情報信号に対応する情報信号記録媒体上の位置に、少なくとも一つのヘッドにより時分割で記録し、 前記ヘッドによる前記n個の情報信号への転送レートと、前記バッファメモリに入力した前記n個の情報信号の各転送レートとの差を前記バッファメモリで吸収し、 前記ヘッドに前記バッファメモリから転送する前記n個の情報信号の転送レート…Rp、 前記n個の情報信号を前記バッファメモリに入力する各転送レートの総和…ΣRn=Ra+Rb+ … +Rn、 前記n個の情報信号の各記録情報単位量の総和…ΣYn=Ya+Yb+ … +Yn、 前記ヘッドを一体的に移動する移動体が前記情報信号記録媒体上での現在の位置から次の位置に移動し記録までに要する各時間の総和…ΣSnとし、 ΣYn≧Rp×ΣRn×ΣSn/(Rp-ΣRn) Ya≧Rp×Ra×ΣSn/(Rp-ΣRn) Yb≧Rp×Rb×ΣSn/(Rp-ΣRn) … Yn≧Rp×Rn×ΣSn/(Rp-ΣRn) の関係式を満たして前記バッファメモリから前記n個の情報信号を前記情報信号記録媒体に時分割で記録することを特徴とする情報信号記録装置。 【請求項3】 n個(但し、nは2以上の整数)の情報信号のうち少なくとも一つの情報信号を記録し、残りの情報信号を再生するために、前記n個の情報信号を一時的にバッファメモリに記憶し、 情報信号記録媒体に記録する情報信号と、前記情報信号記録媒体から再生する情報信号とをそれぞれの転送レートでバッファメモリに入出力し、 前記バッファメモリに入力した情報信号の転送レートより速い転送レートで少なくとも一つのヘッドを用いて前記情報信号記録媒体に記録し、 再生すべき情報信号の転送レートより速い転送レートで、前記情報信号記録媒体から前記ヘッドにより前記バッファメモリに転送するステップとを時分割して行い、 前記ヘッドによる前記n個の情報信号への転送レートと、前記バッファメモリに入出力する前記n個の情報信号の転送レートとの差を前記バッファメモリで吸収し、 前記ヘッドにより前記バッファメモリに対して入出力される前記n個の情報信号の転送レート…Rp、前記n個の情報信号を前記バッファメモリに入出力する各転送レートの総和…ΣRn=Ra+Rb+ … +Rn、前記n個の情報信号の各記録再生情報単位量の総和…ΣYn=Ya+Yb+… +Yn、 前記ヘッドを一体的に移動する移動体が前記情報信号記録媒体上での現在の位置から次の位置に移動し記録または再生までに要する各時間の総和…ΣSnとし、 ΣYn≧Rp×ΣRn×ΣSn/(Rp-ΣRn) Ya≧Rp×Ra×ΣSn/(Rp-ΣRn) Yb≧Rp×Rb×ΣSn/(Rp-ΣRn) … Yn≧Rp×Rn×ΣSn/(Rp-ΣRn) の関係式を満たして前記情報信号記録媒体に前記n個の情報信号を記録再生することを特徴とする情報信号記録再生装置。 【請求項4】 情報信号記録媒体から少なくとも一つのヘッドによりn個(但し、nは2以上の整数)の情報信号を時分割で再生し、前記n個の情報信号を前記ヘッドの再生転送レートで一時的にバッファメモリに記憶し、前記バッファメモリの一時的に記憶した前記n個の情報信号を前記ヘッドの再生転送レートより遅い、前記n個のそれぞれの情報信号の転送レートで出力するステップと、 前記ヘッドからの前記n個の情報信号の再生転送レートと、前記バッファメモリから出力する前記n個の情報信号の各転送レートとの差を前記バッファメモリで吸収するステップと、前記ヘッドから前記バッファメモリに転送する前記n個の情報信号の再生転送レート…Rp、前記n個の情報信号を前記バッファメモリから出力する各転送レートの総和…ΣRn=Ra+Rb+ … +Rn、前記n個の情報信号の各再生情報単位量を前記ヘッドから前記バッファメモリに転送する情報単位量の総和…ΣYn=Ya+Yb+ … +Yn、前記ヘッドを一体的に移動する移動体が前記情報信号記録媒体上での現在の位置から次の位置に移動し再生までに要する各時間の総和をΣSnとし、 ΣYn≧Rp×ΣRn×ΣSn/(Rp-ΣRn) Ya≧Rp×Ra×ΣSn/(Rp-ΣRn) Yb≧Rp×Rb×ΣSn/(Rp-ΣRn) … Yn≧Rp×Rn×ΣSn/(Rp-ΣRn) の関係式を満たして前記情報信号記録媒体から前記n個の情報信号を時分割で再生するステップとを有することを特徴とする情報信号再生方法。 【請求項5】 それぞれの転送レートで入力したn個(但し、nは2以上の整数)の情報信号をバッファメモリに一時的に記憶するステップと、 前記n個の情報信号をそれぞれの転送レートより速い転送レートで前記バッファメモリから読み出して、前記n個の情報信号に対応する情報信号記録媒体上の位置に、少なくとも一つのヘッドにより時分割で記録するステップと、 前記ヘッドによる前記n個の情報信号への転送レートと、前記バッファメモリに入力した前記n個の情報信号の各転送レートとの差を前記バッファメモリで吸収するステップと、前記ヘッドに前記バッファメモリから転送する前記n個の情報信号の転送レート…Rp、前記n個の情報信号を前記バッファメモリに入力する各転送レートの総和…ΣRn=Ra+Rb+ … +Rn、前記n個の情報信号の各記録情報単位量の総和…ΣYn=Ya+Yb+ … +Yn、前記ヘッドを一体的に移動する移動体が前記情報信号記録媒体上での現在の位置から次の位置に移動し記録までに要する各時間の総和…ΣSnとし、 ΣYn≧Rp×ΣRn×ΣSn/(Rp-ΣRn) Ya≧Rp×Ra×ΣSn/(Rp-ΣRn) Yb≧Rp×Rb×ΣSn/(Rp-ΣRn) … Yn≧Rp×Rn×ΣSn/(Rp-ΣRn) の関係式を満たして前記バッファメモリから前記n個の情報信号を前記情報信号記録媒体に時分割で記録するステップと、 を有することを特徴とする情報信号記録方法。 【請求項6】 n個(但し、nは2以上の整数)の情報信号のうち少なくとも一つの情報信号を記録し、残りの情報信号を再生するために、前記n個の情報信号を一時的にバッファメモリに記憶し、情報信号記録媒体に記録する情報信号と、前記情報信号記録媒体から再生する情報信号とをそれぞれの転送レートでバッファメモリに入出力するステップと、前記バッファメモリに入力した情報信号の転送レートより速い転送レートで少なくとも一つのヘッドを用いて前記情報信号記録媒体に記録するステップと、 再生すべき情報信号の転送レートより速い転送レートで、前記情報信号記録媒体から前記ヘッドにより前記バッファメモリに転送するステップとを時分割して行うステップと、前記ヘッドによる前記n個の情報信号への転送レートと、前記バッファメモリに入出力する前記n個の情報信号の転送レートとの差を前記バッファメモリで吸収するステップと、前記ヘッドにより前記バッファメモリに対して入出力される前記n個の情報信号の転送レート…Rp、前記n個の情報信号を前記バッファメモリに入出力する各転送レートの総和…ΣRn=Ra+Rb+ … +Rn、前記n個の情報信号の各記録再生情報単位量の総和…ΣYn=Ya+Yb+… +Yn、前記ヘッドを一体的に移動する移動体が前記情報信号記録媒体上での現在の位置から次の位置に移動し記録または再生までに要する各時間の総和…ΣSnとし、 ΣYn≧Rp×ΣRn×ΣSn/(Rp-ΣRn) Ya≧Rp×Ra×ΣSn/(Rp-ΣRn) Yb≧Rp×Rb×ΣSn/(Rp-ΣRn) … Yn≧Rp×Rn×ΣSn/(Rp-ΣRn) の関係式を満たして前記情報信号記録媒体に前記n個の情報信号を記録再生するステップと、を有することを特徴とする情報信号記録再生方法。」 を、 「【請求項1】 n個(但し、nは2以上の整数)の情報信号のうち少なくとも一つの情報信号を記録し、残りの情報信号を再生するために、前記n個の情報信号を一時的にバッファメモリに記憶し、 情報信号記録媒体に記録する情報信号と、前記情報信号記録媒体から再生する情報信号とをそれぞれの転送レートでバッファメモリに入出力し、 前記バッファメモリに入力した情報信号の転送レートより速い転送レートで少なくとも一つのヘッドを用いて前記情報信号記録媒体に記録し、 再生すべき情報信号の転送レートより速い転送レートで、前記情報信号記録媒体から前記ヘッドにより前記バッファメモリに転送するステップとを時分割して行い、 前記ヘッドによる前記n個の情報信号への転送レートと、前記バッファメモリに入出力する前記n個の情報信号の転送レートとの差を前記バッファメモリで吸収し、 前記ヘッドにより前記バッファメモリに対して入出力される前記n個の情報信号の転送レート…Rp、前記n個の情報信号を前記バッファメモリに入出力する各転送レートの総和…ΣRn=Ra+Rb+ … +Rn、前記n個の情報信号の各記録再生情報単位量の総和…ΣYn=Ya+Yb+… +Yn、 前記ヘッドを一体的に移動する移動体が前記情報信号記録媒体上での現在の位置から次の位置に移動し記録または再生までに要する各時間の総和…ΣSnとし、 ΣYn≧Rp×ΣRn×ΣSn/(Rp-ΣRn) Ya≧Rp×Ra×ΣSn/(Rp-ΣRn) Yb≧Rp×Rb×ΣSn/(Rp-ΣRn) … Yn≧Rp×Rn×ΣSn/(Rp-ΣRn) の関係式を満たし、前記情報信号記録媒体から再生する再生動作よりも前記情報信号記録媒体に記録する記録動作を優先して、前記情報信号記録媒体に前記n個の情報信号を記録再生することを特徴とする情報信号記録再生装置。 【請求項2】 n個(但し、nは2以上の整数)の情報信号のうち少なくとも一つの情報信号を記録し、残りの情報信号を再生するために、前記n個の情報信号を一時的にバッファメモリに記憶し、情報信号記録媒体に記録する情報信号と、前記情報信号記録媒体から再生する情報信号とをそれぞれの転送レートでバッファメモリに入出力するステップと、前記バッファメモリに入力した情報信号の転送レートより速い転送レートで少なくとも一つのヘッドを用いて前記情報信号記録媒体に記録するステップと、 再生すべき情報信号の転送レートより速い転送レートで、前記情報信号記録媒体から前記ヘッドにより前記バッファメモリに転送するステップとを時分割して行うステップと、 前記ヘッドによる前記n個の情報信号への転送レートと、前記バッファメモリに入出力する前記n個の情報信号の転送レートとの差を前記バッファメモリで吸収するステップと、 前記ヘッドにより前記バッファメモリに対して入出力される前記n個の情報信号の転送レート…Rp、前記n個の情報信号を前記バッファメモリに入出力する各転送レートの総和…ΣRn=Ra+Rb+ … +Rn、前記n個の情報信号の各記録再生情報単位量の総和…ΣYn=Ya+Yb+… +Yn、前記ヘッドを一体的に移動する移動体が前記情報信号記録媒体上での現在の位置から次の位置に移動し記録または再生までに要する各時間の総和…ΣSnとし、 ΣYn≧Rp×ΣRn×ΣSn/(Rp-ΣRn) Ya≧Rp×Ra×ΣSn/(Rp-ΣRn) Yb≧Rp×Rb×ΣSn/(Rp-ΣRn) … Yn≧Rp×Rn×ΣSn/(Rp-ΣRn) の関係式を満たし、前記情報信号記録媒体から再生する再生動作よりも前記情報信号記録媒体に記録する記録動作を優先して、前記情報信号記録媒体に前記n個の情報信号を記録再生するステップと、を有することを特徴とする情報信号記録再生方法。」 と補正しようとするものである。 2.補正の検討 本件補正に係る特許請求の範囲についての補正は、本件補正前の請求項1,2,4,5を削除し、請求項3,6に対して「前記情報信号記録媒体から再生する再生動作よりも前記情報信号記録媒体に記録する記録動作を優先して」という構成を付加するものである。 補正前の請求項3には、「情報信号記録再生装置」に関する発明が記載されていたところ、「n個の情報信号」は、少なくとも一つは記録されるためのもので残りは再生されるためのものであって、転送レートRp、各転送レートの総和ΣRn、記録再生情報単位量の総和ΣYn、及びΣSnは、いずれも、前記n個の情報信号について取るものであることからすると、補正前の請求項3に記載された発明は、記録動作と再生動作を峻別して記載したものと解することができず、むしろ、記録動作と再生動作を併せて評価することを特徴的な技術事項に含んでいると解するのが技術的に妥当である。まして、記録動作と再生動作とについて、相互の又は相対的な関連について特定した事項は何ら記載がなかったものである。すると、本件補正において「再生動作よりも」「記録動作を優先して」と、記録動作と再生動作との関連を特定した事項は、補正前の発明を特定する事項を限定したものとすることができないから、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法17条の2第4項第2号に掲げる事項を目的とするものに該当しない。 仮に、審判請求人の主張に配慮して、本件補正が、再生動作及び記録動作を限定したものと認められるとしても、「優先させる」との特定は、極めて漠然としたものであって、情報信号記録再生装置の、どのような動作を特定したものか不明であるから特許を受けようとする発明が明確であるとすることができないから特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。また、請求人が補正の根拠と主張する【0109】段落の記載を参照しても、「記録動作を優先」するためにどのような制御がなされているのか不明であるから、特許法第36条第4項に規定する要件を満たしていない。 以上のとおりであるから、本件補正後の請求項に記載された発明は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法17条の2第4項第2号に掲げる事項を目的とするものに該当しない、または、出願の際独立して特許を受けることができたものとすることができないから、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、同法159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 第3 本願発明と同日出願の発明 1.本願発明 上記「第2 平成21年2月17日付けの手続補正についての補正の却下の決定」の欄に前述したとおり、平成21年2月17日付けの手続補正は却下されたので、本願発明は、平成20年3月31日付けの手続補正書の特許請求の範囲に記載されたとおりのものである。 そして、特許請求の範囲に記載されている請求項4に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。 「情報信号記録媒体から少なくとも一つのヘッドによりn個(但し、nは2以上の整数)の情報信号を時分割で再生し、前記n個の情報信号を前記ヘッドの再生転送レートで一時的にバッファメモリに記憶し、前記バッファメモリの一時的に記憶した前記n個の情報信号を前記ヘッドの再生転送レートより遅い、前記n個のそれぞれの情報信号の転送レートで出力するステップと、 前記ヘッドからの前記n個の情報信号の再生転送レートと、前記バッファメモリから出力する前記n個の情報信号の各転送レートとの差を前記バッファメモリで吸収するステップと、前記ヘッドから前記バッファメモリに転送する前記n個の情報信号の再生転送レート…Rp、前記n個の情報信号を前記バッファメモリから出力する各転送レートの総和…ΣRn=Ra+Rb+ … +Rn、前記n個の情報信号の各再生情報単位量を前記ヘッドから前記バッファメモリに転送する情報単位量の総和…ΣYn=Ya+Yb+ … +Yn、前記ヘッドを一体的に移動する移動体が前記情報信号記録媒体上での現在の位置から次の位置に移動し再生までに要する各時間の総和をΣSnとし、 ΣYn≧Rp×ΣRn×ΣSn/(Rp-ΣRn) Ya≧Rp×Ra×ΣSn/(Rp-ΣRn) Yb≧Rp×Rb×ΣSn/(Rp-ΣRn) … Yn≧Rp×Rn×ΣSn/(Rp-ΣRn) の関係式を満たして前記情報信号記録媒体から前記n個の情報信号を時分割で再生するステップとを有することを特徴とする情報信号再生方法。」 2.同日出願の発明 同日、同一出願人による特願2002-26738号(特許第3379712号)の請求項1の発明(以下、「同日出願の発明」という。)は、次のとおりである。 「n個(但し、nは2以上の整数)の情報信号をn個の位置にそれぞれ記録した情報信号記録媒体を回転するステップと、 前記n個の情報信号を一時的にバッファメモリに記憶し、且つ、前記バッファメモリから一時的に記憶した前記n個の情報信号をそれぞれの転送レートで出力するステップと、 前記情報信号記録媒体から一つのヘッドにより前記n個の情報信号を時分割で再生して、前記n個の情報信号を前記バッファメモリからの出力時よりも速い一定の転送レートで前記バッファメモリに時分割で転送するステップと、 前記ヘッドによる前記n個の情報信号への転送レートと、前記バッファメモリから出力する前記n個の情報信号の各転送レートとの差を前記バッファメモリで吸収するステップと、 前記ヘッドから前記バッファメモリに転送する前記n個の情報信号の転送レート…Rp、 前記n個の情報信号を前記バッファメモリから出力する各転送レートの総和…ΣRn=Ra+Rb+ … +Rn 前記n個の情報信号の各再生情報単位量を前記ヘッドから前記バッファメモリに転送する情報単位量の総和…ΣYn=Ya+Yb+ … +Yn 前記ヘッドが前記情報信号記録媒体上での現在の位置から次の位置に移動に要する各時間の総和…ΣSnとし、 ΣYn≧Rp×ΣRn×ΣSn/(Rp-ΣRn) Ya≧Rp×Ra×ΣSn/(Rp-ΣRn) Yb≧Rp×Rb×ΣSn/(Rp-ΣRn) … Yn≧Rp×Rn×ΣSn/(Rp-ΣRn) の関係式を満たして前記情報信号記録媒体から前記n個の情報信号を時分割で再生するステップとを有することを特徴とする情報信号再生方法。」 3.対比 本願発明の「情報信号記録媒体から少なくとも一つのヘッドによりn個(但し、nは2以上の整数)の情報信号を時分割で再生し、前記n個の情報信号を前記ヘッドの再生転送レートで一時的にバッファメモリに記憶し、前記バッファメモリの一時的に記憶した前記n個の情報信号を前記ヘッドの再生転送レートより遅い、前記n個のそれぞれの情報信号の転送レートで出力するステップ」は、同日出願の発明の「前記n個の情報信号を一時的にバッファメモリに記憶し、且つ、前記バッファメモリから一時的に記憶した前記n個の情報信号をそれぞれの転送レートで出力するステップ」「前記情報信号記録媒体から一つのヘッドにより前記n個の情報信号を時分割で再生して、前記n個の情報信号を前記バッファメモリからの出力時よりも速い一定の転送レートで前記バッファメモリに時分割で転送するステップ」に相当する。 本願発明の「前記ヘッドからの前記n個の情報信号の再生転送レートと、前記バッファメモリから出力する前記n個の情報信号の各転送レートとの差を前記バッファメモリで吸収するステップ」は、同日出願の発明の「前記ヘッドによる前記n個の情報信号への転送レートと、前記バッファメモリから出力する前記n個の情報信号の各転送レートとの差を前記バッファメモリで吸収するステップ」に相当する。 本願発明の「前記ヘッドから前記バッファメモリに転送する前記n個の情報信号の再生転送レート…Rp、前記n個の情報信号を前記バッファメモリから出力する各転送レートの総和…ΣRn=Ra+Rb+ … +Rn、前記n個の情報信号の各再生情報単位量を前記ヘッドから前記バッファメモリに転送する情報単位量の総和…ΣYn=Ya+Yb+ … +Yn、前記ヘッドを一体的に移動する移動体が前記情報信号記録媒体上での現在の位置から次の位置に移動し再生までに要する各時間の総和をΣSnとし、 ΣYn≧Rp×ΣRn×ΣSn/(Rp-ΣRn) Ya≧Rp×Ra×ΣSn/(Rp-ΣRn) Yb≧Rp×Rb×ΣSn/(Rp-ΣRn) … Yn≧Rp×Rn×ΣSn/(Rp-ΣRn) の関係式を満たして前記情報信号記録媒体から前記n個の情報信号を時分割で再生するステップ」は、同日出願の発明の「前記ヘッドから前記バッファメモリに転送する前記n個の情報信号の転送レート…Rp、 前記n個の情報信号を前記バッファメモリから出力する各転送レートの総和…ΣRn=Ra+Rb+ … +Rn 前記n個の情報信号の各再生情報単位量を前記ヘッドから前記バッファメモリに転送する情報単位量の総和…ΣYn=Ya+Yb+ … +Yn 前記ヘッドが前記情報信号記録媒体上での現在の位置から次の位置に移動に要する各時間の総和…ΣSnとし、 ΣYn≧Rp×ΣRn×ΣSn/(Rp-ΣRn) Ya≧Rp×Ra×ΣSn/(Rp-ΣRn) Yb≧Rp×Rb×ΣSn/(Rp-ΣRn) … Yn≧Rp×Rn×ΣSn/(Rp-ΣRn) の関係式を満たして前記情報信号記録媒体から前記n個の情報信号を時分割で再生するステップ」に相当する。 本願発明の「情報信号再生方法」は、同日出願の発明の「情報信号再生方法」に相当する。 4.一致点、相違点 従って、両者は、 「情報信号記録媒体から少なくとも一つのヘッドによりn個(但し、nは2以上の整数)の情報信号を時分割で再生し、前記n個の情報信号を前記ヘッドの再生転送レートで一時的にバッファメモリに記憶し、前記バッファメモリの一時的に記憶した前記n個の情報信号を前記ヘッドの再生転送レートより遅い、前記n個のそれぞれの情報信号の転送レートで出力するステップと、 前記ヘッドからの前記n個の情報信号の再生転送レートと、前記バッファメモリから出力する前記n個の情報信号の各転送レートとの差を前記バッファメモリで吸収するステップと、前記ヘッドから前記バッファメモリに転送する前記n個の情報信号の再生転送レート…Rp、前記n個の情報信号を前記バッファメモリから出力する各転送レートの総和…ΣRn=Ra+Rb+ … +Rn、前記n個の情報信号の各再生情報単位量を前記ヘッドから前記バッファメモリに転送する情報単位量の総和…ΣYn=Ya+Yb+ … +Yn、前記ヘッドを一体的に移動する移動体が前記情報信号記録媒体上での現在の位置から次の位置に移動し再生までに要する各時間の総和をΣSnとし、 ΣYn≧Rp×ΣRn×ΣSn/(Rp-ΣRn) Ya≧Rp×Ra×ΣSn/(Rp-ΣRn) Yb≧Rp×Rb×ΣSn/(Rp-ΣRn) … Yn≧Rp×Rn×ΣSn/(Rp-ΣRn) の関係式を満たして前記情報信号記録媒体から前記n個の情報信号を時分割で再生するステップとを有する情報信号再生方法。」である点で一致し、 本願発明では、特に、「n個(但し、nは2以上の整数)の情報信号をn個の位置にそれぞれ記録した情報信号記録媒体を回転するステップ」については特定されていないのに対して、同日出願については、「n個(但し、nは2以上の整数)の情報信号をn個の位置にそれぞれ記録した情報信号記録媒体を回転するステップ」が特定されている点で一応相違している。 5.判断 相違点について検討する。 本願発明においては、ヘッドによって記録媒体を読み取っており、ヘッドによって読み取りを行う媒体として、n個(但し、nは2以上の整数)の情報信号をn個の位置にそれぞれ記録した情報信号記録媒体を使用し、これを回転することは、例示するまでもなく周知事項であり、本願発明においてもこのような媒体を使用していることは自明であるから、当該相違点は、実質的な相違点とはいえない。 第4 むすび 以上のとおり、平成20年3月31日付けの手続補正書に記載された請求項4に係る発明は、同一出願人による同日出願の請求項1に係る発明と、実質的に同一であるから、特許法第39条第2項の規定により特許を受けることができない。したがって、本願は、他の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2011-02-28 |
結審通知日 | 2011-03-01 |
審決日 | 2011-03-28 |
出願番号 | 特願2000-97418(P2000-97418) |
審決分類 |
P
1
8・
4-
Z
(G11B)
|
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 松平 英 |
特許庁審判長 |
山田 洋一 |
特許庁審判官 |
石丸 昌平 石川 正二 |
発明の名称 | 情報信号記録再生装置および情報信号記録再生方法 |