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審決分類 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する G06Q
審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する G06Q
管理番号 1238548
審判番号 訂正2011-390041  
総通号数 140 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-08-26 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2011-04-19 
確定日 2011-05-30 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第4616207号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第4616207号に係る明細書及び図面を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び図面のとおり訂正することを認める。 
理由 1.手続の経緯
本件出願は、平成18年5月22日に出願した特願2006-142098号が、平成22年10月29日に特許第4616207号として設定登録されたものであり、さらに、平成23年4月19日に訂正審判請求がなされたものである。

2.請求の要旨
本件審判の請求の趣旨は、特許第4616207号の明細書、特許請求の範囲及び図面を審判請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲及び図面のとおり、すなわち、下記訂正事項a?jのとおり訂正することを求めるものである。

(1)訂正事項a
訂正前の明細書の段落0008を次のように訂正する。
「【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1に係る発明は、ネットワークを介して入札者の端末装置に接続され、所定の出品物についてオークションを実施するオークションサーバ装置であって、前記出品物について受け付けられた入札価格と各入札者を一意に識別するための利用者IDとを対応付けて記憶する入札履歴記憶手段と、前記出品物について決定された落札価格と落札者の利用者IDとを対応付けて記憶する落札情報記憶手段と、前記端末装置を介して入札者から受け付けた入札価格が、既に入札された入札価格を越えるか否かを判定することなく、当該入札価格および入札者の利用者IDを対応付けて前記入札履歴記憶手段に格納する入札処理手段と、前記入札履歴記憶手段に記憶された入札価格ごとに当該入札価格に入札した入札者数を算出する入札数算出手段と、前記入札数算出手段によって算出された各入札価格の入札者数に基づいて、最も少ない入札者数の入札価格に対して入札した入札者から落札者を決定し、前記入札者数が同数となる複数の入札価格の間では、当該入札価格の各桁を加算した合計値が少ない入札価格に対して入札した入札者から優先して落札者を決定するとともに、当該落札者の入札価格を落札価格として決定し、当該決定された落札者の利用者IDおよび落札価格を対応付けて前記落札情報記憶手段に格納する落札処理手段と、を備えたことを特徴とする。」

(2)訂正事項b
訂正前の明細書の段落0013を削除する。

(3)訂正事項c
訂正前の明細書の段落0014を次のように訂正する。
「【0014】
また、請求項6に係る発明は、上記の発明において、前記落札処理手段は、落札者の候補となる複数の入札者の間では、利用者登録日時が古い入札者から優先して落札者を決定することを特徴とする。」

(4)訂正事項d
訂正前の明細書の段落0015を次のように訂正する。
「【0015】
また、請求項7に係る発明は、上記の発明において、前記落札処理手段は、落札者の候補となる複数の入札者の間では、入札日時が古い入札者から優先して落札者を決定することを特徴とする。」

(5)訂正事項e
訂正前の明細書の段落0016を次のように訂正する。
「【0016】
請求項1の発明によれば、所定の出品物に対する入札価格を、既に入札された入札価格を越えるか否かを判定することなく記憶し、各入札価格に対する入札者数を当該出品物のオークション期間終了後に算出し、最も少ない入札者数の入札価格に入札した落札者候補から落札者を決定するので、オークション期間の終了時点で最高入札価格の入札者を落札者として決定するのではなく、また、入札者から受け付けた入札価格が既に入札された入札価格を越えるか否かを判定する処理や現在価格を更新する処理が必要なくなる結果、オークション期間の終了間際におけるオークションサーバの処理負荷を軽減するとともに、入札に費やされるオークションサーバの処理負荷を軽減することが可能になる。また、請求項1の発明によれば、入札者数が同数となる複数の入札価格の間では、入札価格の各桁を加算した合計値が少ない入札価格に対して入札した入札者から優先して落札者を決定するので、入札者数が同数となる複数の入札価格の間でも、入札価格の各桁を加算した合計値に基づいて落札者の優位性が自動で導かれる結果、落札者を円滑に決定することが可能になる。」

(6)訂正事項f
訂正前の明細書の段落0021を削除する。

(7)訂正事項g
訂正前の明細書の段落0022を次のように訂正する。
「【0022】
また、請求項6の発明によれば、落札者の候補となる複数の入札者の間では、当該落札者の候補のうち利用者登録日時が古い入札者から優先して落札者を決定するので、最終的に落札者の候補として残った複数の入札者の間でも、利用者登録日時に基づいて落札者の優位性が自動で導かれる結果、落札者を円滑に決定することが可能になる。」

(8)訂正事項h
訂正前の明細書の段落0023を次のように訂正する。
「【0023】
また、請求項7の発明によれば、落札者の候補となる複数の入札者の間では、当該落札者の候補のうち入札日時が古い入札者から優先して落札者を決定するので、最終的に落札者の候補として残った複数の入札者の間でも、入札日時に基づいて落札者の優位性が自動で導かれる結果、落札者を円滑に決定することが可能になる。」

(9)訂正事項i
訂正前の図面の図14において、同図中の524円に対応する入札者を示す記号「C」を記号「A」に訂正する。

(10)訂正事項j
訂正前の図面の図18において、同図中の526円に対応する入札者を示す記号「C」、「D」、「E」を記号「E」、「F」、「G」に訂正する。

3.当審の判断

(1)訂正の目的について

≪訂正事項a、bについて≫
訂正事項aは、訂正前の明細書の段落0008に対して訂正前の明細書の段落0013の内容を加えるものであり、また、訂正事項bは、訂正前の明細書の段落0013を削除するものである。
当該訂正事項a、bは、訂正前の明細書の段落0008、段落0013の記載と特許請求の範囲の請求項1の記載との整合を図るためのものであるから、当該訂正事項a、bは、「明りょうでない記載の釈明」を目的とするものである。

≪訂正事項c、dについて≫
訂正事項c、dは、訂正前の明細書の段落0014と段落0015に記載されていた「請求項7」と「請求項8」をそれぞれ「請求項6」と「請求項7」に繰り上げたものである。
当該訂正事項c、dは、訂正前の明細書の段落0014、段落0015の記載と特許請求の範囲の請求項6、7の記載との整合を図るためのものであるから、当該訂正事項c、dは、「明りょうでない記載の釈明」を目的とするものである。

≪訂正事項e、fについて≫
訂正事項eは、訂正前の明細書の段落0016に対して訂正前の明細書の段落0021の内容を加えるものであり、また、訂正事項fは、訂正前の段落0021を削除するものである。
当該訂正事項e、fは、訂正前の明細書の段落0016、段落0021の記載と特許請求の範囲の請求項1の記載との整合を図るためのものであるから、当該訂正事項e、fは、「明りょうでない記載の釈明」を目的とするものである。

≪訂正事項g、hについて≫
訂正事項g、hは、訂正前の明細書の段落0022と段落0023に記載されていた「請求項7」と「請求項8」をそれぞれ「請求項6」と「請求項7」に繰り上げたものである。
当該訂正事項g、hは、訂正前の明細書の段落0022、段落0023の記載と特許請求の範囲の請求項6、7の記載との整合を図るためのものであるから、当該訂正事項g、hは、「明りょうでない記載の釈明」を目的とするものである。

≪訂正事項iについて≫
願書に最初に添付した明細書と図面において、当該明細書の段落0067には、当該図面の図14の説明として「524円に入札した入札者A」と記載されているが、当該図面の図14には、524円に対応する入札者を示す記号として「C」が記載されている。また、図14には、525円に対応する入札者を示す記号としても「C」が重複して記載されている。
このことから、図14における「524円に入札した入札者」は「A」であることが本来の意を表す記載であり、「A」とすべきところを「C」と誤記したことは明らかである。
したがって、当該訂正事項iは、本来の意を表示していないものとなっている記載を本来の意を表す記載に訂正するものであり、「誤記の訂正」を目的とするものである。

≪訂正事項jについて≫
願書に最初に添付した明細書と図面において、当該明細書の段落0071には、当該図面の図18の説明として「525円および526円を入札した入札者B?Gの6人を選出する」、「525円を入札した入札者B?Dの3人を新たな落札者候補として絞り込む」と記載されているが、当該図面の図18には、526円に対応する入札者を示す記号として「C」、「D」、「E」と記載されている。また、図18には、525円に対応する入札者を示す記号としても「C」、「D」が重複して記載されている。
このことから、図18における「526円に入札した入札者」は「E」、「F」、「G」であることが本来の意を表す記載であり、「E」、「F」、「G」とすべきところを「C」、「D」、「E」と誤記したことは明らかである。
したがって、当該訂正事項jは、本来の意を表示していないものとなっている記載を本来の意を表す記載に訂正するものであり、「誤記の訂正」を目的とするものである。

(2)新規事項及び拡張・変更について
前記訂正事項a?hは、特許法第126条第1項第3号に規定の「明りょうでない記載の釈明」を目的とするものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではない。
また、前記訂正事項i、jは、特許法第126条第1項第2号に規定の「誤記の訂正」を目的とするものであり、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。

(3)独立特許要件について
上記訂正事項i、jが誤記の訂正を目的とするものであることは「3.(1)」のとおりであるところ、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しない。

3.むすび
したがって、本件訂正審判の請求は、特許法第126条第1項第2号及び第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第3項ないし第5項の規定に適合する。

よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
オークションサーバ装置
【技術分野】
【0001】
この発明は、ネットワークを介して入札者の端末装置に接続され、所定の出品物についてオークションを実施するオークションサーバ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、インターネット上の商用サイトを利用して、サイトの閲覧者に出品物に対して値段を付けさせて取引を行い、売買を成立させる技術が考案されている。例えば、非特許文献1では、終了時刻設定有りの競り上げオークションシステムが開示されている。すなわち、オークション参加者は、サイト内の登録された出品物を閲覧し、所望の出品物に対して入札価格を決めて入札する。そして、オークションサーバ装置は、買い手から入札価格を受け付け、入札価格を受け付けるたびに現在価格とかかる入札価格とを比較し、入札価格が高ければ現在価格をかかる入札価格に更新し、オークション期間が終了した時点で現在価格を入札した買い手を落札者に決定し、売買を成立させる。
【0003】
【非特許文献1】“Yahoo!AUCTIONS”、[online]、[平成18年1月11日検索]、インターネット<http://auctions.yahoo.co.jp/>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記した従来の技術は、以下に説明するように、オークション期間の終了間際にオークションサーバの処理負荷が高くなるという課題や、入札に費やされるオークションサーバの処理負荷が高いという課題がある。
【0005】
すなわち、上記した従来の技術では、オークション期間が終了した時点で現在価格を入札した買い手を落札者として決定するので、オークション期間の終了間際に入札が殺到してオークションサーバの処理負荷が高くなるという課題がある。特に、人気商品や限定商品などを出品物として扱う場合には、オークション期間の終了間際に入札が殺到する結果、サーバの処理能力を超えてサーバダウンが発生し、売買を成立させることができない事態もある。
【0006】
また、上記した従来の技術では、オークションサーバが入札価格を受け付けるたびに、現在価格と入札価格とを比較する処理や、現在価格を超える入札価格を新たに現在価格に更新する処理を行うので、入札に費やされるオークションサーバの処理負荷が高いという課題がある。
【0007】
そこで、この発明は、上述した従来技術の課題を解決するためになされたものであり、オークション期間の終了間際におけるオークションサーバの処理負荷を軽減するとともに、入札に費やされるオークションサーバの処理負荷を軽減することが可能なオークションサーバ装置、オークション方法およびオークションプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1に係る発明は、ネットワークを介して入札者の端末装置に接続され、所定の出品物についてオークションを実施するオークションサーバ装置であって、前記出品物について受け付けられた入札価格と各入札者を一意に識別するための利用者IDとを対応付けて記憶する入札履歴記憶手段と、前記出品物について決定された落札価格と落札者の利用者IDとを対応付けて記憶する落札情報記憶手段と、前記端末装置を介して入札者から受け付けた入札価格が、既に入札された入札価格を越えるか否かを判定することなく、当該入札価格および入札者の利用者IDを対応付けて前記入札履歴記憶手段に格納する入札処理手段と、前記入札履歴記憶手段に記憶された入札価格ごとに当該入札価格に入札した入札者数を算出する入札数算出手段と、前記入札数算出手段によって算出された各入札価格の入札者数に基づいて、最も少ない入札者数の入札価格に対して入札した入札者から落札者を決定し、前記入札者数が同数となる複数の入札価格の間では、当該入札価格の各桁を加算した合計値が少ない入札価格に対して入札した入札者から優先して落札者を決定するとともに、当該落札者の入札価格を落札価格として決定し、当該決定された落札者の利用者IDおよび落札価格を対応付けて前記落札情報記憶手段に格納する落札処理手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に係る発明は、上記の発明において、前記入札処理手段は、前記入札履歴記憶手段に記憶された入札価格および利用者IDに基づいて、前記入札者の利用者IDが未だ記憶されていないことを条件に、当該入札者から受け付けた入札価格および利用者IDを対応付けて前記入札履歴記憶手段に格納することを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に係る発明は、上記の発明において、前記出品物は、入札が許可される入札価格の許可範囲が予め定められたものであって、前記入札処理手段は、前記入札者から受け付けた入札価格が前記入札価格の許可範囲に属することを条件に、当該入札者から受け付けた入札価格および利用者IDを対応付けて前記入札履歴記憶手段に格納することを特徴とする。
【0011】
また、請求項4に係る発明は、上記の発明において、前記落札処理手段は、前記出品物の用意数が複数である場合には、前記入札者数が少ない入札価格から優先して、当該入札価格に対して入札した入札者から順に落札者を決定することを特徴とする。
【0012】
また、請求項5に係る発明は、上記の発明において、前記落札処理手段は、前記出品物の用意数が複数である場合には、前記入札者数が最も少ない入札価格に近い入札価格から優先して、当該入札価格に対して入札した入札者から順に落札者を決定することを特徴とする。
【0014】
また、請求項6に係る発明は、上記の発明において、前記落札処理手段は、落札者の候補となる複数の入札者の間では、利用者登録日時が古い入札者から優先して落札者を決定することを特徴とする。
【0015】
また、請求項7に係る発明は、上記の発明において、前記落札処理手段は、落札者の候補となる複数の入札者の間では、入札日時が古い入札者から優先して落札者を決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、所定の出品物に対する入札価格を、既に入札された入札価格を越えるか否かを判定することなく記憶し、各入札価格に対する入札者数を当該出品物のオークション期間終了後に算出し、最も少ない入札者数の入札価格に入札した落札者候補から落札者を決定するので、オークション期間の終了時点で最高入札価格の入札者を落札者として決定するのではなく、また、入札者から受け付けた入札価格が既に入札された入札価格を越えるか否かを判定する処理や現在価格を更新する処理が必要なくなる結果、オークション期間の終了間際におけるオークションサーバの処理負荷を軽減するとともに、入札に費やされるオークションサーバの処理負荷を軽減することが可能になる。また、請求項1の発明によれば、入札者数が同数となる複数の入札価格の間では、入札価格の各桁を加算した合計値が少ない入札価格に対して入札した入札者から優先して落札者を決定するので、入札者数が同数となる複数の入札価格の間でも、入札価格の各桁を加算した合計値に基づいて落札者の優位性が自動で導かれる結果、落札者を円滑に決定することが可能になる。
【0017】
また、請求項2の発明によれば、所定の出品物に対する入札者の利用者IDが未だ記憶されていないことを条件に、入札価格を当該入札者から受け付け、当該入札価格を利用者IDに対応付けて記憶するので、入札者による入札を1回のみしか認めない結果、オークションサーバ装置10の処理負荷をより軽減することも可能になる。
【0018】
また、請求項3の発明によれば、所定の出品物に対し入札が許可される入札価格の許可範囲を予め定め、入札者から受け付けた入札価格が当該許可範囲に属することを条件に、入札価格を当該入札者から受け付け、当該入札価格を利用者IDに対応付けて記憶するので、入札者が入札した入札価格が所定の価格帯に集中するように促し、入札者が入札した入札価格が広範囲に散らばって入札者数が一人となるような入札価格が大量に発生するような事態を避ける結果、落札者を円滑に決定することが可能になる。
【0019】
また、請求項4の発明によれば、出品物の用意数が複数である場合には、入札者数が少ない入札価格から優先して、当該入札価格に対して入札した入札者から順に落札者を決定するので、出品物の用意数が複数である場合でも、入札者数に少なさに基づいて落札者の優位性が自動で導かれる結果、落札者を円滑に決定することが可能になる。
【0020】
また、請求項5の発明によれば、出品物の用意数が複数である場合には、入札者数が最も少ない入札価格に近い入札価格に対して入札した入札者から優先して落札者を決定するので、出品物の用意数が複数である場合でも、入札者数が最も少ない入札価格に対する近さに基づいて落札者の優位性が自動で導かれる結果、落札者を円滑に決定することが可能になる。
【0022】
また、請求項6の発明によれば、落札者の候補となる複数の入札者の間では、当該落札者の候補のうち利用者登録日時が古い入札者から優先して落札者を決定するので、最終的に落札者の候補として残った複数の入札者の間でも、利用者登録日時に基づいて落札者の優位性が自動で導かれる結果、落札者を円滑に決定することが可能になる。
【0023】
また、請求項7の発明によれば、落札者の候補となる複数の入札者の間では、当該落札者の候補のうち入札日時が古い入札者から優先して落札者を決定するので、最終的に落札者の候補として残った複数の入札者の間でも、入札日時に基づいて落札者の優位性が自動で導かれる結果、落札者を円滑に決定することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下の実施例1では、本発明に係るオークションサーバ装置を含んで構成されるオークションシステムを実施例として説明する。
【実施例1】
【0025】
[システムの概要および特徴]
図1を用いて、実施例1に係るオークションシステムの概要および特徴を説明する。図1は、実施例1に係るオークションシステムの全体構成を示すシステム構成図である。同図に示すように、実施例1に係るオークションシステムは、複数の端末装置3a?3nと、オークションサーバ装置10とを、ネットワーク1を介して相互に通信可能に接続して構成され、所定の出品物についてオークションを実施する。
【0026】
そして、このオークションシステムは、オークション期間の終了間際におけるオークションサーバ装置10の処理負荷を軽減するとともに、入札に費やされるオークションサーバ装置10の処理負荷を軽減することができるようにしている点に主たる特徴がある。
【0027】
この主たる特徴について具体的に説明すると、端末装置3a?3nは、オークション参加者の入力に基づいてオークションサーバ装置10に入札情報(入札価格および入札者の利用者ID)を送信する(図1の(1)参照)。オークションサーバ装置10は、ネットワーク1を介して入札情報を受信し、入札者から受け付けた入札価格が、既に入札された入札価格を越えるか否かを判定することなく、当該入札価格および入札者の利用者IDを対応付けて記憶する(図1の(2)参照)。例えば、オークションサーバ装置10は、端末装置3aから入札者による入札情報(入札価格524円、利用者ID「A」)を受信すると、既に記憶している入札価格、例えば利用者ID「B」に対応する入札価格526円および利用者ID「C」に対応する入札価格528円を超えるか否かを判定することなく、かかる入札情報(入札価格524円、利用者ID「A」)を記憶する。
【0028】
そして、オークションサーバ装置10は、入札価格ごとに当該入札価格に入札した入札者数を算出し、算出された各入札価格の入札者数に基づいて、最も少ない入札者数の入札価格に対して入札した入札者を落札者として決定する(図1の(3)参照)。例えば、図1に示すように、オークションサーバ装置10は、出品物(用意数1個)のオークション期間終了後に、記憶している入札情報の入札価格ごとに、すなわち524円に6人、525円に1人、526円に3人、527円に2人、528円に4人と入札者数を算出し、この場合、最も少ない入札者数の入札価格である525円(入札者1人)に入札した入札者を落札者として決定する。
【0029】
したがって、このオークションシステムによれば、オークション期間の終了時点で最高入札価格の入札者を落札者として決定するのではなく、また、入札者から受け付けた入札価格が既に入札された入札価格を越えるか否かを判定する処理や現在価格を更新する処理が必要なくなる結果、上記した主な特徴の通り、オークション期間の終了間際におけるオークションサーバ装置10の処理負荷を軽減するとともに、入札に費やされるオークションサーバ装置10の処理負荷を軽減することが可能になる。
【0030】
[オークションサーバ装置10の構成]
次に、図2?図7を用いて、実施例1に係るオークションサーバ装置10の構成を説明する。図2は、実施例1に係るオークションサーバ装置10の構成を示すブロック図であり、図3?図7は、記憶部30に記憶される情報の例を示す図である。
【0031】
図2に示すように、このオークションサーバ装置10は、通信制御IF部20と、記憶部30と、制御部40とを所定のバスで接続して構成される。以下に、これらの各部の処理を説明する。
【0032】
通信制御IF部20は、端末装置3a?3nと、オークションサーバ装置10との通信を制御する手段であり、例えば、端末装置3a?3nがネットワーク1を介して送信した入札情報を受信し、入札処理部42へ出力する。
【0033】
記憶部30は、制御部40による各種の処理に必要なデータやプログラムを格納するメモリであり、特に本発明に密接に関連するものとしては、図2に示すように、Webデータ記憶部31と、出品物情報記憶部32と、入札履歴記憶部33と、会員データ記憶部34と、入札状況記憶部35と、落札結果記憶部36とを備える。なお、入札履歴記憶部33は、特許請求の範囲に記載の「入札履歴記憶手段」に対応し、落札結果記憶部36は、同じく「落札情報記憶部」に対応する。
【0034】
かかる記憶部30のなかで、Webデータ記憶部31は、端末装置3a?3nに対して送信するための各種Webデータを格納する手段である。具体的には、後述する出品物一覧閲覧用画面や入札画面などを表示するためのデータを格納する(図9および図10参照)。なお、これらデータは、例えば、HTMLなどにて記述されたテキスト・ファイルや、JPEG形式の画像ファイルなどである。
【0035】
また、出品物情報記憶部32は、後述する入札処理部42および落札処理部44による各種処理に必要なデータを格納する手段である。具体的には、出品物用意数と、入札価格帯とを出品物IDに対応付けて記憶する。例えば、図3に示すように、出品物ID「ABC」に対応付けて、用意数「1」と、入札価格帯「100?1000」とを記憶する。
【0036】
また、入札履歴記憶部33は、後述する入札処理部42および入札状況作成部43による各種処理に必要なデータを格納する手段である。具体的には、出品物について受け付けられた入札価格と各入札者を一意に識別するための利用者IDとを対応付けて記憶する。例えば、図4に示すように、出品物ID「ABC」について受け付けた入札価格「528円」を利用者ID「C」に対応付けて記憶する。
【0037】
また、会員データ記憶部34は、後述する入札状況作成部43による各種処理に必要なデータを格納する手段である。具体的には、本システムの会員となっているオークション利用者に関する情報(利用者情報)を利用者IDに対応付けて記憶する。例えば、図5に示すように、利用者ID「B」に対応付けて会員登録日「2002/05/09」と、パスワード「○○○○」を記憶する。なお、図示はしていないが、利用者の住所や電子メールアドレスを記憶させてもよい。
【0038】
また、入札状況記憶部35は、後述する落札処理部44による各種処理に必要なデータを格納する手段である。具体的には、落札処理部44が行う落札処理の判断材料となる情報を入札価格に対応付けて記憶する。例えば、図6に示すように、出品物ID「ABC」に対する落札処理の判断材料となる情報である入札者数「1」と、利用者ID「C」と、会員登録日「2000/11/08」とを入札価格「528円」に対応付けて記憶する。
【0039】
また、落札結果記憶部36は、後述する落札処理部44による処理結果の情報を格納する手段である。具体的には、出品物について決定された落札価格と、落札者の利用者IDとを対応付けて記憶する。例えば、図7に示すように、出品物ID「ABC」に対応付けて、落札者の利用者ID「C」と、落札価格「528円」とを記憶する。
【0040】
制御部40は、各種の処理手順を規定したプログラムや制御データを格納するための内部メモリを有し、これらによって種々の処理を実行するプロセッサであり、特に本発明に密接に関連するものとしては、図2に示すように、Web処理部41と、入札処理部42と、入札状況作成部43と、落札処理部44とを備える。なお、入札処理部42は、特許請求の範囲に記載の「入札処理手段」に対応し、入札状況作成手段43は、同じく「入札数算出手段」に対応し、落札処理部44は、同じく「落札処理手段」に対応する。
【0041】
かかる制御部40のなかで、Web処理部41は、端末装置3a?3nからの要求に対しWebデータの生成を行なう処理部である。具体的には、端末装置3a?3nから所定の画面の閲覧要求を受けると、Webデータ記憶部31からかかる画面の生成に必要な各種データを読み出してWebデータを生成し、通信制御IF部20を介してかかるWebデータを端末装置3a?3nへ送信する。
【0042】
入札処理部42は、端末装置3a?3nを介して入札者が所定の出品物に入札した入札価格が、既に入札された入札価格を越えるか否かを判定することはせずに、当該入札者の利用者IDが当該出品物に対する入札履歴として入札履歴記憶部33に未だ記録されていないこと、かつ、当該入札価格が当該出品物に対する入札が許可される許可範囲に属していることを条件に当該入札価格および当該入札者の利用者IDを対応付けて入札履歴記憶部33に格納する処理部である。具体的には、端末装置3a?3nから所定の出品物に対する入札情報を通信制御IF部20を介して受け取ると、当該出品物に対して入札履歴記憶部33が記憶するデータ中に同じ利用者IDがあるか否か、すなわち当該入札が初回であるか否かを判断し、さらに、当該出品物に対して出品物情報記憶部32が記憶する入札価格帯を読み出して入札価格が範囲内であるか否かを判断し、範囲内かつ初回である場合には、入札情報を入札履歴記憶部33に格納し、範囲外または2回目以降である場合には、エラー処理を実施する。
【0043】
入札状況作成部43は、入札履歴記憶部33に記憶された入札価格ごとに当該入札価格に入札した入札者数を算出する処理部である。具体的には、所定の出品物のオークション期間が終了すると、入札履歴記憶部33から対象の出品物に入札を行った利用者IDと、入札価格とを読み出し、入札価格ごとに当該入札価格を入札した入札者数を算出するとともに、会員データ記憶部34から各利用者IDに対応付けられた会員登録日を読み出し、入札価格に対応付けて、入札者数と、利用者IDと、会員登録日とを入札状況記憶部35に格納する。
【0044】
落札処理部44は、入札状況作成部43によって算出された各入札価格の入札者数に基づいて、最も少ない入札者数の入札価格に対して入札した入札者から落札者を決定するとともに、当該落札者の入札価格を落札価格として決定し、当該決定された落札者の利用者IDおよび落札価格を対応付けて落札結果記憶部36に格納する処理部である。具体的には、入札状況作成部43が各種情報を入札状況記憶部35に格納した後、入札状況記憶部35が記憶する利用者IDのなかから出品物情報記憶部32が記憶する出品物用意数の分だけ落札者を決定し、落札結果に係る情報を落札結果記憶部36に格納する。
【0045】
また、落札処理部44は、出品物の用意数が複数である場合には、入札者数が少ない入札価格から優先して、当該入札価格に対して入札した入札者から順に落札者を決定する。さらに、落札処理部44は、入札者数が同数となる複数の入札価格の間では、当該入札価格の各桁を加算した合計値が少ない入札価格に対して入札した入札者から優先して落札者を決定する。さらに、落札処理部44は、落札者の候補となる複数の入札者の間では、利用者登録日時が古い入札者から優先して落札者を決定する。なお、落札処理部44による落札処理については、図12?図18を用いて後に詳細に説明する。
【0046】
[オークションサーバ装置による処理]
次に、図8?図11を用いて、実施例1におけるオークションサーバ装置10の入札処理およびオークション期間終了後の処理を説明する。図8は、入札処理の流れを示すフローチャートであり、図9および図10は、端末装置3a?3nのディスプレイに表示される画面の例を示す図であり、図11は、オークション期間終了後の処理の流れを示すフローチャートである。
【0047】
入札処理を説明すると、図8に示すように、端末装置3a?3nからのアクセス要求を受け付けると(ステップS801肯定)、オークションサーバ装置10は、Web処理部41によって図9に示すように、出品物一覧画面のWebデータを送信し(ステップS802)、利用者による出品物の選択を待機する(ステップS803)。
【0048】
そして、所定の出品物が選択された場合には(ステップS803肯定)、オークションサーバ装置10は、Web処理部41によって、図10に示すように、選択された出品物に対する入札画面のWebデータを送信し(ステップS804)、利用者が送信する入札情報の受信を待機する(ステップS805)。
【0049】
そして、入札情報を受信した場合には(ステップS805肯定)、オークションサーバ装置10は、入札処理部42によって入札履歴記憶部33が記憶する情報を読み出し、同一の出品物に対して同一の入札者が入札したか否かを判断する(ステップS806)。
【0050】
そして、同一の出品物に対して同一の入札者が入札していない場合には(ステップS806否定)、オークションサーバ装置10は、入札処理部42によって出品物情報記憶部32が記憶する当該出品物の入札価格帯を読み出して入札価格が範囲内であるか否かを判定する(ステップS807)。
【0051】
そして、入札価格が範囲内である場合には(ステップS807肯定)、オークションサーバ装置10は、確認処理を実施した後、入札情報を入札履歴記憶部33へ格納し(ステップS808)、入札処理を終了する。
【0052】
一方、同一の出品物に対して同一の入札者が入札している場合(ステップS806肯定)、もしくは、入札価格が範囲内でない場合には(ステップS807否定)、オークションサーバ装置10は、エラー処理を実施し(ステップS809)、入札処理を終了する。
【0053】
オークション期間終了後の処理を説明すると、図11に示すように、オークション期間が終了すると(ステップS1101肯定)、オークションサーバ装置10は、入札状況作成部43によって入札履歴記憶部33が記憶する情報から入札者数を算出し、かかる入札者数と、入札履歴記憶部33および会員データ記憶部34が記憶する情報とを新たに関連付けて情報を作成し、かかる情報を入札状況記憶部35に格納する(ステップS1102)。
【0054】
そして、オークションサーバ装置10は、落札処理部44によって入札状況記憶部35が記憶する入札者数に基づいて、最も少ない入札者数の入札価格に対して入札した利用者IDのなかから落札者を決定し(ステップS1103)、落札結果記憶部36に落札価格および落札者の利用者IDを格納し(ステップS1104)、オークション期間終了後の処理を終了する。
【0055】
[落札者決定処理]
最後に、図12?図16を用いて落札処理部44による落札者決定処理を説明する。図12は落札者決定処理の流れを示すフローチャートであり、図13?図18は、所定の出品物に対するオークション期間が終了した後、入札履歴記憶部33および会員データ記憶部34が記憶する情報に基づいて入札状況作成部43が作成した情報を概念的に表現した図であり、利用者IDを付した四角形(入札情報)を入札価格ごとに整理して積み上げ、積み上げた高さを入札者数として表現している。
【0056】
図12に示すように、出品物のオークション期間が終了し、入札状況作成部43の処理が終わると(ステップS1201肯定)、落札処理部44は、入札者数が最小である入札価格に入札した入札者を落札者候補として選出し(ステップS1202)、当該出品物の用意数と落札者候補の人数とが同じであるか否かを判断する(ステップS1203)。
【0057】
そして、用意数と落札者候補の人数とが同じである場合には(ステップS1203肯定)、落札処理部44は、落札候補者を落札者に決定し(ステップS1210)、処理を終了する。
【0058】
一方、用意数と落札者候補の人数とが異なる場合には(ステップS1203否定)、落札処理部44は、引き続き用意数が落札者候補の人数より少ないか否かを判断する(ステップS1204)。
【0059】
そして、用意数が落札者候補の人数より多い場合には(ステップS1204否定)、落札処理部44は、落札者候補を落札者に決定するとともに、用意数と落札者数との差分を新たな用意数とする(ステップS1205)。
【0060】
その後、落札処理部44は、上記したステップS1202に戻り、入札者数が次に最小である入札価格に入札した入札者を落札者候補として選出し、用意数と落札者候補の人数とが同じになる(ステップS1203肯定)、もしくは、用意数が落札者候補の人数より少なくなる(ステップS1204肯定)まで上記のステップS1205を繰り返し実施する。
【0061】
一方、用意数が落札者候補の人数より少ない場合には(ステップS1204肯定)、落札処理部44は、引き続き当該落札者候補の入札価格が同じであるか否かを判断する(ステップS1206)。
【0062】
そして、入札価格が同じである場合には(ステップS1206肯定)、落札処理部44は、最終的に落札者候補として残った複数の入札者のなかから会員登録日が古い順に落札者を決定し(ステップS1209)、処理を終了する。
【0063】
一方、落札者候補の入札価格が異なる場合には(ステップS1206否定)、落札処理部44は、現時点の落札者候補のうち、入札価格の各桁を加算した合計値が最小なる入札価格に入札した入札者を新たな落札者候補として絞り込み(ステップS1207)、用意数と絞り込まれた落札者候補の人数とが同じであるか否かを判断する(ステップS1208)。
【0064】
そして、用意数と絞り込まれた落札者候補の人数とが同じである場合には(ステップS1208肯定)、落札処理部44は、当該落札者候補を落札者に決定し(ステップS1210)、処理を終了する。
【0065】
一方、用意数と絞り込まれた落札者候補の人数とが異なる場合には(ステップS1208否定)、落札処理部44は、最終的に落札者候補として残った複数の入札者のなかから会員登録日が古い順に落札者を決定し(ステップS1209)、処理を終了する。以下に図13?図18を用いて、この落札者決定処理の具体的な例を説明する。
【0066】
[ケース1]
例えば、出品物(用意数1個)に対し524円から526円の入札価格範囲内で入札を受け付けたところ、図13に示すように、524円に2人、525円に1人、526円に3人という入札状況になった場合には、落札処理部44は、入札者数が最小である入札価格に入札した入札者を落札者候補として選出、すなわち525円に入札した利用者ID「C」の入札者(以下「入札者C」などと表記する)を選出する。そして、用意数が1個で落札者候補が1人であるので、落札処理部44は、当該落札者候補を落札者に決定する。
【0067】
[ケース2]
例えば、出品物(用意数1個)に対し524円から526円の入札価格範囲内で入札を受け付けたところ、図14に示すように、524円に1人、525円に3人、526円に1人という入札状況になった場合には、落札処理部44は、入札者数が最小である入札価格に入札した入札者を落札者候補として選出、すなわち524円に入札した入札者Aおよび526円に入札した入札者Eの2人を選出する。そして、用意数が1個で落札者候補が2人、すなわち用意数が落札者候補の人数より少なく、また、入札価格が524円および526円、すなわち異なる入札価格であるので、落札処理部44は、入札価格の各桁の合計値を求め(5+2+4=11、5+2+6=13)、合計値が最小なる524円を入札した入札者Aを新たな落札者候補として絞り込み、用意数が1個で落札者候補が1人であるので、当該落札者候補を落札者に決定する。
【0068】
[ケース3]
例えば、出品物(用意数1個)に対し524円から526円の入札価格範囲内で入札を受け付けたところ、図15に示すように、524円に2人、525円に3人、526円に3人という入札状況になった場合には、落札処理部44は、入札者数が最小である入札価格に入札した入札者を落札者候補として選出、すなわち524円を入札した入札者Aおよび入札者Bの2人を選出する。そして、用意数が1個で落札者候補が2人、すなわち用意数が落札者候補の人数より少なく、同じ入札価格であるので、落札処理部44は、入札者Aおよび入札者Bの2人のうち会員登録日が古い方を落札者に決定する。
【0069】
[ケース4]
例えば、出品物(用意数1個)に対し400円から600円の入札価格範囲内で入札を受け付けたところ、図16に示すように、401円に1人、500円に1人、600円に3人という入札状況になった場合には、落札処理部44は、入札者数が最小である入札価格に入札した入札者を落札者候補として選出、すなわち401円を入札した入札者Aおよび500円を入札した入札者Bの2人を選出する。そして、用意数が1個で落札者候補が2人、すなわち用意数が落札者候補の人数より少なく、また、入札価格が401円および500円、すなわち異なる入札価格であるので、落札処理部44は、入札価格の各桁の合計値を求める(4+0+1=5、5+0+0=5)。ここで、合計値は、どちらの入札価格も5であり、合計値が最小なる入札価格を入札した入札者を新たに落札者候補として絞込めないので、落札処理部44は、最終的に落札者候補として残った入札者Aおよび入札者Bの2人のうち会員登録日が古い方を落札者に決定する。
【0070】
[ケース5]
例えば、出品物(用意数3個)に対し524円から526円の入札価格範囲内で入札を受け付けたところ、図17に示すように、524円に2人、525円に1人、526円に3人という入札状況になった場合には、落札処理部44は、入札者数が最小である入札価格に入札した入札者を落札者候補として選出、すなわち525円に入札した入札者Cを選出する。そして、用意数が3個で落札者候補が1人、すなわち用意数が落札者候補の人数より多いので、落札処理部44は、落札者候補である入札者Cを落札者に決定し、新たな用意数を2個とする。その後、落札処理部44は、入札者数が次に少ない入札価格に入札した入札者を落札者候補として選出、すなわち524円を入札した入札者Aおよび入札者Bの2人を選出する。この時点で、用意数が2個で落札者候補が2人であり、用意数と落札者候補の人数とが同じであるので、落札処理部44は、当該落札者候補2人を落札者に決定する。
【0071】
[ケース6]
例えば、出品物(用意数3個)に対し524円から526円の入札価格範囲内で入札を受け付けたところ、図18に示すように、524円に1人、525円に3人、526円に3人という入札状況になった場合には、落札処理部44は、入札者数が最小である入札価格に入札した入札者を落札者候補として選出、すなわち524円を入札した入札者Aの1人を選出する。そして、用意数が3個で落札者候補が1人、すなわち用意数が落札者候補の人数より多いので、落札処理部44は、落札者候補である入札者Aを落札者に決定し、新たな用意数を2個とする。その後、落札処理部44は、入札者数が次に少ない入札価格に入札した入札者を落札者候補として選出、すなわち525円および526円を入札した入札者B?Gの6人を選出する。そして、用意数が2個で落札者候補が6人、すなわち用意数が落札者候補の人数より少なく、また、入札価格が525円および526円、すなわち異なる入札価格であるので、落札処理部44は、入札価格の各桁の合計値を求め(5+2+5=12、5+2+6=13)、合計値が最小なる525円を入札した入札者B?Dの3人を新たな落札者候補として絞り込む。そして、用意数が2個で落札者候補が3人、すなわち用意数と落札者候補の人数とが異なるので、最終的に落札者候補として残った入札者B?Dの3人のなかから会員登録日が古い順に2人を落札者に決定する。
【0072】
[実施例1の効果]
上述してきたように、実施例1によれば、所定の出品物に対する入札価格を、既に入札された入札価格を越えるか否かを判定することなく記憶し、各入札価格に対する入札者数を当該出品物のオークション期間終了後に算出し、最も少ない入札者数の入札価格に入札した落札者候補から落札者を決定するので、オークション期間の終了時点で最高入札価格の入札者を落札者として決定するのではなく、また、入札者から受け付けた入札価格が既に入札された入札価格を越えるか否かを判定する処理や現在価格を更新する処理が必要なくなる結果、オークション期間の終了間際におけるオークションサーバの処理負荷を軽減するとともに、入札に費やされるオークションサーバの処理負荷を軽減することが可能になる。
【0073】
また、実施例1によれば、所定の出品物に対する入札者の利用者IDが未だ記憶されていないことを条件に、入札価格を当該入札者から受け付け、当該入札価格を利用者IDに対応付けて記憶するので、入札者による入札を1回のみしか認めない結果、オークションサーバ装置10の処理負荷をより軽減することも可能になる。
【0074】
また、実施例1によれば、所定の出品物に対し入札が許可される入札価格の許可範囲を予め定め、入札者から受け付けた入札価格が当該許可範囲に属することを条件に、入札価格を当該入札者から受け付け、当該入札価格を利用者IDに対応付けて記憶するので、入札者が入札した入札価格が所定の価格帯に集中するように促し、入札者が入札した入札価格が広範囲に散らばって入札者数が一人となるような入札価格が大量に発生するような事態を避ける結果、落札者を円滑に決定することが可能になる。
【0075】
また、実施例1によれば、出品物の用意数が複数である場合には、入札者数が少ない入札価格から優先して、当該入札価格に対して入札した入札者から順に落札者を決定するので、出品物の用意数が複数である場合でも、入札者数に少なさに基づいて落札者の優位性が自動で導かれる結果、落札者を円滑に決定することが可能になる。
【0076】
また、実施例1によれば、入札者数が同数となる複数の入札価格の間では、入札価格の各桁を加算した合計値が少ない入札価格に対して入札した入札者から優先して落札者を決定するので、入札者数が同数となる複数の入札価格の間でも、入札価格の各桁を加算した合計値に基づいて落札者の優位性が自動で導かれる結果、落札者を円滑に決定することが可能になる。
【0077】
また、実施例1によれば、出品物の用意数に対し落札者候補の人数が多い場合には、当該落札者候補のうち会員登録日が古い入札者から優先して落札者を決定するので、最終的に落札者候補として残った複数の入札者の間でも、利用者登録日時に基づいて落札者の優位性が自動で導かれる結果、落札者を円滑に決定することが可能になる。
【実施例2】
【0078】
さて、これまで本発明の実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、以下ではこれらの種々の異なる形態を実施例2として説明する。
【0079】
(1)落札者の決定
実施例1では、最終的に落札者候補として残った複数の入札者のなかから会員登録日の古い順に落札者を決定する手法を説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、入札日時の古い順に落札者を決定するようにしてもよい。
【0080】
具体的に説明すると、落札処理部44は、落札者の候補となる複数の入札者の間では、入札日時が古い入札者から優先して落札者を決定する。
【0081】
例えば、用意数2個の出品物に対し、最終的に3人の落札者候補が選出された場合には、入札日時の古い順に2人を落札者に決定する。
【0082】
このように、出品物の用意数に対し落札者候補の人数が多い場合には、当該落札者候補のうち入札日時が古い入札者から優先して落札者を決定するので、最終的に落札者候補として残った複数の入札者の間でも、入札日時に基づいて落札者の優位性が自動で導かれる結果、落札者を円滑に決定することが可能になる。
【0083】
(2)落札者候補の選出
実施例1では、用意数が落札者候補の人数より多い場合には、当該落札者候補を落札者に決定した後、入札者数が次に少ない入札価格に入札した入札者を落札者候補として選出する手法を説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、入札者数が最小なる入札価格に近い入札価格に入札した入札者を落札者候補として選出するようにしてもよい。
【0084】
具体的に説明すると、落札処理部44は、出品物の用意数が複数である場合には、入札者数が最も少ない入札価格に近い入札価格から優先して、当該入札価格に対して入札した入札者から順に落札者を決定する。
【0085】
例えば、図19は、図13?図18と同様に、所定の出品物に対するオークション期間が終了した後、入札状況作成部43が入札履歴記憶部33および会員データ記憶部34が記憶する情報に基づいて作成した情報を概念的に表現した図であるが、同図に示すように、出品物(用意数6個)に対し524円から528円の入札価格範囲内で入札を受け付けたところ、524円に3人、525円に2人、526円に1人、527円に3人、528円に2人という入札状況になった場合には、落札処理部44は、入札者数が最小である入札価格、すなわち入札者数が1人である入札価格526円の入札者Fを落札者に決定し、新たな用意数を5個とする。その後、落札処理部44は、入札価格526円に最も近い入札価格の入札者、すなわち入札価格525円に入札した入札者Dおよび入札者Eの2人と、入札価格527円に入札した入札者G、入札者Hおよび入札者Iの3人とを落札者候補に選出し、新たな用意数5個で落札者候補の人数が5人であるので、当該落札者候補を落札者に決定し、処理を終了する。
【0086】
このように、用意数が落札者候補の人数より多い場合には、当該落札者候補を落札者に決定した後、入札者数が最も少ない入札価格に近い入札価格に対して入札した入札者を落札者候補として選出し、当該落札者候補から落札者を決定するので、出品物の用意数が複数である場合でも、入札者数が最も少ない入札価格に対する近さに基づいて落札者の優位性が自動で導かれる結果、落札者を円滑に決定することが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0087】
以上のように、本発明に係るオークションサーバ装置は、ネットワークを介して入札者の端末装置に接続され、所定の出品物についてオークションを実施する場合に有用であり、特に、オークション期間の終了間際におけるオークションサーバの処理負荷を軽減するとともに、入札に費やされるオークションサーバの処理負荷を軽減することに適する。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】実施例1に係るオークションシステムの概要および特徴を説明するための図である。
【図2】実施例1に係るオークションサーバ装置の構成を示すブロック図である。
【図3】出品物情報記憶部に記憶される情報の例を示す図である。
【図4】入札履歴記憶部に記憶される情報の例を示す図である。
【図5】会員データ記憶部に記憶される情報の例を示す図である。
【図6】入札状況記憶部に記憶される情報の例を示す図である。
【図7】落札結果記憶部に記憶される情報の例を示す図である。
【図8】実施例1における入札の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】端末装置のディスプレイに表示される出品物一覧画面の例を示す図である。
【図10】端末装置のディスプレイに表示される入札画面の例を示す図である。
【図11】実施例1におけるオークション期間終了後の処理手順を示すフローチャートである。
【図12】実施例1における落札者決定の処理手順を示すフローチャートである。
【図13】実施例1における入札状況記憶部に記憶される情報の例を概念的に表した図である。
【図14】実施例1における入札状況記憶部に記憶される情報の例を概念的に表した図である。
【図15】実施例1における入札状況記憶部に記憶される情報の例を概念的に表した図である。
【図16】実施例1における入札状況記憶部に記憶される情報の例を概念的に表した図である。
【図17】実施例1における入札状況記憶部に記憶される情報の例を概念的に表した図である。
【図18】実施例1における入札状況記憶部に記憶される情報の例を概念的に表した図である。
【図19】実施例2における入札状況記憶部に記憶される情報の例を概念的に表した図である。
【符号の説明】
【0089】
1 ネットワーク
3a?3n 端末装置
10 オークションサーバ装置
20 通信制御IF部
30 記憶部
31 Webデータ記憶部
32 出品物情報記憶部
33 入札履歴記憶部
34 会員データ記憶部
35 入札状況記憶部
36 落札結果記憶部
40 制御部
41 Web処理部
42 入札処理部
43 入札状況作成部
44 落札処理部
【図面】


(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して入札者の端末装置に接続され、所定の出品物についてオークションを実施するオークションサーバ装置であって、
前記出品物について受け付けられた入札価格と各入札者を一意に識別するための利用者IDとを対応付けて記憶する入札履歴記憶手段と、
前記出品物について決定された落札価格と落札者の利用者IDとを対応付けて記憶する落札情報記憶手段と、
前記端末装置を介して入札者から受け付けた入札価格が、既に入札された入札価格を越えるか否かを判定することなく、当該入札価格および入札者の利用者IDを対応付けて前記入札履歴記憶手段に格納する入札処理手段と、
前記入札履歴記憶手段に記憶された入札価格ごとに当該入札価格に入札した入札者数を算出する入札数算出手段と、
前記入札数算出手段によって算出された各入札価格の入札者数に基づいて、最も少ない入札者数の入札価格に対して入札した入札者から落札者を決定し、前記入札者数が同数となる複数の入札価格の間では、当該入札価格の各桁を加算した合計値が少ない入札価格に対して入札した入札者から優先して落札者を決定するとともに、当該落札者の入札価格を落札価格として決定し、当該決定された落札者の利用者IDおよび落札価格を対応付けて前記落札情報記憶手段に格納する落札処理手段と、
を備えたことを特徴とするオークションサーバ装置。
【請求項2】
前記入札処理手段は、前記入札履歴記憶手段に記憶された入札価格および利用者IDに基づいて、前記入札者の利用者IDが未だ記憶されていないことを条件に、当該入札者から受け付けた入札価格および利用者IDを対応付けて前記入札履歴記憶手段に格納することを特徴とする請求項1に記載のオークションサーバ装置。
【請求項3】
前記出品物は、入札が許可される入札価格の許可範囲が予め定められたものであって、
前記入札処理手段は、前記入札者から受け付けた入札価格が前記入札価格の許可範囲に属することを条件に、当該入札者から受け付けた入札価格および利用者IDを対応付けて前記入札履歴記憶手段に格納することを特徴とする請求項1または2に記載のオークションサーバ装置。
【請求項4】
前記落札処理手段は、前記出品物の用意数が複数である場合には、前記入札者数が少ない入札価格から優先して、当該入札価格に対して入札した入札者から順に落札者を決定することを特徴とする請求項1、2または3に記載のオークションサーバ装置。
【請求項5】
前記落札処理手段は、前記出品物の用意数が複数である場合には、前記入札者数が最も少ない入札価格に近い入札価格から優先して、当該入札価格に対して入札した入札者から順に落札者を決定することを特徴とする請求項1?4のいずれか一つに記載のオークションサーバ装置。
【請求項6】
前記落札処理手段は、落札者の候補となる複数の入札者の間では、利用者登録日時が古い入札者から優先して落札者を決定することを特徴とする請求項1?5のいずれか一つに記載のオークションサーバ装置。
【請求項7】
前記落札処理手段は、落札者の候補となる複数の入札者の間では、入札日時が古い入札者から優先して落札者を決定することを特徴とする請求項1?6のいずれか一つに記載のオークションサーバ装置。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2011-05-20 
出願番号 特願2006-142098(P2006-142098)
審決分類 P 1 41・ 853- Y (G06Q)
P 1 41・ 852- Y (G06Q)
最終処分 成立  
前審関与審査官 川口 美樹  
特許庁審判長 井上 正
特許庁審判官 清田 健一
津幡 貴生
登録日 2010-10-29 
登録番号 特許第4616207号(P4616207)
発明の名称 オークションサーバ装置  
代理人 酒井 宏明  
代理人 酒井 宏明  

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