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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服200610932 審決 特許
無効2007800001 審決 特許
不服200720710 審決 特許
不服200520859 審決 特許

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審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 A61K
審判 査定不服 特36 条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない。 A61K
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A61K
審判 査定不服 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 A61K
管理番号 1238796
審判番号 不服2009-3483  
総通号数 140 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-02-16 
確定日 2011-06-14 
事件の表示 平成 7年特許願第515698号「アポトーシスを阻害する組成物,その組成物の精製方法およびその使用」拒絶査定不服審判事件〔平成 7年 6月 8日国際公開,WO95/15173,平成11年 2月 2日国内公表,特表平11-501284〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,1994年11月30日(パリ条約による優先権主張:1993年11月30日 米国,1994年10月7日 米国)を国際出願日とする出願であって,平成18年9月8日付けで拒絶理由が通知され,同年12月18日付けで意見書及び願書に添付した明細書についての手続補正書が提出されたところ,平成20年11月10日付けで拒絶査定がなされた。その後,平成21年2月16日付けで拒絶査定不服審判が請求され,同年3月18日付けで願書に添付した明細書についての手続補正書が提出された。さらに,同年10月29日付けで前置報告がされ,平成22年5月12日付けで前置報告の内容につき審尋がなされたが,請求人からは回答がなかった。

第2 平成21年3月18日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成21年3月18日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 補正後の請求項に係る発明
本件補正により,補正前の特許請求の範囲の請求項1?55が補正後の特許請求の範囲の請求項1?51に補正されたところ,そのうち,補正前の請求項36?38,すなわち,
「36.室温で50%エタノール/50%水の溶液に可溶性で,70%アセトン/30%水の溶液に実質的に不溶性のダイズ種子由来のアポトーシスインヒビターを含有する,アポトーシスを阻害するための組成物。
37.室温で60%硫酸アンモニウム水溶液に可溶性であり,50mM MgCl_(2)水溶液に可溶性である植物または植物生産物由来のアポトーシスインヒビターを含有する,アポトーシスを阻害するための組成物。
38.pHレベルが2.5?11の範囲で安定な,請求項37に記載の組成物。」
は,補正後の請求項32?34,すなわち,
「【請求項32】
室温で50%エタノール/50%水の溶液に可溶性で,70%アセトン/30%水の溶液に実質的に不溶性のダイズ種子から得られるアポトーシスを阻害するための組成物。
【請求項33】
室温で60%硫酸アンモニウム水溶液に可溶性であり,50mM MgCl_(2)水溶液に可溶性であるダイズ種子から得られるアポトーシスを阻害するための組成物。
【請求項34】
pHレベルが2.5?11の範囲で安定な,請求項33に記載の組成物。」
に補正された。
(以下,本件補正後の請求項33及び34に係る発明を,それぞれ「補正発明33」及び「補正発明34」という。)

そこで,本件補正が適法になされたものであるかどうかについて,以下に検討する。

2 目的要件について
(1)補正後の請求項32について
補正後の請求項32に係る補正は,補正前の請求項36における「・・・に可溶性で,・・・に実質的に不溶性のダイズ種子由来のアポトーシスインヒビターを含有する,アポトーシスを阻害するための組成物。」との記載を,「・・・に可溶性で,・・・に実質的に不溶性のダイズ種子から得られるアポトーシスを阻害するための組成物。」との記載に変更するものであるところ,補正前の請求項36において,「・・・に可溶性で,・・・に実質的に不溶性」との溶解性に係る特定は,それに続く「ダイズ種子由来のアポトーシスインヒビター」に対するものであった(発明の対象である「組成物」は,そのような「ダイズ種子由来のアポトーシスインヒビター」を含有するもの。)。これに対し,補正後の請求項32においては,同溶解性に係る特定は,「ダイズ種子から得られるアポトーシスを阻害するための組成物」に対するものであり,同溶解性は,発明の対象である「組成物」自体の性質となった。すなわち,本件補正の前と後とで,同溶解性を備える対象が相違するから,本件補正により,発明の対象である「組成物」自体が異なるものとなった。
そうすると,本件補正は,平成6年法律第116号改正附則第6条によりなお従前の例によるとされる同法による改正前(以下,単に「平成6年改正前」という。)の特許法第17条の2第3項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当しない。また,本件補正は,同条第3項第1号,第3号及び第4号にそれぞれ規定する,請求項の削除,誤記の訂正,及び,明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)のいずれを目的とするものにも該当しない。
よって,補正後の請求項32に係る補正は,平成6年改正前の特許法第17条の2第3項の規定に違反する。

(2)補正後の請求項33について
補正後の請求項33に係る補正は,補正前の請求項37における「・・・に可溶性であり,・・・に可溶性である植物または植物生産物由来のアポトーシスインヒビターを含有する,アポトーシスを阻害するための組成物。」との記載を,「・・・に可溶性であり,・・・に可溶性であるダイズ種子から得られるアポトーシスを阻害するための組成物。」との記載に変更するものであるところ,上記(1)と同様の理由により,本件補正の前と後とで,「・・・に可溶性であり,・・・に可溶性である」との溶解性を備える対象が相違するから,本件補正により,発明の対象である「組成物」自体が異なるものとなった。
そうすると,本件補正は,平成6年改正前の特許法第17条の2第3項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当しない。また,本件補正は,同条第3項第1号,第3号及び第4号にそれぞれ規定する,請求項の削除,誤記の訂正,及び,明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)のいずれを目的とするものにも該当しない。
よって,補正後の請求項33に係る補正は,平成6年改正前の特許法第17条の2第3項の規定に違反する。

(3)補正後の請求項34について
補正後の請求項34に対応する補正前の請求項38は,補正前の請求項37を引用し,同項に係る組成物において,その安定なpHレベルを特定するものであり,また,補正後の請求項34は,補正後の請求項33を引用し,同項に係る組成物において同じ特定を行うものである。そうすると,上記(2)に記載したように,補正後の請求項33に係る補正は,平成6年改正前の特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであるから,補正後の請求項34に係る補正も,同じく同条第3項の規定に違反する。

3 独立特許要件について
上記「2(2),(3)」に示したように,補正発明33及び34に係る本件補正は,平成6年改正前の特許法第17条の2第3項第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものには該当しないと判断するが,仮に,同補正が,同号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当するものであったとしても,補正発明33及び34は,以下に述べるとおり,特許出願の際独立して特許を受けることができないものであり,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前(以下,単に「平成18年改正前」という。)の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合しないものである。

(1)補正発明33について
補正発明33は,「室温で60%硫酸アンモニウム水溶液に可溶性であり,50mM MgCl_(2)水溶液に可溶性であるダイズ種子から得られるアポトーシスを阻害するための組成物。」をその構成に欠くことができない事項とするものであるところ,「室温で60%硫酸アンモニウム水溶液に可溶性であり,50mM MgCl_(2)水溶液に可溶性である」との溶解性については,発明の詳細な説明に実質的な開示がなされていないばかりか,形式的な記載すら存在しない。すなわち,硫酸アンモニウムに関する記載は,発明の詳細な説明に存在せず,また,塩化マグネシウム(MgCl_(2))に関しては,わずかに実施例9に,抗アポトーシス活性をアッセイする際に使用する培地を調製するための成分として「0.5mM塩化マグネシウム」との記載があるが,補正発明33のものとは,その濃度だけでなく使用される対象も全く異なり無関係である。
なお,この点については,拒絶査定の備考において指摘されているし,平成22年5月12日付けの審尋においても指摘したが,請求人からは,この点に関し何らの主張もなされていない。
そうすると,補正発明33については,発明の詳細な説明に記載したものであるとはいえない。

(2)補正発明34について
補正発明34は,補正発明33の組成物に対して,その「pHレベルが2.5?11の範囲で安定な」との限定を付したものであって,補正発明33における溶解性に係る特定を,そのままその発明の構成に欠くことができない事項とするものである。
そうすると,補正発明34は,補正発明33についての理由と同様の理由により,発明の詳細な説明に記載したものであるとはいえない。

したがって,本願は,特許法第36条第5項第1号及び第6項(平成6年法律第116号による改正前のもの。特許法第36条に関し,以下同様。)の規定に違反するから,本件補正は,平成18年改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反する。

4 むすび
よって,本件補正は,平成6年改正前の特許法第17条の2第3項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
また,仮に,本件補正が,同法第17条の2第3項第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであったとしても,本件補正は,平成18年改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成21年3月18日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので,本願の請求項に係る発明は,当該補正前の平成18年12月18日付けの手続補正書により補正された請求項1?55に記載されたとおりのものであるところ,その請求項37及び38には,次のとおり記載されている。
「37.室温で60%硫酸アンモニウム水溶液に可溶性であり,50mM MgCl_(2)水溶液に可溶性である植物または植物生産物由来のアポトーシスインヒビターを含有する,アポトーシスを阻害するための組成物。
38.pHレベルが2.5?11の範囲で安定な,請求項37に記載の組成物。」
(以下,請求項37及び38に係る発明を,それぞれ「本願発明37」及び「本願発明38」という。)

2 原査定の理由
原査定の拒絶の理由4及び5は,概略,次のとおりである。

「4.この出願は,発明の詳細な説明の記載が下記の点で,特許法第36条第4項に規定する要件を満たしていない。
5.この出願は,特許請求の範囲の記載が下記の点で,特許法第36条第5項第1号及び第6項に規定する要件を満たしていない。

理由4について
請求項に係る発明において,効果が記載されているのは大豆あるいは大豆由来のもののみである。また,明細書に記載された,インゲン豆,エンドウ豆,ナス属,ネギ属の植物性粉末が抗アポト-シス活性を有することが,実験等による定量的データで示されていないので,本願発明の抗アポトーシス活性を示す効果の具体的な裏付けが,これらの植物において為されているものとは認められない。
理由5について
請求項に記載の植物において,具体的に試験され効果が記載されているのは大豆あるいは大豆由来のもののみである。よって,請求項37,38に係る発明は,発明の詳細な説明に記載したものでない。」

3 当審の判断
(1)特許法第36条第5項第1号及び第6項違反(拒絶の理由5)について
明細書の発明の詳細な説明の記載から見て,本願発明は,植物源(植物,植物生産物等)からアポトーシス阻害活性(抗アポトーシス活性)を有する組成物を製造することを発明の解決すべき課題とするものと認められる。しかし,発明の詳細な説明において,実施例等の具体的な記載により,アポトーシス阻害活性を有する組成物を製造し得ることが客観的に確認できる植物源は,ダイズのみである。
ところで,特許請求の範囲に発明として記載して特許を受けるためには,明細書の発明の詳細な説明に,当該発明の課題が解決できることを当業者において認識できるように記載しなければならないところ(知財高裁大合議平成17年11月11日判決(平成17年(行ケ)第10042号)参照。),本願については,出願時の技術常識を考慮しても,ダイズ以外の植物源について,上記の課題が解決できることを当業者に認識できるように,発明の詳細な説明が記載されているとは認められない。そうすると,組成物に含まれるアポトーシスインヒビターの由来を「植物または植物生産物」としている本願発明37及び38については,発明の詳細な説明に記載したものであるとはいえない。
よって,本願は,特許法第36条第5項第1号及び第6項の規定に違反する。

(2)特許法第36条第4項違反(拒絶の理由4)について
上記(1)に示したように,本願発明の解決しようとする課題は,植物源から抗アポトーシス活性を有する組成物を製造すること,にあるといえるから,本願発明の効果は,同様に,植物源からアポトーシス阻害活性を有する組成物を製造し得ること,であると認められる。
しかし,上記(1)に示したように,発明の詳細な説明には,ダイズ以外を植物源とする場合にアポトーシス阻害活性を有する組成物を製造し得ることが客観的に確認できる記載は存在せず,また,任意の植物がアポトーシス阻害活性を有する物質を含有しているとの技術常識も存在しないことから,発明の詳細な説明の記載に加え,出願時の技術常識を考慮しても,ダイズ以外の植物源からアポトーシス阻害活性を有する組成物を製造し得るとは認められない。そうすると,発明の詳細な説明には,本願発明37及び38について,当業者が容易にその実施をすることができる程度に発明の効果が記載されているとは認められない。
よって,本願は,特許法第36条第4項の規定に違反する。

4 むすび
したがって,本願は,本願発明37及び38について,特許法第36条第5項第1号及び第6項,並びに,同条第4項に規定する要件を満たしていないから,他の請求項に係る発明について判断するまでもなく,この特許出願は拒絶すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-01-18 
結審通知日 2011-01-19 
審決日 2011-02-01 
出願番号 特願平7-515698
審決分類 P 1 8・ 572- Z (A61K)
P 1 8・ 534- Z (A61K)
P 1 8・ 575- Z (A61K)
P 1 8・ 531- Z (A61K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鶴見 秀紀  
特許庁審判長 内田 俊生
特許庁審判官 鵜飼 健
星野 紹英
発明の名称 アポトーシスを阻害する組成物、その組成物の精製方法およびその使用  
代理人 山本 秀策  
代理人 安村 高明  
代理人 森下 夏樹  
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