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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A61K
審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 特許、登録しない。 A61K
管理番号 1245427
審判番号 不服2008-1664  
総通号数 144 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-12-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-01-21 
確定日 2011-10-19 
事件の表示 特願2001-561289「美容用組成物」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 8月30日国際公開、WO01/62222、平成16年 1月15日国内公表、特表2004-501069〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成13年2月19日( パリ条約による優先権主張 平成12年2月25日,ドイツ)を国際出願日とする特許出願であって,平成17年7月29日付けで拒絶理由通知書が出され,平成18年1月31日付けで手続補正がなされたが,平成19年10月15日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,平成20年1月21日付けで拒絶査定不服審判が請求され,同日付けで手続補正がなされたものである。
そして,平成22年10月15日付けで審尋がなされ,回答書が平成23年4月18日付けで請求人より提出されたものである。

第2 平成20年1月21日付けで手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成20年1月21日付けで手続補正(以下,「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 補正の目的について
(1)補正後の発明
本件補正は請求項1に対する補正を含むものであって,補正前の請求項1
「a)水と共にラメラ構造を形成する少なくとも1つの物質を有し,
b)式I
-CH_(2)-N^(+)-(CH_(3))_(3) (式I)
で表される官能基を少なくとも1つ有する少なくとも一種の化合物及び/又はS-アデノシルメチオニンを有し,
c)水を有し,
前記物質はモノグリセリド,ジグリセリド,蒸留した中鎖モノグリセリド,スフィンゴ脂質,リン脂質,脂肪族アルコール,脂肪酸,石鹸,脂肪酸のモノエステル,脂肪酸のジエステル,スクロース,グルコース,脂肪族アルコール類とグルコース及び/又はスクロースとのグリコシド縮合生成物,脂肪族アルコール類とグルコース及び/又はスクロースとのフラノシド縮合生成物,脂肪族アルコール類とグルコース及び/又はスクロースとのピラノシド縮合生成物,グリコシドと脂肪酸誘導体とのモノエステル,グリコシドと脂肪酸誘導体とのジエステル,ステロール,脂肪酸とステロールのモノエステル,脂肪酸とステロールのジエステル,ステロールのグリコール誘導体,及びそれらの混合物からなる基から選択され,
少なくとも一種の前記化合物が,ベタイン,アセチルコリン,コリン,グリセロホスホコリン,ホスファチジルコリン,リソホスファチジルコリン,カルニチン,アシルカルニチン,スフィンゴミエリン,及びそれらの混合物,誘導体及び代謝物からなる基から選択された組成物において,
d)前記組成物が層構造を有するラメラ構造を有し,前記物質の上層が前記物質の下層と一直線に並んでおり,前記物質の親水基がそれぞれ外側を向き,前記物質の親油基が互いに内側に並んでおり,前記ラメラ構造が前記水で囲まれている組成物。」は,本件補正により,
「a)水と共にラメラ構造を形成する少なくとも1つの物質を有し,
b)式I
-CH_(2)-N^(+)-(CH_(3))_(3) (式I)
で表される官能基を少なくとも1つ有する少なくとも一種の化合物を有し,
c)メチルグリシン,ジメチルグリシン,メチルメチオニン及びそれらの混合物からなる群から選択された添加物を有し,
d)水を有し,
前記物質はモノグリセリド,ジグリセリド,蒸留した中鎖モノグリセリド,スフィンゴ脂質,リン脂質,脂肪族アルコール,脂肪酸,石鹸,脂肪酸のモノエステル,脂肪酸のジエステル,スクロース,グルコース,イノシトール,脂肪族アルコール類とグルコース及び/又はスクロースとのグリコシド縮合生成物,脂肪族アルコール類とグルコース及び/又はスクロースとのフラノシド縮合生成物,脂肪族アルコール類とグルコース及び/又はスクロースとのピラノシド縮合生成物,グリコシドと脂肪酸誘導体とのモノエステル,グリコシドと脂肪酸誘導体とのジエステル,ステロール,脂肪酸とステロールのモノエステル,脂肪酸とステロールのジエステル,ステロールのグリコール誘導体,及びそれらの混合物からなる群から選択され,
少なくとも一種の前記化合物が,ベタイン,アセチルコリン,コリン,N-アセチルエタノールアミン,グリセロホスホコリン,ホスファチジルコリン,リソホスファチジルコリン,カルニチン,アシルカルニチン,スフィンゴミエリン,及びそれらの混合物及び誘導体からなる群から選択された組成物において,
e)前記組成物が層構造を有するラメラ構造を有し,前記物質の上層が前記物質の下層と一直線に並んでおり,前記物質の親水基がそれぞれ外側を向き,前記物質の親油基が互いに内側に並んでおり,前記ラメラ構造が前記水で囲まれている組成物。」と補正された。なお,下線は補正事項を示す。

(2)請求項1についての補正事項
ア 補正事項1
補正前「b)式I
-CH_(2)-N^(+)-(CH_(3))_(3) (式I)
で表される官能基を少なくとも1つ有する少なくとも一種の化合物及び/又はS-アデノシルメチオニンを有し」とあったを,補正により「b)式I
-CH_(2)-N^(+)-(CH_(3))_(3) (式I)
で表される官能基を少なくとも1つ有する少なくとも一種の化合物を有し,」とするものである。
これは,S-アデノシルメチオニンを選択肢から削除するものであるから,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前(以下,「平成18年改正前」という。)の特許法17条の2第4項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

イ 補正事項2
補正前の特定事項に「c)メチルグリシン,ジメチルグリシン,メチルメチオニン及びそれらの混合物からなる群から選択された添加物を有し」とする特定事項を付加するものである。
そして,かかるc)の要件を追加したことに伴い,補正前の「c)」とあったのを「d)」と整理したものである。
これは,特定事項の追加に相当するから,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前(以下,「平成18年改正前」という。)の特許法17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

ウ 補正事項3
「a)水と共にラメラ構造を形成する少なくとも1つの物質」として,補正前に「前記物質はモノグリセリド,ジグリセリド,蒸留した中鎖モノグリセリド,スフィンゴ脂質,リン脂質,脂肪族アルコール,脂肪酸,石鹸,脂肪酸のモノエステル,脂肪酸のジエステル,スクロース,グルコース,脂肪族アルコール類とグルコース及び/又はスクロースとのグリコシド縮合生成物,脂肪族アルコール類とグルコース及び/又はスクロースとのフラノシド縮合生成物,脂肪族アルコール類とグルコース及び/又はスクロースとのピラノシド縮合生成物,グリコシドと脂肪酸誘導体とのモノエステル,グリコシドと脂肪酸誘導体とのジエステル,ステロール,脂肪酸とステロールのモノエステル,脂肪酸とステロールのジエステル,ステロールのグリコール誘導体,及びそれらの混合物からなる基から選択され」とあったのを,「基」を補正により「群」にし,選択肢に「イノシトール」を追加したものである。
「基」を「群」に補正することは,誤記の平成18年改正前の特許法第17条の2第4項第3号の誤記の訂正を目的とするものに該当する。
また,選択肢に「イノシトール」を追加する補正は,選択肢が増えるから特許請求の範囲の減縮とはいえないし,平成18年改正前の特許法第17条の2第4項各号に規定するいずれの目的にも該当しない。

エ 補正事項4
補正前の「b)式I
-CH_(2)-N^(+)-(CH_(3))_(3) (式I)
で表される官能基を少なくとも1つ有する少なくとも一種の化合物及び/又はS-アデノシルメチオニンを有」することから,S-アデノシルメチオニンを削除するものである。
かかる補正は,選択肢の削除であり,平成18年改正前の特許法17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

オ 補正事項5
「b)式I
-CH_(2)-N^(+)-(CH_(3))_(3) (式I)
で表される官能基を少なくとも1つ有する少なくとも一種の化合物」として,補正前に「少なくとも一種の前記化合物が,ベタイン,アセチルコリン,コリン,グリセロホスホコリン,ホスファチジルコリン,リソホスファチジルコリン,カルニチン,アシルカルニチン,スフィンゴミエリン,及びそれらの混合物,誘導体及び代謝物からなる基から選択された」とあったのを,「基」を補正により「群」にし,選択肢に「N-アセチルエタノールアミン」を追加したものである。
「基」を「群」に補正することは,誤記の平成18年改正前の特許法第17条の2第4項第3号の誤記の訂正を目的とするものに該当する。
また,後者の補正事項は,「一種の化合物」の選択肢に「N-アセチルエタノールアミン」を追加するであり,選択肢が増えるから特許請求の範囲の減縮とはいえない。
よって,平成18年改正前の特許法第17条の2第4項各号に規定するいずれの目的にも該当しない。

2 補正却下のむすび
以上のように,本件補正は,請求項1についての補正事項に,平成18年改正前の特許法第17条の2第4項各号に規定するいずれの目的にも該当しないものを含むから,その余の補正事項を検討するまでもなく,平成18年改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので,本願の請求項1乃至46に係る発明は,平成18年1月31日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1乃至46に記載された事項により特定される発明であると認められれる。そして,その請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,以下の事項により特定されるものである。
「a)水と共にラメラ構造を形成する少なくとも1つの物質を有し,
b)式I
-CH_(2)-N^(+)-(CH_(3))_(3) (式I)
で表される官能基を少なくとも1つ有する少なくとも一種の化合物及び/又はS-アデノシルメチオニンを有し,
c)水を有し,
前記物質はモノグリセリド,ジグリセリド,蒸留した中鎖モノグリセリド,スフィンゴ脂質,リン脂質,脂肪族アルコール,脂肪酸,石鹸,脂肪酸のモノエステル,脂肪酸のジエステル,スクロース,グルコース,脂肪族アルコール類とグルコース及び/又はスクロースとのグリコシド縮合生成物,脂肪族アルコール類とグルコース及び/又はスクロースとのフラノシド縮合生成物,脂肪族アルコール類とグルコース及び/又はスクロースとのピラノシド縮合生成物,グリコシドと脂肪酸誘導体とのモノエステル,グリコシドと脂肪酸誘導体とのジエステル,ステロール,脂肪酸とステロールのモノエステル,脂肪酸とステロールのジエステル,ステロールのグリコール誘導体,及びそれらの混合物からなる基から選択され,
少なくとも一種の前記化合物が,ベタイン,アセチルコリン,コリン,グリセロホスホコリン,ホスファチジルコリン,リソホスファチジルコリン,カルニチン,アシルカルニチン,スフィンゴミエリン,及びそれらの混合物,誘導体及び代謝物からなる基から選択された組成物において,
d)前記組成物が層構造を有するラメラ構造を有し,前記物質の上層が前記物質の下層と一直線に並んでおり,前記物質の親水基がそれぞれ外側を向き,前記物質の親油基が互いに内側に並んでおり,前記ラメラ構造が前記水で囲まれている組成物。」

第4 刊行物1記載の事項
原査定の拒絶の理由で引用され,本願優先権主張日前に頒布された刊行物である特開平11-1423号公報(以下,「刊行物1」という。)には,次の事項が記載されている。なお,刊行物1を含め以下の下線は,すべて当審にて付記したものである。
(1)摘記事項
(刊1-1)「【請求項2】(A)炭素数18?22かつ分子構造中の二重結合数が2?6の不飽和脂肪酸及びその誘導体から選ばれた少なくとも1種,(B)リン脂質,(C)酸化防止剤,(D)蛋白質及びその加水分解物から選ばれた少なくとも1種,並びに(E)ムコ多糖及びその塩から選ばれた少なくとも1種を含有するリポソーム複合体を配合してなる美白化粧料。」

(刊1-2)「【0012】つぎに,(B)リン脂質としては,例えばホスファチジルコリン,ホスファチジルセリン,ホスファチジルエタノールアミン,ホスファチジルイノシトール,ホスファチジルグリセロール,スフィンゴミエリン,大豆レシチン,コーンレシチン,綿実油レシチン,卵黄レシチン,卵白レシチンなどの天然レシチンおよび,水素添加レシチン,これらのリン脂質にポリエチレングリコールや,アミノグリカン類を導入したリン脂質誘導体などが挙げられる。これらリン脂質は1種または2種以上を組み合わせて使用でき,これらのうち,大豆レシチン,卵黄レシチン,水素添加大豆レシチン,水素添加卵黄レシチンが好ましい。」

(刊1-3)「【0059】
[実施例15](乳液)
成分 配合量(%)
(A)
1,3-ブチレングリコール 5.00
精製水 残部
パラオキシ安息香酸エステル 0.30
ステアリン酸デカグリセリル 2.00
カルボキシビニルポリマー 0.10
水酸化カリウム 適量(pH調整)
クエン酸 0.50
(B)
流動パラフィン 5.00
ステアリン酸 1.00
モノステアリン酸グリセリン 2.00
自己乳化型モノステアリン酸グリセリン 1.00
スクワラン 3.00
(C)
フォスファチジルエタノールアミン 0.06
フォスファチジルセリン 0.081
スフィンゴミエリン 0.108
リノール酸エチル 0.20
EDTA 0.05
精製水 10.00
(D)
コンドロイチン硫酸ナトリウム 0.05
ケラチン 0.02
精製水 5.00
合計 100.00
(製法)A相,B相をそれぞれ加温し均一に混合撹拌した後,B相にA相を加え,混合撹拌した。C相はフレンチプレスを用いてリポソームを形成し,フィルターを用いて粒径を調製した後D相に加え,リポソーム複合体を調製した。B相の冷却途中で,このリポソーム複合体を加え,乳液とした(pH6.9)。」

(2)刊行物1記載の発明
ここで,摘記(刊1-3)記載の「フォスファチジルエタノールアミン」及び「フォスファチジルセリン」は,それぞれ「ホスファチジルエタノールアミン」及び「ホスファチジルセリン」とも表記されることから,摘記(刊1-2)「ホスファチジルセリン,ホスファチジルエタノールアミン」のとおり,表記を統一すると,摘記(刊1-3)からみて,刊行物1には,次の発明(以下,「刊行物1発明」という。)が記載されていると認められる。
「(乳液)
成分 配合量(%)
(A)
1,3-ブチレングリコール 5.00
精製水 残部
パラオキシ安息香酸エステル 0.30
ステアリン酸デカグリセリル 2.00
カルボキシビニルポリマー 0.10
水酸化カリウム 適量(pH調整)
クエン酸 0.50
(B)
流動パラフィン 5.00
ステアリン酸 1.00
モノステアリン酸グリセリン 2.00
自己乳化型モノステアリン酸グリセリン 1.00
スクワラン 3.00
(C)
ホスファチジルエタノールアミン 0.06
ホスファチジルセリン 0.081
スフィンゴミエリン 0.108
リノール酸エチル 0.20
EDTA 0.05
精製水 10.00
(D)
コンドロイチン硫酸ナトリウム 0.05
ケラチン 0.02
精製水 5.00
合計 100.00
(製法)A相,B相をそれぞれ加温し均一に混合撹拌した後,B相にA相を加え,混合撹拌した。C相はフレンチプレスを用いてリポソームを形成し,フィルターを用いて粒径を調製した後D相に加え,リポソーム複合体を調製し、B相の冷却途中で,このリポソーム複合体を加えた乳液。」

第5 対比・判断
本願発明と刊行物1発明を対比する。
ア 「水と共にラメラ構造を形成する少なくとも1つの物質」について
刊行物1発明のC相に加えられている「ホスファチジルエタノールアミン」「ホスファチジルセリン」及び「スフィンゴミエリン」は,摘記(刊1-2)において,「【0012】つぎに,(B)リン脂質としては,例えばホスファチジルコリン,ホスファチジルセリン,ホスファチジルエタノールアミン,・・・スフィンゴミエリン,・・・などが挙げられる。」と記載されており,リン脂質に相当する。
そして,かかる刊行物1発明のC相は,C相に加えられた「精製水」と前記リン脂質により,「フレンチプレスを用いてリポソームを形成」されることとなる。リポソームが,球形をしてラメラ構造を有するものであることは,下記刊行物A及びBに記載されているように技術常識である。
そうすると,刊行物1発明の「ホスファチジルエタノールアミン」「ホスファチジルセリン」及び「スフィンゴミエリン」は,本願発明の「水と共にラメラ構造を形成する少なくとも1つの物質」に相当するといえる。

イ 「前記物質」について
刊行物1発明の「ホスファチジルエタノールアミン」「ホスファチジルセリン」及び「スフィンゴミエリン」は,前記したようにリン脂質であるから,本願発明の「前記物質はモノグリセリド,ジグリセリド,蒸留した中鎖モノグリセリド,スフィンゴ脂質,リン脂質,脂肪族アルコール,脂肪酸,石鹸,脂肪酸のモノエステル,脂肪酸のジエステル,スクロース,グルコース,脂肪族アルコール類とグルコース及び/又はスクロースとのグリコシド縮合生成物,脂肪族アルコール類とグルコース及び/又はスクロースとのフラノシド縮合生成物,脂肪族アルコール類とグルコース及び/又はスクロースとのピラノシド縮合生成物,グリコシドと脂肪酸誘導体とのモノエステル,グリコシドと脂肪酸誘導体とのジエステル,ステロール,脂肪酸とステロールのモノエステル,脂肪酸とステロールのジエステル,ステロールのグリコール誘導体,及びそれらの混合物からなる基から選択され」る選択肢において,リン脂質という点で本願発明に包含される。

ウ 「ラメラ構造」について
リポソームは,刊行物Bに「リポソームは一般的に球形の,一つ以上の脂質壁からなる顕微鏡的な粒子である。」(摘記(刊B-1))と記載されているように,球形をしているものである。そして,「水に晒されると,脂質分子は二重層を形成し,二重層の各層で分子の末端の脂質は膜の中央に向き,反対側の極性端末は二重層の内側と外側の表面を形成する。このように,膜の両面は親水性表面を与え,膜の内部は親油性環境になる。」(摘記(刊B-1))と記載されているように,親水基が外側を向き,親油基が内側に並んでいるものである。

他方,本願明細書には,ラメラ構造について次のような記載がある。
「【0004】
美容用組成物の最も簡単な例において,本組成物中の物質は,特定の製造設備で,水と共にラメラ構造(薄膜構造)を形成することができることも知られており,このようなラメラ構造は層構造を有し,物質の各上層が,物質の下層と一直線をなす。ここで,個々の物質の層のこの整列は,それぞれに使用される溶媒によって生じ,物質の親水基がそれぞれ外に向き,親油基が互いに内側に並ぶか,あるいは,これらの親油基がそれぞれ外に向き,物質の親水基が内側に並ぶ。ラメラ構造を取り囲む媒体が親水性であるとき,常に後者であり,物質が親水性の媒体に吸収されるときはいつも前者のラメラ構造が生じる。」
ここでは,「ラメラ構造は層構造を有し,物質の各上層が,物質の下層と一直線をなす。」と,上層,下層,一直線という表現を用いてラメラ構造を説明している。それに続き,「ここで」とあるから,前記上層と下層を有する前記一直線をなすラメラ構造を受けたものであると理解される。そして,「個々の物質の層のこの整列は,それぞれに使用される溶媒によって生じ,物質の親水基がそれぞれ外に向き,親油基が互いに内側に並ぶか,あるいは,これらの親油基がそれぞれ外に向き,物質の親水基が内側に並ぶ。」とあり,上層,下層ではなく,外側と内側という表現に置き換えられて説明がなされている。すなわち,上層及び下層は,溶媒の影響により「親水基が外側,親油基が内側に並ぶ」又は「新油基が外側,親水基が内側に並ぶ」のいずれかの形態になるものが本願発明のラメラ構造に包含されると理解される。外側及び内側の区別は,例えば,球状の形態のような閉鎖的な形態でないと,存在し得ない概念であるから,これを前提するものと理解するのが自然である。

これを裏付けるように,本願発明の実施例において次のような工程が,本願明細書に記載されている。
実施例1
「【0050】
生成のため,相1及び相2を先ず75℃に加熱した。次いで,温度を維持しながら,相2を相1に徐々に加え,その混合物を連続的に攪拌した。完全な混合物を調製した後,ホモジナイザー(Ultra Turrax)を使用して,これを1500rpmで2分間ホモジナイズした。
【0051】
このホモジナイズに続いて,790barにて5分間,高圧ホモジネーションを続けることにより,強制ホモジナイズを行った。次いで,この混合物を連続的に攪拌しながら37℃に冷却した。次いで,Ultra Turraxホモジナイザーを8000rpmにて使用して,3分間,この混合物を再度ホモジナイズした。この後,この混合物を連続的に攪拌しながら室温まで冷却した。」

実施例2
「【0055】
生成のため,相1及び相2を先ず75℃に加熱した。次いで,温度を維持しながら,相2を相1に徐々に加え,その混合物を連続的に攪拌した。完全な混合物を調製した後,ホモジナイザー(Ultra Turrax)を使用して,これを1000rpmで2分間ホモジナイズした。
【0056】
このホモジナイズに続いて,600barにて5分間,高圧ホモジネーションを続けることにより,強制ホモジナイズを行った。次いで,この混合物を連続的に攪拌しながら37℃に冷却した。次いで,Ultra Turraxホモジナイザーを8000rpmにて使用して,3分間,この混合物を再度ホモジナイズした。この後,この混合物を連続的に攪拌しながら室温まで冷却した。」

実施例3
「【0060】
生成のため,相1及び相2を先ず75℃に加熱した。次いで,温度を維持しながら,相2を相1に徐々に加え,その混合物を連続的に攪拌した。完全な混合物を調製した後,ホモジナイザー(Ultra Turrax)を使用して,これを1500rpmで2分間ホモジナイズした。
【0061】
このホモジナイズに続いて,790barにて5分間,高圧ホモジネーションを続けることにより,強制ホモジナイズを行った。次いで,この混合物を連続的に攪拌しながら37℃に冷却した。次いで,Ultra Turraxホモジナイザーを8000rpmにて使用して,3分間,この混合物を再度ホモジナイズした。この後,この混合物を連続的に攪拌しながら室温まで冷却した。」

実施例4
「【0066】
生成のため,相1及び相2を先ず75℃に加熱した。次いで,温度を維持しながら,相2を相1に徐々に加え,その混合物を連続的に攪拌した。完全な混合物を調製した後,ホモジナイザー(Ultra Turrax)を使用して,これを1500rpmで2分間ホモジナイズした。
【0067】
このホモジナイズに続いて,790barにて5分間,高圧ホモジネーションを続けることにより,強制ホモジナイズを行った。次いで,この混合物を連続的に攪拌しながら37℃に冷却した。次いで,Ultra Turraxホモジナイザーを8000rpmにて使用して,3分間,この混合物を再度ホモジナイズした。この後,この混合物を連続的に攪拌しながら室温まで冷却した。」

上記本願発明の実施例は,いずれも,高圧ホモジナイザーで激しく攪拌し,強制ホモジナイズするものである。この工程は,下記刊行物Cに示すように,一般的にリポソームを形成する工程と同じであり,リポソームが形成されていると解するのが自然である。

以上のことを総合すると,本願発明の「d)前記組成物が層構造を有するラメラ構造を有し,前記物質の上層が前記物質の下層と一直線に並んでおり,前記物質の親水基がそれぞれ外側を向き,前記物質の親油基が互いに内側に並んでおり,前記ラメラ構造」とは,「親水基が外側,親油基が内側に並ぶ」又は「新油基が外側,親水基が内側に並ぶ」のいずれかの形態になる球状の形態のリポソームも包含するものであると解することができる。
そうすると,刊行物1発明の「リポソーム」は,本願発明の「d)前記組成物が層構造を有するラメラ構造を有し,前記物質の上層が前記物質の下層と一直線に並んでおり,前記物質の親水基がそれぞれ外側を向き,前記物質の親油基が互いに内側に並んでおり,前記ラメラ構造」を具備するこということができる。

そして,刊行物1発明においてリポソーム形成するのに使用される「フォスファチジルエタノールアミン」「ホスファチジルセリン」及び「スフィンゴミエリン」は,C相に存在する「精製水」共に,本願発明の「d)前記組成物が層構造を有するラメラ構造を有し,前記物質の上層が前記物質の下層と一直線に並んでおり,前記物質の親水基がそれぞれ外側を向き,前記物質の親油基が互いに内側に並んでおり,前記ラメラ構造が前記水で囲まれている組成物」ということができることは明白である。

エ 上記「ア」?「ウ」の小括
以上のことから, 刊行物1発明の「フレンチプレスを用いてリポソームを形成」するのに使用したC相に含まれる「ホスファチジルエタノールアミン」,「ホスファチジルセリン」,「 スフィンゴミエリン」及び「精製水」は,本願発明の「 a)水と共にラメラ構造を形成する少なくとも1つの物質を有し」,「c)水を有し」,「前記物質はモノグリセリド,ジグリセリド,蒸留した中鎖モノグリセリド,スフィンゴ脂質,リン脂質,脂肪族アルコール,脂肪酸,石鹸,脂肪酸のモノエステル,脂肪酸のジエステル,スクロース,グルコース,脂肪族アルコール類とグルコース及び/又はスクロースとのグリコシド縮合生成物,脂肪族アルコール類とグルコース及び/又はスクロースとのフラノシド縮合生成物,脂肪族アルコール類とグルコース及び/又はスクロースとのピラノシド縮合生成物,グリコシドと脂肪酸誘導体とのモノエステル,グリコシドと脂肪酸誘導体とのジエステル,ステロール,脂肪酸とステロールのモノエステル,脂肪酸とステロールのジエステル,ステロールのグリコール誘導体,及びそれらの混合物からなる基から選択され」,「d)前記組成物が層構造を有するラメラ構造を有し,前記物質の上層が前記物質の下層と一直線に並んでおり,前記物質の親水基がそれぞれ外側を向き,前記物質の親油基が互いに内側に並んでおり,前記ラメラ構造が前記水で囲まれている組成物」に相当するということができる。

刊行物A:特表平7-501548号公報
(刊A-1)「リポソーム成分の調製
リポソーム自体の調製は技術上既知である;いろいろな方法がリン脂質や他の脂質,およびそれらの混合からリポソームを調製するために適用できる。リポソームは共通して単ラメラと多重ラメラとして特徴づけられている。」(2頁右下欄14?19行)

刊行物B:特表平8-505882号公報
(刊B-1)「リポソームは一般的に球形の,一つ以上の脂質壁からなる顕微鏡的な粒子である。その壁は脂質分子から調製され,脂質分子は二重層を形成し表面積を最小化する傾向を有する。リポソームを形成する脂質分子は親水性部分と親油性部分をもつ。水に晒されると,脂質分子は二重層を形成し,二重層の各層で分子の末端の脂質は膜の中央に向き,反対側の極性端末は二重層の内側と外側の表面を形成する。このように,膜の両面は親水性表面を与え,膜の内部は親油性環境になる。
リポソームはその全体の大きさとラメラ構造の性質に基づいて幾つかのカテゴリーに分類できる。分類は,小さな単ラメラ小胞(SUV),多重ラメラ小胞(MLV),大きな単ラメラ小胞(LUV)及びオリゴラメラ小胞を含む。」

刊行物C:特開平11-1423
【0056】「・・・(製法)混合したA相と均一に混合溶解されたB相を高圧ホモジナイザーで混合し,リポソーム複合体を調製し,さらにC相に混合撹拌することによって美容液を得た(pH6.6)。」

オ 「式Iで表される官能基を少なくとも一つ有する少なくとも一種の前記化合物」について
刊行物1発明の「スフィンゴミエリン」は,本願発明の「少なくとも一種の前記化合物が,ベタイン,アセチルコリン,コリン,グリセロホスホコリン,ホスファチジルコリン,リソホスファチジルコリン,カルニチン,アシルカルニチン,スフィンゴミエリン,及びそれらの混合物,誘導体及び代謝物からなる基から選択された組成物」に含まれるものであって,本願発明の「b)式I -CH_(2)-N^(+)-(CH_(3))_(3) (式I)
で表される官能基を少なくとも1つ有する少なくとも一種の化合物」に相当する物質であることは明白である。

以上のことから,両発明は,
「a)水と共にラメラ構造を形成する少なくとも1つの物質を有し,
b)式I
-CH_(2)-N^(+)-(CH_(3))_(3) (式I)
で表される官能基を少なくとも1つ有する少なくとも一種の化合物及び/又はS-アデノシルメチオニンを有し,
c)水を有し,
前記物質はモノグリセリド,ジグリセリド,蒸留した中鎖モノグリセリド,スフィンゴ脂質,リン脂質,脂肪族アルコール,脂肪酸,石鹸,脂肪酸のモノエステル,脂肪酸のジエステル,スクロース,グルコース,脂肪族アルコール類とグルコース及び/又はスクロースとのグリコシド縮合生成物,脂肪族アルコール類とグルコース及び/又はスクロースとのフラノシド縮合生成物,脂肪族アルコール類とグルコース及び/又はスクロースとのピラノシド縮合生成物,グリコシドと脂肪酸誘導体とのモノエステル,グリコシドと脂肪酸誘導体とのジエステル,ステロール,脂肪酸とステロールのモノエステル,脂肪酸とステロールのジエステル,ステロールのグリコール誘導体,及びそれらの混合物からなる基から選択され,
少なくとも一種の前記化合物が,ベタイン,アセチルコリン,コリン,グリセロホスホコリン,ホスファチジルコリン,リソホスファチジルコリン,カルニチン,アシルカルニチン,スフィンゴミエリン,及びそれらの混合物,誘導体及び代謝物からなる基から選択された組成物において,
d)前記組成物が層構造を有するラメラ構造を有し,前記物質の上層が前記物質の下層と一直線に並んでおり,前記物質の親水基がそれぞれ外側を向き,前記物質の親油基が互いに内側に並んでおり,前記ラメラ構造が前記水で囲まれている組成物。」
との点で一致し,相違するところがない。
よって,本願発明は,刊行物1に記載された発明ということができる。

第6 回答書について
なお,請求人は回答書において,本件補正により補正された請求項1から「イノシトール」及び「N-アセチルエタノールアミン」を削除し,次のような補正案を提示する。
「a)水と共にラメラ構造を形成する少なくとも1つの物質を有し,
b)式I
-CH_(2)-N^(+)-(CH_(3))_(3) (式I)
で表される官能基を少なくとも1つ有する少なくとも一種の化合物を有し,
c)メチルグリシン,ジメチルグリシン,メチルメチオニン及びそれらの混合物からなる群から選択された添加物を有し,
d)水を有し,
前記物質はモノグリセリド,ジグリセリド,蒸留した中鎖モノグリセリド,スフィンゴ脂質,リン脂質,脂肪族アルコール,脂肪酸,石鹸,脂肪酸のモノエステル,脂肪酸のジエステル,スクロース,グルコース,脂肪族アルコール類とグルコース及び/又はスクロースとのグリコシド縮合生成物,脂肪族アルコール類とグルコース及び/又はスクロースとのフラノシド縮合生成物,脂肪族アルコール類とグルコース及び/又はスクロースとのピラノシド縮合生成物,グリコシドと脂肪酸誘導体とのモノエステル,グリコシドと脂肪酸誘導体とのジエステル,ステロール,脂肪酸とステロールのモノエステル,脂肪酸とステロールのジエステル,ステロールのグリコール誘導体,及びそれらの混合物からなる群から選択され,
少なくとも一種の前記化合物が,ベタイン,アセチルコリン,コリン,グリセロホスホコリン,ホスファチジルコリン,リソホスファチジルコリン,カルニチン,アシルカルニチン,スフィンゴミエリン,及びそれらの混合物及び誘導体からなる群から選択された組成物において,
e)前記組成物が層構造を有するラメラ構造を有し,前記物質の上層が前記物質の下層と一直線に並んでおり,前記物質の親水基がそれぞれ外側を向き,前記物質の親油基が互いに内側に並んでおり,前記ラメラ構造が前記水で囲まれている組成物。」
該補正案の発明を,以下,「補正案発明」という。

補正案発明と上記刊行物1発明を対比すると,補正案発明が「c)メチルグリシン,ジメチルグリシン,メチルメチオニン及びそれらの混合物からなる群から選択された添加物を有」するのに対して,刊行物1発明は,係る物質を有さない点で相違する。
しかしながら,メチルグリシン,ジメチルグリシン及びメチルメチオニンは,それぞれ本願優先権主張日前より周知の美容液成分である。特に,メチルメチオニンは,本願明細書の段落【0043】によれば「本発明による組成物及び以下に記載の実施例では,特に,メチルメチオニンの塩,好ましくは,S-メチル-DL-メチオニン-塩化スルホニウムが,メチルメチオニンとして使用される。」ものであり,これは,下記刊行物Dに記載のように,本願優先権主張日前からビタミンUとして知られる物質である。
そして,下記刊行物E?Gに記載のように,ビタミンUは,美容液の組成物としても普通に添加されている物質である。
そうすると,刊行物1発明に係る美容液に,ビタミンU,すなわち,メチルメチオニンを加えることは,当業者が適宜なし得る単なる設計的事項にすぎない。
また,補正案発明の作用効果も,式Iの構造から明白なようにN^(+)を構造に有することから,電子受容体及び酸素置換基の役割を果たし得ることは自明なことといえる。そして,それにより電子又はラジカルが消去できれば,細胞損傷が防がれ,本願明細書段落【0011】?【0015】に記載のような作用効果が奏されることは,当業者が予測し得る事項といえる。
よって,補正案発明は,進歩性を有さない。

刊行物D:特開昭54-55712号公報
(刊D-1)「塩化メチルメチオニンスルホニウムはビタミンUとして,・・・医薬品である。」(2頁左上欄下から4行?末行)

刊行物E:特開平6-9422号公報
(刊E-1)「【0025】ビタミン類としては,ビタミンA,ビタミンB,ビタミンC,ビタミンD,ビタミンE,ビタミンF,ビタミンK,ビタミンP,ビタミンU,カルニチン,フェルラ酸,γ-オリザノール,α-リポ酸,オロット酸およびその誘導体等を例示することができる。」
(刊E-2)「【0027】なお,任意成分は,これらに限定されるものではない。上記必須成分と任意成分を適当に配合することにより,例えば,アナアオサ抽出物0.01?30%,任意成分として油分0?80%,界面活性剤0?12%,保湿剤1?15%,精製水バランス,防腐剤微量を含有する皮膚外用剤を提供することができる。具体的には,クリーム,乳液,化粧水,美容液,パック剤,アンダーメークアップ,ファンデーション,ゼリー剤,軟膏等種々の製品形態として用いることが可能である。」

刊行物F:特開平6-321727号公報
(刊F-1)「【0012】・・・ビタミン類としては,ビタミンA,ビタミンB,ビタミンC,ビタミンD,ビタミンE,ビタミンF,ビタミンK,ビタミンP,ビタミンU,カルニチン,フェルラ酸,γ-オリザノール,α-リポ酸,オロット酸及びその誘導体等を例示することができる。・・・
【0013】
【発明の効果】本発明によれば,保湿性に優れ,かつ使用時の感触(のびやすさ,滑らかさ)も良好な皮膚外用剤が提供される。本発明の皮膚外用剤は,各種化粧用クリーム,乳液,化粧水,美容エッセンス,パック剤,リップクリーム,口紅,アンダーメークアップ,ファンデーション,サンケア,ボディリンス,軟膏,ゼリ剤,エアゾール剤等種々の製品形態で適用される。なお,本発明の皮膚用外用剤においては,皮膚用洗浄剤は包含されない。」

刊行物G:特開平10-330211号公報
(刊G-1)「【0027】ビタミン類としては,ビタミンA,ビタミンB群,ビタミンC,ビタミンD,ビタミンE,ビタミンF,ビタミンK,ビタミンP,ビタミンU,カルニチン,フェルラ酸,γ-オリザノール,α-リポ酸,オロット酸およびそれらの誘導体を例示することができる。」
(刊G-2)「【0029】本発明の皮膚化粧料は,各種化粧用クリーム,乳液,化粧水,美容液,パック剤,プレメイクアップ,アンダーメイクアップ,ファンデーション,ジェル剤,軟膏など皮膚外用組成物,口腔用化粧料,浴用化粧料,ボディリンスなどに好適に使用することができる。」

第7 むすび
以上のとおり,本願発明は,刊行物1に記載された発明であるから,特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができない。
したがって,本願は,他の請求項に係る発明について検討するまでもなく拒絶すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-05-18 
結審通知日 2011-05-24 
審決日 2011-06-08 
出願番号 特願2001-561289(P2001-561289)
審決分類 P 1 8・ 113- Z (A61K)
P 1 8・ 57- Z (A61K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 馬場 亮人松浦 安紀子福井 美穂  
特許庁審判長 郡山 順
特許庁審判官 杉江 渉
齊藤 真由美
発明の名称 美容用組成物  
代理人 藤田 アキラ  
復代理人 今井 秀樹  

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